第4話『王子初陣 ~風雲・蛾天丸の乱~』

作者・凱聖クールギン


異世界アセーリア。
太古の昔、慈愛と優しさの神セイロスによって創造されたと伝わる、
地球とは異なる時空に存在している美しい世界である。

そのアセーリアの南の洋上に、ロサレダ大陸と呼ばれる広い大陸がある。
かつては数多くの国や民族が割拠し、互いに争っていたが、
およそ三百年前、英雄王アディラス一世が全土を統一し、
以来、彼の子孫が代々の王として治めるメルヴィオン聖王国の支配の下、
平和で安定した豊かな時代を迎えてきた。

しかし――
次元を超えて全宇宙を巻き込む戦乱の渦、
黄泉がえり現象や時空クレバスの発生といったかつてない異変は、
長く甘美な平穏に浸ってきたアセーリアをも例外なく呑み込んでゆく。
そして今、メルヴィオンがまどろむ泰平の眠りは、
異界からの招かれざる来訪者らによって遂に破られようとしていた…。


***メルヴィオン聖王国・ユーベリア州***

蛾天丸「フハハハハ!!
 奪い尽くせ! 殺し尽くせ! 焼き尽くせ!
 この蛾天丸様の武威を天下に見せつけるため、
 徹底的に破壊するのだ!」

メルヴィオン聖王国西部・ユーベリア州。
山麓に佇む小さな農村を、盗賊団が襲撃していた。
東洋風の鎧の上に桃色の鮮やかな陣羽織を纏い、
白馬に跨った蛾天丸という男に率いられた凶悪な山賊の群れは、
村人たちを殺し、財貨を奪い、家々に火をかけて焼き払う。

山賊A「へへへ、ちっぽけで貧乏な寒村かと思ったら、
 こんなに銀貨を貯めてやがるとはな」
村人A「や、やめてくれ!
 そいつは古くなった教会を建て直すために村の皆で少しずつ蓄えたものなんだ。
 どうか捕らないでくれ!」
山賊B「うるせえ! 黙らねえとてめえの命もいただくぞ!」
村人B「この悪魔め…。セイロス神の天罰が下るぞ!」

泰平の世を謳歌してきたメルヴィオンにも、
山賊や海賊といったならず者の類はやはり存在する。
ここ数年、原因不明の異常気象や天変地異が続発し、
社会不安が広がると共に、そうした賊徒の蠢動は特に活発化していた。
蛾天丸が率いる山賊も、そんな世情に乗じて勢力を強めた集団の一つである。
彼らはユーベリア州にあるナフション金山を襲って占領し、
手に入れた無尽蔵の金で大勢の傭兵を雇い集めて、
今や単なる盗賊団を超える、政府転覆さえ視野に入れた一大武装勢力と化していた。

山賊C「お頭、大変だ!」
蛾天丸「どうした。何事だ?」
山賊D「俺たちを征伐するために、
 王国軍がこっちに向かってるみてえなんだ。
 何でも、国王が末っ子の王子を連れて、
 七万の大軍でネクナールの都を出陣したって話だぜ」
蛾天丸「末の王子だと…?」
山賊E「ああ。ラウールっていう、今年で十七歳になる四番目の王子だ。
 これが初陣だってんで、国王が可愛い息子の晴れ舞台を飾るために、
 あちこちの領主に兵を動員させて大軍勢を用意したらしい。
 こいつはヤバいかも知れねえぜ」

王国軍が動き出したとの報に触れて、
先程まで略奪を思うままに楽しんでいた山賊たちの間に動揺が広がる。
だが王家の直轄支配下にあった金山に手を出した時点で、
国王が黙っていないというのは十分に予期されていた事である。
蛾天丸は馬上で嘲るように笑った。

蛾天丸「うろたえるな。今や俺たちはただの盗賊団ではないのだぞ。
 ナフションの金山を押さえている限り、兵を雇う金はいくらでも手に入る。
 たかが七万の王国軍が何だというのだ。
 迎え撃って叩き潰し、その王子の晴れ舞台とやらに、
 惨めな大敗で泥を塗ってやる!」

空はにわかに曇り出し、雨が降りそうな気配である。
蛾天丸はこの村での略奪を切り上げ、攻めて来る王国軍を迎撃するため、
配下の山賊や傭兵らを取りまとめて進軍を開始した。


***ユーベリア州・アッタン村***

降り出した雨はどんどん勢いを強め、豪雨となった。
この日、州境を越えてユーベリア州へ入ったメルヴィオンの王国軍は、
アッタンという小さな村に陣を敷き、
雨の中、各地から集う味方部隊の合流を待ちながらここで野営する事になった。

ラウール「凄い雨だな…」

国王アディラス十六世の四男、ラウール・エル・アディラス王子は、
野営のため張られた専用の幕屋の中からそっと外の様子を覗き見て、
天候の凄まじい荒れように閉口する。
比較的、気候が穏やかな事で知られるロサレダ大陸だが、
世界のバランスが狂っているのか、近年こうした異様な天気の乱れは少なくない。

ラウール「必ず勝てる戦だって皆が言うけど…。
 何だか不吉な予感がする」

今年で十七歳になるラウールにとっては、この戦いが初陣である。
父王アディラス十六世は、ユーベリア州で猛威を振るう蛾天丸の討伐にあたって、
これまで手塩にかけて育ててきた末の息子にいよいよ実戦経験を積ませる事に決めたのだ。
武将たるもの、戦場に立てる機会が巡って来たのは全身の血を沸騰させて喜ぶべき慶事なのだろうが、
争いを好まないラウールの優しげな翡翠色の瞳は、輝くどころか暗く曇っていた。

レミーナ「ラウール! 入るわよ」
ラウール「…レミーナ!」

リボンで結んだ金色のロングヘアーと赤い軍装を雨に濡らしながら、
一人の若い女騎士が幕屋へ入って来ると、
物憂いげに沈んでいたラウールの表情が途端にぱっと明るくなった。
レミーナ・ラプエンテ。
王家の外戚でもある東部の有力貴族ラプエンテ家の娘で、
ラウールの一歳年上の従姉である。

ラウール「そうか…。今回の遠征にはレミーナも来てくれてたんだったね」
レミーナ「ついさっき、やっと本隊に合流したところよ。
 あなたのおめでたい初陣ですものね。
 例え志願してでも参加したかったところだわ」

ラウールとレミーナは幼少の頃から親しく、
レミーナが人質として王家に預けられていた頃には二人は家族同然の関係で育った。
ラウールにとってレミーナは小さい頃から慕ってきた歳の近い姉のような存在であり、
非公式な場ではタメ口や呼び捨てまで許しているくらいの、
君臣の関係を超えた心から気を許せる仲間なのである。

レミーナ「それで、初陣を前にして気分はどう?
 何だか既に顔面蒼白って感じだけど」
ラウール「正直、凄く緊張してる…。
 将来、大軍を統率するための訓練として、
 父上は僕を大将にして全軍の采配を任せると仰せだ。
 指揮官として、大勢の兵の命を僕が預かる事になる。
 失敗は絶対に許されない…」
レミーナ「あなたらしいわね。でもそうやって力んでると、
 かえって思考がおかしくなって余計な失敗をしてしまうものよ。
 だからほら、もう少し肩の力を抜きなさいってば」
ラウール「そんな事言われてもなあ…」

ラウールの肩をぽんと叩いてリラックスさせようとするレミーナ。
緊張しすぎるのは良くないと自分でも分かっているラウールだが、
全身を鉄のように硬直させている力はどうしても抜けない。

ナレイン「殿下、間もなく出発です。
 生憎の大雨ですが、行軍を決行して今夜中にシャデラク平原に着陣すると、
 国王陛下より先ほどご下命がありました」
ラウール「そうか! よしナレイン、すぐに出立の支度をしてくれ!」
ナレイン「ははっ!」

ラウールの小姓を務める青年、ナレイン・レンドルフは、
若い主君の命を受けてすぐに軍勢の出立準備に取りかかった。
戦場となるシャデラク平原まではあと半日の道のりである。
外に出て雨を浴びる前から、ラウールの顔はにじみ出る汗でびっしょりと濡れていた。


***ユーベリア州・シャデラク平原***

雨中の行軍を決行したメルヴィオンの王国軍は、
その日の夜にシャデラク平原に到着し、広大な原野の東の一帯に布陣した。
総兵力はおよそ七万。
一方、平原の西側には、既に蛾天丸が配下の山賊や雇い入れた傭兵からなる、
三万の軍勢を集めて陣取っている。
やがて夜明けと共に雨は収まり、眩しい朝陽が濡れた草原を照らし始めた。

アディラス「そう硬くなるなラウール。
 兵の数でも質でも、我が方が大きく勝っておる。
 大船に乗った気持ちで安心せい」
ラウール「はい、父上…」

ラウールの父にして、メルヴィオン聖王国の第十六代国王であるアディラス十六世は、
その優れた統治手腕と武勇から人々にアディラス大王と尊称されている名君である。
金箔をまぶした煌びやかな鎧の上に真紅のマントを羽織り、馬上にどっしりと腰を落ち着けて、
たっぷりと蓄えた黒い顎鬚を弄りつつ悠然と構えているその姿にはやはり王者の風格がある。
一方、その隣に馬を並べているラウールは、今にもガタガタと震え出しそうなくらいに表情が強張り、
忙しなく視線を上下左右に泳がせていた。

アディラス「む…!」
ラウール「あれは…!?」

時が満ち、いよいよ開戦かと思われたその時、
敵陣から一騎の大柄な騎馬武者がこちらへ駆け出して来たかと思うと、
両軍の中間地点の辺りで馬を止め、地を揺らさんばかりの大声で名乗りを上げた。

華雄「俺の名は華雄!
 誰でもいい。この俺様と戦う勇気がある奴は出て来い!」

巨大な金属の塊を先端につけた大重量の砕棒を馬上で振り回しながら呼ばわった華雄は、
アセーリアとは別の世界では董卓という奸雄の家臣だったが戦死し、
この世界で黄泉がえった後は持ち前の剛腕を活かして傭兵稼業をしていた。
それが多額の報酬を条件に蛾天丸の軍に雇われ、
こうしてメルヴィオンの王国軍を相手に戦う事になったのである。

アディラス「敵はあのように申しておるぞ。いかがする?」
ラウール「はっ。無論、挑戦に応ずるべきかと…」
アディラス「よし。ではこちらの代表者はお前が選べ」
ラウール「は…はい…!」

これも大将としての采配の一つである。
アディラスはラウールにこの場を任せた。

ラウール「誰か、あの者を討ち取らんとする勇者はいないか!?」

ラウールがそう言って味方に向かって募ると、
有力貴族の一人エゼキエル・バレロンが進み出て、
自分の配下である大剣を佩いた屈強な騎士をラウールに紹介した。

バレロン「恐れながら、このブラウリオ・カルドーソ子爵は、
 我が家中でも随一の剛勇の士。
 ぜひともその腕前を殿下にご披露したく存じます」
ブラウリオ「必ず勝利してご覧に入れます。お任せあれ!」
ラウール「おお…! 確かに強そうだ」

体格逞しく、いかにも猛者といった風貌のブラウリオを敵に向かわせようとしたラウールだったが、
そこにもう一人の大貴族アルトゥロ・メンディエタが待ったをかけた。

メンディエタ「お待ちあれ殿下! 
 我が甥のホアキン・メンディエタこそ真の勇者。
 一騎打ちには何とぞ彼をお遣わし下さいませ」
ホアキン「あのような賊徒、一撃で斬り捨てて見せます!」

ホアキンもやや小柄ながらも眼光鋭く、
利発な頭脳派の剣士といった顔付きである。
どちらを行かせるかラウールは迷った。

ラウール「ええ…っと…」


勝敗が全軍の士気を左右する一騎打ちの代表者選びは重要だし、
心根の優しいラウールは、選ばれなかった方の面目や感情を傷付けるという事まで配慮してしまい、
このような決断にはなかなか答が出せない。
大勢の将兵の視線が集まる中、滴る冷や汗でびっしょり顔を濡らしながら、
しばらく迷ったラウールはやがておずおずと口を開いた。

ラウール「…よし、ホアキンに任せる」
ホアキン「はっ、ありがたき幸せ!」
ブラウリオ「………」
ラウール「す、済まない、ブラウリオ…」

無言で一礼して下がるブラウリオ。
勇躍、馬に跨ったホアキンは華雄目掛けて駆けて行く。

ホアキン「我こそはホアキン・メンディエタ!
 王国に刃を向けた薄汚い賊徒め、覚悟せよ!」
華雄「フン、言い残す事はそれだけか?
 さっさとかかって来いっ!」
ラウール「………」

巨大な砕棒を振り回す華雄にロングソードを抜いて立ち向かおうとするホアキン。
一騎打ちの緊迫した様子を、ラウールは遠くから固唾を呑んで見守った。
やがて両者は互いに馬を進ませ、交錯する。

華雄「おらぁっ!!」
ホアキン「うわぁっ!!」

勝負はわずか一瞬で決した。
力強く叩きつけられた華雄の重い砕棒がホアキンの頭に炸裂し、
ホアキンはどさりと落馬してそのまま絶命してしまう。

華雄「討ち取ったぞおっ!!」
ラウール「そ…そんな…!」

華雄が馬上で拳を天に突き上げると、反乱軍の兵士たちが歓声で応える。
逆にメルヴィオン軍の兵士たちには衝撃が走った。

ブラウリオ「殿下! こうなれば、それがしに出番を!」
ラウール「お…おう! 行けブラウリオ!
 ホアキンの仇を討つんだ!」

己の選択ミスに愕然としていたラウールはすぐに我に返った。
このままではいけない。敵の興奮と味方の動揺が冷めやらぬ内に戦闘開始となれば、
こちらが不利となるのは目に見えている。
すぐにあの華雄を討ち取って敵の歓喜に冷や水を浴びせ、
恐れをなしている味方に勇気を取り戻させなければならないのだ。
ラウールは急ぎブラウリオを華雄に向かわせた。

ブラウリオ「行くぞ賊徒! 我が剣を受けてみよ!」
華雄「喚くな雑魚めが。どりゃぁっ!!」
ブラウリオ「ぐわぁっ!!」

ところが、勢いよく突進して来たブラウリオをも華雄は一撃で瞬殺してしまう。
どちらを行かせるか散々迷ったラウールだったが、
結局どちらを行かせても結果は同じだったのである。

蛾天丸「よし、全軍かかれ!」
ラウール「そんな…そんなっ…!」

思わぬ結果に馬上で呆然とするラウール。
蛾天丸は力強く采配を振るい、この時とばかりに総攻撃を下知した。


蛾天丸「王国軍どもを踏み潰せ!」

蛾天丸の命令で突撃を開始した反乱軍は唸りを上げ、
凄まじい勢いで津波のようにメルヴィオン軍に攻めかかった。

ラウール「そんな…! ど、どうすれば…!」
アディラス「怯むなラウール! 
 大将が動揺していては兵の士気に関わるぞ」

戦というのは水物であり、何よりも勢いが肝要である。
数に勝るメルヴィオン軍の優位は、一騎打ちが両軍に与えた心理的効果の前に敢えなく吹き飛んだ。
名のある騎士二名を華雄に討たれたメルヴィオン軍は怯み、
怒涛の如く攻めかかって来た蛾天丸の反乱軍に一方的に押され続ける。
たちまち先陣が破られ、第二陣が崩れ、第三陣も敵の突破を許して、
ラウールのいる本隊の直前にまで敵兵が殺到する事態となった。

ラウール「落ち着け…落ち着くんだ…!」

あちこちで上がる喚声、立ち込める濃厚な血の匂い、続々と舞い込む味方の死の報せ…。
もはや采配どころではなかった。
生まれて初めての戦場の雰囲気に呑まれ、ラウールはどうしたら良いか分からず、
すっかりパニックに陥ってしまっていた。

ラウール「………」

ラウールがようやく我に返った時には、既に陽は傾き、戦闘は終わっていた。
破竹の勢いで激しく攻め立てていた反乱軍だったが、
バレロンやレミーナらの必死の奮戦によって土壇場で押し返され、
日没が近付いたのを見てひとまず兵を引いたのである。
味方の半分以下の兵力に過ぎない反乱軍に叩きのめされて、
初日の戦闘はメルヴィオン軍の敗勢のまま幕を閉じたのであった。

メンディエタ「殿下、お怪我はございませぬか」
ラウール「僕は大丈夫だ。でも…」

この日、戦死したメルヴィオン軍の兵士は五百を超え、負傷者はその十倍以上に達した。
事前の想定を遥かに上回る大損害である。
ラウールにとっては、ただただ戸惑って何もできずに終わってしまった人生初の合戦であった。

ナレイン「夕風が冷たくなって参りました。
 お体に障る前に、幕屋へお戻りなされませ」
ラウール「もう少しだけ…ここにいさせてくれ…」
ナレイン「殿下…」

夕焼けがシャデラクの原野を赤く染める中、
倒れた無数の死傷者が陣地の奥へと運び込まれていく様を、
ラウールはずっと馬上から無言のまま眺めていた…。


***メルヴィオン軍・本陣***

レミーナ「ラウール、お疲れ様! 今夜は一緒に食事しましょう」
ラウール「レミーナ…」

夜、鮮やかな赤いマントをはためかせながら、
レミーナがラウールの幕屋を訪ねて来た。
間もなく夕食が諸将の前に運ばれようという時間である。
昼間の一戦で意気消沈しているであろうラウールを励まそうと、
レミーナはわざわざ顔を出してくれたのであった。

レミーナ「なかなか激しい戦いだったわね。
 でもまあ、敵のあの勢いもせいぜい今日一杯と見たわ」
ラウール「………」
レミーナ「実際に戦ってみた感触としては、
 敵の実力は言うほど大した事はないわね。
 勝負は時の運。今日はちょっとこっちに運がなかっただけよ」
ラウール「………」
レミーナ「ああいう勢い任せの連中ほど、
 少しでも上手く行かなくなった時には脆いのよ。
 前に戦ったボアザの海賊がそうだったわ。
 あの時なんてね、私が隙を見て突っ込んだら、
 海賊たちはみんな顔色変えて一斉に逃げ始めて…」

ラウールに少しでも元気を出させようと、
レミーナは早口で色々とまくし立てながら努めて明るく楽観論を語るが、
ラウールは心ここに在らずといった様子で、俯いたまま黙っている。

レミーナ「…ってラウール、聞いてるの?
 もう、せっかく人が励ましに来てあげてるのに…」
ラウール「………」
レミーナ「ラウール…?」

ラウールは泣いていた。
翡翠色の双眼から、涙がぽたぽたと地面に滴り落ちている。

ラウール「たくさんの兵を死なせた…僕の責任だ…」
レミーナ「………」
ラウール「大将なのに、僕は戸惑ってばかりで何もできなかった…。
 そうしている間に、味方はどんどん死んで行った…。
 大将の僕が駄目だったせいで、多くの者が死んだんだ…」
レミーナ「ラウール…」
ラウール「やっぱり…僕には大将なんて…無理なんだ…」

レミーナは困惑したが、やがて上を向いて少し考え、頭の中でよく言葉を選んでから、
ラウールの肩に手を置き、優しく言い聞かせるようにして語りかけた。

レミーナ「気にするな、とは言わないわ。
 確かにこれは軽い事じゃないかも知れないし、
 兵の命を預かっている責任の重みを忘れてしまったらそれこそ大将失格なのかも知れない。
 あなたは昔からとても優しい人だものね。
 そういうところ、悪くないと思うわよ」
ラウール「レミーナ…」
レミーナ「戦というのは恐ろしいものよ。
 人の命が秒単位で、まるで湯水のようにどんどん失われていく。
 私の初陣は大勝利だったけど、それでも味方は百人以上も死んだ。
 泣いたわよ。私が進めって命令したら兵が進んで、
 敵の矢を浴びて次々倒れていくんですもの。
 私だってつらくて胸が張り裂けそうで、一晩中泣いたわ」
ラウール「レミーナも、泣いたんだ…」
レミーナ「でも、泣いたとしてもこうして戦い続けていられるのは、
 自分が戦わなきゃいけない理由も忘れないようにしているから、かな。
 つらいからって、大将がもう無理だなんて言ってしまったら一体どうなると思う?
 そもそもこの戦いは何のためのものなのか、よく考える事ね」
ラウール「何のため…?」
レミーナ「そうよ。これは自分で考えないと意味がないから、
 私から答は言わないからね。泣いてないで頭を捻りなさい」


ナレイン「殿下、失礼いたします…。
 ご夕食が運ばれて参りました」
椿「すみません…。パンとサラダをお持ちしました」
太助「温かいお茶もあるよ!」

ナレインに案内されて、十代前半と見られる清楚な身なりの少女と、
その半分くらいの歳頃の、髪を短く刈り揃えた腕白そうな少年が幕屋に入って来た。
二人でラウールとレミーナの食事を運んで来たのである。

レミーナ「あら、椿ちゃんと太助くんじゃない。お仕事お疲れ様ね」
太助「はい! レミーナ様っ!」
ラウール「…レミーナ、この子たちは?」
レミーナ「この近くの村に住んでいる子供たちよ。
 民を賦役に徴発するのはできるだけ避けたかったんだけど、
 どうしてもってせがまれちゃってね。私の部隊で働いてもらってるわ」
ラウール「…?」

レミーナの話によると、彼女らは元はアセーリアとは違う世界にいた孤児で、
ここにいる椿と太助の他に、みかん、与平、吾郎という、
血の繋がりはないが兄弟姉妹のように仲の良い五人の子供たちだという。
一度は火事で全員死亡したのだが、何の奇跡が起こったのか五人揃ってこのメルヴィオンで再び生を受け、
今はこのシャデラク平原の近くの村で、親切な農家の老夫婦に引き取られて育てられているらしい。

ラウール「なるほど。今、各地で起きているという黄泉がえり現象か…」
レミーナ「焼死って、きっと凄くつらかったと思うわ…。
 火がトラウマになってる子もいるみたいだから、
 火を扱う仕事だけはさせないようにしてるんだけどね」
ラウール「でも、どうして命じられてもいないのに、
 わざわざ僕らの手伝いなんてしてくれるんだ?」
椿「それは…。村を守るために、私たちもできる事をしたいんです」
ラウール「村を…?」
椿「ええ。盗賊団が私たちの村まで攻めて来たら、みんな殺されてしまいます。
 私たちは、武器を取って戦う事はできないけれど、
 それでもせっかく来て下さった討伐隊の皆様のお手伝いをする事で、
 少しでも力になれたらと思って…」
ラウール「………」

ラウールはハッとした。初陣という大舞台に緊張する余り、
自分の事で頭が一杯になってしまってつい考えが及んでいなかった大切な事に、
今ようやく気付かされたような気がした。

ラウール「何のため、か…」

レミーナに問いかけられた言葉を、もう一度ラウールは反芻して頷いた。
蛾天丸の盗賊団はこのユーベリア州で暴虐の限りを尽くしている。
これを討つのは、ここにいる椿や太助のような罪もない無力な人々を、
凶悪な賊徒の手から守るためではなかったのか。
だからこそ、こんな小さな子供たちさえラウールの軍に必死で望みをかけているし、
ただ願うだけでなく、そのために自分ができる事を懸命にやっている。
それなのに…肝心の自分はさっきまで、一体何をしていたのだろう?

太助「ねえ王子様。蛾天丸をやっつけてよ。
 王国の騎士団って、すっごく強い正義の味方なんでしょ?」
ラウール「………」

太助の純真無垢な瞳に射るように見詰められて、ラウールは胸が熱くなった。
確かにレミーナの言う通り、無理だなどとは間違っても言ってはいけなかったのだ。
それはここにいる子供たちを見捨て、残忍な賊徒の手に渡してしまう事を意味するのだから。
ラウールは蛾天丸に必ず勝たなければならない。
こうした民の強い願いに応え、彼らをこの危機から救い出さなければならないのである。
皆を思いやるラウールの優しさが、闘志という炎になって燃え上がり始めた。

ラウール「レミーナ、ありがとう。
 僕が今すべき事…この戦いの意味、分かった気がするよ」
レミーナ「えっ? ほ、ほんとに…!?」
ラウール「この戦、絶対に勝つ! みんなを守るためにね」
椿「はいっ! どうか…どうかお願いいたします!」
太助「頑張れ、王子様~!」
ラウール「今日死んで行った兵たちも、
 みんな民を守るために命を捨ててまで戦い抜いたんだ。
 彼らの死を無駄にしないためにも、僕は大将としてこの戦いを立派に指揮し、
 必ず蛾天丸を倒してみせる!」


レミーナ「やれやれ…。何だかよく分からないけど困ったものだわ」
ナレイン「殿下は、武人としては少々お優しすぎますな。
 だが、それが美点でもあられる」

途端に元気になったラウールは夕食のパンとサラダと紅茶をたちまち平らげると、
軍議のため、幕屋を出て皆より一足先に本営へと歩いて行った。
主君の後ろ姿を見送りながら、ナレインとレミーナはひとまず安堵の溜息をつく。

レミーナ「この戦、何とかして勝ちたいものよね…。
 でも昼間の戦いを見る限り、味方の部隊はどこもほとんど士気が低くて、
 はっきり言って頼りにならない。
 こうなったら私たちで、ラウールのあの思いにどうにか応えられないかしら」
ナレイン「逆転の方策がなくもないとは存じますが、
 如何せん、我らはよそ者でこの辺り一帯の地理には暗いゆえ、
 具体的な算段はなかなか立てられませんな…」

メルヴィオン南部のリジナス州を治める名門貴族レンドルフ家の次男で、
年少の頃から王宮に出仕してきたナレインはラウールの小姓を務める傍ら、
膨大な量の書物を読んで学識を深めてきた知的探求心の塊のような青年である。
軍学・兵法についても彼はこれまで多くの書を読み、古今東西の無数の戦いを分析・研究してきた。
今こそ主君のため、その知識の蓄積を生かす時なのではないか…。
ナレインは腕組みをして考え込む。

ナレイン「確かに手はある。だが…」

敵陣の後背にそびえるメシャク山を利用した一撃必殺の秘策が、
ナレインの脳内には既に形となって浮かび上がっていた。
だが、それはあくまで理論上の話である。
頭の中でのシミュレーションとしては破綻なく成り立つものの、
現実に成功させるには、山中や周辺の地理をしっかりと熟知している事が必須条件になる。
しかし他州から遠征してきたナレインらは、
初めて訪れたばかりのこの地域については詳しいはずもなかった。

ナレイン「いや、待て…!
 レミーナ殿、あの椿と太助という子供たちですが、
 確かこの辺りの村の者と仰せでしたな?」
レミーナ「ええ。この戦場のすぐ近くの村の子たちよ」
ナレイン「メシャク山の地理には、彼らは詳しいでしょうか?」
レミーナ「さあ…? どうかしら。
 あ、でも太助くんはご養親のお手伝いで柴刈りや山菜採りによく行くって言ってたから、
 メシャク山にも登っているのかも知れないわね」
ナレイン「それならば…! レミーナ殿、あの二人、
 少々お借りしてもよろしゅうございますか」
レミーナ「それは構わないけど…。何をするつもり?」
ナレイン「殿下にお捧げする策が、実現可能かも知れぬのです!」

ナレインはひどく興奮した様子で、レミーナの元を離れて椿と太助の元へ駆けて行った。
間もなく軍議が始まる時間である。一人残されたレミーナは赤いマントを翻し、
軍議に出席するため本営へと歩いて行った。


夜になって開かれたメルヴィオン軍の軍議は、重苦しい雰囲気に包まれた。
何しろ、たかが賊徒の群れと油断してかかったところに思わぬ大苦戦を強いられ、
危うく本陣が攻め落とされそうにまでなったのだ。
昼間の戦いで敵の勢いにすっかり気圧され、浮き足立った諸将は、
皆揃って顔色が青ざめていた。

アディラス「狼狽するでない!
 このような時は、かえって胆気を据えるに限るわ」

あまりに沈痛な空気に耐えかねて、アディラス十六世は俯いている諸将を叱咤した。
経験豊富なアディラスはさすがにまだ悠然と構えていたが、
諸将は押し黙って声もなく、自分の軍略を披露しようという者もいない。

バレロン「恐れながら、敵軍の勢いは凄まじく、
 このままではお味方の不利は否めませぬ。
 ひとまず後方へ退き、態勢を立て直されてはいかがにございますか」
メンディエタ「左様。ここは敵の鋭鋒を一旦かわし、
 こちらに有利な戦場へ引き込んで巻き返しを図るべきです」

バレロンとメンディエタは口を揃えて撤退を進言した。
それだけ味方の士気が崩壊しているのだ。
自慢の甥を華雄に討たれたメンディエタは特に意気消沈し、
完全に戦意を失ってしまっている様子だった。

アディラス「ラウールよ、そちはどう考える?
 このままここで継戦すべきか、一度退いて戦場を移すべきか。
 大将として、そちの思うところを述べよ」
ラウール「はっ…」

呆れ顔のアディラスはここで息子に振ってみた。
泣き腫らしたらしく充血していながら、それにしては強い確固とした意志に満たされているような、
不思議な輝きを帯びたラウールの翡翠色の瞳が先程から気になっていたのだ。
ラウールはごくりと唾を呑み、落ち着いて呼吸を整えると、
昼間のひどく緊張した様子とは一転した、
しっかりとした口調でおもむろに意見を述べ始めた。

ラウール「確かに昼間の一戦を見るに、敵の勢いは侮れません。
 しかし我らがここを退けば、この辺り一帯の村々はどうなるでしょう」
アディラス「む…」
ラウール「賊徒らは村を占領して略奪し、民を殺し、
 最後には全て焼き払ってしまうはずです。
 賊徒らを討つのは彼らの暴虐から人民を守るため。
 初戦の結果は残念でしたが、我らは尻込みしたりせず、
 ここに踏みとどまって戦うべきです!」
アディラス「よくぞ申した。お前らしい意見よの」

ずっとぎこちなかったラウールが初めて勇ましい言動を見せたので、
アディラスはなかなか満足げに口元を緩ませた。
言うまでもなく、先程会った椿や太助の事を頭に浮かべながら述べた意見である。
ここで王国軍が敗れて逃げ去れば、後に残された彼らは見捨てられてしまうのだ。

バレロン「さすがは殿下。民思いのご立派なお志に敬服いたします。
 されど今、時の運は明らかに敵軍にあり。
 踏みとどまって勝ち目のない戦をしたところで、
 結果として敗れてしまえばこの地の民を守る事もできぬばかりか、
 兵をいたずらに損ずる事にもなってしまうではありませぬか」
ラウール「それは、そうだけど…」

バレロンが指摘した通り、ここで敵を打ち破る秘策がない限り、
民を守るというラウールの言葉は実現不可能な絵空事でしかない。
勝算のない無謀な戦いをして兵を無駄死にさせるのは許されないという意見も、全く正論である。
ではどうやってこの劣勢を覆し、勢いに乗る敵を撃破するかとなると、
まだこれが初陣のラウールには、そんな名案はなかなか思い浮かばないのであった。


ナレイン「恐れながら申し上げます」

その時、一人の若者が声を上げた。
王の重臣である父のクゼイン・レンドルフに随伴して軍議に出席していたナレインである。

ナレイン「この私めに一策があります。
 撤退をお決めになる前に、ぜひともお取り上げ願いたく存じます」
クゼイン「こ、こらナレイン! 控えよ!
 ここはお前のような若輩者が発言して良い場ではない!」

隣にいたクゼインが慌てて息子を制したが、
アディラスはナレインを叱りつける事もなく、
笑みを浮かべてラウールの方を見遣る。

ラウール「いや、発言を許す!
 ナレイン、その策というのを聞かせてくれ!」

父王の意図を即座に感じ取ったラウールは、
身を乗り出さんばかりにして寵臣のナレインに言葉を促した。

ナレイン「はっ、ありがたき幸せ…。
 愚考いたしますに、敵は山賊や金で雇われた傭兵などの雑多な集まりであり、
 個々の武勇はともかく、全体として統率が取れるとは思えません。
 勢いに乗れば猛虎の如しとはいえ、少しでも劣勢となればたちまち足並みを乱しましょう。
 恐らく、心理的に不意を突かれれば一気に崩れ出すはずです」
ラウール「不意を突くと言うと、奇襲か?」
ナレイン「ご明察の通り。
 敵軍はメシャク山を背にして布陣しております。
 精鋭の奇襲部隊を編成してこの山を越えて攻めかからせ、
 敵の背後に不意打ちの一撃を浴びせるのです」

円卓の上に広げられた地図を指し示して作戦を説明するナレインだが、
列座の諸将からは呆れたような嘆息や、せせら笑う声ばかりが漏れる。

メンディエタ「バカな。あの山の険しさ、
 そう簡単に越えられるものではあるまい。
 地理をわきまえぬ机上の空論というものじゃ」
ナレイン「お言葉ながら、これは空論に非ず!
 この策を可能にし得る、ある人物を皆様にご紹介したく存じます。――入られよ!」

ナレインが陣幕の外に向かって合図すると、番兵に連れられて、
二人の子供がおずおずと本営の中へ入って来た。椿と太助である。

ラウール「君たちは…!」
ナレイン「殿下もご存じの、この近くの村に住む子供たちです。
 聞けば彼女らはこの辺り一帯の地理に詳しく、
 メシャク山にもこれまで何度となく登り、
 山道については全て知り尽くしているとの事。
 この二人に道案内を任せるならば、
 あの峻険な山とてきっと越えるのは不可能ではないでしょう」
ラウール「本当に、大丈夫なのか?」
太助「うん! 僕ら、あの山ならよく登ってるよ」
椿「とても険しい山で、敵のいるところへ抜けるのは簡単ではありませんが…。
 でも、行けない事はないと思います!」


バレロン「行けぬ事はない…? これは笑止。
 要するに、かなりの危険と困難があるという事ではないか」

バレロンが言う通り、椿の言葉は山越えが決して不可能ではないものの、
かなりの難事だという事を正直に認めている。
地元の住民の道案内が得られるとなっても、諸将はやはり作戦に難色を示した。

メンディエタ「そもそもナレイン殿、
 そなたはそのような危うい荒技、一体誰にさせるつもりかね? 
 悪いがわしは御免被るぞ」
ナレイン「それは無論…」

私自身がやります、とナレインは言おうとした。
自分が言い出したからには責任を持って自分で行く覚悟だが、
相当の勇気と胆力が要求されるミッションなのは確かであり、
勇将や猛将というよりは頭脳労働者型である自分の器量で果たして成し遂げられるか、
ナレインにとっても厳しい挑戦には違いなかった。
だがナレインが口を開きかけた時、それを遮るように横から声を上げた者がいた。

レミーナ「私が行きます!
 奇襲による敵陣一番乗りの栄誉、
 皆様がご遠慮なさるならぜひ私が務めさせていただきたく存じます」
ラウール「レミーナ…!」

レミーナのラプエンテ家はラウールの母である亡き王妃エフェリーナの実家で、
王家の外戚でもあるメルヴィオン随一の有力貴族だが、
彼女の父は数年前に死去し、今はレミーナの異母弟ジェニーロ・ラプエンテが、
若年ながら当主を務めている。
今回の軍役にはレミーナが弟の名代として参陣しており、
勇敢な女騎士として、弟を支えつつ武勲を重ねてきた彼女の存在は諸将からも注目されていた。

レミーナ「ナレイン卿の策、確かに敵の意表を突いた妙案です。
 実行には危難が伴うと仰せならば、その危難、
 我がラプエンテ家の騎士団が見事乗り越えてご覧に入れます!」
バレロン「レミーナ殿、斯様な無茶な話に乗られるな。
 一人や二人の子供が登るだけならばともかく、
 軍勢があの峻険な山を越えるなどできるわけがない」
レミーナ「できるわけがない…敵もきっとそう思って油断しているはず。
 だからこそ、多少の無茶をしてでも、
 敵の予測外の事をしてみせるのが奇襲というものではありませんか」

年上の貴族諸侯の前でも微塵も怯まず、レミーナはそう言って小さく胸を張ると、
強い輝きを帯びた青い双眸でラウールを見据えた。

ラウール「でも、奇襲は小勢で行なうものじゃないか。
 しかも山越えとなると、どうしても大人数は連れて行けない」
レミーナ「ええ。小勢で結構。
 私の配下から精鋭の騎士一千名を選抜して行くつもりです」
ラウール「危険だ。そんな少数で敵の中に飛び込むなんて!
 敵にはあの華雄もいるんだぞ」

レミーナの心意気は嬉しかったが、彼女をみすみす死地へ送るわけには行かない。
大きすぎる危険性を憂慮して、ラウールは作戦に同意するのを躊躇った。


ヴォーダン「華雄は俺に任せてくれ!」

その時、両腕を掴んで取り押さえようとする番兵らを引きずりながら、
野太い声を上げてどかどかと陣幕の中へ乗り込んで来た者がいた。
身の丈二メートルを超える、筋骨隆々とした逞しい大男である。

バレロン「な、何奴だ!?」
ヴォーダン「俺はガルニア人の戦士ヴォーダン・ドーガだ!
 昼間の戦いでは遅れを取ったが、
 あの華雄って野郎には必ず勝つ自信がある!
 次の戦では俺をあいつと戦わせてくれるよう直訴に来たんだ!」
メンディエタ「控えよ! 南蛮の野人風情が、
 召されてもおらぬのに勝手に本営へ乗り込み、
 陛下と殿下の御前でかかる広言を吐くとは無礼にも程があろうぞ!」

ガルニア人というのは、ロサレダ大陸の南方に暮らしている、
メルヴィオン人とは文化の違う異民族である。
勇猛さで知られる森の民だが、メルヴィオン人からは未開の蛮族と蔑まれる事が多く、
現にヴォーダンの行動や言葉遣いも乱暴極まりない事から、諸侯は不快げな顔をした。

ヴォーダン「華雄の首はこの俺が叩き落として見せる!
 山越えの奇襲部隊に俺も同行させてくれ!」
クゼイン「やかましい! 誰か、この狼藉者を下がらせよ」
レミーナ「いえ、頼もしいわ。
 この体格と面相、見るからに只者ではなさそうね。
 あなたの同行を許可するわ。華雄の相手、よろしく頼むわね」
ヴォーダン「おうっ! 任せろ!」

レミーナはこのガルニア人の戦士を見下すどころか、
その圧倒的な巨体に大いに感心し彼を高く評価した。
ヴォーダンは力強く自分の胸を叩く。

バレロン「これこれ、若者どもが勝手に軍議を進めるでない…」
クゼイン「左様。話を振り出しに戻すようだが、
 山越えの奇襲はやはり無謀であろう。
 陛下、我が愚息の放言が元で軍議を混乱させてしまい、
 まことに申し訳ございませぬ」
アディラス「いや、確かに蛮勇とでも呼ぶべき果敢な策だが、
 想定し得る問題に対しては打つ手をよく考えてあり、
 余の見たところ成算は決してなくもない。
 生憎、他に代案もないところじゃ。やるとなればこの策しかあるまい」

ずっと腕を組んだまま沈黙していた国王のアディラスが作戦を肯定的に捉えたので、
それまで口々に反対を唱えていた貴族衆はやむなく押し黙った。
アディラスはもう一度ラウールに向き直り、作戦の成否の最終判断を彼に委ねる。

アディラス「さあどうするラウール。危険を承知でこの手で行くか、
 それとも安全主義で一旦退くか。大将のそちが決めよ」
ラウール「はっ…」

民を守りたいというラウールの意志を、ナレインの智謀が作戦として具体化し、
レミーナの勇敢な行動力によってそれを実行、
最大の難関である強敵・華雄に対してはヴォーダンの豪腕をぶつけて対抗する。
皆の力を合わせて作り上げた策は煮詰まった。
後は、大将のラウールがこの策を信じる事ができるかどうかだけである。
しばし目を閉じて黙考したラウールは、やがて口を開いた。

ラウール「…皆を信じて、やってみます!
 レミーナ、そのヴォーダンという戦士を連れてメシャク山の突破に挑んでくれ。
 ただし、命を粗末にしない事。無理だと思ったらすぐに退くんだ」
レミーナ「分かりました!」
アディラス「よし、決まりじゃ。
 奇襲が成功して敵が崩れ出したら、すぐに全軍で攻勢をかける!」

こうして軍議は決した。
若い武将たちが協力して生み出した乾坤一擲の奇襲作戦に、
メルヴィオン軍は勝負を賭ける事になったのである。


***メシャク山***

太助「こっちだよ」
椿「足元が滑りやすくなっています。気を付けて下さい」
レミーナ「みんな頑張って! あと少しよ!」

作戦は早速、その夜の内に決行された。
バレロンらが危惧した通り、武装した騎兵によるメシャク山の突破は困難を極めたが、
椿と太助に案内されたレミーナは不屈の勇気と根性、
そして優れた馬術でいくつもの難所を突破し、
選び抜かれた配下の兵一千騎やヴォーダンと共に、
夜が明ける前に敵の本陣を見下ろす崖の上に到達する。

 

レミーナ「さあ行くわよ! 

 創造神セイロスも天からご照覧あれ!
 ラプエンテ隊、総員突撃!」
ヴォーダン「おう! ひと暴れしてやるぜ!」

貴金属ミスリルで造られた愛剣ミスリルソードを馬上で抜いたレミーナは、
急峻な崖を馬で一気に駆け下り、

自ら軍勢の先頭を切って敵陣へと突入した。

イラスト提供:森さ憂


山賊A「な、何だ!?」
山賊B「夜襲だ! 敵が山から攻めて来たぞ!」
レミーナ「うおおおっ!!」
ヴォーダン「どりゃぁぁっ!!」

レミーナは勢いよく崖を駆け下りて敵の真っ只中に馬を飛び込ませ、
兵糧庫に松明を投げ込んで敵陣に火を放った。

ヴォーダン「華雄っ! 俺様が相手だ!」
華雄「おう、どこの蛮族か知らねえがかかって来い!」

ヴォーダンは敵軍の中に華雄の姿を見付け、勝負を挑む。
並外れた巨漢の肉体同士が激しくぶつかり合い、
怪力を込めた剣と砕棒とが衝突して火花を散らした。

ヴォーダン「おらぁッ!」
華雄「ぐわぁっ!」

死闘の末、ヴォーダンの樹剣ヴェルデブリンガーが華雄の砕棒を破壊し、
そのまま力強く振り上がって華雄の胴体を斬りつけた。
反乱軍きっての猛将も、ヴォーダンの剛力の前に敢えなく倒れ、
草むらにその巨体を沈めたのである。

バレロン「おお、敵陣から火の手が…!」
ラウール「レミーナが奇襲に成功したんだ!」
アディラス「ラプエンテ家の小娘め、なかなかやりおるわ。
 よし、総攻めじゃ!」

敵陣に燃え盛る炎を見て奇襲成功を悟ったメルヴィオン軍は、
背後を突かれて崩れ出した敵に正面から攻撃をかけた。
ナレインの読み通り、個々には勇猛でも、
集団としての統制が取れていない反乱軍は視界が不自由な闇夜の中、
突然の挟み撃ちに遭って混乱し、昼間の強さが嘘のように次々と倒されてゆく。
手に汗を握りつつ、本陣から戦況をじっと見守っていたラウールは、
やがて昂ぶる気持ちを抑えられずに父王に言った。

ラウール「父上、レミーナが心配です。
 僕が助けに行きます!」
アディラス「うむ。賊どもの軍は既に半壊状態。
 本隊を押し出すには頃合いであろう。
 直ちに敵陣へ攻め込み、奇襲部隊の回収に向かうがよい。
 …キクマルはおるか!」

アディラスは家臣のキクマル・サダムネを呼んだ。
東の海の彼方、ヒノイズル大陸のアオイ国から渡って来たサムライの子孫で、
メルヴィオンの王宮に代々仕えている譜代の若武者である。
蛾天丸の装いにも似た東洋風の具足が、
西洋風のプレートアーマーやチェインメイルを主装備とするメルヴィオン騎士の中では異彩を放っている。

キクマル「はっ、キクマル・サダムネ、ここに控えております!」
アディラス「キクマル。アオイ人のサムライ部隊を率いてラウールを護衛し、
 敵陣に突入してラプエンテ隊を救出せよ!」
キクマル「心得ましてござる!」
アディラス「ナレイン。そちもレンドルフ家の手勢を引き連れ、
 ラウールを補佐して戦え!」
ナレイン「はっ、お任せを!」
ラウール「二人とも、頼むぞ!」

キクマルとナレインに左右を固められながら、
ラウールはわずかな数で敵中に飛び込んだレミーナの部隊を救援すべく、
引かれてきた馬に飛び乗って敵陣へと駆け出した。


その頃、レミーナは奇襲を受けて混乱する賊徒の兵たちを蹴散らし、
蛾天丸のいる本陣へと果敢に斬り込んでいた。

蛾天丸「小娘が。舐めた真似をしてくれたな!」
レミーナ「あなたが賊軍の大将ね。命はもらうわ!」

今や総崩れとなった反乱軍の首魁・蛾天丸は、
激昂しレミーナに向けて大型のマサカリを振りかざす。
レミーナは下馬してミスリルソードで応戦し、一対一の激しい戦いになった。

蛾天丸「死ねぇっ!」
レミーナ「この怪力…。魔法か何かかしら。
 普通の人間の力を超えているわ…!」

大重量のマサカリを力任せに叩き込んでくる蛾天丸に対し、
レミーナは華麗な剣技で敵のパワーを巧みにいなしながら反撃してゆく。
並の人間ではあり得ないほどの蛾天丸の凄まじい腕力に、
レミーナは戦いながら言い知れぬ不気味さを覚えていた。

蛾天丸「うおおっ!」
レミーナ「たぁっ!」

鋭く打ち込まれたレミーナのミスリルソードが、
遂に蛾天丸のマサカリの柄を叩き折った。
マサカリの巨大な刃が宙を舞い、落下して地面に突き刺さる。

レミーナ「これで終わりね! 観念しなさい」
蛾天丸「フッ…。武器を潰したくらいで、
 人間如きがこの俺に勝てると思っているのか?」
レミーナ「人間如き…?」
蛾天丸「ウォォォォ…! グォォォォ…!!」

レミーナが蛾天丸の言葉の意味を呑み込む前に、
蛾天丸の皮膚が不気味な青色に変わり、
体が大きく膨らんで、見る見る内に巨大な醜い怪物の姿へと変貌する。
蛾天丸の正体は人間ではなく、体長十メートルを超える蛾の妖怪だったのである!

蛾天丸「グォォォ~!!」
レミーナ「正体を現したわね、魔物!」

レミーナは左足に巻いたレッグホルスターからナイフを一本抜いて蛾天丸に投げつけるが、
蛾天丸は口から白い毒性の粉をシャワーのように吐き出し、飛んで来たナイフに浴びせかける。
ナイフは蛾天丸に届く前に毒でドロドロに溶かされ、跡形もなく消滅してしまった。

蛾天丸「ハァッ!!」
レミーナ「きゃぁっ!?」

蛾天丸が更に続けて口から吐き出す毒粉のシャワーがレミーナを襲う。
素早く地面を転がって回避し直撃を免れたレミーナだが、
毒粉が肩にわずかに掠り、軍装から露出していた肌に火傷ができた。

レミーナ「うぅっ…!」
蛾天丸「さあ、次は全身を焼き溶かしてやろう。
 骨の欠片も残さんほどにな!」

巨大な怪物となった蛾天丸の前に大ピンチのレミーナ。
だが、そこに間一髪、ナレインとキクマルを引き連れてラウールが馬を駆けさせて来た。

ラウール「レミーナ、大丈夫か!?」
レミーナ「ラウール!」
ナレイン「敵の正体は妖魔の類か…!」

恐るべきモンスターと化した敵の大将と相対して、ラウールも驚愕し息を呑む。
口から毒粉を吐いて暴れ、蛾天丸はラウールたちを圧倒した。


キクマル「おのれ化け物、これでも受けてみよ!」
蛾天丸「バカめ。そのようなものが何だというのだ!」

キクマルは馬上で弓を構え、蛾天丸の頭を狙って渾身の一矢を放った。
だが蛾天丸は口から吐いた毒粉で、先程のナイフと同じように矢を溶かしてしまう。

蛾天丸「喰らえ小僧!」
キクマル「おっと!」

キクマルは素早く馬を跳ばせて毒粉のシャワーをかわした。
馬で駆け回りながら馬上で次々と矢を番え、蛾天丸に向けて射かけてゆくキクマルだが、
矢は蛾天丸が吐く毒粉に全て空中で焼き溶かされ、一本も標的に到達しない。

蛾天丸「そこまでだ。死ねえッ!」
キクマル「くっ…!」

遂にキクマルの動きを捉えた蛾天丸が毒粉を噴射しようと大きく息を吸い込む。
だがその時、別方向からナイフが飛来し、蛾天丸の喉元にぐさりと突き刺さった。

蛾天丸「グォォッ!?」
レミーナ「油断したわね!」

キクマルに気を取られていた蛾天丸の隙を見て、
レミーナが横から二本目のナイフを投擲したのである。
今にも吐こうと喉に溜めていた毒粉が傷口から漏れ出して体に流れ落ち、
蛾天丸は自らの毒で身を焼かれて苦しむ。

蛾天丸「ギャァァァッ~!!」
ナレイン「殿下、今です! これを奴に!」
ラウール「分かった!」

ナレインは携えて来た大型の弩(ヘビィボウガン)をラウールに手渡した。
大怪鳥イャンクックの素材で作られた強力武器・イャンクック砲である。

ラウール「喰らえっ!」
蛾天丸「グォォォォォッ!!」

この一撃でユーベリアの民を守る…!
強い意志を指先に込めて弩のトリガーを引くラウール。
狙いすまして放たれたイャンクック砲の貫通弾が蛾天丸に炸裂した。
腹部を撃ち抜かれた蛾天丸は断末魔の叫びを上げながら倒れ、
大爆発してアセーリアから滅び去ったのであった。


かくして蛾天丸の乱は鎮圧され、ラウールの初陣は大勝利に終わった。
敵の大将を自ら討ち取ったとあってラウールの武名は大いに高まったが、
何と言っても勝敗を決したのはナレインが考案し、
レミーナが実行した山越えの奇襲作戦である。
また、敵将・華雄を撃破したヴォーダンの武勲や、
見事な馬術と弓の腕前で蛾天丸を引き付け突破口を開いたキクマルの活躍も忘れる事はできない。
ラウールは彼ら一人一人を心から讃え、その功をねぎらった。

ラウール「ありがとうレミーナ。
 お陰で初陣を勝利で飾れたよ。
 そして何より、ユーベリアの民を賊徒の手から守る事ができた」
レミーナ「私の方こそ、ラウールが来てくれて助かったわ。
 最初は一体どうなる事かと思ったけど、
 なかなか勇敢な戦いぶりだったじゃない」
ラウール「いや、勇敢だなんて…。
 あの時は何というか、気持ちが高揚して自分を抑えられなくなったんだ」
レミーナ「あなた、気が弱いようでいて結構熱いところあるものね。
 そういうところ、悪くないと思うわよ」
ラウール「うん…」

一方、蛾天丸が妖怪の正体を現した事について報告を受けたアディラス十六世は、
それを見事に退治した息子の活躍には喜びながらも、
起きた事態の意味を推し測って渋面を作り、深く考え込んでいた。

キクマル「あの蛾天丸なる賊の正体にございまするが、
 このロサレダ大陸でこれまで発見されてきたいかなる種族のモンスターとも異なるもの…。
 恐らく、ここ数年の間に繰り返し発生している、
 時空の穴を通って異世界から現れた侵略者であろうと推測されまする」
アディラス「今回は大事に至る前に平定できたから良かったが、
 今後、より大きな脅威が異世界から現れる可能性は十分にあろう。
 一層警戒を強めねばなるまいな」
キクマル「御意にございまする!」

蛾天丸の乱はもしかすると、その後にやって来るより大きな国難の序曲に過ぎないのではないか…。
大王アディラスは不吉な予感に駆られながら、
軍勢をまとめてラウールと共に王都ネクナールへ凱旋したのであった。


***メシャク山麓***

華雄「ううっ…畜生…あの野郎…!」

ヴォーダンの剣で斬り倒された華雄はまだ辛うじて生きていた。
夜が明け、味方の屍に埋め尽くされた原野を朝陽が照らす中、
重傷を負った華雄は痛みを堪えて何とか立ち上がろうとする。

董白「全く、どこまでバカなの? お前は」
華雄「そ…その声は…!?」

息も絶え絶えに起き上がろうとしていた華雄は、
不意にかけられた声の主を見上げて目を疑った。
そこに立っていた、紫色のドレスを着た小柄な銀髪の少女は間違いなく、
かつて彼を主君の董卓に引き合わせた董卓の孫娘・董白であったのだ。

華雄「と…董白じゃねえか。何でここに…」
董白「そんなことより、恥を知りなさい。
 天下の董卓の元家臣ともあろう者が、
 こんな黄巾党みたいな卑しい匪賊の乱に加わるだなんて、
 亡くなったおじい様の名を汚す愚行だわ」
華雄「ケッ、俺様は暴れられさえすりゃあ何でもいいんだよ。
 それに勝てば官軍、メルヴィオンの王様を倒して、
 この大陸の覇者になれる好機だったじゃねえか」
董白「勝てば、ねぇ…。
 たかが一発の夜襲で散々に攻め崩されてこの惨敗じゃ、
 そんな大層な夢を語っても空しいだけよ」
華雄「そ、それより、助けてくれ…。
 あの敵の蛮族みたいな奴に一撃喰らって、
 かなりの深手を負っちまった」

声を出す度に傷口に激痛が走り、苦しげな声を上げる華雄。
董白は胸元から布袋に入った薬草を取り出すと、
華雄の傷にそれを塗りつけた。

華雄「おおっ…! 傷が一瞬で治っちまった!」
董白「知らないの?
 この世界には私たちが元いた世界にはない、
 不思議な魔法がたくさんあるのよ」

アセーリアとは別の世界で生まれた董白は、
後漢王朝を牛耳り栄華を極めた祖父・董卓が呂布と王允に暗殺された後、
復讐心に燃えながら再起を狙う日々を過ごしてきたが、
「ある人物」と契約を結んで復讐のための兵を与えられ、
その者の差し金でこの世界の内情を詳しく調査していたのだという。

孫市「この国の軍勢の手並みは見せてもらった。
 鉄砲すらまだ開発されていない遅れた文明の兵たちでは、
 いかに勇戦しようとも我々の敵ではないだろうな」
董白「豊かで美しく、それでいて武力の未発達な弱々しい世界。
 私たちが手に入れるには絶好の条件だわ。
 この世界を支配してありったけの富を収奪すれば、
 あの憎らしい呂布や曹操や袁紹たちを滅ぼして、
 おじい様の仇を討つのに必要な力も十分に蓄えられる」

マグナム銃を提げた、明るい茶色の髪をした精悍な顔立ちの女性――
紀伊雑賀衆の女頭領・雑賀孫市と顔を見合わせながら、
董白は不敵な冷笑を浮かべる。

董白「私と一緒に来なさい、華雄。
 このアセーリアはもうじき私たちの物になるのよ。
 無敵を誇る我々【黒三日月隊(アスワド・ヒラル)】の物にね」
華雄「何だかよく分かんねえが、
 面白えことが始まりそうな予感だな。
 だったら、またお前さんの下で暴れさせてもらうぜ」

こうして華雄を再び配下に迎え、董白は歩き出した。
メルヴィオンを、そしてアセーリア界を狙う恐るべき敵。
黒三日月隊と名乗る悪魔のような軍勢が、
今まさに動き出そうとしていたのである――。


○椿→村を守るためメルヴィオン軍に協力し、レミーナの山越えの道案内をする。
○太助→村を守るためメルヴィオン軍に協力し、レミーナの山越えの道案内をする。
●蛾天丸→山賊らを率いて反乱を起こすが、ラウールの軍に討伐され敗死。
●華雄→傭兵として蛾天丸の乱に参加するがヴォーダンに敗れる。董白と再会し、黒三日月隊に加入。
●董白→黒三日月隊の尖兵としてアセーリアを偵察していた。

△雑賀孫市→黒三日月隊の尖兵としてアセーリアを偵察していた。

○ラウール・エル・アディラス→蛾天丸の乱を鎮圧し、初陣を勝利で飾る。
○ナレイン・レンドルフ→山越えの奇襲作戦を具申し、蛾天丸の乱の鎮圧に貢献する。
○レミーナ・ラプエンテ→山越えの奇襲作戦を実行し、蛾天丸の乱の鎮圧に貢献する。
○ヴォーダン・ドーガ→山越えの奇襲作戦に参加し、一騎打ちで華雄を倒す。
○キクマル・サダムネ→ラウールの護衛として敵陣に突入し、蛾天丸と戦う。
○アディラス十六世→ラウールの初陣を後見し、蛾天丸の乱を鎮圧する。
○クゼイン・レンドルフ→蛾天丸の乱の討伐に参陣する。
○エゼキエル・バレロン→蛾天丸の乱の討伐に参陣する。
○アルトゥロ・メンディエタ→蛾天丸の乱の討伐に参陣する。
○ホアキン・メンディエタ→華雄に一騎打ちを挑むが、敗れて死亡。
○ブラウリオ・カルドーソ→華雄に一騎打ちを挑むが、敗れて死亡。


【今回の新規登場】

○椿(るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-)
戊辰戦争で両親を亡くした孤児。
旧幕府方に組した前の村長の娘であるため、村の人々からは目の仇にされていた。
悠久山安慈のいた十楽寺に預けられ育てられていたが、

彼女らを憎む村人たちによって寺に放火され焼死してしまう。

○太助(るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-)
戊辰戦争で両親を亡くした孤児。
悠久山安慈のいた十楽寺に預けられ育てられていたが、

彼らを憎む村人たちによって寺に放火され焼死してしまう。

●蛾天丸(犬夜叉)
戦国時代の日本で猛威を振るっていた野盗の親玉。
人間の姿に化けて山賊たちを率いているが、その正体は巨大な蛾の妖怪である。
女性を攫ってその精気を喰らう事を趣味としている。

●華雄(真・三國無双8)
三国時代の中国の武将で、董卓の配下。
汜水関の戦いで曹操や孫堅ら反董卓連合軍の前に立ちはだかったが関羽に倒された。
身の丈九尺を越える立派な体格で、巨大な砕棒を武器としている。

●董白(真・三國無双8)
三国時代の中国の武将・董卓の孫娘。
董卓に溺愛され、幼い頃から土地や財産を与えられて育った。
わがままで残酷な性格だが、祖父である董卓の前では愛くるしく振舞う。

△雑賀孫市(戦国BASARA)
鉄砲を武器とする戦国の傭兵集団・雑賀衆を率いる三代目頭領。
雑賀衆こそが最強であると自負し、自分たちを八咫烏と称する。
クールで誇り高く、金銭や感情には左右されずに、
ただ自分たちを高く評価する者とのみ傭兵の契約を交わす。

 

○ラウール・エル・アディラス(闘争の系統オリジナル)
メルヴィオン聖王国の王子で、国王アディラス十六世の四男。
末弟のため王位継承の見込みはほとんどないはずだったが、
サラジア共和国の黒三日月隊のアセーリア侵攻によってその運命は一変。
メルヴィオンの存亡を賭けて黒三日月隊と激しい戦いを繰り広げることになる。
その姿はなぜか地球の牧村光平にそっくりであり、出生には秘密があるらしい…。

○ナレイン・レンドルフ(闘争の系統オリジナル)
メルヴィオン聖王国南部のリジナス州を治める名門貴族レンドルフ家の次男。
年少の頃から王宮に出仕し、ラウール王子の小姓として身辺の世話と警護を担当してきた。
頭脳明晰な智将で、ラウールの名軍師となって豊富な知恵で彼を支える。
武器として水剣ガノトトスを愛用する。

○レミーナ・ラプエンテ(闘争の系統オリジナル)
メルヴィオン聖王国東部のイマレス州を領地とする王家の外戚ラプエンテ家の娘。
彼女の叔母エフェリーナが王家に嫁いでラウール王子の母となったため、

ラウールから見れば従姉にあたる。
幼い頃は人質として王家に預けられて養育され、

ラウールとはそこで姉弟のように仲良くしていた幼馴染。
愛剣ミスリルソードを武器に戦う勇敢な女騎士で、

「ラプエンテの赤備え」と呼ばれる精鋭の騎士団を率いる。

○ヴォーダン・ドーガ(闘争の系統オリジナル)
ロサレダ大陸南部に暮らす異民族ガルニア人の戦士。
身長二メートルを超える筋骨隆々とした大男で、大陸無双の怪力の持ち主。
性格は直情径行でやや粗暴だが、仁義に厚く面倒見のいい親分肌でもある。
武器として樹剣ヴェルデブリンガーを用いる。

○キクマル・サダムネ(闘争の系統オリジナル)
数代前に海を隔てた東方のヒノイズル大陸からロサレダ大陸に渡って来たアオイ人のサムライの末裔で、メルヴィオンの王宮に代々仕えていた家系・サダムネ家の戦士。
名前は<姓・名>の順をイースト方式で漢字表記すると「定宗 菊丸」となる。
忠義に厚い熱血漢で、武器は名刀・虎一文字。

○アディラス十六世(闘争の系統オリジナル)
メルヴィオン聖王国の第十六代国王で、ラウール・エル・アディラス王子の父。
その優れた統治と卓越した武勇から、人々にアディラス大王と尊称されている名君。

○エゼキエル・バレロン(闘争の系統オリジナル)
メルヴィオン聖王国の有力貴族。
アディラス十六世が信頼を置く重臣の一人。

○ブラウリオ・カルドーソ(闘争の系統オリジナル)
メルヴィオン聖王国の騎士。
バレロン家に仕えている屈強な戦士。

○アルトゥロ・メンディエタ(闘争の系統オリジナル)
メルヴィオン聖王国の有力貴族。
アディラス十六世が信頼を置く重臣の一人。

○ホアキン・メンディエタ(闘争の系統オリジナル)
メルヴィオン聖王国の騎士。
アルトゥロ・メンディエタの甥で頭脳派の剣士。

○クゼイン・レンドルフ(闘争の系統オリジナル)
メルヴィオン聖王国の有力貴族で、リジナス州の領主。
ナレイン・レンドルフの父。