第2話『銀河聖書の予言! 狙われた紅蓮の鳳凰』

作者・凱聖クールギン


**M78星雲・ウルトラの星***

地球からおよそ300万光年離れた宇宙の彼方、M78星雲にあるウルトラの星は、
歴代のウルトラマンたちの故郷の星にして、
全宇宙の平和を守る正義の防衛機構・宇宙警備隊の本拠地である。
人工太陽プラズマスパークのまばゆい光に照らされて、
周囲の星々の中でも一際明るく美しい輝きを放っているこの栄えある惑星に、
今、一人のウルトラ戦士が降り立った。

ジャック「ただ今、地球より戻りました」
ゾフィー「ご苦労! まずはメディカルルームで長旅の疲れを癒せ」
ジャック「分かりました。ゾフィー兄さん」

地球での偵察任務から戻った新ウルトラマンことウルトラマンジャックは、
ウルトラ兄弟の長兄で宇宙警備隊の隊長でもあるゾフィーに無事の帰還を報告すると、
宇宙でも最先端を行くウルトラの星の超科学で造られた医療設備を使って、
長距離の超光速航行で消耗したエネルギーを補給した。

ウルトラマン「それで、地球の情勢は?」
ジャック「ETFの先遣隊が地球人の防衛網をかい潜って侵入し、
 いよいよ本格的な地球侵略を開始した模様です。
 今までは辛うじて一応の平和と安定が保たれていましたが、
 そんな時期もそろそろ終わりかも知れません」
セブン「表裏六柱の至高邪神を首領とする、
 Gショッカーの動向も引き続き注視する必要がある。
 地球での戦いにETFが割って入る形になったことで、
 世界征服を企むあの組織が一体どう動くか…」
ゾフィー「いずれにせよブレイバーズが結成され、
 地球を守る仮面ライダーやスーパー戦隊らの協力体制が整ったのは喜ばしいことだ。
 我々も彼らと連携をより深め、力を合わせて共に戦っていかなければならない」

初代ウルトラマンとウルトラセブン。
ウルトラ戦士の中でもレジェンドと呼ばれる大ベテランの二人が、
この先に待ち受けているであろうかつてなく困難な戦いを予期して険しい表情を浮かべる。
かつて地球に滞在して防衛任務を果たしてきたウルトラ兄弟たちにとっては、
地球は特別な愛着や思い出のある大切な星の一つでもあった。

ジャック「地球に残して来たマックスに随時、
 状況を詳しく調査して報告するよう指示していますが、
 ETFの攻勢の規模によっては、
 他にも応援の戦力が必要になってくるだろうと思います」
ウルトラマン「あのベリアルの息子も己の呪われた運命を見事に乗り越え、
 今では立派な若きウルトラ戦士の一員だ。
 もしマックスが苦戦に陥るようなことがあれば、
 彼を時空を超えてこちらの世界の地球へ行かせるのも手だろう」
セブン「ジード、か…。
 私の息子ゼロも、彼とは共に激戦を潜り抜けてきた仲だ。
 タロウの教官としての厳しい指導の成果もあって、
 この宇宙の未来を守る新世代のウルトラ戦士は着実に育ちつつある」

エンペラ星人を皇帝と仰ぐETFのみならず、
この宇宙を武力で征服しようと企む巨悪は数多い。
かつてない動乱の時代を迎えようとしている宇宙の平和を守るため、
宇宙警備隊は常にたゆみなく戦いに備えているのである。


ウルトラの父「警戒すべき敵はそれだけではないぞ」
ゾフィー「大隊長…!」

真紅のマントを纏った宇宙警備隊の大隊長・ウルトラの父が現れると、
それまで輪を作って話し込んでいたウルトラ四兄弟はすぐに姿勢を正し、
横一列に並んで敬礼した。

ウルトラの父「今、宇宙の各地で多発している、
 死者を現世へと呼び戻す黄泉がえり現象。
 そしていくつもの異なる次元を繋ぐ時空クレバスの出現…。
 この大宇宙の悠久の歴史にも未だ前例のない、
 こうした不可思議なことが自然には起こりようはずがない。
 我々もまだ正体を知らぬ何者かが、
 この世界を密かに裏から動かそうとしているに違いあるまい」
セブン「我ら宇宙警備隊さえまだ存在を掴めていない、
 未知の黒幕がどこかにいるというのですか?」
ウルトラの父「恐らくその通りだ。
 これまでに得られたわずかな情報だけではまだ何も断定はできないが、
 迫りつつある宇宙の危機を回避するためには、
 その謎を解き明かすことが必要となってくるだろう」

それがどのようなものであるかは未だ不明ながら、
何か途轍もない大きな力がどこかに存在し、
この宇宙全体に働きかけようとしている。
不気味で謎めいた巨大な陰謀の影を察知して、
ウルトラの父は以前から懸念を深めていたのである。

ゾフィー「直接の関連性があるかどうかはまだ不明ですが、
 近頃地球にも出没が報告されている強力な怪物たち…。
 地球人は彼らをイーバと呼んでいるようですが、
 時空クレバスを自在に操るあの新種のモンスターが、
 その謎に関して何らかの鍵を握っている可能性は考えられます」
ジャック「時空クレバスをバリアーのように利用して戦うイーバには、
 地球のヒーローたちも苦戦を強いられています。
 ただ、そのイーバの時空クレバスをなぜか破ることができる、
 不思議な力を持った戦士が一人だけ…」
ウルトラマン「…シグフェル、か」

初代ウルトラマンが呟くように名を口にした、一人の戦士。
地球に現れた謎多きそのニューヒーローの存在が、
今後の戦いに一体どんな意味を持つことになるのかまでは、
この時点では誰一人知る由もなかったのである。


***竜ヶ森湖***

関東平野の北に広がる鬱蒼とした森林。
その奥深くに横たわる竜ヶ森湖は、
かつて初代ウルトラマンと宇宙怪獣ベムラーが戦った、
ウルトラ戦士の地球での活躍の歴史の始まりとなった舞台でもある。

ギエロニア「キェェーッ!!」

その竜ヶ森湖の湖底に突如、
遥か銀河の彼方から数百万光年の距離をワープして、
全長1キロメートルを超える巨大で禍々しい宇宙戦艦が出現した。
ウルトラセブンと戦った再生怪獣ギエロン星獣の姿を模した、
怪獣戦艦ギエロニアである。

エクセラー「地球連邦軍とブレイバーズのレーダー網をすり抜けて、
 無事地球に降り立つことができました。
 今後はこの竜ヶ森湖を、我々の地球侵略の拠点と致しましょう」

レーダー探知を避けるステルスバリアーを張りながら湖底に着陸したギエロニアの船内で、
チブローダーに乗ったチブル星人エクセラーは誇らしげに高笑いする。

バルタン星人Jr「フォッフォッフォッフォッフォッ~!!
 この竜ヶ森湖は日本の首都・東京にほど近く、
 太平洋の海中にあるブレイバーズの基地とも遠からぬ距離。
 地球侵略の足がかりを築くには絶好の場所だと言えよう」
ハーラン「そして、古代の銀河バイブルに予言された私たちの最大の敵、
 天凰輝シグフェルが普段は東京に住んでいることを考えても、
 東京をいつでも狙えるこの湖の中に基地を構えるのは合理的な判断でしょう」

バルタン星人Jrとペダン星人ハーラン司令が、
エクセラーに賛同して艦橋の上でほくそ笑む。
彼らはETFが地球へ送り込んだ侵略部隊の幹部たちなのだ。

バルタン星人Jr「それでグラシエよ、
 そのシグフェルの様子はどうだったのだ」
グラシエ「既にショッカーの怪人を圧倒できるほどの戦闘力を有していますが、
 まだまだ可愛らしいひな鳥という印象ですね。
 秘められた潜在能力を発揮して大鷹に化けてしまう前に、
 我々の手でひねり潰してしまうのは造作もないことでしょう」

一足先に地球へ潜入し、既にシグフェルと接触を果たしているバット星人グラシエは、
余裕と嘲りを含んだ声でそのように報告した。
ゲバコンドルを撃破したシグフェルの実力は確かにかなりのものだが、
それでもそのパワーはまだ彼らが恐れるほどのレベルにはない。
そう、今はまだ…。

エクセラー「逆に言えば、
 もし秘めた力を十二分に発揮できるようになれば、
 銀河バイブルの予言通りに我々を打ち砕けるだけの超パワーが眠っている、
 という意味でしょうか」
ハーラン「偉大なる皇帝陛下のご命令通り、
 シグフェル抹殺は急ぐ必要がありそうですわね。
 宇宙一優れたペダンの科学力をもってしても勝てぬほどの相手に成長するとは、
 今の時点ではとても考えられませんけれど」

地球攻略を目標とするETFが、
幾多の地球のヒーローの中でもとりわけシグフェルの命を狙うのには理由がある。
実は彼らが回収した銀河バイブルの石板には、
以下のような恐るべき予言が刻まれていたのである。

「地球に生まれ出でし紅蓮の鳳凰が、
銀河を闇に包みし黒き帝を大いなる炎で焼き滅ぼすであろう」

炎を武器とする赤い鳳凰の戦士シグフェルが、
暗黒宇宙大皇帝と尊称されるエンペラ星人を倒す…。
そのような意味に解釈できるこの予言を目にして、
エンペラ星人は大いに驚き、動揺し、そして怒り狂った。
何としてもシグフェルを今の内に抹殺し、
野望の妨げとなる邪魔者をこの世から消し去れ――。
エクセラーらはそんな命令を受けて地球に送り込まれた、
地球侵略だけでなくシグフェル抹殺をも使命とする軍団なのである。

バルタン星人Jr「確かに信じ難い話だが、
 太古の昔に記された神の予言は軽々しく侮るわけには行かん。
 シグフェルが強力な戦士に成長して我々の脅威となる前に、
 総力を挙げて叩き潰すのだ!」

両手の大きなハサミを振るって気勢を上げるバルタン星人Jr。
かくしてこの竜ヶ森湖を拠点に、ETFの作戦が動き出した。


***朝霧山***

その頃、シグフェルこと牧村光平はブレイバーズの任務のため、
長野県にある南アルプスの山系の一つ、朝霧山の麓に来ていた。
ここはかつてウルトラマンジャックが凶暴怪獣アーストロンと戦い、
地球での初陣を飾った場所でもある。

光平「よろしくお願いします。トドロキさん」
トドロキ「やあ光平君。こちらこそよろしくっす」

この地域にはトドロキ=仮面ライダー轟鬼が以前から足を運んで調査し、
出没するバケガニ等の魔化魍を退治していたのだが、
近頃、魔化魍とは別種の怪人たちが頻繁に姿を見せるようになり、
轟鬼とも何度か交戦していた。

トドロキ「どうやらこの近くで、
 Gショッカーが何かの作戦を準備しているらしいんすよ。
 相当の数の怪人や戦闘員が集まってるみたいっす」
一也「それで、こちらも更に戦力が必要になったというわけだ。
 せっかくの休日に悪いけど、少し付き合ってくれ」
光平「いえ、一也さんやトドロキさんと一緒に戦えるなんて、
 いい経験になります!」

自分一人では手に負えない規模の敵の存在を感じ取ったトドロキは、
ブレイバーズの仲間である光平や沖一也=仮面ライダースーパー1に応援を要請したのである。
この地で進められているGショッカーの作戦を阻止し、
朝霧山の麓一帯に暮らす人々の安全を確保することが三人の使命になる。

光平「(あのETFの宇宙人は俺を特に狙うと言っていた…。
 これから戦いがどんどん激しくなるなら、
 俺ももっと強くならないと…!)」

光平としては学校が休みの日曜日に急遽入った長野遠征だったが、
ETFから挑戦を受けて危機感を強めていたところに、
経験豊富なベテランの仮面ライダー二人と共にミッションをこなす場が与えられたのだ。
この機会に歴戦の鬼と赤心少林拳の使い手から多くを学び、
少しでも自分の力を高めておきたいという思いが光平にはあった。

光平「ところで、トドロキさんは弟子って取らないんですか?」
トドロキ「う~ん、やっぱり、
 師匠だったザンキさんの存在が俺の中では大きくてね。

 そこまでのものには自分はなれないなって思うんで、
 弟子は取らないことにしてるっす。
 でも時々、弟子っていいもんだなって思うこともあって、
 実はある人にちょっと相談したりもしてるんすけどね…」

一時は鬼として戦う道を断念せねばならないと思われたほどの大ケガを乗り越えるなど、
人生経験の豊富さが貫禄となってにじみ出ているトドロキだが、
彼なりのこだわりがあって弟子を取ることはしていないという。
それでも、光平のようなまだ若いメンバーも多いブレイバーズでは、
トドロキや一也を筆頭に、戦いや人生そのものの良き先輩になれる大人たちは重要な存在である。

一也「この川の上流付近がどうも怪しいようだ。
 川の流れに沿いながら少し山を登ってみよう」
光平「分かりました」

三人は川沿いに麓から上流の方向へと向かい、
登山しながら朝霧山の山中を捜査してみることにした。


***朝霧山・中腹***

朝霧山の山中の湧き水を源とし、麓の平野へと注ぐ川の上流。
この地域の多くの村が生活に利用しているこの澄んだ清流を、
猛毒で汚染しようと企む者がいた。

ムササビラー「ウガァ~ッ!
 この川を汚せば下流で大勢の人間どもが病気になって死滅し、
 我々ベーダー一族にとっては理想の環境が出来上がるぞ!」

遠い昔、宇宙の彼方のベーダー星で生まれたベーダー一族は、
地球の生き物とは反対に綺麗なものを嫌い、汚れたものを好む。
ベーダー怪物ムササビラーは朝霧山の川に毒を流し込み、
麓の一帯を人間にとっては死の世界に、
ベーダー一族にとっては素晴らしい楽園に変えようとしていた。

一也「待て! Gショッカーの怪人!」
光平「この川を汚すのは許さないぞ!」
ムササビラー「ムッ、貴様らは…!」

ムササビラーが河水に毒を入れようとしていたその時、
間一髪で一也と光平、そしてトドロキが現れた。

トドロキ「ベーダーの怪物!
 この雄大な朝霧山の自然を、
 お前たちに破壊させたりは絶対にしないぞ!」
ムササビラー「ブレイバーズの鬼め、
 仲間を連れてまた出て来たか。
 ここを貴様らの墓場にしてやる!」

鋭い大剣を振るって咆え猛るムササビラー。
その背後に灰色のオーロラが出現し、
赤と青の派手なカラーリングに全身を彩られた、
もう一体の怪人がその向こうからゆっくりと歩み出てきた。

ハルバゴイ「いるんすよねぇどこの星にも。
 無敵のGショッカーの邪魔なんてしなきゃいいものを、
 わざわざ余計な真似して死に急ぐ奴が」

ヤリスギッスピアという名の長槍を手にしたハルバゴイは、
宇宙の無法者デスガリアンのプレイヤーの一人である。
二体のエイリアンが並び立ち、光平たちにそれぞれの武器を向けた。

一也「行くぞ! 変身!!」
光平「翔着(シグ・トランス)!!」
トドロキ「ハァァァッ…!!」

一也は変身ポーズを取って仮面ライダースーパー1となり、
トドロキは変身鬼弦・音錠の弦を弾いて仮面ライダー轟鬼に変身。
光平も真っ赤な炎に包まれて天凰輝シグフェルに翔着した。

スーパー1「ムササビラーは俺が倒す。
 あのデスガリアンの怪人は頼む!」
シグフェル「分かりました!」
轟鬼「奴は空から無数の槍を降らせる能力があるっす。
 二人でサポートし合いながら戦おう」
シグフェル「はいっ!」

ハルバゴイとこの朝霧山で既に対戦経験がある轟鬼は、
大量の槍を空から降らせるハルバゴイの特殊なコンボ技に注意を促す。
轟鬼の警告通り、ハルバゴイは上空に召喚した黒雲から、
何十本ものヤリスギッスピアを雨の如く降り注がせた。

ハルバゴイ「ヤリヤリ降れ降れ ドンと降れ~っ!!」
シグフェル「くっ、こんなもの!」

シグフェルは指先から勢いよく火炎を放ち、
次々と降って来るヤリスギッスピアを片端から焼き溶かした。
シグフェルの援護射撃によって落下する槍から守られた轟鬼は、
音撃弦・烈雷を逆手に構えてハルバゴイに突進、接近戦を挑む。

轟鬼「ナイスフォローっす、シグフェル!」
ハルバゴイ「接近さえできれば勝てると思ってるんすか?
 地球の鬼如きに負けるハルバゴイ様じゃないっすよ」

得意のコンボ技をシグフェルの火炎で無効化され、
轟鬼に接近を許したハルバゴイだったが、
その槍捌きは一流で、手にしたヤリスギッスピアを激しく振るい、
烈雷を使う轟鬼と互角の戦闘を繰り広げる。


轟鬼「ぐぁっ!」
シグフェル「轟鬼さん!」

ハルバゴイの槍の強烈な一突きで弾き飛ばされて倒れた轟鬼。
しかしすかさずその上を飛び越えて、
フレアセイバーを構えたシグフェルが斬りかかる。

ハルバゴイ「まだまだ甘いっすよ!」
シグフェル「くっ!」

勢いよく正面から突っ込んできたシグフェルに、
ハルバゴイはヤリスギッスピアから光弾を発射して至近距離で浴びせた。
フレアセイバーを手から落として吹き飛ばされたシグフェルは、
ダメージを負いながらもその勢いを利用して羽ばたき後ろ向きに飛翔。
シグフェルが後方へ下がったのを見て間髪入れず、
今度は轟鬼が突撃し、斜め下からの逆袈裟の一撃でヤリスギッスピアを払い飛ばした。

ハルバゴイ「しまった!」
轟鬼「音撃斬・雷電激震!!」

武器を失ったハルバゴイの胸に音撃弦・烈雷を突き立て、
合体させた音撃震・雷轟を弾き鳴らして清めの音を流し込む轟鬼。
凶悪なデスガリアンの怪人にとっても、
清めの音は邪念に満ちた体内に不協和音を生じさせて苦痛をもたらす音波兵器となる。

シグフェル「よしっ!」

轟鬼の雷電激震がハルバゴイを苦しめている隙に、
空中へ飛翔していたシグフェルは両手を腰の位置で合わせ、
掌に炎のエネルギーを溜める。

ハルバゴイ「ギャァァァァッ!!」
轟鬼「今っす、シグフェル!」
シグフェル「はいっ! 
 喰らえ、ヴァジェト・レイ!!」

轟鬼がハルバゴイに突き刺していた烈雷を引き抜き、
地面を転がって素早く後ろへ退避したのを見て、
シグフェルは必殺の炎弾を手から撃ち出した。

ハルバゴイ「なっ…ギャァァァッ!!」

燃えたぎるヴァジェト・レイの熱波を受けて、
ハルバゴイは炎上、大爆発して散ったのであった。

スーパー1「チェンジ・冷熱ハンド!」
ムササビラー「ウガァ~ッ!!」

一方、右手のファイブハンドを冷熱ハンドに換装し、
手から冷凍ガスを発射してムササビラーを狙うスーパー1だが、
ムササビラーは透明になって姿を晦まし、
絶対零度の冷気をかわしてスーパー1に襲いかかる。

ムササビラー「死ねスーパー1!」
スーパー1「トァッ!」

透明になれば動きを捉えられないと考えたムササビラーだったが、
スーパー1は敵を目視確認できないにも関わらず、
飛びかかってくるムササビラーに見事に正拳突きを命中させた。

ムササビラー「グオオッ、な、何故だ!?」
スーパー1「赤心少林拳を甘く見たなムササビラー。
 己を自然と一体とし、わずかな空気の流れを読めば、
 例え敵の姿が見えなくても動きは見切れる!」

赤心少林拳の技を極めたスーパー1からすれば、
ムササビラーの透明化能力など児戯に等しい小細工に過ぎなかった。
激昂したムササビラーが振り下ろしてきた剣を白刃取りで受け止め、
ムササビラーを足払いで転倒させたスーパー1はそのまま空中高くへ跳び上がる。

スーパー1「スーパーライダー・月面キック!!」
ムササビラー「ギャァァッ~!!」

大ジャンプしたスーパー1の必殺キックが炸裂!
ムササビラーは数メートルも蹴り飛ばされ、
何とか立ち上がるがよろめいて地面に膝を突く。


ムササビラー「おのれ…。こうなれば、
 巨大化して全員踏み潰してやる! ウガァ~ッ!!」

追い詰められたムササビラーは叫びと共に巨大化し、
全長数十メートルの大怪獣となってスーパー1らに襲いかかった。
ベーダー怪物は体の大きさを自在に変えることができるのだ。

ムササビラー「グハハハハ! こうなっては手も足も出まい!」
轟鬼「こいつは、バケガニどころのデカさじゃないっすね」
シグフェル「轟鬼さん、俺が行きます!」

シグフェルは地面を蹴って空へ飛び上がり、
巨大なムササビラーの顔面を狙って果敢に突撃するが、
ムササビラーは持っていた剣を振るってシグフェルを叩き落とす。

シグフェル「うわぁっ!」
スーパー1「シグフェル!」

撃墜され、地上に叩きつけられたシグフェルを助けようと、
スーパー1が駆け寄ろうとしたその時、
大地がぐらりと揺れ、遠くの森で地割れが起こった。

ネオパンドン「キャォォーッ!!」
シグフェル「あ、あの怪獣は…!」

噴煙と共に地面の裂け目から姿を現したのは、
竜のような二つの頭を持つ双頭合成獣ネオパンドンであった。
つい先日、グラシエによって外宇宙の惑星にワープさせられたシグフェルが遭遇した、
ETFが地球攻撃の戦力として育てていた宇宙怪獣である。

バルキー星人「フハハハハ! 行けネオパンドン!
 仮面ライダーもろともシグフェルを叩き潰してしまえ!」
ネオパンドン「キャォォーッ!!」

岩山の上に立つ宇宙海人バルキー星人の指令を受けたネオパンドンは、
ピンチに陥っていたシグフェルに止めを刺そうと、
地鳴りのような足音を響かせながら迫ってくる。

ムササビラー「何だ貴様は! 邪魔をするな!」
ネオパンドン「キャォォーッ!!」

ムササビラーを押しのけるようにして割り込み、
猛然とシグフェルに襲いかかろうとするネオパンドン。
予期せぬ邪魔者の乱入に怒ったムササビラーは、
口から毒霧を噴射してネオパンドンごとシグフェルを攻撃した。

ネオパンドン「キャォォーッ!!」

ネオパンドンは二つの頭の右側をムササビラーの方へ向け、
口から赤い火炎を発射して撃ち返す。
そして左側の頭をシグフェルに向けたまま、
そちらの口からは青い火炎を吐いて地上の森を焼き払った。

シグフェル「くっ、何て奴だ…!」
スーパー1「どうやらGショッカーとも仲間ではないようだ。
 これがETFの宇宙怪獣か…!」


ネオパンドンが口から噴く猛火は朝霧山の森林を焼き、
炎に包まれたシグフェルや轟鬼たちを窮地に陥れた。
だがその時、空の彼方から飛んで来た一人のウルトラ戦士が、
彼らの前に立ち塞がってその危機を救ったのである。

マックス「ジャッ!」
シグフェル「ウルトラマンマックス!」

颯爽と地上に降り立ったウルトラマンマックスは、
左腕に装着したマックススパークから発する光の壁・スパークシールドで、
ネオパンドンの青色の火炎を防いで押し返した。

ムササビラー「現れたなウルトラマンマックス。
 ちょうどいい。ここで貴様をあの世へ送ってやる!」
ネオパンドン「キャォォーッ!!」

ネオパンドンがマックスに突進し、戦闘が始まる。
目の前に出現したウルトラ戦士を葬るため、
ムササビラーも先ほどまで争っていたネオパンドンに加勢し、
大剣を振りかざしてマックスに斬りかかった。

マックス「ジャァッ!!」

右手を高く上げてマックスギャラクシーを召喚したマックスは、
光の剣・ギャラクシーソードを生成してムササビラーと斬り結ぶ。
しかし背後からネオパンドンが赤と青の火炎を放ち、
巻き起こった爆発でマックスは吹き飛ばされた。

マックス「シュァッ!」

苦戦を強いられるマックスのパワータイマーが青から赤に変わり点滅を始める。
ウルトラ戦士は地球上では急激に太陽エネルギーを消耗してしまうのだ。

スーパー1「チェンジ・エレキハンド!」

スーパー1はファイブハンドをエレキハンドにチェンジし、
エレキ光線でネオパンドンを射撃してマックスを援護した。
3億ボルトの超高圧電流のビームを浴びてさしものネオパンドンも怯み、
感電した肩を庇うようにして後退する。


ネオパンドン「キャォォーッ!!」

エレキ光線を受けて負傷し怒ったネオパンドンは、
スーパー1たちの方へ向かってくる。
だがその時、まるで瞬間移動してきたかのように、
突如として彼らの前に現れた者がいた。

シグフェル「仮面ライダーカブト!」
カブト「おばあちゃんは言っていた…。
 俺は宇宙一強い。全宇宙のいかなる存在であろうと、
 この俺に倒せない敵はいない!
 ハイパーキャストオフ!!」

クロックアップで時間流を加速させて超高速で駆けつけ、
悠然と天を指差しながらそう言った天道総司=仮面ライダーカブトは、
ハイパーゼクターを召喚してベルトにセットしハイパーカブトに強化変身。
更に時空を超えてパーフェクトゼクターを出現させ、手に取って構えた。

――All Zecter Combine!!

ザビーゼクター、ドレイクゼクター、サソードゼクターが飛んで来て、
パーフェクトゼクターに次々と合体してゆく。
三つのゼクターの力を融合させたパーフェクトゼクターは、
タキオン粒子のエネルギーを剣先から猛烈な竜巻のように発射した。

カブト「喰らえ」
ネオパンドン「キェェェーッ!!」

あらゆる物体を原子の塵に還らせるマキシマムハイパーサイクロンを受けて、
さしものネオパンドンも耐えられず、一瞬で巨体を爆砕され消滅。
ハイパーカブトの対ワーム究極兵器がETFの宇宙怪獣をも撃破した。

マックス「ジュワッ!!」
ムササビラー「ギャァァァッ!!」

ネオパンドンが倒されたのを見たマックスは、
左手のマックススパークに光のエネルギーを集中させ、
残ったムササビラーに向けて必殺のマクシウムカノンを発射!
七色に輝く強力光線を浴びてムササビラーも爆死した。

天道「ワームとは別種の宇宙生命体の侵略か…。
 だが、俺が往く天の道は誰にも邪魔することなどできはしない」
バルキー星人「おのれ、覚えていろ!」

カブトゼクターを外して変身を解除した天道が横目で一瞥すると、
茂みに隠れていたバルキー星人は捨て台詞を吐いて退散した。
スーパー1と轟鬼、そしてシグフェルもそれを見て変身を解き、人間の姿に戻る。

マックス「シュワッ!」

全ての敵が片付いたのを見てマックスも空の彼方へと飛び去っていく。
戦いが終わった朝霧山には既に夕陽が射しつつあった。

一也「危ないところだった。
 光平君の言っていた通り、ETFは確かに恐るべき相手だ」
トドロキ「巨大化したGショッカー怪人に匹敵するほどの怪獣が、
 これから何十匹も地球に送り込まれてくるとなると、
 こいつは只事じゃないっす」
天道「ワームやベーダーのようなGショッカー内部の異星人が、
 奴らに対してどう動くかも気になるがな。
 だが、例え誰がどう動こうとも俺の往く天の道は…」
トドロキ「ああ、はいはい。それはもう分かったっす」
光平「ハハハハハ…(汗」

M78星雲のウルトラ戦士さえ苦しめてきた強敵・ETFがいよいよ動き出した。
戦慄を禁じ得ない状況に改めて気を引き締めながらも、
天道の傲慢なほどに大胆不敵な態度を見ていると、
それでも皆で力を合わせればきっと何とかなるという不思議な自信も沸いてくる光平なのであった。


○ゾフィー→ウルトラの星で今後の戦いについて話し合う。
○ウルトラマン→ウルトラの星で今後の戦いについて話し合う。
○ウルトラセブン→ウルトラの星で今後の戦いについて話し合う。
○ウルトラマンジャック→ウルトラの星へ帰還し、ゾフィーらに地球の情勢を報告する。
○ウルトラの父→宇宙を裏から動かしている黒幕の存在をウルトラ兄弟に示唆する。
○仮面ライダースーパー1→ムササビラーと戦い、赤心少林拳の技で圧倒する。
○仮面ライダー轟鬼→シグフェルと協力してハルバゴイを倒す。
○仮面ライダーカブト→ウルトラマンマックスの救援に現れ、ネオパンドンを倒す。
○ウルトラマンマックス→シグフェルらを助けに現れ、巨大化したムササビラーを倒す。
●チブル星人エクセラー→怪獣戦艦ギエロニアに乗って竜ヶ森湖に潜入する。
●ペダン星人ハーラン司令→怪獣戦艦ギエロニアに乗って竜ヶ森湖に潜入する。
●バルタン星人Jr→怪獣戦艦ギエロニアに乗って竜ヶ森湖に潜入する。
●バット星人グラシエ→シグフェルの様子をチブル星人エクセラーらに報告する。
●バルキー星人→ネオパンドンを操ってシグフェルを襲わせるが、敗れたため撤退。
●ムササビラー→朝霧山の川を汚染しようとするが仮面ライダースーパー1らに妨害され、
 ウルトラマンマックスに倒される。
●ハルバゴイ→ムササビラーの援護に現われるが、シグフェルと仮面ライダー轟鬼に倒される。
●ネオパンドン→シグフェルを襲撃するが、仮面ライダーカブトに倒される。

○シグフェル→ハルバゴイを倒す。ネオパンドンの襲撃を受けるがウルトラマンマックスらに助けられる。


【今回の新規登場】

○ハヤタ・シン/ウルトラマン(ウルトラマン)
M78星雲のウルトラ戦士の一人で、ウルトラ兄弟の二番目の戦士。
ベムラーを追って地球に来たウルトラマンが、
衝突事故で死なせてしまった科学特捜隊のハヤタ隊員と合体し、
共に地球を守るため戦っていくことになった。
ゼットンに敗れて地球を去る際にハヤタとは分離しているが、
その後も何度となくハヤタの姿を借りて地球に現れている。
必殺技はスペシウム光線。

○モロボシ・ダン/ウルトラセブン(ウルトラセブン)
M78星雲のウルトラ戦士の一人で、ウルトラ兄弟の三番目の戦士。
紅点観測員として太陽系を訪れていたウルトラセブンが、
幾多の侵略者に狙われていた地球を守るため、
薩摩次郎という青年の姿を借りモロボシ・ダンと名乗って地球に留まった。
一度は地球を去ったが後に再び舞い戻ってMACの隊長となり、
負傷してセブンへの変身能力を一時的に失いながらもウルトラマンレオを厳しく鍛える。
シルバーブルーメの襲撃で生死不明となったが無事ウルトラの星に生還しており、
その後、カザモリ・マサキという人間体で再度地球防衛の任務に就いたこともある。
必殺武器は頭に装備したアイスラッガー。
ウルトラマンゼロの父親でもある。

○郷秀樹/ウルトラマンジャック(帰ってきたウルトラマン)
M78星雲のウルトラ戦士の一人で、ウルトラ兄弟の四番目の戦士。
地球防衛の任務を帯びてやって来たウルトラマンジャックが、
怪獣から子供を守って命を落とした郷秀樹の勇気ある行動に感動し、
彼と一体化して地球に留まり戦っていくことになった。
初代ウルトラマンと同じスペシウム光線を得意技とする他、
ウルトラセブンから授かったウルトラブレスレットという万能武器も用いる。
新ウルトラマン、ウルトラマン二世などと呼ばれることもある。

○トウマ・カイト/ウルトラマンマックス(ウルトラマンマックス)
M78星雲のウルトラ戦士の一人。
文明監視員として地球にやって来たウルトラマンマックスが、
怪獣に立ち向かった災害ボランティアの青年トウマ・カイトと融合し、
彼と一体化してDASHに入隊し地球を守るため戦っていくことになった。
必殺技は左手のマックススパークから放つマクシウムカノン。

○ゾフィー(ウルトラマンシリーズ)
ウルトラ兄弟の長男で、宇宙警備隊の隊長。
ゼットンとの戦いで敗れた初代ウルトラマンを助けるために初めて地球に姿を現わし、
その後も何度となく弟であるウルトラ戦士たちのピンチに駆けつけている。
必殺技は87万度の超高熱を放つM87光線。

○ウルトラの父(ウルトラマンシリーズ)
ウルトラ兄弟の父にして、宇宙警備隊の大隊長。
歴代ウルトラ戦士の中で実の息子はウルトラマンタロウだけであり、
他のウルトラマンたちとは血縁関係はないが、実の父親のように慕われ尊敬されている。
ヒッポリト星人にブロンズ像にされたウルトラ兄弟を救うために初めて地球に姿を現わし、
その後も度々、地球を守って戦うウルトラ戦士たちを鼓舞し導いた。
3万年前、エンペラ星人がウルトラの星へ侵攻したウルトラ大戦争では勇敢に戦い、
ウルティメイトブレードでエンペラ星人に傷を負わせて撤退に追い込んでいる。
本名はウルトラマンケン。

○沖一也/仮面ライダースーパー1(仮面ライダースーパー1)
惑星開発用改造人間S-1の被験者に志願し、
自ら改造人間となった9人目の仮面ライダー。
腕のファイブハンドを換装して戦うメカニカルなライダーでありながらも、
赤心少林拳の技を体得した一流の拳法家でもあり、
ドグマやジンドグマから地球を守って戦った。
戦いの後は本来の使命である惑星開発の任務のため宇宙ステーションへ旅立っている。

○トドロキ/仮面ライダー轟鬼(仮面ライダー響鬼)
魔化魍と戦う鬼の一人。
元警察官で、ザンキに弟子入りして修業を積み、
ザンキの引退に伴って正式に鬼となった。
オトロシとの戦いでもう復帰困難と思われるほどの重傷を負ったが、
必死のリハビリで復活している。
武器はエレキギター型の剣である音撃弦・烈雷。
持田ひとみの従兄で、本名は戸田山登巳蔵という。

○天道総司/仮面ライダーカブト(仮面ライダーカブト)
カブトゼクターの資格者。
自らを「天の道を往き、総てを司る男」と称し、
傲岸不遜と思えるほど自信満々な態度を常に見せるが、
妹の日下部ひよりや天道樹花には優しく接する。
育ててくれた祖母を尊敬しており、
祖母から教わった数々の格言を口にする。料理の腕は一流。

 

●頭脳宇宙人チブル星人エクセラー(ウルトラマンギンガS)
頭脳宇宙人チブル星人の一人。
チブローダーに乗り、「エクセレント!」など時折英語を交えて話す。
自身を宇宙最高の頭脳の持ち主と自負しており、
自分以外を下等生物と罵り、他の存在を全て自身の駒としか考えていない。
ビクトリウム鉱石を奪って月に眠るダークルギエルを復活させようと画策したが、
最期はそのダークルギエルに用済みと見なされ、
スパークドールズに戻されてしまった。

●策略宇宙人ペダン星人ハーラン司令(ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEVER ENDING ODESSEY)
策略宇宙人ペダン星人の一人で、惑星ハマーに派遣されたレイオニクスハンターの女性指揮官。
ペダン星の科学力に絶対の自信を持っている。
キングジョーブラックの大軍を操り、
レイオニクスを洗脳して戦力としようとするがレイに敗れて死亡した。

●宇宙忍者バルタン星人Jr(帰ってきたウルトラマン)
宇宙忍者バルタン星人の一人で、
初代ウルトラマンに倒されたバルタン星人の息子。
地球人とウルトラマンに復讐するため、
建設中のマンションをロボット怪獣ビルガモに改造して操った。

●宇宙海人バルキー星人(ウルトラマンタロウ/ウルトラマンメビウス 他)
地球の海を支配しようと企む宇宙人。
額のタイマーランプから発射する破壊光線と手に持つ宇宙槍が武器。
胸にはウルトラマンのカラータイマーに酷似したランプがある。
初代はサメクジラを操ってウルトラマンタロウと戦い、
二代目はザムシャーを倒そうと勝負を挑んだが敢えなく敗れた。

●ムササビラー(電子戦隊デンジマン)
地球侵略のために送り込まれた、ベーダー怪物第一号。
体を透明化する能力を持ち、口からは毒霧を噴射する。
武器として大型の剣を用いる。

●ハルバゴイ(動物戦隊ジュウオウジャー)
デスガリアンの怪人で、チームアザルドのプレイヤー。
ヤリスギッスピアという槍を武器として振るい、
どんなに遠くからでも獲物を確実にハントする槍投げの達人。
上空の黒雲から無数のヤリスギッスピアを降らせるコンボ技を持つ。
地球人の住居を破壊し、人々を絶望させるブラッドゲームにエントリーした。