『オボロ、大陸に立つ』

作者・ユガミ博士

1

***惑星ゾラ***

―惑星ゾラと呼ばれる地球。かつて極限までに科学技術が発達した産業文明は
、地球上に巨大産業社会を形成するに至った。やがて絶頂期に達し、大地の富
を奪いとり大気を汚し、急激な衰退を向かえることになった巨大産業文明は、
『火の七日間』と呼ばれる核戦争により都市郡は放射能と有毒物質を撒き散ら
して崩壊し、複雑高度と化した技術体系は失われ、不毛な大地と化したであった。
その後、文明社会のレベルは大陸・地域によって復興の差があり、日本の弥生時代、
中世・近代のヨーロッパ、19世紀の産業革命当時、アメリカ西部開拓時代に似た
状況、さらには暴徒が縦横無尽に闊歩する無法地帯など、それぞれに異なり互いの
往来も遮断されたまま、永い黄昏の時代を迎えることになった―

***惑星ゾラ・ガリア大陸東部***

かつて中国大陸と呼ばれたガリア大陸東部に1人の青年と2人の少年が訪れていた。
青年の名前はオボロ。そしてお供の2人はドリィとグラァの双子の兄弟。彼等はここ
とは別の地域(位置的に北海道あたり)にある国トゥスクルから来た。本来、オボロ
はトゥスクルの皇となっている筈だが、「柄じゃない」という理由で侍大将のベナウィ
に後を託してドリィ、グラァを連れて旅に出たのであった。

オボロ「ここが噂の大陸という所か・・・。」
ドリィ「僕等がいた所とは違って、本当に草木があまり生えていませんね。」
グラァ「建物も見た事も無い物ばかりだ。」

大陸に立ったオボロ達はとある町へと訪れる。自分達のいた地域には無い物を
見ていた3人だが、その町の住人がどこか活気が無い事に気がついた。

2

オボロ「(なんだろう?ここの奴等はいやに静かだな。)」
町の住民A「た、大変だ。ケンシロウ、トキが来たぞー!!」
町の住民「「!!」」

住民Aの報せに町が一気に慌しくなった。

オボロ「おい、どうしたんだ?」
住民B「あんた等、旅の方かい?悪い事は言わねぇ、直ぐにこの町を離れな。」
住民C「そうそう、出ないとケンシロウとトキに酷い目にあわされる。」
オボロ「ケンシロウとトキというのは一体・・・。」

バキューン、バキューン

オボロ「な、何だ!?この音は。」
住民B「ああ、ついに来ちまっった(泣き)」

町の人に逃げるように言われていたが、銃声が鳴り響いた。因みにオボロ
達のいた地域は銃のような兵器が無いので、初めて聞いた銃声に驚いていた。
銃声のした方へと行くと、そこには仮面を被った男と長い黒髪の男、その
2人に率いられ数人の集団がいた。

暴徒A「へっへっへ、てめぇら食料と金品をよこせ。」
暴徒B「ヒャッハー!おとなしく言う事を聞きやがれ。」
暴徒C「でないと、こちらのケンシロウ様とトキ様が黙っちゃいないぜ!」
ケンシロウ「・・・さぁ、お前等・・・略奪だ。」
暴徒「「「ヒャッハー!」」」

ケンシロウの合図に暴徒達は町の人達を襲い始め、食料や金品を奪った。、
ある者はその場にいた人から、ある者は家に押し入った。

住民A「助けてくれー!」
住民B「やめてくれー、食料持ってかれたら子供が死んでしまうんだ。」
町の子供A「うわぁぁぁん。」

目の前に広がる光景にオボロは黙っていられなかった。

オボロ「やめろー!」
トキ「んー?」
ケンシロウ「誰だ?・・・貴様は。」
オボロ「俺の名はオボロ。ケンシロウとトキ、今すぐ略奪をやめろ!」

オボロは持っている剣を抜き、ケンシロウとトキに向けて略奪をやめるよう
に言った。ドリィ、グラァも自分達の武器である弓矢を暴徒達に向ける

3

ケンシロウ「貴様等・・・俺達に楯突くのか?」
トキ「どうやら、この辺りの人間ではないようだな。・・・おい、お前等
 こいつの相手をしてやれ。こいつを仕留めたら、褒美をやるぞ。」
暴徒A「へっへっへ、おとなしくしやがれ。」
暴徒B「今日の宴は楽しくなりそうだぜ。」
暴徒C「くらえー!」

トキの命令に暴徒達はあっという間にオボロを取り囲んだ。暴徒達は持っている
武器で一斉にオボロに攻撃を仕掛けたのだ。

オボロ「そんな物は効かん!」

しかし、歴戦の勇士であるオボロに暴徒の攻撃は効かず、持っている剣を
駆使して軽業師のような動きで暴徒を切り伏せるのであった。

ドリィ&グラァ「「はぁぁ!」」
暴徒B「ぐわぁ!」
暴徒C「ぬおっ!」

ドリィとグラァも弓矢を放って、町を襲っている暴徒を蹴散らしていく。

トキ「ほう、あれだけの人数を1人で一気に片付けてしまうとは・・・。
 こいつは中々のいい木人形になりそうだ。」
オボロ「さぁ、次はお前達の番だ。」
ケンシロウ「ふん。いいだろう、相手をしてやる。」

ケンシロウはすぐさま、拳銃を取り出しオボロに向けて放った。しかし、
オボロは持ち前の反射神経で何とか避ける事が出来た。

ケンシロウ「やるじゃねぇか。だったら、これだ。」

ケンシロウは背中に背負っていたバズーカ砲を取り出し、オボロに向けて
放った。

ドーン、ドーン

だが、それでもオボロは何とか避ける事が出来た。

トキ「おっと、俺がいる事を忘れては困るな~。」
グラァ「させない。」

トキもするどい突きを繰り出しオボロへと攻撃するが、グラァが矢を放ち
攻撃を阻止する。

オボロ「(こいつら、見た目と違って強いぞ。だが、ここでやられるわけ
 にはいかん。)でやぁ!」

オボロも負けじと刀で切りかかった。そしてケンシロウの持っていたバズーカを
斬り落とす事が出来た。

ケンシロウ「てめぇ、何してくれてるんだ!ああああん。」
オボロ「次で仕留める。」

オボロはケンシロウを仕留めようと切りかかるがその時、矢が飛び込み
オボロの肩に刺さった。何と伏兵がいたのである。

ドリィ&グラァ「「若様!!」」
オボロ「ぐぉぉ、貴様卑怯だぞ。」
ケンシロウ「勝てばいいんだよ、勝てばな。」
トキ「ケンシロウ、こいつは俺が木人形にする。いいだろう?」
ケンシロウ「ふん、好きにしな。」

オボロは絶体絶命かと思った。しかし・・・。

4

???「待てー!」
ケンシロウ「誰だ!?」

そこに現れたのは1人の若い青年だった。青年はケンシロウと対峙し、オボロ
を守るように前に立った。

暴徒D「ケンシロウ様、トキ様。北斗の軍がこの町に来ております(汗)」
トキ「何だと!」
???「見つけたぞ!ケンシロウとトキを名乗るお前達ジャギにアミバ!」
ジャギ「貴様・・・何故その名を!?」
???「勿論知っているさ。俺の名はバット。お前達の事はケンから聞いている。」

バットと名乗った青年の後ろには北斗七星を模した旗を掲げた北斗の軍が町にいた
暴徒を取り押さえていた。

アミバ「ジャギ、このままでは俺達が不利だ。ここは出直すしかない。」
ジャギ「仕方ねぇ。野郎共、引き上げだー!」

ケンシロウとトキの名を騙っていたアミバとジャギは残った数人の部下を
連れて町から撤退するのであった。

ドリィ&グラァ「「若様ー!」」
バット「大丈夫か?すぐに肩の治療をしよう。」
オボロ「ああ、すまない。あんた達は?」
バット「俺はバット。そして北斗の軍だ。」
オボロ「北斗の軍?」

バットは北斗の軍やジャギ達の事等を話した。北斗の軍とは暴政から立ち上がった
組織で、地下に幽閉されていた天帝が解放された事から暴政は無くなったのだが、
各地で暴徒が暴れている事や死んだ人間が黄泉がえるという現象が多発している事
から北斗の軍は今も活動を続けていた。そしてジャギとはかつて乱世を終わらせた
救世主・北斗真拳伝承者ケンシロウの義兄で、ケンシロウが伝承者に選ばれた事を
逆恨みしてその名を騙っていた。アミバは北斗真拳と対をなす南斗聖拳の元・拳士
ケンシロウの兄トキに顔を打たれた復讐にトキの騙っていたのであった。

オボロ「そうだったのか。」
バット「肩の傷が癒えるまで、俺達の所にいるといい。」
オボロ「すまない。」
ドリィ&グラァ「「お世話になります。」」
住民A「あのーいいですか?」

バットの説明が終わると、町の住民達がやってきた。

住民B「私達を助けてくれてありがとうございます。」
住民C「貴方方が来てくれなかったら、いつまでも略奪を受けている所でした。」
町の子供「ありがとう、お兄ちゃん。」
オボロ「・・・こっちこそ、ありがとな。」

町の住民から感謝され、少し照れるオボロであった。

5

○オボロ→大陸へと渡り、ジャギ、アミバと対決するが肩を負傷する。
○ドリィ&グラァ→オボロのお供として大陸へと渡り、弓矢で暴徒と戦う。
○バット→ジャギとアミバを追って、北斗の軍を率いてオボロを助ける。
●ジャギ→ケンシロウの名を騙り、アミバと暴徒を率いていた。オボロと
     対決した後、北斗の軍に追われる。
●アミバ→トキの名を騙り、ジャギと暴徒を率いていた。オボロと対決した
     後、北斗の軍に追われる。

【今回の新登場】
○オボロ(うたわれるもの)
トゥスクルの剣士。ユズハの異母兄。義賊として活動をしており、最初はハクオロを敵対視
していたが、ケナシコウルペとの戦を通じて彼を「兄者」と呼び、最初に彼に心酔する忠臣
の1人となる。妹であるユズハのことを溺愛しており、それゆえ後先が見えなくなることもある。
弐刀流を操り、軽業師のような身のこなしを生かした戦法を見せる。ハクオロからは自身の
後継者として任命されたが、「柄じゃない」としてベナウィに託した。

○ドリィ(うたわれるもの)
オボロの部下の双子の1人。グラァと共に弓の名手。常に二人一組で行動し、
見た目も思考パターンもほとんど同じ。瞳が紫で袴が藍色なのが特徴。
オボロに対して尊敬以上の感情を持っているらしく、オボロに記憶がなくなる
までお酌をし、撃沈させることもある。少女と見間違えるほどかわいらしい
外見で、ハクオロも勘違いしていたが、実際は二人とも少年である。二人とも
オボロを若様と、ハクオロを「兄者様」と呼び敬愛する。隠密活動も得意であり、
しばしば諜報活動も担当する。隠密活動時は通常より小さめの弓を使用する。
トゥスクル弓衆・蒼組隊長を務めていた。

○グラァ(うたわれるもの)
オボロの部下の双子の1人。ドリィと共に弓の名手。常に二人一組で行動し、
見た目も思考パターンもほとんど同じ。瞳が青で袴が特徴。
オボロに対して尊敬以上の感情を持っているらしく、オボロに記憶がなくなる
までお酌をし、撃沈させることもある。少女と見間違えるほどかわいらしい
外見で、ハクオロも勘違いしていたが、実際は二人とも少年である。二人とも
オボロを若様と、ハクオロを「兄者様」と呼び敬愛する。隠密活動も得意であり、
しばしば諜報活動も担当する。隠密活動時は通常より小さめの弓を使用する。
トゥスクル弓衆・朱組隊長を務めていた。

○バット(北斗の拳)
かつてケンシロウと共に旅をしていた北斗の軍のリーダー。ケンシロウの弟分的存在。
拳法を断片的な部分を会得している。共に旅をしていた女性リンとは相愛の仲。

●ジャギ(北斗の拳)
ケンシロウの義兄、ラオウ、トキの義弟。ケンシロウが北斗神拳の正統伝承者に選ばれた
ことへの憤りと自分にとどめを刺さなかった屈辱等からその名を騙って暴虐の限りを尽くす。

●アミバ(北斗の拳)
かつてレイと共に南斗聖拳を学んだ男。北斗の次兄トキに顔をぶたれた復讐としてトキになりすまし、
ニセ北斗神拳を悪事に使う“自称「天才」”。ジャギとは気が合う仲。


『参上、ザブングル』

作者・ユガミ博士

6

***惑星ゾラ・ガリア大陸北部***

北斗の軍に助けられたオボロ一行は傷も癒えた事により、北斗の軍の元を去り、
北へと旅していた。そしてとある町にたどり着く。

ドリィ「若様、町に着きましたしお昼にしましょう。」
オボロ「そうだな。ん?」

お昼にしようと決めたオボロだが、その向こうで何やら人だかりが出来ていた。

ブレーカーA「おいこら、俺達に金を払えってのか!?」
ブレーカーB「俺達は、この町を守っているブレーカーだぞ!」
食堂の店主「そんなの、あんたらが勝手にやっていることだ。
        払う義理は無い。」
ブレーカーA「何をぅ。」
オボロ「何の騒ぎだ、これは?」
町の住民A「ああ、あのブレーカー達がみかじめ料を貰おうとした事から、
  揉めているのさ。」
オボロ「ブレーカー?」

ブレーカーとは、報酬次第で窃盗や殺人、用心棒といった汚い仕事を
請けるガリア大陸における職業をさす。

???「おい、何をしている?」
ブレーカーA「あ、キッドの兄貴。」
キッド「兄貴って呼ぶんじゃねー。」

そこへ整った顔にタレ目が特徴の男性とそれよりも背が高くガタイのいい
男性がやってくる。

オボロ「あいつは?」
町の住民「あのブレーカー達の親玉をしているキッド・ホーラと子分の
 ゲバラ・ゲバラさ。」

キッド・ホーラとゲラバ・ゲラバ-元運び屋カーゴ一家に所属していた
ブレーカーでキッドはエルチの父キャリング・カーゴの死後、エルチに
結婚を申し込むも断られ、ジロンに敗れた事によりカーゴ一家を去った後、
イノセントの仕掛け人となって、何度もカーゴ一家の前に立ちはだかる。
イノセントが壊滅した現在は、フリーのブレーカーとして弟分のゲラバ達
と勝手に用心棒をしてみかじめ料を貰おうとしていた。

ブレーカーB「すいません、キッドさん。こいつが用心棒の代金を
 払わないっていうので、・・・。」
キッド「何だと?」
食堂の店主「ふん、用心棒をしてくれと頼んだわけじゃないからな。」
ゲラバ「てめぇー、兄貴に逆らうのか!」ボゴォ
食堂の店主「ぐわぁ。」
オボロ「!」

食堂の店主はゲバラに思い切り殴られる。

オボロ「そこまでだ!」
キッド「誰だお前?ここらじゃ見かけない面だなぁ。」
オボロ「俺はこの海を渡って、この大陸に来たトゥスクルのオボロ。
  お前達の所業は見過ごすわけにはいかない!」

暴力を振るうキッド達に静観していたオボロはついに怒り、姿を現す。
ドリィとグラァも主を守るべく、弓を構える。

キッド「ええい、やっちまえー!」
ゲバラ「応!」

キッドの命令にゲバラと手下のブレイカーがオボロ達に襲い掛かるが、
歴戦の戦士であるオボロ達に敵うわけもなく、すぐにのされてしまう。

ゲバラ「あ・・・兄貴、こいつら、つぇぇ。」
キッド「こら、もうちょっと戦闘描写を書いてもらえるように戦え!」
オボロ「さぁ、どうする・・・。」
キッド「く~、こうなったらWM(ウォーカーマシン)を出すぞ!」

メタな発言をして、ゲバラを叱るキッドは手下達を連れて引き下がった後、
ガリア大陸で普及しているWM(ウォーカーマシン)ガラパゴスやプロメウスを出す。

ドーン、ドーン

オボロ「く、あれでは俺達には手が終えん。」
グラァ「どうしましょう、若様!」
ゲバラ@プロメウス「さっきはよくもやってくれたなぁ。死ねー!」

プロメウスに乗るゲバラがオボロを襲うとしたその時・・・。

ギューンギューン

ゲバラ「な、何だ!?」
キッド@ガラパゴス「誰だ!?」

???「へへ、相変わらず馬鹿な事をやっているようだな、キッド!」
キッド「げぇぇー、お前は!」

プロメウスを攻撃したのは、青いWMだった。

7

キッド「お前はジロン・アモス!」

青いWM、その名はザブングル。それを操縦するのは、キッドの因縁の敵
ジロン・アモスである。

ラグ「おっと、あたいらもいるよ!」

ジロンと同じくザブングルに乗るブレーカーの少女ラグ・ウラロと
同じサンドラッドの仲間であるブルメ、ダイクの乗るトラッド11が姿を現す。

キッド「お前ら、何でここにいるんだよ!」
ジロン「たまたま物資の配達の依頼で来たんだよ。そしたら、
 まだこんな事をしているなんて、情けないぜ!」
キッド「うるさい、このドマンジュウ!」

キッドの乗るガラパゴスで、ジロンの乗るザブングルを攻撃する。

エルチ「ジロン、この前の仕事みたいにウォーカーギャリアを
    修理に出すようなまねするんじゃないわよ。」
ジロン「分かっているよ、エルチ。」

アイアンギアーの艦長であるエルチから、ジロンに注意する。
本当ならウォーカーギャリアのパイロットであるジロンだが、どうやら
壊して修理中のようだった。

ジロン「よ~し、フルパワーで行くぞ!」
キッド「おいおい、早くねぇか!?」
ラグ「あんまり長引くのも、面倒だからね。さっさと終わらせるよ!」
ゲバラ「そんなぁ~。」

ジロン達の登場により暴れていたキッド達だったが、あっという間に
WMをボロボロにされてしまう。

ゲバラ「こ、こんな戦闘で読者が喜ぶのかよ~!」
キッド「撤退だ、ちっくしょ~!」

キッド達は情けない声を出しながら、止む無く撤退するのであった。

町の住民A「いいぞぉ~!」
町の住民B「ありがとう!」

ワァーワァー

キッド達が撤退した事により、町に住む人々が賞賛の声を上げる。

エルチ「そこのあなた達、アイアンギアーに来てくれないかしら?」
オボロ「俺達!?」

よく分からないが、オボロ達はアイアンギアーに招かれる。

***アイアンギアー***

エルチ「改めまして。私はエルチ・カーゴ。アイアンギアーの艦長よ。」
コトセット「メカニックのコトセット・メムマだ。そして、こっちがファットマン・ビッグ。」
ビッグマン「・・・」
オボロ「よろしく、オボロだ。(この男、クロウ並にでかいな。)」

エルチからの自己紹介を受けるオボロはファットマンを見て、かつて共に
戦った戦友を思い出す。

エルチ「実は、さっきのやり取りを見ていたの。どう?あなた、強そうだし
 うちに雇われない。」
オボロ「え!?」

どうやら、エルチは先程のキッドとオボロのやり取りを見ていて
オボロをカーゴ一家で雇いたいそうだ。

ドリィ「どうしますか、若様?」
グラァ「この艦なら、旅が楽になると思いますが?」
オボロ「・・・分かった、この艦で世話になる。」

オボロはしばらく考えた後、カーゴ一家に雇われる事を決めるのであった。

***オマケ***

チル「・・・」
ドリィ「なんだい?」
チル「ねえねえ、その耳って、本物?」ぎゅ~
グラァ「痛い痛い!」

幼いチルにドリィとグラァはガリア大陸でも珍しい、その獣耳に
引っ張られるのであった。

8

○オボロ→キッド達の暴力を止める。そして、カーゴ一家に雇われる。
○ドリィ&グラァ→オボロと共に、キッド達の暴力を止める。そして
     カーゴ一家に雇われる。その後チルから耳を引っ張られる。
○ジロン・アモス→ザブングルに乗って、キッド達と戦闘する。
○エルチ・カーゴ→オボロ一行を雇う。
○ラグ・ウラロ、ブルメ、ダイク→キッド達と戦う。
○チル→ドリィ、グラァの耳が本物か確かめるべく引っ張る。
○コトセット・メムマ→オボロに自分を紹介する。
○ファットマン・ビッグ→エルチと共にオボロの前に現れる。
●キッド・ホーラ→町のみかじめ料をせしめていた所、オボロに止められる。
      その後、WNに乗るがジロン達に倒されて撤退する。
●ゲラバ・ゲラバ→町のみかじめ料をせしめていた所、オボロに止められる。
      その後、WMに乗るがジロン達に倒されて撤退する。

【今回の新登場】
○ジロン・アモス(戦闘メカ ザブングル)
鉄の爪と呼ばれたロックマン(採掘者)の息子。両親を殺したティンプに
復讐するべく「三日の掟」を無視して、追いかける。ザブングルに出会い、
そのままカーゴ一家に雇われる事になるが、次第にイノセントに抵抗する
組織ソルトの御旗になった。乗機はウォーカーギャリア。

○エルチ・カーゴ(戦闘メカ ザブングル)
父が死亡した事により、カーゴ一家を継いだアイアンギアーの艦長。
文化を愛するが、男勝りで女王様気質。投げナイフを得意としている。
イノセントに洗脳された事もあったが、最終的にジロンの恋人となった。

○ラグ・ウラロ(戦闘メカ ザブングル)
盗賊団サンドラットのリーダーである女性。ジロンを巡り、エルチとは
対立するが実は惚れ易く、女扱いしてくれる男性に弱い。主な乗機は翼付のザブングル。

○ブルメ(戦闘メカ ザブングル)
サンドラッドのサブリーダー格。密かにラグに好意を抱いており、ジロンを
ライバル視していて何度も喧嘩に発展している。射撃が得意。

○ダイク(戦闘メカ ザブングル)
サンドラッドのメンバー。「気は優しく力持ち」の性格そのままで、
気性の激しいシビリアンの中では珍しく、他者への気配りが出来る
稀有な人物。自他共に認めるサブキャラで、自分が脇役である事を
自認している。WMの操縦、砲撃、メカニック、ブリッジ要員など何でも器用にこなせる。

○チル(戦闘メカ ザブングル)
サンドラッドの最年少メンバー。語尾に「~だわさ」と付けるのが口癖。
ウォーカーギャリアのサブパイロットを務める。

ジロン曰く「将来、いい女」になるらしい。

○コトセット・メムマ(戦闘メカ ザブングル)
アイアンギアーのメカニック兼操舵手。エルチにこき使われ、
頭痛と胃痛に悩まされるが、次第に開き直って破天荒な彼らを支える。

○ファットマン・ビッグ(戦闘メカ ザブングル)
エルチのガードマン。筋骨隆々であり、他人との意思疎通は出来るものの、
まともな会話は出来ず、ボディランゲージやポージングで意思を伝えようとする。

●キッド・ホーラ(戦闘メカ ザブングル)
元カーゴ一家に所属していたブレーカーの元締め。一家を継いだエルチに
結婚を申し込むが断られ、ジロンに敗北した後はイノセントの仕掛け人と
なって、何度も立ちはだかり敗れる。整った顔とタレ目が特徴。

●ゲラバ・ゲラバ(戦闘メカ ザブングル)
キッド・ホーラの弟分。基本的にキッドの八つ当たりを受ける役回り。
腕っ節は強いが気が弱い。ピンクの下着を履いている。


『キングゲイナー』

作者・ユガミ博士

9

***シベリア・ヤーパンの天井***

カーゴ一家と雇われたオボロ一行が訪れたのは、シベリアの東の果てにある
かつてエクソダスに成功した「ヤーパンの天井」である。現在「ヤーパンの天井」
は目的地のヤーパンへと辿り着くべく、海を渡る準備を行っていた。

オボロ「エクソダスっていうのは何だ?」
エルチ「エクソダスっていうのは、環境を回復させるに過酷な土地のドームポリス
 でしか住んではいけないっていう決まりだったんだけど、やっぱりもっと豊かな
 土地で住みたいっていう人達が脱出して、そこを目指す運動の事よ。」
コトセット「そして、今から行く『ヤーパンの天井』というのは、元々はウルグスクの
 ドームポリスに所属していたが、伝説の土地ヤーパンを目指して、ドームごと
 集団エクソダスをしたというわけだ。」
オボロ「(ヤーパン?もしかして俺の故郷の事なのか?)」

エクソダスを知らないオボロは、エルチとコトセットからエクソダスとヤーパンの天井
について教わるが、ヤーパンが自分のいた故郷の事をさすのかと疑問に思う。
そして、アイアンギアーはヤーパンの天井の警備を行うガウリ隊に出迎えられる。

ガウリ「久しぶりだな、アイアンギアーの諸君。」
エルチ「ガウリ隊長も、お久しぶりです。」

ガウリ隊の隊長であるガウリとエルチが握手を交わす。

ジロン「ゲイナーはどうしているんだい?」
ペロー「ゲイナーなら、サラとパトロールをしているよ。あ、帰ってきた!」

隊員のペローが仲間のゲイナー・サンガとサラ・コダマがパトロール中
だという事を話す。そして話しているとオーバーマン・キングゲイナーが
飛んでくる。中から操縦者のゲイナーとサラが出てきた。

ジロン「ひっさしぶり、ゲイナー!」
ゲイナー「ジロンも良く来たね。」
ブルメ「あらら、2人して同じコクピットなんて仲がよろしいねぇ~♪」
サラ「///パ、パンサーを修理に出しているから、仕方なくよ・・・。」
ラグ「はは、顔真っ赤じゃん!」

友人のジロンとの再会に喜ぶゲイナー。ブルメはゲイナーとサラの仲を
冷やかすが、サラは顔を赤くして照れくさそうに言う。

アナ「チル~!」
チル「はは、アナも久しぶりだわさ!」

ウルグスクのメダイユ公の娘であるアナ・メダイユとチルという年少組も
再会に喜んだ。

ゲイン「アイアンギアーか。頼んでいた物資は持ってきてくれたかな?」
エルチ「ゲインさん。はい、こちらが依頼されていた物資のリストよ。
   目を通してね。」

エクソダスの請負人ゲイン・ビジョウが運んでくるように依頼した物資の
確認をするべく、リストを受け取る。

ゲイン「ん?この御仁は。」
オボロ「俺はオボロ。このアイアンギアーに雇われた者だ。・・・あんたらの
 いうヤーパンから来た・・・と思う。」
ゲイナー「ヤーパンだって!?」
ガウリ「そういえば、ヤーパンには羽の生えた人種や動物みたいな耳を
 持つ人種もいると聞いた事があったが・・・本当だったんだな。」

オボロがヤーパンの人間という事にガウリ隊の面々は驚く。

オボロ「俺は海を越えて来たが、こんな巨大な物が海を越えられるのか?」
ゲイン「俺達は厚い氷のあるルートからヤーパンに行く。その為に今は
 物資の調達やマシンの調整と準備中だ。」

オボロの疑問にゲインが答える。

サラ「すいません。私はヤーパンに行ったら、小麦を育てたいと思っている
  だけど、その土地はありますか?」
オボロ「広いからなぁ。少なくとも俺のいた所は山と森が多い。」

サラの疑問にオボロが答える。

アデット「大変だよ!」
ゲイナー「アデット先生!?」
アデット「こっちにブレイカーの集団が、武装して向かってくる。襲う気だよ!」

教師でアデット隊の女隊長アデットからヤーパンの天井が襲撃される
事を一同は聞かされるのであった。

10 
ドーンドーン
バキューン

ヤーパンの天井の外では、武装したWMの群れがヤーパンの天井を襲う。

キッド「襲え襲え、物資を奪え!」
ゲラバ「アイアンギアーの奴等を出させろ!」
ジロン「あぁー、またお前らか!」

襲っているブレーカーの集団を指揮しているのはまたもキッド・ホーラと
ゲラバ・ゲラバだった。ジロンもザブングルに乗ってガウリ隊と一緒に
出撃する。

キッド「雇い主が襲えとの依頼なんでな。」
ゲラバ「今日こそ倒して、俺達が主役だ!」
ジロン「そうはさせるか!主役は俺だ!」
ガウリ「ガウリ隊、ヤーパンの天井を守るぞ!」
アデット「アデット隊も私に続きな!」

バキューンバキューン
ドドドド

ブレーカーの乗るWMを倒すべく、ジロンのザブングルやガウリ達の乗る
パンサーやアデットの乗るドーベックが攻撃を始める。

キュィィィン

ゲイナー「はぁぁ!」

ゲイナーの乗るキングゲイナーは武装しているチェンガンでWMの
手足を攻撃する。

シンシア「ゲイナーも頑張ってるね。私もいっくよ~♪」

ゲイナーの仲間、シンシア・レーンも彼女が乗る変幻自在のオーバーマン
ドミネーターで次々とWMを倒していった。

???「ふふふ、やっとこの時を待ってたわよ~、ヤーパンの天井!」
ゲイナー「お前は、カシマル・バーレ!」

ゲイナー達の前に現れたのは、死んだ筈の元シベリア鉄道運行部長
であるカシマル・バーレがオーバーマン・プラネッタに乗って現れた。

チル「あぁ~、ウンコ部長だ!」
カシマル「おだまり!何故かは分からないけど、こうして生き返る事が
  出来たわ。プラネッタの調子はまだ良くないけど、あの時の屈辱を
  晴らさせてもらうわよ!」
キッド「おいカシマル、ちゃんと依頼を忘れるなよ!せっかく拾ってやったんだからな。」
カシマル「く、偉そうに!まぁ、いいわ。行くわよ!」

チルに不名誉な渾名を言われ怒るカシマル。どうやら、カシマルは
生き返った後、キッド達に拾われたようだ。

キッド「(そっちは任せたぜ、ケンシロウ・・・いや、ジャギさんよ。)」

WMを動かすキッドは不適な笑みを浮かべるのだった。

11

一方、アイアンギアーの方ではキッド達の仲間と思われる暴徒達が
ヤーパンの天井に乗り込もうとしていたので、オボロや出撃していない
ゲイン達が応戦していた。

ドーン

オボロ「うわぁ!」

突然バズーカ砲がオボロ達を襲う。

ジャギ「おおう、どっかで見たと思ったら、いつかのケモノミミ野郎か!」
アミバ「ははは、奇遇だなぁ~。」
オボロ「お前はジャギ、アミバ!何で貴様等がここにいる。」
ジャギ「雇われたんだよ。ここを襲えってなぁ。」

どうやらあの後、ジャギとアミバもカシマル同様に雇われた様である。

ファットマン「うぉぉぉぉ!」
ジャギ「ふん。」ボゴォ
ファットマン「ぐほぉ」
エルチ「ファットマン!」

ファットマンがジャギに襲い掛かるが、仮にも北斗真拳を学んでいた
武闘家であるジャギは一撃でファットマンを気絶させる。

オボロ「うぉぉお!」ガキィィン
ジャギ「借りは返させてもらうぜ!」

オボロも剣を使って、ジャギと戦う。

他の暴徒達も物資を奪おうと迫ってくる。

アミバ「へへへ、ジャギ~目的の餓鬼は捕まえたぜ!」
アナ「離して下さい、無礼です!」
ゲイン「姫様!」

いつの間にか、アミバはアナ姫を捕まえていた。

オボロ「どういう事だ!」
ジャギ「最初から、この餓鬼を捕まえるのが目的だったんだよ~。
 目的は果たした。ずらかるぞ!」
オボロ「待て!」

外でキッド達が暴れるのも、全てはアナ姫を誘拐するのが目的だった。
目的を果たしたジャギ達は早々にアナ姫を連れて、アイアンギアーから撤退した。

ジャギ@通信『こっちは、餓鬼の確保をしたぞ!』
キッド「分かった。よ~し、お前等撤退だ!」

ジャギからの通信を受けたキッド達は撤退を始める。

ジロン「まて、キッド!」
ゲイナー「アナ姫様を返せ!」
カシマル「させないわよ!」ドドドドド
ジロン&ゲイナー「「うわぁぁぁ!」」
キッド「へへ、くやしかったら追いかけてみろ!俺達はアメリアにいるからな!」

同じくアナ姫が捕まったという通信を受けたジロンやゲイナーが
追いかけようとするが、カシマルがプラネッタで行く手を阻んだ。
そして、その間キッド達はいなくなってしまった。

ゲイナー「・・・アナ姫。」
ジロン「ちくしょー!」

ゲイナーやジロン達の悔しさが敵のいなくなった戦場で木霊した。

12

***アイアンギアー***

戦闘を終えた一同はアイアンギアーに集まり、アナ姫を取り戻すべく
アメリアに目指すことになった。

ジロン「アメリアに行ったら、ロラン達に協力してもらおう。」
ブルメ「あいつが協力してくれるなら、鬼に金棒だぜ。」

ジロン達はアナ姫を取り返すべく、大いに闘志を奮えたたせていた。

ゲイン「・・・」
ゲイナー「どうしたんですか?ゲインさん。」
ゲイン「いや、何でもない。(あいつらは何故、わざわざ自分達の居場所を
 教えたんだ?アメリアに何があるっていうんだ・・・)」

ただ一人、ゲインは何故、キッド達がわざわざアメリアにいると言ったのか
疑問に思う中、カーゴ一家とガウリ隊はアイアンギアーでアメリアへと
目指すのであった。

***ギアギア***

撤退したキッド達はアイアンギアーの同型艦ギアギアに乗り、アメリアへと
向かっていた。

???『依頼は果たしてくれたようだね。アナ姫はどうしている?』
キッド「ああ、部屋で十分なおもてなしをさせてもらっている。しかし、
  姫だけあって、小さいのに落ちついていやがるぜ。」

艦首室では、キッド達はアメリアにいる誰かと通信を行っていた。

???『そうか。ちゃんと彼等にはアメリアにいると言ってくれたね。』
ジャギ「ああ、だが何でこんな面倒な事をするんだ?」
???『彼等と私の間では、そうなるしか無いのでね。』
キッド「まぁいいさ。それより、依頼料ははずんでもらいますぜ。-グエン大統領。」
グエン「・・・」

舞台はアメリアへと続く。

○オボロ→ジャギと再び戦う。
○ジロン・アモス→キッド達と戦う。
○エルチ・カーゴ→ヤーパンの天井に物資を運ぶ。
○サンドラッド→ジロンと共にキッド達と戦う。
○ファットマン・ビッグ→ジャギに気絶させられる。
●キッド・ホーラ→依頼により、ヤーパンの天井を襲う。アナ姫誘拐後、
      ギアギアでアメリアへと向かう。
○ゲイナー・サンガ→キングゲイナーでカシマルと戦う。
○サラ・コダマ→ゲイナーと一緒にパトロールをする。
○ゲイン・ビジョウ→エクソダスの準備をしていた。
○アナ・メダイユ→ジャギ達に誘拐される。
○ガウリ隊→襲撃したキッド達と戦う。
○アデット・キスラー→キッド達が襲撃した事を知らせる。
○シンシア・レーン→ドミネーターで襲撃したWMを倒す。
●カシマル・バーレ→黄泉還って、キッド達に拾われる。ヤーパンの天井に復讐しようとする。
●ジャギ&アミバ→アイアンギアーを襲い、アナ姫を誘拐する。
△グエン・サード・ラインフォード→キッド達にアナ姫を誘拐するように指示を送る


13

【今回の新登場】
○ゲイナー・サンガ(オーバーマンキングゲイナー)
ウルグスクに住んでいたゲーマーの少年で、エクソダスに巻き込まれて
オーバーマンキングゲイナーの操縦者となる。ネットゲーム「オーバーマンバトル」
のチャンピオンで、それが操縦技術に反映されている。

○サラ・コダマ(オーバーマンキングゲイナー)
ゲイナーの同級生で、ガウリ隊に所属している。ゲイナーから恥ずかしい
告白を受け、最終的に恋人となった。

○ゲイン・ビジョウ(オーバーマンキングゲイナー)
「黒いサザンクロス」の異名を持つエクソダスの請負人。凄腕の狙撃手
で豊富な戦闘力と知識がある。結構軟派な性格で、女性を口説くか、
実は公爵家の出身で本名はシャルル・フェリーベ。親友だったアスハム
の妹を妊娠させた事で、彼から執拗に追いかけられた。乗機はエンペランザ。

○アナ・メダイユ(オーバーマンキングゲイナー)
ウルグスクの領主メダイユ公の娘。幼いながらも大人びた毅然とした
姿勢で、人質としてヤーパンの天井と行動を共にするが、かなり自由
なので、マスコット的存在。

○ヒューズ・ガウリ(オーバーマンキングゲイナー)
ガウリ隊の隊長。「ヤーパン忍法」の使い手。実はエクソダスに反対していた
ゲイナーの両親を暗殺した張本人だが、和解する。アデットとは恋人同士。

○ベロー・コリッシュ(オーバーマンキングゲイナー)
ゲイナーの親友で、ガウリ隊の隊員。実は留年しているので年齢はゲイナー
よりも年上。同じくサラに好意を抱いていたが、今は身を引いている。

○アデット・キスラー(オーバーマンキングゲイナー)
元シベリア鉄道警備隊だったが、ヤーパンの天井に参加。アデット隊を率いるが
普段はゲイナーの学校の教師をしている。また住む場所が無いので、
ゲイナーの家に居座っている。ガウリの恋人。

○シンシア・レーン(オーバーマンキングゲイナー)
シベリア鉄道公社総帥キッズ・ムントに育てられたオーバーマン乗りの少女。
「オーバーマンバトル」のクイーンの称号を持っており、子供じみた言動が多い。
純粋培養で育てられたので、当初はゲーム感覚だったがゲイナーに重傷を
負わせた事で心に傷を負う。アスハムに利用されオーバーデビルに取り込まれてしまう。
最後はゲイナー達に助けられた。乗機はドミネーター。

●カシマル・バーレ(オーバーマンキングゲイナー)
「氷の運行部長」と恐れられるシベリア鉄道の運行部長。定刻通りの
運行に異常にこだわっているモヒカンでオカマ口調なのが特徴。
エクソダスのダイヤを乱すとして嫌っており、最後はゲインによって
黒いサザンクロスを刻まれて死亡した。

△グエン・サード・ラインフォード(ターンエーガンダム)
イングレッサ領の領主の御曹司。地球に産業革命をおこそうと目論む
野心家。若年ながらその野心に見合う政治の才覚を持ち合わせていた。
当初月と戦っていたが黒歴史に魅入られ、ギンガナムに協力。しかし
戦争を傍観する立場になった事で、ギンガナムの怒りにターンXの砲撃を受ける。
戦後、墜落したメリーベルと共にガリア大陸へ向かい消息不明になっていた。
因みに少年愛傾向があり、ロランをローラと呼んで手元に置こうとした。


『アイアンギアー、捕まる』

作者・ユガミ博士

14

***アメリア大陸・イングレッサ領***

数日をかけて、アイアンギアーはアメリア大陸にはいり、イングレッサ領に
たどり着いた。かつて共に戦ったロランやソシエの協力を得ようと、
一同はハイム邸へとやってくる。

ゲイナー「おかしいなぁ?イングレッサの町が静か過ぎる。」
ジロン「たしかに、もっと賑やかな筈だけどなぁ。」

イングレッサの町はとても静かだった。ゲイナー達が不自然と思えるぐらいに
人の喧騒が無かった。そして、ハイム邸に行くが、誰も出なかった。

サラ「ソシエー、メシェー、いるの?」
ラグ「あたい達だよー!」

大声を上げて、屋敷の周辺を探すが人っ子一人いないという状況だった。

ゲイナー「ゲインさん・・・。」
ゲイン「これはもしかして・・・。」
ミリシャ兵?「貴様ら、そこを動くな!」

そこに大勢のミリシャ軍の格好をした兵士が現れ、ゲイナー達に銃を向けた。

ジロン「おいおい、いきなり何なんだ!?」
ミリシャ兵?「黙れ、お前達にはアメリア大統領の所まで来てもらうぞ!」
ミリシャ兵?「抵抗するならば、その場で撃つぞ!」
ゲイン「やはり、罠だったか。」
???「そういう事さ、黒いサザンクロスの旦那。」
ジロン「お前は、ティンプ!」

ミリシャ兵の中からジロン達の前に現れたのは、黒いガンマン風の男
ジロンの両親の命を奪ったティンプ・シャローンだった。

ジロン「何でお前がここにいる!」
ティンプ「再就職って奴だよ。イノセンスもシベリア鉄道も潰れちまったからなぁ。
  今じゃ、アメリア大統領直属の部下ってわけだ。」
ゲイン「そのアメリア大統領っていうのは、一体誰だ?俺達に何の用がある。」
ティンプ「それは、自分で聞く事だな。これ以上抵抗するなら、大事なお客様である
 小さな姫を傷付ける事になるぜ。」
ラグ「最低だね!」
サラ「アナ姫にもしもの事があったら、タダじゃおかないわよ。」

ティンプは不適な笑みを見せながら、脅しをかける。女性陣達からは
ブーイングが飛び交う。だが、アナ姫の命が関わる事なので、一同は
おとなしく大統領の所まで、連れて行かれるのであった。

15

そして夜に差し掛かり、大統領府へと連れてかれた一同は、部屋で
大統領が来るまで待つように言われる。そこへ銀髪の黒い肌をした少年が
ミリシャ兵に連れてこられた。

ジロン「ロラン!」
ゲイナー「君も捕まったのかい?」
ロラン「ジロン、ゲイナーそれに皆さんも・・・はい、僕が目を離している
 隙にディアナ様が連れてかれ、僕も捕まってしまいました。」
エルチ「ディアナ様は大丈夫なの?」
ロラン「別室で丁重におもてなしをしていると聞いています。」

少年ロラン・セアックは現在、月の女王だったディアナ・ソレルと共に
地上に住んでいたが、ある日ディアナが大統領の下へ連れてかれて、
その後、ロランも連れてかれて今に至る。

ミリシャ兵?「お前達、こちらの準備が整った。大統領室まで来てもらう。」

ミリシャ兵に連れてかれ、一同は大統領室へと入る。そして、そこにいたのは
ティンプと自分達が良く知る人物だった。

ロラン「グエンさん!」
ゲイナー「あなたが、大統領だったんですか!?」
グエン「久しぶりだね、ローラ。それに諸君も・・・とりあえず
  席に座ってくれ。」

グエンは用意された席に座る。そしてゲインが口を開いた。

ゲイン「グエン卿、あなたは確かガリア大陸の西部に渡ったと風の噂で
 聞いたが何故、大統領に?」
グエン「色々あってね。私を支援してくれる協力者のおかげで今の地位に
  ついた。」
ゲイナー「アナ姫は大丈夫なんですか?」
ロラン「ディアナ様も。」
グエン「ああ、大事なお客様だからね。会わせてあげよう。」

グエンは別室に待機させておいたアナ姫とディアナを部下に連れてこさせる。

アナ姫「ゲイナー!」
ディアナ「ロラン・・・」
ゲイナー「アナ姫、無事でよかった。」
ロラン「ディアナ様もご無事で。」

無事の姿でアナ姫とディアナと再会する事が出来て、一同は喜ぶ。

ゲイン「では、次の質問だ。町のあの静けさは何だ?住民はどこにいる。」
グエン「君らが知らないのは無理も無い。大半はホワイトドールの発掘作業を
 してもらっているからね。残りもマウンテンサイクルの発掘さ。」
ロラン「そんな・・・ホワイトドールを呼び覚ますというんですか、グエンさん!」

グエンが町の住民を使って、地中に埋めたロランが乗っていたホワイトドールを
掘り起こそうとしているというので驚愕する。ホワイトドールまたの名を
ターンエーガンダムは巨大文明を滅ぼしたと言われる月光蝶システムが搭載された
禁忌のMS。ターンXとの戦いの後、ロランは悪用されないように地中に埋めたのであった。

ディアナ「グエン卿・・・ホワイトドールを掘り起こして何をする気なのですか。」
グエン「ディアナ様・・・私は文明を復活させるにはどうすればいいかと
  考えていました。黒歴史に触れ、辿り着いた答えは大きな力を持つ事で
  起きる闘争による発展という答えを得たのです。」
ゲイナー「なっ!?」
ジロン「それじゃあ、イノセントと同じじゃないか!」

グエンの得たという答えに一同は騒ぎ、これまで平和を求めて戦った
ロラン達は怒りをあらわにする。

ゲイン「なるほど・・・だから俺達をここに呼ぶ為にアナ姫の誘拐を
 企んだのか。」
エルチ「どういう事ですか。」
ゲイン「文明を滅ぼしちまう月光蝶を持ったホワイトドール、
   伝説のオーバーデビルも倒したオーバーマン・キングゲイナー
   それを手に入れる為、こんな回りくどいやり方をしたのさ。」
ブルメ&ダイク&ベロー「「「な、なんだって~!」」」

ゲインは何故、アナ姫が誘拐されたのかようやく合点がついたと
他の皆に説明する。

グエン「願わくば、このまま私の部下になってもらいたいが・・・
   それは叶わないだろうね。」
ジロン「当然だ!」
ラグ「こんな所、さっさと出てくよ!」
ティンプ「おっと、はいそうですかと返すわけないだろう姉ちゃん!」

横に控えていたティンプが護衛のミリシャ兵達に銃口を向けるように
指示をする。一同はピンチと思った。そんな時・・・

チュドーン
ババババ

ティンプ「だぁぁ、何だいきなり!」
キッド「大変だ、突然攻撃された!」

いきなり砲撃を受けて、大統領府が揺れる。そこへキッドが現れて
何者から攻撃を受けるという報告を受ける。

ゲイン「今だ、外へ逃げるぞ!」
ファットマン「むぅん!」

その隙を突いて、ゲインやファットマン達は部屋にいたミリシャ兵を
倒し、アナ姫やディアナを連れて大統領室から飛び出した。

ティンプ「ちぃ、追うぞ!」

ティンプ達も部下を引き連れて、外へと飛び出した。

16

外へと飛び出すと、攻撃をしていたのは何とホワイトドール、そしてミリシャ
で運用されている機械人形カプルだった。

ロラン「ホワイトドール・・・誰が、動かしているんだ?」
ソシエ「私よ、ロラン!」

ホワイトドールのコックピットから顔を出したのは、ロランが地球で
使用人をしていたハイム家の次女ソシエ・ハイムだった。

ロラン「ソシエお嬢様!」
ソシエ「グエンさんから、逃げている時に発掘所でホワイトドールが
 掘り起こされたから、私が持ってきたの。」
メシェー「ロラン達がグエンさん達に捕まったていうからね。助けにきたのさ。」

カプルに乗っていたメシェー・クンと共にソシエはロラン達に説明する。
さらにそこへアインアンギアーと旧式のザクが駆けつける。

エルチ「アイアンギアー!」
ソシエ「アイアンギアーも、ギャバンさん達が取り戻してくれたわ。
  さぁ、乗ってロラン!」
ロラン「はい!ディアナ様はアイアンギアーに乗ってください。」
ディアナ「頼みます。」

ロランはコックピットに乗り込み、操縦を変わる。ディアナ達は
アイアンギアーに乗り込んだ。そこへWMブラカッリィに乗った
ティンプやギアギア、そして部下のWMやマウンテン・サイクルから
復活したMSが現れる。

ティンプ「お前ら、あいつらから機体を奪え!」
キッド「分かっている。こっちはトランスフォーメーションで対抗だ!」

ギアギアの艦長室にいるキッドは、ギアギアを人型のWMモードに
変形させる。

ジロン「俺達も出撃だ!」
エルチ「皆が出撃したら、こっちも変形よ!」
コトセット「了解!」

アイアンギアーからジロンの乗るウォーカーギャリア、ラグの乗る
ザブングル、ブルメ、ダイクの乗るトラッド11、ゲイナーのキングゲイナー
シンシアのドミネーター、ガウリ、サラ、ベローはシルエットマシン・パンサー
アデットのドーベック、そしてゲインのオーバーマシン・エンペランザが
出撃した。そしてアイアンギアーもランド・シップ形態から人型へと変形する。

ギャバン「アイアンギアーの諸君、久しぶりだな。」
ロラン「ギャバンさん、ありがとうございます。」
ギャバン「そっちも変わりはないようだな。では、行くぞ!」
チル「ウォーカーギャリアは修理したばっかだから、壊しちゃダメだわさ!」
ジロン「分かっているって!ティンプ覚悟しろよ~!」

旧ザク=ボルジャーノンに乗るギャバン・グーニーにロランはお礼を
言う。ジロンも修理を終えたばかりのウォーカーギャリアで、ティンプ
の乗るブラカッリィを睨み付けた。

ジャギ「ふん、また貴様か!」
オボロ「アイアンギアーには一歩も近づけはさせん!」

一方、オボロはドリィ、グラァと共にジャギやアミバが率いる
荒くれ共と対峙していた。

17

ティンプ「かかれ!」

ティンプの号令を合図に、戦いは始まった。

サンドラットの乗るザブングルやトラッド11、ガウリ隊のパンサーやドーベック
が後方で支援する中、ウォーカーギャリアやキングゲイナー等は前へと進む。

カシマル「ふふふ、今日こそ倒させてもらうわよ!」
ゲイン「カシマル!」

カシマル・バーレもプラネッタで、ゴラー・ゴレムを率いて出撃してきた。

ゲイナー「オーバーフリーズバレット!」バシュン
ゲイン「くらえ!」ドドドドド
シンシア「援護するよ!」

キングゲイナーのオーバーフリーズバレットやエンペランザのライフルで
ゴラー・ゴーレムやプラネッタを攻撃する。さらにドミネーターも攻撃を加える。

ジロン「ティンプ~!」
ティンプ「全く、いい加減この腐れ縁を切りたいぜ!」

ウォーカーギャリアとブラカッリィはお互いよけながら撃ち合う。一方、
人型となったアイアンギアーとギアギアはがっちりと組み合っていた。

エルチ「くっ、なんて強さなの!」
キッド「ははは、こっちは出力を強化したんでね。負けませんよ!」

ロラン「行け~!」
メシェー「この!」
ギャバン「食らえ!」

発掘したばかりで武装は少ないホワイトドールはトゲ付のハンマーを
振り回し、カプルやボルジャーノンが周囲のMSを倒していく。 

18

ジャギ「うぉぉぉ、北斗千手殺!」
オボロ「何の!」

ジャギは空中へと飛び上がり、無数の拳を繰り出すがオボロは
剣を盾代わりにして攻撃を防ぐ。ドリィやグラァは周囲のジャギ達の
部下を弓矢で応戦した。

オボロ「ぐわぁ!」
ドリィ&グラァ「「若様!」」

しかし攻撃を防いでいたが、ジャギの拳を受けてオボロが吹っ飛んでしまう。
さらにジャギ、アミバは部下と共に近づいてくる。このままではジリ貧かと
思われたその時、上空から何かが落ちてきた。

ドゴォーン

ジャギ「な、何だ!」
アミバ「何が落ちてきた!」

砂煙が晴れるとそこにいたのは、大きな甲冑を着たロボみたいな人物と
タキシードを着た長身の男性、黄色いフードの男性だった。

???「イタタタ、何処だここは?」
???「先程の場所とは違うようだが・・・」
???「・・・」

現れたのは、西暦1939年の世界から時空クレバスを通って
冥獣リーチを追っていた筈のジョセフ・ジョースター、徳川家康、
本多忠勝の3人が、何故か文明の滅んだ未来世界に来てしまった。

ジョセフ「あらら、な~んかお取り込み中みたいね。」
ジャギ「てめぇら、何者だ!」
家康「わしは徳川家康。済まぬがここがどこなのか教えてくれないか?」
オボロ「まて、何者かは知らないがそいつ等は人々に非道な行いをする賊徒だ!」
家康「何!?」
ジョセフ「た~しかに、こっちの皆さんはモロ悪役ていうブッサイクな
  わる~い顔しているけどよぅ。」
ジャギ「何だと!お前ら、こいつらをふんじばれ。」
暴徒「「「「うぉぉぉぉ」」」」

ジャギは醜いと言われたので激昂して、ジョセフ達を襲うように
部下に命令する。

家康「仕方が無い、忠勝!」
忠勝「!」ギュィィィン
ジョセフ「俺も行くぜ!」

家康の命令で忠勝は暴徒を倒していく。ジョセフも家康と一緒に暴徒を
殴り飛ばしていった。

オボロ「俺達も行くぞ!」
ドリィ&グラァ「「はい!」」

オボロ達も回復して、戦線に復帰した。

一方、アイアンギアーの方はWMやMSをあらかた倒し終えていた所だった。

ギャバン「この先に、ギャロップが止まっている。そこまで撤退だ!」
ゲイン「分かった、じゃあなカシマル!」ダダダダ
カシマル「そんな!」

ギャバンの言葉にゲインはエンペランザで、プラネッタに「黒いサザンクロス」
を叩きつける。

ジロン「決着はまた、今度つけてやるからな!」ドゴォ
ティンプ「くっ、ブラッカリィが!」

ジロンもウォーカーギャリアでブラッカリィを叩き付ける。

エルチ「そういう事なら、長居は無用ね。」
ラグ「あたいらも、攻撃だよ!」
ソシエ「援護するわ!」

ギアギアと戦っていたアイアンギアーは、全砲門をギアギアに向けて
放つ。そこへラグやソシエ達も援護射撃を加える。

ゲラバ「あ、兄貴・・・これ以上はギアギアが壊れちまう!」
キッド「くっそ~、何とかしろ!」

ある程度攻撃を終えると、アイアンギアーはランド・シップの状態に変形し
ジロン達を回収した。

オボロ「あんたらも、一緒に来てくれ。」
家康「どうする、JOJO?」
ジョセフ「他に行く場所がねぇし、ここはお供させてもらおうぜ!」

ジャギと戦っていたオボロ達もジョセフ達を連れて、すぐにアイアンギアー
に乗り込んだ。そして全速力で脱出するのであった。

グエン「これでいい・・・予定通りだ。」

大統領室からグエンは逃げていくアイアンギアーを見ながら、つぶやくのであった。

19

***アイアンギアー***

無事に撤退出来たアイアンギアーは、ギャロップと合流。ギャロップには
新聞記者のフラン・ドールや夫のジョゼフ・ヨット、等数名の人間がいた。
ソシエ達の話ではマウンテンサイクルの発掘をしていた町の住民は、
どこかに連れてかれたという。

ペロー「ひでぇなぁ、それで大統領かよ。」
ガウリ「だが、グエン卿を大統領に仕立てた協力者とは一体?」
フラン「私達も分からない。ただ、町の人達に何か催眠術をかけて
   どこかに連れて行ったのは確かよ。」
ジョゼフ「俺達は何とか身を隠して、ギャロップを持ち出す事が出来た。
 それ以上の事は残念ながら分からない。」

一同はグエンに協力する組織が何者なのかと疑問に思う。

エルチ「それで、そっちの方達は誰なの?」

エルチはオボロが連れてきたジョセフ達について聞く。

ジョセフ「俺達は旅をしていたんだが、この忠勝っていうのが、
  力尽きてしまってなぁ、墜落しちまったんだよ。」
忠勝「・・・」
ブルメ「へぇ~、空を飛べる奴がいるなんてすげぇなぁ。」
ラグ「色んな人間がいるもんだねぇ。」
サラ「ていうか、人間?」
ゲイン「(統制機構の連中か?)」
家康「JOJO、何故嘘を・・・」
ジョセフ「し~、明らかにさっきいたNYじゃねぇ。ここの事は
 よく分からないけど、とりあえず今は隠しておくのが得策だ。」

ジョセフは全く異なる世界に来てしまったので、怪しまれないように
嘘の事情を話す。一方、空を飛べる忠勝に一同は色々な反応を見せる。

ゲイナー「とりあえず、これからどうすれば・・・。」
ゲイン「まずはここから、離れよう。ガリア大陸に戻り情報を探るのと
  力を蓄える。それまで俺の知り合いのつてを使う。」
ディアナ「その方がいいかもしれませんね。いずれにせよ、
     月への連絡が出来れば良いのですが。」
ロラン「ディアナ様・・・」
ソシエ「お姉ちゃん・・・」

ゲインの提案を受け入れ、ロランやディアナ、ソシエは夜に輝く
月を見上げるのであった。

***大統領府***

一方、大統領室にいるグエンの元に一人の男が入る。

???「予定通り、彼らの手にホワイトドールが渡ったな。」
グエン「ヴィンデル大佐。」

大統領室に入ってきたのは、何とシャドウミラー隊隊長の
ヴィンデル・マウザー大佐だった。そう、グエンが大統領になれたのも、
シャドウミラーが関わっていたからである。

ヴィンデル「これで、我々の理想とする闘争が深まる事できる。」
グエン「本当にこれでよかったのか?」
ヴィンデル「ああ、彼らはどう足掻いても戦いに巻き込まれる。
 その宿命を背負ってしまったのだからな。」
グエン「月の方は?」
ヴィンデル「ギンガナム殿に任せてある。我々には黒歴史が必要だからな。」
グエン「黒歴史・・・。」

ヴィンデルとグエンはロラン達と同じく月を見上げるのであった。

○ジロン・アモス→修理の直ったウォーカーギャリアでティンプと戦う。
○エルチ・カーゴ→アイアンギアーを変形させて、ギアギアと戦う。
   その後、ロラン達を回収して撤退する。
●ティンプ・シャローン→グエンの部下となり、ブラッカリィで戦闘する。
●キッド・ホーラ→ギアギアを変形させて、アイアンギアーと戦う。
○ゲイナー・サンガ→キングゲイナーで戦闘する。
○ゲイン・ビジョウ→エンペランザで、プラネッタと戦闘する。
○アナ・メダイユ→無事、ゲイナー達の元に戻る。
●カシマル・バーレ→プラネッタでゲイナー達を襲う。
○ロラン・セアック→∀ガンダムに乗り込んで、戦闘する。
○ディアナ・ソレル→グエンに連れてこられるが、無事ロラン達の下へ戻る。
○ソシエ・ハイム、メシェー・クン、ギャバン・グーニー→ロラン達を助ける。
○フラン・ドール、ジョゼフ・ヨット→イングレッサの町の住民が連れてかれた
                    事を教える。
△グエン・サード・ラインフォード→誘拐した目的を話す。その後、ヴィンデルと会話する。
○ジョセフ・ジョースター→超未来に転移。家康、本多忠勝と共に
               アイアンギアーに同行する。
○オボロ→ジャギ達と戦闘する。
●ジャギ→オボロと戦闘する。 

●ヴィンデル・マウザー→グエンと会話する。


20

【今回の新規登場】
○ロラン・セアック=ローラ・ローラ(∀ガンダム)
ホワイトドール=ターンエーガンダムのパイロット。月の移住計画に参加した
月の少年で、ハイム家の運転手として過ごしていたが、ホワイトドールを
動かし、ミリシャに参加。やがて月と地球の争いを無くすべく行動する。
グエンによって、女装させられ「ローラ・ローラ」を名乗る。

○ディアナ・ソレル(∀ガンダム)
月の女王でディアナ・カウンターの最高指揮官。王族筆頭ソレル家の総領。
ムーンレイスの心のより所で絶大な信望を得ている。公称年齢は19歳だが
冷凍睡眠を繰り返すので、実年齢は不明。キエル・ハイムそっくりの顔で
お遊びで衣服を交換した事でそのまま入れ替わってしまう。ギンガナム
との決戦の後、キエルに月を任せ、地球に滞在する。

○ソシエ・ハイム(∀ガンダム)
ハイム家の次女。活発で死んだ父の復讐の為にミリシャに参加。
発掘されたカプルに乗る。

○メシェー・クン(∀ガンダム)
ソシエの親友で、共に飛行機を乗り回していたが、ミリシャに入隊。
ソシエと同じくカプルに乗る。少年の様にさっぱりした性格。

○ギャバン・グーニー(∀ガンダム)
ルジャーナ・ミリシャの機械人形部隊「スエサイド部隊」の隊長。
元々は飛行機乗りで、ボルジャーノンを愛機としている。女性ながら
機械人形を操るソシエに惚れ、求婚した。

○フラン・ドール(∀ガンダム)
ロラン同様、地球に帰還した女性。地球ではジャーナリストとして、
戦争を直に取材する。後に恋人であるジョゼフの子供を宿す。

○ジョゼフ・ヨット(∀ガンダム)
シド・ムンザの助手で、後ミリシャの機械人形部隊に参加。鹵獲機体部隊
ジャラピー部隊を率いて、ハイヒール(フラット)に搭乗した。フランの恋人
で戦争後、使用人を一人引き連れた状態で魚屋を営んでいるらしい。


『ラピュタ王の帰還』

作者・ユガミ博士

21

***月・冬の宮殿***

高度な産業文明が崩壊したこの時代。月には地球から移住してきた者達を
先祖に持つムーンレイスが住んでいた。ムーンレイスは月の女王ディアナ・ソレル
によって統治されているが、現在はディアナと入れ替わった地球人の女性
キエル・ハイムが治めていた。だが、ムーンレイスの首都ゲンガナムは
シャドウミラーの助力で復活を遂げたギンガナム艦隊とある男によって占有されていた。

キエル「・・・・・ハリー大尉」
???「ご機嫌は如何かな?ディアナ女王・・・いや、キエル嬢」
キエル「ムスカ大佐・・・」

冬の宮殿の一室に軟禁されているキエルは、ギンガナムによって
捕えられた親衛隊長であるハリー・オード大尉の事を内心心配していた。
そこにやってきたのは、ギンガナムと共に首都を現在、占有している軍人
――ムスカ大佐だった。

ムスカ大佐――飛行石の探索任務を帯びた特務機関の大佐だが、その正体は
かつて空中に強大な軍事力を保有していたラピュタ王家の王族の末裔で、
本名はロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ。ラピュタ王・トエル家の末裔である
少女シータを追った末、ラピュタ島を見つけ島の科学力で世界の王に君臨
しようとしたが、シータと彼女を慕う少年パズーが崩壊の言葉を口にした事で
島は崩れ、その光で目を失明し、崩れゆくラピュタ島と運命を共にした・・・・・。
しかし、気が付くと元の状態に戻っており、シャドウミラーとの接触によって、
再びラピュタ王国の復興と世界支配の野望を果たすべく、

シャドウミラーの助力を得たのであった。
そして彼が月を占有した理由は、ムーンレイスの持つ高度な科学力を手に入れる事と
冬の宮殿にある黒歴史のデータから、ある情報を得る為だった。

キエル「ムスカ大佐、あなたは何を望むのですか?」
ムスカ「ラピュタ島無き今、地上にかつてのラピュタ王国の栄華を取り戻す事。
 今はそれが私の望みだ。・・・この宮殿は実にすばらしい。美しく・・・そして
 黒歴史という過去の遺産を知る事が出来るのですからな」

不敵な笑みを浮かべながら、キエルに自身の望みを語るムスカ。
そこに大きな警報が宮殿に鳴り響く。

ムスカ「何事だ!?」
ムスカの部下A「はっ!月面に巨大な生物が出現したとの情報が・・・
 この報せにギム・ギンガナム殿が出撃いたしました」 

22

***月面***

ベムスター「キシャァァァ!!」
ナース「グルゥゥゥゥ!!」

月面には時空クレバスから出現した2体の怪獣――宇宙大怪獣
ベムスターと宇宙竜ナースが暴れ回っていた。ベムスターは月面
内部の窒素や水素などを感じ取り、エネルギーを得ようと地面に
向けて怪光線(ベムスタービーム)や爪で攻撃。ナースはとぐろを
巻いて円盤となり、下部からエネルギー弾を発射していた。

ギンガナム「怪獣など、このターンXの敵ではないわぁぁぁぁ!!!」
ベムスター「キシャァァ!!」
ナース「グゥゥゥ」

ターンXに乗り、駆けつけたギム・ギンガナムはベムスターとナースに
ビーム攻撃怒涛の攻撃を繰り出すが、ベムスターはビームのエネルギーを
吸収し、円盤状態のナースも素早く回避した。

スエッソン「先に行かないで下さいよ、御大将!」
メリーベル「なぁんだ、まだ怪獣倒してないじゃん」
ギンガナム「スエッソンにマリーベルか。ふん、まだまだこれからよ・・・・。
 おい、アイツを出せ!」
メリーベル「―!アイツだね、分かった!!」

ギンガナムの下にMSバンデットに乗るメリーベル・ガジェットと
マヒロー隊の隊長であるスエッソン・ステロが現れ、ギンガナムは
メリーベルにある命令を出す。

メリーベルとマヒロー隊が連れて来た巨大な檻。そして檻から
出てきたのは、白い獣の様な怪獣だった。

ギンガナム「満月超獣ルナチクスよ!あの怪獣を相手にせよ!」
ルナチクス「グワァァァ!!」

ギンガナムが従う怪獣の名は満月超獣ルナチクス。かつて月世界を
あったとされる月面都市文明を滅ぼした超獣で、何の因果かギンガナムが
捕え、シャドウミラーの技術を借りて自軍の兵器として運用していたのであった。
命令を受けたルナチクスはベムスターに向けてマグマ光線や目玉からミサイル
攻撃をする。攻撃を受けたベムスターは光線のエネルギーを吸収しつつ、
その爪でルナチクスにむけて反撃し、2体の怪獣による取っ組み合いが始まる。

ギンガナム「円盤の竜よ、このターンXの攻撃を受けよ!」

ギンガナムはターンXを操り、円盤状態のナースを攻撃。その攻撃が
当たるとナースは元の竜の状態となり、ターンXに巻きついて動きを
封じようとする。

ギンガナム「ふははははは、これでターンXの動きを封じたと思ったかぁぁぁ!!」

しかしギンガナムはナースの攻撃を大声で笑い飛ばし、ターンXを頭部、胴体、肩、
脚に分離して脱出。そのまま各部に搭載されているビーム砲でオールレンジ攻撃
を行う。攻撃を終えると、再びターンXに戻る。

ギンガナム「これでトドメだ!シャイニングフィンガーを味わうがいい!!」

ターンXの右腕に搭載されている多目的攻撃兵装である溶断破砕マニピュレーターを
発動させ、そのエネルギーをナースの頭部に直接打ち込むとナースは爆発と
共に倒された。

一方、ベムスターと戦うルナチクスだが、その戦いにメリーベルやスエッソンも
ベムスターに攻撃するが、エネルギーを吸収するだけで中々決まり手がなかった。

ギンガナム「ビームを吸収するというのなら・・・・これならどうだぁぁ!!」

ナースを撃破したばかりのギンガナムはマニピュレーターに内蔵してある
ビームサーベルを取り出す。武器としてではなく、切り払いによく使う
ギンガナムだが、その機動力で翻弄した後上空から勢いをつけて
ビームサーベルを振り下ろして、ベムスターの首を斬り落とし、動けなくなった
ベムスターの体はそのまま月面に倒れるのであった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ムスカの部下A「出現した怪獣2体はギム・ギンガナム殿が倒しました」
ムスカ「流石はギンガナム殿とターンXだ。実に頼もしい」
ムスカの部下B「ムスカ大佐、黒歴史のデータから、目的の情報を入手しました!」
ムスカ「よくやった!―ふふふ、見つけたぞ・・・“巨神兵”」

黒歴史のデータの中でも、特に厳重にプロテクトが掛けられているデータがあった。
だがムスカはシャドウミラーやムーンレイスの人間を使って、データのプロテクトの
解除と解析を行い、目的の情報・巨神兵が眠っているとされる場所を見つけ出すのであった。
データが指し示す場所は・・・・・・旧時代において、日本と呼ばれる島だった。
ムスカの野望が動き出す。

23

◯キエル・ハイム→ディアナ・ソレルに代わり、月を統治していたが
  ムスカ大佐とギム・ギンガナムによって、冬の宮殿で軟禁状態となる。
●ムスカ大佐→シャドウミラーの助力を得て、ゲンガナムを占有し、
   ディアナ(キエル)を軟禁。黒歴史のデータから巨神兵の眠る場所を見つけ出す。
●ギム・ギンガナム→シャドウミラーと結託して、ムスカ大佐と共に
   ゲンガナムを占有。ターンXで月面に出現したベムスターとナースを倒す。
●メリーベル・ガジェット→月面にベムスターとナースが出現したので、
   MSバンデットで出撃。
●スエッソン・ステロ→月面にベムスターとナースが出現したので、
   MSマヒローで出撃。
●ベムスター→時空クレバスを通って、月面に出現。ギンガナムの
   ターンXに倒される。
●ナース→時空クレバスを通って、月面に出現。ギンガナムの
   ターンXに倒される。
●ルナチクス→シャドウミラーの技術によって、ギンガナム軍の兵器
   として運用される。ベムスターに攻撃をする。

【今回の新登場】
◯キエル・ハイム(∀ガンダム)
 ハイム家の長女でソシエの姉。グエンの秘書に起用されるが、ディアナ・ソレルと
 瓜二つの容姿をしていた為、遊び半分で彼女と入れ替わるうちに戻るタイミングを
 失う。女王としての日々を送るうちに、双方の和解に積極的に取り組むようになる。
 ハリー・オードに思いを寄せるようになった。

●ムスカ大佐(天空の城のラピュタ)
 飛行石の探索任務を帯びた特務機関の大佐。その正体はラピュタ王族・パロ家の
 末裔で本名はロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ。表向けは紳士的な性格だが、本性は
 目的の為ならば仲間すら裏切る冷酷な性格をしている。教養に優れ、複雑な暗号を
 解読したり、射撃の腕に長けている。ラピュタの中心部に辿り着くと仲間を裏切り、
 超兵器を行使していったが、最後はシータとパズーの唱えた滅びの言葉「バルス」に
 よって放たれた光で視力を失い、海中へと落下していった。

●ギム・ギンガナム(∀ガンダム)
 ムーンレイスの武門を司るギンガナム家の総領にして、ギンガナム艦隊の司令官。
 戦いの無かった2500年間、演習のみを繰り返しており、自身の力を見せる為に
 戦いを切望していた。他人に対して高飛車な物言いや傲慢な態度をとるが
 内面に女王ディアナ・ソレルへの強い忠誠心が存在したが、最終的に武門のプライド
 と沸き立つ闘争心を優先させる。月のマウンテンサイクルで発掘したターンXに
 導かれるようにロランの∀ガンダムと戦った。

●メリーベル・ガジェット(∀ガンダム)
 ギム・ギンガナム直属の部下。月のマウンテンサイクルで発掘された
 MSバンデットに乗り込む。戦いをゲームの様な感覚で楽しみ、傍若無人
 な言動をする。ギンガナムやグエンの側にいるのは使命感や義務感等
 ではなく単なる個人的な趣味や興味からである。奇抜なアクションと髪型、
 目の周りの隈取、頭髪に付けた鈴といった外見的な特徴を持つ。

●スエッソン・ステロ大尉(∀ガンダム)
 ギンガナム艦隊所属のマヒロー隊の隊長。甘い物と弱い者いじめが
 好きな巨漢で、これまでの訓練の成果としてMSの陣形にこだわりを見せている。

●宇宙大怪獣ベムスター(帰ってきたウルトラマン)
 蟹座の爆発で誕生した大怪獣。腹部の五角形状の部分は食事用の口であり、
 窒素・水素・ヘリウムなどガスを好んでエネルギーとして吸収する。口の中の
 胃袋は何でも溶かしてしまう。口の中には吸収細胞があり、エネルギーであれば
 「スペシウム光線」等も吸収できる。頭部の角から怪光線を発射し、鋭い爪や
 嘴で相手をつつく。MATが初めて遭遇した宇宙怪獣である。

●満月超獣ルナチクス(ウルトラマンA)
 かつて月世界にあったとされている月面都市文明を滅ぼした超獣。
 月のマグマを吸収して月面から熱を奪ったとされており、地球の
 マグマ層でエネルギーを吸収して生活をしていた。体は超耐熱性の
 物質で構成されており、年に一度10月の満月のときに地上に出現。
 口から炎や400度の水蒸気を吐く。目玉はミサイルとなっており、相手
 に発射する事ができる。

●宇宙竜ナース(ウルトラセブン)
 ワイルド星人が造り上げ、宇宙を飛び回るたまに使用しているロボット怪獣。
 全身金色の竜のような姿をしており、とぐろを巻く事で直径30mの円盤に
 変化する事ができる。円盤時には下部からエネルギー弾を発射、竜形態時
 には相手に巻きついて、凄まじい力で絞め殺してしまう。地球に侵入した時は
 とある山岳地帯に降り立った。