『炸裂!ZとGの合体技!!』

作者・マザーメルザード

500

レオゲルググに苦戦する甲児たちとシャッフル同盟。

ドモン「くそっ! なぜだ!?」
アルゴ「こちらの攻撃が全く当たらん!」
ガルマ「フハハハハ…すばしっこい奴らよ!
 だがいつまでも逃げ切れると思うな。何せこのレオゲルググには
 全方位CCDモノアイで、お前たちの動きは手に取るように
 解るのだからな!」
甲児「なんだとぉー!?」
ガルマ「ハハハハハ……ん??」
デューク「あの人は…!?」

???「何をその程度の相手に苦戦してやがる坊主ども!!」

ガルマ「なんだお前は?」

男塾OBであり、現在は関東極天漠連合会長にして初代伊達組組長・
伊達臣人が、ごく少人数の子分たちを引き連れ、
槍一本を片手に現場の戦場まで様子を見に来ていたのだった。

ジョルジュ「どなたかは知りませんが、ここは危険です!
 早く避難してください!」
伊達「男塾の辞書に逃げるって言葉はねえ。
 Gショッカーの外道よ、俺が相手をしてやるっ!」
ガルマ「フフフフフ…信じられんな。その槍一本で、
 この機動戦闘獣・レオゲルググと戦おうというのか?」
伊達「…………」
ガルマ「どうも私にはお前たち日本人が解らん。これだけ欧米並みに
 合理化された社会の中で、どこかそうした前近代的な精神主義を
 捨てきれずにいる」
伊達「言いてえことはそれだけか?」
ガルマ「よかろう。望みどおり相手になってやる」

レオゲルググに単身向かっていく伊達臣人。

伊達「いいか、何があっても絶対手を出すんじゃねえぞ」
レイン「そんな、危険すぎます!
 生身で戦闘獣に立ち向かうだなんて!」
ドモン「待てレイン。ここはあの男の言うとおり、黙って見ていよう」
レイン「ドモン!?」

501

突進してくるレオゲルググを素早い身のこなしで
機体上部へと飛び乗る伊達。

ガルマ「それがどうした。こうしてくれるーっ!」

機体に取り付いた伊達を振り落とそうと、
レオゲルググの110m速射砲が伊達を狙う。

伊達「ぐっ!!」
ガルマ「そうか読めたぞ、お前の腹の内が…。
 お前はこのレオゲルググの眼である全方位CCDモノアイを
 破壊しようとしているのだな? だがそれは絶対に不可能だ。
 何故ならモノアイのレンズはわずか1cm。それもどんな爆撃にも
 耐えられるように設計されている。そんな槍一本でどうにかなる
 ものではない!」
伊達「教えてやろう。なぜ日本人が古臭い精神主義を捨てきれずにいるか。
 ……ぬうううっ!!!」

伊達の渾身の一撃が、ついにモノアイのレンズにひびを入れた!

ガルマ「モニターが消えた!? そんな馬鹿なっ!!」
伊達「気迫だ! この世に気迫に勝る武器はねえ…!!」
伊達組の子分「親分、お怪我は!?」
伊達「安心しろ。この程度…怪我の内には入らん」

アレンビー「す、すごい……! 槍だけで機動戦闘獣に勝っちゃうなんて……」
デューク「攻撃が当たるようになればこちらのものだ! ゆくぞっ!!」

502

ガルマ「おのれっ!!」

ツインビームナギナタを振り回し、胸の獅子面から炎を吹いて
暴れるレオゲルググ。

甲児「いくぜドモン!」
ドモン「応ッ!! 甲児!!」

ゴッドガンダムが翼を展開し、ハイパーモードに変わる!
Zもスクランダーのエンジン全開、飛翔するゴッドと魔神!!

ドモン「俺のこの手が真っ赤に燃えるッッ!」

甲児「勝利を掴めと轟き叫ぶゥゥ!!」

ガルマ「な、何だとッ!? こ、このプレッシャーは……うわあああ!!」

甲児&ドモン「爆熱大車輪ッ!! ゴッドファイヤァァァ!!」
レオガロス「ガ、ガルマ様……お逃げを、グギャアアアア!!」

Zが放つ渾身の大車輪ロケットパンチが、レオゲルググ胸部のレオガロスフェイスを
直撃粉砕──そのまま胸板をぶち破って貫通! 間髪入れずゴッドガンダムの
掌がスパークしながらレオゲルググの顔面を鷲掴みにし、ブレストファイヤーが
反対方向から浴びせられる!!!

ガルマ「くく……脱出……!!」

転送装置でコクピットから消えるガルマ。

レオゲルググの頭部を引きちぎり、離脱するゴッドガンダム、
Zの両腕にもロケットパンチが戻って来る。

ドモン・甲児「ヒィィィィト・エンドォ!!」

レオゲルググ・大爆発!!

503

黒煙に覆われた空に響くガルマの声。

ガルマ「……これで勝ったと思うな、マジンガー軍団、シャッフル同盟……
 いや、αナンバーズよ!! 全てのナチュラルを滅ぼすまで、我々の攻撃が
 止むことはない……他の奴らにも伝えておくがいい!!」

甲児「ケッ、おととい来やがれってんだ!」
デューク「各地のみんなから通信だ。全ての敵部隊は
 片付いた……」
アルゴ「(伊達を見て)……どこかで見たことがある顔だと思ったら、
 あんたが今のジャパニーズ・マフィアの大立者、オミト・ダテか」
伊達「そういうお前は元宇宙海賊のアルゴ・ガルスキー……フフフ、
 お互い暗黒街で噂だけは聞いていたようだな」
マリア「ジャパニーズ・マフィアって……ヤクザ屋さん!?」
伊達「安心しな……ダッカーやクライムなんていうクズ共とは違うからな」
甲児「ま、何はともあれ助かったぜ、キズのおっさん……うわっ!?」

急によろめき、倒れかかるマジンガーZ。慌ててグレンダイザーが支える。

甲児「ヘヘ……どうもさっきのでエネルギーを使い果たしちまったらしい」
マリア「何よもう、だらしないんだから……!!」
甲児「何を!!」 マリア「何よ!!」
デューク「おいおい、ケンカはよせ。……Zはグレンダイザーで運んでいくよ」
甲児「悪りい、大介さん。さあ、三輪のおっさんが来る前にずらかるとしようぜ」
 ○伊達臣人→援護攻撃により、レオゲルググのCCDモノアイが破損せしめる。
○ドモン・カッシュ、兜甲児→合体攻撃でレオゲルググを倒す。
●ガルマ・ザビ→脱出・逃亡。
●レオガロス→死亡。


『キリマンジャロの嵐』-1

作者・マザーメルザード

504

Gショッカーの総攻撃をなんとか退け、数日後。とりあえずの平穏を取り戻した日本…。

***都内の某総合病院***

手術中の灯りが消え、中から長時間の大手術を終えた
飛燕ら医師団が汗をぬぐいながら出て来た。

田沢「どうなんだ富樫の奴は――!?」
松尾「手術は成功したのか――っ!?」
飛燕「相変わらず悪運の強い人です。奇跡的に命だけは取り留めました」
松尾「や…やった! 富樫は助かったんだ――っ!!」
田沢「な――に、当たりめえだぜ! 何しろ外科手術で世界的権威の
 飛燕がその手でオペしたんだからな!!」

富樫の命に別状がないことが知らされると、
辺りはたちまち安堵と歓声に包まれる中、
飛燕はふと隣に立つ医師団の一人に話しかけた。

飛燕「ありがとう賢木先生。貴方の接触感応能力による
 適確な診断と補佐がなければ、私の力だけでは危ないところでしたよ」
賢木「いやいや、青年医師会会長直々のご期待に応えられて
 こちらも恐縮です」

この日焼けした若い青年医師の名は、賢木修二。
内務省の超能力支援研究局B.A.B.E.L.の医療研究課から派遣されて
きた医師で、レベル6の接触感応能力者(サイコメトラー)である。
困難な大手術を成功できたのは、彼の力によるところも大きかった。

飛燕「虎丸や藤堂も私のこの病院に運び込まれています。
 それに巻き添えを食った多くの人たちも多数……」
秀麻呂「くそーっ! 地球至上主義者のボケどもが――っ!!
 奴ら、目的のためには手段を選ばねえんだ!!」
田沢「しかし戦闘隊長の富樫がやられたのは大きいぜ」
松尾「ああ、当分動けやしねえだろうからな……」
???「だ、誰が……」

一同「――!?」

富樫「誰が動けねえってんだ……!!」
一同「と、富樫――っ!?」

無事に自身の手術を終えて、体中あちこちに
包帯を巻いている富樫が手術室の中から仁王立ちで現れた。

賢木「あ、あんた…その体で無茶だぜ!!」
田沢「な、なに考えてんだ!!」
松尾「10時間にも及ぶ大手術だったんだぞ!
 今無理をしたら本当に死んじまうんだぞ!
 飛燕! お前も黙ってねえで何とか言ってくれ!!」
飛燕「フッ…何を言っても無駄でしょう、その人に……。
 昔からそういう人でした」

富樫「殺せ――っ!! 外道どもを皆殺しに
 したるんじゃ――!!」

505

***太平洋・グアム沖深海***

太平洋の海底をひっそりと進む一隻の潜水艦。
非公然軍事組織<ミスリル>に所属する強襲揚陸潜水艦、
トゥアハー・デ・ダナンである。
Gショッカー海底基地の爆発に巻き込まれたと
思われていたヒーローたちは、この艦に拾われ
ある場所へと向かっていた。

007「いやー、一時はどうなることかと思ったぜ」
003「あの瞬間、001が目覚めていなければ
 私たちは今頃海の藻屑よ」

―――――――――<以下、回想シーン>

周囲に火の手が回り、崩壊寸前のGショッカー海底基地!

ストロンガー「まずい! 周囲にも完全に火が回った」
皆本「くそっ、もはやこれまでか!」

その時、003に抱きかかえられていた赤ん坊――001が
突然目を見開き、起き上がった。

001「大丈夫、おちついて」
葵「わっ! 赤ちゃんが喋った!?」
紫穂「テレパシーで話しかけてるの!?」
001「だけどボク一人の力だけでは無理だ。アギトとチルドレンの
 力も必要だ。ボクに力を貸して」
アギト「えっ、俺たちの?」
薫「よし、わかった。葵! 紫穂!」

薫、葵、紫穂、そしてアギトの4人が001の手を繋ぐ。
その瞬間、その場にいた全員が、近くの海域まで来ていた
トゥアハー・デ・ダナンまでテレポートした。

<回想シーン、終わり>―――――――――。

009「あれから001は?」
003「またぐっすりすやすやと眠っているわ」
008「しかし俺たちがGショッカーの海底基地で戦った
 ロボット兵や戦闘メカたち……。どことなく見覚えのある
 感じのものばかりだった」
006「間違いなくブラックゴーストがGショッカーにも
 一枚噛んでるネ。ギルモア博士の読みは正しかったのコトよ」
002「しっかし俺たちはいったいどこに向かってるんだ?」

506

ブリッジ要員用の居室前の廊下で、明石薫が缶ジュースを片手に
壁によっかかっていた。

薫「………」

そこへ004がやって来る。

004「よぉ、お嬢ちゃん」
薫「あの時のおっちゃん?」

004はさりげなく薫の隣りに立つ。

004「さっきは怖い顔をしてすまなかったな」
薫「………」
004「まあそうムッとした顔をしなさんな。
 せっかくの可愛い顔が台無しだ」
薫「なんだよ、冷やかしに来たのか?」
004「お前たちの眼鏡の指揮官殿から
 いろいろと話は聞いたよ」
薫「皆本から!?」

004は先ほど皆本から、薫たちがその強力すぎるパワーがゆえに、
幼少の頃より世間から隔離され、冷たい目で見られながら
辛い寂しい日々を送っていたことを聞かされた。

004「俺たちゼロゼロナンバーサイボーグも
 全員がそれぞれ過去に傷を背負っている。
 そして運命の悪戯か、ブラックゴーストによって
 強制的に機械の身体にされた。自分の意思とは
 関係なしに、超人的な力を持たせられたのは、
 俺たちもお前さんたちと同じさ…」
薫「…そっか。おっちゃんたちも苦労してるんだね」

その時、薫が背後に人がいる気配に気づいて振り返ってみると、
葵と紫穂の二人がにやにや笑いながらこちらを見つめていた。

薫「な、なんだよ二人とも…(汗」
葵「フフフッ…知らんかったわ。前々からオヤジ趣味やとは
 思っとったけど、薫自身が別の意味でオヤジに興味があったとは♪」
薫「――なっ!?」
紫穂「いい雰囲気じゃないの~♪ うっふふ~皆本さんに
 言いつけちゃおう!」
薫「…ち、違うったら、コラ~!!」

じゃれあい始めたザ・チルドレンの3人を横目に、
静かに苦笑しながらその場を立ち去る004であった。

507

***同艦内・ブリッジ***

皆本「この度はお世話になります。テスタロッサ大佐」
テッサ「いえいえ、どうかご遠慮なさらずに。
 たった今東京から連絡が届きました。無事に
 Gショッカーの日本侵攻を退けたそうです」
皆本「それはよかった」

皆本と話している、艦長席に座るあどけない笑みを浮かべる
この少女――テレサ・テスタロッサ大佐。通称"テッサ"。
このトゥアハー・デ・ダナンの設計者であり艦長である。
Gショッカー海底基地から脱出したヒーローたちを
当初の予定通り無事に拾い上げた後、あるところを目指していた。

風見「……(やれやれ、中学生のエスパー少女達の活躍を
 見せられたと思ったら、今度は高校生くらいの年頃の
 美少女艦長殿か。参ったなこれは…)」

皆本「……(声は管理官に似ているけど、性格はかなり違う感じだな)」
マデューカス「艦長、お耳を…」

副官のマデューカスがテッサに小耳で報告する。
報告を聞いたテッサはにっこりと微笑ましく笑う。

テッサ「そろそろ目的地に着きます。皆さん、お支度を」


***新拠点『α』***

トゥアハー・デ・ダナンが接舷を完了したその場所は、
誰も見たことのないような巨大な海底要塞であった!

薫「スッゲー!!」
皆本「こら薫! 勝手に動き回るんじゃない!
 迷子になるぞ!!」
薫「なんだよー! 小学生じゃあるまいし」

艦から降りたゼロゼロナンバーサイボーグたちを、
白髪で大きな鼻が特徴の小柄な老人が出迎える。

ギルモア「おおー、みんな、無事じゃったか!
 よく戻ってきてくれた!」
009「ギルモア博士!」
003「博士、いろいろと報告したいことが」
ギルモア「うむ、積もる話もあるじゃろうから、
 まずは奥の部屋で――」

508

風見「これは…」
結城「いつの間にこんなすごい要塞が作られていたとは…」

???「お気に召していただけましたかな?
 仮面ライダーの皆さん」

そこには濃紺のスリーピースにネクタイで固めた
紳士風の人物が立っていた。

茂「あなたは?」
渡「風見さん、皆さん、ご紹介します。
 こちらはこの新拠点『α』の代表の佐原正光博士です」
佐原「いやいや、代表と言っても私はあくまで
 臨時の責任者に過ぎない。はじめまして、
 佐原といいます。よろしく」
風見「こちらこそよろしく」

厚く握手を交わす佐原博士と風見志郎。

結城「しかしいったいいつの間にこんな大きな要塞を?」
佐原「あなた方も仮面ライダー1号と2号、本郷猛君と一文字隼人君から
 聞いているはずだ。星間評議会と地球との間にヒーロー連合軍を組織
 する計画が進行中であると…」
茂「その話なら聞いていますがね、それとこの要塞と
 どういう関係が?」
佐原「星間評議会から非公式な打診を受けた安保理の理事国である
 日米両政府の首脳は、地球連邦政府上層部の良識派の支援の下、
 私やギルモア博士といった科学者の有志を密かに結集し、ヒーロー
 たちの拠点となるべき場所を密かに建設していたのだよ」
風見「なるほど」
佐原「まだこの基地は未完成の部分も多く、『α』という名称も
 正式名称ではない暫定的なものに過ぎない。だが、ティターンズの
 一派に牛耳られている連邦の目を誤魔化し活動するには充分だ」
茂「確かにこいつはありがたい」
大介「………」

佐原は風見たちを見回して話す。

佐原「ところで神敬介君は?」
敬介「神敬介は俺ですが」

敬介が前へ進み出る。

佐原「君が仮面ライダーXか。君に是非とも会わせたい人物がいるんだ」
敬介「俺に会わせたい…?? いったい誰ですか?」

佐原は懐から形態を取り出すと、誰かに連絡を入れた。

佐原「…もしもし、ああ私だ、佐原だ。十凍君か?
 忙しいところすまないが、敬介君を例の所まで
 案内してあげてくれ」

509

神敬介は、十凍 京(ソゴル・キョウ) という、無作法に伸びた
長髪を後ろに結わえた青年を紹介された。その風貌は、
長期間何かの研究開発に没頭していたという感じだ。

キョウ「へえ、アンタが敬介さんか。
 いろいろと話は聞いてるぜ。よろしくなッ」
敬介「はじめまして、こちらこそよろしく。佐原博士が
 俺に会わせたいと言っていたのは君か?」
キョウ「いやいや、違うって!」
敬介「今、俺の事を誰かから聞いて知っていた
 ような口ぶりだったが、いったい誰から?」
キョウ「まあ会えば分かるって。いいから
 黙って俺についてきな」

敬介はキョウに案内され、新拠点『α』の奥の区域へと
到達する。そこは最新式のコンピューター設備がズラリと
並べられた研究施設のようであった。
――しかし、敬介ははじめてきた筈のこの場所に
明確に見覚えがあった。

敬介「まさかここは!?」
キョウ「司馬博士、連れてきたぜ!」

 

キョウの呼びかけに応えて、

かなり老齢の男性と見受ける白衣を着た科学者らしき人物が出迎えに現れた。

 

遷次郎「君が神敬介君…Xライダーか、はじめまして。 

 わしはこのα基地に所属している科学者グループの一人で、 

 司馬遷次郎というものだ。よろしく」

敬介「どうもこちらこそはじめまして。 

 佐原博士が私に会わせたいと言っていたのは貴方ですか?」

遷次郎「いやいや…わしでもないんじゃ。

  (後ろを振り返り)神教授、ご子息をお連れしたぞ!」
敬介「神教授だって! まさか!!」

???「久しいな、敬介…」

部屋中央の巨大コンピューターのスピーカーから
流れてきたのは、自分のよく知る…頑固ながらも
大きな愛情を宿していた声だった。

510

敬介「親父! 親父なのか!? するとここは――」
啓太郎の声「いかにもここは神ステーションだ」
敬介「いったいどうして」
啓太郎の声「例の黄泉がえりとやらのの影響らしい。
 私にも今でもよくは解らんのだが、ある日突然、建設中の
 『α』のメインコンピューターのサーバーに、粉々に吹き飛んで
 消滅したはずの私の意識と人格がデータとして宿っていた。
 それに気づいた佐原博士たちが神ステーションを再建し、 

 α基地とドッキングした上で、私の人格データをここに移植してくれたのだ」
敬介「そうだったのか…」
啓太郎の声「成長したな敬介。もはやあの時のような
 甘えは微塵もないようだ」
敬介「いや、俺はまだ未熟だ。つい先刻、恐るべき敵と
 再び戦場で出会った。どうしても俺の手で倒さねばならぬ
 宿敵だ。しかし俺は不覚を取った。俺は次は何としても
 勝ちたい! 親父、手を貸してくれるか!?」
啓太郎の声「無論だ。だが覚悟はいいな?
 私の課す試練は並大抵のものではないぞ!」
敬介「望むところだ!」

再会と同時に共闘の誓いを固く結ぶ父子であった。

キョウ「よかったな、啓太郎のおっさん。
 それに敬介さんも」
敬介「…ああ、そうだ。親父、彼はいったい?」
啓太郎の声「そうだな、改めて紹介しよう。
 十凍 京君といって、我々の助手を務めてくれている」
キョウ「…俺が助手って言うよりも、正確には
 ここの博士達に俺の研究を手伝ってもらってるんだ」
敬介「どういうことなんだ?」
啓太郎の声「敬介、お前もオルムウィルスの事は知っているな?」
敬介「前大戦の時に感染が広がった病原菌のことか」

オルムウィルス―――前大戦時に世界中に蔓延。
致死率98%、たとえ生き延びても感染者の遺伝子情報を完全に破壊
してしまう恐怖のウィルス。当時は生物兵器との噂も流れた。

啓太郎の声「その時、感染の拡大を押し留めると同時に、
 人類を生き延びさせるための非常の措置として、感染者の
 記憶や思考、人格、肉体の特徴などをデータ化、完全な
 データ人間=幻体と化し、量子サーバーに保存する事にした」
敬介「そんなことがあったのか…」
啓太郎の声「勿論その事は連邦の報道管制で、
 我々外の世界に生き残った一般民衆には
 伏せられていた事実だがな。知らぬのも無理はない」
キョウ「その幻体たちを元の人間に戻す事ができるのが
 リザレクションシステムさ」
敬介「リザレクションシステム…?」

511

キョウの話によれば、幻体が有する肉体および精神に関する
情報のすべてを物理変換し肉体として再現できる技術として
リザレクションシステムというものがあるらしい。
キョウたちはここでその研究開発に急ピッチで勤しんでいた。

キョウ「啓太郎教授やここの博士達には感謝してる。
 俺一人の力だけだと、正直何十年もかかるところだった」
啓太郎の声「地上で装置の開発を続けるには、
 三輪長官の目があるからな。こちらで水面下で
 研究を続けていた方が何かと都合がいい」
敬介「待ってくれ! するとそのリザレクションシステムがあれば、
 もしかして親父も元の人間に戻れるのか!?」
啓太郎の声「………」

啓太郎の声はしばし沈黙してから答えた。

啓太郎の声「敬介、既に何度も言っている通り、
 お前の知っている神啓太郎は死んだ。ここにいるのは
 神ステーションのメインコンピューターの擬似人格に過ぎん!」
キョウ「おっさん、まだそんなことを!」

敬介「…どういうことなんですか?」

 

敬介は遷次郎に尋ねる。

 

遷次郎「わしやそこのキョウ君も、元は量子サーバーの中に 

 記憶と人格を保存されていたデータ人間。

 それが元の人間の身体に戻れたのは、リザレクションシステムのおかげなのだ。 

 同じように啓太郎教授にもリザレクションを受けるように再三勧めておるのだが、

 教授は頑として首を縦に振ろうとせん…」
キョウ「敬介さんからも遠慮するなって何とか言ってくれよ」
敬介「いや、確かに親父の言うとおりだ。 

 いかにもあの融通の利かない頑固者の親父らしい」
キョウ「敬介さん…」

遷次郎「ちなみにリザレクションシステムはまだ未完成だ。 

 今も量子サーバーの中で待ち続ける多くの人々を実体化させるためには、

 まだまださらなる完成度を目指さねばならん」
啓太郎の声「敬介、これからGショッカーとの戦いは
 ますます激しさを増すだろう。私も出来る限りの
 尽力をするつもりだ」
敬介「ああ、よろしく頼むぜ!」

 

***同『α』基地内・格納後***

 

その頃、佐原博士は同要塞内の最深部にある秘密格納庫に一人佇み、

眠るように立つ2体の巨大ロボットをまじまじと見つめていた。

 

佐原「もうじき君たち兄弟2人の力を再び必要とする時が来るかもしれないな。

 ワンセブン、ワンエイト…」

ワンセブン「………」

ワンエイト「………」

???「彼らがお話に聞いていた、ワンセブンにワンエイトですか?」

佐原「そうです。貴方がよくご存知のブレイブポリスの諸君と同じく、 

 人の心を持ったロボット――我々人間にとっての大事な友人ですよ。 

 冴島危機管理監」

 

佐原博士に興味深そうに話しかけてきた、

立派な髭を生やしたダンディな中年の男性。

今は剣総理行方不明事故の現場で陣頭指揮を執り対応に当たっているはずの、

前警視総監――――冴島十三内閣危機管理監である。

 

冴島「彼らはブレインとの戦いで壮絶に散ったと聞いていましたが…?」

佐原「ええ。ですがこの新拠点『α』の建設中に近くの海域で偶然、 

 打ち捨てられるように横たわっていたのを発見し、回収したのです」

冴島「彼らは再び目覚めるでしょうか?」

佐原「わかりません。ですが私には、また彼らと手を携えて 

 共に悪と戦うときが来ると……そんな気がしてならないのです」

冴島「もしその時が来たら、勇太くんやテッカードたちも 

 きっと新しい友達が出来たと喜ぶと思いますよ」

512

○富樫源次→10時間に渡る大手術の末、一命を取り留める。
○飛燕、賢木修二→富樫源次の手術を成功させる。
○風見志郎、結城丈二、山本大介、城茂、津上翔一、乾巧、剣崎一真、
 紅渡、009、001、002、003、004、005、006、007、008、皆本光一、
 明石薫、野上葵、三宮紫穂、剣鉄也、流竜馬、神隼人、車弁慶、 巴武蔵→無事に脱出に成功。ミスリルの トゥアハー・デ・ダナンに 拾われ、新拠点『α』に到着。
○神敬介→無事に脱出に成功、ミスリルのトゥアハー・デ・ダナンに拾われ、
 新拠点『α』に到着。父・神啓太郎と思わぬ再会を果たす。
○テレサ・テスタロッサ、リチャード・マデューカス
 →トゥアハー・デ・ダナンで、仮面ライダー、ゼロゼロナンバー
 サイボーグ、ザ・チルドレンを新拠点『α』まで送り届ける。
 ミスリルもヒーロー連合組織結成計画に関わっている模様。
○アイザック・ギルモア、佐原正光→新拠点『α』に到着した
 仮面ライダー、ゼロゼロナンバーサイボーグ、ザ・チルドレンを
 温かく出迎える。
○神啓太郎→データ人格が新拠点『α』のコンピューターサーバーに
 再生されていた。神ステーションを新たに再建してもらい、新拠点『α』
 にドッキングしている。
○十凍京、司馬遷次郎→新拠点『α』でリザレクションシステムの研究開発作業に
 邁進している。○ワンセブン、ワンエイト→新拠点『α』で、再び目覚める時を待ちつつ、 今は眠りについている。○冴島十三→剣総理行方不明の事故現場で対応に当たっていると見せかけ、 実は新拠点『α』に滞在し、科学者グループと今後の対応を密かに練っている。

【今回の新規登場】
○賢木修二(絶対可憐チルドレン)
 日本政府特務機関B.A.B.E.L.の医療研究課に所属する青年医師で、
 レベル6の接触感応能力者(サイコメトラー)。皆本とは米国
 留学時代からの親友。接触感応能力と医学知識を活かし、正確な
 診断と治療を患者に施す。同じ能力者として年甲斐もなく紫穂に
 対抗意識を燃やす。また、棒術の心得もあり戦闘にも参加する。

○テレサ・テスタロッサ大佐(フルメタル・パニック!)
 傭兵組織ミスリルに所属する強襲揚陸潜水艦トゥアハー・デ・
 ダナンの設計者にして艦長。小柄でアッシュブロンドの髪と
 大きな灰色の瞳が魅力的な若干16歳の美少女。ブラックテク
 ノロジーにアクセスできる<ウィスパード>と呼ばれる存在で、
 幼少の頃から数学等に卓越した才能を見せている。

○リチャード・マデューカス中佐(フルメタル・パニック!)
 傭兵組織ミスリルに所属する強襲揚陸潜水艦トゥアハー・デ・
 ダナンの副長。痩せていて、ひょろ長い身体であり、眼鏡を
 かけている。ミスリル入隊前は英国海軍に所属していた。
 テッサの副官として、影に日なたに彼女を補佐する。

○アイザック・ギルモア博士(サイボーグ009)
 ハーバード大学生物学科卒業の天才科学者。生体工学の第一人者であり、
 『黒い幽霊団(ブラック・ゴースト)』に利用されて、ゼロゼロナンバー
 サイボーグを造った。後に良心の呵責と騙されたことに気付き、9人のサ
 イボーグとともに脱出を試みる。009たちの父親役であり、よき理解者でもある。

○佐原正光博士(大鉄人17)
 国際平和部隊レッドマフラー隊の司令官。ハスラー教授と共に
 地球環境保全を目的として巨人頭脳ブレインを共同開発するが、
 人類に反旗を翻したブレインの破壊活動から人々を守るために、
 大鉄人ワンセブンと南三郎少年をサポートする。千恵とルミと
 いう二人の娘がいる。 

○ワンセブン(大鉄人17) 

 巨人頭脳ブレインが自らの分身的存在として生み出した巨大ロボット。 

 生みの親のブレインに劣らぬ超生産能力と思考力を持ち、言葉も話す。 

 人類殲滅を画策するブレインとは逆に、「人類は地球に必要」との結論を 

 はじき出し、友達となった南三郎少年と共に人類を守るためにブレインと戦う。 

 「要塞ワンセブン」「戦闘ワンセブン」「飛行ワンセブン」

 「戦闘飛行ワンセブン」の4形態に変形する事が可能であり、

 その変形構造はティターンズのサイコガンダムにも応用されている。

 必殺技はグラビドン攻撃。

 

○ワンエイト(大鉄人17) 

 巨人頭脳ブレインがワンセブンに対抗するために、新たに作り出した弟ロボット。 

 体内に内蔵されたサタン回路によって、ブレインに絶対服従させられていたが、 

 佐原博士の手によって回路を除去してもらい、以降、兄ワンセブンとレッド 

 マフラー隊の味方になった。しかし、兄の危機を救うため、

 強敵ハーケンキラーと刺し違える形で最期を遂げた。

 

○司馬遷次郎博士=マシーン・ファーザー(鋼鉄ジーグ/鋼鉄神ジーグ) 

 邪魔大王国の侵略から日本を守るため、息子・宙をサイボーグ=鋼鉄ジーグへと 

 改造した考古学者。自身も邪魔大王国の攻撃で命を落としたが、

 生前に意識と記憶をコンピューター『マシーン・ファーザー』に移し替えていた。

 マシーン・ファーザーはビルド・ベース全機能を制御していたが、

 その50年後、再び蘇った邪魔大王国との戦いの時期には、

 なぜか元の生身の身体に戻っていた…。

○神啓太郎教授=神ステーション(仮面ライダーX)
 城北大学の教授にして、海洋科学と人間工学の世界的権威。神敬介の父。
 頑固な性格で、息子・敬介とは親子喧嘩が耐えなかったが、その心には
 息子への大きな愛情を宿している。敬介の達者な格闘技の腕前も「科学
 者にも腕っ節が必要だ」という彼の考えによるものだった。GOD機関への
 協力を拒んだため重傷を負わされるが、瀕死の状態で敬介を仮面ライダ
 ーXに改造。自らの記憶と人格を海底基地<神ステーション>に移植した。

○十凍京(ゼーガペイン)
 千葉県立舞浜南高校に通う高校一年生で、たった一人の部員として
 水泳部に所属。明朗快活、天真爛漫、直情径行、負けず嫌いの正義感。
 三崎紫雫乃と出会い、セレブラントとして覚醒。以後ゼーガペイン・
 アルティールのガンナー(機体操縦要員)としてガルズオルムと戦う。
 最終決戦を経てリザレクションシステムにより実体化した。現在は
 リザレクションシステムの研究を続けている。


『キリマンジャロの嵐』-2

作者・マザーメルザード

513

***地球連邦宇宙軍・月基地・作戦会議室***

ジュン「大変です! ダカールで戒厳令が出されました!
 現在、議会はティターンズによって占拠されています」
コウイチロウ「クーデターか!?」
ジュン「あ、ジャミトフ大将の演説が始まるようです」
コウイチロウ「モニターに出してくれ」

モニターにジャミトフの演説が流れる。

ジャミトフ「みなさん、番組をお楽しみ中のところ、
 突然おじゃましてもうしわけない。私は、ジャミトフ・ハイマン。
 ティターンズの司令官です。現在、地球が大変な危機の中にある事は、
 皆さんもご存じだと思います。Gショッカー、そしてジュピトリアン、
 さらには非ナチュラル――各種超生命体の台頭。この危機に際して、
 これまでのような体制では敵を迎え撃つ事はおろか、
 戦力を整える事すらおぼつきません。まずは、外敵に対して
 有効的な手段をとれる体制を整えなければなりません。そのために、
 本日より無期限の戒厳令を公布させていただきます。
 何とぞ、地球全国民の皆さんのご協力とご理解を願いたい」

モニターを一旦切る秋山源八郎少将。

秋山「ティターンズめ、行動が早いな」
コウイチロウ「幸いまだ、クーデターにまでは、至っていないという事か」
ブレックス「いや、違いますな。おそらく近いうちに憲法改正の評議会が
 開かれるはず。おそらくジャミトフは、そこで権力を握ろうとしているのだ」
コウイチロウ「なるほど、そのために議員連中に、金をばらまいていたわけか。
 しかし、そううまく行くかな?」
ブレックス「自信があるからこそ、今の時期に戒厳令などを布いたのでしょう。
 おそらく、金で動かなかった議員に対する脅迫を兼ねて」
ジュン「形だけは民主的にやろうってわけだ」
ムネタケ「しかし、タイミング的には悪くない。うまく議決の直後に、
 ブレックス准将が演説できれば、ジャミトフの陰謀を白日の元にさらす事ができる」
秋山「それでブレックス准将、何か強力な証拠でも?」
ブレックス「ああ、それについてはだいじょうぶです。
 獅子堂財団の協力のおかげで有力な証拠をそろえる事が
 できました。まちがいなく、ジャミトフを失脚させる事ができる」
コウイチロウ「獅子堂財団……カークウッド共栄圏最大の財閥ですな。
 あそこの総帥は若くて美人なわりに、なかなかのやり手で策士だと 聞いているがね。協力に至ってはいろいろと高い条件をふっかけ られたのではないのかね?」
ブレックス「…ええ、確かに。ただこちらにとっても
 決して悪い条件ではなかった」
ラクス「では私と共に参りましょう」
ブレックス「ラクス・クライン」

ブレックス准将と地球への同行を申し出た、
ピンクの髪に陣羽織を羽織った少女こそ、
プラント最高評議会の現議長である歌姫、
ラクス・クラインである。

ラクス「ブレックス准将はどうかエターナルにお乗りください」
ブレックス「申し訳ない。ご厄介になります」
コウイチロウ「道中のご無事をお祈りする!」

514

***新拠点『α』***

連邦宇宙軍の月基地のミスマル・コウイチロウ大将と
極秘通信を交わす弓教授と破嵐万丈。

万丈「ジャミトフの緊急演説ならこちらでも見ましたよ。ミスマル大将」
コウイチロウ「うむ。それでまもなくブレックス・フォーラ准将が地球に降下する。
 ダカールで演説を行うためだ」
弓「ダカールで? 今、ダカールは、事実上ティターンズの支配下ですぞ!」
コウイチロウ「だからこそ、チャンスなのだ。世界中が注目している時こそ、
 ジャミトフと、その背後に潜む地球教の陰謀を暴く絶好の機会だ。
 それでお願いなのだが、ブレックス准将を、新拠点『α』に匿ってはくれまいか?
 今、ブレックス准将の身に何かあれば、地球連邦政府だけでなく、
 地球そのもの自体の存亡も危うくなる。頼む、ブレックス准将を護衛してくれ」
万丈「こりゃ、ことわるわけにはいかないな」
弓「ええ、喜んで協力しましょう、ミスマル大将。それで、
 ブレックス准将を乗せたエターナルの降下ポイントは?」
コウイチロウ「キリマンジャロだ。出来ればこちらからも増援を差し向けたいが、
 ロンデニオンにあるロンド・ベル隊もナデシコチームも現在、木星勢力との
 対応に追われている。すまん……」
万丈「了解しました。お任せください」


***浅間山麓・新早乙女研究所(通称:フォーダムG)***

研究所をこっそり訪れているGGGメンバー・獅子王凱と卯都木命。

凱「どうだい、その後身体の調子は?」
リョウ「ああ、おかげさまで全員すっかり回復したよ」
早乙女ミチル「そちらはどう? 他の勇者のみんなとは連絡とれた?」
命「公的機関として動けるのはブレイブポリスと私たちGGGだけ……
 勇者特急隊はこの前の無断出撃で三輪長官にすっかりにらまれちゃったし、
 エンくんたちダグオンのみんなも自由には出撃出来ない状態ね。ダ・ガーン
 たちは眠ったままで、星史くんの呼びかけにも応じないそうなの」
リョウ「そうか……彼らの助力が得られない以上、俺たちだけで
 ブレックス准将をガードするしかないな」
凱「及ばずながら、我々GGGも全力を尽くそう。今のままでは……地球は、
 数多の侵略者と同じ運命を辿ってしまう!」

515

***東京・白河尚純邸***

ティターンズ一派の不正の証拠を握った、エゥーゴのブレックス・
フォーラ准将が近々地球を来訪するとの情報は、ここ白河尚純の
一派の元にも届いていた。彼らは当然の如く焦っていた。なぜなら、ブレックスが握るその証拠とやらが開示されれば、彼らが陥れたサコミズたちの潔白が明らかになってしまうからだ。

羽柴「白河さん! どうするつもりだね!」

国家機密庁の羽柴前長官。剣桃太郎内閣発足に伴い更迭されたが、
白河の甘言に乗り、一連の岡長官やサコミズ総監の追い落としに
彼もまた一役買っていた。

白河「…どうしたものですかな。そもそもサコミズにスパイを働いた
 事実などはなかった。それを来島さん、それに羽柴さん、あなた方
 お二人が餌のないところに餌をつげて、ありもしないスパイ容疑を
 公の場ででっち上げ、偽証したのですからな」
来島「し、白河さん! それをしろと言ったのは他ならぬ
 あんたじゃないか! "岡やサコミズの甘いやり方では
 地球は守りきれない。手を貸してくれ。決して悪いようには
 しないから"と――」
白河「さあて、そんな事をこの私が言いましたかな…」
羽柴「白河さん、この期に及んでまさか私たちを
 切り捨てるつもりか!?」
とぼけ顔で答える白河に対し、
来島と羽柴の二人は真っ青になって必死に言い募る。

白河「案じられるな。あなた方お二人の身は
 必ず守ってさしあげよう。フフフッ…」

来島「………」
羽柴「………」

516

○ブレックス・フォーラ→獅子堂財団の協力を得て、ついに
 ティターンズの不正の動かぬ証拠を握る。ラクス・クラインと
 エターナルに同乗し地球に向かう。
○ラクス・クライン→ブレックス・フォーラと同行し、
 エターナルで地球に向かう。
○ミスマル・コウイチロウ→地球の新拠点『α』に
 ブレックス准将の護衛を要請。
○破嵐万丈、弓弦之助→ミスマル提督からの、ブレックス准将
 護衛の要請を快諾。
○獅子王凱、卯都木命→フォーダムGを訪れ、ゲッターチームを見舞う。
○ゲッターチーム→すっかり回復し、ブレックス准将のガードに
 あたる模様。
●ジャミトフ・ハイマン→地球全土に戒厳令を布告。
●白河尚純、来島副長官、羽柴長官→ブレックス・フォーラ
 地球来訪の知らせを聞き、慌てる。

【今回の新規登場】
○ブレックス・フォーラ准将(機動戦士Zガンダム)
 地球連邦軍の将校。連邦政府議会の議員から軍人に転身した連邦軍士官。
 一年戦争後、スペースノイドへの反発を強めて行く連邦軍を憂い、
 反地球連邦組織「エゥーゴ」を結成、その実質的なリーダーとなる。

○ラクス・クライン(機動戦士ガンダムSEED/SEED DESTINY)
 プラントの前最高評議会議長シーゲル・クラインの愛娘であり、
 プラント全土が愛する歌姫。プラントのアイドルとして、
 柔らかな印象を持つが、ときおり毅然とした表情と言動には
 特異なカリスマの顔が覗き見える。三隻同盟軍の総司令官となり、
 現在は父の遺志を継ぎ、現プラント最高評議会議長の職にある。

○獅子王凱=(スター/ジェネシック)ガオガイガー(勇者王ガオガイガー/FINAL)
 GGG(ガッツィー・ギャラクシー・ガード)機動部隊長。
 ギャレオリア彗星観測のため宇宙航行中、EI-01と遭遇し
 瀕死の重傷を負うが、父・麗雄博士による手術と
 Gストーンの力によりサイボーグとして復活。
 地球外生命体の脅威から人類を守る戦士となる。
 その後Gストーンの導きにより超進化人類エヴォリューダー
 として生まれ変わった。

○卯都木命(勇者王ガオガイガー/FINAL)
 GGGオペレーター。獅子王凱の高校時代の同級生。
 原種との戦いで機界新種となった影響で、
 驚異的な神経細胞の自己修復能力を獲得した
 セミ・エヴォリューダーとなっている。

○早乙女ミチル(ゲッターロボシリーズ)
 コマンドマシン&レディーコマンドのパイロット。
 早乙女博士の長女。

△羽柴長官(デジモンセイバーズ)
 DATを管轄する国家機密庁の長官。だがDATとは仲が悪く、
 デジモン殲滅を唱える倉田博士に肩入れしていた。
 しかしその倉田に最終的には裏切られてしまう。


『キリマンジャロの嵐』-3

作者・マザーメルザード

517

***東京・千代田区内某所***

いよいよ公民権法案の基本案決定の日まで大詰めに迫った今日、
公民権法諮問委員会の民間メンバーである、河村武憲助教授と
著名な写真家である南原健一郎の2人を乗せたタクシーが
幹線道路を走り首相官邸へと向かっていた。

河村「いよいよ今日ですな」
南原「これで子供達に明るい未来を残してやることが出来ます。
 本当によかった」

しかし、2人はやがて自分たちの乗るタクシーが
首相官邸とはどこか別の場所に向かっているらしい事に
気づいた。

河村「…ん? おい、君! そっちは首相官邸とは
 方向が違うぞ!」
運転手「………」
南原「おい君、黙ってないで何とか言ったらどうなんだ!」

運転手は2人の問いかけに対しても不気味な沈黙を保ったまま、
やがてタクシーは郊外の人気のない廃工場跡へと辿り着いた。
そして今まで何も喋らなかった運転手が黒いサングラスをかけ、
初めて口を開いた。

運転手「我々はどこにでもいる!」

その言葉を聞いた瞬間、河村助教授はハッとなった。

河村「貴様、"普通の人々"か!?」

<普通の人々>とは、反エスパーを掲げる差別主義団体の事であり、
河村助教授もかつてはそこに在籍していた。
そしてタクシーはいつの間にか、運転手と同じ黒いサングラスをかけ
鉄パイプ等の凶器で武装した物騒な男達に囲まれていた。

南原「私たちをどうするつもりだ!?」
運転手「裏切り者・河村武憲、そしてその仲間・南原健一郎。
 世を乱す国賊のお前たちにこれより天誅を加える―――
 ―――と、言いたい所ですが、我々に協力さえしていただければ
 命だけはお助けしても構わないのですがねえ…」
河村「断る! 何を企んでいるのかは知らんが、
 私は愛する家族を守るため、お前たち差別主義者とは
 最後まで断固として戦うぞ!」
運転手「そのご家族にも危険が及ぶとしたら、
 どうでしょうか?」
南原「どういうことかね!?」
運転手「我々の要求を呑まないと、河村先生のご子息のタケシくんは勿論、
 南原先生のお嬢さん、その嫁がれた先で生まれた可愛いお孫さんにも
 危害が及ぶかもしれないという事ですよ。フフフ…」
河村「――な、なんだと!?」
南原「き…貴様あっ!!」

518

その時、バイクに乗った青年が現れ、バイクから降り
ヘルメットを脱ぐと、タクシーを取り囲む普通の人々を
瞬く間に蹴散らし始めた。驚き慌ててタクシーから降り
駆け寄る運転手。

運転手「な、なんだ貴様は!? ――う、うわあああっっ!!!!!」

その青年は運転手をノックアウトすると、河村と南原の2人に近寄る。

太牙「お2人ともご無事でしたか。よかった」
南原「登君…登太牙君か!」
河村「ふぅー、危ないところだったが、おかげで助かった。
 ありがとう」

河村と南原の窮地を救ったこの青年の名は、登太牙。
巨大投資企業『D&P』の若き経営者であり、
彼もまた公民権法諮問委員会の民間メンバーの一人である。
しかし、その様子を物陰からカメラを構えながら
こっそりと伺っている男がいた。
悪徳ジャーナリストのヒルカワである。

ヒルカワ「公民権法諮問委員会のメンバーの一人で
 D&Pのイケメン若社長として有名な登太牙……こいつの
 正体が実はファンガイアだったとすれば大スクープだぜ。
 さあ、早く変身して見せろ…」
葵「なにこそこそせこい盗撮なんかしとんねん、おっさん!」
ヒルカワ「――なっ!?」

驚いたヒルカワが背後に振り返るとそこには、
三人組の少女とその青年指揮官――ザ・チルドレンと皆本光一の姿が!

ヒルカワ「な、なんだお前たちは!?」
皆本「蛭川光彦だな? お前には名誉毀損及び殺人教唆の他
 数々の容疑が掛けられている。直ちに身柄を拘束する!」
ヒルカワ「ち、ちくしょう! この野郎!!」
葵「ほいっ!」

ヒルカワは足元に落ちていた鉄パイプを拾い、皆本に襲い掛かるが、
葵がとっさにテレポートをかけ、ヒルカワの身体をコンクリートの
壁にめり込ませて動けなくした。

ヒルカワ「ど、どうなってんだこりゃ!!」
薫「どんなもんだい! ざまあみろ!」
ヒルカワ「バベルの特務エスパーか!? くそっ!!」

ジタバタ必死にもがくヒルカワだが、やがて不気味に
クスクスと笑い出した。

ヒルカワ「くっくっくっ………」
紫穂「何がおかしいの?」
ヒルカワ「今更俺を捕まえた所でもう遅いぜ。
 事態は既に動き出してんだよ」
葵「負け惜しみや。気にする事あらへん」

しかし不敵に構えるヒルカワの態度が気になった紫穂は、
念の為ヒルカワに触り心を読み取ってみる。

紫穂「………」
ヒルカワ「なにしやがる?」
紫穂「――!! 皆本さん大変! こいつら、
 生き証人の口を塞ぐつもりだわ!」

519

その日の夜遅く……。

***白河尚純邸***

来島「どういうことかね南さん、こんな夜更けに…」
南「ご心配はご無用。万が一の場合に備え、
 あなた方お2人を夜陰に紛れて安全な場所に
 匿うようにとの、白河先生のお言葉です」
羽柴「いったい我々をどこへ?」
南「着けばわかります。さ、早く車にお乗りください」

南雅彦に促されるまま、来島と羽柴の2人は
用意された車に乗り込み、白河邸を密かに出発した。
邸を出た車を見送った南雅彦の口元が一瞬ニヤリと
笑った事などに誰も気づかぬまま…。

***某山奥の谷***

やがて夜明けとなり、何時間も高速道と山深い山道を走り続けた車は、
人里から遠く離れた高い山奥の谷間の上へと辿り着いた。

運転手「さあ着きました。降りてください」
来島「ここはいったい…?」

車から降りると、そこには崖の遥か下の方に流れる
谷底の川が見える以外は全く何もなかった。
車から降り、呆気に執られている2人を
白衣を着た怪しげな中年男――倉田が出迎える。

倉田「お久しぶりです羽柴長官…あ、いや、
 今は前長官でしたっけねえ。それに来島副長官も
 どうもはじめまして」
来島「…誰だね君は?」
羽柴「――き、君は!!」

520

倉田の顔を見て驚く羽柴。

倉田明宏博士――かつて羽柴長官の下で
デジタルワールド侵攻作戦を指揮した狂気の科学者。
最後は羽柴の事も平然と踏み台にして裏切り、
世界征服の野望を実行に移すも、DATとの戦いに敗れた。

羽柴「…ど、どうして君がここに!?」
倉田「単刀直入に申し上げましょう。
 あなた方お2人を地獄へお送りするためです」
羽柴「――なっ!!」
倉田「言ってみれば、すぐそこに見える谷底の川が、
 これからあなた方お2人が渡る事になる三途の川です。
 誰もあの世まで追ってはいけませんからね。
 これ以上安全な場所など他にはないでしょう」
来島「おのれ、謀ったな!!」
羽柴「くそーっ! 白河めえっ!」

羽柴は懐から拳銃を取り出し、倉田に向けて数発発砲。
しかし倉田配下のギズモン部隊が盾となり、その頑強な
ボディが当たった弾をはじく音だけが虚しく周囲に響き渡る。
そしてあっという間に羽柴の銃は弾切れになった…。

羽柴「…あ、あわわわわ!!!!」
倉田「無駄な足掻きはやめて大人しく往生なさい。フフフッ…」
来島「だ、誰かあっ! 誰か助けてくれええっっ!!!!」

悲鳴を上げながら逃げ惑う来島と羽柴に迫るギズモンの群れ。
しかしそこへサイレン音と共にZACローダーが到着。サイバーコップが駆けつける。

サターン「バベルから緊急連絡を受けてきたが、
 どうにか間に合ったか」
マーズ「来島、羽柴の両氏は大事な生き証人だ!
 こちらで貰い受ける!」
倉田「…む! あなた方が噂に聞くサイバーコップですか。
 でも私の最高傑作であるギズモンシリーズの敵ではありません!
 殺っておしまいなさい!!」

ギズモンたちと戦うサイバーコップ。
マーズのトライショットがギズモンをハチの巣にし、
サターンのディスクラッシャーの高速回転の刃と、
マーキュリーのスラッシュキャリバーの鋭い剣が
ギズモンたちを景気よく次々と真っ二つに切り裂いていく。

倉田「チッ…今回は華を持たせてやりましょう!」

倉田は混乱に紛れて撤収した。

521

***警視庁・取調室***

サイバーコップに無事身柄を保護された来島と羽柴の2人は、

ZACの織田久義隊長も立ち会う中、正木警視監から直々に取調べを受ける。

来島「…し、知らん! 私は何も恥じる事などしてはいない!
 全ては組織のために、自分の良心に従って行動したまでだ!」
羽柴「今すぐ弁護士を呼べ!」

なかなか興奮が収まらない2人を説教する正木。

正木「来島さん、それに羽柴さん、 今も多くの若者達が明るい未来を信じて
 懸命に戦っています」織田「それに引き換え、保身に汲々とし、
 私利私欲のために悪事にも加担する人間には
 必ず天の罰が下る。恐ろしい事だとは思いませんか?」
来島「くっ………」
羽柴「………」

正木と織田の一喝で、がっくりと項垂れ黙り込む来島と羽柴。

正木「いずれあなた方お2人にも、自分の取った行動の
 責任はしっかりと取っていただきますよ」

522

○河村武憲、南原健一郎→白河の放った普通の人々に襲われるが、
 登太牙に救われる。
○登太牙→普通の人々に襲われていた河村武憲と南原健一郎を助ける。
○ザ・チルドレン→ヒルカワを捕縛。生き証人の口封じを画策する
 白河の陰謀を察知し、サイバーコップに通報。
○サイバーコップ→バベルから通報を受け、来島と羽柴の両名を保護。
○正木俊介、織田久義→警視庁で来島と羽柴の両名を取り調べる。
●ヒルカワ→登太牙がファンガイアである事を世間に暴こうとするが、
 ザ・チルドレンに捕縛される。
●南雅彦、倉田明宏→白河の命令で、来島と羽柴の両名を口封じのために
 殺害しようと謀るが、駆けつけたサイバーコップの妨害を受け、失敗。
△来島副長官、羽柴長官→白河に裏切られ、口封じのために殺されそうに
 なるが、危うい所をサイバーコップによって身柄を確保される。その後
 警視庁に移送され事情聴取される。

【今回の新規登場】
○南原健一郎(巨獣特捜ジャスピオン)
 著名なフリーカメラマン。山中で偶然にも黄金の鳥を撮影した事から
 マッドギャラン軍団に狙われる事となるが、家族との平和な生活を
 取り戻すために、積極的にジャスピオンに協力する。かの子と健太
 という2人の子供がいる。

○登太牙=仮面ライダーサガ(仮面ライダーキバ)
 巨大投資企業『D&P』の若社長。その正体はファンガイア族の
 頂点に立つキング。紅渡の異父兄に当たる。当初は人間の事を
 家畜・食料としか見ていなかったが、その後、弟・渡との決闘を経て
 和解し改心。現在はライフエナジーに代わる新エネルギーの開発を
 進めるなど、人間とファンガイアが共存できる世界を模索している。
 運命の鎧と呼ばれる<サガの鎧>を身に纏い、ヘビがモチーフの
 仮面ライダーサガに変身。後にダークキバの力も手にした。

●倉田明宏博士(デジモンセイバーズ)
 元デジタルワールド探検隊の一員だったが、デジモンを凶暴な生物と
 思い込み、対デジモン兵器・ギズモンシリーズを開発、デジモンの
 絶滅を企む。デジモンと人間との間に亀裂を生み出した元凶。人間と
 デジモンの融合体であるバイオデジモンを開発し、自らも七大魔王の
 一体・ベルフェモンと融合した。

●ギズモンシリーズ(デジモンセイバーズ)
 倉田博士が捕獲したデジモンを改造して造った人工デジモン兵器。
 成熟期のAT型と、完全体のXT型の2タイプが存在する。


『キリマンジャロの嵐』-4

作者・マザーメルザード

523

***キリマンジャロ・降下地点***

凱「あれは?」
ボルフォッグ「隊長、エターナルが到着したようです」

待ち合わせの予定地点にてブレックス・フォーラ准将一行を
待ち受けるGGGとゲッターチーム。彼らの視界に
降下してくる全面ピンク一色の特殊高速艦が確認できる。
前大戦時にフリーダム、ジャスティス両機の運用艦として
利用されていたクライン派の旗艦――エターナルである。

***エターナル・艦橋***

ブレックス「おお、GGGとゲッターチームが護衛を
 引き受けてくれたのか。それは心強い」

自分たちを出迎えた護衛部隊の機影は
エターナルの側からも確認できた。

キラ「シンは連れて来なくてよかったの?」

指揮官席に座るラクス・クラインに、側に寄り添う
白服に身を固めたキラ・ヤマトが言葉を掛ける。

ラクス「わたくしもそれを考えましたけれど、
 オーブからの連絡では、ステラさんはダカールにはお出でにならず、
 フラガ一佐と共にオーブに残られるそうです」
キラ「そうなんだ…」

ステラ・ルーシェはシン・アスカと運命的な出会いをした
ブルーコスモス派の特殊部隊ファントム・ペイン所属の
少女であり、ベルリンでの戦いで命を落しかけたが、
破嵐万丈の助力によって奇跡的に救出されていた。

ラクス「ミネルバにも万が一の際に備えて、
 プラントの防備に就いてもらわねばなりません」

ラクスの言う「万が一」とは、ダカールでの地球連邦総会で
ティターンズ派の排除に失敗した場合の事である。
その時は当然、総会に出席した自分たちの命もないであろう。
プラントや日米など反ティターンズ派各国首脳は、その場合は
それぞれの本国に残った第二陣が、イカロス基地に滞在する
地球大公ニルバール・ネフュー中将を担いでロゴスへの
抵抗を続ける旨を事前に示し合わせているが、最悪そうなった
場合に備え、それぞれの本国を守る役割を担うのが、オーブで留守を守る
フラガたちや、プラント本国に残留するシン・アスカたち
ミネルバクルーなのである。

ラクス「それにルナマリアさんが嫉妬なさっても困りますし…」
キラ「でもステラがシンに懐いているのは、兄に対する
 妹みたいなものだし」
ラクス「あらキラ、たとえ"兄に対する妹"みたいなものだとしても、
 女性にとっては心中穏やかではないものですわ」

ラクスは冗談めかしてキラに女心をレクチャーする。

524

凱「フォーラ准将、ラクス・クライン、新拠点『α』までは、
 我々が責任を持って護衛させていただきます」
バルトフェルド@通信「ああ、よろしく頼むぞ!」

凱からの通信にエターナルのバルトフェルドから
応答が返る。

ボルフォッグ「レーダーに反応!!」
凱「マラサイが2機……ティターンズだな」
ハヤト「早速敵さんのお出ましか!」

指揮官仕様のマラサイ2機と、
それに率いられたハイザック数機が姿を現す。

ジェリド「あれか、情報にあったのは」
カクリコン「GGGとゲッターチームがいるって事は、あれには間違いなく
 ブレックス・フォーラが乗っているとみた」
ジェリド「ああ、間違いない。でなきゃ、
 GGGとゲッターチームまでいるわけないからな。
 ちょうどいい、まとめてやっちまおうぜ!」
カクリコン「待て、今、本部に救援を要請した。もう少し戦力が整うまで…」
ジェリド「はん、あのピンクのふざけた艦さえ落としちまえばいいんだよ。
 ちんたらしてても、しょうがねえぜ! 地表に降りるまでが勝負だ!」

氷竜「こんな所で、戦いをしかける気か!?」
炎竜「まずいな」
凱「何としても、エターナルを守り抜くんだ!」

一方、エターナルでも。

キラ「ラクス、僕も出るよ!」
ラクス「お願いします」

愛機ストライクフリーダムのコックピットに飛び込んだキラは、
電源を入れ、すばやく各部をチェックする。

キラ「……原子炉臨界、パワーフロー正常。全システム、オールグリーン。
 "ストライクフリーダム"システム起動!!」

機体がカタパルトに運ばれ、ゆっくりとハッチが開く。

<進路クリアー。X20A"ストライクフリーダム"、発進どうぞ>

アナウンスと共にグリーンのランプが灯り、
ストライクフリーダムは一気に戦場へと躍り出る。

525

○ブレックス・フォーラ、ラクス・クライン、キラ・ヤマト、
 アンドリュー・バルトフェルド→エターナルでキリマンジャロに降下。
○獅子王凱、氷竜、炎竜、ボルフォッグ、流竜馬、神隼人、車弁慶
 →キリマンジャロでエターナルを出迎える。
●ジェリド・メサ、カクリコン・カークラー
 →ブレックス・アォーラの乗ったエターナルの降下ポイントを奇襲。
 GGG及びゲッターチーム、ストライクフリーダムと交戦状態に。

【今回の新規登場】
○氷竜(勇者王ガオガイガー/FINAL)
 GGG機動隊員。超AIを搭載したビーグルロボ。
 パワークレーンを搭載したビークルマシン形態に変形。
 炎竜よりも僅かに機動時間が早かったため、
 炎竜を弟と認識している。炎竜とは対照的に
 冷静沈着な性格をしている。

○炎竜(勇者王ガオガイガー/FINAL)
 GGG機動隊員。超AIを搭載したビーグルロボ。
 パワーラダーを搭載したビークルマシン形態に変形。
 熱血漢で、氷竜と共にレスキュー活動等で活躍する。

○ボルフォッグ(勇者王ガオガイガー/FINAL)
 GGG諜報部所属のビークルロボ。パトカー形態に変形。
 プロジェクションビームや素粒子ZOを探知するセンサー等を内蔵。
 口調は誰に対しても丁寧である。ガングルー、ガンドーベルと
 合体してビッグボルフォッグとなる。

○キラ・ヤマト准将(機動戦士ガンダムSEED/SEED DESTINY)
 コロニー・メンデルにおける遺伝子操作実験の結果生まれた、
 唯一とされる最高のコーディネイター=スーパーコーディネイター。
 ZGMF-X20Aストライクフリーダムガンダムのパイロット。
 第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦をはじめとする数々の
 戦績は伝説的な威名として轟いている一方、敵機のコクピットを
 狙わない不殺主義を貫いている。

○アンドリュー・バルトフェルド(機動戦士ガンダムSEED/SEED DESTINY)
 元ザフト北アフリカ駐留軍司令官で、「砂漠の虎」の異名を持つ智将。
 ラクス・クラインの軍師・参謀的存在にして懐刀。エターナルの艦長を
 務める。左腕の義手の中に銃を仕込んでいる。実は密かなアイドル
 オタクであり、ミーア・キャンベル扮する偽ラクスのファンクラブ
 会員限定発売のビデオクリップを入手していたりする。

●ジェリド・メサ中尉(機動戦士Zガンダム)
 エリート組織ティターンズの中でも特に上昇志向の強い青年将校。
 成績が優秀すぎるあまり他人を見下す性癖があり、また自分のやり方に
 こだわるあまり、現場で変化する情勢に柔軟に対応しきれない面をもつ。

●カクリコン・カークラー中尉(機動戦士Zガンダム)
 グリプスでガンダムMk-IIでの訓練をしていたティターンズのパイロット。
 ジェリドの僚友だが、先輩的な言動をみせる。


『キリマンジャロの嵐』-5

作者・マザーメルザード

526

***キリマンジャロ・降下ポイント***

超竜神「ダブルトンファー!!」
ビッグボルフォッグ「必殺! 大回転魔断!!」
リョウ「ゲッタートマホーク!!」

ボッドから次々とミサイルを吐き出し攻撃を集中させてくるハイザック
の群れから、エターナルを懸命に守るGGGとゲッタードラゴン。

ダコスタ「ミサイル、さらに来ます!」
バルトフェルド「迎撃! 面舵10、下げ舵20!」

迎撃システムがミサイルを叩き落し、艦が衝撃に揺さぶられる。
敵の砲撃の熱線が回避する船体を掠めていく。

バルトフェルド「敵MSを取り付かせるな! 対空、かかれ!」

一方、ストライクフリーダムも、敵機の攻撃をビームシールドで受け流し、
加速し、旋回し、急転。ハイザックの脇を駆け抜けながら、抜き打ちに
ビームサーベルで敵機の武装を叩き切り、次の瞬間にはその両手に
ライフルがグリップされ、対角線上の敵を同時に討ちぬく。

キラ「当たれぇぇぇっ!!!!!!!」

キラの叫びと共に、宙に散ったドラグーンの矢が光の矢を射掛ける。
その無数の光の矢に包まれるように灼き潰され、蹴散らされていく
ティターンズのMS群。

ジェリド「ちっ、失敗か!」
カクリコン「くっ、さすがだな! 脱出する!」

あっさり撤退していくティターンズ。

ブレックス「ありがとう、GGGにゲッターチームの諸君。おかげで
 助かった。すまないが君たちの新拠点『α』までよろしく頼む」

予想された敵の襲撃を退けたものの、その喜びとは裏腹に、
一同の腹の底に寒々しい奇妙な感覚が忍び込む。

キラ「バルトフェルドさん」
バルトフェルド「キラ、やはりお前もそう思うか?」

ビッグボルフォッグ「隊長、どうも様子が変です。先ほどの
 ティターンズの部隊からは、殺気・闘気といったものが
 まるで感じられませんでした」
超竜神「それにこうもあっさり退却するとは……」
凱@ジェネシックガオガイガー「超竜神、ビッグボルフォッグ、
 確かにお前たちの言うとおりだ。何かがおかしい。俺たちは
 どこかで誰かに見張られている。それは確かだ…!」

527

***伊豆・地球連邦軍極東基地***

現在のキリマンジャロでの様子を
衛星中継で眺めている三輪長官と白河尚純の二人。

三輪「ワッハハハ…まさに計画通りだな。
 仕組まれた罠とも知らずに」
白河「その一帯にはあらかじめ小型の原子爆弾が仕掛けてある。
 一瞬にしてブレックス・フォーラ諸共跡形もなく吹き飛ぶがいい」


***再び、キリマンジャロ・降下ポイント***

キラ「――これは!?」
凱@ジェネシックガオガイガー「……!! 准将、早く脱出を…うわっ!?」
ブレックス「何っ!? うおっ!!!!!!!!」
                               ヽ`
                              ´
                               ´.
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
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528

***再び、伊豆・地球連邦軍極東基地***

白河「終わったな。これで我々の勝利は決定的なものとなった」
三輪「乾杯だな白河先生。これでもう誰も
 ロゴスに逆らおうとする者はいなくなるだろう」

突然基地全体にサイレンが鳴り響いた。

ティターンズ兵「只今、岸田長官と佐竹参謀が到着されました」
白河「ちょうどいいタイミングだ。通したまえ」

岸田長官と佐竹参謀が司令室に通される。

岸田長官「白河先生、話は今聞いたぞ!
 ブレックス・フォーラとラクス・クラインを
 暗殺したというのは本当かね!!」
白河「暗殺とは人聞きの悪い。地球連邦に対する
 重大な反逆者とその一味を、法と正義の名において
 処断したのです」
佐竹「し、しかし…ブレックス・フォーラはともかく、
 ラクス・クラインはプラントの最高評議会議長をも
 務める女。そんな事をしたらプラントのザフト軍だって
 黙ってはいないぞ」
三輪「2人ともこの期に及んで何を慌てふためいておる?」
岸田「――な、どういう意味だ!?」
白河「岸田長官、それに佐竹参謀、あなた方お2人も
 後には退けぬ所まで来てしまっているのです。
 ここまで来たらもう一蓮托生。今後も我々同志と
 行動を共にしていただきます」
岸田「…そんな、私は何も聞いては」

自分たちの知らぬ間に、白河たちの企みに引き込まれていたと気づく
岸田長官と佐竹参謀であったが、もう後の祭りである。

白河「なんだ、この騒ぎは?」
ティターンズ兵「大変です! 表にマジンガーとグレンダイザーが!」
三輪「なんだと!?」

529

マジンガーZにグレンダイザーだけではない。
シャッフル同盟、さらにはバトルフィーバーロボやサンバルカンロボなど、
歴代軍属のスーパー戦隊巨大ロボットたちが外に居並んでいた。
イカルガ・ジョージやカザマ・マリナたちGUYS JAPANのOBたちもいる。
まるで現在の極東連邦軍を支配する三輪長官一派を威圧するかのように……

甲児「出て来い! 三輪長官!!」
三輪「貴様ら! これは一体何の真似だ!?」
バルイーグル「三輪長官。我々スーパー戦隊は以後、貴方の指揮下を離れ、
 独自に行動します!」
三輪「何だと!? そんな事は許さん!!」
オーレッド「三輪長官、あのジャミトフの演説をお聞きになったでしょう。
 今の地球連邦政府はティターンズの……」
三輪「そんな事は関係ない! 軍人は命令には絶対服従しなければならないのだ!
 この三輪防人の目が黒いうちは、断じてそのような反逆行為は許さん!
 どうしてもというのであれば、この私を倒してからにしろ!」
三浦参謀長「…では、三輪長官には伊豆の極東支部から退去していただきます。
 後は長官のご自由に。それならよろしいですね?」
三輪「ふざけるなっ!!」

顔面を真っ赤にして怒り狂う三輪長官。

三輪「いったい誰だ! 奴らを扇動した反逆者は!?」
???「ワハハハハ…それはこのわしが許したのだ!!」
三輪「お、お前は!?」




     __――――――          /\/\/\/\/\/\/\/\/\/\
    /            \       /
   /               \     )
   /_         __     |    (
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/ _  \   /  /\|||||   |  \
|/  \_|| ||||_/       /\   )
 < ̄o ̄>   < ̄o ̄>  |   |  (
  /  ̄ ̄/       ̄ ̄    | ∂ |  )  わしが男塾塾長江田島平八である!!
 (  /(_⌒)\     /   ) ) | (
 | === ====     | (  |  )
  ( || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ||     (_/  (
   || |  ̄ ̄ ̄⌒ ̄| ||    |      )
   || |         | ||    |    (
   || |         | ||     |    )
   ||  )  /⌒⌒|   | ||     |   (
   || /  /     |_ / ||     |   )
   || ヽ ̄⌒ ̄ ̄ /  ||     /   \/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\
   ||  ヽ ̄ ̄ ̄ ̄/  ||    /
    \   ̄ ̄ ̄        /
      \________ /

530

ここで鎧兜に身を固めた男塾塾長・江田島平八と、
学ラン姿の男塾OB軍が総登場する。

一同「男塾見参!!」

三輪「やはり貴様だったか、江田島平八!!」

江田島「三輪防人! 私的な判断による軍の運用、ならびに捕虜虐待、
 そして民間人への度重なる人権無視…。男塾の名において
 ここに貴様を成敗してくれよう!」

三輪「何をしておる!! 早く奴らを撃ち殺さんかああっ!!!」

伊達「見せてやるぜ!」
赤石「男塾の真骨頂をな!」

三輪長官配下のティターンズ兵と直ちに戦闘に入るが、
所詮並みの兵隊が百戦錬磨の男塾OBに勝てる訳がなかった。
傍にいるスーパー戦隊やスーパーロボットのパイロットたちも、
見ているだけでほとんど何もすることがない……。

三輪「……!!」

豹馬「つ、強ええ。なんて強さだよあの人たち」
甲児「素手や刀で鉄砲に勝っちまうなんて……!?」

富樫「えらく手こずっちまったぜ。こんな雑魚ども相手によ」
飛燕「フッフフ…仕方ないでしょう。気ばかり若くても、
 体はみんなもういい年なんですから」
松尾「ハハハハハ」
江田島「どうやら勝負あったようだな。残るは貴様と
 白河の二人だけ。さあどうするつもりだ?」
赤石「腹くくれや。俺たちを本気にさせた後悔は、地獄でするがいい」

三輪「く、くそっ!!」

白河「慌てることはないよ、三輪長官」

531

白河が司令部の建物の中から出てくる。

三輪「おおー、白河先生!!」
白河「江田島先生、私の勝ちです。たった今キリマンジャロに仕掛けられた
 原子爆弾の起爆スイッチを、この私が押しました」
甲児「なんだって!?」
さやか「そんな…ゲッターチームやGGGのみんなは!!」
ちずる「キラくんやラクスさんたちは!?」
白河「ブレックス・フォーラ准将の証言さえなければ、
 もはや我々に恐れるものは何もない。まもなくティターンズの
 機動部隊が日本を武力制圧すべく上陸を開始します。
 これで名実共に影の地球連邦政府が光の中に現れるのです」
江田島「そいつは無理じゃわい。いくら待っても応援は来やせんぞ」
白河「なんだと?」
江田島「我々も日本の海域を完全に封鎖する。世界最強、
 米国第7艦隊によってな!」
三輪「何をたわけたことを! 第7艦隊が貴様ら如きのために
 動くわけがなかろーがっ!」


***太平洋上・米国第7艦隊旗艦・ブルーリッジ***

日本列島を攻略するはずだったティターンズの機動部隊を圧倒し、
徐々に敵を殲滅しつつある米国第7艦隊。

海軍士官「これが国防長官にバレでもしたら、なんと説明なさる
 おつもりですか、司令官殿……」
J「男塾は俺にとって父であり母である。親孝行するのに説明など要らぬ!」

532

○ブレックス・フォーラ、キラ・ヤマト、ラクス・クライン、
 アンドリュー・バルトフェルド、マーチン・ダコスタ、流竜馬、
 神隼人、車弁慶、ガオガイガー、超竜神、ビッグボルフォッグ、
 →あらかじめ罠として仕掛けられていた核爆弾の爆発に
 巻き込まれる。果たして、その生死は…!?
○日本国内のヒーローたちは、男塾OBの呼びかけに応じ、
 その全面支援を受けて、ついに三輪長官に反旗を翻し総決起。
○J→米国第7艦隊を率いてティターンズ日本侵攻部隊と
 太平洋上にて交戦状態に突入。

●ジェリド・メサ、カクリコン・カークラー
 →頃合を見計らい撤退。
●白河尚純、三輪防人→キリマンジャロにあらかじめ
 小型の原子爆弾を仕掛け、ブレックス・フォーラを
 降下してきたエターナルごと吹き飛ばす。

△岸田長官、佐竹参謀→自分たちの気づかないうちに
 白河の陰謀に引き込まれていたと知り愕然。さらに
 白河から踏み絵を迫られる。

【今回の新規登場】
○マーチン・ダコスタ(機動戦士ガンダムSEED/SEED DESTINY)
 ザフトの軍人でバルトフェルドの副官。クライン派の構成員として
 ラクスたちを支援する。


『キリマンジャロの嵐』-6

作者・マザーメルザード

533

***伊豆・地球連邦軍極東基地***

ティターンズ兵「三輪長官、当基地の上空で急激な時空の歪みが
 確認されました!」
白河「時空の歪み……!?」
三輪「どういうことだ!?」

チェンジドラゴン「なんだあれは?」
レッドホーク「時空クレバスだ!」

極東支部施設上空に突如、大きな時空の歪みの穴が発生し、
中からゲッタードラゴン、ガオガイガー、超竜神、ビックボルフォッグ、
そしてブレックス・フォーラらを乗せた戦艦エターナルの姿が!

ドオオオオオンン!!(着地の衝撃音)

凱@ジェネシックガオガイガー「またせたな、みんな!」
甲児「GGGのみんな!!」
さやか「よかった…無事だったのね」

三輪「馬鹿な! どうして貴様らこの場に!?
 原爆は確かに爆発したはず……」

ビッグボルフォッグ「まさに奇跡でした」
バルトフェルド「ふぅー、さすがに今度ばかりは死ぬかと思ったが、
 核爆発の直前に時空クレバスに引き込まれて、気がついたら
 ここまで運ばれてきたって訳だ」
キラ@Sフリーダム「当然、ブレックス准将も一緒で無事です!」

ババババババッ!!(ヘリの音)

三輪長官らがあっけにとられているとそこへアメリカ海軍所属と思しきヘリが一機、どこからか飛来して来た。そのヘリが着陸すると、中から男塾OBと同じ学ラン姿の屈強な男が降り立った。

三輪「だ、誰だあいつは!?」
江田島「あれもわしの教え子じゃ。尤も今は米海軍第7艦隊
 司令長官という大層な肩書きをぶら下げておるがな」
三輪「な、なんだと――っ!!」

江田島の前で男塾式の敬礼をする、米海軍第7艦隊司令長官
ジャック・レディング提督ことJ。

J「押忍! 報告します塾長。我、第7艦隊は日本の領海に迫りつつあった
 ティターンズ機動部隊を殲滅いたしました」
江田島「大儀であった。Jよ」
J「それともう一つ。先日、我、艦隊の哨戒機が洋上で漂流中の一人の男を
 救出しました。その男は自分を日本の総理と名乗っております」

その場にいた全員「――!!」

Jに続いて同じく男塾の学生服に身を固めた一人の男が
ヘリの中から出て来る。

534

桃太郎「押忍!!」

富樫「桃…!?」
虎丸「生きていたのかよ! おめえ!!」
松尾「これは夢じゃねえんだな!?」
田沢「おめえは本当にあの桃太郎なんだな!!」

男塾OBたちが喜びの大歓声と共に、
どっと桃太郎の周囲を取り囲む。

桃太郎「心配をかけてすまん。そこのスーパー戦隊やスーパーロボットの
 パイロットたちに、GUYS JAPANの諸君も礼を言う。皆の働きで白河一派を
 ここまで追い詰めることができたのだ」

白河が何食わぬ余裕の表情で桃太郎の前に進み出る。

白河「これは総理。よくぞご無事で。心配しておりました」
桃太郎「白河…」
富樫「白河、これで今度こそてめえも終わりだな」
白河「はて、何の事ですかな?

 私が何か不正に関与したという確かな証拠でもあると?」

桃太郎「来島、羽柴の両氏が全てを自供した」

白河「あの2人は最近精神が錯乱気味だったと聞いている。 

 そのような人物の証言に証拠能力などありますかな?」
富樫「この期に及んで往生際の悪い奴だ。――連れて来い!」

富樫の指示で、縄でぐるぐる巻きに縛られたヒルカワが
引き立てられて来る。拷問で殴られたのか、

顔のあちこちに痣がある。

飛燕「この男が貴方の企みの全てを白状しましたよ」
ヒルカワ「…じ、人権侵害だああっ!! 訴えてやるぅぅ~!」
虎丸「てめえなあ、"人権"っていうのは"人の権利"と書いて
 "じんけん"って読むんだよ。てめーのような人の皮を被った
 ケダモノに人権なんざ最初からある訳ねーだろ。小学校で
 漢字の勉強でもやり直してくるんだな!」
ヒルカワ「…(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」

虎丸のドスの効いた睨みに、ヒルカワはすっかり無言で怯えている。

535

白河「知らん! そんな男など見たこともない」
トリヤマ「それでは私の証言ではいかがですかな?」
三輪「き、貴様は!?」

突如どこからともなく現れ、証人として名乗り出た
トリヤマ補佐官とマル補佐官秘書に驚愕する三輪長官。

三輪「くそーっ、貴様達がスパイだったのか!」
トリヤマ「昔の部下や戦友たちから裏切り者、腰巾着と
 罵られながらも、ただひたすらにじっと耐えて貴方に
 付き従ってきたのは、貴方と白河代議士の不正の証拠を
 掴むためです!」
マル「貴方達の悪企みは全てしっかりとこの耳で
 聞かせてもらいましたよ!」
コノミ「そうだったんだ…」
マリナ「この前はひどいことを言ってごめんなさい…」
マル「……うう、つ…つらかったよお~。・゚・(ノД`)・゚・。ウエエェェン」

長期の潜入捜査の任務をようやく終えられ、緊張が解けたのか
思わず泣き崩れるマルの頭を、コノミは優しく慰めるように
よちよちと撫でる。そこへ一台の黒塗りの車が到着した。
中からサコミズ・シンゴ総監とミサキ・ユキ総監代行が降りてくる。

マリナ「サコミズさん」
アイハラ「隊長…いえ、総監!」
トリヤマ「お帰りをお待ちしておりました、サコミズ総監」
サコミズ「みんな、私の留守中にいろいろと心配を掛けて
 すまなかった。みんなよくやってくれた!」

桃太郎もサコミズの元に歩み寄り厚い握手を交わす。

桃太郎「ご苦労をお掛けした、キャプテンサコミズ」
サコミズ「なんのこれしき。総理や皆さんの配慮のおかげで、
 拘禁中の間も快適に過ごす事ができました」

そこへ、岸田長官と佐竹参謀の2人が気まずそうな顔をして出てくる。
そんな2人に目線を向けるサコミズ。

サコミズ「さて、岸田長官、それから佐竹参謀、貴方方お二人は
 三輪と白河の陰謀を最初から承知しておられたのかな?」
岸田「し、知らん! 私は何も知らん!」
サコミズ「さもありましょう。ならばお二人は速やかに
 ニューヨークのGUYS総本部にお戻りになるがよろしいでしょう」

岸田「………」

佐竹「………」

536

悔しそうに地団太を踏む三輪長官。

三輪「おのれ、あと一歩だったものを! こうなれば戦略的撤退だ!
 今のうちに極東基地を放棄して再起を期すのだ!」
白河「俺は逃げん。貴様一人でどこへでも逃げるがいい」
三輪「なんだと!?」
白河「完敗だ…。奴らの力は我々の予想をはるかに超えていた。
 だが……この戦いの幕はこの手で降ろす!」
三輪「――!?」

三輪長官から軍刀を取り上げ、抜き放つ白河。

白河「勝負だ! 剣――っ!!」
桃太郎「上等…!!」

537

○ブレックス・フォーラ→核爆発の直前に時空クレバスに引き込まれ無事に脱出。
 日本の極東軍伊豆基地まで移動。
○キラ・ヤマト→核爆発の直前に時空クレバスに引き込まれ無事に脱出。
 日本の極東軍伊豆基地まで移動。
○ラクス・クライン→核爆発の直前に時空クレバスに引き込まれ無事に脱出。
 日本の極東軍伊豆基地まで移動。
○アンドリュー・バルトフェルド→核爆発の直前に時空クレバスに引き込まれ無事に脱出。
 日本の極東軍伊豆基地まで移動。
○マーチン・ダコスタ→核爆発の直前に時空クレバスに引き込まれ無事に脱出。
 日本の極東軍伊豆基地まで移動。
○流竜馬→核爆発の直前に時空クレバスに引き込まれ無事に脱出。
 日本の極東軍伊豆基地まで移動。
○神隼人→核爆発の直前に時空クレバスに引き込まれ無事に脱出。
 日本の極東軍伊豆基地まで移動。
○車弁慶→核爆発の直前に時空クレバスに引き込まれ無事に脱出。
 日本の極東軍伊豆基地まで移動。
○ジェネシックガオガイガー→核爆発の直前に時空クレバスに引き込まれ無事に脱出。
 日本の極東軍伊豆基地まで移動。
○超竜神→核爆発の直前に時空クレバスに引き込まれ無事に脱出。
 日本の極東軍伊豆基地まで移動。
○ビッグボルフォッグ→核爆発の直前に時空クレバスに引き込まれ無事に脱出。
 日本の極東軍伊豆基地まで移動。
○J→日本に迫っていたティターンズ機動部隊を壊滅せしめる。
○剣桃太郎→事故の後、米海軍に救出されていた。
○サコミズ・シンゴ→釈放される。GUYS JAPAN総監に復帰。
○トリヤマ補佐官→三輪長官に付き従っていたのは、潜入捜査だった事が判明。
○マル補佐官秘書→三輪長官に付き従っていたのは、潜入捜査だった事が判明。
●ヒルカワ→男塾OBに拷問され、白河と三輪一派の悪企みを全て白状。
●白河尚純→敗北を悟り、桃太郎と一対一の対決に臨む。


『キリマンジャロの嵐』-7

作者・マザーメルザード

538

白河「もう誰の力も要らぬ。この手で貴様を倒す!」
桃太郎「そうだ、それでいい、白河。男は誰でも心に一本のドスを
 呑んでいる。そのドスを抜き放ったときが真の勝負だ」

周囲が見守る中、お互いに剣を抜き構える桃太郎と白河。

白河「俺は負けんぞ! 時代が俺を必要としている!
 負けてはならん人間なのだ! 貴様にわかるか――っ!!」

激しく剣を打ち合う桃太郎と白河。

白河「くっ!」
桃太郎「もらったぜ白河!」
白河「がはっ!!」

桃太郎の一撃と同時に白河は刀が折れ、その場に崩れ落ちた。

白河「き、貴様…!」
飛燕「フッ、峰打ちとは桃らしい……」
白河「何故だ? どうして俺を殺さなかった!?」
桃太郎「それをお前に考えさせるためだとでも言っておく」
白河「なにっ!?」
桃太郎「白河よ……貴様一人が千歩歩いても時代は変わらん。
 千人の人間が共に同じ一歩を歩んでこそ世の中が変わるのだ」
白河「………!!」

そこへまだいた三輪長官がしゃしゃり出て来る。

三輪「き、貴様ら…こんなことをしてタダで済むとでも思っているのか!?
 これは明らかに地球連邦政府に対する反逆だ! 全員逮捕だ!!」
虎丸「ほほう、もうてめえ一人しかいねえのに何言ってやがる」
赤石「やれるもんならやってもらおうか、あん?」

???「その通り! 三輪長官…いや、三輪防人。
 もはやここは君の居場所ではない!」

バルイーグル「あ…あなたは!?」

539

美佐「お父さん!」
嵐山「久しぶりだな、美佐」

嵐山長官だけではない。イーグルの江戸川権八総司令、
BF隊の倉間鉄山将軍、そして岡防衛長官ら、
ティターンズによって日本から遠ざけられていた指揮官たちが
今、戻ってきたのだ!

三輪「貴様ら…! いつ日本に戻って来たのだ!?」
岡「つい先ほどだ。三輪防人……君宛ての辞令を持ってな」
三輪「な…何だと!?」
鉄山「三輪防人! ここに極東支部の長官職を解任し、

 連邦軍本部に出頭を命じる!」
三輪「ば…馬鹿な……! ジャミトフ閣下がわしを見捨てるはずがない!!」
江戸川「さあな。詳しいことは向こうに帰ってからジャミトフに
 直接聞いたらどうかね」
岡「ジャミトフと地球教の総大主教とやらに伝えておけ。
 例え、連邦軍の主導権を握ろうともこの日本だけは好きにさせん、とな」
三輪「…フン、反逆者どもが…いいだろう、今は見逃してやるが、
 次に会った時は、わしのこの手で引導をわたしてやるから、そのつもりでいろ!」

でかい態度とは裏腹に三輪長官はそそくさと立ち去っていった。

チェンジグリフォン「ふう、うるさいのが、ようやくいなくなったぜ」
嵐山「しかし考えてみれば、三輪防人もかわいそうな男なのかもしれんな…」
チェンジフェニックス「あの三輪長官が!? ウソでしょ!?」
鉄山「三輪は軍人である事でしか、おのれの存在意義を認められない男なのだよ…」
小田切「彼も戦争の犠牲者ですね…常に、軍人であろうとするために、
 あのような行動をとってしまわれるのでしょう」
チェンジマーメイド「…そう考えれば、三輪長官もかわいそうな人
 なのかもしれませんね」

江田島「勝鬨じゃ――っ!!」
一同「おおお――っ!!」

540

その様子を遠くから眺めている3人の人影があった……。
仮面ライダー1号=本郷猛、同じくライダー2号=一文字隼人、
そしてレッドマフラー隊の佐原正光博士である。

一文字「これでようやく連邦軍も一つにまとまるってわけか…」
佐原「いや、まだだ。日本から地球至上主義者の勢力をようやく
 追い出したはしたが、まだ地球連邦の首都ダカールにはティタ
 ーンズが残っている。彼らを排除しない限り、地球側の総意を
 一つにする事はできない」
本郷「…とすると、Gショッカーに対抗できるヒーローチーム創
 設までには、まだ一波乱ありそうですな。我々も出来得る限り
 の協力を――」
佐原「いや、本来貴方方ヒーローの役割は、未知の外敵から人類
 の自由と生命を守る事だ。そんな君たちを人類同士の争いに巻
 き込む訳にはいかない」

 

佐原博士の言うとおりだった。

ヒーローの役割とは、人間の自由、そして地球上全ての生きとし生けるものの生命を守る事にある。

決して政治や権力の駒に使われるような事があってはならないのだ。 

 

佐原「国家権力間の揉め事は我々のような政府や軍の人間に任せてもらいたい。

 その間君たちには、Gショッカーへの警戒をお願いしたい。 

 奴らがこの期にまた動き出さないとも限らない」
本郷「わかりました」
一文字「こっちの方は任せてもらいましょう」

541

***警視庁***

突如、南雅彦は加賀美警視総監から呼び出しを受けた。
何事だろうと総監室の扉を叩き中へ足を踏み入れると、
総監席に座る加賀美陸の傍らに、なんと入院中のはずの
東一門副総監が立っていた。

南「――なっ!?」
東「どうした南、私がこの場に立っている事が
 そんなに驚きか?」
南「いえ…。東さん…いつ意識を取り戻されたのです?」
東「ほんの数日前からだ。昨日退院してきた」

そこへ、警視総監の秘書官がやって来て、そっとメモを陸に渡す。
陸はざっとそのメモに目を通す

陸「南君、ついたった今、白河代議士が衆議院に辞表を提出したそうだ」
南「――なにっ!!」
陸「まもなく検察に出頭して、容疑が固まり次第逮捕されるだろう。
 南君、君も一警察官であるならば、己の身の処し方は心得ているな?」
南「生憎だが、私は今ここで捕まるわけにはいかん!」

南は懐から拳銃を取り出す。

東「南、貴様! この期に及んで!!」
南「フン! 私のしたことの一体何が悪いというのだ!
 そもそも当時オルフェノク対策を私に一任したのは
 加賀美さん、アンタじゃないか!」
陸「確かに昨今出現件数が増加しているオルフェノクの
 調査と対策の構築を命じたのはこの私だ。だが、
 オルフェノク化した一般市民を無条件に捕らえて
 人体実験しろとまで命じた覚えはない!!」
南「――市民?? 笑わせるな。奴らは皆化け物だ。
 エスパーやコーディネイターと同じだ。あいつらは
 全て抹殺されなければなら――んっ!??」

南雅彦の拳銃を持つ右手をいきなり背後から押さえつけて
拳銃を振り落とした者がいた。

南「貴様っ…乾巧!?」
巧「――!!」

巧は思いきり南雅彦をぶん殴った。

南「ぐわああっ!!!!!」

鼻から血を流して床に倒れる南雅彦。

東「連行しろ」

東副総監の指示で、警察官2人がダウンした南雅彦の
両脇を抱えて拘置所へと連れて行く。

542

陸「申し訳ない」

陸は巧に深々と頭を下げ、これまで南雅彦が行なってきた
数々の非道を見抜けなかった、総監たる自らの不明を謝罪した。

東「言い訳に聞こえてしまうだろうが、総監も我々も
 南がこれまでやってきた不法行為の数々は一切知ら
 なかったのだ。それだけはどうか信じてもらいたい」
巧「…それで、草加の行方は?」
東「南の私邸や研究施設に踏み込んだところ、すでに蛻の殻だった。
 どうやらどこかに姿をくらましたようだ」
巧「………」


***ビッグファルコン***

一方、場所をビックファルコンへと移して歓談する長官たち。

岡「…諸君、色々と心配をかけたようだな」
三浦「いえ、総理も長官たちもご無事で何よりでした」
小田切「スカイキャンプに君臨していた一条総司令も、
 つい先刻、三輪長官と共に日本国外へ退去したようです」
桃太郎「ところで、長官方は今までどちらに?」
岡「軍情報部で工作員をしていました」
桃太郎「工作員? 貴方方が?」
嵐山「うむ、経歴を買われましてな」
美佐「総理、お父さ…いえ、嵐山長官と岡長官は忍者の末裔なんです」
桃太郎「なるほど…それで…」
岡「ええ。任務で世界中を自由に飛び回れたおかげで、ティターンズ派の
 動きも掴みやすかった」
万丈「こうして長官たちが日本に戻られたのですから見通しは明るいですね」
鉄山「しかしティターンズが、戒厳令を布いたそうだね」
伝正夫「はい。現在、ダカール付近は、通信、交通が制限されています」
嵐山「ふむ…では、例のルートを使うか」
サコミズ「そうですね」
飛羽「例のルート?」
嵐山「情報部にいた時に、ティターンズの配備状況は調べておいた」
江戸川「ジャミトフのクセも知っているからね。ダカール南東の一角に、
 配備の手薄な死角がある。西の方で陽動作戦を行えば、
 さらに進入はたやすくなるはずだ」
ブレックス「それで鉄山将軍、ダカールでの手はずは?」
鉄山「整っている。TV放送の用意一式と、中継局をおさえる用意も、
 完了した。あとは准将を、ダカールまでお連れするだけだ」
ブレックス「そうですか、よろしく頼みます」

***バード星***

ここは内銀河第10惑星バード星に位置する銀河連邦警察の第87プロック本部。その地下深いところにある研究施設では、何やら巨大な制御装置らしき物体が
存在し、長い銀髪に法衣を纏った人物が、その装置の操作を行っていた。

???「………」

上方の大きなモニターには、現在の地球での様子――
――偶然(?)に発生した時空クレバスのおかげで
核爆発からの窮地を脱した戦艦エターナルや
GGGの勇者ロボたちの光景――が映っている。
それを見ているその人物の眼の表情は、着用している
サングラスのような黒いゴーグルのために窺い知る事は
できない。

やがてその男の口元から一瞬、不敵な笑みがこぼれたかと思うと、
男は部屋から静かに立ち去った…。

543

●白河尚純→剣桃太郎との対決に敗れ、脱落。議員辞職し、逮捕へ。
●三輪防人→日本国外へ退去。
●一条総司令→日本国外へ退去。
△岸田長官→日本国外へ退去。
△佐竹参謀→日本国外へ退去。
●南雅彦→逮捕される。
△草加雅人→間一髪で逃亡。行方をくらます。
○東一門→意識を取り戻し退院。現場に復帰。
○岡防衛長官→日本に帰国し、現場に復帰。
○江戸川権八→日本に帰国し、現場に復帰。
○倉間鉄山→日本に帰国し、現場に復帰。
○嵐山大三郎→日本に帰国し、現場に復帰。○本郷猛→三輪防人追放と岡長官たちの復帰を見届ける。○一文字隼人→三輪防人追放と岡長官たちの復帰を見届ける。○佐原正光→三輪防人追放と岡長官たちの復帰を見届ける。
△???→時空クレバスを発生させて、核爆発の窮地から
 戦艦エターナルを救っていた。

544

【今回の新規登場】
○岡防衛長官(超電磁マシーン ボルテスV)
 地球防衛軍の最高司令官。岡めぐみの父で、甲賀流十七代目の忍者。 中年にさしかかったその体型は年齢にふさわしい恰幅のよさだったが、 全身タイツのような忍び装束を着ることもある。

○江戸川権八総司令(秘密戦隊ゴレンジャー)
 国際秘密防衛機構イーグル日本ブロックの最高責任者で、イーグルの中でも
 独立した機構を持つゴレンジャーチームの指揮を直接行うことのできるただ
 一人の人物。また、諜報活動や秘密工作を任務とするイーグル連絡員と、ゴ
 レンジャーたちとの共同戦略を統括するのもまた、彼の任務である。普段は
 敵の目をあざむくために、スナック・ゴンのマスターに扮している。彼の作
 る特製カレーライスは絶品とのもっぱらの評判。常に冷静な判断を下し、部
 下想いで、ゴレンジャー全員から厚い信望を寄せられている理想的な指揮官
 である。

○倉間鉄山将軍(バトルフィーバーJ)
 国防省最高幹部。BF隊を設立した最高責任者で、元は特別科学班チーフだっ
 たが、世界各地に訓練のため派遣していた隊員を集めて、BF隊を組織した。
 バトルフィーバーロボやバトルシャークを開発した科学者で、火のような行
 動力と水のような思考力を兼ね合わせる指導者であり、まさにバトルフィー
 バーの頭脳と呼ばれる人物である。藤波白雲斎のもとで剣道を中心とした総
 合武術「一光流」剣術の修行を行い、その剣の腕前は、怪人やヘッダーらと
 互角以上に渡り合えるほどの達人。

○嵐山大三郎長官(太陽戦隊サンバルカン)
 地球平和守備隊の長官で、太陽戦隊の頭脳であり最高責任者。策略家として
 も超一級で、ロボット工学の権威でもある。サンバルカンのメカやロボの設
 計は一人で行った。様々な分野の知識にも精通している。鋭い洞察力と冷静
 な判断力、決断力を持ち、指揮官としての器は充分。時には自ら変装して奇
 抜な行動でブラックマグマを翻弄する。カモフラージュとして使っている
 「スナック・サファリ」では、べらんめぇ口調を使った江戸っ子のマスター
 として店を切り盛りし、50種類のスパイスを効かせて3日がかりで作り上げ
 る名物の特製カレーを調理している。町内一のベーゴマの達人として、子供
 たちにも人気が高く、任務を離れれば美佐の良き父親であり、父娘の絆は非
 常に強い。

○伝正夫少佐=バトルジャパン(バトルフィーバーJ)
 元国防省特別科学分室将校。アジア大陸を象徴する戦士であり、胸のマーク
 は日本の国旗・日の丸がモチーフとなっている。真面目な性格に加え、大胆
 な実行力を備えており、4人のまとめ役を務める責任感の強い男で、仲間や
 鉄山からの信頼はとても厚い。

○翼麻衣=チェンジフェニックス(電撃戦隊チェンジマン)
 地球守備隊・元諜報部隊将校。不死鳥フェニックスのような、力強い
 はばたきを連想させた攻撃で敵を撃つ。オテンバなうえにちょっぴり
 おしゃべり。根っから明るく天真爛漫な性格。常に必死で大切なもの
 を守る姿勢を貫き、ツッパリ少年の心を揺り動かすほどの信念と情熱
 の持ち主。

△???(闘争の系統オリジナル)
 果たして、敵か味方か…!?


『狙われた母子』-1

作者・ユガミ博士

545

***北岡秀一の自宅兼オフィス***

某企業の社長「いや~、北岡センセのおかげで裁判に勝つ事が出来ましたわ。
 これは約束どおりの代金です。」
北岡「ありがとうございます。しかし、自分の仕事をしたまでですので。」
社長「センセには、是非わが社の顧問弁護士になっていただきたいんですが・・・。」
北岡「申し訳ありませんが、私は個人で働きたいので、お断りさせてもらいます。
社長「そうでっか、残念ですわ・・・。ほんなら、また何かあったら相談に来ますさかい。」
北岡「わかりました。吾郎ちゃん、お見送りお願い。」
吾郎「分かりました、先生。」

テレビでも売れっ子の凄腕弁護士・北岡秀一は相談に受けていた社長から代金を受け取り、
見送った。

吾郎「先生。この後、テレビ番組の収録があるので車に乗ってください。
 準備は既に出来ています。」
北岡「流石は五郎ちゃん!仕事が早いね。分かった、すぐ行くよ。」

北岡と吾郎は車に乗り込み、テレビ局へと向かった。車の中で北岡は懐から、
金色の牛のマークがついている緑色のカードケースを取り出した。

北岡「(また、このデッキを受け取る事になるとはね。でも、俺の病気は無かった
 事になっているからライダーになる必要は無いけどね。)吾郎ちゃん、俺の代わりに
 ライダーをやるかい?」
吾郎「いえ、俺は・・・。」
北岡「ははは、冗談だよ。」

そんな会話をしながらテレビ局に着き、番組の打ち合わせをした後、吾郎と
別れ、北岡は控え室で1人待機することになった。

546

***テレビ局・北岡の控え室***

コンコン

北岡「どなたですか?」

北岡が1人控え室にいると、ドアをノックする音がした。北岡がドアを開けると、
それはそれは美しい女性二人が立っていた。

???「こんにちは、北岡先生。」
北岡「あなた方は女優の明石秋江さんにグラビアアイドルの好美さん。」

その美女二人こそ人気女優である明石秋江にその娘でグラビアアイドルをしている
明石好美であった。またB.A.B.E.Lの特務エスパー明石薫の実の母と姉である。

好美「あ、私達の事を知っていますか?」
北岡「テレビで何度も拝見していますよ。一体、何故私の所へ?」
秋江「今日の収録で一緒に出演しますので、こうしてご挨拶に。それに、
 北岡先生には前々からお会いしたかったので・・・。」
北岡「それはありがとうございます。

 こちらこそお会いできて光栄です。

 もし、何かトラブルに巻き込まれる事があれば、

 いつでも私にご相談してください。」

北岡は2人に自分の名刺を渡し、2人を見送った。

だが、ドアを閉めようとした時・・・。

秋江&好美「「キャァァァ!」」
北岡「!」

2人の悲鳴が聞こえ、北岡が駆けつけると蛇の姿をした2体の怪人が立っていた。

547

その2体の怪人、北岡や明石母子は知らないがオーヴァーロードと呼ばれる存在によって
生み出された蛇と毒蛇のロード―アンノウンのスネークロード・アングィス・マスクルス(蛇)
とスネークロード・アングィス・フェミネウス(毒蛇)だった。

キュィィィン

スネークロード達は頭上の輪の中から武器を取り出し、

手で十字を切るような動きをした後、2人に襲い掛かった。

秋江&好美「「いやぁぁぁぁぁ!」」

隠れて様子見をしていた北岡はどうするべきか一瞬考えた後、自分の控え室へと
戻り、鏡台に向かってカードケースをかざした。すると、Vバックルが出現し
北岡の腰に取り付いた。

北岡「変身!」

ガシャァァァン

Vバックルにカードケースを入れると、鏡が割れる音共にミラーライダー
一の火力を持つ「仮面ライダーゾルダ」へと変身した。

その頃、明石母子は今まさにスネークロード達の攻撃を受けようとしていた。
そして、スネークロード・アングィス・フェミネウスは秋江に向かって手を
かざした。

秋江「ぐ、あ・・・あぁ。」
好美「お母さん!」

すると突然、呼吸ができなくなったのである。このままでは秋江の命があぶない。
そんな時・・・。

ダン!ダン!ダン!

フェミネウス「ぐわぁ・・・。」
マスクルス「誰ダ?...。」

突然の攻撃にマスクルス達が見てみると、そこにはゾルダが立っていた。

548

○北岡→ゾルダに変身し、スネークロード・アングィス・フェミネウスを攻撃
○吾郎→北岡をテレビ局へと送る。
○明石秋江→スネークロード達に襲われる。
○明石好美→スネークロード達に襲われる。
●スネークロード・アングィス・マスクルス→明石母子を襲う。
●スネークロード・アングィス・フェミネウス→明石母子を襲う。

【今回の新登場】
○北岡秀一=仮面ライダーゾルダ(仮面ライダー龍騎)
30歳。「スーパー弁護士」を自称する弁護士であり、不利な裁判でも逆転無罪にし、
ほど有能だが、多くの大手企業に法外な報酬を請求する悪徳弁護士でもある。
不治の病に侵され「永遠の命を手に入れるため」ライダーとなった。悪徳弁護士だが、
自分と同じ境遇の者には親切。人の欲望を愛しそれを極限まで追求するという主義で、
社会正義やプライドなどよりも報酬を重視している。

○由良吾郎(仮面ライダー龍騎)
25歳。北岡の秘書兼ボディーガードで、ただ一人の友人と呼べる存在。ある時、
傷害事件に巻き込まれて北岡に弁護を担当してもらうが、その後北岡の不治の
病が発覚する。自分の弁護をしていなければ、北岡の病が不治の段階まで進行
する前にどうにか出来ただろうと後悔しており、その事に負い目を感じたのを
きっかけに、心底北岡に尽くしている。誰に対しても優しい誠実な性格である。
一流シェフ顔負けの腕前である料理をはじめとして、何をやらせても上手く、
数人の手練を相手にしても負けない戦闘能力を持つ。ライダーバトルの終盤、
北岡からデッキを渡され、ゾルダとなった。

○明石秋江(絶対可憐チルドレン)
薫の母で女優。二児の母とは思えないナイスバディーな魔性の女で、皆本を
狙っているらしい。夫とは別居中。

○明石好美(絶対可憐チルドレン)
薫の姉。21歳。グラビアアイドル。皆本の事を狙っている。 グラビア
アイドルから中々仕事が進まないでいたが、オタク向けのキャラクター
営業に手を出すようになった。その結果、仕事は増大したが秋江や薫
からは生暖かい視線を送られている。

●スネークロード・アングィス・マスクルス(仮面ライダーアギト)
コブラ型のアンノウン。

●スネークロード・アングィス・フェミネウス(仮面ライダーアギト)
毒蛇型のアンノウン。


『狙われた母子』-2

作者・ユガミ博士

549

ゾルダは手に持っている機召銃マグナバイザーで再び、スネークロード達を攻撃する。

ダダダダダ!

スネークロード「「グワァァ!」」

攻撃をした後、ゾルダはその場を離れていった。

マスクルス「追ウゾ!」

スネークロード達は明石親子を襲うのをやめて、ゾルダを追っていた。

秋江「・・・。」
好美「お母さん、大丈夫?しっかりして!」
???「どうしました!」
???「悲鳴が聞こえましたけど!?」

フェミネウスによって、呼吸が出来なくなった秋江は気を失っていた。そして、
悲鳴を聞きつけて、2人の男女が好美達の元へと駆けつけた。駆けつけのは人気
アイドルの野乃七海と派遣会社で働く椎名鷹介の2人で実は、疾風流の忍者「忍風
戦隊ハリケンジャー」なのだが、今回たまたまテレビ局にいた所、好美の悲鳴を
聞いて、駆けつけたのである。

好美「は、母が・・・へ、蛇の怪人に襲われて・・そ、それで・・・。」
???「怪人!とりあえず落ち着いて。七海、そっちの人は?」
七海「大丈夫、気絶しているだけよ鷹介。だけど念の為、医務室へ連れて行くわ。」
鷹介「よかった。それでその怪人は?」
好美「私とお母さんを助けてくれた人を追って、あっちに。」
鷹介「ありがとう。七海、俺は追う。2人の事は任せた。」
七海「OK、気をつけてね。」

好美は鷹介にスネークロードがゾルダを追っていった事を教え、鷹介は
七海に後の事を任せ、ゾルダを追っていた。

550

***テレビ局近くの公園***

一方、人目を避けてスネークロードを自分に惹きつける事に成功したゾルダは
テレビ局近くの公園へと誘い出す事に成功した。幸い、公園には人は誰もいなかった。

ゾルダ「さて、ここからが本番だ。」

SHOOTVENT!!

ゾルダはカードケースから2門の大砲が描かれたカードを取り出し、マグナバイザーに
差し込んだ。すると、両肩にギガキャノンが装備された。ゾルダの持つアドベントカード
は高火力のカードが多いので、テレビ局の廊下のような狭い場所では動きが制限されて
しまうのである。(一応、接近戦が出来るストライクベントも持っている。)

ゾルダ「喰らえ!」

ダダダダダ!

スネークロード達に向かって、ギガキャノンを発射した。煙が晴れるとそこには
フェミネウスしか立っていなかった。

ゾルダ「もう一匹はどこに?」
???「危ない、後ろだ!」

キン!

ゾルダが後ろを振り向くと、赤い忍者のようなスーツを纏った人物が背後に移動していた
マスクルスの攻撃を刀で受け止めていた。その人物こそ、鷹介が変身したハリケンレッド
である。

ハリケンレッド「こいつは任せてくれ。」

ハリケンレッドは手に持つハヤテ丸を使い、マスクルスを後退させた。

ハリケンレッド「超忍法、乱舞三十衝!」
マスクルス「ぐぅぅ。」

ハヤテ丸に「乱」モードをダウンロードして刀身にエネルギーを込め、
超高速で連続斬りを繰り出した。

ハリケンレッド「疾風流奥義・大空斬!」
マスクルス「ぐわぁぁぁ!」

超忍法・空駆けで空中よりマスクルスに近づき、ハヤテ丸で縦に斬った。そして、
度重なるダメージに限界が来たマスクルスの頭上に光る輪が出現し、爆散した。

551

ゾルダ「やるねぇ~。」
フェミネウス「ふん!」
ゾルダ「おっと、呑気に見ている場合じゃないか。」

ゾルダは距離をとり、カードケースからケースと同じ模様の金色の牛が
描かれたカードを取り出し、マグナバイザーへ差し込んだ。

FINALVENT!!

すると、彼の契約しているバッファロー型モンスター・マグナギガが出現し、
背中にコネクト部分にマグナバイザーを差し込んだ。そして、引き金を引くと
マグナギガに搭載されている全砲門、全ミサイルが展開しフェミネウスにその
全ての攻撃が発射された。これこそ、全てのミサイルとレーザーを放射する
「エンドオブワールド」である。

フェミネウス「ぐわぁぁぁ。」

さすがのアンノウンでも大ダメージを受け、ついに限界が起こり、マルクルス
同様、光る輪が出現し爆散した。

七海「鷹介~。」

戦いが終わった後、七海がやってきた。マスクをはずした鷹介は2人はどうしたのか
聞いてみると、あの後、医務室へ連れて行った後に秋江は病院へと運ばれた。だが、
命に別状は無いらしい。

鷹介「そうか、それはよかった。」
七海「それでそっちの方は?」
鷹介「ああ、蛇の怪人は俺とあっちにいる銃をもっている人が・・・あれ?
 どこにいった。」

鷹介はあたりを探すがゾルダはいつの間にかいなくなっていた。

***テレビ局・北岡の控え室***

ゾルダはミラーワールドを通り、控え室へと戻ると変身を解いて、北岡に戻った。
控え室には事前に連絡を受けていた吾郎が待機していた。

吾郎「お疲れ様です、先生。」
北岡「ありがとう吾郎ちゃん、明石さん達はどうなった?」
吾郎「今は病院です。幸い命に別状はありませんが、2、3日は入院をする様
 そのため、今日の収録は日を改めるそうです。」
北岡「そう。この後の予定は?」
吾郎「いえ、ありません。」
北岡「なら、今日は玲子さんでもデートに誘うかな。」

552

○北岡→スネークロード・アングィス・フェミネウスを倒す。
○吾郎→明石親子のその後を伝える。
○椎名鷹介→ハリケンレッドに変身してスネークロード・アングィス・マスクルス
     を倒す。
○野乃七海→明石親子を医務室へと送る。
○明石秋江→気絶して、医務室へ送られた後、病院へ運ばれる。
○明石好美→秋絵と共に医務室へ行く。
●スネークロード・アングィス・マスクルス→ハリケンレッドに倒される。
●スネークロード・アングィス・フェミネウス→ゾルダに倒される。

【今回の新登場】
○椎名鷹介=ハリケンレッド(忍風戦隊ハリケンジャー)
ハリケンレッドに変身する「忍風館」第507期生の空忍。運動神経とスタミナに優れている。
普段は、派遣会社に登録して各所で働いている。好物はラーメン。

○野乃七海=ハリケンブルー(忍風戦隊ハリケンジャー)
ハリケンブルーに変身する「忍風館」題507期生の水忍。勝気でプライドの高く、
どこか飄々とした紅一点。ジャカンジャとの戦い中に芸能界にスカウトされ、演歌
歌手「野乃ナナ」として営業した後、アイドル歌手となり、人気を博している。

△鋼の巨人マグナギガ(仮面ライダー龍騎)
ゾルダと契約しているバッファロー型モンスター。二足歩行のロボットの
ような外観している。召還時以外はほとんど動かない。


『狙われた母子』-3

作者・ユガミ博士

553***京南大学附属病院***

伝通院「幸い命に別状はありません。ですが2、3日は安静に入院をしてください。
 それでは私は、次の診察があるのでこれで。」
秋江「わかりました、先生。」
好美「ありがとうございます。」

病院に勤務する医師の伝通院洸は秋江と好美に入院の説明をし、病室を後に
した。その後、病室に入ってきたのは秋江の娘である薫と皆本、葵、紫穂だった。

薫「母ちゃん!大丈夫か!?」
皆本「おい、薫!病院の中なのだから大声をあげるな。」
秋江「薫・・・。大丈夫、平気よ。それに皆本さん達も来てくださり、
 ありがとうございます。」
葵「おばちゃん達、蛇の怪人に襲われたって聞いたけど、どないな奴
 やったんや?。」
好美「2体も襲ってきたわ。その内の1体はコブラみたいな姿をしていたの。」
葵「やっぱ、Gショッカーの仕業やろか?」
好美「あ!後、こんな手の動きをしていたわ。」

そう言って、好美はスネークロードが行った手の動きを見せた。

紫穂「その手の動き!アンノウン。」
薫「アンノウン?・・・って、何だっけ。」
葵「アホ、アンノウン言うたら、エスパーを標的にする怪人やないか。
 アギトの兄ちゃんが前に言うていたやろ。」

海底基地の件の時、新拠点「α」でザ・チルドレンは仮面ライダー達が
どのような敵と戦っていたか等を聞いた。その時にアギトである津上翔一
からアンノウンの事も聞いていた。アンノウンが超能力者及びその近親者を標的としていた事は、当時は縦割り行政の弊害もあって、警視庁とバベルの間で情報共有はきちんとなされていなかった。

薫「とにかく、母ちゃんや姉ちゃんを襲ったてんなら、許しちゃおけねぇ。
 今度そいつらにあったら私がとっちめてやる。」
秋江「ありがとう薫。でも、あんまり無茶はしないで。」
薫「分かっているよ、母ちゃん。」
秋江「ふふ、頼もしく育って母さん嬉しいわ。

 これも皆本さんの教育のおかげね。」
皆本「いえ、自分は――」

秋江「やっぱり、父親は必要かしら。」

皆本「・・・はい?」
秋江「どうです、退院したらお食事にも。」
好美「ちょっと、母さん!母さんよりも私とデートしませんか?」
薫「何言っているだよ、母ちゃん、姉ちゃん!」
葵「皆本さん、不潔や!」
紫穂「そうよ、そうよ。」
皆本「(・・・もう、勘弁して。)」

こうして、事件は一旦幕を閉じる。

554○伝通院洸→秋江の治療に当たり、入院の説明をする。
○皆本&ザ・チルドレン→秋江の見舞いに病院へ訪れる。その際、襲った
 怪人はアンノウンではないかと推測を立てる。

【今回の新登場】
○伝通院洸=セイザーレムルズ(超星神グランセイザー)
京南大学附属病院外科医。実直な性格をしている。

当初は佐伯カリンに騙されて、弓道天馬達と敵対していた。


『ダカールの日』-1

作者・マザーメルザード

555

***ビッグファルコン***


江田島「よく戻って来てくれたな、倉間」
鉄山「ああ…日本を留守にしている間、お前には随分迷惑を
 かけてしまった」

志田京介「あの2人、知り合い……友人だったのか?」
ドモン「ああ……聞くところによると、ライダースーパー1=一也の
 師匠である玄海老師、そして俺の師匠──東方不敗マスター・アジ
 アとは若き日の友であり、ライバルだったらしい」
曙四郎「なるほど、お互い怪人やMSを素手で倒せる者同士の縁ってわけか」
鉄山「これからどうする?」
江田島「フフフ…ティターンズと事を構えるには、まだ戦力が足りん。
 男塾の総力を挙げ、各地から強者どもを引っ張ってくるつもりよ」

***同・司令室***

岡「丁姫が私と嵐山長官をお呼びらしい。後のことは頼む、左近寺博士」
嵐山「急ぎましょう、山地・日向の両館長に戸隠白雲老師、帯庵和尚に
 鶴姫家の義輝殿も既に向かわれている……」
左近寺博士「それでは、護衛はボルテスチームにさせましょう。
 追って、ビッグファルコンも新拠点『α』に移動します!」



○江田島平八→鉄山将軍、玄海老師、そしてマスターアジアの間には
 若き日の交流があった事が判明。そして何かを計画中。
○倉間鉄山→江田島平八、玄海老師、そしてマスターアジアの間には
 若き日の交流があった事が判明。
○岡防衛長官→日本忍者界の重鎮の一人として、丁姫によって召集される。
○嵐山大三郎→日本忍者界の重鎮の一人として、丁姫によって召集される。
○左近寺公三→ビックファルコンを新拠点『α』に移動させる。

【今回の新規参戦】
○志田京介=バトルフランス(バトルフィーバーJ)
 フランス、スペイン方面で訓練を積んだバトルフィーバー隊員。
 戦闘訓練とは別に5年間パリの美容院で修行をしており、帰国し
 てからも高層ビルの一フロアにある美容院で、美容師としての腕
 を振るっている。スパニッシュダンスで戦う、スピードに優れた戦士。

○曙四郎=バトルケニア(バトルフィーバーJ)
 アフリカ生まれの野生児。国防省の隊員になる前はアフリカ草原で
 野生動物の保護に従事していた。ケニアで訓練機関を過ごしバトル
 フィーバー隊員となる。アフリカ大陸を代表する戦士で、トロピカ
 ルダンスを基調として戦う、パワーに優れた戦士。エゴスロボット
 出現の際「また出やがった!」と叫ぶのがケニアの決まり文句である。

○左近寺公三博士(超電磁マシーン ボルテスV)
 浜口博士の門下生で彼の死後、ビッグファルコンの2代目司令官に就任。
 スパルタ式特訓でボルテスチームをしごく鬼軍曹だが、決して冷徹なだ
 けの人間ではない。


『ダカールの日』-2

作者・マザーメルザード

556

***東京・国会議事堂・地下***

丁姫の前に集まった面々──岡長官、嵐山長官に加え、
戸隠流第三十四代宗家・山地哲山武神館々長、
疾風流総帥・日向無限斎忍風館々長、
隠流総帥・軍師白面郎こと鶴姫家当主・義輝、
風魔流の相談役である真言宗達心寺住職・帯庵和尚、
そして哲山や故・天堂無人の師である忍者界の最長老・戸隠白雲老師!

丁「……覚羅殿の意思を継ぎ、よくぞ集まってくれましたね。お礼を申します」
白雲「丁姫と御前様は長年の同志……何を遠慮なさることがありましょうや」
義輝「我ら、流派を超越し──全宇宙の平和のために尽力する所存」
哲山「有志の世界忍者たちも立ち上がってくれております」
帯庵和尚「……我が風魔流が烈風一派に乗っ取られた際は、他の流派の
 方々には大変な苦しみを与えてしまった……」
岡長官「いや、それは甲賀流とて同じこと。暗闇忍堂の暴走を抑えきれなかった
 のは我らの不徳……」
白雲「いやいや、我が戸隠流の祖・果心居士様の邪悪なる側面が陰忍軍を
 伴い復活した時には、風魔流鬼組の活躍に助けられた。お互い様じゃよ」
小太郎「あのー、一つだけ質問いいですかねー?」

眼鏡をかけた長身のひょろっとした男が挙手した。
今は日本全国に散らばる風魔忍群の本拠地である
風魔の里の首領、当代の風魔小太郎である。

丁「どうぞ…」
小太郎「今ここにいる我々は、まさか正義の味方ごっこをするために
 集まった訳ではないですよね?」
帯庵和尚「小太郎殿…」
丁「仰るとおりです。全ては私達を含む人類、そして生きとしいけるものが
 これから来たるべき災厄を乗り越え、戦乱の世を生き延び乗り越えていくため」
小太郎「OK、それならいいでしょう。風魔の衆も全面的に協力を約束しましょう」
無限斎「ところで風魔殿、雲平君の姿が見えぬようだが…?」
小太郎「あれー、おかしいですね。帷くんには昨日きちんと
 電話で連絡を入れときましたよ。どうしたんでしょうねえ」

白雲「……」
義輝「……」
哲山「……」

暫し気まずい沈黙が空間を支配する。それもそのはず。
伊賀忍群の一流派である萬天の取りまとめ役である
雲平・帷・デュランダルは、極度の乗り物恐怖症。
飛行機、鉄道、自動車はおろか、自転車のような軽車両
にすら乗る事を頑なに拒み、たとえ県境を跨ぐような
長距離でも必ず徒歩で移動する。そしてその事は
この場にいる一同全員にも周知の事実。昨日電話を入れて
萬天の里から東京に今日着ける筈などないのだ。

陽炎「……(フフフ…風魔殿も相変わらずお人が悪い)」

 

雲平には気の毒と思いながらも、

小太郎の隣りで内心クスクスと笑っているうら若き女性。

戦国時代に織田信長に滅ぼされた火影忍軍の生き残りである陽炎である。

現在は花火職人である花菱茂男宅に居候している。

 

小太郎「おや、陽炎さん、何かおかしいですか?」

陽炎「いいえ、別に」

 

陽炎は何食わぬ顔でニッコリと答える。


丁「まあそれはともかくとして、これからは異なる種族の者たちが
 手を取り合っていかねばならぬ世──。そのための影となって、
 力をお貸しください……」

557

○丁→忍者界の重鎮たちにヒーローたちの支援を要請。
 忍者界の指導者であった故・覚羅とは旧知の間柄だった様子。
○戸隠白雲→国会議事堂地下に参集。
○日向無限斎→国会議事堂地下に参集。
○義輝→国会議事堂地下に参集。
○帯庵和尚→国会議事堂地下に参集。
○山地哲山→国会議事堂地下に参集。
○岡防衛長官→国会議事堂地下に参集。
○嵐山大三郎→国会議事堂地下に参集。
○風魔小太郎→国会議事堂地下に参集。雲平には会議前日に
 連絡を入れていた模様。○陽炎→国会議事堂地下に参集。

【今回の新規参戦】
○戸隠白雲(忍者キャプター)
 戸隠流忍軍長老であり、天堂無人の師匠。忍大臣の異名を持つ。
 無人亡き後のキャプターチーム指導者となる。

○日向無限斎=ハムスター館長(忍風戦隊ハリケンジャー)
 伊賀・甲賀・風魔など、古来より数多く存在した忍者の流派の中で、
 最も影の存在でありながら、現在まで生き残った疾風流忍法総帥にして、
 忍者学校『忍風館』の館長。日向おぼろ博士の父。呪文を間違えてハムスターの姿から
 戻れなくなっていたが、最終決戦時に何とか元の姿に戻る事ができた。

○義輝=軍師白面郎(忍者戦隊カクレンジャー)
 隠流忍法宗家、ニンジャホワイト・鶴姫の父。妖怪軍団の大幹部で
 あったが、実は妖怪大魔王打倒の為に潜入してスパイ活動をしていた。

○帯庵和尚(スケバン刑事Ⅲ)
 風魔忍軍長老、風間三姉妹の後見人。

 

○陽炎=影法師(烈火の炎) 

 花菱烈火の実の母親。元々は戦国時代の人間だが、

 禁術である時空流離の術を使ったため、不老不死の体になり400年もの時を現代まで生き続けた。

 魔導具に詳しく、裏武闘殺陣などではサポート役をこなすが、くノ一としての実戦の腕も一流。


『ダカールの日』-3

作者・マザーメルザード

558

***東京・下町***

暗い表情で下校中の学生服少年、その前に
停車する一台の高級車。その車から降りたのは──

虎丸「よう、若社長」
竹尾ワッ太「ゲ、虎丸のおっさん!」

反射的に逃げようとして、慌てて立ち止まる。

竹尾「……そうだった、もうおっさんとこに返す金も無くて、
 竹尾ゼネラルカンパニーは倒産、俺は前代未聞…自己破産申請中の
 中学生だったんだ」

ガックリとうなだれるワッ太の肩を叩き、破顔一笑する虎丸。

虎丸「どうでぇ、もう一旗挙げてみる気はねえか?」
ワッ太「……え?」

虎丸「破嵐財閥と旋風寺財閥から無利子無担保で資金援助が受けられる
 ことになったぜ。どうだ?」

あまりに突然の、降って沸いたような申し出に、目を白黒させるワッ太。

ワッ太「ちょ、ちょっと待ってくれよ。何がなんだか……大体、
 トライダーはティターンズに無理やり持っていかれちまって……
 俺もその時初めて、トライダー作った技師さんが亡命異星人だって
 知ったんだけど……くそ~、トライダーさえ取られなきゃ俺だって……」
虎丸「安心しろ若社長、トライダーならティターンズから
 取り戻してある……三輪の野郎が忘れていったからな」
ワッ太「本当かよおっさん! トライダーさえ戻ってくるなら
 またみんなを呼び戻して……で、業務内容は?」

ワッ太の眼に、一気に光が戻る。ニヤリと笑う虎丸。

虎丸「でかい公共事業だ……相手はGショッカー、それにロゴス!」


***日本の某地方都市***

うらぶれた酒場のカウンターで、1人酒を飲んでいる
黒いカウボーイハットの男。

伊達「……邪魔するぞ」

カウボーイハットの男、隣に座った伊達臣人をチラリと見る。

伊達「私立探偵…早川健だな」
早川「……いかにも? そちらこそ、天下の伊達組の親分さんが
 こんな場末に何のご用です?」
伊達「フフ、俺のことを知っているとは…さすがだな」
早川「無論、存じてますよ。覇極流の継承者にして槍の達人……」
伊達「だが、日本じゃ二番目……とでも言う気か?」
早川「……! フフフ、これは一本取られましたね。用件は何です?」
伊達「仕事の依頼に来た……ダッカーを壊滅させた腕を見込んで、な」

早川、ピュイと口笛を吹くと、帽子を目深に被りなおす。

早川「残念ながら、探偵は廃業しちまったもんでね。他を当ってください」

ツケなのか、勘定も払わずカウンターから離れようとする早川の背中に、
伊達の視線が突き刺さる。

伊達「ダッカーの背後に、Gショッカーがいたとしてもか?」
早川「……!!」
伊達「Gショッカーを滅ぼさぬ限り、お前の
 復讐も終わるまい……早川、いや、快傑ズバット!」

559

***房総半島・とある釣り場***

1人の男が、釣り糸を垂れている。

その背後に音も無く立つ飛燕。

飛燕「……釣れますか?」

声をかけられた男──木野薫、驚くそぶりも振り向く様子も無い。

木野「いや……坊主だ」
飛燕「そうですか……」
木野「……青年医師会理事長がモグリ医師に何の用だ?」
飛燕「別に手術の依頼ではありませんよ。今更あなたに、
 医師免許をあげる気もない……ある意味では手術かも知れませんね。
 それも大手術。この世に巣食うガン細胞を根こそぎ切除する……」
木野「……Gショッカー、それにロゴスか。確かに面白い症例だな」


***惑星ヘビーメルダー***

酒場のテーブルに向かい合って座る2人の男──宇宙海賊船
アルカディア号の艦長にして、マゾーン艦隊や機械化帝国との戦いでは
義勇軍的に活躍したキャプテン・ハーロックと
元男塾三號生筆頭にして現日本国防衛大臣――大豪院邪鬼!

NR@柴田秀勝「その日その夜、二人の男たちの間でいかなる言葉が
 交わされたのか、知る者はいない…ある者は『二人はただ黙って
 終始酒を酌み交わすだけだった』」と言い、またある者は
 『最後には二人とも満身創痍の状態でヘビーメルダーを後にした』
 と語っている。……いずれにせよ、この日の会見以降、アルカディア号が
 明確にGショッカーに戦いを挑んだのは間違いない…」


***中国奥地***

うっすらと靄のかかっている深山の奥深く……
岩上にて座禅を組んでいる白髪の老人。

江田島「フフフ、探したぞ東方不敗」
王大人「マスターアジア……否、シュウジ・クロス!」

老人、ゆっくりと閉じていた眼を開く。

東方不敗「……江田島平八、そして王大人……!!」

江田島「フフフ……ワシが男塾塾長・江田島平八であるぅぅ!!

東方不敗「……。流派・東方不敗は! 王者の風よぉぉ!!

その瞬間、滝は逆流し、空はにわかに掻き曇って稲妻が走り、
大地は激しく揺れた……!!

560

○虎丸龍次→竹尾ワッ太と接触。
○伊達臣人→早川健と接触。
○飛燕→木野薫と接触。
○大豪院邪鬼→キャプテン・ハーロックと接触。
○江田島平八、王大人→東方不敗と接触。

【今回の新規参戦】
○竹尾ワッ太(無敵ロボ トライダーG7)
 竹尾ゼネラルカンパニーの社長で、現在は中学生。
 トライダーG7のパイロット。

○早川健=快傑ズバット(快傑ズバット)
 私立探偵。親友の飛鳥五郎が殺害されたことをきっかけに、
 ズバットとして戦うことを誓う。 武芸にすぐれ、スポーツ、
 趣味そのほか、さまざまな分野で、日本一の腕を誇っている。

○木野薫=アナザーアギト(仮面ライダーアギト)
 無免許の天才外科医で、あかつき号の乗客の一人。
 当初は自分以外のアギトの存在を否定し、アギトとギルスに
 襲い掛かったが、涼=エクシードギルスに敗北した後に和解。
 最終的には津上翔一達と共闘した。

○キャプテン・ハーロック(宇宙海賊キャプテン・ハーロック/銀河鉄道999)
 宇宙海賊船アルカディア号艦長。失った右目に掛けている眼帯と、
 顔の傷痕が特徴。「俺の旗の下で、俺は自由に生きる」ことを信
 条としている宇宙海賊。マゾーンの脅威に気付いている数少ない
 地球人の1人。親友(トチロー)を無念の死に追いやった地球を
 恨む一方で、自らの信念のためにマゾーンと戦う。

○大豪院邪鬼(魁!! 男塾/天より高く)
 日本国防衛庁長官(防衛大臣)。元男塾三号生。筆頭死天王はじめ
 三号生を率い、十年間もの長きにわたり男塾を支配していた。大豪院
 流拳法を使い、その技はひたすらに豪快。巨大な体躯で繰り出す技は
 真空すら生み出す。

○王大人(魁!! 男塾/天下無双~江田島平八伝)
 男塾塾長代理にして塾生の案内人兼救護担当。江田島塾長の盟友。
 かつて中国拳法の総本山とも言える神拳寺で拳皇の座を争った実力
 を持つ。

○東方不敗・マスターアジア(機動武闘伝Gガンダム)
 流派東方不敗伝承者でドモン・カッシュの師匠。
 第12回大会ガンダムファイト大会の元ネオホンコン代表。
 先代キング・オブ・ハート。デビルガンダムを利用し、
 全ての環境汚染の原因は人間であるとして、これを地球上から
 排除せんと企むが、人間もまた自然の一部だったと思い直し、
 後を若者たちに託して絶命する。


『集まる鬼』-1

作者・ユガミ博士

561

***九州・阿蘇山付近***

ここは九州・熊本にある阿蘇山の近くにあるGショッカー傘下組織の一つ
百鬼帝国の秘密基地。そこには責任者であるヒドラー元帥と画面越しで
百鬼帝国の支配者ブライ大帝が会話を行っていた。

ブライ大帝『日本侵略は失敗に終わったか・・・。』
ヒドラー元帥「はい。所詮ガルマ・ザビなる人間の若造に前線指揮を
 とらせたのが間違いだったのです。」
ブライ大帝『この九州にも我らに敵対する者が来たそうじゃな?』
ヒドラー元帥「はい。しかし、この基地の存在には誰も気づいておりません。」
ブライ大帝『そうか。その基地はGショッカーの秘密兵器工場だ。誰にも
 秘密を漏らすのではないぞ。では、通信を切る。』
ヒドラー元帥「百鬼ブラァァイ。」

ブライ大帝はヒドラー元帥に伝えた後、通信を切った。

百鬼兵「ヒドラー将軍、この基地近くに人間を複数確認しました。」
ヒドラー元帥「何?監視モニターを映し出せ。」

ヒドラー元帥は百鬼兵に監視モニターを出すよう命令した。そのモニターに
映っていたのは、3人の男女が車を道に停めて、立ち往生していた。

562

詳しくかくと、太目の眉毛に左手だけ黒い手袋した成人男性と水色の髪をした
女子高生くらいの女性、そして可愛い服をきた小学生の少女だが、一つ普通の
人と違うのは頭に一本の角が生えていた。

???「人、来ないですねぇ。」
???「もう、何でガソリンを確認しなかったのよ、お兄ちゃん。」
???「う、五月蝿い!とにかく今は車が通るのを待つんだ。」

どうやら、車がガス欠を起こしていてガソリンスタンドまで乗せてくれる
車を待っているようである。

???「はぁ、それにしても暑いですぅ~。」

すると、女性の体が何と雪で覆われ雪だるまに変わったのであった。
彼らは佐賀の小学校で教師をしている鵺野鳴介とその妻である雪女のゆきめ、
血は繋がっていないが妹の「鬼」眠鬼。休みが取れて、ここ熊本に旅行に来たが、
車はガス欠となり立ち往生となっていた。さて、それをモニターで見ていたヒドラー
元帥はゆきめと眠鬼に驚いた。

ヒドラー元帥「何と、我らと同じ鬼に妖怪だと!」
百鬼兵士「いかがされますか?」
ヒドラー元帥「う~む、あの男と雪女は改造・洗脳で我が百鬼帝国の兵士に。
 鬼の娘はとりあえず保護しろ。」
百鬼兵士「了解しました。」

一方、鳴介達の方に一台の車が来ようとしていた。

563

●ブライ大帝→ヒドラー将軍と会話する、
●ヒドラー元帥→鵺野一行を捕らえるように指示する。
○鵺野鳴介/ゆきめ/眠鬼→車がガス欠を起こし、立ち往生。

【今回の新登場】
●ブライ大帝(ゲッターロボG)
百鬼帝国の支配者。百鬼メカと百鬼兵士の大量生産のため、ゲッター線増幅炉
を狙う。その出自は不明で、ある日突然に角が生えてきて、超能力を得た
ミュータントで、自作のロボットに命じて、自身をサイボーグにしたらしい。

●ヒドラー元帥(ゲッターロボG)
百鬼帝国の軍事部門最高責任者。狡猾で、自身の目的達成のためならば味方すら
犠牲にする。アドルフ・ヒトラーに似ているのが特徴。

●百鬼兵士(ゲッターロボG)
戦闘機や車両に搭乗、あるいはその他の作戦行動に従事する一般兵士。生まれながら
百鬼帝国の民として生まれて訓練校に通った者と百鬼帝国に拉致され、強制的に改造
洗脳された2種類に分けられる。

○鵺野鳴介(地獄先生ぬ~べ~)
日本で只1人の霊能力教師で、左手に鬼(=覇鬼)の手を宿している。普段はドジで
間抜けだが、責任感が強く生徒を守るためならば凶悪な妖怪にも立ち向かう。
生徒からぬ~べ~の愛称で呼ばれる事がある。

○ゆきめ(地獄先生ぬ~べ~)
鳴介の妻である雪女。幼い頃、猟師から助けられた事から彼に好意を抱き、
様々な困難の末、結婚にいたる。体温を保つ為、自身の体を雪だるまで包み
暑さを逃れている。

○眠鬼(地獄先生ぬ~べ~)
鬼三兄弟の末妹。鳴介の左手に宿る覇鬼の妹で、上の兄達に負けないくらいの
妖力をもっているが、鬼のパンツを穿いていないと制御ができない。霊能力の
高い鳴介をパンツにするため人間界へやってきた。自分勝手で我侭な所があるが
弱者に対する哀れみと繊細な心を持ち合わせている。兄を封印した鳴介の事を
「お兄ちゃん」と呼び、なついている。趣味はパンツ集め。


『集まる鬼』-2

作者・ユガミ博士

564

???「どうされましたか?」

鳴介達の前にやってきた車が停まり、窓から穏やかな表情が印象的な男性が
聞いてきた。その車の助手席には中学生~高校生ぐらいの青年が乗っていた。

鳴介「実は、乗ってきた車のガソリンが無くなってしまって。近くのガソリン
 スタンドまで乗せてくれる車を待っていたんです。」
???「そうなんですか。なら、俺達が乗せて行きますよ。」
???「でも、ヒビキさん。この車狭いぜ。後ろにはキャンプ道具とか
 のせてあるし。」
???「詰めれば、スペースも空くよ。だから、乗せていきますよ。」
鳴介「ありがとうございます。」
ゆきめ「よかったですね、鵺野先生。」

車の中のキャンプ道具を詰めた後、鳴介達は後部座席に乗りこみ車は
走り出した。そして、鳴介達はお互い自己紹介を行った。

???「俺はヒビキ。こっちは弟子の京介。」
京介「桐矢京介。よろしくな。」

京介と呼ばれた青年は少し、ぶっきらぼうに答えた。

鳴介「自分は鵺野鳴介。佐賀で小学校の教師をしています。こっちは妻の
 ゆきめ、義妹の眠鬼です。」
京介「つ、妻!?」
ヒビキ「ずいぶん、お若いですね。」
ゆきめ「鵺野先生の奥さんをしています、ゆきめです。よろしくね。」

ヒビキ達は驚いた。実際、ゆきめの年齢は16~17歳。本来なら高校に通っている
年齢なのだ。

眠鬼「私は義妹の眠鬼よ。」
ヒビキ「君、その角は?」

ヒビキは眠鬼の角に疑問を抱いた。

眠鬼「私は鬼なの。」
鳴介「お、おい眠鬼!」
眠鬼「いいじゃない別に。どうせ、この角の事聞かれると思っていたから。」
京介「どういう事だ?」
鳴介「実は・・・。」

その後、鳴介は自分が霊能力教師で、悪霊や妖怪から生徒を守っていた事や
ゆきめ、眠鬼との出会いなどをヒビキ達に話した。

ヒビキ「生徒を守るために悪霊と戦うとはすごいですね。」
鳴介「あまり、驚かないですね。」
京介「俺達も、似たような連中相手にする事があるからな。」
眠鬼「(それにしても、あの2人って私や覇鬼お兄ちゃんみたいな感じがする。
 でも、ちょっと違うような?)」

そうしているうちに一行は目的のガソリンスタンドへと着いた。

565

***ガソリンスタンド***

そのガソリンスタンドの隣には、喫茶店があった。すると、眠鬼が「お腹すいた。」
と言ってきた。もうすぐ、お昼なので当然だがいつまでも車を放置している訳には
いかない。そこで、ヒビキと鳴介がガソリンを持って車の方へ行き、残ったメンバー
は喫茶店で待つことになった。

鳴介「いいのですか?京介君を残して。」
ヒビキ「大丈夫ですよ、鍛えてますから。」

ヒビキは独特の指のポーズをとり、鳴介に答えた。2人が出発した後、京介達は
喫茶店へと入った。店の中はお昼時という事のもあり、お客で賑わっていた。
席につき、注文を待っていると新たに4名の客が入ってきた。

???「やっと、お昼ご飯だわ。」
???「まったく、諸星が遅刻した所為で予定よりも遅れてしまったではないか。」
???「俺だって、好きで寝坊したのではないわい!」
???「もう、ダーリン!夜中、エッチな番組でも見て、寝坊したんじゃないのけ?」
???「ドキッ・・・ち、違うわい!」
???「図星ね。」

諸星と呼ばれた高校生くらいの青年は動揺し、他3名の仲間に弁解をしていた。
そして、ウェイトレスがやってきて席が満席状態の為、京介達と相席となる事になった。

???「どうも、失礼します。」
ゆきめ「いいえ、食事は大勢で食べた方が美味しいですから気にしないで。」
???「そうですね。でも、僕は君とだけ食事をする方がずっと美味しいと
 思いますよ。どうですか僕と一緒にパフェでも・・・。」

何時の間にいたのか、諸星と呼ばれる青年はゆきめの隣にいて、手を握っていた。

???「ダァ~リン!ウチという者がありながら、また他の女に・・・。」
???「あ~た~る~く~ん!」

ボゴ!

2人の女性によって、彼は顔を思いっきりぶん殴られた。その様子にゆきめ
達は唖然となっていた。

566

一段落が着き、ゆきめ達はお互いの自己紹介を始めた。

???「僕達は東京にある友引高校の生徒で、僕は面堂終太郎です。」
???「私は三宅しのぶです。」
???「ウチはラムっていうだっちゃ。それでこっちはウチのダーリンだっちゃ♪」
???「ども、諸星あたるです。先程は失礼、ところで君と出会ったのも何かの縁。
 電話番号かメールアドレス教えてくれない。」

先程、殴られたのにも関わらずもう復活しナンパを始めた。この諸星あたるという
男はゴキブリ並のしぶとさを持っている事で有名である。

京介「ん、面堂?もしかして、面堂財閥の身内なのか?」
面堂「ええ、面堂財閥は僕の実家です。」
ゆきめ「すごい!面堂財閥なんて大金持ちじゃない。」
眠鬼「そんなにすごいの?」
京介「すごいなんてレベルじゃない。中川グループや破嵐財閥、旋風寺コンツェルン
 と業界の1、2位を争う大財閥だ。確か、私設軍隊まで持っているという噂があったな。」

よく分かっていない眠鬼に京介が説明した。

ラム「所で、お前角が生えているけど、ウチと同じ星け?」
京介「どういうことだ?」
しのぶ「ラムは異星人なの。」
京介「は!そうだ、どっかで見た顔だと思ったが思い出した。アンタ、地球
 の侵略を賭けて、そこの人と鬼ごっこをしていた異星人。」

ラムが眠鬼に質問してきた。質問の意図が分からない京介が質問するとしのぶ
が答え、京介は以前ラムとあたるの鬼ごっこのテレビ中継を思い出した。

眠鬼「そんな事があったんだ。でも、私は異星人じゃないわ。地球人(?)で
 いいのかしら。」
ラム「地球!?地球でもウチと同じ種族がいたのけ?」
ゆきめ「この娘と私は妖怪の仲間なの。私は雪女のゆきめ、よろしくね。」
あたる「ほ~、雪女とは。おユキちゃんとはまた違う美しさだ。グフフ。」
ゆきめ「美しいって言ってくれて、ありがとう。でも、私結婚しているから
 ごめんね。」

ゆきめは結婚指輪をしている薬指を見せた。

面堂「け、結婚!?」
しのぶ「ウソ!?私達と同じくらいなのに。」
あたる「ガ~ン!そ、そんな人妻・・・。く~、こんな美人を嫁さんにしている
 とは許せん。あ、でも僕は君が人妻でもかまわないよ。」
ラム「ダーリン!いい加減にしないとウチは許さないちゃよ!」
あたる「ラ、ラム!分かった、分かったからここでは出すな。」

それぞれがショックを受ける中、あたるは尚もゆきめにアタックしていた。
この男、相手が子持ちであろうと、妖怪だろうと、異星人だろうと美人ならそれでいいのだ。
そして、ラムは自分の持つお得意の超能力の一つ、電撃を出す直前だった。さて、すっかり
打ち解けた彼らに注文した料理や飲み物が運ばれてきた。そして、食事に入ったのだが・・・。

ゆきめ「ファ~、何だか、急に眠たくなっちゃた。」
しのぶ「わたしも~。」

急に眠気が襲ったのである。周りを良く見ると他の客も眠っていた。

京介「(よ・・・様子が・・・変だ。これ・・・は、一体・・・?)」

そして皆眠りに着いた。

567

しばらくして、車にガソリンを入れにいった鳴介達が帰ってきた。しかし、
喫茶店は「閉店」という看板が掛かっていた。

ヒビキ「さっきまでは営業していたのに変だ?」
鳴介「ゆきめ達は何処に?」
ヒビキ「とにかく、探しましょう。ちょっと、待っていてください。」

ヒビキは自分の車に積んである、ボックスを持ち出してきた。ボックスの
中身はディスク状の物が十数枚あった。

鳴介「それで一体何を?」
ヒビキ「まぁ、見ていてください。」

ヒビキは懐から音叉の様な物を取り出し、指で鳴らすとディスクに向けた。
すると、ディスクに色がつき、鳥、狼、猿へと変形した。これは、ヒビキが
仕事で使うディスクアニマルというサポートメカでそれぞれ、アカネタカ、
ルリオオカミ、リョクオオザルという。

ヒビキ「さぁ、行ってこい。」

ヒビキが指示を出すと、一斉に森の方へと散らばっていた。

ヒビキ「さぁ、俺達もこの近くを探しましょう。」

あの変形した動物は何かと疑問はあるが、それよりもゆきめ達が心配なので、
鳴介はヒビキに賛同し、ゆきめ達を探すのであった。



○ヒビキ→鳴介を車に乗せ、ガソリンスタンドまで運ぶ。そして、京介達が
 いなくなった事から、ディスクアニマルで探索する。
○桐矢京介/ゆきめ/眠鬼→喫茶店で待っていたが、眠らされて行方不明。
○面堂終太郎/三宅しのぶ/諸星あたる/ラム→喫茶店で京介達と会い、
 眠らされて行方不明。


【今回の新規登場】
○ヒビキ=仮面ライダー響鬼(仮面ライダー響鬼)
「猛士」関東支部に所属する音撃戦士。15年以上も鬼として戦うベテランで、
初対面でもすぐに打ち解けられる気さくな性格をしている。本名は日高仁志。
挨拶の際の「シュッ」という敬礼のようなポーズがトレードマーク。

○桐矢京介(仮面ライダー響鬼)
ヒビキの弟子。弟子になる前は運動音痴で、暗所恐怖症を持っていた。消防士
をしていた父親が殉職したため、ヒビキの勇敢さに父親を重ね、弟子入りを決意。
1年で、鬼への変身能力を身につけた。

○諸星あたる(うる星やつら)
友引高校に通う高校生。楽観的で、アホなことばかりをする。女好きで、
美人の女性にはかならず声をかけて、ナンパをする。

○ラム(うる星やつら)
地球へと侵略しにきた鬼型宇宙人の娘。コンピュータがランダムに選んだ
諸星あたると鬼ごっこし、敗北。そのとき勘違いをしてあたるの婚約者となり、
心底、ほれている。電撃、飛行能力という超能力が使える。仙台弁のような
喋り方が特徴。

○面堂終太郎(うる星やつら)
面堂財閥の御曹司で、あたるのクラスメイトでありライバル関係。容姿端麗・
秀才で運動神経抜群な事から女子にモテている。暗所恐怖症・閉所恐怖症を
もっているが、女性の前では平然としている。

○三宅しのぶ(うる星やつら)
あたるの最初のガールフレンド。あたるがラムと婚約した事から、別れた。
セーラー服の似合う清楚な美少女だが、激怒すると机をぶん投げられる程の
怪力を発揮する。


『集まる鬼』-3

作者・ユガミ博士

568

***百鬼帝国秘密基地***

面堂「おい・・・おい、起きろ諸星。」
あたる「う~ん、しのぶ、サクラさん、竜ちゃん、ランちゃん、弁天様、おユキちゃん
 ・・・ラム、皆、俺の女じゃ。ムフフフww」
面堂「いいかげんに起きんか、諸星!」

ゴン!!

あたる「アイッタ~!!何をするんじゃ!」

自分の好きな女性達とのハーレムな夢を見ていたあたるを面堂が思いっきり
殴って、起こした。

あたる「ん?ここは何処だ、何で手錠されているんじゃ!?」

あたるが辺りを見回すと、鉄格子がされており、自分と同じようにラム達も
手錠が掛けられていた。また、店にいたお客達も自分達のいる鉄格子の外で
同じように鉄格子の中に捕まっていた。

あたる「ラム!お前の電撃でこんな鉄格子、ぶっ壊しちまえ!」
ラム「それが、さっきから出そうとしているんだけど、電撃がだせないっちゃ。」
あたる「な、何~!」
面堂「おそらく、超能力を阻害するECMが働いているのだろう・・・。」

ラムが電撃を出せないと分かり、あたるはショックを受け、面堂は自身の推測を
述べた。そうしているうちにこちらに近づいてくる者が現れた。

ヒドラー元帥「目が覚めたようだな。」

現れたのは後ろに護衛の百鬼兵士を引き連れたヒドラー元帥で、あたる達の
いる鉄格子の前から話した。

京介「あんたらは何者だ!」
ヒドラー元帥「我々は偉大なる百鬼帝国。そして、私は百鬼帝国の幹部ヒドラー
 元帥である。喜べ、貴様達は我が百鬼帝国の栄えある百鬼兵士となるのだ。」
面堂「何だと!誰が貴様達などの兵士になど。」
ヒドラー元帥「ふん、そう言っていられるのも今の内だ。百鬼帝国の改造手術は
 完璧だなのだからな。それにしても今回は良い人材が手に入ったものだ。面堂
 財閥の御曹司に雪女、それにそこの娘、ラムと言ったな・・・貴様の父親は
 強力な艦隊を所有している。洗脳すれば、その艦隊も我が百鬼帝国の物となろう。
 おい、この娘を連れて行け。」
面堂「させるか!」

面堂は入ってきた百鬼兵士にタックルをしかけた。

ヒドラー元帥「くぅ~貴様、逆らうのか!それに貴様の声はまるで流竜馬と話している
 ようで腹ただしい。おい、コイツを連れて行け!」
しのぶ「面堂さん!」

面堂を連れて行こうとする時、変化が起きた。

569

ドゴォォン!

爆発音と共にヒドラー元帥のいた場所の天井から4人の人影が現れた。
その4人とはヒビキ、鵺野鳴介、先に洗脳されようとしたゆきめ、眠鬼だった。
だが、そこに4人の声ではない声がした。

???「ウガウガ、よくも眠鬼に酷いことをしたウガな!」

良く見ると、鳴介の左手は手袋をしておらずそこには人間の手ではない、
『鬼の手』である覇鬼が喋っていた。

ヒドラー元帥「き、貴様ら~、どうしてここが分かった。」
ヒビキ「こいつらのおかげさ。」

ヒビキは自身の持っているディスクアニマルをヒドラー元帥に見せた。

ヒビキ「魔化魍を見つけるより、簡単だったよ。」
ヒドラー元帥「ええい、こいつらを捕らえよ!」

牢屋に騒ぎを聞きつけた百鬼兵士がぞくぞくと現れ、ヒビキ達へと襲ってきた。

ゆきめ「鵺野先生を傷つけるのは」
眠鬼「許さない!」

ゆきめと眠鬼は向かってくる百鬼兵士に対して、凍りつかせたり、妖力を
ぶつけることで撃退した。その間、ヒビキと鳴介は協力して、捕らえられている
人達を解放していった。

面堂「今だ!」

面堂は百鬼兵士を振りほどき、鉄格子の中にいた京介達を連れ出し、ヒビキ
達と合流し、手錠も壊してもらった。さらに、鳴介は壁を壊し、脱出できる
ようにした。

ヒビキ「京介!この人達を連れて、ここから脱出だ。」
鳴介「ゆきめ、眠鬼!お前達も付いていってくれ。」
ゆきめ「分かりました。」
鳴介「がんばってね、お兄ちゃん。」
ヒビキ「さぁ、君達も。」

ヒビキはあたる達も、開放された人達と同じように脱出するように言うが、
そこへ百鬼兵士が襲い掛かってきた。

570

だが、そこを面堂は返り討ちにした。

面堂「とぅ、あたたたたたあたぁ!」
百鬼兵士「ぐぉっ。」
面堂「僕を刀だけの人間だと思うなよ。」

まるで世紀末の救世主のように、連続の突きで百鬼兵士を撃退した。

しのぶ「すごい、面堂さん!」
面堂「これでも僕は、空手、柔道、さらにはプロレス技も会得している。」

面堂はカッコよくきめて話した。だが、今度はしのぶの背後を捕まえた百鬼
兵士が現れた。

百鬼兵士「へっへっへ、捕まえた。」
しのぶ「キャ~!何するのよ。」

ベキッ!

しのぶ「男なんて~!」

ドガッ!

しのぶはすぐに、裏拳で百鬼兵士の顔を殴り、さらには百鬼兵士をぶんぶん
振り回し、他の百鬼兵士達へ投げ飛ばした。

あたる「よ~し、ラム!今度こそ、電撃をぶちかませ!」
ラム「分かったちゃ、ダーリン。よくも、お前らやってくれたな~!」

バリリリィィ!!

あたるの指示を受け、ラムは特大の電撃をぶちかました。

ヒビキ「彼らスゴイですね。」
鳴介「そうですね。」
覇鬼「あの娘っ子、中々の暴れっぷりウガ。」

ヒビキ達は唖然として、覇鬼はラムの暴れっぷりにご機嫌だった。

百鬼兵士「ヒドラー元帥、このままでは捕らえた人間が逃げてしまいます。」
ヒドラー元帥「ええい、分かっておる。百鬼兵士と“奴ら”を差し向けよ。」
百鬼兵士「分かりました。」

ヒドラー元帥は命令を下すとすぐに後退した。

ヒビキ「よし、そろそろ俺達も京介達と合流だ。」

そして、ヒビキ達もその場を後にした。

571

○桐矢京介→捕らえられていた人々を脱出させる。
○面堂終太郎/三宅しのぶ/諸星あたる/ラム→百鬼兵士を撃退。
○ヒビキ/鵺野鳴介/覇鬼→捕らえられていた人々を解放。
○ゆきめ/眠鬼→京介と共に脱出させる
●ヒドラー元帥→ラム達を洗脳・改造しようとするがヒビキ達によって邪魔される。

【今回の新登場】
○覇鬼(地獄先生ぬ~べ~)
鬼三兄弟の長兄。『鬼の手』で三兄弟の中でも一番の強大な妖力をもっているが、
反面戦いの中で他の事に気をとられやすいという子供っぽい性格をしている。鳴
介との戦いの末、人間に理解を示し、二度と人間を食わないと誓いを立てて
現在も『鬼の手』として現世に残っている。


『集まる鬼』-4

作者・ユガミ博士

572

***阿蘇山付近の平原***

面堂「ああ、僕だ。大至急、阿蘇山に救助ヘリを寄越してくれ。大型で、3基
 程頼む。・・・・5分で到着するんだな。なるべく急いでくれ。頼んだぞ。」

合流を果たしたヒビキ達は基地から脱出して、広い平原に出た。そして、面堂
は隠し持っていた通信機で、面堂財閥の私設軍隊に救助に来るように命令し、
通信を切った。

面堂「迎えのヘリは5分で到着するそうです。」
京介「だが、敵さんはどうやら待ってくれないようだぜ。」

京介が指を指すと、基地の入り口から百鬼兵士が現れた。だが、百鬼兵士の
他にも別の生物が一緒にいた。

カッパ「ゲッゲッゲ」
ヒビキ「あれは!?カッパだ!」
京介「そんな馬鹿な!?どうして魔化魍があいつらと一緒にいるんだ。」

猛士に所属するヒビキと京介は魔化魍が百鬼兵士と一緒に現れた事に驚愕した。

ヒドラー元帥『ふははは。我が百鬼帝国の科学力を持ってすれば、魔化魍を操る
 事など造作も無いわ。そこいるカッパ共はいわば番犬代わりよ。行け、奴らを
 捕らえよ。』

ヒドラー元帥はメカ要塞鬼に乗り込み、スピーカー越しで百鬼兵士達に命令を下した。

鳴介「ゆきめ、眠鬼まだ大丈夫か?」
ゆきめ「すみません先生。体力が限界です。」
眠鬼「ごめんお兄ちゃん。私も限界。」
覇鬼「だ、大丈夫ウガか?眠鬼!」

ゆきめはこの暑さの中で、妖力を全開に使った為、体力が落ちていた。眠鬼も
鬼のパンツを履いていない中での妖力のコントロールは難しく、こちらも体力
が落ちていた。

ビリリリ!!

ラムがカッパに電撃を放つが、カッパには全く効いていなかった。

ラム「何で電撃が効かないだっちゃ!」
京介「無駄だ。魔化魍は清めの音でしか倒せない。」
鳴介「清めの音?」
ヒビキ「あんまり、人には見せちゃあいけないけど、こうなったら仕方が無い。
 いくぞ京介。」
京介「はい、ヒビキさん。」

ヒビキ達は懐から鬼の形をした音叉を取り出し、指で鳴らして額に音叉を
かざした。すると、額に鬼の形が現れ2人の体は炎に包まれた。

あたる「ぎょえ~!」
しのぶ「一体、どうなったの!?」
ヒビキ&京介「「はぁぁぁぁ・・・はっ!」」

炎が晴れると、そこには紫色の鬼と銀色の鬼が立っていた。その姿こそ、
魔化魍を倒す為に、体を鍛えて鍛えて鍛えぬいて『鬼』となった響鬼と
京介だった。

面堂「あれは!?」
覇鬼「そうか・・・あの人間、どこか俺達のような感じがしていたが鬼だった
 ウガか。」
鳴介「あれがヒビキさんなのか!?」

鳴介達が驚愕する中、響鬼はさらに集中し、その色は深紅に染まった。その姿は
大量発生する「夏の魔化魍」倒す為に変身した響鬼紅である。

響鬼「いくぞ、京介。」
京介「はい!」

響鬼達は音撃棒「烈火」や鬼闘術・鬼爪でカッパに攻撃した。

カッパ「ギェェェ。」
カッパ「グェェ。」

すると電撃が通じなかったカッパがいとも簡単に倒された。

面堂「すごい、ラムさんの電撃で倒れなかったあの化け物が倒された。」
しのぶ「見て、ヘリが来たわ。」

面堂が感心する中、救助のヘリがこちらへとやってきた。その間、鳴介達も
百鬼兵士から人々を守っていた。そして、ヘリが降りて来て人々を次々とヘリ
に収容していった。

響鬼「はぁぁぁ、灼熱真紅の型!」

響鬼は直接魔化魍のボディを叩くことで清めの音を流し込む音撃打、
灼熱真紅の型で次々とカッパを爆散させていった。

573

そして、百鬼兵士達も倒され、あっという間に全滅した。

百鬼兵士「ヒドラー元帥、このままでは・・・。」
ヒドラー元帥「くぅぅ~、こうなれば、奴らは生きて返すな!攻撃用意!」

バドドドド!!

ヒドラー元帥はメカ要塞鬼から機関銃で攻撃をしてきた。

眠鬼「キャッ!」
覇鬼「眠鬼!!」

銃弾に当たりそうになり、眠鬼は倒れてしまった。

覇鬼「よ、よくも眠鬼を~!」
鳴介「お、おい!覇鬼。」

覇鬼は眠鬼が倒れた事に怒り、巨大化をした。鳴介は左手が繋がっているため、
巨大化した覇鬼の首の後ろに乗っている。

覇鬼「ウガ~!」

覇鬼は大きく跳躍し、メカ要塞鬼の上に乗った。

覇鬼「こいつは眠鬼の分!」

ドゴッ!!

覇鬼「こいつは眠鬼の分!」

バゴッ!!

覇鬼「そして、眠鬼の分だウガ~!

ドゴォオオン!

覇鬼はメカ要塞鬼に殴る、蹴るで攻撃し、メカ要塞鬼は大ダメージを受けた。

百鬼兵士「ヒドラー元帥、このままではメカ要塞鬼が持ちません。」
ヒドラー元帥「くっ、仕方が無い。基地を破棄し即刻退避する。」

ヒドラー元帥の命令に、基地は自爆。覇鬼を振り落とし、メカ要塞鬼は
撤退した。振り落とされた覇鬼は無事、着地し事なきを得た。

覇鬼「まて~、逃げるなウガ。」
鳴介「だめだ、もう追いつけない。戻るぞ覇鬼。」

その後、鳴介達はゆきめ達と合流し、ヒビキは関東支部に今回の事件の事を
報告する事にした。鳴介達や面堂達はそれぞれの家に帰り事件は一旦の幕を
閉じた。

***オマケ***

あたる「ドウシテ、コエガカワッテオルノジャ!」
京介「カッパの粘膜にあたると声が変質してしまうからな。しばらくは
 その声で我慢するんだな。」
あたる「ソ、ソンナ~!」

いつの間にかカッパの粘膜を被ってしまったあたるはヘリウムガスを吸った
の如く、声が異常に高くなっていた。

 

一方、その頃…。 

自爆装置の作動により、大爆発を起こす百鬼帝国の秘密基地。
その爆発は阿蘇山の内部まで響いて伝わり、
火口の洞窟で土砂に埋もれて眠っている巨大怪獣の安眠を妨げた。

ラドン「――グゥゥ…… キォォォォン――!!」

マグマの地熱で巨大な体を温めながら、
翼竜プテラノドンが変異した怪獣ラドンは外の騒ぎに反応して咆えると、
またゆっくりと目を閉じ、煮え立つ土砂の上でうとうととまどろんでいる。
成長した全身に飛び立つエネルギーが満ちるまで、あと少しだと感じながら――。

ラム「……?」
京介「ん? どうしたんだよ」
ラム「今、何か変な鳴き声みたいな音が聞こえなかったけ?」
京介「さあ、気のせいだろ」

うごめく怪獣の鼓動を覆い隠しながら、火の国肥後の夜は更けてゆく…。

574

○ヒビキ→響鬼/響鬼紅に変身してカッパを倒す。
○桐矢京介→鬼に変身してカッパと戦う。
○諸星あたる→カッパの粘膜を被り、声が変質。
○面堂終太郎→救助を呼ぶ。
○ラム→カッパに攻撃するが、効かない。
○鳴介→百鬼兵士と交戦。
○覇鬼→巨大化し、メカ要塞鬼を撃退。
○ゆきめ/眠鬼→戦闘により体力が著しく低下。
●ヒドラー元帥→基地を破棄し撤退。
●カッパ→百鬼兵士と共に鳴介達を襲う。△ラドン→阿蘇山の火口で休眠中。
 【今回の新規登場】
●カッパ(仮面ライダー響鬼)
「夏の魔化魍」の一体。その粘膜を被ると、声が変質する。

△ラドン(空の大怪獣ラドン/ゴジラシリーズ)
中生代に生息していた翼竜プテラノドンが放射能と火山ガスの影響で変異した怪獣。
衝撃波を発生させながら高速で飛行する。初代は阿蘇山の火口から出現したが、
アドノア島やニューヨークでも同種の出現が確認されている。
古代昆虫メガヌロンを好物として捕食。ゴジラとは宇宙怪獣を相手に共闘する事もある。


『免許更新!暴走戦隊』

作者・ユガミ博士

575

***バリバリアン***

ここは地球上に浮かぶ宇宙暴走族ボーゾックの基地バリバリアンである。かつて、
暴走皇帝エクゾスとの決戦で、破壊されたが復活したボーゾック達によって再建
されたのある。そして今日この日、新生ボーゾックによる結成式が行われていた。

リッチリッチハイカー教授「それではこれより、新生ボーゾックの結成式を
 はじめます。私が、総長に就任した悪のコンサルタント、リッチリ~ッチハイカー
 教授です。」
ボーゾック一同「「「「イエー!」」」」

パチパチパチパチ

ボーゾック達がリッチリッチハイカー教授に拍手を送った。

???「リッチリッチハイカー教授よ・・・。」

バリバリアンの外である宇宙空間に暴走皇帝エグゾスが現れた。

リッチリッチハイカー教授「おお、暴走皇帝エグゾス。」
エグゾス「余の夢である“悪の大宇宙ハイウェイ計画”は実現するのであろうな?」
リッチリッチハイカー教授「お任せください。チーキュには憎きカーレンジャーの
 他にも数多くのヒーロー及び、それに準じる能力を持った者達が多くいます。
 敵を知るには研究が一番!そこで彼に再び出てもらいましょう。ボーゾック1の
 ヒーロー研究家SS(スースー)パマーン君に。」

リッチリッチハイカー教授は説明をし終えると、入り口の方に手を向けた。

~♪(お好きなBGMを流してください)

ヒーローのBGMと共に入り口から真っ赤なボディに、赤いマフラーを
着けたSSパマーンが登場した。

SSパマーン「任せてくれ。新たなゾクレンジャーのメンバーと共に必ず、
 カーレンジャーや他のヒーローを倒してみせるパマン。」

そう言って、SSパマーンは他のメンバーと共にバリバリアンから出撃した。

576

***東京・自動車会社ペガサス***

『極東基地にて内乱発生!三輪長官日本より撤退』
『剣総理生存!男塾出身は伊達じゃない』

???「お!あの三輪っちゅうおっさん、ようやっと日本から居なくなり
 おったで。」
???「本当に!?それじゃー、オーレンジャーの皆もこれからはヒーロー
 として、自由に活動できるわね。」

話をしているのは自動車会社ペガサスの社員である営業担当の上杉実と
経理担当の八神洋子だ。2人は新聞に掲載している記事を話題にしていた。

???「オッス、久しぶり。」
洋子「恭介!」
実「何や?役者さんがこんな所で油売っとって、ええんかいな。」
恭介「そう言うなよ。お土産として、ケーキ買ってきたから。」
洋子「あ!そのケーキ、雑誌に載っていたカフェミュウミュウのケーキじゃない!」

ペガサスにやって来たのは陣内恭介。カーレンジャーの1人レッドレーサーである。
かつてペガサスのテストドライバーであったが、現在は子供達に交通安全の大切さを
伝える為、役者をしている。洋子は土産のケーキに喜んだ。

恭介「でも、軍属のヒーローは大変でだな。あんな奴の命令も受けなきゃ
 いけないんだからな。あいつが上司かと思うと耐えられないぜ。」
???「三浦参謀長が私達の事を秘密にしてくれたおかげで、命令を受け
 に済んだけどね。参謀長には感謝しないと。」

恭介は新聞を手に取り、感想を言う。そこへメカニックの志乃原菜摘、
カーデザイナーをしている土門直樹が会話に加わった。恭介と彼等
4人の社員が激走戦隊カーレンジャーでボーゾックと戦った。

???「あの~すいません。車の修理をお願いしたいのだけど・・・。」
実「あ、ええですよ。どんな車でっか?」
???「この車なんだけど。」

お客が来た事で実はゴマをするような感じでお客に近づいた。お客が乗ってきた
車はスバル360だった。

実「へぇ~、失礼ですけど随分お古い車で。」
???「も~、この車はしょっちゅう止まるし、前は開くしで困っているんですよ。」
菜摘「大丈夫ですよ。これぐらいすぐに直りますから。」
???「本当に!いや~助かったなぁ~。あっ、我輩は探偵をしている“服部半蔵の子孫
 服部半平ですぞ。もしお困りになった時には、どうぞご依頼を。」
実「服部半蔵の子孫!?それはすごいでんなぁ。」

半平と名乗った探偵は菜摘に名刺を渡したその時。

ファンファンファン

突如、警報が鳴り始めた。

半平「な、何だ!?」
恭介「皆!」
実「スイマセン、ちょっと出てきます。」
菜摘「必ず直しますので。」
半平「何なのよ。もう!」

恭介達は半平を残して全員、外へと行ってしまった。

577

***とある広場***

今の警報はボーゾックに反応する警報である。5人は反応があった場所へと
駆けつけた。

恭介「どこにボーゾックがいるんだ?」
???「は~はっはっはっ!久しぶりだな、カーレンジャー。」
洋子「誰!?」

声のした方を見るとそこにはSSパマーンがいた。

恭介「お前はSSパマーン!」
直樹「やっぱり、ボーゾックは復活していたのでございますね。」
洋子「何で、私達の正体を知っているの?」
SSパマーン「エグゾスから、貴様等の正体を聞いたのだパマン。」
菜摘「エグゾスも!あいつは用済みになったら、平気で裏切るのよ。」
SSパマーン「それは知っているパマン。だが、利害が一致している今は協力している。
 裏切るならば、その時に戦うのみパマン。まずは貴様達を倒す事だ!来い、お前達。」

SSパマーンが声をあげると後ろから4人のローブを着た人影が現れ、ローブを脱いだ。

SSパマーン「ゾクレッド・SSパマーン!
OOバットン「ゾクブルー・OOバットン!
UUウーリン「ゾクグリーン・UUウーリン!
UUウッス「ゾクイエロー・UUウッス!
LLオネネ「ソクピンク・LLオネネ!
SSパマーン「戦う暴走行為」
ゾクレンジャー「暴走戦隊ゾクレンジャー!」
実「て、人の口上パクってるやん!」
恭介「俺達も行くぞ、激走!アクセルチェンジャー。」

ゾクレンジャーの名乗りが終わった後、恭介達も自分達の変身アイテム
アクセルチェンジャーでカーレンジャーへと変身した。

レッドレーサー「レッドレーサー!」
ブルーレーサー「ブルーレーサー!」
グリーンレーサー「グリーンレーサー!」
イエローレーサー「イエローレーサー!」
ピンクレーサー「ピンクレーサー!」
レッドレーサー「戦う交通安全」
カーレンジャー「激走戦隊カ~レンジャー!」

今、戦いの火蓋が切って落とされた。

578

レッドレーサー「バイブレード。」
SSパマーン「フン!」
グリーンレーサー「OOバットン、よくも俺の前に出おったな!」
OOバットン「うるせぇ、こっちは命がかかってんだバットン!くたばれぇぇ!」
UUウーリン「へっへっへ、俺と結婚してくれー!」
ピンクレーサー「いやー!あっち行って。」
LLオネネ「あの時はよくも邪魔してくれたね!覚悟は出来ているんだろうね!」
イエローレーサー「また、やっつけてやるんだから!」
UUウッス「お前がオレの相手ッスか・・・。ブルー、いやレッド、何色ッスか?」
ブルーレーサー「私の相手は貴方でございますか?負けませんよ。」

レッドレーサーとSSパマーンはお互い剣でぶつかり、OOバットンはハンマーを
グリーンレーサーに叩き付けようと振り下ろすが、それを避け、UUウーリンは
ピンクレーサーを追いかけ、LLオネネとイエローレーサー、UUウッスとブルー
レーサーは対峙した。

グリーンレーサー「こんな奴ら、さっさと倒すに限るで。」
レッドレーサー「よし、ギガブースターだ。」

カーレンジャー達は必殺武器ギガブースターを呼び出した。

SSパマーン「こちらも新装備ゾクバズーカだパマン。」
ゾクレンジャー「応」

ゾクレンジャーもゾクバズーカで対抗し、お互い打ち出した。

ドカァァァン

ゾクレンジャー「だぁぁぁ!」
レッドレーサー「やった。」

だが、勝ったのはカーレンジャーである。しかし、ここで終わらないのが
ボーゾックである。普通やられた後は何故か、芋長の芋羊羹を食べると巨大化
するのだ。だが、今回は違っていた。

SSパマーン「まだ、終わらん。ノリシローン!」

SSパマーンの叫びはバリバリアンまで届いた。

リッチリッチハイカー教授「来ましたね。ノリシロン発進してください。」

バリバリアンから改造を施したノリシロンが発進し、ゾクレンジャーの元へと
やってきて、彼らはそれに乗り込んだ。

レッドレーサー「こっちもRVロボだ。激走合体!」
カーレンジャー「エンジン好調RVロボ!」

カーレンジャー達もそれぞれのレンジャービークルに乗り込み、合体して
RVロボとなった。

579

SSパマーン「行くぞ!ノリシロンアックス」
レッドレーサー「何の!」

ノリシロンは装備している斧を振り上げて斬りつけるが、RVロボの
ラジアルシールドで防いだ。

SSパマーン「ならば、新装備ノリシロンキャノンで奴らを吹き飛ばしてやるパマン!」
ノリシロンはキャノンを取り出した。後はボタンを押して、エネルギーを打ち出すだけ。

ポチ!

SSパマーン「な、何故出ないパマン。」
UUウッス「あれ?エネルギーでないッス?」

UUウッスはボタンを押していた。発射ボタンではなく、エネルギーを逆流するボタン
を押していた。。

UUウッス以外のゾクレンジャー「「「「ウソ~!」」」」

ドカァァァァン

ノリシロンは爆発し、乗っていたゾクレンジャーはバリバリアンの方まで
飛んでいった。

レッドレーサー「・・・。」
グリーンレーサー「あいつら、何しに来たんやろ。」
レッドレーサー「まぁ、何より事件(?)解決したし帰るか。」
イエローレーサー「そうね、車の修理しなきゃいけないし。」

***オマケ***

SSパマーン「次こそは必ず奴らを倒すパマン。」
OOバットン「あ~、たこ焼き食いて~バットン。」
UUウーリン「ピンクレーサーちゃ~ん。」
UUウッス「え~と、何すればいいんだっけ?」
LLオネネ「ちょっと誰か、ツーリングいかない?」
リッチリッチハイカー教授「(選択間違えたかも・・・。)」

がんばれ、ゾクレンジャー。リッチリッチハイカー教授が呆れ果てて
いても戦いは始まったばかりだ。

580

○陣内恭介→ゾクレンジャーと戦う。
○土門直樹→ゾクレンジャーと戦う。
○上杉実→ゾクレンジャーと戦う。
○志乃原菜摘→ゾクレンジャーと戦う。
○八神洋子→ゾクレンジャーと戦う。
○服部半平→車の修理の為にペガサスに訪れる。
●リッチリッチハイカー教授→新生ボーゾックの総長に就任。
●暴走皇帝エグゾス→新生ボーゾックの結成式に出席。
●SSパマーン→ゾクレッドとなり、カーレンジャーと対決。
●OOバットン→ゾクブルーとなり、カーレンジャーと対決。
●UUウーリン→ゾクグリーンとなり、カーレンジャーと対決。
●UUウッス→ゾクイエローとなり、カーレンジャーと対決。
●LLオネネ→ゾクピンクとなり、カーレンジャーと対決。

【今回の新登場】
○陣内恭介=レッドレーサー(激走戦隊カーレンジャー)
自動車会社ペガサスの元テストドライバー。テストドライバーだが、ほとんど雑事を
している。元ボーゾックの幹部・ゾンネットとは遠距離恋愛中。ボーゾックの戦いの
後、交通安全の大切さを教える為、役者をしている。

○土門直樹=ブルーレーサー(激走戦隊カーレンジャー)
自動車会社ペガサスのカーデザイナー。バカ丁寧な敬語で話す。5人の中で一番
給料が高い。

○上杉実=グリーンレーサー(激走戦隊カーレンジャー)
自動車会社ペガサスの営業マン。大阪出身で阪神タイガースのファン。

○志乃原菜摘=イエローレーサー(激走戦隊カーレンジャー)
自動車会社ペガサスのメカニック。直樹を弟のように可愛がっている。

○八神洋子=ピンクレーサー(激走戦隊カーレンジャー)
自動車会社ペガサスの経理担当。よく会社でケーキを食べている。

581○服部半平(人造人間キカイダー)
伊賀忍者服部半蔵の子孫を自称する私立探偵。ミツ子・マサルの姉弟を助ける。
忍者としての実力は低く臆病そうにも見えるが、意外な活躍や行動力を見せ、
キカイダーの危機を救うことも多い。一人称は「吾輩」でジローのことは
「ミスター・ジロー」と呼ぶ。通称「ハンペン」 愛車はスバル360。

●リッチリッチハイカー教授(激走戦隊カーレンジャー)
ボーゾックに雇われた悪のコンサルタント。元々はリッチハイカー教授だったが、
悪のパワーを吸収して現在の姿になった。考え事をする時はトイレにこもる。

●暴走皇帝エグゾス(激走戦隊カーレンジャー)
地球を爆破し、“悪の大宇宙ハイウェイ”を計画していた、ボーゾックの黒幕。ボーゾックのファンを
装い、利用する。

●SSパマーン=ゾクレッド(激走戦隊カーレンジャー)
ボーゾック1のヒーロー研究家。暴走戦隊ゾクレンジャーを結成し、ゾクレッドとなる。

●OOバットン=ゾクブルー(激走戦隊カーレンジャー/半オリジナル)
ボーゾックを脱走したと偽り、カーレンジャーに近づいたボーゾックの1人。
今作ではゾクブルーとなる。

●UUウーリン=ゾクグリーン(激走戦隊カーレンジャー/半オリジナル)
シグナルマンを食べる事が目的のボーゾックの1人。好きな女性のタイプは
八神洋子。今作ではゾクグリーンとなる。

●UUウッス=ゾクイエロー(激走戦隊カーレンジャー/半オリジナル)
ボーゾック1の暑苦しさを持つ。飲むとバカになるドリンクを飲んでバカになる。
あまりの暑苦しさに冬が夏のような暑さになった。今作ではゾクイエローとなる。

●LLオネネ=ゾクピンク(激走戦隊カーレンジャー/半オリジナル)
集団暴走行為が好きなボーゾックの1人。ゾンネット以外の女性。着けると
暴走行為を起こす鉢巻を持っている。今作ではゾクピンクとなった。 


『吹き飛ばせ!怨念の炎』-1

作者・ボー・ガルダン

582

阿蘇山付近で鬼達の競演が繰り広げられていたのとほぼ同じ時刻…

***九州某所***

???「ガルマ・ザビの機甲軍団による日本総攻撃が失敗に終わったは周知の通り…」
???「ふん、あれだけの軍団を擁しながら敵将の首一つ挙げられぬとは」
???「地底どころか、地球生まれですら無い若造が。彼奴めに地下帝国軍団長の素質
 があるのか、ますます疑わしいわ」
???「そもそも奴がGショッカーに加わった理由も甚だ下らん。あの程度のお家騒動など
 どこでもあるものではないか。我らが2000年もの間歩んできた屈辱の歴史に比べれば、
 屁でもないわ」
???「されど、まったく戦果がなかったわけではありますまい。ガルマ閣下が行動を
 起された事により、我らの九州侵出はさらに容易なものとなったのも事実」
???「うむ、超力戦隊は機甲軍団に受けた被害の回復にまだ相当の時間を要する模様…」
???「一方のコープランダー隊もライディーン未だ目覚めず、神宮寺力とともにブルーガーを
 失った今、装備自体は凡百の軍隊と変わらぬ。ひびき洸がいかな傑物とはいえ、恐れるに値せん」
???「ならば、我々もこの辺りで一手、打たせて頂くとしましょうか…」


***福岡県・三井三池炭鉱跡地***

かつて日本のエネルギー産業を支え、その近代化に大きく寄与した三池炭鉱も
エネルギー革命と採算性の問題から、現在は閉山し、地下の黒いダイヤも
数億の眠りの中にある―――はずであるが、現在その足下では、
往時の繁栄を取り戻したかのような槌音が鳴り響いていた。

ミマシ「愚かな大和政府め…これだけの財貨が有りながら、目先の金惜しさに採掘の工夫も
 せず、ただ眠らせたままにしておくとは。今にそれが自らの上に崩れかかってくるとも知らず
 にな…」
ハニワ兵士「既にヤマタノオロチを半年間は連続稼動できるだけの石炭は採掘しております」
ミマシ「ぐはははは!ヒミカ様もさぞお喜びであろう。われら邪魔大王国がこの九州を足がかり
 に再び日本を制する日がまた一歩近づいたわ!」
???「待て待て待てぇい!待ちんしゃ~いっ!!!」
ミマシ「な、なんだ今の声は!?」
ハニワ兵士「ミ、ミマシ様!なにかがこちらに掘り進んで来ております!」
                 、、    、、    、、
        ,,   ,,  ,, ━━┓ ━━┓  ━━┓
…ゴゴゴ  ̄|  ̄|  ̄|   .  ┃    ┃     ┃
      . ̄  ̄ . ̄ ━━┛ ━━┛  ━━┛

583

バリバリバリバリッ~!!!


と、坑道の壁面を突き破り邪魔大王国の石炭採掘場に白い六輪の戦車が姿を現した!

ミマシ「貴様ら、イーグル九州支部の連中か!」
大岩大太「その通りたい!おいどんらの目の黒いうちは、この九州はおどまの好き勝手には
 させんばい!」

戦車―バリタンクからかつての秘密戦隊ゴレンジャーの1人、キレンジャーこと
現在は国際秘密防衛機構「イーグル」日本ブロック九州支部分隊長・大岩大太と
彼が選びぬいた部隊の精鋭たちが姿を現した。

ミマシ「うぬぅ、なぜここが!?」
大太「簡単じゃわい、おいどんが改良した地底レーダーの探査網からは、モグラ一匹
 逃れられんばい!」
ミマシ「おのれ、相手はたかだか数人!ハニワ兵士、この者たちを討ち取り、その首を
 ヒミカ様へと捧げるのだ!」
大太「何人でも、かかってきんしゃい。それぇ、機関砲発射たぁ~い!」
イーグル隊員「バルカン砲掃射!」「地中ミサイル発射!」
ハニワ兵士「どわあああっ!」「ぎゃあああっ!」

踊りかかる数十人のハニワ兵士たちだったが、バリタンクからの機銃掃射と、さらに放たれた
地中ミサイルで一気に半数余りが消し飛んでしまった。さらに、生き残ったハニワ兵士たちも、
バリタンクから降りた大岩とイーグル隊員たちに次々倒されて行く。

ミマシ「うぬうううっ!おのれ、イーグル隊め!この邪魔大王国三幹部が1人・ミマシが相手よ!」

見かねたミマシが腰の太刀を引き抜いて踊りかかる。

大太「大将がでてきおったばい!ここはおいどんにまかせんしゃい!ゴーッ!」

宙返りとともに大岩はキレンジャーに姿を変え、すかさずキーステッカで太刀を受ける。

584

キレンジャー「どりゃぁ、真剣白刃取りならぬ、ジャンケン白刃取りたぁ~い!」

そして、キーステッカーのアタッチメントをチョキに変えて太刀挟み込むと、
そのままミマシの手から弾き飛ばした!

ミマシ「む、やるな!ならばこれはどうだ!」

2mをゆうに超える巨体と半身が化石化された半トンもの重量から振り下ろされるミマシの鉄拳!
キレンジャーが後ろに飛びのいた次の瞬間、足元にあった岩が一撃で砕け散る。

キレンジャー「ややや!あげなもんくらーされたら、ひとたまりもなか!」
ミマシ「がはは!くたばれ!キレンジャーッ!!!」
キレンジャー「ばってん、まともに受けなばええ話た~い!」

ミマシの鉄拳が振り下ろされた瞬間、キレンジャーは逆にミマシの懐に潜り込むと、
そのまま、腕と鳩尾の辺りを掴み、一瞬、650キロのミマシの巨体が、地面を離れ、
完全にキレンジャーの頭上に掲げられた。

ミマシ「なぁ!?ば…馬鹿な!」
キレンジャー「どうりゃあ!阿蘇山大噴火ぁ~!」

その体重と勢いをそのまま逆用したキレンジャーによって、ふわりと浮き上がったミマシの身体は、
そのまま頭から地面に直撃した!

ズドォォオオオオオン!!!

ハニワ兵士「ミ、ミマシ様!」
イーグル隊員「おおっ、隊長がやったぞ!」
ミマシ「おのれぇ…コケにしおって!ハニワ幻人たちよ、この者たちを血祭にあげるのだ!」

585

ふらふらと立ち上がったミマシの掛け声で、突如坑道の一部が崩れ、
イーグル隊を取り囲む形で三体のハニワ幻人が出現した。

武人型ハニワ幻人「グオオオオッ!!!」
岩石型ハニワ幻人「ゴロロロロ…」
白骨型ハニワ幻人「ケキャキャキャキャキャ!」

キレンジャー「のおっ!こげなもんまで隠し持っておったんか!」
ミマシ「どあははははっ!さすがの貴様でもこれは投げ飛ばせまい!」
キレンジャー「なはは…ほんにめでたい奴じゃのぉ!」
ミマシ「な…どういう事だ!」
キレンジャー「おんしらが、どこのどなたさんかはしっかと調べがついちょるばい!
 じゃけんの、おいどんらもその道のプロにもう連絡をとっておったんじゃい!」
ミマシ「その道のプロだと…まっ、まさか…!」


                 、、    、、    、、
        ,,   ,,  ,, ━━┓ ━━┓  ━━┓
…ゴゴゴ  ̄|  ̄|  ̄|   .  ┃    ┃     ┃
      . ̄  ̄ . ̄ ━━┛ ━━┛  ━━┛

生唾を飲んだミマシの頭上から突如、地響きが近づき――――


―遡る事数分、三池炭鉱を目指し猛進する二機一対のバイクと飛空艇があった!

586

草薙剣児「しっかし、マジでまた出てきやがったのか!?ヒミカの野郎」
珠城つばき「これも蘇り現象の影響?でも、確かにヒミカ達は大銅鐸に封じ込めたはずなのに…」
司馬宙「どういう理由だろうと関係ねぇ!

 何度、地獄から這い戻ってこようと、その度にまた叩き込んでやるだけだ!」
珠城美和「宙さん、どうやらハニワ幻人が動き出したみたいよ!」
宙「来たか…、よし、行くぜ、ミッチー!」
剣児「こっちも頼むぜ、つばき!」

美和・つばき「「ええ、ジーグパーツシューット!!!」」
宙・剣児「「鋼鉄ジィィィイイイグッ!!!」」

ほぼ同時に二機のビックシューターからジーグパーツが射出され、そしてバイクの二人が両拳を打ち合わせると、宙は本人が直接、剣児は愛機・雷鋼馬が変形しヘッドパーツを形成、射出されたジーグパーツが次々と引付け合い、見る間に異形の巨大ロボットがその姿を現した!

「「ビルドアアアアアップ!!!」」

         ・
         ・
         ・

ミマシ「こ、この地響きはまさか!!!」
「「マッハドリイイイイイッル!!!」」


ギュィィィイイイインッッッ!!!バリバリバリバリバリッ~~~~!!!

ハニワ幻人「「「グギャアアアアアアアアアアアッ!!!」」」
ミマシ「どああああああああっ!!!」

天井をぶち抜いて侵入した二機のジーグはその両腕に装備されたマッハドリルで
周囲を蹂躙、三体のハニワ幻人をたちまち元の土塊に変えてしまった。
地盤が崩壊した採掘場が轟音とともに崩壊を始める!

キレンジャー「どわわわわ!まだおいどんらが残っとるばぁい!」

587

―地上―

大岩の指令で地上に連絡員として残っていた数十人のイーグル隊員たちは、
空間反応のあった区域を遠巻きにする形で囲んでいた。

隊員A「Wジーグが出てきたぞ!」
隊員B「ああっ、地面が陥没する!」
隊員C「分隊長たちは無事なのか!?」

Wジーグが地上に姿を現したと同時に、炭鉱地上部の地面が長方形に100メートル近くも陥没し、
遅れてバリタンクが地上に姿を現した。

キレンジャー「こらぁ!おんしら、助太刀は有難いが少しは周りの事も考えんしゃーい!」
剣児「おっと、悪ィ悪ィ、勘弁してくれよ、おっさん!」
キレンジャー「おいどんは、まだそんな歳じゃなかと!」
美和「剣児!気を緩めてはなりません。まだ、周囲に敵が潜んでいますよ!」
つばき「周囲に計5体、ハニワ幻人の反応が残っているわ!」

つばきが言葉を終えるのが早いか、再び地面が鳴動し、さらに5体のハニワ幻人が出現した!

キレンジャー「のわあっ!ごっついのぉ!」
剣児「随分と手厚く歓迎してくれるじゃねーか!モテる男は辛いぜ、
    くぅ~!これがピチピチのカワイ娘ちゃんだったら…」
つばき「剣児ッ!!!」

さらに地面から水面のように波紋が広がり、ミマシが姿を現す。

588

ミマシ「待ちかねたぞ鋼鉄ジーグ!よくも我らが採掘場を潰してくれたな!
 その償いは高くつくぞ!」
宙「ミマシ!また性懲りも無く蘇ったのか!」
剣児「いい加減、日本征服なんざあきらめて、地底でひっそり暮らしたらどうなんだ」
ミマシ「黙れ!ヒミカ様と我ら邪魔大の民の悲願を晴らすまで何度でも蘇ってやる!
 ハニワ幻人ルゴン、マグマー、皆、ジーグを叩き潰すのだ!」
宙「貴様らがそのつもりなら、何度でも地獄に送り返してやる!行くぜ、みんな!」
キレンジャー「ハニワ兵士はこっちに任せんしゃい!九州男児の心意気見せちゃるばい!」

ミマシの指令に一斉に踊りかかる五体のハニワ幻人と無数のハニワ兵士。
ハニワ幻人マグマーがイーグル隊に腕の機関銃を放とうと構えるが、

宙「ダイナマイトキーック!」

旧ジーグの強烈な蹴りを浴び後方に吹き飛ぶ。
着地の瞬間をルゴンと古代人風のハニワ幻人がそれぞれ槍と狼牙棒を投げつけるが、

剣児「ナックルボンバー!スピンストーム!」
ルゴン「グゴアアアアアッ!!!」

これもまた阻止され、続けざまにスピンストームが放たれ、反応の遅れた
ルゴンがまともにこれを浴び粉砕された。

ミマシ「ええい、ならばビッグシューターを狙うのだ!」

589

ミマシがWジーグの注意を乱そうと翼竜型の幻人を襲い掛からせるも、

「「「サークルブラスター発射!」」」
ハニワ幻人「キキャアアアアッ!!!」

つばき「ビルドエンジェル!」
剣児「うおおおお、充子さ~ん!」

駆けつけたビルドエンジェル隊の3人によって左翼を打ち抜かれ錐モミ状態となり墜落していく。

宙「とどめだ!ミッチー、ジーグバズーカだ!」
美和「OK、ジーグバズーカシュートッ!」

美和のビッグシュータからジーグバズーカが射出され、旧ジーグの右腕に換装。

宙「ジーグ・バズーカ、シュートッ!!!」

チュドオオオオオンッ!!!

ジーグバズーカが着弾したハニワ幻人は断末魔も無く、消し飛んだ。

柳生充子「Wジーグとイーグル九州支部の面々を援護する行くぞ!」
早乙女門子「久方ぶりの出撃だぁ!腕が鳴るぜ!」
御堂竜子「ビルドエンジェル隊のピンポイント射撃の精度、見せてやるとしよう…」

三機の機銃掃射は正確にハニワ幻人とハニワ兵士達だけに命中していく。

宙「ダイナマイトパーンチ!」
剣児「地獄ビンタァッ!!!」

残り3体のハニワ幻人もたちまち劣勢に追い込まれた。

宙「ミマシ!ロートルのハニワ幻人が何体出てこようと、俺たちの敵じゃないぜ!」
ミマシ「ぐぐぐ…、おのれWジーグめぇっ(くそっ…「奴ら」は一体なにをしているのだ!)」

590

キレンジャー「さすがWジーグたい!邪魔大王国が手も足もでん…あれは!?」

勝利を確信した、キレンジャーだったが、なんと、阿蘇巡礼であろうか、1人の修験者風の男性が
戦場に紛れ込んでいるではないか!

修験者「おお…これはどうした事だ!天魔羅刹がワシの眼前で争いおるとは!
 南無三宝南無三宝…」
キレンジャー「なんばしょっと!はよー逃げんしゃーい!」
イーグル隊員「隊長!」

そしてビックシューターからつばきもその人影に気が付いた!

つばき「剣児、宙さん!足元に人が!」
「「なんだとっ!?」」

すぐさま避難させるべくキレンジャーが、修験者に近づいたその瞬間であった。
地に臥し、真言を唱えていた修験者の口元が不敵に歪んだ。

591

キレンジャー「な……お前さんは…」
修験者「かかったな、間抜けが!出でよ、モンスターゾロォォォオオオ!!!」

と、突然、修験者の足元が猛烈な砂煙とともに小山のように盛り上がった!

キレンジャー「なあああああっ!!!」
イーグル隊員「たいちょ…うわああああああああああっ!!!」
宙「ぐああっ!なんだ!?」
剣児「な…なんじゃこりゃあ!」

巻き上がる土砂とともに吹き飛ばされたキレンジャーと、彼を救助しようとした
数人のイーグル隊員は姿が見えなくなってしまった!そして、もうもうと立ち上がる
砂煙が晴れた先には…。

美和「こ…これは…一体?」
つばき「鉄………球…?」

ビルドベースの面々と残されたイーグル隊員の眼前には
Wジーグの2倍近い直径の巨大な鉄球が姿を現した。
その頂点にあたる棘の脇にはあの修験者が立っている。

モンスターゾロ「…キシュィーン…キシュィーン…」

不気味な機械音とともになんと、その鉄球からは手足と頭が生えて来たではないか。

剣児「ロ…ボット…だと…?」
宙「ハニワ幻人…いや、ロボット獣……違う、俺もこんな奴は見た事がねぇぜ!」
剣児「なんだろうとぶっ壊しゃあ済む話じゃねえか、キレンジャーのおっさんが気がかりだが、
 立ち止まってても始まらねぇっ!ナックルボンバーッ!!!」

592

修験者「モンスターゾロ!弾き返すのだ!」

修験者の命令を受けた、鉄球型ロボット――モンスターゾロが再び砂煙を巻き上げながら
その場で高速スピン、ナックルボンバーを弾き返した!

剣児「げえっ!嘘だろぉ!」
修験者「ふふふ…大和政府有数の科学者・司馬遷次郎の力も底が見えたな、ハァッ!!!」

修験者が服を脱ぎ捨てると、その姿は黒いヘルメットと、炎の意匠が施された服を纏った男
に変わった!

宙「貴様ぁ何者だ!」
不知火順五郎「俺は不知火順五郎!貴様ら残忍で欺瞞に満ちた大和民族に天誅を加える男よ!」
ミマシ「フハハハハッ!驚いたかジーグ!ヒミカ様に結界を解いて頂き、炭鉱の存在を白日に
 晒したのも全て、この新たなる同志とともに九州に残る、貴様らを撃ち滅ぼすための罠よ!」
剣児「へぇっ!こんな不細工なボーリング玉ごときで俺らがビビるとでも思ってんのかよ!」
ミマシ「相変わらず威勢がいいな小僧、だがこれを見てもそんな事が言っていられるか!」
順五郎「出でよ!ジャイロゲス!!!」

すると、モンスターゾロの居る反対側の崖に突如無数の亀裂が入り、岩盤が瞬時に崩落した!

イーグル隊員「うわああああああああっ」「ぎゃあああっ!!!」
つばき「ああっ!イーグル隊の人たちが!」

その雪崩に後方に退いていたイーグル隊員たちが巻き込まれ、数人が瓦礫の下敷きとなって
しまう。その上を容赦なく踏み躙りながら、中から不気味な巨影が姿を見せ始めた。

ジャイロゲス「…マ゙ッシ!」

奇声を発した後、突き出した両腕を下げ屹立する切断ロボット・ジャイロゲス。
その巨体はゆうにWジーグの5倍。頭から突き出た巨大な2本の角と禍々しい光を放つ赤い目、
口から覗かせる2本の牙。まさに悪鬼と呼ぶに相応しい姿である。

ミマシ「ふははは…これぞ、我ら大和民族に追われし者の怨念が醸し出した復讐の巨神よ!
 ジーグ!ここが貴様らの墓穴となるのだ!」
順五郎「邪魔大王国の異次元科学と『あるお方』の科学力で強化された我らの力見るがよい!」

順五郎はそのまま、モンスターゾロの内部に姿を隠し、
2体の巨大ロボットと、3体のハニワ幻人がWジーグを取り囲む。

宙「ミマシの単細胞にしては周到すぎるとは思っていたが、他に黒幕がいたというわけか!」
剣児「この墓穴に入るのはてめぇらだ!図体のでかさで勝負が決まると思うなよ!」

593

○大岩大太→イーグル九州支部分隊長として、邪魔大王国の地下炭鉱を攻撃。
 ビルドベースとの協力でこれを粉砕するが、突如出現したモンスターゾロの
 起した砂嵐に巻き込まれてしまう。
○司馬宙、草薙剣児→Wジーグとしてハニワ幻人、不知火ロボットと戦う。
○珠城美和、珠城つばき→ビッグシューター操縦者として二人をサポート。
○柳生充子、早乙女門子、御堂竜子→ビルドベース、イーグル両隊を援護
●ミマシ→地下炭鉱に乗り込んできたキレンジャーとの直接対決に破れるが、
 不知火順五郎とともにビルドベース、イーグルを罠に嵌める。
●不知火順五郎→修験者に化けて、キレンジャーを騙し、土砂に巻き込む。
 モンスターゾロに搭乗。
●ルゴン、OPのハニワ幻人A・B・C、EDのハニワ幻人C→Wジーグに破壊される。
●マグマー、EDのハニワ幻人A・B→不知火ロボット2体とともにWジーグを取り囲む。
●ジャイロゲス、モンスターゾロ→不知火順五郎に操られ出撃。イーグル隊員数名を殺害する。
 ともになんらかの強化改造が施されている模様。

【今回の新登場】
○大岩大太=キレンジャー(秘密戦隊ゴレンジャー)
黒十字軍に基地を襲撃され壊滅したイーグル九州支部唯一の生き残り。
こてこての九州男児で、困っている人を見ると放っておけないお人よし。
ナゾナゾは大の苦手だが、頭はよく精密機器や通信のエキスパート。
持ち前の怪力と柔道を応用した戦法と、情報戦を得意とする。
大のカレー好きで、たとえ敵の罠と分かっていても誘惑に負け食べてしまうほど。
武器は拳状のアタッチメントを装備し、通信機器も兼ねた如意棒・キーステッカー。

○司馬宙(鋼鉄ジーグ/鋼鉄神ジーグ)
考古学者である父・遷次郎に古代日本の超科学の産物・銅鐸を体内に宿した
サイボーグ。元は自動車整備工場「司馬モータース」のオーナーでレーサー志望。
父親に無断でサイボーグにされ、邪魔大王国と戦う事を義務付けられたたため、
当初これに反発していたが、次第に日本を守る使命に目覚めていく。
正統派ヒーローの類型からやや外れた荒々しい熱血漢で、口も悪いが、
反面、正義感は非常に強く、また、家族想いである。鋼鉄ジーグとしては、
銅鐸の力とマグネットパワーによって多彩な換装パーツを使いこなし、
スーパーロボットとしては小柄ながら、それを感じさせない豪快な戦いを行う。
(以下、闘争の系統のみの設定)
体内の銅鐸はジーグの機動ユニットとしてだけではなく、
竜魔帝王及び大銅鐸の封印の鍵となっており、50年前、
竜魔帝王との決戦でこれと半ば相討ちの形で封印し、
異世界の九州・ゾーンを作り出した。その後、再び復活した
ヒミカとの戦いで目覚めるが、時間の流れが止まったゾーン内に
居た事とサイボーグであるため、現在も若々しい青年のままである。

○珠城(卯月)美和(鋼鉄ジーグ/鋼鉄神ジーグ)
かつて司馬博士の助手を努め、ビッグシューターの初代操縦者として、
鋼鉄ジーグのパートナーとして邪魔大王国と戦った女性。宙には
ミッチーと呼ばれている。ハニワ兵士にも勝る格闘術を持つ。
真面目で落ち着いた性格で暴走しがちな宙のストッパーでもある。
珠城つばきの祖母であり、現在は司馬博士に代わり、
ビルドベースの司令官を努める。現在は年老いてしまっているが、
宙との絆は健在であり、ビッグシューターの操縦に関しても
往年と比べて寸分も衰えていない。

○草薙剣児(鋼鉄神ジーグ)
もう1人の鋼鉄ジーグ。学生ながらもバイクレースのチャンピオンライダーであり、
武芸百般に長けるが、乗りが軽く、非常にスケベであり、クラスの女子からは
「バカ」呼ばわりされまったくモテない。両親は消息不明となっているが、実は
彼女の母は邪魔大王国のヒミカらと同じ種族であり、彼の愛機・雷光馬完成のために
命を落としている。宙と違いサイボーグではないが、前述の出自からジーグの操縦者に
もっとも相応しいとされ、雷光馬に搭載された銅鐸の力でジーグに変形する。
戦闘技術はまだまだ宙に劣るが、突拍子の無い発想力を武器に
型に縛られない戦い方を得意とする。

○珠城つばき(鋼鉄神ジーグ)
剣児の幼馴染で祖母・美和同様ビッグシューターの操縦者。当初は剣児の好敵手・
美角鏡の副操縦士という立場だったが、彼の死後は単独で剣児のパートナーを努める。
麻布都珠勾(まふつすく)神社の巫女でもある。気が強いしっかり者。剣児に対しては、
幼馴染以上の感情を抱いているが、スケベな剣児の態度にやきもきさせられている。
しかし剣児の方でも実はまんざらでは無い模様で、宙・美和同様固い絆で結ばれている。
実は銅鐸の封印に大きな役割を果たす、銅鐸の巫女。

○柳生充子(鋼鉄神ジーグ)
鋼鉄神ジーグを支援する戦闘機部隊「ビルドエンジェル隊」の隊長を努める隻眼の女剣士。
戦場では冷静沈着、厳しい態度で臨むが普段は面倒見のいいお姉さん。「ハレンチ学園」に
在籍していた柳生みつ子とは名前、容姿ともに酷似しているが…?

○早乙女門子(鋼鉄神ジーグ)
「ビルドエンジェル隊」隊員。元は50年前の女性自衛官で、ゾーンから自力で脱出した数少ない人物。
鍛え上げられた巨体を持つ男勝りな女性で、剣児からは度々メスゴリラ呼ばわりされ、その度に激怒、彼に制裁を加えている。

○御堂竜子(鋼鉄神ジーグ)
「ビルドエンジェル隊」隊員。元は50年前の女性自衛官で、

ゾーンから自力で脱出した数少ない人物。
 口数少なく博識な女性だが、門子以上に物騒な発言をポロリと口にする事も。

●ミマシ/壬魔使(鋼鉄ジーグ/鋼鉄神ジーグ)
日本支配を企む、邪魔大王国三幹部の1人。筋骨隆々とした大男で、化石からの蘇生が不完全だったため半身が岩石と融合している。
三幹部きっての武断派で何事も力でねじ伏せるタイプ。曲刀と怪力を武器とする。他の2幹部とは功を競い合う間柄だが、ともにヒミカへの忠誠心は高く、特にミマシは竜魔帝王にヒミカが殺された際、仇討ちの中心人物として活動している。

●不知火順五郎(アイアンキング)
大和民族を憎み、政府転覆を企む不知火一族十人衆の1人。
山伏に化け弾丸ロボット・モンスターゾロを操り静弦太郎&霧島五郎を襲った。

●ハニワ幻人ルゴン(鋼鉄ジーグ)
ハニワ幻人第1号。以前はイキマが操った。
爬虫類の顔をした武人の姿をしており、槍が武器。

●ハニワ幻人マグマー(鋼鉄ジーグ)
ハニワ幻人第2号。以前はアマソが操った。
腕の熔岩弾と頭部を破壊されても戦闘続行が可能なタフさがウリ。

●切断ロボットジャイロゲス(アイアンキング/半オリジナル)
不知火順二郎の操る不知火ロボット2号機。青鬼の如き面貌をしている。
その異名の通り両型から放つ三日月形のブーメランと、左腕を発射して
それが触れたものをなんでも切り裂いてしまう。

●弾丸ロボットモンスターゾロ(アイアンキング/半オリジナル)
不知火順五郎の操る不知火ロボット5号機。胴体が棘だらけの鉄球のようになっており、
頭と手足を収納して転がる体当たり攻撃、地中潜航を可能とし、攻撃、防御どちらにも転用できる
定位置での高速回転、全身を発熱させて相手を高温で焼き殺す等、見かけによらず多彩な技を持つ。

 


『ダカールの日』-4

作者・鳴滝

594

***東京・総理大臣官邸***

東京・永田町にある首相官邸では、長らく留守にしていた官邸の主である
現内閣総理大臣・剣桃太郎の帰還を官邸スタッフらが出迎えていた。

茅葺「おかえりなさい、剣先生。これでわたしも
 ようやく少しは肩の荷が降りますかしら?」
桃太郎「長い間本当にご苦労をお掛けしました、茅葺先生。
 そしてみんなにも心配を掛けた」
火野「総理がこうして無事に戻られ、何よりです」

総理執務室の椅子に久々に座った桃太郎は、すぐに冴島危機管理監から
情勢の報告を受ける。

冴島「米議会もウィルソン大統領の尽力により、反ロゴスの旗幟を
 鮮明にする方向に固まりつつあります。コープランド前政権時代には
 考えられなかった事です」
火野「中東地域の意見調整も我々の側にとって有利に運びつつあります。
 ただ問題は……」
桃太郎「英国か……」

顔を曇らせる一同。英国内ではここ最近、内務大臣を中心とした一派が
ロゴス派と通じ、それに押される形で英国全体が親ティターンズの方針に
傾きつつあり、仏独など近隣の欧州諸国にもその影響で動揺が拡がっていた。

火野「どうでしょうか総理、白河尚純が失脚したとはいえ、
 まだ日本国内に未だ残るロゴス派の影響力も計り知れません。
 ここは連中や世界各国のロゴスシンパを刺激しないためにも、
 公民権法の成立は先送りされては?」
桃太郎「いや、法案の成立を後退させては、かえって相手につけ
 込まれる。ここはあくまでも毅然とした我が国の意思を国の内外に
 示し、その後に来たるべき地球連邦の臨時総会に日本代表として望む!」

595

***地球連邦首都・ダカール***

ここはダカール市郊外にある、地球連邦大統領が主に静養等に
利用する別邸である。その正門前で、警備に当たるティターンズ兵と
訪問客らが押し問答になっていた。

カットナル「いいから大統領と国王に会わせろと言っておる!」
フィッツジェラルド「大統領経験者であるこの私でも
 ダメだと言うのかね?」
ティターンズ兵「たとえ何者といえでもここは絶対に通すなとの
 命令を受けております。お引取りください」
カットナル「え~い! 話のわからん奴らだ!
 ドーリアン外務次官、アンタもなんか言ってやりなされ!」
リリーナ「………」
ティターンズ兵「速やかにご退去いただけない場合は、
 こちらも強硬な手段に出るよう許可されております」

ティターンズ兵は銃を向ける仕草で、カットナルたちを威嚇する。

カットナル「チッ…!」
リリーナ「カットナル議員、この場はひとまず…」

諦めて一緒の車に乗り込みその場から立ち去る、リリーナ、カットナル、
フィッツジェラルドの3人。その帰りの車中では――。

カットナル「ティターンズめ、大統領と国王をあの邸の中に
 軟禁しておる事はわかっておるんだ。それをこちらは指をくわえて
 見ているしかないとは!」
リリーナ「しかしこちらから迂闊に仕掛けては、かえって中にいる
 大統領閣下と国王陛下の御身に危険が及ぶかもしれません」
フィッツジェラルド「だが我々が手をこまねいているうちに
 ティターンズは国王の詔勅と大統領令を捏造し、一気に
 事を運んでしまうかもしれんぞ。そうなればそれこそ
 アプロヴァール大統領と国王のお命が危うい」
リリーナ「その心配はありません。ティターンズは
 自分たちの政権の正当性を主張するためにも、
 臨時総会が開かれるまでお二人の生命を奪うような事は
 決してしないでしょう」
カットナル「勝負は臨時総会の日というわけか…」
リリーナ「ええ…」

596

***地球連邦大統領別邸***

さて、リリーナたちが立ち去った後の大統領別邸の一室では、
地球連邦の象徴的存在である国王、そして国家元首である
ロゼ・アプロヴァール大統領、さらには地球上の国民的英雄である
ミスターサタンの3人が軟禁されていた。

ジャマイカン「大人しくジャミトフ閣下を新大統領に任命する証書に
 署名なされればよし。さもなくば国王は急病により病死。大統領も
 国王陛下の後を追って殉死ということになるが?」
国王「黙れ! このような無法が罷り通ると思うのか!?」

犬の姿をした動物型地球人である国王は、ジャマイカンの恫喝を
頑として撥ね付ける。地球連邦は権威(国王)と権力(大統領)を分離した二重元首制を採用している。アメリカ型の間接選挙によって国民から指名を受けた大統領が、議会の了承の下に国王から任命を受ける形式を取っているため、国王の詔勅は共和制民主主義国家である地球連邦においても大きな意味を持つ。

アプロヴァール「子供騙しのシナリオだね。もう少しマシな脚本を
 書ける奴はティターンズにはいないのかい?」
ジャマイカン「チッ、口の減らないジジイとババアだ。
 ミスターサタン、貴様の考えは決まったか?
 こちらはお前の孫娘を抑えてあるのだぞ!」
サタン「フン、貴様らのような小悪党如きにやられる
 パンちゃんではないわ! 断じて貴様らの言いなりにはならん!」
ジャマイカン「後悔するなよ老いぼれ共!」

ドアを叩くようにして退室するジャマイカン。

サタン「フン、おととい来い!」
アプロヴァール「しかしミスターサタン、ここにいるあたしたち
 3人はどの道老い先短い老いぼれだから、元々命など惜しくは
 ないがね。お前さんの孫は本当に大丈夫なのかい?」
国王「私も大統領も今の地位に就いた時から元々命は捨てているが、
 貴方は民間人だ。ましてやまだ将来のあるお孫さんの生命が
 かかっているのであれば、仮に悪の脅しに屈したとしても
 きっと国民も理解してくれるでしょう。人の命は何よりも尊い。
 貴方だけは奴らの要求を呑みなさい」
サタン「ハッハッハ…ご冗談を! なあに、心配は要りません。
 何しろパンちゃんはこのわしが目に入れても
 痛くないほどの可愛い孫娘。そして過去に地球を
 何度も救った"本当の英雄"の血も引いているんですからな」

597

***同別邸内・廊下***

ジャマイカン「これから私はジャミトフ閣下に報告するため
 司令部に戻る。その間反対派が何を仕掛けてくるか油断は
 できん。しっかり見張っておけよ」
ティターンズ兵「ハッ!」

その時、作業着の帽子を深く被っているため、顔はよく見えないが
年頃の若そうな、長髪を三つ編みに束ねた清掃夫が、
作業中にうっかりジャマイカンとぶつかった。

清掃夫「おっと、すいません」
ジャマイカン「気をつけんか馬鹿者!」

この時、清掃夫がこっそりジャマイカンの衣服に
盗聴器のような小型メカを仕掛けた事には誰も気づかなかった…。

別邸を出で、首都中心部へと向かうジャマイカンを載せた
黒塗りの軍ナンバーの公用車の中では―――。

ジャマイカン「いくら閣下のご命令とはいえ、
 老人どもの相手は骨が折れる」
運転手「しかしミスターサタンがセルを倒したというのは
 本当なんでしょうか?」
ジャマイカン「知るか! そんな事はどうでもいい。
 我々が着目しているのは、地球全国民のあの男に対する
 絶対的なまでの人気だ。あの男が一言ティターンズに
 忠誠を誓うといえば、愚民どももすぐにそれに倣うだろう。
 さしものICPOも、まさかサタンの孫娘が英国内相の別荘に監禁されて
 いるとは思いもすまい。ふははは!!」

―――再び、別邸の方に場面は戻る。
先ほどジャマイカンにぶつかり、慌てて謝った清掃夫の少年は、
逃げるようにそそくさとその場から立ち去り、清掃員用の
控え室に一人きりで入り、隠していた盗聴傍受用のマシンで
何やら傍受を開始する。

もう言うまでもないが、この少年は、リリーナと
レディ・アンの密命を受けて清掃業者を装い別邸内に
潜入したプリベンターのデュオ・マックスウェルである

デュオ「さあて、いったい何を話してやがるんだ?
 なになに…ミスターサタンの孫娘は英国内務大臣の
 別荘に監禁…なーるほどね―――」

598

○剣桃太郎→東京の首相官邸に戻り、総理の職務に復帰。
○茅葺よう子→剣桃太郎の復帰により、総理臨時代理の任から離れる。
○冴島十三→剣桃太郎に情勢を報告する。
○火野隆司→剣桃太郎に情勢を報告する。
○リリーナ・ドーリアン→大統領と国王への面会を求めるが、追い返される。
○スーグニ・カットナル→大統領と国王への面会を求めるが、追い返される。
○ウィリアム・ウォーレス・フィッツジェラルド→大統領と国王への面会を求めるが、追い返される。
○デュオ・マックスウェル→地球連邦大統領別邸に潜入。パンの監禁先を突き止める。
○国王→ダカール市郊外の地球連邦大統領別邸に軟禁されている。
○ロゼ・アプロヴァール→ダカール市郊外の地球連邦大統領別邸に軟禁されている。
○ミスターサタン→ダカール市郊外の地球連邦大統領別邸に軟禁されている。
 孫娘のパンをティターンズに人質に取られているが、パンの実力を知っている
 ためか、あまり心配はしていない模様。
●ジャマイカン・ダニンガン→地球連邦の国王と大統領、ミスターサタンの3人を軟禁している。

【今回の新規登場】
○リリーナ・ドーリアン(新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)
 地球圏統一連合のドーリアン外務次官の娘。しかし彼女の本当の出自は
 完全平和主義を唱えた末に滅ぼされた亡国サンクキングタムの王女であ
 り、本姓はピースクラフト。ゼクス・マーキスという偽名でOZに所属し
 ていたミリアルド・ピースクラフトとは兄妹の関係にある。若干15歳に
 して世界国家元首の地位にまで登り詰め、戦後は地球圏統一国家の外務
 次官の職に就き活躍している。

○スーグニ・カットナル(戦国魔神ゴーショーグン)
 元ドクーガ三幹部の一人。かつてアメリア国大統領の子として生を受け
 たが、テロで父を失い、自身の左目を失う。また、この事件が元で情緒
 不安定な性格になっており、常に精神安定剤を持ち歩いている。強面だ
 が酒は飲めない。ドクーガ崩壊後はアメリア国大統領(第3次SRWαでは
 地球連邦上院議員に当選して地球安全評議会の一員)に就任。

○ウィリアム・ウォーレス・フィッツジェラルド(超重神グラヴィオン/超重神グラヴィオンZwei)
 地球統合政府EFAの大統領(今作では地球連邦の大統領経験者)。
 得体の知れない民間人に地球の防衛を委託する事に抵抗を抱いていており、
 グラヴィオンに対抗してGソルジャー隊を結成させるなど、サンドマンの
 行動に対しては警戒心を抱いていたが、最終的にサンドマンと和解し、
 アースガルツへの協力を約束した。

○デュオ・マックスウェル(新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)
 プロフェッサーGの指示で行動していたガンダムのパイロットで、L2コロ
 ニー群近くの「スイーパーグループ」と呼ばれる宇宙遊牧民の出身。
 XXXG-01D2ガンダムデスサイズヘルのパイロット。スイーパーグループで
 受けた訓練により、工作員として卓越した手腕を備える。その為、ヒイロ
 たち5人中、最も宇宙空間の戦闘に長けているとされる。その一方、性格
 については工作員らしからぬ天性の明るさを持ち、人なつこく楽天家。
 腿まで伸びた三つ編みがトレードマーク。表向きはヒルデと共にジャンク
 屋を営む。

○国王(ドラゴンボールシリーズ)
 長年に渡り地球国王の地位に就く、犬の姿をした動物型地球人。
 ピッコロ大魔王から世界を救った名も無き少年(孫悟空)のこと
 を知る数少ない人物。

○ロゼ・アプロヴァール(勇者王ガオガイガーFINAL)
 国連事務総長兼国連最高評議会議長(今作では地球連邦大統領)。
 GGGの直属の上司に該当。老齢ながら冷静にして剛胆な人物で、
 高いカリスマ性を持ち、判断力にも優れる。さらに各国要人との
 間にも広い人脈を有する。大河長官や火麻参謀とは旧知の仲で、
 「幸太郎坊や」「激坊主」と呼んでいる。長官不在時のゴルディ
 オンハンマー・ファイナルフュージョン・各種ハイパーツール群
 の使用許可を出す権限を有し、ゴルディオン・クラッシャーの発動
 には彼女による許可が必要不可欠である。

○ミスターサタン(ドラゴンボールシリーズ)
 格闘技世界チャンピオンで、一般市民の間では「セルを倒し、その後
 現れた恐怖(魔人ブウ)からも世界を救ったヒーロー」ということに
 なっており、地球規模に及ぶ知名度を持つ英雄。孫悟飯の妻ビーデル
 の父であり、パンの母方の祖父に当たる。