『心ある者たち』-3

作者・ボー・ガルダン

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―痛い…痛いよ…苦しいよ…パパ……―



―どうして…どうして助けてくれないの…?―



―あんなに…僕の事…愛してくれていたのに…―



―僕…パパの言うとおり、強くなったの…に…―



―なんで…ねぇ…いやだ…僕…死…にたくないよ…―



―…た…す…けて………パパ……パ……パ……―

399

ドラス「パパぁ………うっ!?…あ…れ……?」

ドラスは仮面ライダーZOとの戦いに敗れた瞬間の事を夢に見ていた。
目覚めると、眼前には濛々と広がるスモークと、
闇に包まれた空間。自分の体を見ると、傷は全て完治し、
生命エネルギーも回復している。

怪人男「目が醒めたようだな、小僧…」
ドラス「こ…こは…?」
怪人女「貴方は、我々のお父様に命を救って頂いたのよ。感謝する事ね、坊や」
ドラス「おとう…さま?」

そして、眼前には二体の怪人。一体は端正な顔立ちをした男の怪人。だが、
全身真っ白で、体のあちこちからヒレや翼のようなものが突出している。
それと向かい合うようにして、これまた美しい顔をした女の怪人。
体はスレンダーな女性そのものだが、ヒョウのような毛皮と、
ゴツゴツした銀のアルマジロのような装甲に覆われている。

ドラス「おじさんたち…誰?」
怪人男「おっ!?おじさんだとぉ~!貴様、誰がここまで連れてきてやったと思っている!」
怪人女「つまらない事で腹を立てるんじゃないわよ、ワンダっ…ほら、坊や、姿勢を正しなさい。お父様がいらっしゃるわ」

二人の怪人が傅くと、部屋の奥から、黒いターバンとローブを纏った中年の男。
顔面は蒼白で、目にはどこか狂気が宿っている。

怪人男「紹介が遅れたな、俺は改造生命、レー・ワンダ!」
怪人女「同じくレー・ネフェル。そして、このお方こそ」
「「宇宙最高の科学者にして、我らを作り給うた偉大なる父。
  Gショッカーが誇る、GVMN・ラボが四博士の一人、リー・ケフレン様だ!」」

400

ドラス「ふーん…」

ドラスが気の無い返事を返す。

ドラス(宇宙最高の科学者?パパ以上の科学者がいるわけないじゃないか。よく言うよね)
ケフレン「私が、今、紹介に預かったリー・ケフレンだ。ようこそ、我が実験室へ」
ドラス「で、なんなの?おじさんたち。なんで僕を助けてくれたの?」
ケフレン「そんな事は決まっている!お前が素晴らしい生命だからだ。
     よもや、私以外にこれほどの芸術を作り上げる者がいようとは!
     望月敏郎という男、中々の腕を持っていると見える…。
     が…それも画竜点睛を欠いていてはな…。私が措置を施さねば、
     お前の生命は終わる所であったのだぞ」

ドラスは最後の言葉に反応する。
確かにその通りだ。自分は生命維持プールから長く離れて生きられない体である。
望月博士は、自分の力を恐れて、改造を中途半端なままやめてしまった。
ドラスはそう思っていた。だが、仮面ライダーZOに敗れ、いままた無様な敗北を
喫した彼の頭脳には、それとは違う答えが導き出されていた。

ドラス(そうだ…。パパは、パパは僕よりもお兄ちゃん…仮面ライダーの方が
    性能がいいってわかったんだ。だから…だから僕の事を嫌いになったんだ。
    僕が弱いから……。僕が…失敗作…だったから…)
ケフレン「そのような事では世紀王候補のバトルファイトでは勝ち抜く事はできぬ…」
ドラス「せいき…おう…?」
ワンダ「やれやれ、何も知らぬようだな。我らGショッカーを統べる、
    至高邪神の一柱・創世王様が御退位なさる。その後継者たる、世紀王を
    決定するバトルファイトの参加資格を、お前も持っているのだ」
ネフェル「世紀王候補はGショッカー傘下の各組織から選りすぐられている。
     坊やを作り出すのに、望月敏郎は、Gショッカーから資金提供を受けていたのよ」
ドラス「へぇ…、それで凄いのその世紀王って?」
ケフレン「ああ、そうとも。宇宙を統べる神の一角と成り得るのだからな。
     知っているだろう?お前とお前の父を蘇らせたのも、至高邪神の
     お力だ。」

ちなみに最後の言葉はケフレンの嘘である。

ドラス「神…フフフ…そう、教えてくれてありがとう、おじさんッ!」

401

もう、用済みと、自分に背を向けたケフレンに向けてドラスはその尾を伸ばし、
背中を貫こうとしたが、それより先にワンダがキラーセイバーでそれを切断、
さらに飛び掛ったネフェルの金属鞭を胸元に突きつけられた。鞭から放たれる
電撃で痺れるドラス。

ドラス「ウゥゥッガァアッ!!!」
ネフェル「この餓鬼……、今何をしようとしたッ!!!」
ワンダ「なんという恩知らずだ!」

激昂し、さらにドラスに電流を浴びせるネフェルをケフレンが制する。

ケフレン「そのくらいにしておけ、ネフェル」
ネフェル「お父様がそう仰るのならば…、今度やったら、 そこから引きずり出して握りつぶしてやるッ!覚悟をしッ!!!」
ドラス「うぅ…ぐぅ…」
ケフレン「新しき生命よ…、確かに私はお前の命を救ったが、

 ただの対処療法を行ったに過ぎん。
 まだ、貴様の体の欠陥が直った訳ではない。そして力もまだ回復してはおらん」
ドラス「なにが…言いたいの?

 おじさんなんかいなくても、今にパパに改造して貰えば…」
ケフレン「知っているぞ…お前が仮面ライダーに心変わりした望月に見限られている事はな…!」
ドラス「ッ!!……うぅっ…」
ケフレン「だがな、私はそうは思わん。

 お前は世紀王たる資格を十分に持っている…。他のどの候補よりもな。

 どうだ…この私にその身を任せてはどうだ?私ならば、お前の欠点を
 克服し…、さらなる力を与える事もできるぞ。ともに、世紀王を目指さぬか…」
ドラス「な…なにを企んでいるの…」
ケフレン「ふふ…さすがよ。勿論我々も見返りを期待していないわけではない。 

 我々はお前の力が欲しい!その戦闘能力もさる事ながら、

 あらゆる人間に姿を変える事が 出来る力、金属を統べる力…がな。

 世紀王になるための戦いだけではなく、その力はGショッカーの覇権の大きな手助けとなる。

 私はあくまで一科学者。お前に私の部下になれとは言わん。

 対等な関係で手を組まぬか?私はお前に仕事を手伝ってもらいたいだけなのだ」
ドラス「……」
ケフレン「今、望月は仮面ライダーを越えるあらたなる生命を作り上げようとしている…。
     だが、お前が世紀王となれば…再び望月の心はお前に…」
ドラス「パパ…がッ!?」
ケフレン「さぁ…どうする…」
ドラス「わかったよ…おじさん、僕を、僕を改造して!

 その代わり、少しでも変な事をしたら、すぐにおじさんたちを殺すからね」
ケフレン「ふふ…よろしくたのむぞ。

 まずは、お前を縛る枷を取り除いてやろう。その鉄の鎧を脱ぐがよい」
ドラス「わかった…(何を企んでいるか解らないけど、

 今は、おじさんの言うとおりにしてあげる。腕は本物みたいだからね。

 パパ…見ていて。必ず、必ず僕が神に…世紀王になって みせるから…)」

402

***GVMN・ラボ、東の実験基地ラボー***

核だけの姿となったドラスはケフレンの改造カプセルの中で眠らされ、意識を落としている。

ネフェル「哀れなものね…生みの親に捨てられるというのは」
ワンダ「珍しいな、ネフェル。お前が他者に憐憫の情をかけるとは」
ネフェル「…ふん、あざ笑ってやっているだけよ…」
ワンダ「フッ、どうだかな…しかしケフレン様、

 此奴、獣戦士に改造してしまわなくてよろしいので?
 あの様子ではいつ我々に逆らってくるかわかりませんぞ」
ケフレン「ふ…わからんか、ワンダ。洗脳を施してしまっては、意味が無い。 

 私がネオ生命体に期待するのは、その力だけではない。生みの親に対する、 

 妄執とも言うべき心だとな。フラッシュマンに一度敗れて私は知った。

 確かに生命にとって、重要なのは優秀な遺伝子…だが、強き心はその力を何倍にも高めるとな」

ケフレンはドラスの、父親の愛情に対する最早妄執に近い渇望に目を付けた。
そしてそれを利用するべく、世紀王になれば望月博士が彼を見直すと大嘘を吐いたのだ。
形は違えど、かつての好敵手フラッシュマンと同様の親への想いを引き出すために。

ワンダ「心…ですか?」
ケフレン「ああ、この者の父への妄執に、私の遺伝子改造が加われば… 

 ネオ生命体ドラスを世紀王に祭り上げれば、カウラーやデウスに対抗し、 

 ドクターマンらを出し抜き、我々が組織内で大きな発言権を得る事が出来る!
 そして、いずれ『私のネオ生命体』を…究極の生命を作り上げ、首を挿げ替えれば… 

 Gショッカーは我々の者だ。ハハ…ハハハハハハハッ!この手で作り上げる、 

 究極の生命…おおお、いまから武者震いが止まらぬ」

響き渡る、ケフレンの高笑いにワンダはややたじろぎ、

ネフェルは胸の前で右手を強く握る。

ケフレン「して、ネフェルよ…望月敏郎の行方はつかめたのか…?」
ネフェル「いえ、それが未だ…引き続き、調査を続けます」
ケフレン「ふむ…急がねばならぬかもな、ネオ生命体のメカニズムを完全解明するのを…。
 存外早く、お前たちの『弟』と会う事になるかも知れんぞ。では…はじめるか…」

陶酔とともにケフレンの指が、遺伝子シンセサイザーの鍵盤を走り、不思議な音色が
実験室内に響き渡る。今宵、ネオ生命体は、また一歩、神への階を駆け上がった。
その階段が、自らの望むものへ辿りつく事はない、という事実を知らずに…。

* * *


***ゴーストバンク・地下独房***

ネロス帝国の地下牢というものは、その役割を果たすと言う事は殆ど無い。
帝国に邪魔な人間というのは捕らえられる前に抹殺され、裏切り者や
失敗者は牢に送られる前に処刑される事が常だからである。だが、
今、この房の一角には、薄暗い明りが灯っていた。冷たい石壁にゆらめく二つの影。

ヒドーマン「うらぁ!くらっ!どうだ、苦しいか!痛いかぁ!ヒャハハハ…」
望月博士「ぐぅ…あぎ…」

ネロス帝国一残虐な男と称される、ヨロイ軍団暴魂・ヒドーマンは、
天井から吊るされた、一人の中年男性に鞭打っていた。
顔や体のあちこちには、痣、青タン、刺し傷、切り傷、火傷が浮かび、
相当の拷問を受けている事がわかる。
これこそが、かつて狂気にとらわれ、生命を冒涜する行為を
行った天才遺伝子工学者・望月敏郎であった。

403

ヒドーマン「さぁ、一言我が帝王に助力すると言うのだ、そうすれば今すぐにでも
 この苦しみから解放してやるぞ…」
望月博士「…ぜぇ…え…私は…私は、命を弄び…父を…助手を…息子を…神を裏切った男だ…
 何をされても文句を言える立場じゃない……だが…だが、二度と…悪魔に……
 魂を売る真似はしない…!」
ヒドーマン「…何を言うかと思えば…、散々我らGショッカーの支援を受けておきながら、
 なんだぁ、その言い草はぁ?ふざけるのも大概にしろぉッ!!!」
望月博士「ぐあああっ!!!」

ヒドーマンの振り回す鉄鎖が、博士の背中を大きく抉る。
そこへ、静かに近づいてくる足音…、独房の鉄扉が開く。

ヒドーマン「これは、軍団長!御足労を…」

現れたのはヨロイ軍団凱聖クールギンであった。
銀のヨロイに灯明が反射し、妖しい光を放っている。
さすがのヒドーマンも自らの上司の前では居住いを正す。

クールギン「そうか…話がある、来い」
ヒドーマン「はっ…、今日は仕舞いだ!下ろせ!

 定刻になったら、『説得』を再会しろ」
影「はっ!」

クールギンとともにやってきた、二人の軽闘士・影に、
博士の見張りを命じ、ヒドーマンはクールギンに従いその場を後にする。

***ネロス帝国・地下通路***

ヒドーマン「申し訳御座いません…どうにも強情な野郎でして、未だ首を縦には…」
クールギン「そうか…、引き続き博士への『説得』を続けろ。

 決して、腕と頭脳に悪影響が出る事はするな」
ヒドーマン「はっ、仰せの通り、チューブからの最低限の栄養供給と、

 三時間の睡眠は取らせております…。しかし…こんな面倒な事をするよりも…

 子供を盾に脅せば簡単な事では…?それに帝王ほどの御方が、なぜあの程度の男を…」
クールギン「人質を取る事はリスクも大きい。あくまで最後の手段だ。それに我々は
 帝王の命に従っていれば良い…。今日は、お前も下がって休むといい」
ヒドーマン「はっ…、御気遣い感謝します。では…」

ヒドーマンの背中が通路に消えた後、別方向から、暴魂チューボが姿を現す…。

チューボ「相変わらず…親しめませんな、あの男は…」
クールギン「そう言うな、あの男はあの男でいろいろと役に立ってくれる、して…」
チューボ「ハッ、ブライディからタグ兄弟を通して繋ぎが…ゲルドリングたちは
 ライダー抹殺に失敗した模様です…」
クールギン「ふむ…相変わらずうだつの上がらん奴らよ」
チューボ「それからもう一つ…再生したネオ生命体は望月博士の秘密工場から、
 都心に向かい潜伏していたようです。帝王の命を帯びたタグ兄弟が確保に
 向かいましたが、一足遅く、何者かに連れ去られたと…」
クールギン「そうか…、まあ、焦る事はない。帝王へは私が言上する。
 チューボ、タグ兄弟には引き続き、ブライディとの繋ぎを取り、
 麻生勝の捜索を続けるよう命じろ」
チューボ「ハッ…」

チューボも、一礼すると闇の中に姿を消した。

クールギン「ネオ生命体は手中に収める事ができなんだか…。敵の手に渡ったにせよ、
 他の組織に渡ったにせよ厄介な事だが…急がねばならんな」

404 

***警視庁・デッカールーム***
クロス800『望月敏郎博士は数年前に大学を辞め、ここ2、3年は家にも戻っていなかった 

 そうです。また、奥多摩の採石場跡の土地を購入した登記が存在しますが、

 資金の出所は一切不明。 さらに、博士が大学を辞めた同時期に、

 彼の助手を務めていた麻生勝という青年も行方 不明となっています。

 また、ブレイバーたちが交戦した、改造生命ですが、1年前に都内に出現し、

 破壊活動を行った記録が残っています。ただ、それ以降の動向はデータにありません』
大樹「つまり博士と麻生勝が、何者かの援助を受け、

 違法なバイオ研究を行っていた可能性は高いという事ですね」
正木「うむ、すぐに望月敏郎を違法バイオ研究の容疑で捜査する事にしよう。 

 博士の家族と連絡を取り、博士と麻生勝の行方を調べるんだ。

 また、博士の購入した採石場跡も調査する必要がある」
デッカード「それに、ドラスの言っていた「お兄ちゃん」という人物が気になります。
 彼と戦ったヒーローがいるのか、或いは、彼より先に作られた人造生命体がいるのかも
 しれません」
正木「よし、その方面からも情報を集めよう。みんな、よろしく頼む!」
一同「「ハイッ!」」
マクレーン「しかし…金属を操る、人造生命か。しかも…それを怪人が連れ去ったとなると…」
パワージョー「デッカードをここまでこっぴどく痛めつけるような奴だ…

 とんでもねぇ事になったな…」
デッカード「力が足りず申し訳ない…」
パワージョー「な、おいっ。別にお前が謝る事はねぇだろが…」
デッカード「だが…我々は奴をあと一歩のところで逃がしてしまった」
大樹「あの白い怪人の正体と能力についても調べる必要があるな」
勇太「あ、あの…正木さん!」
正木「ん、なんだい?」
勇太「その…人造生命体の…ドラスの事なんですけど、彼には、 

 彼には人間の心があったんです!」
正木「人間の…心が?」
デッカード「確かに、彼は父親を強く慕う人間の子供と同じ心を持っていました。
 その考え方は間違っていましたが…」
正木「だが、奴は人間では無い。違法に作られた生命体だ。

 無害ならば政府の施設で保護する方法もあるが、

 我々の脅威として立ちはだかるのならば、絶対に倒さねばならん…」
勇太「で、でも!あの子は、

 ドラスは本当は自分のお父さんに好きになって欲しいだけだったんです。

 確かに人間じゃなし、危険な存在なのいかもしれないけど、

 ただお父さんに 振り向いて欲しいだけの子供なんです!」
ガンマックス「確かに、子供だったな。とんでもねぇ駄々っ子だったが… 

 それで殺すってのもなんか気分が悪いぜ」
ドリルボーイ「そうだよ、あいつはいけ好かないし、すっごく凶暴な奴だったけどさ… 

 人間の都合で作られて、間違った事教え込まれて…それで危なくたら処分だなんて… 

 そんなの…そんなの酷すぎるよ!」

人造生命に関して苦すぎる思い出のあるドリルボーイが珍しく、強い口調で叫んだ。

405

大樹「俺もそう思います。父親を慕う心があるならば、人造生命体の中にも人としての…
 優しい心が、愛する心が眠っている筈です。人間の子供同様、やり直す機会を
 作ってやってもいいのではないでしょうか」
正木「お前ら…怪人の心も救うつもりなのか…」
勇太「はい!望月博士を探し出せれば…

 ううん、ボクたちだけでも人造生命体を救ってみせます!」
正木「君たちの話だと、人造生命体ドラスは父親に認められるため、

 人間を滅ぼす事に相当強く執着している。その呪縛を解くのは相当困難な道になるだろう。

 なまじ、説得に成功したとしても、公安や政府の上層部、

 世論マスコミは人造生命体の抹殺処分を強く要求してくる可能性は高い。

 剣首相の公民権法が成立、公布されたとしてもな…。 

 それでも…やるというのか?」
大樹「ロボットだろうと、人造生命だろうと、人の心を持つのならば、 

 それを救うのが我々ソルブレインです!」
勇太「ボクたち、ブレイブポリスも頑張ります!」
デッカード「私たちも同感です!なぁ」
一同「「おうっ!」」
正木「ふ…そうか、それでこそソルブレイン、そしてブレイブポリスだ。

 ならば、私も出来うる限りの協力をさせてもらおう。諸君らの健闘を祈る!」
一同「「ハイッ!!!」」

***警視庁・ロビー***


勇太はオレンジジュース、大樹はコーヒーの缶を片手に沈む夕日を眺めている。

大樹「かっこよかったぞ、勇太君」
勇太「そ、そんな…ボクはただ大樹さんたちならどうするか考えただけで…
 それに、ボクもお父さんやお母さんと離れて暮らしてるから…
 それだけで寂しいって思う事もあるのに…たった一人のお父さんに酷い事されて、
 しかも捨てられたなんて…どんなに辛いだろうなって思って…」
大樹「優しいんだな、勇太くんは。確かに、最大の被害者はあいつなのかもしれないな…」
勇太「絶対に…助けてあげましょうね…」
大樹「ああ…」

勇太「あっ!そうだ…!」
大樹「どうしたんだい…」

406

勇太「これ…あの地下室で拾ったんですけど…証拠物件として提出するの忘れちゃって…」

頭を描きながら、勇太が上着のポケットから取り出したのは金の懐中時計だった。

大樹「懐中時計か…なぜ、こんなものが…」

蓋を開けてみると、そこからオルゴールの旋律が流れ出す。

勇太「優しい音楽ですね…」
大樹「ああ…」
勇太「あの子が…持っていたのかな…?」
大樹「わからない…が、だとしたら…彼が人間らしい心に
 目覚めてくれる希望が高まったね…」
勇太「はいっ!」

勇太が少し嬉しそうに応える。
一方の大樹はこの時計を見ながら、ドラスの事以上に
あの男の事を強く思い出していた…。

大樹「…(見ていろ高岡…。俺は…俺たちは、示してみせる。人の心の素晴らしさを。
 人間であろうとなかろうと、一つでも多くの命を…心を救ってみせる…。
 それが…それが、俺たちにできる…せめてものお前への償いだ…)」

間もなく、ビルの谷間に消えようとする夕日の光を反射させ、金時計は
鈍く、どこか悲しげな光を放っていた。

407
○正木俊介→ネオ生命体に関る事件の捜査開始を指示。勇太、大樹らの決意に対し激励。
○友永勇太・西尾大樹→捜査に並行して、ネオ生命体ドラスの命と心を救う事を決意。
○BP・ソルブレインの面々→ネオ生命体に関る人物、望月博士と麻生勝、 その家族、黒幕についての捜査を開始。

△望月博士→復活後、帝王ネロスに拉致される。協力を拒み、拷問を受けている。

●ネオ生命体ドラス→世紀王になるため、リー・ケフレンと手を組む。 生命維持プールの必要のない体になる。
●大博士リー・ケフレン→Gショッカーの科学者集団・GVMNラボ東の王に。 デウス、カウラーとは同じ組織の傘下にいるが、現在は敵対している。 ドラスを世紀王候補として擁立。手始めに、生命維持プールの必要のない体に改造する。
●レー・ワンダ→ケフレンの命で、ドラスをラボーに連れ帰る。
●レー・ネフェル→ケフレンに襲い掛かったドラスを取り押さえる。

●凱聖クールギン→ヒドーマン、チューボに望月博士とネオ生命体に関する諸所の命令を出す。
  帝王ネロスから、なんらかの密命を受けているらしい。
●豪将タグ兄弟→ネオ生命体の確保に失敗。望月家の監視と、麻生勝の行方を捜索している。
●暴魂チューボ→ゲルドリングのライダー抹殺失敗と、タグ兄弟の任務状況について、 クールギンに伝える。
●暴魂ヒドーマン→ゴーストバンク地下牢に監禁された望月博士を拷問、監視していち。

 

 【今回の新規登場】
△望月敏郎(仮面ライダーZO)
 遺伝子工学の権威。麻生勝を仮面ライダーZOに改造し、ネオ生命体ドラスを生み出した張本人。  

 元は優しい父親だったが、次第に狂気にとらわれてドラスに人間を悪として教え込み、 

 人類の殲滅を図った。後に、人間の心を取り戻し、ドラスを処分しようとするが、 

 逆に機械と融合させられ自身の改造を迫られる。さらに息子宏をドラスから守るため、 

 麻生勝を目覚めさせた。

●大博士リー・ケフレン(超新星フラッシュマン)
 改造実験帝国メス最高幹部。様々な生物の遺伝子を自由に組み替えて、 

 生命改造分野を得意とし、自らを「命の芸術家」と称する。 実は300年前、

 赤ん坊の時に地球より誘拐されたのち、デウスによって様々な生命改造&延命措置を施されて、

 大博士となるべく教育された地球人であった。
 後に政敵サー・カウラーを抹殺し、デウスにも反逆する。

●レー・ワンダ(超新星フラッシュマン)
 5種類の醜い宇宙生物の遺伝子からケフレンが作り出した、メスの幹部。
 体色は白。端正な青年風の顔立ちでプライドが高く、感情の起伏が激しい。
 巨大な翼による滑空や、掌や目からの破壊光線、魔剣「キラーセイバー」による剣戟を得意とする。
 また、妖獣士ワンダーラに変身すると、時間を3秒間だけ止められる。

●レー・ネフェル(超新星フラッシュマン)
 ケフレンが作り出した、メスの幹部。美しい女性の顔と肉体にに豹とアルマジロのような 

 左右非対称の皮膚を持つ。変装によるスパイ活動や、軽快な身のこなしによる格闘技、 

 金属棒からの電磁鞭等を操る。また、妖獣士ネフェルーラに変身すると、幻覚を操り、

 「デスブリーズ」という剣から、破壊光線を放てる。 

 残忍で卑劣な性格だが、ケフレンにだけは強い愛情を持っており「お父様」と呼ぶ。

●暴魂ヒドーマン(超人機メタルダー)
 ネロス帝国ヨロイ軍団暴魂。肉体改造を施しているのか、人間離れした顔立ちをしている。
 名前の通り、ネロス帝国随一の残虐非道な男で、泣き叫ぶ弱者をいたぶるのが趣味。
 腰に挿した大降りの剣と。鉄球と鎖の着いた鉄棒を武器として操る。


『剣桃太郎暗殺!?』

作者・赤戦闘員 影村

408

***日本国内の太平洋側沿岸の某所***

人っ子一人いない沿岸を訪れた白河尚純とその一味。

白河「剣桃太郎――奴はこの週末を、近くの離島にある
 自分の別荘で過ごすことになっている。自らの手で軽飛行機を
 操縦し、今日にも羽田からこちらに向かって飛び立つはずだ」
南「はい」
白河「その飛行は一切の護衛もつかぬ約500キロの一人旅。
 それが奴の唯一の息抜きなのだ。奴を殺るにはこのチャンスしかない!
 内閣総理大臣・剣桃太郎は大空の藻屑となって消えるのだ!」

白河たちに同行してきたアズラエルが、無線でどこかへと連絡する。

アズラエル「あー、キミたち?」
オルガ<ああん?>
シャニ<なんだよ、アズラエルのおっさん>
アズラエル「いいですか? 手筈は解っていますね」
南「先ほど説明したとおりだ。ターゲットは
 まもなくこの海上沖をセスナで通過する。
 くれぐれもしくじるなよ」
シャニ<そのセスナ機を叩き落せばいいんだろ?>
クロト<かったりーなぁー!>

双眼鏡で海の向こう側を確認する南雅彦。

南「来ました。間違いなくあれは剣総理の乗ったセスナです」
アズラエル「ふふ…じゃあ始めちゃってください」

アズラエルの合図で、それまで近くのどこかに待機していた
3機のGは獲物――剣桃太郎の乗ったセスナに向かって
一気に襲い掛かった!

桃太郎「……!! あれは?」

レイダーが機関砲、フォビドゥンがエクツァーンを放ち、
カラミティは全ての砲を乱れ撃ちしてセスナを狙う。
もはやその攻撃から一介の軽飛行機が逃れる術は当然なかった。
一瞬にして木っ端微塵に爆発するセスナ機の様子を見ていた
白河尚純と南雅彦は勝利を確信してほくそ笑んだ。

南「やりました。剣桃太郎は死んだのです」
白河「私の時代だ。私の時代の幕が切って落とされたのだ!」

409

それから3日後……

***東京・江田島平八邸***

セスナ墜落事故から三日!!
いまだ総理発見されず…

もはや絶望視される中で、深まる墜落原因の謎…


江田島「ぬううっ……!!」

このような見出しが一面に躍っている新聞を読みながら、
江田島平八は激しい怒りに打ち震えていた。

江田島「何をしとるのだ捜索隊は――っ!?
 気合いをいれんか気合いを――っ!!」
富樫「全力を尽くしております」
江田島「死んではおらん。奴は必ずどこかで生きている。
 死んではならん男なのだ! 剣桃太郎――奴こそは
 この日本に必要な男なのだ!!」
富樫「三輪長官と白河代議士の一派の方はいかが致します?
 今回の事故、ロゴスの意を受けた奴らの仕業なのは明白です」

江田島「潰せ……!! 男塾OBの全戦闘力を
 もってして叩き潰すのだ!!

 

 江田島は鬼のような形相をして怒声を放った。

富樫「そのお言葉をお待ちしていました」

そう言うと富樫は、懐から塾生時代の古びた学生帽を取り出して、
自らの頭に被って見せた。

富樫「男塾の斬り込み隊長――富樫源次。
 久しぶりに大暴れして見せましょう!!」

410

***白河尚純邸***

剣桃太郎暗殺成功!?の報を受けて、

大喜びの地球連邦軍極東支部長官・三輪防人。

三輪「ワッハハハ!! でかしたぞ白河先生!
 これでティターンズは名実共にこの日本を掌握できる!
 春じゃ――っ! わが世の春じゃぞ――っ!!」
白河「まだ浮かれるには早すぎます三輪長官。
 これからが本当の戦いなのです」
三輪「……???」
南「剣総理の後ろ盾にはあの江田島という怪物が控えております。
 自慢の教え子を殺された奴の怒りは凄まじいはず。

 おそらく全戦闘力を結集し報復行動に出るでしょう」
白河「それに勝たねば我等の真の勝利とは言えません」
三輪「……な、なにっ!? ちょっと待て!
 奴らの力を侮ってはいかん!」

急に顔面蒼白になる三輪防人。

白河「どうかしましたか三輪長官」
南「まさかこの期に及んで怖気づいたとでも?」
三輪「あの江田島が男塾を創設したとき、奴はここの卒業生たちが
 将来日本の舵を取るだろうと抜かしおった。その時はケンカに明け暮れる
 不良どもに何が日本の舵だと笑ったものだ」
白河「………」
三輪「しかし奴の言葉は現実となった…!
 今やあの剣桃太郎を筆頭に、男塾出身の者たちは
 この日本のありとあらゆる分野でリーダーシップをとる
 存在となっておる!」
南「だから何だと言うのです?」
三輪「奴らをこれ以上怒らせることはあまりにも危険だと言っておるのだ!
 奴らがその力を一つにした時、それは日本という国そのものを
 敵に回すことになるのだぞ!!」
白河「フハハハハ……三輪長官、貴方らしくもありませんね。
 ご安心なさい。奴らは既に前世紀の遺物です。
 時代は常に前へと動いているのですよ。まあご覧になっていなさい」

411

ほぼ同時刻――。

***米国・ワシントンD.C. ホワイトハウス***

アメリカ合衆国大統領官邸の執務室に一人の日本人らしき男が
通された。胸にはFBI捜査官のバッチが光っている。

滝「………」

男の名は滝和也。かつて対ショッカー専門の腕利き捜査官として
日本を始め海外で活動していたが、その後世界の裏側を知り過ぎたため、
ちょうどFBIの本国以外での捜査権限縮小の時期とも重なり
しばらく閑職へと追いやられていた。

その自分が今頃になって、なぜ大統領直々にお呼びがかかったのだろうか…?
滝は訝しげに思っていた。

マイケル「お待たせしたね、滝捜査官。
 どうぞ掛けて楽にしてくれたまえ」

マイケル・ウィルソン――アメリカ合衆国第47代大統領である。
大統領に言われるままに応接用のソファーに腰を掛ける滝。

滝「大統領閣下ともあろう御方が、FBIの窓際にいったい何の御用で?」
マイケル「君には至急日本へ向かってもらいたい。
 Masked Ridersと連絡を取ってもらう必要がある」
滝「――!!」

412

●オルガ・サブナック、クロト・ブエル、シャニ・アンドラス→
 アズラエルに命じられ、MSを駆って剣桃太郎を襲撃。
●ムルタ・アズラエル→ブーステッドマン3人組に
 剣桃太郎襲撃を命令し実行させる。
●白河尚純、南雅彦→アズラエルから生体CPUを借り、
 剣桃太郎を襲撃する。
●三輪防人→剣桃太郎暗殺成功?の報を聞いて大喜び。
○剣桃太郎→自家用のセスナ機で別荘へと向かっていたところを、
 刺客に襲撃され、自分が乗り込み操縦していたセスナが大破し、
 自らも行方不明の状態に……。
○江田島平八→烈火の如く怒り、白河一派を叩き潰すべく
 富樫源次に命じて男塾OBに総動員をかける。
○マイケル・ウィルソン→滝和也に日本行きを命じる。
○滝和也→大統領から日本行きを命じられる。

【今回の新規登場】
●オルガ・サブナック少尉(機動戦士ガンダムSEED)
 GAT-X131カラミティガンダムのパイロット。ブーステッドマンであり
 強化の度合いはStage2。普段はジュブナイル小説など読書を嗜む
 物静かな青年だが、戦闘では敵味方の区別なく快楽的に破壊を行う。

●クロト・ブエル少尉(機動戦士ガンダムSEED)
 GAT-X370レイダーガンダムのパイロット。強化の度合いはStage3。
 口数が多く喧嘩っ早い。戦闘になると凶暴さを発揮し、
 「滅殺!」、「撃滅!」等の物騒な単語を叫びながら
 破砕球「ミョルニル」を振り回す戦い方が目立つ。

●シャニ・アンドラス少尉(機動戦士ガンダムSEED)
 GAT-X252フォビドゥンガンダムのパイロット。強化の度合いはStage4。
 精神の破綻振りは3人の中でも際立っており、最も嗜虐的な戦いを好む。
 趣味は音楽鑑賞で特にデスメタルなどネガティブなものを好む。
 アイマスクをして音楽を聴きながら寝ていることも多い。

○滝和也(仮面ライダー)
 FBI特命捜査官。ショッカーの行動を専門に追い、
 ショッカー組織の壊滅が主な任務。オートレーサーとしても
 活躍しており、本郷猛とは良きライバル関係でもある。
 少年仮面ライダー隊を立ち上げた際には、初代隊長に就任した。      


『男塾OB集結! 仁義なき大戦争の幕開け!!』

作者・赤戦闘員 影村

413

その日の深夜……。

***東京赤坂・某高級料亭***

ここは政財界のトップクラスのVIPがよく使用する事で知られる
老舗の高級料亭である。一見しただけでは普通の料亭の建物にしか
見えないが、敷地を囲む頑丈な外壁の所々には、対侵入者用の
監視カメラがしかけられており、まさに要塞といった雰囲気である。

その最奥の座敷では、先程から目の前に並べられた膳にも
手をつけず、深刻そうな面持ちで会談している二人の重鎮がいた。
一人は、日本の影の首領(ドン)と呼ばれた男塾塾長・江田島平八。
そしてもう一人は、元内閣総理大臣・板垣重政である。

板垣「許せ江田島。剣君がこのような事態になったのは
 全てわしの責任だ。お前の大事な愛弟子を預かっていながら…」
江田島「言うな板垣よ。剣桃太郎…決してあの程度の事で
 死ぬような漢ではない。必ず奴はどこかで生きておる」

重苦しい雰囲気の中、江田島がようやく
猪口を手に取りくいっ、といく。

江田島「今はそれよりも板垣よ、今後の事だが…」
板垣「わかっておる。総理臨時代理の茅葺君も頑張ってくれている。
 それにアメリカから――確か名前は滝君とかいったか、
 例のFBI捜査官も明日には成田に着くはず。
 この老骨板垣の命を賭けても、白河如き若造の好きにはさせん!」

414

翌朝――。

***永田町・首相官邸***

白河「ではどうあっても公民権法案の閣議決定を行なうと?」
茅葺「予定に変更はありません。審議会での答申を待って、
 法案は閣議決定を経て衆議院に提出します」

首相官邸の総理執務室に押しかけた白河尚純と押し問答をしている
この女性――名は茅葺よう子。剣桃太郎の前任者にして、
日本憲政史上初の女性の内閣総理大臣である。
剣桃太郎から万が一の際の首相臨時代理に指名されていた。

白河「審議会の内容は非公開です。密室での審議など、
 まさしく民主主義に反する行いではありませんか!」
茅葺「審議会で作成した法案は必ず国会の委員会にも報告されます。
 民主主義に反するとは思いません」
白河「フッ、どうやらこれ以上話しても埒が明かないようだ」

白河は軽蔑したようにわざとらしくため息を漏らすと、
室内の周囲をくるりと見回した。

白河「ところで冴島危機管理監のお姿が見えないようだが…?」
火野「冴島危機管理監には剣総理の捜索のため、一昨日から
 現地で指揮を執ってもらっています」

白河の問いに、首相デスクに座る茅葺の傍らに控える
内閣官房副長官の火野が答える。

白河「ほう~ご苦労な事ですな。無駄な事だとは思うが…」
火野「どういう意味でしょうか?」
白河「火野先生、貴方も剣内閣で官房副長官に抜擢されて、いい気に
 なっているようだが、我々の側に鞍替えするなら今の内ですよ」
火野「………」
白河「では、今日のところはこれにて失礼」

総理執務室から立ち去る白河。
それを見計らったように、隣りの部屋へと通じる同室内の別の扉から開き、
中から3人の人物が出て来た。公民権法案作成審議会のメンバーとして、
官界や民間から集められた面々である。

一人は背広姿に眼鏡をかけた中年の、評論家か学者風の男。
もう一人は同じく眼鏡をかけた中年ながら、実年齢よりも若く見え、
ストレートの長髪を後ろで紐で結わえている男。
そして最後の一人は背の低い小柄な老人である。

旋風「白河氏はようやくお帰りか。やれやれ…」
黒主「彼にも困ったものです。今の人類が未来へと進むためには、
 ナチュラル以外の存在とも手を取り合える世の中を作る以外に
 道はないということを解ってくれればいいのですが」
茅葺「ご覧のように事態は切迫しています」
火野「皆さんには作業の方を急いでいただかなければなりません」
河村「わかりました。ベストを尽くします」

415

***同官邸内・移動中のエレベーターの中***

白河の秘書「しかし意外でしたね。茅葺よう子と言えば親中国派。
 親米派の剣桃太郎とは反りが合わないものとばかり思っていましたが…」
白河「それは昔いた党の老人共やマスコミが勝手に決め付けた
 イメージに過ぎん。そもそもあの女は親米ではないが親中でもない。
 むしろ日本主導で対等な関係の日米安保を再締結したいと
 考えている点においては、剣桃太郎とは政治的同志であると言えるだろう。
 それに改憲に慎重な事で知られる板垣が、あの軍国主義の塊のような江田島と
 親友同士なのだ。何があっても不思議ではない」

表面上は平静さを装う白河だが、その瞳からは苛立ちを隠せないでいた。

白河「官邸を出たら、至急EP党の坂田さんに連絡を取れ」
白河の秘書「えっ、EP党の坂田龍三郎党首にですか!? わかりました」


***同官邸内・総理執務室前 休憩ロビー***

備え付けの自販機から缶コーヒーを購入し、一服してる
先程の公民権法案作成審議会のメンバー3人の内の2人――。
文部科学省名誉顧問・旋風太郎左衛門と、
黒主学園理事長・黒主灰閻である。

旋風「黒主さんや、そう言えばお前さんはそもそも
 なんで委員会のメンバーを引き受けたんじゃね?」
黒主「昔交わしたある人との約束でしてね。それに
 仲間と共に旅に出た一人娘がいましてね。その娘のためにも
 父親として少しでも生きやすい世の中に近づけてあげたいんですよ」
旋風「…ほう、"伝説のヴァンパイアハンター殿"にも
 いろいろと複雑な事情がおありなんじゃな」
黒主「さて、何の事でしょうか?」

旋風のさりげない過去の素性に関わる指摘を、
黒主はわざとらしく笑って誤魔化し、さらりとかわす。

黒主「そういう貴方こそ、なぜ審議会のメンバーに?
 "風魔の頭領"殿」
旋風「さあて、何の事かのう…」

今度は旋風が自身の正体の指摘に対して、
わざとらしく笑って誤魔化す番である。

旋風「元々は文部科学省からの意向もあるが、
 実を言うとわし自身は異種族との平和共存なんて興味ないし、
 正直どーでもいいとも思っとる」
黒主「…では、何で?」
旋風「決まっとるじゃろ。そっちの方が"面白そう"だからじゃよ。
 仲良く共存なんて、喧嘩して争うよりも数倍難しそうじゃからな!」

416

一方、その頃……。

***東京都内の某五つ星高級ホテル***

学ラン姿のガッシリとした体格の男たちが大勢
続々とホテル正面玄関から中へと入っていく……。

ホテルマンA「お、お客様、まことに申し訳ありませんが……」
ホテルマンB「当ホテルへのその御服装でのご入館は……」

???「構わん。私の客だ」

ホテルマンたち「……!!」

背後からした声に振り返ったホテルの従業員たちは
皆一様にびっくりした。
なんと自分たちが勤めるホテルの社長――松尾鯛雄も
同じ学ラン姿だったのである!

ホテルマンA「しゃ、社長――!!」
ホテルマンB「どうしたというんです!! 社長までそのお姿はっ!?」

松尾「男塾同窓会。俺たちの集いにはこの学ランしかないのだ」
田沢「フッフフ、大した出世だな松尾。今や日本の…いや世界の
 ホテル王ってか?」
松尾「何を言ってやがる田沢。お前こそゼネコン業界の
 ナンバーワン社長様じゃねえか!」
田沢「ワッハハハ、大したことないわい!」

ホテルマンA「お、男塾同窓会……??」

417

***同ホテル内・大宴会場***

男塾の同窓生達がズラリと式場内に並ぶ中、
一人、壇上へと上がる富樫源次。

富樫「知っての通りだ。俺たちの大将――かっては男塾筆頭。
 現内閣総理大臣・剣桃太郎が暗殺された。殺ったのは白河尚純。
 しかし本当の敵は奴や三輪防人のバックについている
 地球教団を中心とする影の地球連邦政府――ロゴスだ。
 奴らの目的は白河を傀儡とし、この日本を牛耳ることだ。
 近い時期に予想されるGショッカーの日本侵攻を迎え撃つためにも、
 公民権法はなんとしても成立させなきゃならねえ。
 だが敵の力は強大だ。これは生き死にを賭けた戦争になるだろう」
伊達「………」
藤堂「………」
富樫「だからあらかじめ言っておく。俺たちが男塾を卒業したのはとうに昔の話だ。
 血の気だけで生きてた時代は終わっている。今や皆、社会的な地位もあり、
 多くの部下や社員、そして愛する家族もいるだろう。
 その肩には大きな責任を持って生きている。ここから去りたい者は去ってくれ。
 恥じることはねえ。これから始まることは分別のある大人のすること
 じゃねえんだからな…!」
赤石「何つまらねえゴタク並べてやがる富樫!」

元男塾二号生筆頭・赤石剛次が前へと進み出る。

赤石「男は誰でも心に一本のドスを呑んでいる!
 要はそのドスの日頃の手入れの問題だ!
 そいつを錆び付かせているような野郎はここには居ねえぜ!!」
虎丸「ロゴスだかGショッカーだか知らねえが」
飛燕「思い知らせてやりましょう!」
松尾「男塾魂をなっ!!」
富樫「フッフフ…そうか。ちっとも変わってねえんだな、てめえらよ。
 嬉しくなるほど変わっちゃいねえぜ…!」

富樫はうっすらと瞳に涙を浮かべる。

富樫「だったら昔のように派手に
 オドってやろうじゃねえか――っ!!」
男塾OB全員「おおお――っ!!!」

日本を守るため、ついに集結を果たした男塾OBたち。
しかし、こうしている間にも日本を虎視眈々と狙う
悪の魔手が刻一刻と男塾OBに対しても迫っていたのである――!!

418 

○江田島平八、板垣重政→深夜、都内の某高級料亭にて会談。
 今後の事を話し合う。
○茅葺よう子→既に退陣して総理の座を退いていたが、
 剣内閣の首相臨時代理として再登板。
○火野隆司→剣内閣の内閣官房政務副長官を務めている。
○冴島十三→行方不明の剣総理捜索のため、官邸を離れて
 直接現地に赴き指揮を執っている。
○河村武憲、黒主灰閻、旋風太郎左衛門→公民権法案作成委員会の
 メンバーとして招聘されている。
○男塾OBたち→悪の勢力から日本を守るために、再び集結する。
●白河尚純→EP党の坂田龍三郎との接触を図る。

【今回の新規登場】
○板垣重政(マーダーライセンス牙)
 元内閣総理大臣。百年に一人の逸材、真実と正義の人。
 総理在任時に、自身と検事総長と内閣情報調査室長との三人による
 極秘会談を経て、超法的私設組織“牙”を創設した。
 戦時中は悪名高い731部隊に見習い研究員として在籍していたが、
 戦後、二度とこのようなことがあってはならぬと
 総理の椅子を目指し政界入りした。

○茅葺よう子(攻殻機動隊S.A.C.シリーズ)
 日本憲政史上初の女性首相。米中EUそれぞれと等しく距離を保って
 日本独自の外交政策をとろうとする単独国連協調路線を掲げる。
 元々は解散総選挙対策のため総理総裁の座に担ぎ出されたが
 その政治的手腕も確かなものであり、決して張子の虎ではない。
 公安9課の他に航空自衛軍にも直属の特殊部隊を持っている。

○火野隆司(美少女戦士セーラームーン実写版)
 国会議員。火野レイ=セーラーマーズの父。
 娘がセーラー戦士である事は知らない模様。
 娘とは疎遠な関係にあったが、後に和解した。

○河村武憲(絶対可憐チルドレン)
 元はエスパーの存在に警鐘を鳴らす著書もある大学社会学科助教授で、
 反エスパー組織「普通の人々」の支援者だったが、息子のタケシが
 エスパーであることがわかってからは、タケシをバベルに預け、
 逆にエスパーの立場から警鐘を鳴らす側に考えを変えた親馬鹿。
 彼の転向と密告により、「普通の人々」の北練馬支部は壊滅した。

○黒主灰閻(ヴァンパイア騎士/ヴァンパイア騎士Guilty)
 黒主学園理事長。黒主(玖蘭)優姫の養父で、愛娘の優姫に対しては
 かなりの度を越えた親馬鹿である。吸血鬼に大切な人を殺された過去を持つが、
 人間と吸血鬼の架け橋を育てるべく、一般生徒が通う普通科(デイ・クラス)と、
 エリートである吸血鬼(ヴァンパイア)が通う夜間部(ナイト・クラス)に
 分かれた黒主学園を創設した。自身もまた「伝説」と謳われるほどの
 凄腕のヴァンパイアハンターであり、現役復帰時には一人称が「僕」から
 「俺」に口調が変わる。

○風魔小太郎=旋風太郎左衛門(隠の王)
 日本の忍の世の五大勢力の一つである風魔の里の頭領。
 非常に飄々としており、掴み所が全く無い。
 何を考えているのかも分からない変人。ちゃらけている様だが、
 甘い考えを持つ者が嫌いらしく、「不殺」の忍道を「甘い」と言い切る。
 風魔の里では若い長身の男の姿だが、表の世では小柄な老人の姿に化け、
 「旋風太郎左衛門(つむじかぜたろうざえもん)」と名乗り、
 文部科学省の高官を務めている。

○松尾鯛雄(魁!! 男塾/天より高く)
 男塾OB。現在はホテル王。「サザエさん頭」と呼ばれる
 独特な髪形をしている。男塾の中ではかなりの酒豪。

○田沢慎一郎(魁!! 男塾/天より高
 男塾OB。現在はゼネコン業界の№1社長。「男塾一の天才」
 「男塾のコンピューター」の異名を持つ。実際のところ数学も
 九九が全て言える程度、ローマ字を「イタリア語」と言ってしま
 ような男ではあるが、くず鉄からロボットを作ってしまうという
 器用な一面も。

○赤石剛次(魁!! 男塾/天より高く)
 男塾OB。現在は民族派系政治結社会長。男塾二・二六を起こし
 無期停学となった元二号生筆頭。一文字流斬岩剣の使い手。

○虎丸龍次(魁!! 男塾/天より高く)
 男塾OB。現在は虎丸ファイナンス会長。入学式での「根性バッタ」で
 鬼ヒゲ教官に屁をかけ、半年間「獄悔房」で重さ200kgの釣り天井を支えた
 経験あり。独自開発した猛虎流拳法と相撲が得意。

○藤堂豪毅(魁!! 男塾/天より高く)
 男塾OB。現在は藤堂財閥総帥。藤堂兵衛の養子であるが、
 現在養父との関係は断絶している。元冥凰島十六士の総大将。

○三面拳飛燕(魁!! 男塾/天より高く)
 男塾OB。現在は全日本青年医師会理事長。
 美しい容姿・華奢な体つきながら、数少ない鳥人拳の使い手。

○伊達臣人(魁!! 男塾/天より高く)
 男塾OB。現在は関東極天漠連合会長・初代伊達組組長。
 頬に傷をつけた教官を殺害(男塾二・一五事件)した件で退学処分を受け、
 その後「関東豪学連」の総長となり、三面拳飛燕、雷電、月光と共に
 桃、J、富樫、虎丸と驚邏大四凶殺で死闘を繰り広げ、その後男塾に入り
 一号生として再入塾した。「孤戮島」出身。槍の使い手でもある。


無題

作者・赤戦闘員 影村

419

***ロンデニオン基地内・ミーティングルーム***

今、ここには現在のロンド・ベル隊の主力ガンダムパイロットが集まっていた。
アムロ、クリス、コウ、カミーユ、ルー、の五名である。
シーブックとトビア、ガロードたち、キラとアスランはそれぞれの母艦と
共に各地に散っており、シャッフル同盟も独自に動いていた。
ウッソやヒイロたちとは連絡が取れない状態が続いている…。

アムロ「では、ミ-ティングを始める。始めに…新メンバーの紹介だ。
 入ってきてくれ。」

アムロにうながされ、ドアから1人の男が入って来た。
…何故か覆面をかぶっている。

「……!?」

顔を見合わせるクリスとコウ。カミーユが苦笑いして、

カミーユ「イタズラしようったって分かってるよ、ジュドー」

覆面の男は笑いをこらえきれず、

ジュドー「へへっ、みんなただいま! でいいのかな?」

以前と変わらぬ素顔を見せた…。屈託のない笑顔だ。

ルー「ジュドー!?驚いた…もう大丈夫なの?」
ジュドー「ああ、もうバッチリさ…心配かけてすまねっ」
コウ「カミーユ、ジュドーだってよく分かったな…知ってたのか?」
カミーユ「いいえ…何となくジュドーかなって」
クリス(NTの力なの…かしら?)
カミーユ「でも…俺も驚いたよ。回復には早過ぎないか?」
アムロ「そのことなんだが…ジュドー?」
ジュドー「ハマーンのおかげみたいなんだ。あいつのところにいた時、
 色々と治療してくれたのを何となくだけど覚えてる…。」
カミーユ「……」
コウ「それで…か」

アムロ「では、本題だ。これから先、おそらく敵のニュータイプと戦うことも
 増えてくると思う。そして、指揮官クラスの敵はファンネル装備の機体に
 乗っていることが多い。そこで今度の演習では、ファンネルによる攻撃に
 重点的に慣れてもらう。特にウラキ中尉とクリス…」

言いかけて言葉を選ぼうとしたアムロに、コウ自身が笑顔でフォローを
入れる。

コウ「分かってますよ大尉、僕たちはNTじゃない……対ファンネルは
 心してかからないとね」
クリス「──了解」
アムロ「なお、今回ジュドーはνガンダムHWSに、ウラキ中尉には
 ZZガンダムに乗ってもらう」
コウ「あの…自分のステイメンは?」
アムロ「先刻ニナ君がアナハイム本社に持って帰ったよ、さっき言った2機と引き換えに。
 一度ステイメンをオーバーホールするんだとか言ってたな」
コウ「なら、仕方ないですね…」
アムロ「じゃあ、みんなで夕食でも食べに行くか。
 ジュドー復帰祝いも兼ねて」
アムロ以外の全員「はい」

420

***無幻城***

ジュドーが復帰した同日。

ガトー「…失礼します」

無幻城・Gショッカー地下帝国軍ミケーネブロック、ガルマの私室である。
ノックの後、アナベル・ガトーが入室する。

ガトー「お呼びでしょうか?」
ガルマ「うむ…現在我がGショッカーは主に地球本星での工作に重点を
 置いており、異世界侵攻計画にも人員を取られている…というのは周知の
 通りだ」
ガトー「はい」
ガルマ「その分、太陽系における展開が手薄になっている傾向がある。
 ゴズマ軍は外宇宙がメインということもあり…我らMS部隊に太陽系内
 での情報収集の命令が下った。そこで、貴官に隊長として宇宙に上がって
 もらいたいのだが…」
ガトー「はっ…謹んでお受けいたします」
ガルマ「うむ、では早速準備にかかれ…諸君の健闘に期待する」
ガトー「…ガルマ様」
ガルマ「ん? 何だ?」
ガトー「機会があればで構いません…コウ・ウラキとの再戦を…お許しいただきたい」
ガルマ「……わかった。が、それに気を取られて本来の任務を忘れぬように…」
ガトー「はっ、ありがたき幸せ…! ジーク・ジオン!!」
ガルマ「ジーク・ジオン…!」


***宇宙空間・ロンドベル隊演習地***

アムロ@Hi-νガンダム「では演習を開始する。まず、カミーユとルーに
 ファンネル対処法の手本を見せてもらう。ジュドー、用意はいいな?」
ジュドー@νガンダムHWS「ああ、でもマジで当たったらやばいんじゃないの?」
アムロ「大丈夫さ。演習用に調整してるからほとんど殺傷力はない
 …じゃあ2人とも、いくぞ」
ルー@Zガンダム3号機「了解」
カミーユ@Zガンダム1号機「いつでもいいですよ」
アムロ、ジュドー「「いけ、フィンファンネル!!」」

2機のνガンダムからファンネルが射出され、ビームを放ちつつ2機のZに近づいていく。

カミーユ「そこ!」

迫り来るビームを回避しつつ、Zの演習用ビームライフルが連射された。
3つのファンネルが撃ち落とされる。
が、落とされなかった残りがZガンダムの周りを囲む。

ルー「あたしもいいとこ見せなきゃ」

そう言いつつビームサーベルでファンネルを潰していく、紫のZ。
残ったファンネルの放つビームもシールドで防いだり回避したりしていく。
そして攻撃終了…。

アムロ「よし、2機とも直撃弾無しだな」
コウ@ZZガンダム「す、すごい…」
クリス@Zガンダム2号機「あの全方位攻撃を避けきったなんて…」
カミーユ「いや、でも実際きつかったですよ。事前に数を減らしてなかったら
 2,3発は当たってたでしょう……」
アムロ「ああ、何もいきなり全部を相手にしようと思うから余計な被弾を生んでしまう…。
 それにファンネルだって動きを見切れば何とかなる。
 よし、次はコウたちだ!」
コウ「は、はい。よろしくお願いします。」

ファンネルが射出される。コウ機、クリス機は先の二人に習いビームを撃ってみるが
当たらない。それならばとビームサーベルで潰しにかかるが、逆にファンネルからの
ビームを受けてしまう。

コウ「うわ!?」
クリス「きゃあ!」

更にファンネルの攻撃は止まらない。2人は何発かは回避・防御しているが、
徐々に被弾数を増やしていく。そして…

コウ機とクリス機のコンピュータ「「判定撃破!機能停止」」

2機がほぼ同時に機能停止する。と同時に攻撃もぱったり止まった。

アムロ「お疲れ様…頑張った方だな」
カミーユ「お2人とも、伊達に一年戦争やデラーズ戦役を生き延びた
 わけじゃないですからね」
クリス「……でも、除隊してた間のブランクは否定できないわ……」
コウ「はぁはぁはぁ…大尉、もう一回お願いします」
アムロ「ああ、わかった。でも少しだけ休め」
                   ・
                   ・
                   ・

421

***宇宙空間***

同日同時間。ガトー率いる部隊が漆黒の空間を進んでいく…。

ガトー隊一般兵「ガトー少佐、主だったコロニーへの工作員潜入・完了しました」
ガトー@ドーベンウルフ改「ご苦労。近くを哨戒している部隊があるかもしれん。
 各機警戒を怠るな」
一般兵「はっ…、少佐。友軍ではない機体がこちらに向かってきます。数は3。
 機種認識…! MA(メタルアーマー)です」
ガトー「何!?」

程無く現れる3機のMA、ドラグナー1型C(カスタム)、2型C,3型C。

ケーン@D1型C「ライト、新ギガノス要塞の所在候補はここか?」
ライト@D3型C「ああ・・・って大ハズレだな、こりゃ…ジオンの戦艦だ」
タップ@D2型C「…ってあのパーソナルマークは!?」
ライト「ソロモンの悪夢、アナベル・ガトーか…Gショッカーの
 エンブレムまでつけてやがる」
ケーン「なんで今まで気づかなかったんだよ、ライト!?」
ライト「新型ステルスでも搭載してるんじゃない?
 ……お、近くで演習やってる。とりあえずそこまで逃げますか?」
タップ「賛成だ。このままじゃ多勢に無勢だからな」
ライト「んじゃ、SOSサインだしてっと…それ、逃げろ!」

一目散に逃げ出す3機。

ガトー「むっ、逃がすな、追え…見られたからには生かしてはおけん!」

後を追い始めるガトー隊。


***ロンドベル演習地***

訓練開始からおよそ一時間、さすがにコウもクリスも
だいぶコツをつかんできたようだ。

アムロ「よし、かなり対応できるようになってきたな。
 じゃあ、最後にもう1回…ん?」
ルー「アムロ大尉、大変です」
アムロ「どうした?」
ルー「友軍機からのSOSをキャッチしました。
 Gショッカー──アナベル・ガトー率いる部隊に追われている
 ようです…こちらに来ます」
コウ「ガトーが!? くっ…!!」

飛び出そうとするコウをアムロが止める。

アムロ「落ち着け。よし、各員戦闘準備、
 ライフルの弾を実戦用に切り替えろ。
 ルー、接触までには?」
ルー「…およそ2分です」
カミーユ「ウラキ中尉、クリス少尉、推進剤は大丈夫ですか?」
クリス「…ええ、私は大丈夫よ。極端に戦闘が長引かなければね」
コウ「右に同じ!」
アムロ「よし、そろそろ来るぞ…みんな、気をつけろ…コウさん」
コウ「何か? アムロさん」
アムロ「ガトーと決着をつけたい気持ちは分かる…だからって焦るなよ」
コウ「……了解」
ジュドー「来たよ。みんな。ん、あれは…ドラグナー!? ケーンたちか?」

合流するガンダム隊とドラグナー隊。

ライト「ひゅ~、ツイてる。ロンド・ベル隊だ。お久しぶりです…アムロ大尉」
アムロ「ああ、しかし何故君達がここに?」
タップ「話は後で。それより今は連中を…」
アムロ「そうだな。君達もいけるか?」
ケーン「もちろん! 久々だから腕が鳴るぜ…」

422

一方、ガトー隊。

一般兵「ガトー少佐、奴らに追いつきました、が・・・。」
ガトー「わかっている。ロンド・ベル隊に合流されてしまったのだろう?」
一般兵「はい。」
ガトー「しかし、ここまできて手ぶらでは帰れん。仕掛けるぞ
(…コウ・ウラキもいるようだしな)」
一般兵「了解!」
ガトー「よし、各隊発進せよ、我が後に続け! 艦長、あれも出せ」
ムサカ@艦長「はっ。少々発進に時間がかかりますが……」
ガトー「多少は構わん。が、急げよ」
艦長「はっ。御武運を」

ガトーのドーベンウルフ改を先頭にRF(リファイン)ザク、ギラドーガ、
ザクⅢ改等、そしてわずかだが量産型キュべレイが次々と出撃する。

アムロ「くっ、キュべレイか…各機へ、あのキュべレイは俺と
 ジュドーでなんとかする。
 みんなは他を頼む。ジュドー、行くぞ」
アムロ以外の全員「了解!」
コウ「……ガトォォー!!」

先陣を切り、コウがガトーに突っ込んでいく!

ガトー「やはりコウ、貴様か…各機へ! あのZZガンダムは私が相手をする、
 手を出すな! もうすぐあれも出てくる…とりあえずそれまで持ちこたえろ」
ガトー隊一般兵「了解!!」
ガトー「散開ッ!! さあ来い、コウ・ウラキ…あの時なし得なかった
 決着を着けてやる!」
コウ「望むところだッ!!」

ガトー機からメガ粒子砲が飛ぶ…コウはこれをうまくかわしつつ
ビームライフルで応戦。しばし膠着状態の後、動いたのはガトーだった。

ガトー「やるな…ならばこれでどうだ」

次の瞬間、ドーベンウルフの肩辺りから何かがコウ機めがけて
射出された!
非ニュータイプでも扱えるオールレンジ武器、インコムだ。
コウは突然のことだったがかろうじて回避した。

ガトー「腕をあげたな、しかし!」
コウ「!!」

とっさにシールドを構えるZZ。インコムの回避に精一杯だったコウに
再びメガ粒子砲が浴びせられたのだ。
ビームコーティングもあり何とか防ぎ切るも……。

コウ「ああっ、シールドが!?」
ガトー「それではもう使えまい!」

間髪いれずインコムが飛んでくる。しかし、今度のコウは冷静だった。

コウ「……そこだ!」

目星をつけて、ビームを連射する──そのうち1発がインコムを潰した。
さらにビームサーベルで別のインコムに繋がっているワイヤーを斬る!

コウ「おおおおおおーッ!!」

肩のビームキャノンで反撃開始するコウ機。

ガトー「何っ!?」

今度はガトーが反応しきれず、右肩部分と右足に掠めてしまう。

ガトー「むう、インコムがやられたか……小癪な真似を!」
艦長「ガトー少佐、準備整いました」
ガトー「よし、出せ」
艦長「了解、RFビグザム発進!!」

カミーユ「っ!あれは? みんな危ない」

423 

RFビグザムから大型メガ粒子砲が撃ちだされた!
クリスやルー、Dチームと一緒にガトー隊の相手を
していたカミーユがいち早く気づき、皆に注意を呼びかけたため、
即座に回避運動に入る一同。
ちなみにその時点でガトー隊の半数程が戦闘不能状態になっていた。

アムロ「ちぃ、ビグザムだと…?やっかいなものを…っ」

アムロの脳裏に、スレッガーを失ったかつての死闘がよぎる。
やっとキュべレイ隊を全滅させたアムロ、他の援護に向かおうとして…
Dチームからの通信を受けた。

ケーン「アムロさん、俺達に任せてくれない?」
アムロ「策があるのか?」
ケーン「ああ、ただ途中で少し攻撃に時間がかかるかもしれないから、
 合図したら援護してくんない?」
アムロ「ああ、わかった。 ジュドー、君はカミーユ達と合流して敵の殲滅に
 あたってくれ」
ジュドー「了解。みんな気をつけろよ」
ケーン「よしタップ、ライト、準備はいいか?」
タップ「任せろ」
ライト「こっちもOKだ」
ケーン「よーしいくぜ。おらおら、騎兵隊のお通りだぁ」

3機のドラグナーがハンドレールガンを乱射しつつビグザムに向かっていく。

ガトー隊部隊長@RFザク「!各機あの3機を行かせるな。イエロー隊にも伝達し…ぐあぁ!?」

いい終わる前にカミーユ機から放たれたグレネードランチャーがRFザクの右腕を
破壊した。

カミーユ「まだ、抵抗するのか?なら……」

ハイメガランチャーをセットするとすかさず発射!
先ほどのRFザクと、その側にいたギラドーガもまとめて破壊された。
カミーユより少しビグザムに近いところでも
ルーとクリスがドラグナーの援護に回っている…。

ルー「このぉ、落ちなさいよ!」
クリス「負けない…!」

紅と紫、2機のZが次々と星の数を増やしていく…。

艦長「くっ、MSを援護するぞ。ミサイル用意、目標2機のZガンダム…発射!」

ルー「ええっ、ちょっとそんなのあり!?」
クリス「くっ!?」

慌ててミサイルに対処する2人。だが…。

ガトー隊一般兵「もらったぁ!」
クリス「えっ!?」

ビームサーベルを手にクリスのZに接近してくる敵MS、
これは駄目かと思ったその時、
何も無いところからビームが飛んできて敵機を撃墜した。
──フィンファンネルの仕業だ。

ジュドー「クリスさん、大丈夫?」
クリス「ええ、ありがとうジュドー」

一方Dチームは、カミーユ達の援護もありさほど苦も無くRFビグザムに接近。
タップ「ケーン、やっぱハンドレールガンじゃあんまり効き目ないよ!」
ケーン「わかってる。だから次はあれだ、ライト!」
ライト「はいよ、それ!」

D-3Cからミサイル発射!!

エリート兵@RFビグザム「ふん、こんなもの…!! 何だ、レーダーが!?」

そう、このミサイルにはレーダーを一時的に錯乱させる機能があったのだ!

424

ライト「アムロさん、お願いします!」
アムロ「よし、行けフィンファンネル!」

今度はアムロがビグザムを牽制し始めた。

ケーン「よし、光子バズーカ、チャージ・・・」
タップ「・・・こっちはOKだ」
ライト「・・・チャージ完了!」
ケーン「発射スタンバイ・・・・・・撃てぇぇー!!」

3機の光子バズーカがRFビグザムに迫るが、RFビグザムのIフィールドに阻まれてしまう。
が…それは囮、別方向の大出力ビームがRFビグザムにせまった。
ジュドーのνガンダムHWSのハイパービームキャノンだ。
これだけの高出力ビームを立て続けに受けてついにIフィールドは消滅し、
RFビグザムの装甲が溶けはじめる。

ケーン「よっしゃ、とどめはあれで行こうぜ!」
タップ、ライト「OK!!」

そう言ってD-2CとD-3Cがビグザムの巨体を両側からつかみ、持ち上げる。

エリート兵@RFビグザム「な、何をする!?」
タップ「よーし、恐怖のトリプル…」
ライト「アタァァック!!」

下に投げ落とされるビグザム、上昇してきたD-1Cが
ツインレーザーソードを回しながら接近…

ケーン「とどめのぉ、一撃ぃ!!」

すれ違いざまに装甲を斬り裂いた!

エリート兵@RFビグザム「うっ、損傷率60%を超えた!?
 こ、これ以上の戦闘は危険。撤退します!」

と、その巨体に似合わぬスピードで去っていく…。

艦長「ガトー少佐、駄目です。このままだとやられます!」
ガトー「何!? RFビグザムはどうした?」
艦長「中破状態で帰艦しました。味方も7割はすでに撃破されています」
ガトー「ちぃ、やむをえん。退却する。集結場所は……」
艦長「了解です。信号弾撃てぇい!」

戦艦から放たれた信号弾に応じ、即座に撤退を始めたガトー隊。

コウ「ガトー、逃げるのか!」
ガトー「こちらにも色々と事情があるのでな、今日のところは退く。
 ……だが、数々の屈辱は必ず返す!」
コウ「くっ…待てぇー!」
アムロ「中尉、深追いはするな!」
コウ「しかし!」
アムロ「隊長命令だ! 自分の機体の状態をよく確認しろ!」
コウ「!! ……はい。申し訳ありません……」

このときのコウのZZは推進剤が底を尽きかけ、誰が見ても全身損傷だらけ
の状態だった。そのことが、戦闘の激しさを雄弁に物語っていた。

アムロ「よし全機、ロンデニオンに帰還する…Dチームも来てくれるか?
 補給が必要だろう?」
ケーン「了解っ!」

425

***ロンデニオン・ミーティングルーム***

ライト「……というわけで、俺達はミスマル提督の依頼で、
 鷹の旦那達と二手に分かれてギガノス機動要塞の在り処を
 探しているんです」
ルー「で、今回は運悪くガトー達を見つけてしまったというか…
 出会っちゃったのね?」
ケーン「そういうこと」
アムロ「そうか…そちらも頑張ってくれ。余裕ができればこちらも出来る限りの
 ことはするよ……とんでもない演習になってしまったが今回はこれで解散だ。
 みんな、ご苦労だった」
アムロ以外全員「ありがとうございました!」

***宇宙空間・ガトー隊***

ガトー「くっ、ロンド・ベル隊め……今日の屈辱忘れはせぬぞ」
通信兵「……少佐、ガルマ様より通信です」

モニターにガルマの顔が出てくる。

ガトー「ガルマ様、今度はまことに…」
ガルマ「ガトー、すまぬが全員でこちらに帰って来てくれ」
ガトー「……どういうことです!?」
ガルマ「うむ、闇の帝王陛下よりの御下命だ。異世界侵攻計画に
 更なる人員を要すると…。
 しかし、潜入させた工作員はそのままにしておけ。
 宇宙の情報が欲しいのも事実だからな」
ガトー「では、アナベル・ガトー隊…ただちに帰還いたします!
 (覚えておくがいい、コウ・ウラキ!)」


○ジュドー・アーシタ→ハマーンの協力もあり無事に回復・復帰。
○ロンド・ベル隊→ファンネル及びそれに類する武器への対処法を習得。
○Dチームとマイヨ隊(マイヨ、プラクティーズとミン)→ミスマル提督の密命で、
 宇宙のどこかに潜むギガノス新機動要塞の位置を探査中。
●Gショッカー→コロニーや月都市に工作員を潜入させる(主に情報収集)。
●アナベル・ガトー→宇宙に上がるも次の作戦準備の為、基地にとんぼ返り。

【今回の新規登場】

○カミーユ・ビダン中尉(機動戦士Zガンダム)

 エゥーゴのMSパイロット。史上最高のニュータイプ能力を秘めた少年。

 愛機はMSZ-006Zガンダム。「カミーユ」という自身の女性的な名前に劣等感を持つ。

 ハイスクールでは空手部に所属していた。


○ケーン・ワカバ准尉(機甲戦記ドラグナー)
 D-1型、D-1型Cのパイロット、元民間人。
 性格は熱血漢でお調子者。少林拳を習得している。

○タップ・オセアノ准尉(機甲戦記ドラグナー)
 D-2型、D-2型Cのパイロット、元民間人でケーンとは悪友。
 いつも明るい笑顔を振りまく、お気楽さがとりえの陽気な黒人。

○ライト・ニューマン准尉(機甲戦記ドラグナー)
 D-3型、D-3型Cのパイロット、元民間人でケーンの悪友。
 暴走するケーン達を止める役だが自身もかなりのお調子者。
 電子機器に詳しい。白人。


 ●アナベル・ガトー少佐(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)

 ジオン残党であるデラーズ・フリートの一員であり、

 一年戦争時にソロモンの悪夢と恐れられたエースパイロット。

 RX-78GP02Aガンダム試作2号機(サイサリス)

 及びAMA-X2(AMA-002)ノイエ・ジールのパイロット。


『絆は種族を超えて…』-3

作者・シャドームーン

426

***ゲゲゲの森***

郊外と呼ぶほどには遠くない大都会の片隅に、その森は存在する。
目まぐるしく姿を変えていく人の住む世界とは、異なる時の流れにある場所…

「そこ」には人の世界に干渉されない住人達が、静かに―…
そして確かに――…生きているのだ。

鬱蒼と茂る“異質な”森の中を、ここの住人ではないが無関係ともいえない、
人の世界からの来訪者が歩いていた。初めて来たのなら、いや普通の人間
ならまず迷子になるであろう場所を、慣れた足取りで楽しそうに進む様子から、
「彼女」がここの“常連客”であることを伺わせる。

夢子「あら…?」
 
背後から近づく、彼女にとっては慣れた気配に気づき夢子は歩みを止めた。
ゲゲゲの森で妖怪などに出くわすのはもはや“日常”であり、初めの頃こそ
恐がっていたものの今や全く動じない。慣れもあるが、それでもやはり彼女は
同じ年頃の少女達と比べれば、相当に肝が座っているのは確かである。

百目「おじちゃ~ん。まだ鬼太郎さんのおうちに着かないのかモン?」
幽子「でも…わたし、この森を歩くとなんだか落ち着くわ」
又五郎「もうちょっとで鬼太郎の家なんだな~。辛抱せい!」

夢子「又五郎さん!」
 
前方から小走りに駆け寄って来た女の子に、三人も顔を上げる。

又五郎「おやあ~夢子ちゃんでねえか! ひ~さしぶりなんだな~!」
夢子「ふふ。お元気そうね…あの、そちらは?」
百目「ボク、百目だモン!」
幽子「えと…幽子です…」
豆幽霊「う~ち~の幽子ちゃんは恥ずかしがりやさん~♪」
夢子「きゃっ! まあ、かわいい…私、天童夢子。よろしくね」
百目「夢子ちゃんって言うのかモン。こちらこそよろしくだモン」
幽子「よろしくお願いします、夢子さん」

夢子「あなた達、もしかして鬼太郎さんのお友達の妖怪さん?」

百目「鬼太郎さんを知ってるのかモン!」
又五郎「彼女は鬼太郎の友人なんだな~。夢子ちゃん、オラは閻魔様の使いで
     この二人を鬼太郎のとこまで連れて行くところなんだな」
夢子「そうだったの。私もちょうど鬼太郎さんの家へ行くところだったから、
    一緒に行きましょう」
百目「わあ~い行くモン♪」
幽子「うふふ…百目ちゃん、嬉しそう」
又五郎「何だな~。オラと一緒だとぶつくさ言ってたくせに…」
百目「おじちゃ~ん! 早く来ないとおいていくモン」
又五郎「やれやれ…まったく」

静かなゲゲゲの森の中に、子供の嬉々とした声が木霊する。
4人は歩きながらお互いのことやこれまでの経緯を語り合った――

427

***ゲゲゲハウス***

ゲゲゲの森の少し奥、いや正格な場所の位置などないのかもしれない。
しかし一度は訪れてみたい、そんな不思議な気持ちになるところ。
一本の太い古木の上に、小さな木造の住居が座している。
家の前にはこれまたかわいらしい川があり、そこに短い橋がかかっていた。

「ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲー」

一年中いつでも、ここに来れば蓮の花と変わった鳴き声で合掌する
カエル達が出迎えてくれる。といってもこの家の「関係者」以外の者が、
ここまで来れることは滅多にない。ごく稀に、カンが鋭いのか、それとも
執念のなせる業か、やって来る人間もいるにはいるが―――

そういった人間は藁にも縋る思いで、ここの家主に頼みごとがある場合が
ほとんどだが、そんな執念と強運の持ち主はそうざらにいるものではない。
だから、この場所と“外界”を繋ぐ連絡手段は手紙を運んで来るカラス達に
委ねられている。そんな知る人ぞ知る、ここと外を結ぶ唯一のルートを辿って
届く手紙が詰まった「妖怪ポスト」を我が物顔で漁っている男がいた。
この男、ここの関係者…というかほとんど住み着いているといったほうが正しい。

ねずみ男「え~と何々…鬼太郎さんGショッカーを退治して下さい?
 かー! くだらねぇ。そんなのは他所の正義の味方に頼めってンだよ!」

他人宛の手紙を勝手に開封した挙句、男はそれをくしゃくしゃと丸めて捨ててしまう。
ボロ布を頭から被り、ネズミのような髭を生やした2本歯の人物は、フハッと鼻息を鳴らした。

ねずみ男「おいカー公。どうせならもっとマシな…金になりそうな手紙を持ってこんかい!」
カラス「カァー!!」
ねずみ男「うるへー! はあああ~…近頃はろくなのが来ねえなあああ。
 大体今時、妖怪ポストなんざもう古いんだよ! キタ公の奴は子供のなりして頭ン中
 はいつまでたっても年寄り臭くていけねえ。ゲゲゲハウスももっと通信手段をハイテク化
 して世界中の人間相手に手広く商売をだな…」

鬼太郎「こらーっ ねずみ男!!」
ねずみ男「ぎょっ!! …な、何だ鬼太郎、もう帰ってたのかへへへ…」
鬼太郎「お前、また妖怪ポストを勝手に漁ったな! たくー…」
ねずみ男「ま、まあまあ鬼太郎そう怒るなって。俺は少しでもお前の負担を軽くしてやろうと
 親切心でしょーもない手紙を分けてやってるんだよ…親友として、な?」

木の上にある家の出窓から、下にいるねずみ男をどやしつける鬼太郎。
毎度お馴染みのやりとりを茶碗の湯船に浸かりながら、目玉の親父は「いい湯加減じゃのう」
と呟きながら呑気に聞き流している。親父がその目玉を部屋の隅に置かれたトゲだらけの
奇妙な置物に向けた時、置物―「妖怪テレビ」のブラウン管が妖しく光り始めた。
同時に室内があたかも別の空間と繋がったかのように暗闇に包まれていく。

テレビから発する声「鬼太郎…鬼太郎…!!」
目玉親父「おい、鬼太郎! テレビに! この声は……」
鬼太郎「父さんこれは!? …ああ、あなたは!」
ねずみ男「何だ何だー!? げ!」

閻魔大王「鬼太郎よ、緊急事態じゃ!!」

妖怪テレビのブラウン管に映し出されたのは、紛れも無く地獄界を治める地獄の王、
閻魔大王その人であった。威厳に満ちた太く重い声が、狭い室内に轟く。

鬼太郎「閻魔大王! 緊急事態とは…?」
閻魔大王「お前も知っての通り、人間界で起きている黄泉帰り現象により、地獄界も非常に
 混乱しておる。わしはこの原因を突き止めるため、メフィストに独自の調査を依頼したのだが…
 そのメフィストも、見えない学校へ行ったきり連絡が途絶えてしまったのだ」
鬼太郎「父さん、見えない学校って確か…」
目玉親父「フム。一万年に一度、この世に現れるという“悪魔くん”のソロモンの笛を守っている
 場所じゃ。噂によれば“悪魔くん”に選ばれた少年は、無事に使命を果たしたと聞くが」
閻魔大王「その悪魔くんも、何者かに連れ去られてしまった…」
鬼太郎「何ですって! 悪魔くんが…!?」

428 

閻魔大王「悪魔くんを攫った者と、見えない学校に起きている異変…関係があると見て間違い
 あるまい。ところがこのわしの霊力を持ってしても、黒幕の正体を看破することができぬ。
 恐ろしく強大な…それも複数らしき闇の影が現世と地獄の間に立ち塞がっている!!
 わしの予感が正しければ、こやつらに悪魔くんを渡せば…悪魔くんが秘める力を利用されれば
 人間界も地獄界も手のつけられん大変な事態となるじゃろう。
 鬼太郎、わしは今地獄を離れるわけにはいかぬ。見えない学校に行き、メフィスト達の消息を
 掴むと共に敵に囚われた悪魔くんを救出して欲しいのだ!!」
鬼太郎「分かりました悪魔くん達は必ず!! でも、見えない学校へはどう行けば?」
閻魔大王「フフフフ…丁度、見えない学校のファウスト博士とは、かねてよりお前達と悪魔くんの
 十二使徒が協力して事件解決にあたれぬものかと相談しておったのじゃ。
 そのためお前を迎えに行く使者を送ってある。その者達が、見えない学校へ案内してくれるだろう。
 頼んだぞ、鬼太郎!!」

光と共にブラウン管に映る閻魔大王は消え、ゲゲゲハウスの室内に昼間の陽光が戻る。
鬼太郎は悪魔くん救出の決意を新たにしながら、黄泉帰り現象について考えていた。
最も大切だった人が、生前の姿のままである日突然目の前に現れるという……
ならば自分の母は―…幽霊族の父親と結ばれた罪で地獄にいる母は戻ってはこないのか…。
バカなことを、と鬼太郎は自嘲気味に自分にいい聞かせていた。
閻魔大王はもう充分過ぎるほど温情を与えてくれた。地獄界から地上へ胎内道を通って脱出する時に、
一度だけ…一度だけ鬼太郎の母に恩赦をくれたのだ。不幸な事故により、母は新たに授かった命を
自分にとってもう一人の大切な友達に与えて地獄へ戻って行った。いかに閻魔大王の権限でも、二度の
特例はない。黄泉帰りの影響が、母にあったとしても、母はそれを理由には決して地獄を出ないだろう。
彼女は幽霊族の男を愛したことも、そのために地獄へ落とされたことも決して悔やんではいない。
だからこそそれが罪と言うのなら、その罪を一身に受ける覚悟があったのだ。

目玉親父「あれは、昔からそういう女じゃった…」

悲しみにくれる一行の中で、目玉だけとなっても我が子を見守り続けた父の言葉が思い出される。
剣桃太郎総理の公民権法の記者会見を見てから特に、鬼太郎の中で異種族同士の共存共栄という、
これまで長く彼らが望み、それだけを願って戦って来たことが無駄ではなかったと強く思うようになった。
そう簡単にはいかないだろうが、剣総理のような考えを持った人々が、妖怪世界や霊界、
そして地獄界にも広がっていってくれたら…――…

鬼太郎「…………」
目玉親父「…鬼太郎?」
鬼太郎「悪魔くんにも…きっと帰りを待ってるご両親がいますよね。父さん、行きましょう!」
ねずみ男「おいおい、行くったって何処にあるか知らないんでないの?
 ハァ~~っどこのどいつかねぇ…そんな面倒な道案内なんざ引き受けるもの好きは」

夢子「鬼太郎さあ~~~ん」
鬼太郎「夢子ちゃん。それに又五郎さん! どうしたの?」
シーサー「鬼太郎さん、お客さんが来ておられますよ」
ねずみ男「ふはーっ!! ゆ、夢子ちゃん!! 今行きますよーうわっとととぎゃふん!!」
夢子「大丈夫? ねずみ男さん」
百目「おじちゃん、慌てると危ないんだモン」

429 

満面の笑顔で外に飛び出したねずみ男が、階段を転がり落ちて地面に激突する。
先ほど同様にゲゲゲハウスで繰り広げられるお約束の光景に、鬼太郎も自然と安堵感を
得て普段通りの笑いを浮かべていた。鬼太郎も親父を頭に乗せて下へ降りて行く。
一緒に買出しに出たあと、砂かけばばあの妖怪アパートに用事を頼んで別れたシーサーも
帰って来たようだ。彼の横に、妖怪百目を小さくしたような子供と見慣れない女の子がいる。

夢子「と…言うわけなの。こちらが、悪魔くんのお友達の百目ちゃんと幽子ちゃんよ」
シーサー「ボクも帰る途中で夢子さんや皆さんと会ったんです」
鬼太郎「そうか君達が! 僕、鬼太郎。よろしくね二人とも」
百目「やったモン~やっと、鬼太郎さんに会えたんだモン! 早く、みんなにも会わせたいモン」
幽子「あ、あの…わたし…幽子っていいます。鬼太郎さん、よろしく…」
豆幽霊「ゆ~め~なキタローさんに会えて~ゆ~こちゃんは緊張してる~~」
目玉親父「ほほう、豆幽霊か…ずいぶん久しぶりに見たのう」
幽子「きゃっ!?」
目玉親父「恐がることはない、わしゃ鬼太郎の父じゃよ」
幽子「は、はあ…お父さんですか」
鬼太郎「百目に幽子ちゃん、悪魔くんを助けるために僕たちも全力を尽くすよ!」
百目「ありがとうだモン、鬼太郎さん」
ねずみ男「(ふ~ん…百目一族の生き残りの子供かい。こりゃ珍しいイヒヒヒ)」
夢子「…ねずみ男さん。また何か、悪いこと考えてない?」
シーサー「いつもながら表情が分かり易過ぎますよねぇ、ねずみ男さんは」
ねずみ男「いや~はははす、鋭いなあ夢子ちゃんは。と、とんでもねえでゲスよ!?
 ボクァいま、どうやって悪魔くんを救出するか真剣に考えてたんですよオッホン」
百目「何か……こうもり猫を思い出すモン」
ねずみ男「誰だよそのセコそうな名前の野郎はっ! いーかね百目くん。
 この俺様は妖怪の世界じゃあちゃったあ名の通った紳士なんだゼ。
 そんな胡散臭そうな小悪党っぽい輩と、一緒にされちゃあ困るよン」
百目「うん、ズルくてセコくて信用ならない半妖怪のねずみ男さんだモン!
 鬼太郎さんと一緒で有名人だから知ってるんだモン~♪」
ねずみ男「ズコー!! …かわいくねえガキ」

鬼太郎「又五郎さん、実はさっき閻魔大王からも直接話を聞いたんだ。実は…」
又五郎「な~にぃ~見えない学校があ~!? そりゃあ大変だー!」
幽子「見えない学校に何かあったんですか!?」
鬼太郎「実は………」

430

幽子「そ、そんな…!」
百目「それで、メフィスト二世も来なかったんだモン…」
夢子「百目ちゃん、幽子ちゃん…」
鬼太郎「元気を出すんだ二人とも。まだみんながどうなったか分からないじゃないか!
 閻魔大王にも現場の様子が分からないらしいから、とにかく行ってみよう」
幽子「ええ…そうね。無事だといいけど…」
百目「こんな時に悪魔くんがいてくれたら…モン」
又五郎「気ぃ~つけてなあ。閻魔様でも見破れない相手となると、こりゃあ~相当な奴だよぉ。
 じゃあオラ、まだ他にもお役目があるだでそろそろ地獄へ戻るだ」
鬼太郎「うん…急ごう二人とも!」
百目「うん、だモン!」
夢子「鬼太郎さん、気をつけてね」
シーサー「鬼太郎さん、ボクもお供します」
鬼太郎「ありがとう! さあ出発だ!!」
ねずみ男「(ど~すっかなぁ。面倒ごとには関わりたくないけど、百目のガキに恩を売っときゃ
 後々いいことありそうだし…しかし、夢子ちゃんと二人っきりで留守番も捨て難いしムム~)」
夢子「きゃあっ 鬼太郎さん!!」

鬼太郎が妖怪オカリナを吹いて仲間の一反木綿を呼ぼうとしたその時、
ゲゲゲハウスの出窓から複数の黒い影が飛び出し、鬼太郎の首に絡みついた。
それは蠢く蛇に変化し、ギリギリと首を締め上げながら鬼太郎の体を家の中まで
引き摺り上げていく。

鬼太郎「うう…お、お前は二口女!!」
二口女「ほほほほほ…鬼太郎…見えない学校へは行かさぬぞえ」
目玉親父「お前が何故!? ま、まさかこの一件にあいつがかんでおるのか!」
鬼太郎「うっ…く、ぬらりひょんめ…!」

夢子「鬼太郎さん!!」
シーサー「このぉ~ボクが相手だ、鬼太郎さんを離せ!」
百目「幽子ちゃん、照魔鏡で…!」
幽子「はい!」

シーサーが二口女に飛び掛ろうとしたが、突然宙から降って来た巨大な物体に
のしかかられて地面に叩きつけられてしまった。そして木々の茂みから、
邪悪な笑いを浮かべる老婆が姿を現す。

幽子「きゃあああ!?」
百目「おっかないお婆さんが出て来たモン~~っ」

蛇骨婆ァ「ひひひひ。そ~はいかんわい。やれい、たんたん坊!」
たんたん坊「ぐははははは…小僧、邪魔はさせんぞ」
目玉親父「む、お前は蛇骨婆ァ! 地獄の針の山に棲むお前が、何故ここに!
 閻魔大王の怒りに触れてもよいのか!?」
蛇骨婆ァ「ふん。地獄を支配なさるお方は唯一人、それはムラクモの剣を持つ方だけじゃわい」
目玉親父「何じゃと? ムラクモの剣はあの時確かに…!」
蛇骨婆ァ「我らの使命は妖怪皇帝陛下の最大の邪魔者、鬼太郎を抹殺すること…
 そっちの餓鬼どもはお前さんに任せたよ。ひひひひひ」

怯える百目と幽子の前に、翼を生やした竜と人間が合体したような魔人が立ちはだかる。

百目「ク、クエレブレ!!」
クエレブレ「クククク…十二使徒も残るはお前ら二人だけだ。一人残らず俺様が始末してくれる」
幽子「何…ですって! みんなを、みんなをどうしたの!?」
クエレブレ「さああ~な。まあ心配するな、すぐに会わせてやるよ…覚悟っ!!」

ねずみ男「(ヒィー(((゜Д゜)))ガタガタ  お、俺は関係ないもんねー!)」

431

○百目→鬼太郎を見えない学校に案内しようとするが、クエレブレと戦闘に
○幽子→鬼太郎を見えない学校に案内しようとするが、クエレブレと戦闘に
○又五郎→地獄へ戻る
○鬼太郎→悪魔くん救出を閻魔大王に命じられる。二口女と戦闘
○夢子→百目と幽子をゲゲゲハウスへ連れて行く
○シーサー→鬼太郎を助けようとするが、たんたん坊に阻止される
○ねずみ男→ゲゲゲハウスの裏に隠れて震えている…。
○閻魔大王→鬼太郎に見えない学校の異変調査と悪魔くん救出を命じる。
●蛇骨婆ァ→妖怪を率いて鬼太郎を襲う
●二口女→鬼太郎を襲う
●たんたん坊→シーサーを襲う
●クエレブレ→百目と幽子を狙う      

 

【今回の新規登場】

●蛇骨婆ァ=疱瘡婆ァ(アニメ版ゲゲゲの鬼太郎 地獄編)
地獄の針の山に棲むという妖怪。普段は老婆の姿をしているが、敵に襲いかかる時は
黒い馬のような姿の疱瘡婆に変身する。

●二口女(ゲゲゲの鬼太郎シリーズ)
たんたん坊、かまいたちと共に妖怪城へ子供達を攫い魂を奪っていた三妖怪の一人。
着物姿の美しい女の姿をしているが、頭の裏に凶悪なもう一つの口を持つ。
また長い髪の毛は蛇に変化し敵を捕獲する。

●たんたん坊(ゲゲゲの鬼太郎シリーズ)
二口女、かまいたちと共に妖怪城へ子供達を攫い魂を奪っていた三妖怪の一人。
かまいたちは事件後改心したが、他の二名はぬらりひょん配下の悪妖怪となる。
巨大な顔だけの姿で敵を押し潰し、口から吐く痰は浴びたものを石化してしまう。
ただし「ぬりかべ」など特定の相手には効かないようだ。

●クエレブレ(TVアニメ版悪魔くん)
東嶽大帝に極上の人間の魂を貢物として差し出す役目を担う、上級悪魔。
配下や悪魔以外の種族をも利用して、何度となく悪魔くんを倒そうとするが失敗。
森の妖精ティタニアの身を挺した攻撃で魔力を失い地中深く去って行ったが…。
魔界に伝わる三叉の「破壊の矛」で数々の魔力を操る攻撃を繰り出す。

○ねずみ男(ゲゲゲの鬼太郎シリーズ)
言わずと知れた、鬼太郎親子とは永きに渡る腐れ縁の半妖怪。
ズル賢くて金に目がなく、利益のためならしばしば仲間を裏切る。
武器(?)は「くさい息」と三百年の伝統の味、「おなら」である。
どうしようもないどっちつかずの男だが、実は仲間想いで根は寂しがり屋な
一面があり、これまでに妖怪ムジナ、死神、サソリ女など親兄弟であると
偽り近づいて来た者を本気で信じこんで利用されたことがあった。
美人や美少女に惚れ易く、それが元で悪妖怪に騙されることも多い。

○シーサー(ゲゲゲの鬼太郎シリーズ)
沖縄の守り神、シーサーの息子で二代目。沖縄妖怪キジムナーが鬼太郎に
助けを求めた事件で知り合い、鬼太郎の弟子を志願して日本へやって来た。
そのままゲゲゲハウスに居つき鬼太郎ファミリーの一員となる。体を高速回転
させてドリルのように地中を堀り進んだり、牙で噛み付いたりするのが得意技。
半人前であることを気にして、影で特訓を重ねる努力家でもある。

○閻魔大王(ゲゲゲの鬼太郎、悪魔くん、ドラゴンボール他)
地獄界を治める王。亡者達に恐れられる存在である一方で、霊界関係者には
公平な裁きと時に温情もある計らいをすることで人望が厚い。
鬼太郎にとっては命令に逆らえない厳格な上司のようであり、度々助言を与える
良き理解者でもある。悪魔くんには誤解から攻撃をしかけたこともあったが後に和解。
地球人や妖怪なみならず、数々の悪名を馳せた凶悪宇宙人をもしっかり地獄行きに
しているところからもその実力が伺える。 


『絆は種族を超えて…』-4

作者・シャドームーン

432

***ゲゲゲハウス***


二口女「ほほほ苦しいかえ鬼太郎…我が怨み、お前の血肉を味わう
 ことで少しは癒されようぞ……さあああ~~参れ!」

二口女がクルリと背中を向け、後頭部の髪の奥から第二の口が姿を現す。
獲物を待ち受ける食虫花のように、その大口は「グワーッ」と大きく開き、
無数に蠢く蛇の髪が鬼太郎の体をそこへ引き寄せようと躍動している。

鬼太郎「ぐう~っ! そ…そうはいくか、くらえ!!」

鬼太郎はどんどん強くなる髪の締め付ける力に意識が遠のきかけていたが、
気力と妖力を振り絞って「毛針」の連射をクレーターのような大口に叩き込んだ。

二口女「ギャ、ギャエエエエー!!」
鬼太郎「げほ…っ 体内電気、発電ーッ!」

激痛に喘ぎながら尚も、二口女の髪は鬼太郎の全身に絡んで離れようとしない。
ならばと彼は体内の発電器官に蓄えた電気を一気に放出した。
体中から迸る電光が、バリバリバリと音を立ててハウス内を青白く照らし出した。
強烈な電撃で焼き切られた蛇の毛髪は、半ば炭化しながらボロボロと崩れて行く。
両目や後頭部の大口から煙を上げて、二口女はよろめきながら部屋の入り口に
寄り掛かり、そのまま下へ転落して霊魂が飛び散るように消滅してしまった。

蛇骨婆ァ「うぬ、鬼太郎め! たんたん坊、何をしとるっ」
たんたん坊「カーッ よくも二口女を…俺様が叩き潰してやる!!」
目玉親父「鬼太郎、急いで仲間を呼ぶんじゃ!」
鬼太郎「はい!」
ねずみ男「そ~~っ……と…て、おわーっ!?」

鬼太郎が懐から妖怪オカリナを取り出し、仲間妖怪を呼ぶメロディーを吹く。
そうはさせじと、シーサーを押し潰していたたんたん坊が、ハウスごと鬼太郎を仕留め
ようと全体重を乗せて襲いかかった。ハウスは無惨にも潰され木片が砕け飛んだが、
鬼太郎は間一髪外に飛び出し、近くの木の枝に着地する。そして枝の反動でジャンプし、
リモコン下駄を両足から弾丸のように飛ばした。鈍重な巨顔妖怪は攻撃直後に向かって
来たこれを躱せず、弱点である両目玉に下駄がメリ込むように命中した。

たんたん坊「ぐ! ぐわわわ、これはたまらん!!」
鬼太郎「これでもか!」

ダメ押しとばかりにオカリナを鞭に変化させ、たんたん坊に追撃をお見舞いする鬼太郎。
往復鞭ビンタを食らったたんたん坊は、浴びた対象を石化させる痰を滅茶苦茶に吐き出し、
地中へ潜るように消滅した。最後っ屁に放たれた痰が周囲に乱れ飛ぶ。

433

夢子「きゃああああ!?」
ねずみ男「あ、夢子ちゃーん…げぇっ!」
鬼太郎「夢子ちゃん!! くそっ、間に合わない!!」

ほとんど反射的に夢子を庇おうと飛び出したねずみ男だが、すでに痰は目の前に
迫っていた。だが突如、地響きと共に地面から巨大な壁が出現して二人を守る。
たんたん坊が吐き出した痰は、その壁に命中したがすぐに蒸発して消えた。

ぬりかべ「ぬ~りかべ~~!」
夢子「ぬりかべさん!」
鬼太郎「ぬりかべ、来てくれたのかっ!」
ねずみ男「おせーんだよこのデクの壁! 他の連中も何やってやがる?
 特にあのオタフク猫はあああ!? たく、肝心な時に役に立たんやっちゃ!」
猫娘「……誰がオタフク猫だって? ねずみ男ー!!」
ねずみ男「ぎょぎょっ!! そ、その声は……ギ、ギャアアアアース!!」

空中から飛び下りて来た猫娘は、凄い形相でねずみ男を自慢の爪で引っ掻き倒すと、
やがて普段の顔に戻って鬼太郎と夢子に「ニャン♪」とウィンクして見せた。
空には一反木綿が砂かけばばあ、子泣きじじいを乗せて待機している。

蛇骨婆ァ「ケッ、人間に味方する愚かな妖怪共が揃いおったか」
一反「ほ~い鬼太郎どん、お待たせ」
鬼太郎「猫娘! それにみんなも!」
猫娘「話はあとあと。鬼太郎、夢子ちゃんはあたしに任せて!」
砂かけ「鬼太郎、わしらが援護するから蛇骨婆ァを倒すのじゃ!」
目玉親父「敵は妖怪だけではない、魔界からも使者が来ておるんじゃ!」
子泣き「なんとあやつは…クエレブレか! 手強い奴が敵に回ったのう」

今まさに百目と幽子を討ち取ろうとしていたクエレブレは、竜と鳥が合体したかのような
嘴のある顎に親指を付けながら冷酷な眼差しで鬼太郎ファミリーを見つめた。

クエレブレ「(あれが鬼太郎か…なるほど、噂通りの手強さだ。
 悪魔くんとソロモンの笛を押さえ見えない学校が動けぬ今……
 奴は東嶽大帝様にとって最大の邪魔者…やはり生かしてはおけぬ!)
 だが今は、憎っくき十二使徒の残りカスを駆除しておかんとなあ~!!」
百目「う~…モンモンモン、モーーーン!!」
クエレブレ「ぬうっ!?」

視線を外した一瞬を見逃さず、百目は百の目玉から幻惑フラッシュを放つ。
しかしクエレブレはやや怯んだのみで、すぐに体勢を起して矛を正面で回転し始め、
禍々しく猛り狂う黒い魔界の炎を呼び出し二人を焼き殺そうとする。
すかさず今度は幽子が百目を庇い、照魔鏡で黒炎を吸収して反射させた。

クエレブレ「…虫ケラの分際で、小癪な真似をーーッ!!」
幽子「きゃあーーっ!」
豆幽霊「ゆ~こちゃん~~っ!」
百目「幽子ちゃん…うわぁ~っ!」
夢子「百目ちゃん、幽子ちゃん!!」
鬼太郎「やめろーっ! クエレブレ、僕が相手だっ!!」
子泣き「鬼太郎、こいつはわしに任せておけい」
クエレブレ「面白い、来るか妖怪共!!」

434

“破壊の矛”から放たれた強力な第二撃を受け止め損ね、幽子は支えようとした百目
ごと吹っ飛ばされてしまう。夢子と猫娘がすぐに二人に駆け寄り、同時に子泣きじじいが
石化体当たりでクエレブレに挑みかかったが、返す刃で弾き返された。
それを見たぬりかべが、敵を塗り固めるコテを両手に構えてクエレブレに突進する。

クエレブレ「無駄だっ!!」

クエレブレが矛を地面に突き立てた途端、ぬりかべの足元目掛けて大地に亀裂が走り、
彼は地割れに呑まれてひっくり返されてしまった。

クエレブレ「グァッハッハッハ、どうだ俺様の力を思い知ったか!」
ぬりかべ「ぬ…、ぬりかべ~」
子泣き「奴の持つ矛を何とかせねば…!」
鬼太郎「みんな…よくも!!」
目玉親父「待つんじゃ鬼太郎! 奴の力は未知数じゃ、闇雲に挑んでも二の舞じゃぞ!」
鬼太郎「でも父さん! このままじゃ百目と幽子ちゃんまで…!」
蛇骨婆ァ「…クエレブレめ、派手に立ち回りおって。じゃが鬼太郎、加勢はさせぬぞ」
鬼太郎「!!」

蛇骨婆ァが不気味な笑いを湛えて鬼太郎に迫ろうとする。
だが、すかさず砂かけばばあと一反木綿が行く手に立ちはだかった。

砂かけ「そうはいかんぞよ!」
一反「そうばい。ここから先はおいどん達が一歩も通さんけん!」
蛇骨婆ァ「やれるもんならやってみい…グワアアァ―ッ!!!」

蛇骨婆ァは奇声を張り上げ、その姿を一ツ目の黒い馬のような獣へと変える。
本性である「疱瘡婆ァ」が嘶きと共に地面を蹴って駆け出した。
素早い動きで砂かけと一反を蹴散らしながら、瞬く間に鬼太郎との間合いを詰め、
涎に塗れた邪悪な牙がビッシリ並ぶ顎で喰らい付きにかかる。
鬼太郎は咄嗟に鞭を伸縮自在の妖怪剣に変化させ、これを防いだ。

疱瘡婆ァ「ギシャアアア!! いつまでもつかのう、鬼太郎…」
鬼太郎「くっ、しまった…!!」
クエレブレ「ほう、あのババアめ奥の手を用意していたのか。…では俺は俺の仕事を
 さっさと片づけてしまわんとな。さあ雑魚共、もう後がないぞククククク」

クエレブレが厭らしく笑いながら、猫娘と夢子、百目と幽子にゆっくり迫る。
猫娘が普通の女の子らしい顔から化け猫の表情に変化し、激しく身構える。
震える百目達をしっかりと、そして強く抱きしめ夢子はクエレブレを睨み付けた。
後ろにちゃっかりねずみ男も避難して震えている。

猫娘「こンのぉ…! それ以上近寄ったら、引っ掻くよっ!!」
クエレブレ「フハハハハ、ま~だ痛い目に遭いたいと見えるな」

言うが早いか、猫娘は猫目をギラつかしてクエレブレに飛び掛った。
だが彼女の爪は虚しく空を切り、竜魔人の翼の羽ばたきで掃い飛ばされ、
後ろの樹木に風圧で思いきり叩きつけられてしまう。

435

夢子「猫娘さーん!!」
幽子「ああ…っ!」
ねずみ男「あ! ね、猫娘~大丈夫かー!? …この野郎ォ~!」
クエレブレ「無駄な抵抗はそのへんにしとくんだな。さあ…ん?」
ねずみ男「ゆ、夢子ちゃん?」

迫るクエレブレの前に、夢子は両手を広げて三人を庇うように立ち塞がる。
僅かに体は震えていたが、その瞳には強い意志がはっきりと表れていた。

クエレブレ「どけい小娘。さもないと……」
夢子「…嫌よ! 貴方なんかに、絶対みんなは殺させない!!」
幽子「夢子さん…」
百目「夢子ちゃん…」
クエレブレ「よかろう…ならばそいつらと一緒に死ぬがいい!!」
鬼太郎「夢子ちゃん、みんな!!」
ねずみ男「~~~~~~っ…もぉー許さねえっ!! 大事な夢子ちゃんを
 殺されてたまるかってンだ!! 食らいやがれ、三百年の伝統のこの味っ!!!」

クエレブレが矛に魔力を漲らせて振り上げた瞬間、ねずみ男が破れかぶれと
ばかりに踊り出て奴に掴み掛かかり、十八番のくさい息とおならを続け様に
炸裂させた。眼中にすらなかった存在の思わぬ攻撃に、クエレブレは怯んだ。

クエレブレ「ぬがァ~っ!? な、なんだこの臭いは…ゲハ、グハ、たまらん~~っ」
夢子「ねずみ男さん…!」
百目「おじちゃん、凄いモン!!」
ねずみ男「さ、今のうちに!」
クエレブレ「グゥ~~っ…おのれ、逃がすかァッ!!」

激怒したクエレブレが、破壊の矛を夢子達目掛けて投げ付けた。
その一撃は驚いたねずみ男が三人に被さるように倒れ込んだおかげで
的は外れたが、魔力を持つ矛はブーメランのような軌跡を描いて再び
主の手に戻る。恐る恐る顔を上げたねずみ男の眼前に、怒髪天を突く
竜魔人が怒りを湛えた烈火のような目で見下ろしていた。

クエレブレ「この無礼者の半妖怪めがァ~…雑魚と思い侮ったか!
 許せん…貴様から先に八つ裂きにしてくれるわ!!」
ねずみ男「ひ、ひええええええ!? 鬼太郎、お助けぇ~~っ!」
シーサー「とりゃーーーーッ!!」
クエレブレ「―ッ!?」

――その時、腰が抜けてへたり込むねずみ男の目の前を、地面を突き破って
飛び出した影が上昇して行った。ドリルのように回転しながら上昇するその影は、
振り下ろされかかっていた破壊の矛を砕き折り、さらに貫きながら上昇を続けて、
なんとか上体を反らしたクエレブレの鱗状の胸板を掠めて切り裂いた。
紫色の血液が傷口から飛び散り、足下の草木を染めて行く。

クエレブレ「うぐっ、な…なんだと…!!」
百目「や、やったモン!」
夢子「シーサー、無事だったのねっ!」
ねずみ男「シシシシ、シーサーお前…うへへへ、助かったあ~フハッ」
シーサー「たんたん坊に潰されたように見せかけて地面を掘ってたんです。
 でもクエレブレには隙がなくて…ねずみ男さんのおかげですよ」
ねずみ男「へ? お、俺が…??」
夢子「ありがとう。凄いわ、ねずみ男さん」
猫娘「見直したよ、ねずみ男!」
幽子「ありがとうございます、ねずみ男さん」
百目「おじちゃんカッコ良かったんだモン」
ねずみ男「なな、な~に。ビビビのねずみ男様ならこのくらい当然よぉっ!」

クエレブレ「ギィィィィこの俺がこんなカス共相手に不覚をとるとは…
 ええい蛇骨婆ァ、鬼太郎はまだ始末できんのかァ!?」

436

夢子達の無事に安堵した鬼太郎は、妖怪剣に力を込めて鍔迫り合いを演じる
相手、疱瘡婆ァを見据える。蛇骨婆ァの姿を捨てた黒馬の魔獣は、滝のように涎を
垂らしながら彼をその牙の餌食にしようと、両手で剣を構えている鬼太郎を一気に
押し倒そうと狙っていた。

鬼太郎「このままじゃ僕の妖力が先に尽きてしまう…ようし!」

一瞬、鬼太郎はわざと力を緩め、疱瘡婆ァの力を風に揺れる柳のように逆らわず
受け流した。喰らうことに神経を集中していた魔獣は、自らの勢いで前方に投げ出され
先程破壊されたハウスの残骸に突っ込んでしまう。――が、すぐにそこから飛び出し、
真っ赤に充血した一ツ目を見開き、鬼太郎に再び襲いかかる。

砂かけ「お主の相手は鬼太郎だけではないぞよ! くらえっ」
疱瘡婆ァ「ぐおおお…ッ 目が、目が見えぬ…!!」
砂かけ「鬼太郎、今じゃ!」
鬼太郎「ありがとう、おばば! たあーーーっ!!」

すかさず砂かけが砂を疱瘡婆ァの一ツ目に浴びせ、視界を遮った。
苦しみながら暴れ馬と化した魔獣を妖怪剣が一閃し、頭から真っ二つに切り裂く。

猫娘「やったわ!」
夢子「鬼太郎さん!!」

疱瘡婆ァ「ギャギャギャァァァァーッ …お、の、れ、キ…キ、鬼太郎めええええ!!!」
 
邪気が天へ向かって昇天するかのように、疱瘡婆ァの体は帯状の黒い霧となって
上空へ舞い上がり…やがてそれは空に融けていった。
 
クエレブレ「クッ…不甲斐無い妖怪帝国の刺客共め! …止むを得ん、出直しだ」

疱瘡婆ァの最期を見届けたクエレブレは、今は不利と悟り胸の傷口を押さえながら
呪文を唱えると、足元に出現させた魔法陣の中へ沈んで行く。
 
ねずみ男「にゃろう、逃げる気だぜ!」
幽子「待って! 悪魔くんは…ファウスト博士や他のみんなをどうしたの? 教えて!!」
クエレブレ「クックックック…十二使徒共はまだ死んではいない。もっとも見方によっては“死”よりも
 苦しい目に遭っているのだろうが…ハハハいいザマだ。ソロモンの笛もすでに我々の手中にある。
 ソロモンの笛も無く、見えない学校と協力できぬ悪魔くんなど、もはや問題ではない!!
 だがあの小僧は我々の同志が面白い利用方法を見つけたのでな…今頃は…」
百目「悪魔くんはみんなの希望なんだモン! 絶対に返してもらうモン!!」
クエレブレ「それはどうかな…人間共にとってはこれから“絶望”を齎す存在になるかもしれんぞ?」
鬼太郎「何だって? それはどういう意味だっ!」
クエレブレ「俺の口からはこれ以上言えん。知りたければ自分で確かめるんだなァ…グァハハハハ」
 
不気味な笑い声の残響を森に残し、クエレブレは姿を消した。
戦いが終わった後に残ったのは、破壊されたゲゲゲハウスと鬼太郎達の勝利を称える
カエル達の合唱のみであった。みんなは暫しその場に立ち尽くし、これから起きるであろう
妖怪、悪魔、人間を巻き込んだ大きな嵐の予感に言葉を失っていた―――…
 

◇    ◇



夢子「鬼太郎さんのお家、壊されちゃったわね……」
目玉親父「なぁに元々手作りの小さい家じゃからのう。みんなが手伝ってくれれば、
 すぐにまた元に戻るじゃろうて」
砂かけ「そうじゃとも。こんな時のために、妖怪アパートの家賃を滞納しておる連中
 も追い出さずにいるのじゃから…のー? ねずみ男!!」
ねずみ男「ぎょぎょぎょっ! ば、ばあさんそんな大声で言うこたぁねえだろよ!」
子泣き「誰もお主が払うとは思っておらんわい! タダで住んどるぶん、しっかり働け!」
猫娘「そうよ、あんたはほとんどゲゲゲハウスの寄生虫だったんだから! 文句あんの!?」
ねずみ男「ひぃっ! わーったわーった、やりますヨ…やりゃあいいんでしょートホホ…」
一反「そうばい、ねずみ男はこんな時でないと日頃の償いができんとよ」
ぬりかべ「ぬりかべ修繕工事は得意、手伝う」
百目「ビビビのねずみ男先生なら大丈夫だモン♪ あ、ヨイショぉっ♪なんだモン!」
幽子「クスクスクス…百目ちゃん、こうもり猫さんみたい」
夢子「私も手伝う! 鬼太郎さん、安心して幽子ちゃん達の力になってあげてね」
鬼太郎「…うん。ありがとう、夢子ちゃん」

437 

鬼太郎「さあ行こうか、みんな」
幽子「はい!」
百目「うん、だモン!」
シーサー「見えない学校ってどんなとこなんでしょうねぇ、わくわくするなあ」
目玉親父「こりゃシーサー、遠足に行くんじゃないぞ」
シーサー「エヘヘ…ごめんなさい」
百目「いつもは悪魔くんと魔界トンネルを通ってすぐに行けるんだモン…」
幽子「仕方がないわ。みんなの無事を祈りたいけど、クエレブレの言う通りなら何か
 あったのは間違いないもの…霊界から魔界に抜けて、見えない学校へ急ぎましょう」
目玉親父「わしらも霊界や地獄には行き来しとるが、魔界はそんなに詳しくないのう」
一反「おいどん、何か寒気がしてきたばい…」

一反木綿に4人が乗ろうとした時、幽子の髪の毛が逆立ち、鬼太郎の妖怪アンテナも
僅かに立ち上がる。妖気や霊波など、特殊な信号を感じ取れる二人の反応に一同が
騒然とする。木材を片していたねずみ男が真っ先に青ざめて飛び上がった。

ねずみ男「何だ何だ何だー! オイ、さっきの奴が戻って来たんじゃねーだろうな!?」
鬼太郎「いや…それにしては弱い。まるで今にも燃え尽きてしまいそうな…」
幽子「悪魔じゃないわ…これは…まさか、見えない学校から?」
百目「幽子ちゃん、あれ!!」

ゲゲゲの森の中に、異世界への扉と思しき入り口がボンヤリと開いていく。
それは蜃気楼のように波うって揺れながら、弱々しくもなんとか形を保とうとしていた……

ねずみ男「ウゲー! 何だい、あの薄気味悪い門みたいなのは…」
幽子「あれは見えない学校がある魔界と、人間界を繋ぐ魔界トンネル! どうしてここに…?」
百目「向こうに誰かいないと、こっちに転送できないはずだモン!?」
猫娘「じゃあみんな無事なんじゃ…!」
幽子「いいえ。これ…見えない学校が直接わたし達を呼んでるみたい…」
鬼太郎「見えない学校が…?」
百目「見えない学校の“生命玉”はまだ生きてるってことだモン!」
幽子「…大変! どんどん弱くなってる…見えない学校、何があったの…?」
夢子「鬼太郎さん、入り口が!」

鬼太郎「いけない! とにかく急ごう!!」

夢子「みんな気をつけて…きっと無事に戻って来てね」
猫娘「なーに、あたしが付いてるよ! 鬼太郎、やっぱり一緒にいくわ」
ねずみ男「(お、こりゃ結構! イヒヒヒ…五月蝿いのがいなくなる)」
猫娘「ねずみ男! サボッてたりしたら承知しないぞっ!」
ねずみ男「わ、分かってますってばっ!」
砂かけ「鬼太郎、わしらも後から夜行さんを探して応援にいくぞ!
 魔界まで行ければ、わしの妖怪玉で足取りを追えるしな」
子泣き「妖怪発明家の夜行さんなら、魔界にも詳しいからのう」

夢子達に見送られ、鬼太郎・百目・幽子・猫娘・シーサー・一反木綿と
目玉の親父は、魔界トンネルを抜けて「見えない学校」を目指し出発した。
果たして彼らを待ち受けるのは何であろうか……。

438
◇    ◇


魔界トンネルが消えた後、ゲゲゲの森の入り口付近に立っている男が二人いた。
一人は長髪で顔に傷がある黒いスーツ姿、もう一人はポマードでオールバックに固めた
髪型をしており白いタキシードを来て葉巻を加えている。

左京「フッ…予想通りというべきか。彼らは見事第一関門を突破したようだ」
ロソン「フフフ…今回は貴方の勝ちですな、ミスター左京。」
左京「こういっては失礼だが、ロソン会長。あの妖怪達や悪魔ではまず
 彼らには勝てないだろうと思っていたのでね…」
ロソン「ほほう、その根拠は?」
左京「――…似ているからさ。あの鬼太郎という少年や、悪魔くんの少年の仲間達…
 私が知っている、どこまでも真っ直ぐで強運な連中に……。
 彼らは自己の利益より、仲間とやらのために本気で命を駆けてくる。
 そして、オレのような“脳の腐っている”人間には及びもつかない幸運を呼ぶのさ…」
ロソン「ハハハハ! これはB・B・Cのミスター左京とは思えない発言ですな。
 首縊島での大まかな経緯は存じておりますが、一体何が貴方を変えたのやら」

左京「変わってなどいないさ。オレの…この腐った生き方は死んでも変えられはしない。
 現に私は、この歪み、壊れていく世界に誰よりも喜びと興奮を感じているのだから」

ロソン「なァに貴方の目的であった、境界トンネルを開くこと以上に面白いことが起きますよ。
 我々の力でね…。いやすでに、この世界はとっくに正常な形など失くし始めてますがね…
 ミスター左京。一度死んだ貴方が、こうして人間界で、それも妖怪帝国に協力して
 人間界と霊界にさらなる混乱と破滅を招来しようとしているのですから…」
左京「フッ、それは貴方も同じではないかなロソン会長?」
ロソン「…ま、その件はそこまでとしましょう。それより霊界探偵が何人か、貴方の行方を
 追っているようですし、そっちは我々で始末しておきましょう。今日の会食には各界の
 要人をお招きしておりますが、妖怪帝国との交渉に外せない貴方を皆歓迎しますよフフ…」
左京「助かります、ロソン会長。まだ…霊界に戻されるわけにはいかないのでね」
リリス「会長、お迎えに上がりました。左京様どうぞこちらへ…」
左京「…ありがとう」
ロソン「くれぐれも失礼のないようにお連れしろ(チッ、この女…いけしゃあしゃあと)」
リリス「心得ております、ロソン会長(………)」

ロソン「……フン、人間め」

439

○鬼太郎→二口女、たんたん坊、蛇骨婆ァを倒して見えない学校へ。
○百目→鬼太郎と共に見えない学校へ。
○幽子→鬼太郎と共に見えない学校へ。
○猫娘→鬼太郎の応援に懸け付け、見えない学校へ同行する。
○一反木綿→鬼太郎の応援に懸け付け、見えない学校へ同行する。
○ぬりかべ→鬼太郎の応援に懸け付ける。
○砂かけばばあ→鬼太郎の応援に懸け付ける。
○子泣きじじい→鬼太郎の応援に懸け付ける。
○シーサー→クエレブレを撤退させ、見えない学校へ同行する。
○夢子→皆の無事を祈りながらゲゲゲハウスに残る。
○ねずみ男→壊れたゲゲゲハウスを修理中。
●蛇骨婆ァ→鬼太郎に倒される。
●二口女→鬼太郎に倒される。
●たんたん坊→鬼太郎に倒される。
●クエレブレ→負傷して撤退。
●左京→ロソンと鬼太郎達の勝敗について賭けをしていた。
●ロソン→左京をロソンコンツェルンの裏会食パーティに招く。
●リリス→左京を護衛しながら本社へ連れて行く。 

 

【今回の新規登場】
○猫娘(ゲゲゲの鬼太郎シリーズ)
鬼太郎の仲間妖怪でガールフレンドのような存在。頭の大きなリボンがチャームポイント。
一見すると普通の女の子だが、ネズミや魚を見ると化け猫の表情に変身してしまう。
ねずみ男とはとことん折り合いが悪いが、ケンカ友達のような間柄でもある。
鬼太郎と仲の良い夢子にはしっかり対抗意識を燃やすが、それ以外ではとても仲が良く
一緒に絵描き遊びをしたり、シーサーを連れて銭湯に行ったりと良き友人同士である。

○一反木綿(ゲゲゲの鬼太郎シリーズ)
鬼太郎の仲間妖怪で移動手段及び空中戦には欠かせない存在。
九州出身の反物妖怪で博多弁を喋る。布状の体を生かして敵に巻き付いたり、
刃物のような鋭さを持つ側面で急降下して斬り付ける。例えバラバラにされても、
水分を含むと元通りになる。トンビやカラスとも大の仲良しである。

○ぬりかべ(ゲゲゲの鬼太郎シリーズ)
鬼太郎の仲間妖怪で、はんぺんのような柔らかさからコンクリート並の固さまで変化
させられる体を持ち、壁板に手足が生えたような姿をしている。また手の平サイズから
見上げる程の巨体まで、体の大きさを自在に操れる。敵を自分の体に塗り込めたり、
柔らかい液状コンクリートのような壁の表面を飛ばしてぶつけるのが得意技。
怪力で地中を移動でき、火にも強く、文字通り壁となって仲間達を守る。

○砂かけばばあ(ゲゲゲの鬼太郎シリーズ)
鬼太郎の仲間妖怪で、母親代わり。閑静な竹藪に住み、行き場のない妖怪達
のために「妖怪アパート」を経営している。砂を投げ付けたり、マシンガンのように連射
して戦う他、妖力の全てを使い敵を道連れにする大技「大砂塵」が使える。
また古の知識にも長け、妖怪玉の力で離れた場所にいる仲間を探したり、数種の薬草
やエキスを調合して妖怪に姿を変えられた鬼太郎のピンチを度々救っている。

○子泣きじじい(ゲゲゲの鬼太郎シリーズ)
鬼太郎の仲間妖怪で、砂かけばばあと共に知恵袋的な存在。
赤子のような泣き声で藪の中や物陰に潜み、近づいて来た敵に突然おぶさり
どんどん重くなる自重で押し潰す。また石化することで敵の物理攻撃をある程度
無効化し、その状態で体当たりすることができる。将棋好きでよく鬼太郎や他の
妖怪達と対局するのが楽しみ。酒に目がなく酔い潰れて術中にはまることも。

●ロソン(TVアニメ版悪魔くん)
世界各地にグループを持つ巨大企業ロソンコンツェルンの会長。経済界に君臨しているが
それは表の顔で、正体は東嶽大帝の部下であり古代インドの黒悪魔バラモン。
闇世界のVIP達とも繋がりがあり、世界各地の戦争や紛争の影に黒悪魔達を送り込み
莫大な利益を得ており、「貧民の血を吸って生きている男」と呼ばれている。
霊魂爆弾で日本全土を焦土に変えようとするなど、魔力は非常に高いが度量は小さい小心者。
悪魔くん達に敗北した途端、掌を返すように寝返ろうとしたため秘書のリリスに口封じされた。
人間の姿でいる時は、頭にポマードをこってり着けた背広姿の中年男性。

●リリス(TVアニメ版悪魔くん)
ロソン会長の秘書。しかしそれは仮の姿で、正体は東嶽大帝の123番目の娘。
信用の薄いロソンの監視役であり、裏切ったロソンをその場で始末した。
父親の命に忠実だったが、結局は実の娘である彼女すら東嶽大帝は使い捨てとしか
思っておらず、利用されただけの哀れな最期を遂げる。
戦闘には魔界の大型魔獣を召喚できる呪布カードを用いる。

●左京(幽☆遊☆白書)
妖怪を利用して暗躍する闇世界のVIP達が集うB・B・C(ブラック・ブック・クラブ)のメンバー。
そのビッグイベント暗黒武術会に浦飯幽助らをゲストに招き、生死を賭けた死闘をさせる。
戸愚呂兄弟を使い台頭する他のメンバーを破滅させ、また自分を危険視して排除に動く
暗黒武術会の有力者達を始末して来た。大会での賞金を元に人間界と魔界を繋ぐ境界
トンネルを開こうとしたが、自分の命を勝利に賭けていた戸愚呂弟が敗れたため、約束を守る
形で闘技場の自爆と運命を共にする。自分が生まれつきの人格破綻者であると自覚しており、
それを自虐的に語る一面がある。霊界がリストアップした普通の人間の中で、「黄泉帰り」の
危険人物リストの上位にランクされており霊界探偵から追われている。 


『勇気と友情の必殺パンチ』-1

作者・ユガミ博士

440

***高見沢グループ本社・社長室***

ここ、高見沢グループ本社の社長室では社長の高見沢逸郎が椅子に腰を
掛けて、ヒーロー抹殺計画について少し、考えていた。計画を実行した
ものの失敗続きで、その辺で騒ぎを起こしていればヒーローが駆けつけて
くると思い、芝浦と東條に街中でワームを使って暴れさせたが、ヒーローは
現れなかった。

高見沢「(やはり、ピンポイントでヒーローを狙っていくしかないか・・・。)」

高見沢をそんな事を考えながら、ふと気分を変えようと何気なくテレビを
つけた。テレビをつけるとニュース番組が放送されていた。

ニュースキャスター『続いてスポーツの話題です。ボクシングチャンピオン
 の小津翼選手のタイトル防衛戦が残り一週間となりました。対戦相手は
 現在、人気急上昇中の将児選手で、注目の話題となっております。』

ニュースに2人の選手の顔が出ると、高見沢は思い出した。

高見沢「この2人、ゴーマとインフェルシアの連中が言っていた『マジ
 レンジャー』と『ダイレンジャー』じゃねぇか。」

そこで高見沢は閃いた。

高見沢「そうだ、次のターゲットはこいつらだ!。・・・芝浦か?、
 高見沢だ。すぐにゴーマとインフェルシアの連中に連絡は取れるか?。」

高見沢はそう決めると、電話で芝浦淳にゴーマとインフェルシアに連絡を
取るよう命令した。

441

***高見沢グループ本社・社長室***

それから2日後、高見沢の目の前にはゴーマの3幹部、シャダム、ガラ、
ザイドスとインフェルシアの冥府神の1人、ダゴンと魔導神官メーミィがいた。
詳しく言うと、シャダムとダゴンが椅子に座り、その後ろにガラ、ザイドス、
メーミィが後ろに控え、高見沢の方は高見沢が椅子に座り、その後ろに芝浦が
後ろに控えているという構図である。

ダゴン「我々を呼んだ雌雄を聞かせてもらおう。」

最初に口を開いたのはダゴンだった。

高見沢「単刀直入に言おう。貴方方に協力を要請する。」
シャダム「協力・・・?。」
高見沢「この新聞を読んでくれ。」

高見沢が渡した新聞には小津翼と将児の試合の記事が掲載されていた。

メーミィ「こ、こいつはマジイエロー!。」
ザイドス「テンマレンジャーもいるぞ!!。」

記事を覗き込んだメーミィとザイドスが驚きの声を上げた。

高見沢「この2人はそれぞれ貴方方にとって、復讐をしたい奴等だ。
 Gショッカーの力を世間に見せ付ける意味を含めてここは協力して
 倒そうじゃありませんか?。」

高見沢は柔らかい物言いで提案した。

シャダム「せっかくの提案だが、協力は無しだ。」
ダゴン「私もだ。貴様と我が主である絶対神ン・マ、そしてこちらのシャダム
 は世紀王候補。何れは、創生王の座をかけて争う敵同士だ。何故、手を組ま
 なければならない。」
ザイドス「そうだ、こんな2人なんぞ、我々ゴーマだけで十分だ。」
メーミィ「それはこちらの台詞よ。インフェルシアの力を持ってすれば造作も
  ない事よ。」

それぞれ、高見沢の提案に否定的な意見を出した。そして、高見沢はリモコン
で社長室のカーテンを閉めた。

高見沢「さっきから聞いてれば、何を言っているんだ?。」

ドン!

急に口調が変わり、テーブルに足を踏みつけてシャダム達を睨み付けた。
その様はまるでヤクザのようであった。

高見沢「自分達だけで十分?、自分達だけでやっていたら奴等に負けたん
 じゃないのかい。」
メーミィ「そ、それは・・・(何なのコイツ!?、只の人間の癖に何という
  迫力なの。)」
ダゴン「(本当に人間か?。)」

その豹変ぶりと迫力に少々、驚いた。

高見沢「確かに俺達は何れ、争う運命だ。だが、ヒーローという邪魔者が
 いたんじゃぁ、バトルファイトも円滑に進める事ができねぇ。
 せっかくGショッカーていう、色んな組織が連合を組んでいるんだ。
 まずは協力してヒーローを潰していった方が利口じゃないのかい?。」

高見沢の熱弁にシャダムやダゴンをしばらく考えた。

ガラ「どうするシャダム?。」
シャダム「・・・よく分かった。貴様の提案を受け入れよう。」
ダゴン「私も、貴様の提案を受け入れよう。だが、バトルファイトでは
 必ず貴様を倒す。」
高見沢「ニッ。」

2人の提案の受け入れに対して、高見沢は笑みを浮かべてカーテンを開けた。

高見沢「それでは交渉成立ですな。」

高見沢は柔らかい物腰に変わり、ゴーマとインフェルシアと手を組むのであった。

442

○小津翼→将児と1週間後にボクシングの試合をする。
○将児→小津翼と1週間後にボクシングの試合をする。
●高見沢→ゴーマ、インフェルシアに共同作戦を提案して、協力を得る。
●シャダム、ガラ、ザイドス→高見沢に協力を承諾する。
●ダゴン、メーミィ→高見沢に協力を承諾する。

【今回の新登場】
○小津翼=マジイエロー(魔法戦隊マジレンジャー)
マジイエローに変身する小津家の次男。冷静沈着で、現実的に物事を見るタイプ。
魔法薬の調合ややアイテムを作り出す作成を得意としている。
雷のエレメントの力を使って戦う。インフェルシアとの戦いの後はボクサーとなり、
ボクシングチャンピオンとなる。

○天重星将児=テンマレンジャー(五星戦隊ダイレンジャー)
テンマレンジャーに変身するダイレンジャーの1人。天馬拳の使い手。
元暴走族だが、ボクシングと出会った事で更生。プロのボクサーを目指している。
一本気な性格の持ち主。

●シャダム中佐=ゴーマ16世(五星戦隊ダイレンジャー)
ゴーマ3幹部のリーダー格である冷血な人物。吼新星コウと阿古丸の父親。
だが、親子としての情は全くない。野心家で導師・嘉挧と皇帝の座を争い、
ゴーマ16世となる。本人も知らなかったが、実は土人形である。

●ガラ中佐(五星戦隊ダイレンジャー)
ゴーマ3幹部の一人。元々はダイ族でクジャクの幼なじみだったが、ある事故
の際クジャクをかばって自らの顔が傷付く。その後、クジャクはガラの傷を
治すために孔雀明王の元へ修行に行ったが、突然姿を消したために、ガラは
クジャクに見捨てられたと誤解、頬の傷を消してもらえるならと自らゴーマへ魂を売った。
高慢さはシャダムに負けず劣らずだが、クジャクへの復讐に拘っているため、野心はあまり無い。
実は土人形。

●ザイドス少佐(五星戦隊ダイレンジャー)
ゴーマ3幹部の1人。頭部は頭巾で隠しているが、火山を持っている。パワー系の
武闘派で、性格は非常だが、やや間抜けな所がある。出世欲が強く、時々、
スタンドプレーにはしることがある。実は土人形。

●ダゴン(魔法戦隊マジレンジャー)
冥府十神の内、三賢神の1柱で実質的なリーダー格。魚の頭部をしている
のが特徴。厳格な性格で、その強さは地上界をこの世で起こりうる様々な
恐怖を生み出すことが出来ると言われる。策士としても優れている。
武器は粛清の矛。

●魔導神官メーミィ(魔法戦隊マジレンジャー)
インフェルシアの幹部の1人。その正体は天空聖者ライジェルで、かつては
ブレイジェルの弟子の1人。その高い魔力で冥獣人の封印を解くことが出来る。
15年前、サンジェルとの戦いでミイラとなって封印されていた。頭脳派で策士。
なぜかオカマ口調で話す。 


『勇気と友情の必殺パンチ』-2

作者・ユガミ博士

443

***青空町・コスモス荘***

さて、高見沢がゴーマ、インフェルシアと手を結んだその頃、ここ神奈川県
青空町にあるアパート・コスモス荘。一見、ごく普通のアパートに見えるが、
そこの住人は普通ではなかった。かつて銀河連邦警察で行われた次期パワード
スーツ採用試験の折、パワードスーツを開発したオタンコナス社とエメラルドカンパニーのモニターと仮釈放したA級宇宙犯罪者がお互いの正体を知らないまま、
共同生活していた場所である。その後、お互いの正体が知られた現在は、
銀河連邦警察所属の地球署(正確に言えば、デカベースを警視庁とするならば
コスモス荘は神奈川県警にあたる。)として、普段は一般人にその正体を隠し
ているが、一度、宇宙犯罪者が現れれば事件を解決するというわけである。
そして、そのコスモス荘の住人の1人にして、エメラルドカンパニー製パワードスーツ
の装着者ネルロイドガールこと野菊朝香は今、手にしているチケットを自分の
好きな人・桜咲鈴雄に渡すか渡すまいか悩んでいた。

朝香「…(落ち着け、落ち着け~私。友達と行く筈だったけど、友達が行けれ
 なくなったから、暇そうなアイツを仕方なく、仕方なく誘うんだからな。
 デートじゃねぇからな。)」

とまぁ、自分に言い聞かせてはいるが、要はデートの申し込みをしようと
しているわけである。この前、友達から今度の日曜日に行われる小津翼と
将児のボクシングの試合のチケットが手に入り、その友達と行く筈だった
が、その友達が用事で行けなくなったのである。それで別の奴を誘うかと
思った時に、鈴雄の事を思い出したのだが、妙に意識しだしてしまい、今
の状況になったというわけである。

鈴雄「あれ、朝香?、そんな所で何、ブツブツ喋っているの?。」
朝香「ゲッ!、す、鈴雄!!。」

朝香が悩んでいると、悩みの原因である鈴雄が急に背後から声を掛けてきた。

朝香「な、な、何でいるんだよ~。」
鈴雄「え?、これから欲しい雑誌を買いに、本屋へ行く所なんだけど・・・。」
朝香「そ、そうか・・・。」

朝香はビックリしたが、勇気を振り絞って言葉を発した。

朝香「・・・あ、あのよう、鈴雄、こ、今度の日曜日、暇か?。」
鈴雄「今度の日曜日?、えぇと、今の所は予定は無いけれど・・・。」
朝香「そ、そうか、だったら今度の日曜日、一緒にボクシングの試合を
 見にいかねぇか?。」

朝香は鈴雄にチケットを見せた。

鈴雄「ボクシング・・・?。これって、デー「デートじゃねぇからな。」」
朝香「勘違いするなよ。と、友達が用事で行けなくなったから、お、お前が
 ヒマそうだったから、誘うんだからな。」
鈴雄「う、うん。分かったよ。」

デートと言おうとしたら、すごい形相で睨むので思わず鈴雄はたじろいた。

鈴雄「それじゃあ、行くね。」
朝香「お、応!、日曜日な。」

そして、鈴雄は本屋へと向かった。1人残った朝香は「よしっ!」とガッツ
ポーズした後、自分の部屋へと戻っていた。そんな、2人のやり取りを物影
からこっそりと覘いている者がいた。

444

???「朝香のやつ~、ずるい、ずるい。」
???「まぁまぁ、落ち着いて。」
???「あらあら、朝香ちゃん。初々しいわね。」

覘いていたのは、同じくコスモス荘の住人で鈴雄の妹である小鈴、3号室の
住人である梅木瑠璃、2号室の住人である岼根 沙由里の3人であった。

瑠璃「コーチと2人っきりになろうなんて、そうはいかないだからね。」
小鈴「(瑠璃ちゃん、怖い~。)」

瑠璃の目は炎が噴出すのではないかというぐらい燃えていた。

ピエール「お嬢様ー、ただいま戻りました。」
沙由里「たかが、20分で着くスーパーから戻るのに、何、3時間も
 かかっているのよ。」

バキッ!!

ピエール「ああ~~~ 。」

そこへ、沙由里と同居しているピエールが帰ってきたのだが、帰るの遅かった
ピエールに対して、沙由里は顔面にパンチを喰らわすのであった。
しかし、ピエールは実に満面の笑みを浮かべるのであった。
果たして、ボクシングの試合の当日、何が起こるのであろうか?。

445

○朝香→鈴雄をボクシングの試合に誘う。
○鈴雄→朝香の誘いを受ける。
○瑠璃、小鈴、沙由里→物陰から覗き込み、ボクシングの試合へ行くことを決意。
○ピエール→買い物から帰ったのだが、帰りが遅かったので、沙由里に殴られる。

【今回の新登場】
○野菊朝香=ネルロイドガール(住めば都のコスモス荘)
巨大軍事企業エメラルドカンパニー製のパワードスーツ、ネルロイドXを
身に纏いネルロイドガールとして宇宙犯罪者と戦う。ドッコイダーのライバル
でもあるのだが、本人は全く気にしていない。女性だが一人称は「俺」。
缶ビールが大好きで鈴雄の部屋の冷蔵庫を占領。コスモス荘の4号室に住み、
鈴雄と同じく鳴柿児童学専門学校に通う。

○梅木瑠璃=エーデルワイス(住めば都のコスモス荘)
銀河中の教育機関を破壊したA級宇宙犯罪人。粘土細工でゴーレムを作る
エルロード一族の1人。ゴーレムは粘土細工の出来が戦闘力に比例するの
だが、手先が不器用なため強いゴーレムを作れない。本来は孤児だが、
地球では小学生として銀河連邦警察に記憶操作された梅木一家(両親と弟)
と共にコスモス荘の3号室に住んでいる。意地っ張りだが寂しがり屋で、
鈴雄のことは「コーチ」と呼んで慕っている。普段はタンポポと同じ小学校
に通っていて、同じクラスである。学校では学級委員(ウサギ小屋掃除係兼
飼育係)を勤める。

○ 岼根 沙由里=ヒヤシンス(住めば都のコスモス荘)
コスモス荘の2号室に住んでいる美女。倒産した動物園を復興させるため犯罪
を重ねたA級宇宙犯罪人で通称「クィーン・オブ・ザ・動物園」。下僕である
ピエールの身体に動物園で飼育していた動物を宿らせており、ムチで叩くこと
で動物に変えるが、個人の戦闘能力は低い。ナイスバディーだがそれとは裏腹
に超が付くほどの大食漢である。地球で初めて出会った鈴雄の事が気に入って
いる。普段は遊園地のヒーローショーでアルバイト(ヒヤシンス本人の役)を
しており(漫画版では動物園の飼育係)、給料のほとんどを食費に費やしている。

○ピエール(住めば都のコスモス荘)
沙由里の下僕で、使用人としてコスモス荘の2号室に住んでいる。身体の中に
沙由里が動物園で飼育していた動物の遺伝子を宿らせており、快感が頂点に
達した時、遺伝子が目覚め動物との融合体になる。だが、どんな動物になるかは
変化するまで分からないので、あまり役に立っておらず沙由里にいつも怒られ
ている。また極度の方向音痴である。真性のマゾヒズムであるため沙由里の
ムチを受ける事をこの上ない喜びとしている。 


『勇気と友情の必殺パンチ』-3

作者・ユガミ博士

446

***ボクシング試合会場***

それから5日後、ついに試合当日となった。会場は満員御礼。会場には鈴雄
と朝香も来ている。

アナウンサー「さぁ、ついに小津翼選手のタイトル防衛戦の試合となりました。
 対戦相手は現在、人気急上昇中の天馬拳将児選手。現在、両者選手は入場を
 終え、試合を今か今かと待ち構えております。なお、今回の実況は特別ゲスト
 にテレビの前の皆様もご存知、ネオアメリカボクシングコロニーチャンピオン
 にして、第13回ガンダムファイト・ネオアメリカ代表のガンダムファイター
 チボデー・クロケットさんを迎えてお送りします。チボデーさん、今日は
 よろしくお願いします。」
チボデー「Hey、TVの前のジャパニーズ達、チボデー・クロケットだ。
 今日はよろしく!。」

アナウンサーから紹介されたチボデーはテレビに向かって、サムズアップをした。

アナウンサー「さて、チボデーさんはお2人の試合をご覧になった事はあり
 ますか?。」
チボデー「ここに来る前に何試合か見させてもらった。2人とも、良いパンチを
 持っている。俺も何時か戦ってみたいと思った。だが、それよりも2人は
 良い目をもっている。」
アナウンサー「目・・・ですか?。」
チボデー「ああ、2人とも強くなりたい、頂点に立ってやるという不屈の
 精神を持った目を持っている。あれはマイドリームを持つ奴の目だ。是非、
 マイドリームを掴んで欲しいぜ。」

カーン!

そして、ついに試合開始のゴングが鳴った。翼と将児はファイティングポーズを
とり、どちらが先に攻撃をするかと警戒しつつリングの中央を回るのであった。

将児「(ここは、先に攻撃させてもらうぜ。)」

バシィ!
ガシュ!
バシィ!


アナウンサー「おおーと、先に攻撃を始めたのは将児選手の方だ。翼選手は
 ガードをする。しかし、将児選手の攻撃はものすごいラッシュだー。」

翼「(いつまでも、攻撃を受けるわけには・・・。)」

バシュ!

将児「ぐほぉ!!。」
翼「(いかない!。)」

将児のパンチを避けて、右ストレートを繰り出し、将児を左頬にクリーン
ヒットした。だが、将児はダウンしなかった。

将児「(な、何ちゅう、重いストレートだ!。それでいて、速い。)」

カーン!カーン!

その後も2人の攻防は目の見張るものだが、第1Rは終了し、休憩時間に
入った。

将児側のセコンド「はい、水分をどうぞ。」
将児「はぁ、はぁ、・・・応、サンキュ。」
翼側のセコンド「水分です。」
翼「はぁ、はぁ、応、はぁ、はぁ。」

カーン!

アナウンサー「さぁ、第2Rが始まりました。怒涛の攻防を見せた翼選手と
 将児選手ですが、果たしてどちらが勝つのでしょうか。チボデーさんは
 どう見ますか?。」
チボデー「まだ、第2Rが始まったばかりだ。どちらが勝つかは分からねぇぜ。」

バシュ!
ドシュ!


朝香「そこだー!、パンチだー!、イケイケー!。」
鈴雄「興奮しすぎだよ~、朝香。」

観客席に座っている朝香と鈴雄だが、朝香は試合に対してものすごく
テンションが上がっていた。

将児「(さすがは現チャンピオンだ。でも、そのチャンピオンの座は俺が
 手に入れさせてもらうぜ。)」

シュ!

翼「(すごい、ラッシュだ。だが、このチャンピオンの座はまだ、
 手放さん!。)」

シュ!

将児「これで、どうだ!。ウッ!。」

将児がパンチを繰り出そうとした瞬間、将児に異変が起きた。

将児「(な、何だ・・・急に力が・・・抜けていく。)」
アナウンサー「おおーと、どうしたことか?。将児選手の動きが急に
 鈍くなったぞ。」
翼「(?、何が起きたか知らないがチャンス!、貰った。・・・ウ?、
 か、体が・・・しびれてきた。)」

ドサッ!!

将児と翼がリングに倒れた。

アナウンサー「な、何と、両者が突然リングの上に倒れたー。これは一体
 どういうことだー。」

ザワザワ・・・

突然の出来事に観客席は混乱の声を挙げた。

447

???「フフフフ、痺れ薬が効いてきたみたいだね。」

すると突然、どこからともなく声が響いてきた。それを合図に翼と将児の
トレーナーや観客席の何名かがゴーマの戦闘兵士コットポトロに変わり、
ドアからインフェルシアの下級兵士ゾビルが現れた。

観客A「イヤ~~!。」
観客B「ば、化け物だ!。」

突然の来襲に観客はパニックになった。そして、コットポトロの1人が鏡を
リングの前に持ち出した。その鏡から飛び出したのは、ミラーワールドの
ライダーの1人、仮面ライダーガイだった。さらに、リングの上に現れたのは
ゴーマの怪人ガマグチ法師とインフェルシアの冥獣人インキュバスのベルビレジ
だった。

将児「て、手前ぇは・・・ゴーマの怪人。」
翼「ま、前に倒したのに何故・・・こ、ここに?。」
ガマグチ法師「テンマレンジャー、貴様らダイレンジャーに受けた恨み
 まずは貴様で晴らす。」
ベルビレジ「インフェルシアよりも深い冥府から、黄泉がえってきた。
 マジイエロー、貴様のせいで僕の作戦は潰された。君に永遠の眠りを
 与えるよ。」
ガイ「レディースアンドジェントルメン。この会場はGショッカーが
 占拠した。観客の皆様方にはこれから行われるショーを楽しんで
 もらおう。」

リングに倒れた将児と翼の前にガイ、ガマグチ法師、ベルビレジが対峙する。
アナウンス席に座っていたチボデーが動こうとするが、コットポトロに両腕
を抑えられてしまった。

ガイ「おっと、チボデー・クロケット。君が史上最強の格闘集団シャッフル
同盟の1人だってことは分かっているんだ。おとなしくしてもらうよ。
でないと観客の命は無い。」
子供「うぁ~ん。」
チボデー「Sit、何ていう卑怯な奴らだ。話に聞いたとおり、Gショッカー
 てのはとんだ腐った連中のようだな。」
ガイ「褒め言葉として受けとっておくよ。」
将児「オ、オーラ・・・チェンジャーがあれば・・・。」
翼「マージフォンがあれば・・・この状況を打破できるが・・・(だが、
 観客がいたんじゃ、変身できない。)」
ガイ「それはこれのことかい?。」

ガイが見せたのはオーラチェンジャーとマージフォンだった。

将児「な!?。」
翼「何で・・・それを・・・持っている?。」
ガイ「念には念をってね。試合が始まったときに控え室から奪ったのさ。」

ガイの絶望的な言葉に将児と翼の顔は苦悶の表情を浮かべる。
一方、観客席にいる鈴雄と朝香もこの状況をどうするべきか悩んでいた。

鈴雄「(こんなに観客がいたんじゃ変身できないよ。)」
朝香「(ちっくしょー、どうにかして変身しねぇと。)」

一方、リングの方では・・・。
ガイ「さて、そろそろ処刑ショーを創めようか。」

ガマグチ法師とベルビレジが将児と翼に迫る。もうだめかというその時・・・。

???「ちょっと待ったぁぁぁ。」

448

声のする方を見ると突然、観客席に座っていたコートを着た3人が立ち上がり
颯爽とコートを脱いだ。そこにいたのはバイク、墓石、電話の格好をした
3人の怪人だった。

ガマグチ法師「貴様らはゴーマの落ちこぼれ3人組。神風大将、墓石社長、
 電話先生じゃねぇか。裏切り者が何故、ここにいる。」
神風大将「勿論、ダチの大事な試合を見に来たんだベイベー。」
墓石社長「本当はこっそりと応援するだけやったやけんど・・・。」
電話先生「友達が大変な目に遭っているのに、黙って見ていられないわ。」

神風大将、墓石社長、電話先生はリングの上に上がり、将児達を守るように
ガイ達に立ちはだかった。

将児「さ、3バカ~。」
神風大将「おいおい、情けない声を出すんじゃないぜベイベー。確かに俺達は
 落ちこぼれだ。だが、根性だけは誰にも負けないつもりだぜベイベー。」
墓石社長「とりあえず今は休んでいてくれ。」
電話先生「あいつから、オーラチェンジャーとあの携帯電話を取り戻して
 みるわ~。」
神風大将「行くぞ、オメーら!!。」
墓石社長&電話先生「「応!!。」」

3バカトリオはガイ達に向かって突撃した。しかし・・・。

ドガッ!
バキィ!
ドス!


3バカ「「「だぁぁぁぁ。」」」

あっけなくやられてしまった。

ガイ「全く・・・、面倒だけどこいつらから始末するか。」

ガイ達が3バカにとどめをさそうとしたその時。

???「なぁーはっはっは。そこまでにしてもらおうGショッカー。」
ガイ「誰だ!?。」

ガイが後ろを振り向くと、そこいたのは赤いマントを羽織った頭のでかい男
と紫のポニーテールにスレンダーなボディーの露出の多い衣装を着た女性が
観客席にいた。その姿こそ、銀河連邦警察所属のヒーロー、ドッコイダーと
ネルロイドガールであった。

ガイ「ドッコイダー!・・・それにそっちはネルロイドガール、何故、
 ここに!?。」
ドッコイダー「大事なボクシングの試合を恐怖の試合に変えた事は言語道断。
 株式会社オタンコナス社製造超特殊汎用パワードスーツ・ドッコイダー。
 ここに参上!」
ネルロイドガール「よくも、大事なデー・・・じゃなかった試合をぶち
 壊しやがって。エメラルドカンパニー製高機動パワードスーツ・・・。」

ドガッ!

ベルビレジ「ぐぁぁ。」
ネルロイドガール「ネルロイドガールだ。」
ドッコイダー「よし、私も。ミラクルハイパー
 エキセレントダイナマイツキィィィィク!!」

ベルビレジを蹴り飛ばしたネルロイドガールのようにドッコイダーも
ガマグチ法師を蹴り飛ばそうと必殺のキックを行ったが、やはり、
バランスが崩れてしまう。しかし・・・。

ゴ~ン!!

ガマグチ法師「い~た~!。」

見事、ガマグチ法師の頭部に激突して、頭突きが決まった。

ベルビレジ「くっ、僕の顔に蹴りを入れるとは・・・。女性だからといって
 容赦はしないよ。」

ベルビレジとガマグチ法師が起き上がり、ドッコイダーとネルロイドガール
に襲い掛かろうとしたその時

ドッガァァン!

突然、ドアが爆発した。


449 

扉の前に立っていたのは、緑色の髪をしたおかっぱの少女とお姫様の格好
した少女、そして、ライオンを連れているムッチムッチボディの露出の
多い服を着た見るからにサディストな女王様が立っていた。

ドッコイダー「タンポポール、エーデルワイス、ヒヤシンス。」
ネルロイドガール「(あいつら、来てたのかよ。)」
ヒヤシンス「全く、ピエールが迷子になるから遅れちゃったじゃない。」
タンポポール「でも、おかげで2人を助けることが出来ますから。」
エーデルワイス「(コーチと朝香のデートは阻止出来たみたいだけど)
 お前達、覚悟はよいな?。」
ヒヤシンス「さぁ、宇宙ライオン男、あいつらを食べちゃいなさい。」
ピエール「がぉぉぉぉぉん。」
タンポポール「今の内に避難をしてください。」
エーデルワイス「後は妾達に任せるがよい。」

宇宙ライオン男に変身したピエールはコットポトロとゾビルに襲い掛かった。
タンポポールとエーデルワイスは観客を避難させた。

チボデー「(チャンスだ!)」

チボデーは腕を掴んでいるコットポトロを振り払い、ゾビルやコットポトル
に立ち向かっていった。

ネルロイドガール「手前ぇの持っているそいつはあいつらに返させてもらうぜ。」
ガイ「何!?、ぐわぁ。」

ネルロイドガールの蹴りでガイの手にしていたオーラチェンジャーとマージ
フォンを落としてしまい、ネルロイドガールはそれを将児と翼に渡した。

将児「ありがてぇ、これで何とかなる。」
翼「今なら、観客もいない。」

将児は両腕にオーラチェンジャーを取り付け、翼はマージフォンを開いた。

将児「気力転身。」
翼「天空聖者よ、我に魔法の力を。魔法変身、マージ・マジ・マジーロ。」

将児と翼はオーラチェンジャーとマージフォンによって、テンマレンジャー
とマジイエローに変身した。

テンマレンジャー「天重星回転蹴り!。」
マジイエロー「ジー・ジジル、イエローサンダー!。」

テンマレンジャーはガマグチ法師に回転蹴りを喰らわせ、マジイエローは
マジスティックをマジスティックボウガンに変えて、ベルビレジに雷の矢
を浴びせた。

テンマレンジャー「こいつでトドメを指す。はぁぁぁぁぁ。」

テンマレンジャーは気力を集中して玉を作り出した。

テンマレンジャー「(1人だけど)気力ボンバー。」
ガマグチ法師「ぎゃぁぁぁ。」

テンマレンジャーの気力ボンバーにガマグチ法師は吹っ飛んだ。

マジイエロー「ジー・ジー・ジジル!。」

マジイエローの両腕にボクシンググローブが装着された。

マジイエロー「流星マジパンチ!。」
ベルビレジ「うぁぁぁぁ!。」

高くジャンプして回転降下しながらベルビレジを倒した。ネルロイドガールに
蹴られ続けたガイはここまでだと鏡の中に姿を消した。

450

***インフェルシア***

メーミィ「もう、やっぱり人間なんかに任すんじゃなかったわ。不愉快よ。
 ここからは巨大戦よ。ドーザ・メル・メガロ 。」

メーミィの呪文でベルビレジは巨大化して復活。ガマグチ法師も巨大化爆弾
を取り出して、足元に向けて爆破。数10倍の大きさまで巨大化した。

チボデー「Oh、マックスターがあればあんな奴、俺の豪熱マシンガンパンチ
 でK.O.できるのに。」

チボデーの愛機・ガンダムマックスターは現在、ここにない。ガンダムファイト
ではないので日本に持ち込めなかったのである。

マジイエロー「マージ・マジ・マジカ。」
テンマレンジャー「現れよ。気伝獣。」

マジイエローはマジガルーダへと巨大化変身し、テンマレンジャーは星天馬
を呼び出した。

マジガルーダ「ガルーダアタック!」
テンマレンジャー「大重力!」

マジガルーダは空高くから、空中チョップを繰り出して、星天馬は重力
を操り、瓦礫をガマグチ法師とベルビレジにぶつけた。しかし、あまり
ダメージは受けていなかった。

マジガルーダ「こうなったら、俺達の力を合わせよう。」
テンマレンジャー「やってみるか。」

2人は雷と重力の力を高めていき、2体にぶつけた。

ガマグチ法師&ベルビレジ「「まだまだぁ。」」
マジガルーダ「なら、こいつも追加だ。」

粘る2体に対して、マジガルーダは大きな翼を羽ばたかせて竜巻を起こした。

ガマグチ法師&ベルビレジ「「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!。」」

雷と重力に竜巻を加えた巨大なエネルギーの爆発についに、ガマグチ法師と
ベルビレジは倒された。

451

その後、翼と将児の試合はお流れとなった。なお、崩壊した試合会場には
ドッコイダー達はいつの間にかいなくなっていた。

***某空港***

チボデー「せっかくの試合、ご破算になって残念だな。」
将児「いえ、試合はまた、落ち着いたらありますんで。」
翼「有名なチボデーさんのお見送りが出来てうれしいです。」
チボデー「この前の試合は、俺のガンダムマックスターがあれば、あの
 でかいモンスターを退治するのに力になれたんだが。」
翼「気にしないでください。」
チボデー「もし、世界に来ることがあったら、ぜひ、試合しようぜ。」
将児「は、はい。その時はよろしくお願いします。」
翼「その時まで、腕を磨いていきます。」
チボデー「そうか、それじゃ、あばよ。」

チボデーはこうして、ネオアメリカへと帰っていった。そして、
Gショッカーの作戦を打ち破った2人のボクサーは熱い友情を交わすの
であった。

<オマケ>

***警察署・拘留所***

神風大将「で、何で俺達が牢屋にいれらているんだよベイベー。」
墓石社長「俺ら、気絶してだけやのに~。」
電話先生「むしろ、人助けしようとしてたのに~」
3バカ「「「早く、ここから出して~~~」」」

452

○翼→将児と試合、その後乱入したGショッカーと対戦する。
○将児→翼と試合、その後乱入したGショッカーと対戦する。
○チボデー→特別ゲストとして招かれる。その後、Gショッカーと対戦する。
○鈴雄→ドッコイダーに変身して、ガマグチ法師に頭突きを決める。
○朝香→ネルロイドガールに変身して、ガイからオーラチェンジャーと
 マージフォンを取り返す。
○小鈴、瑠璃、沙由里、ピエール→タンポポール、エーデルワイス、ヒヤシンスとなって、
 遅れて登場。ピエールは宇宙ライオン男に変身して、Gショッカーと戦う。 また、観客を避難させる。
○3バカトリオ→将児の危機を助けようと飛び出したが、あえなく気絶する。
●芝浦→ガイに変身して、会場を占拠する。オーラチェンジャーとマージフォンを
 奪うが、ネルロイドガールによって奪い返される。
●ガマグチ法師→ベルビレジと共に将児、翼に倒される。
●ベルビレジ→ガマグチ法師と共に将児、翼に倒される。

【今回の新登場】
○チボデー・クロケット(機動武闘伝Gガンダム)
ネオアメリカ代表のガンダムファイター。主な搭乗機はガンダムマックスター。
ボクシングコロニーチャンピオンでどん底から己の力のみで頂点に上り詰めた
アメリカンドリームの体現者。DG細胞に侵された時、クイーン・ザ・スペード
の称号を受け継いでいる。幼い頃からのトラウマでピエロが苦手。絵に描いた
ような陽気なアメリカ人の性格をしている。

○神風大将/墓石社長/電話先生(五星戦隊ダイレンジャー)
ゴーマ3ちゃんズ、3バカトリオとも呼ばれるゴーマ怪人の落ちこぼれ。
ザイドスによりチームを組まされ、自分たちをバカにしたゴーマの連中を
見返す為に真っ向勝負で勝ち目のないダイレンジャーにスポーツで勝負を
挑む。神風大将はバイクがモチーフにも関わらずメンバーでは一番足が遅い。
墓石社長は墓標型のハンマーが武器で、巨大な頭部での頭突きや頭部を展開
して出てくるライターからの火炎放射を使う。電話先生はあらゆる電話機が
置いてある場所をスパイでき、頭部の電話機で自在に電話を掛けられる他、
腕から受話器を飛ばして相手を縛り、ボタンを押すことで電流を流す「受話器
攻撃」を使う。テンマレンジャーにライバル心を燃やすようになり、勝負を挑
む中で次第にテンマレンジャーとの間に友情が芽生える。

●ガマグチ法師(五星戦隊ダイレンジャー)
ガマグチがモチーフのゴーマの怪人。人間体はバスケット選手のような
姿をしている。

●ベルビレジ(魔法戦隊マジレンジャー)
インキュバスの冥獣人。眠っている人物の生命力を吸い取り、死を
もたらせる。昔、ナイ、メアと付き合っていたらしい。 


『次元の傍観者』

作者・シャドームーン

453

***Gショッカー無幻城・邪神謁見の間***


マクー、マドー、フーマ。三つの宇宙犯罪組織が根城を構える異次元空間
――その三つが唯一交わるここポイントゼロの果てに聳え立つ無幻城。
その最上部、「謁見の間」から世紀王シャドームーンは歪に形を変え続ける
不定形な空間の様子を黙して眺めていた。

シャドームーン「……………」
ジェネラルシャドウ「ポイントゼロの御感想は如何ですかな、ミスター」

トランプをパラパラパラと捲りながら背後から声をかけるジェネラルシャドウ。
無愛想な影の王子は振り返る様子もなく、静かに答えた。

シャドームーン「特に感想はない。眺めて楽しむ程の景観ではないからな」
ジェネラルシャドウ「フフフごもっとも。但しこの空間程、我らGショッカーの
 本拠地に適した場所はないですからな。別の次元へ航行できる手段
 を持つ連中は数あれど、此処を突き止めるのは容易ではありますまい」
シャドームーン「そのようだな」

感情の乗らない短い言葉を返し、シャドームーンは再び黙ってしまう。
ジェネラルシャドウも途切れた会話に次の話題を振るでもなく、
壁にもたれて相変わらずトランプを切ったり捲ったりしていた――

シャドームーン「シャドウ」
ジェネラルシャドウ「ハ……」
シャドームーン「ライダーストロンガーに挨拶は済んだようだな」

白銀の背中を向けたまま、シャドームーンは突然語りかけた。
珍しく向こうから話題を振られたので、ジェネラルシャドウはやや驚きつつ
透明のフードの中に見える赤い口元をニヤリとさせた。

ジェネラルシャドウ「左様。流石は影の王子、お耳が早いですな…フフフ」
シャドームーン「コウモリ怪人が頼みもせんのに報告に来るんでな」
ジェネラルシャドウ「ほう…油断なりませんな」
シャドームーン「次に会った時は奴の命を狙うか」
ジェネラルシャドウ「無論。それがこのシャドウの生き甲斐なれば…」

――ガシャン

影の王子がゆっくりと後ろを振り返り、ジェネラルシャドウに顔を向けた。
静まり返った謁見の間に、レッグトリガーの連動音が反響する。

シャドームーン「フン、やはり変わった男だな…貴様は」
ジェネラルシャドウ「…とおっしゃいますと?」
シャドームーン「次期創世王という餌を巡り、誰もが鎬を削る真っ最中だと
 言うのに…大首領直属の改造魔人である貴様が、えらく暇そうに見える」
ジェネラルシャドウ「これはしたり。そう言う貴方こそ、創世王様が一番の
 期待を寄せている立場に在りながら、全く動かぬではありませぬかフフフ」
シャドームーン「バトルファイトか。生憎と俺には何の興味も湧かんな」
ジェネラシャドウ「フッ…それは貴公だから言えるのだよ、シャドームーン」
シャドームーン「そうかもな」
ジェネラルシャドウ「ビルゲニア殿など、貴方の沈黙をいい事に貴方の政敵に
 近づき何やら画策しておられる様子…いいのかね、放っておいても」
シャドームーン「かまわん。捨てゴマは捨てゴマなりの末路を遂げよう」
ジェネラルシャドウ「捨てゴマですか…クククお気の毒な」
シャドームーン「或いは…我々全員が捨てゴマなのかもしれん」

454

穏やかではない発言に、ジェネラルシャドウはトランプを弄ぶ手を止めた。
銀色の無表情な仮面が再び外部を見渡せる大スクリーンへ向き直る。

シャドームーン「貴様や俺を蘇らせたのが、大首領や創世王ではない
 とするなら、“そいつ”は一体何者で、何処にいるのか…考えたことはあるか」
ジェネラルシャドウ「いえ…そういう疑問なら、創世王様と随時対話
 が可能な貴方のほうがずっとお詳しいのでは?」
シャドームーン「無論すぐに問い掛けた…」
ジェネラルシャドウ「創世王様はなんとお答えに…?」
シャドームーン「フフフ…それが何も答えぬ。秋月信彦の中からこの私を
 目覚めさせておきながら、さっぱり声を聞かなくなって久しいのだ。
 向こうから特に用が無い時は、沈黙を保っているようだな」

謁見の間の天空を見上げ、シャドームーンはやや苛立ち気味に答えた。
ジェネラルシャドウも暫く顔を上げていたが、やがて興味を無くしたように
俯きトランプからスペードのAを取り出し眺めてこう告げた。

ジェネラルシャドウ「もし…そのような者が本当にいるのなら――」
シャドームーン「…………」
ジェネラルシャドウ「“そ奴”には感謝せねばなりませぬなあ。クックック…」
シャドームーン「フッ、感謝と来たか」
ジェネラルシャドウ「おかげで私は今一度、我が好敵手と戦う機会を得たのですから…」
シャドームーン「プライドの高いシャドウにしては、随分と寛容だな」
ジェネラルシャドウ「貴公こそ、この状況を内心楽しんでおられるとお見受けするがね」
シャドームーン「さあな。俺は俺に動く、それだけだ」

455

謁見の間にいるシャドームーンに、大神官ビシュムから通信が入った。
広間に置かれたモニターに女性秘書に変身したビシュムが映し出される。

シャドームーン「ビシュム…何用か」
ビシュム「シャドームーン様、面会の申し込みが来ておりますわ」
シャドームーン「フン、またか。我が名を目当てに媚び諂いに来た下衆か?
 それとも敵意剥き出しの阿呆か? …どちらも飽きた、追い返せ」
ジェネラルシャドウ「ほほう…ご苦労が絶えんようですなミスター」
シャドームーン「この城に来て以来、ずっとこんな調子だ」
ビシュム「いえ…新しいメンバーの有力者達です」
シャドームーン「そうか…ならば会っておかねばならんな。
 メンバー専用のゲストルームに通しておけ。すぐに行く」
ビシュム「承知しました、シャドームーン様…」

モニターの通信が消え、シャドームーンは右手を腹部のベルトに重ねる。
キングストーンの蒼い輝きと共に、そこにはスーツ姿の男性が立っていた。
日蝕の日に世紀王に改造された青年・秋月信彦………
――ではなく、見た目はもう少し歳をとった中年男性という容貌である。

ジェネラルシャドウ「初めて見る顔ですな…その姿は?」
シャドームーン「新たにメンバーとなる人間達には彼らに相応しい形で
 接して行こうと決めたのだ。かといって秋月信彦の若僧面では侮られる。
 そこで思い描いて導き出したのがこの男の顔よ…似合わぬか?」
ジェネラルシャドウ「いえそんな事は。驚きましたな、貴方がそのような行動に出るとは」
シャドームーン「…私の記憶の断片の中に、何故かこの男らしき顔が出るのだ。
 何者かは思い出せぬ…しかしどういうわけか、気に入ってな」
ジェネラルシャドウ「中々お似合いですよ、ミスター」
シャドームーン「フッ、この顔の名もすでに考えてある」
ジェネラルシャドウ「ほう? 秋月信彦とは名乗らぬおつもりかね」
シャドームーン「我が名はシャドームーンだ」
ジェネラルシャドウ「おっと、失礼。そうでしたな」
シャドームーン「ゆえに仮の名が必要だ。“月影ノブヒコ”…というのはどうだ?」

「月影ノブヒコ」に変身したシャドームーンは、ゴルゴム神殿に戻ると同じように
女性秘書に変身させたビシュムを伴ってゲストルームへ向かった。

***無幻城・正規軍ゴルゴム神殿***

バラオム「ええい、シャドームーン様は何を考えておられるのだっ!
 わざわざ人間共のために専用の部屋まで与えるとは…!」
ダロム「シャドームーン様の中には、まだ秋月信彦の心が少なからず
 影響しているのかもしれぬ…」
バラオム「何!? バカな、ありえぬ!!」
ダロム「我々が死の世界にいた間、シャドームーン様は一度記憶を
 失くしておられた。仮面ライダーめがシャドーチャージャーに致命
 の一撃を与えたこと、それに此度の蘇生に人間の小娘が関わった
 こと…全てが何がしかの影響を与えたと考えるべきだろう」
バラオム「ならば今一度、我らの手で再改造を…!」
ダロム「ワシもそれを考えておったが、ビシュムが反対しおってな」
バラオム「ビシュムの奴め…また我らを出し抜こうという腹づもりか?」
ダロム「そうではあるまい。ビシュムはシャドームーン様の后の座を
 夢想して散ったからのう…個人的な想いを抱いておるのやもしれぬ」
バラオム「な、なんだと!? …うう~ぬ、ビシュムめ…!!」

怒りに震える闘神バラオムと、落ち着いた物腰で冷静に話すダロム。
対照的な二人の大神官に今最も号令を下すべき創世王は、
不気味なほど沈黙を守っていた………。

456

△シャドームーン→月影ノブヒコの姿でゴルゴム新メンバーの前に現れる。
●ジェネラルシャドウ→無幻城の謁見の間でシャドームーンと会話
●ビシュム→女性秘書に変身してシャドームーンに付き従う
●ダロム→シャドームーンの不安定な人格に危惧している
●バラオム→シャドームーンの再改造を強く推している 【今回の新規登場】
●大神官=大怪人ダロム(仮面ライダーBLACK)
ゴルゴム創世王に仕えし三神官が一人にして、その指導者たる知恵の大神官。
右手からの遺伝子操作ビームで改造手術を挙行。次期創世王として組織の命運
を握る世紀王の製作に携わる。シャドームーン復活に際して天の石を失ったことで、
本性である三葉虫の大怪人ダロムとなった。理知的な物腰だが性格は陰湿で冷酷。
クジラ怪人の洞窟で蘇ったBLACKに決死の覚悟で挑んだが遂に斃れる。

●大神官=大怪人バラオム(仮面ライダーBLACK)
五万年の太古より創世王に仕えし三神官が一人。武将として戦いを司る大神官。
気が短く荒々しい性格だが、一方で怪人達の戦績や功績には然るべき評価を下す。
シャドームーン復活に海の石を捧げ、剣歯虎の大怪人バラオムとなった。
大怪人になるとより激しい性格となり非常に凶暴。同胞ビシュムの無念を晴らすべく、
クジラ怪人を捨て石にBLACKに挑んだが、怪人の裏切りで激闘の末敗れ去った。

●大神官=大怪人ビシュム(仮面ライダーBLACK)
かつては怪人としての位に甘んじていたが、五万年以前の組織への多大な貢献に
より、大神官の一人となる。巫女的な大神官として、右目で未来を、左目で過去を
見ることができ先人の知恵や予言をゴルゴムメンバーに託す。世紀王復活の切り札
地の石をシャドームーンに捧げたのちに、翼竜の大怪人ビシュムに変貌を遂げる。
次期創世王の后の座を期して、シャドームーンの心算を知るために秋月杏子を
ユニットとした作戦を試みるが万策尽き、BLACKとの自滅を決意する。
だがシャドームーンに委ねたその最期さえ叶わず、地底の花園に散って行った。 


『エターナル・ソルジャー』

作者・シャドームーン

457

***シベリア地方…SKGBアジト***
 
死神博士「諸君らの技術提供により、我がGショッカーの戦闘員
 強化計画は大きく前進している。首領もこの成果を非常にお喜びだ」
コワルスキー「グフフフ…お褒め頂き光栄ですDr.シニガミ」
ロビンソン「なんのなんの、わてらの組織がこうして復興できたのも
 Gショッカーはんのおかげ…もっともっと優秀な素体をご用意
 させて頂きまっせ!」

人里から遠く離れた極寒の地の某所――
狼の彫像がシンボルのように天を仰ぐ、秘密施設の一室になにやら怪しげ
な男達が集まっていた。彼らが会話しているモニターに映る人物……
それは紛れも無く、かつて仮面ライダー1号2号と激戦を繰り広げていた
ショッカー大幹部・死神博士その人である。

コワルスキー「歴史の闇に消え往く運命だった、我がSKGBはソビエト連邦の
 復活により今また陽の目を見ましたからな。この上は全力でご恩返しをフフ」
ロビンソン「わてらMAXかて同じや。ターちゃんファミリーのおかげでケルベロス
 共々壊滅に追い込まれましたからな…GOD機関にはえろうお世話にゲヘヘ」
死神博士「SKGBが進めるロボ超人兵士とMAXの改造レスラープロジェクト…
 失われるには惜しい。我がGショッカーでは小癪なヒーロー共に単体で対抗
 し得る最強の兵士を欲している。そのためにはあらゆる実験と実戦テストに
 耐えられる強靭な素体が必要不可欠。両名にはこれからも期待しておるぞ」
コワルスキー「ハッ…! ご期待に添えるよう、努力致します」
ロビンソン「世界をGショッカーのもんにしてみせますさかい」

ズドォ―――ンッ!!!

怪しい男達が密会している建物に、突然爆発らしき轟音が鳴り響いた。
けたたましい警報音が鳴り、建物内が騒然となる。

ロビンソン「なっ…何事や! 長官はん!?」
コワルスキー「どうしたのだ管制室、応答しろ!」
モニター側の声「何者かの襲撃により、研究実験セクションが爆破されました!
 犯人はまだ生きている“素体”の何名かを脱走させ、尚も暴れています!」
死神博士「(まさか…もうライダーや宇宙刑事が嗅ぎ付けたのか?)」

現場に急行するSKGBの兵士と、黒装束にゴーグルという出で立ちの
GOD戦闘工作員が出くわしたのは…しかし、死神博士が危惧している
ヒーロー達ではなかった。その戦士は――黒い仮面に黒いヘルメット、
さらに黒のショルダーアーマーにブーツを装着しており、左右の肘と膝部に
レスリングの試合で身に着けるようなサポーターらしきものが見える。

ウォーズマン「…コ――…ホ――…」

SKGB兵「ゲェ――ッ…キ、キサマは!!」
GOD戦闘工作員「ジー! よくもGショッカーの邪魔をしてくれたな!」
ウォーズマン「ベアー・クロー!」

駆け着けた兵士達の一斉射撃を掻い潜り、その黒い戦士はナックルガードから
飛び出したクローと卓越した格闘技で彼らを次々に薙ぎ倒して行く。
その様子が男達のいる部屋のモニターに映し出され、葉巻を咥えた軍服姿の
ロシア人の男が、歯軋りしながら画面を叩いた。

ロビンソン「長官はん、知り合いでっか?」
コワルスキー「グゥ~~~ッ…ウォーズマン、忌わしき失敗作のポンコツめ!」
死神博士「ほう。賊はコワルスキー…君の組織の遺物かね」
コワルスキー「申し訳ございません…とんだ醜態を! こやつは我が組織を
 脱走し、今や正義超人などという軟弱集団の一員に成り果てた
 ロボ超人兵士“アジーン(第1号)”ウォーズマンめにございます…」
死神博士「正義超人だと? その者達は我がGショッカーに弓引く輩と
 ほぼ同類…連中と手を組まれでもしたら厄介な事になるな…。
 コワルスキー長官! その男は君達の手で必ず始末したまえ!!」

死神博士の映っているモニター映像が、プツリと切れる。

458

コワルスキー「ハハーッ!(くう、折角ここまでGショッカーの信頼を
 築いたというのに…ギギギ許さん、許さんぞウォーズマンめ!!)」
ロビンソン「長官はん、ここはあんたの腕の見せ所やでぇっ!」
コワルスキー「フフ…ご安心を。奴を破壊するのに最適なロボ超人が
 今日完成したばかりです。…“あれ”をウォーズマンと戦わせろ!!」
モニターの声「…ハッ。コワルスキー長官」

研究実験セクションでは、破壊された実験用の調整槽のガラス片や、
たくさんの被験者らしき人々の顔写真が貼付されたファイルなどが床に
散乱していた。割れた実験カプセルから…哀れにも生物と機械の中間
のような姿にされた女が、何かを懇願するように手を伸ばしている。

ウォーズマン「コーホー…」

ウォーズマンはその手を、そっと握ってやった。すると彼女は、目から一滴の
涙を流し…眠るように息絶えた。機械化されたスコープのような片目を、
彼は死者を悼むように閉じさせる仕草をした。

ミハイルマン「ニコ……」
ウォーズマン「…!! パ、パーパ」

突然背後から語りかけて来た人物に、ウォーズマンは驚いて振り返った。
そこに立っていたのは、彼の心の中に生きている大切な存在…

ウォーズマン「いや…パーパであるはずがない。SKGBめ、汚い真似を!」

ベアークローを構え、迎撃の体勢に入ろうとするウォーズマン。
彼の目の前に立つ人物も、同じく拳からベアークローを出し身構える。

ミハイルマン「大きくなったなあニコ…。その立派な姿を、マーマが見たらどんなに喜ぶか」
ウォーズマン「パーパは死んだ! …オレと、マーマの目の前で!!」
ミハイルマン「ニコ…Gショッカーはいいところだぞ。お前もパーパと働かないか」
ウォーズマン「スクリュー・ドライバー!!」

その人物が呟く言葉を振り払うように、彼は左手のクローを突き出し体に
高速回転を加えた、「超人削岩機」と化して標的を狙う。
そしてその一撃は、見事に敵の体の中心を捉え風穴を開けたかに見えたが――

ウォーズマン「…~~~っ」
ミハイルマン「ハハハいけないなあニコ…戦うために、殺戮のために造られた
 ロボ超人が、直前で迷って攻撃を止めたりしては!」

ウォーズマンのベアークローは、穿つ事を躊躇したのか…敵の僅か数ミリという
ところで寸止めしていた。逆に、相手のクローは彼の心臓付近を貫いている…
黒い仮面に備える両目のスリットからは、止め処なく…“涙”が溢れていた。

ミハイルマン「マシーンが涙とは…やはりお前はとんだ出来損ないだったようだ。
 パーパは悲しい、悲しいぞお~~ニコ…ケケケケケ、シネッ!!」

???「リングブーメラン!」

突然窓をブチ割り、車輪形の「輪」が飛び込んで来た。
それはブーメランのように飛び、ウォーズマンを貫いているロボ超人兵士の
腕を切断する。その武器を投げた戦士が、窓から飛び込みウォーズマンを
抱えて肩を貸した。赤いボディの見知らぬロボットを、彼は見上げた。

ウォーズマン「誰かは知らないが…助かったぜ」
リングマン「オレはリングマン、Dr.コサックナンバーズのロボットポリスだ。
 数日前から張り込んでたんだが…突入前にあんたが騒ぎを起してね」
ウォーズマン「フッ…ロボポリスもここを突き止めていたか…
 とんだ迷惑をかけちまったようだな…すまない」
リングマン「いや、おかげで生存者の救出には成功した…感謝している」
ウォーズマン「オレのこの手で…彼らを救い出したかったんだ…う…」
リングマン「おい? いかん、急いで博士のところへ…!」

459

ミハイルマン「ニガサン…キサマラ、マトメテハカイスル!!」
ウォーズマン「…くらえーッ!」

襲い掛かるロボ超人兵士目掛け、ウォーズマンはベアークローの手首を
外して投げつけた。それは回転しながら敵の頭を貫き破壊した。

SKGB兵「逃がすなーっ!」
GOD戦闘工作員「ジー!!」

リングマン「まずいな新手か…さあ、こっちだ!」

リングマンは負傷しているウォーズマンを抱え、先程入ってきた窓から
外の雪原に飛び降り脱出した。彼の合図で雪の中に待機していた
ロボットポリス隊が一斉に現れ、施設に突入を敢行する。
 
ロビンソン「おわー! け、警察やでぇ!」
コワルスキー「あのロボット…クソッ、Dr.コサックめ!!」

施設の中を飛び交う怒号と、銃声、金属と金属の激突音。
その騒ぎを聴きながら、ウォーズマンの意識は薄れていった…――


◇    ◇


***コサック博士の研究所***


ウォーズマン「……? ここは…」
カリンカ「あっ、まだ起き上がっちゃダメよ! お父様…」
コサック「気がついたかね。私はコサック。リングマンを造った科学者さ…
 ここは私の研究所だ、安心してくれたまえ」
ウォーズマン「貴方が世界的に有名なロボット工学博士の
 Dr.コサック…オレの体を修理してくれたんですか」
コサック「ウム…勝手な事をしてしまったかな…なら謝罪するよ。
 なにしろ、君の体は…―――…」
ウォーズマン「いえ…ありがとうございます」
コサック「他に何か困った事があれば、遠慮なく言って欲しい。
 私で力になれる事があるなら、協力は惜しまんよ」
ウォーズマン「感謝します博士。しかし何故そこまで…」
コサック「君が平和のために戦っている正義超人ということは
 知っておるよ。それに我がロシアの英雄だということもね…
 私は過去に犯した罪を償うために、平和への貢献は義務
 だと思っている。おっと…すまんが、少し席を外させてもらうよ」

コサック博士は後でまた様子を見に来ると告げて、娘のカリンカとリングマンと
同じナンバーズのダイブマンを付き添いに残して部屋を出て行った。

ウォーズマン「過去に犯した罪…?」
カリンカ「お父様は…私がDr.ワイリーに攫われた時、
 仕方なくロボット達を使って世界征服の手助けをしたの。
 でも信じて! お父様は、本当はとっても……!」
ウォーズマン「分かっているよ。君のお父さんは、もう充分な程
 信用回復のために奔走し、努力して来られたはず…
 オレのコンピューターにもそう記録されている。
 なによりあの方の目には、邪悪な野心など全く感じられない」
カリンカ「あなた…ロボットなのに、どこか皆と違うわ」
ウォーズマン「オレは完全なロボットとは違うから…」
ダイブマン「どういう事だ??」
ウォーズマン「これだから、仕方ないのさ」

ウォーズマンは握手を求める手を差し出した。
ダイブマンがよく分からず彼の握手に応じると―――

ダイブマン「あ…温かい! ロボットなのに…体温が、ある!?」
ウォーズマン「オレはロボ超人。ロボットでも、超人でもない…
 生物と機械を半身づつ持って生まれた超人なんだ」
カリンカ「それじゃあ…あなたは、人間に作ってもらったのとは違うの?」
ウォーズマン「オレの両親は人間と超人だった…だが超人の父は、
 永遠の強さを求めて超人から機械超人へ生まれ変わる手術を受けた。
 だがどんなに姿が変わっても、母は父を心から愛し続けた…
 そしてオレをこの世に産んでくれた」
ダイブマン「ロボットと人間が…!? そんなバ…」
カリンカ「ダイブマン!!」
ダイブマン「あ…。す、すまんつい…」
カリンカ「ごめんなさい…余計な事、聞いたみたいで…」
ウォーズマン「気にしないでくれ。オレは母から受け継いだ人間の血も、
 父から受け継いだ機械の体も…大切なオレの一部だと思っている。
 昔は超人からもロボットからも迫害を受け、荒んでいた時もあった…
 しかし今のオレには…こんなオレでも、“仲間”がいるからな」
カリンカ「仲間…あなたが助けようとした人達?」
ウォーズマン「彼らもそうだが、今話した連中とは違う。
 あいつらは…生身の超人でありながら、ロボ超人の
 オレと友人として対等に付き合い、接してくれた……」

460

リングマン「それが、キン肉マンを始めとする正義超人ってわけか」

ドアを開けてリングマンが食事を持って入って来た。
彼らロボットの食事はエネルギー缶―通称「E缶」のみだが、
半分が生体組織と器官を持つウォーズマンは人間と同じ
食物を普通に摂ることができるのだ。

カリンカ「リングマン、知ってるの?」
リングマン「日本にいるライト博士が教えてくれてね…ま、受け売りさ」
ダイブマン「そういやライト博士は格闘技観戦が大好きだったなぁ」
ウォーズマン「トーマス・ライト博士…ロボット工学の父と呼ばれる方だな」
リングマン「流石はファイティングコンピューター・ウォーズマン…
 あんたの事も、少し聞いていたぜ。優れた超人を愛国心に
 付け込み集め、戦争用のロボ超人兵士に改造し世界中に
 売り捌く犯罪組織SKGB…通称ヴォルグ・コームナタ(狼の部屋)。
 ここの最初期の被験者リストに、ミハイル・ボルコフという当時無敗を
 誇っていた超人レスラーの名があった…もしや、あんたの…?」

ウォーズマン「そうミハイルは…オレのパーパだ」
リングマン「やはりか。その死んだはずのミハイルマンが、あの部屋で
 あんたと戦っていたわけは…GOD。さらにGショッカーという言葉が
 関係しているんじゃないのか?」
ウォーズマン「ソビエトが復活し、息を潜めていたSKGBが活動を再開
 した…オレは再び祖国の未来ある超人を、従順な殺人マシーンに
 造り変えようとしているヤツらが許せなかった。昔の伝手を頼り、
 独自に調べていくうちに、GOD機関という秘密組織が一連の政変に
 裏で糸を引いている事が判明した…その背後に、Gショッカーがいる」
リングマン「もう一つ。MAXという謎の異種格闘技団体を知っているか?
 資料によればケルベロスと名乗る研究機関と結託し、非人道的な
 人体改造を行っていたらしいが…この連中も、過去に壊滅に追い
 こまれボスや幹部、科学グループが多数逮捕されている。
 …が、何名かは脱獄して行方不明。そのうちの一人が、あそこにいたぜ」

ウォーズマン「そうだ…! ヤツらは、逮捕できたのか!?」
リングマン「すまん…MAXのロビンソンは捕らえたが、SKGBの長官には
 逃げられてしまった」
ウォーズマン「そうか……」
リングマン「面目ない。だがロビンソンの口から、連中の企みと実体が少しは
 分かるはずだ。特にGショッカー…おそらくヤツらは、SKGBとMAXの技術
 を合わせて利用し、より強力な戦力を開発しようとしているんだろう」
ウォーズマン「人間や超人、それにロボット達の命を平然と弄ぶヤツらを、
 オレは絶対に許せん……あのロボ超人は、パーパの…ミハイルマンの
 姿をしていたがミハイルマンではない。心が欠片もない…これ以上、
 あんな戦士達を生み出してはいけないんだ!!」
リングマン「この事件はオレの部署の管轄でな。任せてもらおう、と言いたいが、
 そしたらあんた、多分勝手に動くんだろう? …仕方がない、協力してくれ」
ウォーズマン「そうさせてもらう。オレは正義超人として、悪の手から人間を守る
 使命がある。SKGBを叩き潰し、同胞を救うこともな…」
リングマン「日本のロボット警察ブレイブポリスからGOD機関やGショッカーに
 関する情報は送ってもらった。ここは焦らず対策を練ろう」

ウォーズマンはコサックナンバーズのロボット達と話し合いながら、
懐かしい第二の故郷である日本を思い出していた。
一つの戦いが終り、仲間達のほとんどは平穏な日々の中で愛する
家庭を持った者も多い。ロボ超人ゆえに年齢を取ることはなく、
ロボ超人ゆえに家族というものに縁がなく………
常に戦いの世界に身を置いて生きてきた「ファイティングコンピューター」
彼は、そんな生涯の中でも超人以外の新しい仲間に出会えたことを、
母ナターシャと父ミハイルマンに心から…感謝していた―――
 

○ウォーズマン→Gショッカーの息がかかるSKGBアジトを襲撃、生存者を解放する。
○リングマン→ウォーズマンを救出し、コサック博士の研究所へ運ぶ
○コサック博士→戦闘で傷ついたウォーズマンを修理する
●死神博士→SKGBとMAXを利用し、ヒーローと渡り合える強化戦闘員を開発中。
●コワルスキー長官→GODの手引きでSKGBを復活させ、死神博士のために働く
●ミスターロビンソン→GODの手引きでMAXを密かに復活させ、改造実験の素体
 となる改造レスラーをGショッカーへ回している。ロボポリスに逮捕される。

461

【今回の新規登場】
○ウォーズマン(キン肉マン、スクラップ三太夫、ウォーズマンビギンズ~仮面の告白~)
本名ニコライ・ボルコフ。人間の母と機械超人の父との間に生まれた「ロボ超人」ゆえに、
幼い頃から人間からもロボットからも蔑まれ迫害を受け続ける。バラクーダ(ロビンマスク)と
出会い、冷酷非情な残虐超人の精神を叩き込まれる。対戦相手を血祭りに上げる日々
の中で技を研ぎ澄ましていくが、超人オリンピック決勝でキン肉マンと戦いフェアな戦いの
素晴らしさと「友情」という感情をインプットし、正義超人となった。数々の戦いで命を落とすが、
超人墓場に在っても懸命に働き命の玉を三つも集め、それを躊躇なくキン肉マンに脱出手段
として渡すなど、無口ながら心に秘める情愛の心は誰よりも熱い。後年、恩師ロビンの息子
ケビンマスクに幻の必殺技「OLAP」を習得させ、自分が果たせなかった超人オリンピックでの
ロビン王朝優勝を見事成就させる。とある時空で港シティ署のロボポリスをしていた事もある(?)
代表的なフェイバリットホールドは「スクリュー・ドライバー」と「パロ・スペシャル」他

○コサック博士(ロックマン4新たなる野望!!、ロックマンメガミックス)
本名ミハイル=セルゲイビッチ=コサック。ロシアのロボット工学博士で平和を愛する
人物だったが、一人娘であるカリンカを悪の天才科学者Dr.ワイリーに人質にされ、
やむなく自ら開発した8体のロボットを率いロックマンと対決した過去を持つ。
事件解決後はDr.ライトの力添えもあり、学会にカムバックを果たし、それまで以上に
平和利用の為のロボット工学研究に尽力している。懲りることなく挑戦を繰り返す
Dr.ワイリーと戦い続けるロックマンにサポートメカ「ビート」をプレゼントした。

○カリンカ(ロックマン4新たなる野望!!、ロックマンメガミックス)
コサック博士の一人娘。バレエとピアノが得意で、大きなお城のお姫様になるのが夢。
そのせいかコサック博士の研究所はキャッスル風の外観である。ワイリーに攫われて
ロックマンとコサック博士の対決の直接原因となった事がある。父親が時には自分
以上に夢中になる「ロボット」に対し、嫉妬に近い感情を持っていた。
しかし助けてくれたブルースやロックマン、自分と同じ年頃の少女型ロボットである
ロールと触れ合い彼女なりに思い感じるようになった。

○リングマン(ロックマン4新たなる野望!!、ロックマンメガミックス)
Dr.コサックナンバーズ030。ロボットを使用した犯罪増加に対応する為の
ポリスロボットとして製作された。特殊武器「リングブーメラン」は直接犯罪者
=人間を相手にした場合に殺傷力を抑えた使い方ができる点で、ロボット
三原則に反する行動が取れない設計だったが、対ロックマン用の改修により
それまでかかっていたリミッターが解除された。事件解決後は元通りポリスロボット
の任務に就いており、ロックマンらDr.ライトナンバーズの良き協力者である。

○ダイブマン(ロックマン4新たなる野望!!、ロックマンメガミックス)
Dr.コサックナンバーズ031。漁業関係用に開発された水中探査ロボット。
超音波ソナーで視界の悪い状況下でも目標を捕らえることが可能である。
特殊武器「ダイブミサイル」はレーザー追尾方式をとったホーミングミサイル。
対ロックマン用に改修されてからは装甲が厚く足の裏に装備されたスクリューで
自らが目標物に対して突進するようになった。猪突猛進な海の男。

462●死神博士=プロフェッサーK(仮面ライダー、仮面ライダーV3、星雲仮面マシンマン他)
ロシア人と日本人のハーフで本名はイワン・タワノビッチ。
かつて仮面ライダー1号に倒された、ショッカー大幹部の一人。
ショッカースイス支部から首領の招きを受けて来日したが、度重なるダブルライダー
の活躍で計画を悉く粉砕され南米支部に更迭された。改造人間製作の権威
でありその悪魔的頭脳で数々の怪人を生み出し、自身も怪人イカデビルとなって
1号ライダーに勝負を挑んだが無念の死を遂げた。後にデストロンの五大幹部
投入作戦で復活させられる。裏の顔としてテンタクル首領プロフェッサーKを持ち、
ご町内では子供嫌いの偏屈老人として有名。無類のスペイン愛好家でもある。
最愛の妹ナターシャをいつか蘇らせる方法を常に研究している…。

●GOD戦闘工作員(仮面ライダーX)
ソビエト連邦復活の影で暗躍する、GOD秘密機関の戦闘工作員。
あらゆる諜報活動と格闘術に精通しているプロフェッショナルで構成された
集団であり、戦闘員としての任務遂行能力は非常に高い。

●ミスターロビンソン(新ジャングルの王者ターちゃん)
地下レスリングを母体とする裏の異種格闘技団体MAXの幹部。
非人道的な人体改造を行うケルベロス研究所に資金提供を行い、世界中から
集めた優れた格闘家を改造人間にして表の格闘界を支配する野望を持つ。
ターちゃん一家との攻防の末、MAXオーナーダグラスとケルベロス所長ベイツらと
共に国連軍に逮捕されたが、GOD機関の暗躍により脱獄。死亡した選手をも
蘇生させる高い改造技術を用い、Gショッカー戦闘員強化計画に加担している。
尚MAXにはミスターQ、ミスターRなど世界を又に駆け優秀な人材を集める・
もしくは拉致するプロモーターはいくらでも代わりがおり、ロボットポリスに逮捕された
今、用済みの彼を待つのはGOD機関による死の制裁だけである…。

●コワルスキー長官(ウォーズマンビギンズ~仮面の告白~)
ソビエト時代に創設されたSKGB(超人レスラー国家保安委員会)の責任者。
「国威発揚のための超人レスラーの育成をもって旨とする」などの甘言で祖国への
愛国心が強い者が多いロシア超人を次々に集め、過酷な戦闘訓練を行わせる。
…がそれは建前に過ぎず、SKGB本来の創設理由は戦争用のロボ超人兵士を
次々に量産することであった。ペレストロイカ後は衰退の一途を辿ったが、GOD機関
の暗躍で突如崩壊したソ連が復活、それに伴い再び胎動を開始した…。
Gショッカー戦闘員強化計画に機械化改造技術を用いた試作素体を提供している。

●ミハイルマン(偽)(ウォーズマンビギンズ~仮面の告白~半オリジナル)
本名ミハイル・ボルコフ。正義超人ウォーズマンの父親で超人レスリングの
東ヨーロッパチャンピオンとして無敗を誇り、愛する妻ナターシャと共に各国を遠征していた。
やがていつか若い超人に脅かされる日を恐れ、永遠の若さと強さを渇望してSKGBの息が
かかったチェコの科学者の元へ赴き、機械超人の改造手術を受ける。妻との間に息子
ニコライを授かったが、試合中に突如暴走、対戦相手とレフェリーを惨殺してしまう。
我に返った彼は悲しみの声を上げ、妻子の目前で自爆ボタンを押し自ら報いを受けた。
これはミハイルマンのデータと姿を模したレプリカロボ超人兵士である。 


『Gショッカー海底基地大乱戦』-1

作者・深海魚人デズル

463

***麓の洞窟の中***

焚き火をしながら、傷ついた剣崎一真を介抱する花形。

剣崎「あ、貴方は…!?」
花形「気がついたか」
剣崎「申し訳ありません。俺としたことが不覚を取りました」
花形「焦るな。君はまだアンデッドと化した自身の身体に
 慣れていない。相手があのラッキークローバーの北崎では
 無理もないことだ」
剣崎「………」
花形「今またスマートブレインは再び、天王路と結んだ村上の一派に
 よって牛耳られた。その村上の背後にはGショッカーが控えている」

花形は話を続ける。

花形「傷が癒えたら、すぐに台湾海峡へ向かいたまえ」
剣崎「…Gショッカーの海底基地がある場所ですね」
花形「D&Pの登太牙君には既に話をつけてある。君は台北で
 紅渡君と合流し、Gショッカーの日本攻撃を阻止するんだ」

だが、その場に忍び込んだ一匹の奇妙な青い蝶が、
その二人の話の様子を見ていることに、花形も剣崎も気づいていなかった。


***スマートブレイン本社・モニター室***

青い蝶=自身の使い魔から送信されてくる映像を眺めながら
ほくそ笑むスマートレディ。

スマートレディ「フフフ…おバカさんたち。貴方たちの考えそうなことなんか
 全部お見通しよ。すぐに海底基地の警備本部に通報しなきゃ♪」

464

***成田空港***

ニューヨーク発成田着の便で今朝到着したばかりの滝和也FBI特命捜査官を
一人出迎えたのは、警視庁新宿西警察署の野上冴子署長である。

冴子「はじめまして、滝捜査官」
滝「ほぉ、光栄ですな。貴女の様な美人から
 お出迎えを受けるとは」
冴子「まずは署の方に出向く前に、
 二人だけでお茶でもしません?
 まずは私の車へ」

冴子の運転するスポーツカーに乗って成田を出発した二人は、
成田ICから高速へと入り、そのまま首都高の方向へと向かう。
やがて都内に入り首都高から降りた車は、東星大学近くの
繁華街へと向かって行った。

滝「いったいどちらに向かっているんですかね?」
冴子「今にわかりますわ。きっと驚かれるわよ。フフフ…」
滝「…???」

そして車は喫茶店らしき建物の前で止まった。
冴子に促されて車から降りた滝の目に、
店の看板の文字がとまった。

滝「…アミーゴ?? 確かどっかで聞いたような」

店の中に入ると初老の店主が切り盛りしていた。
そして滝とその主人が互いに顔を見合わせた瞬間――

藤兵衛「――はい、いらっしゃ……滝!?」
滝「――おやっさん!?」

465

バダンとの戦い以来、数年ぶりに再会をした
仮面ライダー1号2号最大の戦友である
立花藤兵衛と滝和也の両雄。
その日は互いに積もる話に花が咲いたのは言うまでもない。

滝「また喫茶店とレーシングクラブを始めたんですね」
藤兵衛「水臭いぞ。たまには連絡くらいよこせ。
 ところでそちらの人は?」
滝「ああ、彼女は――」

藤兵衛はそっと滝の小耳に顔を寄せて囁く。

藤兵衛「えらく別嬪さんじゃないか。
 嫁さんが家で嫉妬するぞ…」
滝「――おやっさん!!」
冴子「私はこういう者です。本日は公務ではなく
 建前上私用できていますので、手帳ではなく名刺で失礼」

冴子は名刺を藤兵衛に差し出す。

藤兵衛「ほうほう何々、新宿西署の署長さん…」
冴子「では早速ですが本題に――」

冴子の話によると、行方不明となっている
グレートマジンガー&ゲッターチームの所在が
その後の太平洋上の米海軍第七艦隊独自の調査によって判明した。
彼らは現在、Gショッカーの海底基地に囚われている。
だが問題はその場所である。
Gショッカーの海底基地は、中国と台湾の領海のちょうど境界線の位置に秘密裏に建設されている。 地球連邦政府が設立された今でも、中国と台湾の緊張関係は続いている。日米の後押しを受けた台湾は、中国の猛反対を押し切る形で地球連邦に加盟している。
もし米海軍や日本の海上自衛隊が本格的に救出に動けば、
中国政府を刺激しかねないのである。
勿論、極東の地球連邦軍も、三輪長官一派に指揮権を牛耳られている
今の状況では当てにはできない。

藤兵衛「そこで、国家や国境の枠組みに囚われない
 仮面ライダーの出番っていう訳ですな」
冴子「勿論、日本政府も後方から出来得る限りの
 支援を約束してくれています」
藤兵衛「わかりました。なんとか連絡をつけてみましょう。
 マジンガーやゲッターの噂なら、わしもよく聞き知っている。
 同じ地球の平和を守る仲間のためなら、あいつらも
 きっと快く引き受けてくれるでしょう。ただ、決して
 お上のためにやるわけじゃあありませんよ」
冴子「OK、それでよろしくてよ」
滝「ですがおやっさん、連絡を取るといっても
 どうやって…?」
藤兵衛「うむ、そうだな~。志郎や敬介や茂の奴も
 そろそろまたぶらりと現れそうなもんなんだが…」

466

***Gショッカー海底基地***

台湾海峡・中台両岸領海境界線付近に建設された
Gショッカーの海底基地である。日本攻撃の要であると同時に
軍事的な緩衝地帯とも重なるため、地上の人間の国家の軍隊は
滅多に寄り付かないという、まさに悪の組織にとっては
格好の位置にあった。

そこへ、魔魚将軍アンゴラスと悪霊将軍ハーディアスが帰還する。
出迎えに出たのは白いスーツの男。どことなく覇気がない…。

アンゴラス「出迎えご苦労アポロガイスト!」
ハーディアス「捕虜共は元気にしておるか?」
白いスーツの男「問題はない。大人しいものだ」
アンゴラス「もし逃げられでもしたら、
 それは捕虜収容所の所長であるお前の責任だ。
 心しておけよ」
白いスーツの男「承知している」
アンゴラス「心得ましたと言え!」

アンゴラスは激しい口調で白いスーツの男――
――アポロガイストを叱責した。アポロガイストは素直に従い、
「心得ました」と言い直す。その言葉を聞いて、
アンゴラス、ハーディアスの両将軍は満足そうに笑みを満面に浮かべ、
その巨体を激しく揺らしながら司令室へと向かった。

白いスーツの男「………」

467

自室――すなわち基地内の捕虜収容所の所長室…というには
粗末な部屋の中で、アポロガイストはスキットル(蒸留酒用の水筒)を
片手に今日も酒を煽る日々を送る。その様子をすぐ傍らから見ている、
ヨレヨレの黒いタキシードを着た一人の老人――名を死神クロノスという。

死神クロノス=灰色の老人は、
クッションもない粗末な造りの椅子に腰を下ろし、
複雑な顔でアポロガイストを見つめていた。

灰色の老人「何を考えている?」
白いスーツの男「何も考えてなどいない。もはや俺は
 GOD秘密警察の第一室長ではない。至高邪神のご勘気を被り、
 今はただの捕虜収容所の所長だよ」

アポロガイスト――元GODの大幹部であり、
泣く子も黙る秘密警察を取り仕切る、
GOD総司令の信任厚きエリートであった。
Gショッカーが創設される際にも、
新たに新設される秘密警察組織の長官には
そもそも彼が就任するはずであったのだ。
ところがそこにヘドリアン女王を筆頭とする闇女王同盟からの
横槍が入る。女王の讒言によって彼はこの僻地へと左遷され、
今では昔の面影など全く感じさせないほどに
酒浸りの日々を送っている。

灰色の老人「お前は生ける屍の如き男だったのか?
 わしはあんたのそんな姿など見たくはないぞ」
白いスーツの男「…意外だな。GODの怪人は皆、
 俺の事など嫌っているものとばかり思っていたぞ」
灰色の老人「勘違いせんでもらおう。わしも貴様は嫌いじゃ!
 たがおぬしの能力と忠誠心は以前から買っておる。
 だが今のお前の姿をご覧になったら、総司令は
 なんと仰るじゃろうな」
白いスーツの男「………」

クロノスは会話を打ち切り、部屋から出て行った。
部屋の中で一人になったアポロガイストは、
しばしの沈黙の後、突然天井に向けて声を上げた。

白いスーツの男「いつまでそこに隠れている?」

468

???「これはこれは…。さすがは"元"GOD秘密警察第一室長殿。
 とうにお気づきであったか」

天井から謎の声が返事をすると、一枚の巨大なトランプカードが出現し、
それが裏返ると同時に、その声の主=ジェネラルシャドウが姿を現した。

シャドウ「かつてGODの殺人マシーンとまで恐れられた鬼の室長殿は、
 今では単なる腑抜けに成り下がったと聞いていたが、どうやら
 実態は違うようだな」
白いスーツの男「はて、なんのことやら」
シャドウ「よせよせ、貴殿ほどの漢に下手な芝居は似合わん。
 ミケーネのバカ将軍どもは欺けても、俺の目は誤魔化せんぞ」

アポロガイストはその言葉に対して否定も肯定もしなかった。

白いスーツの男「フッ、それよりも"影の将軍"ともあろう者が
 こんな薄汚い所にわざわざ何の用だ?」
シャドウ「俺も貴殿と同じで暇な身の上でな。
 一つトランプ占いの相手でもしてみないかね?」
白いスーツの男「生憎だが俺は占いなど信じない主義だ」
シャドウ「まあそう言わずに一枚…」

ジェネラルシャドウはカードの束を差し出す。
アポロガイストはその中から無造作に一枚を抜き出した。

シャドウ「ほう、これは面白い、ハートの8。
 運命の出会い、予期せぬ再会、待ち人来たる…といったところかな?」
白いスーツの男「待ち人来たる…だと?」
シャドウ「あ、そうそう、俺の仕入れた情報では、
 近々地上の人間共がここの捕虜を救出すべく、この海底基地への
 奇襲攻撃を計画しているとの事だ。あるいはその時にでも…。
 フフフフフッ……――トランプ・フェイド!!」

白いマントを翻し、その場から消えるジェネラルシャドウ。
アポロガイストは吐き捨てるように言う。

白いスーツの男「フン、ジェネラルシャドウ…食えない男だ」

469

○剣崎一真→北崎に破れ負傷。花形に介抱される。
○花形→北崎に破れ負傷した剣崎一真を介抱。彼に台湾へ向かい
 紅渡と合流するように指示を出す。
○滝和也→日本に到着。成田空港で出迎えた野上冴子と共に
 喫茶アミーゴに赴き、立花藤兵衛に接触。
○野上冴子→成田空港で滝和也を出迎えた後、共に喫茶アミーゴに
 赴き、立花藤兵衛に接触。
○立花藤兵衛→滝和也と久しぶりの再会。Gショッカー海底基地に
 囚われているグレートマジンガー&ゲッターチームの救出作戦に
 協力を要請すべく、仮面ライダーたちに繋ぎをつけることを承諾。
●スマートレディ→花形たちの動向を監視。
●魔魚将軍アンゴラス、悪霊将軍ハーディアス→Gショッカー海底基地に
 陣取っている模様。失脚中のアポロガイストを小馬鹿にしている。
●アポロガイスト→ヘドリアン女王の讒言によって、海底基地の
 捕虜収容所所長に降格させられている。
●死神クロノス→アポロガイストを迎えに現れ、現場復帰を説得中。
●ジェネラルシャドウ→アポロガイストの様子を見に現れる。


【今回の新規登場】
○花形=ゴートオルフェノク(仮面ライダー555)
 スマートブレインの元社長。自身を含めたオルフェノクの利益を
 代表する立場にあったが、オルフェノクの力に覚醒した人間が
 力に溺れて心を失っていく姿を目の当たりにして、人間のために
 オルフェノクは滅ぶべきとの考えに改める。村上一派を放逐し、
 木場勇治をスマートブレインの新社長に据えた。
 ヤギの特性を持つオルフェノクに変身し、時速310kmで疾走可能。
 巨大な建造物さえ破壊できる。

●魔魚将軍アンゴラス(グレートマジンガー)
 魚類型戦闘獣を率いるミケーネ7大将軍の一人。
 津波を起こすことができる。

●悪霊将軍ハーディアス(グレートマジンガー)
 悪霊型戦闘獣を率いるミケーネ7大将軍の一人。
 魔術や妖術を得意とする。

●アポロガイスト(仮面ライダーX/仮面ライダーディケイド)
 GOD秘密警察第一室長。大ショッカーの幹部としても暗躍。
 COD総司令からの信頼は大変厚く、唯一、総司令に意見できる特権を有する。
 普段は人間体の姿で怪人たちを一喝! 「アポロ・チェンジ!」の掛け声で
 怪人体に変身する。「迷惑な奴なのだ!」が口癖。 


『Gショッカー海底基地大乱戦』-2

作者・深海魚人デズル

470

***台湾海峡***

緊張関係にある中台両岸の領海境界線を、
潜航深度300~600mの深さで進む潜水艇。
その船体には、大きくB.A.B.E.L.と刻印されてある。

B.A.B.E.L.(バベル)とは、BAse of Backing Esp. Laboratory――
――日本語に訳すと『超能力支援研究局』の略である。
すなわちこの潜水艇は、日本政府の内務省特務機関である
バベルの所有するDSRV=深海救難艇バベル2。
そしてその艦内では、風見志郎=仮面ライダーV3、
結城丈二=ライダーマン、神敬介=仮面ライダーX、
山本大介=仮面ライダーアマゾン、城茂=仮面ライダーストロンガーら
5人の仮面ライダーが搭乗し、間近に迫る出撃に備え待機していた。

皆本「皆さん、まもなく目的地に到達です。
 そろそろ準備をお願いします」

眼鏡をかけた長身の青年――バベルの皆本光一二尉が
待機室にいるライダーたちに目的地への到着を伝える。

立花藤兵衛からの急遽連絡を受けたライダーたちは、
囚われのグレートマジンガー&ゲッターチームを救出すべく、
日本政府の手配でこのハベル2に乗り込み、
Gショッカー海底基地へと向かっていたのであった。

V3「こちらの準備はOKだ」
皆本「残念ですが我々がお送りで来るのはここまでです」
ストロンガー「しかしこれからどうするんだ?
 まさか潜水艦から出て、ここから泳いで敵さんの基地まで
 行けだなんて言うんじゃないだろうな?」
X「深海開発用改造人間である俺一人ならなんとかなるが…」
皆本「いえ、その点はご心配なく。そのサポートは彼女が――」

皆本の紹介で出て来たのは、中学生くらいの年頃の女の子。
バベルの青いベレー帽と制服で身を固め、黒いロングストレートヘア、
そして皆本と同じく眼鏡を着用している。

葵「仮面ライダーのおっちゃんたち、もう少し待っててな。
 今、ウチがあっという間に向こうまで送ってあげるさかい♪」
ライダーマン「この女の子が…?」
ストロンガー「こらこらお嬢ちゃん、いい男を5人も捕まえといて
 "おっちゃん"はないだろ"おっちゃん"は。せめてお兄さんと
 呼んでほしいもんだな」

関西弁を話す眼鏡の少女――野上葵は少しムッとした表情で反論する。

葵「ならおっちゃんもウチの事を"お嬢ちゃん"やのうて
 きちんと"レディ"と呼んでくれへんか! ウチは
 子供とちゃうんやで!!」
ストロンガー「レディ…ねぇ…」
皆本「こ、こらっ、葵! やめないか!」

皆本が慌てて制止する中、ストロンガー始めライダーたちは皆、
そのやりとりを見てやや苦笑するのであった。

471

***Gショッカー海底基地***

ここはGショッカー海底基地の警備本部に置かれている
ECMシステム管理センターである。
ECMとは超能力対抗措置(=Esp Counter Measure)の事であり、
ここから基地の周囲に人工的に強力なデジタル電波を発生させ、
超能力を中和し阻害、テレポーターなどの侵入を阻止しているのだ。

戦闘員A「おい、交代の時間だ」

オペレーションルームに交代要員が顔を出す。

戦闘員B「なに? まだ交代には時間が早いはずだが…」
戦闘員A「そうか、休憩に行かないのか。なら仕方がない」
戦闘員B「えっ!? ――ぐおっっ!??」

戦闘員Aはいきなり当身を食らわせ、見張りの戦闘員Bを
失神させた。そして自分のでべそを指先で押すと、
たちまちその戦闘員Aは赤い戦闘服に黄色いマフラーを纏った
禿げた頭の40代前後の中年の男の姿へと変化する。

002「終わったか007?」

オペレーションルームの入り口から、尖った長髪に大きな鼻が特徴の
若い青年が姿を現し、禿げ頭の中年男に話しかける。青年の方も
禿げた中年男と全く同じコスチュームを身につけている。

007「ああ、こっちはオッケーだ。早いトコ仕掛けちまおうぜ!」


***バベル2・艦内待機室***

何かが遠くで爆発したような振動を感じ取った。
室内のスピーカーに、操縦室からの緊急連絡が入る。

スピーカーからの声「やりました皆本さん!
 敵基地からECMの反応がなくなりました!」
葵「皆本はん!」

皆本は懐から携帯(=リミッター解禁装置)を取り出し構える。

皆本「行くぞ! 特務エスパー! ザ・チルドレン!
 野上葵! 解禁っ!!」

472

○皆本光一、野上葵→V3、ライダーマン、Xライダー、
 アマゾン、ストロンガーの5人の仮面ライダーを
 Gショッカー海底基地近くまでバベル2で送り届ける。
○V3、ライダーマン、Xライダー、アマゾン、ストロンガー
 →バベル2に乗り込み、Gショッカー海底基地に向かう。
○002、007→一足先にGショッカー海底基地に潜入し、
 事前に打ち合わせた手筈どおりにECMシステムを破壊。

【今回の新規登場】
○皆本光一二尉(絶対可憐チルドレン)
日本政府特務機関B.A.B.E.L.の特務エスパーチーム『ザ・チルドレン』の
現場運用主任。幼い頃から知能が高く、小学生の時に特別教育プログラム
へと進んだ天才児。優しく温厚、真面目で誠実だが、融通の利かない
堅物な一面もある。また掃除、炊事、洗濯、子守等の家庭的なスキルも高い。
対エスパー用の熱線銃『ブラスター』を所持している。

○野上葵(絶対可憐チルドレン)
日本政府特務機関B.A.B.E.L.の特務エスパーチーム『ザ・チルドレン』に
所属する、レベル7のテレポーター(瞬間移動能力者)。主に移動や
運搬手段を担うが、転送の応用で様々な間接攻撃も得意とする。
普段は他のチルドレンメンバーと同じく私立六条学院中等部に通学。
京都出身であるため、会話の際は関西弁を使用。近未来において、
『光速の女神(ライトスピード・ゴッデス)』と呼ばれ、人類に
反旗を翻すと予知されている。

○ジェット・リンク=002(サイボーグ009)
18歳のイタリア系アメリカ人。元々はニューヨークの下町ブロンクスに住む
ストリートギャングのリーダーだったが、ブラックゴーストに拉致され
戦闘用サイボーグに改造される。両脚にジェットブースターを内蔵、
マッハ5での飛行能力を持つ他、009のものよりは性能はやや劣るものの
加速装置も装備している。

○グレート・ブリテン=007(サイボーグ009)
英国の元有名舞台俳優で、47歳。酒で身を持ち崩していた所を
ブラックゴーストに目をつけられ、改造手術を施された。
でべそに仕込まれたスイッチを押すことで、
自身の細胞の分子配列を変化させることが出来る。
この機能を生かしてあらゆるものに変化する事が可能。
普段は006=張々湖が経営する「張々湖飯店」の共同オーナーとして
ウェイターをして働いている。 


『Gショッカー海底基地大乱戦―その頃、日本では』

作者・マザーメルザード

473

台湾海峡のGショッカー海底基地で、
囚われのゲッター&グレートマジンガーチームを救い出すべく
激戦が繰り広げられているその頃、日本の東京では……。

***EP党本部***

実は相手がゴルゴムの人間メンバーであるということを
知ってか知らずか――坂田龍三郎代議士が党首を務める
野党・EP党の本部を極秘訪問する民自党の大物・白河尚純。

坂田「…では我々EP党が本国会へと提出する内閣不信任案に
 民自党白河派が賛成すると?」
白河「その通りです。今は茅葺よう子が首相臨時代理を務めていますが、
 あなた方もあの剣桃太郎には相等の煮え湯を飲まされてきたはずだ。
 民自党を政権から下野させた後は、我々白河派が中心となって
 結成した新党とEP党、それに主民党を足して3党による
 連立政権を組みましょう」
坂田「その場合の首班は誰です?」
白河「主民党党首の鴨山さんが適任でしょう。彼ならば
 我々にとっても理想的な傀儡となってくれるはず。
 どうでしょう? 決して悪い話ではないと思いますがね」
坂田「確かに悪い話ではない……が、剣桃太郎が死んだとはいえ、
 まだ各界の指導層には他の男塾OBたちが残っている。
 そちらの方はどうなさるつもりですか?」
白河「フフフッ…その心配ならご無用。今日の夕方頃にTVのニュースを
 御覧なさい。きっと男塾の連中へのレクイエムが連続して流れていますよ」


***虎丸ファイナンス本社ビル・会長室***

虎丸「(電話で)……わかった。金のことなら任しておいてくれ。
 戦争となりゃまず先立つモノは軍資金だからな。このご時勢、銀行屋どもは
 アップアップだが、俺たち街金は絶好調だ。2~3百億なら
 いつでも用意できる。……ああわかった富樫。お前も気をつけてな。
 また連絡する」

受話器を置く男塾OB・虎丸龍次。

女秘書「なんですの会長、戦争がどうのこうのって?」
虎丸「フッフフ…この日本を乗っ取ろうとしている悪い奴らがいてな。
 そいつらをやっつけるために昔の仲間が集まったんだよ」
女秘書「またご冗談を。それよりも小包が届いております」
虎丸「あー、誰から?」
女秘書「開けてみますわ。どうせまた通販でいやらしいオモチャでも
 お買いになったんじゃ……」

女秘書が差出人不明の小包を開けようとしたその時……!!

虎丸「…ま、待て! やめろっ!!」


                ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
               /    '   / |
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              | γ ⌒ ⌒ `ヘl ll
              イ ""  ⌒ ) ヾ  ヾ
              / (  ミ ⌒ ,, ヽ )ヽ)
              (  イ  、;; ,ノ ヾ ) )
             ..ゞ (.  ミ  .  ノ. .ノ ノ...
              :::ゝ、、ゝ....'',,,,,|..., , ノソ:::::
              |l:::l:::l:::l:::l:::l:::l:::|::::::::|
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474

***毎朝新聞本社ビル・会議室***

藤堂「にわかには信じられんだろうが、今私が話したことは全て真実だ」

男塾OBの一人にして藤堂財閥総帥・藤堂豪毅が
重役たちを集めて事情を説明している。

藤堂「内閣総理大臣・剣桃太郎の暗殺も奴らの仕業。
 ロゴスの野望の手は、すでにこの日本に伸びている。
 新聞・テレビ・ラジオ・インターネット……我々の持つ企業体全ての
 メディアを使い、この事実を大衆に伝えねばならん。
 すでに破嵐財閥総帥・破嵐万丈、旋風寺財閥総帥・旋風寺舞人の両氏も、
 我々の動きに同調してくれている。全戦闘力をこれに結集するのだ。
 手遅れにならんうちにな!」
重役A「社長、お話の趣旨はわかりました。
 しかし地球教などという一介の宗教団体に果たして
 地球連邦政府をも動かす力が本当にあるのでしょうか?」
藤堂「奴らの力を侮ってはならん。地球教はティターンズやブルーコスモスをも
 その傘下に収めて異のままに操り、政治家や軍人を巧みに利用する。
 現に日本でも三輪防人や某大物国会議員と結託し、国家の中枢にまで
 入ろうとしている……」

ゴオオオオッッッ!!!!

藤堂「……!!」
重役B「なんだ…この音は?」

重役たちが一斉に音のする方向に振り返ると、
なんと窓の向こう側には武装ヘリコプターが!!

ズドドドドドッッッ!!!!!!!!!(銃声)

藤堂「な、なに――っ!?」
重役C「うわあああーっ!!」
重役D「助けてくれー! ぎゃあああーっ!!」

次々とヘリの機関銃で蜂の巣にされていく重役たち。
藤堂も負傷し額から血を流している。

藤堂「くっ…! ここだけではないはずだ!
 おそらく他の仲間たちも!!」


***都心某所***

富樫「江田島のオヤジのとこに戻る」
部下「行ってらっしゃいませ」

虎丸や藤堂が次々と敵の攻撃で負傷したとの急報を受け、
対策のため、急ぎ自分の車へと乗り込む富樫源次。

富樫「地球教の外道どもが!
 まさかこうも早く仕掛けてくるとは…!
 ゲッターチームたちを救出に向かった仮面ライダーたちが
 間に合ってくれるといいが――」

だが、富樫が車のエンジンキーを回した瞬間……


ドカアア――ンッッ!!!!

475

●白河尚純→EP党の坂田代議士と接触し、政権掌握の準備を進める。
●坂田龍三郎→白河尚純から、茅葺暫定内閣追い落としの誘いを受ける。
○虎丸龍次、藤堂豪毅、富樫源次→白河の放った刺客に次々と襲われ、瀕死の重傷を負う。

【今回の新規登場】
●坂田龍三郎(仮面ライダーBLACK)
衆議院議員で、EP党の党首。実は暗黒結社ゴルゴムの人間メンバー。 


『Gショッカー海底基地大乱戦』-3

作者・マザーメルザード

476

***Gショッカー海底基地***

Gショッカー海底基地は、突如予想外の敵の侵入により
大混乱へと陥っていた。

全身金色に覆われたキングフォームとなり、
重醒剣キングラウザーで敵の群れを切り裂くブレイド。
右脚の拘束をし開放、上空に飛び上がり繰り出す飛び蹴るように
勢いよくダークネスムーンブレイクを放つキバ。
次々となぎ倒されていくGショッカーの警備兵たち。
基地建物の外の海中でも、008=ピュンマが
敵の魚類型戦闘メカと激しい水中戦を展開している。

アンゴラス「これはどういうことだ!?」

アンゴラス、ハーディアス両将軍の腹部の顔は、
驚きと怒りで真っ赤になっている。

白いスーツの男「敵の襲撃についてはスマートブレインから
 警告の連絡があったはずだが?」
ハーディアス「フン、我ら誇り高き地下帝国軍は
 ショッカー正規軍の世話になどはならん!」
アンゴラス「アポロガイスト、貴様もボーッとしてないで
 出撃して防いで来い!」
白いスーツの男「いいだろう…」

一方、別のブロックでは、アギトがV3、ライダーマンと合流。
迫り来る敵をなぎ倒しながら、グレートマジンガー&ゲッターチームが
囚われていると思われる監獄区域へと向かい突き進んでいた。

V3「君が話に聞いていた俺たち以外の仮面ライダーか!?」
アギト「お久しぶりです! V3さん」
ライダーマン「…V3、知り合いか?」V3「……いや。…すまない、以前君にどこかで会ったことがあったかな?―― ――待て! もしかして君は!?」
最初は見知らぬ(と思っていた)相手に戸惑っていたV3であったが、徐々にV3の脳裏に、忘れかけていた記憶――時空を超えた邪眼との壮絶な戦いの出来事が甦ってきた。 V3「もしかして…アギト、君なのか!?」アギト「思い出してくれて嬉しいです!」V3「また再び君と一緒に戦う事になるとはな」アギト「またよろしくお願いします!」V3「こちらこそ!」
がっちりと握手を交わす三者。

477

***バベル2***

テレポートによるライダーたちの基地への転送を終えた
葵が無事に帰還してきた。

葵「皆本はん、無事に全員送ってきたで」
皆本「よし、ではこれよりこの海域から離脱するぞ」

???「えーっ! もう帰っちゃうの?」
???「なんかつまらないわね…」

背後の方で何やら普段から聞き覚えのある声がした。
驚いた皆本と葵が振り向くとそこには、一人は赤毛のセミロング、
そしてもう一人はやや紫を帯びた銀色の髪をした、
葵と同じ年頃で、全く同じ制服姿の二人の少女が立っていた。

葵「薫!? 紫穂!?」
皆本「いつの間にそこに!?」
薫「えっへへー、こっそりついて来ちゃった♪」
紫穂「葵ちゃんだけ抜け駆けして、皆本さんと二人きりになろうとしても
 そうは問屋が卸さないわよ」
葵「ぬ、抜け駆けやなんて、そんな訳ないやんか。
 ハ…ハハハハハ……(汗。(――チッ!!)」
皆本「やれやれ…お前たちと来たら」
薫「それよりも皆本、本当にもう帰っちゃうの?」
皆本「ああ、僕たちの任務は終わった」
紫穂「でも仮面ライダーさんたち、帰りはどうするの?」
皆本「それなら心配ない。別の潜水艦が迎えに来る事に
 なっている」
薫「でも他のみんなが必死に戦ってるのに、あたしたちだけ
 知らんフリして安全な所にいるだなんて…正直ヤダな」
葵「本音を言えばウチも同感。ただ人を戦地に運んでハイ終わりだなんて、
 どうにもスッキリせえへんわ。ウチらは特務エスパーやで!」
皆本「この海域は軍事的な緊張地帯。日本政府が彼らを
 支援できるのはギリギリここまでなんだ。解ってくれ」

その時、皆本の胸ポケットの携帯が鳴った。
携帯を取り出し電話に出る皆本。

皆本「ハイもしもし、皆本です。――管理官!?
 …し、しかしですねえ!」
電話の声「構わないから薫ちゃんたちの好きなように
 やらせなさい。数多くの悪の組織と戦い抜いてきた
 歴戦の勇士達の戦いぶりを間近で見るのも、
 3人にとっては得るものが大きいはずよ」
皆本「わかりました」
電話の声「ま、いざとなれば桐壺クンを人身御供にして
 北京に差し出せば済む事だし♪」
皆本「………(汗」


***東京 B.A.B.E.L.本部・局長室***

桐壺「ふぇぇくしょぉぉぉんんんんん!!!!!」

いきなり景気よくくしゃみをするB.A.B.E.L.の局長・桐壷帝三。

朧「あら、どうなさいました局長? お風邪ですか?」
桐壷「…な、なぜか物凄く不吉な悪寒がする。(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」

478

***バベル2***

薫「今のばーちゃんから?」
紫穂「管理官は何て?」
皆本「管理官から正式に許可が出た。僕たちもグレートマジンガーと
 ゲッターロボのパイロットを救出すべく、仮面ライダー並びに
 00ナンバーサイボーグたちを援護する!」
薫「そうこなくっちゃっ!!
皆本「葵、僕たち4人まとめて転送は出来るか?」
葵「うん、どんと任しとき♪」
皆本「…よし、では改めて!
 特務エスパー、ザ・チルドレンッ! 解禁!!」


***Gショッカー海底基地***

海底基地では戦いが続いていた。

005「ウオォォォ―――ッッ!!!!!!!!!」

005=G・ジュニアが千人力の怪力で戦闘獣を持ち上げ投げ飛ばし、
002=ジェットもマッハ5の超スピードで基地内を飛び回り、敵を翻弄する。

006「さてと、わての出番ネ」

今度は006=張々湖が灼熱の火炎を口から吹き、敵の群れにお見舞いする。
その時、崩壊した区画の壁や天井の残骸が00ナンバーたちめがけて落ちてくる。

006「――ゲッ!! ヤバいネ! ちと暴れすぎたのコトよ!?」

落下してきた残骸に押しつぶされるかに思われたその時――!

薫「念動(サイキック)ううう――白羽取り!!」

突然現れた赤毛の少女――明石薫がサイキックパワーで
残骸を受け止め、振り払った。

薫「へへーん♪ どんなもんだい!」
006「ふぅー、死ぬかと思ったネ」
002「おいおい、バベルの特務エスパーなら
 もうとっとと帰ったんじゃなかったのか?」
006「なにはともあれ助かったのコトよ。
 アナタ可愛らしいのになかなかヤルネ。謝謝」
004「…のんきに感謝に浸っている暇はなさそうだぞ。
 新たな敵さんのお出ましだ」

004=アルベルト・ハインリヒは右ひざを折り曲げ、
大腿部に内蔵されているマイクロミサイルの発射態勢に入る。

薫「へぇー、かっこいいじゃん」

薫の何気ないその一言に反応した004は、薫を鋭く睨みつける。

004「見世物じゃない」
薫「……え!?」

004の右ひざから発射されたマイクロミサイルは、
新たに迫ってきた敵ロボット兵たちを粉砕する。

004「行くぞ!」
薫「……(何もそんな怖い顔しなくたって…)」

479

敵に鹵獲されているであろうグレートマジンガーとゲッターロボの機体を
奪還すべく、格納庫に突入して戦うファイズとストロンガー。

 / /
  ((∥ ) )
  (日日 )つ Exeed Charge
  │[二|二]
  []_(__)

             //
           ((∥ ) )
          ⊂日日 )G
          / /,_)
         []___)
     ∵//∴
    ∴//∵ ビュィーッ
  ∵//∴
∴//∴
//∴
/∵





                 / /
             ∴/ ((∥ ) ) /∵
            ∴⊂日日 )G∵ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           ∴/ 彡彡彡 /∵<おりゃぁぁぁぁぁ!!!
      八   ∴/彡彡彡/∵   \_______
      /∂ヽ ∴/彡彡/∵
    (( 〈∬∫∵/彡/∴
   _(;゜∀ ∴//∵
   \ ∬∫∵  ズゴオオオオオオオン!!
   丿丿丿ゞゝゝ
 ((( 丿川川川 ゝゝ ))
  (( (___)__) ))

   ビシュイィーン
      //二二二
    ((∥ ) )二二
   ⊂日日 )G二
   / /,_) 二
  []___)二二二二
       八
       /∂ヽ___/
   /   〈∬∫〉  /ヽ
  / _(;゜∀゜)/   ヽ ビシュイィ・・・ィィィン
 │ \ ∬∫/     │
 │  丿 /丿ゞゝゝ/
  ヽ 丿/川川川ゝ/
  ヽ/(___)_/)
 /

敵怪人「ギャアア……Gショッカー……万歳~~っ!!」
(爆発──消滅)

ストロンガー「どうやら吹っ切れて、再び戦う覚悟は出来たようだな?」
ファイズ「…あんたは?……前にどこかで会ったか??」
ストロンガー「フッ、まあそんな事はどうでもいい。
 今はそれよりもあいつの方が先だ」

格納されていたグレートマジンガーやゲッターチームの機体を発見し、
よじ登ってコクピットの中へと入るストロンガーとファイズであったが――。

ファイズ「どうやって操縦する?」
ストロンガー「…ダメだ。さすがの俺にもチンプンカンプンだ。
 全く訳がわからん!」

紫穂「私に任せて」

ストロンガー「――!!」
ファイズ「――!!」

いきなり現れた銀髪の少女――三宮紫穂に驚くファイズとストロンガーの二人。

ファイズ「――お前は!?」
ストロンガー「その制服…あの眼鏡のお嬢ちゃんの仲間か」
紫穂「ちょっと失礼」
ファイズ「…お、おい」

紫穂は操縦桿に軽く手を触れタッチしてみる。

480

一方その頃、別ブロックでは、白いスーツ姿の人間体アポロガイストと
灰色の老人姿の死神クロノスが、戦いの様子を傍観していた。

灰色の老人「阻止せんでいいのか?」
白いスーツの男「………」

アポロガイストは無視するつもりでいた。スマートブレインから
事前に通報があったにも関わらず、敵の侵入を防げなかったのは
明らかにアンゴラスとハーディアスの責任。もしあの二人に
万が一のことがあろうとも自分には関係のないこと――と思っていたその時、
アポロガイストは敵の先頭を走る、銀の仮面に赤いプロテクターを
身につけた存在に気がついた。

白いスーツの男「まさか……な」

彼の薄い唇が、驚きのために微かに開かれる。
そしてしばらくして、その口元に冷たく鋭い微笑が浮かんだ。

白いスーツの男「気が変わった。敵の侵入部隊を討つぞ!」
灰色の老人「…???」

突然アポロガイストの様子が変わり、しかも彼があまりにも
嬉しそうだったので、死神クロノスは何事だろうと驚き怪訝に思った。
アポロガイストの双眸が刃物のように細く引き締められていた。
残酷な喜びを称えながら、黒い瞳が一人の男を追いかけ続けていた。
その男の名は、神敬介。またの名を仮面ライダーXといった。

481

○仮面ライダーアギト、仮面ライダーファイズ、仮面ライダーブレイド、仮面ライダーキバ →昭和ライダーや00ナンバーサイボーグたちと合流し、各々敵と交戦。

○仮面ライダーV3、ライダーマン→仮面ライダーアギトと合流。

○仮面ライダーストロンガー→仮面ライダーファイズ、三宮紫穂と合流。
○皆本光一、野上葵→即時離脱・帰還の予定を変更し、Gショッカー海底基地で参戦。

○明石薫→00ナンバーサイボーグたちと合流。つい004の前で失言。

○三宮紫穂→グレートマジンガーやゲッターチームの期待が鹵獲されている格納庫で ストロンガー、ファイズと合流。

○002、004、005、006→明石薫と合流。
●アポロガイスト→戦場でXライダーの姿を発見。

【今回の新規登場】
○004=アルベルト・ハインリヒ(サイボーグ009)
 30歳のドイツ人。全身武器の戦闘用サイボーグ。
 右手の五指は6ミリマシンガン、左手の指はダーツ型手裏剣、
 左手側面はレーザーナイフ、眼球は狙撃能力を強化した照準眼、
 大腿部にマイクロミサイルを装備。戦闘時は最前線で戦うことを主とするが、
 001=イワンの睡眠時には彼に代わりチームの参謀役としても活躍する。

○005=ジェロニモ・ジュニア(サイボーグ009)
 27歳のアメリカ・インディアン。非常に大柄で、髪型はモヒカン。
 砲弾にも耐える強固な装甲皮膚と、1000万馬力の怪力を持つ。
 またサイボーグとしての能力とは別に、元々シャーマンのように
 自然の声を感じ取ることが出来、動物や精霊と会話を交わしたり
 することができる。

○006=張々湖(サイボーグ009)
 42歳の中国・広東省出身。あだ名は「もぐら」。どんなときでも
 マイペースなムードメーカー。背が低く丸々した体型、
 小さな目と丸い大きな鼻、端が丸まった八の字髭が特徴。
 体内に高圧縮エネルギー炉を内蔵し、高熱火炎を口から放射する能力を持つ。
 地面をも溶かせ、地中行動も可能。普段は日本で中華料理店
 「中華飯店 張々湖」のオーナーシェフを務める。
 他の皆からは「張大人」と呼ばれている。

○008=ピュンマ(サイボーグ009)
 22歳のアフリカ・ムアンバ共和国出身の黒人青年。
 深海活動用に改造されたため、水の中で素早く活動できる推進能力や
 人工のえら、深海の水圧をはじめとする高重圧環境に耐える皮膚と内臓を持つ。
 元ゲリラ組織の闘士であり戦闘のプロ。普段は祖国でパークレンジャー
 (公園管理官)を務めながら、ボランティア活動などに従事している。
 
○津上翔一=仮面ライダーアギト(仮面ライダーアギト)
 記憶を失って倒れていたところを保護され、心理学者・美杉義彦教授の家に
 居候していた青年。津上翔一とは記憶喪失中に仮に名付けられた名であり、
 本名は沢木哲也と言う。変身ベルト・オルタリングによりアギトへと変身する。

○紅渡=仮面ライダーキバ(仮面ライダーキバ)
 人間とファンガイアのハーフで、ファンガイアクィーンである母・真夜から
 「黄金のキバ」の鎧とキャッスルドランを授かっている。ずっとゴミ屋敷に
 引き篭もって暮らしていたが、演奏家の間では隠れた凄腕と称される
 バイオリン職人で、父・音也の遺した名器「ブラッディ・ローズ」を
 超えるバイオリンを作るために試行錯誤を繰り返している。
 人間とファンガイア両種族の共存のために戦う。

○明石薫(絶対可憐チルドレン)
 日本政府特務機関B.A.B.E.L.の特務エスパーチーム『ザ・チルドレン』に
 所属する、レベル7の念動能力者(サイコキノ)。女優の明石秋江を母に、
 グラビアアイドルの好美を姉に持つ。短期でワガママだが、正義感溢れる
 男前な性格。なぜかオッサン趣味で、美女を見かけるとセクハラを働く。
 普段は他のチルドレンメンバーと同じく私立六条学院中等部に通学。
 近未来において『破壊の女王(クィーン・オブ・カタストロフィー)』
 と呼ばれ、人類に反旗を翻すと予知されている。

○三宮紫穂(絶対可憐チルドレン)
 日本政府特務機関B.A.B.E.L.の特務エスパーチーム『ザ・チルドレン』に
 所属する、レベル7の接触感応能力者(サイコメトラー)。
 三宮警察庁長官の一人娘。普段は他のチルドレンメンバーと同じく
 私立六条学院中等部に通学。近未来において『禁断の女帝(アンタッチャブル・
 エンプレス)』と呼ばれ、人類に反旗を翻すと予知されている。

○桐壷帝三(絶対可憐チルドレン)
 日本政府特務機関B.A.B.E.L.の局長。チルドレンを溺愛しており、
 何があっても彼女たちを甘やかすことを信条としており、時にウザイ。

○柏木朧一尉(絶対可憐チルドレン)
 桐壷局長の側に常につき従う、年齢不詳の美人秘書官。 


『Gショッカー海底基地大乱戦―その頃、北京、そしてマリネラでは』

作者・マザーメルザード

482

***中国・北京 人民大会堂・国家主席室***

人民軍幹部「台湾海峡において哨戒任務に出ていた、
 我が人民解放軍の原子力潜水艦が密かに撮影した映像です」

台湾海峡での不穏な動きをもう素早く察知した
中国海軍幹部から数枚の写真を見せられ、
説明を受ける陳恩来・中華人民共和国国家主席。

人民軍幹部「これに写っている潜水艇は、日帝の特務機関に
 所属しているものであると、当方の調査にて既に判明しております」
陳恩来「………」
人民軍幹部「これは台湾問題を一気に武力解決する好機です。
 直ちに日帝の駐中大使を呼びつけ、厳重に抗議すべきであります。
 不埒な日帝の奴らを恫喝してやりましょう。陳同志、ご決断を!」
陳恩来「待て、この件はしばらく私が預かる」
人民軍幹部「…は?」

「しばらく私が預かる」とは、この件は表沙汰にせず、
あいまいなまま先送りにしてうやむやにするという事である。

人民軍幹部「し、しかし…!」
陳恩来「既に党の決定は下ったのだ! 同志、下がりたまえ!」
人民軍幹部「は、はい…!」

言われるままに退室した人民軍幹部と入れ替わりに、
一人の白髪(にしては外見の年齢は20代くらいと、かなり若く見える)の、
高貴な生まれの雰囲気ながら、やたら色気を振りまいているようにも見える
女性が別のドアから入ってくる。どうやら日本人のようである。

陳恩来「…や、やあ不二子ちゃん」
不二子「お取り計らい、感謝しますわ陳主席」
陳恩来「た、頼む。あの事は女房には黙っててくれ」
不二子「ええ、それは勿論。ウフフッ…♪」

483

***同大会堂・主席室前廊下***

要件を終え、退室して出たうら若き日本人女性――
――B.A.B.E.L.管理官・蕾見不二子を、廊下で中年の眼鏡をかけた
一人の中国人の男(その制服からして、彼も人民解放軍の将校の
ようだ)が待ち受けていた。

楊龍里「主席とのお話は終わりましたか?」
不二子「主席へのお取次ぎを手配してくださって感謝してるわ、楊博士」
楊龍里「お礼には及びません。中台問題について、我が国の方針は
 目下の所現状の維持であり、無闇に事を荒立てる意向はありません。
 これは台湾当局側とて同じのはず。それにGショッカーなどという
 輩には、速やかに我が共和国の領海から退去してもらわねば
 なりませんからな」
不二子「………」楊龍里「これで軍内部のはねっかえり共も当面は大人しくしているでしょう。 その代わり台湾側への根回しはよろしくお願いしますよ」不二子「ええ、それは任しといて」
楊龍里「しかしよく陳主席の弱みをご存知で?
 あの件は党の上層部の中でも限られたごく一部の者しか
 しらない筈ですが…」
不二子「ああ、それはね――」

その時、不二子の携帯が鳴った。

不二子「ちょっと失礼」

不二子は楊博士の前で携帯を取り出し電話に出る。

不二子「もしもし…あー、パタリロくん?」

484

***常春の国マリネラ***

フロリダ半島の先端と、大西洋にあるプエルトリコ、
バミューダ諸島を結んだ三角形の海域――所謂"魔の海域"と名高い
バミューダ・トライアングルのど真ん中にある温暖な気候の島国マリネラ。
(遠方から見た島影がどことなく佐渡島に似ているが、気のせいであり
全く関係はない!)

そのマリネラ王宮の国王執務室では、どこから見てもつぶれ餡饅にしか
見えない、ズングリムックリな体型の子供が偉そうに椅子にふんぞり返り、
電話を片手に誰かと話していた。

この顔面フマキラーとも言うべき少年こそ誰あろう、
マリネラ王国の現国王、パタリロ・ド・マリネール8世その人である。

パタリロ「やあー不二子ちゃん。主席との話は終わったか?」
不二子@電話の声「あなたが陳主席の秘密をいろいろと
 教えてくれたおかげよ」
パタリロ「どういたしまして」
不二子@電話の声「でもよく陳主席に同●●年愛の気があるだなんて
 知ってたわね?」
パタリロ「あの主席にはその昔エライ目に遭わされた…」

パタリロはボソッとか細い声で呟く。

不二子@電話の声「…えっ? 何か言った? 電波が遠くて
 よく聞こえないんだけどぉー?」
パタリロ「いや、こっちの話だ。気にせんでくれ。
 それよりもさっきホワイトハウスから連絡があったが、
 例のティターンズの不正を暴くための証拠固めも
 順調に進んでいるらしい」
不二子@電話の声「それはよかったわ」
パタリロ「そっちの方も作戦が無事に成功するよう
 幸運を祈る!」

485

△陳恩来→自分の弱みを握る蕾見不二子に脅され、
 台湾海峡で日本の特務機関(B.A.B.E.L.)が活動した件に目を瞑る。
○蕾見不二子→中国の陳恩来主席に直談判し、台湾海峡での
 戦闘に対して、国際間で事を荒立てないよう認めさせる。
○楊龍里→蕾見不二子と陳恩来主席の会見を取り次ぐ。
○パタリロ・ド・マリネール→陳恩来の秘密を
 事前に蕾見不二子に教えていた。

【今回の新規登場】
△陳恩来(パタリロ!)
 中華人民共和国(原作では中国語を話す某大国)国家主席。中国共産党総書記。
 実は●性少●愛の趣味がある。以前国際電話が混線した際に、偶然パタリロと
 知り合った。英国との接近を嫌ったソ連KGBから命を狙われた事もある。

○蕾見不二子(絶対可憐チルドレン)
 日本政府特務機関B.A.B.E.L.の管理官。政財界にも影響力を持つ。
 第二次世界大戦時に帝国陸軍特務超能部隊を支援していた蕾見男爵家の
 令嬢であり、自身も超度7同様のパワーも発揮する事ができる複合能力者。
 他人の生命エネルギーを吸収し、その副作用で若さを保っている。

○楊龍里博士(勇者王ガオガイガー)
 中国人民解放軍科学院・航空星際部の司令であり、風龍と雷龍の
 開発責任者。以前はGGGと張り合い、風龍と雷龍の2体の事も
 純粋な軍事兵器としてしか見ていなかったが、後に考えを改め、
 GGGのよき理解者となる。国連からGGG追討を命じられた際には、
 命令どおり彼らを追撃するように装いながらも、上手く逃がすなどの
 心意気も見られる。妻・メイリンとの間に生まれたばかりの子供が一人いる。

○パタリロ・ド・マリネール8世(パタリロ!)
 常春の国マリネラの少年国王。9歳で大学を卒業した超天才だが、
 人をおちょくることを趣味とする傍若無人な性格。数々の組織に
 命を狙われながらも、ギャグと暴走的な行動力で乗り切る
 ゴキブリ並のしぶとさを持つ。糖尿病・高血圧と成人病の塊。


『Gショッカー海底基地大乱戦』-4

作者・マザーメルザード

486

***Gショッカー海底基地・監獄区***

ここはGショッカー海底基地内の捕虜や奴隷を拘禁しておく
捕虜収容所の監獄区域である。

003「こっちよ、急いで!」

フランソワーズ・アルヌール=003の持つ超感覚能力を頼りに、
グレートマジンガー&ゲッターチームたちが囚われている場所を探し出す。

009「ここか!」
リョウ「君たちは!?」
ハヤト「さっきから妙に騒がしいと思っていたら、
 やれやれ…ようやく救援のご到着か」
009「今開けます! 危ないから扉から離れて!」

009は装備しているスーパーガンで重い鉄格子の扉を閉ざす
錠を撃ち抜こうとするが、いくら撃っても特殊な超合金製の錠は
ビクともしない。

009「ダメだ…ビクともしない」
葵「ウチに任しとき!」

葵は鉄格子の向こう側に瞬間テレポートした。

鉄也「――なっ!?」
葵「エッヘヘ…鍵なんて瞬間移動能力の前には無意味やで!
 さああんちゃんたち、しっかりウチにつかまって!」
リョウ「よし、みんな! 彼女につかまるんだ!」

葵の力で牢屋の中にいた鉄也や竜馬たちは全員脱出した。

ベンケイ「ふぅ~やっと牢屋の外に出られたぜ」
ムサシ「だがこれからどうする? 俺たちの機体は?」

ストロンガー「そいつなら心配無用だ!」

487

突然したストロンガーの声に反応した鉄也達は、
監獄区からすぐ近くの、巨大ロボットも出入りできるような
広い区画へと出た。そこには既にグレートマジンガーと
2体のゲッターロボが運び込まれていたのだった。

ハヤト「こいつは驚いたな…」
鉄也「しかしどうやってここまで操縦できたんだ!?」
ストロンガー「そいつはこちらのお嬢ちゃんが
 教えてくれたんだ」
紫穂「……( ̄ー ̄)ニッコリ」

ストロンガーに紹介された紫穂が隣りでニッコリと笑っている。

ムサシ「この中学生くらいのお嬢ちゃんが!?
 冗談だろ…!」
葵「紫穂はレベル7の接触感応能力者やからな。
 難しいメカの扱い方を読み取ったりするのも朝飯前や」
リョウ「ともかくありがたい。これですぐに戦える!」

ストロンガー「……(しかし改造人間の変身した身体でも
 ここまで運ぶだけで相当しんどかった。彼らはこんな
 化け物みたいな機体を、生身の肉体でいつも操縦しているのか。
 大したものだ…)」
ファイズ「………」

ストロンガーとファイズが感心している中、
葵はふと、003がさっきからずっと抱えている赤ん坊が
気になり問うて見る。

葵「ねぇ…ところでその赤ちゃんは?
 アカンやないの! こんな危ないところに
 赤ん坊を連れてくるなんて!」
003「…え? ああ、大丈夫よ。この子は001といって――」

そこへちょうど、別行動を取っていたV3たちが
やって来て合流する。

V3「捕虜収容区画に囚われていた別の連邦軍捕虜や
 一般の人々も全員無事に救出した!」
皆本「基地内の各所にも爆弾をセットしました」
009「ならもうここに長居は無用だ」
002「まだ他の場所にいるXライダーやアマゾンとも連絡して
 とっととずらかるとしようぜ」

しかし、その時――!!

ハーディアス「残念ながらそうはいかん!」
アンゴラス「貴様ら全員ここから生きては帰さんぞ!!」

488

一方その頃、捕虜の救出に向かったチームから敵の目を避けるため
他の皆から一人離れて事実上囮となる形で、アマゾンライダーとも手分けし、遊撃手として基地内の各所を順に暴れまわっていたXライダーは、思いがけぬ相手と再会を果たしていた。

Xライダー「そんな馬鹿な…」

目の前に立つ白いスーツを着込んだスマートな男。
灼熱の太陽のような気迫を常に発しながら、
まるで氷の彫像のような、その鋭く冷たい瞳だけは
忘れようにも忘れられなかった。

Xライダー「アポロガイスト…!」
白いスーツの男「久しいなXライダー。アポロン第2宮殿での
 戦い以来か…」
Xライダー「やはり貴様も黄泉がえっていたか!」
白いスーツの男「その通り、再び地獄の底から甦ってきた。
 そして生き恥を晒している。しかし生き返ってもみるものだな。
 こんな楽しい偶然に出会う事も出来るのだから。
 ――アポロ・チェンジ!!」

白いスーツの男はポーズを取ると、たちまち青白い炎が全身を覆い、
真紅の鉄仮面に白マントの怪人体へと変貌した!
                        _
               ,ィ、__  ,.ィ´  {‐-、    __,.-≦ア
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                   `i!::::i}.,.l ,/:,' ::::i!:,イ   ,ィ;、      //(:::丶 
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            f'´         ¨ ̄ ̄¨    | :l:::::::::::`ーァ≦三>'´   
            ゞ-―-、__    /廴,     l  !::::::o:;ィ≦三,ヘ.     
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          /    /:::::::/:::::::::γ' : :|::::jヽ::゙ ̄ ̄≧/,三,/.:/::::::::::::::ヽ
           /   ,イ_,j::::::/:::::::::::/::::::::::l::::|:::::`ー-‐'ア/_三/\,'ヽ::::::::::,ィ≦::::
        /  ,イ,='/::::_ノ:ヾ::::::/:::::::/i::::',:::::: :o::://三_/: ::: :\:ヾ/:::::::::::
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       ,/  /::::::::::: :|:::::::::::|::/!廴;':::::::::::::\_≧'/三_三_,\::::::/::::::::::::::::::::
        ', ,/:::::::::::::: :!:::::::::::!'_,j 丶 `=--=':  ̄アヽr―--;./_ヾ,' :::::≦`ヽ'ー
       )': :::::::::::: :/ヽ:::::::::::::::',:::::`ー-=--‐'" ,イ:l`ー--==ン:,':::::::::::::::`ヽ,ゞ'

アポロガイスト「………」

その姿はXライダーの知る以前の再生アポロガイストとはやや異なり、
頭部に青いステンドグラス状の紋章が刻まれていた。

Xライダー「アポロガイスト、その姿は!?」
アポロガイスト「聞けXライダー! 俺はもはや貴様のパーフェクターなど
 必要としない完全無欠の存在、スーパーアポロガイストだ!」
Xライダー「スーパーアポロガイスト!?」
アポロガイスト「今の俺は、宇宙で最も迷惑な存在なのだ!
 さあ、手合わせといこう。今度はあの時のようにはいかんぞ」

489

細身の剣アポロフルーレを抜くアポロガイスト。
Xライダーもライドルを構え、一気に間合いをつめる。

アポロガイスト「………」
Xライダー「………」

矢継ぎ早にライドルを繰り出すXライダー。相手を牽制しつつ、
その間に隙を見出すためだ。しかしアポロガイストは隙を見せるどころか
Xライダーの攻撃の合間を縫って、強力な一撃を見舞ってきた!
Xライダーはそれを渾身の力で受け止め、歯を食いしばる。

アポロガイスト「あの時より、また腕を上げたな。
 しかし、その程度の腕ではまだまだ俺には勝てん!!」

アポロガイストは勝利を確信したような瞳で、今度は嵐のような
攻撃を始めた。アポロフルーレを恐ろしい速度で振り回す。
Xライダーは後方へと下がりながら必死に反撃の機会を伺う。
アポロガイストの方も仮面の中に隠された表情ほど余裕がある
訳でもなかった。細心の注意を払い、相手の武器を受け止め、受け流す。
少しでも気を抜いた方が命を落す。そんな状態がしばらく続いた。

Xライダーはライドルの先を前に出し、身体ごとぶつかっていくような
捨て身の突きを見舞った。アポロガイストはその突きを待っていた。
とっさの判断でアポロフルーレを投げ捨てると、身体をのけぞらせた。
アポロガイストの額すれすれに、Xライダーのライドルが通り過ぎていった。
アポロガイストはスーパーアポロショットを抜き、それをXライダーの
首筋に一瞬押し当てた。Xライダーはアポロガイストを突き飛ばすと
地面に転げた。そして数歩離れた場所で立ち上がった。
アポロガイストもほぼ同時に立ち上がる。

アポロガイスト「こんなところかな…」

アポロガイストは休戦を申し入れるように銃を収めた。

Xライダー「なぜ…」

Xライダーは目の前が真っ暗になるような恥辱に襲われた。
――負けたのだ。アポロガイストはXライダーの首筋に銃口を押し当てた
あの瞬間に、Xライダーの首を吹き飛ばす事が容易に出来たはずなのだ。
しかし彼はあえてそれをしなかった。

アポロガイスト「礼だよ。再びこの俺に戦場での生きがいを与えてくれた
 お前に対してのな…」
Xライダー「………」

その時、遠い方向から大きな爆発音が聞こえた。

アポロガイスト「もはやこの基地の攻防戦の決着もついたようだな。
 残念ながら我が軍の負けらしい。だが次はこうはいかんぞ」

アポロガイストは白マントを翻すと、基地内で燃え広がる
炎の中に消えていった。

490

***同基地内***

リョウ@ゲッタードラゴン「くらえ、ゲッタービーム!!」
鉄也@グレートマジンガー「グレートブースター!!」

アンゴラス「ぐあああっっ!!!!!」
ハーディアス「ぎゃああああっっ!!!!!」

戦線復帰したグレートマジンガー&ゲッターの前に
ついに敗れるミケーネの両将軍。

アンゴラス「さすがはグレートマジンガーにゲッターよ…。
 よくぞ我らを倒した…」
ハーディアス「だが一足遅かったな…。すでにこの基地の主力部隊は
 日本へ向けて飛び立った後よ…」
皆本「なんだって!?」
V3「すると今頃日本は――!!」
アンゴラス「くっくっく…火の海だろうな。お前たちも一足先に
 地獄で仲間を待っているがいい…」
009「なにっ!?」
ハーディアス「お前たち全員道連れだ! この基地と共に
 暗く冷たい海の底に沈むがいい!!」

                               ヽ`
                              ´
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  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
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491

***台湾海峡・上空***

海底基地の最期は海の上からも確認できた。じっと上空から
海面を眺めているアポロガイストと死神クロノス。

クロノス「敗軍の将と言う割には、随分と機嫌がよいようじゃな?」
アポロガイスト「………」

アポロガイストの顔を覗き込みながら話しかけるクロノスの問いに、
彼はただ黙って冷たく微笑んでいるようであった。

クロノス「だがあの有様では基地に侵入した賊共も
 誰一人として生きてはいまい。無論、Xライダーもな…」
アポロガイスト「いや、仮にも神敬介――仮面ライダーX、
 この俺以外の者の手にかかって死ぬはずはない」

アポロガイストは確信をもって言い放った。

クロノス「…で、これからどうする?」
アポロガイスト「無論、無幻城へ帰還する。秘密警察を半ば私物化している
 女狐共にもそろそろ思い知らせてやらねばなるまい」
クロノス「くくくっ…お供しますぞ。Gショッカー秘密警察の新長官殿!」


***戦艦ネオムサイ・艦橋***

ここは日本攻略へ向かう途上の、
Gショッカー地下帝国軍、ガルマ・ザビ率いる機甲軍団の
旗艦ネオムサイの司令室である。

スカール「我がブラックゴーストが精力を尽くして開発した
 レオゲルググはお気に召していただけたかな?」
ガルマ「悪くはない。これが一年戦争の時に我がジオンにあれば
 連邦如きに遅れはとらなかったであろうに」

ガルマと話している、骸骨の仮面を被った謎の男スカール――
――この男こそ、島村ジョーたち9人に改造手術を施し
戦闘用サイボーグに仕立て上げた死の商人組織『黒い幽霊団
(ブラックゴースト)』の総帥である。

スカール「海底基地は全滅したそうですな」
ガルマ「フン、所詮アンゴラスやハーディアスなどは
 もはや当て馬に過ぎん。今の地下帝国軍は、
 暗黒大将軍が新たに召集なされた、
 我ら新生7代将軍こそが真の主力なのだ」
スカール「しかしゼロゼロナンバーサイボーグの雑魚共は
 ともかくとして、日本の超度7の特務エスパーの小娘達…。
 ブラック・ファントムから聞いてはいたが、なかなか恐るべき
 能力の持ち主のようだ。出来ればこちらも
 もう少し独自のデータを採取しておきたかったが…」
ガルマ「ブラック・ファントムだと…? 同じ"黒い幽霊"という
 意味ではないか。お前たちブラックゴーストと何か関わりでも
 あるのか?」
スカール「さあて、それはどうでしょうかな」

スカールは不敵に笑い、話をはぐらかす。

副官「ガルマ様、まもなく東京湾上空に到達します。札幌、仙台、
 名古屋、大阪、博多、那覇への攻撃準備も完了しました」
ガルマ「よし……東京では私も出る。……時空魔法陣発動、総員攻撃準備!!」

492

○剣鉄也、流竜馬、神隼人、車弁慶、巴武蔵
 →Gショッカー海底基地内の牢から救出される。
 その後アンゴラスとハーディアスを撃破するが、
 海底基地爆発に巻き込まれる。
○仮面ライダーV3、ライダーマン、仮面ライダーアマゾン、
 仮面ライダーストロンガー、仮面ライダーアギト、仮面ライダーファイズ、
 仮面ライダーブレイド、仮面ライダーキバ、009、001、002、003、004、
 005、006、007、008、皆本光一、明石薫、野上葵、三宮紫穂
 →Gショッカー海底基地の監獄から捕虜を救出する。
 しかしその後、海底基地の爆発に巻き込まれる。
○仮面ライダーX→アポロガイストと対決し、敗北する…。
●アポロガイスト→完全復活。GODの殺人マシーンの健在振りを
 見せ付ける。Xライダーに勝利するが、わざと止めは刺さず…。
●魔魚将軍アンゴラス、悪霊将軍ハーディアス
 →グレートマジンガー&ゲッターチームと戦い戦死。
 しかし、海底基地と共に相手を道連れに自爆を謀る。
●死神クロノス→海底基地の最期を見届け、アポロガイストと共に
 無幻城に帰還する。
●ガルマ・ザビ→機甲軍団を率い東京湾上空に到着。日本侵攻作戦を開始する。
●スカール→ガルマに新兵器レオゲルググを提供。自身の組織(ブラックゴー
 スト)とブラック・ファントムとの関係を示唆する。

【今回の新規登場】
○フランソワーズ・アルヌール=003(サイボーグ009)
 ゼロゼロナンバーサイボーグの紅一点であり、フランス出身の19歳。
 金髪碧眼の美少女で、元々はバレリーナを目指していた。
 レーダー・センサー能力を保有し、索敵や脳波通信により戦闘中の
 ナビゲーションを行い、戦闘をサポートする。
 普段はギルモア博士の邸で001=イワンの世話をしていたり、
 006=張々湖の経営する張々湖飯店でアルバイトをしていたりする。

○イワン・ウィスキー=001(サイボーグ009)
 ロシア出身の赤ん坊。脳改造によって成人の10倍の脳の働きを
 もつようになった結果、エスパー能力を身につけた。
 脳の全領域を酷使しているため、15日間眠っては15日間起き続ける
 という特異な生活リズムを持ち、ほとんど成長していない。

○島村ジョー=009(サイボーグ009)
 日本人の母と外国人の父との間に生まれたハーフの18歳の青年。
 孤児院で育つが、無実の罪で警察に追われていたところを
 ブラックゴーストに拉致され、戦闘用サイボーグに改造された。
 加速装置により最大加速マッハ5で行動できる。
 普段はギルモア博士の助手をしていたり、四輪レーサーとして
 活動している。

●スカール(サイボーグ009)
 世界に死と戦争を撒き散らし、利益を得る死の商人ブラックゴーストの
 表向きの首領。髑髏を連想させる黒いヘルメットとマントを身につけた怪人物。 


『恐怖!ミケーネマジンガー&ゲッター襲来!!』-1

作者・マザーメルザード

493

***南原コネクション・司令室***

葵豹馬「グラドスとペンタゴナが……!?」
浪花十三「ああ、地球署からの情報みたいやな、どっちの星系も完全に
 Gショッカーの支配下に入って、難民がぎょーさん出とるらしい」
豹馬「ちくしょう、Gショッカーめ……エイジやダバは一体何やってんだ!?」
四谷博士「ウム……どちらとも、ティターンズが連邦を牛耳った時点で連絡が
 つかなくなってしもうたからな……無事でいてくれたらいいが……」
???「もう一つ、悪いニュースだ」
豹馬「万丈!? それに……」
十三「旋風寺財閥のボンボンも一緒かいな」

入室する破嵐万丈と旋風寺舞人。

舞人「おひさしぶりです、コン・バトラーチームの皆さん」
万丈「電話やら何やらだと盗聴されると思ってね、直接お邪魔したよ」

南原ちずる「ゲッターチームたちを救出に向かった
 仮面ライダーたちと連絡が途絶えた!?」
西川大作「鉄也どんや竜馬どんたちは無事じゃろうか……」
北小介「セイラさんとシーブックさん、セシリーさんは追われる身、
 神ファミリー、剛三兄弟、フリード兄妹の皆さん、それに
 クラッシャー隊のタケルさんにダルタニアスチームの剣人さんは
 異星人であることを理由に監視状態……
 ネルフは完全にティターンズの中に組み込まれてしまって
 葛城三佐やシンジさんたちとの連絡は全く取れません。ショウさんと一矢さんは
 それぞれバイストン・ウェルと小バームに行ったまま……獣戦機隊の皆さんも
 アフリカで消息を断ってしまっています」

万丈「一条輝やグッドサンダーチーム、ダンガイオーチームにエルシャンクも
 今ごろどこにいるのやら……か。
 αナンバーズも今やバラバラってとこだね。だが、それでも僕たちは……」

突如、鳴り響く警報!!

ロペット「……防衛ライン突破、日本各地ニジオンタイプMS及ビ
 戦闘獣部隊ガ襲来シマシタ!!」

豹馬「来やがったな!! 四谷のおっちゃん、出撃するぜ!!」
四谷「民間の戦闘用ロボットは全て、三輪長官の許可がなければ
 出撃出来ないように連邦からのお達しが出ておる……」
十三「あんなトサカ頭が怖ーてコン・バトラーのパイロットが
 つとまるかいな!」
ちずる「博士、出撃させて!」
四谷「……もとよりそのつもりだ、責任は全てワシがとる!」
万丈「よし、手分けして各地に飛ぼう……僕は名古屋を」
舞人「僕は北海道に行きます!」
豹馬「俺たちは大阪だ! 行くぜ!」
四谷「問題は東北と九州、そして東京じゃな……」
ロペット「タッタ今、通信ガ入リマシタ、ドラグナーチームト
 コープランダー隊、超力戦隊ガソレゾレ現地ニ向カッテイルソウデス」
大作「洸どん、九州を頼みますたい……」

***南原コネクション・正門前***

ゲートが開き、出撃する5台のバトルマシン。
それを見送りつつ、マッハパトロールとマイトウイングに飛び乗る
万丈と舞人。マイトウイングの側には新幹線形態のガインも控えている。

万丈「チェンジアタッカー!! 健闘を祈る、舞人くん!」
舞人「万丈さんもお気をつけて! ……アニマル特急、
 レスキュー特急、ドリル特急、弾丸特急……全員まとめて
 発車だ!!」
ホーンボンバーの声@通信機「了解したぜ! 地球に来られない
 エクスカイザーやファイバード、ゴルドランたちの分まで暴れてやるぜ!」
ファイヤーダイバーの声@通信機「怪我人や避難者の保護は我々にお任せを!」
マイトガンナーの声「ドリル特急は俺が持っていく、現地で会おうぜ!」

万丈「ダイターン・カム・ヒアァァァァ!!」
舞人「ロコモライザァァァァ!! レーッツ・マイトガイィィン!!」
豹馬「俺たちも行くぜ、レーッツ!!」
+他の4人「コォォーンバァイィーン!!」

それぞれ目的地に向かって飛んでいくダイファイター、マイトガイン、
そしてコン・バトラーV!

***ネオムサイ・MS発進口***

ガルマ「うまく日本各地のエサに食いついてくれたようだな、
 αナンバーズ……守りが手薄な東京……攻めるのは今だ!!
 MS部隊、戦闘獣部隊、出撃せよ!! 目標、国会及び連邦軍司令部、
 警視庁!!」

ネオムサイの口が開き、次々と飛び出すMSや戦闘獣の群れ……!!

ガルマ「戦闘獣レオガロス、私に付いて来い!」
獣型戦闘獣・レオガロス(ライオン型)「承知……」
ガルマ「そして切り札よ……お前達も思う存分暴れろ!」
AI@謎の影「……」「……」「……」
ガルマ「ガルマ・ザビ、RFゲルググ改……出るぞ!!」

494

***富士山麓・光子力研究所***

自室でベッドに寝そべり、何事かを思いつめている兜甲児。

弓さやか「甲児くん、大変よ! すぐ司令室に来て!!」
甲児「分かった、すぐ行く」

***同・司令室***

弓弦之助教授「おお甲児くん、大変なことになった……!!」
甲児「……東京にジオンのMSとミケーネの戦闘獣軍団だと!?」
弓教授「おそらくはGショッカーの軍勢だろう。剣総理暗殺を
 チャンスとして攻撃して来たのだろう」
甲児「暗黒大将軍か地獄大元帥か知らねえが、ナメたマネを……!」
さやか「でもどうするの? マジンカイザーは三輪長官に持っていかれて
 しまったし……」
兜シロー「ダブルスペイザーもグレンダイザーと一緒に防衛軍の倉庫の中だよね」
ボス「よーし、ここは俺たちに任せろ、三輪長官もボスボロットにまでは
 気が回らなかったみたいだからな」
ムチャ「それって最初から相手にされてなかったんじゃありませんか?」
ヌケ「素通りされちゃったのねコレが」
ボス「うるっせえ、さっさと出動だぁ!」
さやか「待って、ダイアナンも行くわ。ジャパニウム採掘に必要だから
 接収はされなかったの」

甲児「……グレート、あの影はグレートマジンガーじゃないか!?」
弓「何っ!?」

司令室の大型モニターに映し出される、燃える東京の街。
銃撃するMS、暴れる戦闘獣の中に剣を振り回す巨大な影が……!

甲児「グレートだけじゃない、ゲッター1とドラゴンまで!!」
さやか「そ……そんなことって!?」

マジンガーブレードが、ゲッタービームが霞ヶ関のビルを次々倒壊させていく。

所員A「東京タワー、戦闘獣の体当たりで倒壊しました!」
所員B「都庁、MS降下部隊により制圧された模様! 都知事の安否は不明です!」

甲児「……弓先生、俺は行く! ロボット博物館からオーバーホールの
 名目で、Zを研究所の地下に移してるんでしょ!?」
弓「!! ……気づいていたのか、甲児くん。だがZでグレートやゲッターを
 止められる保証はないぞ」
甲児「……それでも、お父さんの創ったグレートが……早乙女博士の
 ゲッターがミケーネの手先になっているのを黙って見ちゃいられませんよ!」
弓「……分かった。みんな、出動してくれ。光子力研究所は現在より閉鎖、
 全所員はこれより新拠点『α』に移動する!」
ボス「新拠点!?」
弓「Zや他の民間機関の戦力が動いたと知ったら、三輪長官の追及が
 必ずあるだろう……早乙女博士や四谷博士、東山所長とも相談して
 海底に基地を建造しておいたんだよ。このことは剣総理もご存知だった……」
甲児「そうと決まったら話は早いや、行くぜ!」
みさと「みんな、頑張ってね…!」

***光子力研究所・前庭***

(BGM:Zのテーマ)
飛来するジェットパイルダー。

甲児「マジーン・ゴー!!」

いつものプールではなく、地下シェルターの一角が開いてマジンガーZが
姿を現わす。

甲児「パイルダー・オーン!!」

マジンガーとパイルダーが一つになり、鉄の巨人に生命が宿る!

甲児「ジェットスクランダー!! スクランダー・クロース!!」
(BGM:空飛ぶマジンガーZ)

一路、東京を目指すマジンガーZ!!

 ***東京郊外・某所***

軟禁状態にあった館から、加持リョウジの手引きで
脱出するデュークとマリアのフリード兄妹。

加持「宇門博士と牧場さんご一家も安全な場所で保護されて
 います……さあ、急ぎましょう」
デューク「申し訳ない、加持さん……しかし、どうして元ネルフの
 あなたが?」
加持「……剣総理とは『知り合い』でね。何かあったらと頼まれて
 いたんですよ」
デューク「……分かりました、詳しいことは聞かずにおきます」
加持「ここまで来れば大丈夫でしょう。黄泉還ったのはいいものの、
 私もティターンズやブルーコスモスに命を狙われている身でしてね
 ……ご無事を、お祈りします」
マリア「加持さん、シンジやアスカに会えたら伝えておくことはない?」
加持「……何があっても、世界を信じろ。それだけお伝えください。それじゃ」

デューク「マリア、準備はいいか?」
マリア「もちろんよ、お兄様。フリード星の技術をなめてんじゃないわよ~!」

手にした小型マイクに叫ぶデュークとマリア

デューク「ゲットアップ、グレンダイザー!!」
マリア「スペイザー発進!!」

***地球連邦軍厚木基地・格納庫***

見張り兵A「た、た、大変だ~~~~っ!!」
見張り兵B「グレンダイザーとスペイザーが勝手に動き出した~~~っ!?」

壁を突き破り、離陸するスペイザー形態のグレンダイザー、それに続く
ダブル・マリン・ドリルの3スペイザー……!

***東京郊外・某所***

(BGM:宇宙の王者グレンダイザー)
飛来するグレンダイザーと3つのスペイザー。

マリア「マリンとドリルは海中と地下に隠れるようセットしたわ。
 甲児、悪いけどダブルスペイザーを借りるわよ」

コクピットに乗り込み、パイロットスーツに変わる2人。

デューク「グレートとゲッターは必ず止めてみせる!
 グレンダイザー・ゴーッ!!」
マリア「ダブルスペイザー・ゴーッ!!」

***東京都心***

ジオンとブラックゴーストの技術が融合したRFゲルググ改を駆るガルマ。

ガルマ@RFゲルググ改「地球連邦及び日本政府に告ぐ! 即刻降伏勧告を受け入れ、
 全ての連邦軍は日本列島から撤退せよ! 要求を拒否した場合、
 国会議事堂を中心とした一帯をシャインスパークで破壊する!」

東京上空に静止したゲッタードラゴン、静かにエネルギーをチャージ
し始める……!

一方、グレートとゲッター1相手に苦戦するオーレンジャーロボ。

オーグリーン@オーレンジャーロボ「超力タウラスサンダー!!」
???@グレートマジンガー「……サンダーブレーク……」
オーブルー「これならどうだ、超力レオンビーム!」
???@ゲッター1「ゲッター……ビーム……」

技を次々と相殺され、スーパークラウンソードもマジンガーブレードの
剣技の前に手も足も出ない……!!

オーレッド「コクピットからは確かに鉄也くんやリョウくんの
 声が聞こえた……それにこの強さ……洗脳されているのか!?」
オーイエロー「他のロボが、三輪長官に取られていなければ……!」
オーピンク「隊長、来ます……きゃあっ!?」

チェンジしたゲッター2のドリルが、深々とオーレンジャーロボの
腹に突き刺さる!

???「ブレスト……バーン」

オーレンジャー「うわああ!?」「あ……熱いっ!!」

グレートの熱線が、膝を折ったオーレンジャーロボを襲う!!

オーレッド「く、くそ……こんな所で……!!」

???「ブレストファイヤー!!」「反重力ストーム!!」

溶解寸前でオーレンジャーロボを救ったのは、黒鉄の城と宇宙の王者!!

甲児@マジンガーZ「待たせたな、オーレンジャーのみんな!」
デューク@スペイザー「後は我々に任せて、市民を守ってくれ!」
マリア@ダブルスペイザー「冷却弾を投下するわ、これで動けるはずよ!」
オーレッド「……す、すまない……」
甲児「鉄也さん、リョウくん、いるなら目を覚ましてくれ!!」
マリア「ケイ、しっかりしなさいよ!!」
デューク「ハヤトくん、ムサシくん、ベンケイくん、俺たちが分からないのか!?」

ガルマ「(Zとダイザーの機影を確認)フフフ、グレートやゲッターに
 乗っているのがコピーダミーだとも知らず、手加減してやられるがいい……
 アムロやシャアを地獄で迎える準備のためにな……」

495

●ガルマ・ザビ→日本各地を奇襲攻撃。ヒーローたちの戦力を分散する
 作戦に出る。自身も戦闘獣を従えて出撃。
●Gショッカー、エルガイムとレイズナーが守るペンタゴナ・ワールドと
 惑星グラドスをも制圧した模様。
○葵豹馬、浪花十三、西川大作、南原ちずる、北小介、破嵐万丈、
 旋風寺舞人、マイトガイン、ホーンボンバー、ファイアダイバー、
 マイトガンナー →Gショッカーを撃退するため日本各地に散る。
○弓弦之助→ティターンズの目をごまかすため日本近海の海底に
 建造されている基地『α』に、光子力研究所の他の所員たち
 全員と共に移動する。
○兜甲児、宇門大介、グレース・マリア・フリード
 →ピンチのオーレンジャーロボを救う。
●グレートとゲッター、ゲッターGに搭乗しているのは
 実はオリジナルの能力を忠実にコピーしたダミー人間。
○Zとダイザーは、果たしてグレートとダブルゲッターを取り戻すことが
 出来るのか!? そしてシャインスパークに狙われた東京の運命は!?

【今回の新規登場】
○葵豹馬(超電磁ロボ コン・バトラーV)
 コン・バトラーチームのリーダー。熱血少年だが、孤児院育ちの生い立ち
 からか少々ひねくれた所もある。但し、正義感は強く、友情や人との信頼
 を大事にし、その為には命も惜しまない。暴走族あがりでケンカの達人。
 途中で腕を失い人工細胞で再生されたが、一種の拒絶反応で苦しんだものの、
 努力によって克服した。

○浪花十三(超電磁ロボ コン・バトラーV)
 コン・バトラーチームのバトルクラッシャーのパイロット。
 クールに構えた皮肉屋で、銃の腕前は超一流。
 大阪出身であり関西弁を話す。

○西川大作(超電磁ロボ コン・バトラー
 コン・バトラーチームのバトルタンクのパイロット。
 巨漢で柔道の達人。阿蘇山麓の出身で熊本弁を話す。

○南原ちずる(超電磁ロボ コン・バトラーV)
 コン・バトラーチームの紅一点で、バトルマリンの操縦を担当。
 南原コネクションの創設者・南原猛博士の孫娘。豹馬とは恋仲。

○北小介(超電磁ロボ コン・バトラーV)
 コン・バトラーチームのバトルクラフトのパイロット。
 小学生だがIQ200で、飛び級で大学に進学したほどの天才。
 研究者・開発者としての面も持つ。

○四谷博士(超電磁ロボ コン・バトラーV)
 戦死した南原博士の後任の南原コネクション所長。
 がさつで大酒飲みだが自然を愛し、豪快な性格。
 なかなかの策士。

○ロペット(超電磁ロボ コン・バトラーV)
 コン・バトラーチームのサポートロボ。自意識を持ち、
 バトルマシンを通じてチーム5人の脳波を測定、コンバイン時の要となる。

○破嵐万丈(無敵鋼人ダイターン3)
 破嵐財閥総帥。メガノイドを生み出してしまった破嵐創造博士の息子で、
 巨大ロボット・ダイターン3と大量の金塊を奪取して地球に脱出。
 奪った金塊を元手にシン・ザ・シティに居を構え、執事ギャリソンと
 パートナーのビューティーと共に、メガノイドの人類支配阻止のために
 立ち上がった。スーパーロボットを保持する民間研究機関の有力
 スポンサー的存在でもある。

○旋風寺舞人(勇者特急マイトガイン)
 旋風寺コンツェルン総帥にして勇者特急隊の隊長。
 若干16歳にして頭脳明晰でスポーツ万能のナイスガイ。
 大学入試問題を暗算で解いてしまう程の頭脳と、暴走する
 列車上の的を一発で狙撃するなど人間離れした能力を見せる他、
 財閥を前年比200%で成長させるほどの経営手腕を持つ。

○ガイン=マイトガイン(勇者特急マイトガイン)
 勇者特急リーダー。超AIの搭載によって心を持っており、
 その性格は真面目で実直。高速移動用である東海道新幹線
 のぞみ型の車輌からロボット形態に変形し、さらに
 舞人が操縦するジェット機・マイトウィングと、SL型
 サポートメカ・ロコモライザーと合体することにより
 マイトガインとなる。

○ホーンボンバー(勇者特急マイトガイン)
 アニマル特急ボンバーズのプロトタイプ。
 ボンバーズが大破した際に改修されて仲間となった。
 新幹線ひかり型とトリケラトプス型に変形する。

○ファイアダイバー(勇者特急マイトガイン)
 人命救助用に開発されたレスキュー特急ダイバーズのリーダー。
 はしご車に変形し、主に消火活動で活躍。両肩に装備した放水銃が武器。

○マイトガンナー(勇者特急マイトガイン)
 勇者特急計画最後の機体として開発された11番目のロボット。
 SL型のトレイン形態である弾丸特急へと変形する。
 パーフェクトキャノン形態へと変形し、グレートマイトガインの
 最終兵器となる。性格は少々荒っぽい。

○加持リョウジ(新世紀エヴァンゲリオン)
 元ネルフ特殊監察部職員。実はゼーレが碇ゲンドウを監視するために
 送り込んだ見張り役であり、且つ日本国内務省のエージェントという
 三重スパイ。碇シンジに対しては大きな助言・指導を行い、
 後の彼の行動に多大な影響を及ぼす。

○兜甲児(マジンガーZ/マジンガーシリーズ)
 マジンガーZを開発した兜十蔵博士の孫で、同機のパイロット。
 東城学園に通う高校生。祖父十蔵の一番弟子で、現光子力研究所の所長を
 務める弓弦之助の後見を得て、ドクター・ヘルの野望と戦う。
 後にアメリカへ留学し、大宇宙に魅せられ、ロボット工学から
 UFO学・天文学に転向。留学から帰国後、ベガ星連合軍の地球侵攻が
 始まるや、甲児はフリード星の王子デュークフリードと協力して
 再び戦いに身を投じる。

○弓さやか(マジンガーZ)
 弓弦之助教授の娘で、ダイアナンAのパイロット。

○ボス(マジンガーZ)
 弓さやかの中学時代の同級生。甲児のことをさやかを
 めぐっての恋のライバルと見なしており、張り合う姿勢をとる。
 くず屋をやって集めた部品と儲けた六万円で、光子力研究所の
 のっそり・もりもり・せわし三博士に製造させた
 ボスボロットのパイロットを務める。本名は棒田進というらしい。
 
○兜シロー(マジンガーZ)
 兜剣造の次男であり甲児の弟。

○ムチャ(マジンガーZ)
 ボスとヌケの保育園の頃からの幼馴染。
 ボス、ヌケと共にボスボロットに同乗。

○ヌケ(マジンガーZ)
 ボスとムチャの保育園の頃からの幼馴染。
 ボス・ムチャと共にボスボロットに同乗。

○弓弦之助教授(マジンガーZ)
 光子力研究所所長。孤児となった兜甲児、シロー兄弟を研究所近くに
 呼び寄せ、二人の後見的立場となり、甲児の戦いをサポートする。

○みさと(マジンガーZ)
 光子力研究所料理番兼諜報担当。ボスのいとこで、
 美人でチャーミングな女性。

○宇門大介=デューク・フリード(UFOロボ・グレンダイザー)
 フリード星の王子。ベガ星連合軍に追われ、偶然に地球に流れ着きいた
 ところを宇門源蔵博士に救われ、その養子となり「宇門大介」の名を
 与えられ、普段は牧葉家のシラカバ牧場で働いている。
 父・フリード王が宇宙の平和のためにと建造した万能ロボット・
 グレンダイザーのパイロット。

○グレース・マリア・フリード(UFOロボ・グレンダイザー)
 デューク・フリードの妹で、フリード星の王女。
 ドリルスペイザーの操縦を担当。

○三田祐司中尉=オーブルー(超力戦隊オーレンジャー)
 国際空軍直属、オーレンジャー隊員。軽快な動きが自慢の戦士で、
 デルタトンファという三角形のトンファを攻撃と防御に使い分け、
 超力を集中させて敵を切り裂く「超力稲妻トンファ」が必殺技。
 空中を舞うキック攻撃が得意なほか、体を回転させて体当たりする
 「激突ローリングボンバー」という技を使って、マシン獣をなぎ倒
 していった。フランス貴族に育てられた、フェンシングの達人。
 器械体操が得意で、銃の腕前も超一流。普段はクールだが、激すると
 時、場所をいとわず決闘を申し込む困った癖を持つ。
 弱い者を放っておけない優しい性格だが、少しノンキ者。そのため、
 悪人に騙されてしまうこともよくある。一人っ子だったので、
 兄弟に憧れている。また、可愛い女の子には特に優しい。
 一番大切にしているものは残高3982円の貯金通帳。

○二条樹里中尉=オーイエロー(超力戦隊オーレンジャー)
 国際空軍直属、オーレンジャー隊員。女性ながら、マーシャルアーツを
 応用したパワフルな戦法を得意としている女戦士。負けず嫌いだが
 仲間を大事に思っていて、仲間を救うためならどんな危険も怖れない。
 ヌンチャクのようなツインバトンが武器で、回転しながら超力を集中
 させたバトンで攻撃する「炸裂超力バトン」が必殺技。
 「光速スプラッシュイリュージョン」という連続キックを得意としている。
 男勝りの長身を持ち、口より先に身体が動いてしまうタイプ。
 甥っ子である実の姉・晴美の息子マサルと仲が良い。

○丸尾桃中尉=オーピンク(超力戦隊オーレンジャー)
 国際空軍直属、オーレンジャー隊員。素早い連続攻撃が得意な戦士で、
 合気道や中国拳法が得意。すぐれた防御性能を備えるサークルディフェ
 ンサーという円形の盾は、フリスビーのように投げて、攻撃にも応用
 している。超力を集中させた盾を構えて突進する「疾風超力ディフェン
 サー」が必殺技。中国拳法の気功を応用して超力の光弾を放つ「閃光
 ミラクル気功弾」なども得意。ちゃっかり屋で、ドライな現代っ子。
 可哀想な話を聞いたりすると、すぐに泣き出したりする情にもろい面も持っている。


『恐怖!ミケーネマジンガー&ゲッター襲来!!』-2

作者・マザーメルザード

496

***東京都心***

東京上空でゲッターシャインの体勢に入ったゲッタードラゴン。
そのことを知った都民はパニックを起こし、逃げ惑い……そして
傷つき死んでいく……。

ガルマ「フハハハ……さあ、日本政府よ、今すぐ降伏して楽になれ!」

マリア「早くドラゴンを止めなくちゃ!」

だが、グレートとゲッター1が立ちはだかり、ドラゴンに近づけさせない……。

デューク「このままでは不利だ、シュート・イン! ブレイクアップ・
 ダイザー・ゴー!!」
デューク&マリア「コンビネーション・クロース!!」

ダブルスペイザーとドッキングし、機動力をアップさせるダイザー。

デューク「甲児くん、確かグレートの弱点は背中のはず……!」
甲児「だめだ大介さん、その弱点は改良で克服されている!」

ニセ鉄也@グレート「グレートタイフーン……」
ニセムサシ@ゲッター3「大雪山おろし……」

甲児・デューク・マリア「うわああ!!」「ぐううう!!」「きゃあああ!」

空中高く舞い上げられ、地面に叩きつけられるZとダイザー。

甲児「……ち、ちきしょう、殺す気で戦わないと……勝てねえ……」
デューク「く……っ!!」

???@通信「甲児、大介くん……立ち上がるのだ!」
甲児「……そ、その声は!? お父さん……!?」
マリア「お父さん……って、亡くなった兜剣造博士!?」
???@通信「こちらは新要塞『α』……そのグレートに乗っているのは
 鉄也くんではない……戦闘パターンこそ似ているが、彼を育てた私の目は
 ごまかされん」
デューク「本当ですか……!?」
???@通信「私を信じるんだ。奴らはダミーだ!」

497

立ち上がり、グレートとゲッターを睨みつけるマジンガーZとグレンダイザー。

甲児「……分かりました、お父さん。Zの力の全てを使ってでも
 奴らを止めてみせます!」
デューク「もし本物の君たちなら……許してくれ!!」

ガルマ「……ふん、まあいい。どのみち東京は私の号令で終わるのだからな。
 せいぜい戦いを楽しんでいるといい……」

その時、ガルマに通信が入った。

ジオン兵A@通信「た、大変です……たった今、
 無幻城にて緊急事態が発生!!」
ガルマ「な、何っ!? どういうことだ!」
ジオン兵A@通信「う、うわあ、来た……ぎゃあああ!!」

通信、途絶える。

ガルマ「……!! 日本政府の返事はまだか!?」
副官B@ネオムサイ「ま、まだです。どうも三輪めの強硬論が激しいらしく……」
ガルマ「かまわん、ゲッタードラゴンよ、シャインスパークで東京を
 消滅させてしまえ!!」
ニセリョウ@ゲッタードラゴン「……了解……シャイン……スパ……」

その時、ゲッタードラゴンの身体が激しく揺れた!!
グレートを抱えたZが体当たりをかけたのだ!!
もつれあって地面に墜落する3体。

ニセムサシ「オープンゲット……」
デューク「……今だ!」

ゲッター3がオープンゲットする瞬間を見計らい、
セパレーションしたグレンダイザーがジャガー号を
ダイビングキャッチした! イーグル号とベアー号も
2機のスペイザーが追いつき、エンジン部に攻撃をしかける!
被弾し、墜落して瓦礫の山に突っ込むイーグルとベアー。

甲児「いくぜ、最後の手段だ……光子力エネルギー・全開ッ!!」

黄金色に輝くマジンガーZ。その光はグレートとドラゴンをも包み込み、
ほとばしるエネルギーが火花を散らす!

甲児「パイルダー・オフ!」

パイルダーで脱出する甲児……それを見たニセ鉄也もブレーンコンドルを
グレートから離脱させる……!!

甲児「パイルダーミサイル!!」
ニセ鉄也「…………!!」

ブレーンコンドルのコクピットを直撃するパイルダーミサイル!!

ニセリョウ@ゲッタードラゴン「オープン……ゲ……」
ニセハヤト&ニセベンケイ「グガガ……ガ……」

一足遅く、Zのエネルギーに焼かれて消滅するニセゲッターチーム……。

498

……やがて、エンジンが負荷に耐えられなくなったのか、

エネルギー放出を止めるマジンガーZ。全身の各所から煙を吹いている。
主を失ったグレートとドラゴンも、今は大地にその身を横たえるのみ……。

甲児「よくがんばったな……マジンガーZ。パイルダー・オン!」

残ったエネルギーで、よろよろと立ち上がるZに歩み寄るグレンダイザー。

デューク「……こっちも片付いたよ。墜落したゲットマシンのコクピットに
 いたムサシくんの死体は……しばらくすると溶けてしまった。
 やはりダミー人間だったようだ」
マリア「………」

マリアは目に涙をためている。ダミーとはいえ、友人の姿をしたものを殺すのは
忍びなかったようだ。

ガルマの声「立派だと褒めてやろう……だが、ここまでだ!」
甲児&デューク「!?」

Zとダイザーの周囲を包囲し、飛び掛らんと身構える戦闘獣軍団と
ビームライフルの銃口を向けるMS部隊。

甲児「てめえ……その声は、ジオンのガルマ・ザビか!?」
ガルマ「その通りだ、兜甲児。偉大なるミケーネ闇の帝王、そして
 暗黒大将軍の命により東京は我々が制圧する!」
デューク「そんなことは、我々がさせるものか!」
ガルマ「フフフ、その満身創痍の状態でか? よかろう、ならば死ぬがいい。
 撃てーっ!!」
甲児「く、くそ……」
デューク「さっきやられた箇所が……動けない!」

???「必殺必中ライジングアロー・乱れ撃ち!!」
???「ローゼス・ハリケーン!!」

Zとダイザーを撃つ前に次々と破壊されていくMSと戦闘獣……!

デューク「き、君たちも……来てくれたのか!」
ガルマ「な、何者だ!」

RFゲルググ改の前に立ちはだかる、5体……いや、7体のモビルファイター!

「シャッフル同盟・見参!!」

ジョルジュ・ド・サンド@ガンダムローズ「遅くなってすみません」
アレンビー・ビアズリー@ノーベルガンダム「さあ、今度はあたしたちが相手だよ!」
レイン・ミカムラ「みんな、怪我はない?」
マリア「アレンビー、レインさんまで……!」
サイ・サイシー@ドラゴンガンダム「本物の鉄也さんたちからさっき連絡があったぜ。
 敵海底基地からは無事に脱出成功、新拠点『α』に向かってるてさ」
ガルマ「……!!」
アルゴ・ガルスキー@ボルトガンダム「……さて、落とし前をつけてもらおうか」
チボデー@ガンダムマックスター「お前さんをKOするよう、Mr.Jに
 言い付かってきたもんでね。この前のリングでの借りを返させてもらうぜ。悪く思うなよ」
甲児「待ってくれ、こいつだけは俺の手で……」

ガンダムたちを押しのけるように前に出るマジンガーZ。

レイン「無茶よ甲児くん、そのマジンガーじゃ……」
ドモン・カッシュ@ゴッドガンダム「よし、思いっきりやれ、甲児!」
レイン「ド、ドモン!?」
ドモン「ただし……俺にも手伝わせろ!!」
甲児「へへ、……いいぜ。Gショッカー、反撃はこれからだ!」

ガルマ「……おのれ……レオガロス、合体だ!!」
レオガロス「……承知……!」

戦闘獣レオガロスが変形し、RFゲルググを包み込むように巨大化する。
ガルマ「機動戦闘獣・レオゲルググ!! 私自身で貴様らに引導を渡してやる!」

499

●ニセパイロットたち、Zとダイザーにより倒される。
●ガルマ・ザビ→東京占領に。戦闘獣と自機を合体させる。
●Gショッカー地球遠征軍の本拠地・無幻城に異変が!?
○兜剣造→東京に現れたグレートマジンガーとゲッターをニセモノと見破り、
 甲児たちに連絡を入れる。
○兜甲児、宇門大介、グレース・マリア・フリード
 →ニセモノの操るグレートとダブルゲッターを撃破。
 ただし、Zとダイザーも深手を負う。
○ドモン。カッシュ、ジョルジュ・ド・サンド、アルゴ・ガルスキー、
 サイ・サイシー、チボデー・クロケット、レイン・ミカムラ、
 アレンビー・ビアズリー →甲児たちの危機に駆けつける。

【今回の新規参戦】
○ドモン・カッシュ(機動武闘伝Gガンダム)
 ネオジャパンコロニー出身のガンダムファイターで、
 コロニー格闘技の覇者たる証"キング・オブ・ハート"の
 紋章を右手に持つ。GF13-017NJⅡゴッドガンダムのパイロット。

○ジョルジュ・ド・サンド(機動武闘伝Gガンダム)
 ネオフランスコロニー出身のガンダムファイターで、
 騎士道精神に溢れた青年であると同時にかなりのフェミニスト。
 シャッフル同盟"ジャック・イン・ダイヤ"の紋章を継承している。
 "GF13-009NFガンダムローズのパイロット。

○アルゴ・ガルスキー(機動武闘伝Gガンダム)
 ネオロシアコロニー出身のガンダムファイター。元宇宙海賊で、
 仲間の釈放を条件に、第13回ガンダムファイト大会に出場。
 シャッフル同盟"ブラック・ジョーカー"の紋章を継承している。
 GF13-013NRボルトガンダムのパイロット。

○サイ・サイシー(機動武闘伝Gガンダム)
 ネオチャイナコロニー出身のガンダムファイターで、
 廃れてしまった少林寺の再興を目的に、第13回ガンダムファイト
 大会に出場。シャッフル同盟"クラブ・エース"の紋章を継承している。
 GF13-011NCドラゴンガンダムのパイロット。

○レイン・ミカムラ(機動武闘伝Gガンダム)
 JMF1336Rライジングガンダムのパイロット。
 ドモン・カッシュとは幼馴染であり、彼と行動を共にするサポート担当。
 本業は医者であるが、医療からメカニック整備、情報収集活動までこなす。
 ウルベによってデビルガンダムの生体ユニットとして利用されてしまい、
 ドモンに救出された際に、ドモンの告白を受け入れ、愛を誓い合った。

○アレンビー・ビアズリー少尉(機動武闘伝Gガンダム)
 ネオスウェーデンコロニー代表のガンダムファイターで、
 同国宇宙軍所属。GF13-050NSWノーベルガンダムのパイロット。

○兜剣造博士(グレートマジンガー)
 科学要塞研究所所長。マジンガーZの超兵器の実験中、
 光子力反応炉が暴走・爆発した事故により妻共々一度命を落すが、
 脳髄が無傷だったため、父・十蔵の手により脳以外は全て機械化し
 サイボーグとなって復活。孤児だったまだ幼い頃の剣鉄也を引き取り、
 グレートマジンガーのパイロットとして育成した。