『大教授ビアスの苦悩!!』

作者・シャドームーン

291-1

***ズノーベース内部・メインルーム***


地球軌道上に浮かぶ、巨大宇宙ステーション・ズノーベース。
かつて独力でこれを打ち上げ、武装頭脳軍ボルトを組織して
天才たちを競わせ、12の“千点頭脳”で全人類支配を夢みた男…
孤独なる超天才・大教授ビアスは、憂鬱そうな面持ちで宇宙から
見える青く美しい星―地球を眺めていた。

ビアス「地球…実に美しい。だが愚かで低脳な人間どもは、
 相も変わらずこの宇宙に数少ないオアシスの価値も知らず、
 惰眠を貪り汚し続けている。フン、私がしばらくこの世に
 いなかった間も、何も進歩していない…」

ライブマンに野望を打ち砕かれ、彼の長年に渡る努力は夢と消えた。
しかも死によって閻魔大王に罪を裁かれ、地獄に堕とされてしまった。
自らを「裁く者」であると奢り続けたビアスが人生の終着点にて、
生まれて初めて「裁かれる者」の立場に立たされる屈辱を経験したのだ。

地獄での生活は過酷だった。超天才の自分が、彼が見下して来た人間
と同じ罪を償うための単純労働を強いられた上に、悪人たちの間でも
有名だった彼は事あるごとに絡まれ、執拗な侮辱を受け続けた。
しかしさすがの大教授も、何の研究施設も存在しない地獄においては
その他大勢の単純作業に従事するほかなかった…。
 
ビアス「あの屈辱は生涯忘れん…この私を、誰だと思っているのだっっ!」

ガチャーンッ

地獄の体験を思い出して憤慨したビアスは、持っていたワイン入りグラスを
メインルームの壁に叩きつけた。滴り落ちる紅いワインを見つめる彼の目に、
胸に秘める野望が炎と燃えていた。黄泉帰りにより地獄から解放されたのは
幸運だったが、戻った地上は彼が武装頭脳軍ボルト首領として君臨していた時
とは様相が一変していた。悪の闇に属した彼にも、至高邪神の声がかかる。
今やボルトは、Gショッカーという超巨大組織を動かす歯車の一つでしかない。

その頭脳と実績を高く評価され、GVMN・ラボ「西の王」という待遇に迎えられたが、
ビアスは決して満足などしていなかった。彼の望みは唯一つ。今一度ギガブレイン
ウェーブで自らが全人類の頂点に立ち、さらなる研究を永遠に続けることなのだ。
GVMN・ラボには彼に比肩しうる超天才が揃っており、表面上はビアスも彼らの
頭脳を認め敬意を払っている。だが自分こそが真の超天才と疑わない彼は、
ドクターマンや大博士リー・ケフレンも、利用価値のある頭脳としか見ていないのだった。

ビアスがGショッカーでも確固たる居場所を得られないと感じている理由は、
ボルトの予算不足も関係していた。Gショッカーの一員となった今の身の上では、
かつてのように独自に自由な研究・開発が満足にできていないのだ。
末端の他組織から見れば、現状でもボルトの待遇は羨ましいほどなのだが――
それでも、有力者の後盾を持つ別格扱いの「特権階級」は存在している。
それも彼から見て天才と呼ぶにほど遠い者たちが、有力者の子息や後継である
というだけで自分の上に純然たる地位を得て立っている……
しかもそのような連中から、人間だというだけで蔑みの目を向けられる。
これは超天才ビアスにとって屈辱以外の何者でもなく、耐え難い現実であった。

291-2

ビアス「十二邪将だと? 愚か者めらが雁首を並べて気取るんじゃない!
 闇女王同盟がなんだというのだ! …ハァッ…ハァッ…ハァッ
 奴らは与えられた地位に胡座をかき、前進することをしない
 唾棄すべき存在だ…今に…今に見ているがいい………………」

Gショッカーでしか生きる道がないというならやるべきことは一つ。
全人類を洗脳したように私がGショッカーの全てを洗脳し、支配してやろう。
そのためにはギガブレインウェーブをさらに改良せねば…。

ビアス「しかしこの計画は誰にも気づかれてはならん!
 特に…あのアポロガイストという男の目の鋭さには用心せねば…
 表向きはGショッカーに忠実なボルトであると、一粒の疑いも
 かけられぬよう…ケンプを上手く使い何らかの成果を上げねば。
 フッ、ケンプか。まさか、また私の元へ戻って来るとはな。
 あの男は千点頭脳に値する天才だったが、哀れなほどに一途
 過ぎる凡人の弱さがある。フフフッ、天才となんとかは紙一重か…」

「「ビアス様!」」

丁度その時、ガードノイド・ガッシュとドクター・ケンプが戻って来た。
ケンプにはあの〝ギルド星人〟ギルドスも同伴している。

ビアス「ケンプよ、例のものは発見したか?」
ケンプ「ハッ! ビアス様のご見当通り、放棄されて久しいらしく傷みは
 激しいのですが、保存状態はまずまずといったところにございます」
ビアス「報告ご苦労。よろしい…ではドクター・ケンプ、君はギルドスと
 現場に赴きそれを回収したまえ。どう修理・改造するかは課題として
 君に任せよう。千点頭脳ケンプのお手並みに期待しているぞ…」
ケンプ「有り難き幸せ! このドクター・ケンプ、必ずビアス様の
 ご期待に応えてみせます。それに…〝宇宙の大天才〟ギルドス殿
 にお手伝い頂けるとは、この上なく心強いですなあ…クク」
ギルドス「クッ…! キサマ、嫌味のつもりか!」

次にビアスは、睨み合うケンプとギルドスから沈黙して立っている
忠実なるガードノイド、ガッシュに視線を向けた。

ビアス「ガッシュ、報告を聞こう」
ガッシュ「ハイ…ビアス様」

ブゥゥゥンッ

ガッシュの右目「ビデオ・アイ」に録画された映像が壁に投影される。
撮影場所は何処かの遊園地のようで、休日で賑わう人混みの中央で、
イベントステージらしき場所で陽気に歌っている肥満体の生物がいた。

ギルドス「(ブッチー!)」
ビアス「フン…ブッチーめ。黄泉帰って新しい人生でも謳歌している気か。
 バカめッ!! この私に作られたことも忘れ、いい気なものだ…」
ケンプ「全くその通りです。バカは死んでも直らないようですな!」
ギルドス「………」
ビアス「あのような失敗作、今更どうでもよいが…
 この天才ビアスの手になる者が、愚かな人間どもと巷で戯れ
 醜態を晒しているとあっては私の名誉に傷が付く! ガッシュ!」
ガッシュ「ハ!」
ビアス「ブッチーを私の前に連れて来るのだ。そして今一度、己の立場を
 分からせてやる! 拒否すればかまわん…破壊しろッ!!
 ボルト一本、部品一つ残さず完全にな。よいなガッシュ」
ガッシュ「おおせのままに」
ギルドス「待ってくれ! いや…お待ち下さいビアス様!
 ブッチーめの処遇につきましては、このギルドスにお任せを…」
ケンプ「出しゃばるなギルドス!!」
ビアス「私に逃げ口上の命請いなど無用だよギルドス…
 決定を下すのは創造主たるこの私だッ!!
 お前は服従あるのみッ!!」

291-3 

冷静沈着な性格のビアスが、珍しく感情のこもった強い口調で声を発した
瞬間、突然麻酔が切れたかのように彼は苦しみ出した。

ビアス「うっ!! うぐぐぐ…ぐわぁぁぁっ!!!」
ガッシュ「ビアス様!!」
ケンプ「ビアス様!? いかがなさいましたビアス様!!」
ビアス「うう~~~…私の姿を…み、見るな…!」
ケンプ「うっ!」

ガッシュに抱き抱えられて顔を上げたビアスは、白髪の老人になっていた。
自ら選別した若い千点頭脳から得られるエネルギーによって、
ビアスは若さを保って来た…それが今、切れたのだ。
しかし現在は、以前の頃とは事情が大きく違っていた――

老ビアス「ガ…ガッシュよ、早く私をズノールームへ…」
ガッシュ「お連れします、ビアス様」
ケンプ「ビアス様!」
老ビアス「来るな! いいか…ズノールームへは絶対…入ることを禁じる」
ケンプ「しかしッ! ビアス様、このケンプはビアス様のためならいつでも
 この頭脳を捧げる覚悟はできております!
 どうか今一度、私の脳をお使い下さい!」
老ビアス「おお…嬉しいぞケンプよ。しかし今はまだ、君には働いてもらわねば
 ならん…さあ早く、ギルドスと共に作戦実行に移りたまえ…ぐうう!
 頼んだぞ…――…我が愛しの愛弟子ケンプよ」
ケンプ「ビ…ビアス様! そこまで私を信頼して頂けるとは…くうっ!
 後は全て、このドクター・ケンプにお任せ下さい!!」

ケンプに全幅の信頼を寄せる言葉をかけながら、この老獪な大教授は
一度土壇場で「裏切られた頭脳」を決して信じていなかった。


***ズノーベース内部・ズノールーム***


ビアス「ふうー…」

11個の脳が収められたカプセルから、ヘッドギアを着けたビアスに
エネルギーが流れていく。やがて老人は、元通り三十台半ばほどの
若い男の姿へ変わっていった。黄泉帰り以前から、ビアスはこの
方法で若さを保っていたのだが、ケンプが捧げた頭脳を合わせた
12個の千点頭脳は、ライブマンの攻撃でズノーベース諸共爆発して
失われてしまった。今ここにあるのは、用心深いビアスが生前こんな
こともあろうかと緊急用に隠しておいた「ダミー・ブレイン」である。
いづれも、千点頭脳に後一歩及ばなかった処分するには惜しい
頭脳であり、無論元を辿ればビアスの狂気のために輝かしい未来を
夢見ては犠牲となった若い科学者たちの成れの果てである。

ビアス「やはり、千点頭脳でなければ長くはこの姿を維持できんか…。
 しかし月形剣史や仙田ルイほど稀に見る頭脳を持つ若者を
 選び出し、競わせ時をかけて育成する時間は今の私には残されて
 いない…黄泉帰ったこの身から、若さのエネルギーが尽きて老い
 さらばえ朽ち果てるか、私の企みがGショッカー秘密警察に露見し
 始末されるか…いづれにせよ同じことだ。もはや選んでいる時ではない。
 早急に…千点頭脳に匹敵する天才の頭脳を探して集めねば…」

ビアスは地球上のありとあらゆる地域を調べ上げ、リストアップした
天才科学者のデータを収めたディスクを取り出し、再生した。

「うほほーいっ!!」

モニターの中で、元気に跳ね回る眼鏡をかけた女の子が映った。
その少女はとても人間とは思えない怪力で、怪獣相手に
「プロレスごっこ」に興じているようである。
眼鏡の少女はあんぐりと口を開け、そこからとんでもないものを出した。

「んちゃーーーーーーっ!!!!」

ドゴォーーーーンッ!!!

ビアス「ウ~ム…恐るべき威力だ。この私以外で、これほど完成度の
 高い精巧なロボットを作れる者がいるとはな。製作者は……
 ノリマキ・センベイ…このバカ面の男が天才とは信じられん。
 所在地は…ペンギン村? 聞いたことのないところだな…
 こんな地図にも載っていない思いっきりのド田舎に、こんな男が
 いるとは…あなどれん!」

291-4 
 
戻って来たガッシュにケンプが声をかけた。

ケンプ「ガッシュ! お前の力を借りたい、悪いが付き合ってくれ。
 な~に…すぐに済むことだ手間はとらせん」
ガッシュ「お前はビアス様に言われた通り、作戦を実行しろ」
ケンプ「だからその作戦により効果を加えるために行くのだ。
 ビアス様にも喜んで頂けることだ、文句はあるまい」
ガッシュ「…いいだろう。それで何処へ」
ケンプ「フッフッフ…最強の頭脳獣を作れるところだ」


***地獄谷***

ヒュウ―ウウウウ―…

荒野を吹き抜ける冷たい風。
地獄谷へやって来たケンプとガッシュは、目的を果たそうと急ぐ。

ケンプ「どうだガッシュ…たくさん見えるだろう」
ガッシュ「見える。ここは膨大なカオスエネルギーに満ちている」

ガッシュのレーダー・スコープアイを通して古戦場を覗くと…
なるほど、夥しい発光体の浮遊物がいくつも漂っていた。

ケンプ「ハッハッハ、当然だ! ここは長年に渡りヒーローどもと、
 数々の組織が大決戦を繰り広げてきた名所だからな。
 いい頭脳獣が作れるぜ…ハァッ!」

ケンプが持参した頭脳獣の基となる頭脳核は、他とは違う特別な代物である。
彼自身の細胞から複製して作り出した、云わばケンプの分身なのだ。

ケンプ「我が分身・恐獣ズノーの頭脳核に、さらなる力を与えてやるのだ!」
ガッシュ「カオス・ファントム!」

ガッシュの目からカオスファントムエネルギーが頭脳核に放射された。
すると頭脳核は光を放ちながら形を変え、恐ろしい怪物が誕生した!

ネオ恐獣ズノー「頭脳獣、ネオ恐獣ズノー!!」
ケンプ「ハハハハ、成功だ!」
ガッシュ「…用が済んだなら早く作戦場所へ行け」
ケンプ「チ、分かっている! 行くぞネオ恐獣ズノー!」

291-5

「「貴様ら、そこで何をしている!!」」

ケンプとガッシュが立ち去ろうとした時、怒鳴り声が二人を呼び止めた。
ネロス帝国・機甲軍団のブルチェックとダーバーボだ。
ネロス帝国とクライシス帝国の合同作戦による、メタルダー&仮面ライダー
抹殺作戦の任務に当たっている彼らは、豪将メガドロンの命令で辺りを
見張っていたのだ。

ケンプ「我らボルトも作戦行動中だ。構わないでもらおうか!」
ブルチェック「ボルト~!? ああ、あのGショッカーでもズ~ッと
 下のほうの奴らか!」
ケンプ「何だとっ!!」
ダーバーボ「おーおー威勢がいいねぇ、兄さん。はは~ん貴様だな?
 大教授ビアスにそそのかされて、とうとう大事なオツムまであげ
 ちまったっていうイカれた野郎は」
ケンプ「おのれビアス様を呼び捨てにするとはっ!!!!
 それ以上の侮辱は只ではおかんぞこのガラクタどもめっ!!」
ブルチェック「面白ぇ、やろうってのか!」
ダーバーボ「ビアスなど所詮は他人の力を借りねば何もできぬ、
 見せ掛けの天才よ! 我らが神・帝王ネロスは一代で帝国を隆盛し、
 我ら無敵の四軍団を造り上げた! 同じ天才でも格が違うわ!!」
ケンプ「おのれぇぇぇ~…絶対に許さんぞキサマらッ!!!
 ならば真の天才はどちらかはっきりさせてやる!!
 丁度いい実験材料だ、ネオ恐獣ズノーよ、こいつらを鉄クズにしてやれ!!」
ネオ恐獣ズノー「ガァオオオオウ!!」
ダーバーボ「抜かせ、木っ端微塵にしてやる!!」

ガチャリッ

今にも血管が破裂しそうな勢いで激高するケンプ。
荒ぶるネオ恐獣ズノーと、銃口を向ける機甲軍団の間で一触即発かと
思われたその時、以外にもケンプを制すると思われた寡黙なる
ガードノイド・ガッシュが相手に銃口を向けた。
 
ガッシュ「ビアス様に対する暴言を取り消してもらおう」
ブルチェック「何を~? 貴様も一緒にスクラップになりたいか!」

ドオオオンッ!
バキューンッ!

メガドロン「この騒ぎは何事だ!! やめんかバカモノッ!!」
ガテゾーン「フゥー…おいおい、お前らの相手はそいつらじゃねぇだろ」
ダーバーボ「ご…豪将メガドロン殿!!」
ブルチェック「これはいえ、その……」

済んでのところで、両者の間に機甲軍団の豪将メガドロンと、
今回の作戦立案者であるガテゾーンが入った。
二人の威嚇射撃の轟音は、頭に血が上っていた両陣営の目を
幾分落ち着かせたようである。小競り合いの経緯を聞いた豪将は、
発端となった部下二名をきつく諌めた。

メガドロン「そちらの主に対する部下の暴言と非礼はお詫び申す。
 この場に軍団長がおらぬゆえ、この豪将メガドロンに免じて矛を
 収めてはいただけまいか?」
ケンプ「グウ…」

相手の指揮官に詫びられては、さすがのケンプも引き下がるしかない。
しかしプライドの高い彼の性格が、素直に出れないようだ。
頃合をみはからってガッシュが委細承諾の申し入れをした。

ガッシュ「了解した。こちらも重要な作戦中、申し訳ない」
ガテゾーン「そうそう…Gショッカー同士、バトルファイト以外で血を見た日にゃ、
 お互い上を含めて責任を取らされるはめになるぜ」
ケンプ「…フン!」
ガッシュ「では我々はこれで。作戦成功をお祈りする」
ガテゾーン「あいよ、そっちもな。ご苦労さん」

何となくまだ怒りが治まらない様子のケンプを、用は済んだとやや
強引に急かし、ガッシュとネオ恐獣ズノーは去った。

ガテゾーン「たく…頼むぜメガドロン殿。頼りにしてるんだからよ」
メガドロン「面目次第もない…。コラッ貴様ら、さっさと配置に戻らんか!」
ブルチェック&ダーバーボ「ハ、ハハーッ!」

291-6 

●大教授ビアス→密かにGショッカー征服計画を立案中。
●ドクターケンプ→自分の細胞からネオ恐獣ズノーを作り出す。

地獄谷で機甲軍団と戦闘になりかける。
●ガッシュ→ビアスからブッチーの拉致もしくは破壊の命令を受ける。
●ギルドス→渋々ビアスに従っているが、あまりやる気がない。ブッチーを心配している。
●ネオ恐獣ズノー→ケンプの細胞から作られた頭脳核に地獄谷に渦巻くカオスを吸収して誕生。
●ダーバーボ→地獄谷の見張り中にケンプらと遭遇。挑発したことで戦闘になりかける。
●ブルチェック→地獄谷の見張り中にケンプらと遭遇。挑発したことで戦闘になりかける。
●メガドロン→ボルト陣営を挑発したダーバーボ、ブルチェックを厳しく叱る。
  凱聖ドランガーに変わって部下の非礼を詫びる。
●ガテゾーン→メガドロンと一緒に、ボルト対機甲軍団の一触即発にストップをかける。

【今回の新規登場】
●大教授ビアス(超獣戦隊ライブマン)
 武装頭脳軍ボルトの総帥にしてGショッカー・GVMNラボ「西の王」。
 地球は選ばれたほんの一握りの優れた天才だけが生きる価値があるとし、
 科学アカデミアから選別した月形剣史・仙田ルイ・尾村豪(豪は強引に割り込んだ)
 の三名をボルトの幹部に迎え入れ、地球の常識を超越した科学と研究施設を与え、
 彼らを凌ぐ天才を対抗馬にぶつけ、切磋琢磨させながら超獣戦隊ライブマンと
 対決した。真の目的は若さを保つための11個に加えて、ケンプたちで最後に
 残った者から頭脳を取り出し、12個の「千点頭脳」を集めることで完成する
 ギガブレインウェーブで全人類を洗脳することであった。ケンプが自ら脳を捧げ、
 少年王ビアスに若返った彼は一時的に地球の支配者となるが、ケンプ脳の離反と
 ライブマンの決死の特攻により野望は砕かれ敗北、崩壊するズノーベースの中で
 最後まで寄り添ったガッシュに看取られ満足しながら果てた。

△ギルドス(超獣戦隊ライブマン)
 ギルド星から大教授ビアスの名声を慕い、弟子入りを希望してボルトに
 加入した新幹部。同じく宇宙人のブッチーとよくコンビを組んで作戦を練る。
 ビアスが発表した成績表でケンプらに負けたことから、大教授ビアスを
 「所詮はたかが人間」と吐き捨て、自らの力のみでライブマンを倒して鼻を
 あかそうとするも、激闘の末敗れる。死の間際、機械が露出した自分の体を
 見て驚き「ビアス、教えてくれ~俺は何なんだ!」と哀しい絶叫を残して爆発した。
 彼はケンプらの対抗馬として偽の記憶を刷り込まれてビアスに作られたロボットだった…。

●ネオ恐獣ズノー(超獣戦隊ライブマン/オリジナル)
 ドクターケンプこと恐獣ケンプが、自分の細胞を型枠にして作り出した
 頭脳核に、怨念のカオスが渦巻く地獄谷でカオスファントムエネルギーを
 与えて誕生させたボルト最強(※ケンプ談)のズノー獣。
 恐獣ズノーの凶暴性と戦闘力に加えてヒーローたちに敗れ滅びた幾多の
 怪人たちのカオスを吸収したため、生半可な攻撃では倒せない。 


『暴魂トップガンダーの肖像』

作者・シャドームーン

291-7
トップガンダー「ゴッドネロス、覚悟!!」
ゴッドネロス「ぬおおお!」

ドギュゥ――ンッ!

トップガンダーの狙撃は、見事に玉座に座る帝王の眉間を
撃ち貫いた。床へ崩れ落ち、倒れ伏すゴッドネロス。

クールギン「帝王!!」

駆け寄る軍団員たち、騒然となるゴーストバンク。
獲物を仕留めたトップガンダーは、追っ手を振り切り急ぐ。
彼の報告を待つ、仲間の元へ…。

トップガンダー「やったぞメタルダー! ゴッドネロスを倒したぜ!」
メタルダー「…………」
 
彼が吉報を齎したはずの友は、しかし何も答えない。
やがて沈黙しているメタルダーの姿が、別人に変わっていく…
 
クールギン「むん!」

ズドッ!

トップガンダー「うぐっ! バ、バカな…」

凱聖クールギンの無慈悲なる刃は、トップガンダーの命といえる
重要な中枢回路を深々と貫いた。飛び散る火花、立ち上る煙。
薄れ往く意識の中、次にクールギンの顔を見た彼は驚愕した。

トップガンダー「…ゴッドネロス!?」
ゴッドネロス「フフフフ…フハハハ! 余は神。不滅なり!!」

グァッハハハハハハ

トップガンダーの視界が闇になり、ゴッドネロスの高笑いだけが
いつまでも木霊する…。その闇の中、両目だけが黄色く光る
メタルダーが、彼に背を向け遠ざかって行った――。

◇    ◇


トップガンダー「メタルダー!」

目を覚ますと、トップガンダーは殺風景な荒野の岩陰に背もたれをしていた。
流離いのガンマンにとっては慣れた寝床である。
腕にはしっかりと、命を繋いできた愛銃が抱えてある。
何も変わらない一日が、また始まろうとしている…

トップガンダー「またあの夢か…。メタルダー、遠ざかるお前の姿が
 こんなに寂しいとはな…」

ネロス帝国との決戦を目前にして、彼は無念の死を遂げた。
剣流星は志半ばで倒れた彼の死を悼み、埋葬したトップガンダーの墓に
こう刻んでいた。『最愛の友ここに眠る』

トップガンダー「命には限りがある。人生には必ず別れの時が来る…
 俺はお前に会えて幸せだった。しかし…何の神の悪戯か、
 俺はこうしてまた生きている。だがそれもいつか終わりが来るだろう。
 それが今日か、明日か、それより先かは分からないが…
 せめてメタルダー、今度は最後までお前の戦いを見届けてから死にたい」

トップガンダーは、岩の上に落ちていた鳥の亡骸を見つめてそう呟いた。
愛銃を肩にかけ、彼は歩き出した…行くあて無き荒野を。

トップガンダー「メタルダー、お前は今何処にいる…」

荒野を渡る風の音だけが、彼の進む方角に道を示しているようであった。
しばらく歩き続けた彼は、思いがけない場所へ差しかかっていた――

291-8

***地獄谷***


数々の大決戦が行われて来た古戦場に、今や遅しと敵を待ち受ける
鋼鉄の武士(もののふ)たちが物々しい様子で集結していた。
いずれも士気は高く、必ず敵を討ち果たさんと意気揚々である。
しかし、これから大戦が始まろうという時でも、戦前の緊張感とは
無縁の軍団兵というものは存在する。

デデモス「あ~あ…畜生、頭に来るよな~クロスランダーの野郎。
 あれやれ、これやれってこき使いやがって!」
ゴブリット「全くだぜ。俺たちゃ、お前の召使いじゃねえっつーの!
 やばいことは全部、俺たちに押し付けて自分は気楽なもんだぜフン!」
トップガンダー「(デデモスにゴブリット…!?)」

偵察を適当にこなしながら、グダグダと不満を口にするデデモス&ゴブリット。
地獄谷に入ったトップガンダーは、戦場の匂いを感じてここまで来ていた。
そこで彼の目に飛び込んで来たのは、復活したネロス帝国の健在ぶりを
大々的に示す大軍団の姿。警戒して素早く身を隠したは良かったが、
そのすぐ近くにこいつらがやって来るとは。

デデモス「だがよ、今度こそあのメタルダーもあの世行きは確実だぜ!」
ゴブリット「ハハハ、そりゃあ間違いねえさ。何たって、俺たちネロス軍団と、
 クライシス帝国の威信を賭けた合同作戦だからな。仮面ライダー諸共、
 バラバラになって跡形も残らねえさ!」
トップガンダー「(メタルダーをネロスとクライシスの合同作戦で倒す…
 するとメタルダーは今ここへ向かっているのか!)」

それを聞いた以上、トップガンダーは自分の仕事を即理解した。
まずはこの二人を始末して少しでも敵の戦力を削いでおくか。
二対一とはいえ、デデモスとゴブリットは恐れる相手ではない。

トップガンダー「…………」

チャキッ
 
静かに銃を構えて標的を狙い定めるトップガンダー。
呑気なデデモスとゴブリットはまだこちらに気づいていない。
楽な仕事だと思いつつ、彼が引き金を引こうとした時――

ギュオオオオオオオ――ッ

トップガンダー「…!」

上空に哨戒中の機影が見えたのに逸早く気づいたトップガンダーは、
再び身を潜め息を殺した。機甲軍団のストローブだ。

グォ――ンッ…

ストローブはそのまま通過した。幸いにも発見されなかったようだ。
―と、そこへこの能天気な軍団兵たちの上官がやって来た。
 
クロスランダー「コラッ貴様ら! 何を無駄口を叩いてる!!」
デデモス「ひえっ! 暴魂殿、無駄口など叩いておりませんっ!」
ゴブリット「何も異常はないでありますっクロスランダー様!」
クロスランダー「チ…気楽な奴らめ。いいから早くこっちに来いッ!」
デデモス&ゴブリット「ハハ! 参りますですっ!」
 
二人はへこへこしながら、クロスランダーの後に続いて行った。
 
トップガンダー「機会を逸したか…クロスランダーめ、奴のような
 ドブネズミまで来ているとはな…メタルダーは殺らせん!」
 
決意も新たに、黒衣のガンマンは慎重に距離を取りながら、
戦場へ向かうべく三人の後を追った。


○トップガンダー→死の瞬間を想起させる悪夢を見る。地獄谷に到着。


『風の戦場』

作者・シャドームーン

291-9

***地獄谷***

グオォ――ンッ
バババババババ…ヒュンヒュンヒュン


偵察に出ていた機甲軍団の飛行メカ2名が戻って来た。

ストローブ「申し上げます、奴らはポイントGを通過!」
バーベリィ「間も無くこちらへやって来ます!」
ガテゾーン「フッ…そうかい。なら派手に歓迎してやるとするか」
メガドロン「メタルダーは奴らと一緒だろうな?」
ストローブ「ハッ! サイドファントムで連中に続いております」
メガドロン「よし! 全軍戦闘配置に就けい!」
                                     ,..-ー''"´   ゝ、,ィ'´``‐-、._
                            }ヽ,-、    ,ィ',.. ''"´_,,ィ'`ヽ、_,..-ー''"´
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                        `ヽ,,',ィ'ヽ、-‐'´/: ::,ィ'⌒;;',
               /``7     __/ノ ヽノ_- ゝi: :: ,';; ;; ;;;i;;',
                  /i`ヽ,/    ,ィ'ゝ_/f‐ー、__,..--、‐''" ;; ;;;/.i ',
              //iヽ|/ー-、//ゝ_ゝ、ゝ'´ー‐-‐ヽ;; ;; ;; ;;/ノ ;;;i
             /// ̄´\/// ``''ー─-、_,ノ,..-‐'´ノ:: ::/|
               iヽi///\/ヽ, |__          イ`‐-、.  / .ノ_,/ |
               i /| ̄``//ヽ/‐-`ー-、_   , イ;; ;; ;;;ノゝ,``'[][]〔ニ〕
                i/ .〉.// 〈:: :: :', ',`丶` ̄  i;; ;;__)_,..-ーー-、_/
    _,..-‐‐--、__  //-==/:: :: :: ::',  ::`ヽ,,..-ー''"´;; ;; ;; ;; ;; ;;;i
  ,ィく-‐ニiiニニミ及ュ//   ヘミー-、:: ::`:、 ,ィ'´;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;; ;;;ノ
 ,イヌツ' ,ィ' i.i‐‐--.//ミヽ    |ミii>‐--、::V;; ;; ;; ;; ;;V__,..-ー''"           ノゝ、
モ多,/ ,ィ'i,i‐-//ヽマヘヘ.    |ミii//ニ=‐-ヽ∨;; ;;;__;; ;i`ー-、             >`ヽ 米
モi{ /  ,'〃.ii//ヽ  ',マヘヘ    |ミii////////.∧::',   ∧、;;;;;``'iー‐‐- 、__    V///`ヽ
iロi {  (;;;;( 米 );;;;;;}‐--} jii i  ,ィ'´ ヽ'´`ヽ、///∧::', . ∧`ヽ、__;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\ニニ≠ー''"´ /

電撃・稲妻・疾風―――!!
11台のライダーマシンが続々と地獄谷に到着する中、早速仕掛けられた
地雷が死闘の始まりを告げるように次々に爆発していく。
すでにゴングは鳴っているのだ。空を飛べるサイドファントムは、上空から
爆撃しているストローブ&バーベリィと早くも矛を交えている。
やがて地雷の轟音が静まり、ライダーたちがマシンを停車させて行く頃合を
見てストローブ&バーベリィは攻撃をやめ着地した。

メガドロン「メタルダーよ! 臆せずよくぞやって来た! 今日こそは我ら
 機甲軍団及び戦闘ロボット軍団が総力を上げて貴様を討つ!!」
ジャース「メタルダー! 帝王に修理頂いた俺のビーム砲の威力を見せてやろう!!
 ライダーV3! ライダーマン! 貴様らにもだッ!!」
クロスランダー「メタルダーも憎いが、俺が今一番この銃で落とし前を
 つけたいのはXライダー、アマゾンライダー! 貴様らだッ!!
 ククク、この日を待っていたぜ…俺様の右腕の仇をとらせてもらおう!」
ゴブリット「(小声で)執念深いねえ。やな性格」
デデモス「(小声で)シッ! 聞こえるぞ」
バーベリィ「スカイライダー、二度と空中戦で不覚はとらぬ!」
ストローブ「空は選ばれし者の聖域! 貴様などの出る幕ではない!」
メタルダー「僕は逃げん! 受けて立とうネロス帝国!!」
ライダーV3「ご指名とあっちゃ受けざるをえんな。ライダーマン、行くぜ!」
ライダーマン「おう!」
スーパー1「機械軍団との戦いなら、このファイブハンドの出番だな。
 V3、ライダーマン俺も手伝おう!」
Xライダー「根に持つ奴め! いいだろう、その勝負受けた!」
アマゾン「ガウウウウ…左腕も切り落す!」
スカイライダー「この空は誰のものでもない。それを教えてやる!」

291-10

両陣営がそれぞれの仇敵を見つけ激しい睨み合いの火花を飛ばす。
一方、怒れる雷神ストロンガーはガテゾーンを指差し迫る。
 
ストロンガー「クライシスッ!! タックルは返してもらうぜ!!」
ガテゾーン「フフ…そうがなりなさんな。今会わせてやるよ」

ガテゾーンの合図でネックスティッカーがタックルと共に前へ出る。
彼女はまるで人形のように棒立ち状態である。

ストロンガー「ユリ子ッ!」
ライダー1号「待てストロンガー、不用意に近づくな!」
タックル「電波投げーっ!」

ヴァーン!!

ストロンガー「何ぃっ!?」
ライダー1号「ウォッ!」
ライダー2号「どうなってんだ!」
ライダーZX「体が…ッ」
BLACKRX「うわ!」

ドシャ、ドシャァーン!

タックルに駆け寄るストロンガー、追う1号ライダーたち。
しかし…意外ッそれは電波投げ!!
それも以前の彼女が得意としていた技とは、比較にならない
広範囲に効果を及ぼし、全員が宙に浮いて飛ばされてしまう。

ストロンガー「タックルにこれほどの戦闘能力はなかったはず…
 クライシス…貴様ら、何をしやがったッ!?」
ガテゾーン「人聞きの悪いことを言わないでもらおうか。
 俺はその女を救ってやったんだぜ?」
ストロンガー「救っただあ~…デタラメぬかすな!!」
ライダー1号「まあ待て。聞こうガテゾーン、救ったとはどういうことだ?」
ガテゾーン「さすがは賢明な1号じゃねえか。いいだろう教えてやる!
 この女は黄泉帰りの影響で生き返ったはよかったが、体中が毒に
 侵されて瀕死だったのさ。シャドームーン探索の命令を受けていた
 俺は偶然にも死人同然で彷徨っていた彼女を発見してな…」
BLACKRX「シャドームーン探索…そうか、あの時か!」
ガテゾーン「ご名答。ところが見つけたのは女一人、その時はまだ
 素性は知らなかったが、“理由あり”の匂いを嗅ぎ取る俺の勘は
 結構鋭くてな。何かに役立つだろうと思い連れ帰ったが、
 マリバロンの諜報網で調べてみれば大当たりよ。
 これが幻の〝女ライダー〟電波人間タックルだったとはな!」
ストロンガー「そいつはライダーじゃねえ。ただの女だ」
ガテゾーン「ん? 何だ、妙なことにこだわるんだな」
ストロンガー「そうか…ユリ子にはドクターケイトの猛毒がまだ…」
ガテゾーン「フフフ、安心しな。今のタックルはもうその毒には侵されちゃいねえ。
 折角手に入れたユニットに死なれちゃ元も子もねえからな」
ストロンガー「何だと!?」
ライダー1号「ケイトの毒を彼女から取り去ったというのか?」
ガテゾーン「クックック…感謝してもらいたいね。俺はこう見えて女には
 優しいんだぜ? デルザーの単細胞どもはすぐ殺せだの、頭の先から
 爪先まで醜い怪人に改造しろだのうるさかったがな。ジャーク将軍から
 皇帝陛下の許可を頂ける様に、取り計らってもらえるよう進言したのも
 この俺さ。さすがに改造魔人の猛毒を完全に除去するには手こずったが、
 クライシスの超科学力を持ってすれば不可能はない! ついでに彼女は
戦闘用改造人間としちゃあ、えらく中途半端な改造状態だと判明したんでな。
ちょいと“出力”を強化してやったのさ。その成果が……これだッ!」
タックル「エイ! やあ! トォー!!」

ドガァ! ビシッ! バキィィッ!

ストロンガー「ぐわっ…や、やめろタックル!!」

ガテゾーンの言葉に偽りはなく、タックルは何と素手の格闘でストロンガーを怯ませた。

ガテゾーン「ハハハハ、どうだ俺の腕前は! 惚れた女にあの世へ送って
 もらえるんだ…男冥利に尽きるだろストロンガーさんよ!」
ストロンガー「貴様ァ~…!!!」
ガテゾーン「さあ、お喋りタイムはここまでだ 仮面ライダーども!
 我が怪魔ロボット大隊の精鋭が地獄谷で貴様らの送葬行進曲を
 演奏してやるとよ。キューブリカン! ガンガディン!」
キューブリカン&ガンガディン「ハッ!」

291-11

機甲隊長の号令を受けて、怪魔ロボット大隊でも屈指の火力を誇る
キューブリカンとガンガディンが砲門をフル稼働させた。

ズビ―――ィィィィィィ…ガガァン!!
ドバッ ドバッ ドバッ ドバッ ドガガガガガガガ!!
ドゴォォンッ

ガテゾーン「奴らを接近戦に持ち込ませるな、どんどん撃ちまくれ!」

絶え間なく続く爆音の嵐。その威力と激しさは地形が変わるほど苛烈である。
ギリギリで戦火の雨を掻い潜るライダーチームだが、接近すればタックルが
パワーアップした電波投げで彼らを寄せつけない。

ストロンガー「タックル、目を覚ませ! 俺だ、分からんのかっ!!」
BLACKRX「無駄です! 洗脳電波を送っている、ネックスティッカーを
 叩かなければ…俺がなんとかやってみます!」

RXはロボライダーに変身し、突破口を開こうとボルティックシューターを構えた。

ガテゾーン「ん? ロボライダーめ、奴に武器を撃たせるな!」
ロボライダー「うわっ!?」

ブゥ――ゥゥン――ガイィン!

突然襲って来たブーメランのような鋭い鎌で、ボディを傷付けられるロボライダー。
火花は飛んだが、強靭なロボフォームはそれほど深く傷を受けていない。
ブーメラン鎌を投げた仮面ライダーを模した銀色の戦士が立ちはだかる。

デスガロン「さすがと言うべきかロボライダー! だがこの俺も強化されたのだ!
 今度は怪魔界の時のような不覚はとらぬ、この怪魔ロボット大隊最強の戦士
 デスガロンの誇りにかけて、RX! 貴様の首は頂くッ!!」
ロボライダー「デスガロンか!!」
デスガロン「行くぞ!」

ガガァン!!

鋼鉄同士がぶつかり弾け合う、鈍く重い音が響く。
組み合った瞬間、ロボライダーはデスガロンのパワーアップを悟った。
以前は軽々と地に這わせた相手だが、今のデスガロンはパワーにおいて
ロボライダーとほぼ互角である。双方の武器を封じる格闘戦が続く。

ガァキィン!!

ロボライダー「ぐわぁっ!?」
デスガロン「むう!?」
シュバリアン「どけどけ、クライシス不倶戴天の敵・RXを討ち取るのは
 この怪魔ロボット大隊最強の戦士シュバリアンだ!!」
デスガロン「下がっていろ新入り! RXを倒すのはこのデスガロンだ!」
シュバリアン「黙れ! 敵を怪魔界に連れて来た挙句、無様に敗れ去る
 ような旧型に用はない。貴様こそ下がっていろ!」
デスガロン「貴様…ッ それが上級戦士に対する態度か!!」

尚も続いている砲撃の嵐。しかしこの地獄谷で、数々の修羅場を潜り抜け
てきた歴戦のライダーである。相当なダメージは負っているが、
どうにか生き残り反撃に移れる射程距離まで迫っていた。

ストロンガー「よし。エレクトロウォーターホールで一気に…!」
ライダー2号「待て! 気でも狂ったか、それではタックルも巻き添えだぞ」
ストロンガー「(ハ…ッ!) 2号、し…しかしこのままでは」
ライダー1号「冷静になれストロンガー。その焦りが敵の狙いだ」
ライダーZX「先輩、俺に任せてくれ!」
ライダー1号「ZX。何かいい手を思いついたのか?」
ライダーZX「フッ、まあ見ててくれ」

291-12

10号ライダー・ZX。彼は単独で日本防衛についていた期間が短かったせいもあり、
多くのヒーローが活躍して来たこの日本において、人々の記憶に残っていることが
他のライダーたちに比べてやや薄い。だが、悪の秘密結社バダンが超科学の粋を
結集して造られたそのボディには、人智を超越したポテンシャルが秘められている。
〝パーフェクトサイボーグ〟の異名がある通り、彼は脳以外のほとんどの肉体が
機械化された改造人間である。水素エネルギーを動力とし、フルメタルボディの全身に
装備された数十万個のサーボモーターの働きにより、実にライダー二人と互角以上の
恐るべきパワーを発揮できるのだ。

ライダーZX「レーダー攪乱煙幕、噴射!」

ZXは忍者のように素早く走りながら、上腕部の黒いスリットから膨大な煙を噴射した。
煙は完全に怪魔ロボット軍団の視界を遮り、かつ磁気を帯びたチャフを含んでいる
ため、光学的にも電子的にも姿を隠すことが可能である。
ターゲットを補足できないキューブリカンとガンガディンが苛立つ。

キューブリカン「何だこのガスは!?」
ガンガディン「く、レーダーが効かん! ライダーどもはどこだ!」
ネックスティッカー「ぬぬ…洗脳電波が遮断される…ッ!」

ブンッ…

次にZXは、ベルトのバックル部分から複数の立体像を投影していく。
この虚像投影装置はレーダー撹乱煙幕との併用が最も効果を発揮するのだ。
煙幕が薄くなりかけた時、キューブリカンとガンガディンはすぐ目の前に立つ
ライダーの姿――ZXの分身を補足して驚く。

キューブリカン「う! いつの間にッ!!」
ガンガディン「くっ、死ねライダー!!」

――ドガガガガガッ!!!!

…キンッ

ドドドドガガァ―――ァン!!!!


二人が虚像に向かって乱射した瞬間、虚像は消えそこに仕掛けられていた
ZXの『衝撃集中爆弾』が大爆発した。爆発のエネルギーを一方向に集中させる
ことが可能なこれを、至近距離で受けた二体が衝撃で倒れた。
ガンガディンは下半身がキャタピラ付きの戦車タイプなので起きることができずもがく。
さらにそこへ、ダブルライダーの洗礼が迫っていた――

ライダー1号「ライダー月面キィーック!!」
ライダー2号「ライダー回転キィーック!!」

ドガアアア!!

重装甲タイプのキューブリカンとガンガディンだが、衝撃集中爆弾で一点に爆発の
衝撃を受けたところに、ダブルライダーの必殺キックが炸裂してはたまらず、
バチバチッと放電しながら火花を噴出させる。

キューブリカン「ギギ…ギ…ガガ」

ウィィィン―…ズビィィームッ!
ドドンッ!


ライダー2号「本郷、危ない!!」
ライダー1号「うお! …ウーム、恐るべき頑丈さだ!」

291-13

2号のキックで頭部を粉砕されたキューブリカンだが、そこから砲台のような
第二頭部がせり上がり、尚も強烈なビームを撃ってくる。
ガンガディンも両腕をジタバタさせながら何とか起き上がろうと悪戦苦闘していた。

ライダー2号「こうなりゃ二体同時に叩くしかねえな。本郷!」
ライダー1号「オオ! いくぞ一文字!!」

ダブルライダーはタイホウバッファロー戦のように、ライダー車輪でキューブリカンの
周囲を高速で回り撹乱する。左手のアイアンクローで二人を捕獲しようとする
キューブリカンだが、自慢のパワーも的を絞れず空を切るのみであった。
二人の姿が螺旋を描き、一陣の風となった時、屈強の怪魔ロボットに最期の時が訪れる!

「「ライダーダブル錐揉みシュートッ!!」」

ダブルライダーはキューブリカンの両腕を掴み、上空高くジャンプした。
一見するとカメバズーカを道づれに洋上に消えた場面を想起させるが、
キューブリカンの道づれはすでに決められていた。
錐揉み回転しながら地上へ投げ飛ばされたキューブリカンが、
眼下でもがいている動けないガンガディンに突っ込んでいく――

                          ;人;;从;;;;:人;;:.`)
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;;;;ノ;`)".;⌒`)
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;;;⌒`;:人;;:....,,ノ;⌒;从;;人;;;⌒`; ;";⌒`)`)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(´;⌒;从;;人;;;⌒`;:人;;:....,,ノ;⌒;从;;人;;;⌒`; ;";⌒`)`~~~

ボボオオオンッ!!!

巨大な爆炎が立ち上った少し前、洗脳電波の感度を上げようと
ネックスティッカーは送信アンテナをさらに長く伸ばしていた。
そこへ、猛烈な勢いで回転する飛行物体が現れアンテナを切断した。
ZXが投げた『十字手裏剣』である。

シュシュシュシュシュ……スパッ スパッ!

ネックスティッカー「うぐ!? ア、アンテナが~っ!!」
タックル「うう…!」

操りの糸が切れたように、タックルはガクンと膝を曲げてその場へ倒れた。
すかさずストロンガーが傍へ駆け寄り抱き起こす。

ストロンガー「ユリ子ッ! 大丈夫か、しっかりしろ!」
ネックスティッカー「よくも邪魔を…許さんぞZX、くたばれっ!!」

ネックスィッカーの巨大な体躯には、岩をも砕く強大なパワーがある。
しかし本来後方に潜み、司令を発する司令塔メカとして設計されている
ため動きは鈍重であり、〝忍者ライダー〟ZXの変幻自在の戦い方には
全く及ばず怪力の両腕は虚しく空振りしていた。
業を煮やしたネックスティッカーは、首の付け根部分からビームを撃った。
その一撃は見事ZXを貫通したと思われたが、その像が陽炎のように歪む。

ネックスティッカー「おのれっ…これも分身か!!」
ライダーZX「電磁ナイフ!」

――ビュッ ズガッ!

ZXが投擲した電磁ナイフが、怪魔ロボットのビーム発射口に突き刺さる。
青白い電流を放出しながらのけぞるネックスティッカー。

ネックスティッカー「ぐがぁ!」

ライダーZX「ZXキィィ――ック!!!」

踵からジェット・エンジンを噴出させ上昇したZXは、空中で決めポーズを
とった瞬間、全身が赤色発光。そのまま猛烈な勢いでキックを炸裂させる。

ズガァァァンッ!!

ネックスティッカー「ギャアアアッ!! (…ガテゾーン様!)」

ドドォーンッ…

仰向けに倒れ、ネックスティッカーは木っ端微塵となった。

ガテゾーン「(よくやったネックスティッカー! お前の犠牲は無駄にはならん、
 …作戦は第二段階に入った! さあ、タックルに近づくがいい…)」

291-14 

ストロンガー「エレクトロファイヤー!」

バリィッ! バババババババ――!!

怪魔戦士二人に苦戦しているロボライダーを救うため、シュバリアン目掛けて
得意の電気技を放つストロンガー。しかし高圧電流は、そこへ立ち塞がった
怪魔ロボットの持つ奇妙な形のスティックに吸収されてしまう。

ストロンガー「チッ…てめえもクライシスの鉄クズってわけかい」
エレギトロン「我が名はエレギトロン! 俺のボディは電気エネルギーの塊よ。
 ストロンガー、貴様の電気技もこの俺には通用せんのだ!!」
ストロンガー「そうかい。じゃあ、こいつはどうかな!」

ストロンガーはチャージアップしようとしたが、それを出すまでもなく、
ZXが射出した『マイクロチェーン』がエレギトロンを巻き上げた。

エレギトロン「何の真似だ? こんな鎖程度で…ッ」
ZX「ストロンガー、今だ!」
ストロンガー「へへ…気が利くじゃねえか、そら食らえッ!」

ズババババババババ……バリバリ、バチィィィッ!!!!

エレギトロン「うぐぐぐぐ…ぎゃああああ!?」

ZXがマイクロチェーンを伝わり流し込む5万ボルトの高圧電流と、
ストロンガーのエレクトロファイヤーが左右から注ぎ込まれた。
さしものエレギトロンも、この莫大な負荷にはボディ内部の機械が
耐え切れず両目、両角の先から火花が飛び散る。
そこへダメ押しとばかりに、ストロンガーの電キックが肩に炸裂した。

ストロンガー「トォッ! ――ストロンガー、電・キィ―クッ!!」

バギャァッ!! バチバチバチ…ドガァァン!

「怪魔ロボット大隊最強の戦士」を自認するデスガロンとシュバリアンの
猛攻にロボライダーは苦戦していた。この二人が息の合った攻撃で
攻め続ければ、いかなロボライダーでも倒せると思われたが、
いかんせん双方が譲らず、折り合いが悪いため決め手に欠けていた。

ロボライダー「ぐう、このままではやられてしまう!」
デスガロン「どけ! とどめは俺が刺す!」
シュバリアン「貴様こそどけ! クライシス帝国に、いやGショッカーに
 シュバリアンありと俺の名を轟かせてやるのだ!」
ロボライダー「今だ!!」

言い争う二人の一瞬の隙をつき、ロボライダーはバイオライダーに変身した。
水晶の液化物質がデスガロンの背後に回り込み一閃!

デスガロン「グァッ!!」

バイオブレードがデスガロンの右肩から先を斬り飛ばした。
倒れるデスガロンを他所に、鉤爪を振り上げてバイオライダーに
襲い掛かるシュバリアン。バイオライダーは反す刀でさらに一閃した!

バイオライダー「スパークカッター!!」

ズバァァン

シュバリアン「ぐううッ!!! 何の…まだ、まだ…グハッ」

シュバリアンの鋼鉄の右腕が、デスガロン同様に肩部から宙に舞った。
直撃を避けたため、まだどうにか動けるようだ。デスガロンも戦士の
意地にかけて片手でブーメラン鎌を掴もうとしている。

ガテゾーン「(デスガロン、シュバリアン! そこまでだ…奴から離れろ)」
デスガロン「(しかしガテゾーン様、自分はまだ戦えます!)」
シュバリアン「(自分もです! みすみすRXめの首を捨て置けと!?)」
ガテゾーン「(いいから俺の作戦に従えッ! これでいいんだ…
 お前らは実によく戦った。そのダメージならRXも今度は咄嗟に
 バイオライダーで逃げれまい…フフフッ、分かったな命令だ!!)」
デスガロン「(…了解。御命令に従います…)」
シュバリアン「(ガテゾーン様!!)」
ガテゾーン「(くどいぞシュバリアン! 愚痴なら後で聞いてやる)」
シュバリアン「(………)」

291-15

それぞれの戦闘を終えたライダーたちが、タックルを膝に抱いて抱えている
ストロンガーの周囲に集まってきた…。

ストロンガー「ユリ子……」
タックル「うう…ううん………しげる…」
ストロンガー「…! 気がついたかユリ子、俺ならここにいるぞ」

タックルの黄色いグローブを、固く握り締めるストロンガー。
吹き抜ける風が、白と黄色のマフラーをもの哀しくたなびかせている…
戦場で別れ、離れた二人がこうしてまた再会した。
彼らを見つめる他のライダーたちも、感慨深い様子で見守っていた。

ガテゾーン「(フフ…ネックスティッカーを倒したことで油断したな。
 甘いぜライダーども。洗脳ユニットはその女の頭の中とも知らずにな…
 そして本当の送信デバイスは…俺の手の中にあるのさッ!)」

ガテゾーンの手に、何かの装置が握られている…。

ガテゾーン「(さあタックル。最後の一働きをしてもらうぜ……やれっ!!)」
タックル「!!」
ストロンガー「タックル!?」

大きく目を見開いた彼女が、手刀をストロンガーの両首筋にあてた。
次の瞬間、タックル最後にして最大の大技が発動された!

タックル「ウルトラサイクロン!!」

ヴァァァァァァァァァァンッ!!!!

ストロンガー「ぐわあああああ!!」
ライダー1号「ぐおおお…こ、これは!!」
ライダー2号「体が、バラバラになりそうだ…!!」
ライダーZX「まさか奴らの狙いは…ぐああ!!」
BLACKRX「ぐっ…バイオ…うわああああ!!」

電波人間タックルが命と引換えに放つ、一撃必殺の超技ウルトラサイクロン!!
ストロンガーに叩き込まれた超振動波は、地面を伝わり周囲にいたライダーたちも
まとめて葬らんとしている…仮面ライダー、万事休す!?

ガテゾーン「勝ったッ!! ハハハハハ、とうとうやったぜこの俺がな!!
 仮面ライダーども、全員まとめて今度こそ地獄へ落ちろ!!!」

ドギュゥ―――ンッ!!

勝利を確信するガテゾーン。その時、地獄谷に銃声が鳴り響き、
彼が持っているデバイスを粉々に吹き飛ばした。
洗脳効果が切れ、タックルは絶叫した。

タックル「アア!! …ああ…ああああああーッ!!」
ガテゾーン「うぐっ! …な…何だと!? 誰だ邪魔しやがったのは!!」

ガテゾーンが顔を上げた先に立っていたのは――

ガテゾーン「!! お前か…」
トップガンダー「………」
クロスランダー「トップガンダー!!」

別の場所でメタルダーやXライダーと交戦していたクロスランダーが驚き
こちらを振り向く。トップガンダーは静かに振り向くと、
メタルダーたちのほうへ加勢に走った。

クロスランダー「この裏切り者めッ!! よくぞのこのこ現れおったな!!」
トップガンダー「メタルダーは俺の友達だ!!」

ウルトラサイクロンが不完全に止まり、全員相当なダメージは負ったがまだ生きている。
満身創痍の体でストロンガーはゆっくりタックルを抱き起こした。
死んだように倒れていた女戦士タックルが――
一人の女性、岬ユリ子が―――
微かな息のもと、薄目をあけて微笑んだ…

ストロンガー「ユリ子…ッ!」
タックル「茂……うふふ、もう…遅いじゃない…待ちくたびれたわ…
 …でも…会いたかった……ありがとう、茂……」

そう呟くと、彼女は再び力なく死んだように意識を失った。

ストロンガー「~…ッ…!!! うお…うおおおおおおおおおッ!!!」

291-16
               ,ィ'´(    )`:、
             ,ィ'´`` ``'''"´  ヽ
             i,ィ'´`,‐-、 Y ,ィ'´``ヽ)
              ,:',':: :: :: :i i:: :`:、
           ,ー-、i.i:: :: :: :: i i:: :: :i      「チャージ・アーップ!!」    
           /ゝ‐‐´',ヽ,ィ'´ ̄~``/~``''=-、_
          /ヽ、_,.,ィ'´‐ゝ、____,.'´: : : : ,': : : )
            /    ,':: ヽ_,,.、,_,,.、、:: :: :: ::,':: ::ノヽ、
        く、  ,':: :: :/   ィ'´‐-..、:: :,'::/;;;;;;ヽ、
        ,';;;;`ヽ'"`:、:: :ゝ-==l   ノ::,ィ'´;;;;;;;;;イ;;;;;;\
       ,';;;i i;;;;/;;_,.-\.|/ゝ、__,ィ',ィ'´ };;;;;i`ヽ、,ィ'´`ヽ、
       ``''ーー''"´  `ー-、:: :: ,ィ'´,ィ'´};;;;;i   ',::',   .i
                ',ゝ',::::::i i,/;;;;;;;;i_  /.i i i i i ',
                 i-)ヽ´`ヽ_ ̄', ̄_| ゝ`‐´`´`´
                      i_)‐米‐‐(--‐‐ィ;ヽ、
 ギュィィィィ―――ィィィィン――!

遂に真の力を解き放つストロンガー。胸のS字が電光を発して高速回転!
『超電子ダイナモ』が起動した時、彼は改造超電子人間に生まれ変わるのだ!
カブテクターに白銀のラインが走り、カブトショックもスパークして白銀に輝く。
チャージアップしたストロンガーは、大地を蹴って天高く跳躍した。
大の字に両手両足を広げ、空中で全身から稲光を迸らせながら大回転。
────           ─────
     / /  | ヽ   \
   /  /  |  ヽ    \
  /   /   |   ヽ    \
/    /   |    ヽ     \

    /__ O   __/__
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   /           /   /     /
    ̄ ̄ ̄       /   /   /

291-17

\       .\         L         l      \.|             |     |    .|\     /\     / |   //  /
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   .|         l     ゙l          l     / ノゝノ) /(_   _)ヽ,.|   \ 超・電!イナズマッ!          /
   .l        ..l     !        ュ  l    /.ゝ __//,ィ' ‐‐ 、` ,-‐'ヽ',!   ∠        キィィーーック!!   >
    .`'-、       l    .|           リ、  l  /   i     ,ィ'´; ;ヽ /; ; ヘ !   /_                 _ \
      .\      ヽ   .|         lヽ │ iゝ‐-┤_   i; ;; ;; ;;i i; ;; ;;;;i.l     ̄ / /∨| /W\  /\|\  .|  ̄
        .\     .|  │            l ヽ.! i;;;;;;;;;;;/;;;;;ヽヽ`ヽヽく ⌒ ヽ.ノl!      //   |/     \/     \|
         ヽ    ヽ  l             l  ll、ゝ、;;;;;;;;;;;;;;;', ): : : : :`ヽノi…‐、              /  !
          ヽ    ヽ !          l  .ゝ  \;;;;;;,,;;ゝi: : : : : : :i``''ー、: ::ヽ、      _,  /   l゙
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   ヽ    |         `'- ..、         ヽ/| /   / \/   >---‐´ ̄   ̄  ̄ /     /
    .!    !              ゙'-、         /    / / i  /!!          / ./    ./
、    .!   l                 \    ,ィ'´`',.  / / /  ,' .l!            / ./    /    .,ν
`'ミ~、,,_..l   ヽ                 l  ,','::::::::::::',/. /  i  /   !            / /   /    / ,i′
  `'ii、 ゛    \                !  ii:::::::::::::::',. /   ``´   !        / /    ,i′,/゛ /
   `'- ..,,     \            l, ii::::::::::::::,'/   !  .!              / /   .ノ./   .,/
       `''ー、、  .\              l ii:::::::::::::',..l  │ |           / /  〃゛  .../゛     ,,-
          `\,  .\             l ii:::::::::::::',  l,  ! .!             / /   ゛  . /      /
            \  \         l弋__,ィ' ..l  l  |            / ./    /         /

291-18

ガテゾーン「ウオオッ…くっ、離脱!!」

ドガァァンッ!!

ガテゾーン「畜生、フルチューン済のボディを…おぼえてろっ!!」

大爆発と共に砕け散るガテゾーンボディ。
超電イナズマキックが炸裂した瞬間、彼は間一髪でボディを捨てて頭部のみ
緊急離脱した。この辺はさすが二大組織の渡世を歩いてきた機甲隊長である。
が、怒れる雷神ストロンガーがそのまま見逃すはずもなく――

CPストロンガー「逃がすかッ ――トォ! 超・電ドリルキィィークッ!!」
ガテゾーンヘッド「うっ! 寄るなーーッ!!」

ゴァォッ

追撃の超電ドリルキックとガテゾーンヘッドが放ったビームが激突する。
だが気迫に勝るストロンガーのドリルキックがビームをスパイラル状に
削って行くかのように裂き、ヘッドに炸裂しようとしたその時。

シュバリアン「ガテゾーン様ーーッ!」

ギュルルルル―ッドガァァ!!

シュバリアン「グハァァア!!!…ア、ア…ガテゾーン様…」

ドバァァンッ!

飛び込んだシュバリアンを貫くドリルキック。
機甲隊長の盾となった彼は、爆発を起して落ちて行く…。

ガテゾーンヘッド「シュバリアン!? ぐうう~トリプロン!!
 シュバリアンを回収しろーッ!!」
トリプロン「ハ、ハハー!」
デスガロン「RX…いづれ改めて命はもらう!」

トリプロン1号がシュバリアンの吹飛んだ頭部を、2号と3号がそれぞれ
バラバラになった体の残骸のいくつかを回収して飛び去る。
デスガロンもそれに続き消えて行った。
その間には、ガテゾーンヘッドはすでに彼方へ飛び去り消えていた――

ライダー1号「…微かだが…まだ脈はある。望みを捨てるな茂」
ストロンガー「ユリ子…。悪りぃ、待たせちまってよ……」

タックルを両腕に抱き、立ち上がるストロンガー。
だが、かつてとは違う。彼女はまだこの腕の中で生きている。
二度と失ってなるものかと…空を仰ぐストロンガー、そして仮面ライダーたちであった。

291-19 

○本郷猛/ライダー1号→キューブリカン、ガンガディンを2号と協力して撃破。
○一文字隼人/ライダー2号→キューブリカン、ガンガディンを2号と協力して撃破。
○風見志郎/ライダーV3→地獄谷でメタルダーの援護に加わる。
○結城丈二/ライダーマン→地獄谷でメタルダーの援護に加わる。
○神敬介/ライダーX→地獄谷でメタルダーの援護に加わる。
○山本大介/ライダーアマゾン→地獄谷でメタルダーの援護に加わる。
○城茂/ライダーストロンガー→エレギトロンを電キックで倒し、ガテゾーンに怒りの
  超電イナズマキック、超電ドリルキックを叩き込んでボディを破壊する。
○筑波洋/スカイライダー→地獄谷でメタルダーの援護に加わる。
○沖一也/ライダースーパー1→地獄谷でメタルダーの援護に加わる。
○村雨良/ライダーZX→ボディに内蔵された数々の装備で大活躍。ネックスティッカーをZXキックで撃破。
○南光太郎/ライダーBLACKRX→デスガロン、シュバリアンと交戦するが決着はつかず。
○剣流星/メタルダー→地獄谷でネロス帝国と戦闘開始
○トップガンダー→ガテゾーンが隠し持っていた洗脳デバイスを狙撃してこれを破壊する。メタルダーに加勢。
○岬ユリ子/タックル→ガテゾーンに拾われ強化改造を施されていた。洗脳が解けたが瀕死状態。
●ガテゾーン→二重作戦成功で勝利を確信したのも束の間、トップガンダー参戦で形成逆転される。
 ストロンガーの超電イナズマキックによりボディを破壊され、頭部のみ撤退。
●キューブリカン→圧倒的な火力でライダーを砲撃。ダブルライダーに敗れる。
●ガンガディン→圧倒的な火力でライダーを砲撃。ダブルライダーに敗れる。
●デスガロン→ロボライダーと再戦するが、決着はつかず負傷して撤退。
●エレギトロン→ストロンガー、ZXのW電撃攻撃にショートさせられ電キックを食らい爆死。
●ネックスティッカー→ZXのZXキックを食らい爆死。
●シュバリアン→デスガロンと喧嘩しつつロボライダーと戦う。ガテゾーンのヘッド部をかばい、
 超電ドリルキックを受けて大爆発。トリプロンに回収される。
●トリプロン→ガテゾーンの命令で大破したシュバリアンを回収。
●戦闘ロボット軍団→メタルダーとそれぞれに遺恨のあるライダーを狙う。
●機甲軍団→メタルダーとそれぞれに遺恨のあるライダーを狙う。

291-20

【今回の新規登場】
●キューブリカン(仮面ライダーBLACKRX)
 RX撃滅の使命を与えられ出撃した最初の怪魔ロボット。ガテゾーンの自信作であり、
 強力なパワーを有し左手にアイアンクロー、右手にビーム砲を装備している。
 人間に変装することも可能。RXキックで頭部を粉砕され、一旦行動停止に陥るが
 下から現れた第二頭部で再起動するという頑丈さを見せた。

●ガンガディン(仮面ライダーBLACKRX)
 ライドロンの破壊及びRX抹殺の任務を帯びて出撃した怪魔ロボット。
 全身兵器庫とも言える移動砲台ロボで、ロケット弾とビーム砲の威力は絶大。
 圧倒的な火力で一度はRXを窮地に陥れたが、クジラ怪人の聖なる洞窟で
 生命を得たライドロンの参戦で形成逆転、体当たりで横倒しにされたところに
 RX必殺のリボルケインでとどめを刺され大爆発を起した。

●デスガロン(仮面ライダーBLACKRX)
 死亡したガロニア姫の替玉計画にあたり、妨害者抹殺の特命を受けた
 対RX用の怪魔ロボット大隊最強の戦士。(※当時。)
 戦闘能力はすこぶる高くRXを苦戦に追い込むが、左胸の怪魔界へ行ける
 飛行チャンネル装置でRXの怪魔界侵入を招いた失態から処刑される身となる。
 それを贖うため再度RXに勝負を挑むが、佐原ひとみを失った深い悲しみから
 突如誕生したロボライダーの前に圧倒され、ひとみ生存の事実を告げて散った。

●エレギトロン(仮面ライダーBLACKRX)
 怪魔界を地球に招来させる三つの鍵の強奪司令を帯びて、ガテゾーンと共に
 出撃した怪魔ロボット。ボディを電気エネルギーに変換させて送電線を媒介に
 コンセント等から実体化可能。左右の巨大角に敵を挟みこんで電撃を加える
 他、電気エネルギーで組成されるスティックを武器に用いる。

●トリプロン(仮面ライダーBLACKRX)
 上級戦士にあるまじき失態を犯したデスガロン処刑の命を受けた怪魔ロボット。
 3つのパーツに分離でき、1号は頭部と肩部のみで飛行・偵察を主な任務とし、
 2号・3号は人型のロボットで腕の巨大ハサミが武器。
 3体が合体していないと戦闘では全パワーを発揮できない。


『友よ、君は何故再び…!?』

作者・シャドームーン

291-21

***???跡地***

ケンプ「ええい! どうやってもダメか…クッ、このポンコツめ!
 ギルドス、そっちはどうだ?」
ギルドス「……何とかいけそうだ」
ケンプ「そうか! 残念だが回収して使えそうなのはその機体だけだな。
 できれば二体とも再生してビアス様に御覧頂きたかったが…仕方あるまい。
 俺が苦心して開発した、新エネルギー元素が詰まったこの動力コアはまだ
 二つしかない貴重品だ。一つはギガボルトに組み込むとして……
 あとの一つはどうやらそれに決まった。では急ぎ、回収して戻るぞ」

サアー…アーーー…アー…ーー

無常の雨に打たれる、激しい戦闘の後に放置された鉄の残骸たち。
ケンプとギルドスは「兵どもが夢の址」とでも言うべき変わり果てた巨大建造物
の跡地で、無惨な姿を晒しているそれらを何やら物色していた…。

◇    ◇

ケンプ「フフ…このドクターケンプが、今お前に新しい命と力を与えてやる!
 さあ起きろ。そして愚かな人間どもが創ったモノを徹底的に破壊するのだッ!!」

ギュィン!

ズノーベースの格納庫で、巨大な影の両目に光が宿る…


***喫茶アミーゴ&立花レーシング***


藤兵衛「なんじゃーこの機械はっ! 何の役にもたたんではないかー!!」

発明ショップ・エジソンから試しに通販で買った「ゴキブリキャッチャー」
の作動不良に怒る藤兵衛。例によって小山大五郎が作ったアイテムである。

勇介「まあまあおやっさん。どれ、貸してみな…」

勇介が工具を使って少し弄ると、ゴキブリキャッチャーはデタラメな動きが
直り、スムーズに動くようになった。感心する藤兵衛。
 
藤兵衛「おー! いやあ、勇介クンがこんなに器用とは思わんかったよ」
めぐみ「そーゆーのだけは、得意なんだから!」
勇介「だけとはなんだだけとは! おやっさんも酷いなあ~こう見えても、
 ジェットファルコンやライブクーガーを作ったのは俺なんですよ!?」
藤兵衛「ワハハハ、そうだったのかそりゃスマン!」

そうなのである。世界中から天才が集まる科学アカデミアに在籍していたせいで、
成績的には埋もれていったが天宮勇介も一般の基準で言えば充分秀才なのだ。
トップレベルにあったあの月形剣史も、入学当初は勇介の気さくな友人であった。
二人はよく一緒に、新しい機械や薬品の研究もしていた。
あの頃の剣史は、自分の研究が人類の発展に役立つことに誇りを持っていた。
闘病中の少女のために、ケンジローズを開発して無償で届けもした。
そして勇介のバカな冗談にも笑顔で付き合う、良き学友だった…。
何が彼をああまで極端に変え、道を誤らせたのか?

〝友よ、君たちは何故、悪魔に魂を売ったのか―――〟
 
勇介「剣史のやつも、昔はよくこんな妙なメカを作っては失敗して…
 でも心底楽しそうに笑っていたっけな……」
八荒「剣史ってあのケンプとかいうキザな悪党でしょ? 嫌な奴だなーあいつ!
 俺もワルやってたけど、あんな鼻持ちならない上から目線の臭い野郎は
 初めて見たぜ。俗に言う“ゲロ以下の臭いがプンプンする”奴ってのは
 ああいう男のことを言うんだろうね!」
舞「…八荒さん!」
八荒「あ…すいません、言い過ぎかな?」
勇介「いや、君の言う通りさ。あいつはもう…。一つしかない命を、
 二度も無駄に使うような大バカ野郎だよ、ケンプの奴は!」
めぐみ「でも…もしかしたら、あの時に剣史を救えたかもしれない…」

291-22

大教授ビアスの発表した成績表で最下位になった時、焦るケンプは自らの命を
賭けた恐獣変身に挑んだ。その時一度だけ、科学アカデミアに入学する前の
月形剣史に記憶が戻ったことがあった。めぐみはそんな剣史を真人間に更正
させるため体を張って奮闘したが、結局その想いが果たされることはなかったのだ。

めぐみ「剣史は可哀想な人ね…。きっと誰からも、本気で叱ってもらえた
 ことがなかったんだわ…。もっと早く出会えていたら、違う結果になって
 いたでしょうに……」
勇介「よさないかめぐみ! もう、過ぎたことだ…あいつが自分で選択した
 人生だ…それも二度もな。ケンプは憎むべきGショッカーの復活した
 ボルトの幹部。俺たちはライブマンとしてもう一度、あいつと対決しなければ
 ならないんだ…ッ! そして絶対、勝たなくちゃならない!!」
めぐみ「ええ、そうね……」
丈「そういえば、豪もあれからどうしてっかなあ……」

大原丈は今は消息を絶っている親友・尾村豪のことが気がかりだった。
ボルトへ走った友人の内、唯一救えたかけがえの無い友である。
黄泉帰りやGショッカーという混乱情勢が続く現在、優秀な頭脳を持つ豪が
再び悪の魔手に堕ちていないとも限らない。丈は豪が、亡き仙田ルイや
科学アカデミアの学友たちの菩提を弔いながら、何処かで無事でいてくれる
ことを願ってやまなかった。

ジャーーーーーーーー…

奥の炊事場では、毒島嵐が皆が食べた食器の後片づけをやらされていた。
仕掛け人は「働かざる者食うべからず」ときつく説教しためぐみとコロンである。
さっきまではブツクサ文句を言いながら皿洗いをしていた嵐だが、
何やら今はゴキゲンな様子で鼻歌交じりに仕事をこなしている。

嵐「キラリ☆かーがーやーけーアシュラマン♪…ってかフッフッフ~。
 Gショッカーか…聞けば聞くほどドえらい大組織だぜ。そいつの頂点に
 上りつめりゃあ、地球どころか全宇宙の大ボスになれるってわけかい!
 クククッ、暗黒街のトップを目指した俺に相応しい場所かもしれねえ……
 何しろボスになれば全世界、全宇宙の莫大な富が俺のモノッ!!
 もうセコい銀行強盗なんざする必要もねえ! …美人のねーちゃんも侍らし放題、
うはははは、何というチャンス! こりゃあたまらん黄泉帰り様様だぜえッ!」

ジャー…キュッ キュッ。

一人、怪しくニヤけながら妄想にふける嵐。頭の中はGショッカーの帝王となり、
美女たちや子分に囲まれて玉座にふんぞりかえっている己の姿で満たされていたが、
皿を洗う手は休むことなく器用に動いている。

嵐「俺は腕ッぷしだけで暗黒街をのし上がった…やってやれねえことはねえッ!
 熱い☆を掴むのさ~♪ってね! だがよ…やっぱあれだな、そういうデカい組織に
上手く入り込むには伝手がいるぜ。昔馴染みといやあ…ビアスだけじゃねえか。
 あの野郎に今さら頭を下げて頼むってのは俺の男が絶対許さねえしなぁ。
何とかケンプのやつに取り成して……いやいやまてまて、もう戦ったっけか。
 ついビアス憎しで飛び出しちまったが………………マズったか?」

291-23

***東京都市部***

ドォォーンッ!!
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   (⌒ヽ、_,ノ⌒Y´ ⌒) ノ''"⌒ヽ,_ノ⌒ゝ'⌒ヘノ⌒)  /
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::::::::::::::::::::::::::::::ヽ....  γ⌒ヽ::::::::::::::::::::::(⌒)::::::::彡⌒::::ミ::`)::::::::`):::::::::`つ、 ,,,,,
:::::::::::::人::::::::::::::::`Y´::::::::::::::::::::r'⌒⌒Y´::::⌒::`ヽ、:::::人:::::::(´`)::::::ィ´:::::⌒:::::`゛:::::`)

ドガァァンッ!!              
    ( . .:.::;;;._,,'
     ).:.:;;.;;;.:.)
    ノ. ..:;;.;.ノ  | ::::::::::::::::::::/  \\\
   ( ,.‐''~ ワー  | ::::/\:::::\ .  .\\\丿ヽノヾ/丶)  
(..::;ノ )ノ__.  _  | ::/  _ )::::: _)ゴー..ヽ\\_ノヽノヽノヽ )ノ ⌒ 
 )ノ__ '|ロロ|/  \∪.___.|ロロ|/  \/ヽ ヽ\     )ノノ*☆
_|田|_|ロロ|_| ロロ|_|田|.|ロロ|_| ロロ|_  (.:;;.;;丶   丿ソ ☆ ))

突如攻撃を受ける都市。圧倒的な破壊力でビルを薙ぎ倒している巨大ロボ―
あろうことか、それは改造実験帝国メスの襲来から地球を守り抜いた平和の砦!!

ギルドス@フラッシュキング「フム…こうか?」
超AI@ギガボルト「ギガガガガ…」

ズバッ!!

ズ、ズ、ズ、ズ……ドォォンッ!


ギルドスとジンマー4人が操縦するフラッシュキングが、巨大剣コズモソードで
高層ビルを豆腐のように斬り倒してしまう。剣はオリジナルではなく、
ケンプがギガボルト再生に合わせてスーパーギガゾメタルで拵えたレプリカである。
人工知能搭載のギガボルトも、巨大スピアでビルを串刺しにしていく。

耕司「何てことだ…本郷先輩が予見していた、強大な悪とはこのことだったのか!
 …あっ、危ないッ!!」

パトロールに出ていた瀬川耕司は、都市で破壊の限りを尽くすフラッシュキングと
ギガボルトを目撃していた。崩れ落ちる建物の破片から、逃げ惑う人々を庇い守る。

***喫茶アミーゴ&立花レーシング***

グラントータスに戻っていたコロンから、勇介たちに緊急通信が入る。

コロン「大変よ! 街を破壊してるのは、フラッシュキングよ!!」
勇介「何だって!!?」
丈「ちょ…何でフラッシュマンたちが…」
めぐみ「いいえ。フラッシュマンは今地球にいないはずよ…ということは」
勇介「Gショッカーどもの仕業かっ!!」
コロン「ライブロボを合体状態で緊急発進させるわ。皆急いでコロン!」
勇介「よし、行くぜ皆!!」

291-24

だが外へ飛び出した三人を待ち構えていたのは、地獄谷で生を受けた
最強にして最恐の頭脳獣だった!!
ヒーローに辛酸を舐めて来た幾多の怪人たちの、復讐の炎と燃えるその
赤い両目から灼熱のビームを放つネオ恐獣ズノー。

ネオ恐獣ズノー「ゴルルル…グァーッ!!」

ビビイイイ――ドドンッ!!

めぐみ「きゃあっ!!」
丈「うわっ!!」
勇介「うう…頭脳獣! ということは…ッ!!」
ケンプ「ハハハ! ライブマンの諸君、我が最高傑作のネオ恐獣ズノーの
 力は如何かな?」
勇介「やはりケンプ!! 都市を破壊しているフラッシュキングもお前の仕業かッ!?」
ケンプ「その通り。フラッシュ星人の遺産であろうとも、我らボルトの手にかかれば
 即座に破壊兵器に早変わりよ! フラッシュマンとやらもバカな連中だな、
 大事な戦力を地球に棄てていくとは。さらにそれを粗大ゴミの如く今日まで
 何の対策も取らず、放置していた人間どものバカさ加減にもほとほと反吐がでるぜ…クククク」
八荒「くわー……っ…何てムカツク野郎だ!!」
ケンプ「む。黙れ、下衆なサルめ!!」
勇介「ケンプ…貴様に分かるか! 彼らがどんな思いで、フラッシュキングを
 地球に遺したまま去っていったか…それを悪魔の使者に作り変えて使うとは、
 とうとうそこまで腐ってしまったのか…見下げ果てたぞケンプッ!!!」
ケンプ「フッ、知ったことか!! 所詮機械というものは使い方次第で
 神にも悪魔にもなる道具に過ぎんのだ!!」
八荒「やいやい、えっらそーにゴタゴタ抜かしやがって何様のつもりだ!」
ケンプ「また貴様か。雑魚に興味はない、下がってろ!」
八荒「ほぉ~~この北八荒様をなめると後悔することになるぜ?」
舞「ちょ、ちょっと八荒さん?」

いつになく強気な態度で、ライブマンたちの前に出る八荒。
彼はおもむろにあの戦隊ヒーローの変身ポーズに入った!!

八荒「チェンジ・グリフォン!!」
勇介「え…(汗)」
ケンプ「……!?」

▼しかしなにもおきなかった。

ケンプ「…アホか貴様。ネオ恐獣ズノー!!」
ネオ恐獣ズノー「ガァァァァッ!!」
八荒「ひえええ、やっぱダメかーーッ!!」
めぐみ「危ないっ!!」

バイソン&サイ「ライブラスターッ!」

ドバァンッ!

ネオ恐獣ズノーが八荒に襲いかかろうとした時、黒と緑の発光体が飛び込み、
ズノー獣に一撃を加えて彼を救った。

めぐみ「鉄也、純一!」
丈「おせーぞお前ら!!」
バイソン「すまん、これでも急いだんだが…」
サイ「でもライブボクサーは調整バッチリだよ!」
勇介「二人は急いでライブボクサーに乗って街で暴れているロボットを
 なんとか食いとめてくれ。俺たちは頭脳獣を倒したらすぐに行く!」
八荒「舞ちゃあ~ん…恐かったよう」
舞「もう、調子にのってカッコつけるからよ!」
八荒「俺も一度はああいうのやってみたかったんだよ~」

都市部ではすでに、ライブマンの代わりにコロンが操縦するライブロボが戦っていた。
しかしフラッシュキングとギガボルトの二体を押し留めるのは無謀である。

コロン@ライブロボ「きゃあっ! 急いで、私一人じゃとても…ッ!」
耕司「一人じゃないさ。ライブマン、ここは俺に任せてくれ」
勇介「…この声、ライダーJか!」

291-25 

耕司の声は、大地が運ぶ風のように勇介らの元へ届いていた。

耕司「変身!!」
                 f、_____   fl
               ,ィ、' 〈ヽヽ. ─ヽヽ\j|
              / ::::\\ヽヽ. ─ヽヽ|.ト.
                 /::::::::::::::: \\、丶.─}} | | ハ
             ;:::::::::::::::::::::::::\\、',─ }|_jr 、;
             |::::::::::::::::::::,──ヽヽ.─| |::::::::;
              :.:::::::::::::::/::::::::::...::::::Y}─| !::::::::i
            八::::::::::: !:::::::::::::::::::::; |─、 、:::::;
      ,ィ=、     ヽ.::::::八:::::::::::::::ノ ノ二ゝ、ニ;
   f ̄Y   {l      \、::::_`¨ イ´‐‐Y─‐7
   |=={||=={::|        ;ヽj、::::::::::|─| 二! 7
   {:|_j}|_j:}       ∧ \:::::::ゝ-! 二! /──---、
   r|  |||  |:/´ヽ.  /´ー‐.... >丶─‐‐7イハ丶:::::::\丶ヽ.
   ゝ___!!─'::::ヽ/::´ヽ::`丶.`丶. `丶---. ̄ / / ;::::::::::::::丶、::',
.\ / ̄ ̄ ̄`ヽ.::::::::/:::::::::::::::`丶.` ー―-`ヽ/ /::::::::::::::::::::、丶:',
:::::::::|  /   / \ノヽ.::::::::::::::::::::::::::: ̄::::---、j/::::::::::::::::::::::::丶!::!
ヽ.::::|       //ヽ. ヽ.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 丶::::::::::::::::::::::!レ'
 ヽ::::::      /::|::ヽ.丶丶:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶:::::::::::::::::::||イ
  、:::::::..    !::::|:::::::ヽ.} }:: .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 丶:::::::::::::::::ヽ.!
   ヽ:::::.............ノ:::ノ ::':::::',| |:::  .: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 丶::::::::::::::::|::|
   ト、\:::::::.....!::::|,..:::::::::::|| |::::::.  . : :::::::::::::::::::::::::::::::::: 丶::::::::::::ノ::|
   ト. \`丶.:::|::/::::::::::::::|Ⅳ::::::::..  . : :::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::/:::::!

ズズオオオオオオオオ―――――!

ビルの谷間に出現する、巨人ライダーJ!!
苦戦しているライブロボの前に立ち、ギガボルトにパンチを浴びせる。

ケンプ「う、何ぃ! 仮面ライダーが…巨大化しただと!!」
藤兵衛「あれが耕司クン…なのか!?」
舞「素敵…まるでウルトラマンだわ! 写真撮っとかなきゃっ」
勇介「(ありがとう耕司君…)皆、五人で力を合わせてあの頭脳獣を倒すぜッ!」
勇介&丈&めぐみ「ライブマン!」

キュイ――イ――ン――!

五色の光が鮮やかに飛び、ネオ恐獣ズノーとケンプを翻弄する。
揃った五人の戦士が、決めポーズと共に名乗りを上げた!

「「「「「超獣戦隊・ライブマン!!!!!」」」」」

ケンプ「貴様らの大仰な名乗りも今日で終わりだ!!
 恐獣ケンプ! ハァァァァァーッ!!!」

自らも恐獣ケンプとなり、禍々しいスタイルに変貌していくケンプ。
美獣ケンプより遥かに強く、恐ろしいという恐獣変身。

「グギャ…グギャギャ…」

胸にあるピエロのような人面が残酷な笑みを湛えたかと思うと、
その顔が悪鬼のように変わり、口から火球を吐いたッ!!

ドガガァ―ンッ!!

嵐「うおっ!!!」
藤兵衛「わ、わしの店が~~~っ!?」
レッドファルコン「しまった!」

291-26

恐獣ケンプの胸部人面が吐き出した火球を、散開して避けたライブマンだったが、
地面で着弾して爆発した衝撃波が、運悪くアミーゴの店先を破壊してしまった。
 
ネオ恐獣ズノー「グゥオオオゥ…シネ…ホロベッ!!」
恐獣ケンプ「ケンプ・テンタクルッ!」
 
凄まじい勢いで目から、両掌からビームを撃つネオ恐獣ズノー。
火線に晒される五人を、恐獣ケンプの触手攻撃が絡め取った。
 
レッドファルコン「ぐわあああ…ッ!!」
ブラックバイソン「う、動けない!」
恐獣ケンプ「フフフ…ブラックバイソンとグリーンサイ、貴様らも
 死にに来たようなものだったな。ネオ恐獣ズノー!!」
ネオ恐獣ズノー「グゴォオオーッ!!」

恐獣ズノー同様に、ネオ恐獣ズノーも胸部の人面から火球を放とうと
している。だが収束していくエネルギーが、先程ケンプが放ったものを
大きく上回るであろう威力を予感させた…

アシュラ「カットアッシャー!」
 
ヒュンヒュンッ――スパァッ
 
突然割って入るアシュラ。彼が投げたブーメラン状のカッターが、
恐獣ケンプの触手を悉く切断、ライブマンはすんでのところで拘束を解かれ、
ネオ恐獣ズノーが放った火球は不発に終わった。

アシュラ「ゴラァァァッ!! 俺の食い扶持に、何てことしやがるんだァァーッ!!」
恐獣ケンプ「おのれアシュラッ!! とことん我らの邪魔をする気かッ!!」
レッドファルコン「嵐…お前ってやつは!」
ブルードルフィン「見直したわ嵐!」
アシュラ「…ハッ!?(しまったああああッ!! 絶妙なタイミングでケンプに加勢して、
 なんとかGショッカーに口を聞いてもらう計画が…ッ うおおお、こいつはいかーんッ!
 これで益々俺は敵側と見做されるじゃねえかーッ! …もうこうなったらこいつらに
 加勢して恩を売るしかねえ! チクショーッ!!)」
イエローライオン「やっぱ根はいい奴だったんだな! 俺は信じてたぜ」
アシュラ「な、なぁ~に当たりめえよぉっ! この毒島嵐、メシを食わせてもらって
 何もしねえような腑抜けた男たあ違うぜえ! 覚悟しやがれいボルトッ!!
 サイバー分身ッ行け、シュラー!」
アシュラ三人衆「シュラー!」
 
アシュラの体から飛び出す白仮面の三戦士。
アクロバティックな連携攻撃でネオ恐獣ズノーを翻弄し、見事な戦闘を展開する。

アシュラ「ぬん!」
恐獣ケンプ「うがぁぁッ!!」

キンッ ギィンッ!

ブーメラン状の刃を武器に、アシュラは恐獣ケンプに向かって行った。
ライブマンたちは、シュラー三人衆に掻き乱されて反撃に移れない
ネオ恐獣ズノーに火力を集中させた。

「「「「「ライブラスターッ!」」」」」

ドドォンッ!!

ネオ恐獣ズノー「グオォオオ…オ!」
レッドファルコン「今だ、奴に連続攻撃をかけるぞ!
 でヤァッ―ファルコンブレイクッ!!」
イエローライオン「ライオンバズーカッ!!」
ブルードルフィン「ドルフィンアロー!!」
ブラックバイソン「バイソンロッド!!」
グリーンサイ「サイカッター!」

五人全員が、それぞれの武器と得意技を頭脳獣に畳み掛ける。
さすがの恐獣ズノーも怯み出した――…

レッドファルコン「バイモーションバスターだ!」

レッドファルコンの号令で必殺武器の発射体勢に入る五人の戦士。
動物を象った彼らのヘルメットの瞳が輝き、グラントータスから
大型のレーザーキャノン砲が電送され実体化する。
それを五人で担ぎ上げ、本体がピストン運動によりエネルギーを高めていく。

ギュインギュインギュインギュイン……―――…

「「「「「バイモーション・バスターッ!!!!!」」」」」

ドゴォォォ―――――ンンンッ!!!!

291-27

これまで、どんな頭脳獣をも必ず粉砕して来た必殺の一撃。
ネオ恐獣ズノーといえど例外ではない…はずであった。

ネオ恐獣ズノー「バァオオオアアアーッ!! …グ…オアア…
 …オノレ…オノレ…ヒーローメラ…ニクイ、ニクイ…コロスッ!!」
レッドファルコン「なっ…何!?」
ブルードルフィン「そんな…! バイモーションバスターが効かないなんて!」
恐獣ケンプ「ハッハッハッハ、俺の細胞から作り出したネオ恐獣ズノーは、
 バトルズノー以上の我が最高傑作にして不死身なのだあ!!
 おおッ…こんな頭脳獣を作ってしまうとは、自分の才能が恐ろしい…ッ」

一旦は粉々に砕け散りそうになったネオ恐獣ズノーだが、その体を形成している
カオスエネルギーの密度は、今までの頭脳獣の比ではなかった!
飛散しかけたカオスが再び集まり結合、恐獣ケンプのケンプテンタクルに似た
触手を体中から伸ばしてライブマンを襲った。触手の先端は獰猛な肉食獣の
ように牙がビッシリと生え、ケンプの能力以上の凶悪さである。
彼らの体に触手を食らいつかせ、さらに電撃を流すネオ恐獣ズノー!

バリバリバチバチバリィッ!

アシュラ「やべぇっ! とんでもねえ頭脳獣だぜ…」
恐獣ケンプ「フッハァー! ケンプ・デーモンフレアッ!!」

ゴォォォォ!

ライブマンのピンチに振り向いたアシュラを、全身炎の塊と化して飛び、
組み付く恐獣ケンプ。灼熱の炎地獄がアシュラを包み込む!

アシュラ「ぐがぁぁぁ…ッ!!」
恐獣ケンプ「ハァァ~…フハハ、どうだアシュラ!! このまま骨まで焼き
 尽くしてやろうか? 所詮お前も、豪も、マゼンダもボルトの落第生!!
 ビアス様に選ばれた真の後継者はこの俺ただ一人!!
 貴様ら凡人がどうあがいても、我ら天才にはかなわんのだアアアッ!!」

火神ケンプが炎の中から本人の人面を覗かせ勝ち誇ったように笑う。
ネオ恐獣ズノーの猛反撃で、ライブマン五人もすでに戦意を失いかけていた。
レッドファルコンのファルコンセイバーが地面に転がる…。

レッドファルコン「ううう…強い…強過ぎる。ダメだ、力が抜けていく…」
アシュラ「あきらめんじゃねえっ!!!」
レッドファルコン「!! …嵐、お前……」
グリーンサイ「でもっ…バイモーションバスターも効かないんじゃ、
 どうしようもないよぉっ!!」
アシュラ「いいや…見ろよ、全く効いてないわけでもなさそうだぜ」
ブルードルフィン「えっ…?」

アシュラが震える指で指したネオ恐獣ズノーをよく見ると……
確かに僅かな亀裂が体に残っていた。そこからモヤのような光るものが
隙間風のようにヒューヒューと微かな音を立てている。

ブラックバイソン「だ…だけど、俺たちのどんな武器でもとてもあの
 頭脳獣には通用しないんだ…」
アシュラ「ふー…おいおい、オメーらの武器って何だ?」
ブラックバイソン「そ、それは…」
アシュラ「そんな道具が武器か? 笑わせんじゃねえッ!!!
 そんなもん、ボルトにいた頃の俺ならいくらでも作ってみせらあな。
 俺がよ…お前らに負けたのは…お前らが、ビアスをぶっ飛ばしたのは…
 そんなシケた武器じゃねえだろッ! そら言ってみろお前らの最大の武器は!?」
レッドファルコン「俺たちの最大の武器…それは…〝命〟だ!!」
イエローライオン「そうだ命だ! 地球に息づく、かけがえのない命を守るために
 俺たちライブマンは戦うんだ!!」
アシュラ「へへ…なら、まだ戦えるじゃねえか。命が武器ならよ…
 生きてる限り、何度でも…何度でも…勝てるまでぶちかましたれやッ!!!」

ケンプのデーモンフレアに苦しみながらも、アシュラの顔は笑っていた。
そんな嵐に勇気づけられ、ライブマンは再びネオ恐獣ズノーに立ち向かう。

レッドファルコン「もう一度、バイモーションバスターだ!!」
恐獣ケンプ「黙れカス!! 貴様の命のほうが、あと少しで燃え尽きるわ!!」
アシュラ「ケッ…てめえもよく喋るな…この、クソッタレがあああッ!!!」

ザグゥッ!

291-28 

生身の顔を、無敵の炎から現したケンプは完全にアシュラを舐めていた。
アシュラは握り締めていたブーメラン刃の破片を、思いきりケンプの右目に突き刺した!

恐獣ケンプ「うぎゃぁ――ッああああああ…うわぎゃ、ぎゃぁぁぁッ!!!」

絶叫してアシュラを離し、右目を押さえて不様に転げ回るケンプ。
そこへ、シュラー三人衆が襲い掛かり、攻撃を加えた。

「「「「「バイモーション・バスターッ!!!!!」」」」」

ネオ恐獣ズノー「グオオオ!!!」

二回目のバイモーションバスターがネオ恐獣ズノーを撃つ。
今度こそ粉砕したと思われたが、恐るべき頭脳獣は尚も再生を始め倒れない。

グリーンサイ「うわあああ、やっぱりダメだよ!」
レッドファルコン「あきらめるな!! 何度でも撃つんだッ!!」
アシュラ「オラああああ!!」

焼かれた体に鞭打ち、跳躍したアシュラがネオ恐獣ズノーにブーメランナイフ
を突き刺した。苦しみと怒りの咆哮を響かせ、ネオ恐獣ズノーの牙付き触手が
アシュラの全身に食らいつき電撃を浴びせる。彼の体を、火花が弾け飛んだ。

レッドファルコン「嵐!!」
アシュラ「ぐうう~…何してる…もう一度だ…!!」
ネオ恐獣ズノー「ガァァ~ッ!…ハナセェ~…ハナセェェェ~…ッ!!」
アシュラ「俺はよう…ダイナマイトで木っ端微塵になって死んだ男だ…
 こんな痛みなんざ…屁でもねえ…ぜっ!! 地獄ってのは…そんなに
 悪くねえところだったぜ…おいバケモン、てめえも一片…行って来いやあッ!!」
ネオ恐獣ズノー「ガアアアアア!!」

「「「「「バイモーション・バスタァァァーッ!!!!!」」」」」

凄まじい力で暴れるネオ恐獣ズノー。とうとうアシュラが力尽き振り払われた時、
三回目のバイモーションバスターが火を噴き炸裂した。
そして今度こそ、最強にして最恐の頭脳獣も、粉微塵となって消滅した。

ドッガァァァンッ!!!

恐獣ケンプ「ああ! くっ、おのれよくも我が最高傑作の頭脳獣をーっ!!」

ガチャリ… ガチャリ…ッ

ガッシュ「ギガ・ファントム!!」

事の一部始終を見届けたガッシュが、お約束の巨大化ビームを砕け散った
残留カオスに浴びせ迷惑な置き土産をして去って行く…
こうして彼は、毎回ライブマンたちの苦労を水の泡にしくさるのであった。

巨大ネオ恐獣ズノー「グガァァァァ!!!」
イエローライオン「ちくしょう~…ガッシュの野郎め!!」
恐獣ケンプ「ちいい、こうなれば…ハァッ!」

片目を押さえて突然消えるケンプ。彼はギガボルトの操縦席に自分を転送したのだ。
ビル街では依然ライブロボVSフラッシュキング、ライダーJVSギガボルトの激闘が続いていたが、
コロン一人で操縦するライブロボでは、本来の性能をフルに出せず苦戦していた。
またライダーJも、非常に頑丈なスーパーギガゾメタル製のギガボルトにひどく手を焼いていた。

レッドファルコン「がっかりしてる場合じゃない。嵐が開いてくれた血路だ…
 行くぜ皆、俺たちでフラッシュキングを止めるんだ!」
ブルードルフィン「そうね…嵐の尊い犠牲を無駄にしてはいけないわ!」
アシュラ「あの~もしもし? 犠牲って…俺はこのとーり生きてるんだが」
イエローライオン「ううう…嵐、うまいメシをもっとたらふく食わせてやりたかった…」
アシュラ「だからオイ…生きてるっつーの!!」

291-29

○天宮勇介/レッドファルコン→バイモーションバスター三連撃で漸くネオ恐獣ズノーを撃破。
○大原丈/イエローライオン→バイモーションバスター三連撃で漸くネオ恐獣ズノーを撃破。
○岬めぐみ/ブルードルフィン→バイモーションバスター三連撃で漸くネオ恐獣ズノーを撃破。
○矢野鉄也/ブラックバイソン→バイモーションバスター三連撃で漸くネオ恐獣ズノーを撃破。
○相川純一/グリーンサイ→バイモーションバスター三連撃で漸くネオ恐獣ズノーを撃破。
○コロン→ライブロボを操縦してフラッシュキングと戦う。
○瀬川耕司/ライダーJ→巨大変身してギガボルトと戦う。
△毒島嵐/ドクターアシュラ→Gショッカーに入りトップを目指すことを夢みるが果たせず。
ライブマンに加勢して恐獣ケンプと戦い、ネオ恐獣ズノー撃破の血路を開く。
●ドクターケンプ→旧ラボー跡地にて、放棄されていたフラッシュキングとグレートタイタンを
 回収しようとするがタイタンは動かずフラッシュキングのみ修理・再生を施す。
 恐獣ケンプに変身して戦うが、アシュラに右目を負傷させられギガボルトに搭乗。
●ギルドス→ジンマー4人を引き連れフラッシュキングに搭乗、都市を破壊する。
●ガッシュ→ネオ恐獣ズノーをギガファントムで巨大化再生させる。
●ネオ恐獣ズノー→バイモーションバスターも効かず、ライブマン全員を後一歩まで追い詰める。
  アシュラの加勢により、バイモーションバスターを3回撃ち込まれ遂に倒されたが、
  ガッシュのギガファントムを浴びて巨大化した。

【今回の新規登場】
○矢野鉄也=ブラックバイソン(超獣戦隊ライブマン)
 月形剣史に射殺された矢野卓二の弟。ボルト出現後、国連のドロテ博士の下で
 バイソンライナー及びライブボクサーの操縦訓練を受けていた。
 兄の仇であるケンプらを憎むあまり行動が暴走しがちで、当初は何かと問題を
 起し勇介たちと衝突していた。やがて敵討ちより重い使命を彼なりに自覚した時、
 勇介からツインブレスを渡されブラックバイソンとしてライブマンに加わる。
 武器はバイソンロッド。本人はボクシングが得意らしい。

○相川純一=グリーンサイ(超獣戦隊ライブマン)
 月形剣史に射殺された相川麻理の弟。ボルト出現後、国連のドロテ博士の下で
 サイファイヤー及びライブボクサーの操縦訓練を受けていた。
 鉄也を「鉄ちゃん」と呼び、兄貴分として慕っているが、甘えが抜けず一人では何も
 できないタイプで事あるごとに「ライブマンはどうなっちまうんだ!」とうろたえる。
 後に戦いを経ることで、精神面もいくぶんか成長していった。勇介からツインブレスを
 渡されグリーンサイとしてライブマンに加わる。学生当時ラグビー部に所属しており、
 武器はサイカッター。 


『風の戦場』-2

作者・凱聖クールギン

291-30

ガテゾーン率いるクライシス帝国機甲大隊がストロンガーやRX達と戦う傍らで、
豪将メガドロンを主将とするネロス帝国の機甲&戦闘ロボット軍団は
メタルダーやV3達を獲物に定め、戦場は大きく二分されていた。
横一列の隊形を組み、それぞれ自慢の銃口や砲門を
ライダー&メタルダーに向ける鋼鉄の戦士達…。

クロスランダー「死ねぃ!」

クロスランダーの右手の銃がビーム弾を放ち、これが戦闘開始の号砲となった。
続いて一斉に各々の武器を発射するネロス軍団員達。

メガドロン「撃て撃てい! 奴らを近付かせるな!」

メガドロンの指揮の下、統制の取れた一斉射撃で圧倒するネロス軍団員達。
メガドロンとジャースのビーム砲が、ダーバーボのミサイルが、
ブルチェックの機銃が、クロスランダーとデデモス・ゴブリットの光弾銃が、
空からはバーベリィのミサイルとストローブのレーザーが、
地獄谷に轟音を響かせ、大爆発を引き起こす。
次々と立ち昇る爆炎がライダー&メタルダーの一団を呑んで行く…。

X「くっ、何という威力だ…!」
V3「やたらと武器ばかり使って、卑怯な奴らだ」
メタルダー「これが奴らの狙いだったんだ…!」
ライダーマン「待て、こっちにも手はあるぞ」
スーパー1「先輩、ここは俺達に任せて下さい」
ライダーマン「ネットアーム!」
スーパー1「チェーンジ・エレキハンド!」

横一列に並ぶネロス軍団員達の頭上に、
ライダーマンのカセットアームから放たれた巨大な網が覆い被さる。
そこへスーパー1のエレキハンドから電流が流し込まれ、
3億ボルトの超高圧電磁ネットと化した網の中でネロス軍団員達はもがき苦しんだ。

スーパー1「今だ! スーパーライダー・四段旋風蹴り!」

まるで武空術でも使っているかのように空中を軽やかに駆け回り、
ネットに捕らえられて身動き出来ない敵の群れをキックの空襲で薙ぎ倒すスーパー1。

V3「今だ! みんな行くぞ!」

V3を先頭に、ライダーとメタルダーは猛然と突進し、
一気に乱戦へと持ち込んだ。

291-31

スカイライダー「上空の敵は俺に任せろ!」

セイリングジャンプで地上から飛び立ち、
バーベリィとストローブに制空権争いを挑むスカイライダー。
それを地上から両肩のビーム砲で撃ち落とそうとするジャースだったが、
そうはさせじと左右から手刀を両脇に叩き込まれた。

V3「おいおい、お前さんの相手は俺達じゃなかったのか」
ライダーマン「何度再生しても同じ事だぞ!」
ジャース「フン、この新しい身体は前とは違うぞ!」

強化された内燃回路をフル回転させ、凄まじいパワーで両腕を振るうジャース。
強烈なパンチでV3とライダーマンは左右に吹っ飛んだ。

ジャース「まずは貴様からだ。死ねライダーマン!」
ライダーマン「マシンガンアーム!」

カセットアームを機銃型にチェンジし、
マシンガンでジャースの腕からのビームと激しく撃ち合うライダーマン。
やがてジャースは両肩の大型ビーム砲にエネルギーを溜め、
必殺の一撃を繰り出そうとする。

スーパー1「そうはさせん!」

スーパー1が素早くライダーマンの前に立ち塞がり、エレキハンドの電撃を発射。
ビームと電撃が空中で衝突する。
双方最大出力で押し合った末、勝ったのは性能を強化されたジャースの方だった。
エレキ光線を押し返されて吹き飛ぶスーパー1。

スーパー1「くっ、何て奴だ」
ジャース「ぐぬぬ…。貴様もやるなスーパー1」

エネルギー全開で長時間ビームを撃ったジャースもオーバーヒートし、
一時的にビーム発射不能に陥った。
今が好機と見て挑みかかろうとするV3だが、
ジャースの危機に主将のメガドロンが低い排気音を発しながら割って入る。

メガドロン「ライダーV3、この機甲軍団豪将メガドロンが相手だ!」
V3「またごっつい野郎が来たな…。よし行くぞ!」


空中ではスカイライダーが、機甲軍団の二機と激しい競り合いを演じている。
バーベリィのミサイルを紙一重でかわし、
ストローブの背後に回ったスカイライダーはそのまま加速。
上からストローブを追い越すと、両脚でその頭を挟み込みスピンをかける。

ストローブ「うおっ!? や、やめろーっ!」
スカイライダー「ライダータイフーン・脳天落とし!!」

ストローブの推進力を上回る重力低減装置のパワーでもろともに落下し、
全体重をかけてストローブの頭部を地面に叩きつける。
搭載されたAIごと頭部をスクラップにされたストローブは機能停止し、
やがて内部から火を噴いて爆発した。

バーベリィ「おのれスカイライダー!」
スーパー1「チェーンジ・レーダーハンド!」
バーベリィ「ぐぉっ!?」

味方機の仇を取ろうとミサイルを発射するバーベリィだったが、
スーパー1が発射したレーダーハンドのレーダーアイに胸板を下から貫かれる。
本来、探索電波発信用に飛ばすレーダーアイだが、
ゴールドゴースト戦の時のようにミサイルとしても応用可能なのだ。
もがきながら真っ逆様に墜落し、地面に激突して爆発炎上するバーベリィ…。

291-32

クロスランダー「復讐の時来たり! 死ねアマゾン、Xライダー!」
ゴブリット「(小声で)…はいはい、リベンジリベンジ」
デデモス「(小声で)俺達の弾でこいつら倒せば立場逆転……いや、ねえか。
 いつも手柄はクロスランダーの奴が横取りだもんなぁ」
クロスランダー「貴様ら、何をゴチャゴチャ言ってる!? 撃て!」

コロンビアでの敗北の恨みを晴らそうと、
Xとアマゾンに標的を定め撃ちまくるクロスランダーとその部下二体。
機甲軍団のダーバーボとブルチェックもメタルダーを狙い援護射撃する。
大爆発が起き、三人の姿が炎と黒煙に包まれる。

ダーバーボ「む、仕留めたか…!?」

一瞬、ダーバーボは油断した。
だが次の瞬間、爆発をかい潜った敵は疾風のような速さでダーバーボの懐まで
距離を詰めていたのである。

ダーバーボ「なっ…!?」
メタルダー「レーザーアーム!!」
アマゾン「大切断!!」

ダブル手刀で胸を×字に斬り裂かれ、大爆発を起こすダーバーボ。
ブルチェックも味方の大破を認識して怯んだ瞬間には、
眼前に出現したXのライドルホイップに脇腹を刺し貫かれていた。

ブルチェック「ぐぁぁ…!」
X「ライドル電気ショック!!」

ライドルで高圧電流を傷口から体内へ流し込まれ、
火花を噴きながら仰向けに倒れ爆破四散するブルチェック…。

クロスランダー「お、おのれライダーども!」
X「今度はお前だ! 行くぞクロスランダー!」
アマゾン「ケケーィ!!」

味方二機を呆気なく破壊されて慌てふためくクロスランダーに
攻撃の構えを取るXとアマゾンだったが、
次の瞬間、突如として脳波に割れんばかりの痛みを感じて苦しみ始めた。

ヴァァァァァァァァァァンッ!!!!

X「うぁっ! …こ、これは」
ライダーマン「ぐぁぁ…! な、何だこの振動波は…!」
V3「あ…あれだ。タックルのウルトラサイクロンだ!」

V3が指差した先では、ガテゾーンに操られたタックルが
ストロンガーにウルトラサイクロンを放ち、
その強力な振動波が地面を伝わりその場にいる全てのライダー達を苦しめている。
唯一、人間ではないメタルダーも回路にバグを起こされ、
電子頭脳を流れる信号が乱れて激しい頭痛を覚える。

クロスランダー「今だ…。喰らえアマゾンライダー!」

もがき苦しむアマゾンの姿を嗜虐心たっぷりに眺めたクロスランダーは
右手の銃でアマゾンの右腕を撃ち抜く。
助けに入ろうとしたXもウルトラサイクロンの影響で動きが鈍く、
足を踏み出した瞬間にデデモスとゴブリットの射撃を浴びて倒れた。

ジャース「我々の勝ちだ…。止めを刺してやる!」

オーバーヒートから回復したジャースもこの機に乗じて反撃、
腕と腰の小型ビーム砲を乱射してライダー達を一斉に薙ぎ倒す。

クロスランダー「おっとジャース、アマゾンの止めはこの俺に譲って貰おうか!」
デデモス「こいつは大手柄のチャンスだ…! 俺はXライダーを貰うぜ!」
ゴブリット「よし、じゃあ俺はメタルダーだ!」
メガドロン「V3、見事な強敵だったが、命は頂くぞ!」

ウルトラサイクロンで苦しむライダーとメタルダーに、
それぞれの武器がロックオンされる。
勿体ぶった動作でトリガーを引こうとするクロスランダー。
ライダー&メタルダー、絶体絶命――!

291-33

ドギュ―――ンッ!!

地獄谷に銃声が響くと同時にウルトラサイクロンの振動波が消えた。
ガテゾーンの掌の洗脳波送信デバイスを、一発の銃弾が粉々に破壊したのだ。

ガテゾーン「うぐっ! …な…何だと!? 誰だ邪魔しやがったのは!!」

ガテゾーンが顔を上げ、皆が同じ方向に視線を向ける。
そこに立っていたのはライフルを構える黒い鋼鉄のガンマン――

クロスランダー「トップガンダー!!」
メタルダー「トップガンダー!?」
トップガンダー「……」

静かにメタルダー達の方へ振り向いたトップガンダーは
そのままライフルを上げて岩場から舞い下りメタルダーの元へと走る。

クロスランダー「この裏切り者めッ!! よくぞのこのこ現れおったな!!」
トップガンダー「メタルダーは俺の友達だ!!」
メタルダー「トップガンダー……君も生きていたのか!」
トップガンダー「メタルダー、話は後だ。
 まずはこいつらを倒して、この死の谷から生きて帰るぞ」
メタルダー「…おう!」
クロスランダー「おのれ!」

激昂してビーム銃を発砲するクロスランダー。
素早く身を翻したトップガンダーはライフルで撃ち返し、右手の銃を叩き落とす。
すかさずダッシュで接近したメタルダーは渾身のプラズマパンチを放ち、
クロスランダーの頭部を殴り飛ばした。
衝撃によるAIの故障――人間で言うところの脳震盪を起こし昏倒するクロスランダー。

デデモス「げっ、クロスランダー様!?」
ゴブリット「やばいぜ。こうなったら撃ちまくれ!」
X「ライドルバリアー!」

デデモスとゴブリットの乱射するビーム弾を、
Xはライドルが作り出した光の壁で防ぐ。

アマゾン「ケケーィ!!」

バリアーの後ろからコンドルジャンプでXを飛び越えたアマゾンは
デデモスの顔を鋭い爪で一閃し、片目をその奥の電子頭脳ごと損傷させた。

X「ライドル脳天割り!!」

Xもライドルの一撃をゴブリットの脳天に叩き込み、電子頭脳を半壊させた。
思考回路に異常をきたして暴走したように駆け回り、
やがて力尽きて折り重なるように倒れるデデモスとゴブリット。

メガドロン「おのれV3、こうなれば貴様だけでも!」
V3「レッドランプパワー!」

V3のベルトのレッドランプが点灯し、エネルギーが瞬間的に倍増。
溢れるエネルギーはメガドロンのビームを跳ね返した。

V3「V3・必殺キック!!」
メガドロン「うぐぁぁぁぁっ!!」

V3の渾身のキックはメガドロンの右の砲塔を叩き折り、
咄嗟にガードしようと翳された右腕をも粉砕する。
破片を飛び散らせながら、機甲軍団豪将の巨体が地に崩れた。

スーパー1「スーパーライダー・月面キック!!」

スーパー1の必殺技もジャースに炸裂。
だが、ネロス帝国の最新技術で強化されたジャースのボディは
衝撃によろめきながらもなお大破を免れた。

ジャース「俺は負けられん。帝王から新たな鋼の身体を授かった俺は、
 二度と負けるわけには行かんのだーッ!!」

もはや傷だらけのボディに鞭打ってビームを撃ちまくるジャース。
胸に走った亀裂から光熱が漏れ、自爆を起こす寸前になってもなお
ジャースは必死にビームを乱射し続けた。

291-34 

バルスキー「ジャース、もう良い」

不意に、背後からジャースの肩に手をかけたのは凱聖バルスキーだった。
どこから現れたのか――。
敵味方の誰も、彼の接近に一切気付かなかったのである。

ジャース「ぐ…軍団長」
バルスキー「メタルダー、そして仮面ライダー。
 我らネロス帝国とクライシス帝国の共同作戦をよく打ち破った。
 今度は我らの負けを認めよう。ガテゾーンは策の限りを尽くしたが……
 どうやら、お前達の実力と闘志が我々より一枚上を行ったようだ」

バルスキーは視線を離れた所へ向けた。
もう一方の戦場でも既に数多の怪魔ロボット達が残骸となって黒煙を上げ、
作戦を指揮したガテゾーン自身も胴体を破壊されて命からがら退却している。

メタルダー「バルスキー、自由に憧れ、自由を夢見て散ったはずのお前が
 なぜまたGショッカーに」
バルスキー「メタルダー……我々ロボットにはそれぞれ、持って生まれた使命というものがある。
 俺は帝王ネロスの忠実な使徒としてこの世に生み出されたのだ。
 メタルダー、お前はお前の生きる道を信じて進むがよい。
 俺はそれに最大級の敬意を表しよう。
 だが、俺はお前と同じ道を歩く運命には生まれていない。
 俺は俺に与えられた道を、お前と同じく誇りと喜びを持って進ませてもらう」
トップガンダー「バルスキー、それは違う。
 俺達ロボットは、自分を生み出した創造主の目的が何であれ――
 命と自我のある限り、自分で自分の生きる道を選ぶ事が出来るはずだ」
バルスキー「言うな一匹狼。
 帝国を裏切ったお前と俺とでは性分が違い、生き方も自ずと違うのだ。
 俺は自分を創造して下さった帝王ネロスに心の底から感謝し、
 ネロス帝国の戦闘ロボットとしての自分に誇りを持っている。
 自分の生まれた世界に殉ずる道を選ぶのも、自分の生き方を自ら選ぶ事に他ならん」
メタルダー「バルスキー…。そうまで言うなら、
 僕は僕の信じるものを守るために、お前と全力で戦うぞ!」
バルスキー「よく言ったメタルダー。
 お前と再び相まみえる日が来るのを楽しみにしているぞ」

バルスキーはそう言うと、右手をかざして撤退の合図をした。

ジャース「軍団長、お待ちを!」
メガドロン「我々はまだ戦えます!」
バルスキー「よせ。お前達はよく戦った。この負けの責任は俺が取る。
 早く負傷者を回収して撤退しろ」
ジャース「は…はっ」

渋々、倒れているクロスランダー達を担ぎ上げて
ジャースとメガドロンがバルスキーの後に続く。
逃走する訳でもなく、威風堂々と敵に背を向けて歩きながら去って行くバルスキー。
トップガンダーが銃を構えたが、逡巡して撃てなかった。
メタルダーもライダー達も、皆追撃しようとはせずただその背中を見送るばかりだった。


激しく爆音が轟いた地獄谷の決戦は、
こうして風だけが吹き荒ぶ静寂の中で終結したのである。

291-35

○仮面ライダーV3→地獄谷の戦闘でメガドロンを破る。
○ライダーマン→地獄谷の戦闘でジャースらと交戦。
○仮面ライダーX→地獄谷の戦闘でブルチェックとゴブリットを倒す。
○仮面ライダーアマゾン→地獄谷の戦闘でダーバーボとデデモスを倒す。
○スカイライダー→地獄谷の戦闘でストローブを撃墜。
○仮面ライダースーパー1→地獄谷の戦闘で活躍し、ジャースを破壊寸前まで追い込む。
○メタルダー→地獄谷の戦闘でダーバーボとクロスランダーを倒し、トップガンダーと再会。
○トップガンダー→メタルダーの救援に駆け付け、クロスランダーを倒す。
●メガドロン→主将として地獄谷の戦闘を指揮。V3のキックで右腕を破壊される。
●ダーバーボ→地獄谷の戦闘でメタルダーと仮面ライダーアマゾンに破壊される。
●ブルチェック→地獄谷の戦闘で仮面ライダーXに破壊される。
●バーベリィ→地獄谷の戦闘で仮面ライダースーパー1に撃墜される。
●ストローブ→地獄谷の戦闘でスカイライダーに撃墜される。
●ジャース→地獄谷の戦闘でスーパー1に損傷を負わされながら善戦。
●クロスランダー→地獄谷の戦闘でトップガンダーとメタルダーの連携に敗れる。
●デデモス→地獄谷の戦闘で仮面ライダーアマゾンに敗れる。
●ゴブリット→地獄谷の戦闘で仮面ライダーXに敗れる。
●バルスキー→地獄谷からの軍団の撤退を指揮し、メタルダーに宣戦。 


『超新星に誓う五つの超獣パワー!』

作者・シャドームーン

291-36

ドクターケンプは、かつて行われたフラッシュマンと改造実験帝国メスの
最終決戦場に遺されたフラッシュキングを再生させ、
新たなギガボルトと共に、首都総攻撃を開始した!
ライブマン五人が、ネオ恐獣ヅノーに苦戦していたその頃――

***東京都市部***

プラム「はい! こちら現場のプラムと……」
リポット「リポットですッ」
プラム「今こちらは凄いことになっています! 辺り一面火の海です~~~っ
 破壊のかぎりを尽くす、彼らは一体何者なのでしょう!?」
リポット「では私リポットが、現場を空から中継したいと思います!」

CPSと書かれたTVカメラの前で興奮気味に様子を伝える二人組。
マイクを持った小さいロボットが、肩のプロペラを回して上昇して行く。
 
プラム「リポットさん? リポットさ~~ん、そちらからの様子はどうですかあ?」
リポット「はい…ッ 想像を絶する光景です! 日本が誇る高層建築物の数々が、
 まるで積み木の玩具のように崩されておりますッッ」
 
大教授ビアス、暗闇科学の結晶と言うべき鋼鉄巨人ギガボルト。
ビル街に聳え立つその姿は、黒鉄色の甲冑に身を包んだ中世の騎士…
いや死神の騎士といった威容である。対峙する仮面ライダーJ!

リポット「この、謎の巨大ロボットと戦っているように見受けられる巨人は
 誰なんでしょう! 地球の危機に駆けつけてくれた新しいウルトラさんでしょうか?
 いいえ、真っ赤な複眼に昆虫のようなあのお顔ッ 私にはどうみても仮面ライダー
 さんに見えます。しかし…ッこのような大きい仮面ライダーさんにはワタクシ、
 未だかつてお目にかかったことがございませんッッ!!」

ギロッ…

周囲を忙しく飛び回るリポーターロボを、ギガボルトの兜の下に覗くモノアイが捉えた。

超AI@ギガボルト「ギガガガガ…!」
ライダーJ「危ない、逃げるんだッ!」
リポット「…ひ!!」

グオッ

リポットを握り潰そうとした巨大な手を、ライダーJが寸でのところで捕まえた。
マグマから精製されたギガ・スーパーエネルギーを動力とするギガボルトは強力である。
さらにケンプが新開発した新エネルギー元素の詰まった動力コアがセットされた、
この機体のパワーは巨大変身したライダーJをも、上回っていたのだ!
捕まれた腕の一振りで、吹っ飛ばされるライダーJ。

バガァァン!

ライダーJ「うわぁ! う…、何というパワーだッ!」

291-37

地上では、崩れ落ちるビルの破片から詰め掛けた報道陣が逃げ惑っていた。
そんな中、CPSの女の子ロボだけは涙声で喋りつつも、踵のローラーで
落下物を避けまくりながら報道を続けている。パニックに陥る人だかりを
掻き分けて、ウェーブのかかったセミロングヘアスタイルの活発な女性が、
止めるカメラマンをズルズル引き摺りながらやって来た。

山咲リポーター「あーっ! もうっ、愚図愚図してるからまたCPSに
 先を越されちゃったじゃないのよーっ!」
カメラマン「モモちゃん、後生だから…ッ 今度ばかりは危険過ぎるよ!!」
山咲リポーター「今さらなーに言ってんのッ! 女は度胸、このくらいの
 修羅場で音を上げてたらファイバード様に嫌われちゃうわよ!」
カメラマン「…で、でもね~…」
山咲リポーター「さあさあ仕事仕事! ロボットなんかに負けるもんですか~!」

隣のプラムをチラリと見てから、人が変わったように元気一杯明るい笑顔で、
〝地獄の渦中〟から中継を始める女性リポーターとカメラマン。

山咲リポーター「現場からお伝えしているのは、わたくし山咲モモ子でぇ~っす!
 御覧下さいこの瓦礫の山と化した都市を! あちらでは、スーパー戦隊所属と
 思われる巨大ロボット同士が激しく戦っておりますっっ!!
 これは一体、どーゆーことなのでしょう!? 我々人類を守ってくれる正義の砦
 のはずのスーパー戦隊ロボがお互いに猛烈な火花を散らして…きゃっ!?」
徳田記者「こいつは凄い!! 特ダネ、特ダネッ…と、おわっ!?」

ドンッ

カメラを構えて近づいていた男性が、不意に女性リポーターと接触して二人とも転ぶ。

徳田記者「あたたた…あ、すみませんお怪我はありませんか?」
山咲リポーター「ちょーッとあんたー! 邪魔しないでよぉッ!!」
徳田記者「ほげぇッ!?」

バキィ!

怒る彼女の勇ましいハイヒールキックが、その男性記者の大きいアゴに決まった。
蹴飛ばされた弾みで、彼は首から提げていたカメラを落としてしまう。
そこへ、運悪く崩れたビルの破片が降り注いでカメラは下敷きになった!
それは、ギガファントムで巨大化したネオ恐獣ヅノーが引き起こした地響きであった。

ネオ恐獣ヅノー「ガァァァ―アアッ!!」
リポット「なっ…何ということでしょう!? さらに怪獣が出現しましたッッ!」
徳田記者「あーっ! カ、カメラが…。また編集長に怒られる…」
プラム「ああっっ、仮面ライダーらしき巨人が捕らわれましたあ~~~っ」
徳田記者「えーっ…ああ、こ・こりゃ大変だッ!!」

超AIに変わりケンプが操縦するギガボルトが投擲した、円盤状の物体がライダーJを
拘束して空中に静止した。ギガ・フィールドに捕らえられ、動けないライダー!

ライダーJ「ぐうう…ッ く、くそう…脱出できないッ!!」
恐獣ケンプ@ギガボルト「フフフ、丁度いい人間どもが見ている前で貴様をライブロボ
 と一緒に公開処刑にしてやる。仮面ライダー、数多の組織が集うGショッカーの中でも、
 貴様らは第一に抹殺せよと至高邪神閣下の厳命が下っている!!
 まず貴様の首を挙げ、首都制圧を我らボルトが一番乗りで成し遂げたとあらば……
 ビアス様は至高邪神閣下の覚えめでたく、その地位は一気に高まるはず。
 今まで我々を下位組織と侮って来た連中に、目にもの見せてやるのだッ!!!」

291-38

一方、ギルドスが操縦するフラッシュキングは、腹部から発射するキングミサイルの
怒涛の連射をライブロボに浴びせかけていた! コロン一人で操縦している
ライブロボでは思うように反撃できず、ライブシールドで防御するのが精一杯である。

ドガッドガッ! ドガァ―ッ

ギルドス@フラッシュキング「いいぞ、かなり分かって来た…これはどうだ!」

ドンッ ドンッ!

フラッシュキングの両拳が飛び、強烈なキングナックルを食らわせる。
ついに耐え切れず、ライブロボは殴り倒されるように横倒しになってしまう。

…ズズゥゥン!!

コロン@ライブロボ「きゃあーッ!!」

***CPSテレビ局***

チェスト司会「これは…まずいですよ」
チャーリーアナ「大変です! このままもし、仮面ライダーらしき巨人が
 やられてしまったら…首都は、日本はどうなってしまうのでしょうかッ!?」

スタジオの司会者席モニターに、“空中磔の刑”にされたライダーJと、
フラッシュキングに打ちのめされたライブロボの姿が画面二分割で
映し出されている。その映像は全国のお茶の間に流れていた。
巨大ロボがスーパー戦隊所属ではないかとの憶測が飛び交っているので、
地球連邦軍極東支部にも問合せが殺到している。
しかしフラッシュマンとライブマンは軍属の戦隊チームではないため、
三輪長官は知らぬ存ぜぬの一点ばりを決めこみ、あろうことかとんでも
ないことをここぞとばかりに言い始めた。

三輪長官「だから言わんことではない! 奴らは全員、Gショッカーと何ら
 変わらぬ地球の侵略者なのです!! 仲間割れをしているような茶番を
 見せて我々の目を惑わそうとしておるのだッ!!」

ただちに軍の総攻撃で双方ともに撃滅すべきと主張する三輪長官。
それを聞いた電撃戦隊や光戦隊の面々の表情が怒りに震える…

***時村家***

かおり「やめて! どうして? どうしてフラッシュマンが…!!」
みどり「何てこというの! フラッシュマンがこんなことするはずないでしょう!」
節子「まさか…サラが地球に戻ってッ…サラ、サラッ!!」
時村博士「待ちなさいっ!」

テレビを見ていた時村婦人が、たまらなくなり外へ飛び出す。
慌てて追う時村博士。夫婦は、戸外で空を見上げて別れの言葉すら
言えなかった宇宙にいる子らに想いをはせた。

時村博士「信じよう。彼らのはずはない。サラは…あの子たちは
 いつかきっと元気な姿で私たちのところへ帰って来る」
節子「あなた……ううッ…」
時村博士「ジン、ダイ、ブン、ルー、サラ……私は信じている…君達を!」

***再び、都市部***

ギガフィールドに捕らわれたライダーJに、三叉の槍を向けるギガボルト。
フラッシュキングはレプリカ・コズモソードを構え、ライブロボに近寄る。
処刑の瞬間が迫るその時、コロンにレッドファルコンからの激が飛んだ!

レッドファルコン「コロン、ライブロボを合体解除だ!!」
コロン「勇介…ッ …が、合体解除!」
ギルドス@フラッシュキング「…む!?」

コロンは咄嗟に合体解除コードを入力した。ライブロボから三機の超獣メカへの
分離を初披露するライブマン。それぞれのマシンに、三人の戦士が搭乗した!

<BGM:ダッシュ!ライブロボ>

地球の命を守る、ファイター! ファイター! ファイター!
―――レッド@ジェットファルコン「空に鳥!」
―――イエロー@ランドライオン「陸に獣!」
―――ブルー@アクアドルフィン「海に魚!」

ボルトとの長く苦しい戦いを潜り抜けた、三つの超獣メカが空を、陸を、海を駆ける!
ギルドスとジンマー四人の即席チームでは、この臨機応変のコンビネーションに遠く及ばなかった。
ジェットファルコンが空中から、ランドライオンは大地を躍動的に賭けながら、
アクアドルフィンは上陸して地上からミサイルを撃ち、フラッシュキングを撹乱する。

レッドファルコンは、過去に二度フラッシュマンとは邂逅を果たしている。
ボルト壊滅後に現れた暴魔百族に立ち向かうターボレンジャーを激励に来た時と、
他のメンバーが知らない、歴代レッドヒーロー大集合でオルグと戦った時だ。
あの時に、彼らはどんなにか地球に残した愛する人々に会いたかったことだろうか。
しかし反フラッシュ現象という呪縛がある以上、フラッシュマンが地球にいられたのは
ほんの僅かな時間であった…。フラッシュマンから託された想いに応えるため、
彼らの美しい故郷を守るため、ライブマンはより一層闘志を燃やしてボルトに挑んで行く!

291-39

レッド@ジェットファルコン「フラッシュキングをこれ以上、貴様らの好きにはさせん!!」

シュパ、シュパ…ッドガァァン!

ジェットファルコンが撃ったミサイルが、ライダーJを捕らえていた円盤状の物質を破壊した。

ライダーJ「すまん、助かったよ…ッ!」

ライダーのサムズアップに、ジェットファルコンのコックピットから応えるレッド。

恐獣ケンプ@ギガボルト「ライブマンめえ~~っ!! …うあああ!?」

ガガァン!
ズズ、ズズ――ンッッ


突然地中から足下をすくわれ、倒されてしまうギガボルト。
三つの超獣メカに続く、亡き友が遺してくれた技術の結晶――
バイソンライナーとサイファイヤーだ!

ブラック@バイソンライナー「行くぜ純一!」
グリーン@サイファイヤー「OK! 鉄ちゃん!」
ブラックバイソン「合体・ボクサーディメンション!!」

<BGM:ライブボクサーの歌>

バイソンライナーとサイファイヤー、矢野卓二と相川麻理が弟たちに託した
魂の超獣メカが、二体合体により鋼鉄の闘士が出現した。

ブラック@ライブボクサー「完成ッ――ライブボクサー!!
 うおおおおおおーっ くたばりやがれッケンプゥゥゥゥッ!!」
恐獣ケンプ@ギガボルト「フン、小賢しいッ貴様ら如きに倒せるギガボルトか!!」

ガガガァァン!

レッドファルコン「よし、合体・ライブディメンション!」

再び合体コードが入力され、陸海空の超獣メカが心を燃やし一つとなる。
アクアドルフィンが両足部に、ランドライオンが両腕と胴体部に、
そしてジェットファルコンが頭部と背部・腰部に変形して超獣合体!

レッド@ライブロボ「完成ッ――ライブロボ!!」

戦いがライブボクサーVSギガボルト、ライブロボVSフラッシュキングへとシフト
したことでライダーJはネオ恐獣ヅノーと対決する。

ライダーJ「…只の怪人とは比べ物にならない、邪悪な力の集合を感じる」
ネオ恐獣ヅノー「ゴルル…カメン、…ライダーカ…ユルサヌ、ホロベッ!!」
ライダーJ「トォォッ!!」
ネオ恐獣ヅノー「ゴァァーッ!!」

291-40

地上では、超獣メカの空中磔にされた巨人救出の活躍と、その後の勇壮に
立ち回る二大合体ロボに少なからず拍手を贈る群衆も現れていた。
知らず知らず応援していた徳田記者もその一人である。
そこへ、やや乱暴な運転で一台のスポーツカーが乗り付けた。

ブロロロロロロ――ッ …―キキィ――ッ!
ガチャッ


星川編集長「徳田ァー!」
徳田記者「あれぇ、編集長! どうしたんですっ?」
星川編集長「どうしたもこうしたもあるかッ …ちゃんと写真は撮ってるんだろうな!?」
徳田記者「い…いえ…それが~。カメラがあのとおりでして…もーしわけございませんっっ!」
星川編集長「バッカもーーーーーーーーーーーーんッ!!!!」
徳田記者「ひえっ!! す、すいまひぇ~ん…」
星川編集長「ハァ~…ま、お前のことだからそんなこったろうと思ってな。
 だからあれほど予備を用意して行けと言ったろーがっっ!!
 ほれ。今度は…、壊すんじゃないぞ」
徳田記者「へ、編集長…ッ ありがとうございますっっ!
 それでわざわざ自ら現場に…?」
星川編集長「まぁな。それもある…だがさっきのテレビを見ていたら、いても立っても
 いられなくなってな。こいつは自分の目で確かめなきゃいかんと思ったんだ」
徳田記者「さっきのって…ああ、三輪長官の緊急記者会見ですか?
 彼らが全員侵略者で悪い奴らだっていう…」
星川編集長「ハッ! どうだかな…俺は前々からあの男は何かとクサイと
 思ってたんだ。本当の悪い奴ってのはな徳田。案外ああいう男かもしれんぞ」
徳田記者「へっ、編集長! マズいですよ誰かに聞かれたら…」
星川編集長「俺はな徳田…これはもちろん個人的に、だが…彼らは味方だと思ってる」
徳田記者「彼らというと…あの巨人と、胸にライオンが付いてるロボットですか?」
星川編集長「ふふ…そう、胸にライオンだ。思い出さんか?」
徳田記者「あ…エクスカイザーッ!」
星川編集長「そうだエクスカイザーだ。わしらは、何度彼らに危機を救われた?
 彼らが姿を見せなくなってからずいぶん経つが…俺は今でも彼らは我々のために
 何処かで戦ってくれていると思ってる。そしてあそこで戦っているロボットたちに、
 彼らと近しいものを感じているんだ…まあ、カンだがな」
徳田記者「そうか~きっと彼らは、エクスカイザーの仲間なんですよっ!
 こ、こりゃあすごい特ダネだっっ!!」
星川編集長「慌てるな…たく、お前はどうしてそう単純思考なんだバカモン!
 それを確かめるのがわしらの仕事だ! いいか徳田、昨今はほとんどの
 報道機関がデマに踊らされて面白おかしく記事をでっちあげ、
 今度は上から圧力がかかるとマズいことには一様に目を瞑り、
 あることないことのデタラメ記事が飛び交ってる。だがウチは断固として
 そんな風潮に迎合しちゃいかん。この目と足で、真実を確かめて本当の
 ことを国民に伝えるんだ! 分かったな徳田ッ!」
徳田記者「はいいッ編集長!!」

ビシィッと敬礼する徳田記者であった。

291-41 

○レッドファルコン→ジェットファルコンを操縦してギガボルトに捕らえられたライダーJを救い、
 ライブロボに合体。
○イエローライオン→ランドライオンを操縦して戦い、ライブロボに合体。
○ブルードルフィン→アクアドルフィンを操縦して戦い、ライブロボに合体。
○ブラックバイソン→バイソンライナーを操縦し、ライブボクサーに合体してギガボルトと戦う。
○グリーンサイ→サイファイヤーを操縦し、ライブボクサーに合体してギガボルトと戦う。
○コロン→ライブロボを一旦合体解除させ、ライブマンに操縦交代。
○ライダーJ→ケンプが操縦するギガボルトに大苦戦。ギガフィールドで空中に磔状態にされるが、
 ジェットファルコンの活躍で危機を脱出。ライブボクサーと選手交代で、ネオ恐獣ヅノーと戦う。
○プラム→ライブマン&ライダーJVSボルトの巨大戦を現場中継。
○リポット→ライブマン&ライダーJVSボルトの巨大戦を空から現場中継。
○山咲リポーター→CPSに負けじと、ライブマン&ライダーJVSボルトの巨大戦を現場中継。
○徳田記者→ライブマン&ライダーJVSボルトの巨大戦を現場取材に来る。
○星川編集長→頼りない徳田記者を心配してライブマン&ライダーJVSボルトの現場に急行して来る。
○時村博士→テレビでフラッシュキングの破壊行為を目撃。サラたち五人を信じ無事を願う。
○時村節子→テレビでフラッシュキングの破壊行為を目撃。サラたち五人を信じ無事を願う。
●恐獣ケンプ→ギガボルトを操縦。ギガフィールドにライダーJを捕らえ、処刑しようとするが
 ライブマンの操縦する超獣メカに邪魔され失敗。続いてライブボクサーと戦う。
●ギルドス→フラッシュキングの武装でライブロボを圧倒したが、フラッシュマンのようにはいかず、
 フラッシュキングの真の性能は扱えていない。
●ネオ恐獣ヅノー→ライダーJと巨大バトルに突入。
●三輪長官→緊急記者会見でライブマンや仮面ライダーを人類の敵であると貶める悪辣な発言をする。

291-42 

【今回の新規登場】
○プラム(ロックマン バトル&チェイス、ロックマンメガミックス)
 CPSという人気全国ネットテレビ局の突撃リポーター。CPSの局員は
 人間、ロボットの混合となっており女の子型ロボの彼女は足の裏にある
 ローラーダッシュでどんな危険な現場にも急行する。
 
○リポット(ロックマン バトル&チェイス、ロックマンメガミックス)
 CPSという人気全国ネットテレビ局の突撃リポーター。CPSの局員は
 人間、ロボットの混合となっており単独飛行型ロボの彼は、プラムさんと
 一緒に現場に急行して空から中継を行う。
 
○山咲モモコ(太陽の勇者ファイバード)
 東西TV所属のリポーター。新名所・事件・事故現場など、どんなところにも
 出かけて行き元気良く報道する。その行く先々で、ドライアス軍絡みの事件に
 巻き込まれているが決してめげずに最後まで報道する逞しい女性。

○星川ジンイチ(勇者エクスカイザー)
 朝日台にある東都新聞本社の編集長。鬼と呼ばれるほど仕事熱心なやり手だが、
 家庭を非常に大事にしており、子供たちと過ごす時間は欠かさない家庭人。
 仕事以外ではとても温和な人物。趣味はママとデートすることと、ヘタクソだがゴルフ。
 マイカーにエクスカイザーが融合していたことは、最後まで知らないままであった。
 
○徳田オサム(勇者エクスカイザー)
 東都新聞に勤める熱血記者。…なのだが天性のドジ性の持ち主のため、
 特ダネを追い求めてハッスルしては、徒労に終わり星川編集長から怒鳴られている。
 独身のため星川家でよく食事を世話してもらっており、星川家の人々とは家族ぐるみ
 親しい付き合い。星川コウタ少年の身代わりにガイスターに攫われたことで、幸運にも
 カイザーズVSガイスター最後の戦いを間近くでシャッターに収めることに成功。
 翌朝、東都新聞の一面に『地球に平和が戻る』の見出しでその写真が掲載された。

○時村博士(超新星フラッシュマン)
 地球におけるフラッシュマンの最大の理解者にして協力者だった家族。
 20年前、何者かに子供を攫われ、そのせいで夫婦ともに記憶喪失になる。
 しかし博士はそのことを薄っすら憶えており、真実と我が子の消息を知りたい
 と願う思いでタイムマシンの研究に着手し、フラッシュマンの急なパワーダウンの
 原因を究明できた天才。やがてイエローフラッシュ=サラの本当の父親と判明した。

○時村節子(超新星フラッシュマン)
 地球におけるフラッシュマンの最大の理解者にして協力者だった家族。
 20年前、何者かに子供を攫われ、そのせいで夫婦ともに記憶喪失になる。
 初めは夫の言動に疑問を抱いていたが、フラッシュマンに出逢うことにより
 やがて真実を知る。彼女が「女の子だったような気がする」と言ったことで
 事態は急展開を見せ、イエローフラッシュ=サラの本当の母親と判明した。
 愛情の深い女性で、五人の戦士の良き母親でもあった。

○時村みどり(超新星フラッシュマン)
 地球におけるフラッシュマンの最大の理解者にして協力者だった家族。
 時村夫妻の長女だが、サラが姉と判明したことで次女になった。
 母と同様に父の言動に疑問を抱いていたが、フラッシュマンの不思議な
 宿縁を知るうち、少女の持つ純心さゆえに気持ちが傾いていった。

○時村かおり(超新星フラッシュマン)
 地球におけるフラッシュマンの最大の理解者にして協力者だった家族。
 時村夫妻の次女だが、サラが姉と判明したことで三女になった。
 母と同様に父の言動に疑問を抱いていたが、フラッシュマンの不思議な
 宿縁を知るうち、少女の持つ純心さゆえに気持ちが傾いていった。 


『炸裂!煌めく生命の咆哮』

作者・シャドームーン

291-43

ライブロボとライブボクサー、仮面ライダーJの反撃が始まった。
大地を揺るがす巨神と巨人、魔神と魔獣の熾烈な戦い。
成す術を持たぬ人々は現場で、テレビで、経過を見守るしかなかった。

***東京都市部***

徳田記者「すす・凄い…こりゃあ特ダネの大洪水ですよ、編集長~!」
星川編集長「……本当に、彼らは一体……」
藤兵衛「あれは仮面ライダーJ。そしてあのロボットを操縦しているのは、
 超獣戦隊ライブマン」
星川編集長「え……あなたは?」
藤兵衛「わしは立花藤兵衛と申します。しがない喫茶店とバイク屋の親父ですよ」

突然、見知らぬ人間に横から声をかけられて驚く星川編集長。
だがその落ち着いた物腰と、毅然とした澄んだ眼差しで怪物と戦っている巨人たちを
見つめている藤兵衛を、編集長は只者ではないと記者の直感で理解した。

星川編集長「あのッ…私は東都新聞の者ですが、彼らについて何かご存知なら
 詳しくお話をお聞かせ願えませんか!」
藤兵衛「いいですとも。こんなくたびれた親父の自慢話でよければ……
 舞ちゃんに八荒クンも、話してあげたらどうだね」
舞「ええ、もちろん。八荒さん、メタルダーのことを知ってもらういい機会よ」
星川編集長「メタルダー…??」
八荒「じゃあ記事の見出しは『勇者・北八荒と愉快な仲間たち』…ってことでOK?」
舞「OKじゃないでしょっ…も~」

藤兵衛と舞、八荒は伝えたいことを整理しながら、一つ一つ話していった。
驚愕の内容に星川編集長は興奮を隠せず、メモを綴る手にも力が入る。
これが他の者なら一笑にふされて終わりになることは間違いない。
しかしここにいる星川編集長は、あの宇宙警察カイザーズに深い縁を持つ人物である。
何度も命の危険を彼らに助けられた経験が、藤兵衛らの語る真実の体験談をより
信憑性の高いものとして感じられ、一心不乱にペンを走らせるのだった。

◇    ◇

ヤバイバ「おー、やってるやってる。へへへ、派手にブッ壊してやがるぜ」
ツエツエ「でも…もしこのままボルトが勝って首都制圧を達成されたら……
 奴らはゴズマ軍の中でも群を抜いて出世してしまうわ。私たちもその下にッ…!」
ヤバイバ「げっ! そいつはヤバイバ~~ッライブマンがんばれー!」

破壊されていないビルの屋上に、突然現れるツエツエとヤバイバ。
以前痛い目に遭わされた、レッドファルコンとレッドフラッシュの乗機が
潰し合っている様子を愉快に思い見物に来たのであった。
テキパキと机とテントを設置する二人。
 
ヤバイバ「全国のスーパー戦隊ファンの皆様、お待たせしましたー!
 本オルグ放送席からは、俺様ことヤバイバと…」
ツエツエ「私ことツエツエが!」
ヤバイバ「この世紀の一戦をお送りするぜーッ!」
ツエツエ「フフ…奴ら、相手がお仲間のロボなんで本気で戦えずに手を焼いてるようね…
 甘いこと。ねえヤバイバ、そもそも何でこういう事態になっちゃったわけ?」
ヤバイバ「いい質問だ、ならそこから話すとすっか。事の起こりは今は昔、神州日本は八景原に、
 改造実験帝国メスに最後の戦いを挑もうとしている五人の若武者がいたそうな。
 彼らこそは人呼んで超新星フラッシュマン! 巨大ロボ・フラッシュキングに乗り込んで、
いざメスの本拠地ラボーに突入せんとした時、そこに立ち塞がったのは
 最強最後の獣戦士ザ・デーモス! いかなる攻撃も吸収してしまうデーモスの前に、
哀れフラッシュキングは何をやっても歯が立たず、無念ダムネン轟沈~ッ」
ツエツエ「へえええ~……そういうことだったのね」

291-44

ヤバイバ「へへっ、まだ続きがあるぜ。しかぁーし、彼らには切り札があった~ッ!
 それこそは超巨大ロボ・グレートタイタン。必殺タイタンノバの連続発射にさしものデーモスも
 吸収し切れずついに大爆発! 驚いたのはラボー内にいた大博士リー・ケフレン、
 とうとう乗り込んで来たフラッシュマンには抗えず、腹心ネフェルの犠牲も虚しく墜落して行く
 ラボーと運命を共にしたのであった! だ~がしかしだがしかしッ! 勝利した五人にも地球を
 急いで去らねばならない非情の運命が待っていた。さらば故郷よ、さらば友よ!
 …こうして大破したフラッシュキングとエネルギーを使い果たしたグレートタイタンは
 地球に置き去りにされたってぇーわけだな! そこに目をつけた大教授ビアスってやつは、
 よく気がついたと言おーか抜け目がないと言うか…なかなか大したもんだぜ」
ツエツエ「ふぅん…ありがとう、よく分かったわ。それにしてもヤバイバ…
 あんた随分詳しいわね? まるでそこにいたみたいじゃない」
ヤバイバ「なぁに真面目に勉強しただけさ。何たって俺は、オルグ界一の勤勉家だからな!」
ツエツエ「あんたが勤勉家ねえ……」
ヤバイバ「ツエツエも無幻城の映像図書資料室に行ってみろよ。古今東西、役立つ
 情報の宝庫だぜ? ウラ様も近頃はあそこに篭って熱心に読み物にふけっておられるぜ」
ツエツエ「ウラ様が!?」
ヤバイバ「そうだ、これ読んでみ? お前のために俺が借りて来てやったぜ!
 つGショッカーマガジン特別編集・スーパー戦隊大全集 
 つGショッカーマガジン特別編集・続スーパー戦隊大全集改訂増補版 」
ツエツエ「気がきくじゃない。へぇ~、ほ~~、奥が深いのねぇスーパー戦隊って。
 あら、改訂増補版には私たちも載ってるじゃない。うふ、さぞ私は美しく掲載されて…
 ん!? …何よこれ、ピンクだのホワイトだの女戦士のグラビアばっかり特集しおって~ッ
 …きいいっこんな山出しの小娘どものどこがいいっていうのよ!!
 ヒロインってのは私みたいな由緒正しく知性と気品が漂う大人の女をいうのよっっ!!」
ヤバイバ「お前は立場的に、ヘドリアン女王様の系譜に連なる女幹部だからなあ~…」
ツエツエ「私はまだまだ全っ然っっ若~~~いッ!!」
ヤバイバ「ぐく、ぐるじい落ち着けってばよ…あーーっと、出ました!
 ライブロボが早くも伝家の宝刀を抜いた~~っ 対するフラッシュキングが構える
 コズモソードも、模造とはいえスーパーギガゾメタルを鍛えた業物だー!
 ライブマンが強化した剣が勝つか、はたまたケンプが作った剣が勝つか!?」

レッド@ライブロボ「超獣剣!」
 
正面に構えた両手の間に、炎のように燃え盛るエネルギーに包まれて剣が出現する。
ライブロボは向かって来るフラッシュキングの斬撃を、超獣剣で斬り払った。
二度、三度と互いの剣を弾きあうライブロボとフラッシュキング。

ギャリィンッ ――ガイィィン!
 
ヤバイバ「リング上、激しい熱戦が繰り広げられております!」
ツエツエ「どこにリングがあるのよ、どこに。…だんだんライブロボが押されてるわね」
ヤバイバ「あのフラッシュキングには、ケンプが自信タップリの細工をしたと聞いているぜ!
 さあパワー勝負ではどうやらフラッシュキングに軍配が上がりそうだー!
 盾で堪えるライブロボ、後退していきます、あっとついにダウン!
 ライブロボ、ピンチです!」

ズズゥーン!

291-45

イエロー@ライブロボ「ウソだろ! ライブロボがパワー負けするなんて…」
レッド@ライブロボ「このパワー…ケンプめ、フラッシュキングに何をしたんだ?」
コロン@ライブロボ「やっと分かったわ! 聞いて、あのフラッシュキングは地球には存在しない
 金属でできているけれど、一箇所だけ地球の物質でできている部分があるの」
イエロー@ライブロボ「それがどうしたんだ? フラッシュマンは長い間地球で戦ってたんだから、
 後から修理したかなんかで地球の物質が使われててもおかしくないだろ」
コロン@ライブロボ「いいえ違うわ。ギガボルトからも全く同じ物質の反応が出ているもの!」
ブルー@ライブロボ「コロン、それは本当!? …ならそれは、ケンプが後から付けたものね!」
コロン@ライブロボ「私一人で操縦していた時から、ずっとその異物を分析してたの。
 でも中々正確な位置が判明しなくて…ここよ、この左腰部分に間違いないコロン!」

コロンは左胸から取り出したディスクを、コックピットのドライブにセットインした。
するとエネミー解析パネルに、フラッシュキングの内部透視図が映る。
コロンは件の箇所を拡大して見せ、ケンプが装着した動力コアと思われる部分を指した。
サポートロイドである彼女にとって情報収集と分析はお手のものだ。

レッド@ライブロボ「よくやってくれたぜコロン! そこを狙えばいいんだな?」
ブルー@ライブロボ「待って。なるべく傷付けずに停止させられないかしら?」
イエロー@ライブロボ「そんなこと言ってる場合かよッ 強敵なんだぞ!!」
レッド@ライブロボ「いやできる。ストロングクラッシュダウンは威力が強過ぎるからダメだ。
 スーパーライブクラッシュで行くぜ! 出力を下げて超獣剣の剣先にパワーを集中させるんだ」
ブルー@ライブロボ「そうか…! そして左腰部分をピンポイントで狙えば…」

ライブロボはライブボクサーに作戦内容を通信で送った。
だが、強敵ギガボルトに対抗しているライブボクサーも苦戦中である。
そうこうしている間に、フラッシュキングの追撃がライブロボに迫っていた。
ライブロボの起き上がりざまを狙うように、キングビームを撃つフラッシュキング。
レッドファルコンは素早く迎撃ビーム発射のボタンを押した!
宝石のような輝きを放ちながら直線的に走る光線と、
稲妻のようにジグザクに走る白光線が激突!

ギルドス@フラッシュキング「くらえ!」
レッド@ライブロボ「ライブロボビーム!」

ズビイイイイイ―――――ッ …ドパァァァァンッ!

ヤバイバ「フラッシュキングの胸のプリズムから発射されたビームと、
 ライブロボの胸のライオンから発射されたビームがぶつかって弾けたーッ!
 どうやら熱線兵器の威力は五分五分のようです。おっと、フラッシュキングの
 ナックルがミサイルのように発射されました!
 ライブロボも両肩のダブルカノンを手に構えて迎撃ですッ!」
ツエツエ「向こうも面白いわよヤバイバ」
ヤバイバ「おう、どれどれ。パンチだッ フックだッ ライブボクサーのピストンパンチが
 ギガボルトを押しております! あっ、ギガボルトの反撃が決まりました!
 どうやらライブボクサーの連打はあまり効いていないようです!」

291-46

ブラック@ライブボクサー「うわあああ!!」
恐獣ケンプ@ギガボルト「バカめ、ギガボルトにそんな一つ憶えの攻撃が通用するか!」
グリーン@ライブボクサー「ちくしょう…やっぱりダメなのか…」
ブラック@ライブボクサー「弱音を吐くな純一! 前に出なければ勝利はないんだ!」
恐獣ケンプ@ギガボルト「こんな野蛮な言葉は使いたくないが…いい加減にくたばれッ!」

しつこく食い下がるライブボクサーにイラついたケンプは、ギガボルトの胸から射出した
ガトリング機銃の一掃射撃でライブボクサーの足を狙い、後退させようとする。
着弾により足元から次々に爆炎が立ち上ったが、ライブボクサーは一歩も退かない。
ギガボルトが三叉の槍先にエネルギーを集め、ライブボクサーめがけて投擲した!
両拳を前へ突き出し、突進するライブボクサー!

ブラック&グリーン@ライブボクサー「「ミラクルビッグブロー!!」」

光るライブボクサーの両拳が槍を砕いてそのまま前進、ギガボルトに強烈なダブルパンチを
叩き込んだ。並の頭脳獣ならこの一撃でKOしてしまう威力があるが、さすがに頑丈な
ギガボルトは大破は免れ、装甲に僅かなヒビが入り勢い良く吹っ飛ぶ。

恐獣ケンプ@ギガボルト「ぐあああ~~ーッ!」
ライダーJ「そうら同士打ちだッ!」
ネオ恐獣ヅノー「バァォォォッ」

これを見たライダーJがネオ恐獣ヅノーの腕を掴み、大きく振り回してギガボルトが
飛んで行く方向に投げ飛ばした! 巨体同士が宙で縺れ合うように衝突。

恐獣ケンプ@ギガボルト「がはっ!」
ネオ恐獣ヅノー「グアッ!」

ドシャァッ、ズズーン!

ヤバイバ「恐獣ツインズ、ダーウンッッ! これは強烈、ライダーとライブボクサー
 息の合った見事なツープラトンを決めました!」
ツエツエ「あ、奴らフラッシュキングに取り付いたわよっ!」

ライダーJとライブボクサーが、二人がかりで暴れるフラッシュキングを押さえ込む。
限界までパワーを上げているので、ライダーもライブボクサーも今にも振り払われ
そうになるがこれを必死にこらえるのだった。

ギルドス@フラッシュキング「何をしている、早くこいつらをハネ退けろ!」
ジンマー「やっておりますが…くくく…!」
ブラック@ライブボクサー「ファルコン、今だ!」

超獣剣に青白いエネルギーが剣先へ伸びていく――
本来はこのまま突進して横斬り、または縦斬りに頭脳獣を斬りふせる技だが、
今回は破壊力を一点に集中させ剣を真っ直ぐ前に突き出して突進した!

レッド@ライブロボ「(許してくれ…君達の大切な戦友を傷付けることを!)」
ライブマン@ライブロボ「「「「「スーパーライブクラッシュッ!!」」」」」

ズガァァンッ!

ヤバイバ「うおっとぉ! 超獣剣がフラッシュキングの腰辺りを貫いちまったぜッ
 容赦ねえなぁ~…ハハハ、ライブマンもとうとう我が身可愛さに仲間の持ち物でも
 ブッ壊す気になったかーっ? フラッシュマン、こいつはヤバイバー~ってとこか!」
ツエツエ「それにしては大爆発するような様子もないわね。あらら、そのまま油切れ
 みたいに動かなくなっちゃって。こりゃもうダメね、フラッシュキングは」

恐獣ケンプ@ギガボルト「お、おのれ貴重な動力コアを…ッ!
 チィィ~~ギルドスの役立たずがッ!!」
ジンマー「ギギ…ギダダ…ギャッ!!」

スーパーライブクラッシュが炸裂した衝撃により、フラッシュキングの操縦席に
火花があちこちから弾け飛ぶ。ジンマー四人が爆発して頭が床に転がった。

ギルドス@フラッシュキング「くそっ、動け、動かんか! …どうやら俺の負けか。
 貴様らの見事な連携勝ちだ…また会おうライブマン」
 
シュン…ッ

291-47

敗北を認め操縦席から姿を消すギルドス。一先ずフラッシュキングを悪の手から
取り戻すことに成功したが、ライブマンは戦隊ロボの武器で戦隊ロボを倒さざるを
得なかったことに、強い憤りとやるせなさを感じていた…。
そこへ息をつく暇もなく、体勢を立て直したネオ恐獣ヅノーが襲いかかった!
フラッシュキングをライブボクサーに預け、ライダーJがジャンプしながらパンチを、
ライブロボは超獣剣に今度は黄色く光るエネルギーを漲らせて突進した!

ライダーJ「ライダーパーンチッ!!」
ライブマン@ライブロボ「「「「「ストロングクラッシュダウン!!」」」」」

バゴォォンッ!!
ズバァ!――ズババァ―ンッ!!


ネオ恐獣ヅノー「ガァァァア!!!!」

ライダーパンチが顔面を粉砕し、超獣剣二段斬りが体を×字に斬り裂いた。
それでも尚、傷口から飛び出す膨大なカオスエネルギーが次々に集まり再結合、
ネオ恐獣ヅノーの損傷箇所が見る見る再生されていく…

ライダーJ「何という奴だっ!」
レッド@ライブロボ「クソッ、等身大の時と同じか! 奴の体を再構築している
 高密度のカオスエネルギーを消滅させるには、再生が追いつかないほどの
 強力な一撃をブチ込むしかない!」
グリーン@ライブボクサー「そんな強力な武器は…一つしかないよ!」
レッド@ライブロボ「合体・スーパーライブディメンション!!」

ライブボクサーが両腕を広げて上昇、ボディが複数のパーツへと分離していく。
そしてライブロボの各部に強化装甲となって装着が開始された!
五人のハートを真っ赤に焦がす、未来への熱き夢の結晶―――その名は!!

アシュラ「完成ッ! スーパーライブロボ!!」

ツエツエ「きゃっ!?」
ヤバイバ「うおっ!?」
アシュラ「…………」
ツエツエ「…………」
ヤバイバ「…あ、あんたダレ??」
アシュラ「4たす8はいくつだ?」
ヤバイバ「へっ?」
ツエツエ「12だけど……」
アシュラ「(ニカッ)正~~解っ! じゃましたなッ」

シュタッ!

突然横からマイクを奪ったアシュラは、それだけ言うとビルから飛び降り去った…。

ツエツエ「なんなの、アレ…」
ヤバイバ「さ、さあ~~…どっかで見たよ~~な」

フラッシュキングを奪還され、スーパーライブロボに合体されてしまったことで
さすがにケンプも動揺は隠せない。

恐獣ケンプ@ギガボルト「クク…ハハハハ! いい気になるなよライブマンッ!
 ここが何処か忘れているようだな。やるがいい、スーパービッグバーストでもなんでも
 ブッ放してみろ! ギガボルトと一緒に、ここら一帯が焦土と化してもいいのならな…」
レッド@スーパーライブロボ「そうか…ッ迂闊だったぜ!」
ライダーJ「(フォッグマザーの機械獣母艦を倒した成層圏からのライダーキックなら、
 ネオ恐獣ヅノーだけでもあるいは…と考えていたが、奴の言う通りだ…富士のようには
 いかない。ここでジャンボライダーキックを放てばどれほどの被害が出るか…)」
恐獣ケンプ@ギガボルト「ハハハ、できまい。どうした勇介…お前がやらんのなら、
 我々の手で今からでも首都殲滅の総仕上げを始めてやるッ!!」

291-48

雲を越えて、海洋生物を模した有機的なフォルムを持つ複数の飛行物体が現れた。
科学アカデミア島を焼き尽くし、星博士を含む多くの人命を奪ったボフラー戦闘機だ!

ビッ―――――……ドッカーン!

恐獣ケンプ@ギガボルト「う、何だあれはっ!?」
 
ボフラー戦闘機が空爆を開始しようとしたその時、雲を突き抜けて来た一筋の閃光が
ボルトの空軍編隊を撃ち落した。驚く一同の目に、巨大空母の機影が姿を現す。
バビロス号とグランナスカである。ギャバンたちがGショッカーコロシアムから脱出後、
都市破壊のニュースを聞きつけ全速力でやって来たのだ!
あっけにとられているヤバイバたちのいるビルに、戸隠流忍者が船から颯爽と舞い降りた。

ジライヤ「お前たちが黒幕だな!!」
恵美破「その一本角…邪悪な鬼の化身たちねっ!」
ヤバイバ「ええっ!? あの…っ俺たちはですね、オルグといいまして何の関係もッ…」
ツエツエ「こんな急展開、聞いてないわよっ!! ヤ…ヤバイバ、これはヤバイバ~!」
ヤバイバ「全国の皆さんオルグ放送席からは以上ですっ…ご、ごきげんよ~~っ!」
ジライヤ「待て!!」

ヤバイバとツエツエは慌てふためきながら消えて行った…。
 
ライダーJ「バビロス号! 宇宙刑事シャイダーたちが来てくれたか!
 もう一機は見たことがない船だが…味方だろうか」
ギャバン「ようし何とか間に合ったか。これ以上の被害はなんとしても食い止め
 なきゃならん。スピルバン、頼んだぜ」
スピルバン「了解!」

グランナスカからホバリアンに乗ったスピルバンが急速発進する!
ギャバンが操縦するギャビオン、アニーが操縦するスカイシャイアン、
ダイアナが操縦するジェットガイオスも発進して増援のボフラー戦闘機を迎撃していく。
シャイダーとヘレンはそれぞれバビロス号とグランナスカで消火活動及び瓦礫の撤去、
人命救助に全力を尽くす。地上で救助を手伝う中に、ミミーと山地家の人々の姿もあった。
これを見た藤兵衛、舞、八荒、星川編集長、徳田記者や東西TVスタッフ、CPSスタッフも加わる。

ブルー@スーパーライブロボ「あの姿…やっぱり大さんのお仲間ね!」
レッド@スーパーライブロボ「何を始める気だ…?」
スピルバン「スピルバン・バイパススリップ!」
恐獣ケンプ@ギガボルト「うぁぁ~っ??」

スピルバンが放った物質移動波が、一瞬にして巨大ロボットとライダーJをその場から消した…。

プラム「!?? な…何が起きたのでしょう! 突然巨大ロボットたちが消えてしまいましたあ!
 リポットさん、リポットさんどーぞ! あれ…リポットさあ~~ん??」
星川編集長「徳田ァー! 今のをっ…徳田? 徳田はどこへ行った!」

291-49

***地獄谷***

光の渦が現れ、スピルバンとスーパーライブロボ・フラッシュキング・ギガボルト・ライダーJが出現した!
激しい戦闘を終えたばかりの、11人ライダーとメタルダー&トップガンダーが驚く。

ライダー2号「な、なんだー!? いきなり現れたぜッ!」
BLACKRX「巨人…巨人の仮面ライダー!?」
ライダー1号「そうか。あの姿こそ耕司君の真の力なのか…」
メタルダー「あの胸にライオンの顔がある巨大ロボットは、ライブマンの乗機だろうか?」
トップガンダー「…高い確率で黒いほうがGショッカーの破壊兵器だろうな」
恐獣ケンプ@ギガボルト「な、何が起こったのだ! ここは…うっ!?」
ネオ恐獣ヅノー「グァォォォォ~!!」
ライダーJ「本郷先輩たちが…するとここは地獄谷?」
イエロー@スーパーライブロボ「う~ん…何でいきなりこんな場所へ来ちまったんだ!?」
レッド@スーパーライブロボ「彼だよ。あの戦士が力を貸してくれたに違いない」

ホバリアンを疾走させるスピルバンが、11人ライダーとメタルダーたちに安全な距離まで
退避するように伝えている。やがて、今だと合図するように腕を上げた。

恐獣ケンプ@ギガボルト「バカなッ! 時空魔法陣も使わず、これだけの質量をまとめて
 遠く離れた地へ一瞬で転送したというのか!? ヒーローどもにそんな科学力があるとはっ!!」
ブルー@スーパーライブロボ「ここならスーパービッグバーストが使えるわ!」
レッド@スーパーライブロボ「よし…ッ!」

ふと踏みとどまった1号ライダーがネオ恐獣ヅノーを見上げた。
他のライダーたちもそれぞれ何かをあの怪物に感じているのか、立ち止まって見上げている。

トップガンダー「どうした? 急げ!」
メタルダー「…仮面ライダーたちには、何か考えがあるようだ」
ライダー1号「皆…俺たちに残っている全エネルギーを、仮面ライダーJへ!」
10人ライダー「おう!!」

11人ライダーが肩を組んで円陣を形作る。そして全員が右手を中心に合わせた!

291-50

11人ライダー『ライダーシンドローム!!』

1号と2号のタイフーンが!
V3のダブルタイフーンが!
Xライダーのライドルが!
アマゾンのコンドラーが!
ストロンガーのエレクトラーが!
スカイライダーのトルネードが!
スーパー1のサイクロードが!
BLACKRXのサンライザーが!

11人の変身ベルトがエネルギーを放出して光る・回る!!
やがて彼らが重ねた右手に集められたエネルギーが渦巻きスパークする。
全員が右手を上に上げ、〝11(イレブン)ライダーシンドローム〟の超エネルギーを
巨人ライダーJへと送る。腹部のコア『ガイアストーン』に吸い込まれる11人の力。
次の瞬間、仮面ライダーJの全身が赤熱化して赤く発光を始めた!

ライダーJ「ウオオオオオオ…ッ トォォォ―!!」

大気を焦がさんばかりの、凄まじいJパワーと11ライダーパワーの結合。
ライダーJは一気に成層圏まで大ジャンプし、漲る力の全てを足に集中させてキックを放った!
ライダーJに、必殺キックの体勢をとる1号からBLACKRXの姿が重なる。
そして、スーパーライブロボの左右の肩部にある、バイソンとサイの口から灼熱のエネルギーが
放出され胸のライオンの口内で融合して全てを無に帰す一撃が発射される――

 ─┐∥─┐∥─┐∥─┐∥─┐∥ ─┐∥─┐∥─┐∥─┐∥─┐∥
 ─┘  ─┘  ─┘  ─┘  ─┘   ─┘  ─┘  ─┘  ─┘  ─┘

                   ) 、    )ヽ      (
                      ) ( (  )ヽ ; ・  ) ; '
          (       ) `   ( ( ) ) ( (   )ヽ ( 、  )ヽ  ;
   ; : , )   )  )ヽ( ( :(    )   ヽ、) ) ( ( ) ); ( ( (、 :
  ; ・ )ヽ  (丶  )ヽ  ( ( )   ( ;;  ;、:  ; ;)__) ) (____) ) )) ;
  )`、 (  (  .) )ノ  | : ) _,,,-、__  ;; .、     (/(_)ヽ )ヽ ;;
  ( (__ノ  `-'      `-' :~~--~~--、_;; ::  、.、.  ) ( (  )ヽ

カッ                    `     '
                      、   ノヾ     '
                      )ヽ/  ヽ、ノ|ノ´
          ------- ―== ニ ニ二       二ニ ニ ==― --------
                       )     (
                     , '´⌒`Y´⌒` 、
                          ,     \

291-51 

ジャンボライダァァーキィィィィック!!!!!
『『『『『スーパー・ビッグバーストッ!!!!!』』』』』


                              ´
                               ´.
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
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              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙


ネオ恐獣ヅノー「ゴガァァァァァーッ…オノレッ…ヒー…ロー…………―――」
恐獣ケンプ@ギガボルト「う、うあああああ!!」

巨大ギガボルトが地上から消滅した時、地獄谷で生を受けたケンプの分身たる頭脳獣も、
膨大なカオスエネルギー諸共…原子の塵に還った。

○レッドファルコン→出力を一点に絞ったスーパーライブクラッシュで、
 フラッシュキングのケンプ製動力コアを破壊し停止に成功。スーパーライブロボに合体後、
 地獄谷でスーパービッグバーストを放ちギガボルトを撃破。
○イエローライオン→出力を一点に絞ったスーパーライブクラッシュで、
 フラッシュキングの ボルト製動力コアを破壊し停止に成功。スーパーライブロボに合体後、
 地獄谷でスーパービッグバーストを放ちギガボルトを撃破。
○ブルードルフィン→出力を一点に絞ったスーパーライブクラッシュで、
 フラッシュキングの ボルト製動力コアを破壊し停止に成功。スーパーライブロボに合体後、
 地獄谷でスーパービッグバーストを放ちギガボルトを撃破。
○ブラックバイソン→スーパーライブロボに合体後、地獄谷でスーパービッグバーストを放ちギガボルトを撃破。
○グリーンサイ→スーパーライブロボに合体後、地獄谷でスーパービッグバーストを放ちギガボルトを撃破。
○コロン→フラッシュキングに取り付けられた地球外物質ではない動力コアの箇所を看破し、
 ライブマンにそこを狙うようにアドバイス。
△アシュラ→ツエツエ&ヤバイバの放送席に顔を出す。
○ライダーJ→地獄谷で11人ライダーから「11ライダーシンドローム」をガイアストーンに吸収。
 パワーアップして成層圏からジャンボライダーキックを放ち、ネオ恐獣ヅノーを葬り去る。
○11人ライダー→地獄谷に出現したライダーJへ「11ライダーシンドローム」でエネルギーを送る。
○メタルダー→地獄谷に出現したスーパーライブロボとライダーJの決戦を見守り退避。
○トップガンダー→地獄谷に出現したスーパーライブロボとライダーJの決戦を見守り退避。

291-52

○スピルバン→バイパススリップでライブマン&ライダーJVSボルトの戦場を地獄谷へ移す。
○ギャバン→ボルトの都市攻撃速報を聞き駆けつける。
○シャイダー→ボルトの都市攻撃速報を聞き駆けつける。
○アニー→ボルトの都市攻撃速報を聞き駆けつける。
○ダイアナ→ボルトの都市攻撃速報を聞き駆けつける。
○ヘレン→ボルトの都市攻撃速報を聞き駆けつける。
○ジライヤ→ボルトの都市攻撃速報を聞き駆けつける。
○恵美破→ボルトの都市攻撃速報を聞き駆けつける。
○山地哲山→ボルトの都市攻撃速報を聞き駆けつける。
○立花藤兵衛→星川編集長にライブマンや仮面ライダーのことを語る。
○仰木舞→星川編集長にメタルダーのことを語る。
○北八荒→星川編集長にメタルダーのことを語る。
○星川編集長→藤兵衛・舞・八荒からヒーローたちのこれまでの活躍を聞かされる。
●恐獣ケンプ→地獄谷でスーパービッグバーストを直撃され、ギガボルトを破壊されてしまう。
●ギルドス→スーパーライブクラッシュでフラッシュキングのケンプ製動力コアを破壊され、敗北を認め脱出。
●ネオ恐獣ヅノー→ライブロボのストロングクラッシュダウンでも倒し切れず。
 地獄谷で11人ライダーの後援を受けてパワーアップしたライダーJの
 ジャンボライダーキックを受けて遂に耐え切れず爆発四散、誕生の地で消滅した。
●ヤバイバ→レッドファルコンに『ガオレンジャーVSスーパー戦隊』での遺恨があるので見物に来る。
●ツエツエ→レッドファルコンに『ガオレンジャーVSスーパー戦隊』での遺恨があるので見物に来る。 


『輝ける明日を捜して』

作者・シャドームーン

291-53

古戦場に轟く生命の叫び。悪しき機械神と呪われた魔獣を呑み込んだ
光が、全ての戦闘の痕跡を浄化して行く………。

***地獄谷***

ケンプ「うわぁぁぁぁ~ッ! …ぐはッ!!」

命からがら脱出したものの、スーパービッグバーストの衝撃波を受けて
叩き付けられるケンプ。ヅノーベースへの緊急転送装置も間に合わず、
全てはギガボルト諸共消滅してしまった。

ケンプ「ぐ…この俺が何という不様な格好だ…ッ!!
 こんな姿はとてもビアス様に御見せできん! おのれ…覚えていろヒーローども!!
 この屈辱、必ず晴らしてやるッ!! とにかく今は、この場から脱出だ…う!」

地面を這うような格好で、こっそり逃走しようとするケンプだが視線を上げると
そこにライブマンが立っていた。さらに他のヒーローたちにも囲まれている。

ブラックバイソン「この野郎~ッ…逃がすものかよっ!」
レッドファルコン「ケンプ!!」
ケンプ「しまった…ッ!」
ライダー2号「なるほどこいつかい。街を破壊し、大勢の人々を殺しまくった
 事件の首謀者は……そんな奴ぁ、許せねえよなぁ」
ストロンガー「…ああ、許せねえ。ブッ殺す!」
ケンプ「あ、うう…ッ」

バキボキ拳を鳴らすライダー2号とストロンガー。
トップガンダーはライフルに弾丸を込め、ケンプに照準を合わせる。少しでも逃げ出す
素振を見せようものなら、即刻頭を粉々に吹き飛ばさんという殺気である。
頼みのネオ恐獣ヅノーも倒されてしまい、これだけの敵に包囲されてしまっては
天才ケンプにも打つ手はなく、万策尽きたその顔は蒼白になり体は小刻みに震えている。

レッドファルコン「待ってくれ。ケンプは俺に…俺にやらせてくれ!」
トップガンダー「情けをかける気ならやめておけ。この男は自らGショッカーに身を投じた。
 今殺しておかないと必ず災いの火種となる。後悔するぞ……」
グリーンサイ「そうだよ勇介さん! 姉さんたちを殺し、罪のない人を大勢殺し、
 生き返っても全く反省しちゃいない。こんな奴に情けなんてッ!!」
レッドファルコン「分かってる。情けをかける気なんかないさ。
 俺の青春は剣史と共にあった…こいつとの間にケリを着けないと、
 俺のこれからは始まらないんだ。だから俺は、ケンプと今から正々堂々
 戦って勝ちたい! 頼む、やらせてくれ…」
トップガンダー「一対一で勝負する気か…いいだろう」
イエローライオン「ちきしょっ、結局いつも美味しいトコ持ってくんだよな~レッドは」
トップガンダー「メタルダー、あの男はレッドファルコンの何なのだ?」
メタルダー「友だよ…彼らは学友だったんだ。トップガンダー、帝国を裏切り
 僕に力を貸してくれた君とは逆に、彼は友を捨てて悪に走った男だ」
トップガンダー「そうか。あの男たちはかつての友人同士か…」
BLACKRX「(かつての友人同士…。)」

トップガンダーが銃を下げたので、ライブマンの四人と仮面ライダーも自然に下がった。
レッドファルコンはファルコンセイバーを構えると、ケンプに向かって言い放った。

レッドファルコン「ケンプ! なんだそのザマは…お前の天才の力というのは
 その程度かッ!それでよくも俺たちを落ちこぼれだなんてぬかしたな!
 さあかかって来いッ! その思い上がり…叩きのめしてやる!!」
ケンプ「何だとっ!! 言わせておけば調子に乗りおってクズめが!!
 この俺を倒せる絶好の機会を捨て、一人で戦おうとはバカな貴様らしい
 浅はかさよ。追い詰められた真の天才の底力を見せてやるッ!!」
アシュラ「底力を見せる…なんだ? また素ッ裸になって海へでも飛び込むのか?」
イエローライオン「ゲッ、嵐!! 迷って地獄谷まで憑いてきやがったな!」
アシュラ「しつけぇぞっ! やっと娑婆に戻れたのにそう簡単に死ぬかっっ!」
ブルードルフィン「(さっきの渦に巻き込まれてたのね…。)」

291-54

時刻はすでに夕刻に差し掛かっていた―――――
日没の夕焼けが、レッドファルコンの白いスーツ部分を赤茶けた色に染め上げる。
緊張の静寂を破り、先に仕掛けたのはケンプであった。

<BGM:超獣戦隊ライブマン>

恐獣ケンプ「恐獣ケンプ! ウオオオ~ッ…ズア!!」

ドバァッ!

恐獣変身を遂げ、両手から破壊光線を放射するケンプ。これをジャンプで避けた
レッドファルコンは、ホルスターにライブラスターを収めたまま撃つ“抜かず撃ち”で、
まだ光線発射直後の硬直が解けていないケンプを速射した。

―バチュンッ!

恐獣ケンプ「ぐがあぁッ…お、おのれ!」
レッドファルコン「覚悟しろケンプ!」

思い切りのけぞるケンプに、獲物を狙う隼のように上空から斬りかかるレッドファルコン。
これに対し胸から触手を伸ばして対空防御に出る恐獣ケンプ。

恐獣ケンプ「ケンプ・テンタクル!!」
レッドファルコン「… … ――見切ったぜケンプ!
 ファルコン――ッブレーイクッ!!!」

ビキュッ ピ、ピ、ピ………バラッ

ファルコンセイバーの刀身が、イナズマのような閃光を発して振り下ろされた。
幾重にも切り裂かれた触手が宙に舞い、地面に落ちていく。

恐獣ケンプ「ウギャァァァ!!」
「グギャギャ…」

ドガァン!

レッドファルコン「ぐあっ!!」

絶叫するケンプが、苦しみながら胸の不気味な人面から火球を吐き出す。
これは避けきれず、レッドファルコンは近距離で胸に被弾してしまった。
双方とも痛みに悶えながら睨み合い、力を振り絞って立ち上がる。

ブルードルフィン「ファルコンっ!」
ブラックバイソン&グリーンサイ「勇介さん!!」

たまりかねたバイソンとサイが飛び出そうとする。それを制止したのは1号ライダーだった。

ブラックバイソン「どいてくれ! 俺たちもケンプの野郎を叩きのめしたいんだ!」
ライダー1号「わからんのか? …彼が今、君たちの兄さんや姉さんと一緒に戦っているのが!」
グリーンサイ「姉さんたちと一緒に…?」
ブルードルフィン「そうだわ…ううん、勇介は卓二や麻理だけじゃない、星博士や
 科学アカデミアの皆…それにケンプが殺めた全ての人たちの遺した想いを
 力に変えて戦っているのよ。ファルコンは必ず勝つわ…必ず!」

291-55

 

◇    ◇

レッドファルコン「ぐぅっ…」
恐獣ケンプ「ぐぁっ…」

ズシャァ!

しばらく近距離で力と力、技と技をぶつけ合った二人が力尽きて倒れ込む。
荒い息の下、尚も立ち上がろうともがき続けている。
負けられない戦い。それはかつて同じ学舎で机を並べた者同士の意地か、プライドか。
優れた頭脳を闇世界に傾倒させた男と、人類の夢の実現に懸けた男の対決。
それも後少しで、終わろうとしている―――

恐獣ケンプ「ケンプ・デーモンフレアッ!!」
レッドファルコン「スパークアタック!!」

ゴォォォォ!
キュイ―イ―ン!


炎の塊となって飛ぶケンプと、赤い光の玉になって飛ぶレッドファルコンが空中激突!

恐獣ケンプ「焼き尽くしてやる! 何もかもッ 死ねええええええ!!」
レッドファルコン「皆の夢を…命をッ…未来を奪いやがって…!!
 ケンプゥゥゥゥゥゥ―ッ、許さん!!」

ドッパァァァン

ブルードルフィン「ああっ!?」

両者押し合った結果、痛み分けとなり二人とも吹っ飛んで地面に激突した。
その衝撃によりどちらも変身が解けてしまう。

ケンプ「がはぁ…っ!」
勇介「ぐふっ…!」

激しく吐血する二人、気力を振り絞って先に立ち上がったのは勇介である。

勇介「立てケンプッ!! それとも大教授ビアスの後ろ盾がなければ
 一人で起きることもできんのかァッ!!」
ケンプ「ぐぐぐぐッ…だまれぇぇぇぇえッ!!!」

そこにもはや、地球を守る戦士と侵略者の戦いはなかった。
天宮勇介と月形剣史。彼ら以外の時間は止まり、素手の拳で殴り合う両者。

勇介「てめぇらふざけやがってッ! これは卓二と麻理のぶんだ! これは星博士の!
 これはアカデミア島の皆のぶんだ! そしてこれは…今日まで貴様らが踏み躙った
 全ての命ある者と、俺の…ッこの俺の心の叫びだああああああ―ッ!!!」

バゴォオオオオオンッ

ケンプ「がはぁぁぁぁッ!!」

勇介の強烈なアッパーカットがケンプの顎に入った。壮絶に血反吐を吐いてブッ飛ぶケンプ。
口は切れ歯は何本も折れ、鼻血を垂らしたその顔にボルト幹部の威厳はすでになく、
プライドをズタズタにされた一人の男が半泣きで勇介を睨んでいた…。

勇介「どうだ悔しいかッ、痛いかッ!! その悔しさを感じられるのも、痛いと思えるのも、
 お前が生きているからだ! ケンプ、いや剣史!! お前は一度死んだのに生きてるんだぞ!!
 なのにどうしてその命の有難みを…生きている素晴らしさを理解しようとしないッ!
 目を開いてよく見ろッ…この星は生きている、花も鳥も虫も人も…お前に与えられた熱い命と
 何も変わらないんだ! 今ならやり直せる。あの時お前の脳が望んだ通り、人生をやり直せるんだぞ!
 科学アカデミアで初めて会った頃の月形剣史として生きたいと思わないのかっ!?」
ケンプ「そうだ…科学アカデミアだ。あそこに合格した俺は、何の心配もなく、約束された
 輝かしい明日に向かって歩みだすはずだった! それが…それがッ…それがぁぁぁぁ!!
 勇介ッ!! …お前なんかにっ…お前なんかに出逢ったばかりに俺は…ッ!!!」

バキィィッ!

勇介「ぐわっ!!」
ケンプ「お前なんかにィィィィッ!!!」

ドゴッ!

291-56

***ヅノーベース***

ビアス「愚かなケンプよ…! 天才としての能力も誇りも忘れ、愚かな人間同様に
 剥き出しの感情を曝け出して戦うとは。私の弟子ともあろう者が何という醜態だ!」
ガッシュ「ではお見捨てになりますか?」
ビアス「かまわん。あんな汚らしい負け犬は何処でなりと野垂れ死ぬがよい!」
ガッシュ「…おおせのままに」
ビアス「…………」

ケンプと天宮勇介が戦っている様子が映し出されているスクリーンに背を向け、
ビアスはそう冷たく言い放った。だが、しばし考え込んでいるように沈黙したあと…

ビアス「いや…あのような愚かな男でも、まだ使い道はある。哀れな姿に免じて
 この私が“保護”してやろう。ガッシュよ! 手遅れになる前にケンプを連れ戻すのだ」
ガッシュ「ハハッ…」

一礼するとガッシュは転送装置を持って素早く出て行った。
感情など読み取れない主に忠実なガードノイド・ガッシュだが、先ほどスクリーンを
見つめるビアスが、ケンプのピンチに際してほんの一瞬だけ心配そうに目を細めた
ことを見逃していなかった…。

***地獄谷***

勇介「まだわからんのか剣史ィィッ!!」

勇介のパンチが今一度、ケンプの顔面に炸裂しようとしたその時。
突然現れたガッシュによって彼の拳は受け止められ、逆に殴り飛ばされた。

勇介「貴様…ッ!!」
イエローライオン「汚ねえぞガッシュ!」
ガッシュ「…そこまでだ。帰るぞ、ビアス様の御命令だ」
ケンプ「離せガッシュ!! まだ決着はついていない…ッ 離せぇぇぇッ!!」

…シュンッ…

ガッシュはジタバタ暴れるケンプを、強引に抱え込むと転送装置でその場から消えた。
しばし呆然と立ち尽くしていた勇介が、「ガクッ」と膝を着き、拳を地面に叩きつけた…
そんな彼にブルードルフィンがそっとタオルを渡した。

勇介「ちくしょう…ッ!」
ブルードルフィン「もういいわ勇介。あなたは充分戦ったわ…終わったの、終わったのよ…」
ブラックバイソン「すまない…勇介さんの気持ちも知らずに、俺たちまた自分のこと
 ばかり考えてたみたいだ。ありがとう勇介さん。これで兄貴たちも、きっと浮かばれるよ…」
グリーンサイ「俺も感謝します勇介さん。ありがとう…!!」
勇介「鉄也…純一…」
イエローライオン「そうだぜ。悔しいけどな、やっぱあの野郎に鉄拳をブチ込むのは、
 お前しかいねぇよ、勇介!」
勇介「すまんっ…みんな…」

陽がかなり沈みかけた頃、この古戦場で行われた戦いは全て幕を閉じた――
黄昏時の地獄谷上空にバビロス号とグランナスカの機影が見えた。
彼らの活躍で破壊された都市の後始末と、救助活動はかなり迅速に進み、
後を地球平和守備隊に任せ迎えにやって来たのであった。

仮面ライダー。
超人機メタルダー。
宇宙刑事ギャバン。
宇宙刑事シャイダー。
時空戦士スピルバン。
世界忍者戦ジライヤ。
超獣戦隊ライブマン。

それぞれが傷付いた者には肩を貸し、健闘を称え合って帰路につこうとしている。

「う~ん。う~ん。だれか~~…出してくれぇ」

トップガンダー「!!」

突然、何者かの気配を感じたトップガンダーが反射的に銃を向けた。

メタルダー「どうしたんだ? トップガンダー」
トップガンダー「…殺気はない。向こうに誰かが埋まっているようだ」

トップガンダーが指差す方向に、聴力を向けるメタルダー。すると確かに、人らしき声が
微かに聞こえていた。すぐさまそこへ行き、土を掘り返すメタルダー、すると地中から…

リポット「ありがとうございますッ助かりました。私はともかく、こちらの方が…」
徳田記者「ぷはぁ~~っ…死ぬかと思った~~…わわっ!?」
メタルダー「恐がらないでいい。僕はメタルダー。あなた方は?」
徳田記者「め、めたる…だあ??」
リポット「私はCPSテレビ局のリポットと申します。あの~~ところで、
 ここは何処なんでしょうか?」
徳田記者「そ、そーだ編集長は!? 特ダネは!? なんで、こんなところに!」
ライダー2号「ここは地獄谷さ。どうやらおたくらも、あのロボットと一緒に渦に
 巻き込まれちまったんだな。まあ…窒息はしかけたが、地面に埋まってたせいで
 さっきのスーパービッグ…?」
ライダー1号「スーパービッグバーストだ」
ライダー2号「それそれ。あれとJのキックに巻き添え食わず助かったんだ。
 結果オーライなわけだが、ある意味ラッキーだったぜ」
徳田記者「あのロボットって…ありゃー!? 何で、街にいたはずのゴライオンロボまでここに…」
イエローライオン「ゴライオンじゃねえ! ライブロボだ」

291-57

ライダーたちもバイパススリップの原理はよくわからんので、スピルバンに説明を頼んだ。

スピルバン「…というわけでして…あの時は、緊急を要する時でしたので…
 民間人のお二人まで危険な目に遭わせてしまい、申し訳ありませんでした」
リポット「いえいえ、もっと近くで中継しようと近寄り過ぎていた私がいけないんです。
 それにしても凄い装置なんですね。街を救って下さった方からこうして直接お話を
 お聞かせ願えるとは…ワタクシ仕事冥利に尽きますですっ!」
ダイアナ「へぇ~ロボットなのに。プロねぇ、あなた。ところで、あなたは?」
徳田記者「もーしおくれましたッ! 私、東都新聞の記者でして徳田オサムと申します!」
勇介「記者…」

ライブマン全員が胡散臭そうな視線を徳田記者に向ける。
というのも、あの悪徳ジャーナリスト・ヒルカワのでっちあげ記事のせいで、
江戸川総司令官や嵐山長官など彼らスーパー戦隊の司令塔たる尊敬に値する上司が
次々に更迭され、仲間である太陽戦隊サンバルカンや電撃戦隊チェンジマンが行動を
著しく制限されたせいで、戦隊同士の横の連携が封殺されたことを彼らはよく知っており、
恨みと共に激しく怒りを感じていたからである。

徳田記者「あ…あら?? 皆さん急に恐い顔しちゃって…は、は、は。
 あの、私何かお気に障るようなこと言いましたっけ?
 自慢じゃありませんが、僕は皆さんのようなスーパーヒーローに何度も
 命を助けて頂いた一人でしてっ…決して怪しいもんじゃあございません!」
スピルバン「ヒーローに命を?」
徳田記者「そうだ! これを見てもらえれば、きっと信じてもらえます。
 僕の大事なお守りで、いつもこうして財布に入れてるんです…はいっ!」

徳田はいそいそと上着のポケットから財布を取り出し、写真を二枚取り出して見せた。

ダイアナ「エクスカイザーじゃない!」
スピルバン「本当だ、エクスカイザーだ!」
ギャバン「カイザーズが地球に任務で来てた頃か…」
徳田記者「…へっ?? あの、エクスカイザーをご存知なの?」

一枚目はグレートエクスカイザーVSダイノガイストの大迫力シーンが写っており、
二枚目には赤いジャンバーを来た小学生くらいの男の子を中心に、エクスカイザー・
ウルトラレイカー・ゴッドマックスのカイザーズロボが勢揃いして立っている…
 
その写真は彼らカイザーズの最後の戦いが終わった際に、徳田記者が記念撮影した
思い出深い一枚だった。万年ドジ社員だった彼が、初めてものにした特ダネ写真。
ガイスター逮捕後、一番に「地球に平和が戻る」という見出しでカイザーズの活躍と勝利を
報じたのも東都新聞である。それもこの証拠写真があったればこそなのだ。
 
ダイアナ「もしかして…この子がコウタくんかしら?」
徳田記者「ありゃ、コウタくんまでご存知とは!」

徳田はカイザーズ来訪期の地球で起きた事件の経緯と、自分と写真に写っている
男の子の家族との関わりなどを積極的に語った。
ライブマンたちも納得し、疑惑の眼差しを向けたことを詫びるのだった。

ヘレン「スピルバン、この人なら信用できると思うわ」
スピルバン「そうだね姉さん。それじゃあ徳田さん、お頼みしたいことがあるんですが…」
徳田記者「はいはい何でしょう? 私の、いや地球の命の恩人である皆さんの
 お頼みでしたら不肖・徳田オサムッ! 例え火の中水の中であろーとも苦労は厭いません!」

大げさにビシィッ!と敬礼する徳田記者。本人はいたって大真面目なのだが、
どこかユーモラスであり可笑しかった。その姿に場は和み、ヒーローたちは
激戦に疲れた体が幾分か癒されるのだった。

291-58

 

◇    ◇

一先ずフラッシュキングをライブマンのグラントータス基地へ運ぶため、
コロンは大型輸送戦艦マシンバッファローを呼び寄せていた。
その到着を待つ間、徳田記者の提案で全員集合の記念撮影をすることになった。
トップガンダーは渋ったが結局メタルダーの説得で列に並ぶ。
意識が戻らないタックルはバビロス号の中で休んでいる。

左からJを入れた12人ライダー、右からライブマン五人とコロン、ダイアナ、ヘレン、
アニー、ミミー、恵美破の女性陣。真ん中にギャバン、シャイダー、スピルバン、ジライヤ、
メタルダー、トップガンダーが並んだ。そしてバックにフラッシュキングの肩を左右から支えて立つ
ライブロボとライブボクサー。その横にロボット形態のバビロス号とグランナスカ。
巨大ロボの上、空中に電子星獣ドルがこちらを向いて静止するという、壮観な構図である。
 
徳田「(くう~っ…記者生活苦節○年、こんな凄い大々特ダネをまた撮れる日が
 来るなんて…生きてて良かったー!)はい、皆さんそのままそのまま…
 こりゃ大き過ぎて二枚に分けないと入りきらないな。じゃ、いきますよぉ~っはい!」

バシャッ
 
翌朝、一枚に繋げて拡大されたこの写真が東都新聞の一面を飾った。
その見出しは……

***星川家***

フーコ「ふぅ~ん〝ものすごい科学で守ります!!〟か。やったじゃない。
 徳田さんがこんな特ダネ取材に成功したのはいつ依頼かしら」
コウタ「いいなあ~徳田さん。こんなにたくさん本物のヒーローに会えて!
 (エクスカイザー、どうしてるかな…)」
ヨーコ「パパも昨日、遅くまでその記事に関連する原稿を書いていたのよ。
 私たちを守ってくださるヒーローさんも素敵だけれど、真剣にお仕事に
 うちこむうちのパパもとっても素敵だったわ♪」
フーコ「あ、それパパが連載してるこのコラムでしょ。明日の朝刊から新しい
 連載が始まるのよね?」
ヨーコ「そうよ。ほらっ、ちょうどテレビでも特集されてるわ」

CPSテレビでは、ロボット工学の父と呼ばれるトーマス・ライト博士や御茶ノ水博士など
心ある識者をスタジオに招き、Gショッカー首都殲滅計画を阻止した巨大ロボットたちの活躍と
リポットのインタビューに裏付けされたヒーローたちの戦いを特集し大きな反響を呼んだ。

星川編集長は立花藤兵衛らから聞いた、知られざるヒーローたちの激闘の軌跡を
伝記形式でコラムに連載しようと原稿のまとめに余念がない。
その原稿に書かれた第一回連載のテーマは太平洋戦争末期の時代――

『超人機誕生! 戦争に奪われた我が子の面影に託された、
 ある科学者の平和への祈り…』

291-59

ピンポーン

ヨーコ「は~い」
フーコ「ほら、噂をすれば…」
コウタ「徳田さんだ!」
徳田「おはよーございますっ! 編集長をお迎えに上がりましたあっ!
 今日も一日、粉骨砕身・特ダネを求めてがんばりまっす!」
ヨーコ「徳田さん、本当におめでとう。パパもとても喜んでましたわ」
徳田「いやあ~なんのなんの! 奥さんに褒められると照れるなぁボクァ。
 わははははは」
星川編集長「おう、徳田ァ。今朝は早いな」
徳田「編集長ッ! 徳田はこの成功に奢ることなく、日々精進を肝に命じ…っ」
星川編集長「あーわかったわかった。朝から大声出すな…ふぁぁっ」
ヨーコ「徳田さん、朝ゴハンまだなんでしょう? パパと一緒に召し上がってらしてね」
徳田「ではお言葉に甘えさせて頂きま~す!」
コウタ「ね、徳田さん。仮面ライダーやライブマンのこと聞かせてよ!」
フーコ「徳田さん、この中の素顔にハンサムな王子様いなかったっ!?」
徳田「いいとも! …コウタくん、学校へ行く前に、ちょっとガレージで
 待っててくれるかな? とっておきのプレゼントがヒーローから届いてるよ」
コウタ「えっ! なになに?」
徳田「シィー…じゃ、あとでね!」

星川家のガレージには、星川編集長の愛車である白と赤のツートンカラーが目立つ
スポーツカーが格納されている。宇宙から来たエクスカイザーがまさか自宅の車に
入っていようとは、コウタ少年と愛犬のマリオを覗いて誰も知らない秘密であった。
ガイスターが地球文化の誤解からとんでもないモノばかり狙って来たように、
カイザーズも地球人の独特な習慣や文化には驚きの連続だったが、
このガレージで地球少年と宇宙エネルギー生命体が過ごした飽きることのない、
温かいコミュニケーションの時間は、互いに大切な宝物となった。

徳田「やあコウタくん、お待たせ。はい、何とエクスカイザーからだよっ!」

徳田記者は宇宙警察カイザーズのシンボルマークが入っている小箱を渡した。

コウタ「エクスカイザーから!?」
星川編集長「徳田ァー! ふんっ、ぬん! さあ~いくかァー!」
ヨーコ「今朝は一段と男らしくて素敵よアナタ♪ いってらっしゃい」
星川編集長「いってくるよママ。…なるべく早く帰るからね」
徳田「はいっ編集長! じゃコウタくん、確かに渡したからね!」
コウタ「うん。ありがとう、徳田さん」

ニコッと微笑んで徳田記者は編集長の車に乗り込み、出勤していった。
箱を開けてみると、そこには新しいカイザーブレスと一緒に手紙が添えられていた。

「星川コウタくんへ
 月のムーンベース基地で、君のお友達のエクスカイザーにそのブレスレットを
 渡して欲しいと頼まれました。受け取ってください。それから、何か怪しい事件に
 巻き込まれたりした時はいつでもここへ連絡してください、力になります。
                                スピルバン・城洋介」

コウタ「スピルバン…城、城さんか…会ってお礼がいいたいな」

新カイザーブレスのスイッチを押してみると、予めメッセージが録音されていた。

エクスカイザーの声「やあコウタ、元気かな。宇宙では激しい戦いが続いていて、
 私やレイカー兄弟、マックスチームも大忙しだ。地球は今だかつてない大きな
 危機に直面している。君のことをいつも心配しているが、私は今すぐには
 地球へ行けないんだ…すまない。その新しいカイザーブレスを君に渡してくれた
 人は共に戦った勇気ある戦士だ。困った時は必ず力になってくれる、会ったら
 宜しくと伝えてくれ。じゃあまた。これだけは忘れないでほしい。
 私たちは宇宙のどこにいようとも、コウタ。いつも君を見守っている」
コウタ「エクスカイザー…!」

新カイザーブレスを右手に付け、空に向かってジャンプした彼は力いっぱい叫んだ。

コウタ「ありがとーーーぉッ、エクスカイザーーーーッッ!」
ヨーコ「コウタ~、コトミちゃんが迎えに来たわよー」
コウタ「はーい!」

少年はウキウキ気分で思わず駆け出していた。
新しい友達に引き合わせてくれたエクスカイザーに心から感謝しながら、
何かが始まりそうな予感が彼の足取りを弾ませる。

291-60 

***喫茶アミーゴ&立花レーシング***

ボルトの襲撃で壊されてしまった店先をとりあえず営業できるように
片づけている藤兵衛。舞と八荒も手伝っている。
そこへ、剣流星と城茂の二人が戻って来た。

スプリンガー「ワンワン!」
藤兵衛「お、帰ってきたな」
舞「流星さん!!」
八荒「流星ーーーッ、それに茂さんも! 勝ったんですねっ!」
茂「あたりめぇだろ!」
流星「舞さん、八荒、スプリンガー。喜んでくれ、心強い味方が来てくれた!」
トップガンダー「…………」
舞「トップガンダー…!? うそっ…」
八荒「まさか成仏できずにゾンビロボ化したんぢゃっ」
トップガンダー「…ゾンビロボとは言ってくれる」
スプリンガー「鈍い連中だなぁ、生き返った本人に決まってるだろ。
 お前さんも黄泉帰りの影響でそうなったんだな?」
トップガンダー「俺にはわからんが、そうなんだろう」
舞「と、とにかく良かったじゃない。お帰りなさい、トップガンダー」
八荒「お、お帰り。このメンバーが揃うと昔を思い出すな~」
藤兵衛「ほ~君たちには、まだこんな頼もしい味方がいたのかね。
 わしは立花藤兵衛。この店のマスターだ、よろしくガンマンどの!」
トップガンダー「トップガンダーだ。よろしく…」
 
◇    ◇

藤兵衛「そうか…猛たちはもう行ってしまったか」
茂「ああ、全く慌しいよな~みんなよ。洋と一也は谷さんとこに顔出すってさ。
 光太郎は戦力を強化するために行くとこがあるらしい。用事がすんだら
 また来るとさ。耕司も日本にいるからまた顔見せるだろうぜ。
 俺? 俺はもうちょっとおやっさんとこにいるぜ、久しぶりの日本だしな!」
藤兵衛「はははは、まあゆっくりしていけ。ところで茂…ユリ子はどうなんだ?」
茂「………。ユリ子は――」

<城茂の回想シーン>

意識が回復しない岬ユリ子を心配している一同。
ライダーマン・結城丈二が診立てたところによると…

丈二「体のほうは問題ないが、脳に深刻なダメージが残らないか心配だ。
 なにしろ怪魔ロボットとガテゾーンが、二つの洗脳波送信デバイスで
 彼女の頭脳に直接信号を送り続けていたからな……」
茂「クライシスめ…ッ!! 結城さん、それでどうしたら…」
丈二「彼女のことは俺に任せてくれ。必ず回復させてみせる。
 まず信頼のおける医師がいる病院に入院が必要だが…
 良、海堂博士のところはどうだ?」
良「なるほど! あそこならルミもいるし、まず安心だ。
 俺が先に行って、受け入れ準備をしてもらいますよ」
茂「結城さん…良…すまねえ、ユリ子のことよろしく頼みます!」
猛「茂…君はしばらく彼女のそばにいてやったらどうだ」
茂「へっ、よしてくださいよ本郷さん…俺がそんな柄ですかい。
 こんな時に、俺一人だけ戦わずに付き添いなんかしてたら…
 ユリ子が起きた時にひっぱたかれますよ。気の強い女でね…
 そういうジャジャ馬なところは、変わってねえんだろうな…」

こうして、岬ユリ子は海堂博士の元で治療を受けることになった。
果たして彼女が全快する日はいつ来るのだろうか…

291-61

一条寺烈とミミーは急ぎ宇宙へ戻ることになり、アランもビーズ星へ向かう。
束の間の再会と短い出会いであったが、別れの挨拶を交わす戦士たち。

アラン「風見さん、会えて光栄でした!」
志郎「俺も君に会えて光栄だったよ宇宙刑事アラン。
 向こうでもこれからの活躍を祈っているぜ」
大「ギャバン隊長、ミミーさん。本当に助かりました!」
烈「俺もできればドギーに会っていきたかったが…あいつも忙しい身だ、
 また今度ゆっくり会う時間がとれればいいんだが」
アニー「ドギー…まさか、宇宙警察地球署署長のドギー・クルーガーですか!?」
烈「さすがアニー、よく知ってるな。古い親友なんだ、あいつとは」
ミミー「ギャバンたら、自分から警視総監の役職をやめて銀河パトロール隊に
 戻っちゃうんだもの。この人の考えは理解できないわ!」
洋介「け、警視総監!!?」
烈「まあそう言うなよミミー。だいたい俺にそんな偉い肩書きなんか合わないんだよ。
 このギャバン様は銀河パトロール隊長として仲間と一緒に最前線で戦うほうが
 性に合ってるのさ!」
ミミー「はいはい、もうあきらめました。そういうあなたを好きになって結婚したんだものね」
烈「ドギーは特捜戦隊デカレンジャーのボスだ。君たちも機会があったら会っておくといい」
勇介「デカレンジャーか…俺が会ったことあるのはガオレンジャーまでだなぁ」
丈「そう、お前だけな」
めぐみ「そ、勇介だけね!」
勇介「まま、二人ともそんなにふくれるなよ~」
鉄也「俺たちだって呼ばれてないですよっ!」
純一「そーだ! ずるいぜ勇介さんっ!」

宇宙へ向けて発進する超次元高速機ドルギラン―――
宇宙刑事ギャバンとアランは、再び地球を離れて彼らの次なる任務が待つ
ステージへと飛び立って行った。ほどなく、マシンバッファローが到着したので
フラッシュキングを格納し、ライブマンたちも別れを告げて去った。
バビロス号とグランナスカも新しい任務を受けて発進する。
地獄谷に残っている12人ライダーとメタルダー&トップガンダーはそれぞれの
マシンに乗り、激戦の地を後にしていく。…この様子をずっと見ていた者がいた。

291-62
                , -=tt=.- 、
              ,.´/.; l.l ヽ、ヽ
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               _>ヾ゛゛.l.l ̄ソ/ /   `` ヽ、
             /  ヾヽ===゛.ソ /  ,.、     `.ヽ、
           ./     `.ー― .´ l∨::ヘ  .i::.    .`ヽ、
          / ゛ 、          |:::::G::i  l:::....     ヽ、
         /     ,          ゛--ー゛ .:::|ー -. 、 ,.   ヽ
        /      .i::....       :      .:::::l    >´ ´ ..ソ
        /     .ハ::::..     ,.;.     ..:::::::i    /    . /
       ./     ./  ヽ:::::::   .::::::....  ..::::::::::l   /´  ̄.ヽ/
       /  ーr-./    ゛,:::::..  ´  `  .::::::::::::l  ./    /
      l   /  `ー-- - 、:::::.      .::::.へ:::l ,ノ, `   ./
      ヽ  l    r´ ゛ r-、゛,ヘ / ニ ヽ、.:::/∧ヽ/.l   ヾ.ソ
      __.ニ>ー- 、_.<.<.鰐ヽ、    ヘヘ-.l l-ヘ/:/    /
    /         ヽヽ./     ヘヘ ヾ.、l.l //./ ソ
   ./            ゛,゛,  ヾ、   //ー-ヾ/゛゛/ソ/
    l     、       l:l ヾ 、`ー-゛.゛     llヾヽ
ジェネラルシャドウ「ククク…やっと終わったか。クライシス帝国とネロス帝国も威信を
 かけたこの一戦に敗れ、さぞ無念だろう。だがこのシャドウには占いで結果は
 見えていた…何故ならストロンガー、お前を殺すのは俺だからだ!!
 さてミスター。あなたも…ん?」

―――ガシャンッ
ガシャン…ッ ガシャン…ッ

ジェネラルシャドウ「フッ…もう行ってしまわれたか。せっかちな御仁よ…フフフフ
 それとも、先ほどの男たちの戦いにあてられましたかな……
 まあ―…それは私も同じか。貴公が宿敵にどんな挨拶をされるのか、それも
 楽しみだがね。フフフフフ…トランプフェイド!」

風に舞い散るトランプ。古戦場を絶え間なく吹き抜ける風にとっては、
激しい戦闘の後の余韻もなく…
普段と変わらぬ荒涼とした景観が残るのみであった。

291-63

***海底移動基地グラントータス***

科学アカデミア島の希望岬沖、一万マイルの海底に潜水中の巨大要塞。
今は亡き星博士が、技術の粋を集めて建造し遺してくれたライブマンの砦である。
その格納庫に、ライブロボ・ライブボクサーと並んでフラッシュキングが立っている…
いつかフラッシュマンが地球へ戻って来た時、完全なコンディションで彼らに
引き渡せるように早速修理プランを練るライブマンたち。
この日、ライブボクサーの開発者である国連のドロテ博士もしばらくグラントータスで
フラッシュキングの修理を手伝ってくれるとの申し出があり、到着を待っていた。

コロン「ドロテ博士からよ。…でもあれはなにかしら?」
丈「うおっ…でけぇな! なんだいあのトレーラーみたいなメカは」
ドロテ博士「驚かせてごめんなさい。乗っているのはもちろんワタシよ。
 この乗り物はフラッシュタイタンといって、フラッシュマンの第二の戦力らしいわ」
勇介「あのフラッシュタイタン!」
めぐみ「それに、どうして博士が乗っているんですか!?」
ドロテ博士「テツヤたちを送り出した後、調査チームを連れてフラッシュキングが
 あったと思われる場所を調べに向かったのよ。そしたら、ね…」
鉄也「さすが博士、冴えてるなあ! 」
ドロテ博士「この機体はさすがのドクターケンプにも動かせなくて置いていった
 様子だったわ。そこで、ある人物に遭遇したの…皆、驚かないでね」

とりあえず、格納庫に入るフラッシュタイタン。そこから降りて来たドロテ博士が、
異星人らしき異形の姿をした人物を紹介した。その人物は勇壮な二本の角を
頭部に持ち、長い白髪とヒゲに覆われた顔をしており、見た目は
北欧神話の神・オーディーンにどことなく似ている。

レー・バラキ「わしはレー・バラキと申す者…かつてこのフラッシュタイタンを、
 フラッシュ星人の英雄タイタンから預かり、フラッシュマン五人へ
 引き継ぐために長い眠りについていた者……」

バラキはこれまでの経緯を詳しく説明し、ドロテ博士に頼んでここへ来た
理由も話して聞かせた。霊界で親友タイタンと再会した彼は、タイタンから
エネルギーの尽きたフラッシュタイタンを再起動させる方法を聞いた。
しかし黄泉帰りにより、現世に戻ったのは何故かバラキ一人である。
フラッシュマンがすでに地球にいないことを知ったバラキは、自分がラボー跡に
辿り着く前にフラッシュキングが奪取されたことを深く嘆いた。
そこへ偶然調査に来たドロテ博士に出会い、フラッシュタイタンが悪の手に
落ちぬよう何処か安全な場所はないかと相談したのだ。

めぐみ「それでグラントータスへ…」
ドロテ博士「幸いなことに、この基地は常に海底を移動できるし、正確な位置は
 誰にも知られていないわ。アナタたちとワタシ以外は出入りできないから、
 秘密の隠し場所としては最適よ。ここで修理もできるしね」
勇介「分かりました、安心して下さい。フラッシュキングとフラッシュタイタンは
 責任を持って預からせてもらいますよ!」
レー・バラキ「すまぬ…ライブマンのみな、宜しくお願い申す」
コロン「バラキさんもここにいてね。Gショッカーに狙われるといけないから」
嵐「(ほほ~う。そんじゃこのオッサンを手土産に連れて行けば、
 まだGショッカーに入れるチャンスがあるかもしれねえな…)」

291-64

勝手に基地の冷蔵庫を開けてフルーツを食いまくりながら、なにやら悪企み
の怪しい表情を浮かべる嵐。そこへゴィ~ンとコロンのフライパンが命中した。

嵐「てぇーなコラァッ!」
勇介「嵐、手伝え! あー! このヤロウ、俺が三時のおやつに
 とっといたメロンまで食いやがって…コラァァ!!」
丈「誰だよこいつまで連れて来たの! 厄介な居候に住み着かれちゃたまらんぜ」
めぐみ「…気がついたら、勝手に乗り込んでたのよ」
ドロテ博士「さあ、修理に取り掛かりましょう。そこのアナタ、武装頭脳軍ボルトで
 幹部をしてたドクター・アシュラなんでしょう? よかったら罪滅ぼしのつもりで
 ワタシの助手をやってみませんか? アナタの優れたその頭脳を評価します」
純一「博士ッ気は確かなんですか!?」
勇介「こいつはバカですよっ博士!!」
嵐「バカたぁなんだバカとは! 心配御無用、このドクターアシュラは
 娑婆に戻ったと同時にボルトにその人ありと謳われた超天才・
 アシュラに完全復活したのだあッ!」
めぐみ「じゃあ、“どうもすみません”の重い表現は、イタリア語で
 何というか答えてみて?」
嵐「Mi dispiace(ミディスピアーチェ)」
勇介「ありがとうの大阪弁は?」
嵐「お~きにっ!(ニカッ)」
丈「さようならを茶魔語で?」
嵐「さいならっきょ!(ニカッ)」
勇介&丈「す…すげぇ! 本当に天才に戻ってやがる…ッ」
めぐみ「どこがスゴかとねっ!!?」

思わず故郷の熊本弁でツッ込むめぐみであった。

***スナックサファリ***

今日も学校帰りの子供たちで賑わうスナックサファリ。
ところがどういうわけか、このところこの店のマスターも、いつもいる
美佐おねえさんも姿を見かけず、助八どん一人で店番が続いている。

次郎「すげえなあ、ライブマン。おれ、サンバルカンからのりかえちゃおうかな」
助八「こらこらこらー! サンバルカンだって負けちゃいないよー?」
正夫「だってサンバルカン、最近ちっとも来てくれないじゃないか!」
次郎「そーだよ。ねえ助八さん、サンバルカンどうしちゃったの?」
助八「ああーそうねえ…。ほんとにど~しちゃったのかねえ。
 いやきっと他所で頑張ってるから忙しいんだよ。
 みんなも知ってるでしょ、もう世界征服を狙ってる悪いやつらは、
 ブラックマグマだけじゃないんだからさあ」
次郎「だからって、おれたちのところにも来てくれなきゃ忘れちゃうよ」
正夫「そうだよ! だってスーパー戦隊はいっぱいいるんだから」
かな「美佐ねえさんとマスターは? どうしてこの頃いないのー?」
次郎「飛羽さんたちも全然来てくれなくなったよな!」
正夫「大人って勝手だよな! おれたちのことなんて、どうでもいいんだよ」
助八「あー、もう! そんなことないそんなことないってばっ!
 ほら、カレーサービスするから機嫌直してよ、ねえ?
 はあああ~~…マスター~! 美佐さ~ん! 飛羽さ~ん!
 鮫島さ~ん! 豹さ~ん! か弱いおいらを置いてみんな
 どこいったのよ~~。早く戻って来て~~っ」

***バルカンベース***

豹「ひょひょ~! やるねえ、スーパーライブロボッ!!
 俺たちもサンバルカンロボで真っ先に応援に行きたかったよな…」
鮫島「当たり前だ!! ちくしょう…嵐山長官がいてくれたら…!」
美佐「お父さん…。助八さん、お店一人で苦労してるでしょうね…」
飛羽「悔しいが今は時を待つしかない。この現体制を何としても
 変えないことにはな…(よくやってくれたレッドファルコン…ありがとう!)」

***シャトルベース***

疾風「おい剣っ! テレビ見たか!?」
飛竜「ああ。三輪長官のひきつった顔が見物だったぜ」
疾風「ははは、ざまあみろってんだ狸親父め!
 東都新聞の記事とCPSの放送が世論に大好評だからな、
 記者団に質問攻めされてしどろもどろしてやがったぜ。
 俺たちの仲間を侵略者呼ばわりした天罰だッ!!」
大空「ん? お前、なに丸めて持ってんだ?」
疾風「これか。さっき、さやかと麻衣が見せに来やがってよ。
 見てみ? こんなやつが俺に似てるわけないだろー失礼な!」

つ『週刊アップ~特集・GPライダー北八荒の横顔~』

大空「似てるどころかお前にそっくりじゃねーか。つーか、これお前だろ!?」
疾風「バカゆーな! そんな見るからにスケベそーな三枚目と、
 この疾風様を一緒にすんなっ。それよりな~…その写真撮った
 カメラマンの女の子が後ろのページに載ってるんだよっっ!
 いいねえその笑顔…俺ダンゼン彼女に惚れちまったぜッ」
大空「この男もたぶん、お前みたいな奴なんだろうな……」
飛竜「(…ありがとう勇介君。さすがだよ)」

291-65

***嵐邸・武道場***

闘破「せいっ!!」
ケイ「(闘破の全身から、凄い闘気が感じられるわ…)」
嵐十段「ほほ。今日は一段と精が出るようじゃな、闘破君は…」
哲山「闘破も心を引き締める必要を、改めて感じたのでしょう。
 なにしろ倒さねばならぬ邪悪は強大ですから…」
嵐十段「うむ。心に迷いが生じては、いかに鍛錬した技を会得しようと
 その力を十二分に生かすことはできぬからのう…
 どうじゃ哲山先生、わしらも久しぶりに汗を流しませぬかな」
哲山「喜んでお相手を務めさせて頂きましょう、嵐先生」
嵐十段「はっはっはっ、哲山先生が相手となると、このわしも
 年甲斐もなく胸が高鳴るわい。強者とは得難いものじゃ」

二人の武道家は、談笑しながら柔道場へ歩いて行った―――

***無幻城奥殿・後宮「女王パンドラの間」***

ここは愛憎渦巻く貴婦人たちの権力の園。闇女王同盟の実力者のみに
用意されたプライベート・ルームの一室である。
Gショッカーコロシアムで撃ち込まれたウィルスのため、薬物治療中の
女王パンドラが豪華なベットに寝そべり苦しんでいた。

女王パンドラ「う~ん…う~ん。ぎぃぃぃ~スピルバン坊やめえ~!」
リッキー「女王様。ヘドリアン女王様がお見舞いに見えられましたが…」
女王パンドラ「ヘドリアン女王!? 追い返しなさいっっ!」

という会話がされている間に、ヘドリアン女王がアマゾンキラーを伴って
強引に部屋へズカズカと入って来た。

ガシャー「お待ちください! まだ女王様がお会いするとは…っ」
ヘドリアン女王「え~い何の不都合があるのじゃ! 私はパンドラの遠縁じゃぞ!
 云わば姉のようなもの、妹の見舞いに来て何が悪い!」
女王パンドラ「ヘドリアン…!」
ヘドリアン女王「おお~…パンドラや、不埒な小僧どもにひどくやられたと
 聞いて心配でいても立ってもいられなかったのじゃ。かわいそうにのう~っ」
女王パンドラ「ま…オホホホ♪ それはそれはどうもご丁寧に。
 感謝致しますわ、おねえ~~ぇぇぇえぃさまっ!」

ドッギャァーン

コピー人間の如く全く同じ顔と声をした、双子のような女王同士の視線がぶつかり合う。
芝居がかった仕草で女王パンドラを労わるヘドリアン女王だったが、誰の目にもこっぴどく
やられたパンドラをからかいに来たことは明白である。
アマゾンキラーは政治的な駆け引きはともかく、個人的には主ヘドリアン女王の遠縁にあたる
女王パンドラを尊敬しているので些かばつが悪そうだ。

ヘドリアン女王「ついてはそなたの一日も早い回復を願って、我がベーダー一族に
 伝わる秘伝の料理を持って参った。これを食べて、はよう元気になられよ」
女王パンドラ「まあ秘伝の料理を?」
ヘドリアン女王「アマゾンキラー、女王にあれを」
アマゾンキラー「(小声で)女王様ッ…いくらなんでも、これは…。悪ふざけが
 過ぎましょうぞ! パンドラ女王様はお気を悪くされますよっ!」
ヘドリアン女王「(小声で)いいからお出しっ! ほんの軽いジョークじゃ!」

291-66 

アマゾンキラーが大変申し訳なさそうに、料理の器を女王パンドラに差し出した。
丸い銀のフタを開けてみると……

リッキー「あ!」
ガシャー「う!」
シャドー「げ!」

つ宇宙ヒトデの丸焼き
つ宇宙ヒトデの肉入りミネストローフ

女王パンドラ「にぎぎぎぎぎ…!! とぉ~~ってもぉぉ…美味しそうッ…ですね!!(怒)」
ヘドリアン女王「アハハハハ~ッ!そうかそうか、そなたが喜んでくれると思うたのじゃ♪」
アマゾンキラー「~~~~~~…ッ」
女王パンドラ「せっかくですから、早速頂きますわっえいガブッ!!」
アマゾンキラー「あっ、女王様!」
ヘドリアン女王「無理せんでいいのじゃ。それはほんの冗談じゃ」
女王パンドラ「いいえ、大変珍味であるとワーラー様も仰っておられます、ムシャムシャムシャ!」
ヘドリアン女王「ちっ。頑固な奴じゃの~~素直に降参したと言えばよいものを」
女王パンドラ「おほほほほほ(怒)」
ヘドリアン女王「あはははははは(怒)」

男子禁制の後宮なので、デスゼロウ将軍が後宮入り口の大門に控えていた。
先ほどここを通ったヘドリアン女王に恭しく挨拶したところ、
「お前の声はヘルサターンに似ているから嫌いじゃ!」と突っぱねられてしまった。
女王パンドラと喋り方こそ違うが、ワガママで道楽好きなところなど、本質的な部分では
よく似ているヘドリアンにもウンザリした気分であった。

デスゼロウ将軍「ふう…。女王様たちにも困ったものだ」
イナズマギンガー「よう大将。どうした、ため息なんかメカ将軍には似合わないぜ。
 奥にヘドリアン女王がお前さんとこの女王を見舞いに来てるんだってな!
ま~~ったく女という生物は、たちが悪いぜ。どうだ今夜一杯やりに来んか?」
デスゼロウ将軍「……考えておこう」

***ヅノーベース***

メインルームに独り呼び出されたケンプ。
一段上から見下ろす大教授ビアスの目は、実に冷ややかである。

ケンプ「ビアス様……」
ビアス「ドクターケンプ、千点頭脳の評価を取り消し三百五十点を与えるッ!」
ケンプ「Σ(゜д゜lll)ガーン さ、三百五十点!!」  

三百五十点は0点よりも重い、ケンプにとって忘れ難い屈辱の数字であった。
このためケンプは命を賭けた恐獣ケンプへの再改造に挑むことになったのだ。

ケンプ「ビアス様ッ!!」
ビアス「言い訳は聞かん…一から出直せ」

それだけ言うとビアスは彼に背を向け、メインルームから出ていってしまった。

ケンプ「ガ、ガッシュ! …どこへ行くっ」
ガッシュ「…………」

ビアスに続き、ガッシュも出て行ってしまう。普段なら、ここで何が起きようと
気にも止めず黙々とガッシュガンを磨いているのに…

ケンプ「うあ…あああああ…うおお~~~~~っっっっ!!!!
 …ううう~~~~…うううううううう…ううううううううううっ………ッ」

崩壊する絶対的な自信とプライド。崇拝する主からも見放され、彼は絶叫と号泣が
入り混じった声でこのヅノーベースへ来てから初めて泣いた。
絶望と屈辱と怒り……憎しみ自嘲がないまぜになってケンプの心を掻き混ぜる。
かつて天才を競ったオブラーも、マゼンダも、アシュラも、ブッチーもすでにここにいない。
ギルドスは姿を見せず、ケンプ独りが咽び泣くにはメインルームは広過ぎた………。

291-67 

***ヅノーベース・ヅノールーム***

ビアス「(これでいい…これでケンプはさらに私の信頼を取り戻そうと、
 これまで以上に我がボルトに役立つ研究に没頭するだろう。
 フフフ…やってもらうぞケンプよ。私の真の目的を、知られぬためにな…)」

モニター画面に映っている、スピルバンがバイパス・スリップを発動して戦場を都市から
移す場面を凝視するビアス。口元に不適な笑みを浮かべ、ファイルをめくる…

ビアス「素晴らしい科学力、とくと見せてもらったよ諸君…フフフフフ。
 クリン星人のテクノロジーか…その中でも宇宙的権威として名高いのは…
 プロフェッサー・ベン。ほう…ワーラー帝国の元幹部か…宇宙は広い。
 地球上で千点頭脳が集まらぬ時は、外宇宙へも視野を広げねばなるまい…
 フッフッフ…ハーッハッハッハッハッハ…!」

◇    ◇

<エンディングBGM:あしたに生きるぜ!>

荒れ野を、ハイウェイを疾走しているライダーマシン。
雲を抜けて、バビロス号とグランナスカが空を駆けていく。

空で、陸で、海で、宇宙で躍動している生命の鼓動。
それは根強き流れとなり長き苦難の日々を乗り越え…やがて―――
怒涛の進撃となって躍り出る日まで、静かに刃を研ぎ続ける。

輝く明日へ爆発パワー!
タイムリミットは近い――ブッちぎるぜ!
         ____
        / 、, ヽ
     ,, -┬ | ^  ^ |┬,-、
   / ,-、,-(:|lこHこl|;)ー--、  「最終回じゃないぞい。
    |/|,゙,l| ,,┴ー.vー┴、   ヽ   もうちっとだけ(=まだまだ)続くんじゃ!」
  /  __|、|/'v'T'~^~Tヽl\   \
  |   {_Ξ}   ヽ,,,,,,/    \|   |
  \___/T'|'    | ''' |     |  /
     | l゚|     |┿|     |/
     | |l|     |┿|     |┤

○天宮勇介/レッドファルコン→全ヒーローが見守る前で、ケンプ=剣史との青春に決着をつけるべく勝負する。
○大原丈/イエローライオン→レッドファルコンとケンプの対決に手を出さず見守る。
○岬めぐみ/ブルードルフィン→レッドファルコンとケンプの対決に手を出さず見守る。
○矢野鉄也/ブラックバイソン→レッドファルコンとケンプの対決に手を出さず見守る。
○相川純一/グリーンサイ→レッドファルコンとケンプの対決に手を出さず見守る。
○コロン→マシンバッファローを呼び寄せ、フラッシュキングをグラントータス基地へ運ぶ。
○ドロテ博士→旧ラボー跡地でレー・バラキに出会い、フラッシュタイタンをグラントータス基地へ運んで来る。
△毒島嵐/アシュラ→しばらくドロテ博士の助手として働くことに。
○レー・バラキ→ラボー跡地で偶然出逢ったドロテ博士にフラッシュタイタンが悪用されぬよう、
 安全な場所へ運べないかと相談。博士と一緒にライブマンのグラントータス基地へ来る。
○飛羽高之/バルイーグル→応援に行けない現状に憤る。ニュースを見てレッドファルコンの勝利を称える
○鮫島欣也/バルシャーク→応援に行けない現状に憤る。ニュースを見てライブマンの勝利を称える
○豹朝夫/バルパンサー→応援に行けない現状に憤る。ニュースを見てライブマンの勝利を称える
○嵐山美佐→スナックサファリを心配している。ニュースを見てライブマンの勝利を称える
○助八→ひとりでスナックサファリを守っている。
○剣飛竜/チェンジドラゴン→テレビで三輪長官の質問攻めに遭う姿を見る。ライブマンの勝利を称える。
○疾風翔/チェンジグリフォン→テレビで三輪長官の質問攻めに遭う姿を見る。北八荒が載っている週刊アップを読む。
○大空勇馬/チェンジペガサス→テレビで三輪長官の質問攻めに遭う姿を見る。ライブマンの勝利を称える。

291-68 

○本郷猛/ライダー1号→さらなる仲間を求めて旅立つ。
○一文字隼人/ライダー2号→さらなる仲間を求めて旅立つ。
○風見志郎/ライダーV3→アランと熱い友情を交わし別れる。さらなる仲間を求めて旅立つ。
○結城丈二/ライダーマン→岬ユリ子の身柄を預かり、回復させることを城茂に約束。
○神敬介/ライダーX→さらなる仲間を求めて旅立つ。
○山本大介/ライダーアマゾン→さらなる仲間を求めて旅立つ。
○城茂/ライダーストロンガー→岬ユリ子を結城丈二に託し、日本に残る。
○岬ユリ子/タックル→生死の境をさ迷う。結城丈二と村雨良により海堂博士の元で療養。
○筑波洋/スカイライダー→日本に残る。沖一也と谷源次郎に会いに行く。
○沖一也/ライダースーパー1→日本に残る。筑波洋と谷源次郎に会いに行く。
○村雨良/ライダーZX→結城丈二と一緒に岬ユリ子を海堂博士の元へ連れて行く。
○南光太郎/ライダーBLACKRX→日本に残る。
○瀬川耕司/ライダーJ→日本に残る。
○立花藤兵衛→帰って来たヒーローたちを父親のように温かく出迎える。
○剣流星/メタルダー→トップガンダーをアミーゴに連れて来る。
○トップガンダー→アミーゴで舞、八荒、スプリンガーとも再会。
○仰木舞→メタルダーの勝利とトップガンダーとの再会を喜ぶ。
○北八荒→メタルダーの勝利とトップガンダーとの再会を喜ぶ。
○スプリンガー→メタルダーの勝利とトップガンダーとの再会を喜ぶ。
○一条寺烈/ギャバン→ドルギランにアランを乗せ、ビーズ星へ送った後再び宇宙での任務に戻る。
○ミミー→ギャバンと一緒に宇宙での任務に戻る。
○アラン→地球の仲間に別れを告げ、再びビーズ星担当の任務に就く。
○沢村大/シャイダー→地球担当の任務に戻りバビロス号を発進させる。
○アニー→地球担当の任務に戻りバビロス号を発進させる。
○城洋介/スピルバン→外宇宙編でエクスカイザーから受け取った新カイザーブレスを徳田記者に預け、コウタ少年に渡すように頼む。アランの代わりにシャイダーを助ける地球担当任務に就く。
○ダイアナ→スピルバンとシャイダーを助ける地球担当任務に就き、グランナスカを発進させる。
○ヘレン→スピルバンとシャイダーを助ける地球担当任務に就き、グランナスカを発進させる。
○山地闘破/ジライヤ→嵐十段の道場で精神力の鍛錬に入る。
○山地哲山→旧知の嵐十段と柔道の手合わせをする。
○嵐十段→旧知の山地哲山と柔道の手合わせをする。
○星川編集長→ヒーローたちの活躍で首都が守られたことを東都新聞の一面で報じる。
 コラムに自ら聞いた、人知れず人のため戦い続けた戦士たちの逸話を連載開始。
○徳田記者→スピルバンのバイパススリップに巻き込まれて地獄谷へ。そこで戦いを終えた
 ヒーローたちに取材を敢行し、大特ダネを得ることに成功。スピルバンからエクスカイザーの
 新カイザーブレスを預かり、翌朝コウタ少年にこっそり手渡す。
○星川コウタ→徳田記者からエクスカイザーの贈り物を受け取り喜ぶ。添えられていたスピルバン
 からの手紙を呼んで、新しい友だちと引き合わせてくれたエクスカイザーに感謝の思いを空へ送る。
○リポット→スピルバンのバイパススリップに巻き込まれて地獄谷へ。そこで戦いを終えた
 ヒーローたちに突撃インタビューを行い、プロとしての仕事を全うする。

291-69

●ビアス→ケンプを見限ろうとするも、ガッシュに連れ帰るよう命令。
 千点頭脳の評価を取り消し、三百五十点の評価を与える。
●ケンプ→レッドファルコン・天宮勇介に意地とプライドをぶつけ一対一で対決。
 ガッシュに連れ帰られ、ビアスから屈辱の三百五十点を言い渡される。
●ガッシュ→ビアスの命令でケンプをヅノーベースに無理矢理連れ帰る。
●女王パンドラ→見舞いに来たヘドリアン女王の差し入れに平静を装いながら内心怒りまくる。
●ヘドリアン女王→女王パンドラを見舞いに来る。嫌味の利いたイジワルな差し入れをする。
●アマゾンキラー→ヘドリアン女王に同行して女王パンドラの見舞いに来る。
●デスゼロウ将軍→ヘドリアン女王から声がヘルサターン総統に似ていると言われ邪険にされる。
●イナズマギンガー→デスゼロウ将軍と会話。
●ジェネラルシャドウ→地獄谷の死闘を一部始終見ていた。好敵手ストロンガーの健闘を
  称えるとともにその命を断つのは自分しかいないと改めて誓う。
△シャドームーン→地獄谷の死闘を一部始終見ていた。宿敵RXに対し、遂に行動を開始する…。

【今回の新規登場】
○ドロテ博士(超獣戦隊ライブマン)
 国連科学省の白人女性科学者。ライブマンの数少ない協力者で、
 サイファイヤー&バイソンライナー開発計画の中心人物。
 矢野鉄也と相川純一にとっては恩師でもある。
 
○レー・バラキ(超新星フラッシュマン)
 大博士リー・ケフレンに作られたメスの幹部だったが、たった一人でメスに立ち向かう
 フラッシュ星人の英雄タイタンと出会い、その寛大な心と彼の誇り高い志にうたれ改心。
 タイタンの無二の友となり、彼が息絶える時にフラッシュタイタンを託された。
 百年後、タイタンの予言通りメスの地球侵略が始まり、彼の後継者である五人の戦士が
 地球へ来たことで長い眠りから目覚め、メスから狙われながらも命賭けの奮闘により
 無事フラッシュタイタンをフラッシュマンに引き継いで落命した。

○矢沢助八(太陽戦隊サンバルカン)
 スナックサファリのコック見習い。しかし料理の腕は今ひとつらしく、あまり上達しない。
 店に出入りしている飛羽・鮫島・豹をサンバルカンではないかと睨むが、
 本人は彼らの正体や地球平和守備隊のことは何も聞かされていない。

○嵐虎之介(TV版タイガーマスク)
 「嵐十段」としてその名を知られる著名な柔道家。武道全般に通じており、
 剣術や居合いの達人でもある。正統派レスラーに転向後も、無意識に反則を
 使ってしまうことに悩んでいたタイガーマスク=伊達直人に、ジャイアント馬場が
 紹介した。風流を解する教養人であり、各界の著名人やスポーツ選手などが
 悩み相談や人生相談に訪れることが多い。嵐先生と呼ばれ広く慕われている。

291-70

○星川コウタ(勇者エクスカイザー)
 朝日台小学校に通う星川編集長の長男。ある寒い夜、地球へやって来た
 エクスカイザーの光体が自宅ガレージへ入って行くのを目撃してしまう。
 翌朝、遠足で訪れた恐竜博覧会でホーンガイストに襲われたところをマイカーが
 変身したエクスカイザーに助けられ、以後地球で活動するカイザーズの秘密を
 唯一知る地球人として彼らに協力した。ただ事件摘発に協力するだけではなく、
 地球の文化に疎いエクスカイザーの様々な疑問に答え、大切な友人同士となる。
 プラモデル作りとサッカーが得意で、将来の夢は宇宙パイロットになること。
 
○星川フーコ(勇者エクスカイザー)
 朝日台中学校に通う星川編集長の長女。運動神経バツグンな活発姉御肌で、
 弟のコウタをよくふりまわすが基本的には仲が良い。恋多き年頃なのだがやや
 夢見がちで本棚には理想の男性ばかり登場する恋愛小説がビッシリである。
 ダッシュマックスにあわや事故、という場面を救ってもらい彼の声を聞いて素敵な人が
 車を運転していると思い込み、本気で恋をしてしまうこともあった。

○星川ヨーコ(勇者エクスカイザー)
 星川編集長の奥さん。お料理好きな専業主婦で趣味はインテリアデザイン。
 とても愛らしく誰もが認める良妻賢母だが、実家は元華族で彼女はそのご令嬢。
 そのせいか、ちょっと世間の感覚が浮世ばなれしている。大変な強運の持ち主で、
 晴天祈願をすれば本当に雨雲が晴れ、福引でエジプト家族旅行を当ててしまうほど。
 普段はおっとりしているが、子供たちに危害を加えようとする悪党にはガイスターすら
 怯むほどの一喝を発する、穏やかさの中に芯の強さを秘めた女性。
 
●イナズマギンガー(太陽戦隊サンバルカン)
 ヘドリアン女王一派とヘルサターン総統の対立が深まるブラックマグマに、
 銀河警察から追われて逃げ込んだ地球にて突如として参入した。
 利害次第で裏切りも平然とやってのける銀河無敵の電気男。
 かつてはアマゾンキラーと組んで宇宙海賊として銀河を荒らしていた猛者で、
 サンバルカン全員を一人で相手に終始善戦するほどの実力者。
 やがて反乱を起しヘルサターン打倒に成功したが、黒い太陽神によって復活した
 ヘルサターンにより機械生命体イナズマモンガーにされてしまい、
 サンバルカンと激闘を繰り広げ戦死した。