『眠れる王』

作者・大魔女グランディーヌ

99

**スマートブレイン本社ビル地下・流星塾施設***

ロブスターオルフェノク「貴方は死なない……。きっと蘇る……。きっと……」
アークオルフェノク「…………」

戦いで傷ついたオルフェノクの王=アークオルフェノク。
影山冴子=ロブスターオルフェノクはアークオルフェノクの回復を信じ、
側に寄り添って静かに見守っていた。

ロブスターオルフェノク「……村上君?」
村上「お久しぶりです、冴子さん。その後、王の様子はいかがですか?」
ロブスターオルフェノク「王はまだ滅んではいない。近い日に必ず復活を果たされるわ。
 私達オルフェノクに不死を授けてくださる唯一の希望ですもの……」
村上「冴子さん……王のことは貴女にお任せします。
 くれぐれも頼みましたよ」

村上は眠りについている王を確認し、それだけ言い残して立ち去ろうとするが、
ロブスターオルフェノクに呼び止められた。

ロブスターオルフェノク「……あら? 随分と素っ気ない態度なのね。
 王の出現を誰よりも待ち望んでいたはずの貴方が……」
村上「私にもいろいろと成さねばならない仕事が増えましてね。
 ただ単にそれだけですよ。ああ、そうそう。北崎さんが王と貴女への復讐を狙っています」
ロブスターオルフェノク「北崎君が?」
村上「くれぐれも気をつけてください。王は我々オルフェノクにとって
 この上なく大事な存在ですからね……」
ロブスターオルフェノク「…………」


***同本社ビル・54階・社長室***

北崎「ねぇ、知ってるんでしょ? 王様と冴子さんの居場所を。
 隠してないで教えてよ。ねぇってば……」
村上「ハハハ……残念ながら王はファイズによって倒されたのです。
 それに姿を消した冴子さんの居場所なんて、この私が知るわけがないじゃありませんか」

社長室を訪れて王と影山冴子の行方を問い詰める北崎を、
のらりくらりとかわす村上。

北崎「とぼけるのも上手だなぁ……」
村上「そんなことよりも北崎さん。是非とも貴方にお願いがあります。
 我が社の地下金庫に厳重に保管されていた二本の“帝王のベルト”のうちの一つ、
 オーガのベルトが何者かの手により盗み出されました。まあ、犯人の大体の見当は
 ついているのですが……。貴方にはなんとしてもそれを取り返して来て頂きたいのです」
北崎「へぇ、帝王のベルトって強そうだね、ちょっとは面白くなるかな?」

そこへ社員が入ってくる。

社員「社長、警視庁の南さんがお見えです」
村上「わかりました。すぐ行きます」

100

***同本社ビル内・応接間***

村上「南さん、お待ちしていましたよ」
南「どうもご無沙汰しております、村上さん」

南雅彦―――オルフェノクの存在に気付いた警視庁が、
極秘裏にオルフェノク研究を行なっていた秘密の地下研究所の
責任者だった男である。
南はオルフェノクたちの命をゴミのように考え、
利用できるものはとことん利用する卑劣な男であり、
警察内部に軍隊まがいの重武装警官隊まで組織していた。
復讐に燃える木場勇治=ホースオルフェノクによって
警視庁の対オルフェノク組織は壊滅させられたはずであったが……

村上「さっ、どうぞこちらにお掛けください」

村上に応接間中央のソファに座るよう促され、着席する南。

村上「聞きましたよ。警視庁に再びオルフェノク対策本部が
 設置される事になったそうで?」
南「フフ…それだけではありません。ご存知の通り、我々ナチュラルの脅威は、
 もはやオルフェノクのみには留まりません。オルフェノクとはまた違った
 もう一つの人類の進化系である“アギト”、そして人工的な遺伝子操作によって生まれた
 新たな種“コーディネイター”、さらには我々の母なる地球に我が物顔で
 侵入してきている異星人ども……」
村上「…………」
南「それら全てを統括して対処する組織が
 新設される事になったのです」
村上「しかし現総監の加賀美さんがよくそこまで認められましたね。
 察するにそれは、白河尚純代議士の後ろ盾があってのことですか?」
南「……ほほう、さすがは村上さん、お耳が早い。よくそこまでご存知だ」
村上「…ええ、まあ。情報というものは
 全てを制する重要なファクターですからね。ですが引き続き、
 我が社が貴方方への資金援助をさせて頂くつもりに変わりはありません。
 我々“ナチュラル”を“オルフェノク”の脅威から守るためなら、安いものだ……」
南「助かります。スマートブレインがついていてくれれば、我々もこれまで以上に
 よりよい研究が続けられる。人類の脅威を全て一掃した暁には、
 最大の貢献者として貴方の名前は歴史に刻まれることでしょう」
村上「フハハ…期待しないで待っていましょう。白河先生にもよろしくお伝えください」
南「…………」

それを応接間にあるカメラを通して、
モニタールームで見ていたスマートレディは笑う。

レディ「きゃはっ、まるで狐さんと狸さんの化かし合いね♪」

ビルの正面玄関では、オルフェノクに対して異常なまでの復讐心を抱いていた、
あの草加雅人が、南の帰りを待っていた。

草加「どういうつもりだ? 村上の正体は以前にも話したはずだ。
 奴はオルフェノクの親玉なんだぞ!」
南「お前などに言われなくても、スマートブレインの真の目的は
 とっくの昔から知っている」
草加「……なにっ?」
南「君は余計な事など考えずに、ただ私に言われた通りの事をして
 くれていればいい」
草加「…………」
南「私はこれから三輪長官に用があるので、伊豆基地の方へ向かう。
 留守の方は頼んだぞ。ナチュラルとオルフェノクの戦いはまだ再開されたばかりだからな……」
草加「フッ…そっちも武運を祈るぜ」
南「フフフ…“武運を祈る”か。言いえて妙だな。何せ相手はあの三輪防人だからな……」

101

***地球連邦軍極東支部・伊豆基地***

今やティターンズ派の三輪防人准将とその一派によって牛耳られている、
地球連邦軍極東方面軍の伊豆基地である。

南「三輪長官、ご挨拶が遅れましたが
 まずは極東支部長官のご就任、おめでとうございます
三輪「世辞はいい。それよりも貴様、日本の警察機構の掌握に
 一体いつまで時間をかけるつもりなのだ?」
南「……何かと思えばそのことでしたか。ご心配はご無用です。
 いずれ愚かな偽善者たちは、わが国の警察からは
 永久に葬り去られる事になる」
三輪「もし手間取るようなら、ワシが極東支部の連邦軍を動員して
 力を貸してやらんこともないぞ?」

その瞬間、それまで不気味な作り笑いの表情を浮かべていた南の様子が一変し、
まるで「余計な手出しをするな」と言わんばかりに凄みを増す。

南「三輪長官、私が日本の警察機構で動いているのは全て、
 我々地球至上主義者――ロゴスが奉る盟主、
 地球教総大主教猊下のご意志によるものです。
 よもやそのことをお忘れではないでしょうね?」
三輪「うっ……! わ、わかっておるわい!」
一条「しかし南、貴様に質問してもムダなことだろうが、
 一体どうやって日本の警察組織全てを支配下に置くつもりだ?
 あの冴島十三が警視庁を去ったとはいえ、現総監の加賀美陸は
 ZECTを束ねていた男。なかなかの難敵だと聞いているぞ」
南「フフフ…一条総司令、貴方の言う通り、それはムダ~な質問です」
三輪「き、貴様っ…! たかが警官の分際で、地球防衛の要たる我々軍人に向かって!!」
一条「…………」

廊下では南の秘書が、心配そうな顔で
南と三輪長官の会談が終わるのを待っていたが……

秘書「お疲れ様でした。三輪長官、相変わらずでしたね……。
 怒鳴り声が廊下まで聞こえてきましたよ」
南「あの男は軍人がこの世で一番偉いと思い込んでいる……いわば旧世代の化石だ。
 ティターンズの後ろ盾をいい事に調子に乗っているのだろう。
 だが私にとってはそんなことはどうでもいい。
 利用できるものはなんでも利用する。それが私のやり方だ……」

102

●アークオルフェノク→ロブスターオルフェノクに見守られながら、
 今もスマートブレイン本社の地下で眠りについている。
●ロブスターオルフェノク→オルフェノクの王の力で人間の部分が消滅しているため、
 影山冴子の姿に戻る事はできない。
●北崎→村上峡児の依頼で、オーガのベルト奪還に乗り出す。
●南雅彦→村上峡児の正体にはすでに気づいている模様。
△草加雅人→南雅彦の用心棒をしている。

【今回の新規登場】
△草加雅人=仮面ライダーカイザ(仮面ライダー555)
 元流星塾生の青年。多数の特技を併せ持ち、身体能力に秀でる。
 爽やかな好青年を装っているが、その実は陰険かつ嫉妬深く、狡猾で残忍。
 普段は冷静だが、抑えられない激情を垣間見せる。
●鈴木照夫=アークオルフェノク(仮面ライダー555)
 オルフェノクの王。死滅するといわれるオルフェノクに
 不死の体を授ける能力を持つ。
●影山冴子=ロブスターオルフェノク(仮面ライダー555)
 オルフェノクのエリート集団であるラッキー・クローバーの紅一点。
 普段はバー・クローバーを経営。
●北崎=ドラゴンオルフェノク(仮面ライダー555)
 オルフェノクのエリート集団であるラッキー・クローバーのリーダー格。
 触れたものはどんなものでも砂に変えてしまう。子供のような幼稚性と
 残忍性を併せ持つ。 


『黄泉還る悪夢』

作者・大魔女グランディーヌ

103

***太平洋・某ポイント***

空と海中から手分けして調査中のグレートマジンガーとゲッターポセイドン、
それにゲッター3。

剣鉄也@グレートマジンガー(空中)「周辺の島々には何もないようだ。
 そっちはどうだ!?」
車弁慶(ベンケイ)@ゲッターポセイドン(海中)「何も無いね。ドラゴノザウルス
 一匹いやしねえ」
巴武蔵(ムサシ)@ゲッター3(同じく海中)「大体こんなだだっ広いところ、
 俺たちだけで調査しろってのが無理な話なんだよな~」
流竜馬(リョウ)@ドラゴン号コクピット「仕方ないさ。グレンダイザーチームと
 宇宙科学研究所は当分の間活動停止、甲児くんもUFOの研究をしていただけで
 連邦から睨まれてるからな。ビックファルコンやキング・ビアルも差し押さえられた とか……宇宙人の血を引いてるってだけで酷い話」
神隼人(ハヤト)@ライガー号コクピット「……おしゃべりはその辺にしといた
 方がいいみたいだぜ……2時の方向からミサイルと魚雷だ!!」

鉄也「何者だ!? ネーブルミサイル!!」
ムサシ&ベンケイ「ゲッター!」「ストロング!」「ミサイル!!」

それぞれのミサイルに相殺され、爆発する奇襲弾──!!

???「フフフフ、久しぶりだな……マジンガー」
???「地獄の底から舞い戻って来たぜハヤト、そしてゲッター……」

鉄也「!? その声は……」
ハヤト「……てめえも黄泉還ってやがったのか……」
ムサシ&ベンケイ「オープン・ゲット!! 一旦海上に出るぞ!!」

グレート&ゲッターチームの前に姿を現わした2つの巨大な影こそ、死んだ
はずの……!

鉄也「獣魔将軍!!」
リョウ「魔王鬼……神竜二か!?」

そう、戦闘獣7種全ての能力を併せ持ったミケーネの猛将にして
暗黒大将軍の腹心──獣魔将軍と、
日本に革命政府を樹立するため百鬼帝国に身を投じた学生テロリスト
……神隼人の従兄弟である竜二=メカ魔王鬼が出現した!!

鉄也「フッ……ノコノコ出てきてくれて助かったぜ。
 お前達にはGショッカー本部の在り処を吐いてもらう!!」
リョウ「チェェェェェェ──ンジドラゴンッ! スイィッチ・オォン!!」
ハヤト「ケイ、ムサシ! ジャガー号が無人じゃあ、満足な戦闘は無理だ、
 下がってろ!!」
ムサシ「おいおい水くせぇぜハヤト、これじゃ何のために黄泉還れたのか
 わかんねーよ!!」

獣魔と魔王鬼を包囲するグレートとダブルゲッター。

獣魔将軍「ククク、どうやら自分達の置かれた状況が分かっていないらしい……」
魔王鬼「……ハヤトよ、お前もずいぶんとヤキが回ったな……」

ハヤト「何……っ!?」
鉄也「……!!」

晴天にわかに掻き曇り、上空に巨大なホールが……魔法陣が
出現する!!

リョウ「あれは……バダンの時空魔法陣……!! すると貴様らは
 Gショッカーの……」

獣魔将軍「出でよ、超戦闘獣・超百鬼メカ軍団!!」

グレート&ゲッターチーム「!?」

104

グレートマジンガーと2体のゲッターロボの活躍により、
出現した超戦闘獣・超百鬼メカ軍団は次々と倒されていく……。

リョウ@ゲッタードラゴン「くらえ、ゲッタービーム!!」
鉄也@グレートマジンガー「グレートタイフーン! バックスピンキック!!」

敵は強化されており、何とか獣魔将軍と魔王鬼以外の敵を粉砕した時点で
グレートもゲッターも傷だらけになっていた……。

獣魔将軍「フフフフ、どうした、息があがっておるぞ……剣鉄也」
鉄也「残るは貴様たちだけだ、グレートブーメランッ!!」
獣魔将軍「フンッ!!」

念力でグレートブーメランの動きをとめ、投げ返す獣魔将軍。
自身のブーメランでスクランブルダッシュと右腕が切断される!!

鉄也「うわあああっ!! グレートブースターを射出……くそっ!!」
獣魔将軍「パワーアップした我が前に、マジンガー怖るるに足らず!!」

海に墜落するグレート。

リョウ「鉄也くん!? おのれ……」
竜二の顔@魔王鬼の角「よそ見してるヒマは無いぜ、お前たちの相手は俺だ!」

魔王鬼の得意技──身体の部品1つ1つが竜二の部下を改造したサイボーグで
あり、分離した状態で無数の飛弾となって敵を蜂の巣にする──が
ゲッターを襲う!!

リョウ「オープン・ゲット!!」
ハヤト「ライガーなら少しの間の飛行も可能だ、行くぞ……チェンジ
 ライガー・スイッチオン!!」
ムサシ「グレートは俺たちに任せろ、チェンジゲッター3・スイッチオン!!」

ライガーは魔王鬼とのスピード戦に入り、ゲッター3は海中に潜る。

ハヤト@ゲッターライガー「竜二……今度こそ本当に引導を渡してやる……
 再合体する際、必ず頭部の角=お前が最後に合体することは経験済みだ……」

再合体を始める魔王鬼のパーツたち。そして……

ハヤト「今だ!!」
魔王鬼(……ニヤリ)

魔王鬼の角を捕まえようとしたゲッターライガー、しかし
次の瞬間強烈な電磁バリアに阻まれ、跳ね飛ばされる!!

リョウ・ハヤト・ベンケイ「うわあああ~~~~っ!!」
魔王鬼「ハハハ……俺も以前の俺とは違うぜ、ハヤト!!」

海面に向かってまっさかさま墜ちていくライガー。

リョウ「このままでは……オープンゲットだ!!」
ベンケイ「ダメだ、今の電撃で分離回路がいかれちまった!!」
ハヤト「クソッ……すまねえ……俺の判断ミスだ……」

大きな水柱を挙げて海中に突っ込むライガー。そこで
ゲッターチームが見た者は……。

サルードとブードの2大海底要塞、そして
巨大な泡に捕らえられたグレートとゲッター3!!

ブードの口から泡が発射され、ライガーも閉じ込められてしまった!!

あしゅら男爵@ブード「ハハハハ……どうだ剣鉄也、ゲッターチーム」
リョウ「その声は……! 貴様たちも黄泉還ったのか!?」
ピグマン子爵@サルード「ケケケ、これから盛大なナチュラル狩りの始まりだ。
 貴様らはその第一号……次は誰かな……」
あしゅら男爵「フハハハハハ……」「オホホホホ……」
ピグマン子爵「ケケケケケ……」

105

○巴武蔵→すでに黄泉還り、ゲッターチームと再会&合流を
 果たしていた模様。
○太平洋を調査中のグレートマジンガーとゲッターロボ・ゲッターロボG、
 黄泉還った獣魔将軍&メカ魔王鬼率いる部隊と
 戦闘状態に入り、奮戦虚しくGショッカーに囚われる。
○宇宙科学研究所・ビックファルコン・キング=ビアルをはじめ、
 メンバーに異星人もしくはその子孫のいる民間の研究所や基地は
 次々と連邦軍=ティターンズにより活動停止を余儀なくされているらしい。

【今回の新規登場】
○剣鉄也(グレートマジンガー)
 グレートマジンガーを駆る青年。孤児であり7歳の時、
 来るべきミケーネとの戦いの準備を進めていた兜剣造に引き取られ、
 彼によって地獄のごとき訓練を課されて成長。その後、
 日本を離れた兜甲児から引き継ぐ形でミケーネ帝国との闘いに身を投じる。
○流竜馬(ゲッターロボシリーズ)
 浅間学園3年生で、サッカー部のキャプテン。イーグル号および
 ゲッター1(後にドラゴン号およびゲッタードラゴン)の操縦者にして、
 ゲッターチームのリーダー。通称リョウ。
○神隼人(ゲッターロボシリーズ)
 ゲッター2、及びゲッターライガーの操縦者で、
 通称ハヤト。クールな静観主義者であり、
 また不吉なこと・異常なことに関するカンが非常に鋭い。
○車弁慶(ゲッターロボシリーズ)
 浅間学園野球部キャプテン。いつもなにか食べている18歳の高校生。
 自然と子供たちを愛する心やさしき男。戦死した巴武蔵の後任として
 ゲッターポセイドンのパイロットとなる。通称ベンケイ。
○巴武蔵(ゲッターロボシリーズ)
 ゲッター3及びベアー号のパイロットとなった男。通称ムサシ。
 浅間学園柔道部主将。
●獣魔将軍(マジンガーZ対暗黒大将軍)
 戦闘獣7種全ての能力を併せ持ったミケーネの猛将にして
 暗黒大将軍の腹心。
●神竜二=メカ魔王鬼(ゲッターロボ)
 神隼人の従兄弟。日本に革命政府を樹立するため
 百鬼帝国に身を投じた学生テロリスト。
●あしゅら男爵(マジンガーZ)
 Dr.ヘルの配下で「あしゅら軍団」と称される、機械獣と鉄仮面部隊によって
 構成されるDr.ヘルの侵略部隊を率いる大幹部。その姿は右半分が女、
 左半分が男という奇怪なもので、男女二人の声で喋る。
●ピグマン子爵(マジンガーZ)
 Drヘルによって作られた3番目の幹部。巨人の身体の頭のあるべき部分に
 小さい人の上半身が乗っているという姿。


『内閣総理大臣 剣桃太郎!!』

作者・大魔女グランディーヌ

106

***リヨン市・ICPO本部長官室***

金田正太郎長官、ユニコーン機関の“静かなる”中条静夫長官と
Gショッカーハンター(旧デストロンハンター)の佐久間ケン本部長の
報告を聞いている。

金田長官「フム……地球教の手は思った以上に連邦内に
 食い込んでいるようだな……」
佐久間本部長「特に日本にいるヒーローたちへの締め付けが一段と
 厳しいようです。このままでは……世界はGショッカーと
 地球教――いえ、ロゴスの陣地争いの場と化してしまいます」
中条長官「そうなれば、第三次世界大戦──いや、宇宙大戦の
 引き金にもなりかねないでしょうな」

金田長官、椅子から立ち上がると窓から眼下を見下ろす。

金田「多くのヒーローたちが護り、築いて来た地球の……宇宙の平和を……
 一部の連中のエゴで崩壊させるわけにはいかない。ましてや地球に、
 宇宙の侵略者の汚名を着せることは阻止せねば……。政府や軍が頼りに
 ならなければ、我々警察が人々を護る盾になるまでだよ」
佐久間「……。春麗捜査官はMI6や神月財閥、バーキン捜査官は
 仮面ライダーたちと常時連絡をとってくれています。荒井捜査官も
 日本にいる各科学者の方々に協力依頼を」
中条「ユニコーン機関のエキスパートたちもロンド・ベル隊と
 合流して、地球教摘発の準備を進めております。これで
 銭形幸一警部が協力してくれれば鬼に金棒なのですが……」
佐久間「難しいでしょうね。彼はアルセーヌ・ルパン三世一味の
 逮捕に専心していますから」
金田「……場合によっては、彼らの力を借りることになるかも……な」
中条「金田長官……いくらマモーやカリオストロ伯爵、世界の影で暗躍していた
 巨悪を倒した連中だからといって、今のご発言は少々不謹慎では……」
金田「フフフ、冗談だよ。引き続き、各捜査官にはヒーローたちとの
 連絡を密にするよう言っておいてくれたまえ。それから、後で私から
 剣首相にもお礼の電話を入れておこう」

中条と佐久間が退出した後、長官席に戻ってスイッチを押す金田長官。
机上の隠し扉が開き、中から一基のコントローラーが出てくる。

金田「……近いうちに、またお前の力を借りるかも知れないな、鉄人……!!」

107

一方その頃、日本では…。

***地球連邦軍極東支部・伊豆基地***

コノミ「お願いです! 通してください!」
マリナ「私たちは元GUYS JAPANの隊員よ」
警備兵「だめだだめだ! 例え以前はCREW GUYSの隊員であったとしても、
 今は一介の民間人に過ぎない人間を通す訳にはいかん!」

二人の若い女性が、
基地の正面入り口前で警備兵と押し問答をしている。
一人はロングストレートヘア、
もう一人はショートヘアに眼鏡をかけていた。
かつてヒビノ・ミライ=ウルトラマンメビウスと共に
エンペラ星人四天王配下の異星人軍団と戦った
CREW GUYS JAPANの隊員の二人、
カザマ・マリナとアマガイ・コノミである。

トリヤマ「なんだ、何事だ騒々しい!?」
警備兵「ハッ! これはトリヤマ補佐官」

正面ゲートの騒がしい雰囲気に気がついた
初老の高級幹部らしき人物が秘書を引き連れて
様子を身にやってきた。

トリヤマ「むっ!? 君たちは!!」
マリナ「――アッ! トリピ……じゃなかった。
 トリヤマ補佐官!」
コノミ「よかった…」

かつての上官と偶然再会し、
「これで話は早い」と、ほっと胸を撫で下ろす
マリナとコノミだったが…。

トリヤマ「君たち、こんなところにわざわざ何しに来たんだね?」
マリナ「どうしたもこうしたもありません!
 隊長…じゃなくてサコミズ総監が逮捕されたって
 本当なんですか!!」
コノミ「私たち、心配になってフェニックスネストに行ったんです。
 そしたらリュウさんにもミサキさんにも会えないまま
 門前払いにされて……」
マリナ「だからここの基地の三輪とかいう長官さんに
 会いに来たってわけ! 中に入れてください」
トリヤマ「だめだ! 帰りなさい」
マル「そうだそうだ。ここは君たちのような
 民間人如きの来るようなところじゃないんだ!」

かつての戦友であったトリヤマ補佐官とマル補佐官秘書の
思わぬ冷たい態度に困惑するマリナとコノミ。

コノミ「そんな…どうしてですか!?」
マル「もう民間人である君たちには関係ないことだ!」
マリナ「あなた達はサコミズさんが逮捕されたっていうのに
 何とも思わないの!?」
トリヤマ「別に思わんね。連邦極東方面軍の再編成は
 すでに決定事項でもある。もはやこれは逆立ちしても覆らんのだ。
 悪い事は言わないからさっさと帰りなさい」
マリナ「……呆れた。そんなに自分の退職金が大事な訳?」
トリヤマ「――なっ!?」
マル「君、補佐官に対して無礼だぞ!」
マリナ「帰りましょうコノミちゃん。もうこれ以上ここにいても
 時間の無駄だわ」

憤慨したマリナはくるっと向きを変えて
帰り道の方向へと歩き出した。

コノミ「あっ、待ってください! マリナさ~ん!」

108

***東京・永田町・国会議事堂***

――衆議院本会議である。

議長「では本法案に賛成される方、ご起立願います!」

一部野党議員を除く大半の議員が一斉に起立する……。

議長「賛成多数! よって麻薬及び覚醒剤取締強化法案は
 本国会を通過致しました!」

国会内で拍手が沸き起こり、内閣総理大臣・剣桃太郎が起立して
議員席に向かって一礼した……。


***議事堂・廊下***

本会議も無事に終わり、与党・民自党の長老議員たちが、
廊下を歩きながら談笑している……。

長老議員A「いやー、驚きましたな。あの若造…いや新総理。
 就任早々こんな大仕事をしおるとは」
長老議員B「まったく、まさに荒療治ですわ」
長老議員A「この強化法の成立により、麻薬・覚醒剤の罰則規定が
 現行法の10倍もの量刑になったのですからな」
長老議員B「覚醒剤の密売だけでほとんど終身刑ですわ」
長老議員A「フッフフ…しかし、その青い正義感がどこまで通用するやら。
 その筋が既に動いておるという噂ですし……」
長老議員B「ま…どの道、現政権も短命に終わりそうですな」

109

***国会・正面玄関***

秘書官「総理、これからのスケジュールは、
 官邸で駐仏大使との会食後……」
桃太郎「いや、俺はその前に官邸で冴島危機管理監とも話がある」
番記者「総理、一言お願いします!!」

国会の入り口で待ち構えていた番記者達が、桃太郎をどっと取り囲む。

番記者「今回の強化法はあまりにも過激で、先進民主主義国家の法とは
 そぐわないとも指摘もありますが、そこはどのように!?」
桃太郎「私に言わせれば麻薬は人類にとって核兵器より危険な存在だ。
 私は自分の持つ全戦闘力をもって、その全てを日本から消滅させる」
番記者「ではもう一つ……」

そこへ突然、番記者の一人に成り済まして近づいて来た不審者が、
短刀を振りかざして桃太郎に襲い掛かった!!

殺し屋「死ね――っ!!」
秘書官「そ、総理――っ!?」
桃太郎「フッ……」

桃太郎はラクラク指二本で刺客の短刀を受け止める。

殺し屋「うっ……!!」
桃太郎「そこいらの青ビョウタン政治家と一緒にするな。
 伊達に男塾の血の海を泳いできた訳じゃねえんだ」

次の瞬間、桃太郎は刺客に強烈な蹴りを浴びせた。

殺し屋「ぐはあああっ!!!」

刺客は気を失ってダウンし、すぐにSPに取り押さえられた。

秘書官「そ、総理! お怪我は――っ!?」
桃太郎「ああ、なんともない」
SP「とりあえずお車へ!」

SPや秘書官に促され、公用車に乗り込む際、
剣桃太郎は一言呟く。

桃太郎「ロゴスがもう動き出したか…」
秘書官「ロゴス…??」

国会議事堂から首相官邸へと移動する車中――。

秘書官「しかし総理、ロゴスは以前にザフト軍によって
 その存在を暴露され壊滅したはずでは?」
桃太郎「それはあくまでも表向きの話だ。
 ロゴスの実体は死の商人のジジイ共の寄合なんていう
 単純なものじゃない。そして現在ダカールの地球連邦政府や軍を牛耳っている
 ティターンズやブルーコスモスも表の顔に過ぎん。裏の顔は地球教を頂点とし、
 陰謀とテロリズムで地球上の政治・経済を操る巨大な暗黒組織だ。
 俺はそれを完膚なきまでに叩き潰す!」

110

***首相官邸・総理執務室***

桃太郎は官邸に到着するなり、
直ちに内閣危機管理監である冴島十三を執務室に呼んた。
冴島はかつて警視総監として、人間と同じ心を持った
超AI搭載型ロボット警察官の導入に尽力した人物である。

冴島「総理、麻薬及び覚醒剤取締強化法案の衆議院通過、まずは何よりです。
 これで地球教の主要な資金源の一つである麻薬を、日本から根こそぎ排除できます」
桃太郎「昨日金田長官とも電話で話したが、ICPOと協力しての
 地球教団の合同捜査はどこまで進んでいる?」
冴島「それがまだ日本支部の所在も、責任者の司教の名も判明しておりません」
桃太郎「………」
冴島「しかし世界各国に支部を持つ彼らのやり口は全て同じです。
 地球教はその国の権力者と手を組み、布教活動を展開します」
桃太郎「政治家か」
冴島「はい。宗教は何よりも金になります。そして政治に金はなくてはならぬもの。
 今回の衆院選においても莫大な金が動きました。中でも異常とも思える額の
 金をばら撒いたのが……」
桃太郎「民自党内きっての若手エース、白河尚純。派閥の若手全員を当選させ、
 返り咲かせた……」
冴島「内調のOBでもある白河は、今でも自衛隊や警察方面に絶大な影響力を保持し、
 昔から何かと黒い噂のある男です。」
桃太郎「これまでも大きな疑獄事件の裏には、必ず白河の存在があると言われてきたが、
 巧妙に立ち回り、その追及をかわしているからな………」

剣桃太郎は、日本国内に駐留している地球連邦極東方面軍の
一連の異変についても、白河が裏で糸を引いていると睨み、
密かに内定調査を進めさせていたのだった。

桃太郎「その後、三輪長官の下に潜入している例の"協力者"からの情報は?」
冴島「残念ながら今だ何も…。しかしながら総理、余計な事かもしれませんが、
 身辺の警護にはくれぐれもご注意を。白河代議士は
 かっての“アギト対策法案”を成立寸前の所で貴方に潰された事で、
 貴方に恨みを抱いているという噂を今でも耳にします……」
桃太郎「俺のことなら心配は要らん。それよりも君の方こそ
 反ロボット主義の連中からは睨まれているからな。用心してくれ」
冴島「なんの、この冴島、まだまだそう簡単にやられるつもりはありません。
 今も現場で頑張ってくれている特別科学捜査室やブレイブポリスの諸君のためにも」
桃太郎「………」

111

○ICPO首脳部→地球教からヒーローたちをガードするため活動中。
○カザマ・マリナ、アマガイ・コノミ→ニュースでCREW GUYS JAPANの異変を知り、
 真相を確かめるべく伊豆の連邦軍基地を訪れるが、そこで再会した
 トリヤマ補佐官とマル補佐官秘書の豹変振りを見て失望。
○トリヤマ補佐官、マル補佐官秘書→保身のために三輪長官一派に寝返った?
 果たしてその行動の真意は?
○剣桃太郎→地球教やその他犯罪組織の資金源を断つため
 麻薬及び覚醒剤取締強化法を成立させる。
 彼の口から、三輪長官の傍に潜伏している"協力者"なる存在が明かされる。
○冴島十三→総監の地位を加賀美陸に譲り、警視庁から退任後は首相官邸入りして、
 現在は内閣危機管理監の職にある。

【今回の新規登場】
○金田正太郎(鉄人28号シリーズ)
 ICPO長官にして元金田探偵事務所の所長。かつては帝都の少年探偵として名を馳せた、
 鉄人28号の操縦者。日本では警視総監賞、国民栄誉賞受賞経験有。

 榊電子グループ会長の娘婿である。
○佐久間ケン(仮面ライダーV3/仮面ライダーSPIRITS)
 元デストロンハンターの一員。Gショッカーハンター本部長。
○中条静夫(ジャイアントロボ~地球が静止する日)
 国際警察機構北京支部長にして九大天王が一人。通称“静かなる中条”。
○カザマ・マリナ(ウルトラマンメビウス)
 元CREW GUYS JAPANの隊員。二輪ロードレースの女性ライダー。
 聴力に優れており、怪獣の鳴き声に混じる特殊な波長を聞き分けその行動を予測できる。
○アマガイ・コノミ(ウルトラマンメビウス)
 元CREW GUYS JAPANの隊員。新人の保育士。
 優しい性格のためか、マケット怪獣達とは特に仲がよい。
○トリヤマ補佐官(ウルトラマンメビウス)
 CREW GUYS JAPANの中間管理職。やや保身に走る傾向があるが
 基本的に善人。剣道が得意である。
○マル補佐官秘書(ウルトラマンメビウス)
 トリヤマ補佐官の秘書。
○剣桃太郎(魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾)
 日本国内閣総理大臣。元男塾一号生筆頭であり第33回卒業生。
○冴島十三(勇者警察ジェイデッカー)
 弱冠45歳の若さで警視総監に上り詰めた、警視庁始まって以来の天才。
 科学技術を悪用したハイテク犯罪や災害に対抗すべく、
 ロボット警察官の現場への投入を提唱し実現させた。
 超AIロボットの心を理解する人物。 


『もう一つの闇』-1

作者・大魔女グランディーヌ

112

***スマートブレイン本社ビル・54階・社長室***

琢磨「――い、痛いっ! 何をするんですか!!
 放せ! 放してくださいっ! ……(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル」
レオ「………」

現場作業員姿の琢磨逸郎が、村上社長直属の用心棒・レオに耳を引っ張られて
村上の待つ社長室へと連れ込まれた。

村上「随分と探しましたよ、琢磨さん……」
琢磨「む、村上さん!?」
村上「一体何ですかその姿は? かつては栄誉あるラッキー・クローバーの
 一員であったはずの貴方が……」
琢磨「僕はもう残りの人生を人間として生きていく事を決めたんです!
 僕の事はもうほっといてください!」

バチンッ!!と琢磨の頬を平手で叩く村上……。

琢磨「い、いきなり何をするんですかぁ~っ!?」
村上「下の下……以下ですね!!」
琢磨「……(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク」
村上「琢磨さん、よく考え直してご覧なさい。愚かなナチュラルどもが、
 これまで我々オルフェノクに対して行なってきた数々の仕打ちを……。
 そもそもナチュラルはオルフェノクを人間としては認めていません。
 ナチュラルは閉鎖的で差別的な生き物なのです。それは歴史が証明するところでしょう……。
 オルフェノクがナチュラル――いや、人間と共存して暮らす事など、
 未来永劫絶対に不可能なのです」

そこへスマートレディが何かを知らせに
村上のところへとやって来る。

スマートレディ「社長さん、お客様がおいでですわ。
 ──どうやら、お迎えに来られたみたいです……(ニコニコ)」
村上「……そうですか、すぐにお通ししてください。
 くれぐれも失礼の無いように」

***同本社ビル内・応接間***

村上が入室すると、ソファから一人の
黒いサングラスをかけた初老の紳士風の男が立ち上がる。

村上「これはこれは……わざわざお出迎えに来ていただけるとは
 光栄です、天王路さん……」
天王路「当然のことだよ……早速だが、出発のご準備を。
 他の皆さんももうお待ちだ」
村上「承知しました。すぐに今日の予定を全てキャンセルの上、
 ご同行しましょう」

応接室を出てエレベーターに向かう2人。途中でレオも合流し、
エレベーターに乗り込む。

村上「ヒューマンアンデットは適合者を作る際、
 犠牲者を生んでしまった。銀の時代の始まりですよ……。
 彼らは死に、異形の者として再び生を得ることから、
 冥界を見たオルフェウスと、永遠の命を持つエノクを合わせた、
 オルフェノクと名付けられた……。
 覚醒後の灰色の身体は、銀の時代といわれた所以です……」
天王路「そしてさらに、銅の時代が来る。
 ヒューマンの子とオルフェノクとの戦いの時代だ。
 オルフェノクは、永遠の命を断ち切る武器を生み出した。
 3本のベルトの誕生だ。ヒューマンの子は、
 全て命尽きる人間になった。鉄の時代が始まったのだ…」
村上「…そして今、到る所に時空の門が開かれた事をきっかけに、
 新たな時代が訪れようとしています……。そして新たなバトルファイトもね……。
 天王路さん、そのバトルファイトに最後まで勝ち抜いたただ一人の
 世紀王候補――次期創世王のみに与えられるという万能なる力……
 ……貴方は何にお使いになりますか?」
天王路「……フッ…君と同じだよ…村上君。
 私の願いは愚かな旧人類を全て滅ぼし、一から理想郷とも言える新世界を
 この手で創造し直すことだ……。無論、この私が支配者となってね…」

エレベーターの中で会話を続ける二人。

天王路「……本郷猛をはじめとする虫けら(ワーム)どもが
 次々と帰国しているのはご存知か?」
村上「……!! いえ、初耳ですね。海外における我が社の拠点を
 全て潰してくれた者たち……」

村上は冷静を装っているが、拳は堅く握られている。

天王路「……どうやら、乾巧と接触するために戻って来ている模様……
 フフ、ご心配なく……こちらで既に手は打ってある。
 それに、無幻城へ行けば面白いものも見られるだろう。
 フフフフ……」

113

△琢磨逸郎→強引にスマートブレインに連れ戻される。
●天王路博史→スマートブレイン本社に村上を出迎えに現れる。
●村上峡児→Gショッカーの召喚に応じる。

【今回の新規登場】
△琢磨逸郎=センチピードオルフェノク(仮面ライダー555)
 ラッキークローバーの一人。ウィリアム・バトラー・イェイツの詩を愛す知性派。
●レオ=仮面ライダーサイガ(劇場版仮面ライダー555 パラダイス・ロスト)
 村上社長直属の用心棒。
●天王路博史=ケルベロスⅡ(仮面ライダー剣)
 人類基盤史研究所「BOARD」の元理事長。 


『冒険者VS錬金の戦士!!』-1

作者・大魔女グランディーヌ

114

***ダークシャドウのアジト***

ここは人里離れた山奥にある、「影の衆」と言われる忍者の末裔にして、
プレシャスを狙うネガティブシンジゲートの一つとして
サージェス財団からもマークされている「ダークシャドウ」の館である。

ゲッコウ「よくもおめおめとこの場に
 姿を現せたものだな! ヤイバ!」
ヤイバ「………」

年老いた梟=ダークシャドウの頭領・幻のゲッコウに激昂されても
不気味に無言を貫く、全身を青い甲冑で覆った男=闇のヤイバ。

烈風「まあまあゲッコウよ、そう怒るな。ヤイバは旧主であるお前の身を案じて、
 こうしてわざわざワシと共にお前たちダークシャドウを
 Gショッカーに誘いに来たのだ。ワシとお前の昔からの仲ではないか」
ゲッコウ「黙れ! 断る! ワシらダークシャドウを貴様ら風魔忍群のような
 外道などと一緒にしないでもらおう。Gショッカーの傘下などに
 入るつもりは断じてない! 暗闇忍堂や鬼忍毒斎にもそう伝えておけ!」
烈風「また来るぞ。それまでに考え直しておく事だな。
 では帰るか、ヤイバよ」
ヤイバ「ハッ。…ゲッコウ様、くれぐれも後悔なさいませぬよう。
 この次までにはよいご返事を期待しております…」

ゲッコウ「二度と来るな!!」

ゲッコウが罵声を浴びせる中、
風魔烈風と闇のヤイバはひとまず帰って行った。

ゲッコウ「シズカ、塩をまいておけ!」
シズカ「でもゲッコウ様…私たちここ数ヶ月
 ずっとカップラーメンの生活が続いてますよ…」

いかにもひもじそうにゲッコウを見つめる風のシズカ。
ここ最近ずっとプレシャス争奪戦でボウケンジャーに敗北続きの
ダークシャドウはその日の食費にも事欠く有様であった(笑)。

ゲッコウ「嘆くな! 仮にも忍びたる者が
 奴らからの資金援助を期待するなど情けないぞ!」
シズカ「ううう~」(涙目)

115

***サージェスミュージアム***

ここはサージェス財団の運営する博物館「サージェスミュージアム」である。
そこに一条総司令率いるティターンズ派の兵士達が押しかけ
物々しい騒ぎになっていた。

牧野「プレシャス? 何の事ですか?」
一条「とぼけるな! 貴様らサージェスが世界各地から
 密かに回収して隠し持っている事は先刻承知だ。
 いいから直ちに貴様らが保管している全てのプレシャスを
 軍に引き渡せ! これは要請ではない。命令だ!」
牧野「そんな事を言われましても"プレシャス"なんてものは
 初耳ですし、ここにないものはいくら出せといわれても
 出せませんよ。もしお疑いでしたら、どうぞご存分に
 家捜しでも何でもしてください」

一条の追求を飄々とかわす牧野。
そっと一条に耳打ちする連邦兵。

一条の副官「総司令、奴の態度から見て、
 プレシャスはここにはないのかもしれません」
一条「…うむ、そうだな。(牧野の方を見て)いいか覚えておけ。
 必ずプレシャスは接収して見せるからな!」

引き上げていく一条総司令たち。
サロンに牧野が一人になったところを
見計らったかのようにチャイム音が鳴り、
中央の大きなモニターに
逆さのとんがり頭のキャラクターCGが現れる。

ボイス「牧野さん、そろそろ限界だね…」
牧野「残念ですが、プレシャスバンクの位置が
 ティターンズ派に捕捉されるのも時間の問題かと…」
ボイス「やむを得ない。プレシャスを移動する」
牧野「隠しておく先に心当たりがあるので?」
ボイス「フフフ…まあね♪」

116

***???***

ここは日本国内のどこかにあるサージェス財団の、
誰も知らない某施設の、とある一室…。

一人の少女が何やらデスクのPCに向かっている。
そこへ神父風の格好をした長身の男が現れ、
少女の横に近づき話しかける。

照星「――レオ……いや、一応"ミスター・ボイス"と
 お呼びした方がよろしいですか?」
レオナ「ここではレオナでいいよ。
 錬金戦団の大戦士長さん」

レオナと呼ばれたその少女は、
自分に話しかけてきた男――錬金戦団の亜細亜方面大戦士長にして
戦闘部門顧問・坂口照星の方に顔を向ける。

レオナ「メリクリウスの器の引渡しは、明日予定通り行なうよ」
照星「ティターンズに気取られる心配は?」
レオナ「抜かりはないよ。プレシャスをロゴスに渡すわけにはいかないからね。
 奴らからの圧力をかわすためにも、非公然組織である錬金戦団に
 一時預かってもらった方が、我々サージェスとしても安心だよ」
照星「錬金術に関係したプレシャスを我々が預かる代わりに、
 その期間の間、ホムンクルスの再人間化の研究や実験に
 プレシャスを用いてもよいという条件でしたね?」
レオナ「くれぐれも扱いは慎重にね」
照星「承知しています。では明日、取引場所に
 使いの者を派遣しますのでよろしく」

117

●風魔烈風、闇のヤイバ→ダークシャドウをGショッカーに勧誘しに現れるが、
 拒絶される。
△幻のゲッコウ→Gショッカーへの参加を拒否。
●一条総司令→プレシャス引渡しを迫るべくサージェス財団に乗り込むが、
 一旦は引き上げる。
○ミスターボイス→サージェス財団がティターンズから
 保有しているプレシャスを引き渡すよう圧力をかけられたため、
 まずはメリクリウスの器などの錬金術絡みのプレシャスを
 密かに錬金戦団に預かってもらおうと画策する。

【今回の新規登場】
●風魔烈風(忍者キャプター)
 日本支配を狙う風魔忍群の御大将。
●闇のヤイバ(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 忍術を操るネガティブシンジケート・ダークシャドウの元2番手で抜け忍。
△幻のゲッコウ(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 影の衆と言われた忍者の末裔たちで構成され、
 様々な忍術を操るネガティブシンジケート・ダークシャドウの首魁。
 年老いた梟のような姿をしているが、正体は魔鳥を封じるために
 肉体を融合させた伝説の忍者ゲッコウ。基本的にはプレシャスを利用して
 金儲けをすることが目的であり、特にそれ以上の非道は行なわない。
△風のシズカ(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 忍術を操るネガティブシンジケート・ダークシャドウの3番手だったが、
 闇のヤイバが抜けたことにより2番手に昇進。未来のダークシャドウを担うべく
 幻のゲッコウに鍛えられながら、世界各国のプレシャス奪取に精を出している。
○牧野森男(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 サージェス財団の技術者で、ボウケンジャーのメカニックチーフ。
 変装の名人である。
○レオナ=ミスターボイス(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 ボウケンジャーの統括責任者。いつもコンピューターで合成された声と
 CGだけでミッションを伝え、時に応じてメッセージを送ってくる謎の人物。
 その正体はレオナと呼ばれる少女で、パラレルエンジンの生み親である
 レオン・ジョルダーナが10度目の転生を果たした姿である。
○坂口照星(武装錬金)
 錬金戦団・亜細亜方面大戦士長。終始丁寧な口調で話す飄々とした男だが、
 思慮深さと聡明さを兼ね備えている。反面、割と強引な面も見受けられ、
 部下が指示に従わなかったり、自分の悪口を言った時は
 「HAHAHAHA!!」と笑いながら「お仕置き」をする。
 現在は各国の錬金戦団に働きかけ、戦団の活動を段階的に凍結させている。


『もう一つの闇』-2

作者・大魔女グランディーヌ

118

***無幻城***

ここは魔空空間と幻夢界、そして不思議時空、
三つの異空間が唯一交わる場――ポイントゼロ。
その果てに、超巨大な基地……通常の空間であれば
自重により崩壊するであろう奇怪な形状の要塞がそびえ立っていた。
これこそがGショッカー地球攻撃兵団統合司令部・無幻城である。

内部奥深くの長い長い、そして薄暗い回廊を抜けると、そこは
円卓の置かれた大広間であった。各所に
不気味な銅像や石像が装飾され、黒覆面の男たち=ショッカー戦闘員が
槍を持って警護にあたっている。

鮮血のように赤い絨毯を踏んで、村上峡児……いや、禍々しき白薔薇・
ローズオルフェノクは、天王路博史の化身=ケルベロスⅡと共に円卓の席に座る。

???「……ようこそ、偉大なるGショッカー最高幹部会・
 十二邪将の諸君!!」

円卓の中央が輝き、暗かった広間を照らす。ホログラフで浮かびあがったのは、
双頭の鷲(頭の1つは鷲、もう1つは烏のそれである)に両側から
薔薇と蛇が絡み付いているエンブレム=Gショッカーの紋章だ。
それが明滅するたび、あの声が……かつてショッカーを、ゲルショッカーを、
デストロンを、ブラックサタンを、デルザー軍団を、ネオショッカーを、
バダン帝国を、クライシス帝国を支配し──GOD機関、ゲドン、ガランダー帝国、
ゴルゴム、フォグを影から操り──望月博士のネオ生命体計画を支援、
グロンギ族のゲゲルを煽り、「財団」とスマートブレイン社を使って
日本の政治経済の闇に深く食い込んでいる──
「あの声」が響いた!!

ホログラフの声に応じ、一斉に立ち上がり礼の姿勢をとる円卓の面々。
その内の2人、地獄大使とマシーン大元帥が高らかに叫ぶ。

地獄大使「我らが支配者……表裏六柱の至高邪神よ!!」
マシーン大元帥「十二邪将、揃いましてございます!!」
戦闘員たち「イーッ!!」

円卓の間の天空に浮かぶ3つのポリゴンが
回転しながら円卓の頭上にゆっくりと舞い降り、
そして其々のポリゴンに投影される表裏6人の老人達の顔から
次々と(聞くだけでも圧倒的な力を感じさせる)声が発せられる。

大首領の声「諸君、遠路よりの参集ご苦労である!」
創世王の声「見るがいい!!」

壁面が開き、大型モニターが出現する。

銀河系内外の未開発惑星が、ゴズマードの大船団と宇宙獣士の大部隊、
巨獣の群れにより次々制圧されていく。共和制が定着しかけていた
ボアザン星は息を吹き返した旧貴族派により再び戦乱に逆戻りし、
復興の進んでいたイガ星やハザード星、フリード星もまた無法地帯と化し、
高い戦闘力と科学力を誇るフラッシュ星・エメラルド星も星都陥落寸前まで
追いつめられていた……。

総司令の声「今やGショッカーの勢力は全宇宙にまで及んでいる……」
星王の声「この機に地球連邦軍、その背後にいるロゴスを壊滅させよ」
大魔神の声「そして太陽系を我らの手中に収めるのだ……」
闇の帝王の声「諸君の働きに期待する……!!」

***同・モニター監視室***

人間体に戻り、部屋に案内された村上が、地下牢の様子を映した
モニターに見入っている。

地獄大使「フフフ、どうかね村上君」
村上「……ほう、これはこれは……剣鉄也にゲッターチームの面々ですか……
 何故すぐに改造してしまわれないのです? 彼らのような心身優れた
 人材なら、改造人間やオルフェノクの素体にはもってこいでしょうに」
地獄大使「ワシもそうしたいのはヤマヤマなのだが、暗黒大将軍がなかなか
 首を縦にふってくれんのだ……拷問して情報を全て吐かせるのが先だ、とな」
村上「……なるほど。機体の方は?」
地獄大使「無論、操縦席に自律型AIを組み込んで破壊兵器として
 使わせてもらう。マジンガーZやグレンダイザーが身動き取れぬ以上、
 ロンド・ベル隊の戦力は半減していますからな」
村上「フフフフ……我々オルフェノクも
 大首領に対し奉り全霊をもってご恩返しを……」
地獄大使「フフフフ、ハハハハ……そして我らが共通の憎き敵、
 仮面ライダーも1人残らず……!!」

119

その無幻城には大奥と呼ばれる男子禁制の区画が存在する。
Gショッカーに属する悪の女王・貴婦人たちの集う宮廷サロン――
――闇女王同盟の後宮である。

闇女王同盟は、闇の後継者達を生み繋ぐための
神聖不可侵たる女達の園であり、
次期創世王擁立に関わるバトルファイトに参加できる
世紀王候補の選出にも絶大な影響力を有していた。

ガイ「よう! わざわざお招きいただいて感激だぜ!
 闇女王同盟のお偉方ぁ!!」
レイ「………」

人類が進化する過程で、
別の進化を辿った高等生物「アシュ」より
生まれ変わった「クエスター」――
――怒りの鬼神ガイと大いなる獣レイの二人が、
御簾のかかった上座の前に立っている。

大声で挨拶したガイを、
上座の傍らに控えていたアマゾンキラーが制する。

アマゾンキラー「控えなさい! この場を何と心得ます!?
 恐れ多くも闇女王同盟の後宮総取締役にして、
 至高邪神にお仕えする巫女でもあらせられる
 ヘドリアン女王陛下の御前ですよ!!」
ガイ「そう固い事言うなよ姉ちゃん」
アマゾンキラー「黙りなさい! そもそも男子禁制である後宮に、
 お前たちアシュなぞを立ち入らせるのも異例中の異例!
 無礼は許しません!!」

ヘドリアン「御簾を上げよ!」

御簾の奥の上座にいる人物から声がし、
後宮に仕える女官である女戦闘員がその指示通りに御簾を上げると同時に、
その場の下座にいた全員が畏まる。

アマゾンキラー「女王様!」
ヘドリアン「クエスターとやら、お前たちに望みどおり
 世紀王候補の資格をくれてやるとして、その代わりの
 報酬は何とするつもりじゃ?」
レイ「プレシャスを一つ、女王陛下のために献上しよう」
アマゾンキラー「当てはあるのですか?」
ガイ「あるルートから耳寄りな情報を手に入れたのさ!
 まあ見てな!」
ヘドリアン「ホホホ…よかろう。
 首尾よく宝を持ち帰れたなら、例の話、考えてやってもよい」

120

極秘の会見を終えて、後宮より門外へと出るガイとレイ。
そこには広大な廊下が広がっている…。

ガイ「ところでレイ、リサーチの方は大丈夫だろうな?」
レイ「抜かりはない。ここ最近、サージェス財団は
 ティターンズからプレシャスを引き渡すよう
 しきりに圧力をかけられている」

クエスターは、サージェス財団が今まで集めてきたプレシャスを一時的に手放し、
地球至上主義者たちの目の届かない所に隠そうとしているという情報を
キャッチしていた。

レイ「そのうちの一つ、メリクリウスの器が
 近々サージェスから錬金戦団に極秘裏の内に預けられる。
 その引渡しの瞬間を狙って、俺たちがプレシャスを横取りする」
ガイ「錬金戦団……例の核鉄とかいう武器を使う連中か。
 そんな奴らとサージェスの間に繋がりがあったとはな…。
 だが所詮は俺たちクエスターの敵じゃねえ。事のついでに
 ボウケンジャーと一緒に血祭りに挙げてやるとするか」

121

●ショッカー正規軍・十二邪将→無幻城・円卓の間に参集。
●表裏六柱の至高邪神→ついに勢ぞろいし、地球圏制覇の号令を下す。
○グレート&ゲッターチーム→Gショッカー本部に囚われの身……。
●ヘドリアン女王→闇女王同盟内では後宮総取締の地位にあり、隠然たる勢力を誇る。
 自らのさらなる権勢拡大に向けて、何人かの世紀王候補を背後から巧妙に使嗾しつつ、
 数々の策謀をめぐらせている。
●クエスター・ガイ、クエスター・レイ→ヘドリアン女王に接触。
 プレシャスを賄賂として献上する事を条件に、世紀王候補の資格を得られるよう、
 女王から推挙してもらえる約束を取り交わす。

【今回の新規登場】
●ショッカー大首領(仮面ライダーシリーズ)
 悪の秘密結社ショッカーの創設者にして支配者。暗黒星雲及び怪魔界の帝王。
 これまで歴代仮面ライダーが戦ってきた全ての悪の組織共通の黒幕。
●GOD総司令=真のゼロ大帝(仮面ライダーX/仮面ライダーアマゾン)
 GOD秘密機関及びゲドンの黒幕にして、ガランダー帝国の王者。
●星王バズー(電撃戦隊チェンジマン)
 大宇宙を総て我が物にせんとする大星団ゴズマの支配者。
 ホログラフにより宇宙空間に出現。部下に命令を下す。
 真実の姿は惑星状の巨大な宇宙生命体。
●大魔神サタンゴース(巨獣特捜ジャスピオン)
 銀河バイブルに復活を予言されていた巨獣帝国の王。マッドギャランの父。
●ミケーネ闇の帝王(グレートマジンガー)
 地下勢力ミケーネ帝国の支配者。通常見せている溶岩と炎の塊のような姿から
 発する熱は5万度といわれている。
●マシーン大元帥(仮面ライダーストロンガー)
 デルザー軍団大幹部でミイラ男の末裔。ジェネラルシャドウの政敵。
●クエスター・ガイ(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 アシュである「怒りの鬼神(きしん)」ガイが肉体を失ったのち、
 ゴードムエンジンの力でサイボーグ・アシュ=クエスターとして生まれ変わった姿。
 プレシャスを奪って世界中を暴れ回るためにクエスターロボを自らの手足のごとく操縦する。
 高丘映士の父・漢人(からと)の命を奪った張本人。
●クエスター・レイ(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 アシュである「大いなる獣(けもの)」レイが肉体を失ったのち、
 ゴードムエンジンの力でクエスターとして生まれ変わった姿。
 役割分担として主にメカニックを担当し、プレシャスを奪って
 世界中を暴れ回るためにクエスターロボを開発する。
●アマゾンキラー(太陽戦隊サンバルカン)
 ヘドリアン女王が銀河魔境から呼び寄せた、ベーダー一族の女戦士である行動隊長。
 ヘドラー将軍と同等の力を持ち、女王に対する忠誠心は絶対である。
 かつては「銀河無宿」の宇宙海賊として、イナズマギンガーと組んで暴れまわっていた
 女海賊でもある。誇り高い立ち振る舞いと、丁寧な言葉遣いが特徴。
●ヘドリアン女王(電子戦隊デンジマン/太陽戦隊サンバルカン)
 ベーダー一族の長で、機械帝国ブラックマグマの黒い太陽神に仕える巫女。
 妖魔術の使い手であり、年齢は7600歳。ヘドロで汚く腐った世界を何よりも
 望む一方で、自分の美貌には絶対の自信を持つ。 


『冒険者VS錬金の戦士!!』-2

作者・大魔女グランディーヌ

122

***第三埠頭***

人気(ひとけ)のない早朝…。
とある港のはとばで、伊能真墨、最上蒼太、高丘映士、
そしてプレシャスの収納されたジェラルミンケースを大事そうに抱えている
間宮菜月の4人は、ずっと誰かの到着を待っていた。

映士「しっかし納得いかねえなあ。
 俺サマたちがこれまで命がけで集めてきたプレシャスを、
 なんでどこの馬の骨ともわからねえ連中に預けなきゃ
 ならねえんだ?」
真墨「………」
蒼太「仕方ないさ。サージェスもこれ以上
 プレシャスの存在を秘匿し続けるのが難しくなってきている。
 それとも大人しく三輪長官に渡した方がよかった?」
映士「悪い冗談はよせ! それよりも新人はどうした?」
菜月「そういえば新人くんたち遅いね」

真墨「…おい、来たぞ」

埠頭の向こう側から歩いて近づいてくる3人の人影。
一人はアロハシャツ、もう一人は剣道着を着た容姿端麗な少年、
そして最後の一人は、長いロングストレートヘアの少女、
着用しているどこかの学校の学生服姿から女子高生のようである。

桜花「ボウケンジャーの皆さんですね?」
映士「なんだ…錬金の戦士とか言うから
 どんな奴らかと思ったら、まだガキじゃねえか」
剛太「なんだと!!」
蒼太「――おっとストップ! ごめんね、君。
 彼今ちょっとイラだってるんだよ。ここは聞き流してもらえないかな?」

映士の暴言に食って掛かろうとした
アロハシャツの少年――剛太の前に割って入り、
なんとか宥める蒼太。

映士「フン…」

剛太「………」
秋水「こちらもそちらの事情は知っているつもりだ。お察しする…」
桜花「それで、プレシャスは?」

123

真墨「菜月」
菜月「うん!」

真墨に促された菜月が、長い黒髪の少女――桜花に
プレシャス「メリクリウスの器」が収納された
ジェラルミンケースを大事そうに手渡そうとする。

菜月「大事に扱ってね」

――が、その時!
どこかから光線が直撃し、その衝撃で
その場にいた全員が吹っ飛ぶ。

蒼太「うわあっ!」
菜月「きゃあああっ!」
剛太「誰だ!?」

状況を確認しようとする彼らの目の前に立っていたのは、
一人は黒い鋼鉄の体に緑色の模様を宿し、頭部の形状はライオンに近い怪人。
そしてもう一人は同じく黒い体に黄色の模様を宿し、
頭部の形状はより虎に近い怪人だった。

ガイ「久しぶりだったなあ。
 元気してたか、高丘のぉ~!」
レイ「………」

蒼太「お前たちは!?」
菜月「そんな…まさか!!」
映士「ガイ!…レイ!」

秋水「何者なのか知っているのか?」
真墨「クエスター……プレシャスを狙っているネガティブの一つだ!」

ガイ「俺たちクエスターは再び地獄から舞い戻ってきたぜ!」

映士「ガイ!…レイ! 何しに来やがった!?」

レイ「知れた事。メリクリウスの器をこちらの手に
 返してもらう。そもそもそのプレシャスを先に発掘したのは
 確か我々だったはずだからな…」

映士「何だと!」
真墨「また性懲りもなくホムンクルスを創りだすつもりか!?」
ガイ「違うなぁ。ちょうど骨董品を欲しがりそうな婆さんを知ってるんでな!
 その御方へのプレゼントさ!」
真墨「なにぃ!! どういうことだ!?」
レイ「ボウケンジャー、それにそこにいる錬金の戦士よ、よく聞け。
 所詮お前たちは組織の末端として使われる駒に過ぎない。
 だが我々クエスターは違う」
ガイ「いずれは全ての悪に君臨するBIGになってみせるって事よ~!!」

二丁拳銃・グレイブラスターの引き金を引くガイ。
だがそれより一瞬早く変身するボウケンジャー!!

真墨たち「――ボウケンジャー、スタート・アップ!!」

124

ボウケンシルバー「ちょうどむしゃくしゃしてたところだ。
 もう一度地獄に送り返してやるぜ!!」
ガイ「それはこっちの台詞だ高岡の!」

ガイの相手はボウケンジャーがする一方で、
剛太、桜花、秋水ら3人の錬金の戦士はレイと対峙する。

レイ「フッ…!」

レイは掌から小石をを取り出し、
剛太たちに向かって放り投げた。すると瞬く間に岩石人間兵士・
カースが数十体と躍り出る!

カースたち「……!!」

剛太が叫ぶ。

剛太「チャクラムの武装錬金! モォーターギアッッ!!」

ナイフと専用の銃を手に襲い掛かってくる
カースの大群が、何かの力で吹っ飛び、
壊れた細かく崩れた岩石の土砂へと変わる。

レイ「ほう…それが錬金の戦士が使う武装錬金か。
 遠隔爆破…いや、瞬間移動か」
剛太「………」
レイ「…違うな。小型の何かを高速で打ち出し、
 両脇は視界の外から迂回させてぶつけたか」
剛太「チッ…」

桜花「アーチェリーの武装錬金!」
エンゼル御前「エンゼル御前っ!!」

秋水「日本刀の武装錬金! ソードサムライX!!」

桜花が弓矢を射ると同時に自律型の自動人形が飛び出し、
高度な精密射撃がレイを襲う。
そして秋水も両刃の小烏造の刀身で、レイのグレイボンバーと切り結ぶ。

レイ「ガイ、そろそろ頃合だ」
ガイ「おう!」

ボウケンブラック「何をするつもりだ!?」

ガイが合図をすると突然雷鳴が轟き、
天空より戦闘機の姿を模したらしき漆黒の巨大ロボットが舞い降りた。
まさしくそれは大神官ガジャが開発した巨神ガガドムの原理を元にして、
その後クエスターの二人が自分達だけで独自に開発した最新鋭の戦闘兵器、
クエスターロボ/疾(ターボ)だったのである!

ボウケンブルー「そんな…クエスターロボまで再生していたとは!?」

ガイ「さすがにこいつまで俺たち同様自然に黄泉還って来た訳じゃねえが、
 Gショッカーの超生産設備を借りれば、こいつを再生するなんてのは朝飯前よ!」
レイ「ボウケンレッドとボウケンピンクがいない今、
 ダイボウケンは合体出来まい?」

ボウケンシルバー「ふざけんな!! だったらこの俺様が
 サイレンビルダーで相手をしてやる!!」

125

???「――ちょっとまったあああっ!!!!!」

シルバーがサイレンビルダーを呼ぼうとした時、
突然高い方より声がした。

一同「――!!」

その場にいた一同全員が声をした方へと振り返ると、
目の前の倉庫の屋根に立っていた二人の人影があった。

ガイ「――な!! て、てめえらは!?」
レイ「馬鹿な!?」

その二人の姿を見て驚くクエスター。
それもそのはず。屋根の上に敢然と立っていたのは
あのボウケンレッドとボウケンピンクだったのである!!

しかし――。

ボウケンレッド「熱き冒険者ぁぁっ! ボウケンレッドォォ~ッ!!」
ボウケンピンク「ふ、深き冒険者…ボ…ボウケンピンク……」

以前に比べて何故か妙にノリノリな名乗りポーズを取るボウケンレッド。
そして、いかにも恥ずかしそうに嫌々ながら名乗りを上げている、
どことなくギコちない感じのボウケンピンクである。

ガイ「貴様ら確か二人仲良く
 宇宙に旅立ったんじゃなかったのかあっ!?」
レイ「待て、ガイ。どうも様子がおかしい…」
ガイ「なにっ?」

屋根の上ではレッドとピンクの二人が
何やらコソコソ話をしている。

ボウケンレッド「ダメでしょ斗貴子さん! もっと大きな声で、
 ポーズはきちんと取らなきゃ! みんなで何度も練習したじゃないか!」
ボウケンピンク「あんな派手なポーズを恥ずかしげもなく
 堂々とやれるのは、キミとイエローくらいだ。
 第一、ミッション中はコードネームだろ。今はその名で呼ぶな」
ボウケンレッド「あっ、あんなところに剛太や先輩達がいる!
 お~い、みんなぁ~!!」

ピンクがいきなりレッドに肘鉄を食らわす。

ボウケンレッド「――げほっ!!」
ボウケンピンク「バカっ! 正体がバレるだろうが!
 余計なお喋りをするとブチ撒けるぞ!!」

桜花「あの人…今こちらに向かって
 手を振らなかったかしら?」
剛太「さあ、気のせいじゃないスか?」

屋根からジャンプして飛び降り、
地上に着地して他の仲間と合流するレッドとピンク。

ボウケンブラック「遅いぞ新人! 何やってた!?」
ボウケンピンク「すまない。遅くなった」
ボウケンブルー「お小言はあとあと。それじゃあ新人レッドくん、頼むよ!」
ボウケンレッド「了解です先輩! ゴーゴービークル、発進!!」

126

○伊能真墨、最上蒼太、間宮菜月、高丘映士→ミスター・ボイスの命令で、
 プレシャス「メリクリウスの器」を錬金戦団に引き渡すべく、
 第三埠頭で待ち合わせをしていたが、クエスターと遭遇し戦闘に突入。
○中村剛太、早坂桜花、早坂秋水→坂口照星からの命令で、
 プレシャス「メリクリウスの器」をサージェス財団から受け取るべく、
 待ち合わせ場所の第三埠頭に現れるが、クエスターと遭遇し戦闘に突入。
●クエスター・ガイ、クエスター・レイ→サージェス財団から錬金戦団への
 プレシャス引渡しの情報をどこからか入手し、その奪取を目論んで
 引渡し場所を襲撃する。
○ボウケンレット?、ボウケンピンク?→「轟轟戦隊ボウケンジャー」最終話で、
 明石暁と西堀さくらの二人はダイボイジャーと共に宇宙へと旅立ったはず。
 …だとすると、この二人は果たして何者か?

【今回の新規登場】
○伊能真墨=ボウケンブラック(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 ボウケンジャーの斬り込み隊長で現チーフ。トレジャーハンターとしては、
 前ボウケンレッド=明石暁にひけをとらないほどのテクニックの持ち主。
 明石には強いライバル意識を持っている。性格は野生的でヒートアップするタイプ。
 人を信じることに素直になれないナイーブな一面もあり。
○最上蒼太=ボウケンブルー(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 ボウケンジャーの情報担当で、元フリーのエージェント。
 メカに強く、パソコンを駆使しての情報収集のプロ。明るい性格で、
 常にコロンをつけて出動する洒落者でもある。ちょっとナルシストな気もあり。
 普段はよくしゃべり軟派な性格だが、任務遂行には厳しい姿勢で挑む。
○間宮菜月=ボウケンイエロー(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 ボウケンジャーの明るく元気なムードメーカー。至ってマイペースで
 我が道を行くタイプの性格で、不思議ちゃんな一面も。キュートな見かけからは
 想像できないほどの怪力の持ち主。実は十万年前に滅亡したレムリア文明の末裔で、
 本名はリリーナ。
○高丘映士=ボウケンシルバー(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 人類とは別の進化を辿った高等生物アシュを監視する高丘流の末裔で、
 自身は人間とアシュの混血。 普段はサージェスレスキューとして活動する傍ら、
 ボウケンジャー本来の任務であるプレシャス探索も手伝っている
○中村剛太(武装錬金)
 錬金戦団の戦士で、津村斗貴子の後輩。赤ん坊の頃に両親をホムンクルスに殺され、
 以後錬金戦団の養護施設で育つ。先輩である斗貴子に以前は思いを寄せていたが、
 現在は身を引く。戦輪(チャクラム)の武装錬金「モーターギア」を操る。
○早坂桜花(武装錬金)
 銀成学園生徒会長で、元L.X.E.超常選民同盟の信奉者。秋水の双子の姉。
 アーチェリーの武装錬金「エンゼル御前」による精密高速射撃を操る。
○早坂秋水(武装錬金)
 銀成学園生徒会副会長で、元L.X.E.超常選民同盟の信奉者。桜花の双子の弟。
 日本刀の武装錬金「ソードサムライX」を操る。
○エンゼル御前(武装錬金)
 早坂桜花の武装錬金「エンゼル御前」付属の自動人形(オートマトン)。
 自分の意思を持ち、言語機能をONにする事で会話も可能。 


『再会は烈風の彼方で』-1

作者・凱聖クールギン

127

***コロンビア・マグダレーナ川流域***

南米・コロンビアの熱帯雨林地帯。
鬱蒼と茂るジャングルを切り開いた平地に、
アメリカ合衆国のオイルメジャーが所有する巨大な油田が横たわっている。

地球連邦政府・安全保障理事会の筆頭常任理事国でもあるアメリカは、
貧困にあえぐ中南米の国々をカナダとの共同主権下に次々と併合し、
今では「大西洋連邦(Atlantic Ocean federation)」や
「ニューコンチネント合衆国(United States of the New Continent)」との
名称でも呼ばれる一大覇権国家となっていた。
アメリカの大企業は石油やレアメタル等、中南米の未開発資源を手にしようと競って進出し、
そこから莫大な利益を収めているが、
それを経済的侵略と受け止める現地の不満が、テロリストやマフィア、
そして更に大きな闇の組織らの活動を支える土壌ともなっていたのである。

デデモス「第4ポイント、設置完了!」
ゴブリット「第5ポイント、設置完了。…ようし、退避するぞ」

油田の各所に小型爆弾を取り付けて、二体の人型ロボットが素早くその場を去る。
長いライフル銃を持った銀と黒の体躯の一つ目――ゴブリットと、
拳銃を手にした青鬼か悪魔のような顔の二本角――デデモス。
ネロス帝国・戦闘ロボット軍団の軽闘士達である。
彼らはゴッドネロスの命令で現地の反政府組織らと結託し、
アメリカ系の企業や組織を標的とした破壊工作をこのコロンビアで遂行していた。

ゴブリット「この油田を爆破すれば、アメリカのオイルメジャーにも大打撃だ」
デデモス「ヘッヘッヘ、南米の石油が足りなくなれば、
 桐原コンツェルンの持つ株価も天井知らずだぜ」

南米にテロによる石油危機が起きれば国際社会は混乱し、
中近東に油田を所有している桐原コンツェルン=ネロス帝国にとっても
石油価格の暴騰が大きな利益を生み出す。
桐原剛造=ゴッドネロスはこのようにして、世界の経済を闇の中から意のままに操る男なのだ。

ゴブリット「ようし、爆破しろ」
デデモス「了解っ…。ムンッ!!」

???「ケケィーーッ!!」

デデモスが手元の爆破スイッチを押そうとした瞬間、
森の茂みの中から何者かが飛び出し、甲高い奇声を上げながらその起爆装置を掠め取った。
人か、獣か――。デデモスとゴブリットは驚愕しつつ、
その影が着地した大岩の方を振り向く。

ゴブリット「何者だ!?」
アマゾン「ケィーーッ! 仮面ライダー・アマゾン!!」

大トカゲのような形状の頭に、同じく爬虫類を連想させる手足や背のヒレ。
両腕に古代インカの秘宝・ギギとガガの腕輪を付けた
大自然の戦士・アマゾンライダーが、
まるで四足獣が立ち上がったかのような前屈みの姿勢で敢然とこちらを見据えていた。

128

デデモス「か、仮面ライダーだとぉ!?」
アマゾン「この国のテロリストを影で操っていたのはお前達か。
 Gショッカー、絶対に逃がさんぞ!」
ゴブリット「ええーい小癪な! 撃ち殺してやる」
アマゾン「行くぞ! ケケーィッ!」

デデモスとゴブリットはアマゾンに向けて銃を乱射するが、
敏捷性に優れるアマゾンは森林の中を激しく飛び回り、弾丸の雨をかわして行く。
強力な熱エネルギーを帯びた光弾が木に当たり、煙を噴き上げながら次々と倒れさせる。
やがて両足で大木を力強く蹴ったアマゾンが、
目にも止まらぬスピードで二体のロボットの眼前に飛び込んだ。

アマゾン「キェェェッ!!」
デデモス「ぐわぁッ!?」

勢い良くデデモスに飛びかかり、そのまま組み伏せてチョップの連打を見舞うアマゾン。
そこへ背後から銃を撃ち込もうとしたゴブリットだったが、
察知したアマゾンは驚異的に高いバック転で発射前に回避、
そのままゴブリットの背後へ着地して首を締め付けた。

アマゾン「言え! Gショッカーのアジトはどこにある!?
 地元のマフィアが隠している麻薬の在り処も、お前達は知っているはずだ」
ゴブリット「く、苦しい…。腕を緩めてくれぇ」

ライフル銃を取り落とし、戦意を失ったように喘ぐゴブリットに対し、
アマゾンは少しだけ首締めの力を弱める。
散々殴り付けられたデデモスの方も伸びていて、もはや仲間を助ける気力もなさそうだ。

アマゾン「さあ言うんだ。お前達のアジトは――うわァッ!?」

突如、茂みから放たれた二発の赤い光弾がアマゾンの背中に炸裂。
爆発と共に凄まじいダメージを受けて、アマゾンは弾け飛んだ。

クロスランダー「フハハハハ! 油断したな仮面ライダーアマゾン。
 貴様が妨害に来る事など俺は最初からお見通しだ。
 囮の二人に引っかかって、まんまと罠に嵌まるとはな」

スマートな真紅のボディに、顔と胸を覆う銀色のプロテクター。
正義のヒーローとも見紛うスタイリッシュな外見に反して、
赤い電光眼にだけは暗殺者の卑劣で陰湿な魂が宿っている。
二丁拳銃の名手、ネロス帝国一のガンマンロボット――。
戦闘ロボット軍団暴魂・クロスランダーが、
高笑いと共に茂みの奥からゆっくりと歩み出て来た。

ゴブリット「――クロスランダー様!」
クロスランダー「フン、お前達、囮の役目ご苦労だったな」
デデモス「ははっ!(ま、また囮… ○| ̄|_)」

クロスランダーの元にデデモスとゴブリットが駆け寄り、
合流した三体のガンマンロボットがそれぞれの銃をアマゾンへ向ける。

アマゾン「くっ…、不意打ちとは卑怯だぞ!」
クロスランダー「うるさい! ガンマンはどんな手を使おうが、勝てばいいのだ!」

二丁拳銃の片方、帝王ゴッドネロスから授けられた右手の必殺銃を構え、
倒れているアマゾンの顔面に狙いを定めるクロスランダー。
デデモスとゴブリットもその一歩後ろから、銃の照準をアマゾンに合わせる。
背中の銃創から白煙を上げながら、アマゾンは立ち上がろうとするが傷が痛い。

クロスランダー「仮面ライダーを討ち取れば俺の名はネロス帝国で永遠の物となる。
 今度こそ豪将を飛び越えて凱聖の座も夢じゃない。
 そして世紀王候補としてのバトルファイトへの参戦もな…。――死ね!!」

クロスランダーの指がトリガーを引こうとしたその瞬間、
どこからか飛来した一本のロープが彼の手を鞭のように叩き、
拳銃を手元から滑り落とさせた。

クロスランダー「くっ、誰だ!?」

129

森の木の葉の隙間から射し込む陽光が、銀色のマスクを眩しく輝かせる。
胸にはX字をした赤いプロテクター。手には長く伸びたライドロープ。
その姿を見て、アマゾンは思わず傷の激痛も忘れて立ち上がった。

アマゾン「X…!」
X「ライドルホイップ! ――Xライダー!!」

ライドルのロープを縮めてホイップ状に変形させ、X字に交差させて空を斬りながら、
深海開発用改造人間 “カイゾーグ”・仮面ライダーXは颯爽と名乗った。

クロスランダー「おのれ邪魔者…。殺れ!」
X「行くぞGショッカー。トゥッ!」

クロスランダーの命令で、デデモスとゴブリットがXに向けて発砲。
大ジャンプでそれをかわし、敵中へ舞い降りたXは、
ゴブリットの銃撃を至近距離から避けるとライドルホイップを振り下ろす。
咄嗟に受け止めたゴブリットのライフル銃と切り結び、そのまま押し合うと、
横から襲いかかるデデモスにも回し蹴りを浴びせて吹っ飛ばした。

アマゾン「ケェーイ!」
クロスランダー「くっ、貴様も死ね!」

Xに落とされた拳銃を拾い直してクロスランダーが激昂する。
咆哮と共に立ち上がったアマゾンの全身に、
ギギとガガの腕輪の力――古代インカの魔力が漲った。
クロスランダーの二丁拳銃の連射を側転でかわし、
大きく上へ跳躍したアマゾンは大木の頂で身構えると、そこから獲物を狩る豹のように降下。
絶叫と共に、こちらへ銃を向けるクロスランダーに渾身の手刀を叩き込んだ。

アマゾン「キェェェッ!!」
クロスランダー「グォァァッ!」

大切断!
アマゾンの必殺技が炸裂し、鋭利な腕のヒレが刃となってクロスランダーの右腕を斬断する。
握っていた拳銃ごと、クロスランダーの右腕が胴体を離れて宙を舞った。

クロスランダー「ウ……ォォォォッ!
 き、貴様…、俺の、俺様の自慢の右腕を…ッ!」

肘から下を失った右腕のメカから激しく火花を散らしつつ、クロスランダーが呻く。
Xとの格闘で叩きのめされたデデモスとゴブリットも、
ショートしたボディの数ヶ所から煙を噴き上げながらよろよろと走り寄って来た。

デデモス「ち、畜生ッ! クロスランダー様、これは形勢不利です!」
ゴブリット「ここは一旦、撤退を!」
クロスランダー「ええい、馬鹿を言うな貴様ら!」

怒りに燃えるクロスランダーは尚も左腕一本で銃を構え戦おうとするが、
二人の部下に制止されて悔しそうに地団太を踏む。

X「ネロスの戦闘ロボット軍団、お前達はこれで終わりだ!」
クロスランダー「黙れ仮面ライダーども…!
 これで終わりなのは貴様らの方だ。
 間もなく日本でネロス帝国は、いやGショッカーは大攻勢を開始する。
 その時こそが貴様らの最期よ。――喰らえっ!」

Xに向けていた銃口を突如、油田の方へ逸らして発砲するクロスランダー。
片腕を破損したとは言え、ネロス帝国が誇る高性能のガンマンロボットである。
その弾丸は恐るべき長距離を飛んでデデモス達が仕掛けていた爆弾の一つに正確に命中し、
爆発させて油田の一部を炎に包んだ。

アマゾン「しまった…!」
クロスランダー「フハハハハ! 次に会う時は貴様らがこうなるのだ! 覚悟していろ」

高笑いを森に響かせながら、クロスランダー達は密林の奥へと退散する。
アマゾンは追おうとしたが、Xに肩を掴まれ制止された。

X「待てアマゾン。あの傷じゃ奴らはしばらく動けはしない。
 それより……あの赤い戦闘ロボット、気になる事を言っていたな」
アマゾン「ああ…。Gショッカーは間もなく日本で大攻勢を開始する…!」
X「日本ではV3やライダーマン、スカイライダーが既にネロスと戦っている。
 RXからの報告ではクライシス帝国の奴らも動き出しているそうだ。
 ここは一旦、俺達も日本へ戻る必要がありそうだな」
アマゾン「そうかも知れない。
 一体、日本で何が起きようとしているんだ…」

130

***新宿・桐原コンツェルン本社***

『コロンビア 油田で爆破テロ発生』

油田の爆破炎上事件を報じる新聞を手に取って眺めながら、
桐原コンツェルン総帥・桐原剛造は冷たい薄ら笑いを浮かべていた。
火災の原因は何者かが仕掛けた爆弾によるもので、
他にも複数の爆弾が未作動のまま発見されたため警察はテロと断定したと言う。

美人秘書K「南米のテロ危機が顕在化した影響で、石油価格が上昇しています。
 動乱の煽りを受けて物価が高騰、アメリカの金融市場にも混乱が現れ始めました」
美人秘書S「ニューヨーク市場の混乱は世界中に波及しています。
 ダウ平均株価が再び4000ドルに迫りました。如何なさいますか?」
桐原「…買い占めろ。今回も、強気一本で行く」

スーツを纏った二人の女性秘書に、桐原は手にした煙草を燻らせながら言う。

秘書K「剣桃太郎首相は麻薬・覚醒剤の規制に引き続き、
 兵器の密輸取り締まりも強化しようとしています。
 民自党は明日にも、関連法案を国会に提出し審議に移る方針のようです」
桐原「剣……か。
 あの内閣総理大臣、我々の活動も陰で睨んでいるのかも知れん。
 …引き続き、南米のテロ組織とは友好的なコネクションを維持しろ。
 いかに男塾出身の傑物と言えども、我が帝国の動きを封じる事など出来はせん」

不敵に笑う桐原は新聞をデスクに置き、二人の秘書に命じた。

桐原「――私を夜の闇に包め」

秘書KとSが無言のまま頷き、社長室を暗転させる。
闇の中、若い桐原の顔は徐々に不気味な白髪の老人へと変貌し、
どこからか稲妻が走ると、その姿は帝王ゴッドネロスとなっていた。


***ネロス帝国基地・ゴーストバンク***

ゴッドネロス「余は神……全宇宙の神…。その名をゴッドネロス。
 余の帝国と軍団に、永遠の栄えあれ…!」

ゴーストバンクに集結したネロス帝国の軍団員達に、
ゴッドネロスは狂気を帯びた言葉で語りかける。
軍団員達は右手を突き上げ、ネロスの名を連呼して自らの帝王を賛美した。

ゴッドネロス「クールギンよ…。やはり、メタルダーは復活したのか」
クールギン「はっ。あのジャースを大破させたレーザーアームの力…。
 この目でしかと見ましたが、奴は間違いなく以前の、いやそれ以上の力を手にした模様」
ゴッドネロス「奴は今、どこにおる」
クールギン「元国連勤務のロボット工学者・三枝かおるという女の施設に身を寄せています。
 他にも数体の戦闘ロボットが共にいるらしく、容易に手が出せませぬ」
バルスキー「帝王、メタルダー復活の阻止に失敗した我が部下の不始末、
 真に面目御座いません。
 願わくば、どうか回収されたジャースには、
 帝王の寛大なる御慈悲をもって何とぞ再生修理のお許しを」
ゲルドリング「フン、大口叩いといてあのザマじゃ世話も焼けるっちゅうもんやなぁ」

決闘に負けて部下の出撃を阻止される形になっていたゲルドリングは悪態を吐くが、
ゴッドネロスはゆるりと首を縦に振った。

ゴッドネロス「本来ならば廃棄処分、だが…。あれもこれからの戦いには欠かせぬ奴よ。
 より強力なパワーを与え、二度と不覚を取る事のなきようにせよ」
バルスキー「ははっ、ありがたきお言葉…!」
ゴッドネロス「戦闘ロボット軍団には南米の油田を爆破せしめた功もある…。
 不埒者の妨害のために完全な破壊には至らなかったが、
 コロンビアの事件は世界の石油資本に大きな混乱を与え成功を収めた」

ゴッドネロスが指先からの光線で空間に立体映像を現出させる。
そこに映るのは火災に包まれる油田、そして騒然を極めるニューヨークの株式市場…。

クールギン「その妨害に現れた仮面ライダーXとアマゾンですが、
 仲間のライダーどもと合流するため、既に日本へ向かいつつある模様」
ゲルドリング「鬱陶しい虫ケラどもが仰山集まりよるのう。
 全員揃ってまう前に、一匹ずつ順番に潰して行ったらどないや」
ゴッドネロス「良かろう…。
 ではモンスター軍団に、来日するXとアマゾンの抹殺を命ずる。
 仲間の仮面ライダーどもと合流する前に討ち果たせ」
ゲルドリング「ハハァーッ!
 帝王、クロスランダーの腰抜けどもとは違うワシらモンスター軍団の実力、
 しっかとお見せ致しますでぇ」
バルスキー「……くっ! 我が部下への侮辱は許さんぞ!」
ゴッドネロス「バルスキー…。
 クロスランダーも修理が終わり次第、
 すぐに帰国させジャースと共に戦列に加えよ。
 機甲軍団も引き続き、メタルダーから監視の目を離すな」
ドランガー「ははっ! 承知致しました」

131

○仮面ライダーX&アマゾン→南米コロンビアでクロスランダーらと交戦し撃退。日本へ向かう。
●クロスランダー&デデモス&ゴブリット
 →南米コロンビアで仮面ライダーX・アマゾンと交戦し敗退。
  クロスランダーは大切断で右腕を破壊される。
●ゴッドネロス→モンスター軍団に仮面ライダーX・アマゾンの抹殺を指令。


【今回の新規登場】
○神敬介=仮面ライダーX(仮面ライダーX)
 父・神啓太郎博士の手で深海開発用改造人間・カイゾーグとなった5人目の仮面ライダー。
 元は沖縄の水産大学に通う学生で、空手や剣道の有段者でもある。
 後にV3によってマーキュリー回路を内蔵され更なるパワーアップを果たした。
○山本大介=仮面ライダーアマゾン(仮面ライダーアマゾン)
 長老バゴーの手でインカ帝国の秘術を用い改造された6人目の仮面ライダー。
 幼少時に飛行機事故で遭難し、南米アマゾンの密林で育った野生児でその動きは俊敏。
 両腕に嵌めたギギとガガの腕輪から超古代文明のパワーを得て戦う。
●暴魂クロスランダー(超人機メタルダー)
 ネロス帝国・戦闘ロボット軍団暴魂。
 元は爆闘士だったが南米での戦功が認められ暴魂に昇格を果たした。
 二丁拳銃を使う射撃の名手で、勝利のためにはどんな卑劣な手段も厭わない。
●軽闘士ゴブリット(超人機メタルダー)
 ネロス帝国・戦闘ロボット軍団軽闘士。
 元は強闘士だったが南米での任務失敗のため軽闘士に降格させられた。
 クロスランダーの部下で、ライフル銃を持つ単眼のガンマンロボット。
●軽闘士デデモス(超人機メタルダー)
 ネロス帝国・戦闘ロボット軍団軽闘士。
 元は強闘士だったが南米での任務失敗のため軽闘士に降格させられた。
 クロスランダーの部下で、右手に拳銃を持ち左手にアタッチメントを装備。
●美人秘書K(超人機メタルダー)
 帝王ゴッドネロスに仕える女性秘書。
 桐原コンツェルンの事務の他、ネロス帝国でも諜報活動や軍団員の懲罰を行う。
●美人秘書S(超人機メタルダー)
 帝王ゴッドネロスに仕える女性秘書。
 桐原コンツェルンの事務の他、ネロス帝国でも諜報活動や軍団員の懲罰を行う。


『冒険者VS錬金の戦士!!』-3

作者・大魔女グランディーヌ

132

***スカイキャンプ・司令室***

一条「なに! それは本当か?」
ティターンズ士官「ハッ、間違いありません」

第三埠頭付近で巨大ロボ同士による大規模な戦闘が
発生した模様だとの報告は、ティターンズ派の一条総司令が支配する
ここスカイキャンプにももたらされていた。

一条「奴らめ、とうとう尻尾を見せたな。
 これまでサージェスの動きを監視していた甲斐があったというものだ。
 直ちに部隊を率いて出動するぞ!」


***第三埠頭***

クエスターロボと死闘を繰り広げるスーパーダイボウケンであったが、
新人のレッドとピンクが訓練開始からまだ間もないためか、
どことなく動きがぎこちなく、一度倒した相手にもかかわらず
苦戦を強いられていた。

ガイ「フフフ…動きがとろいぜ!
 どうしたボウケンジャー!?」
レイ「アルティメットダイボウケンには合体しないのか?」

疾(ターボ)の操縦席から
余裕の言葉を吐くクエスター。

ピンク「くっ…!」
レッド「チーフ、アルティメットダイボウケンに合体しましょう!」
ピンク「――なっ!? 待てカズ…じゃなくてレッド!
 私たちはアルティメットダイボウケンの合体はおろか
 操縦訓練すら終えていないぞ!」
ブラック「………」

ほんの数秒ほど考え込むボウケンブラックだったが・・・

ブラック「いいだろう。ちょっとした冒険だな!
 ぶっつけ本番だが本当にやれるな!?」
レッド「はい! ありがとうございます、チーフ!」
ピンク「…ああ、こうなったら私も覚悟を決めさせてもらう!」
イエロー「ふふ…真墨、あの時の明石チーフみたいだね」

イエローは、ゴードムの大神官ガジャとの最初の戦い――
――巨神ゴードムとの巨大戦の時の事を思い出していた。

ブラック「菜月、何か言ったか?」
イエロー「いえ別に」

133

レイ「奴らめ、アルティメットダイボウケンに合体する気だな」
ガイ「フン、させるかよ!」

だが疾(ターボ)の背面に体当たりされたような衝撃が走る。

ガイ「な、何だ!?」

シルバー「この俺様を忘れてもらっちゃ困るぜ!」

サイレンビルダーが疾(ターボ)の動きを封じる中、
滑走を始めるスーパーダイボウケン。

ブラック「行くぞ! 究極轟轟合体!!」

電子音声「合体シフト、ON!!
 Dump…Formula…Gyro…Dozer…Marine…Drill…
 …Shovel…Mixer…Crane…Jet…Ultemate Formation!!


上空へとジャンプしたスーパーダイボウケンは、
ゴーゴージェットとドッキングし、アルティメットダイボウケンへと
その姿を変える!

ボウケンジャー全員「アルティメットダイボウケン、合体完了!!」

一方、地上では……

剛太「チッ…俺たちはただ見ているだけしかできないのか」
桜花「あら、そうでもないみたいよ」

桜花の視線の向こうには、何台かの軍用ジープに分乗して
こちらに向かってくる武装した兵士達の姿があった。

秋水「おそらく三輪長官か一条総司令の手の者だな。
 さすがに噂どおりの地獄耳。嗅ぎつけるのが早いな」
桜花「ボウケンジャーの皆さんが心置きなく戦えるよう、
 こちらはこちらで大掃除といきましょう」

それぞれの武装錬金を構える三人。

秋水「ティターンズの手先とはいえ相手は人間だ。
 くれぐれもほどほどにな」
剛太「ええ、分かってるッスよ!」


○ボウケンジャー→アルティメットダイボウケンに合体。
●一条総司令→ボウケンジャーとクエスターの戦闘騒ぎを聞きつけ
 部隊を率いて自ら現場に出動。 


『協力者たち、集う』

作者・シャドームーン

134 
***日本―東京―***


都内某所にある「喫茶アミーゴ&立花レーシングクラブ」
ここはコーヒーショップとオートバイ販売店が半分づつスペースを共有している、
一風変わった店である。なんでも店のオーナーが、本業の喫茶店とは別に
趣味であり、自身の“夢”でもあるバイク店経営をあきらめきれず、
それならばと盛大に改装を行って現在のような店内に落ち着いたらしい。

立花藤兵衛――そう名乗るマスターは、好感の持てる気さくな人物であった。
その人柄を慕ってか、この店には少年や少女達がよく遊びに来ているようだ。
ただ一つ不思議に思ったのは、子供達が皆口を揃えて「会長」と呼んでいること。
単に彼等の間でそう呼ばれているだけの、ニックネームかもしれないが………
この立花という人物には一介の店主とは思えないような秘密があるように感じられるのだ。
そう、“私たち”と近い、「一般人が決して知ってはならない世界」を見て来たかのように。

藤兵衛「さあどうぞ。八荒クンも一息入れてどうだね?」
舞「あ、おいしー♪ 八荒さーん!ここのコーヒーとってもおいしいわ!」

カウンターでコーヒーを飲みながら手を振る女性、仰木舞の喜ぶ顔を見て、
バイクスペースで愛車を弄っていた男、北八荒が心底嬉しそうに飛んで来た。

八荒「でしょでしょ~!? そりゃあもう、オヤっさんの淹れてくれるコーヒーは
 最高なんだから!いや~舞ちゃんがそんなに喜んでくれて俺も嬉しー! 」
藤兵衛「他ならぬ八荒クンの彼女に失礼があっちゃあいかんからな。
 若い二人の未来に乾杯して、ワシからもう一杯サービスだ」
舞「わあ、ありがとうマスター! あ…でも私達、そんな間柄じゃありませんから♪」
八荒「そ、そんなあ~…トホホ」
藤兵衛「ハハハハ、いいねえ若いってのは!」

屈託無く笑いながら、マスターはカウンター越しに向かいのバイクスペースの壁に
飾ってある、写真の入ったパネルを眺めていた―――――
その写真には、本郷猛と滝和也がモトクロスレースで優勝と準優勝を飾った時の
ワンシーンが写っている。傍らでライダーガールズと共に祝杯のシャンパンを浴びて
はにかんでいる、立花藤兵衛もそこにいた。

藤兵衛「…………」
舞「…ね、八荒さん?」
八荒「ん? どうしたの」

舞が小声で八荒に耳打ちする。

舞「あのマスターの風格、きっと只者じゃないわ…時々覗く…なんていうか
 どこか寂しそうな表情、八荒さんは何も感じない?」
八荒「オヤっさんが? まさかぁ~…う~んでも言われてみれば何となく…」
舞「…流星さんと別れた時の、私達に似てると思わないかしら」
八荒「!……流星」

メタルダーが命賭けでネロス帝国を滅ぼしたあの日以来、舞と八荒の二人は
心に大きな喪失感を背負ったままそれぞれの日常に戻っていた。
「僕は…いつか必ず蘇る!」二人にそう言い残し、何処かへ去って行ったかけがえの無い“友人”…
その言葉だけを信じ、舞と八荒は定期的に連絡を取り合いながら、メタルダーの行方を案じていた。

135

舞「八荒さん、私…流星さん…メタルダーにもう一度会えるような気がするの」
八荒「舞ちゃん…。でも、メタルダーはもう…」
舞「ううん、流星さんは言ったわ。いつかきっと蘇るって…

 それがこの頃、とっても強く感じられるの。
 まるですぐにでも、スプリンガーと一緒に元気な流星さんが帰って来るんじゃないかって…」
八荒「…分かった。俺も舞ちゃんの予感を信じるぜ!

 へへっ…流星の奴、早く現れろってんだー!」
藤兵衛「ん、流れ星がどうかしたのかね?」

気がつけば、ぐぐぐ、と拳を握りしめて高らかにシャウトしている八荒であった。

八荒「ほへ!? あ~…いやスンマセン、突然大声出しちゃって…アハハ」
舞「ふふっ、八荒さんたら…。ごめんねマスター、

 ちょっといなくなっちゃった御友達のこと思い出してて」
藤兵衛「いやいや構わんよ。いなくなった友人か…

 ふふふ、思い出すなぁ…ワシにもいたよ」
舞「あの、もしかしたら…あそこのパネルに写ってる人達のことですか?」

藤兵衛「ああ…あいつらもそうだし、他にも色んな奴がおったよ。

 今頃は何処でどうしているのやら…」
八荒「あそこに写ってるの、元オートレーサーの本郷選手と滝選手ですよね!?
 俺がまだ暴走族のヘッドやってた頃、憧れの人達だったんだよなあ~~!」
藤兵衛「ほぉ~そりゃ初耳だな!

 あの頃、ワシの周りには本当に心を許せる人達が集まっていた。
 グランプリ王者をこの手で育てるのが夢でなぁ。ワシを含めて、みんな若かったよ…ふふふ」
八荒「なんの、オヤっさんは今でも充分若いじゃないですか! 俺も何度か世話になってるし…
 そういや本郷さんも滝さんも、いつの頃からかレースで姿を見なくなりましたけど、

 引退したんですか?」
藤兵衛「さぁなぁ…せわしいあいつらの居場所など、分からんよ――…」

茂「フーン、いなくなった連中ね…俺も一応、含まれてるのかい? だったらここにいるぜ」

店の扉をガチャリ、と開けて若い男が一人入って来た。
紺色のデニムジャケットにデニムジーンズという服装で、腕と足には薔薇の刺繍が入っている。
下に着ているシャツには何かのイニシャルか、「S」のマークが大きくプリントされていた。

藤兵衛「! お前…茂!!」
茂「よっ。オヤっさん、帰ったぜ!!」

…ゴイィ~ンンン… 開口一番、城茂のドタマに藤兵衛のゲンコツが炸裂した。

茂「つぅ…っ!」
藤兵衛「バッカモンが―!!お前らと来たら便りの一つもよこさないで…コノヤロウ!!
 今はいんたーねっとやらめーるやら便利なモンがあるんだから、

 どっからでも連絡できるじゃろーが!」
茂「ンなこと言ったってよ~…ここにはPCも無いし、オヤっさん携帯も持ってねぇじゃねえか!」
藤兵衛「あっ…そーだったか、そりゃスマン!」

高らかに笑いながら、藤兵衛は城茂の背中をポンポン、と叩き、目には少し涙を浮かべていた。

藤兵衛「よく帰って来た…!」
茂「へへっ…心配かけてすまねぇ、オヤっさん」

再会を喜び合う藤兵衛と城茂を見つめ、仰木舞は微笑む剣流星の姿を重ねていた――

舞「(…流星さん…貴方も早く帰って来て…)」
八荒「あーーーーーーーーー!!」
舞「きゃっ…八荒さん!?」

136

感傷にふける舞をよそに、八荒が突然声を張り上げて城茂を指差した。

茂「ん…俺の顔に何か付いてるか?」
八荒「茂さんじゃないっスかー! 俺です、北八荒です、お久しぶりです!!」
舞「え…八荒さん、お知り合いなの?」
藤兵衛「なんだ茂、八荒クンを知っとったのか?」
茂「ん~ちょっと待ってくれ。えーーと… … … …すまねぇ、誰だっけ??」

八荒「でぇっ!? 茂さん、そりゃないっスよ~。ほら、族時代にお世話になった…」
茂「北八荒ねぇ……おー! お前、あんときの小僧か!?」
八荒「そうです!あの北八荒です!あれから足洗ってレーサーの端くれやってます!」
茂「なっつかしいな~他の奴らはどうしてる?」
八荒「徹也も卓治も徹も、マスターも、リサも、美樹も皆今じゃ真面目に働いてますよ。
 好き勝手に暴れ回ってた頃、たまたま道で会った茂さんに因縁ふっかけて…」
茂「そうそう、それで反対に俺がボコボコにしてやったんだよな」
八荒「茂さん強かったなぁ~~俺達全員、あべこべに説教されましたよね…今では感謝してます」
茂「フッ…そうか、お前も見違えたな。ちったぁ、男の顔になったじゃねえか!」
八荒「本当ですか!? うう、嬉しいっス! 茂さんはあの頃と全然変わってないんですね!」

茂「……。ま、俺は永遠に“兄貴”だからな!」
藤兵衛「(…茂…)」

八荒「ええ、茂さんはいつまでも俺らの兄貴ですよ!!」
舞「男同士で盛り上がってるとこ悪いケド、八荒さん。私にも素敵な兄貴さんを紹介してくれない?」
八荒「わっと!ごめんよう舞ちゃん…え~こちら、俺と仲間が昔世話になった城茂さん。
 でもってこちらの彼女が、俺の恋…もとい友達の仰木舞さんです!」
舞「初めまして!仰木舞です。カメラマンをやってま~す。よろしくお願いします!」
茂「城茂だ、よろしく。ん…おっと」

舞が握手を求めて差し出した手を握ろうとしたが、何故か茂は手を引っ込めてしまう。

舞「…? あの、何か御気に障りました?」
茂「いや…そうじゃないんだ。すまないな…握手ってのはグローブを取ってするもんだが、
 俺はちょいとワケありでな…素手であんたと握手はできないのさ」
八荒「茂さん、もしかして手を怪我してるとか?」
茂「んーーー…そういうワケじゃないんだが、俺の握手は普通の人間には熱過ぎてな。
 素手で握ったりしたら、お嬢さんの綺麗な手が黒コゲになっちまう…」
八荒「えっ…それってどういう…―――」
茂「こういうことさ!」

城茂は両手を覆う黒いグローブを取って見せた。そこに現れたのは―――
銀色に輝くコイル状のものに覆われた、金属の手首である。

八荒「うわっ!? し…茂さん、その手は一体…」
茂「…フッ…そっちのお嬢さんはあんまり驚いてねぇみたいだな」
舞「私はもうそれくらいじゃ驚いたりしませんっっ! 
 …あ、ごめんなさい…何も事情を知らないのに…。」
茂「いいさ。それよりついでにもっと詳しく自己紹介しとくとするか!
 俺は城茂、バリバリの改造人間・仮面ライダーストロンガーだ!!」
八荒「か、仮面ライダー!!? …茂さんが…!?」
舞「改造人間…人類の味方、仮面ライダー…! 城さん、貴方が…」

藤兵衛「…っとにバカが!そんな大っぴらにバラさんでも…」
茂「かまわねぇさオヤっさん。風見さんから聞いた話だと、この二人は俺達の
 仲間の知り合いらしい。実は今日ここへ来たのは、オヤっさんに会うためと…
 あんた方に会うためでもあるんだ」
舞「城さん…貴方はもしかして…」
茂「ご明察! 調べてもらったら、なんとオヤっさんの店の常連だって言うじゃねぇか。
 こいつも何かの縁だろうな…安心しな、剣流星、彼は無事に復活してるぜ」

八荒&舞「――流星(さん)がっ!!?」

剣流星――超人機メタルダーが別れの時の言葉通り、蘇った!!
それは、二人が一日千秋の想いで待ち望んでいた吉報であった。
城茂・立花藤兵衛・仰木舞・北八荒の4人は、お互いのこれまでの経緯を話し合い、
店内の時計の針が過ぎていく――――。

137

○北八荒→藤兵衛の店で城茂からメタルダー復活の報せを聞き喜ぶ。
○仰木舞→藤兵衛の店で城茂からメタルダー復活の報せを聞き喜ぶ。
○立花藤兵衛→城茂と再会
○城茂→藤兵衛と再会、メタルダーの無事を舞と八荒に伝える。

【今回の新規登場】
○北八荒(超人機メタルダー)
元暴走族のリーダーで、世界トップを目指すグランプリ・ライダー。
オートバイ雑誌の取材で仰木舞と知り合い、惚れてしまうが片想い中。
剣流星が超人機と知り、以後協力してネロス帝国に立ち向かうが力不足。
自称、“ネロスハンター”。ジャック電撃応援団という昔のバイク仲間がいる。

○仰木舞(超人機メタルダー)
写真雑誌「週刊アップ」等の仕事をしている女性カメラマン。
超人機・剣流星にとって最初に出会った人間の友達である。
流星の正体を知り、共にネロス帝国に立ち向かうべく様々な面で協力した。

○立花藤兵衛(仮面ライダーシリーズ)
スナック「アミーゴ」、立花レーシングクラブ、スポーツグッズ店、喫茶COLなど
様々な職業の顔を持つ仮面ライダーたちの育ての親にして良き協力者。
少年仮面ライダー隊の会長も兼任している。デルザー軍団壊滅を見届けた
後は表立つ活動はしていないが、ライダー達とは今でも交流がある様子。
幅広い人脈と気さくな人柄で多くの子供達や女性に慕われている。

○城茂=仮面ライダーストロンガー(仮面ライダーストロンガー)
天涯孤独な青年、城茂が悪の組織ブラックサタンに殺された親友の仇を討つ
ために自ら志願して改造手術を受けた7人目のライダー。
カブト虫の強力な力と発電装置を内蔵した改造電気人間であり、後に超電子ダイナモを
内蔵され、改造超電子人間にパワーアップ、チャージアップが可能となる。
元々放浪癖があるためか、他のライダーと比べて一つところには留まらず、常に世界中を
旅しているため最も情報通な存在。行く先々で他のライダーと連絡を取り合い、また一番
定期的に日本へ帰って来ては立花藤兵衛とも会っていたらしい。
その心の奥には、デルザーとの戦いで命を落とした電波人間タックル=岬ユリ子への想いが
今も眠っている…


『冒険者VS錬金の戦士』-4

作者・大魔女グランディーヌ

138

湾岸に出たサイレンビルダーが海上から援護攻撃する中、
壮烈な空中戦を繰り広げるアルティメットダイボウケンとクエスターロボ。

一方、地上では早坂姉弟と中村剛太の3人が、
プレシャス横取りを狙い押しかけて来た
一条総司令率いる連邦軍部隊を力ずくで押し留めていた。
すでに銃火器で武装した部隊の半数以上の兵士達は
ボコボコにされて横に倒れてのびている。

一条「何だお前たちは?」
桜花「ここから先に通す訳にはいかなくてよ!」
一条「貴様らもサージェスの回し者か。
 大人しくプレシャスを渡した方が身のためだぞ」
剛太「アンタたち軍人だろ!
 目の前のクエスターロボはほっといていいのかよ?」
一条「フン、あれはサージェスとネガティブの
 私闘に過ぎん。いちいち地球連邦軍の関知するところではないわ!
 もし周囲に被害が出たとしても、それは奴らの責任だ」
秋水「なんて奴らだ…!?」

軍用ジープの上から堂々と臆面もなく言い放つ一条に、
怒りを通り越して半ば呆れる早坂姉弟と剛太。

一条「お前たち、何をボーッとしている!
 早く奴らからプレシャスを没収せんか!」
兵士「し、しかし総司令、あいつらは妙な武器を使います!」
一条「構わん。発砲を許可する」
兵士「そんな…まだ高校生くらいの子供を相手に…」
一条「これは命令だ! 撃て! 撃ち殺せ!!」

剛太「くっ…どうしてもやるってのか!」

――が、その時。
電光石火の如き素早さで横から割って入り、
桜花の持つジェラルミンケースを奪う謎の人影が!?

桜花「――!? しまった!!」
秋水「何者だ!?」

139

アマゾンキラー「………」

いきなり現れケースを奪った人影――その女は、
中世のアマゾネスを思わせるような軽武装の鎧に身を固めていた。

一条「…き、貴様、何者だ!?
 見るからに異星人! さてはGショッカーの手の者か!?」
アマゾンキラー「フッ…だったら何です?」
一条「ますば貴様から血祭りだ!
 一斉射撃だ! あの女を蜂の巣にしろ!」

兵士達の放つ銃弾がアマゾンキラーに襲い掛かるが、
無論、そんなものが彼女に効くはずもない。
銃弾を軽くあしらうと、稲妻を放って一条たちを攻撃する。

一条「ぐわあああっっ!!」
アマゾンキラー「フン、そこでしばらく痺れていなさい!」
秋水「何者だ!?」

アマゾンキラー「はじめまして錬金の戦士の皆さん。 

 我が名は銀河無宿、アマゾンキラー!! 

 Gショッカー闇女王同盟の重鎮ヘドリアン女王様の お側近くにお仕えするものです」

剛太「Gショッカーだと!?」

桜花「闇女王同盟…?」


すかさず先程奪ったケースを開けて
中身を確認するアマゾンキラー。

桜花「あっ、それは!?」
アマゾンキラー「――むっ、これは!!」

アマゾンキラーはケースから壷を取り出した途端、
一目見るや、いきなり壷を足元に叩き割った。

秋水「何をする!?」
アマゾンキラー「これは偽物です!」
剛太「なんだって!!」
アマゾンキラー「かつて宇宙海賊として宇宙の星々を渡り歩き、
 ありとあらゆる財宝を奪ってきたこの私が言うのだから
 間違いありません。これはプレシャスなどではありません!」

???「――その通りだ!!」

今度は突然男の声がした。
見上げると、すぐ横の倉庫の屋根の上から
こちらを見下ろす凶暴そうな面構えの若い男の姿が…。
その男は口元で煙草を燻らしていた。

剛太「火渡戦士長!?」
火渡「よぉ~お前ら、任務ご苦労!」

目線を合わせる火渡とアマゾンキラー。

アマゾンキラー「そうか、そういう事でしたか。
 この取引自体が囮だったのですね!」
剛太「何だって!?」
火渡「御名答だ、そこの妙なカッコの姐ちゃん」

火渡に詰め寄る早坂姉弟。

桜花「どういうこと?」
秋水「説明してもらいたいな」
火渡「ケッ、説明も何も、お前たちは文字通りの囮だ。
 今頃は別の場所で本物のプレシャスの引渡しが行なわれている
 事だろうぜ!」
剛太「そりゃないすよ、戦士長」
火渡「悪く思うな。"敵を欺くにはまず味方から"って
 昔からよく言うだろうが!」

140

アマゾンキラー「どうやら今回は我々がしてやられたようですね。
 クエスター、退きなさい! もうプレシャスはここにはありません!」

空中で戦闘中のクエスターロボに向かって叫ぶアマゾンキラー。

ガイ「何だと!?」
レイ「チッ、俺のリサーチに不備があったというのか!!」
ガイ「ならもうここに用はねえ!
 命拾いしたなボウケンジャー!!」

急速に戦場から離脱していくクエスターロボ。

ピンク「待て! このまま逃がすと思うのか!?」
ブラック「深追いはするな。俺たちの第一の任務は戦闘じゃない」
ピンク「…くっ、わかった」
ブルー「しかしやられたね」
レッド「まさかせっかくの初任務が、まさか囮だったなんて…」

がっくりと肩を落とす新人レッド。

ブルー「まあ気を落とすなよ。組織ってのは
 どこも現場の下っ端には肝心な情報は何も教えないもんさ」
ピンク「私たちが入る以前にもこんな事があったのか?」
イエロー「まあね…」
ピンク「…そうか。あなたたちも苦労しているのだな」

何か深く考え込んでいるブラック。

イエロー「どうしたの、真墨?」
ブラック「どうも気になることがある。
 クエスターの奴らはカースを使っていた。
 …という事はもしかすると」

一方、地上では…。

アマゾンキラー「フン……。
 いずれ縁があればまたどこかでお会いしましょう」

クエスターの撤退を確認すると、
アマゾンキラーもテレポートで去っていった。

火渡「あの姐ちゃん…なかなかできるようだな」

141

一条「くっ…貴様ら何をしている!
 早くこの私を保護せんか!」

アマゾンキラーの電撃光線を浴びて、
先程から倒れたまま身体が痺れて動けないままの一条総司令。

火渡「あー? いったいどの口が言ってんだ!?」

一条の腹部に容赦ない蹴りを食らわす火渡。

一条「――げほっ!!」

火渡「さあ、こんな奴らはほっといて、とっとと帰るぞてめーら」
秋水「このまま奴らを放置して大丈夫なのか?」
火渡「時間が経てばそのうち動けるようになんだろ」

一条「くっ……おのれ、この屈辱、決して忘れんぞ!!」


***銀成市・銀成高校寄宿舎前***

牧野「ではこれがメリクリウスの器です」

牧野の指示でサージェスの係員達が、
鋼鉄製の箱の中に何重にも厳重に保管された
本物のメリクリウスの器を、ここの寄宿舎の管理人風の男に引き渡す。

防人「確かに」
牧野「それにしても真墨君たちには
 また悪い事をしてしまいました…」
防人「プレシャスを悪意を持つ者たちに渡さないためです。
 きっと彼らもわかってくれるでしょう」
牧野「では、我々はこれにて」
防人「どうもご苦労様でした」

サージェスのトラックが学校から引き上げて行くのと入れ違いに、
寄宿舎に二人の生徒が戻ってきた。

カズキ「ただいまブラボー」
防人「おう、おかえり。どうだった二人とも、
 バイトの初日は?」
カズキ「いろいろあったけど楽しかったよ。
 現場の先輩達もいい人ばかりでさ」
斗貴子「戦士長には今のバイトを紹介してもらって感謝しています。
 これで当面は学費と生活費の心配は要りません」
防人「なあ、斗貴子。前にも話したが、
 たとえ戦士を引退したとしても、お前が成人するまでは
 戦団からは奨学金が支給される。別に無理にバイトなどしなくても…」
斗貴子「戦団にばかり甘える訳にもいきません。
 カズキ、キミも無理に私に付き合わなくてもいいんだぞ」
カズキ「何言ってるの斗貴子さん!
 そんなこと気にする事全然ないってば。 

 ちょうどオレも何か適当なバイトがないか探してたトコだし」
斗貴子「いや、しかし…」
カズキ「ところでブラボー、さっきから気になってたんだけど、
 それなあに?」

強引に斗貴子の言葉を遮り、カズキが指差した先には、
大きな鋼鉄製のケースが…。

防人「――うっ!? こ、これはだな…
 …なんでもない。気にするな」
カズキ「ふ~ん……??」

142

***無幻城・闇女王同盟後宮***

ガジャ「クエスターの奴らは結局しくじったようだな。
 だから言ったではないか。奴らなど当てには出来ぬとな」
アマゾンキラー「おや、私の記憶ではガジャ殿は
 ご自分の創造したクエスターの事を随分と自慢していたと思いましたが?」
ガジャ「勘違いするでない。私が言ったのは
 クエスターの奴らに埋め込まれている我がゴードムエンジンの凄さなのだ」
アマゾンキラー「フン、それもどうだか…」

疑いの眼差しを向けつつ鼻で笑うアマゾンキラーだが、
ガジャは構わず話を続ける。

ガジャ「聞けば女王陛下は本来は壷のような骨董品なんぞではなく、
 宝石や金銀のような光る財宝の方がお好みとか。今度はこの
 大神官ガジャ自らが女王のために一肌脱ごうではないか」
アマゾンキラー「まあ期待しないで待っていましょう」
ガジャ「……(フン、闇女王同盟で絶大な権勢を振るうという
 ヘドリアン女王とその一派。我がゴードムが闇の頂点に立つために
 せいぜい利用させてもらおう)」

143

○火渡赤馬→実は今回の引渡しは敵の目を欺く囮の取引であったと
 早坂姉弟と中村剛太の前に告げに現れる。
○ボウケンブラック→クエスターがカースを使っていた事から、
 ゴードムの大神官ガジャの復活を予見。
○牧野森男→本物のメリクリウスの器を、銀成高校で防人衛に引き渡す。
○防人衛→銀成高校で牧野からメリクリウスの器を引き取る。
 武藤カズキと津村斗貴子の二人に、何かのバイトを紹介していた?
●一条総司令→プレシャス横取りに失敗。アマゾンキラーの電撃を浴び、
 部下の兵士達と共に身体が痺れたまま現場に放置される。
●アマゾンキラー→クエスターの加勢に駆けつけるが、
 今回のボウケンジャーと錬金戦団の接触を囮の取引と見破り撤退。
 ガジャの事はクエスターと同様にあまり信用していない様子。
●クエスターガイ、クエスターレイ→戦闘の決着がつかぬまま撤退。
●大神官ガジャ→封印の眠りから再び復活していた。
 ヘドリアン女王一派に取り入り、何事かを企んでいる。

【今回の新規登場】
○火渡赤馬(武装錬金)
 錬金戦団の戦士長。性格・性質に難があり。火を操り、
 錬金戦団最強の攻撃力を持つと称されている。ヘビースモーカー。
 言動も凶暴で荒々しく、時には悪人のように非道な手段を選ぶ事もいとわない
 現在は銀成学園で英語教師を務める。武器は焼夷弾「ブレイズオブグローリー」。
○防人衛=キャプテンブラボー(武装錬金)
 錬金戦団の戦士長であり、表向きは銀成学園寄宿舎の管理人。
 武器は防護服「シルバースキン」。
○武藤カズキ(武装錬金)
 銀成学園高校2年B組。かなりの熱血漢・正義漢だが
 やや天然ボケ気味の少年。ホムンクルスによって重傷を負わされ
 一度命を落としたが、津村斗貴子によって心臓の代わりに
 核金を移植され、錬金の戦士となった。武器は突撃槍「サンライトハート」。
○津村斗貴子(武装錬金)
 銀成学園高校で武藤カズキと同じクラスに通う女子高生で錬金の戦士。
 過去にホムンクルスに襲撃され壊滅した瀬戸内海の島・赤銅島の
 小学校の生き残り。戦闘時の口癖は「臓物(ハラワタ)をブチ撒けろ!」。
 武器は処刑鎌「バルキリースカート」。
●大神官ガジャ(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 4万年前に存在した超古代科学文明・ゴードム文明の大神官。
 巨神ゴードムとともに封印から目覚めてからは、ゴードム文明を再興させるために
 プレシャスを利用しようと暗躍。不気味な呪文を唱えて、石くれからカースを生みだしたり、
 敵を石で縛ったり、人間を催眠術で操ったりと、いろいろな呪術を使うことが可能。 


『メタルウルフ再び! I am presidents of the USA!!』

作者・大魔女グランディーヌ

144

***米国・ワシントンDC・ホワイトハウス***

アメリカ合衆国最高権力の象徴――大統領官邸「ホワイトハウス」である。
その大統領執務室では、ここ最近、特に米国の権益を標的にした
南米諸国におけるテロの続発について、大統領以下関係閣僚や
スタッフが集まり対応策を協議していた。

グラント「対応策など最初から決まっている! 直ちに出兵して
 南米に点在するテロ組織の拠点を全て軍事制圧する。簡単な事だ」
ジョディ「南米諸国の主権を無視してまで…ですか?」
グラント「フッ…何を今更。貧乏な南米各国など、
 もはや独立国の体裁をなしていない、我がアメリカの保護国に等しい。
 それにこれは対テロ戦争だ。手段など選んではおれんよ。
 お解りかね、ミス・クロフォード?」
ジョディ「………」

タカ派で知られるグラント国防長官は、
ジョディ・クロフォード補佐官の制止する意見を退け、
大統領に直接談判する。

グラント「すでにご存知の通り、我が国の金融市場にも
 よからぬ影響が出始めています。閣下、速やかにご決断を」
マイケル「………」

マイケル・ウィルソン。第47代アメリカ合衆国大統領。
以前は軍人で、世界各地の紛争で活躍し、メダルオブオナーを授与されたほどの
国民的英雄である。

マイケル「ミスターグラント、あまり力ずくで
 有無を言わさずに相手をねじ伏せるのは
 僕の好みのやり方じゃないね」
グラント「まさかテロリストに屈するとでも?」
マイケル「そうじゃない。むやみやたらに紛争を拡大して、
 罪もない民衆に戦火が及ぶような事があってはならないと
 言っているんだ」
グラント「しかし貴方が常日頃から大事にしろと仰っている
 我がアメリカの自由と民主主義が脅かされているのですぞ」

しばし考え込んでから答えるマイケル。

マイケル「一日だけ時間をくれないか、国防長官」
グラント「…一日? いいでしょう。
 たった一日で解決するのでしたら喜んで」

無表情のまま退席して廊下へと出て行くグラント。
しかしその瞳は明らかに相手を小馬鹿にしたように笑っていた。
「たった一日で解決できるものならやってみろ」とでも言わんばかりに…。

ジョディ「どうなさるおつもりですか、大統領?」
マイケル「ジョディ、すまないが海軍に繋いでくれ。
 ちょっと出かけてくる。なに、今夜の内には帰ってくる」
ジョディ「承知しましたわ」

145

その日の夜……。

***太平洋上・コロンビア近海***

最新鋭の特殊機動重装甲(パワードスーツ)を身にまとった人物が一人、
駆逐艦の艦上で、米海軍第7艦隊の司令長官ジャック・レディング提督――
――通称、Jからの見送りを受ける。
そのメタルウルフと呼ばれるパワードスーツに身を包んだこの人物こそ、
他ならぬアメリカ合衆国大統領その人であった!!

メタルウルフ「わざわざホノルルから来てもらって
 すまなかったね」

 

 重厚な装甲服の奥から装着者の声が、電子音声のようになって聞こえる。


J「いいえ閣下、我が合衆国海軍第7艦隊は
 いつでもどこへでも出撃可能な体制を整えております。
 今後も何なりとご命令ください」
メタルウルフ「心強いな。では提督、ちょっくら出かけてくる。
 30分くらいで戻るので、このままこの海上で待機していてくれ」
J「了解しました。ご武運を」


***コロンビア国内・ジャングル奥地***

ここは南米でテロ組織としては最大規模の勢力を誇る
某革命軍の本拠地である。
夜陰に紛れて突然辺り一帯を爆音と衝撃が襲う!

テロリストA「何だ! いったい何の騒ぎだ!!」
テロリストB「むっ、誰だ貴様は!?」

最新式の銃火器で武装した凶悪なテロリストたちの前に
敢然と立ちはだかるメタルウルフ。

メタルウルフ「――さあ、楽しいパーティーの始まりだっっ!!」

146

翌朝……。

***新宿・桐原コンツェルン本社***

桐原「――な、何だこれはああっ!?」

朝早く本社の総裁室にて、桐原コンツェルン総帥・桐原剛造は、
手に取った朝刊の一面を見て我が目を疑った。その記事の内容は、
南米に巣食う数多くテロ組織が昨夜一晩の内に謎の壊滅を遂げたというものだった。
勿論、壊滅したというのは、全てネロス帝国と繋がりのある組織もその大半に含まれていたのである。


***ワシントンDC・ホワイトハウス・地下秘密格納庫***


 一方、こちらは日本とはおよそ10時間の時差がある

アメリカの首都ワシントンDCにあるホワイトハウス。

その敷地内の庭にある現大統領の父、ウィルソン元大統領の銅像の真下には、

大統領専用機エアフォース・ワンの秘密滑走路や各種メカニック修理ドックなどの極秘設備が存在していた。


ジョディ「昨夜はご苦労様でした。大統領。
 朝のニュース以降、金融市場も安定に向かっています」
マイケル「これで南米各国の民衆の反米感情も
 刺激せずに済むだろう」
ジョディ「ですが大統領。言うまでもないでしょうけど、
 これで万事解決するほどテロリストたちは甘い相手ではありません。
 問題の根源である貧困を解消しない限り、第2、第3のテロ組織が
 再び現れますよ」
マイケル「わかっているさ…」

 

 目の前の脱ぎ捨てた自らのパワードスーツについた

数々の銃弾の傷跡をまじまじと見つめる大統領。 

 

マイケル「テロリストたちが使っていた武器は、これまでの旧型の武器とは 

 全く違っていた。おそらく背後にいるのはGショッカー」

ジョディ「CIAの報告や日本の内調からの情報どおりなら、 

 それを直接担っていたのは桐原コンツェルン――いえ、 

 ネロス帝国と呼ばれるGショッカー系の暗黒組織ですね」

マイケル「だが我々アメリカ人と第三世界の人々が
 真の意味で手を取り合い、テロを根絶する日が必ず来る。
 私は必ずそれを実現してみせる。
 なぜなら!私は!アメリカ合衆国大統領だからだ!!!」

147

○マイケル・ウィルソン→国防長官の強攻策を退け、
 その日の夜陰に紛れて南米に赴き、南米の民衆を一切巻き込んで 

 傷つけることなく、単身テロ組織を壊滅させる。
○J→自ら率いる第七艦隊を出撃させ、夜陰に乗じて メタルウルフ(マイケル)をコロンビア近海まで送り届ける。


【今回の新規登場】
○マイケル・ウィルソン(METAL WOLF CHAOS)
 第47代アメリカ合衆国大統領。以前は軍人で、世界各地の紛争で活躍し、
 メダルオブオナーを授与されたほどの国民的英雄。その功績を受けて、
 大統領になった。大学時代と軍時代は、副大統領と同期で友人関係にあった。
 副大統領の起こしたクーデターに対して、最新鋭の特殊機動重装甲を身にまとい、
 たった一人で敢然と立ち向かった。ことあるごとに「なぜなら私は
 アメリカ合衆国大統領だからだ!」を連発する口癖あり。
○ジョディ・クロフォード(METAL WOLF CHAOS)
 アメリカ合衆国大統領秘書官。ペンシルバニア大学政治学部を首席で卒業し、 若くして大統領秘書官になった才女。 クーデターが起きた際は、皆が混乱している中、 自ら大統領のオペレータ役を志願した。
○ジャック"J"レディング提督(魁!! 男塾/天より高く)
 米海軍第7艦隊司令長官。米海軍アナポリス海軍兵学校の出身で、元男塾留学生。
 最強のボクサーとして名高いキング・バトラーの息子であり、父を誇りとして ジュニアのJを通り名としている。
●ミスター・グラント(BLOOD+)
 現職のアメリカ合衆国国防長官。サンクフレシュ製薬を介して、
 ゴールドスミス・ホールディングスと黒い繋がりがある。


『警視庁副総監、襲撃さる!』

作者・大魔女グランディーヌ

148

***東京・首相官邸***

日米直通のホットラインを通じて誰かと会話をしている日本国首相・剣桃太郎。
もちろん電話のお相手は、ホワイトハウスの主である。

桃太郎「ニュースは見たぞマイコゥ。なかなかの活躍だったみたいだな」
電話の声(マイケル)「ハハハ、いやいや、これもネロスの動きについて
 日本から詳細な情報提供があったおかげだ。感謝してるよ、桃」
桃太郎「だがこれで南米の情勢も完全に一件落着とは、おそらくいかんだろう。
 それに米国内のロゴス派の動きもある。くれぐれも用心してくれ」
電話の声(マイケル)「そちらこそな。ティターンズの勢いもあり、
 ダカールの連邦政府首脳部ともほとんど連絡が取れない今、
 安保理のメンバー国でもある日本とアメリカがしっかりしなければ
 世界は地球至上主義を掲げる老人達の手に落ちてしまう」
桃太郎「ではJにもよろしく伝えておいてくれ」
電話の声(マイケル)「Good luck!!(幸運を)」

電話による首脳会談が終わったところで、
秘書官が首相執務室に報告に入る。

秘書官「総理、地球連邦軍極東支部の三輪長官がお見えになりました」
桃太郎「お通ししてくれ」

受話器を置いた桃太郎は三輪長官を出迎えた。

秘書官「どうぞこちらへ」
三輪「うむ、失礼する」
桃太郎「お忙しいところをお呼び立てして申し訳ありません、三輪長官。
 どうぞお掛けください」
三輪「で、私に話とは?」
桃太郎「率直に申し上げます。地球教の噂について何かご存知ですか?」
三輪「地球教………さーて、なんのことやら。
 一体、何ですかな、それは?」
桃太郎「地球教とは国際的なカルト宗教団体です。奴等はこの日本の支配を目指して、
 信者獲得のために違法スレスレの布教活動を展開しています。そしてその日本支部の
 関係者が、わが国の政府や警察内部にもいるという情報があるのです。
 それが誰と誰なのかまではわかりませんが」
三輪「ほぅ……しかしそれと私と何の関係が?」
桃太郎「あなたは軍部では地獄耳とも言われるお方だ。その情報網を使って
 その真偽を調査してほしいのです」
三輪「なるほど、そういうことですか。国家に仕える公僕たる者が
 インチキ宗教に手を出すとは信じられん話だが……わかりました。
 総理直々の頼みとあらば全力で調べてみましょう」
桃太郎「よろしくお願いします」

三輪長官は、ふとデスクの上の色紙へと目を見やった。

三輪「総理、この色紙は見事な達筆ですなあ!」
桃太郎「フッ、野暮用が多くて困っています」

 

 どうやら後援会あたりから一筆頼まれていたものらしい。


三輪「総理、その代わりと言っては何ですが、
 私にも一筆お願いできませんかな?
 今日これから伊豆の方で閲兵式がありましてな。
 そこで部下たちに見せてやろうと思いまして」
桃太郎「お易い御用です。こんな悪筆でよければ」

三輪に乞われて、毛筆で色紙に何やら書き始める桃太郎。

三輪「しかし羨ましい限りですな。その若さで日本のトップに登り詰め、
 世論調査による支持率は歴代内閣最高ときている」
桃太郎「お待たせしました」
三輪「これはお手数をかけまして」

渡された色紙には、―沐猴にして冠す― と書かれてあった。

三輪「いやー、これは素晴らしい。これでワシも鼻が高いというものです。ワハハハハ!!
 (それにしても“沐猴にして冠す”とはどういう意味なのだ……???)」

149

***地球連邦軍極東支部・伊豆基地***

伊豆基地へと戻った三輪長官は、閲兵式での訓示を済ませた後、
基地を訪問した白河尚純と面会した。 

 

トリヤマ「長官、肩をお揉み致しましょう」(・∀・)ニヤニヤ

マル「長官、お茶をお待ちしました」(・∀・)ニヤニヤ

三輪「今は大事な客人を向かえておる最中だ。 

 何か用があればこちらから呼ぶから、自室にて待機していろ」

トリヤマ「かしこまりました。どうぞなんなりとお申し付けくださいませ」(・∀・)ニヤニヤマル「常にお側に控えておりますので」(・∀・)ニヤニヤ 

 

三輪の命令に従い、恭しく退室するトリヤマとマル。


 白河「なんですかあの二人は?」
三輪「GUYSから人質代わりにあの二人の身柄を預かっておるのだが、 

 見たとおりゴマをするしか能のない連中だ。気にする事はない。 

 フッフフ……しかし今やそのGUYSもティターンズ派の監視下に置かれ、
 地球教による世界支配計画も順調のようだな」
白河「三輪長官、これも貴方のお蔭です。貴方の軍内部での政治力と
 顔の広さで我々はこの国でも安心して勢力を伸ばす事が出来る。
 ジャブローにおられるジャミトフ閣下や、地球教の総大主教猊下も喜んでおられます」
三輪「うむ。日本に集中している防衛戦力も、全て我々の完全な指揮下に
 組み込まれる日は近い。ジャミトフ閣下にはよろしくお伝えしてくれ」
白河「ところで今日、剣総理と会われたとか……」
三輪「それが傑作な話でな。ワシに政府や軍・警察内部で
 地球教と関係している者を探れと言うのだ。このワシがその内の一人だとも知らずに。
 切れ者だと聞いておったが、所詮はまだまだ尻の青い若造だわい。
 おまけにあんな物までワシにくれてな……」

三輪は、先刻首相官邸にて桃太郎からもらった、
額縁に入れ壁に掛けて飾ってある“沐猴にして冠す”と書かれた色紙を指差した。

白河「沐猴にして冠す……!?」
三輪「ほぅ、何だ、その言葉を知っておるのか。で、その意味は?
 どうせくだらん人生訓か何かだろうが……」
白河「沐猴とは猿のこと……」
三輪「猿!?」
白河「つまり猿にどんな立派な冠をかぶせても所詮、猿は猿。
 人の上に立つ器量ではないという意味です」

それを聞いた途端、三輪防人は愕然とした。

三輪「な、なんだとー!! ワシはついさっき閲兵式の席上で
 こいつを極東支部の全兵士たちに披露してしまったばかりなのだぞ!!
 ふざけやがって、あの若造がーっ!! こ、殺してやる!!
 こんなもんでワシに一生消えぬ大恥をかかせおってからにーっ!!! ヽ(`Д´)ノウワァァン!!」

烈火のごとく怒る三輪長官。

白河「落ち着きなさい、三輪長官。とにかく剣総理が貴方に疑惑を持っている
 ことだけは確かのようです。その色紙は貴方への挑戦状とみて間違いないでしょう」
三輪「だったら早くあの剣桃太郎を始末するのだ!!
 早目に手を打たなければ危険だぞ!!」
白河「慌てることはありません。すでに手は打ってありますとも。フフフフフ……」

150

その日の夜…。

***東京都内の某料亭***

警視庁の東一門副総監は、警察学校時代の後輩である南雅彦と
二人きりで酒を酌み交わしていた。

南「――そうですか。加賀美総監は相変わらずですか……」
東「うむ。前総監の冴島さんが退任され、
 あの冷徹で知られる加賀美さんが総監となられれば、以前に比べて
 少しはマシになるかと思っていたが……かえって現場に対する
 放任主義が強まったと思う事があるのは確かだな」
南「結局加賀美さんも妙な趣味に走る点では、
 冴島さんと全く変わりがなかった。このままでは
 我が国の警察組織の未来は危ないですね」
東「まったく……先々代の総監だった野上さんの時代が懐かしい……」

話は先代の警視総監・冴島十三や、
現警視総監・加賀美陸に対する愚痴にまで及んでいた。

南「どうでしょうか、東さん。私に力を貸しては頂けませんか?」
東「力だと? どういう意味だ?」
南「単刀直入にお話しましょう。加賀美さんには警視総監の座を退いて頂きます」
東「な、なんだと!?」
南「そうなれば警視庁は東さん、ようやく貴方の天下だ。 

 全ての元凶は冴島十三、加賀美陸両氏の後ろ盾となっている剣桃太郎政権にあります。
 実は政界のさる御方が我々同志の後ろ盾となって動いてくれております。
 日本の警察を真のあるべき姿に戻すため、我々同志の旗頭として 

 決起なさるおつもりはありませんか?」
東「………」

しばらく無言で考え込む東副総監。だが……

東「南、今の話は聞かなかった事にさせてもらおう」
南「えっ……?」
東「確かに私は前の冴島総監のやり方に不満を抱いていた。それは事実だ。
 あのブレイブポリスの連中を冴島さんが甘やかしていたことについても、
 私はいつも頭を悩ませていたつもりだ」
南「ならば何故?」
東「現実的な考えを持つ我々が堂々と意見を持って諫言すれば、
 冴島さんは無論、今の加賀美さんだって当然聞く耳はもっておられるだろう。
 それを力ずくで総監の座から引き摺り下ろすなど……南、まさかお前が
 密かにそんなとんでもない企みを考えていたとはな。
 貴様は日本の警察の歴史を泥で汚すつもりか!?」
南「………」
東「先輩の誼で忠告させてもらうが、お前も余計な事は考えるな。
 なんだかんだ言ってもやはり冴島さんは傑物だ。それに加賀美さんも
 お前如き青二才の敵う相手ではない。今日はここで帰らせてもらう……」

東副総監が退席し、座敷に一人残る南雅彦。

南「……腰抜けめ。やはり貴方も偽善者の一人に過ぎなかったようだな」

南は襖を挟んで隣の座敷に控えていた人影に、目線で合図した。

南「須藤刑事、後はわかっているな……?」
須藤「承知しております」

151

***新宿西警察署管内・首都高速***

高速道路で車を運転していた東副総監は、
帰路の途中で仮面ライダーシザースとボルキャンサーに襲われた!

東「な、なんだお前たちは!?」
シザース「貴方に恨みはありません。ですが死んでいただきます」
東「や、やめろ!! う…うわああああ~~っ!!」


***警視庁・総監室***

東副総監が何者かに襲撃され、病院へと運び込まれたという情報は、
直ちに所轄である新宿西警察署署長である野上冴子の口から直接
警視総監・加賀美陸へと報告された。

陸「何だって! 東くんが!?」
冴子「はい。幸い命は取り止めましたが、
 1ヶ月は絶対安静だそうです」陸「………」

152

○剣桃太郎、マイケル・ウィルソン→日米直通のホットラインで電話会談。

○トリヤマ補佐官、マル補佐官秘書→相変わらず三輪防人に腰巾着のように仕えているが…?

●白河尚純→地球連邦軍極東支部伊豆基地を訪問。

●三輪防人→剣桃太郎に大恥をかかされ激怒。

●南雅彦→警視庁乗っ取りのため、東副総監の抱き込みを謀るが拒絶され失敗。 

口封じのため須藤雅史に東副総監を襲わせる。
○東一門→南の誘いを断ったため、仮面ライダーシザースとボルキャンサーに襲われ負傷。
●須藤雅史→現在は南雅彦の庇護の下に、その飼い犬として動いている。
 仮面ライダーシザースに変身して東副総監を襲撃する。
○野上冴子→東副総監襲撃・負傷の一報を加賀美陸に報告。
○加賀美陸→野上冴子から東副総監襲撃・負傷の報告を受ける。

【今回の新規登場】
○加賀美陸警視総監(仮面ライダーカブト)
 警視庁警視総監。仮面ライダーガタック=加賀美新の父親。
 影で対ワーム組織ZECTの総司令官も務める。これまでZECT評議会を構成する
 ネイティブの言いなりになってきたが、密かにネイティブへの反撃の機会を窺っていた。
 息子・新との間には深い溝があったが、ワームとの戦いを経てその溝も埋まりつつある。
 どうやら味覚審査員の資格を持っているらしく、闇キッチンバトルの審査の際には
 派手なリアクションを取る。

○東一門警視監(勇者警察ジェイデッカー)
 キャリア組の警視庁副総監。型に嵌った堅物で、冴島やブレイブポリスと
 意見が対立する事も多いが、平和を愛し、犯罪を憎む気持ちは決して
 負けていない。

●須藤雅史=仮面ライダーシザース(仮面ライダー龍騎)
 所轄大森署の悪徳刑事。

●ボルキャンサー(仮面ライダー龍騎)
 仮面ライダーシザースと契約しているミラーモンスター。

○野上冴子警視正(シティーハンター/エンジェル・ハート)
 新宿西警察署署長。野上元警視総監の令嬢。特捜課の女刑事時代は
 警視庁の妖艶な女狐と呼ばれていた。


『秘密召集…』

作者・大魔女グランディーヌ

153

***警視庁・総監室奥の秘密会議室***

夜──病院に副総監を見舞った後、帰庁した警視総監・加賀美陸は、
直ちに(秘密裏に)信頼出来る各セクションの責任者たちを集めた。

特命刑事機関=ASの通称「暗闇指令」と
ICPOより帰還した新田警部、0課装甲警察部隊=ZACの織田キャップ、
特別科学捜査室の「オヤジさん」こと芝室長、
未確認生命体対策班=SAULの尾室管理官、
メタルプロジェクト計画=機甲警察の責任者である醍醐正尚、
勇者警察=ブレイブポリス隊長(ボス)の友永警部、
対妖魔特殊警察=AMP(ATTACKED-MYSTIFICATION-POLICE-DEPARTMENT)の
ラリー・シャイアン署長、そして東副総監に次ぐ存在である
レスキューポリス3チームを統括する正木・桂木の両本部長らである……。

友永勇太「東副総監が襲われたって本当なんですか!?」
陸「ああ……運転手は殺害され、副総監自身も
 かなりの重症を負ったが、とどめを刺される前に
 ヒーローの誰かが助けに入ってくれたらしい。犯人2名は現在も逃走中だ……
 目撃者によると、副総監の車のウインドウに飛び込み、そのまま
 消えたらしい……明らかに人間ではない姿をしていたそうだ」
織田「何らかのトリックでしょうか? あるいは次元侵略者……」
陸「目撃者の一人が、携帯電話のカメラでその姿を写していた。

 これがその映像だ」

照明を落とした部屋の壁に、画像が映し出される。ぶれていてハッキリとは
しないが、巨大なハサミを持った黄色い異形の姿が2つ……。

陸「東副総監の意識が回復すれば、もっとハッキリしたことが分かるだろうが……」
正木「総監、各方面に聞き込みをかけてみましょう。どこかの組織の怪人ならば
 戦ったことのあるヒーローがいるかも知れません」
陸「ああ……だが」
新田「……どうされました?」
陸「捜査は秘密裏に行ってもらいたい……そのために諸君等の協力が
 必要不可欠だ」
暗闇指令「……獅子心中の虫が庁内にいる、と?」
尾室「それってもしかして、かつての三島さんのような…」
醍醐「尾室君!」
尾室「――! す、すみません…」

陸「………」

醍醐に失言を制せられ、恐縮する尾室。
息を飲む一同。

三島正人――加賀美陸のかつてのZECTにおける片腕と呼ばれた男だった。
しかし最後には己の野心から陸を裏切り、ネイティブの根岸一派へと寝返って
グラリスワームへと変貌。最期はカブトとガタックによって倒されたのであった。

陸「気にしなくてもいい尾室君。 三島正人の人物を見抜けずに重用したのは私の責任だ。
 それについて今更弁解するつもりはない」
桂木「しかし…その三島正人と同じような裏切り者が、
 まだ警視庁の中にもいると?」
ラリー「ここにいる私たち以外……」
芝「一体誰が……?」
陸「新宿西警察署の野上署長や東条広域捜査官が既に動いてくれているが……
 私も、出来ることなら部下を信用したい……だが、ここ数ヶ月の
 情報流出や一連の不祥事……何かがこの庁内で行われている気配を
 感じるのだよ」
一同「……」

その場の誰もが口には出さないが、ある教団の名を思い出していた。

陸「ICPOの金田長官も、全面協力を惜しまないとおっしゃって
 下さっている。我々としても、このまま手をこまねいているわけにはいかん。
 ……諸君、この加賀美に命を預けてくれるか!?」

出席者の全員、立ち上がる。その場に、言葉はいらなかった。

154

○加賀美陸→信頼できる警視庁各セクションの責任者達を秘密召集。
 各セクションが協力して東副総監襲撃事件解決を目指すことに。

【今回の新規登場】
○暗闇指令(スケバン刑事シリーズ)
 内閣機密調査室所属。階級は警視。超法規システムとして、
 警察機構が介入不能な事件の捜査のため、学生による特命刑事“スケバン刑事”を 配下に持つ。

○新田大五郎警部(電人ザボーガー)
 かつて大門勇博士との交友があった警視庁の警部で、大門豊の後見人。
 大門や中野刑事の良き上司で「勉強が足らんよ」が口癖である。

○織田久義(電脳警察サイバーコップ)
 ZAC(ZERO-SECTION ARMED CONSTABLE 通称サイバーコップ)の鬼隊長。
 時に厳しく時に優しく若い隊員達を包み込み、的確な指示を与える。
 その人柄か隊員達の信頼も厚い。時々、寒いダジャレを言う。

○芝大造(ロボット刑事)
 勘と足で捜査を進める、刑事生活25年のベテラン刑事。
 当初は特別科学捜査室に配属された事を不満に思っており、
 機械を毛嫌いしていたことから、ロボット刑事Kに対しても
 冷たく当たっていたが、何度もKに助けられ、人間に勝るとも劣らぬ
 その優しさと正義感に触れる内に、頑なだった心が徐々に氷解していった。
 奈美と由美という二人の娘がいる。

○醍醐正尚(機甲警察メタルジャック)
 機甲警察司令。警視庁メタルプロジェクト計画の中心人物。

○尾室隆弘(仮面ライダーアギト)
 西ロンドン大学へと去った小沢澄子の後任として、
 警視庁未確認生命体対策班の管理官に着任。G5システム訓練生達の教官を務めている。

○友永勇太警部(勇者警察ジェイデッカー)
 明るく元気で正義感が人一倍強い小学生。
 ふとした事で開発中のロボット刑事・デッカードと知り合い、
 その超AIに心を芽生えさせた事を注目され、
 史上初の少年警察官に就任。ロボット刑事課ブレイブポリスのボスとして
 ハイテク凶悪犯罪に立ち向かう。

○ラリー・シャイアン(サイレントメビウス)
 A・M・P署長。人間と妖魔の混血という過酷な運命を背負うが、人類を守るため、 

 その能力を発揮。

○正木俊介警視監(レスキューポリス全シリーズ)
 殉職した親友・小山正信捜査官の遺志を継ぎ、特別救急警察隊を創設した人物。
 レスキューポリスの生みの親である。

○桂木重吉警視監(特捜エクシードラフト)
 ソルブレイン本部解散の後を受けて創設された特別救急捜査隊=エクシードラフトの本部長。


『ヒーロー抹殺計画』

作者・ユガミ博士

155 
***高見沢グループ・総裁室***

高見沢グループとは、高見沢逸郎が総帥を務める巨大企業である。
そこの総裁室では、2人の人物による何やら良からぬ話が進められていた。

???「ヒーローを抹殺ですか?」
???「そうだ。今後、我々の活動はそれで進めていく。 まもなくこの日本へのGショッカーの大攻勢が始まる。 その前に少しでも点数は稼いで起きたいからな。」

ラフな格好をした青年が、目の前の椅子に座っている男性と何やら話している。
その青年の名は芝浦淳。そして芝浦の視線の先にいるのは
高見沢グループ総帥の高見沢逸郎その人である。
この2人は、実はGショッカーに所属するミラーワールドの仮面ライダーで、両名とも世紀王候補として至高邪神から認められていた。
高見沢を次期創世王にする事に協力すれば、芝浦は相当の地位を
得るという約束で2人は密かに手を結んでいる。

高見沢「Gショッカーに参画する組織はかつて、ヒーローと
 呼ばれる奴等に壊滅させられた。今後、Gショッカーの
 障害となるのは当然、そのヒーロー共だ。
 そいつらを抹殺していけば、Gショッカーの地球征服の障害は消え、
 俺の世紀王候補としての評価も上がるというものだ。
 まさに、一石二鳥だな。」

高見沢は芝浦に説明する。

芝浦「そうなると、どこから抹殺します?
 やっぱり、仮面ライダーからいきますか?」
高見沢「いや、そこら辺で騒ぎでも起こせば、俺たち以外のライダーだろうが、
 戦隊と呼ばれる奴らだろうが、適当な誰かが勝手にやって来てくれるだろうさ。 わざわざ俺たちに始末されるためにな。」
芝浦「でも、戦力はどうします? 俺たちは契約したモンスターしか
 操れませんけど・・・。聞いた話だと、インペラーは契約した
 同属のモンスターを操っていたって話しですけどね・・・。」 芝浦は薄ら笑いをしながら高見沢に尋ねる。
高見沢「そうだな。・・・ワームを使うのはどうだ?
 あいつら何でも、ネイティブっていうのに遅れをとったらしい。
 そのせいで肩身の狭い思いをしているらしいからな。」
芝浦「ならば、協力できたらすぐに行動しますよ。」
高見沢「ああ。俺は会社があるから戦闘指揮は任せる。
 ・・・裏切るなよ。」
芝浦「はい。俺はこのゲームを楽しめればいいですから。」

芝浦はそう言って、総裁室を出て行った。

156

芝浦は総裁室を出て行った後にしばらくして、とある場所へ向かった。

***東京都内・某所***

芝浦はある2人に接触していた。
オールバックで髭の生やした男性と喪服を着た女性である。
この2人こそがGショッカーでワームの代表を務める
乃木怜治と間宮麗奈の二人である。

乃木「我々と手を組みたいだと?」
芝浦「そういうこと。悪い話だと思わないけどね。」
乃木「なぜ、我々が下等なお前達人間と手を組まねばならん。」

乃木は芝浦の話を断った。

芝浦「聞いた話だと、ネイティブっていう連中に遅れをとったから
 肩身の狭い思いをしているんだってね?
 ここで手を組んで手柄を立てればGショッカーの中での
 地位を上げることに繋がると思うんだけど。
 それに、そのネイティブっていうのも、君達の言う
 下等な人間と手を組んで、君達を全滅にしたんだけど違うかい?」
乃木「くっ・・・。」

乃木は芝浦の言葉に言い返せなかった。事実、ワームはネイティブの根岸一派にしてやられた経緯もあり、Gショッカー内部において、彼らに対する周囲の評価は芳しくなく、邪将や世紀王候補を一人も輩出する事すら叶わぬ苦しい状況に立たされていた。しかし、だからと言って易々と芝浦からの提案に乗る事は彼のプライドが許さなかったのである。

麗奈「・・・その話に乗ろう。」
乃木「何っ!」

麗奈は芝浦に答えた。

麗奈「現状の我々の地位は確かに低い。これを打開するためには
 奴らと手を結ぶのも良い。」
乃木「・・・良いだろう。」
芝浦「話はついたかい。」

麗奈の言葉に乃木もしぶしぶながら手を結ぶ事を承諾した。
ここにミラーライダーとワームの極秘の同盟が結ばれたのである。

麗奈「で、我々はどうすればいい?」
芝浦「君達のサナギを数体ほど貸してくれればいい。
 後はこちらでやるよ。」
麗奈「分かった。約束は守ってもらうぞ。」

そして3人は別れた。果たして、抹殺されるヒーローは如何に?

157

●高見沢逸郎→芝浦にヒーローの抹殺とワームと手を組む事を指示。
●芝浦淳→高見沢の指示に従い、ワームと手を組む段取りをつける。

●間宮麗奈→芝浦の申し出を受けるよう乃木に進言。
●乃木怜治→間宮麗奈の進言を聞いて、しぶしぶ芝浦と手を組む。

【今回の新規登場】
●高見沢逸郎=仮面ライダーベルデ(仮面ライダー龍騎スペシャル 13RIDERS)
 高見沢グループ総帥。「超人的な力を得るために」ライダーとなる。 

 イニシアチブをとるのが上手く、普段は紳士的だが、その本性は過激かつ粗暴で欲深な性格で、

 手段を選ばない卑劣漢である。

●芝浦淳=仮面ライダーガイ(仮面ライダー龍騎)
 明林大学経済学部2年生に在籍する青年。「ゲーム感覚」でライダーとなる。 

 ゲームサークル「マトリックス」に所属しており、人間心理を解析・応用し、 

 ハマった人間は本当に殺し合いを始めてしまうゲームを製作。我侭かつ凶悪な性格。

●乃木怜治=カッシスワーム(仮面ライダーカブト)
 黒装束の女を率いるワーム軍団の首領。一度カブトに倒されたが、 

 カッシスワームグラディウスとして復活。敵の力をエネルギーに還元吸収すると 

 技をコピーして敵に返すという特殊能力を持っている。

●間宮麗奈=ウカワーム(仮面ライダーカブト)
 ワーム軍団の幹部である喪服の女性。人間社会に潜伏して
 ワームの益となる情報を集めている。目的達成なら手段を選ばない。 

 地球に棲むシオマネキに似た能力を持ち、鋼鉄を寸断する右腕の巨大バサミで 

 敵に襲い掛かる攻撃を得意としている。 パイロット。


『その闇の名は木星』

作者・大魔女グランディーヌ

158

***サイド1・ロンデニオンコロニー中央宇宙港***

停泊している白い宇宙艦……地球連邦宇宙軍の独立部隊・通称
「ロンド・ベル隊」の旗艦「ラー・カイラム」である。

ブライト「……そうか、まだジュドーの行方はつかめないのか」
クリス「ええ、木星は完全にシロッコ一派の
 勢力範囲に入っていて、現地のプリベンターも身動きが取れない様子です」
コウ「シーブックとセシリー、それにセイラさんは今のところ安全
 です。カミーユにもおととい会って来ましたが──まだ迷いがあるようですね」
クリス「ウッソくんやオデロたちを──呼び戻しますか?」
ブライト「いや、彼らはカサレリアで平和に暮らしているし、いつまでも
 リガ・ミリティアの助力を当てにするわけにもいかんよ」

報告を終え、司令室からデッキに戻るクリスとコウ。

コウ「……艦長は何も言わないが、心配だろうな、息子さんのこと」
クリス「ハサウェイ? ……そうね、第二次ネオジオン紛争の後、すぐ
 行方不明ですもんね。ミライさんも八方手を尽くしてはいるみたいだけど」
コウ「チェーン准尉も黄泉還って、彼のことを赦す気でいるのに……
 無事でいてくれればいいが……ん?」

格納庫の方で何か騒ぎが起こっているようだ。

コウ「……これは……!!」

首がもげ、片腕片足の状態でロンデニオンに流れ着き、ラー・カイラムに
収容されたのは濃紺にリペイントされ、流星のエンブレムをあしらわれた
Zガンダムの残骸……。

整備員A「おい、まだパイロットは生きてるぞ!」
整備員B「早く救護班を!!」

クリス「(開放されたコクピットを覗き込む)……!! ルー、ルー・ルカ
 じゃない!!」
コウ「こんなひどい傷を負って……一体何があったんだ……!」

コウたちの呼びかけに、うっすらと意識を取り戻すルー。

ルー「マッケンジー中尉、ウラキ中尉……ジュドーが、ジュドーが……」

 それだけ言うと、再び眼を閉じ、意識を失うルー。

クリス「ルー、しっかりして、ルーッ!!」
 

159

***衛星イオ***

木星の衛星イオにある木星軍秘密基地である。
ここではシロッコがMSの運用テストを行っていた。

シロッコ「ふむ、流石はガンダム。その名は伊達ではないようだな。」

シロッコの機にメッサーラが近づく。

サラ「パプティマス様!」
シロッコ「サラか。とてもよい乗り心地だ。宇宙海賊め…
 このようなガンダムを持っているとは…なるほど苦戦を強いられるわけだ。」
サラ「ガンダムF97…宇宙海賊の使っているガンダムの前身でしたね。」
シロッコ「サナリィもよくこんなMSを作ったものだ。
 データを開発部へ送ってくれ。私は用がある」
サラ「機体はどうしますか?」
シロッコ「好きにしろ。私はもう乗らんよ」

そう言い残してシロッコは司令室の方角へと戻る。

シロッコ「……(そろそろジャミトフもこちらの思惑に気づき始めたな…。
 だが、我々が手を下さずとも地球圏の混乱は今まで通り維持されることになる…。
 そして、その事実はやがてGショッカーとティターンズが全面衝突する原因となる…)」

160

***同基地内・個室***

シロッコ「拘束しないのはせめてもの情けだ、…ジュドー・アーシタ。」
ジュドー「………」

シロッコの正面に座っている少年――ジュドーは話を聞こうとはしなかった。

シロッコ「我々は人類の革新を望んでいる。人類全てが地球を離れ、
 地球の美しさをわかれば今の戦いは終わる。我々はそのために戦っているのだよ。」
ジュドー「シャアもハマーンも…同じ事を言って同じくみんな失敗した。」
シロッコ「彼らは所詮重力に魂を縛られていたのだよ。我々は違う。」
ジュドー「じゃああんたはなんなんだ? なんなんだよぉ!!
 あんたたちは地球の優しさを忘れて、冷たい木星の引力に惹かれている、
 それがハマーン達とどう違うんだよ!! 結局みんな同じだ!
 俺は、あんた達の仲間にはならない!」
シロッコ「そうか。なら今の連邦の体制でGショッカーをつぶせるのか?
 彼らを根絶やしにしない限り地球の平穏は無いんだぞ!」
ジュドー「じゃあなんで平穏を望んでるあんたがグレミーと――
 ――ザビ家とつるんでいるんだ!?」
シロッコ「アレはただ利用しているだけだ。本意ではない!」

平行線をたどるジュドーとシロッコ。話がまとまらないようだ。

シロッコ「・・・ならば誰がやるのだ? 誰が人類の革新を導くのだ?
 シャアか? それともハマーンか?」
ジュドー「そんなことわからない。ただ…あんたちのやり方じゃあ
 この世の中は変わらない。」
シロッコ「そうか。ではどうしろと? この世界は所詮
 金と欲望を欲しいままにする政治屋と戦うことしかできない
 お前のような戦士と、シャアのような独裁者でできている。
 とてもじゃないが革新なんて望めない。シャアは危機感を持たせるために
 地球潰しをやった。だがそれでも無理だった。あとは我々が
 宇宙から地球を支配するしかないのだよ。」
ジュドー「あんたのような…あんたのような考え方の人間がいるから…
 人はいつまでも分かり合えないんだ。あんたの存在そのものがうっとおしいんだ!!
 何が人類の革新だ! そんなこと、あんたがやっちゃあいけないんだ!
 闇の世界へ帰れ!! シロッコ!」
シロッコ「――!!?」

シロッコの背筋がゾクッとした。

シロッコ「……(なんだ…この感覚は…カミーユ?
 …私がおびえている…えぇい!!)」

シロッコは係官を呼んだ。

シロッコ「この少年を強化しろ。タイタニアのテストパイロットになってもらう。」
ジュドー「なんだと…シロッコ!キサマァ!」 !!」

161

***地球 Gショッカー・海底基地内地下牢***

ムサシ「くそう、奴らいつまで俺たちをこんな所に閉じ込めて
 おくつもりだ」
ハヤト「死ぬまで、かもな……」

剣鉄也とゲッターチームの面々は、Gショッカーに捕らえられて
以降ずっと、虜囚状態が続いていた。改造手術の素体としてか、あるいは
重要な捕虜としてか、待遇は思ったほど悪くはなかったが……。

突然、石壁の一角が開き、三画面のモニターが出現する。

???「フハハハハ、久しぶりだなロンド・ベルの諸君」
???「お休みのところ失礼するよ」

リョウ「……!! 貴様たちは……!!
 プリンス・シャーキン、ガルマ・ザビ、オルドナ・ポセイダル!!」
鉄也「黄泉還って邪神に魂を売ったのか……!」

ガルマ「フフ、君たちロンド・ベル隊……そしてシャアに
 復讐を果たすまでは死ねんよ」
シャーキン「我らはミケーネ闇の帝王の元、結成されたGショッカー地下帝国軍の
 新生7大将軍……改めてお見知りおき願おう」
鉄也「闇の帝王……すると貴様たちのバックにはあいつが……!」
ガルマ「今日は面白い映像をグレミーが木星圏から送ってきてくれたものでね」
ポセイダル「君たちも退屈しているだろうから、お見せするとしよう」

画面が切り替わり、映し出されたのは……!

リョウ「ジュドー!?」

そこには、無数のコードにつながれ、度重なるショックを与えられて悶え苦しむ
ジュドー・アーシタの姿が!

ガルマ「ジュドー・アーシタの強化が済んだら、次は君たちだ」
ベンケイ「……そうなる前に、俺たち全員自殺してやるさっ!!」
シャーキン「それでも構わんよ、出来たての死体を改造人間にするだけだからね」
「フフフフフ」「ハハハハ」「ハッハハハ……」

リョウ「くそう……っ!! ジュドー、耐えてくれ……!!」

162

○ルー・ルカ→重傷を負っていたところをラー・カイラムに保護される。
○ジュドー・アーシタ→ジュピトリアンに拉致・拘束されていた。

●パプティマス・シロッコ→ジュドーを強化し尖兵として使う。

●プリンス・シャーキン、ガルマ・ザビ、オルドナ・ポセイダル
 →Gショッカーの幹部として復活。捕えたリョウたちに、 

 ガルマと独自のパイプを持つグレミーから送られてきた、

 ジュドーの洗脳強化の様子が録画された映像を見せつけ、心理的にいたぶる。

【今回の新規登場】
●サラ・ザビアロフ曹長(機動戦士Ζガンダム)
 シロッコ直属の部下であり、ニュータイプの資質を備えている少女。
 PMX-002ボリノーク・サマーンのパイロット。

○ジュドー・アーシタ(機動戦士ガンダムΖΖ)
 サイド1のスペースコロニー「シャングリラ」にて、妹と暮らしながら
 ジャンク屋稼業で生計を立てていたニュータイプ少年。偶然シャングリラに
 入港してきたアーガマのΖガンダムを狙い、金に換えて妹を山の手の学校に
 入れてやろうとした事がきっかけとなり、エゥーゴに参加して戦いに身を投ずる。
 MSZ-010ΖΖガンダムのパイロット。


○ブライト・ノア大佐(機動戦士ガンダムシリーズ) 

 地球連邦軍独立部隊ロンド・ベル隊の総指揮官にして、同部隊旗艦ラー・カイラムの艦長。 

 ファーストガンダムからνガンダムに至るまで、ガンダムタイプMSを要する戦艦の艦長を務め、 時代々々のニュータイプ達を見つめ続けてきた人物。個性の強すぎる部下達をまとめ、 

無能な上層部の妨害を退け、時には反乱軍の汚名を被ったりしつつ 

宇宙を圧する巨大な敵と戦い続ける、同部隊にとってまさに大黒柱である。


○クリスチーナ・マッケンジー中尉(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争) 

地球連邦軍G-4部隊所属で、静止模擬操縦(スタティックシミュレーション)専門の

テストパイロット。RX-78NT-1のパイロット。


○コウ・ウラキ中尉(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY) 

地球連邦軍トリントン基地所属のテストパイロット。ナイメーヘン士官学校卒で、 

根っからのMS(特にガンダム)好き。 

RX-78GP03 ガンダム試作3号機(デンドロビウム)のパイロット。


○ルー・ルカ少尉(機動戦士ガンダムZZ) 

エゥーゴの志願兵の少女。


●プリンス・シャーキン(勇者ライディーン) 

妖魔帝国大幹部。化石獣を率いて人類攻撃を指揮する悪魔人のプリンス。 

常に仮面を被っており、その肌の色は悪魔人特有の青い肌をしている。 

平時は常にベロスタン&平祭官を従えている。


●ガルマ・ザビ大佐(機動戦士ガンダム) 

ジオン公国軍地球方面軍司令。デキン公王の四男。


●オルドナ・ポセイダル(重戦機エルガイム)
 二重太陽サンズを中心に五つの惑星を擁するペンタゴナワールドを 

絶対権力で統治していたポセイダル軍の首領。


『激突!サイ対サイ』

作者・ユガミ博士

163

***東京・某所***

???「やっぱ、メンチカツはうまいぜ。」

袋いっぱいのメンチカツを食べながら歩いている、
無精髭を生やした若い男がいた。
この青年こそ、数ヶ月前に邪悪な獣拳の流派、臨獣拳アクガタ、
そしてその黒幕である幻獣拳と戦った正義の獣拳使い、
激獣ライノセラス拳の使い手である久津ケンである。
彼は大好物のメンチカツを食べながら、道を歩いていた。

???「…や、やめてください。」
ケン「ん?!」

道を歩いていると、一人の二十歳前後の若い男が
見るからに不良という風貌をした三人のチンピラに絡まれていた。

不良A「兄ちゃん、少しお金を貸して欲しいだけなんだよ。」
不良B「ちゃんと、返すからよ。」
不良C「1万円あるんでしょう?」
???「そんな大金、持ってないんです。」
不良A「いい加減にしないと、ボコるぞ。こらぁ。」
ケン「そこまでにしときな。」

見るに見かねたケンが不良達に言い放った。

不良B「誰だ。テメェ。」
ケン「カツアゲなんて、みっともないぞ。
 金が欲しいなら、バイトしろ、バイト。」
不良A「うるせぇ、やっちまえ。」

不良達は一斉にケンに殴りかかったが、獣拳使いのケンに
そんなのは通用しなかった。

ケン「とりゃぁ!!」

ケンは一瞬の内に手刀で不良達を倒した。

ケン「押忍!!」
不良A「お、覚えてろよ~!」

不良達はすぐにその場から、逃げていった。

???「ありがとうございます。助けていただいて。」
ケン「気にするな。アンタも災難だったな。
 そうだ。俺のメンチカツでもどうだ。」
???「そんな、助けていただいたのにいただけませんよ。」
ケン「気にするなって、これも何かの縁だ。
 そうだ、自己紹介がまだだったな。俺はケン。久津ケンだ。」
???「僕の名前は、桜咲鈴雄といいます。」

桜咲鈴雄という青年は自己紹介をした後、ケンからメンチカツをもらった。

???「お兄ちゃん!」

すると、向こうから小学生くらいの少女が警官と一緒に走ってきた。

鈴雄「あ、小鈴。」
小鈴「もぉ~、どこ行ってたの?探したじゃない。」
鈴雄「ゴメンゴメン。いつの間にか、知らない所にきちゃって。」
ケン「知り合いか。」
鈴雄「はい。僕の妹で小鈴っていうんです。
 小鈴、こちらはケンさん。チンピラに絡まれている
 ところを助けてもらったんだ。」

鈴雄はケンと妹の小鈴にお互いを紹介した。

小鈴「そうなんですか?!
 兄が大変、お世話になりました。ありがとうございます。」

小鈴はケンに頭を下げて言った。

ケン「当然の事をしただけだぜ。頭を上げてくれよ。」

ケンは小鈴にそう言った。そして、小鈴は鈴雄の袖を引っ張って
耳を近づけて、小声で話した。

小鈴「もう、地球署に報告書を届けるのを頼まれたのに
 はぐれちゃいけないでしょ。」
鈴雄「分かってるよ。でも、東京は道に迷いやすいんだよ。」

果たして、この兄妹の正体は何者か?
今は伏せておく。

警官「いやぁ、このお嬢ちゃんがお兄さんを探しているって言うから、
 探していたけど見つかってよかったぁ。」
ケン「お巡りさんもご苦労さんです。よかったら、
 俺のメンチカツどうすか?」
警官「え? あ、いや、今は職務中ですので結構です。」

というやり取りで和んだ雰囲気が出来た時に・・・

女性「きゃぁー!」

突如、女性の悲鳴が聞こえた。

ケン「――!!」
警官「今のは…」

そして、悲鳴のあった方向に
ケンはすぐに向かった。

警官「――あ!? 君、待ちなさい!!」

警官も急いでケンの後を追いかける。

164

悲鳴が聞こえて来た方向の廃工場の入り口まで、
急いで走ってやって来たケン。

ケン「ここか。」
警官「(息切れしながら)はぁ、はぁ…悲鳴があったのはここか。
 後は警察に任せて、君は帰りなさい。」
ケン「そうはいかねぇぜ。女性が酷い目にあってるかもしれねぇんだ。
 ほっとけねぇぜ!」

ケンはそう言うと、すぐさま工場の中へ入った。
中では、女性が4体の緑色の虫のような化け物が襲おうとしていた。

警官「あれは、ワーム!?、全滅したはずなのに。」
ケン「まちやがれ!!」

ケンは持っていたメンチカツを袋ごと、化け物に投げつけた。
そして、すぐに殴ったり、蹴ったり、チョップを食らわせた。

警官「す、すげぇ。」

警官もケンに感心して、すぐに自分も所持していた警棒で応戦しようと
したが、やはりワームには効くわけがなかった。

警官「……(クソー。ガタックゼクターさえ、あれば)」

一方、ケンは女性の側に近づいていった。

ケン「もう大丈夫だぜ、お嬢さん。
 テメェら、女に必要な涙は嬉しい時だけだ。泣かすんじゃねぇ。」

ケンは所持していた“サイブレードフィンガー”を右手に握り、

ケン「――研ぎ澄ませ、獣の刃! ビースト・オン!!」

ケンはサイの拳士、ゲキチョッパーへと変身した。
そして女性の前に立って、ファイティングポーズをとったケンだが、
突然、背後をその女性に捕まった。そして、みるみるの内に
目の前のワームと同じ姿に変わった。

ゲキチョッパー「なっ、どうなってんだ。」
???「どうやら、罠にかかったようだね。」
ゲキチョッパー「だ、誰だ。」

目の前の水溜りから突然、肩に大きな角を持った甲冑の人物が現れた。

ゲキチョッパー「何者だ!?」
ガイ「…仮面ライダーガイと名乗っておこうか。」
ゲキチョッパー「仮面ライダーだ? ライダーはこんな事しねぇ。」
ガイ「君の知っている仮面ライダーとは違う。
 僕は、Gショッカーに所属するミラーライダーさ。」
ゲキチョッパー「何で、こんな事をした。」
ガイ「ヒーローの抹殺だよ。君個人に恨みはないが、
 うちの組織はヒーローって呼ばれる奴等に壊滅されたからさ
 君みたいな存在は邪魔になるからね。今の内に殺す事にしたのさ。
 さて、おしゃべりは終わり。そろそろ死んでもらうよ。」

ガイはベルトのデッキから、カードを取り出し、
左肩のメタルバイザーに投げ入れた。

Strike Bengt!!

すると、サイの形をした槍が装着され、ゲキチョッパーに襲い掛かった。

警官「や、やめろー。」
ゲキチョッパー「そうはさせないぜ。」

ゲキチョッパーはワームを振り切り、すぐにサイブレードフィンガーで
ワームを真っ二つに斬った。

ゲキチョッパー「ゲキワザ、捻捻弾!!」

その後、ガイと残りのワームに向けて、激気を凝縮して打ち出した。
ガイとワームは怯む。

ガイ「やるねぇ。でも、アレを見て、攻撃できるかなぁ?」

ガイが指を指すと、警官がワームに捕まっていた。

ゲキチョッパー「汚ねぇぞ!」
ガイ「戦いは勝てばいいんだよ。
 さぁ、その武器を地面に置いてもらおうか。」
警官「俺のことはいい! そいつを攻撃してくれ!」
ゲキチョッパー「くっ…。」

だが、ゲキチョッパーは警官を見放す事が出来ず、
サイブレードフィンガーを地面に投げ捨てた。
それを確認したガイはゲキチョッパーを攻撃し続ける。

ガイ「ヒーローってのは、つらいものだねぇ。
 他人の為に反撃する事ができないんだからさぁ!」
ゲキチョッパー「ぐはぁ!!」
ガイ「さぁ、これでトドメだ。」
警官「やめろー。」
ゲキチョッパー「……(こんな事なら、
 メンチカツを無駄にするんじゃなかったぜ)」

そして、トドメをさされようとしたその瞬間――。

???「――待ちたまえ!」

突然、大きな声が辺り一面に響いた。

165

その大声と同時に、高速の拳がワームを吹っ飛ばした。

ガイ「誰だ。」

ドッコイダー「なぁ~~~ッはっはっは!
 人質をとって、無抵抗の人間を殺そうなどとは卑怯千万!
 株式会社オタンコナス社製造超特殊汎用パワードスーツ・
 ドッコイダー。ここに参上!」
タンポポール「そして、助手のタンポポール!」
デカブレイク「ナンセンスな事はやめなさい、Gショッカー!
 無法な悪事を迎え撃ち、恐怖の闇をぶち破る!
 夜明けの刑事デカブレイク!」

警官を人質に取っていたワームは、まとめて
デカブレイクによって吹っ飛ばされる。

ガイ「ドッコイダー…? そうか、中空町という町を守っているという
 宇宙刑事か。それがなぜ、地球署の刑事と一緒にいる?」
デカブレイク「ドッコイダーはうちの署に報告書を持ってくる予定だったんですが、
 いつまでも来ないので探していたんです。」
タンポポール「そして、私達…いえ、2人の兄妹から女性の悲鳴を
 聞いたって言うから、デカブレイクと合流して来たのよ!」
ドッコイダー「さぁ、彼を放してもらおう!」
ガイ「そうはいかない。ワーム達よ、行け!」

ガイはワーム達に命令して、ドッコイダーに襲い掛かった。

デカブレイク「竜巻拳トルネードフィスト!!」

デカブレイクの持つ技「竜巻拳トルネードフィスト」によって、
ワーム達は飛ばされ、倒されてしまった。

ガイ「何!?」

そして、その隙をついてサイブレードフィンガーを手に取り、
サイブレードフィンガーに激気を集中させて勢いよく振りかざした。

ゲキチョッパー「さっきはよくもやってくれたなぁ。
 ゲキワザ・鋭鋭刀!!」
ガイ「ぐわぁぁぁ!!」

鋭鋭刀によって体を斬られたガイだったが、
装甲が厚かったためか、悪運強く致命傷には至らず。

ドッコイダー「まだ、倒されないか! いくぞっ!
 ミラクルハイパーエキセレントダイナマイツキィィィィク!!」
ガイ「くっ。」
タンポポール「あっ!キックはダメ~!」

ガイが受身を取ろうとしたが、ドッコイダーの顔が重いため、
バランスを崩してキックは失敗した。

警官「えっ…。」
ゲキチョッパー「……」
デカブレイク「……」
タンポポール「……(だから、やめてって言ったのに)」
ガイ「……なんかしらけた。今日はここで撤退させてもらうよ。
 ゲキチョッパー、もし、また会う時があったら次は君のゲームオーバーだ。」

そう言って、ガイは何処かへと消えていった。
そして、いつの間にかドッコイダーとタンポポールも消えていた。


警官「大丈夫か?」

警官はゲキチョッパーの側へと掛けていった。
ゲキチョッパーは変身を解いて、元の久津ケンの姿に戻る。

ケン「大丈夫ッす。このぐらい…イタタ。」

元気を見せようとしたが、やはり傷は痛いらしい。

警官「……(ワームがいたなんて。親父はこの事に気づいているのか)」

この若い警官――加賀美新は、かつてワームと戦った組織ZECTに所属し、
ワームを倒す事の出来る戦士「仮面ライダーガタック」であった。
しかし、以前のワームとの戦いが終わった後、ガタックに変身するために
必要なガタックゼクターは異次元の彼方へと消えたのであった。

デカブレイク「ども、地球署の刑事、姶良鉄幹です。
 事件解決にご協力ありがとうございました。
 犯人には逃げられましたが。」
新「いえ、こちらこそ人質に取られるなんて面目ない。
 俺にもっと力があれば……」
ケン「そんな、悲しい顔しないで、この次になんとかすれば
 いいじゃないすか。」
鉄幹「そうですね。それでは。」

そして3人は別れた。こうしてベルデの画策したヒーロー抹殺計画は阻止された。
だが、事件の黒幕であるベルデ=高見沢逸郎が健在である以上、
この計画はまだ終わった訳ではないのだ。

166

一方、その頃……

 

 ***警視庁・総監室***

ドギー「これが今月のワームの動向に関する
 監視活動の報告書のデータです」
陸「毎月申し訳ない。地球署のご協力には
 警視庁も感謝しています」

警視総監・加賀美陸は、宇宙警察・地球署の最高責任者である
ドギー・クルーガーより、ここ最近再び活動を俄かに活発化
させ始めてきたワームの動向についての情報提供及び調査報告を受けていた。

ドギー「ワームの動きには明らかに以前のような
 組織化の兆候が見られます。十中八九、背後には
 Gショッカーが糸を引いていると見て間違いないでしょう」
陸「………」
ドギー「僭越ながら加賀美総監、ZECTの方は?――」
陸「ZECTはすでに解散しました。今後新たに現れたワームの対処については、
 アリエナイザーと同様これまで通り地球署の皆さんにお任せします。
 その方針に変わりはありません」
ドギー「わかりました。我々宇宙警察としても
 ワームの犯罪に対しては全力を持って対処に当たります。 

 勿論、平和に暮らしているネイティブの保護も万全を期します」
陸「よろしくお願いします」

***同庁内・廊下***

総監室前で待っていた戸増宝児――ホージーと合流してドギーは、
地球署への帰路へつこうとしていたところを、
廊下にてある人物とすれ違った。

南「やあやあ!これはこれはドギー・クルーガー署長」
ドギー「これは南さん、ご無沙汰しています」
南「総監とはどのような話を?」
ドギー「なに、大したことではありません。
 警視庁と地球署の今後の捜査協力についていろいろと…」
南「日頃の異星人犯罪に対する地球署の皆さんの働きには
 私も頭が下がる思いです。しかしドギー署長、
 そもそも地球上にエイリアンなどというものが最初から存在しなければ、
 宇宙警察の皆さんも無駄な労苦をせずに済むとは
 お思いにはなりませんか?」
ホージー「それはどういう意味ですか!」
ドギー「ホージー!」

南雅彦のわざとらしい皮肉に対し、
つい食って掛かるホージーを制止するドギー。

南「あ、いやいや失礼。決して他意はない。
 では私はこれにて」
ドギー「………」

去っていく南雅彦。

ホージー「あれが警視庁きってのカミソリと呼ばれる南雅彦氏ですか…」
ドギー「あの男の周囲には、地球至上主義者の影が
 ちらほら見え隠れしていると聞いたことがある」
ホージー「ボス、もしかして警視庁の東副総監が
 襲撃された件もあの男が…」
ドギー「ホージー、確たる証拠もなしに滅多な事は口にするな。
 東副総監襲撃の件は、今警視庁の方で懸命に捜査中のはずだ。
 宇宙警察の人間である俺たちが口を挟むことじゃない」
ホージー「………」

ドギー「ホージー、お前の言いたいことはよく分かる。 

 昨今の地球ナショナリズムの台頭で、宇宙警察に対する風当たりも厳しいからな。

 だが今は加賀美総監を信じよう」

167

○久津ケン→ゲキチョッパーに変身してガイと戦う。
○加賀美新→ワームと戦うも、逆に人質にされる失態を演じる。
○桜咲鈴雄→不良に絡まれているところをケンに助けられる。
 実はドッコイダーに変身してガイと戦う。
○桜咲小鈴→兄の鈴雄を探していた。実はタンポポールに変身して、
 ドッコイダーと共にワーム達に挑む。
○姶良鉄幹→ドッコイダーを探していて、合流しワームを倒す。
●芝浦淳→仮面ライダーガイに変身して、ワームと共にヒーロー抹殺を始める。
○加賀美陸→ワームの活動状況について、宇宙警察地球署より
 定期的に情報提供を受けている模様。ドギーにZECT活動再開の可能性を問われ否定する。
○ドギークルーガー、戸増宝児→警視庁を訪問。
 加賀美陸との会見後、廊下で南雅彦とすれ違う。
●南雅彦→警視庁の廊下でドギー・クルーガーたちとすれ違う。

【今回の新登場】
○久津ケン=ゲキチョッパー(獣拳戦隊ゲキレンジャー)
 激獣ライノセラス拳の使い手であり、スクラッチマイスターズの
 親方である久津権太郎の息子。獣拳の聖地・獣源郷で修行しており、
 激獣拳七拳聖すら習得していない激気研鑚という才能の持ち主。
 好物はメンチカツ。

○桜咲鈴雄=ドッコイダー(住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー)
 中空町のアパート・コスモス荘の住人。静岡から上京した専門学生だが、
 ある日宇宙にある株式会社オタンコナスの社員・タンポポにスカウトされ
 超特殊汎用パワードスーツ・スットコドッコイのモニターとなり
 ドッコイダーに変身する。以後宇宙犯罪者を逮捕するために日々奮闘中。

○桜咲小鈴=タンポポール(住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー)
 鈴雄の妹(表向き)でコスモス荘の住人。実はオタンコナンス社の社員で、
 見た目は小学生だが幼態進化の星出身で地球人の年齢に換算して25歳。
 モニター補佐としてドッコイダーのパートナーを務める。

○加賀美新=仮面ライダーガタック(仮面ライダーカブト)
 元ZECTの見習い隊員。一本気な青年で、熱いハートを隠そうともしない。
 が、深謀遠慮が苦手で直情径行に走ることも。ワームとの戦いで一度命を落としたが、
 何者かが装着させたライダーベルトによって復活。ついにガタックゼクターを受け入れ、
 ガタックの資格者となる。現在は交番勤務の警察官をしている。
 警視総監の加賀美陸は父親。

○姶良鉄幹=デカブレイク(特捜戦隊デカレンジャー)
 宇宙警察特キョウ1班所属の地球人捜査官。通称"テツ"。
 ヘルズ3兄弟を追って地球を訪れ、事件解決後、そのまま地球署駐在となった。
 ちょっと生意気だが明るく屈託のない性格。「ナンセンス」が口癖。

○ドギー・クルーガー=デカマスター(特捜戦隊デカレンジャー)
 宇宙警察警視庁警視第7銀河統括部長兼地球署署長。犬のような顔を持つアヌビス星人。
 デカレンジャーたちの頼れるボスである。通称“地獄の番犬”。マスターライセンスをかざし
 チェンジをコールをすると、宇宙金属デカメタルが全身を包み、デカマスターに変身する。
 カレーショップ「恐竜屋」の常連でもあり、宇宙刑事ギャバン=一条寺烈とも親友である。

○戸増宝児=デカブルー(特捜戦隊デカレンジャー)
 デカレンジャーのリーダーで、ドギー不在時は地球署署長代行も務める、
 頭脳明晰のエリート刑事。実力に裏づけられた刑事としてのプライドは誰よりも高い。
 銃の腕は天才的で、専用ライフル“ディースナイパー”を握れば遠方の標的も
 百発百中で仕留める。通称"ホージー"。 


『テオスの福音』

作者・大魔女グランディーヌ

168

***東南大学・物理学研究所***

桃太郎「……つまり時空クレバスとは?」
一の谷「さよう……いわば我々の住む世界と、異世界とを
 つなぐ『穴』じゃな」

科学省長官・お茶の水博士の紹介で日本有数の天才科学者・
一の谷博士を訪ねている剣桃太郎。

一の谷「ワープ航法やタイムトンネル自体は既に実用化されているが、
 ……この時空クレバスの厄介なところは時と場所を選ばず、
 宇宙のどこにでも突如出現することでしょうな」
桃太郎「博士、一連の黄泉還り事件とも関係が……」
一の谷「そこまでは何とも言えんが、原理的にはヤプールやクライシス、
 バイラムといった次元侵略者の移動手段……根源的破滅招来体のワームホール、
 バダンの時空魔法陣、それに……神崎士郎という男のミラーワールド開閉手段と
 同じものであることは間違いありますまい」
桃太郎「我々の友ではなく、敵も呼び寄せてしまう可能性もあると
 いうわけですか……」
一の谷「いかにも」

現に首相官邸はこれまでも、各地で発生している時空クレバスから
未知の凶暴な生物やモンスターの出現が確認された事例の報告を、
特務機関『森羅』から何度か受けていた。

お茶をすすりつぶやく一の谷博士。

一の谷「それにしても、あの忌まわしいグリプス戦役で旧ティターンズが地球圏を
 支配したときは酷いものだった……友好的な惑星も次々一方的に断交され、
 地球にいる異星移民たちも迫害を受けた。その時のわだかまりは今も銀河系に
 残っている……」
桃太郎「復活したティターンズに同じことはさせませんよ、決して……
 俺が……俺たちが……!!」

169

一方、その頃……

***日本国内の某温泉郷・露天風呂***

江田島「フフッ…まさに極楽とはこのことだわい」

のんびりと湯に浸かっているのは、
日本の現内閣総理大臣・剣桃太郎の恩師にして、
日本の首領(ドン)と呼ばれるその隠然たる勢力は今も衰えを知らない、
男塾塾長・江田島平八その人である。

???「同感です。自分が俗世の人間だということさえ忘れるような……」

江田島「……?」

白河「お初にお目にかかります。私、衆議院議員、白河尚純と申します」
地球教の導師「………」

タオルを腰に巻き、裸姿で突然現れた白河。
そしてすぐ側には深くフードを被りローブを羽織った地球教の司祭らしき者を伴っている。
白河は遠慮することなく湯に入り、塾長に近づこうとするが……

富樫「出直してきてもらおう。塾長は約束の無い者とお会いにはならん」
江田島「フフフ、構わん富樫。白河尚純といえば今をときめく
 政界のニューリーダーよ。わしも折あらば一度会いたいと思っていたのだ」
白河「君、聞いてのとおりだ。その手を放したまえ」

自分を遮ろうとした富樫の手を振り払う白河。

江田島「このわしに何か用か?」
白河「ハイ、単刀直入に申し上げます。貴方の力を必要としています」
江田島「わしの力…?」
白河「平成維新実現のために働いてもらいたいのです。私の部下の一人として……!!」
江田島「………」
富樫「な、なにっ!?」
白河「貴方はあらゆる分野のトップと強力なコネを持っています。
 その多くは貴方が塾長をしていた男塾の卒業生たち。出来れば彼等も
 私の部下として使いたいのです。貴方の命令とあらば否応ないでしょうからね」

白河の頭部に銃口を向ける富樫。

富樫「正気か貴様……。もう一言抜かしたらこの頭吹き飛ばしてやるぜ!!」
白河「君に私が撃てるかね?」
富樫「なんだと…!!」
白河「さあ、引き金を引いてみたまえ……」

170

地球教の導師「………」
富樫「こ、これは……!? ……うおっ!!」

地球教の導師の術の詠唱に操られ、
なんとその手に持っている銃を自分の頭部に向けてしまう富樫。

富樫「う、腕が勝手にーっ!!」
白河「君はもう動けん。しばらく大人しくしていてもらおう。
 いかがですかな、江田島先生」
江田島「フフフ…なかなか芸達者だわい。それは地球教の妖術か何かか?」
白河「さすがは江田島先生。いかにもこれは神が
 我々テオス派の信徒に授けられた奇跡の力です」
江田島「テオス派…?」
白河「神は私に天命を与えたのですよ。この日本を救済せよと」
江田島「大した自信だな。だがこの江田島、今まで星の数ほど男を見てきた。
 一度会えばその男の器がわかる。そしてその器の中身までもな」
白河「………」
江田島「貴様には一つ欠けておるのだ。人の上に立つ者にとって
 一番重要なものが……」
白河「ほほぅ……それは一体何ですか?」
江田島「男の愛嬌だ。政治家だろうがサラリーマンだろうが、
 これのない男は大成はせんよ」
白河「フッ…男の愛嬌ですと? もう少し詳しくお聞かせ願いたいですな」
江田島「言っても貴様には無駄だ。男二人の風呂に前を隠して入るような奴には
 わからん話なのだ」
白河「……つまりそれが貴方の答えという事ですね」
江田島「そうだ。わかったらさっきの芸をわしにも使ってみるがいい。
 貴様は今までそうして人を操り人形にして来たんだろうが?」
白河「仕方ありません……」
富樫「じ、塾長――っ!!」

白河に目線で合図された地球教の導師は、
鋭く眼を光らせ術の詠唱を始める。

地球教の導師「 ハ ア ア ア ア ――― ッ ! ! ! 」

171 
     __――――――          /\/\/\/\/\/\/\/\/\/
    /            \       /
   /               \     )
   /_         __     |    (
  / \  | /  /   \    |   /
/ _  \   /  /\|||||   |  \   わしが男塾塾長
|/  \_|| ||||_/       /\   )  江田島平八であるー!!!
< ̄o ̄>   < ̄o ̄>  |   |  (
  /  ̄ ̄/       ̄ ̄    | ∂ |  )
 (  /(_⌒)\     /   ) ) | (
 | === ====     | (  |  )
  ( || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ||     (_/  (
   || |  ̄ ̄ ̄⌒ ̄| ||    |      )
   || |         | ||    |    (
   || |         | ||     |    )
   ||  )  /⌒⌒|   | ||     |   (
   || /  /     |_ / ||     |   )
   || ヽ ̄⌒ ̄ ̄ /  ||     /   \/\/\/\/\/\/\/\/\/\
   ||  ヽ ̄ ̄ ̄ ̄/  ||    /
    \   ̄ ̄ ̄        /
      \________ /



地球教の導師「………!!」
江田島「フフフ…これが地球教の言う神とやらの力か?
 わしのオツムはピンピンしておるぞ」
白河「バカな! こんなことが! 導師の念を上回る精神力で
 自我を防衛したと言うのか!!」
江田島「ワッハハハ!! 精神力だと!! そんな気の利いたものではない!!
 わしの気はアッチにあっただけの話だ」
白河「……!?」

塾長の指差す方向には、なんと女湯が……!!

江田島「いい眺めじゃ。煩悩に勝る精神力はあるまいて!」
白河「今回はどうやら私の負けのようですな。またお会いしましょう江田島先生。
 その時までに私は貴方の弟子達全てをこの日本から一掃しておくつもりです」

そして、数日後……

***江田島平八邸***

池の鯉に餌をやっている江田島平八。

桃太郎「そうですか……。白河が塾長に直接仕掛けて来ましたか」
江田島「まあ、その場はしのいだがな。まったく喰えん奴よ。
 かってわしの見たどの器にも分類されん男だ」
富樫「奴の手下は信じられねえ能力を持ってやがる。そいつに一睨みされた途端、
 操り人形になっちまうんだ。俺はそれでひでえ目に遭わされたぜ」
江田島「確かテオス派とか言っておったな」
桃太郎「テオス派…」

桃太郎は、かつてアンノウンによる一連の事件が起こった時期に、
白河がアンノウン擁護とアギト抹殺を主張していたことを思い出していた。
もしかするとその事と何か関連があるのだろうか……。

江田島「どうするつもりだ、剣? 奴の一番の狙いは貴様だ。
 貴様を総理の座から引き摺り下ろす事にある」
富樫「奴は塾長の洗脳に失敗しても笑ってやがった。
 おまけに帰り際に捨て台詞まで置いて行きやがったんだ」
桃太郎「フッ…我々への宣戦布告か」

172

○剣桃太郎→一の谷博士から時空クレバスについてレクチャーを受ける。 

江田島平八から白河尚純との一件の話を聞き、白河とアンノウンの間に 

何か関係があるのではないかと気づき始める。
○一の谷博士→剣桃太郎に時空クレバスについてレクチャーする。
○江田島平八→白河尚純と初対峙。
●白河尚純→江田島平八に接触。自らが地球教のテオス派と呼ばれる
 宗派との繋がりがあることを示唆。

【今回の新規登場】
○一の谷博士(ウルトラQ)
 一の谷研究所の所長。専門は理学全般だが、幅広い知識を有する
 博学博識の大科学者である。謎めいた怪事件に対しては、
 様々な推理と研究によって解決へと導く。

○江田島平八(魁!! 男塾/天より高く)
 日本の首領(ドン)。元帝国海軍少将。創立300年を誇る私塾・男塾の塾長であり、
 自身が元塾生。若い頃は数々の拳法・格闘技を学ぶ為世界を放浪、短期間で極めた。
 帝国大学を首席で卒業している。第二次世界大戦時、かのマッカーサーをも恐れさせた。

○富樫源次(魁!! 男塾/天より高く)
 江田島平八の秘書。男塾OBのまとめ役兼斬りこみ隊長。
 「根性」を絵にしたような男。拳法等の心得はないがケンカ殺法を得意とする。
 幼い頃両親を亡くし、中学まで兄と二人暮しであったが「大威震八連制覇」で兄が死亡。
 天涯孤独となる。驚邏大四凶殺、七牙冥界闘において二回死の淵から蘇る。


『俺、再び参上!』

作者・ユガミ博士

173

***東京都内・某公園***

新「親父の奴…。」

若き警察官、加賀美新は巡回パトロールの最中、
ひたすら自転車で公園の中を走っていた。
彼は今、憤りを感じていた。その理由は昨夜にある。


  ◇  ◇  ◇


***加賀美邸***

陸「珍しいな、お前が訪ねてくるとは。」

警視総監であり、長年疎遠となっていた父・加賀美陸と
ワームとの戦いの折に和解したが、別段、今も父親を訪ねる事は少ない。
陸はソファーに座り、グラスに酒を注いでいた。


新「親父、…親父はワームがまた現れた事を知っているのか?」
陸「………。」

新が訊ねると、陸はグラスに酒を注ぐのをやめた。

新「知っているんだな!、なら、何故ZECTを再開しない。」
陸「………。」

新が詰問するように訊ねると、陸はソファーから立ち上がり、
窓の外を見つめた。そして、こうつぶやいた。

陸「私は、心ならずもネイティブの言いなりとなり、ZECTを
 創設した。そして、ネイティブの…根岸の企みを阻止できず、
 もう少しで人類をネイティブ変えてしまうところだった。
 そんな私に、ZECTを再開する資格は無い。」
新「だったら、親父は何で、今も警察をやっているんだ。
 警察は人を守るのが仕事だろ。ZECTだってそうだ。
 昔はネイティブの意図も絡んでいただろうが、
 今は違うんじゃないのか、親父。」

新は陸に言いたい事をぶつけた。
しかし陸は新の方に振り向いて、こう言い放った。

陸「仮にZECTを再開したとして、お前に何が出来る?
 ガタックゼクターはもう無いんだ。そこに置いてある
 ベルトだけを残してな。」

陸は棚に飾ってあるベルトを見た。

陸「それに、ワームの事は地球署のドギー・クルーガー署長に
 任せてある。お前はお前の職務を全うしていろ。」
新「そうかよ。…だったら、親父にはもう頼まねぇ。
 俺は俺のやり方で皆を守って見せる。」

新はそう言って、ベルトを手に持ち、部屋から出ていった。

陸「新…。」


  ◇  ◇  ◇


昨夜にそのような事があり、勢いでああは言ったものの
冷静になっていくとだんだんと不安になってきた。

新「俺は、ガタックゼクター無しで皆を守れるのか?」

174

一方、公園の広場では休日という事もあり、家族や恋人達が
ピクニックで集まっていた。だが、その近くの林の中では、
とある闇が蠢いていた。

???「ここで、暴れればいいんだな?」
???「そうだ。騒ぎを起こせば、ここにヒーローと呼ばれる者達が
 駆けつけてくる。そうなれば、計画は成功だ。」

林の中から広場を見ているのは、ワームの幹部である間宮麗奈と、
時の運行を乱して、自分達の世界に変えようとした
イマジンの一体――バットイマジンだった。
黄泉がえりによってイマジンも復活してしまい、
現在、Gショッカーに所属しているのである。
そして、ワームはヒーローを抹殺するために、
イマジンとも手を組んだのであった。

麗奈「それでは頼んだぞ。」
バットイマジン「ふん、この世界がイマジンの世界となるのであれば、
 いくらでも協力しよう。お前達のサナギは使わせてもらうぞ。」
麗奈「了解した。」

麗奈は消えるように、その場から立ち去った。

バットイマジン「それでは、作戦を開始する。」

バットイマジンは林から飛び出した。そして、公園にいた何人かの人間が
次々とワームに変わった。

男性A「ギャァー、助けてくれ。」
女性A「化け物よ。」
男性B「早く逃げるんだー。」
子供A「うわぁぁぁん。」

公園にいた人たちはパニックになり、
我先に公園から出ようと逃げていった。

新「なっ何だ!?」

新は騒ぎを聞きつけて、自転車から降りた。

新「あれは、ワーム!、それにあの蝙蝠みたいなのはワームじゃない!?
 あれは…噂のイマジンか!?」

新は何とかしようと、腰のホルダーから拳銃を取り出して、
バットイマジンに向かって発砲した。

バットイマジン「何だ。何か当たったのか?」

やはり効いていなかった…。

新「クッソー。やっぱり、こんな物じゃダメなのか?」
バットイマジン「警官か?、少々、痛めつけさせてもらおう。やれぃ!」

バットイマジンはワームの群れに、
新に向かって攻撃するよう命令した。

新「ぐわぁぁぁ!」

新はワームに吹っ飛ばされてしまった。

バットイマジン「ほぉ、耐えたか。だが、これで最後だ。」
新「……(クッ、俺はここまでなのか。)」

絶体絶命のその時、突如、汽笛と共に
空から電車が現れて新に襲い掛かろうとした
ワームを吹っ飛ばした。

バットイマジン「あ、あの電車はまさか…!」

175

電車が通り過ぎると、そこに一人の高校生くらいの少年と
小学生くらいの年頃に見える幼い少女に、
赤い鬼、青い亀、金色の熊に紫の龍が立っていた。

???「「「「「「俺たち、参上!」」」」」」

時刻の警察列車デンライナー―――時を超える犯罪者、
イマジンが起こす事件を徹底的にクライマックスで解決する刑事たち、
彼らには警察手帳も捜査令状もいらない。
何故なら彼ら自身が手帳であり令状であるからだ。
彼らに逮捕できないものは唯一つ、神のみ!
それが、デンライナー署である。

新「あれが、噂のデンライナー署なのか。」

バットイマジン「で、電王!、またしても邪魔をするか。」

???「見つけたよ。イマジン!」
???「へっ!、久しぶりに暴れるぜ!」
???「早く倒そうか。僕、これからデートなんだ。」
???「捕まえて、泣かせちゃる。」
???「タイホだ、タイホ。」
???「あんた達、早く、捕まえなさい。」
???「そうだね。行くよ、モモタロス。」
モモタロス「おう、良太郎。」

良太郎という少年はライダーパスとデンオウベルトと取り出して、
腰につけて、パスをベルトにかざし、赤いボタンを押した。

良太郎「変身!」

Swoud Form!!

モモタロスという赤い鬼は光の玉に変わり、良太郎の中へ入った。
そして、良太郎の体にオーラアーマーが装着されていった。
そして、桃のような電仮面が最後に装着され、
電王ソードフォームとなった。

電王「俺、参上!」

先ほどの気弱そうな良太郎の声と喋り方とは別人の様に変わって、
ポーズをとって名乗る。
これは、モモタロスが良太郎に憑依しているからである。

バットイマジン「ワーム達よ、すぐに電王を消せ!」

バットイマジンはワーム達に攻撃命令を与えた。

電王「カメ、クマ、ハナタレ小僧、行くぞ!」
ウラタロス「了解。」
キンタロス「よっしゃー!」
リュウタロス「行くよ。」

青い亀のウラタロス、金の熊のキンタロス、紫の龍であるリュウタロス、
そして、電王はバットイマジンとワームに目掛けて走った。

コハナ「それでは、貴方は向こうへ避難してください。」
新「あ、ああ。」

デンライナー署のメンバーの1人、コハナことハナは新を避難させた。

ウラタロス「お前、僕に釣られてみる?」

ウラタロスは長い棒を武器に
流水のごとく連続攻撃をワームに続けた。

ウラタロス「それじゃ、釣り上げるね。」

ウラタロスはワームの腹部を貫いた。
そして、ワームは爆散した。

キンタロス「俺の強さにお前が泣いた!
 涙はこれで拭いとけ!」

キンタロスは鼻紙を投げつけて、鉞のような斧でワームを攻撃した。
ワームはキンタロスの体を攻撃するが、キンタロスには全く聞かなかった。

キンタロス「ふん。」

そして、思いっきり斧を振り上げて
ワームを真っ二つに斬った事で爆散した。

キンタロス「ダイナミックチョップ…生。」

リュウタロス「倒してもいいよね?、答えは聞いていない!」

ダンスするが如くステップを踏みながら、ワームに銃弾を食らわせた。
周りの被害に関係なく、一気に数対のワームが全滅した。

ウラタロス「あ、危ないよ、リュウタ。」
リュウタロス「へっへー♪」

そして、バットイマジンと戦っている電王は…。

電王「てめぇー、降りて戦いやがれ!」
バットイマジン「はーはっはっはっ、電王もここまでは届くまい。」

バットイマジンが空中を飛んでいるため、届かなかった。

良太郎「……(ウラタロスに変わった方がいいと思うよ…。)」

良太郎の声が響く。

電王「うっせー、良太郎。アイツは俺が倒す。」
バットイマジン「だったら、やってみよ!、ハッ!」

バットイマジンは衝撃波を起こして攻撃してきた。
しかし電王は耐えてみせる。

電王「だったら、届かせて見せるぜ。」

電王はパスをベルトにかざして、フリーエネルギーをチャージした。

Full Charge!!
電王「俺の必殺技、パート2!!」

電王はデンガッシャーの先端を離して、バットイマジンに攻撃した。

バットイマジン「ぬお!」

バットイマジンは瞬時に交わしたが、翼を負傷してしまう。

電王「よっしゃー、斬って、斬って、斬りまくるぜ!」

某死神少年のセリフを口走りながら、
バットイマジンを斬りまくった。

???「そこまでだ、電王!」

176

振り返ると、そこには、クラゲのイマジン、ジェリーイマジンが
公園にいた子供を人質にとっていた。

ジェリーイマジン「ガキの命が惜しければ、武器を捨てろ。」
子供A「助けて~!!」

新「あ、アイツ…!」
コハナ「何て卑怯なの!」
良太郎「……(モモタロス…。)」
電王「…ちぃ、分かったよ。」
ウラタロス「………」
キンタロス「クッ。」
リュウタロス「ムー。」

電王や他のイマジン達も武器を捨てた。

バットイマジン「すまない。恩に着るぞ。」
ジェリーイマジン「今の内に、電王を消すぞ。」

新はそれを見ていて、居ても立ってもいられなくなった。

新「やめろぉぉぉぉ!」
ジェリーイマジン「フン!」

新はジェリーイマジンに突っ込んでいたが、
生身では敵うはずもなく、長い触手で返り討ちにあい、
倒れてしまった。

ジェリーイマジン「ただの人間が勝てるわけがないだろう。
 ハーハッハッハッ!!」
新「……(俺は、ここまでなのか?、皆を守れずに…嫌だ!
 ミンナを守るんだ。守れないなんて嫌だ!
 力が…チカラが欲しい。ミンナを…守れるチカラが欲しい。)」

新は立ち上がり、懐に持っていたベルトを取り出して、腰につけた。

新「来い、ガタックゼクタァァァァァ!!!」

すると、空から次元を超えて、
眩い光と共にガタックゼクターが現れた。

バットイマジン「何だ?!、あれは。」

ガタックゼクターはジェリーイマジンに体当たりを仕掛け、
人質に取られていた子供達を救出する。

ジェリーイマジン「イ、イタイ、イタイ。何とかしてくれ。」

コハナ「さ、早く、こっちに逃げて。」
子供A「うん。」

攻撃したガタックゼクターは新の手に飛び込み、
ガタックゼクターをベルトに装着した。

新「変身!!」

すると、新の体は次々と装着されていった。そして、「最強のライダー」
仮面ライダーガタックとなった。

ジェリーイマジン「貴様、よくもやってくれたなぁぁ!」
ガタック「キャストオフ」
ガタックゼクター「キャストオフ」

ジェリーイマジンが突っ込んできたが、ガタックはゼクターホーンを倒して、
マスクドアーマーが飛散し、マスクドフォームからライダーフォームへと
変身していった。そして、マスクドアーマーが飛散した衝撃波で
ジェリーイマジンは吹っ飛んでしまった。

電王「アイツ、俺と同じような格好をしているぞ。」
良太郎「……(あれは、仮面ライダーだ。)」
ウラタロス「あの警官、やるもんだねぇ。」
リュウタロス「カッコイイ!、僕もあれやりたい。」

ジェリーイマジン「よくも、コレでも食らえい!」
ガタック「クロックアップ。」
ガタックゼクター「クロックアップ」

触手で攻撃してきたが、マスクドライダーの特殊装備であるクロックアップで
攻撃を回避して、ジェリーイマジンの目の前に現れた。

電王「おい、消えたぞ?!」
ウラタロス「どうやら、超高速で動いたみたいだね。」
キンタロス「分かるんか、カメの字。」

ガタックはジェリーイマジンの目の前に現れて、ガタックゼクターの
スイッチ・フルスロットルを「1, 2, 3」の順に押した後、ゼクターホーンを
一旦マスクドフォーム時の位置に戻し、

ガタック「ライダーキック。」
ガタックゼクター「ライダーキック」

再び倒すことで、エネルギーが充填され、
前方へジャンプして回し蹴りを放った。

ジェリーイマジン「ぎゃぁぁぁぁ!」

そして、ジェリーイマジンは倒された。

177

バットイマジン「な、なにぃぃ。」

そして電王は、すぐさまに武器を拾い上げた。

電王「さっきは、よくも、やってくれたなぁ。」

再び、フリーエネルギーをチャージして、必殺技の構えをとった。

電王「俺の必殺技、パート1!」

デンガッシャーを思いっきり振り上げて、バットイマジンを斬った。
倒されたかと思いきや、バットイマジンの体を構成するイメージが暴走して、
ギガンデスヘブンに巨大化した。

ギガンデスへブン「きしゃぁぁぁ。」

ガタック「きょ、巨大化した!?」
電王「へっ、面白くなってきたぜ!」

すると、時の列車デンライナーが現れて、電王は先頭車両に乗り込んだ。
そして、操縦席にあるマシンデンバードについてるボタンを押して、
デンライナーはドギーランチャー、モンキーボマー、バーディーミサイル
へと変形した。

電王「行くぜ、行くぜ、行くぜ。俺は最初から最後まで、
 クライマックスだぜ!」

ドドドドッ!!
ドカーン!!
ビシュン!!


一斉攻撃によって、あっけなくギガンデスへブンは倒された。

ガタック「すげぇ。」

こうして、この事件はクライマックスに解決されたのである。

178

***デンライナー署****

新「い、いてぇ、いてぇ。」
コハナ「はい。コレで大丈夫。」

新は変身を解いた後、良太郎達によって、デンライナーの中にある
デンライナー署の中で傷の手当てを受けていた。そして、簡単な
自己紹介を受けていた。

良太郎「僕は野上良太郎です。一応、ここで刑事をしています。」
コハナ「私の名前はハナ。皆からはコハナって呼ばれているわ。」
良太郎「そこで知恵の輪をしているのが、モモタロスで…。」
モモタロス「ああん?」
良太郎「雑誌を読んでいるのが、ウラタロスで…。」
ウラタロス「どうも。」
良太郎「寝ているのが、キンタロスで…。」
キンタロス「ぐごぉぉぉぉ。」
良太郎「塗り絵をしているのが、リュウタロスです。」
リュウタロス「何?」
新「なるほど。」
ナオミ「は~い。コーヒーお持ちしました~。」

紹介を受けている時に、デンライナーの乗務員ナオミがコーヒーを出した。

新「あ、ありがとう。」
良太郎「あ、そ、それは…。」
新「ブー!、マズー。」

ナオミのコーヒーを飲んで、つい吹き出してしまった。
しかも、見事、モモタロスについてしまった。

モモタロス「テメェなぁ。覚悟しとけよ。」
新「ス、スマン。」
良太郎「モモタロスやめなよ。」
モモタロス「るせー。」
???「いい加減に静かにしてください。」

そこに現れたのは、デンライナーの所有者でデンライナー署を立ち上げた
人物であるオーナーが現れた。

新「こちらは、誰?」
良太郎「デンライナーの持ち主で、オーナーっていうか、デカ長っていうか…。」
オーナー「デカ長…と呼んでください。新さん、あなたの噂は
 かねがねお聞きしています。これから、ある場所へ行きますが、
 一緒に来てもらえませんか。」
新「…ある場所?」

しばらくしてデンライナーは目的地に着いた。
すると、そこは――

***警視庁・警視総監室***

そこは何と警視庁の総監室であった。
そして、そこには当然のことながら
現警視総監・加賀美陸がいたのである。


新「親父!?」
陸「新…なぜ、ここに?
 …そうか、ガタックの力が戻ったのか。」
新「まだ、何にも言っていないのに何で?」
陸「お前の眼を見れば分かる。」

陸はそう言った。

新「なら、親父。俺はガタックの力を取り戻した。
 だから親父、ZECTを再会してくれ。」

新は陸にZECTの再開を訴えたが、答えはNOだった。

陸「私の考えは変わらん。ZECTは再開しない。」
新「親父…。」

だが、しばらくして…。

陸「加賀美新巡査に辞令を与える。これより、デンライナー署に出向して、
 彼らに協力せよ。」
新「親父!?」
陸「なお、デンライナー署では彼らの指揮に従う事ように。
 そうでしたな?、オーナーさん。」
オーナー「ハイ。時の運行を乱すイマジンを倒すのが目的ですが、
 イマジンがワームと協力しているようなので、ワームとも
 戦うかもしれませんな。」
新「ハッ!?…親父。」

オーナーの説明を聞いて、新は陸を見た。

陸「行って来い。」
新「ハ…ハイ。加賀美新巡査、これより、デンライナー署に出向します!」
良太郎「よろしくお願いします。加賀美さん。」
新「こちらこそ、ヨロシクな。良太郎君。」

新達はデンライナーの中に戻っていた。
そして再び時の路線へと走り去っていくデンライナー。

陸「さて、ドギー署長になんと言おうかな。」

陸は地球署のドギー・クルーガーにどう説明しようか考えていた。
こうして、時の列車警察・デンライナー署に戦いの神が加わったのである。

179

○加賀美新→イマジンに立ち向かい、仮面ライダーガタックに変身。
 ジェリーイマジンを倒す。そしてデンライナー署に出向する。
○野上良太郎→モモタロスと共に電王となり、バットイマジンを倒す。
○モモタロス→良太郎と共に電王ソードフォームとなり、バットイマジンとギガンデスへブンを倒す。
○ウラタロス→ワームを倒す。
○キンタロス→ワームを倒す。
○リュウタロス→ワームを倒す。
○コハナ→子供を避難させる。
○ナオミ→新にコーヒーを出す。
○オーナー→加賀美陸警視総監の所へ行く。
○加賀美陸→新にデンライナー署への出向を命ずる。
●間宮麗奈→イマジンと結託し、イマジンに騒ぎを起こす事を命ずる。
●バットイマジン→公園で騒ぎを起こし、電王に倒される。
●ジェリーイマジン→子供を人質にするが、ガタックに倒される。
●ギガンデスへブン→バットイマジンが暴走して出現。
 デンライナーゴウカで倒される。 

 

【今回の新登場】
○野上良太郎=仮面ライダー電王(仮面ライダー電王)
 仮面ライダー電王に変身する少年。とてつもなく不運つづきの人生を送っており、
 毎日が不運のオンパレードであり、ほとんどの時間は何かに巻きこまれて翻弄されている。
 突然イマジンに憑依され、慌てふためいている間にヒーローになってしまった。
 体力も知力も根性もないが、イマジンに憑依されると、 人間離れしたスーパーパワーを発揮する。
 アンラッキーな人生を送りすぎ、並大抵の事態には動じなくなっているため、
 ある意味肝が据わっているとも言える。そして、それだけ他人の幸福や不幸には敏感に反応。
 自分は不運でも、せめて他人を不幸から救いたいと願っている。良太郎ならではの「優しさ」から
 来る強さは、時にイマジンたちでさえ敵わないほどの強大な敵をも退ける。
 現在は、デンライナー署の刑事を務める。

○モモタロス=仮面ライダー電王ソードフォーム(仮面ライダー電王)
 良太郎に最初に憑依するイマジン。「桃太郎」の赤鬼タイプ。
 強くカッコ良く戦うことを信条としているため、何のために戦うかは二の次。
 良太郎のイメージのおかげで「桃太郎」タイプにされたのが気に入らないが、
 電王に変身すると派手なポーズ、派手な必殺技を好んで使う。
  変身前の良太郎の体を乗っ取ってから好き勝手に使うので、
 良太郎にとっては迷惑な存在だが、根は単純でいいヤツ。
 「俺、参上!」、「俺は最初から最後までクライマックスだぜ!」が口癖。

○ウラタロス=仮面ライダー電王ロッドフォーム〈仮面ライダー電王)
 2007年の現在にやってきた未来人のエネルギー体が、
 野上良太郎の想い描く『浦島太郎』から海亀をイメージしてこの世に現出した姿。
 モモタロスに続いて良太郎に憑依。モモタロスとは対照的にあまり戦いを好まないタイプ。
 調子のいい台詞を並べ立て女性たちのハートをメロメロにするかと思えば、
 他人の財布も奪ってしまう要領の良さも。常に他人を見下したような態度が
 鼻につく自信家タイプ。「僕に釣られてみる?」が決め台詞。

○キンタロス=仮面ライダー電王アックスフォーム〈仮面ライダー電王)
 現在にやってきた未来人のエネルギー体が、本条 勝の想い描く『金太郎』から
 熊をイメージしてこの世に現出した姿。本条との契約完了後、消失しそうになるところを
 良太郎に救われ、ウラタロスに続いて良太郎に憑依。
 典型的な気はやさしく力持ちタイプ。しかし、人の言うことを勝手に勘違いすると、
 恐ろしいパワーをとんでもないところで発揮してしまうなどはた迷惑な面も。
 人情に人一倍厚く、世話好きな関西人気質のイマジン。
「俺の強さにお前が泣いた」が決め台詞。

○リュウタロス=仮面ライダー電王ガンフォーム(仮面ライダー電王)
 龍のイメージが具現化したイマジン。電王ガンフォームに変身する。
 子供のような我侭で気分屋で甘えん坊な性格だが、可愛くないものには
 冷酷または無関心、徹底的に消し去ろうとする。相手に軽い催眠をかける
 能力を持っている。ダンスが得意。

○コハナ=ハナ(仮面ライダー電王)
 未来の時間の「特異点」の少女。元々は19歳の女性だったが、途中から、
 幼児の体となる。実は、未来の良太郎の姪。デンライナー署の刑事で、素手に
 よる格闘能力は高いが、バズーカ砲を使う事もある。

○ナオミ(仮面ライダー電王)
 デンライナーの客室乗務員。現在は、デンライナー署の刑事ではあるが、
 主に署内でコーヒーを淹れている。そのコーヒーの味はイマジン以外は不評。

○オーナー(仮面ライダー電王)
 デンライナーの管理者で、デンライナー署を立ち上げた人物。謎が多いが、
 その身体能力は高い。チャーハンに刺さった旗を倒さずに、食べていく事を
 スポーツだと思っており、真剣に取り組んでいる。

●バットイマジン(仮面ライダー電王)
 蝙蝠のイメージが具現化したイマジン。

●ジェリーイマジン(仮面ライダー電王)
 クラゲのイメージが具現化したイマジン。自分の身体を透明にして
 獲物に忍び寄り、身体に生えた触手を振るい電撃を叩き込む技を持つ。
 また自身を液状化して、相手の攻撃を眩ませる事も可能。


『造られたスキャンダル』

作者・大魔女グランディーヌ

180

***第三埠頭***

深夜のコンテナターミナルの中を、
何かから逃げるように必死に走りぬける一つの影。

黒ずくめの衣装にレオタード姿。首と腰には赤いマフラーを巻き、
そして顔には奇妙なメイクが施されている―――
―――主に諜報活動等を任務とするショッカーの女戦闘員である。

やがて数発の銃声とその弾丸が
女戦闘員を捕捉した。

女戦闘員「くっ…!」
木暮「そこまでだ! Gショッカーの女戦闘員!
 大人しく我々と一緒に来てもらおうか」

重武装した一団が最新鋭の銃を向けつつ
女戦闘員を取り囲む。しかし女戦闘員はニヤリと笑い、
奥歯に仕込んであった何かを噛み砕いた。

女戦闘員「ヒヒヒヒ…ぐぶっ!!」

女戦闘員は地面に倒れこむと、
瞬く間に泡を吹いて身体が溶け、蒸発してしまった。

千恵「木暮さん!?」
木暮「しまった! 自決されたかっ」

そこへタイミングよく、どこからか黒塗りの車が近づいてきて、
重武装した一団のリーダーらしき男――木暮精一郎の前で停車する。
その車の後部座席から降りてきたのは、あの南雅彦である。

南「ご苦労だった、アンチショッカー同盟の諸君。
 我々が提供した武器の火力は大したものだろう。
 して首尾は?」
木暮「残念ながら捕獲前に自決されました」
南「死んだか。まあいい。その方がかえって手間が省ける」
千恵「南さん、いったい何を企んでいるんですか?」

木暮を補佐している女――石神千恵が訝しそうに尋ねる。

南「君たちは余計な事は考えなくてもいい。
 それよりもこの女戦闘員の顔写真はあらかじめ
 撮ってあるな?」
木暮「はい、それは確かに…」
南「よろしい。それだけ用意できれば充分だ。
 君らも疲れただろう。今日はもう帰って休みたまえ」

それだけ言うと南雅彦は再び車に乗り込み、
すぐにいずこかへと去って行った。

千恵「木暮さん…」
木暮「言うな! もう私たちは後戻りできない所まで
 きているんだ」
千恵「でも…いくらGショッカーと戦うためとはいえ、
 地球至上主義者たちと手を組むなんて…」
木暮「確かに我々は奴らに駒として利用されているだろう。
 しかし我々もまた奴らの力を利用しているんだ。
 仮面ライダーと違い、本来戦う力のない我々には
 これしかGショッカーと戦う方法がない。わかってくれ千恵さん」
千恵「………」
木暮「それに一度はゲルショッカーのナメクジキノコに
 奪われたこの命だ。どうなろうと悔いはない」

181

***白河尚純邸***

白河「ようこそいらっしゃいました。
 岸田長官、それに佐竹参謀。本日はお二人のために
 ささやかな晩餐の宴を用意させていただきました」

白河尚純は、岸田長官と佐竹参謀の二人を
GUYS JAPAN赴任を祝うためと称して晩餐に招いていた。
勿論その目的はこの二人をロゴス側へと懐柔するためである。

岸田「白河さん、せっかくのお招きで恐縮だが、
 我々はのんびり飯など食っているほど暇ではないのだ。
 作戦が控えているので、すぐにでも失礼したいのだが?」
白河「まあそう仰らずに…フフフ」
佐竹「ところでこの絵は何です?」

佐竹参謀は、ダイニングルームに掲げられた、
何やら天使や怪物らしき姿が多く描かれた
巨大な壁画について指摘した。

白河「ああこの絵ですか。フフフ…。
 よろしい、ご解説しましょう。この世界が生まれた時、
 そこには絶対神であるテオスだけがいました」
佐竹「…テオス?」
白河「テオスは、光と闇とを分け、昼と夜とを分けます。
 さらに天と地とを分け、陸と海を分けました。
 こうして世界は創られたのです」
岸田「………」
白河「やがて孤独を寂しく感じたテオスは次に、
 側近であるエルロードを創り、さらにマラークを創りました。
 そのマラークを模って動物たちを創り、自分に似せて人間を
 創り出しました。そして、世界は楽園となったのです」
岸田「フン。まあ、世界のどこにでもよくある神話だな」

そこへ白河の秘書がやってくる。

秘書「先生、警視庁の南さんからお電話です。
 例の手筈が調ったので、至急お越し願いたいと…」
白河「わかった。――岸田長官、それに佐竹参謀、申し訳ない。
 急用が出来たので私は席を外させていただきます。
 お二人はどうぞそのまま食事をお続けください」

182

***都内の某高級ホテル***

三輪「白河代議士め、一体何のようじゃ。
 ワシをこんなところへ呼びつけおってからに」

地球連邦軍極東支部長官・三輪防人准将は、
白河尚純と南雅彦の二人に急に呼びだされ、
お忍びでここのホテルを訪れていた。

三輪「この部屋か……」

三輪長官が客室の中へ入ると、なんと内閣総理大臣・剣桃太郎が
女性とふたり、全裸でベットの上で如何わしいことをしていたのだ!

三輪「な、なにーっ!?」

いきなりの光景を目の当たりにし驚愕する三輪長官。

カメラマンA「違う! 目線はそっちじゃない!!」
カメラマンB「もっとお互いなまめかしく見つめ合って!!」
監督「よーし、OK! じゃあ次バックから本番いってみよう!!」

三輪「こ、これは一体……!?」
白河「驚かれましたかな? 三輪長官」
三輪「せ、説明しろ白河先生。なぜ総理がこんなところで
 女と乳繰り合っておるのだ? あれは間違いなく総理自身だぞ!」
南「いえ、あれは役者です。整形手術と特殊メイクアップを施し、
 本物そっくりに似せてありますが」
三輪「役者…? つまりあれは偽者か?
 なんのためにそんなことを?」
白河「野暮ですよ三輪長官。もちろん目的は我々の目の上のたんこぶである
 内閣総理大臣・剣桃太郎――奴を失脚させるためです」
南「若さと行動力、そして清廉なイメージ。
 剣総理は今、国民から圧倒的な支持を受けています」
三輪「…それはそうだろうが、不倫スキャンダルくらいで
 あの剣桃太郎を総理の座から引き摺り下ろすことが出来るのか?
 奴は広域指定暴力団の組長と親友同士だと公言しても、
 未だに高支持率のまま総理の座に居座っておるような男だぞ」

すると南雅彦が三輪長官に一枚の女の顔写真を差し出した。
その写真に映っている女こそ、先ほどのアンチショッカー同盟に
追われていたショッカー女戦闘員である。

三輪「なんと!? では女の方は…!!」
南「その通り、ベットの女優の方はショッカーの女戦闘員の顔に
 似せてあります。つまり剣総理は一国を預かる首相の地位にいながら、
 Gショッカーの女性構成員と密かに一夜を共にしていたという筋書きです」
白河「国民の生命と財産を守るべき立場の内閣総理大臣が、
 その国民の安全を脅かす侵略者の手先と同じベットの上で寝ていたのですから、
 これは国家の安全保障上の重大問題です。これで奴は終わりです」
三輪「――す、すばらしいぞ白河先生!!」


***帰りの車中***

深夜の銀座の街中を走る黒塗りの公用車……

三輪「フフフ……あとはワシに任せるがよい。
 これを使うに打ってつけの舞台があるのだ。
 今週臨時国会が召集され、委員会に参考人として召致された
 ワシと奴との答弁が予定されておる。その席でこの爆弾を炸裂させてやる。
 その時の奴の顔が目に浮かぶわい」
白河「期待していますよ。ああそうそう…近々ブルーコスモスの
 ムルタ・アズラエル氏が日本の現状視察のため、極秘裏に
 訪日されるようです。総大主教猊下のご期待にお応えするためにも、
 そろそろまた新しい“目に見える実績”を上げていただかないことにはね…」

183

△木暮精一郎、石神千恵→アンチショッカー同盟の組織強化のため、
 不本意ながらもロゴスの支援を受けている模様。
△岸田長官、佐竹参謀→白河尚純邸に晩餐に招待される。
●白河尚純、南雅彦、三輪防人→剣桃太郎の女性スキャンダルを捏造し、
 総理失脚の陰謀を着々と進める。

【今回の新規登場】
△木暮精一郎(仮面ライダー)
 アンチショッカー同盟の日本におけるリーダー。


△石神千恵(仮面ライダー)
 アンチショッカー同盟の日本支部の女性メンバー。


『ロンデニオンの戦い』-1

作者・大魔女グランディーヌ

184

***ロンデニオン宙域・戦艦アレキサンドリア***

アレキサンドリアの一室では一人の少年が横になっていた。

???「うっ…ここは?」
サラ「お目覚めですか?」
???「おまえは?…何も思い出せない。」
サラ「私はサラ。あなたはジュドー。
 あなたは全ての記憶とともに最強の力を手に入れたの。」
ジュドー「何のために?」
サラ「スペースノイドの敵、聖なる地球を荒らす奴らを叩き潰すために。」
ジュドー「そうか、わかった。…この感じは? 敵か?
 何機いるんだ!? サラ!俺の機体を用意しろ!!奴らを叩き潰す!」
サラ「既に用意してあります。タイタニア…あなた用に調整済みです。」
ジュドー「よし、今すぐにでも出る!」

洗脳され強化されたジュドーは格納庫へと急ぐ

シロッコ「ジュドー! ジュドー・アーシタ!!」
ジュドー「だれだ!」
シロッコ「君の上官、パプティマス・シロッコだ。
 君の働き、期待しているよ。」
ジュドー「はっ!有り難き幸せ! このジュドー・アーシタ、
 敵を一人残さず始末してまいります!!」
シロッコ「わかった。行くが良い」
ジュドー「ははぁっ!」

ジュドーは敬礼してタイタニアニ乗り込み、
アレキサンドリアを後にした。

サラ「順調ですね。パプティマス様。」
シロッコ「あぁ…だが、強化しすぎた。アレはもう捨て駒にしか使えんよ。
 惜しいことをした。」

185

***ラー・カイラム・艦橋***

アムロ「ブライト! 今の状況は?」
ブライト「敵はジュピトリアンだ。しかも今までとは違う大部隊だ。
 今、コウやクリスに出てもらっているが、すでにこちらの艦が3隻沈められている。
 前線の兵によればサイコミュを使うMSがいるようだ。」
アムロ「くっ…パプティマス・シロッコか!
 リ・ガズィでもいい、何か無いのか!?」

ブライトは無言で文字盤を操作し、格納庫に繋げる

ブライト「アストナージ!Hi-νは使えるのか?」
アストナージ(通信)「サイコミュの調整がまだなので
 フィンファンネルは使えませんが…」
アムロ「それで十分だ! 用意しろ! 出るぞ!!」

アムロは格納庫へと向かっていった。


***戦闘宙域***

コウ「つ、強い!」
クリス「ウラキ中尉、大丈夫!?」
コウ「うっ、なんとか…」

コウとクリスは一体のMS相手に苦戦していた。強化人間専用MSタイタニアだ。
タイタニアはファンネルを射出した!

コウ「またか! オーキスを囮にして回避だ!!」

コウはオーキスを脱ぎ、タイタニアに向かっていく。だが――

クリス「――!? ウラキ中尉、危ない!!」
コウ「――え? な、なんだと…うわぁぁっっ!!」

先読みされていた。目の前に迫ったタイタニアのビームサーベルが一閃!
コウのGP-03Sは真っ二つになった!

クリス「ウラキ中尉!? いやぁぁぁー!!!」

クリスのアレックスにもファンネルが迫る!!

クリス「うわ…」

クリスのアレックスにビームが命中する!
アレックスの四肢は爆発四散し、コックピットだけが残った。

186

●パプテマス・シロッコ→艦隊を率いロンデニオンに侵攻。
○ジュドー・アーシタ→洗脳を受けシロッコの手に落ち、タイタニアに乗って出撃。
○ブライト・ノア→ロンデニオンに奇襲してきた木星軍を迎え撃つ。
○コウ・ウラキ、クリスチーナ・マッケンジー→タイタニアとの戦闘で戦闘不能。
○アムロ・レイ→Hi-νにのって出撃

【今回の新規登場】
○アストナージ・メドッソ(機動戦士ガンダムシリーズ)
 グリプス戦役以来ブライトの傍らにいる、地球連邦軍(エゥーゴ)所属のメカニック。
 歴代のガンダムを整備してきたシリーズ随一の縁の下の力持ちである。

○アムロ・レイ(機動戦士ガンダムシリーズ)
 地球連邦軍外部部隊ロンド=ベルのエースパイロット。
 ニュータイプで一年戦争の英雄。RX-93νガンダム/
 RX-93-ν-2Hi-νガンダムのパイロット。 


『ロンデニオンの戦い』-2

作者・大魔女グランディーヌ

187

真っ二つになったGP-03S。その中からコアファイターが出てくる。
パイロット――コウ・ウラキは無事だった!!
コウの乗ったコアファイターは、そのまま漂流しているパイロットの元へ行く。

コウ「クリス!…気絶してるのか? ちいっ…」

コウは気絶しているクリスをコックピット内へ入れ、
母艦ラーカイラムへと戻った。その入れ替わりに――

アムロ「アレックスにステイメン!…やったのはあいつか!!」

アムロのHI―νはタイタニア目掛けビーム攻撃を行うが――

ジュドー「この程度なら避けられる!…この感触アムロ・レイか!
 お前を倒せば全てが終わる! おちろぉ!!」
アムロ「何? ジュドーだと!? ジュドー・アーシタか!!
 シロッコめぇっ!!」
ジュドー「アムロ・レイ…アムロ・レイアムロ・レイアムロ・レイ
 アムロ・レイアムロ・レイィィィ!!!お前さえいなければぁぁ!!」

タイタニアのファンネルが全方位射撃を行う!!

アムロ「ジュドー!目を覚ませ!!
 そんな憎しみをぶつけても自分が苦しむだけだぞ!!」
ジュドー「うるさぁい!!お前を倒せば全てが終わる!
 お前とあと、カミーユとシャアとハマーンを…!!!
 …プル!?…なんだこの感覚わぁ!!」
アムロ「…(…なんだこの感じは? 優しい感じがする…)」
ジュドー「ぐわぁぁぁぁっ!!」

突然苦しみだすジュドー。
ファンネルがジュドーの脳波コントロールから離れ
次々と岩にぶつかっていく!

ジュドー「ハァハァハァ…っ…プル…お前は…くっそぉぉぉ!!!」

ジュドーはタイタニアを反転させ、彼方へと消えていった。

アムロ「ジュドー…お前は…」


***木星・イオ基地***

シロッコ「それでジュドーは!?」
サラ「未だ発見できません。1時間前に捜索隊が撃破されてから
 ずっと音信不通です。」
シロッコ「ジュドーか…厄介だな。こうなっては犠牲にした艦隊が
 無駄になってしまう! 捜索範囲を広げて探せ!必ず連れ戻すのだ!」
サラ「了解!」

188

***宇宙要塞アクシズ・上級士官室***

ジュドー「…ここは」
ハマーン「目が覚めたか。ジュドー・アーシタ」
ジュドー「…!!貴様、ハマーン・カーン!!?
 おまえを、おまえおぉぉ!!」

吼えるジュドー。しかし、椅子に手錠で拘束されており思うように動けない。

ハマーン「ふん!シロッコめ。よくもやってくれた。まぁいい。」
ジュドー「殺すゥッ!おまえぉぉ!!ハマーン・カーン!!」
ハマーン「命の恩人に対して失礼な口の聞き方だな、ジュドー・アーシタ。
 お前は漂流しているところを拾われたんだよ。」
ジュドー「ぐぅぅっ、この手錠をはなせぇっ!」

ジュドーの叫び声を無視し、話を続ける。

ハマーン「何故ここまで流れ着いたか。何故だか分かるか!?
 …お前は惹かれたのだよ。この私にね。」
ジュドー「なん…だとぉ!?」
ハマーン「お前は強化されて心が敏感なんだ。普段は理性で制御できる。
 しかし、今は違う。無意識のうちに私に惹かれたのだ。」
ジュドー「そんなこと…うっ!!?」

ハマーンがジュドーに口付けをする。

ハマーン「…(感じろ…お前にならできるはずだ。私を受け入れるのだ。)」
ジュドー「…(何だ…暖かい…?)」
ハマーン「………」
ジュドー「…(違う…これは見せかけの暖かさだ。心に氷を持っている。
 冷たく暗く息苦しい感じがする…)」
ハマーン「ふふふ…未だに自分を持っているのか。」
ジュドー「………」
ハマーン「私の元へ来い! ジュドー・アーシタ!! 私を受け入れろ!」
ジュドー「あぁ。わかったよ。その氷を溶かしたらな。」
ハマーン「何!?」
ジュドー「あんたのそれは、まだあの人を引きずっている。
 決着をつけるべきだ。そうしなければあんたは誰にも受けいられない。
 誰もあんたを認めやしない。」
ハマーン「ふふふふふ…流石だ、ジュドー・アーシタ。
 どうやら魂を縛られているのは私のようだな。
 よかろう、お前は仲間の待つ所へと戻るがいい。
 いずれ雌雄は決しよう。」
ジュドー「………」

189

○アムロ・レイ→強化洗脳されたジュドーの乗るタイタニアと交戦。
○ジュドー・アーシタ→アムロとの戦闘中に錯乱を起こし離脱後、
 ハマーンに保護され、その後解放される。
△ハマーン・カーン→漂流していたジュドーの身柄を確保。
 勧誘を試みるが、いずれ雌雄を決すると告げて解放。

【今回の新規登場】
△ハマーン・カーン(機動戦士Ζガンダム/機動戦士ガンダムΖΖ)
 ネオジオン公女ミネバ・ラオ・ザビの摂政にして、アクシズの事実上の最高指揮官。
 一年戦争時はフラナガン機関で育てられていたが、ジオン公国崩壊後、
 公国軍残党と共に地球圏を脱出しアクシズにたどり着く。
 父マハラジャ・カーンの急逝後にその指導力と政治手腕において
 天才的才能を示し、名実ともにアクシズでの実権を握るに至る。
 高いNT能力ゆえか、扱いが難しいといわれるキュベレイを自在に操り、
 カミーユ、シャア(クワトロ)、シロッコ、ジュドーら
 名だたるNTパイロットと互角以上に渡り合えるほどの凄腕である。


『命を賭した傷こそ証す!!』

作者・大魔女グランディーヌ

190

***無幻城・Gショッカー秘密警察長官室***

ダスマダー「昨夜から諜報部に所属する女戦闘員№55682の
 消息が掴めん。直ちに秘密警察長官の名において
 捜索・追跡の命令を出してもらいたい」
フラビージョ「イヤよ」
ダスマダー「なにっ?」

クライシス帝国の皇帝直属軍事査察官にして、
Gショッカー秘密警察の副長官を務めるダスマダー大佐は、
昨夜から急に連絡が取れなくなった女戦闘員の行方の捜索に関し、
秘密警察長官フラビージョと長官補佐ウェンディーヌに掛け合っていたが、
彼女ら二人の反応はあまりにも鈍かった。

ウェンディーヌ「その女戦闘員とやらは港湾地区でいなくなったんでしょ?
 ならうっかり海にでも落ちて鮫の餌にでもなったんじゃないかしら」
灰色の老人「…し、しかし万一、脱走または敵に捕獲されていた場合、
 こちらの機密が敵対勢力に漏れる可能性が――」

ダスマダーに伴われる形で随行してきた、
古びたクタクタの黒いモーニングを着込んだ灰色の顔の老人も、
偉そうに椅子にふんぞり返る長官の翻意を促そうと必死に食い下がる。
しかし……。

フラビージョ「たかが女戦闘員の一匹や二匹どうだっていいじゃん。
 第一めんどくさいもん」
ウェンディーヌ「長官の決定は下ったわ!
 今日のところは引き下がる事ね、ダスマダー大佐。
 長官はとってもお忙しいのよ。ウフフ…」
ダスマダー「………」


***同城内・大廊下***

長官室からにべもなく追い返され、
城の大廊下を並んで二人で歩くダスマダー大佐と灰色の老人。

灰色の老人「なにがとってもお忙しいじゃ!
 闇女王同盟の威光を笠に着て今の地位に落ち着き、
 毎日威張り腐るだけで、ろくに仕事などしとらんくせに!
 いかにヘドリアン女王からの推挙があったとはいえ、
 いったい至高邪神様は何をお考えになって…」

年寄りらしく愚痴を口にする灰色の老人。
その時、急に立ち止まるダスマダー。

ダスマダー「そろそろ潮時だな…」
灰色の老人「――!!…と、すると…いよいよあの男を!?」

振り返るダスマダー。

ダスマダー「その通りだ。すでに至高邪神よりご内意を得ている。
 お前には直ちにあの男を迎えに、例の場所まで出向いてもらいたい」
灰色の老人「キヒヒヒ…心得た!」
ダスマダー「任せたぞ、死神クロノス!」

191

一方、その頃…。

***東京・国会議事堂・地下***

国会議事堂の地下に住む夢見の姫・丁(ひのと)は、
最高の力を持つ『夢見』の少女で、これまで政治家たちのために
日本の未来を予見していた。だが剣桃太郎が日本の総理となって以降、
以前に比べてその負担も減り、ここを訪れる者も少なくなっていたが……

蒼氷「丁姫様」
緋炎「ご来客でございます」
丁「剣総理ですね。すぐにお通ししてください」

丁を護衛する使命を帯びる
風使いの砕軌玳透(さいき・だいすけ)に案内されて
やって来たのは内閣総理大臣・剣桃太郎その人である。

砕軌「丁姫、剣総理をお連れいたしました」
丁「ご苦労でした砕軌殿。下がっていてください」

人払いを命じる丁。

丁「お久しぶりです、剣殿。その後江田島さまはご壮健で
 あられましょうか?」
桃太郎「はい。おかげさまにて塾長も達者でおります。
 ところで丁姫、見たところお顔の色が優れないようですが?」
丁「そうでしょうか。貴方がこの国の総理となられてからは、
 “夢見”としてのわらわの仕事も減り、ゆっくりと休ませて頂いている
 つもりですが……」
桃太郎「………(じっと見据える)」
丁「フフッ…やはり剣殿は欺けませんね。確かにわらわは眠りの中で
 未来を垣間見る夢見…」
桃太郎「休まれても真の休息ではない…」
丁「………」
桃太郎「ここ最近の黄泉がえりの騒ぎ、
 そして世界、いや宇宙各地での時空クレバスの発生…。
 前大戦で親しい者を亡くしていた人々からの立場、
 そして未知の異文明とのファーストコンタクトという観点から見れば、
 本来喜ぶべきことと言えなくもないが……」
丁「黄泉がえりの奇跡は一度は光の前に滅んだ邪悪な者たちまでも
 再び現世へと蘇らせてしまい、そして一の谷博士も仰っておられるように、
 時空クレバスは我々の友ではなく、敵も呼び寄せてしまう可能性もあります。
 これらは全ていずれ起こるであろう大きな戦乱の予兆であると思うのです」
桃太郎「丁姫、申し訳ありませんが、これからは貴女のお力も
 頻繁にお借りするときが来るかもしれません。どうかそのおつもりで…」
丁「喜んで。わらわに出来る事であれば何なりと…」

192

***日本・成田空港***

サザーランド「お待ちしておりました、アズラエル様」

ここは、日本を代表する空の玄関口の一つである成田国際空港…。

一足先に来日していた、連邦軍内部でのブルーコスモスの一員
ウィリアム・サザーランド大佐が、スーツ姿の優男――
――国防産業連合理事ムルタ・アズラエルを空港ロビーにて出迎える、

アズラエル「出迎えご苦労さん、サザーランド大佐」
サザーランド「白河氏が邸宅にてお待ちです。何やら今日は
 面白い見世物があるのだとか……」


***衆議院・予算委員会***

委員長「――では来年度予算についての質疑はここまでと致しまして、
 次の質問に移りたいと思います。参考人、地球連邦軍極東支部長官、
 三輪防人君!」
三輪「ゴホン」

発言席へと立つ三輪長官。

三輪「総理、貴方は現在わが国における社会風紀の乱れをどうお考えですか?
 女子高生による売春・妊娠、乱立する性風俗営業店、子供でも買える
 ポルノ雑誌等など……とりわけ性に関する乱れは目にあまるものがあります。
 総理、貴方のご意見を伺いたい」
桃太郎「委員長」
委員長「内閣総理大臣、剣桃太郎君!」
桃太郎「この地上には男と女しかおりません。そして性は
 その形いかんに関わらず個人の問題であり、人間の本能的なものでしょう。
 法に触れぬ限り、私は国家として口を挟む問題ではないと考えます。
 尤も既に男の道具がお役に立たなくなった方にはご理解頂き辛いとは
 思いますが」

三輪長官を遠回しに皮肉った剣総理のジョークに
委員会の場は爆笑の渦に……。

三輪「……(フフフ……調子に乗りおって。吠え面かくだけではすまさんぞ)」

193

三輪「では総理、貴方は今この地上には男と女しかおらぬとおっしゃいました。
 しかし私はここに興味深い写真を入手しました。これはある男と女の
 密会現場を隠し撮りしたものです。この写真に写っているこの人物は
 どなたですかな総理!!」

三輪は得意げに例の偽写真を出席の議員たちの前に見せびらかした。

桃太郎「………」

議員A「ば、ばかな…信じられん」
議員B「しかしあれは、まぎれもなく総理……!!」

三輪「ご覧ください議員のみなさん!! この写真の中で
 総理と抱き合っている女性は、なんとGショッカーの諜報工作員として
 警視庁公安部がマークしていた人物なのであります!
 もし国のトップが握る安全保障上の国家機密が侵略者に流れていたとしたら、
 これはまさしく由々しき問題なのであります!
 さあ、どう説明なされます総理! まさか貴方が売国奴だったとは!!」

***白河尚純邸***

先ほど邸宅に到着したばかりのアズラエルらと一緒に
テレビの国会中継を眺めている白河尚純。

白河「終わったな剣。いかな貴様でもこの場を切り抜けることはできまい……」

194

***再び、国会内の予算委員会***

桃太郎「フッ…」
三輪「何がおかしいのか総理! これが笑って済まされる問題ですかな!!」
桃太郎「残念だがその写真、写っているのは私ではない」
三輪「ワハハハハ!! この期に及んでとんだ苦し紛れを!
 これはどこからどう見ても総理、貴方自身ではないか!」
桃太郎「………」
三輪「もしこれが違うというなら、私を殴り殺しても構いません」
桃太郎「その言葉、お忘れないよう」

自ら三輪長官の眼前に進み出る桃太郎。

桃太郎「私は男塾という私塾の出身です」
三輪「知ってますよ。その後東大を卒業し、ハーバード大に留学したことも。
 それがどうかしましたか?」
桃太郎「男塾……そこはまさに命をかけた男の戦場だった。
 私はそこを生き抜いて来たのです。これがその証だ!!」

上着を脱ぎネクタイを外した桃太郎は、
議員たちの前で上半身裸になって見せた。
その肌には戦いの跡である無数の傷がついていたのである。

三輪「……き、貴様!?」
桃太郎「おわかりいただけたかな?」

議員A「総理の体にはあんなに無数の傷跡が……」
議員B「しかし写真の方の総理には傷ひとつない。ということは……」
議員C「その写真は偽物だ!!」
議員D「こんな茶番で国会を混乱させおって!
 一体この責任をどう取るつもりだ!!」

議場内に一斉に怒声と野次が飛ぶ。

桃太郎「所詮は猿知恵。沐猴にして冠す――やはり貴様に相応しい言葉だったな。
 さあ、さっきの約束を果たしてもらおうか!!」

周囲から大顰蹙を買ってオロオロしている三輪長官に
拳をポキポキと鳴らしながら迫る桃太郎。

三輪「ま、待て! やめろー! あれはつまり言葉のあやで……!
 ヒイイ――ッ!!!」

しかし桃太郎は繰り出したパンチを、三輪の眼前寸前のところで止めた。

桃太郎「覚えておけ。俺は日本国初の武闘派内閣総理大臣、剣桃太郎だ!!」

三輪「……(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク」

恐怖と混乱のあまり、腰を抜かしてその場に座り込み
全く動けないでいる三輪は思わず失禁してしまっている。
再び上着を身につけ、席へと戻る桃太郎。

桃太郎「さあ、審議を再開しましょう」

195

***白河尚純邸***

アズラエル「あー、もうダメダメです」
南「馬鹿めが……とんだ醜態を晒しおって」

テレビで国会中継で一部始終を見ていた白河たちであったが、
三輪長官の無様な失敗に失望を禁じえなかった。

白河「三輪長官も非を認め、おとなしく殴られれば
 まだ救いようがあったものを」
サザーランド「おそらくそれも計算した上でのパフォーマンスでしょう。
 残念ですがこれで三輪長官は、今の極東支部での地位も危うくなりましたな。
 これではいかにティターンズのジャミトフ・ハイマン大将といえども
 彼を庇いきれないでしょう。逆に剣総理は若年層を基盤に
 今後も一層支持率を得ることは確実ですな」

傍らに控えていた南雅彦が、白河にそっと耳打ちする。

南「それと白河先生、どうやら例のサコミズの一件で、
 何やらあちこち嗅ぎ回っている者がいるようです」
白河「報告にあった、以前のサコミズの部下だったとかいう、
 GUYSの元女性隊員の二人か……。南君、君らしくない不手際だったね」
南「申し訳ありません……」
白河「余計なことに気づかれては面倒だ。監視を続け、
 その二人の始末も早急につけてくれたまえ。もはや猶予はない」

外の空気を吸うためバルコニーに立つ白河。

白河「消すしかない。剣桃太郎をこれ以上生かしてはおけん」
アズラエル「よろしければこちらの生体CPUをお貸ししますヨ」
白河「生体CPUの駆る3機のガンダムか。しかし戦闘力だけで
 奴を殺すことは難しい……」

196

●フラビージョ、ウェンディーヌ→ヘドリアン女王の後ろ盾で、
 Gショッカー秘密警察の長官と長官補佐に地位にそれぞれ納まっている。
●ダスマダー大佐→フラビージョとウェンディーヌの二人に見切りをつけ、
 死神クロノスに"ある男"を呼び戻すよう指示。
○丁→剣桃太郎と会見。どうやら今のところ、二重人格は克服されている模様。
○剣桃太郎→国会での三輪防人からの追及を撃退する。
●三輪防人→剣総理失脚の陰謀は失敗。逆に国会内で大恥をかく羽目に。
●ムルタ・アズラエル、ウィリアム・サザーランド→ロゴスの日本支配計画の
 現状視察のため極秘裏に来日。
●白河尚純→剣総理の失脚計画が失敗し、暗殺に作戦変更。
●南雅彦→サコミズの無実証明のために独自に奔走している
 カザマ・マリナとアマガイ・コノミの二人の始末を白河より命令される。

【今回の新規登場】
●フラビージョ(忍風戦隊ハリケンジャー)
 宇宙忍群ジャカンジャの幹部である上忍・暗黒七本槍の壱の槍。
 元宇宙コギャルであり、上忍・中忍の任務達成状況などの報告・査定を
 担当している。可愛い外見とは裏腹に、やることはかなりえげつない。

●ウェンディーヌ(忍風戦隊ハリケンジャー)
 宇宙忍群ジャカンジャの幹部である上忍・暗黒七本槍の四の槍。
 倒された中忍の再生・巨大化を担当。怒りが頂点に達すると
 自らが巨大化してしまう体質(星一つ滅ぼしたことがある)を持つ。

●死神クロノス(仮面ライダーX)
 GOD日本秘密基地アポロン宮殿の案内人。クロノス地獄鎌が武器。

●ムルタ・アズラエル(機動戦士ガンダムSEED)
 ブルーコスモスの初代盟主。軍事産業連合理事を務め、
 政財界に対し強い発言力を持つ。Nジャマーキャンセラーを求め
 ジャスティスとフリーダムを付け狙った。

●ウィリアム・サザーランド大佐(機動戦士ガンダムSEED)
 地球連合軍のアラスカ本部に所属する、軍政部の大佐。
 実はブルーコスモスの一員。

○丁(Χ -エックス-)
 国会議事堂で政治家たちのために未来を夢で見る「夢見」の姫。
 世界の終末を知り、それを回避させるために「天の龍」を集める。
 裏丁と呼ばれる醜悪な二重人格が存在する。

○蒼氷(Χ -エックス-)
○緋炎(Χ -エックス-)
 丁に仕える二人のくノ一風の侍女。見た目は双子。
 どうやら式神のようである。

○砕軌玳透(Χ -エックス-)
 伊勢付きの『風使い』一族の一人で、蒼軌征一狼の甥。
 10歳の頃から丁に仕え、密かに想いを寄せる。


『シザースの最期!?

作者・ユガミ博士

197***都内の某高級レストラン***

所轄小竹署の刑事である須藤雅史は、
ある日、新宿西警察署の署長であるの野上冴子に
食事へと招かれた。

須藤「それにしても光栄です。あの小沢澄子と並んで
 警視庁きっての才媛と言われた貴女に、私のような者が
 こうして食事に誘われるなんて…」
冴子「うふふ…以前から貴方にはいろいろと
 興味があったのよ」
須藤「奇遇だなあ。実は僕もなんですよ。フフフ……」

円形のテーブルと上に並べられた料理を挟んで、
お互いに腹の探りあうかのように見つめ合っている二人。
そして冴子は適切なタイミングを見計らって、一枚の写真を
須藤の前に差し出した。その写真には、
巨大なハサミを持った黄色い異形の姿が2つ映っていた。

須藤「……何です、これは?」
冴子「さる筋からICPO経由で警視庁へと送られてきた証拠写真よ。
 この黄色い怪物が東副総監を襲った犯人ね」
須藤「ほぉー。このような写真が撮られていたとは……。
 しかしこれでは犯人らしき姿の詳しい素性まではわかりませんね」
冴子「それがね。この2体の怪物のうちの1体は、正体が貴方だって言う
 確かな証人がいるの」
須藤「……!!」
冴子「須藤刑事、貴方は東副総監が襲われた晩、
 どこで何をしていたのかしら?」

急に須藤の顔の表情が変わる。

須藤「…どういう意味でしょうか?」
冴子「貴方が過去に警察官にあるまじき違法行為を働いてきた事。
 これまでの調査で全てお見通しよ。そろそろ聞かせてもらえないかしら?
 貴方のこれまでの悪事の数々を揉み消すために力を貸してきた
 黒幕の名前を…」

しかし須藤は動じるどころか突然笑い出した。

須藤「ハハハハハ!!」
冴子「…?」
須藤「さすがは野上署長。よくそこまで調べ上げましたね。
 その通り。東副総監を襲ったのはこの私です」
冴子「あら、あっさり認めるのね。
 自白と受け取ってもよろしいのかしら?」
須藤「だが貴女に私を逮捕することはできない。
 …知ってるんですよ。貴女が裏であのシティーハンターと
 繋がっていることぐらい」

198冴子「………」
須藤「言ったでしょう。僕も貴女のことには以前から興味があったと…。
 こちらもいろいろと調べさせてもらいましたよ。貴女は警察の手に負えない
 難事件を解決する際に、度々あのシティーハンターに協力を依頼していた
 ようですね。いけませんねぇ…。警察官ともあろう者が
 闇の世界のスィーパーと関係があるだなんて……」
冴子「………」
須藤「貴女も昔と違ってもうオバサンなんですから、
 若い時みたいな無理はしないことですよ。フフフ……」

ところが、今度は冴子が笑い出す番だった。

冴子「うふふ…あはははは!!」
須藤「どうしたんですか!? 気でも触れましたか!?
 ……!!」

何かの気配に気づき、背後へと振り返る須藤。

冴子「リョウ、今の会話、しっかり録れた?」
???「ああ、この通りしっかり録れたぜ!」
須藤「誰だお前は!?」
???「フッ…お前が今話してたシティーハンターさ」

二人のテーブルの前に、ICレコーダーを片手に持った男が現れた。
裏の世界ではNo.1の凄腕のスィーパー。飄々と、それでいて鋭く、
法では裁けぬ悪を撃ち、その戦闘能力は、
本気になれば「東京さえ壊滅できる」ほどだが、
そのハードな稼業とは裏腹に「恐怖のもっこり男」の異名を持つ
比類なきスケベでもある冴羽撩その人の登場である。

須藤「くそぉーっ!! 罠だったのか!?」

逆上した須藤は懐から拳銃を抜こうとするが、
今度は撩とは別の方向から飛んできた弾丸が右手を掠める。

須藤「くっ…! 誰だ!?」

もう一人、拳銃を持った少女が須藤を牽制しつつ近づく。

香瑩「撩パーパ!」
撩「よくやった香瑩」

須藤「くそ、もう一人いたのか!」

冴子「覚えておきなさい。事件解決のためなら多少の
 非合法捜査も辞さないのが今も昔も私のやり方よ。
 それからもう一つ――」

冴子は屈んでいる須藤の胸座を掴み上げ、
腹にめがけて肘蹴りを食らわす!

須藤「――げほっ!?」
冴子「私はまだ若~い!!

199須藤「な、なめやがって~!!」

須藤は一瞬の隙を突いて懐からカードデッキを取り出し、
Vバックルへと装填した。

須藤「――変身!!」

全身メタリックオレンジに包まれた異形の姿――
――仮面ライダーシザースへと姿が変わる。

冴子「とうとう正体を見せたわね」
シザース「こうなったら貴様ら全員生かしてはおかん!
 皆殺しダァァ――!!」

シザースが左腕に装備されたハサミ型――シーザスバイザーの凶刃を
冴子たち3人めがけて振り下ろそうとした瞬間――、
高性能センサー内蔵マシンガン・トライショットの弾が
シザースめがけて炸裂した!!

シザース「ぐああああっっ!!!!」

シザースの前に立ちはだかったのは、
ビットスーツと呼ばれるグリーン、ブルー、グレー、
それぞれ3色の戦闘装甲服に身を包んだ3人の刑事――
――マーズビット、マーキュリービット、サターンビットであった。

冴子「ご苦労さん、サイバーコップのみんな!」
マーズ「野上署長、お怪我は!?」
冴子「私たちは大丈夫。それよりも早く須藤を!」
マーキュリー「了解!」
サターン「今まで気づかれないよう密かに内定調査を続けていたが、
 とうとう尻尾を見せたな。この警察官の面汚し野郎め!
 神妙にしろいっ!!」

シザース「くそ~! こんなところで捕まってたまるかぁ~!!」

多勢に無勢と見たのか、その場から逃げ出すシザース。

マーズ「待て須藤刑事! 往生際が悪いぞ!」

199 ***レストラン正面入口***

変身を解除し、他の通行中の客や従業員を押しのけて、
建物の外へと走り出る須藤。

???「乗れっ!」
シザース「……!?」

レストランの玄関に停めてあったサイドカーの男(ヘルメットで顔は見えない)は、
須藤を助手席に乗せると猛スピードでその場から走り去った。

マーズ「しまった、逃げられたか…」
冴子「あのサイドカーの男、一体何者……??」


***都内・郊外の某廃工場跡***

須藤「助かりましたよ、草加さん」
草加「………」

窮地の須藤を救ったのは、やはりあの草加雅人であった。

須藤「とにかく、これから私はティターンズを頼って海外に高飛びしますよ。
 南さんにはよろしくお伝えください」
草加「ククククッ……」
須藤「何がおかしいんですか?」
草加「悪いんだけど、もうこれ以上アンタにこの世でうろちょろ
 されても困るんだよなぁ……」
須藤「何っ!?」
草加「…変身!!」

Complete!!

須藤「何をするっ!? うわあああ~!!」

カイザに変身した草加にいきなり吹っ飛ばされる須藤。
訳もわからぬまま、彼も慌ててシザースに変身して応戦する。
だが先ほど香瑩から撃たれた右手を負傷しているため、思うように戦えない。

シザース「くっ…!! 貴様ああ~っ! 何の真似だぁっ!?」

ボルキャンサーを召喚するシザース。

カイザ「ふんっ!!」

シザースの問いにも答えず、カイザはミッションメモリーを
カイザブレイガンに装填し、カイザフォンのENTERキーを押す。

Exeed Charge!!

ガンモードでシザースを捕縛状態にした後、ブレードモードで切り裂き、
哀れ最後には「Χ」の紋様が浮かび、一瞬でシザースは灰化してしまった。

シザース「そ…そんなっ、ぎゃああああ~~!!!」
ボルキャンサー「グオオオオ…!!」

遅ればせながら、主を失って咆哮するボルキャンサー、
カイザめがけて突進してくるが、すぐさまカイザはサイドバッシャーに乗り込み、
バトルモードに変形させてエグザップバスターを発射して
ボルキャンサーにミサイルの雨をお見舞いした。

轟音の後、暫し沈黙が流れる……。

カイザ「フン、くたばったか……」

200***都内某所・対オルフェノク地下研究所***

アジトに帰り、雇い主である南雅彦に事の次第を報告する草加。

南「ご苦労だった草加君。これで東副総監襲撃の件の真相は、
 永久に闇の中へと葬り去られるだろう。白河先生もお喜びだ」
草加「……ああ。それで、いずれは俺のことも須藤刑事のように
 冷酷に切り捨てるつもりなのかなぁ~?」
南「フハハハハ…何を馬鹿な……」
草加「俺は他の連中とは違う。そう簡単に蜥蜴の尻尾にはならないぜ。
 くれぐれも俺に対してだけは妙な考えを起こすなよ」
南「……覚えておこう。それよりも須藤の始末を終えた直後で悪いが、
 もう一仕事してもらえないかね?」

そういうと南は草加に4枚の顔写真を手渡した。

草加「こいつらは?」
南「元GUYS JAPANの隊員たちだ。その内2枚に映っている
 女二人が、かつての上官であったサコミズの無実を証明しようと、
 いろいろと嗅ぎまわっている」

写真を一枚ずつまじまじと見つめる草加。

草加「驚いたな。スペインリーグのイカルガ・ジョージまで
 いるじゃないか」
南「イカルガ・ジョージともう一人の男の方は今日本にはいない。
 それよりも現在日本国内にいる女二人の方を早急に片付けろ。
 これは白河先生からのご指示でもある」
草加「フン…女の始末か。俺の仕事じゃないな。
 確かアンチショッカー同盟とか言う連中がいただろう。
 そいつらにやらせたらどうだ?」
南「仮にも元はGUYSの隊員だった人間を始末しろなどといったら、
 さすがの奴らも私に疑念を抱く。それにもう既に人間一人を始末したんだ。
 多少始末する人間が増えたところでどうという事はないだろう?」
草加「須藤はミラーワールドに魂を売った時点で
 もう人間じゃない」
南「断るのか? ……確か園田真理とか言ったか。
 彼女の身に何事か起こらなければいいがね」

南がさりげなく真理の名を口にした途端、草加の形相が一変した。
突然南の胸座を掴み上げ、激しい口調で詰め寄る。

草加「きさまあああっっ!! もしも真理に万一の事があってみろ!
 この世に生まれてきた事を後悔するほどズタズタに引き裂いてやるっ!」
南「なら黙って引き受ける事だな。すでに君も我々と同じロゴスの一員だ。
 君も私も後に引けないところまで来ているのだよ」
草加「………」

201○野上冴子、冴羽撩、香瑩、サイバーコップ→東副総監襲撃の実行犯が
 須藤雅史である事を突き止めて追いつめるが、逃げられてしまう。
 須藤から黒幕の名を聞きだすことは出来ず。
●須藤雅史、ボルキャンサー→草加雅人に助けられて脱出するが、
 直後に口封じのため殺されてしまう。
●南雅彦→草加雅人から須藤雅史を始末したとの報告を受ける。
 さりげなく園田真理の名を持ち出し、草加にカザマ・マリナと
 アマガイ・コノミ二人の始末を強要する。
△草加雅人→南雅彦の指示で、須藤雅史の口を封じる。
 同時に南雅彦に対し、自分を捨て駒扱いしないように牽制するが、
 南からカザマ・マリナとアマガイ・コノミの始末を強要される。

【今回の新規登場】
○冴羽撩(シティーハンター/エンジェル・ハート)
 シティーハンターと呼ばれる、裏の世界ではNo.1のプロのスィーパー。
 香瑩の養父。新宿駅東口の伝言板に「後が無い」という意味を込めた
 「XYZ」という暗号を書いて依頼してくる様々な人々を助け、
 法で裁けぬ悪を撃つ。ハードな稼業とは裏腹に、「新宿の種馬」、
 「恐怖のもっこり男」の異名を持つ比類なきスケベでもあり、
 若い女性に手を出すたびに香及び香瑩から100tハンマーの
 天誅を食らっている。

○香瑩=グラスハート(エンジェル・ハート)
 台湾の黒社会組織「正道会」に殺人兵器として養成された少女。
 自殺を図ったが、交通事故死した槇村香の心臓を移植され、組織を脱走。
 新宿で冴羽撩と出会い、彼の養女となり行動を共にする。
 実は「正道会」のボス李堅強の実の娘だが、本人はその事は知らない。
 香と同じく100tハンマーの使い手。

○北条明=マーズビット(電脳警察サイバーコップ)
 警察学校ではトップ成績だったZACのエリート刑事。実は天才的な少年ハッカーであった
 過去を持ち、自分を補導し、「正しい正義」に導いてくれた織田キャップを父親
 のように信頼している。武田真也=ジュピタービットのことを「トーシロ」と呼び、
 事あるごとに反発しあうが、戦いを共にするうちに仲間として、そして友人として
 認めるようになる。ビーストマスター・ルナと愛し合うようになったが、
 彼女の悲劇的な最期を看取った。

○西園寺治=マーキュリービット(電脳警察サイバーコップ)
 自分の方が先輩なのに何故か武田のことを「先輩!!」と呼ぶ、ZACの一員。
 やはり警察官であった兄を超えるために自分も警察官の道を選んだ。
 幼い頃、母親にプレゼントされたリカちゃん人形を大切に持っている。

○毛利亮一=サターンビット(電脳警察サイバーコップ)
 ZAC一のお調子者でギャグメーカー。ドジも多いが何故か憎めないキャラクターで、
 武田と北条のいつもの喧嘩の仲介役になることも多い。
 趣味は音楽と、そしてナンパだが、けっしていい加減な性格でもなく、
 ちゃんと他人のことを考えていたりする。基本的に貧乏。
 いつも田舎に残してきた妹たちのことを心配している。