『シグフェルは鳥人兵!? 復活の大鉄人!』-1

作者・ホウタイ怪人

1501

***東京都小笠原諸島・父島***

ここ最近、小笠原村のコーヒーノキ畑が何者かによって荒らされる事件が多発していた。
その日のすっかり寝静まった深夜、害獣の仕業かと警戒した農家が交代でパトロールをしていた。

農民A「ひえええ~~!!」
農民B「ば、化け物ォ!?」

目撃した農家の証言によると、それは紅の大きな翼をはやした
鳥人のような姿をした影であり、遭遇した途端一目散に逃げ去って行ったという。

???「キヒヒヒヒ!!!」

それは、名前以外は未だ正体素性の全く知れぬ
あの謎の戦士シグフェルの姿形によく似ていたのである。


***羽田空港・国際線ターミナル玄関***

滝「やあ、これはこれは、わざわざレッドマフラー隊の諸君に
 出迎えてもらえるとは光栄だな」
村中「滝捜査官、お待ちしていました」
小野「ご案内します。本郷さんと一文字さんもお待ちです」

アメリカのFBI特命捜査官・滝和也は、合衆国公文書館から預かってきた
ある極秘資料を黒革のアタッシュケースの中に携えて来日した。
レッドマフラー隊の村中・小野両隊員の車に同乗し、
レッドマフラー隊基地へと入った滝は、そこで長年の戦友、
仮面ライダー1号=本郷猛と同じく仮面ライダー2号=一文字隼人と
久々の再会を果たしたのだった。

滝「早速だが、これが先日国家機密指定が解除されて
 一般に情報公開されたファイルの中身だ」
本郷「これが小笠原諸島に戦時中に存在したという
 旧日本軍の基地に関する資料か…」
滝「二人とも小笠原近海の東之島新島のニュースは
 知っているな?」
一文字「ああ勿論だとも」

昨年、小笠原諸島の父島南南東500kmの海で海底火山が噴火し、
新しい陸地が出現して世を騒がす大ニュースとなった。
政府はその新しい島を「東之島新島」と命名したが、
実はその影響で、第二次大戦中に旧日本軍が密かに使用していて、
終戦後に海底に廃棄されて沈んだ筈の極秘研究施設跡が隆起し、
再び地表へと現れたのである。

当時、終戦間際の日本では戦時下の劣勢を挽回すべく、
超人機計画や鉄人計画などのオーバーテクノロジーの開発研究が
急ピッチで進められていたが、その中の一つに「鳥人兵」計画なる
プロジェクトも存在していた。
屈強な兵士を翼を持つ特攻兵士へと生体改造し、
米軍の艦隊に大打撃を与えようとする作戦計画であったが、
結局それも日本のポツダム宣言受諾により幻に終わっている。

その「鳥人兵」の姿形や性能はシグフェルに非常によく似ており、
ちょうど東之島新島隆起のニュースと前後して、
小笠原諸島で鳥人兵と思われる謎の影の目撃談も多数発生していたのである。

剣持「確かにシグフェルは毎度の事出現しては、
 いつも東京湾岸方面へと飛び去っている。
 小笠原近海なら方角も合うな」
本郷「まだ断定するには早いが、直接行って確かめてみる価値はありそうだ」
一文字「それじゃあいっちょ小笠原まで足を運んでみますか♪」

1502

***SS-N(スーパー・サイエンス・ネットワーク)基地・研究司令室***

麗子「――なんですって!? それは間違いないのね!」
大崎「ハッ、我々は麗子様のご命令に従い、かねてよりFBIの動きを
 マークしておりましたが、どうやらブレイバーズと合流して
 東之島新島へと向かうようです」
麗子「オホホホッ…これはまた、意外な展開ね」

部下のコマンダーの一人・大崎から報告を受け、不気味なうすら笑いを浮かべる、
狂気のマッドサイエンティスト集団SS-Nの女首領・綾小路麗子。

麗子「Gショッカーの全組織が総力を挙げても掴めなかった
 シグフェルの正体が、旧日本軍が遺した生体兵器だったとは…。
 大崎、シグフェル…いえ、鳥人兵の秘密は当然あたしたちSS-Nの物よ!」
大崎「直ちに東之島新島へと向かいます!」


***改造実験基地ラボー・生命改造実験室***

ここは改造実験帝国メスの円盤型巨大移動要塞ラボーの中である。

ケフレン「………」

棺のような透明カプセルの中で横たわりながら目覚めの時を待ち
静かに眠っているネオ生命体ドラスの横で、今日も大博士リー・ケフレンは、
獣戦士を生み出す生命合成装置・遺伝子シンセサイザーの生命倫理を無視した
悪魔のメロディを熱心に奏でている

ネフェル「ケフレン様、ただ今戻りました」
ケフレン「ネフェルか?」
ネフェル「耳寄りな情報です、暫しお耳を…」

メスの女幹部レー・ネフェルは、父とも慕う主人ケフレンの小耳に
何事かをそっと囁く…。

ケフレン「なに、シグフェルが…?」
ネフェル「ブレイバーズが動き出したようです。
 小笠原の東之島新島近くに捜索隊を派遣した模様です」
ケフレン「フフフフッ…私の研究ファイルにシグフェルというサンプルを
 新たに加えてみるのもまた面白い。ドラスの改造強化にもいろいろ役立つだろう。
 獣戦士ザ・アルゴスを連れて行くがよい」
ネフェル「お任せください。必ずやケフレン様に吉報を」

ザ・アルゴス「グォォォッッ…!!」

ザ・アルゴスと兵士ゾローたち引き連れてラボーから出撃するレー・ネフェル。
小笠原近海の美しい海で、今、シグフェルの謎を巡る激しい捕獲争奪戦が
開始されようとしていた。

1503

○滝和也→アメリカ公文書館からの極秘ファイルを携えて来日。
○本郷猛→シグフェルが旧日本軍の鳥人兵かどうか確かめるため、東之島新島へ向かう事に。
○一文字隼人→シグフェルが旧日本軍の鳥人兵かどうか確かめるため、東之島新島へ向かう事に。
○剣持保→シグフェルが旧日本軍の鳥人兵かどうか確かめるため、東之島新島へ向かう事に。
○村中隊員→羽田で来日した滝和也を出迎え、レッドマフラー基地まで案内する。
○小野隊員→羽田で来日した滝和也を出迎え、レッドマフラー基地まで案内する。
●綾小路麗子→大崎を東之島新島に派遣する。
●大崎→シグフェル捕獲のため、東之島新島へ向かう。
●大博士リー・ケフレン→レー・ネフェルとザ・アルゴスを東之島新島へ派遣する。
●レー・ネフェル→シグフェル捕獲のため、東之島新島へ向かう。
●獣戦士ザ・アルゴス→シグフェル捕獲のため、東之島新島へ向かう。

【今回の新規登場】
●綾小路麗子=超獣神(特捜ロボ ジャンパーソン)
 スーパーサイエンス・ネットワーク(SS-N)の首領で、博士号を持つ科学者。
 部下からは「麗子様」と崇拝されるが、ジャンパーソンに敗北した場合はどれだけ忠誠心厚い部下であろうと容赦なく切り捨てる非情な一面も持ち合わせている。

 幼い頃にステーションの事故で両親を亡くし、強制脱出の形で地球に帰還、父親の同僚である倉橋博士に育てられた。その後、自身も優秀な科学者となったが地球環境の劣悪さに絶望し、「人間は地球環境の敵」という急進的な思考に走りSS-Nを結成する。
 最後は自らを超獣神に改造し、全人類肥料化を企んだが、ジャンパーソンらにより計画は阻止され、
 地球への思いを募らせながら息絶え、亡骸は光の粒子と化して消滅した。

●大崎(特捜ロボ ジャンパーソン)
 スーパー・サイエンス・ネットワークの工作員の隊長。外見は迷彩服を着用する普通の人間だが、
 銃弾が全く通用しない。古代文明の遺産である鉄鋼兵がジャンパーソンの正体と勘違いし追跡するが、暴走した鉄鋼兵のビームを浴び、部下ともども消滅してしまった。

●獣戦士ザ・アルゴス(超新星フラッシュマン)
 メスに滅ぼされた星々を蘇らせて回る不死鳥を、その遺伝子を欲するリー・ケフレンの命により追う獣戦士。
 宇宙空間を飛ベ、超音波による関知能力がある。瞬間移動で攻撃を躱し翻弄、顔から胸部にかけて並ぶレンズからの光線で攻撃する。不死鳥の羽根が刺さったためにローリングバルカンが命中する。
 クラーゲンが巨大化させた後も瞬間移動を使うが、キングフラッシュで無効化された。


『シグフェルは鳥人兵!? 復活の大鉄人!』-2

作者・ホウタイ怪人

1504

***日本海溝・ブレイバーベース 司令室***

剣持@通信「こちら剣持、まもなく東之島新島に到着します」

東之島新島へと探索に向かったレッドマフラー剣持隊に、
本郷猛、一文字隼人、それに滝和也も加えたシグフェル捜索チームは、
船上からもブレイバーベース司令部と綿密に連絡を取り合っている。

エルファ「東之島新島の火山活動は、ここ三週間は休止しており安定期に入っています」
剣持@通信「旧日本軍の軍事施設跡地の中を探るなら今ですな」
佐原「だが剣持君、悪いニュースだ。どうやらコルベット准将も
 我々の動きを嗅ぎつけたらしい」
剣持@通信「それは本当ですか!?」
佐原「すでに准将配下の部隊が我々の先回りをして
 伊豆を発った事が確認されている」
剣持@通信「一足違いでしたか…」
佐原「旧日本軍の軍事施設跡地では何が起こるかわからん。
 くれぐれも慎重に行動してくれたまえ。解っているとは
 思うが、深追いは禁物だ。危険だと判断した場合は
 すぐに撤退するんだ」
剣持@通信「了解!」


***小笠原近海・東之島新島***

海底火山の噴火で隆起した東之島新島の南西端には、
偶然にも第二次大戦下での旧日本軍の海底秘密施設跡が、
洞窟の入り口となって自然と現れたのだった。

ボートを陸地に接岸させた剣持、本郷ら捜索隊は、
早速内部へと足を踏み入れた。そこで彼らが見たものは、
地球連邦軍兵士たちの無残に散らばった死体の山だった。

小野「キャッ!!」
本郷「これは…!?」
村中「間違いない。コルベット准将が連れて来た部隊の連中だ」

死体の側に滝和也が近寄り、現場の状況を検分する。

滝「惨い事しやがる。まるで鋭い爪か何かで引き裂かれたような殺され方だ」
海野「もしかしてシグフェルの仕業でしょうか?」
一文字「…とすると、シグフェルはやはり我々にとっての敵か」
剣持「いや…どうやらまだ他にも歓迎されない先客がいるようだ」

その様子をそっと窺っている一体のメス兵士ゾローの姿が…。

ゾローA「………」

1505

***東之島新島・旧日本軍施設跡地の奥***

ワンダ「他愛もない地球連邦軍の兵士どもめ。
 この俺がキラーセイバーの錆にしてやったわ!」
ネフェル「無駄口を開いている暇はないわワンダ。
 この先にシグフェルが棲みかにしている巣があるはずよ。
 なんとしてもシグフェルを生きたまま捕え、ケフレン様のもとへ!」
ザ・アルゴス「グォォッッッ!!!」

先に到着していたコルベット准将の部隊を始末したのは、
改造実験帝国メスの幹部レー・ワンダと獣戦士ザ・アルゴスの仕業だったのだ。
そこへ先程のゾローが戻って来た。

ゾローA「#$%&’?‘<……」
ネフェル「なんですって!? ブレイバーズがこの島に?」
ワンダ「どうしたのだネフェル?」
ネフェル「ブレイバーズの奴らが現れたわ。
 しかも本郷猛と一文字隼人も一緒」
ワンダ「伝説とまで謳われたダブルライダーか。
 ちょうどフラッシュマンも地球におらず退屈していたところだ。
 このレー・ワンダの相手にとって不足はない」
ネフェル「仮面ライダーの相手なら後よ。
 まずはこの先に進むのが先決!」

洞窟の道を先へと急ぐレー・ネフェルたちメスの一味。
その後をこっそりと尾行するのは、SS-Nの大崎達である。

大崎「メスの奴らが来ていたとは…。
 だがシグフェルは我らSS-Nの獲物。
 連中とブレイバーズの奴らを上手く鉢合わせさせて、
 共倒れを狙うとするか。くくくくっ…」

例え同じGショッカーの身内と言えども、利害関係が対立してしまえば敵同士。
大崎は、メスとブレイバーズを戦わせている間に漁夫の利を得ようと
ズルい考えを浮かべていた。

しかし世の中そう都合よくはいかなかったのである…。
大崎達に狙いを定めた不気味な目が、殺気を漲らせながら光っていた事に、
この時はまだ誰も気づいてはいなかった。

???「………」

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1506

***日本海溝・ブレイバーベース 司令室***

その頃、指令室で剣持隊からの定期連絡を静かに待っている佐原博士。
そこに再びエルファのホログラフィが報告のため姿を現す。

エルファ「佐原博士、"ワンセブン"の調整が完了しました。
 いつでも出撃可能です」
佐原「三郎君…いや、南隊員は?」
エルファ「すでにスタンバイを終えています」
佐原「わかった。そのまま待機していてくれ。
 出撃の時が来たら私が指示を出す」
エルファ「了解しました」

佐原博士からの指示を理解したエルファは、
自身のホログラフィをフェードアウトさせた。

そしてブレイバーベースの格納庫では、身長50メートル、体重200トンという巨体を誇る
移動要塞型の意思を持つ可変式巨大ロボットが、相棒(パートナー)である親友の少年と共に
その出撃の時を今かと今かと待っていた。

ワンセブン「………」

1507

○本郷猛→東之島新島に上陸。旧日本軍施設跡へと潜入する。
○一文字隼人→東之島新島に上陸。旧日本軍施設跡へと潜入する。
○滝和也→東之島新島に上陸。旧日本軍施設跡へと潜入する。
○剣持保→東之島新島に上陸。旧日本軍施設跡へと潜入する。
○村中隊員→東之島新島に上陸。旧日本軍施設跡へと潜入する。
○海野隊員→東之島新島に上陸。旧日本軍施設跡へと潜入する。
○小野隊員→東之島新島に上陸。旧日本軍施設跡へと潜入する。
○佐原正光→ワンセブンを出撃待機させる。
○ワンセブン→ブレイバーベースで出撃の時を待つ。
●レー・ワンダ→東之島新島に上陸。コルベット准将配下の部隊を血祭りにあげ、旧日本軍施設跡へと潜入する。
●レー・ネフェル→東之島新島に上陸。旧日本軍施設跡へと潜入する。
●ザ・アルゴス→東之島新島に上陸。コルベット准将配下の部隊を血祭りにあげ、旧日本軍施設跡へと潜入する。
●大崎→東之島新島に上陸。旧日本軍施設跡へと潜入する。メスとブレイバーズの共倒れを画策。

○エルファ→東之島新島の現状について調査報告。佐原博士の指示で、ワンセブンを出撃待機させる。


『シグフェルは鳥人兵!? 復活の大鉄人!』-3

作者・ホウタイ怪人

1508

***東之島新島・旧日本軍施設跡の洞窟***

SS-N工作員A「うわああっっ!!」
SS-N工作員B「ぎゃあぁっっ!!」

洞窟の先の奥から、数人の男らしき悲鳴が聞こえた。

本郷「この悲鳴は!?」
剣持「行ってみよう!」

本郷たちや剣持隊が辿りついた先では、傷口から白い泡や粘液のようなものが
噴き出た死体が数体転がっていたのである。

滝「コイツらは人間じゃない。バイオ生命体だ…」
剣持「Gショッカーの傘下組織の一つ、SS-Nにこういう連中がいると
 聞いた事がある」
村中「…とすると、コイツらはSS-Nの工作員とみて
 間違いないですね」
海野「ちっきしょう、Gショッカーの奴らもここの噂を
 嗅ぎつけてやがったのか」

さらに奥の方では、激しい揉み合いや銃撃戦の音が聞こえる。
気づかれないように無言でそっと近づく剣持隊。
そこでは迷彩服に身を包んだSS-Nの工作員部隊が、
暗闇の中で見えない影の群れと戦闘の最中だった。

大崎「…お、おのれ化け物どもめ!
 ――うわっ!? 何をする放せ!!
 た…助けてくれ~!!」

???「キキーッッ!!」

背中から大きな羽を生やしたその謎の怪物の影が、
生き残った大崎たち数人をまとめて鷲掴みにすると、
どこかへと連れ去ってしまった。

一文字「今の鳥みたいな影は少なくとも数体はいたな。
 シグフェルってのは一人じゃなかったのか?」
村中「隊長、これはいったい?」
剣持「後をつけるぞ!」

◇   ◇   ◇

大崎達を連れ去った謎の影の群れを尾行する本郷らと剣持隊。
その先には大空洞が存在し、見た事もないような怪物たちの大集団が
不気味な喊声を挙げながら犇めいているという、世にも異様な光景が
彼らを待ちかまえていたのである。

1509

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  兄▲△8▲8△兄▲8▲△8兄8▲△8△兄兄▲8▲8兄▲兄8△▲
  人  、⌒ , ,;;;゚ ゚;;, 、⌒ , ,;;;゚ ゚;;,   人   人  、⌒ , ,;;;゚ ゚;;,  人  、⌒ , ,;;;゚ ゚;;,
(__) フリス ;;;;,,,,,,;;;, フリス ;;;;,,,,,,;;; (__)(__) フリス ;;;;,,,,,,;;; (__) フリス ;;;;,,,,,,;;;
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  /っノl (   ) /っノi´   `i /っノ :;;,,,,,,,,;;;: /っノ(___) /っノl (   )
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海野「な、なんだあいつらは!?」
小野「いつの間にこんな空間が…。まるで悪い夢を見ているみたいだわ」
剣持「見た事もない連中だ。Gショッカーの怪人でも、
 星間評議会から情報のあったETFや宇宙連合のエイリアンとも
 また違うようだが…」

┏━┳┳┳┓    /    / c'⌒)
┣━┫┣┻┛    /  /\ ヽ   ̄ ヾミヽ   _
┣━┛┣┓     /  /   > ヽ   ヾミミヽ ヽ ヽ
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┏━┻┓┏┓┃ /_/ 彡"ヾ`ヽ  //  ヾミミ彡ヽっー '
┣━━┫┃┗┛    [O三三] //   ヾミソ "し`-'
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┣┳╋┫        \\( ゚∀゚) </゚∀゚)
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┣╋╋┫ ヽ( ゚∀゚)ノ/     イ、ヽ
┗┻┻┛   ノリ从ル /     / ヽ )

1510

大空洞の壁面には魔神のレリーフが刻まれ、
やがて松明が掲げられた壇上に、モンスターたちの指揮官と思しき
巨大な翼とクチバシを持つ三つ目の魔物が立ち、演説を始めたのである。

ジャミラス「諸君! 今こそ われらが 立ち上がり…
 新しき世界の扉を開く時が来た!!
 そう! 魔物の魔物による魔物のためだけの新天地だ!
 まもなくこの世界はわれら魔界同盟の新領土となる!
 その暁には私は諸君に充分な恩賞を与えると約束しようではないか!
 私はウソはつかない! 立ち上がれ諸君!」

大歓声に沸くモンスターたち。
そして、その光景をじっと窺っている本郷たち。
どうやらシグフェルと思われていた謎の影の正体は、
この魔物たちの内の鳥類系モンスターであったようだ。

一文字「奴らはシグフェルとは関係ないらしいな」
本郷「魔界同盟…。以前に次元警察を通じて連絡があったが、
 Gショッカーとは別の新たな敵が現れたようだ」

来るべき地球侵攻の日に備え、魔界同盟の先遣隊として派遣されたジャミラスは、
たまたま見つけた旧日本軍跡地の洞窟をアジトに使っていたようだ。
小笠原村で度々目撃されていた謎の影も、彼らの偵察行為だったのだ。
ジャミラスは、壇上すぐ傍の脇に鎖で縛って
捕えてある大崎たちに目を向ける。

ジャミラス「………」
フライングデビル「キキーッ! ジャミラス様の御前だぞ!
 神妙に控えぬかお前たち!」
大崎「おのれシグフェル! 俺たちをどうするつもりだ!?」
ジャミラス「シグフェル…? なんのことだ。
 我が名はジャミラス! 偉大なる大魔王デスタムーア様に仕える
 四大魔王が一人よ!」
大崎「なんだと! すると貴様はシグフェルではないのか!?」
ジャミラス「くどい! きっきからずっと何を訳のわからぬ事を。
 これからお前たちはわれら魔界同盟の崇める黒き神々に
 生贄として捧げられるのだ~!」
大崎「くっそ~! このまま黙って殺られてたまるか!!」

縛られたままの大崎はその開いた口から、
発光するナメクジのような物体を舌のように出して
ジャミラスを威嚇した。意外な光景に驚くジャミラス。

ジャミラス「貴様ら、人間ではないのか!?」

そのやり取りを、本郷や剣持たちとはまた別の方向から
気づかれないように覗き見ている一団がいた。
改造実験帝国メスのネフェルとワンダたちだ。

ワンダ「あれはSS-Nの連中だ」
ネフェル「私たちが尾行に気づいていないとでも
 思っていたのかしら。無様ね」
ワンダ「どうするのだネフェル?」
ネフェル「シグフェルと関係ないと解った以上、
 もはや長居は無用。引き揚げましょう」
ワンダ「しかし、このまま手ぶらで帰る訳には…」

1511

こっそりと撤収しようとしていたネフェルたちであったが、
すでに背後にはジャミラス配下の魔物たちに取り囲まれていた。
それは別方向の剣持隊も同様であった。

ネフェル「――!?」

村中「隊長、こっちもです!」
剣持「完全に退路を塞がれたか!」

ジャミラス「先程からのお前たちの気配に気づいていない
 私だとでも思ったか! ここを見られたからには
 どの道生かしては帰さん! 殺れーッ!!」

ジャミラスの号令の下、配下の魔物軍団が一斉に
剣持隊とメスの一味に向かって襲いかかる。
ジャミラス配下のフライングデビルたちが次々と
空中に舞い上がり、華麗なムーンサルトで連続の回転蹴りを
容赦なくお見舞いして来る。剣持隊は銃撃や格闘戦、
メスの一味は兵士ゾローが口から粘る糸を吐きだして応戦する。

ハエまどう「ヒャド!」
滝「おっと!」

滝和也は敵の魔導師が唱える氷系の呪文攻撃を避けつつ近づき、
パンチやキックで敵を倒して行く。

本郷「いくぞ一文字!」
一文字「おう本郷!」
本郷「変身!!」
一文字「変身!!」

本郷猛と一文字隼人はベルトの風車に風力を与えることによって
仮面ライダーに変身するのだ!
その姿にジャミラスがじっと目を見張る。

ジャミラス「そうか…貴様らがゲマから報告のあった"カメンライダー"か。
 するとお前たちがブレイバーズとかいう連中だな?」
ライダー2号「ほお~わざわざ遠い異世界にまで
 俺たちの噂が届いていたとは光栄だな」
ジャミラス「私自ら相手をしてやる。来い!」
ライダー1号「ゆくぞッ!! トオッッ!!」

ブレイバーズ、Gショッカー、魔界同盟による三つ巴の大乱戦の中、
その混乱のどさくさにまぎれて、なんとか自力で鎖の拘束を解いた大崎たちは
ネフェルたちにそそくさとすり寄った。

大崎「メスの諸君、いいところに来てくれた!
 同じGショッカーの同志として共に力を合わせて戦おう!」
ワンダ「なんと調子の良い奴らだ!」
ネフェル「本当は私たちとブレイバーズを潰し合わせて、
 その隙にシグフェルを一人占めしようとしていたのではなくて?」
大崎「そ、そんなことは……(汗」
ネフェル「まあいいでしょう。命の芸術家、大博士リー・ケフレン様の
 最高傑作であるわれらの力とくと見てなさい!」

1512

○本郷猛/仮面ライダー1号→東之島新島の旧日本軍跡地で、魔界同盟のジャミラスたちと遭遇。交戦状態に。
○一文字隼人/仮面ライダー2号→東之島新島の旧日本軍跡地で、魔界同盟のジャミラスたちと遭遇。交戦状態に。
○滝和也→東之島新島の旧日本軍跡地で、魔界同盟のジャミラスたちと遭遇。交戦状態に。
○剣持保→東之島新島の旧日本軍跡地で、魔界同盟のジャミラスたちと遭遇。交戦状態に。
○村中隊員→東之島新島の旧日本軍跡地で、魔界同盟のジャミラスたちと遭遇。交戦状態に。
○海野隊員→東之島新島の旧日本軍跡地で、魔界同盟のジャミラスたちと遭遇。交戦状態に。
○小野隊員→東之島新島の旧日本軍跡地で、魔界同盟のジャミラスたちと遭遇。交戦状態に。
●大崎→東之島新島の旧日本軍跡地で魔界同盟のジャミラスたちと遭遇し、人間と間違われ捕まってしまう。
●レー・ワンダ→東之島新島の旧日本軍跡地で、魔界同盟のジャミラスたちと遭遇。交戦状態に。
●レー・ネフェル→東之島新島の旧日本軍跡地で、魔界同盟のジャミラスたちと遭遇。交戦状態に。
●ジャミラス→東之島新島の旧日本軍跡地を、地球侵攻の先遣隊拠点として利用していた。
●フライングデビル→東之島新島の旧日本軍跡地で、ブレイバーズ及びGショッカーと交戦状態に。
●ハエまどう→東之島新島の旧日本軍跡地で、ブレイバーズ及びGショッカーと交戦状態に。

【今回の新規登場】
●ジャミラス(ドラゴンクエストⅥ 幻の大地)
 大魔王デスタムーアに仕える四魔王の一人。三つ目で2足歩行のグリフォンのようなモンスターであり、炎系の攻撃を得意とする。「しあわせの国」という甘言を弄して次々と人間達を浚い、黒き神々への生贄として捧げようとしていた。部下の魔物たちに対して行った大演説は有名。

●フライングデビル(ドラゴンクエストⅦ エデンの戦士たち)
 大きな翼を持った悪魔。体術に優れ、空中に飛び上がってからの攻撃を得意とする。

●ハエまどう(ドラゴンクエストⅥ 幻の大地)
 魔道士が呪術に失敗し、ハエと合体してしまった姿。
 ヒャドを覚えているものの、魔力が少ないため一度しか唱えられない。


『シグフェルは鳥人兵!? 復活の大鉄人!』-4

作者・ホウタイ怪人

1513

ジャミラス「ブオオオッッッッ!!!!!!!!!」

ジャミラスは燃え盛る火炎を吐き、
周囲一円の敵をまとめて攻撃してきた。

1号「トオォォッッ!!」
2号「トオォォッッ!!」

火炎の息を回避したダブルライダーは、空洞内の天井高くジャンプすると
同時必殺技ライダーダブルキックを繰り出した。

1号&2号「「ライダーダブルキィィックッッ!!」」
ジャミラス「ぬおおっっ!?」

必殺キックをでよろめくジャミラスだが、
大ダメージの直撃を受けてもまだ倒れる様子はない。

ジャミラス「グゥゥゥゥッッ…!!」

1号「ライダーダブルキックを受けても尚もまだ倒れないとは…!?」
2号「どうやら魔王の名は伊達じゃなさそうだな」

ジャミラスは背中の両翼を大きく羽ばたかせて突進してくると、
ライダー1号2号の首を鷲掴みにして壁に叩きつけた。

1号「ぐわああっ!?」
2号「うわああっ!!」

ジャミラス「見たか飛蝗共め! 私の力はまだまだ
 こんなものではないぞ!」

激闘を続けるダブルライダーとジャミラス。
一方、配下の獣戦士ザ・アルゴスや兵士ゾローたちを指揮して、
レッドマフラー隊やジャミラス配下の魔物たちと戦っていた
メスの幹部レー・ワンダとレー・ネフェルは――。

ワンダ「ウオォォッッ…!!!」
ネフェル「ヌアアァァッッ…!!!」

暗闇の中に激しい稲光が周囲に走ったかと思うと、
響く唸り声を挙げたワンダとネフェルは妖獣変化し、
それぞれ妖獣士ワンダーラ、妖獣士ネフェルーラへと化身した。

ワンダーラ「妖獣士、ワンダーラ~ッ!!」
ネフェルーラ「妖獣士、ネフェルーラッ!!」

1514

ワンダーラ「タイムストップッ!! 3秒殺しッ!!」

妖獣士ワンダーラは任意に3秒間だけ、自由に時間を止める事が出来るのだ!
その間にワンダーラは動きが停止しているジャミラスとダブルライダーを
愛剣キラーセイバーで攻撃した。

1号「ぐおッッ!?」
ジャミラス「…な、なにが起こった!?」

ネフェルーラ「妖獣幻覚ッ!!」

ネフェルーラは妖獣幻覚でジャミラスとダブルライダーを惑わした。
空中に浮かぶ巨大なモアイが続々と彼らめがけてぶつかってくる。

2号「チッ…!」
1号「これは幻覚だ! 惑わされるなッ!」
ジャミラス「おのれ、小癪な真似を!」

そのダブルライダーたちを苦しめる幻覚を打ち破ったのは、
どこかから飛んできた一枚の銀色のカードだった。

1号「おおっ! ようやく幻が振り払われたぞ!」
ネフェルーラ「何者だ!?」

彼らの正面に颯爽と立つは紫のメタルボディをした、
あの最強の正義のロボットヒーローだ!

ジャンパーソン「Janperson For Justice!!」

ダブルライダーの元へと駆け寄るジャンパーソン。

ジャンパーソン「ロボットの俺にそんな幻覚は通用しないぞ!」
2号「ジャンパーソン、来てくれたのか。助かったぜ!」
ジャンパーソン「SS-Nの動きを追跡していたら、偶然ここに辿りついた。
 俺の他にも心強い援軍が今こちらに向かっている」
1号「援軍…?」
大崎「おのれジャンパーソン!!」
ネフェルーラ「おのれ~! たかがロボットの分際で!!
 やれ~!獣戦士ザ・アルゴスッ!!」
ザ・アルゴス「グゴオオッッ!!」
1号「そうはさせん!!」
ザ・アルゴス「グゴオオッッ!?」

ジャンパーソンに襲いかかろうとしたザ・アルゴスに
飛びかかるダブルライダー。そうするとアルゴスごと光って
3人まとめて洞窟の地上へと瞬間移動してしまった。

滝「消えた!?」
ジャンパーソン「あの獣戦士の特殊能力だ。おそらく地上へとワープしたんだ」
ジャミラス「まだ私がいる事を忘れてもらっては困るぞ!
 先程の幻術の礼をしてやろう!」

ジャミラスは渾身の爆裂拳を放った。

ワンダーラ「グオオッ!!」
ネフェルーラ「ギャアアッ!!」
ジャンパーソン「ぐっ…なんという力だ!」

1515

ジャミラス「フフフッ…お前たちの手合いは特と見定めさせてもらった。
 私はそろそろ引き下がらせてもらうぞ!」

ジャミラスの背後に魔法陣の扉が開いた。
そこから元いた世界に退却するつもりなのだ。
このままでは地球の情報が魔界同盟へと伝わってしまう。

剣持「マズイぞ! 奴が新たな侵略者の先遣隊だとすれば、
 ここから生かして帰す訳にはいかん!」
ジャンパーソン「俺に任せろ!」

ジャンパーソンは右腕をワイヤー付きロケットパンチとして飛ばして、
魔法陣に逃げ込もうとするジャミラスを牽制。
そして空いた右腕に剣型アタッチメント=ジャンブレーダーを装着し、
ジャミラスの巨体に勇猛に斬りかかった。辺り一面にジャミラスの
切り裂かれた翼の羽毛が舞いながら飛び散る。

ジャミラス「ぬぬっ!!」

アールジーコ「ジャンパーソン~!!」
ジャンパーソン「アールジーコ!!」

どこかから飛んできたパートナーロボット・アールジーコが
ジャンパーソンの愛銃ジャンデジックと変形合体。
二連装砲ジックキャノンとなった。

アールジーコ「セットレディ! ファイヤー!」
ジャンパーソン「ジックキャノン!!」

ジックキャノンから発射された大型光弾がジャミラスの直撃した。

ジャミラス「ば…ばかな…この私が…っ!
 デスタ…ムーアさまっ!!」

ついに倒れ、黒い霧となって蒸発するジャミラス。
ジャミラスの死と共に大洞窟は崩壊し始めた。

滝「こりゃやばいぞ。洞窟が崩れる!」
剣持「急いで脱出だ!」

ジャンパーソンは左腕に装備されているガントレット型の
コントロールデバイス「バックレットコントローラー」を操作して
自身専用のスーパーカー「ダークジェイカー」を呼び寄せた。
その中に剣持たちを放り込むと洞窟からの撤退を開始した。

大崎「ま、待ってくれ! 置いてかないでくれ~!!」

1516

一方、東之島新島の地上でも、
ダブルライダーと獣戦士ザ・アルゴスの死闘が続いていた。

ザ・アルゴス「グオオッッ!!!」

2号「面倒だな。こちらの攻撃が瞬間移動でかわされて
 ちっとも当たらん!」
1号「ならばあの技しかない!」

両ライダーは、サークル(円)を描いて左右から高速走行して敵を撹乱。
お互い組み合って前転を行い、瞬間移動の隙を与えないよう
一気に敵の足元まで入り込んた!

1号&2号「「――ライダー車輪ッッ!!」」
ザ・アルゴス「グェェェェッッ!!?」

ライダー渾身の必殺技を叩きこまれたザ・アルゴスは、
ようやく木っ端微塵に爆死したのだった。
それを目撃する、地上へと出たワンダとネフェル。

ワンダ「おおお~っ、ザ・アルゴスが~!?」
ネフェル「クラーゲンッ!!」

すかさずレー・ネフェルの号令で、
天空に現れた巨大なクラゲ型浮遊生命体クラーゲンは、
一つ目の眼光から蓄積していたエネルギーを照射し、
たった今倒されたばかりのザ・アルゴスを再生巨大化させた。

巨大アルゴス「ググゴオオッッッ!!!!!!!」

クラーゲン「キュキュキュキュ~ン……!!」

全エネルギーを放出したクラーゲンは、
あっという間に手の平サイズにまで縮んでしまい、
奇声を発しながらコソコソと逃げ去った。

ネフェル「巨大アルゴス、ダブルライダーを踏み潰してしまうのよ!!」

1号「――!!」
2号「――!?」

迫る巨大な獣戦士に、果たしてダブルライダーは打つ手があるのか…!?

1517

○仮面ライダー1号→獣戦士ザ・アルゴスを倒すが、再生巨大化されてしまう。
○仮面ライダー2号→獣戦士ザ・アルゴスを倒すが、再生巨大化されてしまう。
○ジャンパーソン→ダブルライダーの窮地に駆けつけ、ジャミラスを撃破。
○アールジーコ→ダブルライダーの窮地に駆けつけ、ジャミラスを撃破。
○剣持保→崩落する東之島新島の洞窟から地上へ脱出する。
○滝和也→崩落する東之島新島の洞窟から地上へ脱出する。
●レー・ネフェル/妖獣士ネフェルーラ→ダブルライダー、ジャミラスと交戦。
●レー・ワンダ/妖獣士ワンダーラ→ダブルライダー、ジャミラスと交戦。
●獣戦士ザ・アルゴス→ダブルライダーに倒されるが、クラーゲンの力で再生巨大化。
●クラーゲン→獣戦士ザ・アルゴスを巨大化させる。
●大崎→崩落する東之島新島の洞窟から一人逃げ遅れる。
●ジャミラス→ダブルライダー及びメスの妖獣士と交戦の後、ジャンパーソンに倒される。

【今回の新規登場】
○アールジーコ(特捜ロボ ジャンパーソン)
 元々は国連PKO監視のために設計され、ジャンパーソンのパートナーとして試作開発された、
 情報収集、分析、通信、偵察などを行う超高性能多目的ロボット。
 声質・精神年齢が子供っぽく、ガンギブソンの事を「ガンもどき」と呼んで口喧嘩が多いが仲は良い。
 製作者である三枝かおるを「マミー」(母親の意味)と呼んでいる。バスターモードに変形して、ジャンパーソンの専用拳銃ジャンデジックと合体して最強武器「ジックキャノン」となる。

●クラーゲン(超新星フラッシュマン)
 地球のクラゲを元に作られた巨大生物。眼光から倒された獣戦士にエネルギーを照射し、再生巨大化させる。
 普段は渓谷の中に隠れ、体内にエネルギーを蓄積させているが、出動指令に応じて飛来してくる。
 その際全エネルギーを放出してしまうため、エネルギー照射後は手の平サイズにまで萎んでしまう。
 最終的にはザ・デーモスに組み込まれた。


『シグフェルは鳥人兵!? 復活の大鉄人!』-5

作者・ホウタイ怪人

1518

***小笠原近海・東之島新島***

ネフェル「仮面ライダー! スーパー戦隊と違って、
 巨大ロボを持たないお前たちがコレとどう戦う!?」

地下を流れるマグマ熱が滾る島の地表で
暴れまわる巨大獣戦士ザ・アルゴスを相手に、
敢然と戦いを挑む仮面ライダー1号と2号。

1号「我らとて過去に巨大な敵と戦った経験が
 皆無という訳ではない!」
2号「ゆくぞおおッッ!!」

1号ライダーは高くジャンプし、一度、島中央の火山の斜面を蹴ってから
ライダー反転キックを巨大アルゴスにお見舞いする。
2号ライダーも、自身を横回転させ威力を増し打ち出す
ライダー卍キックを放つが、どれも巨大アルゴスには
飛び交う蠅を振り払うかのようにあしらわれてしまう。

巨大アルゴス「グオオオッッ!!!」

1号「まるで効かん!」
2号「何て奴だ!」

やがてジャンパーソンと滝和也、レッドマフラー剣持隊も
地上へと退避して来る。ダブルライダーと交戦している
巨大獣戦士の姿に彼らは度肝を抜かれた。

海野「な、なんだいありゃ~!?」
剣持「ダブルライダーを援護する! 攻撃開始!」

剣持隊も装備品として携行してきたバズーカ砲等の重火器で
巨大アルゴスを攻撃し、ジャンパーソンの愛車ダークシェイカーから
分離した小型戦闘機スカイシェイカーで上空からビールバルカンを
発射するが、巨大アルゴスはまるで蚊に刺されたような反応しか示さない。
たちまち大ピンチのブレイバーズ。

巨大アルゴス「――!?」

その時、北北東の方向上空から雲を突き抜けるような形で
巨大な移動要塞が近づいて来た。

村中「あれは!?」
ジャンパーソン「ついに来たか!」

1519

やがてその移動要塞は、困惑している巨大アルゴスの前で
折り畳んでいた手足が突き出るかのようにゆっくりと変形。
2足歩行型の巨大ロボットの姿になった。

ネフェル「……!?」
ワンダ「な、なんだアレは!!」

ワンセブン「………」

巨体がそびえるワンセブンの横から、一人乗りタイプの飛行ビーグルマシンが
ゆっくりと降りて来て着陸した。操縦席からヘルメットと迷彩服を身に付けた
中学生くらいの年頃の一人の少年が降りて来た。

小野「三郎君!?」
海野「三郎君じゃないか!」

三郎「剣持隊長、レッドマフラーの皆さん、お久しぶりです!」

南三郎――かつて大鉄人ワンセブンと共にブレイン党と共に戦ったパートナーであり、
ワンセブンと心を通わせられるただ一人の人物である。現在は佐原家に身を寄せているが、
復活したブレイン党も加わったGショッカーとの戦いの日々に備えて、
黄泉がえったワンセブンが再び眠りから目覚める日を待ちながら
訓練に励んでいたのである。

剣持「よく来てくれた。待っていたぞ三郎君…いや、南隊員!」
村中「ジャンパーソンが言っていた心強い援軍とは、
 君とワンセブンの事だったのか」
小野「ワンセブンはもう大丈夫なの?」

小野隊員の声に反応するかのように、
ワンセブンも地上の剣持たちに語りかけて来た。

ワンセブン「剣持タイチョウ、皆サン、再ビ貴方タチト共ニ戦エル日ガキテ、
 私ハトテモ嬉シイ!」
海野「こちらこそ改めてよろしくなワンセブン♪」
三郎「ワンセブン、あの巨大獣戦士を倒すんだ!」
ワンセブン「YES!!」

了解したワンセブンは両目を青く発光させ、
振り返って巨大アルゴスの方向へと向かっていく。

剣持「頼んだぞ! 我らが大鉄人ワンセブン!」

1520

ワンダ「え~い! 巨大アルゴスよ!
 あのデカブツを叩きのめすのだ!」

対決するワンセブンと巨大アルゴス。

巨大アルゴス「グオオッッ~!!」
ワンセブン「……!?」

巨大アルゴスは瞬間移動能力でワンセブンを翻弄する。

海野「あの野郎! 巨大化した後でも
 瞬間移動を駆使できるのか!?」
三郎「ワンセブン、頑張れ~!!」

ワンセブンは、脚部のナイキ級ミサイルに続けて
腕部のミサイルパンチを浴びせようとするが、
尽く巨大アルゴスにかわされてしまう。
そうしている間にさらに瞬間移動した巨大アルゴスに
ワンセブンは不覚にも背後を取られてしまう。

村中「あっ!?」
三郎「ワンセブン、危ない!!」

ワンセブン「……!!」

ワンセブン危うし!?
しかしその時、巨大アルゴスを取り押さえる
もう一つの巨体が姿を現す。

ワンエイト「…ムンッ!!」
巨大アルゴス「――!?」
ワンセブン「オオッ、ワンエイト!」

ワンセブンとよく似たシルエットを持つ
この巨大ロボットの名はワンエイト。
ワンセブンの弟ロボットであり、兄ワンセブンと同様に
人と同じ「心」を持っている。
当初は創造主である巨人頭脳ブレインにサタン回路を取りつけられ
命令のままに破壊活動を行っていたワンエイトであったが、
後に佐原博士にサタン回路を取り外してもらい、
兄ワンセブンと共闘。一度はハーケンキラーとの戦いで戦死したが、
彼もまた兄と共に黄泉がえり現象で再生していたのだ。

ワンセブン「ワンエイト、来テクレタノカ!」
ワンエイト「兄サン、今コソ共ニ戦オウ!」

正義の巨大ロボット兄弟は、W連携攻撃で
巨大ザ・アルゴスに挑む!

1521

巨大アルゴス「グオオッッ~!!」

案の定、瞬間移動能力で兄弟ロボットの攻撃を
回避し続ける巨大アルゴス。
なかなか致命傷を与える事が出来ない。
そんな時、ワンセブンの頭脳回路に
一種のテレパシー通信が届いた。

エルファの声「ワンセブン、私の声が聞こえますか…?」
ワンセブン「ビッグエンゼル…ヨク聞コエルゾ…」

ブレイバーベースのナビゲータービジョンロイドであるエルファは、
同要塞の心臓部である超コンピューター・ビッグエンゼルの意思を
擬人化して立体映像化した疑似人格である。
ビッグエンゼルは過去の戦いのデータを詳細に分析し、
それをワンセブンに送信してきた。

エルファの声「かつて超新星フラッシュマンは、フラッシュキングの持つ
 サーチ光線"キングフラッシュ"を照射して、瞬間移動を繰り返すザ・アルゴスの
 動きを捉えました」
ワンエイト「兄サン、ナラバアレを試ス時デハ?」
ワンセブン「ヨーシッ!」

ビッグエンゼルからのザ・アルゴス撃破のためのアドバイスをキャッチしたワンセブンは、
腹部のシャッターを裏返したミラーの光を巨大アルゴスに向けて照射した。
従来の技ミラーアタックを応用して追加された新機能である。

巨大アルゴス「――!?」

ミラーの光を照射された巨大アルゴスは、
瞬間移動の能力を封じられた。

三郎「今だ! ワンセブン~!!」

ワンセブン「グラビトーン!!!」
巨大アルゴス「グギャアアアッッ!!!」

ワンセブンの開いた腹部から光球が撃ち込まれ、
巨大アルゴスを強大な力で圧潰する。
その力に耐えきれず、巨大アルゴスはついに爆発四散した。

ワンダ「くっ…!」
ネフェル「おのれ~! 覚えていろ!!」

巨大アルゴスの敗北ほ見届けたワンダとネフェルは
無念の表情を浮かべながら退却して行くのだった。

三郎「やった~♪」
海野「ざまあみろ! おととい来やがれってんだ!」

1522

戦いは終わった…。
地表にそびえ立つ兄弟ロボット、ワンセブンとワンエイトの雄姿を前にする、
仮面ライダー1号と2号、滝和也、ジャンパーソンとアールジーコ、
剣持隊長以下レッドマフラー隊と南三郎少年らブレイバーズの戦士たち。

すると地の底の裂け目から、青白く輝く人の魂のような物体が浮かんできた。
その人物は長い白髪の顎鬚を威厳たっぷりと蓄えて、頭には王冠をかぶり、
中世ヨーロッパの童話に出て来るような王様のような格好をしていた。

滝「おい、なんだいありゃ?」
1号「あれは…!」

メダル王「わしはメダル王じゃ。ジャミラスの封印から解いてくれて、
 心から礼を言うぞ。小さなメダルを持ってくれば様々な褒美を取らせよう。
 待っているぞ!」

メダル王と名乗ったその人物は、それだけ伝えると、
そのままどこかへと超スピードで飛び去ってしまった。

2号「な、なんだったんだ今のは…」
1号「口ぶりからすると、あのジャミラスとかいう魔物に
 今まで捕われていたようだが…」

アールジーコが何やらたくさんの書類を束にして拾ってきた。

アールジーコ「ねえ、あの洞窟の中でこんな紙切れを
 いっぱい見つけたんだけどさ…」
滝「ちょっと見せてくれ」

滝はその書類の束に片っ端から目を通す。
そこへ変身を解いた本郷猛と一文字隼人も駆け寄って来る。
書類を読んでいる滝はがっくりとした表情をしている。

本郷「どうした滝!?」
滝「旧日本軍の鳥人兵計画は、結局開発途中で頓挫し、
 プロジェクトは中止されていたのか…」

洞窟内に散らばっていた書類に記されていた内容によると、
結局コスト面や資材不足のため、旧日本軍の鳥人兵開発計画は見送られ、
日の目を見ることなく幻に終わっていた事が分かった。

一文字「どうやらシグフェルと鳥人兵は完全に無関係だったって事だな」
滝「すまん。どうやらみんなにとんだ取り越し苦労を
 させちまったみたいだ…」
本郷「気にするな。確かに今回我々はシグフェルの謎に近づく事はできなかったが、
 その代わりに新たな頼れる仲間が、我々の戦列に加わった」

本郷はワンセブンとワンエイトの方向を力強く指さす。

三郎「本郷さん、一文字さん、シグフェルなんかいなくても、
 僕とワンセブンだけでGショッカーの奴らは叩き潰してやります!」
本郷「ハハハ、それは心強いな」
一文字「これからも頼むぜワンセブン!」
剣持「さあ、そろそろ我々も引き揚げよう」

1523

***日本海溝・ブレイバーベース***

こうして本拠地ブレイバーベースへと
全員無事に揃って凱旋してきたブレイバーズの戦士たち。
そこで彼らが見たものとは、なんと先程東之島新島で会ったばかりの
あの王様のような老人だった。

メダル王「よくぞ来た! わしは世界中に散らばるという小さなメダルを集めておる。
 わしのもとへ小さなメダルを持って来た者には、素敵な褒美を取らせよう!」

当然のことながら、呆気にとられて唖然とする一同。
佐原博士たちの話では、なんでもいきなりブレイバーベースの内部に現れて、
その一画をあっという間に王城の謁見の間のように
勝手にリフォームして居着いてしまったらしい。

小野「どうしましょう…」
海野「おいジイさん、変なこと言ってないで
 どこから来たのかまずは氏名と住所を――」
剣持「放っておけ」
村中「しかし隊長、こんな見るからに怪しい老人を
 放置しておいていいんですか?」
剣持「だからといって、行き場のない高齢者を
 基地の外に叩き出す訳にもいかんだろう。
 しばらく様子を見よう」

メダル王「ふぉっふぉっふぉっ♪」

こうしてメダル王と名乗るこの老人は、
「身元不明の高齢者を保護する」という大義名分の下、
ブレイバーベースに滞在することとなったのである。


***改造実験基地ラボー***

東之島新島から帰って来たワンダとネフェル。
大博士リー・ケフレンは一心不乱に遺伝子シンセサイザーを
奏で続けている。

ネフェル「申し訳ございません。ケフレン様…」
ケフレン「よい。ドラスをパワーアップさせる方法なら
 まだ他に幾らでも方策はある。この悪魔の大博士
 リー・ケフレンに不可能はない!」

ケフレンの言葉に無言でうなずくネフェルとワンダ。
今日もラボーが停泊している渓谷の夜は、
遺伝子シンセサイザーの不気味な音色と共に更けていく…。

1524

***SS-N秘密基地***

麗子「………」
大崎「お許しください麗子様っ!!」

東之島新島の洞窟が崩れ落ちる中から
這う這うの体で逃げ帰って来た大崎。
必死に許しを乞う大崎だったが、
SS-N首領・綾小路麗子は冷たい無表情のまま、
即座にすぐそばの処刑スイッチを押した。
     ___
   /|    |
   |||     .|
   ||o|.  | | | |  チャラッ チャラッ チャーン
   || | ∧_∧|__  ミヨヨヨ~ン♪
   ||∩<`Д´>∩/
   /:::::::::::::::::::::::/
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

大崎「あ~~~れ~~~!!!」

哀れ大崎は、足元の床がパカッと二つに割れた
落とし穴の底へと真っ逆さまに消えてしまった。

麗子「今度こそシグフェルの正体が掴めると思ったのに!!」

ふと麗子は、部屋に掲げられているシグフェルの肖像写真に目を向ける。
近寄ってシグフェルの写真をまじまじと見つめている麗子。

麗子「シグフェル! いったいお前はどこの誰ッ! 誰なのよッ!!」

突如ヒステリを上げながらシグフェルの写真に掴みかかり、
じわじわと恐ろしげに爪を突き立てる綾小路麗子であった。
ところで当のシグフェル本人は、その頃何をしていたかというと…。


***海防大学付属高校・2年A組の教室***

光平「…ふええくしょんっっ!!!」

5時限目の古典の授業中に、一瞬何か悪寒のようなものを感じて
盛大にくしゃみをしてしまう牧村光平。

古典担当教師「どうした牧村、風邪か?」
光平「い、いえ…すみません」

教室内に「ははははは!」という生徒たちの
どっと明るい笑い声が響く。光平の隣の席でも、
彼のガールフレンドである沢渡優香が
にこやかにクスクスッと笑っていた。

優香「ふふっ♪…誰かがどこかで光平くんの噂でもしてるのかもね」
光平「そうかなあ…」

なんだか訳も分からず困惑したような表情をしてしまう光平であったが、
よもや自分たちの知らぬところで、シグフェルを巡る熾烈な争奪戦が
繰り広げられていようとは、彼らは全く知る由もなかった。

1525

一方、その頃……。

***神の神殿・精神と時の部屋***

ブルーム「大地の精霊よ!」
イーグレット「大空の精霊よ!」

二人のプリキュア戦士が手を繋いで
双方の片手のひらに精霊の力を収束する。

イーグレット「今、プリキュアとともに!」
ブルーム「奇跡の力を解き放て!」

精霊の力を集めた手の甲のマークに発光し、
回転した片腕から金色と銀色の2つの異なる
エネルギー奔流で両手を打ち出される。

ブルーム&イーグレット「「――プリキュア・ツイン・ストリーム・スプラッシュッッ!!」」

その反対側では、また別のプリキュア戦士たち5人が、
それぞれのキュア・フルーレを構える。

ドリーム「5つの光に!」
ルージュ、レモネード、ミント、アクア「「「「勇気をのせて!」」」」
5人全員「「「「「――プリキュア・レインボー・ローズ・エクスプロージョンッッ!!!」」」」」

から放ったバラが融合した巨大な虹色のバラが
Splash Starチームをを押し潰そうとする。

ブルーム「ハアアアアッッッ!!!」
ドリーム「クゥゥッッッッッ!!!」

やがて激しくぶつかり合った両方のエネルギーは爆発し、
その爆風で周囲のプリキュアたちは皆吹っ飛ばされた。

ルージュ「ぐっ…!」
レモネード「きゃあっ!」
イーグレット「いやああっ!」

ベジータ「まだまだ踏み込みが甘い!!」

ミント「は、はい、コーチ…!」

倒れるプリキュアたちを大きな声で激しく叱咤する、サイヤ人の元王子ベジータ。
今、プリキュアオールスターズに名を連ねる美少女戦士たちが、
来るべき戦いに備えてZ戦士たちから猛特訓を受けているのだった!

プリキュアオールスターズ参戦の日は、刻々と近づいている!

1526

○本郷猛/仮面ライダー1号→巨大ザ・アルゴスと交戦。
○一文字隼人/仮面ライダー2号→巨大ザ・アルゴスと交戦。
○滝和也→アールジーコが拾ってきた書類に目を通し、鳥人兵計画が幻に終わっていた事を確認する。
○ジャンパーソン→スカイシェイカーに乗り、巨大ザ・アルゴスと交戦。
○アールジーコ→崩落前の洞窟で拾った書類を滝和也に渡す。
○剣持保→ダブルライダーを援護しつつ、巨大ザ・アルゴスを攻撃。
○村中隊員→ダブルライダーを援護しつつ、巨大ザ・アルゴスを攻撃。
○海野隊員→ダブルライダーを援護しつつ、巨大ザ・アルゴスを攻撃。
○小野隊員→ダブルライダーを援護しつつ、巨大ザ・アルゴスを攻撃。
○南三郎→ワンセブンと共に巨大ザ・アルゴスと戦う。
○ワンセブン→腹部のミラーで瞬間移動の動きを封じ、巨大ザ・アルゴスを撃破。
○ワンエイト→ワンセブンと共に巨大ザ・アルゴスと戦う。
○メダル王→ジャミラスが倒された事で封印が解け、そのままブレイバーベースに居着く。
○キュアブルーム→精神と時の部屋で猛特訓中。
○キュアイーグレット→精神と時の部屋で猛特訓中。
○キュアドリーム→精神と時の部屋で猛特訓中。
○キュアルージュ→精神と時の部屋で猛特訓中。
○キュアレモネード→精神と時の部屋で猛特訓中。
○キュアミント→精神と時の部屋で猛特訓中。
○キュアアクア→精神と時の部屋で猛特訓中。
○ベジータ→精神と時の部屋でプリキュアオールスターズを猛特訓する。
●レー・ワンダ→巨大ザ・アルゴスが倒されたため、撤退。
●レー・ネフェル→巨大ザ・アルゴスが倒されたため、撤退。
●大博士リー・ケフレン→退却してきたレー・ネフェルから報告を受ける。
●獣戦士ザ・アルゴス→ワンセブンに倒される。
●大崎→アジトに逃げ帰り、失敗の責を問われて落とし穴の刑に処せられる。
●綾小路麗子→シグフェル探索が失敗に終わり、ヒステリを起こす。

○エルファ→過去の戦闘データを分析し、ワンセブンに巨大ザ・アルゴス攻略のヒントを伝授。
○牧村光平→同日同時刻に別の場所で綾小路麗子がしていた噂に反応し、悪寒を感じてくしゃみをする。
○沢渡優香→授業中にくしゃみをしてしまった牧村光平を笑顔で見守る。

【今回の新規登場】
○南三郎(大鉄人17)
 唯一、ワンセブンと心を通わせることができる中学生の少年。
 ブレインによって洞窟に幽閉されていたワンセブンを解放した事で
 意思の疎通が可能なヘルメットを与えられた。
 そのヘルメットはワンセブンの超生産能力で造られた物で、三郎にしか使えない。

○メダル王(ドラゴンクエストシリーズ)
 「小さなメダル」を集めている王様。各シリーズでは
 若干小ぶりな自分用のお城を構えて、そこに住んでいることが多い。
 世界中に散らばる「小さなメダル」を持ってきた旅人に対し、
 その枚数に応じた褒美の品を授けてくれる。

○日向咲=キュアブルーム=キュアブライト(ふたりはプリキュア Splash Star)
 夕凪中学校2年生。ソフトボール部のエースで四番を務めており、文字通りチームの中心選手として活躍している。
 家族構成はパティシエの父・大介とパン職人の母・沙織、妹のみのりと猫のコロネの4人と1匹暮らしで、家は自宅を兼ねたケーキとパンの店「PANPAKAパン」を営んでいる。
 パートナーの美翔舞と共に、花の精フラッピと鳥の精チョッピの力を借りてプリキュアに変身、
 滅びの力ダークフォールと戦う。咲は「輝く金の花」キュアブルームに変身。後に月の精ムープの力を受け「天空に満ちる月」キュアブライトにも変身できるようになる。

○美翔舞=キュアイーグレット=キュアウィンディ(ふたりはプリキュア Splash Star)
 夕凪中学校に転入してきた2年生で美術部に所属。天文学者の父・弘一郎と考古学者の母・可南子、
 高校生の兄・和也の4人暮らしで、家には天体望遠鏡を備えたドームがある。
 パートナーの日向咲と共に、花の精フラッピと鳥の精チョッピの力を借りて伝説の戦士プリキュアとなり、滅びの力ダークフォールと戦う。舞は「煌く銀の翼」キュアイーグレットに変身。後に風の精フープの力を受け「大地に薫る風」キュアウィンディにも変身できるようになる。

○夢原のぞみ=キュアドリーム(Yes!プリキュア5/同GoGo!)
 サンクルミエール学園に通う中学2年生。「大いなる希望の力」キュアドリームに変身し、
 妖精ココとナッツの故郷であるパルミエ王国を救うため、仲間と共に悪の組織へ立ち向かう。
 ドジで勉強も運動も苦手だが、性格は明るく不思議なリーダー性があり、皆の信頼は厚い。
 口癖は「~するぞ~! けって~い!」。

○夏木りん=キュアルージュ(Yes!プリキュア5/同GoGo!)
 サンクミエール学園に通う中学2年生。家は花屋さんで、家族は両親と双子の兄妹がいる。
 夢原のぞみとは幼馴染で、よきツッコミかつ支え役。スポーツ万能で当初は様々な運動部の助っ人をしていたが、途中でフットサル部に所属することになった。当初はプリキュアになるのに消極的であった。しかしキュアドリームに変身したのぞみがピンチに陥っているのを見て、彼女を助けたい一心でプリキュアになった。
 攻撃の属性は炎。キュアドリーム、キュアアクアと絶妙な連携をすることが多い。

○春日野うらら=キュアレモネード(Yes!プリキュア5/同GoGo!)
 サンクルミエール学園1年生。幼い頃に母を病気で亡くし、祖父とフランス人の父の3人で暮らしている。
 学校生活の傍らで、母と同じ女優を目指して芸能活動をしている新人アイドル。
 光のプリキュアであるため、光を使った技で敵を攻撃する。

○秋元こまち=キュアミント(Yes!プリキュア5/同GoGo!)
 サンクルミエール学園3年生。非常におしとやかな性格で、包容力があるが怒ると怖い。
 小説家志望で、童話作家である夢原のぞみの父を尊敬している。実家は和菓子屋。
 防御型の必殺技が多い。

○水無月かれん=キュアアクア(Yes!プリキュア5/同GoGo!)
 サンクルミエール学園の3年生で、皆に慕われる生徒会長。
 大富豪の娘だが演奏家の両親は演奏旅行で殆ど家に居ないため、大豪邸でじいやと二人暮らし。
 プリキュア5チームが主に溜まり場として使う、ナッツが経営する店舗「ナッツハウス」は彼女が提供した。攻撃の属性は水で、水流を操る能力を有する。

○ベジータ(ドラゴンボールシリーズ)
 宇宙最強クラスの戦闘種族サイヤ人の第一王子。
 母星・惑星ベジータの名を冠し、孫悟空とは対照的で生まれた時から戦闘力が高いエリートで、
 非常にプライドが高い。初登場時は敵だったが、後にブルマと結婚して
 息子トランクス誕生後は急激に性格は丸くなった。主な必殺技はギャリック砲とビッグバンアタック。妻ブルマの内助の功で、擬似的ながらも悟空と同様「超サイヤ人4」に変身できるようになる。 


『タランチュラロードイーバ ビギニング!!』-1

作者・ホウタイ怪人

1527

***米国・アルカトラズ刑務所***

アルカトラズ刑務所は、アメリカ合衆国カリフォルニア州のサンフランシスコ湾内、
サンフランシスコ市から2.4kmのところに浮かぶ小島全体に築かれた、
「世界一脱獄が不可能」と恐れられる監獄であり、名だたる凶悪犯の死刑囚や
終身刑囚が収監されている。

ハリケーン・ジョー「………」

ここに一人の男が収監されている。
男の名はハリケーン・ジョー。国際犯罪組織「ショッカー」の女幹部マヤの
ボディーガード兼怪人トレーナーを担当していた男で、ピラザウルスの一件で
滝和也の手でFBIに逮捕された後、国際テロを含む幾つかの罪で懲役150年の判決を
受けて今も服役している。

ショッカーの非情な掟では「生きて虜囚の辱めを受ける」などという事は決して許されない。
秘密保持のため、自決を拒む者は通常であれば、刑務所の塀の中にまで放たれた刺客の手が及んで
命を落とすのが当たり前である。ではどうして彼は今も独房の中で平然と生きていられるのだろうか?
それは彼には組織から引き続き与えられた「任務」があるからである。

人の命を命と思わぬ残虐非道な凶悪犯たちは、いわばショッカーの先兵たる改造人間の素体の宝庫だ。
優れた怪人のトレーナーであるハリケーン・ジョーは、そんな凶悪犯たちを組織にスカウトする
目利きをする役目を与えられていたのである。

そして今日、そのハリケーン・ジョーがかねてから目をつけていた囚人が一人、
電気椅子で刑を執行される予定だ。その囚人の名はケビン・オルバ。
全米を連続婦女誘拐・強姦殺人事件で震撼させた殺人鬼である。
まさに人の心を失った冷酷無残な男。Gショッカーの一員として迎え入れるに相応しい。
すでに看守の買収も完了し、すぐ塀の外にはショッカー戦闘員による拉致部隊もスタンバイしている。
計画は完璧だったはずだった。

ところが計画に狂いが生じた。
ケビンの死刑執行直前に――もう少し厳密に言えば、死刑執行人が電気椅子のスイッチを押した瞬間に
とてつもなく激しい落雷がアルカトラズ島全体を襲ったのだ。

ケビン「………」

理乃「迎えに来たわよ。我ら堕神の同志よ」

迎えに来たと言う謎の女と共にケビン・オルバは姿を消した。何者かに先を越されたのだ。
落雷による停電とパニックが収まり、ハリケーン・ジョーが慌てて死刑執行室に駆けつけて来た
その時にはもう、誰もいないもぬけの殻であった。

ハリケーン・ジョー「…い、いったい何がどうなっているんだ!?」

1528

***日本・三日月山***

三日月山の丘に「ゴンの墓」と記された墓碑が立っている。
そこに一人の青年が献花に訪れた。
彼の名は尾村豪という。元は国際的な科学者養成機関「科学アカデミア」――
――現在の「コスモアカデミア」に学生として在籍していた科学者である。

豪「………」

尾村豪は静かに目を閉じて手を合わせる。
ちょうどそこへ一人の少年が水かけ用の桶を持ってやってきた。

健一「あれ? おじさん誰?」
豪「やあ…」

力のない返事をする尾村豪。
するとその少年――健一は、お墓に花が供えられている事に気づいた。

健一「もしかしておじさんがお花を供えてくれたの?」
豪「そうだよ。ここのお墓に眠っている恐竜の子供には
 僕は詫びなければいけないことがあるんだ。
 この程度で許してもらえるとは思ってないけれど…」
健一「ふ~ん、でもありがとう。ゴンもきっと喜んでいると思います」
豪「そう言ってもらえると僕も嬉しいよ」

それだけ話すと、豪は寂しそうにその場から離れて行った。
ゴンの墓に水をかけながら怪訝に思う健一。

健一「いったい誰だったんだろう? ゴンの事は僕とおじいちゃんと
 ライブマンの勇介さん達しか知らないはずなんだけどなあ…」

近くに待たせてあった車へと戻る豪。
停車してあった車の横では、一人の凛としたボディラインの女性が待っていた。
豪と同じく科学者のようだが、その鍛えられた肉体と隙のないそぶりは
まるでよく訓練された戦士を思わせる。

ユン「用は済んだのか?」
豪「ここまで連れて来てもらって、わざわざすみませんでした。ユンさん」
ユン「では戻ろうか。みんながブレイバーベースで待っている」

尾村豪――武装頭脳軍ボルトの元幹部ドクターオブラーであり、
先程の墓の下に眠る幼い恐竜ゴンを死に至らしめた原因を作った張本人である。
そしてもう一人の女の方の名はダー・ユンという。
アースサイド(地球)に侵攻してきた魔物族ダークノイドの元女戦士。

二人とも昔は悪の侵略者の側に身を置いていたが、その後改心して悔い改め、
今は正義の組織ブレイバーズに所属しディオドスシステム開発プロジェクトに
従事している研究者メンバーである。

1529

***藍羽財団本部・応接室***

ここはブレイバーズの有力スポンサー企業体の一つでもある、
藍羽財団の本部ビル高層階にあるCEO執務室に隣接する、
来客専用の応接間である。

財団の代表を務める藍羽ルリCEOを訪ねて来た人間がいる。
SKネットワークTVの会長・神無聖月。
世界中のマスメディア事業を一手に牛耳るとまで言われる大物である。

ルリ「せっかくのお申し出ですが、その件は丁重にお断りさせて頂きます」
聖月「ほぅ…」

神無聖月はブレイバーズへの出資を申し出て来たのだ。
だが彼にはいろいろと黒い噂があった。
Gショッカーと繋がる桐原剛造、帯刀龍三郎、村上峡児ら
ブレイバーズと敵対する陣営の財界人と昵懇の間柄であり、
何回も極秘会合を重ねているとの未確認情報があるのだ。
その他にも「本当の神無聖月はもっと高齢の老人であり、
今の神無聖月は別人」という真偽不明の情報まで錯綜していた。
とにかく神無聖月という人間について、その前身や氏素性に関する
信頼に足る情報が不足しているのだ。

ただでさえ高見沢逸郎が出資メンバーとして強引に名を連ねたのをよいことに、
今もブレイバーズの組織運営に割り込み、執拗に口を挟もうとし続けてている。
これ以上信用のおけない人物を、地球の平和を守るために日夜戦っている
ヒーローたちに近づける訳にはいかない。

聖月「私は今回の出資を申し出るに当たり、民自党の黒田憲作先生、
 憲民党の小山田正明先生、そして民友党の加納良造先生からも
 それぞれ紹介状を頂いております。私からの申し出を断ると言う事は、
 それら国会の先生方のお顔も同時に潰す事になりますよ」
鏡「………(選挙対策でブレイバーズ人気に群がるハイエナどもの名前か。
 正直反吐が出る…)」

眉を顰める聖月と相対して座るルリの横に控える執事の鏡誠は、
心の中で苦虫を潰しながら、黙って聖月の話を聞いている。

ルリ「なんと申し上げられましょうと、出資の話はお断り致します。
 組織の運営活動資金は充分に足りておりますので」
聖月「残念です。今日はこれで帰らせて頂く」
ルリ「鏡、お客様のお帰りです。玄関までお見送りを」
鏡「畏まりました」
聖月「いや、結構だ」

神無聖月はお付きの女性秘書と共に退室して
玄関に待たせてあった車へと乗り込む。

聖月「さすがは若くして藍羽財団CEOを務める藍羽ルリ。
 ただの小娘かと思っていたが、全くこちらの付け入る隙がない」
れい子「会長、次の手を打たれますか?」
聖月「いや、まずこの件はしばらくはいい。
 それよりも生田山で進めている例の計画を急がせろ」
れい子「畏まりました」

この神無聖月の秘書を務めている女性の名は、彩れい子。
先日、SKネットワークTVが傘下に吸収した銀河テレビの元局員であり、
以後は聖月の側近として常に行動を共にしている。
しかしこの女の詳しい過去も、聖月と同様に不明である…。

1530

***生田山***

快晴の下、多くのハイキング客で賑わう生田山の森林公園。
河原で目ぼしい石を見つけては拾っているという、
見る者から見れば奇妙な行動にも映る三人の少女たちがいる。

若菜「これは磨けばべっぴんになりそうな石だねえ~♪」

彼女たちは、丹童子アルマが通う藍羽学園高等部の鉱石部メンバー、
部長の伊藤若菜、部員の山口揚羽と赤崎七海である。

部員たちは皆、石好きという変わった趣味を持つ若菜に声をかけられて
入部した生徒たちばかりで、実を言えば若菜以外の部員は"あまり石に興味を持っていない
というのが本音"というのが実情なのだが、誰にでも屈託なく明るく接する若菜の人柄もあり、
部員たちは部活動の内容にブツブツ文句を言いつつも、実際は満更でもないらしい。

七海「ねえ、なんかあそこの向こうに洞窟があるよ」

七海が川岸の向こうに、長い年月をかけて自然発生で出来たと思しき
洞窟の入り口を見つけた。

若菜「私の勘だと、この洞窟の奥にきっといい石があるよ。
 中に入って探検してみよう♪」
揚羽「なんかヤバくない? よした方が絶対いいって!」
若菜「大丈夫大丈夫♪」

一方、ピクニック広場の方では風呂敷を拡げて、
家から持って来たお弁当の蓋を開けて寛いでいる
一人のポニーテールの髪型の女子高校生の少女と
幼稚園児程の年頃の兄妹がいた。

真由「このはお姉ちゃん、なんかとっても楽しそうだね」
直気「もうじき桃矢兄ちゃんが帰ってくるのが嬉しいんだろ?」
このは「ふふっ…ええ、そうね♪」

舞原このは――昔野高校に通う神城桃矢と金剛煌の同級生で幼馴染。
ダークノイドとの激しい戦いのさなか、金剛煌は戦死。
そして神城桃矢もグレイファスたちを率いて
一人このはを地球(アースサイド)に残して
新たな戦いのために異世界エターナリアへと旅立った。

実は先日にCIAのエドワード高崎から連絡があり、
仮面ライダーディケイド=門矢士たちの協力もあって、
エターナリアでの戦いにも一段落がついた神城桃矢たちが、
久しぶりに明日、地球に戻ってくるのだという。
やっと桃矢と再会できるとあって、このはは上機嫌なのである。

直気「このは姉ちゃん、ちょっと遊んでくるね」
このは「あんまり遠くまで行っちゃダメよ!」

このはの家・金桃寺で引き取っている孤児である
火浦直気・真由の兄妹は、このはの注意も聞く様子もなく
二人仲良く元気に駆け出していく。

1531

そしてもう一組いたピクニック客。ショートカットヘアの女子中学生と、
小学校低学年くらいの年頃のツインテールの少女だ。

つばさ「瑠璃さん、いつまでムスッとしてるの?」
瑠璃「別にムスッとなんかしてないもん…」

中学生の方の少女――宮坂瑠璃は、
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの人気男性アイドルグループ『A.N.G.E.L』の
センターポジション・鷲崎飛翔のガールフレンドだ。
そして一緒にいる小学生の方は、その飛翔の妹・つばさである。
本当は今日のピクニックは飛翔と一緒に行くはずだったのだが…。

◇   ◇   ◇

飛翔「ごめん瑠璃! 明日はどうしても外せない急な仕事が入って…。
 悪いけど明日のピクニックはつばさと二人で行って来てくれないか?」

申し訳なさそうに両手を合わせて、約束の予定を反故にした事を
瑠璃に謝罪する飛翔ではあったが…。

瑠璃「またなの!? もう飛翔なんか知らないッ!!」
飛翔「おい待ってくれよ瑠璃! 瑠璃ってば!(汗」

◇   ◇   ◇

人気アイドルでもあり、また同時に地球を侵略者の魔の手から守る
平和組織ブレイバーズの一員――ライディーン戦士の一人・ライディーンイーグルとしての
顔も併せ持ち、必然的に超多忙である飛翔に、これまでデートの約束をすっぽかされた事は
一度や二度ではない。
瑠璃とて、それがやむを得ない事情である事はよく理解している。
しかし無理にそれを自分に言い聞かせて納得しようとしても
なんとなく空しさが募るばかりなのである。

瑠璃「どうしてあの時、私あんなキツイこと言っちゃったんだろう。
 飛翔もA.N.G.E.Lのみんなも日頃大変な仕事をしてるんだ…っていうのは
 よく解っているはずなのに…」

つい考え事にふけってしまう瑠璃だったが、
その間につばさの姿を見失ってしまった。
おそらく自分がずっとボーッとしてばかりで何の反応もないので、
つまらなくなって勝手に森の奥の方に遊びに行ってしまったのだ。

瑠璃「大変っ!? つばさちゃん、どこなの! つばさちゃん!」

いなくなったつばさを慌てて探し始める瑠璃。
その時、自分よりやや年上らしきポニーテールの少女と
ぶつかってしまった。

瑠璃「あっ!?」
このは「きゃっ!?」

1532

両者は慌てて姿勢を正して謝罪する。

瑠璃「ご、ごめんなさい!」
このは「い、いえ、私の方こそ不注意で…」

舞原このはと宮坂瑠璃、この時が初対面である。
お互いに釈明を交えてぶつかってしまった事情を説明する。
どうやらこのはの方も、どうも森で迷子になってしまったらしい
火浦兄妹を探しにやってきたらしい。

瑠璃「それじゃああなたも?」
このは「あなたの連れの女の子もいなくなったのね。
 大変だわ。よければ一緒に探しましょう!」
瑠璃「はい!」

一生懸命に直気、真由、つばさの姿を探す
このはと瑠璃。そうしているうちに二人は、
奇妙な洞窟の入口へと辿りついた。
つい数分前に若菜達が入って行った洞窟だ。

このは「ここはいったい…」

その時、洞窟の中から子供の悲鳴が聞こえた。

瑠璃「今のはつばさちゃんの声だわ!?」
このは「直気くんと真由ちゃんの声も!
 中に入ってみましょう!」
瑠璃「はい!」

恐る恐る洞窟の中へと足を踏み入れる舞原このはと宮坂瑠璃。
そこで彼女らは目にしたものは、翼竜の姿をした怪物だったのである。

プラノドン「ァア――!!」

直気「こ、このは姉ちゃん…(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
真由「怖いよぉぉ…(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
このは「――!!」

つばさ「瑠璃さぁん~!…(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
瑠璃「つばさちゃん!?」

火浦兄妹とつばさはショッカー戦闘員に囚われていた。
そして奥には気を失っている若菜たち3人の姿まである。
そう…この洞窟はGショッカーの秘密基地だったのである!

プラノドン「ァア――!!」

奇声を発しながら迫りくる怪鳥人プラノドンの姿を
目の当たりにした恐ろしさの余り、
このはも瑠璃も気を失ってその場に倒れてしまった。

1533

捕えた人間達を手術台に寝かせ、順次作業を開始する
ショッカーの科学者たち。それを指揮しているのは、
指揮棒を片手に車椅子に座っている死神博士だ。

プラノドン「ではこれから手術を開始します」
死神博士「よし、開始しろ」
プラノドン「やれっ!」

ショッカーは、若菜やこのはたちの耳の中に受信機のカプセルを注入した。

プラノドン「死神博士、これでこの人間達は私の発信する電波によって
 自由に操縦できます。ァア――!!」
死神博士「今日は偉大なるGショッカーの人類奴隷化プラン実現のための
 大いなる第一歩を刻む日だ。フハハハハ…!!」

不気味な高笑いを上げる死神博士。

果たして、死神博士が目論む人類奴隷化プランとは?
そしてGショッカーの捕われてしまった藍羽学園鉱石部の3人、
舞原このはと火浦兄妹、宮坂瑠璃と鷲崎つばさの運命は!?

妖しい小蜘蛛「………」

その様子を、洞窟の天井から糸を垂らして降りて来て
ひっそりと窺っている小蜘蛛の存在には、
まだ敵も味方も誰一人として気づいてはいなかった…。

1534

○尾村豪→恐竜ゴンの墓参りに訪れる。
○健一 →恐竜ゴンの墓の前で、尾村豪と偶然出会う。
○ダー・ユン→恐竜ゴンの墓参りに訪れた尾村豪に付き添う。
○藍羽ルリ→藍羽財団本部で神無聖月と会談。
○鏡誠→藍羽財団本部で神無聖月と会談した藍羽ルリに同席。
○伊藤若菜→生田山の洞窟ででGショッカーに捕まる。
○山口揚羽→生田山の洞窟ででGショッカーに捕まる。
○赤崎七海→生田山の洞窟ででGショッカーに捕まる。
○舞原このは→生田山の洞窟ででGショッカーに捕まる。
○火浦直気→生田山の洞窟ででGショッカーに捕まる。
○火浦真由→生田山の洞窟ででGショッカーに捕まる。
○宮坂瑠璃→生田山の洞窟ででGショッカーに捕まる。
○鷲崎つばさ→生田山の洞窟ででGショッカーに捕まる。
○鷲崎飛翔→急な仕事の予定が入ったため、宮坂瑠璃とのデートの約束をキャンセルし、彼女の不興を買う。(回想)
●ハリケーン・ジョー →アルカトラズ刑務所に服役中。収監されている優れた凶悪犯をGショッカーにスカウトしている。
●神無聖月→藍羽財団本部で藍羽ルリと会談。
●彩れい子→神無聖月の秘書を務めている。
●怪鳥人プラノドン→生田山の洞窟で、秘密実験のために人間達を捕える。
●死神博士→生田山の洞窟で人類奴隷化プランのための秘密実験の指揮を執る。

●ケビン・オルバ→死刑執行寸前に堕神に覚醒して、アルカトラズ刑務所から脱獄。
●東条寺理乃→ケビン・オルバの脱獄を手引きし、彼を堕神の同志として迎え入れる。

1535

【今回の新規登場】
○尾村豪=ドクターオブラー(超獣戦隊ライブマン)
 武装頭脳軍ボルトの元幹部。科学アカデミアの学生で、大原丈の親友だった。
 かつては泳げないにも関わらず溺れた犬を助ける心優しい青年だったが、
 貧弱な肉体にコンプレックスを持つようになり、ウィルスによる肉体強化を研究。
 その後ボルトに入り、研究を完成させ獣人のような姿になる。
 優れたバイオテクノロジーとその圧倒的なパワーでライブマンを苦しめる。
 度重なる作戦の失敗と獣人化ウイルスの効力が薄れたことによって大教授ビアスから見捨てられ、
 息子に道を誤らせていたことを悔いた母・俊子の説得と涙で重圧から解放され、奇跡的に元の人間の姿に戻る。
 その後、裏切り者としてボルトに狙われながらも、ライブマンの協力者となりビアスの秘密を独自に調査を開始。過去にビアスに脳を奪われた人間達の存在を知り、アシュラとマゼンダの最期を見届けることとなる。

○健一(超獣戦隊ライブマン)
 頭脳獣タイムヅノーによって現代へと連れて来られた幼い恐竜ゴンと友達になった少年。
 ゴンを元の時代に戻そうと奔走するが、結局その願いは叶わず、無理な巨大化で命を落としたゴンの最期を看取った。

○ダー・ユン(獣戦士ガルキーバ)
 『ギルバの吸血鬼』の異名を持つダークノイドの女戦士。
 ダー・レムとは恋仲であったようだが、実は利用されていただけであり
 失態が続くとあっさりと捨てられてしまった。捨て身で最後のブルー・ピットをアウェイクし、重傷を負い記憶喪失となるが、最終的には記憶を取り戻しアースサイド側の協力者となって、前線要塞攻略に力を貸した。レムと対峙した直後、自決を試みるが舞原一馬に諌められ直気と麻由のために生きることを誓う。

○伊藤若菜(セイクリッドセブン)
 藍羽学園に通う女子高生で鉱石部部長。スポーツ万能かつ明るい性格でクラスの人気者だが、
 石が好きという変わった趣味を持つ。噂から皆に避けられている丹童子アルマに対しても屈託なく接し、彼を石好きと見なして執拗に鉱石部へ勧誘するという、アルマの最初の理解者。
 アルマ達が悪石(アシ)と戦っている事情は知らないが、なにか大きな事件に関与しているということには薄々気づいている。

○山口揚羽(セイクリッドセブン)
 藍羽学園に通う女子高生で伊藤若菜の友人である、ギャル系の少女。
 石に興味は無いが、廃部を免れるために若菜に協力して鉱石部に入部している。

○赤崎七海(セイクリッドセブン)
 藍羽学園に通う女子高生で伊藤若菜の友人である、眼鏡を掛けた少女。
 写真撮影が好きで、鉱石部では主に撮影を担当している。

○舞原このは(獣戦士ガルキーバ)
 昔野高校に通う女子高生で、神城桃矢や金剛煌の幼馴染。
 実家は金桃寺という寺。快活で活動的な性格。桃矢とは幼稚園時代からの腐れ縁で、
 憎まれ口を叩き合う仲だが、実は桃矢のことを憎からず思っている。

○火浦直気(獣戦士ガルキーバ)
 ダークノイドとの戦いに巻き込まれて母親を失った孤児の兄。
 母親の死後は金桃寺に引き取られる。神城桃矢を「桃矢兄ちゃん」と慕い、
 妹思いでもある。ガリエルとは特に仲がいい。

○火浦真由(獣戦士ガルキーバ)
 ダークノイドとの戦いに巻き込まれて母親を失った孤児の妹。
 母親の死後は金桃寺に引き取られる。どちらかと言えば神城桃矢よりも金剛煌の方が好きらしい。
 記憶を失ったダー・ユンの支えとなる。ガリエルとは特に仲がいい。

○宮坂瑠璃(超者ライディーン)
 鷲崎飛翔のガールフレンド。15歳、中学3年生。学校の屋上から落ち、長らく昏睡状態に陥っていた。
 実は女神ライディーンセイラから双子座のオーブを託される存在だったが、
 超魔ルーシュによって連れ去られ、ゴッドライディーンの生体ユニットにされる。
 その後、飛翔たちライディーン戦士たちの手で救出された。
 ちなみに西条きらりは昏睡状態中だった彼女の分身である。

○鷲崎つばさ(超者ライディーン)
 鷲崎飛翔の妹。6歳。飛翔たちの所属事務所「天使更生組合」のマスコット的存在。
 鷹城電光や大鳥疾風と同じく西条きらりのファン。

1536

●ハリケーン・ジョー(仮面ライダー)
 ショッカーの女幹部マヤに側近兼ボディーガードとして付き従う怪人トレーナー。
 屈強な肉体と怪力の持ち主である。

●神無聖月=ルーシュ・デ・モン(超者ライディーン)
 超魔一族の首領。配下の超魔を使ってゾディアックオーブを集め、
 全能のゴッドライディーンを手に入れて世界を破滅に導こうと企む。
 普段は衛星ネットワークテレビ局の会長・神無聖月の肉体を乗っ取り、
 その情報網を利用してオーブの在処を突き止め、配下の超魔を召喚し
 刺客として送り込んでいる。

●彩れい子=セーラーアルーミナムセイレーン(美少女戦士セーラームーン セーラースターズ)
 シャドウ・ギャラクティカの女王セーラーギャラクシアに仕える
 幹部戦士団セーラーアニマメイツの一員。
 普段の姿である銀河テレビの局員「彩れい子」とは、世間を欺く仮の姿である。
 丁寧な口調で話す言葉遣いが特徴。セーラーレッドクロウ=烏丸あかねとは表裏共に同僚で、
 漫才におけるボケのポジション。緊張するとお腹が空くタイプ。セーラームーンの正体を突き止めるが、こちらも度重なる失敗でギャラクシアにブレスレットをはずされ消滅した。
 どんな相手にも初対面なら挨拶を欠かさないことにしているらしい。

●怪鳥人プラノドン(仮面ライダー)
 ショッカーの翼竜型改造人間であり、一文字隼人に宇宙ロケット開発の
 世界的権威である並川博士の暗殺の濡れ衣を着せる事が任務。
 角から発狂電波を出して人間を操る。また口からロケット弾を吐く。

●ケビン・オルバ=タランチュラロードイーバ・ガーミッド(闘争の系統オリジナル)
 アークシセイザーの命令で動く堕神の幹部。
 元は米国のアルカトラズ刑務所に収監されていた殺人鬼(サイコキラー)。
 死刑執行の瞬間、前世の記憶が甦り堕神として覚醒した。
 東条寺理乃=スネイザと行動を共にすることが多い。
 配下の小蜘蛛を操ってスパイ活動をさせる事もある。
 尚、アメリカのアベンジャーズの一員であるヒーロー、
 スパイダーマンとは何らかの因縁がある模様。


『タランチュラロードイーバ ビギニング!!』-2

作者・ホウタイ怪人

1537

***金桃寺***

東京都昔野市の住宅街から少し離れた、郊外の雑木林が広がる高台に、
舞原このはの父・一馬が住職を務める金桃寺はある。
現在この寺の住人は、一馬、このは、火浦直気・真由の兄妹、
そしてダークノイドの女戦士から足を洗い、今はブレイバベースの
研究施設での仕事の傍ら、幼い火浦兄妹の面倒を見ながら
このはと共に家事に従事しているダー・ユンの5人である。

このは「ただいま…」
直気「………」
真由「………」

夕方になり、このはたちが生田山のピクニックから帰って来た。
3人とも目は虚ろであり無表情である。

一馬「なんでえ、遅かったじゃねえか。心配したんだぞ!」
ユン「このは、今日は私の代わりにすまなかった」
このは「いいえ…別に…」
ユン「……このは?」

本当は今日のピクニックは、ユンが直気と真由を連れて行く
予定だったのだが、尾村豪の恐竜ゴンの墓参りに同行する
急用が出来たため、このはが代わりに二人に付き添って
生田山へ出かけていたのである。
…だが、気の抜けたようなこのはの返事に、ふと違和感を覚えるユン。

このは「お夕飯できたわよ…」

ユンと共に食事の支度を始めたこのはだったが、
彼女が運んできた味噌汁は全く味がしなかった…。

一馬「なんだこりゃ!? おいこのは、きちんと出汁は入れたのか?」
このは「あら…ごめんなさい……」
直気「ごちそうさま…」
真由「真由ももういらない…」
ユン「待て。3人ともほとんど食事に手をつけていないぞ?」

このはも直気も真由も、食卓の上に並べられた皿には
ほとんど箸をつけないまま、一馬とユンが困惑する中、
その日はさっさと各々の寝室へと引きこもってしまった。

そして、時計の針は深夜の12時を回り、すっかり寝静まった夜…。

1538

プラノドン「これから面白い事が始まるぞ!」

金桃寺の境内へと侵入したプラノドンは、就寝中のこのはを襲った。
驚いてベットから飛び起きるこのは。

このは「あ、あなたは…!?」
プラノドン「ァア―!! ァア―!! 来るのだ。早く来い!」

プラノドンは命令電波を発して、パジャマ姿のこのはを苦しめる。

このは「い、いや……いやあ!」
プラノドン「俺の命令に背くと、どうなるかわかったろ!?」
このは「お願い…やめて。気が狂いそう…!」
プラノドン「お前は今から俺の言うとおり行動しろ!
 わかったか!!」

このはを服従させることに成功したプラノドンは金桃寺を後にすると、
直ちに次のターゲットのいる場所へと向かう。


***天使更生組合・事務所前***

プラノドン「次のターゲットのいる場所はここか!
 クォークォー、クォーォッ!!」

そこは天使更生組合と呼ばれる、古びた旧劇場跡を再利用した建物に
入居している芸能事務所であった。そこには宮坂瑠璃と共に生田山で
Gショッカーの陰謀に巻き込まれた鷲崎つばさが、兄・飛翔や
合宿所管理人を務める母・まりえと共に暮らしていた。

1539

そして翌朝…。

***金桃寺***

桃矢「ここに来るのも久しぶりだな」

仮面ライダーディケイドこと門矢士の協力を得て、
異世界エターナリアでの戦いにも一区切りがついた
神城桃矢と仲間たちは、一時的な里帰りの意味で
地球-エターナリア間を結ぶディオドスシステムのゲートを通って、
再びここ金桃寺へと帰って来た。

彼ら――特に神城桃矢と金剛煌にとっては、
まさに愛する人の待つ帰るべき家である。

煌「このはちゃん、いきなり僕の顔を見て腰抜かさないかな…」
桃矢「今更何言ってんだよ煌。煌が生き返った事は
 内緒にしといて、当日にサプライズでびっくりさせて
 やろうってみんなで話し合ったじゃんか?」
煌「それはそうだけど…」

一度戦死した金剛煌がエターナリアの地で"黄泉がえった"事は、
実はまだ金桃寺には連絡していない。このはたちを驚かしてやろう
という桃矢とテディアムの提案によるものであるが、
当の本人である煌は何やら不安そうである。

ビークウッド「でも気をつけてください煌。今地球では、
 黄泉がえり現象で復活した再生者(リザレクター)を狙う
 イーバと呼ばれる怪物が出没しているそうです」
煌「その話なら僕も聞いたよ。でも僕もあの世で界王さまの元で
 それなりに修行して力をつけたからね。決してみんなの
 足手まといになったりはしないよ」
桃矢「イーバだかネバネバだか知らねえけどよ、
 たとえどんな奴が現れたとしても俺が叩き潰してやるよ!
 決して二度と煌を死なせやしねえ!」
煌「ありがとう、桃矢くん♪」
桃矢「ま、まあな…(///)」
ガリエル「大将、なに赤くなってんだ?」
桃矢「うるせえ!!」

桃矢たちが五十段ほどの石段を登って寺門をくぐると、
小さな境内が広がり、老朽化した本堂が立っている。
懐かしい金桃寺の景色だ。
そこで一馬和尚やダー・ユンとの再会を果たす桃矢たち。
生き返った金剛煌の姿に一馬たちが驚いたのも束の間、
彼らはどうも浮かない顔をしている。

ビークウッド「どうしたのですかご住職?」
一馬「実はな…」

昨日の一部始終を桃矢たちに話して聞かせる一馬とユン。
このはと直気と真由の三人は、昨夜からずっと自室に
引き籠ったまま出て来ないらしい。

桃矢「このはが!?」
煌「行ってみよう!」

1540

桃矢と煌は話を聞き、すぐにこのはの部屋へと踏み込んだ。

このは「………?」
桃矢「このは…」
煌「や、やあ…このはちゃん、久しぶり。
 元気だった?」

このはは桃矢はおろか煌の姿を見ても
全く驚く様子を見せないどころか
少しの反応すら示そうとしない。

桃矢「このはどうしたんだ!?
 ほら見ろよ! 煌が生き返ったんだぞ!
 帰って来たんだよ!」
このは「フフフ……」
煌「このはちゃん!?」

いきなり不気味な笑い声を上げ始めるこのは。
なんと彼女は机の引き出しから拳銃を取り出し、
あろうことかその銃口を桃矢と煌に向けたのである。

桃矢「このは、そんな物いったいどうしたんだ!?」
煌「やめてこのはちゃん!!」

このは「…うっ!?」

突然その場に倒れ伏すこのは。
彼女に気づかれないように背後に回ったグレイファスが、
後頭部を打って気絶させたのである。

煌「助かったよグレイファス」
グレイファス「別の部屋にいた直気と真由も、
 やはり彼女と同じ症状だった」
テディアム「いったいどこのどいつがこんな真似を…」

ぐったりと床に横になり目を閉じているこのはを
心配そうに抱き抱えながら見守る桃矢。

桃矢「このは…」
このは「………」

そして金桃寺の本堂では、小さく不気味な蜘蛛が一匹、
まるでこちらの様子を覗き見するように
屋根から一本の糸を垂らしてぶら下がっていた。

謎の小蜘蛛「………」

1541

一方、その頃……。

***天使更生組合***

真琴「皆さん、ご無沙汰しています」
DB「お邪魔します」
疾風「うわあーまこぴーだ! ホント久しぶり♪
 さあ上がって上がって♪」

大型LIVEイベントを目前に控えた
人気絶頂のアイドルグループANGELの陣中見舞いに訪れたのは、
おなじく飛ぶ鳥を落とす勢いの人気アイドル・剣崎真琴と
その敏腕マネージャー・DBである

DB「これはつまらない物ですが」
電光「これはおおきに」
玲子「せっかくだからみんなでお茶にしましょう」
真琴「そんなお気づかいなく」
疾風「いいから遠慮しないで♪」

DBから風呂敷に包まれた菓子折を受け取る、
ANGELメンバーの一人でお笑い担当の鷹城電光。
事務所の社長である天賀井玲子は、
メンバーたちにお茶の用意を指示する。

真琴「…で、その後どうなんですか?
 例のシグフェルの行方は」
DB「皆さんも毎日シグフェルの追跡任務に追われて
 さぞ大変でしょう」
電光「それが最近シグフェルもイーバの方も
 めっきり姿を現さんようになってしもうてな」
真琴「そうだったんですか…」
銀牙「何も起きないに越した事はない。
 おかげで我々もLIVEのレッスンの方に専念できる」
飛翔「真琴ちゃんたちプリキュアも、
 今は神様の神殿で修行に励んでいるんだろ?
 そっちの方こそ大変じゃないのかい?」
電光「さぞかし鬼のような怖い監督に
 シゴかれてるんとちゃうか?」

電光が両手の人差し指を角に見立てて
ジャスチャーをしながら心配する様子を見せる。

真琴「いいえ、確かに戦闘訓練は厳しいですけど、
 ベジータさんもトランクスさんも熱心に指導して
 くれています。だから私たちも頑張らなくちゃ」
電光「健気やなあ~」

電光は腕を組んで、目を閉じながら
大げさに頷き感心する。

1542

鷲崎飛翔らANGELメンバーと剣崎真琴…。
実はお互いの正体が、ライディーンとプリキュアである事は
ブレイバーズが設立されるかなり以前から双方共に知っている。
それだけ実は両者は付き合いが長い。

故郷・トランプ王国がジコチューに攻め滅ぼされ、
次元を超えて地球へと命辛々逃げて来たキュアソードと妖精ダビィ。
全く未知の土地で路頭に迷っていた彼女らに救いの手を差し伸べたのが
天使更生組合の社長・天賀井玲子であった。
まだ右も左も分からなかった真琴とダビィに芸能界でのイロハを教え、
アイドル歌手「剣崎真琴」のデビューを後押ししたのは、
他ならぬ天賀井玲子と彼女の事務所に所属している
ANGELのメンバーたちだったのである。

その後、ドキドキ!プリキュアチームの活躍と奮戦により
ジコチューから解放されたトランプ王国は共和制へと移行し、
地球連邦政府とも正式な国交を結んでいるのはご存知の通り。
真琴にとって「天使更生組合」はまさに恩人とも言うべき存在なのだ。

瑠璃「………」
つばさ「………」

宮坂瑠璃と飛翔の妹・つばさが、先程の菓子折りの中身を開けて器に載せ、
全員分のお茶と一緒にテーブルに運んできた。

真琴「あ、瑠璃さん、いらしてたんですか?」
瑠璃「いらっしゃい……」

瑠璃は真琴に対して素っ気ない返事をする。
その両目は虚ろであり、それは彼女の横にいるつばさも同様だ。
不審に思ったDBは、飛翔たちにそっと耳打ちして尋ねる。

DB「どうしたの瑠璃ちゃん?」
飛翔「それが昨日からずっとあの調子なんだ…」
疾風「きっと飛翔さんが昨日のデートの約束を
 ドタキャンしたからまだ怒ってるんだよ」

疾風が澄ました顔で言う。

飛翔「だってそれはしょーがないじゃないか。
 おい瑠璃、いくら怒ってるからって
 真琴ちゃんにまで冷たい態度取ることないだろ!」
真琴「やめて飛翔さん、今はそっとしておいてあげないと…」
飛翔「うむぅぅぅ……」

1543

真琴に宥められて一旦は引き下がる飛翔。
気を取り直し、茶碗に手を伸ばしてお茶を飲もうとする。

瑠璃「………」
つばさ「………」

なぜかさっきからその様子をじっと押し黙ったまま
注目している様子の瑠璃とつばさ。
そのただならぬ視線に気が付き、イヤな予感が脳裏を走った
真琴とダビィは慌てて飛翔たちがお茶を口にするのを寸前で制止した。

真琴「飛翔さん、みんな、そのお茶を飲んじゃダメ!!」
飛翔「えっ…?」

DBがすく側にいた疾風から茶碗を取り上げ、
中のお茶の匂いを鼻で嗅ぐ。

DB「間違いないわ! このお茶の中には毒が入っている!」
エース「まさか!?」

いきなりの展開に信じられないといった表情の飛翔たち、
だが次の瞬間、瑠璃とつばさは台所から包丁を持ち出し、
奇声を発して暴れ出した!

瑠璃「うわああああっ!!!」
つばさ「わあああああっ!!!」

飛翔「やめるんだ瑠璃! つばさ!」
疾風「いったいどうしちゃったの二人とも!?」
エース「取り押さえるんだ!!」

已む無く瑠璃とつばさの二人から包丁を取り上げ、
当て身で気絶させる飛翔たち。

玲子「真琴ちゃん、ダビィ、おかげで助かったわ…」
真琴「いえ、でも…」

真琴とDBは、気を失っている瑠璃とつばさを心配そうに見つめる。

飛翔「いったいどうしてこんなことに…」
エース「とにかく、今は二人を病院に運ぶんだ」

瑠璃とつばさの二人を抱えて病院へと運ぶ飛翔たち。
その様子を、天使更生組合事務所のガラス窓の向こう側から、
一本の糸を垂らした小さな蜘蛛が窺っていた。

謎の小蜘蛛「………」

1545

○神城桃矢→金桃寺に里帰り。舞原このはと再会するが、彼女に襲われる。
○金剛煌→金桃寺に里帰り。舞原このはと再会するが、彼女に襲われる。
○グレイファス→金桃寺に里帰り。洗脳された舞原このはを取り押さえる。
○ビークウッド→金桃寺に里帰り。
○ガリエル→金桃寺に里帰り。
○テディアム→金桃寺に里帰り。
○舞原このは→怪鳥人プラノドンの洗脳電波で操られる。
○火浦直気→怪鳥人プラノドンの洗脳電波で操られる。
○火浦真由→怪鳥人プラノドンの洗脳電波で操られる。
○舞原和馬→様子が豹変した舞原このはたちの様子に困惑。
○ダー・ユン→様子が豹変した舞原このはたちの様子に困惑。
○鷲崎飛翔→様子が豹変した宮坂瑠璃たちの様子に困惑。
○エース羽田→様子が豹変した宮坂瑠璃たちの様子に困惑。
○鷹城電光→様子が豹変した宮坂瑠璃たちの様子に困惑。
○鳥飼銀牙→様子が豹変した宮坂瑠璃たちの様子に困惑。
○大鳥疾風→様子が豹変した宮坂瑠璃たちの様子に困惑。
○天賀井玲子→様子が豹変した宮坂瑠璃たちの様子に困惑。
○宮坂瑠璃→怪鳥人プラノドンの洗脳電波で操られる。
○鷲崎つばさ→怪鳥人プラノドンの洗脳電波で操られる。
○剣崎真琴→天使更生組合の事務所に、LIVE前の陣中見舞いに訪れる。
○DB→天使更生組合の事務所に、LIVE前の陣中見舞いに訪れる。
●怪鳥人プラノドン→舞原このはや宮坂瑠璃を洗脳電波で操る。
●???→金桃寺や天使更生組合での様子を監視している。

【今回の新規登場】
○舞原一馬(獣戦士ガルキーバ)
 舞原このはの父で、金桃寺の住職。
 神城桃矢とアニマノイド三戦士を寺に居候させる。
 ピークウッドとはいい漫才コンビである。
 かつては軍の特殊部隊の一員であったらしい。


『タランチュラロードイーバ ビギニング!!』-3

作者・ホウタイ怪人

1546

***京南大学付属病院***

アルマ「部長達が倒れたって!?」

伊藤若菜たち鉱石部の面々が突然学校で暴れ出した後、
意識を失って病院に運ばれたとの急報を聞きつけ、
丹童子アルマは急いで彼女たちの病室へと駆けつけた。
そこには若菜たちの他にも、舞原このはや宮坂瑠璃、
そして他にも同じ症状で担ぎ込まれた大勢の患者たちが
ベットの上に収容されていたのである。

ルリ「大変な事が分かりました」
豪「これを見てほしい」

藍羽ルリとブレイバーズ所属の科学スタッフである尾村豪は、
アルマや神城桃矢、鷲崎飛翔たちに患者たちのレントゲン写真を見せて、
症状について詳しく説明する。

豪「患者たちの耳の奥には、ある種の電波受信装置が埋め込まれている」
飛翔「いったいその装置は何なんですか?」
豪「ある一定の周波数の怪音波で脳に刺激を与え、
 命令への服従を強要する洗脳装置だ」
桃矢「なんだって!?」

かつて大教授ビアスのギガブレインウェーブ実験を目撃し、
そのシステムの概要を暴いた経験もある尾村豪は、
電波や音波による大規模な洗脳システムといった物にも詳しい。
そこへ藍羽家執事の鏡誠が、調査から戻って来た。

鏡「お嬢様、ただ今戻りました」
ルリ「鏡、何か分かりましたか?」
鏡「予想したとおりです。症状を起こした患者は全員、
 ここ数日の間に生田山に行っている事が判明しております」
電光「生田山やて?」
煌「このはちゃんたちがハイキングに行った場所だ!」
鏡「おそらく敵は生田山のハイキング客を実験台にして、
 きわめて広範囲な洗脳システムの構築を計画しているものと
 思われます」
桃矢「そうと分かったならこうしちゃいられねえ! 俺は行くぜ!」

桃矢はすぐにも病院から飛び出していこうとするが、
それを鳥飼銀牙が止めた。

銀牙「待て! どこへ行くつもりだ?」
桃矢「決まってんだろ! すぐに生田山に行って
 このはと直気と真由をこんな目に遭わせた奴を
 ぶっ飛して、みんなを元に戻す!」
銀牙「ただ闇雲に突っ走っても、敵の術中に嵌まるだけだ。
 今回の事件の黒幕の実態も見極める前に動くなど
 危険この上もない」
桃矢「別に怖いならついて来なくてもいいんだぜ」
銀牙「なにっ…!」

1547

一瞬険悪なムードになる桃矢と銀牙。

疾風「まあまあ二人とも落ち着いて!」
ガリエル「いやあすまねえな。ウチの大将は決して
 悪気があるわけじゃねえんだ。気にしないでくれ」
銀牙「別に気にしてなどはいない…」
桃矢「ふんっ…」

大鳥疾風とガリエルが慌てて仲裁に入った事で、
とりあえずこの場は丸く収まる。

アルマ「でもどうするんだい藍羽さん?
 このまま手をこまねいている訳にも…」
ルリ「すでに生田山にはメイド隊を先行させて
 向かわせています。準備が整い次第、皆さんも
 直ちに出動してください」
豪「僕も一緒に行こう。生田山のどこかに
 秘密の洗脳電波発信装置があるとすれば、
 解除するために僕の持つ知識と技術が
 お役にたてるかもしれない」
ルリ「よろしくお願いします」

謎の怪音波によって洗脳された大勢の患者たちを救うため、
ブレイバーズは着々と生田山への出撃準備を進めていた。
その様子を、またもあの正体不明の小蜘蛛が、病院の窓から
じっと中の様子を覗き見していた。

謎の小蜘蛛「………」


***生田山・Gショッカー秘密基地***

ここは生田山の洞窟内に秘密裏に築かれた
Gショッカーの秘密基地である。

聖月「死神博士、洗脳実験の進捗具合はどうなっているかな?」
死神博士「神無聖月か、いや…ルーシュ・デ・モンと呼んだ方が
 よろしいかな?」
聖月「フフフッ…ここでならどちらでも」

聖月の身体がたちまち黒い霧の渦に包まれたかと思うと、
その頭からは巨大な角が生え、背中には蝙蝠の羽が羽ばたき、
両手の全ての指からは鋭い爪が伸び、
下半身の両脚はまるで牛のように肥大化した、
伝説上の悪魔のような姿へと化身した。

超魔一族のリーダー、魔王ルーシュ・デ・モン。
それがSKネットワークTVグループの会長・神無聖月の正体である。

1548

死神博士がモニター画面にグラフを示して説明する。

死神博士「見よ、実験は大成功だ。後は洗脳音波を受信する
 この小型カプセルを世間に大量にバラマキ、SKネットワークが
 世界各地に保有するアンテナ施設を介して、全世界に
 プラノドンの怪音波を浴びせるのだ!」
ルーシュ「その結果、洗脳された人間の予想される数は
 シュミレーションでは10億人を超える。そこまで出来れば
 もはや地球征服は成功したも同然だ」
セイレーン「よろしゅうございましたわね会長、いえルーシュ様」
ルーシュ「セーラーアルーミナムセイレーン、作戦が成功した暁には
 これまでの忠勤に報いて、お前にもいい思いをさせてやるぞ」
セイレーン「うれしゅうございます」

作戦の成功を確信してグラスに赤ワインを注いで乾杯する
死神博士とルーシュ。そしてそのルーシュにずっと傍らに
寄り添っている側近のセーラーアルーミナムセイレーン。
彼女もまた、神無聖月が最近雇って秘書・彩れい子の正体である。

レッドクロウ「………」
ティンにゃんこ「……(セイレーンの奴、あたしたちを出し抜いて
 すっかりルーシュ様に取り入って生意気なっ)」

そんな様子をじっと見ている同僚のセーラーレッドクロウとセーラーティンにゃんこ。
セイレーンと元々親友の関係にあるレッドクロウはともかくとしても、
ティンにゃんこの方は明らかに嫉妬と羨望の眼差しを浮かべている…。
かつてギャラクシアの配下としてセーラー戦士と死闘を繰り広げた彼女たちであったが、
こうして黄泉がえりで復活した後も、悪の精神支配から解放される事はなかった。
ルーシュによって新たな腕輪を両腕に取りつけられ、今度は超魔の手先となって働いているのである。

基地の壁上部に掲げられたショッカーの紋章である
鷲のレリーフのランプが不気味に明滅する。
それに気づいたその場にいた全員が一様に畏まって跪く。

死神博士「これは大首領…」
大首領の声「死神博士、ルーシュ・デ・モン、
 ブレイバーズはすでにこの生田山の異変に気が付き、
 部隊をこちらに向かわせておるぞ」
ルーシュ「まさに飛んで火にいる夏の虫。
 まとめて始末してお目にかけよう」
大首領の声「奴らを血祭りにあげ、何としても今回の
 人類奴隷化プランを成功へと導くのだ!」
死神博士「仰せのままに」

セイレーン「大首領のお言葉を聞きましたわね皆さん!
 邪魔者を排除するため迎撃の準備を!」
戦闘員「イーッ!」

直ちに各自の持ち場に配置に就く戦闘員たち。
果たしてブレイバーズ・アーマードヒーロー部隊と
Gショッカーのショッカー&超魔&セーラー・アニマメイツ連合軍
による対決の行方や如何に!?

生田山の山中では、例の小蜘蛛が至る所に巣を張って
一部始終を監視しているのだった…。

謎の小蜘蛛「………」

1549

○神城桃矢→京南大学付属病院で作戦会議。
○金剛煌→京南大学付属病院で作戦会議。
○ガリエル→京南大学付属病院で作戦会議。
○鷲崎飛翔→京南大学付属病院で作戦会議。
○鷹城電光→京南大学付属病院で作戦会議。
○鳥飼銀牙→京南大学付属病院で作戦会議。
○大鳥疾風→京南大学付属病院で作戦会議。
○丹童子アルマ→京南大学付属病院で作戦会議。
○藍羽ルリ→京南大学付属病院で作戦会議。
○鏡誠→京南大学付属病院で作戦会議。
○尾村豪→京南大学付属病院で作戦会議。
●死神博士→生田山の秘密基地で人類奴隷化プランを進行中。
●大首領→生田山の秘密基地で人類奴隷化プランを進行中。
●神無聖月/ルーシュ・デ・モン→生田山の秘密基地で人類奴隷化プランを進行中。
●セーラーアルーミナムセイレーン→生田山の秘密基地で人類奴隷化プランを進行中。
●セーラーレッドクロウ→生田山の秘密基地で人類奴隷化プランを進行中。
●セーラーティンにゃんこ→生田山の秘密基地で人類奴隷化プランを進行中。
●???→相変わらずブレイバーズとGショッカー双方への監視を続けている。

【今回の新規登場】
○丹童子アルマ=セイクリッドアルマ/同リベレイター/同アーク(セイクリッドセブン)
 藍羽学園に通う高校生で、セイクリッドテイカーの1人。「とりあえず」が口癖。
 3年前にその力を暴走させて高校生18人を病院送りにして以降、自身に秘められた力を忌み嫌っており、周囲の人間を自ら遠ざける行動をとっていたほど暗く後ろ向きな性格だったが、
 藍羽ルリと出会ったことで、自分の力と向き合い悪石と戦うことを決意する。
 ルリの力を借りて力を制御できる「セイクリッドアルマ・リベレイター」へ変身するが、
 借りずに力が暴走した場合は「セイクリッドアルマ」と化してしまう。
 最終決戦でルリと真に思いを通わせることで「セイクリッドアルマ・アーク」へと変身した。

●烏丸あかね=セーラーレッドクロウ(美少女戦士セーラームーン セーラースターズ)
 シャドウ・ギャラクティカの戦士団セーラーアニマメイツの一員。
 忠誠の証として腕にブレスレットを嵌められている。普段の姿は銀河テレビの局員。
 セイレーンとは表裏共に同僚で、漫才におけるツッコミのポジション。
 セイレーンとともに銀河の8割の惑星を制圧してアニマメイツ最強の座を争っていたが、
 地球ではあまりにマイペースなセイレーンを心配して共に行動していた。
 後にセイレーンの遺した手帳からセーラー戦士やスターライツたちの正体を知り、
 十番高校の学園祭に現れて月野うさぎたちを襲撃。ブレスレットからブラックホールを生成して
 学園祭に来ている人々の命を盾に取り、うさぎのスターシード(銀水晶)を奪おうとしたが、
 その直後にティンにゃんこの裏切りでブラックホールが暴走、最後は暴走したブラックホールに吸い込まれて消滅した。

●鈴にゃん子=セーラーティンにゃんこ(美少女戦士セーラームーン セーラースターズ)
 シャドウ・ギャラクティカの戦士団セーラーアニマメイツの一員。
 忠誠の証として腕にブレスレットを嵌められている。普段の姿は
 他のアニマメイツと同じ銀河テレビ局員。非常に陰湿で狡猾な性格で、
 セイレーンやクロウを小馬鹿にしている。
 セーラームーンの攻撃で右腕のブレスレットが外れて良心が戻り、
 その影響で心が善悪二つに分裂してしまい、その間で葛藤する。
 最後はギャラクシアに残った左腕のブレスレットをはずされ消滅してしまった。


『タランチュラロードイーバ ビギニング!!』-4

作者・ホウタイ怪人

1550

耳に洗脳カプセルを埋め込まれた人々を救うため、
生田山へと乗り込むブレイバーズ。
麓の駐車場にトレーラー型指令車を置いて陣地を築き、
尾村豪とメイド隊及びエンゲージメントスーツに乗り込んだ鏡誠は、
敵のアジト発見までそこに待機。残りの面々が山の森の中へと踏み込んだ。

***生田山・Gショッカー基地***

その様子を監視カメラから送られて来る映像で、
Gショッカーは逐一把握していた。
ちなみにルーシュは神無聖月の姿に戻っている。

死神博士「のこのこやって来おったなブレイバーズめ」
セイレーン「一人は藍羽財団が飼っているセイクリッドテイマーの丹童子アルマ、
 そしてエターナリアの戦士である神城桃矢と金剛煌にお供の動物たちですわね」
聖月「エターナリアの戦士だと…? 奴らはずっと前に異世界に渡ったと聞いていたが、
 地球に舞い戻っていたのか」
セイレーン「そして残りの連中は…あら、誰かしら?」
聖月「むむっ…奴らは!?」

基地のモニターに他に映っていたのは、鷲崎飛翔、エース羽田、鷹城電光、
鳥飼銀牙、大鳥疾風の5人だった。

死神博士「会長の存じよりの者たちか?」
聖月「死神博士にはご存知ないか。今巷で話題をさらっている
 人気アイドルグループのANGELだよ」
死神博士「アイドル…?」

神無聖月率いるSKネットワークTVとANGELメンバーが所属する天使更生組合は、
これまでも度々ビジネス上の場で意見の相違から軋轢が生じて衝突してきた関係にあるが、
まだお互いの"裏の顔"については面が割れていない。

聖月「なぜ奴らがこんな場所に…」
プラノドン「クォークォー、よし! 俺が行って
 まとめて片づけて来てやろう!」
死神博士「待つのだプラノドン、お前は今回の作戦に欠く事の出来ぬ存在だ。
 迂闊に出て行ってもしやられたらどうするのだ?」
プラノドン「お言葉ですが死神博士、俺があんな年端のいかぬ
 小僧どもに負けるわけがない!」
聖月「セーラーアニマメイツ、お前たちがプラノドンの代わりに
 行って始末して来い」
セイレーン「承知しました」
レッドクロウ「お任せを」

1551

***生田山・山中***

山中の獣道をかき分け、まだ見ぬ敵の拠点を懸命に探すブレイバーズ。
ちなみに桃矢と煌は最初から変身して甲冑姿に武装している。
アルマもあらかじめセイクリッドアルマ・アークに変身していた。
以前の研見博士一味との決戦の際に進化した彼は、
もう変身の際にいちいち高額な宝石を消費する必要はないのだ。

戦士煌「桃矢くん、待ってよぉ~!」
アルマ・アーク「先走り過ぎだ!」
戦士桃矢「今もこのはたちが苦しんでるんだ!
 グズグズなんかしてられっか!」

周囲が止めるのも聞かずに
一人でどんどん先に行ってしまう桃矢。

電光「あの神城桃矢って、ちっとは協調性ってもんがないんか!?」
グレイファス「すまん。みんなにも迷惑をかける」
飛翔「いえ、俺にも彼の気持ちはよくわかりますよ。
 恋人がピンチなら焦るのも当然だ」
グレイファス「恋人…?(まあ確かに言われてみれば
 そうかもしれんが……)」

桃矢とこのはの関係は、今でもあくまで"幼馴染"のままである。
しかし両者が実は互いを憎からず思っている事は、周囲も薄々気づいている。

疾風「ふっふっ~ん♪ 飛翔さん、それって"経験者は語る"ってやつなの?」
飛翔「…なっ! ニヤニヤしながらなに言ってるんだ疾風!(///)」
電光「飛翔、顔が赤くなっとるで」
飛翔「……さ、さあ、俺たちも先を急ごう!(///)」

その時、後ろに続くビークウッドが、
こちらを見張るような何かの気配に気づき
大木に貼り付いていた一匹の蜘蛛を捕まえ握り潰した。

ビークウッド「これは…?」

ビークウッドの掌の中で息絶えていた、その小さい蜘蛛は、
黄緑と黒の縞模様の不気味な色どりをしていた。


***???***

周囲が暗闇に包まれた、どこかも解らない謎の空間。
そこに一人静かに佇んでいたケビン・オルバだったが…。

ケビン「チッ…!!」

今まで瞑想をしているかのように
ずっと両目を閉じ無表情・無言だった彼が、
配下のスパイ蜘蛛の存在が気付かれたと感知し、
苦虫を潰したような表情を見せる。

1552

***再び生田山・山中***

銀牙「どうした?」
ビークウッド「どうも我々は先程から何者かに
 見張られていたようです」

この小蜘蛛の死骸は、地球上に生息しているどの種類とも
明らかに違っているものだった。

エース「おい、どうやら囲まれたみたいだぞ!」

すでに敵に包囲された事を気づいたエースが、
周囲の仲間たちに警戒を呼び掛ける。

ガリエル「やっとお出ましか!」
テディアム「退屈してたぜ! とっとと出て来やがれ!」

姿を現したのはショッカー戦闘員たちと、
それを指揮している二人の妖しげな女だった。

戦闘員A「イーッ!」
戦闘員B「イーッ!」

飛翔「やっぱりGショッカーの仕業だったのか!」

現れた敵に対して身構える飛翔たちだったが、
敵の女指揮官がペコペコお辞儀をしながら名刺を差し出してきた。
なんだか訳が分からず呆気にとられる一同ww。

セイレーン「はじめまして、わたくし
 セーラーアルーミナムセイレーンと申します」
飛翔「…あ、これはどうもご丁寧に(汗」
電光「なに戦場で名刺交換しとんねん!」

電光はどこから取り出したのか、ハリセンで飛翔の頭を叩く。

疾風「……(電光にしてはナイスツッコミ)」
戦士煌「それで向こうにいらっしゃるのは?」
セイレーン「わたくしの相方です」
レッドクロウ「漫才師かアタシらは!?」
電光「……(なんか羨ましいで…)」

1553

気を取り直して対峙する両陣営。

レッドクロウ「私はアニマメイツ�・1、セーラーレッドクロウよ!」
セイレーン「あらためまして、わたくしがセーラーアルーミナムセイレーンですわ」
アルマ・アーク「かつてセーラームーンと戦ったっていう悪のセーラー戦士か!?」
レッドクロウ「セーラームーンにも伝えといてくれる?
 いずれきっちりお礼参りには参上するって」
セイレーン「もっとも無事にここから生きて帰れたらのお話ですけれど」
電光「上等やないかコラッ!!」
エース「生田山のあちこちに蜘蛛を使って
 俺たちを見張っていたのもお前たちの仕業か?」
レッドクロウ「…ハァ? 蜘蛛? いったい何の話よ!?」

レッドクロウたちにとっては、本当に寝耳に水な話であったのだが…。

戦士桃矢「とぼけんじゃねえ!」
エース「敵ならば女でも容赦はしないぞ!」
飛翔「行くぞみんな!!」

「「「「「――超者・降臨ッ!!」」」」」


***生田山・Gショッカー基地***

基地内のモニターで戦闘の様子を一部始終観察している神無聖月。

聖月「ANGELの奴らが…ライディーンだと」

飛翔たちが変身する様子は、聖月にしっかり見届けられていた。
鷲崎飛翔たちANGELの正体がライディーンイーグルたちだったという事は、
残るライディーンクロウたちの正体も、十中八九、
南條一夜らザ・ハーツの面々に違いない。
これで全て合点がいった。

聖月「なるほど、そういう事だったのか。
 フフフフッ…フハハハハ!!!!!」

ついにライディーンの正体が超魔の側にバレてしまった。

1554

○神城桃矢→生田山へと乗り込む。
○金剛煌→生田山へと乗り込む。
○グレイファス→生田山へと乗り込む。
○ビークウッド→生田山へと乗り込む。途中、怪しげな蜘蛛を発見。
○ガリエル→生田山へと乗り込む。
○テディアム→生田山へと乗り込む。
○鷲崎飛翔→生田山へと乗り込む。
○エース羽田→生田山へと乗り込む。
○鷹城電光→生田山へと乗り込む。
○鳥飼銀牙→生田山へと乗り込む。
○大鳥疾風→生田山へと乗り込む。
○セイクリッドアルマ・アーク→生田山へと乗り込む。
●死神博士→出撃しようとしたプラノドンを止める。
●怪鳥人プラノドン→出撃しようとしたが、死神博士に制止される。
●セーラーアルーミナムセイレーン→プラノドンの代わりに出撃。
●セーラーレッドクロウ→プラノドンの代わりに出撃。小蜘蛛については知らないと答える。
●神無聖月→ついにライディーン戦士たちの正体に気づく。

●ケビン・オルバ→スパイとして生田山に放っていた小蜘蛛を見咎められる。 


『タランチュラロードイーバ ビギニング!!』-5

作者・ホウタイ怪人

1555

***異世界エターナリア・ヘブンズティア王国宮殿***

ミレイア「今頃桃矢や煌は、アースサイドで懐かしい人たちと
 再会できたのでしょうか…」

庭園の花壇に咲く草花に、一人で優しく語りかけているミレイア姫。
心做しか、最近はエターナリアの大地を覆う氷河化のスピードも
若干緩んでいるようにも思える。

ミレイア「――!!」

その時、突然ミレイアの脳裏に衝撃が走ったかと思うと、
彼女の意識は別の空間へと飛んだ。

ミレイア「ここは…?」

気がつくとミレイアは全身裸の状態で、奇妙な空間に宙に浮いていた。
彼女は、ここがすぐに精神世界(アストラル・サイド)であると察する。
そして目の前には、背中から蝶のような羽を生やした少女の幻影が
こちら側をじっと見つめていた。

ミレイア「あなたは…?」
きらり「お初にお目にかかります、ミレイア王女。
 突然のご無礼をお許しください」
ミレイア「もしやアースサイドにいる桃矢たちと、
 彼らの親しき者たちの身に何かが?」
きらり「西条きらりと申します。事態は急を要します。
 何卒お力をお貸しください!」


***生田山キャンプ場・駐車場***

生田山の車両が入れるギリギリの位置で
藍羽家専用の司令室兼用トレーラーが待機している。

鏡「山中に入った丹童子たちからは何か連絡はあったか?」
ミホ「いえ、未だ何の連絡もありません」
豪「洗脳電波の発信源さえ掴む事が出来れば、
 こちらにも対処の方法はあるんですが…」

藍羽家メイド隊や科学者スタッフの尾村豪たちが
山中へと入った部隊からの連絡を今か今かと待っていたが、
その様子を草影からこっそりと窺う者が一人いた。
アルーミナムセイレーンやレッドクロウを出し抜いて
手柄の独り占めを狙うセーラーティンにゃんこだ。

ティンにゃんこ「奴らの主力部隊は今頃山の中で
 セイレーンやレッドクロウとドンパチやってるはず。
 その隙にアタシは確実に仕留められそうなコイツらから狙うわ!
 正直コイツらの方が山の中に行った奴らより弱くて楽勝そうだし…( ̄ー ̄)ニヤリ」

そんなよからぬ事を企てているティンにゃんこだったが、
そんな彼女めがけて、いきなり鏡誠の操縦する
エンゲージメントスーツ(ES)から弾丸の雨が降り注いだ。

ティンにゃんこ「――ひええええっっ!!!ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ」

ティンにゃんこは腰を抜かした。

ティンにゃんこ「ちょっとぉっ! いきなり何すんのよぉっ!!」
鏡@ES「出て来い! そこにいるのは分かっているぞ!」
ティンにゃんこ「…やば(汗」

1556

メイド隊も一斉に武器を構えて、
隠れているティンにゃんこの方向へ銃口を向ける。

鏡@ES「三秒以内に出て来なければ撃つ!」
ティンにゃんこ「…わ、わかったわ。降参するから撃たないで」

大人しく両手を挙げてそっと立ち上がり、
投降する意思を示すティンにゃんこだったが…。

ティンにゃんこ「なぁ~んてね!…( ̄ー ̄)ニヤリ」

降伏するフリをしたティンにゃんこは卑怯にも、
隠し持っていたリモコンの起爆スイッチを入れた。
その瞬間、鏡のESやメイド隊の立っていた地面が爆発した。

鏡@ES「な、なにっ!?」
リサ「きゃあああ!!」
サオリ「いやあああっ!!」

傷つき倒れるESとメイド隊。

ティンにゃんこ「フフフッ…こんな事もあろうかと、
 事前に爆薬を仕掛けておいたのよ♪」
鏡@ES「おのれ…卑怯な!」
ティンにゃんこ「なんとでもおっしゃい。
 さて、全員止めを刺してあげるわ」

その時、今までトレーラーの指令室の中で待機していた尾村豪が、
外の様子の異変に気付き、慌てて車の外に出て来た。

豪「みんな大丈夫か!?」
鏡@ES「いかん! 外に出て来ては…!?」
ティンにゃんこ「あらヤダ。他にもまだ残っていたのね。
 もやしみたいなお兄さん、まずはアンタからあの世に送ってあげる!」

ティンにゃんこは目にも止まらぬ速さで豪に襲いかかると、
彼の首を締めあげた。

豪「うっ、うわあああッ――!!」
ティンにゃんこ「アハハ、そのまま死になさい!!」

しかし生命の危機に瀕した豪の脳裏に一瞬稲妻のようなものが走ったかと思うと、
彼の心臓の鼓動が何度も強く唸った。

豪「………」
ティンにゃんこ「…な、なに?」
アミ「尾村さん!?」
鏡@ES「――!?」

豪の身体に異変が起こった。
華奢な肉体に急激に筋肉が盛り上がっていき、
耳は鋭く尖り、口からは何本もの牙がむき出し始めた。

豪「グ…グオオオッッ…!!!」

気がついた時、尾村豪は完全な獣人の姿へと変貌していた。
まさにその姿はかつての武装頭脳軍ボルトの三大ドクターの一人、
あのドクターオブラーそのものだったのである。

オブラー「グゥゥゥッッ…」

1557

一方、その頃…

***生田山山中・Gショッカー秘密基地付近***

アルマ・アーク「ここは俺たちが引き受ける!」
グレイファス「君たちは一刻も早く敵のアジトに突入してくれ!」

邪魔をするセーラーアルーミナムセイレーンとセーラーレッドクロウを
アルマとグレイファスたちに任せ、Gショッカーのアジトの洞窟へと突入する
神城桃矢と金剛煌、そしてイーグルらライディーン戦士たち5人。
そこで彼らを待っていたのは、七輪でスルメを焼きながら
呑気に酌を組み交わしていた神無聖月と死神博士だった。

聖月「くっくっく…待っていたぞライディーンの諸君」
イーグル「神無聖月!?」
コンドル「なぜ貴方がここに!?」
聖月「今こそお前たちに私の真の姿を見せてやろう。
 冥土の土産にとくとその目に焼き付けておくがいい!」

神無聖月はゆっくりと両腕を開くようなポーズを取り、
体内に溜まった邪悪な気を一気に解放放出する。

アウル「くっ…これは!?」

次の瞬間、神無聖月はその本来の姿――超魔へと変わっていた。

ファルコン「ま、まさか…!」
ホーク「嘘やろ…!」
イーグル「神無聖月がルーシュ!?」

ルーシュ「フハハハハ…今頃気づきおったか。
 ライディーン、この姿を見せたからには生かしては帰さん。
 今こそこの私の手で貴様らを始末してやる!」

一方、死神博士と対峙している桃矢と煌。

戦士桃矢「誰だてめえは!?」
死神博士「私はショッカーで一番の怪人造りの天才である死神博士。
 そしてその最高傑作はこの私自身だ。イカでビール!!」

香ばしく焼きあがったスルメイカと缶ビールを両手に掲げ、
死神博士は青白い炎と共に怪人イカデビルへと変貌した。
イカデビルは両腕から触手を自在に伸ばして
桃矢と煌を攻撃する。

イカデビル「キィーッ! この前はお好み焼きをご馳走になったな!」
戦士煌「何の話だ!?」

桃矢と煌はそれぞれ、剣「大地」と斧「天空」を構えて
イカデビルに応戦する。

1558

***京南大学付属病院***

ルリ「若菜さん、皆さん…」

若菜「………」
揚羽「………」
七海「………」

藍羽ルリは、ずっと意識不明が続いている伊藤若菜たち鉱石部員や
その他の患者たちをずっと見守りながら、アルマたちの帰りと吉報を待っていた。
彼女たち患者の耳の奥に埋め込まれた洗脳カプセルは、手術などで無理に取り除こうとすると
爆発の危険があったため、彼女たちを救うためには生田山に潜んでいるであろう
Gショッカーの怪人プラノドンを倒すしかないのである。

ユミコ「お嬢様、大変です!」
ルリ「どうしたの?」

ルリに付き添って一人病院に残っていたユミコの話によると、
別の病室のベットで昏睡している宮坂瑠璃の身体が
突然光に包まれながら宙に浮遊しているという。
知らせに来たユミコと共に急いで瑠璃の寝室に向かうルリ。

ルリ「これは…!?」

驚愕の表情を浮かべるルリ。
確かに瑠璃の身体は横たわったまま
眩い光を発しつつベットの上に浮いていた。

瑠璃「………」

突然の事態にどうしたものかとルリが戸惑っていると、
彼女の脳裏に優しい少女のテレパシーの声が響いた。

きらりの声「…さん……藍羽ルリさん……」
ルリ「貴女は…?」

ユミコ「お嬢様?」

どうやらこの声は、側にいるユミコには聞こえないらしい。

ルリ「貴女は誰なのです?」
きらりの声「詳しい事情をお話している時間はありません。
 瑠璃と舞原このはさんを救うために、貴女のセイクリッドの力が
 どうしても必要です。どうか力を貸してください」
ルリ「わかりました。私の力でお役にたてるのでしたら…」

ルリは謎の声に言われるがままに両手を胸に当て、
祈るように秘めたる力をゆっくりと解放する。
果たして何が起ころうとしているのであろうか!?

1559

○ミレイア・エターナル→西条きらりの呼びかけに応える。
○西条きらり→テレパシーでミレイア姫と藍羽ルリに訴えかける。
○鏡誠→セーラーティンにゃんこが仕掛けていた爆弾の罠に嵌まり傷つく。
○アミ→セーラーティンにゃんこが仕掛けていた爆弾の罠に嵌まり傷つく。
○ミホ→セーラーティンにゃんこが仕掛けていた爆弾の罠に嵌まり傷つく。
○リサ→セーラーティンにゃんこが仕掛けていた爆弾の罠に嵌まり傷つく。
○サオリ→セーラーティンにゃんこが仕掛けていた爆弾の罠に嵌まり傷つく。
○尾村豪/ドクターオブラー →セーラーティンにゃんこに襲われるが、突然獣人オブラーに変身して応戦。
○セイクリッドアルマ・アーク→セーラーアルーミナムセイレーン&セーラーレッドクロウと交戦。
○グレイファス→セーラーアルーミナムセイレーン&セーラーレッドクロウと交戦。
○ライディーンイーグル→神無聖月がルーシュである事に気づく。
○ライディーンコンドル→神無聖月がルーシュである事に気づく。
○ライディーンホーク→神無聖月がルーシュである事に気づく。
○ライディーンアウル→神無聖月がルーシュである事に気づく。
○ライディーンファルコン→神無聖月がルーシュである事に気づく。
○神城桃矢→イカデビルと交戦。
○金剛煌→イカデビルと交戦。
○伊藤若菜→意識不明のまま、京南大学付属病院に入院中。
○山口揚羽→意識不明のまま、京南大学付属病院に入院中。
○赤崎七海→意識不明のまま、京南大学付属病院に入院中。
○宮坂瑠璃→入院中のベットの上で、突然光に包まれ宙に浮き上がる。
○ユミコ→病院で待機している藍羽ルリに付き添っている。
○藍羽ルリ→西条きらりの呼びかけに応える。
●セーラーティンにゃんこ→鏡誠が駆るES、メイド隊、獣人オブラーと交戦。
●神無聖月/ルーシュ・デ・モン→ライディーンたちに自分の正体を明かす。
●死神博士/イカデビル→神城桃矢&金剛煌と交戦。

【今回の新規登場】
○西条きらり(超者ライディーン)
 ダニーズ事務所所属の国民的アイドル歌手。なぜか顔が宮坂瑠璃に酷似。
 彼女もまた女神ライディーンセイラから双子座のオーブを託されており、
 超魔やライディーンの姿を見ることができる。
 ライディーン一族としての記憶が徐々に覚醒して行き、
 完全に覚醒しきった時にきらりの肉体は消滅し、瑠璃と同化してしまった。
 それによって昏睡状態にあった瑠璃が目覚める事になる。
 後日談のCDドラマでは、二重人格のような状態で
 瑠璃と一つの肉体を共有するような形になる。

○アミ(セイクリッドセブン)
 藍羽家に仕えるメイド隊の一人で、司令室「車両課」オペレーター。
 「車両課」に所属し、各車両の管理はもとより、航空機、兵器の管理も行う。
 鏡のエンゲージメントスーツの追跡、管理も彼女の担当である。

○ミホ(セイクリッドセブン)
 藍羽家に仕えるメイド隊の一人で、司令室「戦略課」オペレーター。
 「戦略課」に所属し、各種レーダーの管理、解析を行う。
 衛星写真や気象状況の解析までこなし、悪石や変身後のアルマの追跡なども行う。

○リサ(セイクリッドセブン)
 藍羽家に仕えるメイド隊の一人で、「車両課」所属。
 ヘリコプターから輸送機まで、航空機全般の操縦を手掛けるパイロット。
 双子であるサオリと息のあったフライトを見せる。

○サオリ(セイクリッドセブン)
 藍羽家に仕えるメイド隊の一人で、「車両課」所属。
 パイロットとして、双子であるリサをサポートする。

○ユミコ(セイクリッドセブン)
 藍羽家に仕えるメイド隊の一人で、「車両課」所属。
 鏡のエンゲージメントスーツ運搬用トレーラーから、
 ルリのリムジン、その他藍羽財団の車両の運転を担当する。
 鏡やルリと行動を共にすることが多く、戦闘現場では
 エンゲージメントスーツのメンテナンスを手掛ける。


『タランチュラロードイーバ ビギニング!!』

作者・ホウタイ怪人

1560

***???***

このは「桃矢…桃矢ったらぁ! どこなのぉ!」

ここはいつもの金桃寺の境内…。
夕飯時となり、いつものように幼馴染の姿を探す舞原このは。
どうせまた本堂の屋根裏で昼寝でもしているのだろう。

このは「…あっ、桃矢、こんなところにいたんだ!
 もうお夕飯できたわよ♪」

桃矢の姿を見つけたこのは。
しかし彼は普段の服装ではなく、戦支度の甲冑姿で
大剣を背に挿し、寺の山門の前に立っていた。

桃矢「………」
このは「桃矢、その格好は!?」

驚くこのはが呼びとめるも反応はなく、
桃矢は無言で彼女の前から立ち去ろうとする。

このは「待って桃矢! 行かないで!
 私を一人にしないで!」

神城桃矢は、グレイファス、ビークウッド、ガリエル、テディアムら
4人のアニマノイドを率いて戦場へと旅立った。
もう二度と彼らは戻って来ないかもしれない。
このははそれをただ絶望の中で
見守る事しかできなかった。

このは「イヤァァァ――ッッ!!!!!!!」

◇   ◇   ◇

このは「――!!」

思わず絶叫して悪夢から目が醒めたこのは。
気がつくと彼女は、暗い空間に一人、全裸の状態で
蹲るようにして宙に浮いていた。

このは「桃矢も結局行っちゃうんだ…。煌くんと同じところへ…!」

それは永遠の孤独…。
途方に暮れ涙が止まらないこのは。
だがそこに、まるで救いの手が差し伸べられるかのように
一つの優しく温かい声が響いた。

瑠璃「悲しまないで!」
きらり「まだみんなを救う方法はあります!」

1561

悲嘆に暮れるこのはに突然語りかけて来たのは、
自分と同じように全裸姿の二人の黒髪の少女だった。
一人はセミロング、そしてもう一人はショートカットの髪型をしている。

このは「あなたたちは…!?」
きらり「女神ライディーン・セイラ様、どうかお出ましください」

セミロングの髪の方の少女――西条きらりが高らかに呼びかけると
背中に蝶のような羽の生えた美しい成人女性が姿を現した。

セイラ「私は女神ライディーン・セイラ。聖創生大戦の昔より、
 ゴッドフェザーに選ばれたライディーン戦士たちを導く者…」
このは「ライディーン…」
セイラ「宇宙は今、時空や生命の調和と秩序が著しく損なわれ、
 大いなる戦禍と混乱の渦中にあります」

女神ライディーンセイラの言う「時空や生命の調和と秩序が著しく損なわれた」とは、
おそらく時空クレパス現象や黄泉がえり現象、そしてそれに起因する
各地での巨大な悪の勢力の復活を指しているのだと思われる。

セイラ「舞原このは、貴女は心から愛する者と、、
 これからも常に共に居続けたいと思いますか?」
このは「はい、勿論です!」
セイラ「ですがそれは修羅の道です。
 二度と後戻りはできません」
このは「構いません! 桃矢とこれからもずっと一緒にいられるのなら!
 そして煌くんも交えてまた三人で過ごせるのなら!」
セイラ「きらり、瑠璃、貴女方もその気持ちに些かも変わりはありませんか?」
きらり「はいっ!」
瑠璃「少しもこの気持ちは……飛翔を助け、苦楽を共にしたい気持ちは変わりません!」

女神ライディーンセイラは彼女たちの揺るぎない返答を聞き、
静かに両目を閉じて瞑想の体勢に入る。

セイラ「わかりました。今こそガルキーバ、ライディーン、そしてセイクリッドの
 異なる三つの力を合わせる時です。祈りましょう」

地球から次元を隔てた遠いエターナリアの地ではミレイア姫が、
そして京南大学付属病院では藍羽ルリが、時とタイミングを合わせるように
それぞれ両手を合わせて祈りをささげる。

ミレイア「………」
ルリ「………」

やがて病院の病室から二体の眩く光る物体が、
まるで飛び出すように生田山の方向へと
超速スピードで移動して行った。
そして病室のベットの上では、舞原このはと宮坂瑠璃の
二人の姿だけが消えていたのである…。

ユミコ「お嬢様、今のはいったい…!?」
ルリ「私たちも急いであの光の後を追いましょう!」

1562

***生田山***

オブラー「グォォォッッ!!!」
ティンにゃんこ「いきなりなんなんよコイツは!?」

突然獣人の姿に変身した尾村豪=オブラーに
驚きを隠せないセーラーティンにゃんこ。
オブラーの鋭い爪や突進による攻撃を
素早くかわすのが精一杯である。

オブラー「今のうちに態勢を立て直してくれ!」
アミ「えっ…!?」
リサ「…は、はい!」

オブラーがティンにゃんこを制している間に、
メイド隊は必死に武器を取って身構え直そうとするが…。

ティンにゃんこ「おっとそうはさせないわ!
 ――ギャラクティカパペット!!」

ティンにゃんこは両腕の腕輪から操り糸の様な物で
岩や大木を絡めとり衝撃波を放つ。
これには強靭な肉体を持つ獣人オブラーといえども
ノーダメージではいられなかった。

オブラー「うわあああっっ!!」
鏡@ES「くっ…まだそんな隠し玉を持っていたか!」

メイド隊や鏡の乗るESごと吹っ飛ばされるオブラー。

ティンにゃんこ「確か聞いた事があるわ。アンタ、
 その昔、武装頭脳軍ボルトにいたんですってねえ?」
オブラー「………」
ティンにゃんこ「生まれつき虚弱体質な身体にコンプレックスを抱いてて、
 それを克服するために特異型のウィルスを開発して、自ら獣人になった。
 当初は"醜い下等生物・人間の姿からおさらば出来た"とか言って
 誇らしげに語ってたそうじゃないの?」
オブラー「…あの時の俺は愚かだった。本当に大切な物は
 この地球に生きとし生ける数多の命であることに、
 俺は全く気付いてはいなかった。その罪はたとえ
 この身の命と引き換えにしても償いきれるものではない!」
ティンにゃんこ「そう。じゃあここで死になさい!」

ティンにゃんこの研ぎ澄まされた爪が
オブラーの急所に迫る。

オブラー「くっ…!」

サオリ「尾村さんッ!!」
鏡@ES「ここまでかっ…!」

オブラーが死を覚悟したその時、遥か空高く向こうから
二つの光が猛スピードでこちらへと真っ直ぐに突っ込んで来た。

1563

ティンにゃんこ「――!? ぎゃあああっ!!!」

謎の光に突撃され、訳も解らぬまま吹っ飛ばされるティンにゃんこ。
なんとか体勢を立て直して振り返ると、そこには青鋼の甲冑に身を包み、
戦士の槍「月光」を構えたポニーテールの少女と、
美しい蝶の容姿を象ったエメラルドとゴールドのメタリックボディである
鳥人の女戦士が立ち塞がっていたのである。

戦士このは「………」
Rセイラ「………」

またも予想外に訪れた展開に驚くティンにゃんこ。
それはオブラーや鏡、メイド隊たちも同様であった。

オブラー「…き、君たちは?」
ティンにゃんこ「だ、誰よアンタたち!?
 せっかくいいところだったのに邪魔しないでくれる!」

戦士このは「私は舞原このは。異世界エターナリアの伝説の戦士
 アイレシオの魂を受け継ぐ者よ!」
Rセイラ「「そして私はライディーンセイラ。戦士を導く女神と
 同じ名を与えられた、ライディーン11人目の戦士!」」

ライディーンセイラと名乗った蝶型の女戦士の声は、
二人分の事なる声色が同時に話しているように聞こえる。

ティンにゃんこ「エターナリアの戦士の魂を受け継ぐ者に
 11人目のライディーン戦士ですって!? んなもん聞いてないわよ!!」

戦士このは「いくわよ!!」
Rセイラ「「――タアアアアッッ!!」」

激しい突風と共に敵めがけて突撃する
戦士このはとライディーンセイラ。
それに耐えきれず悲鳴を挙げて倒れるティンにゃんこ。

ティンにゃんこ「ぎゃあああっっ!!!」

そうしているうちに倒れていたオブラーやメイド隊も立ちあがり、
鏡の登場するESも再起動を完了した。
ティンにゃんこはたちまち大勢の敵に取り囲まれた。

ティンにゃんこ「チッ…このままでは不利ね。
 覚えていらっしゃい!!」

多勢に無勢を悟ったティンにゃんこは、
悔し紛れにアッカンベーをしながら
テレポートで姿を消した。

鏡@ES「逃げたか…」
アミ「あの…貴女達は?」

戦士このは「桃矢やライディーンたちの事は任せてください」
Rセイラ「「ここはよろしくお願いします」」

それだけ言うと二人の少女戦士は瞬く間に
今、神城桃矢やライディーンたちが戦っている戦場の方へと
飛び去ってしまった。

オブラー「彼女たちはいったい…」

1564

○舞原このは→オリジナル変身能力を獲得。セーラーティンにゃんこと交戦。
○宮坂瑠璃&西条きらり→オリジナル変身能力を獲得。セーラーティンにゃんこと交戦。
○女神ライディーン・セイラ→舞原このはと宮坂瑠璃&西条きらりに変身能力を与える。
○ミレイア・エターナル→舞原このはと宮坂瑠璃&西条きらりのために祈る。
○藍羽ルリ→舞原このはと宮坂瑠璃&西条きらりのために祈る。
○ユミコ→変身した舞原このはと宮坂瑠璃を追って、藍羽ルリと共に生田山へ向かう。
○アミ→セーラーティンにゃんこに苦戦。駆けつけた舞原このはとRセイラ(瑠璃ときらりの変身体)に助けられる。
○リサ→セーラーティンにゃんこに苦戦。駆けつけた舞原このはとRセイラ(瑠璃ときらりの変身体)に助けられる。
○サオリ→セーラーティンにゃんこに苦戦。駆けつけた舞原このはとRセイラ(瑠璃ときらりの変身体)に助けられる。
○鏡誠→セーラーティンにゃんこに苦戦。駆けつけた舞原このはとRセイラ(瑠璃ときらりの変身体)に助けられる。
○オブラー →セーラーティンにゃんこに苦戦。駆けつけた舞原このはとRセイラ(瑠璃ときらりの変身体)に助けられる。
●セーラーティンにゃんこ→オブラーたちを追いつめるが、舞原このはとRセイラ(瑠璃ときらりの変身体)に撃退される。

【今回の新規登場】
○女神ライディーン・セイラ(超者ライディーン)
 ライディーン戦士と西条きらりを導く女神(巫女)。

 すでに肉体は存在せず精神のみのアストラル体として存在する。
 西条きらりの肉体を借りて、ライディーン戦士に復活したゴッドライディーンの破壊を命じた。


『タランチュラロードイーバ ビギニング!!』-7

作者・ホウタイ怪人

1565

***生田山***

セイレーン「――ギャラクティカツナミ!!」
レッドクロウ「――ギャラクティカトルネード!!」

セーラーアルーミナムセイレーンの呼び起こした津波がセイクリッドアルマ・アークを絡め取り、
セーラーレッドクロウの放った真紅の疾風が、グレイファスたち4獣人にダメージを与える。

アルマ・アーク「うわあああっ!!」

グレイファス「ぐわああっ!!」
ビークウッド「ぬうううっ!!」
ガリエル「うわあああっ!!」
テディアム「うわあああっ!!」

一方のライディーンたちも、生田山上空の空中戦で
ルーシュの黒い魔力の衝撃波に圧倒されていた。

ルーシュ「ふはははは!! その程度かライディーン!?」

コンドル「チッ…!」
イーグル「くそっ…!」
ファルコン「これじゃあ近づけないよぉ!!」

地上戦でも、神城桃矢と金剛煌は
イカデビルの伸ばす無数の触手に翻弄され大苦戦。

イカデビル「キィーッ!!」

戦士桃矢「このイカ野郎がァッ!!」
戦士煌「このままじゃやられる!?」

特にセイクリッドアルマ・アークとエターナリアの戦士たちは、
元々受け持っていた敵(悪石及びダークノイド)と今回は相手が違う事もあり、
いつもと勝手が違うために、思うように力を発揮できないでいた。
そしてルーシュもGショッカーと手を組んだ事で
以前よりも大幅にパワーアップしていたのである。

ルーシュ「まとめて止めを刺してやろう」

ルーシュは両腕を大きく天に向けて構えると、
超巨大な光球弾を繰り出した。

アウル「マズイッ!!」
コンドル「退避だァーッ!!」

ライディーンコンドルの号令の下、イーグルたちは一斉に回避。

アルマ・アーク「――矢のように駆ける力!!」

セイクリッドとしてのセブンズアビリティを発動させ、
アルマは空を飛べない桃矢と煌をキャッチして
二人を両腕に抱えながら高速移動で退避する。
彼らがルーシュの攻撃を避けて着弾した跡には、
轟音や土煙りと共に大きなクレーターが開いていた。

アルマ・アーク「大丈夫!?」
戦士桃矢「…あ、ああ。サンキュー」
戦士煌「助かったよありがとう」

1566

ルーシュ「次は外さん!!」

すかさずルーシュは余裕の2発目を繰り出そうとする。

ホーク「アカンっ! 今度またあんなのを食らったら
 一巻の終わりやで!」
グレイファス「くっ…これまでか!」

ルーシュ「死ねええええッッ!!!」

絶体絶命となったその時、一羽の美しい蝶のような飛行物体が
超絶的な猛スピードでルーシュめがけて突っ込んで来た。

???「「――ゴッドバードチェンジッッ!!!」」

ルーシュ「なにっ!? ぐわあああっ!!」

セイレーン「ルーシュ様!?」
レッドクロウ「ルーシュ様!!」

いきなりの不意打ちを食らったルーシュは地表に墜落。
慌てたセイレーンとレッドクロウが側に駆け寄ろうとするが…。

???「貴女達の相手は私よ!」

セイレーン「何者っ!?…ぐっ!!」
レッドクロウ「ぎゃああっ!!」

セイレーンとレッドクロウの前に立ち塞がった青鋼の甲冑の女戦士は、
持っていた槍の一振りで彼女たちを遠くまで薙ぎ飛ばした。
突如として現れた思わぬ援軍を視界に確認した時、
ライディーンイーグルや桃矢たちは目を丸くした。

戦士桃矢「ま、まさか…」
戦士煌「このはちゃん…!?」

戦士このは「久しぶりっ! 桃矢! 煌くん!」

Rセイラ「「飛翔、みんな、大丈夫?」」

イーグル「その声はまさか…瑠璃!? 瑠璃なのか!?」
ファルコン「きらりちゃんも!?」

突然の事で桃矢もイーグルたちも事情が呑み込めない。

Rセイラ「「詳しい話は後よ!」」
戦士このは「まずはアイツを片づけるわ!」

このはの指差す方向には、翼竜型のショッカー改造人間の姿があった。
外での戦闘騒ぎを聞きつけて、プラノドンがわざわざ出て来たのだ。

プラノドン「クォーックォーッ、クォーッ!!」

1567

プラノドン「むむっ、貴様らは確か洗脳カプセルを埋め込んだはずの小娘ども!
 どうしてこんなところに!?」

戦士このは「ああ、これのこと?」
Rセイラ「「お返しするわ!」」

戦士このはと戦士ライディーンセイラは、
それぞれ自分の左耳の穴から、
いとも簡単に小さい洗脳カプセルを取り出して
プラノドンめがけて投げつけた。

プラノドン「…こ、これは!? ぬぅぅぅっ…おのれッ!!
 いったいどうやって!?」

激しく動揺するプラノドン。

Rセイラ「「ここは私たちライディーンが引き受けます。
 エターナリアの戦士の皆さんは、敵の中継基地を破壊してください!」」

戦士桃矢「わかった! 行くぜグレイファス! ビークウッド! ガリエル!」
グレイファス「了解だ!」
テディアム「煌、俺に力を!」
戦士煌「うん、任せて!」
戦士このは「私も力を貸すわ!」

桃矢、煌、このはの三人がそれぞれの武器を掲げて、
グレイファス、ビークウッド、ガリエル、テディアムら全員が
機甲神獣形態に変身。そのまま敵基地のアンテナ施設に向けて
突っ込んで行く。

ルーシュ「させると思っているのか!?」
アルマ・アーク「お前たちの相手はこっちだ!!」
イカデビル「邪魔をするか!?」
アルマ・アーク「――同時に二つを壊す力!!」

アルマはファーストアビリティ・ガンナックルの力で
拳から弾丸を発射し、ルーシュとイカデビルを牽制。

イーグル「――ゴッドバードチェンジ!!」

一斉にゴッドバード形態に変形したライディーンイーグルたちは、
プラノドンの口から放つロケット弾の雨を掻い潜り突撃。
木っ端微塵に爆発四散してしまうプラノドン。

プラノドン「グギャアアッ!!…Gショッカー万歳!!」

そうこうしている内に、桃矢たちエターナリアの戦士は
Gショッカーの秘密アンテナ基地の破壊に成功した。

戦士桃矢「やったぜ! ざまあ~見やがれ♪」

ルーシュ「…お、おのれ~!!」
セイレーン「ル、ルーシュさまぁ~(涙目」
イカデビル「プラノドンとアンテナ基地を失った以上、事は敗れた。
 ルーシュ・デ・モンよ、この場はひとまず」
ルーシュ「よく聞けライディーンども! お前たちの正体はわかった!
 これからはいつでも攻撃できるぞ! よく覚えておくのだな!
 フハハハハハハ!!!!!!!!!」

ルーシュたちは捨て台詞を残して撤退した。
ライディーンホークも負けじと言い返す。

ホーク「それはこっちの台詞じゃボケーッ!!」

イーグル「神無聖月がルーシュだったとは…」
アウル「超魔に我々の正体を知られてしまった」
コンドル「これからは一時たりとも油断はできないな」

1568

***京南大学付属病院***

若菜「ふわあ~よく寝た」
揚羽「…あれっ、ここどこ?」
七海「あたしたちなんで病院に…??」

プラノドンが倒された事で、患者たちの耳に埋め込まれていた
洗脳カプセルは自動的に消滅。今回の事件の被害者は
めでたく全員助かったのであった。


***生田山***

戦いは終わった…。
藍羽ルリも病院から現場へと駆けつけて来て、
患者たちが全員無事に回復した事を告げ、
皆に安堵の表情が広がる。

豪「………」

獣人オブラーの姿から元の人間の姿に戻っていた尾村豪。
とても複雑そうな表情をしつつ、茫然と考え込んでいる。

アミ「尾村さん…」
サオリ「あの姿はいったい…?」
豪「それは僕にもわからない」

頭脳獣ウイルスヅノーにより投与された獣人進化ウィルスは、
もう豪の体内からは完全に駆除されており、彼はもう二度と
獣人の姿には戻らないはずだった。
今の尾村豪自身にとって、獣人オブラーとは「悪魔に魂を売った時の
忌むべき姿」に他ならない。
しかし何の因果か、再び彼は獣人へと変化する力を手に入れてしまった。
その原因についてはこれから詳しく調べてみる必要があるが、
これはきっと「過去の過ちに正面から向きあいつつ、
ブレイバーズの戦いに力を貸せ」という神のお告げでは
ないかと考えるのだった。

桃矢「このは…」
煌「このはちゃん…」
このは「桃矢…煌くん…本当に会いたかった!」

抱き合い喜びあう3人。

煌「でもこのはちゃん、あの姿はいったい…?」
桃矢「そうだこのは、説明しろ!」
このは「私にもまだよくわからないんだ。
 ただミレイア様と藍羽ルリさんが
 女神ライディーン・セイラ様と一緒になって
 協力してくれたのよ」
桃矢「ミレイアが…」

その話を側で聞いていたグレイファスたち。

グレイファス「ビークウッド、これは…」
ビークウッド「伝説の戦士となる力を持ち得るのは、
 まだ母親の胎内に宿っている頃に大地聖母使によって
 戦士の魂を注入された者だけの筈です」
グレイファス「もしや彼女にもエターナリア人の血が
 流れているというのか…」

1569

飛翔「瑠璃…」
瑠璃「えへへ…驚いた?飛翔」
飛翔「えへへじゃない! 本当に心配したんだぞ!」
電光「しっかし驚いたで。まさか瑠璃ちゃんにも
 ワイらと同じように変身できるなんて」
瑠璃「これを見て」

瑠璃がかざして見せた彼女の右手の甲には、
確かにゴッドフェザーが宿っているのが見えた。

瑠璃「女神ライディーン・セイラ様が
 私ときらりの二人に授けてくれたんだ。
 これからはもっと苦しい戦いになる。
 もう私はそれを黙ってみんなの帰りを待ってるだけ
 だなんてイヤ。お願い飛翔、私も一緒に戦わせて!」
飛翔「でも瑠璃…」

飛翔は、瑠璃の言葉にどう答えてよいものか戸惑う。

疾風「あれっ、ところで瑠璃さんは変身を解いても
 服は着たままなんだね」
瑠璃「うん。どうもガルキーバとセイクリッドの力で
 衣服が守られているみたいなの……ってちょっとみんな!?」

突然瑠璃が何かを思い出したように飛翔たちを見つめながら
両手を振って不自然に慌て出し、激しく動揺し始める。

桃矢「お、お前ら…(汗」
煌「うわあ……(///)」
このは「キャアアアッ――!!」

アルマ「き、君たち…(汗」
ルリ「あぁぁぁぁ………」
鏡「お、お嬢様、お気を確かに!?」

桃矢とアルマは目が点になって固まり、煌は恥ずかしそうに両目を手で覆い、
このはは悲鳴を挙げ、ルリは気を失って失神してしまう。
そしてメイド隊は飛翔たちにスマホを向けて
ニヤニヤしながら写メしている。
ここまで来て飛翔たちはようやく事態を理解した。

飛翔「うわああっ!? しまったああっ!!」

飛翔たち5人は変身を解除したため、素っ裸の全裸状態だったのだ。
慌てて"男の子の一番大事な部分"を両手で隠すが既に遅し。
ライトバンに乗った天賀井玲子が、5人分の着替え用のバスローブを持って
ようやく現場へと駆けつけて来たのは、それからほんの少し後の出来事であった。

玲子「あちゃー! 遅かったか」
疾風「玲子さん早く早くぅ~!」

1570

戦いに勝利し、一時の平和を取り戻したブレイバーズ。
彼らの活躍によってまた事件は解決した。
だが、その様子の一部始終を、山林の藪の陰から
密かに見張っている者たちがいたことには、
誰一人として気づいてはいなかった。

ケビン「あれがブレイバーズか…」

謎の男ケビン・オルバは、監視用に放っていた小蜘蛛たちを
右の手の甲の上に呼び集めて回収する。そしてその横には、
あの東条寺理乃が付き添うように立っていた。

ケビン「確かにそこそこは使える奴らのようだ」
理乃「我ら堕神の理想を叶える大願成就の時は近いわ。
 それまでブレイバーズには、せいぜい駒として
 役に立ってもらいましょう」
ケビン「………」

ケビンと理乃は一瞥をくれると、時空クレパスの中へと
消えて行くのだった…。

果たして彼らの正体は何者なのであろうか!?

1571

○神城桃矢→Gショッカーの洗脳電波の発信基地を破壊。
○金剛煌→Gショッカーの洗脳電波の発信基地を破壊。
○舞原このは→Gショッカーの洗脳電波の発信基地を破壊。
○グレイファス→Gショッカーの洗脳電波の発信基地を破壊。
○ビークウッド→Gショッカーの洗脳電波の発信基地を破壊。
○ガリエル→Gショッカーの洗脳電波の発信基地を破壊。
○テディアム→Gショッカーの洗脳電波の発信基地を破壊。
○鷲崎飛翔/ライディーンイーグル→プラノドンを倒す。
○エース羽田/ライディーンコンドル→プラノドンを倒す。
○鷹城電光/ライディーンホーク→プラノドンを倒す。
○鳥飼銀牙/ライディーンアウル→プラノドンを倒す。
○大鳥疾風/ライディーンファルコン→プラノドンを倒す。
○宮坂瑠璃&西条きらり→プラノドンを倒す。
○天賀井玲子→鷲崎飛翔たちの着替えを届けに生田山に車で駆けつける。
○丹童子アルマ/セイクリッドアルマ・アーク→ルーシュとイカデビルを撃退。
○鏡誠→鷲崎飛翔たちの裸を見て失神した藍羽ルリの体を抱える。
○藍羽ルリ→鷲崎飛翔たちの裸を見て失神する。
○伊藤若菜→プラノドンが倒された事で、病院のベットで目を覚ます。
○山口揚羽→プラノドンが倒された事で、病院のベットで目を覚ます。
○赤崎七海→プラノドンが倒された事で、病院のベットで目を覚ます。
○尾村豪→再び獣人化したことに複雑な思いを抱く。
●ルーシュ・デ・モン→ブレイバーズに敗れ、退却。
●イカデビル→ブレイバーズに敗れ、退却。
●怪鳥人プラノドン→ブレイバーズの攻撃の前に倒される。
●セーラーアルーミナムセイレーン→ブレイバーズに敗れ、退却。
●セーラーレッドクロウ→ブレイバーズに敗れ、退却。

●ケビン・オルバ→ブレイバーズの戦いぶりを密かに観察していた。
●東条寺理乃→ブレイバーズの戦いぶりを密かに観察していた。 


『少年少女たちの恋』-前編

作者・ホウタイ怪人

1572

Gショッカーの人類洗脳奴隷化計画を粉砕してから、
一週間が過ぎた…。

***相模原市・日の出町 海岸沿いのバス路線の車中***

瑠璃「………」

快晴の天気となったその日、宮坂瑠璃は一人
地方交通の路線バスの客席に座っていた。

きらりの声「瑠璃、どうしても行くの?」
瑠璃「きらり…?」

彼女の脳裏に、自分の身体の中に眠るもう一人の分身――
――西条きらりの声が響く。

瑠璃「止めても無駄よ。だって…このままじゃ
 このはさんが可哀想だもん」

瑠璃の表情には、何かハッキリとした
硬い決意のようなものが窺える。
なぜ彼女がバスに乗ってわざわざ
東京から遠くここまで出掛けて来たかというと、
その経緯は二日前まで遡る…。

◇   ◇   ◇

その日、金桃寺には各地から届けられた救援物資が所狭しと積まれていた。
現在もGショッカー等の地球外侵略勢力による空襲やテロが散発的に続いているため、
郊外の適した位置にある金桃寺は、物資の集積所や緊急の避難所として
今も時折こうして利用されていたのである。

このは「手伝ってもらってごめんね瑠璃ちゃん」
瑠璃「いいえ、気にしないでください。
 今日はどうせ暇でしたし」

運ばれて来た物資の運搬や炊き出し等で、
金桃寺を手伝いに訪れていた中3の宮坂瑠璃。
高2である舞原このはとは二つほど歳が離れているが、
この二人が仲良くなるのにそう時間はかからなかった。

瑠璃「――そうなんですか。桃矢さんも煌さんも
 じきにエターナリアに帰っちゃうんですね。
 もう少し地球でゆっくりしていけばいいのに…」
このは「エターナリアの戦線の行方もまだどうなるかわからないし、
 そうもいかないみたいなのよ」
瑠璃「勿論このはさんも桃矢さん達と一緒に行くんですよね?」

瑠璃が何気に疑いなくこの問いを投げかけた時、
このはの表情が一瞬曇った。

このは「………」
瑠璃「このはさん…?」
このは「――あっ、ごめんなさい。なんでもないわ」

1573

一馬「アイツと出会ったのは戦場での事だった」

このはの父・一馬は、自身の亡き妻――すなわちこのはの母親について
語り始めた。地球連邦軍の特殊部隊員として戦地で活動していた
若き日の一馬は、従軍看護婦として負傷兵士の治療に当たっていた
若い女性と次第に魅かれあうようになり、やがて結ばれたのだという。

グレイファス「その女性がこのはの母親…」
ビークウッド「その方は確かに日本人だったのですか?」
一馬「さあな…。何しろ混乱した戦地ての事だ。
 身分や氏素性なんてものは、やりようによっては
 どうとでもならあな」
ビークウッド「もしこのはの母親が、アースサイドへと逃れて来た
 エターナリアの人間だったのだとしたら、戦士アイレシオの魂を
 宿していた事も説明がつきます」
一馬「…で、どうするんだお前さんたちは?
 このはも桃矢や煌と一緒にエターナリアに
 連れて行くのかい?」
グレイファス「それは……」

答えに詰まるグレイファスたち。
その夜、彼らは神城桃矢も交えて
今後について相談した。

桃矢「このはは置いて行く!」

桃矢は即座にこう断言した。

ガリエル「いいのか大将?」
桃矢「俺はこのはに戦場で殺し合いなんかさせたくねえ。
 あいつはそんなのには向かない」

◇   ◇   ◇

舞原このはは金桃寺に置いて行かれる。
翌日にそれを知った瑠璃は、お節介とは百も承知ながらも
桃矢に会いに行き猛抗議。

瑠璃「本当にそれでいいんですか桃矢さん!
 このはさんはずっと一人で寂しかったんですよ!」
桃矢「余計な御世話だ! ほっといてくれ!」
このは「もういいのよ、瑠璃ちゃん。
 私が一緒に行っても足手まといになる
 だけだもの…」
瑠璃「このはさん…」

かえって桃矢の逆鱗に触れてしまい、
仕方なくその日は帰ることにした瑠璃を、
寺の山門でビークウッドが呼びとめる。

瑠璃「ビークウッドさん…」
ビークウッド「瑠璃、貴女はどうしてそこまで
 桃矢とこのはの事を気にかけるのですか?」
瑠璃「私…知ってるんです。桃矢さんが帰るまでの間、
 このはさんがどれだけ孤独で辛かったかを…」

瑠璃は戦士への変身能力に目覚める際に、
ガルキーバ、ライディーン、セイクリッドの三つの力の作用で
一時的にこのはの意識とシンクロしていた。
その時に桃矢と離れ離れだった頃のこのはの
記憶と感情がどっと瑠璃の心の中にも流れ込んで来た。

ゴッドライディーンの体内に長い間囚われて、
鷲崎飛翔と離れ離れだった瑠璃にも、
その気持ちは痛いほど解るのだ。

ビークウッド「貴女の気持ちはよく解りました。
 ですがこれは桃矢とこのはが自身で結論を出す問題です。
 ここは我々は二人を静かに見守るべきではないでしょうか」
瑠璃「そうですね……」

1574

天使更生組合の事務所に顔を出した瑠璃は、
飛翔にもベランダで二人きりでこの件を相談してみた。

飛翔「俺も桃矢さんの気持ちがわかるな。
 好きな女の子を危険な目に遭わせずに済むなら
 その方がいいよ」
瑠璃「じゃあ飛翔は、ライディーンセイラに変身できるようになった
 私の事はどう思ってるわけ?」
飛翔「それはもちろん、戦場には出ないでほしいよ。
 昔から危険な仕事は男の役目って決まってるからな。
 女の子は家庭で男の帰りを待っているのが普通じゃないかな」
瑠璃「飛翔って意外に保守的な考えだったのね。ももいいわ…」

瑠璃は飛翔の話を聞いて表情が不機嫌そうになり、
ベランダから建物の中へと戻ってしまう。

飛翔「おい瑠璃!? なにいきなり拗ねてるんだよ」
瑠璃「飛翔も桃矢さんも女の子の気持ちが全然解ってない!!」

たとえ危険な地であろうとも、女の子は好きな男の子と
どこまでも一緒に居たいものなのだ。
それをちっとも理解しようとしない桃矢や飛翔に
瑠璃はいら立ちを募らせる。

ちょうどリビングで寛いでいた鷹城電光と大鳥疾風を見つけた瑠璃は、
ついでにと彼らにもこの件をぶつけてみる。

疾風「ふ~ん。女心って複雑なんだねえ…」
電光「確か神城桃矢の他にもエターナリアの戦士には
 金剛煌というのもおったやろ。そいつにも聞いてみたら
 どないや?」
瑠璃「それが煌くんはここ数日、何か用事があるらしくて
 ずっとどこかに出かけてるみたいなのよ」

この日は結局、結論は出なかった…。

◇   ◇   ◇

こうして瑠璃は、最後に行き着いた相談先として、
ある場所へと路線バスに乗って向かっているのであった。

きらりの声「これは桃矢さんとこのはさんの問題よ。
 私たちが口を挟む事ではないな」
瑠璃「それはわかってるけど、ほっとけないのよ!」

脳裏に響くきらりの声と議論する瑠璃。
しかしその様子は他者から見れば、
先程から意味不明な独り言を延々と口にしている
イタい女の子にしか見えないのであったww。

乗客の男の子「ねえママ、あのおねえちゃん
 さっきから何て言ってるの?」
乗客の母親「しーっ!! 見ちゃいけません!」

1575

瑠璃「着いたわよ…」

停車したバスから降りた瑠璃の目の前に建っていたのは、
壮大な面積の豪邸とその敷地であった。

***藍羽邸・応接間***

ユミコ「こちらにてしばらくお待ちください」

応接間へと通された瑠璃は、棚に飾られてある
鬼瓦が少し気になった。

鬼瓦「………」
瑠璃「随分と変わった鬼瓦ね…」

何でこんな物がこんなところに飾ってあるんだろうと気にはなった瑠璃だったが、
すぐに忘れて席について待つ。やがて瑠璃と同じ名前の読みの、
この屋敷の主人である少女が懐刀の執事長を連れて現れた。

ルリ「お待たせしました」

藍羽ルリ――巨大財閥である藍羽財団のCEOにして、
人間に危害を成す悪石(アシ)と戦うセイクリッド・テイマーの支援者。
そしてブレイバーズの有力スポンサーの一人でもある。

瑠璃「こちらこそ急にお邸に押しかけて来て申し訳ありません」
ルリ「それで、お話というのは?」

瑠璃はルリに全ての経緯(いきさつ)を説明した。

ルリ「なるほど、事情はわかりました。
 これは難しい問題ですね」
瑠璃「私、桃矢さんの気持ちもわかるんです。
 確かに大事な人を危険な戦地へは連れて行けないのかもしれない…。
 でも桃矢さんにはこのはさんの寂しい気持ちも
 わかってあげて欲しいんです」
ルリ「確かに…」
瑠璃「あの…藍羽さんは丹童子アルマさんの事が
 好きなんですよね?」
ルリ「えっ…!?(///)」
鏡「なっ…!!」

瑠璃からの思わぬ言葉に、ルリと鏡は赤面して絶句。

ルリ「わ、私とアルマさんは別にそういった関係では…」
???「ワハハハ!!! 随分とハッキリ物を言う娘だオニ」
瑠璃「誰っ!?」
???「ここだオニ」

よく見ると、その謎の声は部屋に飾られている鬼瓦から
聞こえているものだった。

瑠璃「鬼瓦が喋った!?」
鬼瓦「おい娘、気に入ったオニ。
 ここは一つわしが知恵を貸してやるオニ」

藍羽家に居候する悪石(アシ)・鬼瓦は、
前回の戦いでは悪石絡みではなかったため、
出番がないと暇を持て余していた。

果たして宮坂瑠璃に手を貸そうという鬼瓦は
何を企てようとしているのか。
そして神城桃矢と舞原このはの二人の思いは
どこへ行く…?

1576

○神城桃矢→舞原このはを金桃寺に置いて行くと言う。
○グレイファス→戦士に目覚めた舞原このはの今後の処遇について話し合う。
○ビークウッド→戦士に目覚めた舞原このはの今後の処遇について話し合う。
○ガリエル→戦士に目覚めた舞原このはの今後の処遇について話し合う。
○舞原一馬→亡きこのはの母親について語る。
○舞原このは→前回の戦い以来、宮坂瑠璃と親しくなる。神城桃矢の言に従い、金桃寺に残ると言う。
○宮坂瑠璃→前回の戦い以来、舞原このはと親しくなる。金桃寺に残されそうなこのはを気遣う。
○西条きらり→宮坂瑠璃に慎重であるべきと苦言を呈する。
○鷲崎飛翔→宮坂瑠璃から、神城桃矢と舞原このはの件について相談される。
○鷹城電光→宮坂瑠璃から、神城桃矢と舞原このはの件について相談される。
○大鳥疾風→宮坂瑠璃から、神城桃矢と舞原このはの件について相談される。
○藍羽ルリ→宮坂瑠璃から、神城桃矢と舞原このはの件について相談される。
○鏡誠→宮坂瑠璃の待つ応接間に、主人である藍羽ルリと同席。
○ユミコ→藍羽邸を訪れた宮坂瑠璃を応接間へと通す。
○鬼瓦→ハッキリ物を言う宮坂瑠璃を気に入り、彼女に協力を申し出る。

【今回の新規登場】
○鬼瓦(セイクリッドセブン)
 かつて藍羽ルリに助けられた経緯から、今はルリに協力している悪石(アシ)。
 悪石を感知する能力から、レーダー的な役割を担う。自称「鎌倉大仏殿の鬼瓦」とのことだが、
 真偽の程は定かではない。オヤジギャグとシモネタが大好き。自称800歳


『少年少女たちの恋』-中編

作者・ホウタイ怪人

1577

***金桃寺***

このは「…え? 遊園地のチケット?」
瑠璃「そーなんですよぉ。本当は飛翔と二人で行くつもりだったんですけど、
 急にお仕事の予定が入っちゃって行けなくなっちゃったんです。
 私一人で行ってもしょうがないし、もしよろしかったら桃矢さんと
 お二人で是非♪」
桃矢「お、おい! ちょっと待て!」

瑠璃は桃矢とこのはに遊園地のチケット二枚を強引に押し付けると、
あっという間にその場から立ち去ってしまった。
桃矢とこのはの二人は、ポカーンとしたまま茫然と立ち尽くしている。

桃矢「ま、まあ…どうせこの次の日曜は暇だしよぉ。
 行ってやってもいいぜ…(///)」
このは「そ、そうね…。せっかくもらったんだから、
 使わないと勿体ないし…(///)」

その様子を物陰から窺っている、
実はまだ帰っていなかった瑠璃、鬼瓦、
そしてガリエルとテディアム。

瑠璃「よしっ!」
鬼瓦「まず第一段階は成功だオニ♪」
ガリエル「これで本当に思惑通りにいくんだろうなぁ?」
瑠璃「ガリエルさん、テディアムさん、
 あなたたちだって桃矢さんとこのはさんの事は気になるでしょ!
 お願いだから協力して!」
ガリエル「まあ大将とこのはのためなら
 一肌脱ぐけどよ…」
テディアム「どうなったって俺たちは知らねえぞ」

二人が再び離れ離れになる前に、
なんとか桃矢とこのはの仲を取り持とうと
ノリノリで奮闘する瑠璃と鬼瓦だったが、
無理やり手伝いに駆り出された形の
ガリエルとテディアムはやや懐疑的な様子である。

そして作戦決行の日曜日を迎えた。


***甘城ブリリアントパーク***

東京都西部のベッドタウン甘城市にあるテーマパーク形式の遊園地。通称「甘ブリ」。
一時は経営難による閉鎖も噂されたが、最近になって持ち直したのか
徐々に入場客数も回復しており、現在も営業が続いている。

桃矢「よ、よぉ…待たせたな…(///)」
このは「べ、別に…。私も今来たところよ…(///)」

ここ数日前のアトラクションの一つ"スプラッシュ・オーシャン"にて行われた
ヒーローショーのバトルが好評を得て、日曜という事もあり
かなり混雑して賑わっている。

マナミ@通信「桃矢さんとこのはさん、たった今入場ゲートをくぐられました」
瑠璃「了解。こちらも尾行を開始するわ!」
ガリエル「………(汗」
テディアム「………(汗」

パーク内のあちこちには、キャスト(従業員)に変装した
藍羽家メイド隊がスタンバイ。
それら彼女たちと無線で連絡を取りながら、同じく変装している
瑠璃、鬼瓦、ガリエル、テディアムも気付かれないように
桃矢とこのはの後をこっそりと追う。

1578

アミ「こちらアミ。桃矢さんとこのはさんは、アトラクション
 "セーブ・ザ・アース"の中に入られました!」

エリア"アストロ・シティ"で清掃員を装いながら
無線で瑠璃に報告しているメイド隊のアミだったが…。

モッフル「ふも…?」
アミ「えっ…?(着ぐるみ!?)」

なんと間の悪い事に、パークのリアルキャストである
モッフルたちに見つかってしまった。

モッフル「キミ…見ない顔ふもね?」
アミ「すみません。今日入ったばかりの新入りなもんで。
 アハハハ…(汗」
ティラミー「なんか怪しいミー」
マカロン「お嬢さん、ちょっとあっちで詳しい事情を
 聞かせてもらうロン」
アミ「え、ええ~~~っ!!?」

◇   ◇   ◇

瑠璃「え~っ!? アミさんと連絡が途絶えた!?」
リサ@通信「申し訳ありません」

同じメイド隊のリサから、
アミがいなくなったとの緊急事態の連絡が
瑠璃たちに入る。

鬼瓦「思わぬアクシデントだオニ」
テディアム「もしかして気取られたんじゃねーだろうな?」
ガリエル「おい、大将たちが出て来たぜ」
鬼瓦「どれどれ…」

アトラクションの建物から出て来た桃矢は
なぜかかなり不機嫌な様子…。

桃矢「なんだここのアトラクションは!
 地球環境だのエコロジーだの退屈な説教を
 だらだらと続けてたと思ったら、帰り際にしつこく
 寄付をよこせだぁ? 新手の新興宗教かここは!?」
このは「ハァ…そうね(汗」

ため息混じりの桃矢とこのはが目の前を通り過ぎるのを、
隠れながらじっと見張っている瑠璃たち。

テディアム「なんか悪い方向に向かってるんじゃねーか…?」
鬼瓦「これはまずいオニね…」
瑠璃「後を追いましょう!」

1579

次に桃矢とこのはが入って行ったアトラクションは、
当パークで大人気である"モッフルのお菓子ハウス"である。

桃矢「いやあ、スカッとしたぜ♪」
このは「うふふ…そうね」

中は「お菓子ハウス」などという穏やかな名前とは正反対の
レーザーポインターでネズミを撃って得点を稼ぐという
かなりハードなアクションゲームだったが、
どうやら桃矢とこのははかなり息の合ったプレイを見せたらしく、
外に出て来た時には二人ともご機嫌の様子であった。

このは「ねえ桃矢」
桃矢「なんだ?」
このは「また…いつか二人で一緒に来たいね」
桃矢「ああ…そ、そうだな…(///)」

なんとなくいい雰囲気である桃矢とこのは。
そしてそれを物陰からそっと見守る瑠璃たち。

ガリエル「どうやら持ち直したみたいだな」
テディアム「一時はどうなることかと思ったぜ」
瑠璃「これで二人の距離が縮まってくれるといいんだけど…」
鬼瓦「では、我々もそろそろ撤収するオニ」

これで全て上手く行ったと思ったその時、
面倒な事に疫病神ww!?が現れた。
先程キャストに成り済ましていた不審者(アミ)を見つけ、
事務所まで連行してセクハラまがいの尋問をした結果、
逆に彼女から逆襲されボコボコにされたマカロンとティラミー、
そして一緒に巻き添えを食らったモッフルである。

モッフル「なんなんだふもあの女は!?」
マカロン「僕たちがいったい何をしたんだロン!」
ティラミー「暴力反対だミー!」

あちこち包帯や絆創膏だらけの三人だったが、
向こう側からやって来る桃矢とこのはを見つけてしまい、
まるで酔っ払いみたいに絡んで来た。

桃矢「な、なんだコイツら…(汗」
モッフル「おやぁ~お客さん、もしかしてカップルふもか?
 隅に置けないふもね。このこの~♪」
マカロン「若いって素晴らしいロン」
ティラミー「青春だミー♪」

1580

モッフルたちに悪気はなかったのだが、
からかわれた側の桃矢はつい心にもない余計な一言を口にしてしまう。

桃矢「カップル? そんなのどこにいるんだよ!」
このは「………」
ティラミー「お客さん、別に照れなくてもいいミー( ̄▽ ̄) ニヤニヤ」
桃矢「けっ、冗談! 俺はコイツが暇そうだったから
 付き合ってやっただけだ!」
このは「何よぉ! 私だって普段から人付き合いの少なさそうな
 桃矢を心配して、わざわざ遊園地まで付き合ってあげただけなんだからね!」
桃矢「失敬だなお前は! 俺にだって友達くらいいるよ!」
このは「だったらどこのクラスの誰よ! 名前言ってみなさいよ!」
桃矢「え~っとなあ! 同じ剣道部の三上だろ!
 それに隣のクラスの七瀬に―――」
このは「結局指で数えるくらいしかいないんじゃない!」
桃矢「うるせぇ!」

完全に流れが険悪な雰囲気に変わってしまい、
隠れてその様子を窺っていた瑠璃たちは皆、顔面蒼白。

テディアム「おいおいどーすんだよ!
 かえって話がこじれちまったじゃねーか!(汗」
瑠璃「あちゃー、どうしてこーなるのよっ!?」
鬼瓦「作戦失敗だオニ…」

桃矢「もうお前の顔なんか見たかねえや!」
このは「上等よっ! こっちからお断りだわ!」

桃矢とこのはは喧嘩別れし、それぞれ反対方向から帰ってしまった。

マカロン「もしかしてこれって僕たちのせいロン…?(汗」
ティラミー「自己責任だミー。僕は責任は取らないミー(汗」

瑠璃と鬼瓦たちの気遣いが裏目に出て、
関係が完全にこじれてしまった桃矢とこのは。
こうしている間にも、桃矢たちが再び地球を離れて
エターナリアへと戻る日が近づいてきている…。

1581

○神城桃矢→舞原このはと甘城ブリリアントパークに行く。
○舞原このは→神城桃矢と甘城ブリリアントパークに行く。
○ガリエル→甘城ブリリアントパークで、神城桃矢と舞原このはのデートを陰でフォローしつつ尾行監視する。
○テディアム→甘城ブリリアントパークで、神城桃矢と舞原このはのデートを陰でフォローしつつ尾行監視する。
○宮坂瑠璃→甘城ブリリアントパークで、神城桃矢と舞原このはのデートを陰でフォローしつつ尾行監視する。
○鬼瓦→甘城ブリリアントパークで、神城桃矢と舞原このはのデートを陰でフォローしつつ尾行監視する。
○アミ→甘城ブリリアントパークで、神城桃矢と舞原このはのデートを陰でフォローしつつ尾行監視する。
○リサ→甘城ブリリアントパークで、神城桃矢と舞原このはのデートを陰でフォローしつつ尾行監視する。
○モッフル→デート中の神城桃矢と舞原このはを見つけて、まるで中年の酔っ払いみたいに絡む。
○マカロン→デート中の神城桃矢と舞原このはを見つけて、まるで中年の酔っ払いみたいに絡む。
○ティラミー →デート中の神城桃矢と舞原このはを見つけて、まるで中年の酔っ払いみたいに絡む。

【今回の新規登場】
○モッフル・メル・モーセナス(甘城ブリリアントパーク)
 甘城ブリリアントパークのアトラクション「モッフルのお菓子ハウス」を担当するお菓子の妖精。
 しかし甘い物は好きではなく、あたりめやサラミ、コロッケなど酒のつまみになる物が好物。
 支配人である王女ラティファとは叔父・姪の関係(モッフルの姉が王妃)にある。
 また、メープルランドの軍人貴族の家系の出であり、軍においては特殊部隊などに属していた。
 その外見はボン太くんに似ているが、本人はパクリ呼ばわりされる事を嫌っているため
 決してその事に突っ込んではいけない。

○マカロン(甘城ブリリアントパーク)
 甘城ブリリアントパークのアトラクション「マカロンのミュージックシアター」を担当する音楽の妖精。
 居酒屋で飲んだくれていることが多く、ヘビースモーカーでもある。かつてアイドルと結婚していたが、物語開始時点ですでに離婚しており、娘ララパーの養育費の捻出に苦しんでいる。
 学生時代はヤンキーで、高校は中退している。

○ティラミー(甘城ブリリアントパーク)
 甘城ブリリアントパークのアトラクション「ティラミーのフラワーアドベンチャー」を担当する花の妖精。
 過去に銀行破りで投獄されており、前科持ち。甘ブリへは『もこもこプログラム』という犯罪者更生プログラムの一環でやってきた。また学生時代は大麻を栽培し、証拠隠滅として校舎を全焼させて逃げた過去があるなど、女関係も含めて非常に問題があるキャストである。


『少年少女たちの恋』-後編

作者・ホウタイ怪人

1582

***東京都世田谷区宮坂***

世田谷の高級住宅街を走る、一台の黒塗りの車…。

高井戸「レクトの元CEO・結城彰三氏は、私の学生時代の知己でね」
煌「………」

車の後部座席に座っているのは金剛煌、そして隣にもう一人、
眼鏡をかけた学者風に見える中年から初老にかけた年頃の紳士がいる。
名前を高井戸博士という。元・高井戸研究所の所長で、
彼を慕う助手たちと共に人類の脅威たるムー原人の存在を
世間に暴くべく戦っていた人物である。
そして彼もまた、煌と同様に一度命を落としながら、
黄泉がえりによって現世に復活した"再生者(リザレクター)"であった。

煌はまだこの世に生き返る前に死後の世界にいた頃、
二人の人物と出会っている。一人はユウキこと紺野木綿季、そしてもう一人は
高井戸の下でムー原人と戦っていた青年・滝川剛こと鉄人タイガーセブンである。

その縁で、煌と高井戸の二人は今、あの世にいるユウキから託された
あるメッセージを現世の人物に伝えるべく、ある場所へと向かっていた。
黄泉がえり現象が頻繁に起こるようになって以来、生き返った再生者が、
死後の世界の人物から託された言葉を現世で生きている人間に伝える
メッセンジャーの役割を果たす事は珍しくない。

ユウキが語っていた「アスナ」という名前の大切な女性。
煌は冥府にいる頃、ユウキから名前以外の詳しい素性を聞き出せなかったが、
幸いにして高井戸博士が生き返る前に、「アスナ」の氏名住所を聞き出して
おいてくれていたのだ。

本名は結城明日奈。総合電子機器メーカー「レクト」を経営する結城家の令嬢であった。

高井戸「着いたようだ」
煌「はい…」

煌は緊張した面持ちで、高井戸と共に結城邸の門をくぐる。
邸の応接間へと通された二人が待っていると
煌も見た途端に思わず顔を赤らめてしまう程の
ロングヘアの美貌の少女が姿を見せた。

明日奈「お待たせしました」
煌「……(この人が、アスナさん…)」

双方共に席に着き、挨拶を交わす。

高井戸「先日は突然お電話し、本日急に押し掛ける形となり申し訳ない」
明日奈「いえ、ユウキの話を聞かせて頂けるのでしたら、
 わたしの方からも是非お願いします」
煌「では僭越ながら僕から…」

煌は、あの世でユウキと出会った経緯から順を追って話し始めた。
蛇の道での冒険や界王星での出来事…。
それを食い入るように聞いているアスナ。
やがて彼女の眼には、うっすらと涙が浮かんだ。

明日奈「そうでしたか…。あのコは…ユウキは今でも
 期待に胸を膨らませながら、見知らぬ地での冒険を
 続けているんですね」
煌「アスナさん…」

1583

今度は明日奈の側から、煌と高井戸にユウキとの生前の数々の思い出が語られた。
VRワールドでの出会い、「スリーピング・ナイツ」のメンバー全員でやりきったボス攻略、
桐ケ谷和人が作った視聴覚双方向通信プローブを利用して明日奈と共に学校へと通った日々。

煌「そんなことがあったんですね…」

煌は自分の知らなかったユウキの一面を垣間見た気がした。
最後に高井戸の口から、ユウキからアスナに対しての
霊界からのメッセージが語られた。
いつ、どこで、とのような形になるかはわからないが、
再びまた巡り合った時、あれからお互いに出会った者、
見つけた物についてもっと語り合おうと…。

その瞬間、明日奈の両目からは止め処もなく涙がこぼれ落ちたが、
その表情は和やかに微笑んでいた。
煌と高井戸は、明日奈から他にもいるユウキの大勢の友達=ALOプレイヤーたちにも
是非今の話をしてほしいと頼まれ、いずれいつの日かの再会を約して
この日は別れたのであった。

◇   ◇   ◇

翌朝…。

***金桃寺***

このは「桃矢……」

早朝、またいつものように朝食の支度のため早起きしたこのはだったが、
その時すでに桃矢や煌、グレイファスたちの姿はなかった。
ユンの話によれば、彼らはまだ日が昇らぬうちに
早々にブレイバーベースに出立してしまったとのこと…。
昨日の甘ブリでの一件以来、桃矢とは全く口を聞いていない。

このは「何もわたしが起きる前に行かなくっても……」

強い孤独感と寂しさがこのはを襲う。
まだ誰もいない寺の境内を歩いて回るこのは。
そのうちに彼女の脳裏には、桃矢や煌と楽しく過ごしていた過去、
そして桃矢への募る思いが駆け巡って来た。

このは「桃矢の…バカッ…!」

その場に泣き崩れるこのは。
できることならば、すぐに桃矢の後を追いかけていきたかった。
自分にもエターナリアの戦士の力が宿っていたのだから、
それも可能のはずだ。しかし自分は桃矢から拒絶されたのだ。
その事が本当は無性に悲しかった。
そこへ父の一馬がそっと彼女の肩に手を差し伸べる。

このは「…お父さん?」
一馬「こんなところでいつまでメソメソしてる?」
このは「でも…わたしはっ…」
一馬「桃矢のところに行きたいんじゃねえのか?」
このは「わたしがいなくなったら、お父さんは…?」
一馬「俺の事なら心配いらん。ちびっ子どもの世話もユンがいる」
このは「………」

一馬は、娘このはに背を向けて言い放った。

一馬「てめえなんかもうウチの娘じゃねえ!
 どこへでも好きなところに行きやがれ!」

この不器用な父の、一見して罵声のようにも聞こえる後押しを受け、
ようやくこのはは立ちあがった。

このは「ありがとう…お父さん!」

このははすぐに荷物をまとめると、金桃寺を飛び出した。

1584

***日本海溝 ブレイバーベース・ディオドスゲート***

ブレイバーズの本部海底要塞ブレイバーベースの内部にある、
ディオドスシステムによる各異世界との「門」が接続されている区画。
地球での用件を済ませた神城桃矢たちが、いよいよ異世界エターナリアへと戻る時だ。
鷲崎飛翔や丹童子アルマたちも見送りに来ていた。

グレイファス「みんなには大変に世話になった」
アルマ「いえ、どういたしまして」
飛翔「皆さんもお元気で」

もうじき桃矢たちは目の前に開いたゲートを通って
エターナリアに帰ってしまう。その様子を落ち着かない様子で
見守っている宮坂瑠璃。

瑠璃「………(もうっ、このはさんったら何してるのよ!
 早くしないと本当に桃矢さんたちが向こうの世界に
 行っちゃう!)」

そんな焦りを隠せない瑠璃に、桃矢の方から
別れ際の言葉をかけて来た。

桃矢「えっと…確か宮坂瑠璃さんだったよな。
 いろいろ心配かけちまったみたいでわりぃ…。
 鷲崎飛翔とも仲良くやれよ♪」
瑠璃「桃矢さん…」

結局自分は桃矢とこのはの役には立てなかった。
一抹の空しさを瑠璃は覚えていた。
彼女の側に寄り添う飛翔に、その思いをそっと打ち明ける。

瑠璃「ねえ飛翔、結局わたしは桃矢さんとこのはさんの間を
 引っ掻き廻しただけだったのかな…?」
飛翔「そんなことはないよ…。瑠璃の気持ちはきっと
 二人にもよく伝わってるさ」
瑠璃「………」

エルファ「異世界エターナリアに向けた時空ゲートが開きます。
 皆さん準備してください」

エルファのアナウンスが場内に響き渡る。

煌「ねえ桃矢くん、本当にこのはちゃんを置いて来てよかったの?」
桃矢「しつこいな! その話なら昨日の内にすませておいただろ!」
煌「でも……」
ビークウッド「桃矢、煌、時間です」

いよいよ桃矢たちがゲートの中へと入ろうとしたその時――!!

このは「待ってください!!」

金桃寺から走って来たこのはが姿を現した。

瑠璃「このはさん!?」

このは「桃矢ぁぁぁっ!!!」
桃矢「このは…!?」

そのまま桃矢に向かって突進していき彼に抱きつくこのは。
最初は驚いていた桃矢も、このはを迷いなく強く抱きしめる。

桃矢「このは…」
このは「桃矢…」

二人は笑顔でそのまま倒れる込むように
ゲートの光の中へと消えて行ったのだった。

1585

グレイファス「やれやれ…」
ビークウッド「随分と手間のかかることです」
ガリエル「ヒューヒュー♪」
テディアム「けっ……」
煌「桃矢くん、このはちゃん、よかった…」

やがて二人を温かく見守る他の彼らも、
後を追うようにゲートの光の向こうへと消えて行く。

飛翔「瑠璃、よかったな」
瑠璃「うん。桃矢さん、このはさん、末永くお幸せに…」


***高井戸研究所***

ここはムー一族の研究で知られた滝川考古学研究所の流れを組む
高井戸研究グループの事務所である。
ムー原人との最終決戦直前において、指導者であった高井戸博士によって
解散が告げられ、さらにその高井戸本人の死もあって、その後
組織としては胡散霧消のうちに消滅していたが、
復活した高井戸博士によって再びかつてのメンバーたちが招集された。

北川「博士、全員揃いました」
高井戸「諸君、よく集まって来てくれた」
三平「当然ですよ! 先生のためとあれば、
 たとえ火の中水の中! なあ!?」
ジュン「ええ、勿論よ♪」

北川史郎、林三平、青木ジュン。
いずれも高井戸博士と共に凶悪なムー原人と
戦ってきた仲間である。

高井戸「実は三か月ほど前の事になる。ハワイのキラウエア火山近くの観測所が
 何者かの襲撃を受け、異常とも思える高温高熱の炎で施設は丸ごと灰になった。
 そして次は二(ふた)月程前、地中海を航行していた豪華客船が原因不明の
 沈没事故を起こし、その後現場近海に浮き上がっていた船の残骸からは、
 奇妙な粘液が付着していた。いずれの事件もどう考えても人間の仕業だとは思えない」
北川「キラウエア火山の炎上はマグマ原人の仕業に違いない!」
三平「地中海の船舶事故はカッパ原人の仕業か!」
ジュン「ついにムー原人が再び動き出したんですね?」
高井戸「その通りだ」

1万4千年前に封印された太古のムー一族。
鉄人タイガーセブンの活躍により一度は全滅したはずだったが、
やはり予想通り、他の幾多の悪の組織と同様に再興を遂げており、
群雄割拠の地球征服競争に名乗りを挙げていたのである。

北川「くそっ! 剛の奴、いつまであの世でのんびりとしてやがるんだ!」
ジュン「北川さん、そんな言い方はないわ! 剛兄さんは…タイガーセブンは
 命に代えて一度はムー原人をやっつけてくれたのよ」
北川「悪いがジュン、俺は今でも剛の事を信用してはいない。
 そもそもアイツが自分の正体を俺たちにまで隠す必要などはなかったんだ!」
ジュン「でも…!」

言い争いになりかける北川とジュンを高井戸が窘める。
かつてムー原人と戦った鉄人タイガーセブンは、
今もまだ現世に蘇ってはいない…。

高井戸「よさないか二人とも。ここで我々が仲間内で争っては、
 ムー原人が喜ぶだけだ」
三平「しかし博士、もうタイガーセブンはいないんですよ。
 いったいどうやって我々だけでムー原人と戦うんですか?」
高井戸「弱音を吐いてはいかん。確かに以前の我々は
 世間からの理解も得られずに孤独な戦いを強いられた。
 しかし今の我々にはブレイバーズという心強い味方がいるじゃないか。
 剛君のいない分まで我々で頑張ろう!」

「はい!」と心強く応える北川、三平、そしてジュンの3人。

高井戸「私は今回の事で、ユウキ君のようにたとえ短い命でも
 精一杯に生きる事を貫く人間がいる事を知った。
 その人たちのためにも、決してこの世界をムー原人の好きにはさせん!」

1586

***サハラ砂漠の地下遺跡・ムー帝国の神殿***

一万四千年に渡る恨みを募らせるムー原人の一族。
脳髄だけのムー大帝の名の下に、実質的な支配者である
ギル太子の号令が響き渡る。

ギル太子「今こそムー帝国一万四千年の恨みを晴らす時が来た!
 愚かな人間どもから今度こそ、太陽の光あふれる地上を取り返すのだ!」

ギル太子の言葉に呼応するように、不気味な雄たけびを挙げる
大勢のムー原人や戦闘員たち。

黒仮面「しかし今の地上にはブレイバーズがおります」
ギル太子「ブレイバーズだと? あんな寄せ集めの連中に何が出来る!
 あの邪魔者だったタイガーセブンはもういない。いずれ奴らも
 イヤでも思い知ることになる。偉大なるムー大帝の真の恐ろしさをな!」
黒仮面「ハハーッ!」
ギル太子「皆の者よく聞け! この青く輝く地球を支配するのは
 GショッカーでもETFのエイリアン共でも、ましてやロゴスなどでもない!
 我らムー一族なのだ!!」

今ここに新たな悪の勢力が、光と闇の果てしなき戦いの渦中へと
新規参戦を表明したのであった。

一方、その頃…。

***神の神殿・精神と時の部屋***

ブロッサム、マリン、サンシャイン、ムーンライト「「「「――ハートキャッチミラージュ!!」」」」

ハートキャッチプリキュアチーム全員でハートキャッチミラージュを召喚。
スーパープリキュアの種をハートキャッチミラージュにセットする。

ブロッサム、マリン、サンシャイン、ムーンライト「「「「鏡よ鏡、プリキュアに力を!」」」」

鏡に祈るハートキャッチプリキュアチーム。
ミラージュの4つのボタンを押し、種の周囲を数回回す。
鏡から発せられる光を浴び、ミラージュについていた
ティアラとイヤリングを装着するブロッサムたち。

ブロッサム、マリン、サンシャイン、ムーンライト「「「「――世界に輝く一面の花!
 ハートキャッチプリキュア・スーパーシルエット!」」」」

一瞬でスーパーシルエットにチェンジした
ハートキャッチプリキュアチームに相対するのは、
スイートプリキュアチームだ。

メロディ、リズム、ビート、ミューズ「「「「――出でよ、全ての音の源よ!」」」」

メロディたちの掛け声でフェアリートーン達の力を注ぎ、
ヒーリングチェストからクレッシェンドトーンを召喚。

メロディ、リズム、ビート、ミューズ「「「「届けましょう、希望のシンフォニー!」」」」

両腕をクロスしたままメロディたちがクレッシェンドトーンの金色の光と一体化して、
ブロッサムたちが召喚した巨大な白いドレスの女神めがけて飛行・突撃する。
巨大な女神も拳を握り締め、クレッシェンドトーン目掛けて振り下ろす。

ブロッサム、マリン、サンシャイン、ムーンライト「「「「――プリキュア!ハートキャッチ・オーケストラ!!!!!」」」」
メロディ、リズム、ビート、ミューズ「「「「――プリキュア!スイートセッション・アンサンブル・クレッシェンド!!!!!」」」」

二つの大きな浄化パワーが正面からぶつかり合い、
周囲一面に激しい衝撃と振動が走る。

1587

18号「よーし! 今日はここまでだッ!!」
プロッサム「ありがとうございました、コーチ!」
ムーンライト「おかげでいい汗がかけました」
メロディ「明日もまたよろしくお願いしますッ!」

精神と時の部屋で特訓を続けているプリキュアたちの
本日のコーチ役を務めているのは、人造人間18号である。

セバスチャン「18号さん、本日もご苦労さまでした」
18号「ああセバスチャンさん、ちょうどいいところに来てくれたよ。
 実は物は相談なんだけどさ。来月のコーチ料の件なんだけど…」

18号は電卓を取り出して何やら数字を打ちこみ、
来月のプリキュアたちの特訓コーチを引き受けるギャラの条件を
四葉家の執事であるセバスチャンに提示する。
ベジータやトランクスや孫悟飯は無償でコーチを引き受けているのだが、
普段から主婦としてクリリンの家の家計をやりくりしている18号は、
そこは他のZ戦士たちと違ってなかなかシビアである。

セバスチャン「これはちょっと…。せめてこのくらいの額では?」

セバスチャンは18号の提示額にやや難色を示し、彼女から電卓を拝借して
四葉財閥側からの契約報酬額を改めて提示する。

18号「セコイねえ…(呆。それじゃあ天下の四葉財閥の名が泣くよ。
 もう少し色をつけてくれたっていいだろう?」
セバスチャン「仕方ありませんな。ではこの額ではいかがでしょう?」
18号「よし、契約成立だね。なかなか話がわかるじゃないか♪」
セバスチャン「どういたしまして」

マリン「セバスチャンさんと18号さん、さっきから二人で何コソコソ話してんのかな…?」
ミューズ「さあ…」

日々の特訓を積み重ね、着々と準備を進めているプリキュアたち。
いよいよプリキュアオールスターズ参戦の日は、目前に迫っている!

1588

○神城桃矢→舞原このはと共にエターナリアへ戻る。
○金剛煌→高井戸博士と共に結城明日奈を訪問。その翌日エターナリアへ戻る。
○舞原このは→神城桃矢を追いかけて、共に異世界エターナリアへ行く。
○舞原一馬→娘・このはを金桃寺から送り出す。
○グレイファス→異世界エターナリアへと戻る。
○ビークウッド→異世界エターナリアへと戻る。
○ガリエル→異世界エターナリアへと戻る。
○テディアム→異世界エターナリアへと戻る。
○鷲崎飛翔→エターナリアへ帰る神城桃矢たちを見送る。
○宮坂瑠璃→エターナリアへ帰る神城桃矢たちを見送る。
○丹童子アルマ→エターナリアへ帰る神城桃矢たちを見送る。
○結城明日奈→金剛煌と高井戸博士から、ユウキのメッセージを聞く。
○高井戸博士→金剛煌と共に結城明日奈を訪問。その後、ムー原人の再襲来に備え高井戸研究隊を再結成。
○北川史郎→高井戸研究所に再結集。
○林三平→高井戸研究所に再結集。
○青木ジュン→高井戸研究所に再結集。
○キュアプロッサム→精神と時の部屋で特訓を続けている。
○キュアマリン→精神と時の部屋で特訓を続けている。
○キュアサンシャイン→精神と時の部屋で特訓を続けている。
○キュアムーンライト→精神と時の部屋で特訓を続けている。
○キュアメロディ→精神と時の部屋で特訓を続けている。
○キュアリズム→精神と時の部屋で特訓を続けている。
○キュアビート→精神と時の部屋で特訓を続けている。
○キュアミューズ→精神と時の部屋で特訓を続けている。
○セバスチャン→プリキュア特訓コーチのギャラについて人造人間18号と登場。
○人造人間18号→ハートキャッチプリキュアチームとスイートプリキュアチームを特訓。
●ギル太子→再び地球征服を目指して参戦を宣言。
●黒仮面→ギル太子にブレイバーズへの警戒を進言。

○エルファ→異世界エターナリアへと繋がる時空ゲート開通のアナウンスをする。

【今回の新規登場】
○結城明日奈=アスナ(ソードアート・オンライン)
 所謂エリートコースを歩んでいた良家の令嬢。急な出張に出る事になった兄に頼んで
 ナーヴギアを貸してもらった際、デスゲームに囚われSAO事件に巻き込まれた。
 エリートコースから脱落する事への恐怖から半狂乱に陥り、ゲーム攻略を第一に考え
 ひたすら邁進する様は狂戦士とまで評された。しかし、SAO世界で生きるキリトと出会うことで
 明るい性格を取り戻すと共に、キリトに好意を抱くようになる。
 ALO事件の解決後は、政府が用意しキリトを始めとするSAO帰還者が集められた学校に通う。
 アバターは支援・回復魔法に長けたウンディーネを選択。 種族特性に合わせた治癒師(ヒーラー)だが、近接戦闘も視野に入れたハイブリッド型のビルドとなっている。使用武器は細剣フロッティ。

○高井戸博士(鉄人タイガーセブン)
 高井戸研究所所長。「チームワークがあれば必ずムー一族の謎を世間にさらすことができる」という信念を持ち、自転車屋に偽装した秘密基地でムー原人の活動を探る。世間一般から理解されていないが、ムー原人研究組織「高井戸グループ」として認知されている。最終話、ムー一族存在の証拠を掴むために単身出撃し、ギル太子との格闘の末に戦死した。

○北川史郎(鉄人タイガーセブン)
 高井戸グループのメンバー。自分勝手な人間を毛嫌いするほど厳しい男で、
 事あるごとに勝手な行動を取る滝川剛には理不尽なまでに辛く当たる。
 彼自身も独善的で身勝手な面はあるが、その欠点を自分でも自覚しているらしく、
 時折苦悩する場面も見られた。海坊主原人を素手で倒した事がある。

○林三平(鉄人タイガーセブン)
 高井戸グループのメンバー。基本的に三枚目であまり戦いは得意ではないため、
 大怪我をしたり、ムー原人の特殊能力の標的にされることが多い。
 北川史郎に同調している事が多いが、特に滝川剛と仲が悪いという事もない。

○青木ジュン(鉄人タイガーセブン)
 高井戸グループのメンバーで紅一点。滝川博士の親友、青木博士の娘で、
 弟の次郎とともに滝川家の養子となった。滝川剛にほのかな恋心を抱くが、
 己の死を悟った彼にその想いは拒絶される。

○人造人間18号(ドラゴンボールシリーズ)
 レッドリボン軍のドクター・ゲロによって改造されたサイボーグ。
 自分達を勝手に人造人間へと改造したドクター・ゲロを激しく恨んでおり、
 命令を聞くふりをして隙を突き殺害している。
 セルに完全体になるために狙われる身となるが、その際に自分を懸命に
 守ろうとしたクリリンに徐々に魅かれて行き、後に彼と結婚。
 一女マーロンを設けた。ちなみに本名は「ラズリ」というらしい。

○花咲つぼみ=キュアブロッサム(ハートキャッチプリキュア!)
 私立明堂学園中等部の2年生。大地の戦士のプリキュア。
 デザトリアン化した来海えりかを救うためにプリキュアとして覚醒し、
 シプレとコフレの後押しもあってキュアブロッサムへと変身する。素直かつお人好しであり、
 礼儀正しい性格のため、つねに敬語で話している。また、美形に惚れやすい一面をもつ。
 親友のえりかに振りまわされることも多く、彼女の強引な誘いでファッション部に
 副部長として入部するが、園芸部にも掛け持ちで所属している。
 決めゼリフは「私、堪忍袋の緒が切れました!」。

○来海えりか=キュアマリン(ハートキャッチプリキュア!)
 私立明堂学園中等部の2年生で、花咲つぼみの親友。海の戦士のプリキュア。
 学校ではファッション部の創設者にして部長を務める。
 つぼみと正反対な性格で、元気かつ節介者。
 前向きで明るいマイペースな性格だが、反動で落ちこむこともある。
 決めゼリフは「海より広いあたしの心も、ここらが我慢の限界よ!」。

○明堂院いつき=キュアサンシャイン(ハートキャッチプリキュア!)
 私立明堂学園中等部の2年生で、生徒会長。太陽の戦士のプリキュア。
 変身後の一人称は「僕」から「私」に変わり、口調や声質も少女らしさを強調したものになる。
 実家は明堂院流古武道の道場であり、祖父は学園の理事長。
 病弱な兄の代わりに明堂院流の跡継ぎになるため、学園生活では真夏でも男子用の学生服を着用している。
 その兄を生涯守ることを誓い、次期当主および道場師範代という重圧に負けない覚悟をもつ。
 
○月影ゆり=キュアムーンライト(ハートキャッチプリキュア!)
 植物学者の月影博士の娘で女子高校生。月の戦士のプリキュア。
 シリーズ初の高校生が変身したプリキュア。ハートキャッチミラージュを手に入れる試練のため
 こころの大樹を訪れた際、宿敵ダークプリキュアとの死闘の末に敗れ、
 パートナーだった妖精コロンを喪い、それ以来長らく変身能力も失っていた。
 後にこころの大樹の力と「ココロポット」によって修復されたプリキュアの種の力で、
 再びキュアムーンライトとして復活を果たす。

○北条響=キュアメロディ(スイートプリキュア♪)
 加音町に住む14歳の女子中学生。数々の部活に助っ人として呼ばれており、
 運動神経は大変高い。音楽の世界では天才といわれる父と
 世界的なヴァイオリニストの母の間に生まれたサラブレッドだが、
 長いブランクからピアノの腕前は落ちていた。しかし南野奏との連弾や
 黒川エレンの指導によってコンクールで準優勝するほど上達した。
 奏が作るカップケーキは特にお気に入り。 メイジャーランドの妖精ハミィと出会い、
 伝説の戦士プリキュアとなる。口癖は「ここで決めなきゃ女がすたる!」

○南野奏=キュアリズム(スイートプリキュア♪)
 北条響と同じ私立アリア学園に通う女子中学生。響の幼なじみ。
 勉強と菓子作りが得意で、学校ではスイーツ部に所属している。
 響と同様にメイジャーランドの妖精ハミィと出会い、
 伝説の戦士プリキュアとなる。口癖は「気合のレシピみせてあげるわ!」

○黒川エレン=キュアビート=セイレーン(スイートプリキュア♪)
 マイナーランドの歌姫であり、トリオ・ザ・マイナーの上司を務めていた猫妖精。
 元々はメイジャーランドの妖精で、毎年のように「幸福のメロディ」の歌唱役に選ばれていた実力者。
 ハミィとは幼いころからの親友だったが、ハミィが歌唱役に選ばれたことで嫉妬して憎むようになる。
 裏切られてもなお自分を親友とみてくれるハミィに心打たれて改心し、プリキュアへと覚醒した。
 現在は「調べの館」に住んでおり、調辺音吉の支援で響たちの中学のクラスに編入する。

○調辺アコ=キュアミューズ(スイートプリキュア♪)
 メイジャーランドの王女で、メフィストとアフロディテの娘。9歳の小学生。
 シリーズ初の小学生が変身したプリキュア。
 父・メフィストの変貌により、祖父・音吉のいる「加音町」に身を寄せるが、
 両親を想うこころからキュアミューズとして覚醒する。しかし、
 母を心配させないために素性を隠し、当初は「黒ミューズ」として行動していた。
 メフィストを助けだしたあと、両親から帰郷を望まれたが、
 プリキュアとしての使命を尽くすため加音町に留まることを決意する。

●ギル太子(鉄人タイガーセブン)
 脳髄だけとなったムー大帝を敬う、ムー原人の大幹部。
 古代エジプト風の美しい仮面の下にある、醜い顔が真の姿である。
 最終話でムー大帝と合体して暴れまわるもタイガーセブンの前に敗れ去った。

●黒仮面(鉄人タイガーセブン)
 ムー原人の戦闘指揮官。残虐な性格で、慕っていた少女の死で戦意を喪失したマリオネット原人を処刑するも、直後に怒り狂うタイガーセブンの反撃を受けタイガーヘッドビームで倒された。


『プリキュアオールスターズの参戦!』-1

作者・ホウタイ怪人

1589

***無幻城・闇女王同盟の後宮***

バスコ「いかがでございましょうか女王様?」
ヘドリアン「ホホホホ…これはよいものじゃのう♪」

ここは無幻城の中にある闇女王同盟の後宮である。本来この区画は男子禁制であり、
特に最近は秘密警察長官アポロガイストの目も光っているので、男子がギリギリ
立ち入りを許される玄関口近くの広敷の間まで、わざわざヘドリアン女王自らが出向いて来ていた。
たくさんの貢物を持って女王を訪問してきたのは、バスコ・ダ・ジョロキアである。

バスコは賄賂を使って闇女王同盟の実力者たちに取り入り、
Gショッカーから認められた新たな私掠船免状と
新しい宇宙海賊船を入手する事に成功していたのだ。

バスコ「この宝石のアクセサリーなどはよろしいかと。
 よくお似合いでございますよ」
ヘドリアン「う~ん、そうじゃのう」

侍女のミラーが化けた姿見に自分の試着した姿を映して、
すっかりご満悦な様子のヘドリアン女王。

ヘドリアン「どうじゃアマゾンキラー?」
アマゾンキラー「まことによくお似合いでございます」
バスコ「高価な貴金属はまさに女王様のためにこそ
 この世に存在するかと存じます」
ヘドリアン「フフフ…こやつ、上手い事を言いおる」
バスコ「恐れ入ります(⌒-⌒)ニコニコ...」
アマゾンキラー「ミラー、ケラー、お前たちは
 これらの品物をベーダー魔城まで運び出しなさい」
ミラー「畏まりました」
ケラー「直ちに」

一通りの試着を終えたヘドリアン女王は、
ひとまずバスコからの貢物一式をミラーとケラーたちに
全部運ばせて部屋から下がらせると、本題に入るために
上座へと席に着いた。

ヘドリアン「さてとバスコよ。今日はいったい何しに参った?
 抜け目のないお前の事じゃ。ただ単に私への贈り物を届けに
 来ただけではあるまい」
バスコ「さすがは女王様です。お察しが早い。
 実は女王様に是非とも耳寄りなお話が…」
ヘドリアン「近うよれ」

バスコはヘドリアンに恭しく近づきながら、
そっと話を持ちかける。

バスコ「女王様は、月にある古代王国の遺跡というのをご存知で?」
ヘドリアン「遥か太古の時代に存在したという、シルバーミレニアムの文明跡か…」
アマゾンキラー「しかしあの地域は、今では地球連邦宇宙軍が厳重に警備していて、
 侵入するのは至難の業です」
バスコ「それがそうでもないんですよ」
ヘドリアン「どういうことじゃ?」
バスコ「近日の内に月で地球連邦宇宙軍の全艦隊が集結した上での
 観閲式が行われます」
ヘドリアン「なるほど、つまりその間は警備が手薄になるという訳じゃな」
バスコ「もしシルバーミレニアムの遺跡跡に、あの"幻の銀水晶"に匹敵する
 お宝が今も他に眠っているのだとしたら…」
ヘドリアン「………」

1590

アマゾンキラー「確かに、鼠一匹入り込めないほどの地球連邦宇宙軍の
 あの警備の力の入れようを考えれば、それもあながちあり得ない事では
 ありません」
ヘドリアン「面白そうではないか。それでは久々にこの私自らが出向くとしようぞ。
 最近は特に退屈でな。暇つぶしがしたい」
バスコ「女王様が御自ら…?」
ヘドリアン「バスコよ、そなたは水先案内人を務めよ」
バスコ「仰せとあらば。そうと話が決まりましたならば、
 さっそく準備のため失礼いたします」

そうしてバスコが退室した後、ヘドリアンとアマゾンキラーは密談する。

アマゾンキラー「女王様、バスコ・ダ・ジョロキアは
 あのザンギャック帝国すら利用して手玉に取った男。
 信用し過ぎるのは危険です」
ヘドリアン「それくらいは言われずともわかっておる。
 私があんな若造にいいように操られると思うか?」
アマゾンキラー「では?」
ヘドリアン「アマゾンキラーよ、すぐにシスタージルを呼ぶのじゃ」

シスタージルは現在の後宮総取締役であり、
ヘドリアン女王からその任を譲られ、今やGショッカーに属する
全ての女怪人たち第一の実力者である。

シスタージル「お呼びでございますか女王様?」
ヘドリアン「多忙な折にわざわざすまぬなシスタージルよ。
 実は少しの間だけダークプリキュアを貸してもらいたいのじゃ」
シスタージル「ダークプリキュアを…?
 いったい何のために?」
ヘドリアン「月に些か用事が出来てな」
シスタージル「月へ…?」

◇   ◇   ◇

ヘドリアン女王への拝謁を終え、後宮を出たバスコ。
無幻城の廊下で、偶然ザンギャックの参謀長ダマラスと遭遇する。

バスコ「………」
ダマラス「………」

二人は相手を無視するかのように、そのまま何事もなく通り過ぎるかと思われたが、
2~3歩ほどすれ違ったところでダマラスの方から重い口を開いた。

ダマラス「闇女王同盟のあちこちに鼻薬をきかせて何を企んでいる?」
バスコ「………」

立ち止る両者。双方共に鋭い殺気を放ち、
相手に隙を見せないようけん制しているように見える。

ダマラス「もしまた我が帝国の威信を愚弄するような真似をした時には、
 今度こそ容赦はせんぞ」
バスコ「おっさん、ここは殿中だぜ。穏便にやろうや」

平然を装い立ち去って行くバスコ。

ダマラス「フッ…」

ダマラスもそのまま歩いて去っていく。

1591

一方その頃、地球では…。

***東京・天童菊之丞邸***

渡「結構なお手前でした」
菊之丞「………」

天童邸の茶室にて、菊之丞から茶のもてなしを受けているこの人物…。
名前を浅見渡といい、日本の政財界にも影響力を持つ浅見グループの総帥である。
社会貢献にも熱心に取り組む人柄として知られる一方で、
その私兵とも言うべき民間警備会社シティーガーディアンズを率いており、
あくまでビジネスによる自社グループの利益を優先する姿勢から、
ブレイバーズとは一線を画し、一定の距離を置いている。

菊之丞「その後、御子息は息災にしておられるかな?」
渡「これは異なことを。息子は当の昔に勘当同然に浅見の家を
 出ております。その事については天童閣下もご存知のはず…」
菊之丞「いや、最近になって父子の和解を果たされたと
 風の噂に聞き及んでいたものでな」
渡「聖天子様付き補佐官ともあろう御方が御冗談を。
 何がお耳に達したのかは解りかねますが、所詮は風の噂。
 愚息めが今どうしているかなど、私は一向に存じません」
菊之丞「それは残念。もし御子息と連絡が取れるのであれば、
 是非一度会って話をしてみたかった」
渡「閣下が…?」
菊之丞「さよう。例えば、ブレイバーズのこととか…」
渡「………」

菊之丞の言葉に、渡の顔色が僅かに変わったのが分かる。
渡は、息子・竜也が実はブレイバーズの加わっているスーパー戦隊の一つ、
未来戦隊タイムレンジャーのタイムレッドであることを知っている。
その事はやはり天童の側にも知れ渡っていた。
これが、以前から天童家ともそれなりに付き合いのある浅見家の
政財界における立と位置にも微妙な影響を与えている。

菊之丞「その件はまずよい。それよりも月で地球連邦宇宙軍による
 観閲式が行われている件は聞き及んでおられるか?」
渡「一応は。それが何か?」
菊之丞「今、その月にあの娘、月野うさぎが密かに招かれているらしい」
渡「セーラームーンが…」

十番高校に通う日本の女子高生・月野うさぎこそが、
これまで数々の悪の侵略から地球の平和を守り抜いてきた
愛と正義のセーラー服美少女戦士セーラームーンであり、
尚且つ30世紀の未来の地球を統治するといわれるネオ・クィーン・セレニティである。
すでに現地球国王から、次代の地球連邦の君主として内々に指名されている。

これはうさぎ本人の家族も含めた一般には公表されていない事実であり、
ごく一部の政府関係者や、天童菊之丞や浅見渡のような国家機密の事情にも
通じているような層の人間にしか知られていない事だ。

菊之丞「以前にあの娘に聖天子様が密かにお会いになられた際、
 主上はこのように申されたそうな。"いずれネオ・クィーン・セレニティが
 即位した暁には、今の聖居の場所を新たな女王の居城として譲られ、
 ご自身は聖室父祖伝来の地である京都にお戻りになる"とな…」
渡「聖天子様がそのようなことを…」

1592

これは只事ではないと渡は察した。
現在、東京エリアの政治経済を牛耳る天童家の権勢は、
聖天子の威光の後ろ盾があってこそのものだ。
その聖天子が東京を離れるとあっては、天童一門も
心中穏やかであるはずがない。

事実、30世紀の未来では、現在の聖居の位置に
クィーンの居城クリスタルパレスが建てられている。

渡「それで、閣下はどのようにお考えで?」
菊之丞「フフフ…手出しはなるまい。
 月野うさぎは聖天子様のお気に入りじゃ。
 それに次代の地球連邦の君主が日本人から輩出されるのは、
 我が国にとっても真に名誉なこと」
渡「ではこのまま黙って見過ごしておられると?」
菊之丞「いや、今のうちから打てるべき布石は打っておく」

すると突然、茶室の天井裏から
怪しげな黒装束に鎖帷子を身に付けた男が
真下の菊之丞に向けてそっと顔をのぞかせた。

菊之丞「さそり、聞いておったな。仔細は今話した通りじゃ。行け!」
さそり「ハハッ!」

菊之丞から"さそり"と呼ばれたその男は、
すばやく天井の隙間を閉めると姿を消した。

渡「閣下、今の男は?」
菊之丞「我が配下の乱破(らっぱ)よ。いずれよい吉報をもたらしてくれよう。
 …ところで浅見会長、もし我ら天童一門がブレイバーズと雌雄を決するような
 事態になった場合、貴殿と浅見グループは果たしてどちらにつかれるのかな?」
渡「………」


***月面都市コペルニクス・宇宙港***

嵐の海に建設されたコペルニクス市は、
地球連邦とプラント間の紛争当時はどちらの勢力にも属さず
中立を保ってきた月面都市同盟の中心都市であり、
同時に月面最大の都市でもある。

うさぎ「あわわわわ~!! 誰か止めて~!!」

地球からのシャトルから降りた月野うさぎは、
まだ無重力の状態に慣れずに右往左往。

美奈子「大丈夫うさぎちゃん?」
まこと「ほら、アタシの手を取りなよ」
うさぎ「ありがとうまこちゃん!」

数日前に月の地球連邦宇宙軍から招待を受け、
水野亜美、火野レイ、木野まこと、愛野美奈子、ルナ&アルテミスと共に
月へとやって来た月野うさぎ。「自分たちだけズル~い!」と駄々をこねる
ちびうさ一人に留守番を押し付けて、最初は「タダで宇宙旅行ができる♪」と
大はしゃぎのうさぎだったが、シャトルの中では船酔いで幾度も
吐き気に襲われてはトイレに駆け込み、そしてようやく到着したと思ったら、
今度はこの有様である…(汗。

1593

うさぎ「ふう~っ! 死ぬかと思ったわ…」
レイ「全く大げさなんだから」
うさぎ「だってぇ~!(泣」

重力装置が働いている区画に辿り着き、うさぎはようやく落ち着きを取り戻した。
そこへ彼女たちを出迎えに、連邦軍のアオイ・ジュン中佐がやって来た。

ジュン「皆さん、月へようこそ!」
亜美「お世話になります」
ジュン「今日はうさぎさんをすぐに月の遺跡跡まで
 ご案内するようにミスマル提督から言いつかっております」
うさぎ「あのーそれよりも、先にあっちの大っきいショッピングモールとか
 行っちゃダメですか?」
ルナ「うさぎちゃん! 遊びに来たんじゃないのよ!」
うさぎ「でもでもぉ! お腹すいたんだも~ん!」

まるで幼稚園児みたいに泣き喚き、
駄々をこねて皆を困らせるうさぎ。

レイ「すみません。気にしないでくださいね…(汗」
ジュン「アハハ…(汗。それでは軍の車両でご案内します。
 皆さんは二台に分乗してください」

一台目にはジュン、うさぎ、ルナが、
そして二台目には亜美、レイ、まこと、美奈子、アルテミスが
それぞれ分乗する。やがて二台の車は目的地に向かって発進した。

まこと「うさぎちゃん、無理して元気に振舞ってたね…」
レイ「無理もないわ。分かっていたとはいえ、
 地球の次期女王としての重責がのしかかって
 来たんだもの…」
美奈子「肝心の衛さんは、相変わらず海外に留学中のままだし…」
アルテミス「しかし今の地球はかつてない危急存亡の時だ。
 うさぎにはブレイバーズをまとめる象徴として少しは
 自覚してもらわないと」
亜美「みんな、衛さんがいない分、私たちでうさぎちゃんを
 支えましょう!」

亜美の言葉に、無言で強く頷く一同であった。

1594

***地球連邦宇宙軍月面基地・観閲式会場***

サラミス級の宇宙警備艇やクラップ級の軽巡洋艦から
ラー・カイラム級及びドゴス・ギア級の戦艦に至るまで、
地球連邦軍に所属する名だたる艦船が整然と列を組んで
マーチ曲が流れる中、宇宙空間を行進している。
そしてその様子は、来賓席正面の大型モニターにも
堂々と映し出されている。

ミスマル「いかがですかな東十条卿?」
東十条「オホホホ! 見事な訓練ぶりでおじゃる。
 これだけの戦力があれば、Gショッカーの不埒な
 侵略者どもに大勝するのは一目瞭然でおじゃるな」

地球連邦の加盟各国から招かれた多くの賓客が列席する中、
来賓の接遇に当たっている宇宙軍総司令官ミスマル提督と
立ち話で談笑している日本人がいた。

紋付き袴の和服姿であり、口の中は歯にお歯黒を塗り、
本来の眉の部分を剃って少し上の位置に殿上眉を書いて、
片手に扇子を持ちながら京風の言葉を話しているこの男…。
名を東十条基房といい、公家の血筋である日本の旧華族だ。
天童一門とも好を結び、その威光の笠を着て
今も聖居に御用掛として出入りしている人物である。

東十条「地球連邦軍宇宙艦隊の見事なまでの勇猛果敢ぶり。
 帰国しましたら日本政府にもよく伝えておきまするぞ」
ミスマル「それはかたじけない」
東十条「ところで提督、ちと厠を拝借したいのだが…?」
ミスマル「お手洗いでしたら、只今部下に案内させましょう」
東十条「いや、麻呂一人で結構」

この東十条基房、表向きは観閲式に招かれた客に過ぎないが、
実は宮中よりある密命を帯びていた…。


***晴れの海・シルバーミレニアム遺跡前***

超古代の時代、月には「銀の千年王国」と呼ばれる
シルバー・ミレニアムという国家が存在していた。
地球人より遥かに寿命の長いセレニアンと呼ばれる生命体が住んでおり、
彼らを統治していたのがクイーン・セレニティと呼ばれる女王だったのである。

王国の中心にはクリスタル・タワーとムーン・キャッスルと
名づけられた建造物が存在していたが、現代では廃墟と化している。

美奈子「あの時と全然変わってないわねえ…」
まこと「むしろ以前より整備が行き届いているというか…」

過去に一度、セーラー戦士たちは
クイン・メタリアを打倒する鍵を求め、月のシルバー・ミレニアムへと
セーラーテレポートを使ってやって来た事がある。
あの頃は当然ながら無人だったが、現在は月駐留の地球連邦宇宙軍の管轄下で
整備・保存維持され、変身していなくても呼吸が可能なエリアとなっていた。

1595

うさぎ「………」

ムーンキャッスルは遺跡群の中でも特に大きな宮殿で、外見上は西洋風の城というより、
丸いドーム型の屋根や、一列に並んだ円柱など中東風の意匠が凝らされている。
宮殿の前には大きな池があり、月の光を映している。
そしてその深部には、クィーンしか入る事を許されない「祈りの間」が存在する。

うさぎ「プリンセス・セレニティの名において命じます! 扉を開けなさい!」

先程までの様子とは見違えた、毅然としたうさぎの張りつめた声が
辺りに大きく響く。すると祈りの間へと通じる目前の大きな扉が
「ゴゴゴゴォ…!」という音と共に自動的に開いた。

亜美「うさぎちゃん…」
うさぎ「ごめん。すぐに終わるから、みんなはここで少し待っててね」

うさぎは亜美たち4人とルナ&アルテミスを残し、
自分一人だけで祈りの間へと入っていく。

その様子を遠くの物陰から密かに窺っている者がいた。

東十条「………」


***月面都市コペルニクスにあるホテル***

その後何食わぬ顔で、自分の宿泊しているホテルへと戻った東十条基房は、
客室の中で待機していた忍者さそりと合流した。

さそり「いかがにございましたか、月野うさぎは?」
東十条「最初見た時はどこにでもいるドジでおマヌケな小娘やと思うたが、
 なかなかどうして、その異様に放つ気品、人品骨柄卑しからず。
 地球全体を統べる女王としての器ありと見た」
さそり「御意…」

東十条基房は扇子を振って、暫し思案する。

さそり「東十条様?」
東十条「聖天子様はあの娘に将来は今の聖居を居城として譲られ、
 京の都にお戻りになると仰せられたそうな」
さそり「そのように聞いております…」
東十条「我ら公家衆にとって、天子様が従来の都の地に
 お帰りあそばされる事は長年の悲願! しかぁーし!
 その後に天子様のご威光すら超える政権が
 関東の地に打ち建てられたら、日本のあるべき姿はどうなる!?」

慶応4年7月17日(1868年9月3日)に江戸が東京と改称され、同年9月に元号が明治に改められ、
同年10月13日に明治天皇が東京に入り、明治2年(1869年)に政府が京都から東京に移された。
これを歴史用語で「東京奠都(てんと)」という。

これは都を移す正式な「遷都(せんと)」とは違い、
現在でも京都地方では、法的根拠のある日本の首都は「東京」ではなく「京都」であるとする主張も根強い。

東十条「承久の乱で恐れ多くも時の帝から天下の大権を簒奪した鎌倉の北条執権!
 そして天子様に自らの作った法度を押し付け、朝廷を圧迫した江戸の徳川幕府!
 いつも関東の地に天子様の手から離れた政権が出来た日には碌な事がおじゃらん!
 これは歴史を紐解いて振り返れば、火を見るよりも明らかな事におじゃる!
 そのような危険な存在は抹殺されなければならん!」
さそり「――!? しかし、天童の御前からは監視するだけに留めよと」
東十条「天童殿には麻呂から後でよく申し伝えておく! さそりよ、ちと耳を貸せ」

東十条基房は、忍者さそりに何事かを怪しく言い含めた…。

1594

○月野うさぎ→地球連邦宇宙軍の招待に応じ、月を訪問。
○水野亜美→地球連邦宇宙軍の招待に応じ、月を訪問。
○火野レイ→地球連邦宇宙軍の招待に応じ、月を訪問。
○木野まこと→地球連邦宇宙軍の招待に応じ、月を訪問。
○愛野美奈子→地球連邦宇宙軍の招待に応じ、月を訪問。
○ルナ→地球連邦宇宙軍の招待に応じ、月を訪問。
○アルテミス→地球連邦宇宙軍の招待に応じ、月を訪問。
○アオイ・ジュン→月へとやって来た月野うさぎたちを出迎え案内する。
○ミスマル・コウイチロウ→月の観閲式で、来賓客たちを接待。
●ヘドリアン女王→バスコ・ダ・ジョロキアから月についての情報を聞かされる。
●アマゾンキラー →バスコ・ダ・ジョロキアから月についての情報を聞かされる。
●ミラー →バスコ・ダ・ジョロキアからヘドリアン女王に送られた賄賂の数々を運ぶ。
●ケラー →バスコ・ダ・ジョロキアからヘドリアン女王に送られた賄賂の数々を運ぶ。
●バスコ・ダ・ジョロキア→ヘドリアン女王に賄賂を贈って取り入り、Gショッカーの私掠船免状を取得。
 ヘドリアンに月の様子を報告・進言する。
●参謀長ダマラス→無幻城の廊下で偶然すれ違ったバスコ・ダ・ジョロキアを牽制。
●シスタージル→ヘドリアン女王からダークプリキュアを貸してくれと頼まれる。
△天童菊之丞→自邸の茶室で浅見渡と密談。忍者さそりを月へ派遣。
△浅見渡→天童邸の茶室で天童菊之丞と密談。それとなく探りを入れる。

△忍者さそり→天童菊之丞の命令で、月野うさぎを監視すべく月へ赴く。
△東十条基房→地球連邦宇宙軍主催の観閲式に出席。独断で忍者さそりにセーラームーン暗殺を指示。

【今回の新規登場】
●ミラー(電子戦隊デンジマン)
 ベーダー一族の女スパイ。ヘドリアン女王の姿鏡や女王の妖魔術をサポートする水晶玉などに変身する。
 バンリキ魔王がクーデターを起こした際には寝返ったふりをして、バンリキモンスの弱点が尻尾であることを探り出し、
 女王の下に参じて弱点が尻尾であることを伝えた忠臣。最期は女王の腕の中で息絶えた。

●ケラー(電子戦隊デンジマン)
 ベーダー一族の女スパイ。ヘドリアン女王を守る盾に変身。
 変装を伴う諜報活動に関しては、ミラーより上手である。
 最期は女王を庇いバンリキ魔王に倒された忠臣であった。

●バスコ・ダ・ジョロキア(海賊戦隊ゴーカイジャー)
 ザンギャック帝国から私掠許可を与えられた、元300万ザギンの宇宙海賊。赤き海賊団の裏切り者。
 ゴーカイジャーと同様に「宇宙最大のお宝」を狙い暗躍する。アカレッドすら恐れたという
 本来の姿の怪人体に変身し、カリブレードという剣とカリブラスターという銃を駆使して戦う。
 最終的にはマーベラスとの一騎打ちの末に敗北した。

△浅見渡(未来戦隊タイムレンジャー)
 浅見グループ会長で、タイムレッド=浅見竜也の父。先代の築いたグループを発展させ、政財界に強い影響力を持つ。
 自分の意思に従わない息子の竜也に苛立ちを感じているが、実は自らも若いころは親の敷いたレールに乗ることを潔しとせず、竜也と同じ道を歩んだ時期があったことを後に明かしている。ロンダーズファミリー対策として、シティガーディアンズを組織。
 Gゾード消滅後は竜也の進路を認めるかのような態度をとり、大消滅においてもシティーガーディアンズをあくまで市民の保護に当たらせるなど尽力した。


△忍者さそり(闘争の系統オリジナル)
 偵察を主な任務とする。その名の通り、毒針を仕込んだ吹き矢による暗殺も得意とする天童忍者。
 暗黒結社ゴルゴムでいうところのコウモリ怪人のポジションに近い。

△東十条基房(闘争の系統オリジナル)
 宮中御用掛を務める旧華族(伯爵)。天童菊之丞に近い人間であり、
 聖居の威光を盾に永田町や霞が関に様々な揺さぶりをかけて来る。
 首相官邸サイドからは隠語で「お歯黒」と蔑まれながら呼ばれている。


『プリキュアオールスターズの参戦!』-2

作者・ホウタイ怪人

1595

***ムーンキャッスル***

晴れの海・シルバーミレニアム遺跡の中心にある建造物。
その最深部へと単身足を踏み入れる月野うさぎ。

うさぎ「………」

うさぎはそっと片手を差し伸べると、
部屋一面に広がる回線に一斉に眩い光が走り、
月のホストコンピューターが起動する。
そして中央部には、美しい妙齢の女性のホログラフィが
浮かび上がった。

うさぎ「お母様…」
Qセレニティ(立体映像)「よく来ました、プリンセス・セレニティ。
 わたしの可愛い娘よ…」

ホログラフィに映っているのは、クイーン・セレニティ。
太古の月に栄えた王国シルバー・ミレニアムの女王で、
月野うさぎの前世であるプリンセス・セレニティの母親。
王国に侵攻してきたクイン・メタリアの軍勢を幻の銀水晶の力で封印し、
戦いで命を落としたセーラー戦士たちを地球に転生させた人物である。
現在は、記憶のみをコンピューターにデータ化した形でのみ存在している。

Qセレニティ(立体映像)「何か困った事が起きたのですか?」
うさぎ「あたし、どうすればいいのかわからないんです。
 みんなはわたしに戦いの先頭に立つ旗頭になれって言います。
 ……分かってはいるんです。今は"戦いなんかイヤ"だなんて
 贅沢を言っていられる状況じゃないって。でも…」
Qセレニティ(立体映像)「貴女はどうしたいのです?」
うさぎ「あたしにはまだ政治とか難しい事はよく解りません。
 でもあたしはただみんなを守りたい。みんなを傷つけたくない。
 毎朝学校に行って、みんなと仲良く勉強して、そして帰りにお茶しながら
 くだらないお喋りをして…。そんな日々を守りたい」
Qセレニティ(立体映像)「それでよいのです。貴女は貴女の望む道を進みなさい。
 そしてそのためにはどうすれば最善の道なのか、よく考えるのです」
うさぎ「お母様…」
Qセレニティ(立体映像)「わたしはいつでも貴女を見守っていますよ…」

それだけ言い残すとクイーンのホログラフィは静かに消えて行った。
平凡に見えながらも大切な日々を守る。それはすなわち愛する者たちを
この手で守るという事。そのためにはどうするのが
クイーンの言う最善の道なのか?
うさぎは、その意味をまだハッキリとは見出せないまま立ち上がった。

ヘドリアン「話は終わったか?」
うさぎ「――だれっ!?」

突然した謎の声に驚くうさぎ。
この部屋の中には月の王国の関係者以外は
一切立ち入れないはずなのに、いったい誰が!?
気がつくと正面の向こうには、邪悪な気品を漂わせる奇妙な姿の老婦人が
多数の部下たちを従わせつつ立ちはだかっていた。

うさぎ「…ミ、ミラーボール?(汗」
ヘドリアン「だぁれがミラーボールじゃああっ!!!(怒」

老婦人の頭部の形状を見てボケをかますうさぎに対して
しっかりツッコミを返す老婦人=ヘドリアン女王ww。

うさぎ「あのぉ…ここはディスコでもダンスホールでもないんですけどぉ…(汗」
アマゾンキラー「控えなさい無礼者。こちらにおわす御方をどなたと心得ます。
 恐れ多くもベーダー一族を束ねる長にして黒い太陽神に仕える巫女!
 ヘドリアン女王陛下にあらせられますよ!!」
うさぎ「ヘドリアン女王……もしかしてGショッカーの!?」
ヘドリアン「お前がセーラームーンか? 初めて会うのう。
 この私がGショッカー闇女王同盟のヘドリアン女王じゃ。
 よく覚えておくがよい」

ようやく状況を理解したうさぎは、変身しようと胸のブローチに手を伸ばしたが…。

うさぎ「ムーン・ゴズミック・パ―――」
ヘドラー「させんッ!!」
うさぎ「きゃああっ!!!」

アマゾンキラーと共にヘドリアン女王の傍らに控える
甲冑の武人=ヘドラー将軍が抜き放った剣の衝撃波が、
うさぎを遥か後方へと吹き飛ばした。

1596

***ムーンキャッスル・正門前***

まこと「うさぎちゃん、遅いね…」
美奈子「まあ宮殿の中だから、何も危ない事はないと思うけど…」

亜美、レイ、まこと、美奈子の4人と
ルナ、アルテミスの猫2匹は、
さっきからずっとうさぎの帰りを
心配しながら待っていたが…。

うさぎ「きゃああっ!!!」
亜美「うさぎちゃん!?」

なんと激しい突風や振動と共に、
うさぎがまるで門の中から外へと排出されるように
吹き飛ばされて来た。

うさぎ「ううっ…!!」
レイ「どうしたのその怪我!?」

倒れたうさぎに駆け寄り、亜美と一緒に抱き抱えるレイ。

ヘドリアン「フハハハハ!!!」
ミラー「………」
ケラー「………」

うさぎを追うようにして正門に現れるベーダー一族。
大勢のダストラー兵とそれを指揮するヘドラー将軍、アマゾンキラー、
女王に仕える二人組の侍女兼女スパイであるミラーとケラー。
そしてそれらを全て従える存在――ヘドリアン女王である。

まこと「アンタ、何モンだい!?」
うさぎ「…気をつけて、アイツはヘドリアン女王。
 今までの相手とは桁違いの敵よ」
ルナ「ヘドリアン女王ですって!?」
亜美「確かブレイバーベースの資料で見た事があるわ!」
アルテミス「あれが電子戦隊デンジマンや太陽戦隊サンバルカンと
 二代続けてスーパー戦隊と激闘を繰り広げたという魔女の中の魔女!」
ルナ「でも、この遺跡の結界の中には邪悪な者は決して踏み込めないはず!
 なのにどうして!?」
ヘドリアン「この私の妖魔術の力をもってすれば、
 こんな子供騙しの結界を破るなぞ造作もないわ」
美奈子「みんな、変身よ!」

うさぎ「ムーン・エターナルッ――」
亜美「マーキュリー・クリスタルパワー!」
レイ「マーズ・クリスタルパワー!」
まこと「ジュピター・クリスタルパワー!」
美奈子「ヴィーナス・クリスタルパワー!」

5人全員で「「「「「――メイクアップ!!」」」」」

1597

一方、ムーンキャッスルの門の内側から
こっそりと外の様子を窺っている男が一人いた。

バスコ「くくくっ…ようやく始まったみたいだなww」

セーラー戦士たちとベーダー一族との間で戦闘が開始されたのを
確認したその男=バスコ・ダ・ジョロキアは、誰にも気取られぬよう
宮殿の中へと引き返し、何やらゴソゴソと探し物を始める。

バスコ「さあて、お目当ての物はどこにありますかねえ~」
ダークプリキュア「そこで何をしている?」
バスコ「――!?」

怪しい動きを見せるバスコを見つけて、
鋭い殺気を放ちながら咎める声を発したのは、
漆黒の女戦士ダークプリキュアだった。
ヘドリアン女王がシスタージルから
他にも人手を借りて来ていたのだ。

バスコ「……(ダークプリキュアか。コイツは面倒な相手だ)」
ダークプリキュア「そこで何をしていたのかと聞いている?」
バスコ「べ~つに何も♪」
ダークプリキュア「なら貴様も早く本来の持ち場に戻れ!」
バスコ「チッ!! やれやれ分かったよ!……(しゃあない。
 こりゃ当分探し物はお預けだな…)」

諦めたバスコが城外へ出ようとした時――。

バスコ「……ん?」

一瞬、ここから少し距離が離れた
向こうの荒野に聳える絶壁の崖の上で、
何か人が動いたような気がした。

バスコ「気のせいか…? まあいいか」

構わずその場から去るバスコ。
しかし今のは決してバスコの気のせいなどでは
なかったのである。
高い崖の上からこちらの様子をじっと監視しつつ
機会を窺っている少女戦士たちの姿が、
確かにそこにはあった!

キュアハッピー「危なかったぁ……(汗」
キュアサニー「……ε=( ̄。 ̄;)フゥ。やばいやばい、
 あと少しでこっちに気付かれるところやったでぇ~」
キュアピース「あの人が宇宙海賊のバスコ・ダ・ジョロキア…」
キュアマーチ「ゴーカイジャーと死闘を繰り広げたというだけあって
 なかなか油断の出来ない敵だね…」
キュアビューティ「さあ私たちも急ぎましょう。
 いよいよ長かった特訓の成果を見せる時です!」

1598

ムーンキャッスルの城門前では、
変身を完了したセーラー戦士たち5人が
ヘドリアン女王率いるベーダー一族と対峙している。
見て瞬時にヘドリアン女王が容易ならぬ相手であると悟ったうさぎは、
通常基本形態やスーパーセーラームーンを通り越して
一気に最終形態エターナルセーラームーンへと3段変身している。

ヘドリアン「この世の金銀宝石財宝は全てこの私の物じゃ!
 当然、月に眠る秘宝も私の物になるのじゃ!」
Eセーラームーン「月の王国の人々が静かに眠るこの地を
 醜い私利私欲で荒らそうたぁ許せない!
 ご存知、愛と正義の、セーラー服美少女戦士、セーラームーン!
 月に代わっておしおきよ!」
ヘドラー「このような小娘ども、わざわざ女王様のお手を煩わせる
 必要もございません。この場はこのヘドラーにお任せを!」
ヘドリアン「おおー頼んだぞヘドラー将軍!」
ヘドラー「行くぞ! セーラー戦士!!」

改めて剣を鞘から抜いて勇猛果敢に切りかかろうとするヘドラー将軍。
しかしその時、どこからか一輪の薔薇が飛んで来て、
ヘドラー将軍の剣を持つ利き手の甲を華麗に切り裂いた。

ヘドリアン「――!?」
ヘドラー「くっ…何者ッ!?」

Eセーラームーン「…ま、まさか」

周囲一面を舞う、多数の薔薇の花弁…。無数に光る星空を背にして、
黒いシルクハットとタキシードに身を包み、目元を仮面で隠している謎の青年。
それはセーラー戦士たちがよく知る人物であった。

タキシード仮面「美しい生命にあふれた星を汚れたヘドロの世界に変えてしまう
 邪悪なベーダー一族。お前たちはこの月の宮殿には相応しくない。
 早々に立ち去るがいい! ――トオッ!!」

高所から颯爽と飛び降りて、セーラー戦士たちのいる
すぐ近くの地面に着地するタキシード仮面。

Eセーラームーン「タキシード仮面様!!」
セーラーマーキュリー「タキシード仮面がどうしてここに!?」
セーラーヴィーナス「衛さんって今アメリカに留学中のはずでしょ!?」
タキシード仮面「久しぶりだな、うさこ。それにみんなも…」
Eセーラームーン「本当に…本当にまもちゃんなの!?」
タキシード仮面「詳しい話は後だ。まずは先にアイツラを片づけるぞ!」
Eセーラームーン「はいッ!」
タキシード仮面「ヘドリアン女王は想像以上の強敵だ。油断はするな!」

1599

ヘドリアン「なんだか妙にキザな奴が現れたのう…(汗」
アマゾンキラー「お下がりください女王様、ここは我々が!」

タキシード仮面とヘドラー将軍、
セーラーマーキュリーたち四守護神チームとアマゾンキラーが
それぞれ向かいあい、ついに激しい戦闘が開始される。

ヘドラー「タキシード仮面とやら、ワシが相手だ!」
タキシード仮面「電子戦隊がその戦いぶりに敬意をも表したと聞くヘドラー将軍、
 相手にとって不足はない!」

アマゾンキラー「怪我をしたくなかったら引っ込んでなさい!」
セーラージュピター「そっちこそ、あまり年甲斐もなく張り切り過ぎると
 痛い目を見るよ! オバサン!!」
アマゾンキラー「この小娘どもガァァッ!!!!!」
セーラーマーズ「バーニング・マンダラー!!」
セーラーヴィーナス「わが愛の星・金星よ! 愛の力を! ローリング・ハート・バイブレーション!!」

そしてヘドリアン女王と睨みあうエターナルセーラームーン。

ミラー「女王様、この場は私共にお任せください!」
ケラー「暫しこの場はお下がりください!」
ヘドリアン「お前たちこそ下がっておれ、セーラームーンは
 この私が直々に片づけてやるのじゃ!」

ヘドリアン女王は妖魔術の呪文を唱え始めた。

ヘドリアン「ベ~ダ~ヨウマジュツマンダラ~!!
 ベ~ダ~ヨウマジュツマンダラ~!!」

まるで直撃してきた台風のような、いやそれ以上の威力の、
全てを吹き飛ばしてしまいかねないような強風が
エターナルセーラームーンに纏わりつくように襲いかかる。

Eセーラームーン「くっ…この力は!?」

果たしてセーラームーンは、強敵ヘドリアン女王を相手にして勝てるのか?
そして不審な動きを見せるバスコ・ダ・ジョロキアの、月に来た真の目的とは?
突如月面にその姿を現したプリキュアチームは、いったい何をしようとしているのであろうか!?

1600

○クイーン・セレニティ→ムーンキャッスル最深部の空間で、立体映像として現れる。
○月野うさぎ/セーラームーン→ムーンキャッスルでヘドリアン女王に襲われる。
○水野亜美/セーラーマーキュリー →ムーンキャッスル前でアマゾンキラーと戦闘に入る。
○火野レイ/セーラーマーズ→ムーンキャッスル前でアマゾンキラーと戦闘に入る。
○木野まこと/セーラージュピター →ムーンキャッスル前でアマゾンキラーと戦闘に入る。
○愛野美奈子/セーラーヴィーナス→ムーンキャッスル前でアマゾンキラーと戦闘に入る。
○ルナ→ムーンキャッスル前で、ベーダー一族の襲撃に遭遇。
○アルテミス→ムーンキャッスル前で、ベーダー一族の襲撃に遭遇。
○タキシード仮面→月面でベーダー一族と戦うセーラー戦士たちに援軍として駆けつける。
○キュアハッピー →月面に姿を現す。
○キュアサニー →月面に姿を現す。
○キュアピース→月面に姿を現す。
○キュアマーチ→月面に姿を現す。
○キュアビューティ→月面に姿を現す。
●ヘドリアン女王→ムーンキャッスルでセーラームーンを襲撃。
●ヘドラー将軍→ムーンキャッスルでセーラームーンを襲撃。
●アマゾンキラー →ムーンキャッスルでセーラームーンを襲撃。
●ミラー →ムーンキャッスルでセーラームーンを襲撃。
●ケラー →ムーンキャッスルでセーラームーンを襲撃。
●バスコ・ダ・ジョロキア→ムーンキャッスル内で不審な行動を取る。
●ダークプリキュア→ムーンキャッスル内で不審な行動を取るバスコ・ダ・ジョロキアを咎める。

【今回の新規登場】
○クイーン・セレニティ(美少女戦士セーラームーン)
 太古の月に栄えた王国シルバー・ミレニアムの女王で、
 月野うさぎの前世であるプリンセス・セレニティの母親。
 ギリシャ神話に伝わる月の女神セレーネの化身でもある。
 王国に侵攻してきたクイン・メタリアの軍勢を幻の銀水晶の力で封印し、
 戦いで命を落としたセーラー戦士たちを地球に転生させた。
 テレビアニメ第51話では、復元した幻の銀水晶&変身ブローチと共に
 新武器キューティームーンロッドをセーラームーンに授けている。

○星空みゆき=キュアハッピー(スマイルプリキュア!)
 七色ヶ丘中学校に転校してきた14歳の少女。
 転校初日に不思議な絵本から飛び出した妖精・キャンディと出会い、
 悪のバッドエンド王国からメルヘンランドを救うため、伝説の戦士プリキュアとなった。
 絵本やおとぎ話が大好き。口癖は「ウルトラハッピー」
 変身時の名乗りは「キラキラ輝く未来の光! キュアハッピー!」

○日野あかね=キュアサニー(スマイルプリキュア!)
 七色ヶ丘中学校に一年前に転校してきた大阪出身の少女で、
 一人称は「ウチ」で、関西弁を話す。人一倍熱いこころの持ち主で、
 友人をバカにする者は許さない性格。星空みゆきのよき理解者でもある。
 部活はバレー部に所属しており、実家はお好み焼き屋「あかね」。
 炎の力を持つプリキュアに変身する。変身時の名乗りは「太陽サンサン 熱血パワー! キュアサニー!」

○黄瀬やよい=キュアピース(スマイルプリキュア!)
 七色ヶ丘中学校に通う女子中学生で、引っ込み思案で泣きやすい性格。
 絵や漫画を描くことが得意だが、自分から他人に見せることは少ない。
 また、スーパーヒーローやヒロインに憧れている。
 雷の力を持つプリキュアに変身する。変身時の名乗りは「ピカピカぴかりん じゃんけんポン♪ キュアピース!」

○緑川なお=キュアマーチ(スマイルプリキュア!)
 七色ヶ丘中学校に通う女子中学生で、高身長で凛とした少女。青木れいかとは幼馴染の関係にある。
 6人姉弟(第42話から7人姉弟)の長女で第1子。弟妹の世話をしていることもあって、家事全般は得意。風の力を持つプリキュアに変身する。変身時の名乗りは「勇気リンリン直球勝負!キュアマーチ!」
 
○青木れいか=キュアビューティ(スマイルプリキュア!)
 七色ヶ丘中学校で学級委員および生徒会の副会長(第37話より会長)。
 才色兼備かつ責任感が強く、上品かつ律儀なため生徒たちの憧れの的。緑川なおとは幼馴染。
 学校では弓道部にも所属している他、学業では入学以降学年トップの成績を維持している。
 水と氷の力を持つプリキュアに変身する。変身時の名乗りは「しんしんと降り積もる清き心!キュアビューティ!」

●ヘドラー将軍(電子戦隊デンジマン)
 誇り高きベーダー一族の戦闘指揮官。ベーダー魔城の操舵手でもある。
 ヘドリアン女王には絶対の忠誠を誓い、彼女からの信頼は厚い。
 客分として乗り込んで来たバンリキ魔王には激しい嫌悪感を露わにしていた。
 最期は女王から「ベーダーの剣」を授かり、宿敵デンジマンと正々堂々と戦い散った。
 その将軍の勇敢なる態度に、デンジマンは敬礼を送りこれに応えた。