『シグフェルVSGショッカー』-1

作者・ティアラロイド

1302

***無幻城・ブレインルーム***

ハスラー「よくもまあオメオメと顔を出せたものだナ!
 コノ裏切り者ガッ!」
ゴメス「これは手厳しいご挨拶ですな」

ブレイン「………」

ここは無幻城の中枢部でもあるブレインルーム。
ブレイン党の支配者である超コンピューター、
巨人頭脳ブレインが鎮座する空間である。

一本のスプーンから宇宙船まで、
あらゆるものを作り出す超生産能力を持つ
コンピュータであるブレインは、
Gショッカー地球遠征軍の本部要塞・無幻城の心臓部と接続されており、
まさに無幻城の意思そのものとも言える存在であった。

ブレイン「ゴメス、今はスマートブレインの
 世話になっているそうだな…?」
ゴメス「お陰様をもちまして、客分の待遇を
 かたじけなくしております」
ハスラー「スマートブレインに頼まれて何を
 探りに来タッ!?」
ゴメス「何も頼まれたわけではない。
 ただGショッカー傘下の各組織間の親密な
 付き合いを深め、風通しを良くできれば、
 スマートブレインの村上社長の覚えも
 まためでたからんと愚考した次第」

ふとゴメスはハスラー教授の隣に立つ、
自分と同じナチス式の軍服に袖を通した青年に声をかける。
チーフキッド――かつてキャプテンゴメスの片腕だった男である。

ゴメス「どうだチーフ、過去の事は水に流そう。
 また私の下で働くつもりはないか?」
チーフ「いや、私は……」

以前にゴメスがブレインに対して反乱を企てた際、
その計画を事前に密告してゴメスを裏切った身である
チーフキッドは、随分とばつが悪そうに顔を背ける。

ゴメス「ではミスターブレイン、私はこれで…」

ゴメスは恭しく一礼した後、
ブレインルームから退室した。

ハスラー「誰か塩を撒いてオケ!」
ブレイン「………」
ハスラー「どうするノダ、ミスターブレインッ!!
 奴をこのまま放っておくノカ!?」
ブレイン「あのゴメスが再び動き出したという事は、
 何か考えがあるはず。まずはあの男のお手並み拝見と
 行こうではないか…」

1303

山本アナウンサー「――次のニュースです。
 明石暁氏を団長とするサージェス財団の
 外宇宙探索隊が、昨夜未明、無事に地球に
 帰還しました」

***サージェスミュージアム・地下サロン***

ボイス「長旅ご苦労さんだったね。明石君」
明石「ご無沙汰しています、ミスターボイス」

ゴードム文明との最後の戦いの後、パチャカマック12世による妨害や、
ザンギャック地球侵攻に伴うレジェンド大戦勃発など、
度々の中断を余儀なくされたものの、
明石暁=ボウケンレッドと西堀さくら=ボウケンピンクの両名は
外宇宙プレシャス探査の旅を無事終え、日本へと帰国したのだった。

真墨「…で、これがその宇宙からの土産か?」
明石「エジンの星で発掘された物を、俺が星間評議会から
 預かって来た」

宇宙の仙人にして大予言者エジンの住んでいた"エジンの星"。
明石率いるサージェス外宇宙探査隊は、その星の住人である
ジャスピオンやアンリ、その他に銀河連邦政府や星間評議会から
派遣されてきた発掘隊と合同で、まだ発見されていない
残りの古代銀河バイブルの捜索に従事していたのだが、
その時に発掘されたのが、この一振りの剣の形をした化石である。

蒼太はアクセルラーのサーチモードで、この剣のハザードレベルを測定するが…。

蒼太「ハザードレベルは15ですか。それほど大きい訳でもありませんね」
明石「解読済みの古代銀河バイブルによれば"フレアセイバー"と呼ばれるものらしい。
 宇宙創世期の神々同士の戦いにおいて威力を発揮した炎の剣とされている」
牧野「ともかく、工房に持ち込んで調べてみましょう」
さくら「よろしくお願いします」


***サージェスミュージアム・地上の一般展示スペース***

光平「………」

その日の朝、偶然「サージェス探査隊の地球帰還」のニュースを
目にした牧村光平は、何かに導かれるように無意識のうちに
一人でここサージェスミュージアムを訪れていた。

光平「…違う、これでもない。
 いったい何が俺を呼んでいるんだ…?」

ただ茫然と次から次へと展示物を見て回る光平。
しかし心当たりのある物は全く見つからない。

コウタ「コトミちゃん、こっちだよ!」
コトミ「待ってコウタくん…キャッ!?」
光平「…うわっ!?」

向こう側から走って来た小学生、星川コウタと月山コトミだったが、
よそ見をしていたコトミが偶然光平にぶつかった。

コウタ「コトミちゃん、大丈夫!?」
コトミ「うん、私は大丈夫よ。
 それよりもお兄さん、ごめんなさい」
光平「…いや、俺は大丈夫だよ。
 ところで君たちは何を見に来たんだい?」
コウタ「お兄さん、知らないの!?
 昨日ね、宇宙から探検隊が帰って来たんだよ。
 だから探検隊の人たちが持って帰って来た
 宝物を見せてもらうんだ!」

コウタは胸を張って答える。

光平「宇宙からの…宝物…」
コトミ「コウタくんの将来の夢は宇宙飛行士なんです♪」
コウタ「そしていつか、宇宙にいる友達に会いに行くんだ!」
光平「そうか…偉いんだね。それで、その
 宇宙の宝物はどこに行けば見れるのかな?」
コウタ「こっちだよ!」

1304

斗貴子「申し訳ないが、探査隊が外宇宙から持ち帰った物は
 一般客には公開していない」
コウタ「そんなぁ~!」

コウタたちが掛け合った案内係員の男女二人は、
見たところ光平と同じ年頃の高校生のようだった。
おそらく博物館が雇ったアルバイトなのだろう。

武藤カズキと津村斗貴子――二人とも銀成学園に在籍する高校二年生であり、
裏の顔は秘密組織「錬金戦団」に所属する戦士である。
明石暁と西堀さくらが宇宙へと旅立っていた間、
ピンチヒッターとしてサージェス財団に出向し、
ボウケンレッドとボウケンピンクの代役を引き受けていたが、
この度無事に明石たちが帰還したため、それもお役御免となったようで、
こうして今はアルバイトの形で引き続きサージェスミュージアムで働いているらしい。

カズキ「いいじゃないか斗貴子さん。せっかく博物館まで楽しみにして来たのに、
 何も見れないだなんてこの子たちが可哀想だよ!」
斗貴子「……(小声で)わかっているのかカズキ!
 プレシャスはそんじょそこらの展示物とはわけが違う!
 とても危険な代物なんだぞ!」
カズキ「それはそうだけどさぁー」

光平「……(プレシャス??)」

斗貴子は決して誰にも聞こえないように、
小さな声でそっとカズキの小耳に挟んだだけの
つもりだったのだが、光平のシグフェルとしての進化した聴力は
それをしっかりと聞き届けていた。

コウタ「ちぇっ、つまんないな。行こうコトミちゃん!」
コトミ「うん…」

残念そうな表情を浮かべながらも、
コウタとコトミは諦めて帰ろうとするが、
その時、突然地面が大きく揺れた!

カズキ「…な、なんだ!?」
斗貴子「地震か!?」

光平「――危ないッ!!」

コウタ「うわあっ!?」
コトミ「きゃあっ!!」

激しい揺れでコウタとコトミめがけて倒れて来た柱から、
間一髪で光平が飛び込んで二人を庇い、無事に危難から救い出した。

光平「怪我はないか!?」
コウタ「う、うん…」
コトミ「お兄さん、ありがとう」

カズキと斗貴子も心配して駆け寄ってくる。

カズキ「大丈夫ですか!?」
光平「俺なら大丈夫だ! それよりもこの子たちを頼む!」
斗貴子「待てキミッ! どこへ行くつもりだ!?
 今外へ出ると危ないぞ!!」

光平は斗貴子たちの制止も無視して
外を目指して駆け出していく。

1305

光平「――これは!!」

サージェスミュージアムの建物から外へと出た光平が目にしたのは、
文字通りの地獄絵図だった。Gショッカーの怪人たちが魑魅魍魎の如く
跳梁跋扈し、上空はザンギャック帝国の宇宙艦隊が所狭しと犇(ひし)めいている。
宇宙帝国ザンギャック並びに財団Xと手を結び、戦力再編を終えたGショッカーによる
東京奇襲攻撃が開始されたのだ。

キングダーク「聞け、人間ども! 我ら偉大なるGショッカーは、
 宇宙帝国ザンギャック及び財団Xと手を結び、ショッカー正規軍と
 ゴズマ軍はそれぞれ大ショッカー軍、大ザンギャック軍に改編された。
 今こそ我らの真の力を思い知るがいい!!」

怪人軍の後方に陣取る、黒い鋼鉄の巨人キングダークが高らかに宣言する。
すでに辺り一面は火の海と化す勢いだ。崩壊していく建物、逃げ惑う人々…。
それを目の当たりにした光平の心の底から、深く眠っていた正義感が熱く燃えたぎる!

光平「おのれっ、許さん…!!」

◇  ◇  ◇

タイガーネロ「これでいよいよ日本もGショッカーの物だ!」
トカゲバイキング「噂のブレイバーズとやらも大したことはない」

今回の作戦の主戦力であるGOD悪人怪人の面々は、
スクランブル発進した自衛隊や在日米軍の戦闘機、
さらには地球連邦軍のNS部隊も次々とあっけなく撃ち落とされていく
様子を満足げに眺めている。

タイガーネロ「よしっ、このまま一気に永田町、霞が関の
 日本政府中枢を攻め落とすのだ!」
アリカポネ「了解した」

怪人たちが居場所を移そうとしていたその時、
背後の方向に、一人の紅蓮の翼と装甲をもった異形の戦士が降り立った。
気配を感じて一斉に振り返る怪人たち。

タイガーネロ「なんだお前は?」

シグフェル「お前たちを止めに来た!」

1306

○山本アナウンサー→サージェス外宇宙探査隊の地球帰還を報道。
○明石暁→外宇宙探査から地球に帰還。フレアセイバーを持ち帰る。
○伊能真墨→地球に帰還した明石暁たちを出迎える。
○最上蒼太→地球に帰還した明石暁たちを出迎える。
○西堀さくら→外宇宙探査から地球に帰還。フレアセイバーを持ち帰る。
○ミスターボイス→地球に帰還した明石暁たちを出迎える。
○星川コウタ→外宇宙探査隊が地球に持ち帰った物見たさに、サージェスミュージアムを訪れる。
○月山コトミ→外宇宙探査隊が地球に持ち帰った物見たさに、サージェスミュージアムを訪れる。
○武藤カズキ→サージェスミュージアムの案内係員のアルバイトをしている。
○津村斗貴子→サージェスミュージアムの案内係員のアルバイトをしている。
●キャプテンゴメス→ブレインルームを訪問する。
●巨人頭脳ブレイン→キャプテンゴメスの訪問を受ける。
●ハスラー教授→キャプテンゴメスの訪問を受ける。
●チーフキッド→キャプテンゴメスの訪問を受ける。
●タイガーネロ→東京奇襲作戦に参加。シグフェルと対峙。
●アリカポネ→東京奇襲作戦に参加。シグフェルと対峙。
●トカゲバイキング→東京奇襲作戦に参加。シグフェルと対峙。

○シグフェル/牧村光平→サージェムミュージアムを訪れた先で、GOD悪人怪人軍団と対峙。

【今回の新規登場】
○明石暁=ボウケンレッド(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 ボウケンジャーのチーフ。かつては「不滅の牙」と呼ばれた伝説のトレジャーハンターだった。
 普段は冷静沈着だが、探究心を忘れない一面を持ち、何でも冒険に結びつける。
 最終決戦後は宇宙のプレシャスを探しに旅立ち、伊能真墨にチーフの座を譲った。

○西堀さくら=ボウケンピンク(轟轟戦隊ボウケンジャー)
 ボウケンジャーのサブチーフ。世界有数の資産家である西堀財閥の一人娘で、元陸上自衛隊員。
 主に分析や作戦を担当し、緊急時の冷静な判断力は明石からも評されているが、やや生真面目すぎる面もある。
 チーフの明石暁を深く尊敬し、好意を抱いている。が、明石は鈍感なため全く気付いていない。

○月山コトミ(勇者エクスカイザー)
 朝日台小学校3年B組に在籍する、星川コウタの同級生。クラスのアイドル的存在。
 
●巨人頭脳ブレイン(大鉄人17)
 ブレイン党の首領。一本のスプーンから宇宙船まで、あらゆるものを作り出す超生産能力を持つコンピュータ。
 爆破されても自らを急速に修復して復活する恐るべき能力を持つ。部下たちに自分のことを「ミスターブレイン」と呼ばせている。また、年に一度オーバーホールする必要がある。

 地球のためには人類を抹殺すべしという結論を出し、次々と侵略ロボットを作り出す。更に自分の周囲に電磁波を張り巡らし「ブレインエリア」を形成し、エリア内の全てのコンピュータを自分の制御下に置くことができる。

●ハスラー教授(大鉄人17)
 佐原博士と共にブレインを開発したスタッフの一員で、ブレインを盗み出した張本人。
 ブレインを自分の野望に利用しようとしていたが、逆に自我に目覚めたブレインによって
 服従を強要され手下にされてしまう。侵略ロボットの指揮を担当している。

●チーフキッド(大鉄人17)
 キャプテンゴメスの片腕で、ブレイン党の現場指揮官。
 ゴメスがブレインに反旗を翻した際には裏切り、
 新大幹部ブラックタイガーに鞍替えするしたたかさを持つ。
 だが後にそのブラックタイガーに結果的に粛清されてしまう。

●タイガーネロ(仮面ライダーX)
 古代ローマ帝国の暴君ネロの血をひくGOD悪人怪人軍団の切り札。
 自慢の刀とタイガー竜巻地獄で戦う。RS装置を完成させた功労者でもある。

●アリカポネ(仮面ライダーX)
 アメリカ禁酒法時代の大物マフィア、アル・カポネと蟻を合成したGOD悪人怪人。
 武器は仕込み刀のステッキ。人間に変装時も愛用している葉巻は吹き矢にもなる。
 巨大アリを操る。

●トカゲバイキング(仮面ライダーX)
 蜥蜴と北欧の伝説にある海賊を合成したGOD悪人怪人。
 卑怯が取り柄。武器は斧。


『シグフェルVSGショッカー』-2

作者・ティアラロイド

1307

***サージェスミュージアム・避難経路***

GOD戦闘工作員A「ジ~~~ィッ…」
GOD戦闘工作員B「ジ~~~ィッ…」

一般客たちを避難路まで安全に誘導しつつ、
ミュージアム内に侵入してきたGOD戦闘工作員の部隊を
突撃槍サンライトハートや処刑鎌バルキリースカートで
片っ端から蹴散らしていく武藤カズキと津村斗貴子。

斗貴子「フッ…やはり私にはこちらの方が使い易い!」

久々に本来の愛用の武器を戦場で振るった斗貴子は、
どこか満足げである。

カズキ「さあ皆さんこっちです! 慌てずに順番に!」
コウタ「コトミちゃん、こっちだよ!」
コトミ「うん!」


***池袋・高層ビル街***

ライディーンホーク「何が大ショッカーに大ザンギャックや!
 単に名前が変わっただけやないか!!」
ライディーンイーグル「いくぞみんな! ブレイバーズの総力を
 結集して街を守るんだ! 鋼鉄の翼にかけてッ!!」

ライディーン戦士たちの他にも、各地でブレイバーズの
ヒーローたちが、Gショッカーの侵攻を必死に食い止めている。
しかし無数のザンギャック艦隊を前に押され気味だ。


***無幻城・十二邪将円卓の間***

ワルズ・ギル「わっはっは!! ご覧になられたかな。
 これが我輩の実力だ!!」
マシーン大元帥「ハハハ…さすがザンギャック帝国の正当なる
 次期皇帝。お手並みしかと拝見したぞ」
ダマラス「………」
インサーン「………」

モニターに映し出される、ザンギャック帝国艦隊が
東京を蹂躙する映像。ダマラスとインサーンが傍らに控える中、
ワルズ・ギルは十二邪将たちからも煽てられ、すっかりご満悦だ。

地獄大使「……(ふんっ、単に力押しで攻めているだけではないか。
 あんな侵攻作戦の指揮ならバカでもできるわ)」
ドクトルG「……(世間知らずのボンボンめ。
 だが今は持ち上げておくに限る)」

1308

一方その頃、地上では…。

タイガーネロ「おい貴様、今なんと言ったのだ?」

初めて対峙するシグフェルとGOD悪人軍団。
タイガーネロは、初めて見る見知らぬ相手に
今一度改めて問い直す。

シグフェル「言っただろ。お前たちを止めに来た」

ヒルドラキュラ「見ない顔だな? ブレイバーズの新顔か…」
カメレオンファントマ「貴様、我々を誰だと思っているのだ!
 仮にもあの仮面ライダーXと死闘を繰り広げて来た
 GOD悪人軍団と知ってのことか!」

シグフェル「………」

ジンギスカンコンドル「タイガーネロ、ここは俺に任せてくれ」
タイガーネロ「いいだろう。すぐに片づけろ!
 他の者は霞が関の制圧に向かうのだぁ!」
ジンギスカンコンドル「ガーッ!! クックック…ちょっと痛いけど我慢しな。
 すぐに終わるからな…!」

ジンギスカンコンドルは口から火炎ロケット弾を発射した。

ジンギスカン「ジンギスカンファイヤァ――ッ!!」

目の前の敵を攻撃したと思っていたジンギスカンコンドルだったが、
気がつくと一瞬のうちにシグフェルが背後に回っていた。
シグフェルは片方の手を伸ばし、無造作に横に振る。
ジンギスカンコンドルの背がぱっくりと一文字に割れ、
大量の羽根が辺りに飛び散った…。

ジンギスカンコンドル「――………!!」

ジンギスカンコンドルは身を震わせ、絶叫する間もないまま
大爆発してしまった。

◇  ◇  ◇

他の戦隊ロボたちと共に、アルティメットダイボウケンで
応戦に出撃するボウケンジャー。

ボウケンレッド「アルティメットブラスタァ――ッ!!!!!」

10基のネオパラレルエンジンのパワーを全開にした
「オーバートップギア・イン」の状態で鳥の様な形をした
超強力な火炎ビームを胸部から発射する。

ボウケンピンク「キリがありません!」
ボウケンブラック「チッ、まさにレジェンド大戦の再現か!」
ボウケンイエロー「あわわ~どうしよう…((;゚Д゚)ガクガクブルブル」

そこへ工房にいる牧野から急遽連絡が入る。

ボウケンレッド「どうしました牧野先生!?」
牧野@通信の声「大変です! 工房でフレアセイバーの化石を
 分析していたら、突然急激にハザードレベルが上がりだしたんです!
 今やその数値は300…いや400…500、まだまだ上昇して行きます!」
ボウケンブルー「なんですって!?」
ボウケンレッド「…ん?」

ふとボウケンレッドは、操縦席の正面モニターから、
地上でGOD悪人怪人たちと戦っているシグフェルの姿を確認した。

ボウケンレッド「もしかして…アイツに反応しているのか?
 ――ブラック、ここは頼む!」
ボウケンブラック「おい待て明石ッ、どこ行くんだ!?」

ボウケンレッドはコクピットを出て地上へと飛び降りた。

1309

ジンギスカンコンドルがあっさり倒されたことに
唖然となるGOD悪人怪人一同。

ガマゴエモン「えっ……!?」
コウモリフランケン「ま、まぐれだ…。そうに決まっている!」
カブト虫ルパン「小癪な奴め。なかなかやるようだが、
 ならば我ら総出で始末してやる! 光栄に思え!」
クモナポレオン「かかれーっ!!」
トカゲバイキング「グルルルルッ!!」
ヒルドラキュラ「アオーッ!!」

ガマゴエモンは斧と指からのガマ油地獄、
コウモリフランケンは背中の大砲、
カブト虫ルパンはギロチンハット、
クモナポレオンは吸血毒蜘蛛、
トカゲバイキングは緑色の毒ガス、
ヒルドラキュラは血吸いヒルで
一斉にシグフェルめがけて攻撃する。

シグフェル「………」

シグフェルは背の両翼を大きく羽ばたかせ、
静かに灼熱の炎の円陣を発生させる。炎の円陣は
ガマゴエモンのガマ油地獄の炎とトカゲバイキングの毒ガス
コウモリフランケンの大砲の砲弾をいとも容易く呑み込み、
カブト虫ルパンの投げつけたギロチンハットや
毒蜘蛛や血吸いヒルの群れを全て灰になるまで焼き尽くした。

クモナポレオン「…そ、そんなバカな!!」
コウモリフランケン「こっちに来るぞ!?」

シグフェルの周囲に纏う炎の円陣はさらにちからと勢いを増して大きくなり、
ガマゴエモンたちを巻き込むのに時間はかからなかった。逃げ遅れたGOD悪人怪人たちは、
次々と炎の渦に飲み込まれ、その餌食になっていく。

ガマゴエモン「…あ、熱いいいっっっ!!!」
カブト虫ルパン「誰か、助けてくれえええっ!!!」
ヒルドラキュラ「ギャアアッ――!!」

哀れ、GOD悪人怪人たちの大半は、皆シグフェルの炎の円陣によって
そのほとんどが灰塵と化してしまったのである。
そしてこの場で唯一生き残ったカメレオンファントマも…。

カメレオンファントマ「…(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」

シグフェルに恐れおののき、後ろに後ずさっていた
カメレオンファントマだったが、タイガーネロの剣が
背から腹にかけてカメレオンファントマを貫いた。

カメレオンファントマ「…な、なぜ!?」
タイガーネロ「………」

タイガーネロが剣を引き抜くと、カメレオンファントマは
がっくりと崩れ落ちて爆死した。
炎の円陣を収束させたシグフェルは驚愕する。

シグフェル「お前たちは仲間も殺すのか!?」
タイガーネロ「栄光あるGOD悪人軍団に腰ぬけは要らぬ。
 それだけのことよ!」

1310

***月面・ダイダロス基地***

月裏側のほぼ中央である南緯5.8度、東経179.4度に位置する
直径94キロメートルのダイダロス・クレーター。
そこに築かれたダイダロス基地は、一応の建前では地球連邦宇宙軍の基地ながら、
その実態はロゴス、ブルーコスモス派の拠点である。

参謀A「したがって連邦宇宙軍といたしましては、
 スペースシップの建造を第一に考え…」
参謀B「どこにそんな予算がある!」
参謀C「だいたいスペースシップを造ったところで、
 片っ端からGショッカーに破壊されてしまうではないか!」
参謀A「しかし、我が軍としては地上兵力のモビルスーツだけでは
 心もとなく、直接攻撃をしかけるためには、スペースシップは
 是非とも必要と……」
参謀B「撃墜されるとわかっていて予算など組めるか!」

コルベット「………」

参謀たちが延々と小田原評定を続ける中、
内心呆れている将官が一人だけいた。
その名をコルベット准将。
根っからの軍人で、非常に功名心の強い人物である。
性格を一言で言えば「俗物」という言葉が相応しい。

コルベット「……(ふん、くだらん。こんな会議いくらやろうと無意味だ)」

だがこの後、彼らは思わぬ映像を目の当たりにすることとなる…。
中央に座する主任参謀のもとに、士官が報告にやってくる。

主任参謀「…なにっ!? 大至急映せ!」
士官「監視衛星より送られてきた映像です」
コルベット「――!!」

映し出された映像には、東京エリアに侵攻したGショッカーの怪人軍を
圧倒して蹴散らす、紅蓮の翼の戦士の勇姿があった。


***地上***

再び、場面を地上の戦いに戻す。

タイガーネロは体を回転させ、中心部分が真空状態の竜巻を発生させ、
シグフェルめがけて急接近する。

タイガーネロ「ワーッ!! くらえっ、タイガー竜巻地獄ッ!!」
シグフェル「――!!」

シグフェルは再び炎の壁で自らの身を囲み防御するが、
タイガーネロの激しいまでの竜巻が、炎を吹き飛ばしていく。
炎の壁が全て消えさった時、シグフェルの姿は跡形もなく消えていた。

タイガーネロ「ハッハッハ!! 俺様のタイガー竜巻地獄で
 跡形もなく粉微塵になったか。所詮我らGショッカーに
 敵うはずがないのだ!!」

だがタイガーネロは気づいていなかった。
遥か上空に浮遊したシグフェルが、両手を瞬速で動かして複雑な印を結び、
自身の胸のあたりから地上のタイガーネロめがけて青白く光る熱線を放ったことに…。

タイガーネロ「――!!」

タイガーネロは間一髪ジャンプしてかわす。
しかし上空でそれを待ち受けていたシグフェルは、
右手の各指の先端をまっすぐ伸ばして、
タイガーネロの喉を突いた。

タイガーネロ「――ぐぶっぼおおっ!!!」
シグフェル「………」

地上へと落下したタイガーネロは、そのまま爆死する。

1311

シグフェル「………」

GOD悪人軍団をほぼ全て降したシグフェルの前に立ちはだかったのは、
暗黒の鋼鉄巨人、Gショッカー巨神邪将・キングダークだ。

キングダーク「新顔にしては見事な戦いぶりだ。
 だが所詮この私の敵ではない!」

キングダークは、角からの放電、肩の大型ミサイル、手首の大砲など
多彩な攻撃を一度に繰り出す。シグフェルは飛び上がり、
左右の手をこぶしに握り、左手を突いた状態にまっすぐ伸ばす。
右手はあばらの下まで引き手を取り、突きができる状態に構えながら、
キングダークの猛攻撃をかわしつつ敵に接近して、正拳突きを放つ。

キングダーク「フハハッ…その程度か!」
シグフェル「なにっ!?」
キングダーク「――ふんっ!!」

さすがのシグフェル渾身の正拳突きも、
キングダークの頑強なボディにはビクともしない。
シグフェルはキングダークの片手で簡単に振り払われてしまう。

シグフェル「うわああ――っ!!」

地上にぶつかるシグフェル。迫りくるキングダーク。
そこへボウケンレッドがフレアセイバーを運んできた。

ボウケンレッド「シグフェル、これを使え!!」
シグフェル「――!!」

ボウケンレッドが放り投げた剣をキャッチして受け取るシグフェル。

シグフェル「これは…!?」

つい先程までほとんど化石同然の状態だったフレアセイバーは、
シグフェルの手に握られた途端、眩い閃光を周囲一面に放ち、
真新しく輝くその刃身を露わにした。

<聖なる不死鳥よ――その牙を示せ!>

シグフェルの手に握られたのは一振りの剣。
片刃で、青い輝きを煌々と放つ刀身は、一直線に空の頂を差している。
そしてナックルガードに彫りこまれた紋様は、天駆ける鳳凰の像――。

シグフェル「……フレアセイバー!」

シグフェルは、息を呑んで、初めて見るその剣の
知らないはずの名を呟いた…。

キングダーク「死ねえっ!!」

キングダークは拳を振りおろし、シグフェルを押し潰そうとする。
しかしシグフェルは手首をかえし、フレアセイバーをふるって、
その巨大なパンチをはねかえした。

キングダーク「…ぬおっ!?」
シグフェル「………」

なぜだかはわからない。だがフレアセイバーを手にした時から、
シグフェルの中に眼前の巨大な敵との戦いへの絶対的な
自信が生まれていた。抑えきれないほどの高揚感が全身を包んでいる。
剣を操り、地を疾り、そして跳ぶ。

シグフェル「…俺の肉体が、戦い方を覚えている?
 ――そうだ。そうだったんだ。これこそ、俺の本来の姿……!!」

深紅の光が一筋、宙に残像として描かれる。
鋭い金属音と共に、キングダークの黒い巨体はバラバラに分解し、
あっけなく崩壊した。その様子をアルティメットダイボウケンの
コクピットから見ていたボウケンジャーたち。

ボウケンブラック「なんて奴だ…」
ボウケンブルー「信じられない。フレアセイバーのハザードレベルの数値が
 現時点で1000を超えている…!」

1312

***北の界王星***

厚い雲の上に浮かぶ超小型な惑星。三次元宇宙の北銀河を統括する
北の界王が普段の住まいとしている星である。
ずっとさっきから、北の界王も地球での出来ごとの様子を観察していた。

北の界王「ふ~む…あの紅蓮の翼の戦士はいったい何者なのだ?
 もしかしたら超サイヤ人に匹敵するパワーの持ち主かもしれん…。
 わしにも全くデータがない。こうなったら、データとこ勝負だぁ!
 なんちゃって……」

相変わらずの北の界王の寒いギャグが虚しく響いたのであった…。


***地上***

シグフェルのすぐ側に、キングダークの巨大な首が
激しい衝撃音と共に転がり落ちて来た。

シグフェル「……!?」

首の口部分から這い出るように出て来たのは、
頭が脳髄をむき出しにしたような奇怪な姿の
全身が白い怪物のような老人だった。
その老人=キングダークの操縦者だった呪博士は、
言葉巧みにシグフェルに語りかけてくる。

呪博士「キングダークをも倒すとは見事だな。
 ブレイバーズなんぞに置いておくには惜しい…」
シグフェル「俺はブレイバーズじゃない…」
呪博士「…そうか、ならば話は早い。
 どうだ、このわしに仕えるつもりはないか?
 GODで最高の地位を用意してやろう…」
シグフェル「興味はない…」
呪博士「それは残念だな」

実を言えば、呪博士は内心追い詰められていた。キングダークほ破壊されたことで、
普段から自分の肉体と接続していた生命維持装置も失われてしまったのだ。
その効力が消える前に、なんとかこの場を切り抜けなくてはならない…。
ふと呪博士は、シグフェルの右手に握られている剣に視線を移す。

呪博士「見事な剣だな。それを私に見せてくれんか?」
シグフェル「………」
呪博士「どうした…? わしにその武器を渡すのが怖いのか?」

呪博士の挑発に乗ったのか、シグフェルは呪博士に
フレアセイバーを渡してしまう。

呪博士「鍛え上げられた見事な技物だ。確かにこれならば
 キングダークの鋼鉄のボディがバラバラに
 切り裂かれるのも無理はない」
シグフェル「………」
呪博士「つまりだ、貴様がキングダークに勝てたのは
 これのおかげだとは思わんか?」
シグフェル「何が言いたい…?」

呪博士の瞳が妖しく光る。

呪博士「この剣がわしの手にある限り、
 貴様は絶対にわしに勝つことはできんのダアアッッ!!!!!」

呪博士はフレアセイバーをシグフェルめがけて思い切り振り下ろした。
しかしシグフェルはそれを片手で白刃取りの要領で軽々と受け止めてしまう。

呪博士「なっ…!?」
シグフェル「この剣があれば、俺に勝てる気だったのか…?」

シグフェルは呪博士の手からフレアセイバーを取り上げると、
外手刀打ちで呪博士の頭部と胴体を斬り飛ばした。

呪博士「グボォアアアッ――!!!!!」

頭部と切り離された白衣の胴体は爆発。
首筋の断面からメカの部分がむき出しに見える頭部も
地面に転げ落ちた。呪博士の首は、まだ意識を保っているようだ。

シグフェル「………」
呪博士の首「…ま、待ってくれ! 頼む! 殺さないでくれ!!
 お前にこの太陽系全部の惑星をくれてやろう!! それでも不満なら、
 Gショッカー全体で№2の地位に推薦してやるっ!! お願いだ!!
 命だけは助け――」

――グシャッ!!

シグフェルに踏み潰された呪博士の頭部は、
完全にその機能を停止した…。

1313

***無幻城・十二邪将円卓の間***

マシーン大元帥「なんだアイツはいったい何者なんだ!?」

東京侵攻作戦の様子を一部始終モニター画面で観察していた
Gショッカー十二邪将・円卓の間に詰める面々は、
完全に予想外の展開に大騒ぎとなっていた。
広間にはおぞましいほどに轟音と雷鳴が轟く。

妖怪王女「これは…!?」
地獄大使「表裏六柱の至高邪神はお怒りだッ!
 すぐにアイツを倒すのだ!!」
ワルズ・ギル「えっへん! ならばここは我らに任せてもらおう!
 我がザンギャックの無敵艦隊の力をとくとお見せしようではないか!」

◇  ◇  ◇

司令官ワルズ・ギルの号令のもと、東京上空に待機していた
無数のザンギャック艦隊は、他のブレイバーズはそっちのけで
一斉にシグフェルに集中砲火を浴びせる。

シグフェル「………」

シグフェルは翼をはためかせて上空に飛び立つと、
その右手に握られたフレアセイバーから閃光が発せられ光輝く。
そしてシグフェルが剣を一振りすると、たちまち光は波長を揃え、
射線上の全ての艦艇を呑みこんでいく。

シグフェル「ウォォォォォォォッ…!!」

閃光が空を薙ぎ払った後には、燃え尽きたザンギャック艦船の破片しか残らなかった。
生き残った艦艇も完全に統制が失われ、総崩れとなり我先にと敗走していく。
Gショッカーの侵攻部隊は、ここに撤退したのである。

ライディーンイーグル「勝ったのか、俺たち…」
ライディーンクロウ「いや違う。勝ったのはアイツだッ…!」

苦々しげに語気を強めたライディーンクロウの指した先には、
紅蓮の翼の戦士シグフェルがいた…。

さらにはその様子を他にも伺っている者がいた。
小高い丘の上に停まっている黒塗りの高級車の後部座席から、
双眼鏡を片手に注意深く観察していた男――キャプテンゴメスである。

ゴメス「もういい。出せ…」
ショッカー戦闘員「イーッ!」

ゴメスに命じられ、戦闘員の運転する車は
どこかへ走り去っていった。

◇  ◇  ◇

ワルズ・ギル「……( ゚д゚)ポカーン」

作戦指揮を執っていたGショッカー巨神邪将キングダークの戦死、
GOD悪人軍団の壊滅、ザンギャック宇宙艦隊の潰走。
しかも事実上、たった一人の敵を相手にである…。
あまりの衝撃的な展開に、その場にいた者はただ茫然と立ち尽くすのみだった。

ワルズ・ギル「ダマラス! なんなんだアイツは!?
 話が違うではないか! 今ならあの海賊どもが地球にいないから、
 今度こそ容易く地球を征服できるはずではなかったのかァーッ!!」
ダマラス「殿下、この場はどうかお静まりを!!」
ワルズ・ギル「うるさあ~いっ!!!!!」
ダマラス「インサーン、殿下を早くお連れしろ!!」
インサーン「ハハッ。殿下、まずはこちらへひとまず…」
ダマラス「邪将の方々、これにて失礼する!」

癇癪を起したワルズ・ギルをダマラスとインサーンが二人がかりで
十二邪将円卓の間から連れ出していく。残された邪将たちは皆、
未だに何が起きたのか理解できないといった困惑の表情だ。

ゴルゴス「信じられん……」
テラーマクロ「いったい何が起こったのだ……」

1314

その翌日…。
戦いも終わり、あの後シグフェルもいずこかへと立ち去り、
地上の街では急ピッチで復旧作業が進んでいたのだが。

***サージェスミュージアム・地下サロン***

ミスターボイス「星間評議会から預かった貴重なプレシャスを、
 独断でシグフェルに渡してしまうとは、これは重大な
 責任問題だよ、明石君…゛(`ヘ´#) 」
明石「………」

明石暁は、勝手にフレアセイバーをシグフェルに渡してしまった件について
ミスターボイスから叱責を受けていた。

さくら「ちょっと、待ってください」
明石「――いや! 全ては俺一人の責任です。
 どんな処分でも謹んでお受けします」

明石はさくらが自分を庇うのを制止するが、
厳しい表情だったミスターボイスのCGの顔が、
突然笑顔へと変わった。

ミスターボイス「…と、言いたいところなんだがね。
 牧野先生、例の物をこっちへ…(^^)ニコ」
牧野「はいはい、ちょっと待ってください」

ボイスに促され、牧野は何やら厳重に梱包された
段ボール箱を慎重そうに運んできた。

蒼太「牧野先生、何なんですかコレは?」
牧野「フレアセイバーです。今朝、宅配便で送り返されてきました」
さくら「エ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ッ!!」
菜月「エ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ッ!!」
真墨「エ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ッ!!」

まさかの斜め上を行く想定外の展開に、
呆気にとられる一同…。

牧野「差出人は不明ですが、消印はメガロシティ第一中央郵便局になっていますね…」
真墨「シグフェル、いったいどういう奴なんだ…??(汗」
菜月「あれっ、なんか手紙が入ってるよ」

菜月は、箱の中に同封されていた一枚の紙片を取り出し開いてみる。

さくら「なんて書いてあるんですか?」
菜月「えっとね~……"勝手に持ち帰ってごめんなさい"だって…」
蒼太「それだけかい?」
菜月「うん、それだけ…」
明石「……そうか、シグフェルとはそういう奴か」
さくら「暁さん…??」
明石「…ふっ…ふふふ…あはははは!!(^∇^)アハハハハ!」

手紙の内容を聞いた明石暁は、何を思ったのか、
一人だけ納得したかように、突然腹の底から
思わず笑いが吹き出すのであった。

1315

***無幻城・十二邪将円卓の間***

マシーン大元帥「シグフェルだと! それが奴の名前か!?」
アポロガイスト「ブレイバーズとは全く別の、新しく誕生したヒーローのようだ」

マシーン大元帥以下十一邪将は、秘密警察長官アポロガイストから
新たなる謎の敵シグフェルの詳細について報告を受けていた。

アポロガイスト「ブレイバーズは今まで必死にシグフェルの存在を
 我らに知られぬよう、ひた隠しにしていたのだ」
ブラック将軍「しかしアポロガイストよ、そういう情報は
 すぐに我らの方に上げてもらわねば困るではないか」
アポロガイスト「誰かさんの横やりが入らなければ、
 もっとスムーズに的確な情報収集が進んだのだがな…」
妖怪王女「………」

アポロガイストはチラッと妖怪王女の方を見やる。
実はダーク・キングダムの筋から闇女王同盟を介して
秘密警察の捜査活動に妨害が入ったのであるが、
当の闇女王同盟関係者でもある妖怪王女は、
アポロガイストの視線を避け、知らぬふりを決め込んだ。

ビルゲニア「ともかく、戦死したキングダークの穴を
 埋めねばなるまい。すぐに後任の邪将の選定に入るべきでは?」
暗闇大使「それもあるが、それよりも先に成さねばならん事がある!」
ドクトルG「偉大なるG~ショッカーがここまでコケにされたのだ。
 そのシグフェルとやら、早急に始末する必要がある!」
ゴルゴス「シグフェルを血祭りに上げろ~!!」

他の邪将たちが気勢を上げる中、一人だけ押し黙っている人物がいる。
Gショッカー薔薇邪将、ローズオルフェノクこと村上峡児だ。

村上「………」
天王路「どうしたのかね村上君、何か言いたい事があるのなら、
 今ここでハッキリと言った方がいい」
村上「…ああ、いえ。一つ気になる事がありましてね。
 アポロガイスト殿、シグフェルはまだブレイバーズの一員では
 ないと言いましたね?」
アポロガイスト「うむ、それは間違いない」
村上「ならばもし、そのシグフェルを先に我々の側に取り込む事ができれば、
 心強い味方となるのですが…」
地獄大使「村上、貴様何を考えている…?」
村上「………」


***月面・ダイダロス基地***

三輪「ほぉ~地球へ行くのか?」
コルベット「うむ。行先は日本だ!」

コルベット准将と密談しているのは、
以前のダカール政変にて今はティターンズ共々
地球連邦政府中枢から追われる身となっている、
あの三輪防人である。

コルベット「見よ、これを!」

コルベットは個室のデスクのパソコンを開き、監視衛星から送られた
"Gショッカーを圧倒するシグフェルの映像"を三輪に見せる。
シグフェルさえ手に入れば地球人類の勝利はおろか、
自身の栄光すらも我が物になる、とコルベットは確信しているのだ。

三輪「しかし極東の連中は、あれでなかなか手強いぞ…!」

三輪は薄ら笑いを浮かべるが、コルベットはそんな三輪の様子など
お構いなしにこう放言する。

コルベット「心配はいらん。ついでに三輪長官、
 貴官の仇も取って来てやろう。まあ見てるがいい。
 あの兵器さえあれば、我々は奴らに勝てる!
 ハッハッハッハ…ハッハッハッハッハ…!!」

シグフェルのことを"兵器"と言い放った
コルベットは、野心を滾らせながら哄笑する。

ついに謎の超戦士シグフェルの存在が世に知れ渡った。
シグフェルの存在は今後、地球の覇権を巡る各勢力間の戦いにも
大きな影を落としていくことになるのである…。

1316

○武藤カズキ→侵入してきた敵と戦いながら、入場客を避難経路まで誘導。
○津村斗貴子→侵入してきた敵と戦いながら、入場客を避難経路まで誘導。
○星川コウタ→武藤カズキと津村斗貴子の誘導に従いながら避難。
○月山コトミ→武藤カズキと津村斗貴子の誘導に従いながら避難。
○ライディーンイーグル→東京エリアに侵攻してきたGショッカーと交戦。
○ライディーンホーク→東京エリアに侵攻してきたGショッカーと交戦。
○ライディーンクロウ→東京エリアに侵攻してきたGショッカーと交戦。
○ボウケンレッド/明石暁→シグフェルにフレアセイバーを託す。
○ボウケンピンク/西堀さくら→フレアセイバーが後日、宅配便で送り返されてきた事に仰天する。
○ボウケンブルー/最上蒼太→フレアセイバーが後日、宅配便で送り返されてきた事に仰天する。
○ボウケンブラック/伊能真墨→フレアセイバーが後日、宅配便で送り返されてきた事に仰天する。
○ボウケンイエロー/間宮菜月→フレアセイバーが後日、宅配便で送り返されてきた事に仰天する。
○牧野森男→フレアセイバーが後日、宅配便で送り返されてきた事を明石たちに伝える。
○ミスターボイス→フレアセイバーが後日、宅配便で送り返されてきた事を明石たちに伝える。
○北の界王→シグフェルを超サイヤ人に匹敵する戦闘能力の持ち主と推察する。

●司令官ワルズ・ギル→新たなる敵シグフェルの出現に動揺する。
●参謀長ダマラス→新たなる敵シグフェルの出現に動揺する。
●開発技官インサーン→新たなる敵シグフェルの出現に動揺する。
●地獄大使→新たなる敵シグフェルの出現に動揺する。
●ブラック将軍→新たなる敵シグフェルの出現に動揺する。
●ドクトルG→新たなる敵シグフェルの出現に動揺する。
●キングダーク/呪博士→シグフェルと戦い、まさかの戦死。
●十面鬼ゴルゴス→新たなる敵シグフェルの出現に動揺する。
●マシーン大元帥→新たなる敵シグフェルの出現に動揺する。
●帝王テラーマクロ→新たなる敵シグフェルの出現に動揺する。
●妖怪王女→新たなる敵シグフェルの出現に動揺する。
●暗闇大使→新たなる敵シグフェルの出現に動揺する。
●剣聖ビルゲニア→新たなる敵シグフェルの出現に動揺する。
●村上峡児→シグフェルをGショッカー側に取り込もうと考えている様子。
●天王路博史→新たなる敵シグフェルの出現に動揺する。
●ジンギスカンコンドル→シグフェルと戦い、戦死。
●ガマゴエモン→シグフェルと戦い、戦死。
●コウモリフランケン→シグフェルと戦い、戦死。
●カブト虫ルパン→シグフェルと戦い、戦死。
●クモナポレオン→シグフェルと戦い、戦死。
●カメレオンファントマ→戦場で臆したと看做され、タイガーネロに殺害される。
●ヒルドラキュラ→シグフェルと戦い、戦死。
●トカゲバイキング→シグフェルと戦い、戦死。
●アリカポネ→シグフェルと戦い、戦死。
●タイガーネロ→シグフェルと戦い、戦死。
●キャプテンゴメス→シグフェルの戦いぶりを、遠くから密かに観察していた。
●アポロガイスト→現在判明しているシグフェルの詳細について、十一邪将に報告する。
●コルベット准将→シグフェルの圧倒的な戦闘能力に魅かれ、その捕獲を決意。
●三輪防人→月面ダイダロス基地でコルベット准将と密談。

○シグフェル→GOD悪人軍団、キングダーク、ザンギャック艦隊をたった一人で撃破。
 ボウケンレッドから託されたフレアセイバーを、後日に宅配便でサージェス財団に送り返す。

1317

【今回の新規登場】
○北の界王(ドラゴンボールシリーズ)
 地球を含む北の銀河を管轄している神様。その地位は閻魔大王より上である。
 あの世の「蛇の道」の終点にある、地球の10倍の重力があるこじんまりとした惑星「界王星」に、
 猿のバブルスとバッタのようなグレゴリーとともに住んでいる。触覚を使って銀河の動向を察知したり、
 自身を介して個人の声を全宇宙に届ける能力を持つ。低レベルな寒いダジャレが大好き。 

●開発技官インサーン(海賊戦隊ゴーカイジャー)
 ワルズ・ギル率いるザンギャック帝国地球遠征軍の幹部で、
 様々な武器を作るマッドサイエンティストであり、行動隊長の改造手術を担当。
 生物を巨大化させる特殊な光線も開発しており、倒された行動隊長やスゴーミンを
 ギガントホースから発射される光線で巨大化し復活させる。
 自身の開発した武器で宇宙を征服し、宇宙で最も偉大な科学者になることを夢見ている。

●コウモリフランケン(仮面ライダーX)
 蝙蝠とフランケンシュタインを合成した、
 Xライダーを凌ぐとの触れ込みで誕生した
 GOD悪人軍団の最強怪人。奇巌城を拠点とし、
 スパイコウモリによる情報収集を行う。
 背中の大砲による空襲が得意。

●カブト虫ルパン(仮面ライダーX)
 怪盗アルセーヌ・ルパンの化身であるGOD悪人怪人。
 自らカブト虫に変身するのみならず、
 配下の分身カブト虫も使って情報収集を行う。
 レンズの紐に手をかけると透視能力が備わる。
 ギロチンハットとサーベルが武器。

●クモナポレオン(仮面ライダーX)
 蜘蛛とフランス皇帝ナポレオンを合成したGOD悪人怪人。
 クモの糸で力を奪った後、クモの巣ジャングルで敵の動きを封じる。
 ターゲットに贈りつけたナポレオンの肖像画に隠れ、
 吸血毒グモで科学者の暗殺を繰り返した。
 秘密を聞き出すためには子供にも容赦ない拷問を行う。

●カメレオンファントマ(仮面ライダーX)
 怪盗ファントマの化身であるGOD悪人怪人。
 変幻自在の身体と怪力、そして舌と瞬間移動能力を
 駆使して戦う。偽Xライダーに化けた。

●ヒルドラキュラ(仮面ライダーX)
 死人沼にいる吸血鬼ドラキュラ伯爵の孫娘。
 通常は占い師の老婆の姿に扮している。
 東京中を吸血人間でいっぱいにしようとした。

●コルベット准将(宇宙の騎士テッカマンブレード)
 地球連合防衛軍の准将。強行的な手段の目立つ野心家。
 フリーマンとは士官学校で同期の間柄だが、軍から外れて
 独自の権限を持つスペースナイツのことを疎ましく思っており、
 様々な方法でテッカマンブレードの力を連合軍に取り込もうとし、
 その一環としてソルテッカマンの開発を推進した。


『シグフェルVSGショッカー もう一つの戦い』

作者・ユガミ博士

1318

GOD悪人軍団を中心に大ショッカー、大ザンギャックによる東京襲撃。
だが、牧村光平が変身したシグフェルによって十二邪将の1人である
キングダーク=呪博士が死亡し、多くのGOD悪人怪人が倒されて
終わったこの戦い。その一方で、ブレイバーズのヒーロー達がどの
ような活躍をしたか―それは、その記録である。

***東京都内***

ザンギャックの大艦隊による攻撃で、東京のビルが次々と破壊されていき
その中の高層ビルが今にも倒れそうになっていた。そこへ巨大なはしご車が
到着し、ビルに2本の梯子が架けられる。救急戦隊ゴーゴーファイブである
巽兄弟の長男にしてゴーレッドの巽マトイが操縦する99マシン―レッドラダー
である。

ゴーレッド「よし、ラダーアームを架けた。要救助者の確保だ!」
ソルブレイバー「こちらソルブレイバー、要求助者の確保に移る!」
ファイアー1「こちらファイアー1、同じく要救助者の確保に移ります。先輩!」

人々を助けるべく、ゴーゴーファイブ、ソルブレイン、レスキューファイアーが
協力して出動した。因みにレスキューファイアーはジャカエンとの戦いの後に
解散したが、世界情勢から再び再結成される。
ビルに入ったソルブレイバーと炎タツヤが着装したファイアー1は、消火活動を
行いながら逃げ遅れた人がいないか探していると、会議室に逃げ込んでいた
人々を発見する。

会社員「た、助かった!救援が来た!!」
ソルブレイバー「要救助者を発見!」
ファイアー1「逃げ遅れたのは、これで全員ですか?」
OL「は、はい。ここにいるので全員です」
ソルブレイバー「よし、彼らを連れていくぞ!」

逃げ遅れた人々を連れて行き、ソルブレイバーとファイアー1は
ラダーアームまで戻る。それを確認したゴーレッドはラダーアームを
下し、全員を地上へ戻してビルから離れた。

ゴーブルー「よし、消火活動開始!」
ファイアー3「了解、消火始めます!」

巽兄弟の次男でゴーブルーであるナガセはブルースローワー、
イエローアーマー、ピンクエイダーが合体したビクトリーウォーカーで
燃え盛るビルの火を消していく。雪リツカが着装したファイアー3は
ブロアー車型のレスキュービークルであるターボドラゴンを操縦して、
ビクトリーウォーカーの消火活動をサポートする。

ゴーグリーン「スカイチーム、これから消火弾を投下する。支援を頼む!」
ファイアー4「了解、ハイドロミサイル発射!」
ファイアー5「了解、ハイドロイレイザー発射!」

巽兄弟の三男でゴーグリーンであるショウはグリーンホバーを操縦し、
葵ツバサが着装したファイアー4のジェットファルコンと航ジュンが
着装したファイアー5のヘリファルコンと共に、空から消火活動を開始した。

ゴーイエロー「よーし、こっちは瓦礫の撤去だ!」
ソルドーザー「およばずながら、私も頑張ります!」

ソルドーザーはドーザークローラーに変形して、ドリルとバケットを
駆使して、道を塞ぐ瓦礫を撤去して、道を作り出す。巽兄弟の4男で
ゴーイエローのダイモンは、避難しようとしている人々を誘導して、
助け出していった。

ソルジャンヌ「負傷者の方は、こちらへ」
ファイアー2「病院への搬送は心配しないで下さい!」
ゴーピンク「もう、大丈夫ですよ」

ソルジャンヌと恵ユウマが着装したファイアー2、巽兄弟の長女である
マツリが着装したゴーピンクは負傷した人々を応急処置、そして病院への
搬送を行っていく。

1319

ソルブレイン、ゴーゴーファイブ、レスキューファイアーが救助活動を行っていると
デッカード達、ブレイブポリスが現場に到着する。

勇太「ブレイブポリス、現場に到着しました!」
ソルブレイバー「良く来てくれた。すぐに救助活動を手伝ってくれ!」
勇太「了解!」

現場に到着したブレイブポリスは勇太の指示の下、デッカードは避難誘導、
マクレーン達ビルドチームはゴーイエローとソルドーザーと一緒に、瓦礫の
除去作業、シャドウ丸とガンマックスは要救助者がいないか探し始める。
しかし、なおGショッカーの攻撃は続く。

ドリルボーイ「もう、東京をこんなにメチャメチャにするなんて!」
ゴーイエロー「他はどうなっているんだろう...」

攻撃を止めないGショッカーにドリルボーイやゴーイエローは他の
場所での状況を心配するのであった。

♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢

一方、別の場所ではザンギャック艦隊の攻撃で町は瓦礫となる。
さらに、戦艦からザンギャックの下級士官ゴーミンが投入され、
町を蹂躙していく。その攻撃で建物が崩れ、避難しようとしていた
幼稚園の先生と園児達の頭上に襲い掛かる。

先生&園児「きゃぁぁぁ」

ADVENT!!

だが、いつまでも瓦礫が襲ってこない。そこには赤い龍を連れたヒーローと
立っていた。龍騎に変身した真司は、ドラグレッダーを呼び出して、落ちてくる
瓦礫を全て破壊したのである。

龍騎「さぁ、ここは危ないから早く向こうへ避難するんだ!」
先生「あ、ありがとうございます!」
園児達「ありがとう!」

龍騎は避難させると、ゴーミンと対峙する。突然の龍騎の登場に
ゴーミン達は怯むのだが、ここに来たのは龍騎だけでなかった。

SWORDVENT!!

SWINGVENT!!

FINALVENT!!

ライア「はぁ!!」
ゴーミンA「ゴゴ!」
ファム「てりゃ!」
ゴーミンB「ゴゴ!!」
ナイト「喰らえ!」
ゴーミン一同「「「ゴゴー!!」」

ミラーワールドを通って、ガラスから飛び出したナイト、ライア、ファムの
3人のミラーライダーが出現し、ライアはスィングベント、ファムは
ソードベントでゴーミンを斬りつけた後、ナイトはファイナルベント「飛翔斬」を
発動させ、ミラーワールドから飛び出したナイトと契約しているダークウィングが
ナイトの背中に装着され、高く飛び上がるとマントの様に体を巻きつけ、
回転して残りのゴーミンを一掃させた。

ナイト「ここの敵は、これで全部だな」
ファム「そうね」

ゴーミンを一掃して、一安心するファム。しかし、その背後には
倒し切れていなかったゴーミンがいて、ファムに襲い掛かる。

龍騎「危ない!」
ファム「―!?」

だが、そこに銃弾が飛び出し、ゴーミンを倒した。銃弾が飛んできた
方向を見ると、北岡が変身したゾルダがマグナバイザーを構えていた。

ファム「北岡!?」
ゾルダ「おっと、ここで争う気は無いよ。あんなのが頭上にいたら、
 おちおち吾郎ちゃんの料理を食べていられないからね」

ファムは天敵の登場に、咄嗟に剣を構えてしまうがゾルダは頭上の
ザンギャック艦隊を指さしながら、敵意が無い事を示す。

龍騎「そうだ、今は争っている場合じゃない。剣をしまってくれ」
ファム「-そうね、ごめんなさい」
ゾルダ「それにしても、アレどうにかならない?このままじゃ、こっちが
 参るよ」
ライア「・・・大丈夫だ。俺の占いによれば、ある戦士によってこの戦いは
 もうすぐ終わる」
ナイト「ある戦士?」
龍騎「誰の事なんだ?」

ライアの占いに疑問を持った龍騎達だが、人々を助けるべく
別の戦場へと向かった。

1320

***スクラッチ社近辺***

Gショッカーの攻撃は、ゲキレンジャーの本部であるスクラッチ社の近辺にも
起きていた。アフリカから帰ってきたゲキレッド、ゲキブルー、ゲキイエローは
GOD戦闘工作員と戦い、ゲキバイオレット、ゲキチョッパーはそれぞれ
ゲキトージャウルフ、サイダイオーで他の戦隊ロボと共に戦っていた。

ゲキレッド「―!?」
ゲキイエロー「どうしたの、ジャン!」
ゲキレッド「ゾワゾワだ、ゾワゾワがする!」
ゲンブルー「何だって!?」

ゲキレッドが感じると、そこに現れたのはかつてゲキレンジャーと
戦った臨獣殿の拳士達がリンシーを引き連れて現れた。

ゲキブルー「臨獣殿が何故、ここに!?」
マキリカ「人々の怒りや悲しみ、憎しみが我らの力・・・ならば、この状況
 こそ我々の力とするのに、絶好の機会なのだ!邪魔だてはさせんぞ!」
ゲキレッド「獣拳をそんな事に使わせない!」
ギュウヤ「ならば、我々を止めて見せろ!」
エルカ「今こそ、恨みを晴らす時だ!」

甦った臨獣拳士達はゲキレンジャーと衝突。かつては倒した敵だが
甦ってからは修行を積んだのか、以前よりも強くなっていた。

ゲキイエロー「以前、戦ったよりも強くなっている!」
ゲキブルー「だが、奴らに負けるわけは...」
マキリカ「リンギ・岳断拳!」
ギュウヤ「リンギ・バッファロー衝角打!」
エルカ「リンギ・泥玉弾!」
ゲキレンジャー「「「うわぁぁぁ」」」

マキリカ、ギュウヤ、エルカの攻撃にゲキレンジャーを後方へと
吹き飛んでしまう。

マキリカ「今度こそ、始末してやる!」

マキリカの鎌がゲキレンジャーを襲うとしたその時。何処からか
ビームが飛んできて、攻撃を阻止した。

ブルーバスター「大丈夫ですか、ゲキレンジャー!」
ゲキイエロー「あなた達は・・・確かゴーバスターズね」
レッドバスター「スクラッチ社からの要請で、助けに来ました」

ゲキレンジャーを助けたのは、要請を受けてやって来たゴーバスターズの
レッドバスター、ブルーバスター、イエローバスターの3人だった。
助けられたゲキレンジャーは体を起こして立ち上がる。

ゲキレッド「俺は、ジャン。漢堂ジャンだ!」
レッドバスター「俺は桜田ヒロムだ!」
ゲキレッド「よ~し、皆でニッキニキのワッキワキだ!」
レッドバスター「どういう意味だ?」
ゲキイエロー「ああ、気にしないで!ジャン独特のジャン語だから」
マキリカ「ええい、ゴチャゴチャと・・・喰らえ!」

ゲキレンジャーは気を取り直して、ゴーバスターズと共にマキリカ達と
向き合う。痺れを切らしたマキリカは再び、鎌で攻撃してきた。

レッドバスター「バスターズ・・・レディゴー!」

レッドバスターの合図でゲキレンジャーとゴーバスターズは飛び出し、
リンシーを倒しながら、マキリカ、ギュウヤ、エルカの下に近づく。

ギュウヤ「俺のパワーに敵う物か!」
ブルーバスター「ふん!!」
ギュウヤ「な、何!?俺を止めただと!」

ギュウヤは自慢のパワーで突撃をするが、ブルーバスターは角を掴み
ギュウヤの動きを止める。ブルーバスターである岩崎リュウジはワクチン
プログラムにより、超人並の怪力を持っていた。

ブルーバスター「うぉぉぉぉりゃぁぁ!!」
ギュウヤ「な、何だと!?」

渾身の力を振り絞り、角を掴んだまま持ち上げるとブルーバスターは
ギュウヤを空中へ放り投げる。

ゲキブルー「ゲキワザ・転転弾!」
ギュウヤ「ぐわぁぁぁ!!」

空中へ放り投げられたギュウヤは落下し、そこへゲキブルーの転転弾を
ぶつけられ、ギュウヤは倒れた。

イエローバスター「はぁぁぁ!」
エルカ「この女、俺の跳躍についてこれるのか!」

跳躍力に優れているエルカだが、同じくワクチンプログラムで
超人的な跳躍力に優れているイエローバスターに翻弄され、
地面に叩きつけられる。

ゲキイエロー「ゲキハンマー!」
エルカ「うわぁぁぁ!」

地面に叩きつけられたと同時に、ゲキイエローのゲキハンマーを
受けたエルカは、秘伝リンギ「超体油包」を使用しようする暇も無く
倒された。

マキリカ「ちょこまかとしやがって!」
レッドバスター「・・・」
ゲキレッド「今だ、ゲキワザ・波波斬!」
マキリカ「ぐわぁぁ!」

レッドバスターである桜田ヒロムはワクチンプログラムによって、
超スピードで移動できる為、マキリカは中々、捕える事が出来ずにいた。
その隙を突いて、ゲキレッドはゲキセイバーでマキリカを斬ると同時に
レッドバスターもソウガンブレードで斬り倒すのであった。

1321 
マキリカ「・・・くぅ、これで勝ったと思うなよ、邪身豪天変!」

倒されたマキリカ達は邪身豪天変により巨大化し、周辺の建物を破壊していく。
マキリカ達が巨大化したので、ゲキレンジャーもそれぞれゲキゴリラ、ゲキペンギン
ゲキガゼルを呼び出してゲキファイアーへと獣拳合体した。

レッドバスター「こっちもゴーバスターエースで...」
黒木@通信『待て、ヒロム。この近くのエネトロンタンクが攻撃を受けている。
 そちらへ向かってくれ』
レッドバスター「何だって・・・分かりました。現場へ急行します!」

ゴーバスターエースで戦おうとしたが、司令官の黒木タケシから
エネトロンタンクが攻撃を受けていると聞き、他の2人と共にそちらへと
向かった。一方近くで戦っていたゲキトージャウルフとサイダイオーが
駆けつけた。

ゲキバイオレット「臨獣殿も、来ていたとはな・・・参ったぜ!」
ゲキチョッパー「ただでさえ、忙しいっていうのに!」
ゲキイエロー「気を付けて、彼らは以前よりも強くなっているわ!」

マキリカ達が攻撃を始め、ゲキファイアーが殴り、ゲキトージャウルフは
蹴り、ゲキチョッパーは相手を斬る。そして、これ以上時間を掛けまいと
それぞれ必殺技を放った。

ゲキレッド&ゲキブルー&ゲキイエロー「「「ゲキワザ・頑頑ナックル落とし!」」」
ゲキバイオレット「ゲキワザ・大狼狼脚!」
ゲキチョッパー「大大砕大斬!」
マキリカ&ギュウヤ&エルカ「「「ぐわぁぁぁぁぁ」」」

ゲキレンジャー達の必殺技を受けて、巨大化したマキリカ達は
断末魔と共に倒されるのであった。

***池袋***

一方、B.A.B.E.Lから出動したザ・チルドレンも各々の超能力を駆使して
人命救助に当たっていた。そこに要請により蓮太郎と延珠も同行する。

葵「今、広報2課のおっちゃん達がいる避難所まで送ってきたで」
皆本「ご苦労だった、葵」

先程、逃げ遅れた人達を助け出し、葵のテレポートで避難所まで送った。
因みに避難所では21世紀警備保障の広報2課の面々が炊き出しや
応急処置等を行ってサポートをしている。

GOD戦闘工作員C「ジ~~~イッ!」
GOD戦闘工作員D「ジ~~~ィッ!」
蓮太郎「あれはGODの戦闘員か!?」
紫穂「あぶない、薫ちゃん!」

そこへGOD戦闘工作員が薫に襲い掛かるが、そこに突風が吹き荒れる。

ゴセイピンク「大丈夫だった、薫ちゃん?」
薫「エリさん!?助かった~(ホ」

薫を助けたのは、ゴセイピンクに変身して天装術で風を起こした
護星天使のエリだった。助けられた薫はホッとする。しかし、
ぞろぞろと戦闘工作員達はやって来た。

ゴセイレッド「ツインストルネードカード、テンソウ!」
ゴセイブラック「スパークェイクカード、テンソウ!」
GOD戦闘工作員「「ジィ~~~!!」」
ゴセイイエロー「ランディンククロー!」
ゴセイブルー「シーイックボウガン!」

だが、エリだけでなく他のゴセイジャーも駆けつけており、ゴセイレッドと
ゴセイブラックは天装術で蹴散らし、ゴセイイエローとゴセイブルーは
各々の武器で蹴散らした。

延珠「おおー、かっこいいぞ!」
葵「ホンマに、不思議な術やなぁ。天装術って...」

天装術を使うゴセイジャーを延珠はかっこいいと感じ、葵は感心する。

ゴセイブラック「おい、ボーとしていないで、こっちを手伝ってくれ!」
葵「何や、感じが悪いわぁ」
ゴセイピンク「ごめんね。アグリってランディック族だから頑固な所があるの。
 だから、あんな言い方になっちゃうんだ」

ゴセイブラックの物言いに、葵は気分を悪くするがゴセイピンクが
フォローをする。そして蓮太郎や延珠も加わって戦った。

1322 
???「助けてくれ~!」
葵「な、何や!?あの面白いおっちゃん」

助けを呼ぶ声がしたので、後ろを振り向くと『日本一』と書かれた旗を背負った
鎧を着込んだ見るからに怪しい人間がゴーミンに追われてやって来た。

皆本「とにかく助けないと、薫!」
薫「任せて!」

皆本の指示を聞いた薫は、念動力を使いゴーミンを倒して
その怪しい人物を助けた。戦闘工作員達も蹴散らし終えて
ゴセイジャー達も集まってくる。

がんがんじい「いや~助かりましたわぁ。ありがとな、お嬢ちゃん達」
皆本「当然の事をしたまでです。所であなたは?」
がんがんじい「よくぞ、聞いてくれはりました!ワイは日本一のヒーロー
 がんがんじいと言いますぅ。以後、よろしく!」
皆本「はぁ・・・(汗」
紫穂「大丈夫よ、皆本さん。この人仮面ライダーとも知り合いで悪い人
 じゃないわ」

日本一のヒーローを名乗るがんがんじいを胡散臭く感じるが、紫穂が
サイコメトリーで心を読んだ事により、悪い人間ではないとわかる。

蓮太郎「だからって、怪しすぎるだろ」
ゴセイブルー「それよりも、早くこの方も避難所に案内した方がいいんじゃないか?」
がんがんじい「ちょっと待っとくれや。ワイもヒーローや。戦いまっせ!」
皆本「そう言われましても...(汗」

蓮太郎はがんがんじいの風貌に呆れ、ゴセイブルーはがんがんじいを
避難所へ連れて行く事を提案。しかし、がんがんじいは自分も戦うと言い出して
皆本はその気迫にたじろぐ。

スゴーミン「おい、お前達そこで何をしている!」
ゴセイイエロー「まだ、来るの!?」

そこへさらに上級のスゴーミンがゴーミンを数体引き連れて現れる。
戦いの連続で披露がたまるゴセイジャー達だが、身構える。だがその時。

静男「うぉぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ!」
スゴーミン「ぐわぁ!」
一同「え!?」

そこに横から交通標識を振り回してスゴーミンを吹き飛ばしたのは、
池袋最凶と噂される平和島静男だった。頭から血を流し、怒りで我を
失っているようだった。

スゴーミン「き、貴様、何をする!?」
静男「うるせぇぇぇ!!」

たじろぐスゴーミンの頭部を掴みとり、どこにその力があるのか
スゴーミンを振り回し、周りのゴーミン達を倒していく。そして最後は
スゴーミンを地面に叩きつけて、倒してしまった。

静男「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
一同「・・・(ポカーン」

現れた静男の無双ぶりを見ていた一同は、口を開けて唖然としてしまう。
だが、事切れて静男はその場で倒れてしまった。

皆本「す、すぐに避難所を連れていくんだ!!」

静男が倒れた事で、我に返った皆本は静男を避難所まで運ぶのであった。

♢ ♢ ♢ ♢ ♢

そして、そのようなヒーローが活躍をしていた一方でシグフェルは
GOD悪人怪人とザンギャックの大艦隊を蹴散らし、戦いは終わった。
そしてシグフェルという存在はGショッカー、ロゴスに知れ渡るのだが、
それ以外にもシグフェルの戦いを見ていた者がいた。その者は、近くの
建物から様子をうかがっていた。

ぬらりひょん「西洋妖怪共に縁のある者達が襲撃してきたと聞いて
 来てみれば・・・なかなか面白い物が見れたな。おい、いつまで
 隠れているつもりだ。朱の盆よ!」
朱の盆「ううう・・・だって、怖いじゃないですか~(T T)」

見ていたのは、日本妖怪の総大将とも言われる鬼太郎の宿敵
ぬらりひょん。GOD悪人怪人には西洋妖怪と繋がりを持つ怪人が
いるので様子を見に来たのであった。(お供である朱の盆は
ザンギャックの攻撃に怯えて、ずっと物陰に隠れていた)

ぬらりひょん「ふん。しかし、これからあの戦士を中心にこの先、
 大きく動くであろうな・・・行くぞ、朱の盆」
朱の盆「待って下さいよ!ぬらりひょん様~!」

この先、シグフェルを中心に波乱な事が起きると予想するぬらりひょんは
朱の盆を連れて、そこから消えるのであった。

1323

◯ゴーレッド=巽マトイ→ソルブレイバー、ファイアー1と共に人命救助を行う。
◯ゴーブルー=巽ナガレ→ファイアー3と共に消火活動を行う。
◯ゴーグリーン=巽ショウ→スカイチームと共に空から消火活動を行う。
◯ゴーイエロー=巽ダイモン→ソルドーザーと共に避難誘導を行う。
◯ゴーピンク=巽マツリ→ソルジャンヌ→ファイアー2と共に救命活動を行う。
◯ソルブレイバー=西尾大樹→ゴーレッド、ファイアー1と共に人命救助を行う。
◯ソルジャンヌ→樋口玲子→ゴーピンク、ファイアー2と共に救命活動を行う。
◯ソルドーザー→変形して、道を塞ぐ瓦礫の撤去作業を行う。
◯ファイアー1=炎タツヤ→ゴーレッド、ソルブレイバーと共に人命救助を行う。
◯ファイアー2=恵ユウマ→ゴーピンク、ソルジャンヌと共に救命活動を行う。
◯ファイアー3=雪リツカ→ゴーブルーと共に消火活動を行う。
◯ファイアー4=葵ツバサ→ゴーグリーン、ファイアー5と共に空から消火活動を行う。
◯ファイアー5=航ジュン→ゴーグリーン、ファイアー4と共に空から消火活動を行う。
◯友永勇太→現場に合流し、ブレイブポリスの刑事達を指示を送る。
◯仮面ライダー龍騎=城戸真司→ドラグレッダーを召喚して、幼稚園の先生と園児を助ける。
◯仮面ライダーナイト=秋山蓮→ファイナルベントでゴーミンを一掃する。
◯仮面ライダーゾルダ=北岡秀一→ファムを助ける。
◯仮面ライダーライア=手塚海之→ゴーミンをスィングベントで倒す。
◯仮面ライダーファム=霧島美穂→ゴーミンをソードベントで倒す。
△闇の翼ダークウィング→ファイナルベントで召喚される。

○ゲキレッド=漢堂ジャン→ゴーバスターズと協力して臨獣拳士と戦う。
○ゲキブルー=深見レツ→ゴーバスターズと協力して臨獣拳士と戦う。
○ゲキイエロー=宇崎ラン→ゴーバスターズと協力して臨獣拳士と戦う。
○ゲキバイオレット=深見ゴウ→ゲキトージャウルフで巨大化した臨獣拳士と戦う。
○ゲキチョッパー=久津ケン→サイダオーで巨大化した臨獣拳士と戦う。
○レッドバスター=桜田ヒロム→要請により、ゲキレンジャーを助け共に戦う。
   その後、攻撃を受けているエネトロンタンクへ向かう。
○ブルーバスター=岩崎リュウジ→要請により、ゲキレンジャーを助け共に戦う。
   その後、攻撃を受けているエネトロンタンクへ向かう。
○イエローバスター=宇佐見ヨーコ→要請により、ゲキレンジャーを助け共に戦う。
   その後、攻撃を受けているエネトロンタンクへ向かう。
○黒木タケシ→ゴーバスターズに攻撃を受けているエネトロンタンクへ向かうように
   指令を送る。
○皆本光一→ザ・チルドレン、蓮太郎&延珠コンビと共に救助活動を行う。
○明石薫→ザ・チルドレン、蓮太郎&延珠コンビと共に救助活動を行う。
   がんがんじいを助ける。
○野上葵→ザ・チルドレン、蓮太郎&延珠コンビと共に救助活動を行う。
  助けた人々をテレポートで避難場所まで送る。
○三宮紫穂→ザ・チルドレン、蓮太郎&延珠コンビと共に救助活動を行う。
  がんがんじいが悪人では無い事を皆本に伝える。
○ゴセイレッド=アラタ→ザ・チルドレン達を助けて、GOD戦闘工作員を倒す。
○ゴセイピンク=エリ→ザ・チルドレン達を助けて、GOD戦闘工作員を倒す。
○ゴセイブラック=アグリ→ザ・チルドレン達を助けて、GOD戦闘工作員を倒す。
○ゴセイイエロー=モネ→ザ・チルドレン達を助けて、GOD戦闘工作員を倒す。
○ゴセイブルー=ハイド→ザ・チルドレン達をたすけて、GOD戦闘工作員を倒す。
○里見蓮太郎→要請により、ザ・チルドレンに協力。ゴセイジャーと共にGOD
  戦闘工作員を倒す。
○藍原延珠→要請より、ザ・チルドレンに協力。ゴセイジャーと共にGOD
  戦闘工作員を倒す。
○がんがんじい=矢田勘次→ゴーミンに追われていた所をザ・チルドレン達に助けられる。
○平和島静男→戦闘に乱入しスゴーミン、ゴーミンを相手に無双して気絶する。

●獣人マキリカ→ゲキレンジャー、ゴーバスターズと戦闘して倒される。
●獣人ギュウヤ→ゲキレンジャー、ゴーバスターズと戦闘して倒される。
●獣人エルカ→ゲキレンジャー、ゴーバスターズと戦闘して倒される。
●ぬらりひょん→シグフェルの戦い方を見た後、その場から消える。
●朱の盆→ザンギャックの攻撃に怯えて、物陰に隠れていたが、
   ぬらりひょんと共にその場から消える。

【今回の新登場】
○巽マトイ=ゴーレッド(救急戦隊ゴーゴーファイブ)
 巽家の長男で首都消防局レスキュー隊員。「気合」という言葉が口癖で
 精神力と責任感は人一倍強い。時として長男の責任感が空回りして
 弟妹達から横暴に見られる事もあるが、弟妹達の窮地には自らの危険
 を顧みず助けに行く。矢沢永吉のファンで、漢字表記だと「纏」

○巽ナガレ=ゴーブルー(救急戦隊ゴーゴーファイブ)
 巽家の次男で首都消防局科学消防班員兼研究スタッフ。ゴーゴーファイブの
 サブリーダーで、頭が良く冷静沈着で兄妹のフォロー役的存在。父の科学者
 としての血を最も強く引き、戦いの傍らレスキューツールの開発に余念が無い。
 それ以外にも癖や食べ物の好みが父と同じである。漢字表記だと「流水」

○巽ショウ=ゴーグリーン(救急戦隊ゴーゴーファイブ)
 巽家の3男で首都消防局航空隊ヘリコプター部隊員。操縦桿を握らせると
 調子に乗り易いが、自分の信念を貫く一徹さと優しさを持った熱血漢。年上の
 美人に弱い所がある。漢字表記だと「鐘」

○巽ダイモン=ゴーイエロー(救急戦隊ゴーゴーファイブ)
 巽家の4男で首都警察巡査。男兄弟では一番の年下のため、甘えん坊で
 泣き虫だが、失敗を重ねながらも優秀な兄たちに追いつこうと頑張る努力家。
 番田流格闘術の心得があり、牛乳が好物で飲むと数倍のパワーを発揮する。
 大食漢の力持ちで相撲が得意。銃の名手。漢字表記だと「大門」

○巽マツリ=ゴーピンク(救急戦隊ゴーゴーファイブ)
 巽家の長女(末子)で国立臨海病院所属の救急救命士。しっかり者で
 私生活では兄たちのまとめ役である。職業柄、命の重みを誰よりも
 強くしっており、弱者を踏みにじる行いを何より嫌う。

○炎タツヤ=ファイアー1(トミカヒーローレスキューファイアー)
 レスキューファイアーに配属された新米隊員。普段から笑顔が絶えない
 明るい性格をしている。6歳の時に消防隊員だった両親を火災で亡くし
 ひまわり学園という孤児院で育つ。最初は空回りしていたが、やがて成長。
 解散後、相棒のQスケと共に世界へ旅立った。乗機はファイアードラゴン。

○恵ユウマ=ファイアー2(トミカヒーローレスキューファイアー)
 優しく力自慢な隊員で、タツヤの良き理解者。代々火消しの家系で父親は
 とび職であり、自身も元とび職。実家は母親が経営するもんじゃ焼き屋だが
 本人はお好み焼きも好物である。解散後、好意を寄せていた杉山タマミと
 結婚し、救急救命士となった。乗機はドーザードラゴン。

○雪リツカ=ファイアー3(トミカヒーローレスキューファイアー)
 クールで男勝りな性格と任務遂行を完璧に行う事から「クールビューティー」
 「ミスパーフェクト」の異名を持つ反面、動物好きで笑顔になる事を当初
 隠していた。自分にも他人にも厳しく規律を守らない為、未熟な者に容赦が
 無く当初はタツヤと衝突していたが、やがて認めるようになる。解散後、
 レスキュー訓練センターの教官となり、新人隊員を育成した。乗機はターボドラゴン。

○葵ツバサ=レスキュー4(トミカヒーローレスキューファイアー)
 スカイチームの1人。冷静沈着で自他共に認める高い実力を持つが、高慢で
 自己顕示欲が強く単独行動に走りやすい。しかし、情に厚い一面を持つ。
 かなりの秀才でアメリカの大学に通っていた頃、リツカに全く歯が立たず
 ライバル視し、超える為にレスキューファイアーに入隊した。その一方で
 好意を寄せている節があり、妄想癖が見られる。当初はタツヤがファイアー1
 である事に不服だったが、やがて認めるようになる。解散後、職員募集の
 コマーシャルに出演した。乗機はジェットファルコン。

○航ジュン=ファイアー5(トミカヒーローレスキューファイアー)
 スカイチームでツバサの弟分的存在。頭脳明晰だが、行動が短絡的な所が欠点で
 童顔なのを気にしている。当初タツヤを軽視していたが、やがて「先輩」として
 慕うようになる。学生時代にレスキューダイバーの活躍を見て、レスキューファイアー
 へ入隊を志願した。趣味は写真撮影。解散後、東京首都消防庁ヘリコプター部隊に
 配属される。乗機はヘリファルコン。

○桜田ヒロム=レッドバスター(特命戦隊ゴーバスターズ)
 ゴーバスターズのリーダー格で、天才パイロットと評価される程の
 高いメガゾードの操縦技術を持つが、任務に対して自分にも他人
 にも厳しく言い過ぎとも言える言動をとる事が多い。ワクチン
 プログラムにより、高速で動く超スピードの能力を持つが、トラウマに
 より、鶏を見ると5分間フリーズしてしまう。バディロイドはチダ・ニック。

○岩崎リュウジ=ブルーバスター(特命戦隊ゴーバスターズ)
 ゴーバスターズの最年長で、気さくな兄貴分。博識で頭の回転が速く
 エンジニアになる事が夢。ワクチンプログラムにより、怪力を誇るが
 常に腕から熱を放出している為、冷やさないと熱暴走を引き起こし、
 敵味方関係なく襲い掛かる凶暴的で好戦的な性格に豹変してしまう。
 バディロイドはゴリサキ・バナナ。

○宇佐見ヨーコ=イエローバスター(特命戦隊ゴーバスターズ)
 ゴーバスターズの最年少で紅一点。気が強い上に毒舌で口が悪く
 生意気な高校生だが、学校には通えていない。内面的には仲間や
 人々を思いやる心根の持ち主。ワクチンプログラムにより、跳躍力が
 優れているが、こまめに菓子類などを食べてカロリー摂取を行わないと
 充電切れを起こして動けなくなってしまう。バディロイドはウサダ・レタス。

○黒木タケシ(特命戦隊ゴーバスターズ)
 数百名から構成される特命部を束ねる司令官。元は転送研究センター
 の職員で、陣マサトと同期。13年前の事件当時、外勤からの帰宅途中で
 センターから離れていた為に難を逃れ、上司でセンター長の桜田ヨウスケ
 (ヒロムの父)から子供達とバディロイドを託された。ゴーバスターズを
 我が子のように思っており、特にヨーコに対して親バカともいえる過保護
 な一面もあるが、冷静沈着で時には非常な決断を下す事もあるが、内心
 は彼らを心配しており、民間人に犠牲者が出ないように心掛けている。

○ゴセイレッド=アラタ(天装戦隊ゴセイジャー)
 ゴセイレッドに変身するスカイック族の護星天使。エリの幼馴染であり
 「とにかくやってみる」が口癖。正義感が強くその前向きさゆえに人一倍
 粘り強く、どんな困難にも立ち向かう強い心を持つ。ブラジラとの戦いの
 後、カフェでバイトをしている。

○アグリ=ゴセイブラック(天装戦隊ゴセイジャー)
 ゴセイブラックに変身するランディック族の護星天使。モネの兄で
 抜群のコンビネーションを持つ。怪力自慢の持ち主だが、理屈屋で
 やや直情的な性格をしている。ブラジラとの戦いの後、モネと共に
 農業を始めている。

○モネ=ゴセイイエロー(天装戦隊ゴセイジャー)
 ゴセイイエローに変身するランディック族の護星天使。アグリの妹で
 植物から気配を感じ取ったり情報を得る能力を持つ。意外と仕切りたがり
 屋で、退屈が苦手。アグリ曰く「才能があるのに努力を嫌がる」のが
 欠点で、基本を押さえる事を怠る事がある。ブラジラとの戦いの後、
 アグリと共に農業を始めている。

○ハイド=ゴセイブルー(天装戦隊ゴセイジャー)
 ゴセイブルーに変身するシーイック族の護星天使。最年長で皆を
 纏めるリーダー的存在。冷静かつ慎重、時に大胆に、と臨機応変な
 戦闘スタイルを取る。洞察力に優れ、沈着冷静で生真面目な種族
 特有の性格だが、融通の利かない頑固な一面を持つ。一方で他の
 4人とは異なる笑いのツボがある。水に触れる事でその水質を正確に
 知る能力を持つ。ブラジラとの戦いの後、大学で海を綺麗にする研究を
 行っている。

○矢田勘次=がんがんじい(新仮面ライダー)
 自称「日本一のスーパーヒーロー」で軍艦マーチの替え歌である
 がんがんマーチを歌いながらやってくる。常人に比べれば身体能力
 は高いが、改造人間などでは無く普通の人間なので、怪人相手には
 全く歯が立たず、戦闘員であるアリコマンドにも対等に戦えない。

△闇の翼ダークウィング(仮面ライダー龍騎)
 秋山蓮と契約している蝙蝠型のミラーモンスター。敵が何処へ逃げても
 超音波で索敵し、口から放つ怪音波で苦しめ動きを止めてから捕食する。
 実は神崎士郎が清明院大学の江島研究室でミラーワールドに関する実験
 を行った際に鏡の中から姿を現して実験に参加した学生達を襲い、蓮の
 恋人である小川恵里を昏睡状態に追い込んだ原因で、捕食しようと狙って
 いたが蓮が契約した事により抑え込められていた。

●獣人マキリカ(獣拳戦隊ゲキレンジャー)
 カマキリを手本とし、その腕で何でも切断する事が出来る臨獣
 マンティス拳の使い手。三拳魔の腕輪を封印する為に獣源郷へ
 向かっていた真咲美希を襲い強奪。理央に献上した後、指示により
 悲鳴を集める為に先陣を切ったがゲキレンジャー達に敗北する。

●獣人ギュウヤ(獣拳戦隊ゲキレンジャー)
 牛・バッファローを手本とし、突進力と大きな角で相手をぶち壊す事が
 出来る臨獣バッファロー拳の使い手。その太い角とパワーで相手を
 壁諸共に突進しながら爆走するが、身も心もバッファローとなっているので
 闘牛の牛のように赤い色に興奮して突っ込んでしまう癖がある。

●獣人エルカ(獣拳戦隊ゲキレンジャー)
 カエルを手本とし、痛覚を麻痺させてあらゆる攻撃にも耐え抜く事の
 出来る臨獣トード拳の使い手。鋼鉄ボディに加え、秘伝リンギ「体油包」を
 更に強化した「超体油包」を習得している。カエルのようにピョンピョン
 飛び跳ねる癖がある。

●ぬらりひょん(ゲゲゲの鬼太郎)
 日本妖怪の総大将で、「妖怪による人間支配」を目論み、卑怯で
 狡猾な手口で悪事を働き、鬼太郎と対立する。強い妖怪を雇ったり
 騙したりして、鬼太郎を倒そうと画策している。基本的に他者を利用
 するのが得意な悪参謀タイプだが、居合の達人でもある。

●朱の盆(ゲゲゲの鬼太郎)
 ぬらりひょんの部下である妖怪。赤ら顔の鬼の妖怪で朱塗り盆の化身。
 のんびりとした性格で、人間に化けて突然正体を現し驚かすぐらいしか
 術が無い。人間を大人7人を突き飛ばす力はあれど、妖怪同士での闘い
 ではほとんど無力。ぬらりひょんに忠実で、付き従っているが決して邪悪な
 性格という訳では無い。


『シグフェルVSGショッカー もう一つの戦い―後日談』

作者・ユガミ博士

1324

***ファイアーフェニックス***

Gショッカーによる東京襲撃から後日。
レスキューファイアーの本部であるファイアーフェニックスの司令部には
あの戦いで人命救助に尽力を尽くしたレスキューファイアー、ソルブレイン
ゴーゴーファイブそしてブレイブポリスを代表して友永勇太が集められ、
彼らの前には首都消防局総監である乾謙二総監にレスキューファイアーの
隊長である大河リク、ソルブレインの上官である正木俊介警視監、巽兄弟の
父にしてゴーゴーファイブの装備とアンチハザードスーツを開発した
巽モンド博士が立っている。

乾「諸君、今回東京は大打撃を受けてしまったが、君達の尽力に
 より多くの命が救われた。此度の協力ありがとう、巽、大河隊長、
 正木警視監、首都消防局を代表して感謝する」
一同「ハッ。ありがとうございます!」

乾総監はレスキューファイアー、ソルブレイン、ゴーゴーファイブの
面々を労い、大河長官と正木警視監、そして幼馴染でもあるモンド
博士に感謝の言葉を送る。一同は敬礼した。

大河「ありがとうございます。乾総監」
正木「共に人の命を救うべく戦っている者同士、協力するのは
 当然の事です。」
モンド「左様。それに世界消防庁やお前さん達には随分世話に
 なったからのう」

正木警視監や大河、モンド博士は乾総監の感謝の言葉にこたえる。
モンド博士が世話になったというのは、アンチハザードスーツを開発した
功績からモンド博士は現在、世界消防庁に招かれておりファイアースーツの
開発にも携わっていた。そして災魔一族との戦いでベイエリア55が
海に沈み、多くの99マシンやグランドライナー等が大破してしまうが、
乾総監や世界消防庁の支援により、ようやく再建できたのである。

正木「また、東京と人々を守ったのは諸君ら以外にも多くの人間の
 功績でもある」
ツバサ「そういえば、ヌーベルトキオシティの方でも勇者特急隊の
 ダイバーズが活躍したり、GGGからも救助活動が行われたな」
ナガレ「天野平和レスキューからもファイバード達、宇宙警備隊の
 活躍があったと聞いている」
純「確かに。警視庁でも特車2課や機甲警察等が出動したって聞いたぜ」

正木警視監の言うように、今回は多くのヒーローが活動していて
ツバサやナガレ、純は自分達が聞いた他のチームの活躍を口にする。

正木「今後も皆で協力して、平和の為に人々の命の為に彼らと戦って
 ほしい」
大樹「勿論です!」
マトイ「人の命は地球の未来・・・この先の未来の為にも気合を入れて
 戦います!」
勇太「僕も、舞人兄ちゃんやブレイバーズの皆のように頑張ります」
タツヤ「先輩、それに皆頑張っていきましょう!」
Qスケ「タツヤもしっかりしないとね」
ユウマ「ハハ、確かにな!」
タツヤ「お、俺だって頑張りますよ!」
一同「ハハハハ!」

正木警視監の言うように、今回は東京各地で多くのヒーローが活躍した。
大樹やマトイ、そして勇太始めとする一同は気合いを入れてこれからの
戦いに臨む。タツヤも意気込むが、Qスケ達にあしらわれ、照れ臭くなるので
あった。

1325

***エネルギー管理局・特命部司令室***

ゴーバスターズの本部である特命部の司令室にはゴーバスターズの
3人とそれぞれのバディロイド、司令官である黒木タケシ、オペレーター
である森下トオルと仲村ミホがいた。そして、モニターにはスクラッチ社
の重役でもある真咲美希が映っている。

美希@モニター『この度、要請に応えてく下さりありがとうございました』
黒木「いえ、途中でエネトロンタンクが攻撃を受けたと聞き、最後まで
 協力出来ず申し訳ございませんでした」
シャーフー@モニター『いやいや、エネトロンを守るのはお主達の使命。
 気にする事は無い』

美希はこの前の戦闘の事で特命部にお礼の言葉を送り、黒木は最後
まで協力出来なかったと返すが、モニターにひょっこり現れたゲキレンジャー
達の師であるマスター・シャーフーは気にする事では無いと返した。

ゴリサキ「うわぁ、本当に猫が喋っている」
ウサダ「動物型の地球人がいるんだから、今さらだろ?ゴリサキ」
ニック「おいおい、今話しているんだから、静かにしろよ」
黒木「おっほん」
バディロイド一同「ビクッ」
ヨーコ「(バーカ)」

ヒロム達の後ろに控えていたバディロイド達がシャーフーの姿を見て
こそこそと話している所を黒木は咳払いをしたので、バディロイド達は
姿勢を正す。ヨーコは内心、小馬鹿にした。

シャーフー@モニター『ほっほっほ、良い良い。では、今後とも
 よろしくお願いする』
黒木「こちらこそ、いつでもご協力いたします。ゲキレンジャー達にも
  よろしくお伝えください」
美希@モニター『それでは、失礼します』ピッ

シャーフーは気にしない素振りを見せ、黒木もゲキレンジャーにも
よろしくと伝えてもらえるよう言うと、お互いの挨拶が終わり、美希は
モニターを切った。

仲村「獣拳・・・モニターで見ていましたが、凄い拳法ですね」
森下「もしかしたら、皆さん獣拳を習得できるかもしれませんね」

獣拳について仲村は感心し、森下は動物に似た姿を持つバディロイド
をパートナーとしているヒロム達も獣拳を習得出来るのではないかと
冗談交じりで話す。

ヨーコ「あ、それ面白そう!」
ヒロム「確かに、ニック達は動物をモチーフにしているバディロイドだが
 それとこれとは別だろ」
ヨーコ「じょ・・・冗談よ!」
リュウジ「まぁまぁ」

ヨーコは獣拳の話に少し乗り気になるが、ヒロムはため息交じりで
習得できるかは別と話すので、ヨーコは少し気を悪くする。それを
リュウジは宥めた。

黒木「とにかく、今後もゴーバスターズはブレイバーズの一員として
 戦う事になる。今回のように様々なチームや人物と協力して
 ミッションを行う事になるだろう。気を引き締めておけ!」
一同「ラジャー!」

最後に黒木から今後ブレイバーズの一員として戦い、他のチームと
共に戦っていく事を伝え、その場を締めた。

1326

***天童民間警備会社***

木更「里見君。バベルから、この前のお礼が来ているわ。Gショッカー
 相手に活躍したそうね」
蓮太郎「別に・・・大した事はしてねえよ」

一方、天童民間警備会社にはバベルから、この前のお礼が来ている事を
社長である木更から蓮太郎達に伝えられた。それに対して蓮太郎は
素気無く答える。

延珠「エリやアラタ達、ゴセイジャーかっこよかったぞ!」
ティナ「へぇー。私もエリさん以外のゴセイジャーの皆さんに会いたいです」

延珠はティナにゴセイジャーの活躍を話す。ティナはブリアン島での
キャンプ以来、エリ以外のゴセイジャーにはまだ会った事が無いので
会えるのを楽しみにする。

蓮太郎「そういえば・・・最後に助けたあの人はどうなったんだ?」
木更「蓮太郎君が言っていたゴーミン相手に素手で戦ったていう人?
 え~と、バベルによると・・・」

蓮太郎は最後に助けた人物―平和島静男がどうなったのか
ふと気になったので木更に聞いてみた。バベルからの報せに
よれば、あんだけ重症だったにも関わらず、すぐに完治して
病院を飛び出したらしい。

蓮太郎「(どんな化け物だよ)」

話を聞いて、蓮太郎は静男の化け物染みた回復力に内心呆れながら
いつものように昆虫の本を読むのであった。

因みに自称スーパーヒーローを名乗るがんがんじいはどうだったか
聞いてみると、あの後知り合い(筑波洋や村雨良)に再会できたらしく
そのままブレイバーズに押し掛けたらしい。

1327

***OREジャーナル***

東都タイムズ『Gショッカーの東京襲撃!!ブレイバーズ大活躍!』
東都新聞『レジェンド大戦の再来!ブレイバーズの本格的活動』
○△スポーツ『武闘派・剣総理、永田長に近づく戦闘員をなぎ倒す!』

先日の戦いはトップのニュースとして新聞に一面を記載。新聞の写真には
アトムが飛び交ってザンギャックの戦艦と戦ったり、仮面ライダーが人々を
助けたり、バトルフィーバーロボやサンバルカンロボといった戦隊ロボ、
グレートマジンガーやゲッターロボを始めとしたスーパーロボット達が
活躍する写真があった。中には永田町まで来た戦闘員を圧倒する
剣総理の記事も記載されていた。

大久保「ブレイバーズ、ニュースで聞いていたがとんでもないチームだなぁ」

編集長である大久保は東京襲撃の新聞を広げて読んでいた。

桃井「ニュースや新聞に載っていませんが、ネットにはブレイバーズの
 ヒーローだと思われる情報が多く寄せられています」

真司の先輩ジャーナリストである桃井によると、OREジャーナルの
サイトにはヒーローと怪人の戦いに関する情報がたくさん寄せられて
いるらしい。

大久保「そう言えば・・・赤い龍を従えたヒーローが園児を救ったって
 話を聞いたなぁ。おい、真司それについて何か情報知らねえか?」
真司「お、俺がすか?何で俺に聞くんです」

今まで黙って聞いていた真司は突然話を振られ、困惑する。しかも
その内容は誰よりも知っている。何故ならそこに登場するヒーローは
自分だからだ。

大久保「すまん、お前に聞いても仕方が無いよな。どうも、このヒーロー
 は何かあるんじゃないかと、俺の記者としての勘が言うんだよなぁ!」
真司「そうは言われても、俺には分かんないすよ・・・(汗
 あっ、俺取材があるんで行ってきます!」
大久保「お、おい真司!」

このままだと要らぬ事を言いそうなので、知らんぷりをしながら
真司は外へと飛び出す。そして外へと飛び出した真司は街を見てから
空を見上げる。今回、東京は大きな襲撃を受けた。しかし、多くの人々
の命が救われ、自分もそれに貢献出来た事を誇りに思いつつ、これから
も人々を守っていこうと心に誓うのであった。
 


1328 
○巽マトイ→乾総監から労いの言葉を頂き、これからの戦いに意気込む。
○巽ナガレ→他のブレイバーズの活躍を口にする。
○巽モンド博士→乾総監から労いと感謝の言葉を受け取る。
○乾謙二→ゴーゴーファイブ、ソルブレイン、レスキューファイアーに
  労いと感謝の言葉を送る。
○西尾大樹→乾総監から労いの言葉を頂き、これからの戦いに意気込む。
○増田純→他のブレイバーズの活躍を口にする。
○正木俊介→乾総監から労いと感謝の言葉を受け取る。そして、これからの
   戦いに対して激励を送る。
○炎タツヤ→乾総監から労いの言葉を頂き、これからの戦いに意気込む。
○Qスケ→タツヤの意気込みをあしらう。
○恵ユウマ→冗談交じりにQスケに同調する。
○葵ツバサ→他のブレイバーズの活躍を口にする。
○大河リク→乾総監から労いと感謝の言葉を受け取る。そして、これからの
   戦いに対して激励を送る。
○真咲美希→特命部にこの前の戦闘のお礼をモニター越しで述べる。
○マスター・シャーフー→特命部にこの前の戦闘のお礼をモニター越しに述べる。
○黒木タケシ→美希とシャーフーのお礼の言葉を受け取り、
   ゴーバスターズに今後の方針を述べる。
○桜田ヒロム→ヨーコと少し言い争いとなる。
○宇佐見ヨーコ→ヒロムと少し言い争いになる。
○岩崎リュウジ→ヒロムとヨーコをなだめる。
○チダ・ニック→ゴリサキ、ウサダとこそこそ話す。
○ゴリサキ・バナナ→ニック、ウサダとこそこそ話す。
○ウサダ・レタス→ニック、ゴリサキとこそこそ話す。
○森下トオル→冗談交じりにゴーバスターズが獣拳を習得できるではと話す。
○仲村ミホ→モニターで見ていた獣拳に対して感心する。
○里見蓮太郎→バベルからお礼と平和島静男の顛末を木更から聞く。
○藍原延珠→ティナにゴセイジャーの活躍を話す。
○天童木更→蓮太郎にバベルからのお礼と平和島静男の顛末を話す。
○ティナ・スプラウト→延珠からゴセイジャーの活躍を聞き、会いたいと思う。
○平和島静男→完治して病院と飛び出したらしい。
○がんがんじい→筑波洋や村雨良と再会して、ブレイバーズに
  押し掛けたらしい。
○城戸真司→龍騎の事を聞かれそうになるので、外に逃げる。
○大久保大介→ブレイバーズ関連の記事を読み、真司に龍騎の事を聞く。
○桃井令子→ブレイバーズ関連の情報が来ている事を大久保に話す

【今回の新規登場】
○乾謙二総監(救急戦隊ゴーゴーファイブ)
 首都消防局総監。巽家同様火消しの家系で、300年来のライバル。
 巽モンド博士とは幼馴染で、神童と言われたモンドをライバル視
 しながら自身は平凡だった為、たゆまぬ努力で総監の地位に登り詰めた。
 当初は首都防災の最高責任者の立場から民間組織であるゴーゴー
 ファイブの活動に批判的だったが、後に理解者となる。

○巽モンド博士(救急戦隊ゴーゴーファイブ)
 巽兄弟の父である天才科学者で、巽防災研究所所長。幼少時から
 神童と言われた優秀な頭脳の持ち主で、災魔一族の襲来を予見し、
 家を出てゴーゴーファイブの装備を独力で開発した。趣味はギターの
 演奏とオートバイ。漢字表記は「世界」

○大河リク(トミカヒーローレスキューファイアー)
 レスキューファイアーの隊長。ファイアースーツのテスト装着員として
 1~5の全てのスーツを着装したダメージにより、現在スーツを
 着装する事が出来ないが司令室から指揮を執る事が多い。
 叱りつける時は「バカモン」というのが口癖。任務の過失に厳しいが
 人々の安全と共に隊員達の身の上を蔑にしない優しさと気さくさを
 持つ。三兄弟の次男で、考古学者の兄と北海道の実家で牧場を
 継いだ妹を持つ。解散後、消防教習所の教官となる。

○Qスケ(トミカヒーローレスキューファイアー)
 タツヤのレスキューメガホーンから変形する相棒兼教育係でもある
 ロボット。生意気で調子が良くフェミニストな性格をしているが、世界
 消防庁のスーパーコンピュータにアクセスする事が出来る。正式名称
 は『TF-Q』でエクスドラゴンやガイアレオンを「弟」と呼ぶ。

○真咲美希(獣拳戦隊ゲキレンジャー)
 スクラッチ社で特別開発室室長の肩書きを持ち、ゲキレンジャー達の
 司令官を務める女性。激獣レオパルド拳の使い手であり、元々は
 シャーフーの弟子。理央やゴウと同期だった。昔は不良で、関東スケバン
 連合の初代総長として名を馳せていた。既婚者であり、なつめの母である。

○マスター・シャーフー(獣拳戦隊ゲキレンジャー)
 激獣フェリス拳の使い手で、ゲキレンジャー直接の師匠。外見は
 年老いた猫(カラカル)に良く似ている。『暮らしの中に修行あり』を
 モットーとし、スクラッチ本社にて、美希と共に若き拳士達の指導に
 あたる。現在の姿になる前は「ご婦人が黙っていられない程の
 ハンサムガイ」だったらしい。

○チダ・ニック(特命戦隊ゴーバスターズ)
 ヒロムのパートナーであるチーター型バディロイド。ヒロムの兄貴分
 として、よくフォローにまわる。バイクに変形出来るが方向音痴という
 欠点を持つ。

○ゴリサキ・バナナ(特命戦隊ゴーバスターズ)
 リュウジのパートナーであるゴリラ型のバディロイド。見た目とは
 違い心配性で落ち込みやすく気弱な性格をしている。本部基地
 ではメカニックを担当している。

○ウサダ・レタス(特命戦隊ゴーバスターズ)
 ヨーコのパートナーであるウサギ型バディロイド。かなりの毒舌家で
 ヨーコと喧嘩が絶えないが、保護者的な態度で接する事もある。
 本部基地ではデータ管理を担当している。

○森下トオル(特命戦隊ゴーバスターズ)
 ゴーバスターズ本部基地のオペレーター。システム操作を主に
 担当し、ヴァグラスの情報やデータをゴーバスターズに伝える。
 特技はアナログ計算。

○仲村ミホ(特命戦隊ゴーバスターズ)
 ゴーバスターズ本部基地のオペレーター。亜空間の分析を担当し、
 ヴァグラスが送り込んでくるメガゾードの転送完了時間を伝えてくれる。
 控え目な性格で、特命部ではヨーコと仲が良い。


『シグフェルVSGショッカー その後の顛末』

作者・ティアラロイド

1329

***無幻城・邪神謁見の間***

マシーン大元帥「偉大なるGショッカーの頂点に立つ、
 表裏六柱の至高邪神よ、現れたまえ~!!」

前の戦いで戦死したキングダーク=呪博士を除く十一邪将が参集する中、
筆頭邪将であるマシーン大元帥の呼び声に応じるかのごとく、
天空から3つのポリゴンが回転しながらゆっくりと降下してくる。
其々のポリゴンに投影される表裏6人の老人達の顔こそが、
悪の無限帝国ガイスト・ショッカーの支配者たちなのだ!

大首領の顔「新たなる敵が現れた」
総司令の顔「シグフェルだ」

マシーン大元帥「ハハーッ!」

星王の顔「決してシグフェルを、ブレイバーズと手を組ませてはならん!」
創世王の顔「その前に抹殺せよ!」

ビルゲニア「仰せのままに」
ローズオルフェノク「恐れながらその件、しばしお待ちを」

至高邪神の雷鳴にも近い声に他の邪将たちに緊張が走り、
誰も彼もが皆ただ平伏するのみの中、唯一人、Gショッカー薔薇邪将の地位にある
ローズオルフェノクが邪神に対して意見を申し立てる。

地獄大使「控えよ、ローズオルフェノク!」
ドクトルG「至高邪神に対し奉り無礼であろう!」

ローズオルフェノクの突然の発言に、
地獄大使たちが慌てて諌めるが…。

大魔神の顔「構わぬ。ローズオルフェノクよ」
闇の帝王の顔「言いたい事があるのであれば申してみよ!」

ローズオルフェノク「ハハッ、ありがたき幸せ。
 そのシグフェルなる者、もしも我らの側に取り込む事が出来れば、
 この上ない強力な戦力として役に立つと思うのですが…」
テラーマクロ「シグフェルをGショッカーに取り込むだと?」
ローズオルフェノク「いかにも」
ゴルゴス「バカな…!」

大首領の顔「フハハハハハッ!!!!!」

ローズオルフェノクの提案に、他の邪将たちが一様に否定的見解を示す中、
いきなり大首領の笑い声が轟音となって広間一帯に響く。

マシーン大元帥「…至高邪神様?」

大首領の顔「そうだ…そうだ! そうなれば言う事はない!」
総司令の声「だが、できるか?」

至高邪神からの問いに、ローズオルフェノクは恭しく畏まる。

ローズオルフェノク「もし、我らの誘いの手を拒むとあらば、
 その時はこの私自らがシグフェルに死を与えましょう!」


***無幻城・大廊下***

呪博士の後任の邪将には、クライシス帝国のジャーク将軍が決定した。
彼には「黄金邪将」の称号が贈られることとなる。

ジャーク「………」
ダスマダー「………」

無幻城の邪神謁見の間へと続く大廊下で、
すれ違うジャーク将軍とダスマダー大佐。
双方とも黙ったまま通り過ぎるかに思われたが、
ジャーク将軍の方から口を開いた。

ジャーク「ダスマダー、今回ばかりは礼を言うべきかな?」
ダスマダー「邪将の地位の選任は、全て至高邪神のご裁可によるもの。
 私に礼を言われるのは筋違いだ」

ダスマダーはそれだけ言うと、あとは無表情のまま立ち去って行く。
ジャーク将軍も一瞥くれたのち、「フッ…」とだけ小さく妖しい笑みを漏らし、
ダスマダーとは逆方向に歩いて去って行った。

1330

***地球連邦軍・極東支部伊豆基地***

コルベット「これが、政府再建委員会から発行された
 正式な命令書だ!」
岡「………」

地球連邦軍の伊豆基地はごった返していた。
コルベット准将率いる部隊が、軍司令部からの正式な命令であると称して
極東基地に乗り込んできたからである。

剣持「……(政府再建委員会…、地球連邦大統領や連邦議会とも
 同等の権能を誇るといわれる超法規機関か)」

政府再建委員会は闇の元老院・ロゴスの後押しを受けて設立された
といわれる純然たる国家機関であり、ティターンズが失墜した今も
隠然たる勢力を保っている。

コルベット「そういうわけだ。しばらく世話になるぞ」
岡「いつまでここにいるつもりだ?」
コルベット「無論、シグフェルを捕獲するまでだ。
 下田にある第13格納庫が空いていたな。あのスペースを
 任務完了までの間、拝借するぞ。構わんな?」
岡「それは勿論構わんが、あまり長居はしてほしくないものだな。
 部隊の駐留が長引けば、それだけ近隣住民が迷惑する」
コルベット「日本も地球連邦に加盟している以上、
 地球連邦の国民が軍に協力するのは当然の義務だ!」
岡「………」
コルベット「剣持中佐、レッドマフラーがこれまでに収集した
 あの兵器"シグフェル"に関するデータ、情報資料も全て
 こちらに開示してもらおう」
剣持「それは要請ですかな?」
コルベット「命令だ」

剣持は岡長官に視線を向け、無言で指示を仰ぐと、
岡も「仕方ないから提供してやれ」目線で促す。

剣持「これが現時点でのシグフェルに関する全データです」
コルベット「ご苦労。ではこれより我々は下田に撤収する。
 邪魔をしたな」

分厚いデータファイルの束を受け取ると、
コルベットたちはさっさと引き揚げてしまった。

海野「やれやれ、トサカ頭がいなくなったと思ったら、
 今度は真空管ハゲか…」
小野「トサカ頭って三輪長官のこと?」
海野「他に誰がいるんだよ!」

海野隊員たちが次々に愚痴をこぼす中、
岡長官と剣持隊長は今後の事について相談する。

岡「正式な命令書を持参してきている以上、
 コルベットたちを追い返すわけにもいかん…」
剣持「この前の戦いで、シグフェルの存在が
 Gショッカーやロゴスにも知られてしまいました。
 これから面倒なことになるかもしれません」
岡「厄介ではあるが、そうなると考えておいた方がよさそうだな」

1331

○岡防衛長官→上陸してきたコルベット准将に、渋々ながら下田の格納庫を臨時基地として提供。
○剣持保→コルベット准将に渋々ながらシグフェルについて収集したデータを提供。
○海野隊員→コルベット准将が日本に上陸してきた事に対して愚痴をこぼす。
○小野隊員→コルベット准将が日本に上陸してきた事に対して愚痴をこぼす。
●大首領→シグフェルを懐柔、従わぬ時は抹殺せよとの命令を十一邪将に下す。
●GOD総司令→シグフェルを懐柔、従わぬ時は抹殺せよとの命令を十一邪将に下す。
●星王バズー→シグフェルを懐柔、従わぬ時は抹殺せよとの命令を十一邪将に下す。
●創世王→シグフェルを懐柔、従わぬ時は抹殺せよとの命令を十一邪将に下す。
●大魔神サタンゴース→シグフェルを懐柔、従わぬ時は抹殺せよとの命令を十一邪将に下す。
●闇の帝王→シグフェルを懐柔、従わぬ時は抹殺せよとの命令を十一邪将に下す。
●地獄大使→至高邪神から、シグフェルを懐柔、従わぬ時は抹殺せよとの命令を受ける。
●ドクトルG→至高邪神から、シグフェルを懐柔、従わぬ時は抹殺せよとの命令を受ける。
●十面鬼ゴルゴス→至高邪神から、シグフェルを懐柔、従わぬ時は抹殺せよとの命令を受ける。
●帝王テラーマクロ→至高邪神から、シグフェルを懐柔、従わぬ時は抹殺せよとの命令を受ける。
●マシーン大元帥→至高邪神から、シグフェルを懐柔、従わぬ時は抹殺せよとの命令を受ける。
●ビルゲニア→至高邪神から、シグフェルを懐柔、従わぬ時は抹殺せよとの命令を受ける。
●ローズオルフェノク→シグフェルの懐柔策を提案し、至高邪神に許可される。
●ジャーク将軍→戦死した呪博士の後任の邪将に就任。称号は黄金邪将。
●ダスマダー大佐→ジャーク将軍の邪将就任に関する人事への関与を否定。
●コルベット准将→日本に上陸。下田の第13格納庫を拠点に、独自にシグフェル捕獲作戦を進める。


『強襲、テスラ・ライヒ研究所』-1

作者・ユガミ博士

1332

***アメリカ合衆国 コロラド州 テスラ・ライヒ研究所***
 
テスラ・ライヒ研究所―地球外からの脅威を提唱し、後にディバイン・クルセイダーズ
(DC)を立ち上げたビアン・ゾルダーク博士によって設立されたオーバーテクノロジー
の総合研究機関である。

ニュースキャスター『東京では、Gショッカーによる大規模な襲撃が行われましたが、
 ブレイバーズの尽力により、多くの命が助けられ・・・』ピッ

所長であるジョナサン・カザハラ博士は、所長室に備え付けられたテレビに流れる
先日のGショッカーによる東京襲撃のニュースを途中で切ると、机に置かれた資料を
手に取る。佐原博士がブレイバーズに協力する各研究機関に送ったイーバとシグフェル
に関する資料である。

ハンク・マッコイ「それが、時空クレバスを操るという異形の怪物イーバと
 謎に包まれた戦士シグフェルの資料かね?」
カザハラ博士「ええ、こちらがその資料です」

カザハラ博士に声を掛けたのは白衣を着た青い毛むくじゃらの獣の様な風貌を
した人物―ミュータントのヒーローチーム「X-MEN」随一の頭脳を持ち、
「ビースト」のコードネームで呼ばれているハンク・マッコイ博士で、れっき
とした人間である。イーバの脅威に対して、カザハラ博士は研究に協力して
もらおうとテスラ研へと呼んだのであった。

映司「カザハラ博士、取材に来られた記者さんをお呼びしました」
カザハラ博士「ありがとう、映司君」

所長室に入ってきたのは、鴻上ファウンデーションの調査員をしている
火野映司である。テスラ研に来たのは、コアメダルが欠けてしまった相棒の
アンクを復活する手がかりが無いかと思い訪れたのだが、黄泉還りが始まった頃、
コアメダルが何故か修復して鴻上会長がまだ持っていたセルメダルと交わって
アンクは復活。現在、どのような変化や影響があるのか調査をしているので、
映司も残っている。

ビースト「取材?」
カザハラ博士「ええ、今日は取材を申し込まれていましてね・・・」

カザハラ博士はビーストに取材の事を話す。そして映司が連れて来た記者は
首からカメラを提げており、黒を基調としたスーツを来たアメリカ人の男性
だった。

カザハラ博士「よく来てくれました。所長のジョナサン・カザハラです」
フランク「ジャーナリストをしているフランク・ウェストです。取材を
 受けてくれて下さりありがとうございます」
ビースト「フランク・ウェスト・・・あのコロラド州で起きたショッピング
 モール事件の・・・」
フランク「そういうあなたは、もしかして・・・X-MENのビーストか?
 こんな所で会えるとは思いもしなかったぜ!」

カザハラ博士は取材をしに来たジャーナリストのフランク・ウェストと挨拶を
交わす。ビーストはフランクの名前を聞いて、以前彼が解決した事件を思い出し
口にする。フランクもX-MENのメンバーであるビーストに気が付き、有名人
に会えたとして驚くのであった。

1333

***北極圏・戦艦ネオ蛇牙城(ベガゾーン)***

一方、北極圏では地下帝国恐竜将軍であるジャテーゴが艦長をしている
戦艦ネオ蛇牙城が前線基地として構えていた。そこの司令室には
艦長であり、恐竜帝国の帝王ゴールの娘であるジャテーゴとメタル
ビースト軍団で世界を支配しようとしていたプロフェッサー・ランドウ、
ランドウの部下であり、両肩にそれぞれ顔を持つヤシャ男爵や
ミケーネ帝国の妖爬虫将軍として爬虫類型戦闘獣を率いていたが
ジャテーゴにその地位を奪われ、今は部下の立場となったドレイドウが
集まっていた。一同はモニターに映る東京襲撃時のシグフェルの映像を視聴していた。

ヤシャ男爵(兄)「ランドウ様、このシグフェルは我々の脅威。このヤシャめに
 奴を討ち取る許可を下さい!」
ヤシャ男爵(弟)「かならずや、ご期待に添えてみせます!」
ランドウ「ならん!既にシグフェルについては大ショッカーの薔薇邪将
 ローズオルフェノクに一任されておる。我らが手を出す必要は無い!」
ヤシャ男爵(兄)「し、しかし・・・」
ランドウ「・・・聞けぬのか?」
ヤシャ男爵「「も、申し訳ございません!!」」

シグフェルの映像を見て、ヤシャ男爵はランドウにシグフェルを討ち取る
為、出撃の許可を求めるが、既にシグフェルに関してはローズオルフェノク
こと村上峡児に一任されているので、ランドウは動く必要は無いと返す。
ヤシャ男爵はそれ以上の事を言おうとするが、ランドウの睨みに萎縮して
黙った。

ジャテーゴ「シグフェルにしてもそうだが、我々の使命はGショッカーの
 領土を広げる事!その為にも重要な施設であるテスラ・ライヒ研究所を
 我らの領地にするという事になっているが・・・いつまで手こずっている!」
ヤシャ男爵(弟)「そ、それは・・・」
ドレイドウ「・・・テスラ研は思ったよりも、強固で時間がかかり・・・」
ジャテーゴ「言い訳は良い!かならずテスラ・ライヒ研究所を手に入れるのだ!」
ドレイドウ「はは~(くっ、ミケーネの者では無いと言うのに何故、新たに7大将軍
 に成り得たのだ!)」
ヤシャ男爵「「はは~(今に見ておれ・・・かならずや殺してやる)」」

実は以前からテスラ・ライヒ研究所を自分達の施設にしようとヤシャ男爵や
ドレイドウが攻めているのだが、研究所を防衛しているスーパーロボット達に
手こずっていて、成果が見受けられずにいた。ジャテーゴはヤシャ男爵と
ドレイドウの言い分も聞かず黙らせ、命令を下す。ヤシャ男爵とドレイドウは
表向きは従うものの、内心ひどく憤っていた。

???「・・・ひどくお困りのようだな」
ドレイドウ「誰だ!?」
謎の紳士タイタン「・・・私だ」
ジャテーゴ「タイタンか・・・」

司令室に現れたのはサングラスをかけた紳士風の人物―ブラックサタン
の幹部であるタイタンの人間態である。本来、ブラックサタンは大ショッカー
に属するが、タイタンは地底王国の領主だった経歴から地下帝国軍の
顧問を務めている。

ランドウ「何をしに、ここへ来たのだ」
謎の紳士タイタン「私はブラックサタンの幹部ではあるが、地下帝国軍の
 顧問でもある。地下帝国軍の作戦に顔出してもおかしくはあるまい。
 ・・・それは別として、テスラ研の攻略は地下帝国軍だけでなくGショッカー
 としても重要な作戦だ。私の方からもブラックサタンの戦力を送ろう」
ドレイドウ「何だと!?」
ヤシャ男爵(弟)「貴様~、我々を愚弄するのか!?」

姿を見せたタイタンはテスラ研攻略に、ブラックサタンの戦力を送る事
を提案してきたが、ドレイドウやヤシャ男爵(弟)は「お前達では役不足」
だと言われたように感じて、反論する。

ジャテーゴ「静まれ、お前達!」
ヤシャ男爵&ドレイドウ「「ムゥ・・・」」
ランドウ「・・・分かった。ブラックサタンの助力を受けよう・・・頼んだぞ!」
謎の紳士タイタン「・・・承知した!」

テスラ・ライヒ研究所に危機が迫る!

1334

○ジョナサン・カザハラ博士→Gショッカーによる東京襲撃のニュースを
  視聴した後、シグフェルやイーバについての資料を読む。その後、
  フランク・ウェストの取材を受ける。
○ヘンリー・ハンク・マッコイ博士=ビースト→カザハラ博士に呼ばれて
  テスラ・ライヒ研究所に訪れる。シグフェルとイーバの資料を読む。
○火野映司→アンク復活の手がかりを探して、テスラ・ライヒ研究所に
  訪れるが、アンクが黄泉還りの影響で復活。その調査に付き合い
  テスラ・ライヒ研究所に留まる。取材に来たフランクを連れてくる。
○フランク・ウェスト→テスラ・ライヒ研究所へ、取材で訪れる。
●ジャテーゴ→Gショッカーの幹部、地下帝国軍恐竜将軍・メカザウルス
  &爬虫類型戦闘獣軍団帳として復活。ヤシャ男爵とドレイドウに
  テスラ・ライヒ研究所を攻略するように命令を下す。
●プロフェッサー・ランドウ→タイタンの提案を受ける。
●ヤシャ男爵→テスラ・ライヒ研究所を攻略する命令を受ける。
●妖爬虫将軍ドレイドウ→ジャテーゴに7大将軍の地位を奪われ
  現在副官的立場となる。ヤシャ男爵と共にテスラ・ライヒ研究所を
  攻略する命令を受ける。
●謎の紳士タイタン/百目(一つ目)タイタン→テスラ・ライヒ研究所
  攻略にブラックサタンの戦力を送る事を提案し、了承を得る。

【今回の新規登場】
○ジョナサン・カザハラ博士(バンプレストオリジナル)
 スーパーロボット(特機)グルンガストの開発者にして、そのグルンガストの
 パイロットを務めるイルムガルド・カザハラの父親。ロボット工学の分野では
 有数の権威であり、テスラ・ライヒ研究所の現所長である。息子に負けず
 劣らずかなりの女好きである。

○ヘンリー・ハンク・マッコイ=ビースト(X-MEN)
 X-MENのメンバーで外見は青い毛皮で覆われた獣だが、天才的な頭脳を持つ
 科学者でコードネームは『ビースト』野獣の様な身体能力を持ち、超人的な怪力と
 瞬発力を備えている。X-MENの活動が休止していた時は大学の講義を行っていた。

○火野映司=仮面ライダーオーズ(仮面ライダーOOO)
 仮面ライダーオーズに変身する青年。『少しの小銭と明日のパンツがあればいい』を
 口癖に、世界中を流浪していたが、日本に帰国した際、アンクと遭遇した事により、
 オーメダルをめぐるグリードと人間の争いに巻き込まれた。根っからの御人好しだが
 実は有名な政治家の息子で、以前紛争地帯で仲良くなった少女を守れなかった事への
 強い後悔があり、どんな人物であろうと命を賭して守ろうとする行動理念がある。

○フランク・ウェスト(デッドライジングシリーズ)
 過去に戦場での取材経験があるフリージャーナリスト。かなりのタフガイで
 ジャーナリストらしく好奇心旺盛で、皮肉屋だが根は正義感。ウィラメッテで起きた
 暴動の取材を独占取材しようとショッピングモールにヘリコプターで乗り込み、
 飛び降りた先のゾンビパニックに巻き込まれる事になった。ブロック率いる特殊部隊
 に襲われながらもモールから脱出。その後、自身の記事は全米を震撼させる
 大スクープとなり、政府に犯罪の一部を認めさせるに至ったが結局はもみ消され
 忘れ去られてしまう。

●ジャテーゴ(ゲッターロボ號/ゲッターロボ(原作版))
 恐竜帝国女帝。先代である帝王ゴールの次女。実はプロフェッサー・ランドウを
 影から支援していた。先帝ゴールの果たせなかった、地上奪還を企んでいる。

●プロフェッサー・ランドウ(ゲッターロボ號)
 天才科学者だったが、更なる知能の向上の為に自らコンピュータと接続した
 結果、精神を病んでしまい狂気に飲まれ、北極のG鉱石採石場をベガゾーン
 に改造し、世界征服を始めた。終盤、ナルキス子爵に殺されるが、既に
 記憶と自我をベガゾーンのメインコンピュータに移していた為、復活する。
 本名はアルヒ・ズゥ・ランドウ。

●ヤシャ男爵(ゲッターロボ號)
 プロフェッサー・ランドウによって生み出されたミュータントで、一つの体に
 2つの頭部を持つ兄弟。力任せの作戦を行う幹部で、兄弟の仲はあまり
 良くないが、それでも非常時にはお互いを思いやる事があり、兄弟としての
 絆はとてつもなく強い。元々はそれぞれ完全な肉体を持った2人の人間で
 あったが、ランドウによる改造手術により現在の体となった。

●妖爬虫将軍ドレイドウ(グレートマジンガー)
 爬虫類型戦闘獣を率いるミケーネ7大将軍の1人。口から放射能を含んだ
 火炎を吐く能力を持つ。策士タイプであり、狡猾で姑息な性格をしている。

●謎の紳士タイタン/百目(一つ目)タイタン(仮面ライダーストロンガー)
 ブラックサタン日本支部の初代大幹部。実は地底王国の領主でマグマの
 能力を秘めた「改造火の玉人間」普段は謎の紳士「Mrタイタン」として行動し、
 前線で戦闘員や奇っ械人を指揮する。冷徹な合理主義者で任務遂行の為
 なら仲間の犠牲を厭わない非情さを持つ。ストロンガーとの戦いで一度命を
 落とすが、百目タイタンとして復活した。


『強襲、テスラ・ライヒ研究所』-2

作者・ユガミ博士

1335

***アメリカ合衆国 コロラド州 テスラ・ライヒ研究所***

カザハラ博士達に案内されて、フランクは研究所の取材を行う。一行は
訓練場の様な場所に訪れると、その中央では垂れ下がった髪が特徴の
青年と逆立った髪が特徴の白人男性が向かい合い、戦っていた。

フランク「あの人物、確か軍関係の雑誌の表紙に載っていたシュワルツコフ少佐か!
 戦っている相手は誰だ?」
映司「シュワルツコフ少佐と戦っているのは、俺の相棒なんですが・・・
 まぁ、いつもの事でして(汗」

垂れ下がっている青年は復活したグリードのアンクで、今は昔体を
借りていた泉刑事の姿に変身している。一方、白人男性の方は
スーパーロボット・ステルバーのパイロットであるアメリカ空軍の軍人
シュワルツコフ少佐(通称シュワルツ)である。シュワルコフは任務で
テスラ・ライヒ研究所の防衛の為にやってきたのだが、アンクは復活
してからも挑発的な態度は相変わらずで、それにシュワルツには
気に入らないらしく、事あるごとに2人は喧嘩をしているが、よく見ると
その真ん中には昔の武人のような姿をした老人―技術顧問である
リシュウ・トウゴウが立っており、どうやらリシュウの立ち会いで行って
いるようだ。

シュワルツ「このぉ、鳥野郎ー!」
アンク「ふん!」
シュワルツ「ぐわぁ!!」
リシュウ「それまで!双方、今回はこれまでじゃ」

アンクの右腕が怪人態の右腕に変わり、シュワルツを吹き飛ばす。
そこでリシュウは戦いを止めさせた。

メリー「残念だったわね、シュワルツ」
ジャック「ドンマイだぜ、シュワルツ」
シュワルツ「うるせぇ!次は俺が勝つ!」
アンク「ふん、確かに復活したばかりで調子もそんなに良くはしないが、
 それでも人間相手に手加減をしてやっているんだ。ありがたく思え!」
シュワルコフ「貴様ぁ!」
チボデー「おいおい、今戦ったばかりだろ?次は俺が相手をするぜ!」

今の戦いを見ていた西部劇風の衣装をした男女―ジャック・キングと
メリー・キングの兄妹が倒れたシュワルツを励ます。アンクの挑発的な
物言いにシュワルツはまた突っかかりそうになるが、同じく防衛任務で
研究所に来ていたチボデー・クロケットが代わりにアンクと戦おうとする。

リシュウ「止めなさい。客人が来ておるのだぞ!」

リシュウの言葉で、一同はカザハラ博士達が来ている事に気が付く。

アンク「おう、映司!腹が減った、アイスを寄越せ!」
映司「アンク・・・アイスは後だよ」

映司が来たので、アンクはアイスを要求したが、今はそういう場合
ではないので、映司は後でアイスを渡す事にした。

フランク「コロニーのボクシングチャンピオンに、スーパーロボットの
 パイロットと出会えるとは・・・今日は運がついているかもしれねぇなぁ」

フランクは色々な有名人と会えた事に、内心舞い上がり、スクープ写真が
撮れるのではないかと思う。

ドゴーン ドゴーン

カザハラ博士「何事だ!?」
研究員A「研究所の外に戦闘獣、メカザウルス、メタルビースト軍団が
 攻撃してきました!」
研究員B「さらに、ブラックサタンの怪人と戦闘員が研究所に侵入!」
リシュウ「何じゃと!?」

突然の爆音にカザハラ博士達は動揺し、テスラ・ライヒ研究所で働く
研究員達から戦闘獣、メカザウルス、メタルビースト軍団が外から
研究所を攻撃し、ブラックサタンの怪人と戦闘員が侵入してきたという
報告を受ける。

カザハラ博士「チボデー君達はすぐに出撃をしてくれ。侵入してきた
 怪人と戦闘員は映司君とアンク君達に任せる!」
映司「分かりました!」
アンク「ふん、アイスを邪魔されたら敵わんからな!」
ビースト「私も怪人と戦闘員の相手をしよう」
フランク「俺も手伝うぜ。こういうのは慣れっこなんでな!」
ジャック「OK!」
チボデー「ノックアウトにしてやるぜ!」

カザハラ博士から指示を受けた映司とアンク、ビーストとフランクは
ブラックサタンの方へ。チボデーやジャック達は、それぞれガンダム
マックスターとテキサスマックに乗り込んで出撃し、戦闘獣達の方へ
向かう。

シュワルツ「俺もステルバーで出撃する!」
カザハラ博士「戦ったばかりだが、大丈夫なのか?」
シュワルツ「ふん、これで倒れる程やわな鍛え方はしてねえぜ!」

先程、アンクと戦っていたばかりのシュワルツだが、タフな彼は
ステルバーで出撃する事になった。それぞれ、研究所を守る為の
戦いが始まる。


1336 
○ジョナサン・カザハラ博士→フランク・ウェストに研究所を案内する。
   地下帝国軍の攻撃に対して、指示を出す。
○リシュウ・トウゴウ→アンクとシュワルツの戦いに立ち会う。
○ヘンリー・ハンク・マッコイ博士=ビースト→侵入してきたブラックサタンの
  怪人と戦闘員がいる場所に向かう。
○火野映司→侵入してきたブラックサタンの怪人と戦闘員がいる場所に向かう。
○アンク→リシュウ立ち会いの元、シュワルツと喧嘩で争って勝利する。
  カザハラ博士の指示で、ブラックサタンの怪人と戦闘員がいる場所へ向かう。
○フランク・ウェスト→カザハラ博士に研究所を案内される。地下帝国軍の
  襲撃に協力する。
○ジャック・キング、メリーキング→アンクとシュワルツの喧嘩に立ち会う。
   カザハラ博士の指示で、テキサスマックに乗り込み出撃する。
○シュワツルコフ少佐→リシュウ立ち会いの元、アンクと争って負ける。
  地下帝国軍の襲撃にステルバーで出撃する。
○チボデー・クロケット→アンクとシュワルツの喧嘩に立ち会う。
  カザハラ博士の指示で、ガンダムマックスターで出撃する。

【今回の新規登場】
○アンク(仮面ライダーOOO)
 800年の眠りから右手だけ目覚めた鳥系グリード。棺の封印を解き、オーメダルを
 得るべく、映司をオーズに仕立て、自身は瀕死の状態となった泉刑事の肉体を借りて
 行動した。炎を操る能力を持ち、皮肉屋で計算高くがめつい性格をしている。
 
○リシュウ・トウゴウ(バンプレストオリジナル)
 テスラ・ライヒ研究所の技術顧問で薩摩示現流の剣技の達人である老人。
 ゼンガー・ゾンボルトやブルックリン・ラックフィールド、ムラタの師匠で
 先祖はかつて超機人の操者だった。戦闘において、剣技は常人の域を
 超えているだけでなくグルンガスト零式に乗り込んで戦う事もある。

○ジャック・キング(ゲッターロボ)
 アメリカの科学者キング博士の息子で、メリーの兄。兄妹で
 テキサスマックのパイロットを務める。性格はクールで自尊心が
 高く他を見下しがちだが、受けた借りは忘れずに返すタイプ。
 ごく偶にインチキアメリカ人の様な喋り方をするが普通に喋れる。

○メリー・キング(ゲッターロボ)
 ジャック・キングの妹で、テキサスマックの帽子の部分であるハット
 マシンに乗る。聡明かつ礼儀正しい性格で、攻撃的なジャックの
 言動をフォローし、戦闘においても的確にジャックをサポートする。

○シュワルツコフ少佐(ゲッターロボシリーズ)
 通称シュワルツ。米軍のスーパーロボット、ステルバーのパイロット。
 白人至上主義者で日本人を嫌っおり、一文字號と衝突していたが
 やがて考えを改めるようになった。


『強襲、テスラ・ライヒ研究所』-3

作者・ユガミ博士

1337 強襲、テスラ・ライヒ研究所‐3:2014/12/22(月) 08:37:04 テスラ・ライヒ研究所の外ではヤシャ男爵が出撃させたフロン、ガンマ、ギルガの
メタルビースト3体にグロスデン、ジャラガの爬虫類型戦闘獣2体に
恐竜帝国からメカザウルス・サキが攻撃を行っていた。

***北極圏・ネオ蛇牙城(ベガゾーン)***

ヤシャ男爵(弟)「はははは、いいぞ!メタルビースト達よ、もっと攻撃しろ!」
ドレイドウ「待て、研究所を破壊しては元も子も無いぞ!」
ヤシャ男爵(兄)「分かっておる!・・・それに奴らが出てきたようだぞ」

ヤシャ男爵とドレイドウはベガゾーンにある司令室から、巨大モニターで
メタルビースト達の指揮を執っていた。力押しで作戦を進めるヤシャ男爵に
ドレイドウは過剰な攻撃で研究所が破壊されないか危ぐするが、無論
ヤシャ男爵とてわきまえている。そしてテスラ・ライヒ研究所からロボットが
数体が出撃した。ガンダムマックスター、テキサスマック、ステルバーさらに
巨大な斬艦刀を持ったスーパーロボット、リシュウの乗るグルンガスト零式
である。

シュワルツ「先生さんよぉ、こいつ等程度なら俺達で十分だぜ。そんな身体で
 ロボットを動かせるのか?」
リシュウ「研究所に侵入してきた者達は映司達に任せれば十分じゃろう。
 それにこの数では一機でも多い方がいいじゃろうて」

シュワルツは高齢であるリシュウがグルンガスト零式で出撃した事に
戦えるか聞いてきたが、リシュウは問題無いと答える。

ジャック「流石、SAMURAI!なら、バトルスタートだぜ!!」

リシュウの闘争心を感じ取ったジャックはテキサスマックを動かし、
マックライアットをサキに向けて攻撃を行う。

リシュウ「各々方、我らも行くぞ!行けい、噴射拳!!」
チボデー「OK!サイクロンパンチ!!」
シュワルツ「ふん、喰らえぇ、Gショッカァァ!」

テキサスマックが攻撃を始めたので、グルンガスト零式、ガンダム
マックスター、ステルバーはそれぞれメタルビーストや戦闘獣に
攻撃を始めた。

一方、研究所の中では。
研究所のロビーにはブラックサタンの戦闘員やブラックサタンの怪人である
奇械人ガンガルや奇械人オオカミンを左右に控え、中央には変身した百目
タイタンがいた。既に研究所の警備員達は彼らによって倒されている。
そこに、映司達が駆けつけた。

ビースト「奴らがブラックサタンか・・・」
百目タイタン「ほう、有名なミュータントのチーム『X-MEN』のメンバーが
 来ていたとは・・・この研究所はGショッカーが有効に使わせてもらう。
 お引き取り願おう」
映司「テスラ研を好きにはさせない!変身!!」

百目タイタン達と対峙した映司はオーズドライバーを腰に巻き、懐から
鷹、虎、バッタが描かれたメダルを3枚取り出して、オーズドライバーに
セットして、ドライバーを斜めに傾けてからオースキャナーでスキャンを行う。

タカ・トラ・バッタ!!

タ・ト・バ!タトバ、タ・ト・バ!

メロディが流れると共に、オーラングサークルが現れ、無数のメダル
エネルギーに包まれると映司の体は仮面ライダーオーズとなった。

百目タイタン「仮面ライダーか・・・ストロンガーが相手ではないのが
 残念だが、目的は遂行させてもらう!かかれ!」
ブラックサタン戦闘員「ミューッ!!」

オーズの登場に、ストロンガーでないのを少し残念がる百目タイタンだが
それよりも目的を遂行させるべく戦闘員や怪人達に攻撃命令を下す。
向かってくる戦闘員と怪人を相手にアンクの右腕は元のグリードの腕に
変わり、ビーストは白衣を脱ぎ捨てて、X-MENのコスチュームとなり、
そしてフランクは何故か持っていたバット構えて、臨戦対戦を取るのであった。

 

1338


○リシュウ・トウゴウ→グルンガスト零式で出撃して、戦闘を開始する。
○チボデー・クロケット→ガンダムマックスターで出撃し、戦闘を開始する。
○ジャック・キング→テキサスマックで出撃し、戦闘を開始する。
○シュワルツコフ少佐→ステルバーで出撃し、戦闘を開始する。
○火野映司=仮面ライダーオーズ→変身して、ブラックサタンと対峙する。
○アンク→ブラックサタンと対峙する。
○ヘンリー・ハンク・マッコイ博士=ビースト→ブラックサタンと対峙する。
○フランク・ウェスト→ブラックサタンと対峙する。
●ヤシャ男爵→ネオ蛇牙城から作戦の指揮を執る。
●妖爬虫将軍ドレイドウ→ネオ蛇牙城から作戦の指揮を執る。
●メカザウルス・サキ→テスラ・ライヒ研究所を襲う。
●メタルビースト・フロン→テスラ・ライヒ研究所を襲う。
●メタルビースト・ガンマ→テスラ・ライヒ研究所を襲う。
●メタルビースト・ギルガ→テスラ・ライヒ研究所を襲う。
●戦闘獣グロスデン→テスラ・ライヒ研究所を襲う。
●戦闘獣ジャラガ→テスラ・ライヒ研究所を襲う。
●百目(一つ目)タイタン→テスラ・ライヒ研究所に侵入し、オーズ達と対峙する。
●奇械人ガンガル→テスラ・ライヒ研究所に侵入し、オーズ達と対峙する。
●奇械人オオカミン→テスラ・ライヒ研究所に侵入し、オーズ達と対峙する。

【今回の新規登場】
●メカザウルス・サキ(ゲッターロボ)
 帝王ゴールが早乙女研究所を破壊するべく差し向けたメカザウルス第1号。
 プロトゲッターロボを倒し、早乙女博士の息子である達人を死に追いやった。
 口から高熱火炎、怪力、鼻先の角からミサイル攻撃を行う事が出来る。

●メタルビースト・フロン(ゲッターロボ號)
 プロフェッサー・ランドウが世界征服を宣言した時に、世界中で破壊活動を
 行っていたメタルビーストの1体。

●メタルビースト・ガンマ(ゲッターロボ號)
 プロフェッサー・ランドウが世界征服を宣言した時に、世界中で破壊活動を
 行っていたメタルビーストの1体。

●メタルビースト・ギルガ(ゲッターロボ號)
 東京を襲うようにプロフェッサー・ランドウがヤシャ男爵に命令して
 差し向けたメタルビースト。右腕が砲身となっているのが特徴。
 プロトゲッターロボに倒される。

●戦闘獣グロスデン(マジンガーZ対暗黒大将軍)
 爬虫類型戦闘獣の1体。

●戦闘獣ジャラガ(マジンガーZ対暗黒大将軍)
 蛇の姿をした爬虫類型戦闘獣。マンタの様な翼で自在に飛行する。
 ミケーネ帝国の先遣隊の内、日本壊滅を目的とした5体の戦闘獣の
 1体で、東京でマジンガーZと戦った。あらゆる金属を溶かす毒液を
 持つ。因みに性別は女性。

●奇械人ガンガル(仮面ライダーストロンガー)
 カンガルーの特性を持つブラックサタンの奇械人。スプリングを利用した
 ジャンプを行ったり、腹部からバズーカ攻撃を行う事ができる。また
 スプリングパンチという技を使用する。

●奇械人オオカミン(仮面ライダーストロンガー)
 オオカミの特性を持つ奇械人。霧状となってどこにでも侵入する事が
 出来る。鼻先から毒ガスを放ち、腕はロケット砲となっている。灯台を
 乗っ取り、船舶の航行を滅茶苦茶にしようとした。


『強襲、テスラ・ライヒ研究所』-4

作者・ユガミ博士

1339 
シュワルツ「くらえぇぇ!!」
ジャック「GOTOHELL!!」

研究所でオーズ達とブラックサタンの戦闘が始まったその頃。
研究所の外では各スーパーロボット達が戦闘獣やメタルビースト、メカザウルスと
戦闘を行っていた。シュワルツの操縦するステルバーとキング兄妹の操縦する
テキサスマックはメタルビーストのフロンとガンマを破壊する。

メリー「やったわね、兄さん!」
ジャック「ふふ、残りもストライクね!」
リシュウ「―!いかん、そこにいるのは危険じゃ!」
ジャック「What’s!?」

メタルビーストを撃破した事にキング兄妹は喜んでいると、リシュウは
長年培われた剣士としての勘から、彼らに危険が迫っている事を察知する。
すると、テキサスマックの背後から伏兵として潜んでいた戦闘獣ゴモドラーが
奇襲をかけてきた。

メリー「キャァ!!」
リシュウ「いかん!噴射拳で・・・」
ジャラガ「そうはさせぬぞ!!」

テキサスマックを助けるべく、リシュウは噴射拳(ブーストナックル)で
ゴモドラーを攻撃しようとするが、グルンガスト零式の相手をしていた
戦闘獣ジャラガが攻撃を阻止するべく、毒液を吐く。金属を溶かす毒液
にリシュウは回避行動を取ったが、グルンガスト零式の腕の表面を
溶かし、内部の回路が露出する。幸いにも、戦闘に支障は無い。

リシュウ「むむ、コヤツの毒液は金属を溶かすのか!」

これでは最早間に合わない。誰もがそう思った時、何かが通り過ぎ
ゴモドラーを攻撃した。

ゴモドラー「ギャァァァア!!」
シュワルツ「今の攻撃は何だ!?」

攻撃を受けたゴモドラーは怯み、誰が攻撃をしたのか見渡すと、
上空にそれぞれ鳥を思わせる意匠をした2機の機体が飛んでいた。

ゼオラ「地球連邦軍特殊戦技教導隊所属のゼオラ・シュバイツァー曹長です。
 カザハラ博士の要請を受けて、応援に来ました!」
アラド「同じく、教導隊所属のアラド・バランガ曹長です!間もなく、カイ少佐達も
 ここへ駆けつけて来ます!」
リシュウ「おお、御主達じゃったか!」

テキサスマックを助けたのは、地球連邦軍特殊戦技教導隊所属の
ゼオラ・シュバイツァー曹長が操縦するビルトファルケンとアラド・
バランガ曹長が操縦するビルトビルガーだった。彼ら教導隊は偶々
近くの基地に来ていた時にカザハラ博士の要請を受けて出動し、
2人が先行して駆けつけてテキサスマックを戦闘獣から助けたのである。
そして、アラドの言うとおり、隊長であるカイ・キタムラ少佐が操縦する
緑色のパーソナルカラーをした量産型ゲシュペンストMr―Ⅱ改に
ラミア・ラヴレス少尉の操縦する天使を思わせる特機アンジュルグ、
最年少のメンバーであるラトォーニ・スゥボータ少尉の操縦する
ビルトラプター・シュナーベルが到着した。

カイ少佐「こちら地球連邦軍特殊戦技教導隊のカイ・キタムラだ!
 これより諸君らの援護にまわる!」
リシュウ「これは頼もしい援軍じゃわい」
ジャラガ「おのれぇぇ!ゆけぃ、ギルガ!!」

教導隊の到着にリシュウは頼もしく感じる一方、戦闘獣ジャラガは
敵に援軍が来た事に腹ただしく思い、メタルビーストのギルガを
教導隊の下へ向かわせた。

カイ少佐「TC-OS リアルタイムアレンジ!」

向かってくるギルガにカイ少佐の量産型ゲシュペンストMr―Ⅱ改は
拳を突きだして構え、ギルガの砲身を掴み背負い投げをしてから
後方へと投げ飛ばし、腕のプラズマステークを叩き込む。

カイ少佐「拳一つで戦えるといわん!だが、拳一つ甘く見るなよ!!」
 
叩き込まれたギルガは爆発して破壊された。プラズマステークを
叩き込んだ量産型ゲシュペンストMr-Ⅱは地上に降り立った。

1340

メリー「さっきは助けてくれてありがとう!」
アラド「いえいえ、お安い御用ッス!」
ジャック「それじゃ、戦闘獣をさっさと倒すとするぜ!」
シュワルツ「ふん、教導隊ばかりにいい恰好はさせねぇぜ!」

メリーは助けてくれたアラドとゼオラにお礼を言葉を送る。そして
ジャックは自分達を襲ったゴモドラーに向けてマックライアットを撃ちだし
シュワルツもステルバーに装備されているガトリング砲をゴモドラーに
向けて攻撃する。

ゴモドラー「キシャァァ!」
ジャック「No~、テキサスマックがアイスになっちまう!」
シュワルツ「チィ!」

ゴモドラーは冷凍光線を吐きだし、テキサスマックの足下を氷漬けに
しようとする。ステルバーはシュワルツが回避行動を行ったので、
何とか免れた。

アラド「ゼオラ、俺達がトドメを指すぞ!」
ゼオラ「分かったわ、アラド!」
アラド「ジャケットアーマー、パージ!」
ゼオラ「テスラ・ドライブ出力最大!」

アラドとゼオラはゴモドラーを倒すべく、ビルトビルガーとビルトファルケンを
高速機動形態に変えて、超スピードでゴモドラーに接近する。

アラド「アインス!」
ゼオラ「ツヴァイ!!」
アラド「ドライ!!!」
アラド&ゼオラ「「ツインバードストライク!!」」
ゴモドラー「ギャァァァァ!!」

掛け声を掛け合いながら、ゴモドラーを翻弄しつつ連続攻撃を加えていく。
最後にビクティムビークに移行したビルトビルガーとブレイクフィールドを
展開したビルトファルケンは交差し、鋏で断ち切るようにゴモドラーを引き
裂くのであった。

ラミア「私の相手はこいつか・・・」
ラトゥーニ「ラミア少尉、援護いたします!」

一方、ラミアとラトゥーニは戦闘獣グロスデンと対峙していた。
ラトゥーニはラミアの援護を行うべく、ビルトラプター・シュナーベルを
戦闘機形態に変形させるとグロスデンの背後にまわり、すかさず
人型形態に変形すると背後から攻撃を始める。

ラミア「イリュージョン・アロー!喰らいやがれでございます」

ラミアはアンジュルグに武装されているイリュージョン・アローで
いつも通り変な言葉遣いをしながら攻撃していく。

グロスデン「ぐぅぅぅぅ~!」
ラトゥーニ「ラミア少尉、敵が怯んでいるその隙に!」
ラミア「了解!コード・ファントムフェニックス!!」
グロスデン「ぐわぁぁぁ!!」

グロスデンが両機の攻撃に怯んでいる隙に、ラミアは「コード・ファントム
フェニックス」を発動させてリミッターを解除すると、左腕から高出力の
エネルギーの矢を発生させて射ると、鳳凰を模した巨大なエネルギーの
塊をぶつけた。そのエネルギーにぶつけられて、グロスデンは大爆発を
起こして倒される。

チボデー「さ~て、俺もかわいい応援が来たことだし、最終ラウンドと行くぜ!」

チボデーの乗るガンダムマックスターはメカザウルス・サキと対峙していて
その右手に「クイーン・ザ・スペード」の紋章が出現する。そしてチボデーと
共にガンダムマックスターは黄金に輝きだした。

サキ「キシャァァ!!」
チボデー「効かねぇよ!!」

サキは鼻先からミサイルを発射するが、超人的なボクサーである
チボデーはそのフットワークによりミサイルを躱す。

チボデー「豪熱!マシンガンパァァンチィ!!」
サキ「キシャァァァァァ!!」

そしてチボデーは必殺の「豪熱マシンガンパンチ」をサキに喰らわせ
サキは断末魔をあげると共に破壊された。

リシュウ「最早、敵は御主しかおらぬな」
ジャラガ「ならば、私の毒液をもう一度浴びるが良い!!」
リシュウ「剣は抜かずに済めば無事太平・・・抜いたからには一刀両断!!」

ジャラガはグルンガスト零式にもう一度毒液を浴びせようとするが、
リシュウはグルンガスト零式の斬艦刀を構える。

リシュウ「零式斬艦刀・疾風怒濤!!」
ジャラガ「む・・・無念!」

グルンガスト零式はブースターで勢いよく跳びあがってジャラガを
唐竹割を見舞った後、斬艦刀を横に振り向いて斬るのであった。

チボデー「どうやら、外の連中はこれで終わったみたいだな」
リシュウ「うむ、後は研究所の方だが・・・」

研究所の外は教導隊が応援として駆けつけてくれた事により
無事、戦闘は終わった。研究所内部の戦闘に続く。

1341

○チボデー・クロケット→ガンダムマックスターでメカザウルス・サキを倒す。
○ジャック・キング→シュワルツコフと共にメタルビースト・フロンとガンマを倒す。
   戦闘獣ゴモドラーに襲われるもののアラドとゼオラに助けられる。ゴモドラーの
   攻撃を受けてテキサスマックの足下が凍りつく。
○メリー・キング→戦闘獣ゴモドラーに追われるもののアラドとゼオラに
   助けられる。アラドとゼオラにお礼を言う。
○シュワルツコフ少佐→テキサスマックと共にステルバーでメタルビーストの
   フロンとガンマを破壊する。
○リシュウ・トウゴウ→グルンガスト零式でジャラガを倒す。
○カイ・キタムラ少佐→要請を受けて応援に駆け付ける。量産型ゲシュペンスト
   Mr-Ⅱ改でメタルビースト・ギルガを倒す。
○ラミア・ラヴレス少尉→ラトゥーニと共にアンジュルグで戦闘獣グロスデンを倒す。
○ラトゥーニ・スゥボータ少尉→ビルトラプター・シュナーベルでラミアの援護を行う。
○アラド・バランガ曹長→ゼオラと共にテキサスマックを助ける。戦闘獣ゴモドラーに
   「ツインバード・ストライク」でトドメを指す。
○ゼオラ・シュバイツァー曹長→アラドと共にテキサスマックを助ける。
   戦闘獣ゴモドラーに「ツインバードストライク」でトドメを指す。
●メタルビースト・フロン→テキサスマックとステルバーに倒される。
●メタルビースト・ガンマ→テキサスマックとステルバーに倒される。
●メタルビースト・ギルガ→量産型ゲシュペンストMr-Ⅱに倒される。
●メカザウルス・サキ→ガンダムマックスターに倒される。
●戦闘獣ジャラガ→グルンガスト零式に斬られて倒される。
●戦闘獣グロスデン→アンジュルグとビルトラプター・シュナ-ベルに倒される。
●戦闘獣ゴモドラー→伏兵として背後からテキサスマックから襲うが
   ビルトビルガーとビルトファルケンに阻まれ、戦闘するものの
   ツインバードストライクで倒される。

【今回の新規登場】
○カイ・キタムラ少佐(バンプレストオリジナル)
 新生特殊戦技教導隊隊長。旧特殊戦技教導隊のメンバーで極東
 伊豆基地でPT部隊を指揮している。L5戦役後は新生教導隊の
 指揮官となった。ゲシュペンストシリーズに並々ならぬこだわりを持っている。
 徒手空拳での白兵戦に長けており、鬼教官と称されるものの部下からの
 信頼は厚い。妻と16歳となる娘がいる。乗機は量産型ゲシュペンストMr-Ⅱ

○ラミア・ラヴレス少尉(バンプレストオリジナル)
 新生特殊戦技教導隊のチーフでカイの副官的存在。元々はシャドウミラーが
 生み出した人造人間『Wシリーズ』の最新ナンバー『W17』。スパイとして
 送られたが、やがて潜入先の部隊に接していく内にシャドウミラーに疑問を抱く
 ようになり、シャドウミラーを離反した。次元転移の影響で言語中枢が故障して
 変な口調となってしまっている。乗機はアンジュルグ

○ラトゥーニ・スゥボータ少尉(バンプレストオリジナル)
 新生特殊戦技教導隊の隊員。パーソナルトルーパー養成機関スクールの出身で
 名前の由来はラトゥーニクラスのナンバー11から。スクールでの過酷な訓練などが
 原因で対人恐怖症となっていたが、次第に周囲の人間にも心を開くようになった。
 リュウセイ・ダテに好意を抱いていおり、シャイン・ハウゼン王女に気に入られている。
 乗機はビルトラプター・シュナーベル及びフェアリオンS(シルバー)

○アラド・バランガ曹長(バンプレストオリジナル)
 新生特殊戦技教導隊のメンバー。パーソナルトルーパー養成機関スクールの出身
 である新米パイロット。過去の記憶を失っているが気にしない性格で口癖は
 「○○(間違った言葉)もとい○○(正しい言葉)!」ゼオラとはコンビ戦闘を前提に
 訓練を受けており、強い信頼関係を持つ。非常に頑丈な体で強運の持ち主。
 そしてかなり大食いである。乗機はビルトビルガー。
 
○ゼオラ・シュバイツァー曹長(バンプレストオリジナル)
 新生特殊戦技教導隊の女性隊員。パーソナルトルーパー養成機関スクールの
 出身で、同じクラスだったアラドとコンビを組んでいる。真面目な優等生タイプだが
 気が強く思い込みが激しい所はあるが本来とても優しい性格の持ち主。乗機は
 ビルトファルケン。

●戦闘獣ゴモドラー(グレートマジンガー)
 原作15話に登場した爬虫類型戦闘獣。冷凍光線を吐く事能力を持つ。


『始動!秘密計画』-1

作者・凱聖クールギン

1342

***ネロス帝国・ゴーストバンク***

謎の新ヒーロー・シグフェルの出現は、
直ちにネロス帝国にも伝えられた。

ゴッドネロス「新たな敵が現れた…!
 その名はシグフェル…」

ゴッドネロスは指先から光を放ち、
フレアセイバーを振るって戦うシグフェルの映像データを
集合したネロス軍団員達に見せる。

クールギン「呪博士、クモナポレオン、タイガーネロ以下、
 GOD悪人軍団の怪人達はシグフェルと戦い、
 多数戦死を遂げた。
 共に出撃したザンギャックの艦隊も大損害を受け壊滅状態だ」

クールギンが結果を告げると、全軍団がどよめいた。
いくら若造のワルズ・ギルが指揮を取ったとは言え、
圧倒的な陣容をもって実行に移された東京侵攻作戦である。
成功を予期する声はネロス帝国内でも少なくなかった。
まさか、実質たった一人の敵を相手に大敗を喫し、
邪将を含む多数の怪人と戦闘メカを失って逃げ帰って来るなど、
ネロス帝国の面々にとっても全く予想外だったのである。

ゲルドリング「あのボンクラ皇子の事や。
 きっと調子に乗って油断しとったに決まっとるがな」
ゴチャック「しかし、精強を誇るGODの怪人達までもが揃って討ち取られるとは
 どう考えても尋常ではありませぬ…!」
メガドロン「シグフェルとは、一体何者なのだ!?」
タグスキー「それほどの敵ならば、ぜひ一度手合わせを挑みたいものだ」
タグスロン「しかし兄者、舐めてかかれば我らも命はないぞ」

口々に騒ぎ立てるネロス軍団員達。

クールギン「静まれ…!
 一連の戦闘後、シグフェルはいずこかへ飛び去った。
 奴の正体が何なのか、今どこにいるのか、現時点では全く不明だ。
 ブレイバーズの一員ではないようだが、
 それでも我らGショッカーの敵である事だけは間違いない」

クールギンの一喝で静粛を取り戻した軍団員達は、
揃って帝王の言葉を待つ。

ゴッドネロス「奴は必ずまた現れる…。
 シグフェルを探し出して捕獲し、余の前に引きずり出せ。
 謎の戦士の正体、余自らが暴いてつかわす」

ゴッドネロスはそれだけを命じて軍団員達を下がらせ、
クールギンだけがその場に残った。
しばらくの沈黙の後、ゴッドネロスがゆっくりと口を開く。

ゴッドネロス「クールギン、近う寄れ」
クールギン「ははっ」

クールギンを玉座のすぐ前まで招き寄せたゴッドネロスは、
耳打ちするように声を低めて言った。

ゴッドネロス「ザンギャックとGODの侵攻を防いだ
 シグフェルの力、やはり生半可なものではあるまい」
クールギン「ご心配召されますな、帝王。
 例えいかなる強敵であろうとも、
 このクールギンが必ずや討ち果たしてご覧に入れます」
ゴッドネロス「いやそうではない…。
 余は、奴の持つ巨大なパワーが欲しくなった。
 シグフェルのあの力をネロス帝国の戦力とできれば、
 メタルダーとてもはや敵ではない」
クールギン「……!」

一瞬にしてゴッドネロスの真意を悟ったクールギンは、
全身が粟立つのを感じた。

クールギン「帝王…、まさか、“あの計画”に
 シグフェルを組み込むというお考えで…?」
ゴッドネロス「驚く事もあるまい。
 余は、奴の持つ超パワーに惚れたのだ。
 あれこそ余が長年探し求めていた、
 メタルダーをも倒し得る無敵の力…!」

クールギンの言う“あの計画”とは、
ネロス帝国で以前から進められているあるプロジェクトの事で、
ゴッドネロスと腹心のクールギン以外、その存在を知る者はいない。

ゴッドネロス「かねて準備してあった秘密計画は、
 シグフェルという要素を加えていよいよ完成する。
 天から舞い降りた紅蓮の鳳凰か。
 奴の出現はまさしく天恵よ。フフフフ…ハハハハハ…!!」
クールギン「帝王…!」

狂気を帯びたゴッドネロスの高笑いに、
クールギンは沸き上がる戦慄を抑えながら深く跪いた。

ゴッドネロス「時は来たり…。
 “グライアー計画”を発動するため、
 必要な人材を直ちにゴーストバンクへ集めよ!」

遂に動き出したネロス帝国の秘密計画。
グライアー計画とは一体何か!?

1343

***成田空港***

ロボット工学の世界的権威である光明寺信彦博士がアメリカから帰国した。
シカゴで開かれた学会に出席した博士は、
今後のロボット開発と平和的運用について各国の学者と意見を交わし、
大いに収穫を得て日本へ戻って来たのであった。

光明寺「コスモアカデミアまで頼む」
運転手「分かりました」

空港を出た博士はタクシーに乗り、
学会での成果をまとめるためそのままコスモアカデミアへ行こうとしたのだが、
どうもタクシー運転手の様子がおかしい。

光明寺「…君、道が違うようだが?」
運転手「いいえ、これでいいんですよ。光明寺博士」
光明寺「……!?」

生気のない不気味な返事をした運転手は、
獣のような唸り声を上げると、狼のような恐ろしい怪物の姿に変貌した。

ブライディ「ガルゥゥ…!」
光明寺「な…何だ君は!?」
ブライディ「ネロス帝国・モンスター軍団豪将ブライディ!
 光明寺博士、お前の行き場所はコスモアカデミアではない。
 ゴーストバンクだ!」

ハンドルを強引に切って山道に入ったタクシーは、
人気のない原始林の中で止まった。

ブルチェック「光明寺博士、ようこそネロス帝国へ」
ムキムキマン「帝王ネロス様がお待ちだぜ!」
フーフーチュウ「光栄に思うんだな、ジジイ!」

ブライディが光明寺博士を車から引きずり下ろすと、
機甲軍団の烈闘士ブルチェック、ヨロイ軍団の中闘士ムキムキマン&フーフーチュウの三名が
博士を取り囲み、林の中に置かれたゴーストバンク直結のゲートを示して言った。

光明寺「君達、何の真似だ!?
 私を一体どうしようというんだ?」
ムキムキマン「さあ~? 詳しい事は、俺達も知らねえなあ」
フーフーチュウ「そいつは帝王にお会いしてから聞きやがれってんだ」

ムキムキマンとフーフーチュウが自慢の筋肉を見せつけ、
にやけた含み笑いをしながら言う。
ブルチェックは右腕の速射砲を博士に向け、
抵抗すれば射殺すると脅す仕草をした。

ブルチェック「帝王ゴッドネロスはお前と二人きりで話がしたいと仰せだ。
 我々はお前をゴーストバンクへ案内するためにこうして参上したのだ」
光明寺「ふざけるな!
 悪の帝王ゴッドネロスと、話し合う事など何もない!」
ブライディ「ガゥゥ~! 嫌とは言わせんぞ博士。
 帝王のお召しに対して拒否権などはないのだ。さあ来い!」
光明寺「うっ…! は、離せ…」

1344

ブライディが光明寺博士の首根っこを掴んで無理矢理歩かせ、
背中を押してゲートへ入らせようとしたその時…、
どこからか聞こえて来るトランペットの音色が林の中に響いた。

ブライディ「…!? 何だこの音は」
ムキムキマン「どこだどこだ?」
フーフーチュウ「どこにいるんだ?」
ブルチェック「あっ、あそこだ!」

ブルチェックが指差した木の上では、
青いヘルメットを被った赤いジャケット姿の青年が、
悠々とトランペットを吹き鳴らしていた。

ブライディ「何者だ!?」
イチロー「…悪のあるところ必ず現れる。
 悪の行なわれるところ必ず行く。
 正義の戦士・キカイダー01!!」
ブルチェック「何!? キカイダー01だと?」
イチロー「行くぞネロス帝国!
 チェンジキカイダー・ゼロワン!!」

青年――イチローはそう名乗ると、
赤と青の人造人間・キカイダー01に変身した!

ムキムキマン「か~っ! 出たな01!」
フーフーチュウ「噂には聞いてたが、
 本当にメタルダーそっくりじゃねえか!」
ブルチェック「これが光明寺博士の造った、
 人造人間キカイダー01か…!」

ブライディ、ブルチェック、ムキムキマン、フーフーチュウが
樹上から飛び降りたキカイダー01を取り囲む。

ブライディ「ガルァ! 行くぞ01!」
01「来い、ネロスのモンスター!」

ブライディが鋭い爪を光らせ、牙を剥いて襲いかかる。
モンスター軍団きっての猛者と評されるブライディだが、
01はそんなブライディとも互角以上の格闘能力を見せ、
俊敏なブライディの攻撃をかわしながらパンチとキックで応戦する。

キカイダー01「ゼロワンカット!」
ブライディ「ギャゥ~ッ!!」

100トンの威力がある01の水平チョップがブライディに炸裂。
ブライディは脳天を叩かれて苦しみながら倒れた。

ブルチェック「死ね01!」
キカイダー01「くっ…!」

ブルチェックが腕の速射砲と耳の機関砲を乱射し、
更に頭の大砲を撃ってブライディを援護射撃する。

キカイダー01「ゼロワンタイフーン!」

体を高速回転させ、ブルチェックの撃つ弾を跳ね返す01。

キカイダー01「サンライズ・ビーム!!」
ブルチェック「ぐわぁっ!?」

ソーラーエネルギーを光線状にして撃ち出す01の必殺技が、
ブルチェックの右肩を爆破し、速射砲の付いた右腕を叩き落とした。

ムキムキマン「うりゃあ~!」
フーフーチュウ「おりゃあ~!」
キカイダー01「…彼らは人間だ」

完全な良心回路を持つキカイダー01は、
例え悪人であっても人間に危害を加える事はできない。
攻めかかるムキムキマンとフーフーチュウに手出しができず、
じりじりと後退するキカイダー01。

ムキムキマン「オラオラどうしたぁ~!」
フーフーチュウ「かかって来いやぁ~!」

良心回路によるブレーキが仇となり、
あろう事か戦闘力では最弱クラスの二人に一方的に押しまくられてしまう01。
やがてムキムキマンとフーフーチュウは左右に分かれ、
01を挟み撃ちにして体当たりを仕掛けた。

キカイダー01「トォッ!」
ムキムキマン&フーフーチュウ「「ぶべらっ!?」」

左右から同時に突進したムキムキマンとフーフーチュウは、
キカイダー01のハイジャンプで見事にかわされ、味方同士で正面衝突。
組み合ったまま無様に倒れ込んだ。

フーフーチュウ「うが~! 大噴火!!」
ムキムキマン「がぁぁ~っ!!」
キカイダー01「博士、今のうちに逃げましょう」
光明寺「よし…!」

光明寺博士をサイドカー・ダブルマシンの助手席に乗せ、
01は全速力で戦場を離脱した。

ブライディ「おのれ逃がしたか!」
ブルチェック「あれがメタルダーの兄弟機とでも言うべき
 キカイダー01…。恐るべき相手だ」

1345

***ネロス帝国・ゴーストバンク***

ゴッドネロス「何…!? 取り逃がしただと…?」
ブライディ「申し訳ありません、帝王。
 もう一歩のところで、現れたキカイダー01めに邪魔されました」
ゴッドネロス「ううむ…!」

光明寺博士の拉致失敗の報を受けた帝王ゴッドネロスは、
悔しそうに拳を握り締めて唸った。

クールギン「光明寺博士を拉致すれば、
 奴が開発した人造人間が助けに来るのは最初から分かり切っていた事。
 だからこそ機甲軍団からも援護の人員を出させたというのに、
 手玉に取られて帰って来るとはどういうわけだ」
ブルチェック「面目ございません…!
 私の射撃能力の限りを尽くして撃ちまくりましたが、
 ほとんどダメージを与えるには至らず…」
ムキムキマン「ったく、頼りにならねえぜ」
フーフーチュウ「階級が一番下の俺達の方がよっぽど役に立ってたよな」
クールギン「黙れ! 博士を取り逃がした以上、お前達も同罪だ!
 偉そうに軽口を叩くな!」
ムキムキマン「ひっ!?」
フーフーチュウ「も、申し訳ありません軍団長」
ゴッドネロス「もうよい…! 四名とも下がれ」

怒ってブライディ達を下がらせたゴッドネロス。
玉座の前には再びクールギンだけが残った。

クールギン「光明寺博士の誘拐に失敗したのは、
 グライアー計画を進める上では小さからぬ痛手…。
 望月博士もヒドーマンの執拗な拷問にも関わらず、
 未だに首を縦には振りませぬ。
 今後いかが致しましょうや」
ゴッドネロス「構わぬクールギンよ…。
 例え光明寺や望月が使えなかったとしても、
 代わりとなる者はこの世界にいくらでもおる。
 例えばこの男…」

ゴッドネロスは指先から光を放って立体映像を作り出し、
一人の薄汚れた老人の姿を映して見せた。

クールギン「この男は…!」
ゴッドネロス「存じておろう?
 元ドグマのゾルベゲール博士だ」

ナチス・ドイツの狂気の天才科学者ゾルベゲール博士は、
死後、保存されていた脳から復活してドグマに雇われるようになった、
殺人兵器Rガスの開発者である。

ゴッドネロス「今は黄泉がえり、
 ドグマの追討を怖れて山奥に身を隠しておる。
 だがあのような優れた頭脳を、世界の片隅で腐らせておくのは惜しい」
クールギン「されどこのゾルベゲールという男、
 ドグマのテラーマクロに謀反を企てた前科があります。
 帝王に対しても、果たして忠誠を保つかどうか…」
ゴッドネロス「そんな事は承知の上よ。
 ゾルベゲールは邪念に満ちた男だがその腕前は確かなもの…。
 クールギン、そちに任せる。この男を余のために使いこなし、
 光明寺に代わってグライアー計画に参加させよ」
クールギン「はっ、帝王の仰せのままに…!」

1346 
○光明寺信彦→ネロス帝国に拉致されそうになるが、キカイダー01に助けられる。
○キカイダー01→ネロス帝国に拉致されそうになった光明寺博士を救出。
●ゴッドネロス→シグフェルの出現をネロス軍団員達に告げる。
          秘密計画「グライアー計画」の発動を宣言し、
          ゾルベゲール博士の招聘をクールギンに命じる。
●クールギン→シグフェルの出現をネロス軍団員達に告げる。
●ゲルドリング→シグフェル出現の報を聞いて驚く。
●ゴチャック→シグフェル出現の報を聞いて驚く。
●メガドロン→シグフェル出現の報を聞いて驚く。
●タグスキー→シグフェル出現の報を聞いて驚く。
●タグスロン→シグフェル出現の報を聞いて驚く。
●ブライディ→光明寺博士を拉致しようとするが、キカイダー01に妨害され失敗。
●ブルチェック→光明寺博士を拉致しようとするが、キカイダー01に妨害され失敗。
●ムキムキマン→光明寺博士を拉致しようとするが、キカイダー01に妨害され失敗。
●フーフーチュウ→光明寺博士を拉致しようとするが、キカイダー01に妨害され失敗。

【今回の新規登場】
○イチロー=キカイダー01(キカイダーシリーズ)
 光明寺信彦博士によって造られた人造人間。
 ジロー=キカイダーより先に誕生し、仁王像の中に封印されていたが、
 日本を取りまく悪のエネルギーが増大したのを感じて起動した。
 完全な良心回路を持っており、正義のために迷いなく戦うが、
 人間に対しては例え悪人であっても危害を加える事はできない。
 必殺技はブラストエンド。

○光明寺信彦(キカイダーシリーズ)
 ロボット工学の世界的権威。
 キカイダーとキカイダー01の生みの親で、二人に良心回路を搭載した。
 一時は記憶喪失となり各地を放浪していた他、
 脳をハカイダーに移植されてしまった事もあるが
 娘の光明寺ミツ子の手術によって脳と記憶を回復した。

●中闘士ムキムキマン(超人機メタルダー)
 ネロス帝国・ヨロイ軍団中闘士。
 フーフーチュウの相棒で、ヨロイ軍団には数少ない生身の戦士。
 プロレス技を得意とするが、実力は低い。

●中闘士フーフーチュウ(超人機メタルダー)
 ネロス帝国・ヨロイ軍団中闘士。
 ムキムキマンの相棒で、ヨロイ軍団には数少ない生身の戦士。
 怒ると頭部が大噴火し炎を放つ。
 小型の弓を武器とするが、実力は低い。


『始動!秘密計画』-2

作者・凱聖クールギン

1347

***ネロス帝国・ゴーストバンク***

ネロス帝国の牙城ゴーストバンクに、
見慣れぬ顔の老人と、それに付き添うムカデ型の怪人が入って来た。
二人は横柄な態度で、周りを見下すように睨みながら道を通る。

ムカデリヤ「どけどけい! ゾルベゲール博士のお通りだ!」
ゾルベゲール「ここがゴーストバンクか…。
 前にいたドグマの基地よりは居心地が良さそうだわい」

このゾルベゲール博士は元ナチス・ドイツの科学者で、
恐るべき殺人兵器Rガスを開発した男である。
しかし彼のおぞましい略歴はそれだけではない。
死後、脳だけが保存されていた博士はドグマに新たな肉体を与えられて復活したが、
やがてドグマの乗っ取りを画策し、テラーマクロを暗殺しようと企んだのだ。
そのいわく付きのゾルベゲールを、ゴッドネロスはゴーストバンクへ招聘した。

ムカデリヤ「どけい! 道を開けろ!」
ガマドーン「ああ!? 何だこの野郎」

ゾルベゲール博士の前を歩いてエスコートしていた怪人ムカデリヤは、
通路を歩いていたモンスター軍団のガマドーンとぶつかった。

ガマドーン「何だてめえ!?
 どこの馬の骨か知らねえが、偉そうにしやがって!」
ムカデリヤ「貴様こそ態度に気をつけろ。
 ゾルベゲール博士のお通りだぞ!
 敬礼くらいできんのか?」
ガマドーン「ゾルゲが何だって? よそ者の分際で、
 この雄闘ガマドーン様に向かって敬礼しろとはいい度胸だぜ」
ムカデリヤ「生意気な奴め、やるか!?」
ガマドーン「おう、望むところよ!」
クールギン「よせ、ガマドーン」

現れたクールギンが、喧嘩になりかけたところへ割って入った。

クールギン「こちらはこの度、
 ネロス帝国の科学研究員として招かれたゾルベゲール博士だ。
 …博士、無礼をお詫びする。ようこそゴーストバンクへ」
ゾルベゲール「フン、栄光あるネロス帝国のお歴々にも、
 なかなか下品な輩がいたものだわい」
ガマドーン「何だと、このジジイ!」
クールギン「控えろガマドーン!
 帝王がお直々に招聘された大切なゲストだ。
 お前達も態度に気をつけなくてはならん。
 …さあ博士、帝王がお待ちです。こちらへどうぞ」
ガマドーン「ケッ、面白くねえ」

クールギンに案内されて、
ゾルベゲール博士とムカデリヤは帝王ゴッドネロスの玉座の前へ通された。

クールギン「帝王ネロスに申し上げます。
 ゾルベゲール博士と怪人ムカデリヤ、
 ゴーストバンクへお連れいたしました」
ゴッドネロス「…ご苦労。
 ゾルベゲール博士、ようこそ我が城ゴーストバンクへ」
ゾルベゲール「帝王ゴッドネロスのご尊顔を拝し、光栄の極みに存じます」
ゴッドネロス「かねて進めておるグライアー計画に、
 元ナチスの天才科学者たるそなたの協力があれば実に心強い。
 悪いようにはせん。我がネロス帝国の客分研究員として大いに腕を振るうがいい」
ゾルベゲール「ははーっ!」
ゴッドネロス「クールギン、博士を実験室へ案内せよ」
クールギン「はっ。…では博士、こちらへ」

玉座の前を退出したクールギンは、
博士をゴーストバンク内の科学実験室へ案内した。

クールギン「ここが実験室だ。
 ここにある機材やサンプル、また研究員達は、
 全てご自由にお使い下さるようにと帝王の仰せだ」
ゾルベゲール「ふむ、悪くはない…。
 ではここで、じっくりと実験を進めさせてもらうとしよう」
クールギン「存分になされよ。
 何か足りないものがあれば、お申しつけ下されば可能な限り用意したい。
 それとムカデリヤ。お前も博士のボディガードとして、
 ゴーストバンクに専用の部屋を用意しよう。
 ネロス帝国の客将として、爆闘士の階級を与える」
ムカデリヤ「かたじけない、クールギン殿」
クールギン「この計画にはシグフェルの細胞採取が何としても必要だ。
 そのために、ネロス軍団員の一員としてお前にも働いてもらうぞ」
ムカデリヤ「心得ました」
クールギン「帝王は成果を期待しておられる。
 くれぐれも、それを裏切ることのないようにな」
ゾルベゲール「フン、言われるまでもないわい」

1348

バルスキー「クールギンよ、あの博士と怪人は何者なのだ?」
クールギン「ある目的のために帝王がお呼びしたゲストだ。
 これからしばらくの間、客分としてゴーストバンクに滞在する事になる」
ドランガー「その目的とは…?」
クールギン「それは極秘事項だ。今のお前達が知る必要はない」
バルスキー「ううむ…!」
クールギン「外部に対しても、あの二人の存在は口外無用だ。
 少々いわく付きの連中なのでな…。
 要らぬ軋轢を、他のGショッカー組織との間に起こしたくはない」
ゲルドリング「ケッ、何でも構わへんがのう、
 あいつら二人して態度が生意気で気に食わんわ。
 うちの軍団のガマドーンにも喧嘩売りよったそうやないかい」
クールギン「しばらくの辛抱だ。
 我らはつまらん感情に振り回されず、
 帝王のご命令に従ってさえいれば良い。
 ところで、勅命があったシグフェルの捜索はどうなっている?」
ドランガー「バーベリィとストローブを出動させ、
 上空から偵察させている最中だ。
 だが現在までのところ、特に手がかりらしきものはない」
ゲルドリング「当てずっぽうに駆けずり回って探すっちゅうのは
 骨が折れるで。ダムネンとザケムボーからも連絡なしや」
バルスキー「我が戦闘ロボット軍団からも人員を割いて探させているが…。
 …おっ、噂をすれば帰って来たようだ」

ゴーストバンクの外に繋がるゲートを潜り、
暴魂クロスランダー、軽闘士デデモスとゴブリットの三人が戻って来た。

クロスランダー「ただ今、帰還しました!」
バルスキー「ご苦労! して成果は?」
デデモス「伊豆半島まで足を伸ばして探ってみましたが、
 シグフェルの奴は現れず、手がかり一つありません」
ゴブリット「ただ、下田の地球連邦軍第13格納庫が何やら騒がしく…。
 どうやら地球連邦軍もシグフェル捜索に本腰を入れ、
 新たな部隊を国外から投入してきた模様にございます」
クールギン「そうか…。
 地球連邦軍が本格的に動き出したとあっては、
 我らもうかうかしてはいられんな。
 万が一にもシグフェル捕獲に先を越されれば、
 帝王もお怒りになろう」
クロスランダー「明日も休まず捜索を続けます。
 シグフェルは必ずこのクロスランダーの手で捕らえてみせます!」

部下二人を引き連れ、意気揚々と四凱聖の前を後にしたクロスランダーは、
誰もいない通路に来ると立ち止まり、
ゴブリットとデデモスの頭を急に小突いて怒り出した。

クロスランダー「ったく、お前らはたるんでいるのだ!
 はるばる伊豆まで出向いて手ぶらで帰るとは何たるザマだ。
 もっと気合いを入れてシグフェルを探さんか!」
ゴブリット「そ、そんな事を言われましても…」
デデモス「神出鬼没のシグフェルを、
 そう簡単に見つけられるわけないじゃありませんか~」
クロスランダー「うるさい! 
 つまらん言い訳をするな、この役立たずのポンコツどもが!」

二人の顔を乱暴に殴りつけ、
クロスランダーは肩を怒らせて立ち去って行った。

デデモス「ちぇっ、相変わらずのブラック上司だ」
ゴブリット「俺達だって一生懸命やってるだろうがよ…。
 何で毎回こうきつく当たられなきゃならねえんだ」
デデモス「昔は、こうじゃなかったんだがな…」
ゴブリット「ん…?」
デデモス「憶えてるか? 俺達がまだ造られたばかりの頃は、
 クロスランダー様は面倒見のいい頼れる上司だった」
ゴブリット「そういや、そんな時期もあったっけか…」
デデモス「なあ、こいつは風の噂で、
 帝王や軍団長に直接確かめたわけじゃねえんだが…。
 俺達は、あのトップガンダーと兄弟みたいなもんらしいぜ」
ゴブリット「兄弟…?」
デデモス「同じシリーズで製造されたロボットって事さ。
 クロスランダー様はきっと、それが気に喰わねえんだ…」
ゴブリット「………」

1349

クロスランダー「やれやれ、駄目な部下を持つと上官が苦労するものだ。
 奴らは口ばかり達者で、ちっとも役に立たん。
 ああいうのをでき損ないと言うのだろうな」
ザーゲン「………」

ゴーストバンク内の一室で、烈闘士ザーゲンと居合わせたクロスランダーは、
わざとらしく大声で愚痴をこぼした。

ザーゲン「帝王がお造りになり、ありがたくも帝王から賜った配下ではありませぬか。
 そのように悪しざまに罵るのはおやめなされ」
クロスランダー「フン、訳知り顔で言ってくれるな。
 お前のような一匹狼には、部下を率いる者の大変さなど分かるまい」
ザーゲン「私は地位も名誉も要りませぬゆえ…。
 この先、部下を持つような身に昇進する事もありますまい。
 私はただ死神のように、敵を抹殺し地獄へと送る喜びを欲するのみ」
クロスランダー「ケッ、地位も名誉もなければ、
 俺達はただゴミクズのように捨てられるだけだというのにか。
 シニカルな態度を気取ってるが、現実の厳しさを分かった上で言ってるか?」
ザーゲン「敵を倒す事さえできるなら、
 私は己の五体がバラバラに砕け散ろうとも、
 塵や芥の如く野に打ち捨てられようとも本望です」
クロスランダー「例え敵を殺しても、こっちも死んでしまえば意味はあるまい。
 どんな汚い手を使ってでも勝ち残り、生きて栄光を掴み取らなければ」
ザーゲン「栄光とは己の内にこそあるもの…。
 貴殿は、誰かに褒められたいゆえに戦っておられるのか?」
クロスランダー「何だと…!」

ザーゲンの言葉に激昂したクロスランダーは、
思わず銃を抜いてザーゲンの頭に突き付けた。

クロスランダー「俺が戦うのは俺自身の存在意義のためだ!
 俺は帝王ネロスに造られた暗殺ロボットのナンバー1なんだ。
 その誇りを守るために、俺はどんな卑怯な手を使ってでも勝つ!」
ザーゲン「………」

銃口を向けられたザーゲンは動ずる事もなく、
無言でクロスランダーをじっと見据えている。

バルスキー「やめないか、クロスランダー」
クロスランダー「軍団長殿…」

バルスキーが現れてクロスランダーの銃を掴み、
下ろさせて仲裁に入った。

バルスキー「また事件を起こせば、今度こそスクラップ工場行きだぞ。
 そうなれば地位も名誉もあったものではあるまい」
クロスランダー「………」
バルスキー「ザーゲンも口が過ぎたぞ。
 戦いの哲学というのは各々にあるものだ。
 二人とも、どちらが正しいかなどと無意味な言い争いをしてはならん」
ザーゲン「はっ、申し訳ございません」
クロスランダー「…冷静さを欠いておりました。反省いたします」
バルスキー「今大事なのは、
 シグフェル捕獲という帝王のご命令を一刻も早く達成する事だ。
 些細なポリシーの違いなどを云々せず、力を合わせるんだ」
クロスランダー「肝に銘じます。
 まことに申し訳ありませんでした、軍団長殿」

銃をホルスターに収め、深く一礼して立ち去って行くクロスランダー。
その背中をバルスキーはどこか心配げに見送った。

バルスキー「クロスランダー…。
 他の者達が何と言おうと、お前のつらさは俺がよく知っている。
 だから決して思い詰めるなよ…」

そう呟きながら、バルスキーはクロスランダーの鬱屈した過去に思いを馳せるのだった。

1350

十数年前――。

銃声が轟き、血飛沫が跳ねる。
放たれた弾丸は標的の頭を正確に撃ち抜き、その命を奪った。

クロスランダー「………」

爆闘士クロスランダー。
帝王ゴッドネロスが邪魔者を消し去るため、
そのロボット工学技術の粋を尽くして開発した鋼の暗殺者である。

クロスランダー「好奇心は猫をも殺すという…。
 この男も、帝王の秘められた過去など調べようとしなければ、
 こんな目には遭わずに済んだものをな」

ネロス四軍団随一のスナイパーにして暗殺要員。
ゴッドネロスはこのクロスランダーを用い、
己に敵対する人間や、己の過去を探ろうとする人物を次々と葬ってきた。

クロスランダー「俺は帝王のお気に召さぬもの全てをこの世から抹殺する。
 俺こそが最高の暗殺ロボット、ナンバー1のヒットマンだ!」

危険分子の暗殺という、ネロス帝国にとって最重要とも言える任務を一手に任され、
いつしかクロスランダーの胸には自分が特別だという高い誇りが芽生えていた。
それが単なる驕りでない事は、クロスランダーに対する
ゴッドネロスの並外れた寵愛ぶりが実証している。
階級こそまだ爆闘士だが、クロスランダーの存在はネロス帝国で無二のものなのだ。

デデモス「お見事!」
ゴブリット「さすがはクロスランダー様。
 この距離から一発で仕留めるとは…」

ミッション成功を見て物陰から飛び出してきた二体のロボットが、
口々にクロスランダーを讃える。
クロスランダーはまんざらでもなさそうに銃をクルクルと指で回し、
二人の配下を振り返った。

クロスランダー「フッ、お前達も獲物の尾行ご苦労だった。
 今回は俺達三人の手柄としようじゃないか。
 さあ、急ぎ戻って帝王に報告するぞ」
デデモス&ゴブリット「はっ!」

強闘士デデモス&ゴブリット。
クロスランダーより後に造られ、部下としてクロスランダーに与えられた
二体のガンマンロボットである。
各軍団長は別として、直属の部下を持てるネロス軍団員などそうはいない。
クロスランダーはこれを、自分がゴッドネロスに評価されている証と受け取り、
大いに喜んで二人を可愛がった。
この時、クロスランダーはまさに栄華の絶頂にいたのである。
しかし――。

1351

クロスランダー「なぜだ…。なぜ帝王は俺を呼ばれん」

異変はほどなくして起こった。
部下を与えられたのをちょうど境とするように、
クロスランダーに命じられる暗殺任務が激減したのである。
ゴッドネロスからの寵愛も冷め、クロスランダーは自分が
まるで飽きた玩具のような目で帝王に見られているのを感じるようになった。
待てど暮らせど任務は回って来ず、ゴーストバンクの射撃訓練場で
無為に銃を撃ち鳴らすだけの日々が続く。
暗殺のために造られ、その成功を誇りとしてきたクロスランダーにとって、
任務のない退屈な毎日は耐え難いほどつらく、また屈辱だった。

クロスランダー「なぜこの俺が…。暗殺の任務はまだ山ほどあるはず。
 それを果たすのに、俺以上の適任者などいるはずもないのに、
 帝王は一体いかがなされた…?」

だが、クロスランダーは間もなく耳にする。
新たに誕生した漆黒のガンマンロボットが、
自分に代わって暗殺の任務を次々と遂行し、成果を収めているという噂を。

ゾルグ「おいおい聞いたか?
 完成したばかりの新型暗殺ロボット、
 ちょっとやそっとの凄さじゃないらしいぜ?」
ロブル「一発必中、狙った獲物は絶対に逃さんとの事…。
 聞けば帝王も、奴はご自分の最高傑作だと自負されているとか」
グルーゾー「恐ろしい奴が生まれたものだ。
 これまで暗殺任務と言えばクロスランダーの専売特許だったが、
 どうやら時代は変わったな」

通りすがりに軍団員達の噂話を聞いたクロスランダーは、
思わず激昂してグルーゾーの胸倉を掴んだ。

クロスランダー「おい、お前ら何の話だ!
 時代がどう変わったって?」
グルーゾー「ク、クロスランダー…様」
クロスランダー「何の話だと訊いているんだ!」
ゾルグ「知らねえのかよ。
 新しいガンマンロボットが誕生したんだ。
 名前をトップガンダーとかいうそうだがな」
クロスランダー「トップガンダー…?」
ゾルグ「そいつが今、凄え勢いで戦果を挙げ続けてる。
 つい先日も、帝王に逆らったマフィアの親玉を始末したそうだ。
 帝王も今や暗殺の任務は全部トップガンダーにお任せだ。
 お前、もしかしたらもうお払い箱かも知れねえぜ?」
クロスランダー「何だと…!?」
ロブル「ゾルグ様、どうかお控えを。
 しかし、クロスランダー様にライバルとなる存在が生まれたのは事実。
 帝王のご寵愛も今はその新型ロボットの方へ向いております。
 万が一にもないとは存じますが、蹴落とされぬようご用心は必要かと」
クロスランダー「ふざけるな! 俺は暗殺ロボットのナンバー1だ!
 何がトップガンダーだ。笑わせるな!
 俺より優れた暗殺ロボットなどこの世に存在しないんだ。
 この俺様が蹴落とされるだと…? 冗談も大概にしろ!」

電子頭脳がオーバーヒートしそうなほど怒りを沸騰させたクロスランダーが
踵を返して立ち去ろうとした時、ゾルグが更に背中から声をかけた。

ゾルグ「ああ、ついでにもう一つ教えといてやるよ、クロスランダー」
クロスランダー「…何を」
ゾルグ「デデモスとゴブリットだったか?
 お前に最近下されたあの部下達だけどよ、
 そいつら…トップガンダーの試作品らしいぜ」
クロスランダー「………」

1352

やがてクロスランダーにも、トップガンダーと対面する日がやって来た。
任務のため、二人揃ってゴッドネロスの玉座の前に呼ばれたのである。

ゴッドネロス「新たな任務を命ずる。
 余の野望を阻まんとするこの男を抹殺せよ」
クロスランダー「ははっ、このクロスランダーめにお任せを!
 我が自慢の銃で必ずその命を奪ってみせます」

久々に任務を与えられたと見て張り切るクロスランダーだったが、
次にゴッドネロスは、彼にとっては信じられない命令を口にした。

ゴッドネロス「いや、この任務はトップガンダーに任せる。
 そちはトップガンダーのバックアップとして控え、
 配下の二人と共に、必要に応じてトップガンダーを援護せよ」
クロスランダー「なっ…!?」
トップガンダー「………」

思わず狼狽し、玉座のゴッドネロスと
自分の横に立つトップガンダーとを交互に見るクロスランダー。

クロスランダー「こ…この私が、トップガンダーのバックアップ…?」
ゴッドネロス「不服か、クロスランダー」
クロスランダー「い…いえ…! 滅相もございません」
トップガンダー「よろしく頼むぞ、クロスランダー」
クロスランダー「………」

この時、クロスランダーのプライドは音を立ててひび割れ、
そして彼の内奥深くで何かが弾けた。

 ◇  ◇  ◇

夜の街を、一台の大型車両が走り抜ける。
獲物を待ち構えていたロボット達は闇の中で動き出した。

トップガンダー「ターゲットはあの車両の中だ。
 俺がこのロングライフルで射殺する。
 確実に仕留めてみせるが…、
 万一、撃ち漏らした時には援護射撃を頼む」
クロスランダー「お、おう…」
トップガンダー「信頼しているぜ、相棒」
クロスランダー「相棒…だと…!」

トップガンダーはライフル銃を担いでシュートポイントへ走る。
後に残されわなわなと震えているクロスランダーに、部下達が心配して声をかけた。

デデモス「いかがなされました? クロスランダー様」
ゴブリット「そんなに深刻にならなくても…。
 あのスカしたニューフェイス野郎の腕前、
 まずはとっくり見せてもらおうじゃありませんか」
クロスランダー「うるさい!
 このでき損ないのガラクタどもがっ!」
デデモス「ガ、ガラクタ…?」
ゴブリット「ちょっ! お、おやめ下さいクロスランダー様!」
クロスランダー「いいか、お前らよく聞け…」

部下二人の首を乱暴に掴み、物陰に引きずり込んだクロスランダーは、
それまでにない恐ろしい声で何事かを二人に命じた。


トップガンダー「さあ、来い…!」

狙った獲物は外さない。
トップガンダーはやって来る大型車両の後部座席の窓に照準を絞り、
ライフルの弾丸を正確に叩き込んだ。
だが、窓は防弾ガラスでできており、弾を跳ね返してしまう。

トップガンダー「くっ…!」

ならばと弾をより強力なものに交換し、
トップガンダーは通り過ぎる車両を追って全速力で駆け出した。
走りながら狙いを定め、ライフルの引き金に再度指をかける。
だがその時、デデモスとゴブリットが不意に彼の前に立ち塞がった。

デデモス「へへっ…」
ゴブリット「待ちな、黒コッペ野郎」
トップガンダー「…お前達、何の真似だ。
 ――クロスランダー!?」

トップガンダーは事態が呑み込めずクロスランダーの方を振り返った。
背後からゆっくりと歩み寄って来るクロスランダーは
その黄色いマルチアイに刃のような鋭い眼光を湛え、
じっとトップガンダーを見据えている。

トップガンダー「クロスランダー…!?」
クロスランダー「暗殺しか能のない俺が…
 暗殺という仕事を無くしたら…他に何が残る!?」

割れんばかりの声で叫んだクロスランダーはトップガンダーに向けて発砲した。
銃声が響き、トップガンダーの左腕が根元からちぎれ飛ぶ。
胴を離れた自分の左腕がアスファルトに落下してひしゃげるのを、
トップガンダーはただ呆然と見詰めていた。

トップガンダー「何の…真似だ…」
クロスランダー「ナンバー1は、俺だ…!」

ネオンが煌めく夜の街。その光の届かない路地裏で、
二体のロボットはしばし時間が止まったように対峙し続けていた。

1353

●ゾルベゲール→ネロス帝国の研究員としてゴーストバンクに招聘される。
●ムカデリヤ→ゾルベゲールの用心棒としてゴーストバンクに招聘され、爆闘士の階級を与えられる。
●ゴッドネロス→招聘したゾルベゲールをゴーストバンクに迎える。
●クールギン→招聘したゾルベゲールをゴーストバンクに迎える。
●バルスキー→戦闘ロボット軍団を指揮してシグフェルを捜索。
          クロスランダーとザーゲンの口論を仲裁する。
●ゲルドリング→モンスター軍団を指揮してシグフェルを捜索。
●ドランガー→機甲軍団を指揮してシグフェルを捜索。
●ガマドーン→ムカデリヤと喧嘩になるが、クールギンに止められる。
●クロスランダー→シグフェル捜索作戦に参加する。ザーゲンと口論になり銃を向ける。
            過去、トップガンダーとの間でも銃撃事件を起こしていた。
●ゴブリット→シグフェル捜索作戦に参加する。
●デデモス→シグフェル捜索作戦に参加する。
●ザーゲン→クロスランダーと口論になり銃を向けられる。
●ゾルグ→新たに誕生したトップガンダーについて噂する(回想)。
●ロブル→新たに誕生したトップガンダーについて噂する(回想)。
●グルーゾー→新たに誕生したトップガンダーについて噂する(回想)。
○トップガンダー→かつてクロスランダーに撃たれ、左腕を破壊された(回想)。

【今回の新規登場】
●ゾルベゲール博士(仮面ライダースーパー1)
 元ナチス・ドイツの狂気の天才科学者。殺人兵器Rガスを開発した。
 死後、脳だけが保存されていたがドグマの技術により肉体を得て復活。
 ドグマに仕えるが、ムカデリヤを唆してテラーマクロに反乱を企てる。
 しかし露見し、メガール将軍に処刑されて失敗に終わった。

●ムカデリヤ(仮面ライダースーパー1)
 ドグマ怪人。腕のムカデロープで敵を絡め取り、
 全身の棘はムカデ毒針や棘爆弾として投げて戦う。
 ゾルベゲール博士に唆されてテラーマクロに謀叛を図ったが、
 事前に察知され失敗、スーパー1と戦って死亡した。

●烈闘士ザーゲン(超人機メタルダー)
 ネロス帝国・戦闘ロボット軍団烈闘士。
 骸骨を模した頭部に黒衣を纏い、死神ザーゲンの異名を取る。
 命令に忠実で死さえも厭わず、メタルダーとの戦いでは自爆戦法を実行。
 地位も名誉も望まず、ひたすら敵を抹殺する事のみを追い求めるため、
 高い実力にも関わらず出世する事なく烈闘士の階級に留まっている。
 武器は左腕の大鎌と、頭部から放つ電撃。

●元暴魂ゾルグ(超人機メタルダー)
 ネロス帝国・モンスター軍団元暴魂。
 昆虫型のモンスターで、二重スパイの罪によりタグ兄弟に抹殺された。


『強襲、テスラ・ライヒ研究所』

作者・ユガミ博士

1354

***テスラ・ライヒ研究所 ロビー***

研究所の外では教導隊が援軍で駆けつけた事により、戦闘獣やメタルビースト
メカザウルスを全て撃破したその一方。
研究所の内部では、オーズ達とブラックサタンによる戦闘が行われていた。

オーズ「てやぁ!」
百目タイタン「ふん!」
オーズ「うわぁ!」

オーズはトラクローを発動させ、百目タイタンと戦うがブラックサタンの
初代幹部というだけあって、その強さは伊達では無く、トラクローを軽く
躱して反撃し、オーズを後方へと吹き飛ばす。

百目タイタン「ふん、仮面ライダーの力はこんな物か・・・」
オーズ「何て、強さだ!」
アンク「映司、こいつを使え!」
オーズ「ありがとう、アンク!」

タカ・カマキリ・バッタ!!

アンクは吹き飛ばされたオーズにカマキリのメダルを投げつける。
受け取ったオーズはオーズドライバーからトラメダルを外して、代わりに
カマキリメダルをセットしてオースキャナーでスキャンを行うと、オーズ
タカキリバコンボとなる。オーズはカマキリの鎌を出現させ、バッタの脚力で
飛び跳ねながら百目タイタンに攻撃していく。

奇械人ガンガル「ヒュアーッ!貴様の相手は俺だ!」
アンク「チィ!貴様の相手なんぞしてられか!」

ガンガルはスプリングを利用したジャンプでアンクの下へ跳びついて
きたが、アンクは背中から翼を開き、後方へと下がると火球攻撃を行う。

フランク「おりゃぁぁぁ!!」
ブラックサタン戦闘員A「ミュー!」
ブラックサタン戦闘員B「ミュー!」

フランクはバットを振り回して、ブラックサタン戦闘員を撃退。さらに
持ち前のプロレス技も戦闘員相手に披露し、ジャイアントスィングで
倒れた戦闘員を大きく振り回して、次々と戦闘員を倒していく。

奇械人オオカミン「死ねぇー!」
フランク「―!?」
ビースト「させんぞ!」

オオカミンは腕のロケット砲で、戦闘員を撃破していくフランクに攻撃の
標準を定めて攻撃したが、それに気付いたビーストは近くにいた戦闘員を
持ち前の怪力で投げ飛ばし、オオカミンの攻撃を阻止した。

オオカミン「貴様ぁ~!」
ビースト「むっ!」

オオカミンはビーストに攻撃を阻止された事を怒り、能力で霧状となり
ビーストの背後にまわられてしまう。

オーズ「てやぁー!!」
百目タイタン「ふん、小賢しい!」

一方、オーズは壁や床を縦横無尽で跳びはねながら、カマキリの鎌で
百目タイタンを攻撃していくが一向に通じない。

フランク「おい、どうする!このままじゃあ、研究所がこいつらの手に
 落ちちまうぞ!」
アンク「くっ!」

黄泉還ってから、より強くなったブラックサタンに苦戦する一同。
このままではテスラ・ライヒ研究所が陥落されるかと思われたその時。

???「バードブラスター!」ビューンビューン
???「喰らえ!」ズドドドド

1355

そこへ研究所の入り口から、何者かが複数現れてブラックサタンを攻撃した。

百目タイタン「何者だ!?」

百目タイタンが入口の方を向くと、攻撃したのは赤い鷹を思わせる戦士
『鳥人戦隊ジェットマン』のリーダー、レッドホーク。アメリカ統合戦略軍
(U.S.STRATCOM)に所属するブルース・マッギャヴァンだった。
さらに・・・。

ガイル「ふん!」
オオカミン「―!ぐはぁ!」

何時の間にか研究所に潜入していたアメリカ空軍所属の軍人
ウィリアム・ガイル少佐がビーストを捕まえていたオオカミン相手に
強烈なパンチを喰らわせた。その拍子にオオカミンはビーストを
離してしまう。

ビースト「助かった。君達は・・・?」
レッドホーク「鳥人戦隊ジェットマンのレッドホークです。要請を受けて
 助けに参りました!」
ブルース「同じく要請により、助けに来たアメリカ統合軍のブルース・
 マッギャヴァンだ。よろしく!」
ガイル「アメリカ空軍のウィリアム・ガイル少佐だ。外の戦闘は
 特殊戦技教導隊が助けに向かった」

レッドホーク、ブルース、ガイルの3名は、戦技教導隊同様、彼らも
偶々近くの基地に来ていた時に要請を受けて、テスラ・ライヒ研究所へ
応援に駆け付けたのであった。

奇械人ガンガル「何人こようとも、我々が負ける筈が無い!」

アンクの相手をしていたガンガルはスプリングによるジャンプで
ガイルに向かって攻撃を仕掛けるが、ガイルは落ち着いた態度で
待ち構え、突如しゃがみこんだ。

ガイル「Let’sGo!」
ガンガル「ぐはぁ!」
ビースト「チャンスだ!」

ガイルは得意としているサマーソルトキックをガンガルに喰らわして
それがクリーンヒットする。そこをチャンスと捉えたビーストはさながら
ツープラトンとともいうべき行動で、ガンガルを掴み、地面に叩きつけた!

オオカミン「ガンガルが!?貴様らぁ!」
レッドホーク「させん、バードブラスター!」

オオカミンはガンガルを地面に叩きつけたビーストやガイルに攻撃しようと
再び霧状になろうとするが、レッドホークはバードブラスターから冷凍光線を
発射してオオカミンを氷漬けにして霧状になるのを防いだ。

オオカミン「う、動けん!」
アンク「ふん。誰だか知らんが、よくやった!後は任せろ!」

氷漬けとなり、動きを封じられたオオカミンにアンクは怪人の手から
大きな火球を作り出し、それをオオカミンにぶつけた。

オオカミン「ぐわぁぁぁ!」
アンク「ふっ!」
フランク「こいつは、とんだスクープだぜ!!」

火球によってオオカミンは爆発によって倒される。レッドホーク達が
救援に駆け付けて2体の怪人が倒された事に、フランクはカメラを
手に取り、写真に収める。

百目タイタン「・・・」
アンク「映司、後は奴だけだ!決めろ!」
オーズ「分かった、アンク!」

スキャニングチャージ!!

残った百目タイタンにオーズはカマキリメダルからトラメダルに戻すと
オースキャナーで再スキャニングして必殺技の態勢に入る。
バッタレッグの力で高く跳び、赤・黄色・緑の3つのオーリングを潜り
抜けて両足蹴りを叩き込む「タトバキック」を百目タイタンに向けて
繰り出した。これで決まった・・・誰もが思ったがしかし!

ガンガル「百目タイタン・・・様!」
オーズ「何!?」 

だが、ガンガルが百目タイタンの前に立った事によりタトバキックは
ガンガルが受けて百目タイタンは無傷のままだった。タトバキックを
受けたガンガルはその場で倒れ爆発する。

百目タイタン「・・・どうやら、この作戦もここまでのようだ。ブラックサタンは
 これより撤退する!」
ブルース「待て、ここから行かせるかよ!」
百目タイタン「邪魔だっ!」
ブルース「ぐわぁ!」

これ以上の作戦は続行不可能と考えた百目タイタンは残りの戦闘員を
引き連れて、撤退しようとする。ブルースはそれをさせまいとマシンガンを
構えるが百目タイタンに吹き飛ばされてしまう。

オーズ「ま、待て!自分の部下が身代わりになったんだぞ。何か言う事は
 無いのか!」
百目タイタン「奴はブラックサタンの怪人として、当然の事をしたまでだ。
 感謝や礼を言うつもりは無い。では、さらばだ!」
オーズ「待て!」
ビースト「待つんだ、オーズ!君も戦闘で大分ダメージを受けている。
 今回はここまでだ」
オーズ「・・・はい」

命を大事にしているオーズにとって、部下の死に平然としている
百目タイタンの態度に怒りを覚えるオーズだが、ビーストに止められ
仕方なくビーストの言葉に従う。百目タイタンに手も足も出来なかった
一同だが、ブラックサタンが撤退した事により、一応テスラ・ライヒ研究所は
守られ、戦闘を終えるのであった。

 

 1356

○火野映司=仮面ライダーオーズ→百目タイタンと戦闘するが、逃げられてしまう。
○アンク→奇械人ガンガルを相手にしていたが、レッドホークの協力で
  奇械人オオカミンに火球をぶつけて倒す。
○ヘンリー・ハンク・マッコイ=ビースト→奇械人オオカミンを相手に
  していたがガイルの協力で奇械人ガンガルを地面に叩きつける。
○フランク・ウェスト→ブラックサタン戦闘員を相手に戦闘し、今回の戦闘の
  写真をカメラで撮る。
○天堂竜=レッドホーク→要請を受けて、ブルース、ガイルと共に
  テスラ・ライヒ研究所へ応援に駆け付ける。奇械人オオカミンを
  バードブラスターで凍りつかせる。
○ブルース・マッギャヴァン→要請を受けて、レッドホーク、ガイルと
  共にテスラ・ライヒ研究所へ応援に駆けつける。百目タイタンを相手に
  負傷する。
○ウィリアム・ガイル少佐→要請を受けてレッドホーク、ブルースと共に
  テスラ・ライヒ研究所へ応援に駆けつける。奇械人ガンガルにサマー
  ソルトキックを繰り出す。
●百目タイタン→オーズと戦闘するが、作戦の続行が不可能と考え撤退する。
●奇械人ガンガル→アンクと戦っていたが、ガイルのサマーソルトキックを
  受けて、ビーストに地面に叩きつけられる。そしてオーズのタトバキックを
  百目タイタンの代わりに受けて、倒される。
●奇械人オオカミン→レッドホークに凍りつかされ、アンクの火球を受けて倒される。

【今回の新登場】
○ブルース・マッギャヴァン(ガンサバイバー4)
 アメリカ統合戦略軍(U.S.STRATCOM)所属。対アンブレラ
 追撃調査チーム工作員。正義感が強く、自らの命をも犠牲にする無鉄砲な
 所もあるが人一倍ガッツで行動する。何かと暴走しがちだが、仕事ぶりは
 超一流のプロ。

○ウィリアム・ガイル少佐(ストリートファイターシリーズ)
 アメリカ空軍に所属してF―16のパイロット。シャドルー総帥である
 ベガに殺された親友ナッシュの仇をとるために家族を捨て1人で復讐の
 為に闘った。


『聖天子暗殺!?宇都宮釣天井』-1

作者・ティアラロイド

1357

***東京・大川端***

隅田川の下流右岸に停泊している屋形船がある…。
中で極秘の密談を交わしているのは、内閣総理大臣・剣桃太郎。
そしてもう一人である白髪に髭の老人は、天童菊之丞。
東京エリアの政治経済を裏から牛耳る天童家の当主であり、
聖天子を側近くから支える補佐官として、聖居の一切を取り仕切る重鎮である。

菊之丞「剣総理、わざわざこのようなところまで
 お越し願いましてかたじけない」
桃太郎「菊之丞殿、何事ですかな?」
菊之丞「実は総理に折り入ってご相談致したき事がある。
 事は極秘、火急を要する仕儀でしてな」
桃太郎「火急を要する仕儀とは?」
菊之丞「来たる二十日の聖天子様北関東ご行幸に関わる事で、
 実はその道筋で、さる者が謀叛を企んでおるとの噂が…」
桃太郎「謀叛…? いったい誰が…」
菊之丞「総理は、この男についてご存知かな?」

菊之丞は一枚の写真を取り出す。
それには自衛隊の制服を着た一人の青年将校の姿が映っていた。

桃太郎「なんと、この男は…石津麟一郎!」
菊之丞「いかにも…」

石津麟一郎とは、かつての防衛省のエリート将校であり、
自衛隊内部に急進的な秘密結社「G機関」を秘密裏に結成。
元防衛省副長官・竜崎と結託して国家転覆を企てた怪人物である。

菊之丞「昨年の暮れ、念のため密偵をかの地に潜入させたのだが、
 もはや半年にもなるのに、今もって消息不明。しかるに
 聖天子様ご行幸のみぎりは、宇都宮にご一泊なされるのが定め。
 もしその情報が事実だとしたら、聖天子様の御身に容易ならぬ事が…」
桃太郎「うむ…」
菊之丞「その日取りが間近に迫った今、もうどうにも方策が…」
桃太郎「わかりました。こちらでも探索してみましょう」
菊之丞「そう願えれば、何よりのこと。言うまでもないとは存ずるが、
 事が事だけに、くれぐれもこの件は極秘に…」

そう言うと菊之丞は、石津の顔が写った写真を
火鉢に入れ燃やしてしまった。

桃太郎「………(女か?)」
船頭「………」

屋形船を出る際、桃太郎は傍らに控える船頭が、
ほっかむりを深くかぶり顔こそよく見えないが、
実は女性、しかもその身のこなしから
只者ではないと見抜いた。

天童菊之丞は水面下で隠密の類を好んで使うという噂は、
桃太郎の耳にも入っていた。おそらくこの女もそうなのだろうと、
それ以上は深く詮索せずに、待機していた公用車へと乗り移り、
すぐに官邸へと戻って行った。

菊之丞「聞いていたな?」
船頭「はい」

船頭に扮したこの女、名を千坂朱音という。
元民警のプロモーター崩れのくノ一である。

菊之丞「万一の異変に乗じて、あのブレイバーズが
 事を起こす事態も考えられる。直ちにその方も
 かの地に赴き情勢を見張れ」
朱音「ハハッ」

1358

***東京・国会議事堂・地下***

国会議事堂の地下に住む夢見の姫・丁(ひのと)は、
最高の力を持つ『夢見』の少女で、これまで政治家たちのために
日本の未来を予見していた。

緋炎「どうぞ」
聖天子「お点前(てまえ)頂戴いたします」

聖天子は丁姫から、ささやかな茶席に招かれていた。
丁姫は体が不自由であるため、側近くに仕える女官である
緋炎が代わって茶を立てる。

軽く茶わんを上げ神仏に感謝を示し、
茶わんを左手にのせて軽く右手を添えながら
聖天子は出された茶を味わう。

聖天子「結構なお手前でした」

茶わんを前に置く聖天子。
しかしどこか晴れない表情をしている。

聖天子「………」
丁「聖天子様にはさぞかしお疲れのご様子。
 先日のGショッカーによる東京エリアへの奇襲に際し、
 懸命に都内の避難所を回られ、被災者を慰問なされたゆえ、
 それも無理からぬこと…」
聖天子「前線で戦っている自衛隊の兵士や、
 戦禍に見舞われた国民の苦労に比べれば、
 この程度のことがなんでありましょう」
丁「政府と何かございましたか…?」
聖天子「来たる二十日の北関東行幸のことです。
 菊之丞さん、剣総理、江田島のじいまで
 私の行幸に反対しているのです…」
丁「天童補佐官も剣総理も江田島殿も、聖天子様の御身を
 心配されてのことなのでしょう」
聖天子「丁姫の夢には、なんと出ましたか?」
丁「さあ、それは…」

丁姫は一瞬、言葉に詰まる。
どうやら彼女も不吉な予感を意味する夢を見たようだ。

聖天子「ガストレアに占領された地域を奪還し、
 人間の居住地域を広げていくことは、
 先々代の聖天子の頃よりの悲願…。
 ですから私自らが、かの地の戦線に
 赴かないわけにはいかないのです」

1359

***T県と栃木県の県境付近***

ここは北関東エリアにおけるT県と栃木県の間の
県境付近である。険しい山々と深い山林に囲まれ、
言うまでもないことながら周囲に人家などは全くない。
プロの登山家ですら滅多に立ち入らないこの地域を
ひたすら突き進む二人の青年の姿があった。

五郎「お~い弦の字、ちょっと待ってくれよ~!
 いい加減そろそろ休もうぜ!」
弦太郎「大の男が女みたいな情けない声出すんじゃねえやい!」
五郎「だってよぉ! もう三日も山ん中を
 飲まず食わずで歩きづめなんだぜ」

国家警備機構の密使、静弦太郎と霧島五郎。
南会津から出発し、関門海峡のビルドベースを目指しながら
只今隠密の旅の真っ最中であり、ちょうど北関東エリアの奥地に
入った頃合いであった。

弦太郎「てめえ元々登山家だったんだろ。
 こんな程度でへたばるとは情けねえやつだな」
五郎「登山の専門家だから言ってるの!
 だいたいここをどこだと思ってるわけ!
 T県だよT県! 昔住んでた人間は完全に駆逐されて、
 今や幻獣やガストレアが我が物顔で跳梁跋扈する巣窟じゃねえか!
 ここを通る途中でどんだけ気持ちの悪い化け物の群れに
 追いかけまわされたと――」
弦太郎「うるせえ! こっちの方が近道なんだよ!
 ぐだぐだ文句を言ってると置いてくぞ!」

公共の交通機関を利用せず、徒歩で移動していた弦太郎と五郎は、
実はガストレアや幻獣の完全な占領下にある"T県"の山中に
足を踏み入れていたのだった。

弦太郎「そういえばあれから不知火の連中も
 すっかり鳴りを潜めちまったみたいだが…」
五郎「何事もないに越したことなし。平和が一番よ」
弦太郎「それならとっとと次の目的地に到達しないとな」

その時、弦太郎と五郎の二人は、
いつの間にか容易ならぬ殺気を放つ集団に
囲まれていることに気付いた。

五郎「…おや、お客さんですかい?」
弦太郎「どうやらそうみたいだな。ちょうどいい。
 相手をしてやらあっ!」

腰のアイアンベルトに手をかける弦太郎。
大きな猛獣らしき影が数体、一斉に暗闇の中から
弦太郎と五郎めがけて襲いかかる!?

1360

○剣桃太郎→天童菊之丞と会談。石津麟一郎が動き出した事を知る。
○丁→聖天子を茶会に招く。
○緋炎→茶会の席で、聖天子にお茶を出す。
○聖天子→北関東への行幸の決意を固める。
○静弦太郎→栃木県境を移動中。
○霧島五郎→栃木県境を移動中。
△天童菊之丞→剣桃太郎と会談。石津麟一郎が動き出した事を伝える。

△千坂朱音→天童菊之丞の命令で宇都宮へ飛ぶ。

【今回の新規登場】
△天童菊之丞(ブラック・ブレット)
 聖天子付き補佐官。天童木更の祖父で、政治家として最高権力者の座に
 あると同時に、東京エリアの政治経済を裏から牛耳る天童家の当主。
 年齢に似合わず偉丈夫で、仏師として高い評価を得、人間国宝に指定
 されている。聖天子を名君として深く敬愛し支える一方、ガストレアに
 対する深い憎しみから、呪われし子供たちへの暗い感情も抱えている。

△千坂朱音(闘争の系統オリジナル)
 ブレイバーズを危険視する天童菊之丞が、密かにヒーローたちを
 監視するために送り込んだ密偵。ある時はブレイバーズの味方、
 またある時は敵となる、神出鬼没のくノ一である。


『聖天子暗殺!?宇都宮釣天井』-2

作者・ティアラロイド

1361

***T県と栃木県の県境付近 第105山岳師団野営地***

弦太郎「………」
五郎「………」

静弦太郎と霧島五郎はロープで縛られて地面に座らされていた。
それを取り囲んでいるのは、どこぞの高校の制服に身を包んだ少年少女たちだが、
全員、銃や大剣で武装している。

グリンガム「ガルルルッッ!!」
ジジ「グゥゥゥッ!!」

その他にも虎ともライオンともつかぬ猛獣が数匹、
囚われの弦太郎と五郎をじっと睨みつけている。

五郎「や、やめてよ! 俺…美味しくないぜ…。
 (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
弦太郎「コイツらは雷電だな…」
五郎「…らいでん?? なんだいそりゃ?」
弦太郎「俺も現物を見るのは初めてだが、
 対幻獣戦用に遺伝子操作で生み出された
 生物兵器の動物兵だと聞いたことがある…」

武装した少年少女の一団の中から、
黒髪を後ろで三つ編に束ねたキツい目つきの少女が
弦太郎と五郎に尋問する。

美姫「あなたたちはいったい何者なの?」
弦太郎「だからさっきから言ってるじゃねえか。
 俺たちは国家警備機構の隊員だ」
紫苑「それなら身分証は?」
弦太郎「あいにくとそんな堅苦しいもんは
 普段から持ち歩いちゃいねえなあ…。なあ相棒!」
五郎「そうそう!」
美姫「怪しい…」
弦太郎「そういうお前らこそいったい何者だ?
 そんな物騒な得物をぶら下げてるんだ。
 まさかただの高校生ってわけじゃねえだろ」
紫苑「僕らは第105山岳師団・第7芝村中隊の者だ。
 自分は隊長代理の竜造寺紫苑」
美姫「アタシは金城美姫」
火焔「結城火焔だ」
源「……源健司」

これまで広島を主な任地としていた第7芝村中隊だが、
北関東戦線への増援としてこの地まで赴任してきていたのだった。

弦太郎「お前ら学徒兵か?」
源「…だったらどうした?」
弦太郎「まだお母ちゃまから乳離れもしていない
 お子ちゃまだってことだよ!」
源「…んだとゴラッ!?」
五郎「おい弦太郎! あんまりこの坊主…じゃなくて
 この方たちを怒らせるな! 今の俺たちの置かれてる
 状況わかってるの!?」
美姫「源も簡単に挑発にならない!」
源「うるせえっ! 面白れえっ。
 相手になってやろうじゃねえか!」

源健司は静弦太郎の縄をほどき、周囲が見守る中
互いに素手で取っ組み合いを始めた。激しい殴り合いの末に
ぶっ倒れる双方…。

弦太郎「ガキのくせになかなかいいパンチだ…。
 へへっ…気に入ったぜ…」
源「おめえもな…オッサン…」
弦太郎「オッサンだぁ…? バカヤロウ…。
 俺はまだ23だ……」

拳と拳で培われた漢の友情に、
事態を見守っていた周囲はすっかり呆れている。

美姫「男ってどうしてみんなああなのかしらね…」
五郎「同感…」

1362

典子「尾上一佐、どうもお手数をおかけします」
せいあ「無事に見つかってよかったわ」

連絡を受けた陸上自衛隊の尾上せいあ一佐に案内されてやって来たのは、
弦太郎や五郎と同じ国家警備機構の隊員である藤森典子だった。

典子「不審者を発見・拘束したと聞いて来てみれば案の定だわ!
 静君、霧島君、やっぱりまだこんなところで油を売ってたのね!」
弦太郎「テンコ!? お前いったいなんでこんなところに!?」
五郎「これぞ地獄に仏だ! 観音様だ! 典子様だ!
 おいっ、早くこのロープを解いてくれよ~!」

突然の典子の出現に驚いた弦太郎と五郎だったが、
とりあえず五郎を縛っていた縄を解いてもらう。

五郎「ふぅ~助かった! やっぱし手足の自由はいいもんだねえ♪」
弦太郎「ところでテンコ、なんだってお前こんなところにいるんだ?」
典子「なんだってとはご挨拶ね! 静弦太郎隊員、並びに霧島五郎隊員に
 辞令と新たな命令を交付しに来ました」
弦太郎「辞令だと?」
典子「静、霧島両隊員は、本日現時刻を持って、
 独立合同部隊ブレイバーズに編入されます」

これまで数々の悪の魔手から地球の平和を待って来た
歴戦のヒーローたちの統合組織であるブレイバーズの噂は
弦太郎と五郎の耳にも当然届いていた。

弦太郎「噂のヒーロー共同部隊か…」
五郎「でもまあ、やることは今までと特に変わりはないんだろ」
弦太郎「気に入らねえな。あいにくと俺は仲良し集団と
 つるむ趣味はないぜ」
典子「静君、これは命令よ! それに二人には
 総理直々に他にも大事な任務があるのよ」
五郎「へぇ~総理大臣から直々に? それは恐れ多いこって」
典子「この男の写真を見て」

典子は弦太郎と五郎に一枚の写真を渡す。

五郎「誰だいコイツは?」
弦太郎「…待てよ。どっかで見たツラだな」
典子「名前は石津麟一郎。数年前に政府転覆を企てた
 危険人物よ」
弦太郎「思い出した! 確か防衛省のメインコンピューターを乗っ取って
 クーデター騒ぎを起こした野郎だ! でもこの男は死んだって聞いたぜ?」
典子「黄泉がえっていたのよ。そしてこの石津が、
 近々宇都宮までご行幸される聖天子様の暗殺を
 企てているらしいの」
弦太郎「要は俺たちにそのお姫様のお守をしろってことか。
 冗談じゃねえ、そんな仕事ならやってられるか!」
典子「静君、言ったでしょ!
 これは剣総理から直々の命令なのよ!」
弦太郎「そりゃあ今の剣桃太郎ってお人は、
 今までのバカ総理に比べれば幾分かはマシな人
 らしいけどな。悪いが誰か他の適任者を当たってくれ」
典子「静君!!」

1363

***宇都宮駅前***

山田そら「皆さん、たった今、聖天子様が宇都宮に到着されました!」

リボーターの山田そらが実況を続ける中、
日の丸を片手に振りながらその様子を見守る群衆の中には、
静弦太郎と霧島五郎の姿もあった。

五郎「なんでぇ。"お姫様のお守なんかご免だ"とか
 言ってたくせに、結局お前も興味があるんじゃないか」
弦太郎「うるせぇ!」

東京駅からお召し列車に乗って宇都宮駅に到着した聖天子は、
厳重な警備に囲まれる中、侍従や護衛隊を伴いつつ、
駅の玄関から待機している公用車に向かって威風堂々と歩いていく。

弦太郎「だいたいお姫様の思いつきのパフォーマンスで、
 いったいどれだけの警備費用が国民の血税から
 費やされるのかねえ!!」

弦太郎はわざと聞こえるように声を張り上げる。

五郎「バカッ、声が大きいよ。
 聖天子様に聞こえたらどうすんだ!」
弦太郎「構うもんかい!!」

その時、一瞬だけ聖天子の視線がこちらを向いたような気がした。

五郎「…ああ、ヤバイぜおい! きっと聞こえたんだよ。
 だから言わんこっちゃない。きっと総理大臣にアイツをクビにしろ
 とか言いつけられるぜ。おりゃ知らねえよ…」
弦太郎「上等だ!」

防弾ガラスが張られた公用車の後部座席へと乗り込んだ聖天子は、
同行している侍従に下問する。

聖天子「あの男は何者です?」
侍従「ハッ、国家警備機構の隊員の、
 静弦太郎と霧島五郎の両名にございます」
聖天子「………」
侍従「国家警備機構にはその任務柄、何かと荒くれ者の隊員が
 多いと聞き及んでおります。何卒あのような者の言動を
 お気にはなさいませぬよう」

1364

***宇都宮城址公園***

宇都宮城は、平安時代に藤原宗円が二荒山の南に居館を構えたのが初めである。
江戸時代に改修された時は、輪郭と梯郭形式を合わせた土塁造りの平城であった。

宇都宮城といえば、「宇都宮釣天井事件」で有名である。
当時の城主であった徳川譜代の大名・本多正純は、精力的に城下町を拡張・整備し
近世以降の宇都宮の基礎を築いた名君であったが、
元和8年(西暦1621年)、突然幕府により改易されてしまう。
家康の七回忌のために日光東照宮に参詣した二代将軍秀忠と世継ぎ・家光父子が宇都宮城に泊まる際、
城内の将軍の寝所に釣天井をしかけて将軍父子を圧殺し、日頃より乱行を起こし問題のあった
越前宰相・松平忠直卿を代わって傀儡将軍に擁立する陰謀があった。あるいは政敵であった
土井利勝の画策で権力の座から
排除されたとされる説もあるが、今の世となっては真相は不明だ。

五郎「なんだよ弦の字、今度は宇都宮市内を観光でもしようってのか」
弦太郎「そうじゃねえ。あれを見ろ」

城址公園の一角で、何やら急ピッチで工事を進めている区画があった。
青シートで覆われているため、中の様子を窺い知る事は出来ない。

五郎「なんだありゃ。石垣の修理か何かかな?」
弦太郎「バカ! よく見ろ。あんなところに石垣なんかあるか!
 どうも臭いな…」

弦太郎と五郎が工事現場の方向をじっと見ていると、
そこに胡散くさい感じの中年男が近寄り、二人に声をかけて来た。

中年男「よっ、お二人さん、旅のお方だね?」
弦太郎「なんだいアンタは?」
中年男「日当3万円っていう美味しい仕事があるんだが、
 一口乗らねえかい?」
五郎「するってぇと、お前さん、職業紹介の業者か何か?」
中年男「まあそんなところよ」
弦太郎「いったいどんな仕事をするんだ?」
中年男「お城で働くんだよ。近々聖天子様がお城にもお見えになるんでな。
 その際にお成りになる御休息所を仕上げる仕事よ」
弦太郎「へぇ~なるほど、聖天子様のための御休息所をねえ…。
 そいつは豪気なこった。面白い! その話乗ったぜ♪」


***独立幻野党・秘密基地***

ここは、現代まで続く大和王朝の転覆を志す暴力革命集団、
独立幻野党――またの名を幻兵団のアジトである。

アラビア風の衣装に身を包み武装した構成員たちが居並ぶ中、
一人だけスーツにサングラス姿の男・石津が、
テーブルの上に大きな図面を広げ、
向かい合うように独立幻野党の首領・幻の月光と
謀議を重ねている。

石津「これが現在建設中の宇都宮城御休息所の見取り図だ」
月光「前線部隊を督戦した聖天子は、帰り際に御休息所に立ち寄る。
 その際に仕掛けられた釣天井で確実に仕留める」
石津「聖天子さえ亡き者にすれば、残る難敵は剣桃太郎と江田島平八だが
 その混乱に乗じて我々の別働隊が東京主要各所を制圧する」
月光「そのついでに剣桃太郎らの命も頂くわけか。
 クーデター成功が確認された後、大阪エリアの指導者である
 斉武宗玄が臨時新政府の樹立を宣言する。まさに完璧な計画だ。
 かつて徳川幕府転覆の野望を果たせなかった本多正純の無念は、
 現代の世に移り、我々が代わって晴らしてやるわ!」

月光は懐から自慢げに一枚の封書を取り出す。
その中には、計画成功後の段取りについて定められた、
斉武宗玄サイドとの取り決めが書かれてある。
云わば、一蓮托生の約定書というやつである。

石津「だが油断するな。斉武は所詮は狸だ。
 いざとなれば我々を切り捨てる腹に違いない。
 そんな約定書など紙切れにすぎんからな」
月光「もし斉武が我々を裏切れば、
 その時は我らの鋼鉄の同志が大阪エリアを
 蹂躙するだけの事だ!」

月光は構成員たちの前に立ち、高らかに宣言する。

月光「同志諸君、革命だ! 今こそ大和政府を打倒し、
 俺たちの時代を作るべき革命の時が今来たのだ!」
党員たち「「「ウオオオッッ!!!!!」」」

石津「………」

独立幻野党のメンバーたちの叫びがアジト内に木霊する中、
一人、石津麟一郎だけが、その様子を冷めた目つきで
見つめているのだった…。

1365

○静弦太郎→宇都宮に到着。ブレイバーズ編入の辞令と、聖天子暗殺計画阻止の命令を受ける。
○霧島五郎→宇都宮に到着。ブレイバーズ編入の辞令と、聖天子暗殺計画阻止の命令を受ける。
○藤森典子→静弦太郎と霧島五郎に合流。ブレイバーズ編入の辞令と、聖天子暗殺計画阻止の命令を伝える。
○尾上せいあ→藤森典子を、静弦太郎と霧島五郎のいる場所まで案内する。
○源健司→静弦太郎と霧島五郎に出会う。
○竜造寺紫苑→静弦太郎と霧島五郎に出会う。
○金城美姫→静弦太郎と霧島五郎に出会う。
○結城火焔→静弦太郎と霧島五郎に出会う。
○グリンガム→静弦太郎と霧島五郎に出会う。
○ジジ→静弦太郎と霧島五郎に出会う。
○山田そら→聖天子の宇都宮到着の様子を実況生中継する。
○聖天子→宇都宮に到着する。静弦太郎に興味を覚える。
●石津麟一郎→独立幻野党と手を組み、聖天子暗殺の陰謀を進める。
●幻の月光→石津麟一郎と手を組み、聖天子暗殺の陰謀を進める。

【今回の新規登場】
○尾上せいあ一佐(勇者警察ジェイデッカー)
 陸上防衛軍東北方面大隊第9師団を率いる一等陸佐。女性ながらも軍人としての行動力と判断力に優れている。
 マクレーンとは気質が似通っている所があり、互いに気兼ねなく語り合えるかけがえのない存在として彼に惹かれる。部下の一人に実弟の真琴がいる。

○源健司(ガンパレード・オーケストラ 緑の章)
 第105山岳師団所属。日常に本能的な反抗心を持つ17歳の少年。
 好戦的かつ粗暴な不良で、正義という理念を馬鹿にしているが、彼自身本質的に正義感が強い。
 パートナーの雷電はグリンガム。

○竜造寺紫苑(ガンパレード・オーケストラ 緑の章)
 第105山岳師団所属。政府高官の息子でエリート。
 優等生で少々潔癖症な所のある性格だが、正反対のタイプの源健司とは何故か仲が良い。
 パートナーの雷電はジジ。

○金城美姫(ガンパレード・オーケストラ 緑の章)
 第105山岳師団所属。16歳。 美人な外見とは裏腹に、キツめな性格でかなりの女傑。
 頭の切れる家事技能保有者であり、兵站部門を統括する。
 雷電のクィーンがパートナーとなっている。

○結城火焔(ガンパレード・オーケストラ 緑の章)
 第105山岳師団所属。15歳。容姿は良いものを持っているが、男勝りな性格。
 その上、無謀かつ壮絶な馬鹿で、命令違反も頻繁に行っている。
 性格とは裏腹に美術品愛好家で、戦闘時も大型の青龍刀を武器にして戦う。
 相棒の雷電はコガ。

○グリンガム(ガンパレード・オーケストラ 緑の章)
 源健司の99式雷電。鵺タイプ。

○ジジ(ガンパレード・オーケストラ 緑の章)
 竜造寺紫苑の99式雷電。狐タイプ。

●石津麟一郎(少女コマンドーIZUMI)
 元国防省のエリート将校であり、現在は石津産業の社長。
 その正体は、自衛隊内部のクーデター組織「G機関」の首領である。
 元国防省副長官・竜崎率いる上部組織「R機関」からの指示の下、
 そのカリスマ性や日本を変えるための熱意を買われ、若者たちを拉致して
 バイオフィードバック兵士や強化された兵器類の開発実験などを行っていた。
 五条いづみにバイオフィードバック実験を施した張本人。

●幻の月光(アイアンキング)
 怪獣型ロボットを操るテロ組織・独立幻野党のリーダー。
 頭にターバンを巻き曲刀を持つなど、僧兵風ともアラビア風ともつかない
 無国籍調の服装を身にまとっている。不知火族と同様に日本の現体制を
 「大和政権」と呼び、その打倒を目指している。静弦太郎が戦ってきた
 敵の中で唯一、アイアンキングの正体が霧島五郎であることを見破った。


『聖天子暗殺!?宇都宮釣天井』-3

作者・ティアラロイド

1366 
***宇都宮城・御休息所***

五郎「ひゃああ…御休息所っていうから
 てっきり公園によくあるような東屋みたいな
 もんだと思ってたら、こりゃあ大御殿じゃねえか」
弦太郎「なに無駄口叩いてんだ。口を動かす前に
 手を動かせ!」
五郎「はいはい…」

御休息所造営のための工事はもうほとんど終わっており、
あとは仕上げの段階というところまで来ていた。
建設現場に日雇いの作業員として潜りこんだ
静弦太郎と霧島五郎の二人は、材木を運ぶ仕事などをしながら、
なんとか御休息所の建物の内部を確かめようとするが、
警備が厳重でなかなか近付けない。

作業員A「――!!(この二人は…!?)」
作業員B「……(間違いない。静弦太郎に霧島五郎だ…!)」

額に汗しながら作業中の弦太郎と五郎の横を、
とある二人の作業員が通り過ぎた。その作業員二人組は
弦太郎と五郎の顔を見て明らかに動揺して顔を背けていた。

弦太郎「おい五郎さんよ、今の気づいたか?」
五郎「あの二人、急に俺たちから顔を背けましたねえ~」
弦太郎「つけてみるか…」

怪しい作業員二人組の尾行ほ開始する弦太郎と五郎。
すると怪しい作業員の側も尾行に勘づき、急に走り出した。
それを追う弦太郎と五郎。


***宇都宮城址公園前・公道***

朱音「キャアアッ――!!」
作業員A「それ以上動くとこの女の命はないぞ!!」

怪しい作業員二人組は、逃げ切れぬと悟り、
たまたま側にいた通行人である、黒髪のロングストレートヘアの
若い女性に刃物を突き付け人質に取った。

弦太郎「どっかで見覚えのある顔だと思ったら、
 お前ら、独立幻野党の一味だな!
 なるほど読めて来たぜ…」
作業員B「黙れ! この女がどうなってもいいのか!」
朱音「た、たすけて……」
弦太郎「どのみち逃げられやしねんだ。
 バカな真似はやめて女を放せ!」
作業員A「うるさい!!」

その時、気づかれないようこっそりと背後に回っていた五郎が
怪しい作業員たちに飛びかかる!

五郎「この野郎ッ!!」
作業員A「うわあっ!?」

この隙に人質の女性は解放された。
逃げる作業員たちを弦太郎は追おうとするが…。

朱音「怖い!助けて!!」
弦太郎「おいっ、なに抱きついてんだ!?
 離れろ!!」

人質だった女性は精神的ショックを受けたのか、
恐怖のあまり弦太郎の足に抱きつき離れようとしない。
仕方なく弦太郎を置いて、五郎一人だけで一足先に追跡したのだが、
結局見失ってしまった。

1367

***独立幻野党・秘密基地***

無事にアジトへと逃げ帰った党員二人は、
事の次第を幻の月光に報告した。

月光「なにっ! 静弦太郎に霧島五郎が現れただと!?」
党員「はい、間違いありません!」
月光「おのれまたしても静弦太郎か!!」

顔をしかめる幻の月光。

石津「何者だ? その静弦太郎とは…」
月光「国家警備機構のエージェント!
 これまで幾度となく我々の革命活動の邪魔を
 してくれた憎っくき奴!!」
石津「そのような男が現れたとなると、マズイな…。
 決行の日はいよいよ明日に迫っているのだぞ」
月光「案ずるには及ばん。幻の葉月!」

幻の月光は、幻十二人衆の一人・幻の葉月を呼び寄せる。

葉月「幻の葉月、ここにいるぞ!!」
月光「幻の葉月、お前は鋼鉄の同志カプリゴンを操り、
 いざという時は静弦太郎とアイアンキングを抹殺するのだ!」
葉月「承知!!」


***宇都宮中心市街・某喫茶店***

弦太郎「…ったく。てめえのせいで
 独立幻野党に逃げられちまったじゃねえか!」
朱音「申し訳ありません…」
五郎「まあまあ弦太郎、この女性も悪気があった
 わけじゃなし。いい加減許してやれよ」

せっかく見つけた手掛かりに逃げられてしまい、
怒り心頭の弦太郎を、五郎は宥める。

弦太郎「宇都宮城の御休息所には
 きっと何か仕掛けが施されているに
 違いねえんだ。それを突き止める
 チャンスだったのにな!」
五郎「こうなると、せめて御休息所の見取り図か
 図面の類でもあれば助かるんだけどなあ…」
朱音「あのー、つかぬことを伺いますが、
 お二人は国家警備機構の静弦太郎隊員と
 霧島五郎隊員ですよね?」
五郎「そーゆー貴女はどなた?」
朱音「申し遅れました。私、こういう者です」

女性は二人に名刺を差し出す。

五郎「…なになに、東都新聞社会部記者、日高朱音さん…ね」
弦太郎「ブン屋さんがよく俺たちの事をご存じだな」
朱音「実は私も宇都宮城の御休息所の急な工事には
 何か裏があると思って、それとなく探っているんです。
 もしよろしければ、その図面、私が入手して来ましょうか?」
五郎「できるのかい、そんなこと?」
弦太郎「確かに手に入れて来てもらえれば有り難いが、
 命がけだぜ…!」
朱音「任せてください。さっきのお詫びもありますし」

1368

深夜……。

***宇都宮城・工事現場事務所***

すっかり人も寝静まった夜遅く。
自称、東都新聞社会部の新米女性記者・日高朱音こと
その正体は天童流のくノ一・千坂朱音は、
忍び装束に身を包み、建設現場事務所の中へと侵入した。

朱音「これね…」

朱音はピッキングの道具を用いて、
隠し金庫の中から、それらしい書類の束を取り出した。

朱音「御休息所の図面…これに間違いないわ!」

その時突然、部屋の明かりがつき、
朱音は周囲を独立幻野党の党員たちに囲まれた。

葉月「女、そんなところで何をしている!?」
朱音「――くらえっ!!」

すかさず朱音は手裏剣を投げて敵をけん制し、
その隙にガラス窓を突き破って外へと脱出する。

葉月「…に、逃がすな! 追え~!!」

しかし、走って逃げる朱音の前に、
あの石津麟一郎がたちはだかった!

朱音「どけ!」
石津「………」

上着を脱ぎ上半身裸となった石津は、
自身の肉体の力を極限まで引き出し、
無言のまま朱音に襲いかかる。
一方の朱音も、反射的に石津の攻撃をかわし、
石津の腕を捻るとそのまま腕を釣りこんで足を払う。
石津の屈強な体が朱音の腕を支点に一回転すると、
背中から地面にたたきつけられた。

朱音「フッ!」

強い呼気をする朱音。
倒れていた石津も、何もダメージを受けて
いないかのようにすぐに起き上がる。

石津「…その技、天童式合気術一の型六番、六根玉兎山人と見た。
 やはり天童菊之丞の手の者か」
朱音「………」

1369

朱音「うっ…!」

その時、朱音の身体がガクンと崩れ落ちる。

朱音「な、何をッ…」
葉月「ワハハハハッ!!! 巨象をも一瞬で眠らせる麻酔針だ。
 いかに天童のくノ一といえども、他愛もないものだな…」
朱音「お、おのれ!……うっ…」

吹き矢を握った幻の葉月の前で、
朱音の意識は闇の中へと落ちていった。


***独立幻野党・秘密基地***

朱音「ああっ!!…ううっ!!」
葉月「ええい! 吐け! 吐かんかあっ!!」

独立幻野党のアジトへと運び込まれた朱音は、
両腕を吊るされ、竹刀で叩かれる拷問を受けていた。

葉月「しぶとい奴め…」
石津「時間の無駄だ。仮にも天童のくノ一が、
 この程度の拷問で白状したりなどするものか」
葉月「しかし、この女は我ら同志の秘密を
 嗅ぎつけたのだ。生かしてはおけん」
石津「やめておけ。仮にも独立幻野党の革命同志諸君が、
 たかが女にてこずったとあっては、諸君の名誉にも関わろう」
葉月「う~む、確かに」
石津「この女は生かしておけばそのうち
 利用価値も出で来るはず」
葉月「よしっ、しっかり見張っていろ!」
党員A「ハッ!」

石津と幻の葉月たちが出て行ってから数分後、
今まで気を失っていた――いや、気を失っていたフリをしていた
朱音は、突然両目をカッと見開き、両手を縛っていた縄をスルスルと抜けて
あっさりと自力で自由の身になる。

党員A「――なっ!? 貴様ッ…うわあっ!!」

見張りや他に残っていた党員たちを
次々と当て身で制圧していった朱音は、
留守番の残り一人を締め上げる。

党員B「く、苦しい…っ!!」
朱音「石津や他の連中はどこへ行った!?」
党員B「すでに…宇都宮城に、向かった後だ…!」
朱音「チッ…!」

朱音は締め上げていた党員の後頭部を殴って気絶させると、
机の上に拡げてあったままの御休息所の図面を改めて回収する。

朱音「聖天子様の御身が危うい! 急がなければ!!」

急いでアジトを出る千坂朱音。向かう先は、
静弦太郎と霧島五郎のところである。

1370

○静弦太郎→独立幻野党の一味を尾行中、東都新聞記者・日高朱音と偽名を名乗った千坂朱音と接触。
○霧島五郎→独立幻野党の一味を尾行中、東都新聞記者・日高朱音と偽名を名乗った千坂朱音と接触。
●幻の月光→逃げ帰った部下から、静弦太郎と霧島五郎が近くにいるとの報告を受ける。
●幻の葉月→いざという場合に備え、怪獣ロボット・カプリゴンと共に待機。捕えた千坂朱音を拷問。
●石津麟一郎→千坂朱音と交戦。その身のこなしから、天童の者と見破る。

△千坂朱音→東都新聞記者・日高朱音と偽名を名乗り、静弦太郎たちに接触。
 独立幻野党に捕えられるが自力で脱出。宇都宮城御休息所の図面を手に入れる。

【今回の新規登場】
●幻の葉月(アイアンキング)
 独立幻野党の作戦部隊長である幻十二人衆の一員。
 自分たちの革命戦争の邪魔になる静弦太郎の命を執拗に狙った。
 怪獣ロボット・カプリゴンを操る。


『大追跡!鳳凰を狩る餓狼』-1

作者・凱聖クールギン

1371

***ネロス帝国・ゴーストバンク***

ゴブリット「トップガンダーの兄弟機か…。
 そりゃクロスランダー様も面白くねえわけだぜ」

相棒のデデモスから聞かされた風の噂。
自分達がトップガンダーの試作品ではないかという話は、
ゴブリットの電子頭脳の中でずっと燻ぶり続けていた。

ゴブリット「でもそんなの俺には何の責任もねえ話だし、
 ぶっちゃけこれって八つ当たりだよな。
 いつまでもあのブラック上司の下で働いてちゃ、俺には未来はねえか…」

とは言うものの、ゴブリットとデデモスはゴッドネロスの命により
クロスランダーの部下として配属されたアシスタントロボットである。
創造主が与えた運命を、己の意志で勝手に変更する事などできはしない。
大きな戦功を立てればゴッドネロスに評価され、一人立ちを認められるかも知れないが、
任務を帯びる時はほとんど常に三人ワンセットであり、
例えその中でいくらか目立った活躍をしたとしても、
手柄はいつも親分のクロスランダーに一人占めされてしまう定めなのであった。

ゴブリット「あ~あ…。単独任務、来ねえかなあ。
 一発バーンと大手柄立てて、早いとこクロスランダーの下から離れたいぜ。
 でもそんなでっかい任務、俺の所になんて回って来るわけねえよなあ…」

ゴブリットがゴッドネロスの御前に召されたのは、
そんな事を考えていた時の事であった。
普段、一緒に召集されるはずのクロスランダーやデデモスの姿はなく、
代わりに軍団長バルスキーが傍に立っている。

ゴブリット「(何でクロスランダーもデデモスも呼ばれず俺一人が?
 もしかしてマジで単独任務? それともお叱りかな?
 俺、最近何かやらかしたっけか…?)」
バルスキー「落ち着け、ゴブリット」

そわそわして足踏みをするゴブリットを、バルスキーが注意する。
淡い期待と、その数倍の不安とを抱きながらゴブリットが待っていると、
玉座にゴッドネロスが現れた。

ゴブリット「軽闘士ゴブリット、参上つかまつりました」
ゴッドネロス「よう参った…。
 してその後、シグフェル捜索の成果やいかに」
ゴブリット「申し訳ございません。
 クロスランダー様やデデモスと共に日夜捜索しておりますが、
 今のところこれといった手がかりは掴めておりません」
ゴッドネロス「で、あるか…」
ゴブリット「も、申し訳ございません…!((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
 明日もう一度、クロスランダー様やデデモスと、
 東京都内を徹底的に捜索してみる手筈でありまして…」
ゴッドネロス「いや…、その儀には及ばぬ。
 クロスランダーとデデモスにはシグフェル捜索を続けさせるとして、
 そちは捜索班から外し別の任務を与えたい。…見よ」

ゴッドネロスは指先から光線を放ち、
一枚の写真をゴブリットの前に映し出した。
そこには、気の良さそうな白髪の老人の顔が映っている。

ゴブリット「…帝王、この男は?」
ゴッドネロス「山野満夫という元科学者だ。
 この男、城南大学の生化学研究室に勤め、
 古賀と長年親しく交友を持ち続けておったが、その後は教員に転職。
 一昨年に退職し、今はメガロシティの外れで一人余生を送っておる」
ゴブリット「なるほど…。この男が、
 帝王の秘密を友人であった古賀から聞かされているかも知れない、
 という訳ですな」
ゴッドネロス「万が一にもその可能性がないとは言えぬ…。
 余の秘密を知っている恐れがわずかにでもある限り、
 例え老い先短い年寄りだったとしても、
 この男を生かしておく訳には行かぬ。直ちに抹殺せよ!」
ゴブリット「ははっ、承知いたしました!」
バルスキー「お前には珍しい単独任務だ。
 お前は以前、南米での失敗により強闘士の座を下ろし、
 軽闘士にまで降格させていたが…。
 これが成功すれば再び強闘士に戻してやるぞ」
ゴブリット「はっ、ありがたき幸せ」
ゴッドネロス「それだけではない…。
 山野満夫を抹殺した暁にはそちをクロスランダーの配下から外し、
 一人前の暗殺ロボットとして、晴れて一人立ちする事を認めてやろう」
ゴブリット「ま、まことでございますか!?」
ゴッドネロス「この任務の重要性を鑑みれば、
 そのくらいの恩賞は当然の事…。
 だが失敗は許されんぞ。できるかゴブリット」
ゴブリット「(独立キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!! やったぜ!
 これでもうクロスランダーの野郎に顎で使われる事もなくなるんだ!)
 ハ、ハイッ!! ぜひやらせていただきますっ!」
ゴッドネロス「山野満夫をこの世から葬り去り、
 余の秘密を無限の闇に包め――!!」

1372

***東京・メガロシティ***

優香「あ、このお菓子美味しそう」
光平「山野先生、甘いのが好きって言ってたからなあ。
 お土産にはこれが良さそうだ」

ある晴天の日曜日。
ショッピングモールのお菓子売り場で少し高級な和菓子を選んで買い、
買い物袋を提げて外に出た牧村光平と沢渡優香は、
向かいのコンビニで先に買い物を済ませていた朝倉慎哉と合流して歩き出した。

慎哉「おい、見ろよ光平。スポーツ新聞まで、
 野球やサッカーそっちのけでシグフェル特集だぜ」

コンビニで買って来たスポーツ新聞の一面を示しながら慎哉が言う。
Gショッカーの東京侵攻を防いだ鳳凰の戦士。
謎のニューヒーロー・シグフェルの出現は、今や世間でも大きな話題となっている。

慎哉「だからあれほど忠告してただろ…。
 地球の平和を守るのはブレイバーズの仕事で、
 シグフェルは極力目立たない方がいいって」
光平「そんな事言ったってさ…。
 目の前であれだけ大変な事になってたのに、
 さすがに黙って見てるわけには行かないじゃないか」

シグフェルに関しては、これまでGショッカー対策の観点から
ブレイバーズが厳重な情報統制を敷いていたため、
その存在が世間一般に知られる事はなかった。
しかしシグフェルが直にGショッカーと接触してしまった今、
これ以上の規制は意味がないとしてブレイバーズは報道を解禁。
マスメディアがシグフェルをこぞって取り上げるようになり、
世の中はたちまちシグフェルの話題で持ち切りとなったのである。

光平「でもマスコミはまだ分かるとしてもさ、
 何でブレイバーズにまで、俺がシグフェルだからって
 こんなに追い駆け回されなきゃいけないんだ?
 その辺の事情が、どうもいまいち呑み込めないんだよな」
慎哉「多分、自分達の味方になって地球のために戦ってくれとか、そんな感じだろ? 
 悪いけど、今のシグフェルはまず自分の謎を追うので手一杯だ。
 とてもじゃないが、そこまでは手が回らないよ」
光平「毎回呼びかけを無視しちゃって、
 何だか申し訳ないとは思うんだけどな…」

自分を取り巻く周囲の状況に、
困惑気味に溜息をつく光平であった。

優香「でもこれからどうするの…?
 こうなったらマスコミもブレイバーズも、
 どんどんシグフェルの正体を探りに来るわよ」
光平「これからはもっと慎重に行動するよ。
 とにかく、俺が今すべきなのは自分の秘密を解き明かす事。
 そのために、まずは東条寺理乃について早いとこ洗い出さなきゃな」

光平に謎の改造手術を施した東条寺理乃については、
既に慎哉がインターネットを駆使してかなりの手がかりを調べている。
その中の一つに山野満夫という、光平達がよく知る人物の名前があった。

慎哉「それにしても、灯台下暗しってまさにこの事だな」
光平「ああ、まさか俺達の中学時代の先生が、
 東条寺宗晴博士の関係者だったなんてびっくりだよ」

光平と慎哉が通っていた中学校で理科の教師をしていた満夫は、
教職に就く前は科学者をしており、城南大学の生化学研究室に
東条寺理乃の父・宗晴と同時期に在籍していた。
科学者崩れだけあって専門知識が豊富で、面白い授業をする人気の教師だったが、
一昨年、光平達の卒業と同時に定年退職。
今はメガロシティの外れにあるマンションの一室で
趣味の盆栽に没頭しながらのんびりと暮らしているらしく、
光平が連絡を取り、話を聞きに行きたいと頼むと快諾してくれた。

光平「今度こそ何か情報が手に入ればいいけど…。
 宗晴博士の痕跡は、東条寺理乃に消されてしまって
 なかなか残されてないみたいだからな」
慎哉「おい…、だとすると、
 山野先生ももしかして東条寺の奴に命を狙われているんじゃ…?」
優香「大変だわ! 早く山野先生を守らなきゃ!」

ハッと顔を見合わせて頷き合った三人は、
山野満夫の住んでいるマンションへ道を急いだ。

1373

その頃――。
同じメガロシティの外れを、同じく男二人と女一人のグループで
忙しなく歩き回っている者達がいた。

八荒「ねえ舞ちゃん、俺もう疲れたよ。
 さっきからずっと歩きっ通しで足が棒みたいだ。
 ちょっと休もう。ね?」
舞「もう…。だらしない事言わないの、八荒さん」
流星「シグフェルはいつどこに現れるか分からない。
 もう少し頑張って捜索を続けよう」
八荒「流星はタフだよな~。ったく超人機ってのが羨ましいぜ」

剣流星、仰木舞、北八荒の三人は、
舞のマスコミとしての仕事と流星のブレイバーズでの任務を兼ね、
シグフェルを探し求めてこのメガロシティに来ていた。

舞「突如現れて東京を救った謎のニューヒーロー・シグフェル。
 彼が何者なのかは、今一番のホットな話題よ。
 シグフェルの行方を追い、その姿をシャッターに収める!
 カメラウーマン舞の血が騒ぐわ~」

シグフェルに関して話題沸騰の今、
舞の所属している会社の雑誌『週刊アップ』でもシグフェル特集が組まれる事になり、
そのために舞はシグフェルの姿を激写しようと、
ここメガロシティを朝から駆けずり回っているのだった。
一方ブレイバーズとしても、シグフェルの正体を早急に突き止め、
その巨大な力が悪の手に落ちてしまう前に保護しようと、
メタルダーこと剣流星以下、数多くのヒーローが手分けして捜索している。

流星「シグフェルが飛び去る方向は、いつも東京の臨海副都心方面だ。
 それにサージェス財団には、メガロシティの郵便局が消印の
 小包がシグフェルから届いている。
 そう考えると、シグフェルの居場所はきっとこの辺りだ」
八荒「そして、流星がメタルダーになるのと同じで、
 誰か人間がシグフェルに変身しているらしいんだよな」
流星「ああ。それもセーラームーン達からの目撃談だ」
舞「そういうブレイバーズからの情報を優先的に提供してもらえるのも、
 流星さんのお陰ね。シグフェルの特ダネをゲットするためには、
 このアドバンテージは大きいわ」
流星「僕らブレイバーズとしても、シグフェルの行方を追う上で、
 舞さんのような信頼できるマスコミ関係者と連携できるのは大きいんだ。
 シグフェルを発見したら、彼の身に何か大変な事が起きる前に
 ブレイバーズの保護を受けるように説得したい」

という訳でメガロシティに目星をつけ、
シグフェルを追い求めて奔走している舞達だったが、
それでもやはりと言うべきか、シグフェルはそう簡単には姿を見せてくれない。

舞「…ここまで手がかりゼロ。
 まあ予想はしてたけど、ちょっと厳しいわね…」
流星「場所を絞ったとは言っても、
 シグフェルに関してはまだまだ情報不足だ。
 今は根気よく探し続けるしかない」
八荒「ねえ二人とも、そろそろお昼ご飯にしない? ねえってば」
舞「よし、こうなったら聞き込み調査よ。
 道行く人達にシグフェルに関する情報を当たってみましょう」
八荒「え~っ、まだ続けるの…?」

1374

八荒「舞ちゃんもパワフルだよな~。
 …でもよ、人間が変身してるとなると、
 案外、そこらの通行人の兄ちゃんとかが実はシグフェルかも知れないんだろ?
 例えば…」

八荒は、三人で何やら話しながら道を歩いている
高校生くらいの若者達の一団にふと目をやった。

舞「よし、まずはあの子達から」
八荒「あっ、ちょっと待って舞ちゃん!」

八荒が止めるのも聞かず、舞はその若者達のグループに近付いて行き、
彼ら――光平と優香と慎哉に思い切って声をかけた。

舞「あの~、ちょっとすみません。
 私、『週刊アップ』という雑誌でカメラウーマンをしている
 仰木舞といいます」
優香「…えっ!? あの仰木舞さん?」
光平「知ってるのか? 優香」
優香「うん。ほら、この前一緒に読んだ
 四国に現れたウルトラマンの写真を撮影した人よ」
慎哉「ああ、あの昆虫怪獣の!
 あの特集なら、俺も興味を引かれて読みましたよ」
優香「『週刊アップ』はよく読んでます。
 私、実は前から仰木さんの写真が大好きだったんです~」
舞「本当? ありがとう。嬉しいわ~」

以前は雑誌編集部内でも決して評価の高くなかった舞だが、
四国でウルトラマンやメガヌロンのスクープに成功してからは株が急上昇し、
今では『週刊アップ』に自分の専用ページを持てるまでになっている。

光平「(この人…何か普通の人とは違うような?)」
流星「(彼は普通の人間…いや、何かが違う。
 でもなぜだろう。何がどう違うのか、
 どうしても分からない)」

舞と優香と慎哉が盛り上がっている傍らで、
光平はシグフェルの能力で流星の異質さに気付き、
流星もマルチアイのサーチ機能で
光平に普通の人間とは違う何かがあるらしいのを感じた。
しかし、それが一体何なのか――つまり、流星がメタルダーであり、
そして光平がシグフェルであるという事までは、
この時点ではお互いに分からなかったのである。

舞「…あ、それでね。実は今、
 我が『週刊アップ』ではシグフェルの行方を全力で追ってるの。
 できればシグフェルを見つけてカメラに収めたいんだけど…。
 何か情報とか知らないかしら」
光平「ええっ!? シグフェルを?」

流星に気を取られてそれまで話の輪に加わっていなかった光平が、
思わず素っ頓狂な声を上げた。

八荒「そんなに驚かなくたっていいだろ?
 悪の大軍が雲霞の如く押し寄せる中、
 颯爽と現れて東京の危機を救った無敵のニューヒーロー。
 今これを特集しなくてどうするって話だよ」
舞「色々な情報を総合すると、
 シグフェルはこのメガロシティ周辺にいる確率が非常に高いの。
 これまでの目撃談では、いつもこっちの方角に飛び去ってるそうだし…。
 あなた達も、シグフェルを見た事とか、
 何か知っている事とかないかしら?」
光平「(し、しまった…! もうそこまで割り出されてるなんて…)
 さ、さあ…。話題になってるのはよく耳にしますけど、
 直接見たりした事はないですね…」
優香「私も…全然何も分からないです。すみません」
慎哉「あ…あの、俺達急ぎますんで、それじゃ」

慌てて話を強引に切り上げ、
光平達は逃げるようにその場を去って行った。

流星「(彼は一体…)」

終始無言でいた流星は、何かが引っかかるという思いで
光平の背中を見送ったのだった。

1375

慎哉「バカ野郎! だから言ったじゃないか~!」
光平「だって、まさか飛び去る方向までチェックされてたなんてさあ~」

逃げるようにそそくさと舞達の前を離れた光平達は、
ようやく目的地である山野満夫のマンションの前までやって来た。

光平「え~っと…(汗 
 山野先生の部屋は、このマンションの5階だ」
慎哉「よし、行こうぜ」

マンションの玄関へ入り、エレベーターで5階へと上がって行く光平達。
しかし道路を挟んだ向かいのビルの屋上では、
ゴッドネロスの指令を受けたゴブリットが満夫の部屋に銃を向けていた。

ゴブリット「ブレイバーズの戦士でもない老いぼれ一人、
 殺すのなんて造作もないぜ。
 これであのうざったいクロスランダーの子分から解放されるなんて、
 俺にもツキが巡って来たなあ~」

満夫を狙撃しようと、窓の向こうの様子を窺うゴブリット。
間もなく来る約束の光平達に紅茶を出そうと、
満夫は窓際に置かれたポットからティーカップに湯を注いでいるところだった。
いよいよ撃とうと、ゴブリットは愛用のビームライフルの照準を絞る。

満夫「………」
ゴブリット「死ねっ、ジジイ!」

ゴブリットが引き金を引こうとした、その瞬間である。
満夫が突然倒れ込み、姿が見えなくなったかと思うと、
窓ガラスに鮮血が飛び散った。

ゴブリット「な、何だ…!?」

まだ撃ってはいない。
驚いたゴブリットはしばし呆然とするしかなかった。

 ◇  ◇  ◇

エレベーターを出て、5階の満夫の部屋の前まで来た光平達は、
「山野満夫」と書かれた表札を確認してドアチャイムを鳴らす。

光平「山野先生~、こんにちは」
慎哉「…おかしいな。ちゃんと約束してあったのに留守かよ」

チャイムを何度押しても返事はない。
その時、光平の持つシグフェルの本能が部屋の中の異変を察知した。

光平「…!」
優香「どうしたの? 光平くん」

ドアに近付いて耳を澄ますと、
部屋の中から何か獣の唸り声のようなものが聞こえる。

光平「…優香、慎哉、下がってろ」

二人を後ろに下がらせた光平は、
ロックのかかったドアを怪力で壊して開け、部屋の中へと踏み込んだ。
途端に立ちこめる血臭が光平の鼻を突く。

リザードマンイーバ「ギシャァァァァ!!」
光平「…!!」

滅茶苦茶に荒らされた部屋の奥で、
蜥蜴のような怪物が、血まみれで床に伏した満夫を踏みつけている。
その怪物――リザードマンイーバBは光平を睨むと牙を剥き、
猛然と襲いかかって来た!

光平「――翔着(
シグトランス)!!」

一瞬の内に炎を纏い、シグフェルに変身した光平は、
飛びかかるリザードマンイーバBをパンチで返り討ちにした。

リザードマンイーバB「シィグゥフェェェル…!」
シグフェル「こいつ、よくも山野先生を…!」

再び突っ込んで来たリザードマンイーバBを押さえ込み、
背中から卓袱台に叩き付けるシグフェル。
卓袱台の上で仰向けになったリザードマンイーバBに、
シグフェル怒りの鉄拳が炸裂した。

リザードマンイーバB「グボァッ!!」

シグフェルの強烈なパンチはリザードマンイーバBの腹を、
その下の卓袱台ごと突き破って床まで達した。
すかさず腕を引き抜き、体液に濡れた手で素早く印を結ぶと、
シグフェルは青白い熱線を胸から放つ。

シグフェル「これで最期だ…!」
リザードマンイーバB「ギャァァァァァッ!!」

シグフェルの光線で撃たれたリザードマンイーバBは
瞬く間に蒸発、跡形もなく消滅してしまった。

1376

シグフェル「山野先生、しっかりして下さい!」
満夫「ううっ…!」

戦闘を終えたシグフェルは満夫を抱き起こそうとするが、
既に遅く、満夫は苦しそうに唸るとそのまま息絶えてしまった。

シグフェル「山野先生…! 
 くそっ、やっぱり東条寺の奴が
 宗晴博士の痕跡を消して回ってるのか…?」

愕然としてシグフェルが変身を解こうとしたその時、
部屋の窓ガラスが音を立てて割れ、
何者かが勢いよく部屋の中へ飛び込んで来た。

シグフェル「…!」
ゴブリット「貴様は、シグフェル!?」

窓から部屋へ侵入したゴブリットは、
そこにあのシグフェルがいた事に驚きしばし唖然とする。

ゴブリット「こいつは驚いたぜ…。
 まさかあのシグフェルとこんな所で会うとはな。
 そのジジイを殺ったのはお前か?」
シグフェル「違う…」
ゴブリット「だろうな。
 シグフェルってえのは正義のヒーローだって聞いてるからなあ」
シグフェル「お前も俺を知っているのか」
ゴブリット「そりゃあそうよ。この前のGODやザンギャックとの戦いで、
 一躍有名になった無敵のシグフェル様じゃねえか」

ビームライフルをシグフェルに向けて牽制し、
小生意気な軽口を叩きながら、内心ゴブリットは思わぬ事態に小躍りする。

ゴブリット「(おいおい、こいつは願ってもないビッグチャンスだ。
 シグフェルを倒して捕まえれば強闘士どころか、
 一気に雄闘や暴魂、いや凱聖の地位だって夢じゃねえ!)」

ゴブリットがビームライフルを構え、シグフェルも戦闘体勢を取って対峙する。
だがそこへ、室内が静かになったと見た優香と慎哉がドアを開け、
おずおずと中へ入って来てしまう。

優香「光平くん、大丈夫…?」
慎哉「おい、山野先生は…?」
シグフェル「…!? 二人とも、まだ来るな!」
ゴブリット「( ̄ー ̄)ニヤリッ くたばれシグフェル!」

シグフェルに隙が生まれたのを見て、
すかさずライフルを乱射するゴブリット。

シグフェル「危ないっ! …うわっ!」

優香と慎哉を守ろうと咄嗟に立ち塞がったシグフェルは、
全身にゴブリットのビーム弾を浴びてしまった。

慎哉「光平!」
優香「光平くん!」
ゴブリット「オラオラ死ねえっ!!」

更に容赦なくゴブリットはライフルを撃ちまくり、
部屋中にビーム弾を雨霰とぶちまける。
天井の電球が割れ、家具が蜂の巣になり、
部屋のあちこちに飾られていた盆栽鉢が砕け散る。
ソファーの陰に身を隠して伏せた三人だが、
乱射されたビーム弾の一発は近くに置かれていた花瓶を粉砕し、
飛び散ったガラスの破片が優香の右手に当たった。

優香「きゃっ!?」
シグフェル「優香!」

ガラスで切れた優香の手の甲から血が滴り落ちる。
シグフェルは立ち上がり、指先から火炎を放って反撃した。

シグフェル「この野郎、喰らえっ!」
ゴブリット「ぎゃっ…! アチチチチ…!」

灼熱の炎がゴブリットの左腕を包んで燃やし、
たちまち黒焦げの半壊状態にしてしまう。
片腕を一撃で潰され、これは敵わぬと見て、
ゴブリットは左腕を庇いながら窓際へと後退した。

ゴブリット「ち、畜生…!」

ゴブリットは窓から飛び降りて外へ脱出。
停めてあった戦闘バイク・サーキュラダーに跨って逃走した。

シグフェル「優香、大丈夫か?」
優香「こ…光平くん…」

翼で覆うようにして、シグフェルは優香を抱き締めた。
切れた右手の甲から血を流しながら、
うずくまった優香は恐怖でガタガタ震えている。

シグフェル「あいつ…許さん!」

優香を傷つけられたシグフェルの――光平の怒りが激しく燃えた。

シグフェル「慎哉、優香を頼む!」
慎哉「お、おう!」

優香を慎哉に任せると、窓の外へ力強くジャンプして翼を広げ、
ゴブリットを追うためシグフェルは飛翔した。

1377

○剣流星→シグフェルの行方を追ってメガロシティを訪れ、牧村光平達と邂逅。
○仰木舞→シグフェルの行方を追ってメガロシティを訪れ、牧村光平達と邂逅。
○北八荒→シグフェルの行方を追ってメガロシティを訪れ、牧村光平達と邂逅。
●ゴッドネロス→山野満夫の抹殺をゴブリットに指令。
●バルスキー→山野満夫の抹殺をゴブリットに指令。
●ゴブリット→山野満夫の抹殺任務をゴッドネロスに与えられるが、リザードマンイーバに横取りされる。
         シグフェルと遭遇し戦闘、左腕を破壊されサーキュラダーで逃走する。

○牧村光平→東条寺宗晴について調べるため山野満夫の元を訪ね、その途中で剣流星達と邂逅。
         リザードマンイーバを倒し、現れたゴブリットを追って飛び立つ。
○朝倉慎哉→東条寺宗晴について調べるため山野満夫の元を訪ね、その途中で剣流星達と邂逅。
         ゴブリットと遭遇し戦いに巻き込まれる。
○沢渡優香→東条寺宗晴について調べるため山野満夫の元を訪ね、その途中で剣流星達と邂逅。
         ゴブリットと遭遇し戦いに巻き込まれる。
○山野満夫→牧村光平達の訪問を受ける直前、リザードマンイーバに殺される。
●リザードマンイーバB→東条寺宗晴の関係者である山野満夫を抹殺。シグフェルと戦い倒される。

【今回の新規登場】
○山野満夫(闘争の系統オリジナル)
 元科学者。古賀竜一郎博士の知己で、
 城南大学の生化学研究室に東条寺宗晴博士と同時期に在籍。
 科学者を辞めてからは教師に転職し、
 牧村光平や朝倉慎哉の通っていた中学校で理科を教えるが、その後退職した。
 趣味は盆栽。


●リザードマンイーバB(闘争の系統オリジナル)
 堕神の使徒で、蜥蜴人間の姿にメカの装甲が融合したような姿をした怪物。
 以前にシグフェルが倒したリザードマンイーバとは別個体。


『強襲、テスラ・ライヒ研究所』-6

作者・ユガミ博士

1378

***ネオ蛇牙城(ベガゾーン)***

ジャテーゴ「お前達、またしてもテスラ・ライヒ研究所の攻略に失敗しおったな!」
ランドウ「覚悟は良いのだろうな?」
ヤシャ男爵(兄)「お待ちください、ランドウ様!これというのも、其処にいる
 タイタンが研究所に侵入したにも関わらず撤退なんぞしたからです」
ヤシャ男爵(弟)「そうだ、そうだ!!」
ドレイドウ「この始末、どうしてくれる!」

ジャテーゴとランドウに作戦失敗を責められ、ヤシャ男爵とドレイドウは
タイタン達ブラックサタンが撤退したせいだと責任をなすりつける。

謎の紳士タイタン「・・・」
ランドウ「何か、申し開きがあるか?タイタンよ」
謎の紳士タイタン「私が撤退したのは、あちらの戦力がこちらの戦力
 以上となり、戦闘の続行は不可能と判断したからだ。それに、
 外ではあれだけの戦力がいたにも関わらず、全滅させたのは貴様ら
 の指揮がなっていなかったからではないのか?」
ドレイドウ「くっ!」
ヤシャ男爵(弟)「言わせておけば・・・!」

今は人間態であるタイタンは冷静に自分が撤退した理由を話して
ドレイドウとヤシャ男爵を黙らせる。

謎の紳士タイタン「とにかく、私も忙しい身なのでね。これにて失礼する」
ジャテーゴ「どこへ行く、タイタン!」
ランドウ「地底世界か?」
謎の紳士タイタン「その通りだ。今チューブのゼーバを中心に地上世界
 との平和を謳っている連中と地底世界の覇権を争っているのでな。私も
 其方に顔を出す事になったのだ」

タイタンが言うように、地底世界では現在、地底帝国チューブの地底王
ゼーバを中心とした地上世界の侵略を行おうとする好戦派とチューブの
イアル姫やインフェルシアの冥府神スフィンクスを中心とした地上との
共存を考える和平派の対立が起きている。タイタンも地底王国の領主で
あり、地下帝国軍の顧問という立場上、この戦いにも戦力を送る事に
なっていた。そして、タイタンはネオ蛇牙城から出て行った。

ランドウ「喰えない奴め・・・」
ドレイドウ「ぐぅぅ、勝手な奴め!」
ジャテーゴ「それよりも、貴様達にはこれだ」ピッ
ヤシャ男爵&ドレイドウ「「「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」」」

残されたヤシャ男爵とドレイドウはジャテーゴに罰として、電撃を
受けてしまい、その場で倒れるのであった。一方、戦いを終えた
テスラ・ライヒ研究所ではというと・・・。

1379

***テスラ・ライヒ研究所***

ミケーネ帝国、恐竜帝国、ドクター・ランドウのメタルビースト軍団
そしてブラックサタンによるGショッカー地下帝国軍のテスラ・ライヒ
研究所への襲撃は、様々な助けによって何とか事無きを得た。

カザハラ博士「カイ少佐、天堂君、ブルース君、ガイル少佐、要請を
 受けてくれて、本当に助かった。感謝するよ」
カイ少佐「いえ、軍人としての務めを果たしただけです。お気遣いなく」

カザハラ博士は救援に駆け付けたカイ少佐達に感謝と労いの言葉を
送る。

フランク「しっかし、偶然にしちゃぁ、よくこれだけの強力なメンバーが
 揃っていたもんだなぁ?」 
ブルース「お前は・・・フランク・ウェストだな?春麗の嬢ちゃんから
 話は聞いているぜ。偶々この近くの基地に所用でいたんだが、
 此処が襲われているって聞いて救援部隊に加わったんだよ」
ガイル「俺も似たようなもんだ」
竜「俺はアメリカにバイラムが出現したと聞いて、日本から来ていた所、
 同じく要請を受けて此処に」
ラミア「我々、教導隊はダカールから撤退したティターンズ・・・その背後
 にいるロゴスを追う任務が下り、この近くの基地で補給を受けていた時に
 要請を受けて、テスラ研へと来た」

ブルース、ガイル、竜、ラミアは自分達がテスラ・ライヒ研究所に救援部隊
として駆けつけた各々の理由を述べていく。またブルースは質問してきた
フランクの事を以前、ICPO捜査官である春麗から話を聞いていたので、
その事を話す。

映司「こちらも助けて下さり、ありがとうございました」
竜「君が仮面ライダーオーズだね?無事でよかった。・・・だが、
 ブラックサタンの初代大幹部百目タイタン・・・とてつもない
 プレッシャーを感じる敵だった」

映司も竜にお礼を述べると、竜は映司がオーズだという事に気付き、
返事を返す。そして、百目タイタンが強大な敵だったと感じた事を話す。

ビースト「あのような敵に、我々はより結束して事態に立ち向かわなければ」
アラド「うわぁ、ライオンが喋った!!」
ゼオラ「失礼よ、アラド!」
ラトゥーニ「・・・アラド、こちらはハンク・マッコイ博士。有名な科学者でもある
 X-MENのメンバーだよ」
アラド「えっ、そうなの!?スイマセンでした~(汗!」
カイ少佐「アラド・・・後で、訓練を倍だ!」

ビーストの姿を見たアラドはライオンと間違えて、失礼な態度をして
しまったので、ゼオラが叱り、ラトゥーニはビーストの事を教え、
カイ少佐は呆れながら、後でアラドの訓練メニューを倍にする事を決めた。

ビースト「いや、私の姿を見れば誰もがそう思っても仕方が無い事だ。
  気にしないでくれ」
カイ少佐「・・・お恥ずかしいです」

だが、ビーストはこれまで何度も、獣じみた容姿で言われ慣れているので
アラドの態度にも気にしないでいた。その事にカイ少佐は申し訳なく思う。

シュワルツ「やれやれ、これが教導隊とは・・・とんだ、ガキの集まりじゃねえか」
メリー「あら、でも見ていて楽しいわよ」

シュワルツは一連のやり取りを見ていて、有名な教導隊の実態を見ていて
呆れてるが、メリーは微笑ましく見ていた。

チボデー「まぁ、とりあえず今は勝利に喜ぼうぜ!」
フランク「・・・そうだな。じゃあ、1枚、写真でも撮るか!」

パシャ!

フランクによって、今回戦った者達で集合写真を撮った。この先、
彼らは共にあらゆる敵と戦っていく事だろう・・・。

***オマケ***

フランク「・・・後、出来れば個人的にラミア少尉の写真を撮らせてくれないか?」
ブルース「おい!だったら、その写真俺にもくれよ!言い値で買うから!」
カザハラ博士「・・・それなら、私も」
ラミア「私の写真が良いのか?」
ゼオラ「ダメですよ、ラミア少尉!絶対やらしい写真に決まっていますから!」
アンク「・・・いいぞ!この欲望ならメダルもたまりそうだ!」
映司「やめなよ、アンク」
リシュウ「やれやれ」

どうにも、締まらなかった。

1380

●ジャテーゴ→ヤシャ男爵とドレイドウに罰を与える。
●プロフェッサー・ランドウ→タイタンが地底世界へ向かおうとするのを察する。
●ヤシャ男爵、妖爬虫将軍ドレイドウ→作戦失敗により、罰を受ける。
●謎の紳士タイタン→作戦失敗したが、平然な態度をとり、地底世界へ向かう。
○ジョナサン・カザハラ博士→救援に駆け付けたカイ少佐達に感謝と労いの
   言葉を送る。その後、フランクからラミア少尉の写真を貰おうとする。
○カイ・キタムラ少佐→カザハラ博士から感謝の言葉を受け取る。
○ラミア・ラヴレス少尉→教導隊がテスラ・ライヒ研究所に来た理由を話す。
   その後、フランクから写真のモデルを頼まれる。
○アラド・バランガ曹長→ビーストを見て、驚く。
○ゼオラ・シュバイツァー曹長→アラドの失礼な態度を叱る。
○ラトゥーニ・スゥボータ少尉→アラドにビーストの素性を教える。
○ヘンリー・ハンク・マッコイ博士=ビースト→アラドの態度を気にせずに接する。
○火野映司→天堂竜にお礼を述べる。
○アンク→フランク達のやり取りから欲望を感じ取る。
○天堂竜→映司からお礼の言葉を受け取る。そして救援部隊として
  駆けつけた理由を話す。
○ブルース・マッギャヴァン→救援部隊として駆けつけた理由を話す。
  その後、フランクからラミア少尉の写真を貰おうとする。
○ウィリアム・ガイル少佐→救援部隊として駆けつけた理由を話す。
○フランク・ウェスト→皆の集合写真を撮る。その後、ラミア少尉の写真を撮ろうとする。
○シュワルツコフ少佐→教導隊のやり取りに呆れる。
○メリー・キング→教導隊のやり取りを微笑ましく見る。


『聖天子暗殺!?宇都宮釣天井』-4

作者・ティアラロイド

1381

***那須塩原鎮台・自衛隊駐屯地***

ここは栃木県とT県の県境近く、対幻獣・ガストレアの最前線にある防衛の本拠地である。
自衛隊及び学徒兵部隊が整列し、閲兵を受け、のち分列行進してその威容を示す。
行進する部隊より敬礼を受けた聖天子は、用意された原稿のスピーチを読み終えると、
壇上より降りて隊員たちの前に近づこうと歩み寄る。

侍従「お待ちください聖天子様、どちらへ!?」
聖天子「隊員たちと直接言葉を交わします」
侍従「それはなりません。一兵卒の軽輩などに
 軽々しく御身をお近づけになられましては…」
聖天子「留め立て無用です」
侍従「ハハッ…」

聖天子は整列する青森第四中隊の前に立った。

聖天子「貴官の姓名と階級は?」
咲良「ハッ! 青森第108警護師団第4中隊々長、
 石田咲良千翼長であります! この度は
 聖天子様の行幸を賜り光栄です」
聖天子「青森第四中隊の活躍は私の耳にも
 届いています。今後も皆さんの善戦を祈ります」
亜美「ありがとうございます!」

続いて聖天子は、第105山岳師団の前に立った。

源「聖天子様、俺はこんな口のきき方しか
 できねえけどよ、それでも直に話しかけても
 構わないのか?」
聖天子「構いません」
源「安心しな。北関東に巣食う幻獣とガストレアは、
 全部俺たちがまとめて駆逐してやるよ!」
聖天子「期待します」

隊員たちとの対談を終えた聖天子に
県知事が恐れながらと話しかける。

知事「恐れながら聖天子様に申し上げます。
 わが県選出の城之内議員より、新たな造営した
 宇都宮城御休息所にて、聖天子様の日頃のご労苦を
 お慰みしたいと申し出ております」
聖天子「…御休息所? そのようなものの
 建設は必要ないと事前に通達していたはずです!」
知事「お言葉にはございますが、造営費用は全て
 地元有志の篤志家が全額負担し、国費公費には
 一切手をつけてはおりません」
聖天子「………」
知事「もしここで聖天子様のお成りのないまま
 御休息所を取り壊すこととなりますと、かえって
 費用がかさみます」
聖天子「わかりました。参りましょう…」

1382

***二荒山神社***

宇都宮市馬場町にある二荒山神社。
その歴史は古く、起源は約1,600年前。宇都宮の始祖・豊城入彦命をまつっている。
この神社が下野「一の宮」と呼ばれていたことから、宇都宮の地名がついた、との説もある。
社宝は鉄の狛犬と兜で、どちらも国の重要美術品に認定されている。

静弦太郎と霧島五郎の二人は、ここの参道で朱音と待ち合わせていた。

五郎「おそいなあ、朱音ちゃん…」
弦太郎「五郎、てめえ俺に隠れて餃子食ったな?」
五郎「あれっ、バレた…?」
弦太郎「バカッ、お前の口がニンニク臭いんだよ!」

そこへようやく朱音が姿を現した。

朱音「弦太郎さん、五郎さん、遅れてごめんなさい!」
弦太郎「遅かったじゃねえか! 今までどこ行ってたんだ!?」
五郎「どうしたのその顔は? 体中どこもかしこも痣だらけじゃない!?」
朱音「…ああ、これは、ちょっと転んじゃって…(汗。
 それよりもこれが宇都宮城の御休息所の図面です!」

朱音は、懐から取り出した折り畳まれた大きな紙を広げる。
それを目にした弦太郎は愕然とした。

弦太郎「やはりな…。思ったとおりだぜ!」
五郎「おい弦の字、どういうことなんだ。
 俺にも説明してくれよ」
弦太郎「図面のここのところをよく見ろ。
 休息の間に釣天井の仕掛けがしてある。
 間違いねえ!」
五郎「釣天井!?」
弦太郎「奴ら、これで聖天子様を
 ぺしゃんこに押しつぶそうって魂胆だ!」
五郎「どうするんだ弦太郎!?」
弦太郎「もう時間がねえ! 急ぐぜ五郎!!」


***宇都宮城・城門前***

宇都宮城へと急行した静弦太郎と霧島五郎は、
城門前で藤森典子と合流した。

典子「静君、霧島君、血相変えてどうしたの!?」
弦太郎「んなこたぁどうでもいい!!
 それよりも聖天子様はどうした!?」
典子「もうお城の中に入られたわよ」
弦太郎「しまった!!」

1383

***宇都宮城・御休息所***

宇都宮城に到着し、御休息の間へと入る聖天子。
しかし廊下を進む間に、随員の護衛隊から巧妙に
切り離されていることには誰も気づいてはいなかった。

せいあ「護衛隊はどうしました?」
係官「あちらの別室にて御休息を…」
せいあ「別室で…? いえ、一緒の方がよろしいでしょう。
 すぐに呼んで来てください」

聖天子に随行していた尾上せいあ一佐が、
すぐに護衛隊も側近くまで呼び寄せるよう要請するが、
突然、御休息の間の全ての襖が厳重に締め切られる。

せいあ「これは何事です!?」
係官「恐れながら聖天子様をお慰めせんがため、
 城之内議員が拙き能をご覧に入れようとの趣向にございます」
せいあ「………」

城之内輝貞といえば、民自党県連の会長でもあり、
これまでに数度も重要閣僚の座を経験してきた大物代議士である。
やがて能の面をつけ、衣装に身を包んだ城之内が現れ、
薙刀を片手に振り回しながら豪快に能を舞い始めた。
まるで今にも聖天子を薙刀で切り刻まんとする勢いである。

せいあ「おやめなさい! 城之内議員、無礼でありましょう!」
能面の男「………」
聖天子「城之内議員、金剛流ですか?
 なかなか上達されましたね。さあ、もうよいのです。
 あの戸を開けてくれませんか?」
能面の男「いや、開けるわけにはいかん。
 そのまま永劫の闇の中においで願う!」
聖天子「なんと…!」

能面の男は面を取り衣装を脱ぎ棄てる。
現れたのは頭にターバンを巻き、僧兵風ともアラビア風ともつかない
衣装を身にまとった男だった。同時に周囲の係官の男たちも
服を脱ぎ捨て同様の姿へと早変わりする。

聖天子「何者です?」
幻の月光「我が名は幻の月光! 騒いだとてもはや袋の鼠!
 聖天子殿、我ら独立幻野党革命の同志一同、お命頂戴仕る!」
聖天子「なにゆえに?」
幻の月光「その胸に聞けい!」
せいあ「貴様、本物の城之内議員はどうした!?」
幻の月光「今頃、議員事務所の奥で冷たい骸になっておるわ!」

その瞬間、聖天子たちのいる区画の四方に敷居の壁が降りて来て、
聖天子たちは完全に閉じ込められた。そして天井がじわじわと落下してくる。

侍従「これはいったい!?…(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
せいあ「聖天子様、御身に危険が迫っております!」
聖天子「うろたえてはなりません!」

1384

仕掛けの外では、幻の月光たちが釣天井が床までしっかり落下する瞬間を
待ち侘びていた。釣天井落下のからくりが作動する音が静まるのを
確認し、落下した釣天井を上げて四方の戸を全て解放する。

幻の月光「これで聖天子もぺしゃんこか。哀れなものよ。
 フハハハハ!!!」

企ての成功を確信して高笑いを上げる幻の月光。
しかし、部屋の中には聖天子の死体どころか、
人っ子一人の姿すらなかったのである。

幻の月光「…こ、これはどうしたことだ!?」
幻の葉月「月光、これを見ろ!」

幻の葉月が、片隅の床にいつの間にか
人一人が通れそうな大きさの穴が開けられていた。
予想外の事態に驚く幻の月光。

幻の月光「いつの間にこんな穴が!?」
???「ハハハハハ!!!」

誰かの高笑いが周囲一面に響いた。
たじろぐ独立幻野党の群れをあざ笑うかのように颯爽と現れた、
カウボーイハットにウエスタンスタイルのあの男――
――国家警備機構の密使、我らが静弦太郎だ!

幻の月光「おのれ静弦太郎!!」
弦太郎「久しぶりだなあ、幻の月光!
 聖天子様もお供の随員たちも全員無事だ!」
幻の月光「うぬぬ~!!」
弦太郎「今一度てめえら独立幻野党こと幻兵団を
 まとめて地獄に送り返してやるぜ!!」
幻の月光「え~い、かかれーっ!!」

幻の月光の号令で、独立幻野党の団員たちが一斉に襲い掛かるが、
弦太郎はアイアンベルトで片っ端から薙ぎ払っていく。

幻の葉月「鋼鉄の同志、カプリゴンよ!
 現れ出でるのだあ~!!」

幻の葉月はドクロ型コントローラーを空高く掲げ、
怪獣ロボットを呼び出す。

カプリゴン「ギャオオ~ッ!!」

弦太郎の指示で待機していた五郎は、
怪獣ロボットの出現を確認する。

五郎「現れやがったな!
 ――アイアンショック!!」

変身ポーズと掛け声を取った霧島五郎は、
水をエネルギー源とする身長45メートルの戦闘用サイボーグ、
アイアンキングへと変身するのだ!

1385

○聖天子→駐屯地で自衛隊員や学徒兵部隊を観閲後、宇都宮城で釣天井の罠に嵌る。
○尾上せいあ→聖天子に随行し、共に宇都宮城で釣天井の罠に嵌る。
○石田咲良→観閲式で、聖天子と直に言葉を交わす。
○横山亜美→観閲式で、聖天子と直に言葉を交わす。
○源健司→観閲式で、聖天子と直に言葉を交わす。
○静弦太郎→間一髪で聖天子を釣天井の罠から救い、独立幻野党一味と交戦。
○霧島五郎/アイアンキング→アイアンキングに変身し、現れた怪獣ロボット・カプリゴンと交戦。
○藤森典子→宇都宮城の城門前で、静弦太郎たちと再度合流。
●幻の月光→聖天子暗殺に失敗し、静弦太郎と交戦。
●幻の葉月→怪獣ロボット・カプリゴンを起動させる。
●カプリゴン→幻の葉月に呼び出され、宇都宮市街で暴れまわる。

△千坂朱音→宇都宮城御休息所の図面を、静弦太郎たちに届ける。


【今回の新規登場】
●マラソン怪獣カプリゴン(アイアンキング)
幻の葉月に操られる、つぶらな目をした造形をしたロボット怪獣。
ひたすら走り続け、目の前にある障害物を踏みつける。
鼻から槍のような針を出し、角にはミサイルを積んでいる。


『聖天子暗殺!?宇都宮釣天井』-5

作者・ユガミ博士

1386

出現したカプリゴンは走り出し、周囲の障害物を次々と破壊していく。
騒ぎを聞きつけ、自衛隊から戦車やAS、レイバーが出撃するものの
カプリゴンの鼻先から針が飛び出してきたので、歯が立たない。
待機していた第4中隊や第7芝村中隊の面々も何事かと騒ぎ出す。

愛梨沙「何々!?」
源「幻獣か!?ガストレアか!?」
竹内「あれ、ウルトラマンか?」
岩崎「いや、良く見たら顔が違うぞ」

霧島五郎が変身したアイアンキングを見て、ウルトラマンかと
勘違いする者もいた。

咲良「皆、出撃の準備をして!」
紫苑「あの怪獣は聖天子様の御命を狙うテロ組織のロボット兵器だ!」
一同「―!」

咲良や紫苑からの指示を聞いて、第4中隊と第7芝村中隊は栄光号や
光輝号、雷電の出撃準備を行う。

カプリゴン「ガァォォォォォ!!」
アイアンキング「―!」

一方、アイアンキングはこちらへと向かって走って来るカプリゴンを
止めようと走り出して体当たり。体当たりを受けて動きを止められた
カプリゴンは狙いをアイアンキングに定めて、マラソンでもするかのように
追いかけっこを始める。

咲良「ロボット怪獣の割に機敏に動くわね・・・」
彩華「中隊長、国家警備機構によれば怪獣と戦っているアイアンキングは
 1分間しか活動できないようです」
咲良「1分~!時間が余り無いわね・・・第4中隊は怪獣に攻撃を行い
 アイアンキングの支援をお願い!」

指揮車に乗り込んだ咲良は彩華から、アイアンキングの事を
聞かされると、その活動時間の短さに呆れつつも、隊員達に
支援攻撃を行うように指示する。

英吏「第7中隊の皆さんは、宇都宮城へと向かって下さい。国家警備機構の
 静弦太郎隊員が今回の事件を起こしたテロ組織、独立幻野党と戦っています」
源「あのオッサンが・・・!」
紫苑「第7芝村中隊、出撃!」

第7芝村中隊の隊長である芝村英吏の指示を受けて、隊員達は独立幻野党と
戦っている弦太郎の下へと向かった。

1387

一方、独立幻野党の党員と戦う静弦太郎はアイアンベルトを
駆使して、党員を次々と倒していく。

党員A「死ねぇぇ!静弦太郎!!」
弦太郎「―!」

だが党員の1人が、背後から弦太郎を襲うとした・・・その時!

グリンガム「ガォォォォォン!」
党員A「ぐわぁぁ!」
源「大丈夫か、オッサンは!?」
弦太郎「オッサンじゃねえ!・・・だが、助かったぜ」

党員に襲われそうになった弦太郎だったが、源とグリンガムが
駆けつけ、グリンガムの体から生えている腕で党員の1人が
ねじ伏せられる。弦太郎は源に悪態をつきながらも、助けられた事に
礼を言った。そして他の隊員達も駆けつけた。

紫苑「相手はテロリストとはいえ、生身の人間だ。傷つけないように
 捕えるんだ!」
火焔「面倒くさいなぁ・・・もう!てりゃ!!」
コガ「ガウ!」

紫苑の指示で党員は傷つけないように言われ、火焔は青竜刀を
振り回し、パートナーの雷電であるコガと共に蹴散らしていく。

美姫「そこまでよ!」
クイーン「ぐぅぅぅ!」
エステル「・・・」
バルト「アォォォン!!」

美姫や隊員の1人である紅・エステル・ヴァラは銃で威嚇し、それぞれの
パートナーであるクイーン、バルトの2体の雷電は長い腕でねじ伏せていった。

葉月「・・・さぁ、アイアンキングを始末せよ!カプリゴン!!」
弦太郎「アイアンキングをやらせねぇよ!」

幻の葉月はコントローラーでカプリゴンにアイアンキングを始末するように
指示をだす。そこへ弦太郎が現れ、幻の葉月を止めようとする。

葉月「死ねぇ!静弦太郎!!」
弦太郎「くっ!」

ズギュン

葉月「ぐわぁ!」
倖「・・・」

銃を構えて弦太郎を殺そうとする幻の葉月だったが、第7芝村中隊の
一員である牧村倖が双子の妹である輝春と共にパートナーであるブラック
に乗り、長距離狙撃銃で幻の葉月の銃を撃って弦太郎を助けた。

葉月「くそっ、覚えていろ!」
弦太郎「待て・・・くそ、逃げられちまった!ありがとうな。助かったぜ!!」
倖「・・・(ニコ」
輝春「・・・(ニコ」

幻の葉月は捨て台詞を吐いて、その場から姿を消す。弦太郎は自分を
助けた牧村兄妹に礼の言葉を言うと、2人は笑顔で応えた。
一方、アイアンキング活動限界時間が近づいており、コントロールを失った
カプリゴンのミサイルを受けて倒れてしまう。さらに、カプリゴンは鼻先から
針を発射して、自分に攻撃してくる第4中隊に向かって攻撃した。

弦太郎「させるか!おい、源。オレをその雷電に乗せてくれ」
源「グリンガムに・・・?何故だ!」
弦太郎「いいから、早く乗せろ!」
源「・・・分かったよ」

弦太郎と源を乗せたグリンガムは大きく跳躍する。弦太郎はアイアン
ベルトを使って、針をひとまとめにすると、かつて倒したように
カプリゴンの腹に向かって返した。

カプリゴン「ギャァァァァオオオン!!」

針はカプリゴンの腹を突き破り、カプリゴンは断末魔と
共に大爆発を起こして敗れるのであった。

1388

◯静弦太郎→独立幻野党の一味と交戦し、危機になるものの
   第7芝村中隊に助けられる。最後はカプリゴンを倒す。
○霧島五郎/アイアンキング→カプリゴンと交戦し、カプリゴンのミサイルに倒れる。
○石田咲良→青森第4中隊にアイアンキングの支援を行うように指示を出す。
○村田彩華→咲良にアイアンキングの活動時間を教える。
○竹内優斗、岩崎仲俊→アイアンキングをウルトラマンと勘違いする。
○源健司、グリンガム→静弦太郎を助け、カプリゴンを倒すのに協力する。
○竜造寺紫苑→第7芝村中隊を指揮し、独立幻野党一味を捕えるように指示をする。
○結城火焔、コガ→独立幻野党一味を蹴散らす。
○金城美姫→独立幻野党一味に銃を威嚇する。
○紅・エステル・ヴァラ→独立幻野党一味に銃を威嚇する。
○クイーン→独立幻野党一味をねじ伏せる。
○バルト→独立幻野党一味をねじ伏せる。
○牧村倖→双子の妹、輝春と共に出撃。長距離狙撃銃で幻の葉月の
   銃を撃ち、静弦太郎を助ける。
○牧村輝春→双子の兄、倖と共に出撃。弦太郎からのお礼に兄と共に笑顔で応える。
○バルト→パートナーである牧村兄妹を乗せて出撃。
●幻の葉月→静弦太郎や第7芝村中隊と交戦し、撤退する。
●カプリゴン→アイアンキングや青森第4中隊と交戦し、静弦太郎によって倒される。
△芝村英吏→第7芝村中隊の隊員に静玄太郎の下へと向かうように指示する。

【今回の新登場】
△芝村英吏(ガンパレードオーケストラ 緑の章)
 第105師団第7芝村中隊隊長。指揮官としての腕の高さは脅威だが、
 人間的感情は皆無に等しく、目的達成の為なら部下の犠牲も厭わぬ
 冷血漢。しかし、自分の部隊が侮辱される事は許さない一面を持つ。

○紅・エステル・ヴァラ(ガンパレードオーケストラ 緑の章)
 美人だが、心を閉ざし、喋らない少女。戦災孤児であり、死を恐れず
 勇猛果敢に戦うが、どこか死に急いでいる戦い方をする。相棒の雷電は
 バルト。紅は「ホアン」と読む。

○牧原倖(ガンパレードオーケストラ 緑の章)
 輝春の双子の兄。読書が趣味という落ち着いた性格だが、戦闘時には
 長距離狙撃銃を用いて戦う戦闘班を務める。金が掛からない進学として
 軍に入隊し、犬が好きという事で竜騎兵となった。パートナーの雷電は
 兄妹共通でブラック。

○牧原輝春(ガンパレードオーケストラ 緑の章)
 倖の双子の妹。クールな性格で、自称「女と恋愛がキライ」男性とも一線を越えて
 付き合う事はないが、実はブラコン。

○クイーン(ガンパレードオーケストラ 緑の章)
 金城美姫のパートナーの雷電。

○コガ(ガンパレードオーケストラ 緑の章)
 結城火焔のパートナーの雷電。狐タイプ。

○バルト(ガンパレードオーケストラ 緑の章)
 紅・エステル・ヴァラのパートナーの雷電。狼タイプ。竜騎兵の中では
 最も勇敢で忠実。

○ブラック(ガンパレードオーケストラ 緑の章)
 牧原兄妹共通のパートナーの雷電。甘えん坊な性格で身長も高く
 筋肉もついているが、闘争本能に欠けている為に戦闘に向いていない。


『聖天子暗殺!?宇都宮釣天井』-6

作者・ティアラロイド

1389

独立幻野党の一味はあらかた鎮圧された。
無事に窮地を脱出できた聖天子は、
静弦太郎と霧島五郎に言葉をかける。

聖天子「静弦太郎隊員、霧島五郎隊員、
 あなた方のおかげで九死に一生を得ました。
 このとおり礼を申します」
弦太郎「いや、俺たちの力なんか微々たるもんです。
 これはまさしく天佑」
聖天子「なに、天佑…?」
弦太郎「つまり聖天子様が最後まで望みを捨てず、
 人の心を信じていた賜物です。それをきっと
 お天道様が賀してくだすったんですよ」

弦太郎の横で、一緒に聖天子の御前に控えている
五郎はクスクスと笑っている。

五郎「…なんでぇ、弦の字の奴。最初は聖天子様の事を
 散々ボロクソに言ってたくせに」
弦太郎「なんだ五郎? 何がそんなに可笑しいんだ!?」
五郎「いや、別にぃ…(^_^)ニコニコ 」

こうして静弦太郎と霧島五郎のコンビは、
目的地の関門海峡に向けて再び旅立つ。
今度は藤森典子も一緒だ。

典子「東都新聞社に問い合わせたけど、社会部に日高朱音という
 名前の記者はいないそうよ」
弦太郎「やっぱりそうか…」
五郎「朱音ちゃん、どこ行っちまったんだろうな。
 せっかくとびきりの美人と出会えたのに」

その時、突然弦太郎たちを乗せたジープが止まった。

五郎「うわっ! おい弦の字、いきなり
 なに車停めてんだよ!」
弦太郎「あれを見ろ。お客さんだ」
典子「あの男は!?」

弦太郎の運転する車の行く手の先には、
黒サングラスにスーツ姿の屈強な男が立ちはだかっていたのだ。

弦太郎「石津麟一郎…!」
石津「まだ終わってはいないぞ!」

1390

車を降りた弦太郎たちは、石津と対峙する。

弦太郎「五郎、テンコ、手ェ出すんじゃねえぞ!」
五郎「弦太郎!」
典子「静君!」

サングラスを外し、上着を脱ぎ捨てて
上半身裸の鍛え上げられた筋肉を晒す石津。
それに対して弦太郎も身構える。

弦太郎「石津麟一郎、いずれは日本の国防の将来を担う
 エリートと言われた男。いったいどこで道を踏み外して
 現代のヒトラーとまで呼ばれるような危険人物にまで
 堕ちちまったのか…」
石津「私を哀れむ気か?」
弦太郎「いや…。だがてめえの強さの秘密が読めた」
石津「………」
弦太郎「てめえには生きようという気がねえ。
 生きる事を捨てた人間の拳ほど、この世に
 恐ろしいものはねえ…」

いきなり斜め上から飛んで来た石津の拳を、
弦太郎は軽く身を反らしてかわす。
そのまま取っ組み合いとなった両者は、
上になり、下になり、ごろごろと崖の斜面を
転がり落ちる。

五郎「弦太郎ォッ!」
典子「静君ッ!」

五郎と典子は慌てて崖下へと降り、
倒れていた弦太郎を助け起こして救出する。
しかしその場にすでに石津の姿はなかった。

五郎「石津は!?」
弦太郎「あれで死んだとは思えねえな…」


***東京・天童菊之丞邸***

菊之丞「…それで、その後、静弦太郎と霧島五郎はどうした?」
朱音「本来の目的地である関門海峡のビルドベースに向けて、
 再び旅立ちましてございます」
菊乃丞「して、例の物は?」
朱音「これに…」

茶室のにじり口のすぐ外に控えていた千坂朱音は、
中で茶を立てている天童菊之丞に一枚の書状を差し出す。
これこそ、石津麟一郎、そして独立幻野党の一味が
大阪エリア指導者である斉武宗玄と交わした念書だ。
菊之丞は直ちにこれを公にして斉武を告発する気など毛頭ない。
いざという時の切り札として、密かに取っておくつもりなのだ。

菊之丞「これでこの度の聖天子様ご行幸を仰いだ立場となる
 北関東圏の政・官・財界の名士・有力者どもも、当面はブレイバーズに
 足を向けては眠れまい。キレる…キレるのう、ブレイバーズ」

朱音から受け取った念書を文書箱にしまい、
椀の中をお茶を飲み干した菊之丞は、お椀を畳の上にそっと置くが…。

菊之丞「しかしキレすぎる!」

Gショッカーなどの巨大な悪の脅威から地球上の安全を守るためには、
ブレイバーズの存在が必要不可欠である事は、天童菊之丞もよく理解していた。
しかし、世界から全ての悪が駆逐された後の事はどうなるのだろう…?
行き場のなくなった強大な力はやがて暴走していき、
いずれは聖室と日本国の存立をも脅かす時が来るのではないか…。

天童家から出奔した天童木更、里見蓮太郎の「天童民間警備会社」が
ブレイバーズに入り、聖天子や現・内閣総理大臣である剣桃太郎から
何かと重用されている事も、菊之丞にとっては気がかりであった。

菊之丞「もしもブレイバーズがこの地球を支配しようとの
 野心を抱くとすれば、由々しき大事となる…」
朱音「御前…」
菊之丞「これからもブレイバーズからは一時たりとも
 目を離すでないぞ」
朱音「ハハッ!」

1391

○静弦太郎→再び旅を再開する。石津麟一郎と交戦するが、決着はつかず。
○霧島五郎→再び旅を再開する。
○藤森典子→再び旅を再開する。
○聖天子→静弦太郎と霧島五郎にお褒めの言葉をかける。
●石津麟一郎→静弦太郎と交戦するが、決着つかず。姿を消す。
△天童菊之丞→ブレイバーズの存在を危険視し、その監視を配下たちに命じる。

△千坂朱音→天童菊之丞に事の次第を報告。ブレイバーズを密かに監視せよとの命令を受ける。 


『大追跡!鳳凰を狩る餓狼』-2

作者・凱聖クールギン

1392

***東京・メガロシティ***

八荒「あ~疲れた。もうお腹ペコペコだよ」
舞「お昼はマグロナルドのハンバーガーにしましょう」

午前中のシグフェル探しを切り上げ、昼食を食べる事にした仰木舞と北八荒。
近くのハンバーガーショップでハンバーガーを買い、
公園のベンチに腰掛けて休憩する。

流星「………」

食事を必要としないロボットの流星は舞と八荒が昼食を摂っている間、
舞から貸してもらったタブレットで動画を開き、
何やらブツブツと呟きながら真剣に見入っている。

八荒「なあ流星、何見てんだ?」
流星「ウルトラマンと怪獣との戦いの映像資料だ。
 バリアを張る怪獣に、ウルトラマンはそれを飛び越える
 ハイジャンプからのキックで倒した」

タブレットの画面の中では、
かつてウルトラマンジャックと古代怪獣キングザウルス三世が戦った際の記録映像が流れている。
スペシウム光線さえ防いでしまうキングザウルス三世の強力なバリアを、
ジャックは訓練によって編み出した新技・流星キックで破ったのだ。

流星「助走を十分につけてジャンプ、
 空中で体をひねりキックの体勢へ――」

流星の電子頭脳に組み込まれた戦闘マニュアルコンピューターが、
動画内のウルトラ戦士の動きを詳細に分析して戦い方をインプットする。
巻き戻しと再生を繰り返し、しばしタブレットの画面に没頭していた流星だったが、
彼の聴覚が突如、何かが空を飛ぶ音を捉えた。

流星「あっ! シグフェルだ!」
舞「えっ!? どこどこ?」

マンションの5階の窓から飛び立ち、
翼を羽ばたかせて飛ぶシグフェルの姿を流星は見た。
舞と八荒も慌てて空を見上げたが、
その時にはシグフェルはもうビルの影に隠れてしまっていた。

メタルダー「サイドファントム!」

すぐにメタルダーに瞬転した流星はサイドファントムを呼び寄せ、
乗り込むと飛行モードでシグフェルを追跡した。

八荒「俺達も行こう!」
舞「ええ!」

舞と八荒も食事を中断して近くを走っていたタクシーを呼び止め、
大慌てで飛び乗る。

運転手「はい、どちらまで?」
八荒「ええっと、あっちへ!」
運転手「は…?」
舞「あっちの方向に、とにかく急いで下さい。早く!」

メタルダーが向かった方向へ、タクシーは走り出した。

1393

シグフェル「どこへ行った…!?」

紅蓮の翼を広げ、空高く飛び立ったシグフェルは旋回しながらゴブリットを探す。
すると、眼下で人の叫び声が聞こえ、爆発が起こった。

シグフェル「あいつ、派手に暴れてるな」

サーキュラダーに乗って逃げながら、ゴブリットは街を破壊していた。
「これからはもっと慎重に行動する」とは誓ったばかりだが、
目の前で怪人が暴れているのを無視するわけには行かない。
火の手が上がった方向を目指してシグフェルは羽ばたいた。

シグフェル「見つけたぞ!」

高度を下げてビルの谷間をすり抜け大通りに出たシグフェルは、
ミサイルを撃ちながら猛スピードで爆走している
ゴブリットのサーキュラダーを発見、追跡を開始する。

ゴブリット「へっ、来やがったなシグフェル!」

左腕を潰され、片手運転でサーキュラダーを操縦するゴブリットは、
シグフェルが自分を追って来るようにと、
サーキュラダーのミサイルを闇雲に乱射していた。
彼のバイクが走り抜ける横で店のショーウィンドウが割れ、
ガソリンスタンドが炎に包まれ、車が横転して人々が悲鳴を上げる。

シグフェル「やめろっ!」

ゴブリットを追尾して飛びながら、
シグフェルは指先から火炎を放ってサーキュラダーを狙うが、
ゴブリットは華麗な運転テクニックでこれをかわし、
火炎は路面のアスファルトに命中して爆発を起こす。

シグフェル「くそっ、この街中じゃ、
 下手に外すと大変な事になってしまう」

交通量の多い中、車列を次々かき分けてビル街を疾走するゴブリットに、
周囲への誤爆を恐れてシグフェルも容易に手が出せない。

ゴブリット「へへっ、このままポイント8まで逃げ切ればこっちのもんだぜ!」

メガロシティの最南端、ポイント8の港湾エリアには、
シグフェル捜索のため出動中のクロスランダーがいる。
ゴブリットはそこまでシグフェルを誘き寄せる腹づもりなのだ。

ゴブリット「(あ~あ、これじゃ結局元の木阿弥じゃん…。
 クロスランダーの下で働く運命からは逃れられねえのかよ。
 俺一人でシグフェルを捕まえれば大出世も夢じゃねえかと思ったけど、
 どう引っ繰り返っても勝てる相手じゃねえしなあ…orz)」

出世と独立は叶わず、結局元の上司に泣きつく破目に…。
今はこれしか選択肢がないとは言え、
己の力不足と運命とを呪ってがっくりうなだれるゴブリットであった。
とにかく急いでクロスランダーの元まで逃げなければ、
ゴブリットはシグフェルの火炎で今度こそ全身バーベキューである。

ゴブリット「ちっくしょぉぉっ!!(涙)」

絶叫したゴブリットは赤信号を無視して交差点に突っ込み、
目の前を横切るトラックを豪快なウィリージャンプで飛び越えた。

1394

***東京メガロシティ・港湾地帯***

ゴチャック「どうだった…?」
デデモス「駄目っす。そちらは?」
ゴチャック「うむ…、こっちも手がかりなしだ」

メガロシティ南端の港湾地帯。
手分けしてシグフェルを探していたゴチャックとデデモスが合流し、
互いに報告し合う。

ゴチャック「シグフェルはイーバという怪物を倒すために現れる。
 イーバの正体は不明だが、秘密警察の調べによれば
 黄泉がえった人間をターゲットにして襲う化け物らしい」
デデモス「黄泉がえった者がいる会社や学校などを調べ上げ、
 マークしてイーバの出現を待ってはいるのですが、
 なかなか現れてはくれませんねえ」
ゴチャック「ここは根競べだ。
 粘り強く見張り続けていれば、いずれイーバは現れる。
 そしてそれを倒すためにシグフェルも…」
クロスランダー「………」

戦闘用ジープ・ドライガンのボンネットの上に腰掛けながら、
クロスランダーは心ここに在らずという様子で
先程からずっと海の向こうを見詰めている。

デデモス「あの…クロスランダー様?」
クロスランダー「…ゴブリットの奴が単独任務を与えられ、
 しかもそれが成功した暁には、俺の部下から離れて
 一人立ちするのを帝王に認められるだと…?
 帝王はこの俺から部下までも取り上げ、
 いよいよ邪険に扱われるようになったか…くそっ!」
デデモス「お、俺に当たらないで下さいよ~」

ボンネットから飛び降りたクロスランダーは、
苛立ち任せに部下のデデモスを蹴り飛ばした。

ゴチャック「ゴブリットの将来も考えての
 帝王と軍団長殿のご配慮でありましょう。
 決してクロスランダー様を冷遇しての事ではないはずです」

バルスキーの命令により、当面の間、ゴブリットの穴埋めとして
クロスランダーの下に付く事になったゴチャックがそう言って慰める。

デデモス「そうですよ。ゴブリットの代わりに
 ゴチャック殿ほどのお方をお貸し下さった事からしても、
 軍団長殿のお心遣いは明白じゃないですか」
ゴチャック「それはどうだか分からぬが…。
 私は銃を持たない格闘型ロボットゆえ、
 大したお役には立てんかも知れんがよろしくお願いする」

確かに、ゴチャックはその実績からして、
このような役目に決して最適だとは言えない。軽闘士の代わりなど、
もっと下の階級の者にやらせるのが本来ならば筋であろう。
ただ、最近どこか焦りを募らせているクロスランダーを心配して、
バルスキーは敢えて実力・階級が高めで、
性格のしっかりしているゴチャックを目付役に抜擢したのだ。

クロスランダー「その謙遜ぶりがかえって好かんな。
 元は同じ爆闘士だったのが、今は仮とは言え上下関係だ。
 お前としては面白いはずがあるまい」
ゴチャック「貴殿の方こそ随分苛ついておられるな。
 軍団長殿はそれが懸念で、わざわざ私を寄越されたのですぞ」
クロスランダー「ナンバー1ロボットのこの俺が、
 今の現状に心穏やかに甘んじてなどいられるわけがなかろう。
 何としてもシグフェルをこの手で捕らえ、
 ナンバー1の実力を証明しなければ、俺には後がないのだ…!」
ゴチャック「そうした焦りが、
 かえって貴殿の足枷になっている面もあるのではありませぬか。
 ナンバー1の栄誉を手にしたければ、
 まずはその邪魔となる雑念を振り払われよ」
クロスランダー「………」

クロスランダーが押し黙り、会話が途切れたその時、
ゴブリットからシグフェル発見の通信が入った。

クロスランダー「何!? ゴブリットがシグフェルを発見しただと?」
デデモス「はいっ! ゴブリットの奴、
 シグフェルを引き付けながらこっちへ向かっているそうです!」
ゴチャック「運が向いて来ましたな。
 シグフェルをここまで誘き寄せ、我らの手で捕獲すれば…」
クロスランダー「大手柄は俺達のものというわけか。
 いいだろう。ここでシグフェルを迎え撃つ。
 ゴブリットに早くここまで逃げて来いと伝えろ。
 シグフェルを捕らえるのはこの暴魂クロスランダー様だ!」

ナンバー1の宿命を負う、戦功に飢えた暗殺者。
餓狼クロスランダーが今、シグフェルに対してその牙を剥いた。

1395

ゴブリット「ク、クロスランダー様~!」

シグフェルに空から追跡されながら、ゴブリットはほうほうの体で
クロスランダー達の待つ港湾地帯へと逃げ込んだ。

ゴチャック「おう! 来たか」
デデモス「うわぁ…。こっぴどくやられてますよ」
ゴブリット「駄目だ~。シグフェルは強い!」

サーキュラダーを転がり落ちるように降りたゴブリットは、
焼け焦げて自由の利かなくなった左腕を庇いながら
へなへなと地面にへたり込んだ。

クロスランダー「おお、こんな所で会うとは奇遇だなゴブリット。
 何でも、俺の配下から抜けるチャンスを帝王に与えられたそうじゃないか」
ゴブリット「げっ…! あ、いや、それはその…」
クロスランダー「ガタガタ震えるな。怒ってなどおらん。
 それで、その山野とかいう男の抹殺は果たせたのか?」
ゴブリット「それが…。射殺寸前に別の何者かが山野の命を奪い、
 確認のため乗り込んだところでシグフェルと遭遇、
 戦いましたが敵わずこのザマでございます…」
クロスランダー「フハハハハ! そうか、それは災難だったな。
 暗殺の仕事を横取りされ、シグフェル捕獲も失敗では立つ瀬があるまい。
 小物の分際で身の程知らずな夢など見るからそういう痛い目に遭うのだ」
デデモス「(うわ、ひでえ言い方…)」
ゴブリット「そ、そんな事よりシグフェルが!
 シグフェルがもうすぐこっちへ来ますぜ!
 俺一人じゃ全然敵わねえっす。助けて下さいよクロスランダー様!」
クロスランダー「よしよしいいだろう。
 では任務を果たせなかった以上、俺の部下は当分やめられんとして、
 ここは上官たるもの、可愛い部下のために助け船を出してやる。
 ここから先は俺の言う通りにするのだ。分かったな」
ゴブリット「あ、ありがとうございやす…」
デデモス「へっ、ドンマイ」

こうして結局クロスランダーの配下に戻ってしまったゴブリット。
クロスランダーは相変わらず口汚く罵りながらも、
子分が帰って来た事にどこか嬉しそうである。
がっくりうなだれる相方の肩を、デデモスは軽く叩いて慰めた。

ゴチャック「しかし、シグフェルはあのキングダークをも破った難敵。
 果たしてどう迎え撃ちましょう」
クロスランダー「俺に考えがある。
 …いいかゴブリット。こいつを使え」

もはや左腕が動かず、ライフルを持てなくなったゴブリットに、
クロスランダーは自分の二挺拳銃の片方を貸し与えて耳打ちした。

 ◇  ◇  ◇

シグフェル「街をあちこち壊しやがって…。
 逃がしはしないぞ!」

ゴブリットを追って空を飛び、港湾地帯にやって来たシグフェルは、
海沿いの貨物倉庫の前にそのゴブリットが一人立っているのを発見し地上へ降りた。

ゴブリット「よう、待ちくたびれたぜシグフェル。ここで勝負だ」
シグフェル「勝負…?」

クロスランダーから貸し与えられた拳銃を右手に掲げ、
ゴブリットは芝居がかったように言う。

シグフェル「何の事だ」
ゴブリット「ガンファイトさ。知ってるだろ?
 お前さんは銃の代わりに、さっきの炎を使えばいい」
シグフェル「西部劇の真似事か」
ゴブリット「男の決闘って奴よ。やるのかやらねえのか。
 ひょっとしてまさか、この俺と早撃ちを競うのが怖いってわけじゃねえだろうな」
シグフェル「…望むところだ」

決闘の申し出に乗ったシグフェルはゴブリットを正面に見据え、
仁王立ちの姿勢を取る。
そこへ、正午を報せる近くの教会の鐘の音が聞こえて来た。

ゴブリット「あの鐘が鳴り終わったらファイト・スタートだ」
シグフェル「いいだろう…」

鐘が鳴り止んだのを合図に撃ち合う早撃ち対決。
互いに敵の動きを凝視しながら、聞こえて来る鐘の音に耳を澄ます。
拳銃を持った右手をゆっくりと掲げ、射撃の構えを取るゴブリット。
シグフェルも右手の指先をゴブリットに向け、火炎の発射態勢に入る。
そして――。

1396

ゴブリット「――喰らえ!」
シグフェル「――ハァッ!」

教会の鐘が鳴り止んだと同時に撃ち合う両者。
動き出しはシグフェルの方がわずかに早く、
ゴブリットの銃がビーム弾を放つ前に、
指先から直線状に伸びた炎がゴブリットの右手を焼いて銃を叩き落とした。
だが次の瞬間、別の方向から飛んで来たもう一発のビーム弾が、
勝利を確信したシグフェルの胸に炸裂する。

シグフェル「がっ…!?」

不意打ちの一撃を受けてダメージを負い、
地面に膝を突いて崩れるシグフェル。

クロスランダー「フハハハハ! 油断したなシグフェル!
 目の前の敵に気を取られて、物陰にいた狙撃手に気付かんとは!
 一対一の勝負だなどと誰が言った?」

貨物倉庫の陰から現れたクロスランダーが銃を掲げ、勝ち誇ったように大笑する。
シグフェルに右腕までやられて倒れ込んだゴブリットを、
駆け寄ったゴチャックが支えて助け起こした。
デデモスは左手の鉤爪をワイヤーフックのように射出し、
シグフェルの首に引っ掛けて捕らえる。

シグフェル「うっ!」
デデモス「ヒャハハハハ! 
 クロスランダー様、奴を拘束しました」
クロスランダー「よくやったデデモス!
 ゴブリットも囮の役目ご苦労! これで大手柄だ。
 謎の鳳凰シグフェル、この暴魂クロスランダー様が捕らえたぞ!」
デデモス「(いやいや、俺達がでしょ)」
ゴブリット「(手柄はいつも一人占め。
 この宿命からはやっぱ逃れられねえか…)」

ゴブリットが取り落とした自分の銃を拾い、
シグフェルの顔に突き付けてご満悦のクロスランダー。
その後ろで、デデモスとゴブリットは小さく肩をすぼませる。

シグフェル「くっ…! 卑怯だぞ」
クロスランダー「卑怯? フン、青いな。
 戦士たるものはどんな汚い手を使おうが、勝てばいいのだ!」

ガンファイトを真に受けてしまった素直さが仇となった。
本来、シグフェルの優れた感覚能力をもってすれば伏兵に気付けない事はなかったが、
決闘という言葉に騙されて目の前のゴブリットの動きに全神経を集中させていたシグフェルは
隠れていたクロスランダーの存在を察知し損ねたのである。

クロスランダー「ククク…。帝王もこれでお喜びになるだろう。
 帝王のご寵愛も、ナンバー1の名声もまた俺の手に戻る。
 俺は史上最高のガンマンロボット、クロスランダーだ!
 フフフ…フハハハハハ!!」

狂気を帯びたように高笑いするクロスランダー。
だが、その笑い声を空の彼方から聞こえてくる
サイドファントムの爆音がかき消した。

メタルダー「シグフェル!」

シグフェルを追ってサイドファントムで飛んで来たメタルダーの到着である。
地上に降りたメタルダーはサイドファントムのアクセルを踏み込み、
猛スピードで突っ込むと、車体をぶつけてデデモスのワイヤーフックを切断。
更にクロスランダーを撥ね飛ばし、シグフェルの元へ駆け寄った。

メタルダー「シグフェル、大丈夫か」
シグフェル「ありがとう…。あなたはブレイバーズの?」
メタルダー「ああ。メタルダーだ」

シグフェルを助け起こしたメタルダー。
だが二人をすぐに四体の悪の戦闘ロボット達が取り囲む。

クロスランダー「メタルダーめ、いいところに来た。
 貴様も俺がここで倒してやる!」
メタルダー「君と話したい事は色々あるが、
 全てはこれが片付いてからだ。
 まだ戦えるか? シグフェル」
シグフェル「ああ…。もちろんだ!」

全身に気合を入れて立ち上がるシグフェル。
両者が戦闘態勢を取り、今まさにぶつかろうとしたその時…。
突如として空間が歪んで時空クレバスが開き、
次元の向こうから恐るべき異形の怪物が姿を現した――。

1397

○メタルダー→シグフェルを発見し追跡。ネロス軍団員と戦っているシグフェルの救援に入る。
○仰木舞→シグフェルを発見しタクシーで追う。
○北八荒→シグフェルを発見しタクシーで追う。
●クロスランダー→ゴブリットを囮に使いシグフェルを狙撃する。
●ゴブリット→クロスランダーの元へ逃げ込み、囮に使われる。
●デデモス→シグフェルを左手の鉤爪で捕らえるがメタルダーに邪魔される。
●ゴチャック→ゴブリットの代わりにクロスランダーの部下に仮配属。
         シグフェルとメタルダーを包囲する。

○シグフェル→ゴブリットを追跡し戦闘。クロスランダーの狙撃を受けピンチになるが、
         メタルダーに助けられる。


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