『修業!しんせん組対半蔵学院』-3

作者・ユガミ博士

 

 

1000
霧夜「続けて、第2試合を始める。対戦者前へ!」

霧夜の言葉に第2試合を戦うソウシと柳生が前に出た。
先程の戦いを見て、しんせん組の3人は既にバトルコスチューム
となっていた。

霧夜「試合始め!」
柳生「そちらは、戦う準備が出来ているか...ならば忍転身!」

試合が始まると、ソウシの姿を見て柳生は忍転身して番傘を持ち、
マフラーにマントと厚着の格好となった。

武蔵「あの眼帯娘は、なかなか強いと見えるなぁ。」
斑鳩「分かりますか?柳生は一年生ですがその実力は我々3年と
   ひけを取らない程、レベルが高いのです。」

武蔵は柳生を見て、長年強者と戦っていた事から人目で柳生の
実力を見抜き、斑鳩は柳生について説明する。

ソウシ「本当なら、女性と戦う趣味はありませんがお手柔らかに
    頼みます。」
柳生「無駄口はいい。来い。」

ソウシはキザったらしく、柳生にバラを向けて言うが、無駄な事が
嫌いな柳生はかかってこいと言う。

ソウシ「それじゃあ、遠慮無く!」

ソウシは龍の牙による矢を柳生へと向けて、放つ。すかさず、
柳生は番傘でガードして、仕込んでいる銃から銃弾を放つ。

ソウシ「いい、銃弾!?」

ソウシは銃弾に驚き、何とか回避して何本もの矢を放ち続けた。

柳生「無駄だ...」

柳生は矢を掻い潜り、ソウシの懐に入り鳩尾を殴った。

ソウシ「ぐふっ...」
柳生「許せ...」
イサミ「ソウシ君!」
トシ「ソウシ!」

ソウシは柳生からの一撃に気絶する。

霧夜「第2試合、柳生の勝利!」

ソウシの気絶により、第2試合が終了。続けて、第3試合が始まる。

トシ「ソウシの仇を取ってやるぜ!」
葛城「やる気満々みたいだな。ならこっちも忍転身!」

トシのやる気を見て、葛城は忍転身をする。だがその姿は
手足に具足を身に着けているものの、胸を全開にYシャツを
1枚はおり、ボタンを一切掛けていない姿だった。今でも胸が
見えそうである。これには、思春期まっただかの健全な男子には
目に毒ともいえた。

武蔵「おお、あの娘っ子。なかなかの胸じゃのう。」
吼太「武蔵さん、このままだと血圧が上がりますよ(汗)」
さやか「見ちゃダメ~~」
刃「見えない、見えない。」

武蔵は葛城の衣装に興奮し、さやかは刃に見せないよう
手で刃の目を隠す。

葛城「どうした?かかってこないならこっちから、行くぜ!」
トシ「うわぁ!」

葛城は思いっきり、トシに向かって殴りつける。トシは回避するが、
床に穴が開く。

トシ「こっちからも、攻撃しないと...龍の目!」

トシは龍の目をぶつけようとするが、その時、風圧で葛城の
胸が見えそうになる。

トシ「なっ!?」

それによって、バランスを崩してしまい龍の目を蹴りそこなってしまう。

葛城「チャンス!秘伝忍法、トルネードシュピンデル!」

葛城はこれを好機と、ブレイクダンスのような動きで竜巻を起こし
回転蹴りを喰らわせた。

トシ「ぐわぁぁ(...でも、見えた!)」

トシは葛城の必殺技を喰らってしまい鼻血を流してしまう。
しかし、盛大にパンツが見られたのでそれによる興奮か、
まともに技を喰らったせいなのか不明である。

霧夜「第3試合、葛城の勝利!」
鷹介「うわぁ、武蔵さんが鼻血を垂らして気絶している。」
吼太「メーデーメーデー!」

第3試合が終了したが、葛城の技は余計な被害も
起こしたようである。

イサミ「...最低。」

黒子に運び込まれ、満足した笑顔を浮かべるトシを見ながら
イサミは、そうつぶやくのであった。

○花丘イサミ→トシに「最低」とつぶやく。
○雪見ソウシ→柳生に敗北する。
○月影トシ→葛城に敗北するが、その気絶した顔は満足感が溢れていた。
○柳生→ソウシに勝利する。
○葛城→トシに勝利する。
○宮本武蔵→葛城の姿を見て興奮した結果、鼻血を垂らして気絶。
○尾藤吼太→武蔵の容態に黒子を呼ぶ。


『修業!しんせん組対半蔵学院』-4

作者・ユガミ博士

1001
霧夜「それではこれより、本日最後の第4試合を開始する。」

最後に対戦するイサミと飛鳥が前へとやって来る。飛鳥は既に
忍転身を終え、ブレザー姿の格好になっていた。

飛鳥「飛鳥、舞い忍びます!」
イサミ「よ、よろしくお願いします。」

そして試合が始まり、飛鳥は装備している大小の脇差を使って、
イサミを攻撃する。イサミは龍の剣で攻撃をガードする。

刃「頑張れ、イサミ!」
葛城「行けー、飛鳥!」

イサミと飛鳥の戦いを刃や葛城はそれぞれ、応援する。

飛鳥「半蔵流乱れ咲き!」

飛鳥はさらに加速し、縦横無尽に脇差を巧みに振るって攻撃した。
これまでの武蔵や志葉家での修行や稽古の結果、耐える程の
技術を身につけたイサミだったが、苦戦を強いられる。

イサミ「このぉ...」
飛鳥「きゃあ!」

龍の剣にあるルミナタイトがイサミの感情に反応して、
バリアーが張られ、飛鳥をはじき返した。

イサミ「今の内に、てりゃぁぁぁ!」
飛鳥「くっ」

すかさず、イサミは飛鳥に龍の剣を振りかざして攻撃。飛鳥は
しびれながらも、2本の脇差で攻撃を凌いだ。

葛城「飛鳥の攻撃をああも凌ぐとは、見所あるなぁ。」
斑鳩「確かに。修行していけば強くなれるかも...」

葛城や斑鳩は飛鳥に互角に戦おうとするイサミに
可能性を感じて、興味を示す。

数分が経過し、イサミも飛鳥もお互い攻防により服も体も
ボロボロになっていた。

霧夜「...(そろそろ、決着が着くな)」

審判役として見守っていた霧夜は決着がつくだろうと思っていたその時。
イサミも飛鳥もお互い、剣を構え直す。

飛鳥「秘伝忍法、二刀繚斬」
イサミ「はぁぁあ!」

飛鳥は両手にそれぞれ持つ脇差を一度、鞘に収め力を溜めた後、
抜刀と同時にイサミへと切り込む。イサミも龍の剣に力を込める。
そして・・・

霧夜「第4試合、引き分けとする!」

2人の攻撃は、2人とも倒れる事になった。よって、第4試合は
引き分けという形で終わるのであった。

1002

*******

半蔵学院の生徒&しんせん組「「「「「「「ありがとうございました」」」」」」

試合も終わり、飛鳥やイサミ達の目が覚めた後、お互いを健闘して
礼をした。

斑鳩「この次は、私とも戦いましょう。」
イサミ「は、はい。」

今回戦えなかった斑鳩は、イサミと戦いたいとイサミに言う。

葛城「へへ、アタイのパンツはどうだった。」
トシ「う...勘弁してください。かつ姉さん。」

トシは今回の葛城との戦いで、かつ姉さんと呼ぶ事にした。

刃「お前を見ていると、十兵衛を思い出すなあ。」
柳生「俺に似ているのが、いるのか。」

刃は柳生を見ていて、戦友である柳生十兵衛を思い出す。
今彼はどこを旅しているのか...

さやか「あなたの兎、かわいいなあ。」
雲雀「へへ、ありがとうございます。」

何故かさやかは、某月の美少女戦士の様なポーズを
しながら、雲雀の忍兎を可愛いと褒める。

飛鳥「君、強いね。」
天界「僕は、正義の忍者になるって決めたから...」
飛鳥「うん、私もスーパー忍者を目指しているの。お互い、頑張ろう!」

夢に向かって頑張る飛鳥と天界は意気投合する。

霧夜「お前達、今回の修行よく頑張った。」
武蔵「じゃが、トシ、ソウシお前さん達はまだまだ修行が必要じゃな。」
ソウシ「...(自分も、鼻血垂らしていたじゃん)」

霧夜と武蔵は今回の修行で戦ったイサミ達を褒め、トシとソウシは
修行が足りないと武蔵に言われるが、ソウシは心の中で武蔵に
鼻血についてツッコミをいれる。

鷹介「それとおぼろさんが言っていたんだが、近々ブレイバーズに
   参加する少年少女を対象に、南の島でキャンプがあるらしい。
   よかったらイサミ達や天界、参加しないか?」
天界「えっ...」
イサミ「私達もですか?」

鷹介からの知らせに、天界やイサミ達は驚く。

鷹介「イサミ達もこの世界を守る立派な戦士だと思うし、
   それに天界は俺とずっと一緒に旅ばっかしていたから
   同じくらいの年の友達できなかっただろ?だからこれを期に
   お前にも友達つくってほしいんだ。」

天界は見た目は少年だが、その出生は人間によるものでは無く
邪悪の意思から生み出された聖なる意思なのである。
だからこそ、鷹介は天界に同じくらいの年の友人をつくってほしいと思ったのだ。

霧夜「そのキャンプ、お前達も参加するのだ。」
斑鳩「しかし、ブレイバーズとはいえ表の人々。私達、裏の世界の人間が
   参加するのは不味いのでは。」
霧夜「いや、そのキャンプでは巨大メカの持込が禁じられている。
   参加する少年の多くは巨大メカのパイロット達。監督役が付いて
   いるとはいえ、何かあると不味い。そこでお前達は影ながら、
   彼らを助けるのだ。」
斑鳩「なるほど...そういう事なら、了解しました。」

人知れず活動する忍者が、そんなキャンプに参加していいのか
疑問に思う斑鳩だったが、霧夜からの説明に納得した。

霧夜「それに、南の島ならいつぞやの合宿の様に修行となるであろう。」
葛城「やっぱ、そうなるのかよ。」
飛鳥「何だか、燃えてきた!」

修行が好きな飛鳥は心を燃やす。

武蔵「刃、さやか...お主達も頼むぞ。」
刃「はっはっは、任せとけ。」
さやか「南の島か...青い海、白い砂浜、考えただけで楽しそ~!」

武蔵から任された刃は胸をたたいて、任せろと意気込む。
さやかは南の島に思いを馳せるのであった。
何はともあれ、しんせん組の修行は終わりを迎えた。

 

1003

○花丘イサミ→飛鳥と引き分けになる。そして、ブレイバーズのキャンプに参加する事になる。
○月影トシ→キャンプに参加する事になる。
○雪見ソウシ→キャンプに参加する事になる。
○鉄刃→キャンプに参加する事になる。
○峰さやか→キャンプに参加する事になる。
○宮本武蔵→刃とさやかにキャンプの参加を通達する。
○椎名鷹介→天界にキャンプに参加する事を伝える。
○天界→キャンプに参加する事になる。
○飛鳥→イサミと引き分けになる。キャンプに参加する事になる。
○葛城→キャンプに参加する事になる。
○斑鳩→キャンプに参加する事になる。
○柳生→キャンプに参加する事になる。
○雲雀→キャンプに参加する事になる。
○霧夜→飛鳥達にキャンプに参加して、参加する少年達を影ながら
     サポートをするように命じる。


『東京カーチェイス』-1

作者・ユガミ博士

1004

***横浜新都心・アルカディア学園***

高度な「エーアイカー」が開発された事により、子供でも自動車の運転が
出来る様になった昨今、横浜新都心にはエーアイカーの運転を学習できる
アルカディア学園があった。

累「はい、あなたの免許書よ。勇太君」
勇太「ありがとうございます。赤名先生」
駆流「やったな、勇太!」
りんね「おめでとう、勇太君!」

ブレイブポリスの少年警察官である友永勇太は、これまで移動を
デッカードに任せていたが、自分も免許を取りたいという事で、
アルカディア学園で特別に免許の教習を行い、取得した。
因みにアルカディア学園は、実は防衛組織であり、ロゼッタグラフィーの
予言に従い、謎の組織「ゼノン」とロボットに変形する自動車
「ジャイロゼッター」で戦っていた。

教官を務めた赤名累から免許書を受け取り、アルカディア学園の
生徒でゼノンと戦った選ばれしドライバーである轟駆流と稲葉りんねが
祝福した。勇太は教習を通じて、彼らと仲良くなった。

デッカード「おめでとう、勇太。もし、私が動けなくなってしまった場合は
      君に運転を任せるよ」
勇太「任せて、デッカード♪」

ビークルモードで待機していたデッカードも勇太を祝福し、
「運転は任せてくれ」と胸を叩く。

壮太「大変だ、駆流。勇太も一緒に司令室へ来てくれ!」
駆流「どうしたんだよ、壮太!」

駆流と同じ選ばれしドライバーである軍司壮太が慌てて
練習場へ駆けつけ、司令室に来るように言う。
司令室へ行くと、画面には加賀美陸警視総監が映っていた。

勇太「加賀美総監、どうしたんですか!?」
陸「おお勇太君。実は都内で、Gショッカーの傘下である
  宇宙暴走族ボーゾックが暴走行為を働いている。本来なら
  地球署が対処するべき所だが、あいにく他の事件を担当していて
  人員が足りない。そこで、地球署から警視庁に応援要請が下った。
  至急他のブレイブポリスと合流して、現場へと向かってほしい」
勇太「分かりました。至急現場へ向かいます」
久石司令「ここからでは、距離がある。ジャイロアークで送ろう」

加賀美総監からの命令に勇太は了承し、アルカディア学園の司令官
である久石豊司令は勇太とデッカードを現場まで、ジャイロアークで
送ろうと勇太に言う。

駆流「司令、俺達も出撃させてくれ。勇太に協力したいんだ!」
陸「選ばれしドライバーである君達の協力はありがたい。よろしく頼む」
久石司令「ありがとうございます。ジャイロアークにライバード、ドルフィーネ
   ギルティス、デッカードを搭載し出撃だ」
クロード博士「ジャイロアーク出撃!」

加賀美総監の許可を貰い、駆流、りんね、壮太の選ばれドライバー達は
勇太と共にジャイロアークに乗り込み、クロード博士の号令で現場まで
出撃した。

1005

***ジャイロアーク***

勇太「現状はどうなっていますか?」
陸「現在、都内の交通機動隊がボーゾックを追跡し、所定の場所に
  バリケードを張って追い詰めようとしている。君達はそこへ
  向かってくれ」

ジャイロアークに乗り込んだ勇太は通信で、加賀美総監から
現状を聞きバリケードが張られている場所まで向かう事になった。

駆流「俊介やミッチー達がいないけど、ゼツボー的に俺に任せろ!」
りんね「だから、ゼツボーの使い方が違うわよ」

選ばれしドライバーは駆流達の他に、中学生にしてカーレーサーでも
ある速水俊介、大阪出身のミッチーこと羽根充紀、京都出身の高校生
美輪沙斗理の3人がいるが、俊介は現在開催されているレースに出場。
ミッチーも沙斗理も故郷に帰省していて、不在だった。
駆流は「ゼツボー的に任せろ」と勇太に言うが、りんねが言葉の使い方を
間違えていると注意する。そして、ジャイロアークは東京へと向かう。

***葛飾区・亀有***

一方、葛飾区の亀有では名物警察官である両津勘吉が、銀行から
振り込まれた給料を引き降ろして現れた。

両津「へっへっへ、これで新作のゲームが買えるぞ!」
本田「センパ~イ、僕にもゲームをやらせて下さいよ」

両津の後輩で、新葛飾署の交通機動隊に所属する本田速人が
両津に言う。

ビュワーン、ビュワーン

本田「うわぁ、な、何だ!?」
両津「げぇぇぇ、わしの金が...!」

そこへ突如、ものすごいスピードを出す2台の車が両津と本田の前を
通り過ぎた。その時の突風で、引き降ろしたばかりの現金は空へと
吹き飛んでしまう。

YYゴンザ「ん?何かあったか」
YYビンゴ「気にするな。それよりもどっちが、ボーゾック一の走り屋か
     決めようぜ!」

暴走行為を働くボーゾックは、兄YY(ヤーヤー)ビンゴと弟YY(ヤーヤー)
ゴンザのボーゾック一の走り屋兄弟である。黄泉還った2人は、どちらが
ボーゾック一の走り屋かを決めるべく、愛車であるバリランダーに乗り
カーレースを行っていた。

両津「くっそぉぉぉ~、わしの金をよくも!行くぞ、本田」
本田「え~、ちょっと先輩!」

両津は白バイの後ろに乗り込み、本田を白バイに乗せ
ハンドルを握らせる。すると、ひ弱でなよなよとしていた本田が豹変。
筋肉は肥大し、顔つきもメンチのきった顔に変わった。本田は
バイクに乗ると性格が変わり、華奢で気弱な男から凶暴で屈強な男に
変わるのである。

本田「よっしゃぁぁぁ行くぜ。両津の旦那!」
両津「応、行け本田!」

ブロロォォォォォ

本田は白バイのアクセルを吹かせ、両津と共にYY兄弟を追い始めた。

1006

***墨東区***

また場面は変わり、東京都内の墨東区。そこでミニパトに乗って
パトロールをしている婦人警察官の2人、辻本夏実と小早川美幸の
コンビに彼女達が所属している墨東署から無線が入る。

美幸「...異星人による暴走行為ですね?」
課長「そうだ、本庁からの指示で現在暴走行為を働いている
   異星人の暴走グループ・宇宙暴走族ボーゾックの構成員2名を
   所定の場所まで追い詰めるのに協力せよとのお達しだ。頼んだぞ!」
夏実「任せて下さい、課長!」

ビューワン、ビューワン

美幸「あれが、例の暴走車ね...行くわよ、夏実!」
夏実「OK、美幸!」

交通課課長からの指示を聞いた2人は、ちょうど目の前を
走り去ったのでミニパトのサイレンを鳴らして追いかけ始めた。

***移動交番コーバンベース***

シグナルマン「今日も、誰も通らない...」

人気の無い場所にポツンと建っている交番、コーバンベース。
そこに常駐しているのはポリス星から、ボーゾックを追ってやってきた
宇宙警察官シグナルマン。ボーゾックが復活したというので地球へと
来たが、場所が悪いのか今日も事件は起こらず暇だった。

YYビンゴ「どけどけどけ~」
YYゴンザ「邪魔だ、邪魔だどけどけ~」

そこへ砂煙と共にYY兄弟がシグナルマンの前を走り去っていた。

シグナルマン「やや、あれはボーゾック!?貴様ら、本官の目の前で
    スピード違反するんじゃない!」
YYビンゴ「げぇ、あれはシグナルマン!」
YYゴンザ「面倒くさい奴に見つかっちまった。逃げろ~!」

シグナルマンは専用のポリスピーダーに乗り、YY兄弟を追いかけ始めた。
このカーレースの結末はいかに?

1007

○友永勇太→アルカディア学園で、自動車免許を取得。加賀美陸総監からの
         指示で駆流達と共に、ジャイロアーク現場へ向かう。
○デッカード→免許を取得した勇太を祝福する。ジャイロアークに乗って、現場へ向かう。
○轟駆流→勇太を助ける為、ジャイロアークで現場へ向かう。
○稲葉りんね→駆流と共に、ジャイロアークで現場へ向かう。
○軍司壮太→駆流と共に、ジャイロアークで現場へ向かう。
○久石豊司令→勇太、駆流、りんね、壮太を現場まで送るようにする。
○クロード・真島→ジャイロアーク出撃の号令をかける。
○赤名累→勇太に自動車免許書を渡す。
○加賀美陸総監→勇太にボーゾックの事件の対処の命令を下す。
○両津勘吉→YY兄弟が起こした突風で現金を無くす。その怒りで追跡を始める。
○本田速人→YY兄弟を白バイで追跡する。
○辻本夏実→課長からの指示を聞き、YY兄弟を追跡する。
○小早川美幸→課長からの指示を聞き、YY兄弟を追跡する。
○墨東署交通課課長→夏実、美幸に無線で指示を出す。
○シグナルマン・ポリス・コバーン→YY兄弟の暴走行為を見て、追跡する。
●YYビンゴ→YYゴンザとボーゾック一の走り屋を決めるべく、暴走行為を行う。
●YYゴンザ→YYビンゴとボーゾック一の走り屋を決めるべく、暴走行為を行う。

【今回の新登場】
○轟駆流(超速変形ジャイロゼッター)
アルカディア学園初等部5年生。ロゼッタグラフィーに記された最初の
選ばれしドライバー。正義のヒーローに憧れ、プロレスが好きな熱血漢。
「ゼツボー的」というのが口癖だが、使い方を何故か間違えている。
搭乗するジャイロゼッターはライバードSE(シャイニングエディション)
40年後の世界では、科学者になっているらしい。

○稲葉りんね(超速変形ジャイロゼッター)
アルカディア学園初等部6年生で、1歳年上の駆流の幼馴染。
2番目に記されていた選ばれしドライバーで、フィギュアスケートの
オリンピック選手になるのが夢。ツッコミをする時、イナバウアーの
ポーズでツッコむ。搭乗するジャイロゼッターはドルフィーネ。
40年後の世界では科学者であり、駆流と結婚、1児の母となっているが
年齢よりも見た目が非常に若くなっている。

○軍司壮太(超速変形ジャイロゼッター)
駆流、りんねの幼馴染で久石豊司令の実子。幼少時、難病にかかり
海外で療養を受けている際、ゼノンに拉致されイレイザー01として
洗脳されていた。イレイザーの時は駆流と敵対していたが、後に
記憶と理性を取り戻す。搭乗するジャイロゼッターは
ギルティスME(メヴィウスエディション)
40年後は父親そっくりな顔に成長した。

○久石豊司令(超速変形ジャイロゼッター)
アルカディア学園の学園長であり、司令官。軍司壮太の実の父親。

○クロード・真島博士(超速変形ジャイロゼッター)
メヴィウスエンジンとジャイロゼッターを開発した科学者。
ロゼッタグラフィーの研究者で、豊と共にアルカディアを組織した。
大の猫好き。

○赤名累(超速変形ジャイロゼッター)
アルカディア学園の美人教師であり、優秀なオペレーター。
かつてはレースクイーンで夢の為にレーサーへと転進。A級ライセンス
所持者で数々のレースを制覇した経歴を持つ。

○本田速人(こちら葛飾区亀有公園前派出所)
新葛飾署に所属する交通機動隊隊員。普段は少女漫画が趣味で
気弱でおとなしいが、バイクに乗ると屈強で男らしく怖い顔つきに
豹変する。警察官になる前は、関東最大の暴走族のリーダーをしていた。

○辻本夏実巡査(逮捕しちゃうぞ)
墨東署交通課の女性警察官。正義感が強く、明るく豪快な性格をしている。
普段からトレーニングをしているので、人並み外れた体力と怪力を持ち
走っている車のドアを開け、地面に足をつけて補助する「足ブレーキ」が特技。

○小早川美幸(逮捕しちゃうぞ)
墨東署交通課に所属する女性警察官。頭脳明晰で勘が鋭く、
機械いじりが趣味で、車の整備の自分で行う。運転に関しては
暴走壁があり、普段とのギャップが激しい。ホラー映画等怖い物が苦手。

○墨東署交通課課長(逮捕しちゃうぞ)
墨東署交通課の課長。階級は警部。個性は揃いの交通課を纏め、
前線に立つことは少ないが切れ者である。剣道は「墨東署のカマキリ」
の異名を持つ腕前。本名は「花蝶(かちょう)」というらしい。

○シグナルマン・ポリス・コバーン(激走戦隊カーレンジャー)
ボーゾックを追って、地球へとやって来たポリス星の警察官。
移動交番コーバンベースに常駐し、巨大戦では巨大パトカー
サイレンダーで戦う。交通ルールに厳しい堅物だが、かつて
宇宙お笑い選手権に出場した事がある。故郷のポリス星には
妻シグエと息子シグタロウがいる。

●YYビンゴ(激走戦隊カーレンジャー)
「ボーゾック一の走り屋」YYゴンザの兄で自分の走りに自信を持っている。
バリランダーに乗ってグリーンレーサーとレース対決するが
レースの最中ビーム攻撃して、その爆炎で車止めに気づかず、
クラッシュして爆散するという呆気ない最後を遂げた。

●YYゴンザ(激走戦隊カーレンジャー)
YYビンゴの弟で、死んだ兄を引き継ぎ「ボーゾック一の走り屋」となる。
兄の敵討ちをしようとチーキュへ現れ、実の落としたアクセルブレスを
遺品と思い尻尾に身に着けた。バリアクバーに乗る。


『東京カーチェイス』-2

作者・ユガミ博士

1008

***東京都内***

依然として東京中を走るYY兄弟。そのYY兄弟を追う両津と本田だが
見失ってしまった。

両津「くっそ~、あいつら何処にいきやがった!」
中嶋「両さん?両さんじゃないか!それに久しぶりだな、本田」
両津「あ、お前は墨東署の中嶋か!?」
本田「お前、何でここにいるんだ?」

そこへ、白バイに乗って現れたのは墨東署の交通課に所属する
中嶋剣だった。以前から中嶋は両津、本田とは知己の仲である。

中嶋「知らないのか?今、東京中を暴走している異星人2人組を
  東京タワー付近の大通りまで追い詰めろって本庁からの
  命令だぞ」
両津「そんな事になっていたのか...」

本庁からそんな命令が出ていた事等を知らずに追いかけていた
両津達は初めて知る。

中嶋「今、小早川達が追跡している。着いて来るか?」
両津「応、任せた!」
本田「案内頼んだぜ、中嶋!」

中嶋に案内を頼み、両津と本田はYY兄弟の下へと白バイを走らせる。

***東京都内***

陽子「そこの暴走車2台、さっさと止まりな!でないと、撃つわよ」
YYゴンザ「何なんだ、あのチーキュの女は?」
YYビンゴ「俺たちの走りを邪魔するなら、こうだ!」バシューン
陽子「きゃあ!」

場面は変わり、YY兄弟を追おうと泉川署の交通課に所属する
若菜陽子がパトカーで追跡していたがYYビンゴのビームによって
パトカーが壊れ、追跡出来なくなってしまった。

陽子「あんの腐れ宇宙人共~」
夏実「陽子、あんたどうしたの?」
陽子「辻本、小早川!あんた達も、宇宙人追って来たの?」

パトカーを壊され、憤慨していた陽子に夏実と美幸がやって来る。
因みに陽子は前々から、2人と交友関係があり、警察内部の大会で
優勝争いをする仲だった。

陽子「ちょうど、よかった!私のパトカーおじゃんになったから、乗せてよ」
夏実「え~」
美幸「...いいわ、乗って」
陽子「サンキュー」

陽子を後部座席に乗せて、追跡を再開する。

***東京タワー付近***

一方YY兄弟は東京タワー付近の道を猛スピードで走っていた。
その後方には、シグナルマンの乗るポリスピーダーとさらに後方から
ブレイブポリスのガンマックスと地球署の刑事で既に変身を済ませた
デカブレイクが一輪バイクのマシンボクサーで現れた。

ガンマックス「ブレイブポリスの白バイ刑事、ガンマックスだ。
      この先にバリケードが敷かれている。そこまで追い込んでくれ」
デカブレイク「地球署のデカブレイクです。シグナルマン、あなたも手を
       貸して下さい」
シグナルマン「了解、行くぞ~!」

そこへさらに、中嶋に案内されてやって来た両津・本田の白バイと
陽子を乗せた夏実・美幸コンビのミニパトが合流した。

夏実「両さん!?中嶋君と来たの」
両津「応、久しぶりだな。夏実に美幸!」
陽子「げぇ、あんたも来たの?両津勘吉」
両津「お前は若菜陽子!?だぁ~お前と関わると始末書が増えるんだよ」
陽子「それは、こっちの台詞よ!」
本田「喋っていると舌を噛むぜ、両津の旦那」

合流した両津は夏実達に挨拶をするが、陽子とは以前別の事件で
酷い目に合ったらしく、あまり仲はよろしくなかった。

YYゴンザ「増えてるよ、兄ちゃん!?」
YYビンゴ「とにかく走れ、走れ~!」

大所帯で自分達を追っている警察の数に驚く兄弟は捕まるかと
スピードを上げる。

SSパマーン「2人の邪魔はさせないパマン!」

そこへYY兄弟の邪魔はさせまいとSSパマーン率いる
暴走戦隊ゾクレンジャーがバリアクバーや専用のバイクに乗って
両津達の妨害を始めた。

1009 
陽子「いい度胸じゃない、喰らいな!」
両津「わしを怒らせたな!うおりゃ~!」

攻撃してくるゾクレンジャーに陽子と両津は所持している拳銃で、
反撃をする。

シグナルマン「貴様達も、逮捕だ!」
SSパマン「何の!」

シグナルマンは電子警察手帳でもあるシグナイザーを警棒形態の
ポリスバトンモードにして、SSパマンを攻撃するがそれを剣で受けとめる。

???「ここは私達に、任せてくれ!」
SSパマン「誰だパマン!」

上空を見ると、赤いスポーツカーに似たマシン・ペガサスサンダーに
乗ったレッドレーサーと、その後ろをパワーウィンチで連結している
ドラゴンクルーザーに乗る残り4人のカーレンジャー達が現れた。

レッドレーサー「シグナルマン、デカブレイク...ゾクレンジャーの
      相手は私達がする。君達はYY兄弟を追ってくれ!」
デカブレイク「ありがとうございます、カーレンジャーの皆さん」
シグナルマン「協力、感謝する」

ゾクレンジャーの相手はカーレンジャーが引き受け、シグナルマン達は
再びYY兄弟を追う。そして、いよいよバリケードが張られている地点へと
近づいた。そこにはブレイブポリスのビルドチームがスタンバイしていた。

パワージョー「来たぜ!」
マクレーン「ボスはまだ、到着していないが...行くぞ!」
パワージョー&ダンプソン&ドリルボーイ「「「了解」」」

マクレーンの合図にショットガンを発射。パワージョー達も装備している
拳銃で援護射撃を行う。しかし、YY兄弟は止まる気配は無かった。

ガンマックス「このまま、突っ込む気か!?」
本田「どうする、両津の旦那?」
両津「う~む...」
美幸「...私に考えがあるわ」
中嶋「あるのか、小早川!?」
美幸「それはね...」
陽子「...面白いわね。やってやろうじゃない♪」
本田「両津の旦那、しっかり捕まってろよ!」
デカブレイク「頼みます、皆さん」

美幸はその場の全員に作戦を説明する。説明を聞き終えた一同は
作戦を実行した。本田の乗る白バイと小早川が運転するミニパトは
猛スピードでYY兄弟の乗るバリランダーとバリアクバーの前に出た。

YYビンゴ「俺達を抜いただと!?」
美幸「今よ。夏実、陽子!」
夏実「よっしゃぁぁぁぁぁぁあ!」
本田「旦那!」

夏実はドアを開けて、自慢の力で地面に足をつけ強制的に止める
「足ブレーキ」を行う。同じように本田もブレーキを掛け、陽子と両津は
拳銃で素早くバリランダーとバリアクバーのタイヤに前方の穴を開けた。
一方、シグナルマンもガンモードに変えたシグナイザーで後方のタイヤ
に穴を開ける。

YYビンゴ&YYゴンザ「「な、何だとぉ~~~!!」」

ドガァーン

デカブレイク「灼熱拳ファイアーフィスト!」
YYビンゴ&YYゴンザ「「ぎゃぁぁぁあ」」

バランスを崩し、2台ともクラッシュ。すかさずデカブレイクは
マシンボクサーをジャンプさせて、正拳アクセルブローから
熱エネルギーを集め、火炎放射をYYビンゴ、YYゴンザにぶつけた。
夏実達はガンマックスからの連絡を受けたマクレーン達によって、
何とか事故は免れた。

ガンマックス「見事な連携だな」
中嶋「さすがは、小早川の立てた作戦だ!」

ガンマックスはこの作戦の連携を誉め、中嶋は自分の事のように
嬉しかった。

YYビンゴ「...よ、よくも俺達のレースを邪魔してくれたなぁ~」
YYゴンザ「こうなったら、行くぜ兄ちゃん!」

ダメージは負ったが、死んではいなかったYY兄弟はレースを邪魔
された怒りを晴らすべく、芋長の芋羊羹を食べて巨大化した。

シグナルマン「スタンドアップ、サイレンダー!」
デカブレイク「特捜変形、デカバイクロボ!」

シグナルマンとデカブレイクはそれぞれの巨大マシン、サイレンダーと
デカバイクを呼び出して、ロボモードに変形する。それと同時に
宇宙からノリシロンの大軍が現れた。リッチリッチハイカー教授が
バリバリアンから量産化したノリシロンを送ってきたのである。

勇太「お待たせ、皆!ブレイブアップ!ジェイデッカー!
   スーパービルドタイガー!」
駆流&りんね&壮太「「「超速変形!」」」

勇太はデッカードやビルドチームを指令を送り、ジェイデッカーと
スーパービルドタイガーに合体させた。一方、自動車形態だった
ライバード、ドルフィーネ、ギルティスは超速変形によって
ロボットモードとなって出撃した。

1010

○両津勘吉→美幸の指示を聞いて、実行する。
○本田速人→両津を乗せ、美幸の指示を実行する。
○辻本夏実→美幸の指示で、足ブレーキを行う。
○小早川美幸→作戦を立てて、皆に伝える。
○中嶋剣→両津と本田を案内する。
○若菜陽子→パトカーを壊されたので、美幸に乗せてもらう。
         そして、美幸の立てた作戦を実行する。
○陣内恭介→レッドレーサーに変身し、カーレンジャーを率いて、
         助けに来た。ゾクレンジャーと戦う。
○シグナルマン→美幸の作戦を実行する。そしてサイレンダーを出撃させる。
●YYビンゴ→レースを邪魔された怒りを晴らすべく、芋長の芋羊羹を食べて巨大化。
●YYゴンザ→レースを邪魔された怒りを晴らすべく、芋長の芋羊羹を食べて巨大化。
●SSパマン→YYビンゴ、YYゴンザを助けるべくゾクレンジャーを率いて妨害。
         そしてカーレンジャーと戦う。
○姶良鉄幹→デカブレイクに変身して、追跡。美幸の作戦を実行する。
○友永勇太→ジャイロアークで駆けつけて、ジェイデッカーとSビルドタイガーを合体させる。
○デッカード→ジェイデッカーに合体して出撃。
○マクレーン→パワージョー、ダンプソン、ドリルボーイと共に射撃を行う。
         そしてSビルドタイガーへと合体する。
○ガンマックス→YYビンゴ、YYゴンザを追跡。
○轟駆流→ライバードで出撃。
○稲葉りんね→ドルフィーネで出撃。
○軍司壮太→ギルティスで出撃。

【今回の新登場】
○中嶋剣巡査(逮捕しちゃうぞ)
墨東署交通課に所属する白バイ警察官。自称“墨東の白き鷹”
質実剛健だが、恋愛に奥手で小早川美幸に好意を寄せるものの
進展が見られなかったが何とかプロポーズを受けてもらった。
常にサングラスを掛けており、パソコンが苦手。

○若菜陽子(フルメタルパニックシリーズ)
泉川署所属の現場を担当する婦警。美人でスタイルも抜群だが、
犯人逮捕の為なら、パトカーを暴走させて周囲をお構いなしに
追いかける。運動神経抜群で、ボン太くんを着た宗介と壮絶な
銃撃戦を行った。


『東京カーチェイス』-3

作者・ユガミ博士

1011

巨大化したYY兄弟とノリシロンの軍団は、

周辺の建物を破壊して暴れまわる。

デカブレイク「既にボーゾックは、宇宙最高裁判所からデリートの許可は
        出ている。YYビンゴとYYゴンザは僕とシグナルマンが
        相手をしますので、ブレイブポリスとアルカディアの皆さんは
        他のマシンをお願いします」
シグナルマン「了解した!」
勇太「ジェイデッカー、スーパービルドタイガー、他のロボットをやっつけて!」
駆流「よーし、ゼツボー的にこいつらを倒すぞ!」
りんね「うん」
壮太「僕らの機体よりも大きいけど、やるしかないね」

デカブレイクからの指示で、YY兄弟をサイレンダーとデカバイクロボが
相手をし、他のノリシロンをジェイデッカー、スーパービルドタイガー、
ライバード、ドルフィーネ、ギルティスが相手をする。

美幸「私達は、周囲の民間人の避難を行うわよ!」
夏実「了解!」

一方地上にいる美幸、夏実、中嶋、両津、本田、陽子は周囲の人々に
避難をするように呼びかける為、その場を離れた。

駆流「ジェットレーザーキック!」
りんね「とりゃぁぁぁ!」
壮太「ブリザードストーム!」

駆流のライバードはジェットレーザーキックで、ノリシロン数体を蹴り倒し、
りんねの乗るドルフィーネはフィギュアスケートを滑るように移動し、
ノリシロンを牽制。そして、壮太のギルティスはブリザードストームで
ノリシロンを凍らせていく。

ジェイデッカー「Jバスター!」
スーパービルドタイガー「タイガーキャノン!」

ジェイデッカーもスーパービルドタイガーもそれぞれの装備で
ノリシロンを攻撃していく。

シグナルマン「サイレンバルカン!」
デカブレイク「スリーブソード!」
YYゴンザ「何の!」
YYビンゴ「喰らえ!」

サイレンダーとデカバイクロボは装備している剣で、YY兄弟を攻撃。
負けじとビームを繰り出して反撃する。

中嶋「ここは危険です、離れて下さい!」
本田「ここからは渋滞になる。慌てずに迂回してくれ!」

地上の方では、中嶋や本田は白バイに乗りながら、避難活動を行う。

陽子「こっちに瓦礫の下敷きになっている人がいるわ!」
両津「よ~し、持ち上げるぞ夏実!」
夏実「OK、おうりゃぁぁぁ!」
ガンマックス「俺も、手伝うぜ」

両津と夏実は瓦礫の下敷きになっている人を自慢の怪力で
持ち上げて、救い出す。ガンマックスも同じように、周囲の
瓦礫を持ち上げて、補助を行うのであった。

1012
駆流「ファイナルバースト、轟雷天翔斬!」
スーパービルドタイガー「タイガービーム!」

駆流とスーパービルドタイガーは、残りのノリシロンに必殺技で一掃する。

ジェイデッカー「ガンマックス、私達も行くぞ!」
ガンマックス「よし、頼むぜ!」

ジェイデッカーに呼ばれ、避難活動をしていたガンマックスは
愛機ガンバイクと共に変形・合体して、マックスキャノンとなり、
ジェイデッカーと合体する。マックスキャノンでビームを発射して、
残りのノリシロンを倒した。

WWゴンザ「ノリシロンが、全部壊されちまったぞ兄ちゃん!」
WWビンゴ「こうなったら、逃げるぞ!」
シグナルマン「させるか、ワッパガン!」

シグナルマンはサイレンダーに装備しているワッパガンで
2体を逃げられないように拘束する。

デカブレイク「ソードトルネード!」
YYビンゴ&YYゴンザ「「ぎゃぁぁぁあ」」

そこへデカブレイクはデカバイクロボの必殺技ソードトルネードで
トドメを刺した。

SSパマン「2人が倒されてしまった...撤収だパマン!」
レッドレーサー「待て!」

近くでカーレンジャーと戦っていたゾクレンジャーだったが、YY兄弟が
倒されたのを見て、その場の戦闘から引き上げる。

デカブレイク「これにて、一件コンプリート!」

事件を起こしたYY兄弟をデリートして、デカブレイクはいつもの
台詞で、事件の幕を下ろした。

1013

○ジェイデッカー→ガンマックスと合体して、マックスキャノンでノリシロンを撃破する。
○スーパービルドタイガー→ノリシロンをタイガービームで撃破する。
○ガンマックス→避難救助を行った後、マックスキャノンとなり、
           ジェイデッカーと合体してノリシロンを撃破する。
○轟駆流→ライバードでノリシロンを撃破する。
○稲葉りんね→ドルフィーネでノリシロンを牽制する。
○軍司壮太→ギルティスでノリシロンを凍らせる。
○両津勘吉→瓦礫の下敷きになっている人を救助する。
○本田速人→避難誘導を行う。
○小早川美幸→避難誘導を行う。
○辻本夏実→瓦礫の下敷きになっている人を救助する。
○中嶋剣→避難誘導を行う。
○若菜陽子→避難活動を行う。
○姶良鉄幹→デカバイクロボで、YY兄弟を倒す。
○陣内恭介→ゾクレンジャーと戦っていたが、逃げられる。
○シグナルマン→サイレンダーでYY兄弟と戦う。
●YYビンゴ→サイレンダーとデカバイクロボに倒される。
●YYゴンザ→サイレンダーとデカバイクロボに倒される。
●SSパマーン→YYビンゴとYYゴンザが倒されたので、他のゾクレンジャー
          と共に倒される。


『東京カーチェイス』-4

作者・ユガミ博士

1014

***デッカールーム***

陸「勇太君、そしてブレイブポリスの諸君、この前の事件はよくやって
  くれた。地球署のドギー・クルーガー署長からも感謝のメッセージが
  届いていたよ」
勇太「ありがとうございます、加賀美総監」
デッカード「これも、アルカディアや都内の所轄の警察官の皆さんのおかげです」
  
後日、勇太達は、加賀美総監から先日の事件について感謝の言葉が
送られた。

ドリルボーイ「でも、この前の事件は凄かったね。特にあのボーゾックの
       暴走車を止める所♪」
マクレーン「ええ、さすがは美幸さんと夏実さんですね」
ガンマックス「あの姉ちゃん達を知っているのか?」
マクレーン「はい、御2人は以前自衛隊に出向していた事がありまして
      その事を、尾上一佐から教えていただきました」

マクレーンは自衛隊の一等陸佐である尾上せいあによって、以前から
辻本&小早川コンビについて知っていた。

シャドウ丸「そうでなくても、あの2人は警察内部でも有名だからなあ。
       それに一緒に追跡していたのは新葛飾署の始末書で有名な
       両津巡査長に、交機の本田、墨東の白き鷹・中嶋剣、
       泉川署の若菜陽子...これに特車2課の大田巡査を加えれば
       名物警官オールスターズになったんだがなあ」
ダンプソン「戻っていたのでありますか。シャドウ丸」
勇太「お帰り、シャドウ丸」
シャドウ丸「戻ってまいりました、チビボス殿」
勇太「また、チビボスって言う~」

いつの間にかデッカールームに戻っていた忍者刑事・シャドウ丸が
両津達名物警官の事を口にする。そして、シャドウ丸はからかい半分で
勇太に帰還の挨拶をする。

陸「ご苦労、シャドウ丸君。調査を頼んでいた地球教についてだが...」
シャドウ丸「...こちらが、地球教に関わっていると思われる人物のリスト
      です。もっとも、三輪防人以下ロゴスの息がかかっていた連中が
      日本から撤退したゴタゴタに便乗して、逃げたのが大半ですがね」

シャドウ丸は加賀美総監からの任務で、地球教に関する極秘調査を
行っていて、その調査したデータを加賀美総監に渡す。

陸「ご苦労...ブレイバーズが発足され、現在多くの組織が一丸となって
  巨悪から人々を守ろうとしている。我々警視庁も足並みを揃えて、
  犯罪から人々の平和を守るのだ!」
ブレイブポリス一同「はい!」
陸「そこでだ、近々ブレイバーズに参加する少年少女の交流を目的とした
  南の島でのキャンプが行われるという...警視庁を代表して勇太君も
  参加してみないか?」
勇太「僕がですか?」
陸「うむ、それに参加する子供達も君の友人が多い。きっと楽しいキャンプ
  となるだろう」
勇太「...分かりました、友永勇太キャンプに参加します!」

加賀美総監から、キャンプについて聞かされた勇太は少し考え、
ビシッと敬礼して参加する事を決めた。

陸「はっはっは、そうかしこまらなくてもいいよ」
デッカード「...大丈夫か、勇太?」
パワージョー「もしかしたら、幽霊がでるかもしれねえぞ~」
勇太「もう、大丈夫だって!脅かさないでよ」

勇太が南の島に行くというので、デッカードは心配してパワージョーは
幽霊のモノマネをして勇太をからかうが、勇太は大丈夫だからと
キャンプの参加を決めるのであった。

1015

***亀有公園前派出所***

大原部長「先日の暴走事件解決に際し、よくやった両津」
両津「はっ、ありがとうございます。これも一重に私の警官としての血が
   騒いだ事によるものだと自負しています」
中川「...そんな先輩に頼みがあるのですが」
両津「わしに?」

亀有公園前派出所でも、両津は大原部長からこの前の事件で
「よくやった」と褒められていた。そこに中川から両津に頼みがあるという。

両津「何ぃ~、わしにキャンプの手伝いをしてくれだと?」
中川「はい、先輩なら以前にも子供達のキャンプを立派に引き受けて
   くれたので、僕の会社がスポンサーをしているブレイバーズの
   キャンプのスタッフをお願いしたいのです。勿論、お礼は出します」
両津「例のヒーロー軍団か...」
麗子「引き受けたら、両ちゃん」
大原部長「こういう時こそ、お前の出番だぞ!」
両津「...よし、分かった引き受けてやる。その代わりちゃんと礼は
   はずめよ!」

両津は中川からのキャンプのスタッフをしてほしいという依頼を
引き受けた。

中川「分かってます。それサポートとして、ボルボさんと左近寺さんにも
    お願いしますので」
両津「確かに...あの2人なら何かあっても生きていけるだろうなぁ。
   (特にボルボ...)」
本田「大変だ、両津の旦那!...左近寺さんが足を骨折しました!」
両津「何だと!?」

両津の他にも中川はボルボと左近寺にもスタッフを頼もうとした矢先、
本田が白バイで駆けつけて、左近寺が足を負傷した事を伝える。
(因みに白バイに乗っていたが、降りたので口調が変わった)

***新葛飾署***

左近寺「...スマン。うっかり足を踏み損ねて、階段から落ちてこの様だ」
両津「何をやっているんだ、お前は!」

足の負傷を聞きつけて、両津達は右足を包帯でギブスをしている
左近寺の下へと駆けつける。

中川「困りましたね」
ボルボ「う~む」
ジョディー「ハ~イ、どうしたの?」
ボルボ「あっ、ジョディー来ていたのか!?」ドキ

どうしようかと悩んでいた時に、ボルボの彼女で現役のアメリカ海軍で
あるジョディー・爆竜・カレンがたまたま新葛飾署に遊びに来ていた。
ジョディーの登場に思わずボルボはドキっとする。

両津「そうだ、ジョディーに頼もう!」
ボルボ「えっ!?」

両津はジョディーのサバイバル技術を思い出し、事情を説明する。

ジョディー「OK、その頼み引き受けるわ!」
両津「本当か!」
中川「ありがとうございます!」
ボルボ「...いいのか、ジョディー?」
ジョディー「Ofcource 腕が鳴るわ。...それに年の離れた友人から
      面白い子がスタッフに参加するって聞いたしね」
ボルボ「?」

事情を聞いたジョディーは、快く了承する。どうやら、このキャンプに
ついては知っていたらしい。

果たして南の島のキャンプで、どのようなメンバーが集まり
どのような展開が待っているのであろうか?

1016

○加賀美陸警視総監→ブレイブポリスに労いの言葉を送る。また、
               シャドウ丸から地球教に関する情報を手に入れる。
○友永勇太→キャンプの参加を決める。
○シャドウ丸→調査していた地球教に関する情報を渡す。
○両津勘吉→中川から、キャンプのスタッフを頼まれ引き受ける。
○中川圭一→両津にキャンプのスタッフを頼む。
○本田速人→左近寺が負傷した事を伝える。
○左近寺竜之介→足を負傷する。
○ボルボ西郷→キャンプのスタッフをする事になる。
○ジョディー・爆竜・カレン→事情を聞いて、キャンプのスタッフを引き受ける。

【今回の新登場】
○シャドウ丸(勇者警察ジェイデッカー)
ブレイブポリス所属の忍者刑事。ニヒルで一匹狼を気取るが
実は寂しがりやな所がある性格をしている。覆面パトカー、
ジェット機、警察犬、戦車、ブレイブキャノンといった多段変形が
できる。犬ではなく狼だと名乗り、勇太の姉・友永あずきにだけは
頭が上がらない。勇太を「チビボス」と呼ぶ。

○ジョディー・爆竜・カレン(こちら葛飾区亀有公園前派出所)
アメリカ海軍の所属する爆竜大佐の娘。ボルボのガールフレンドであり、
空母カール・ヴィソンで発艦士官をしている。母親に似て、巨乳ブロンド
美女でボルボの交際相手だが、女性免疫が無いので、目に毒である。
プロ級の料理の腕前を持ち、一時期演歌歌手デビューをしている。


『地球の女王(クィーン)』-1

作者・ティアラロイド

1017

***秩父山中***

人通りの少ない奥秩父の寂しい山道。
ここで仮面ライダー1号・本郷猛と同じく仮面ライダー2号・一文字隼人の二人は、
ある人物たちと待ち合わせをしていた。

本郷「来たか…」
一文字「………」

現れたのは数人の部下を率いた二人の男女。
それはアンチショッカー同盟日本支部のリーダーである
木暮精一郎と石神千恵だった。
後ろ盾だった南雅彦が失脚し、アンチショッカー同盟は現在、
活動規模の縮小を余儀なくされている。
本郷や一文字とは、ゲルショッカーとの戦いの時
以来の再会である。

木暮「お久しぶりです。本郷さん、それに一文字さん」
千恵「それともこうお呼びした方がいいかしら。
 伝説の仮面ライダー1号、2号と…」
一文字「俺たちの正体はとうの昔に知ってるってわけだ」
本郷「それならば話は早い。悪いことは言わない。
 ロゴスなどとは一刻も早く縁を切ることだ」
木暮「…もし断れば、今すぐこの場で我々を逮捕して
 一網打尽というわけですか?」

そこへ、周囲一帯をくまなく調べていた
アンチショッカー団員の一人が木暮にそっと耳打ちする。

アンチショッカー団員「木暮さん、周囲に警察官は一人もいません」
木暮「なにっ!?」
一文字「やれやれ、俺たちも随分と信用されてないな」
木暮「本郷さん、一文字さん、どうやら我々は
 あなた方を誤解していたらしい…」
本郷「では、復讐のための戦いからは身を退いてくれるんだな?」
千恵「残念ですけどそうはいきませんわ」
一文字「おいおい…!」
木暮「私たちにはそう言うが、本郷さん、一文字さん、
 あなた方は自分の身体を勝手に機械に変えたショッカーへの
 復讐が目的ではないんですか?」
一文字「確かに俺たちの中にも復讐心がこれっぽっちもないと言えば
 嘘になるがな。でも復讐のための戦いなんてやめとけ。
 経験者が言うんだ。復讐の闘いなんてろくなもんじゃないぞ!」
千恵「ご心配頂かずとも、もうすでに私たちはロゴスとは縁を切りました」
本郷「なにっ?」
木暮「向こうは我々を利用していたつもりかもしれないが、
 我々の方も地球至上主義者の連中を利用していたんですよ。
 実は聖居に近いさる御方が私たちの新たな飼い主となって
 くれましてね。しばらくはそこに世話になるつもりです」
本郷「それは聖天子様付きの首席補佐官・天童菊之丞のことか…?」
木暮「――!!」
千恵「――!!」

本郷の指摘に木暮と千恵の表情が変わる。

本郷「その反応から見て、図星のようだな」
一文字「おい本郷、誰だその天童菊之丞ってのは?」
本郷「いや、俺も直接会った事はない。天童菊之丞――
 ――あの江田島平八氏と肩を並べるほどの実力者でもある
 日本を代表するフィクサーの一人だ」
木暮「さすがは本郷さん、何もかもお見通しのようですな」
本郷「天童は一筋縄ではいかない人物と聞いている。
 そんな男の側にいては、今度こそ火傷程度ではすまないかもしれんぞ」
木暮「ご忠告は感謝します。ですがこれ以上の議論は
 平行線のようだ」
千恵「本日のところはこれで失礼します」
本郷「………」
一文字「………」

一礼して去って行くアンチショッカー同盟たち。
それを本郷も一文字も、ただ黙って見送るしかなかった。

一文字「おい、どうする本郷?」
本郷「天童菊之丞はガストレアに強い憎しみを抱いているそうだ。
 そしてその憎しみは"呪われし子供たち"にも向けられている
 と聞いている。天童個人の不毛な復讐に巻き込まれなければ
 いいんだが…」

1018

本郷猛と一文字隼人によるアンチショッカー同盟への説得が
不首尾に終わったその頃…。

***東京千代田・聖居(皇居)***

徳川家康が築いた江戸城。
明治維新後の慶応4年(西暦1868年)、当時の元勲・大久保利通の主導により、
明治天皇が京都から江戸改め東京に入り、以来、日本国の歴代の天子の居城である。

家康の側近・天海僧正は徳川幕府の永代にわたる存続を祈願して、
上野山に寛永寺を建立したが、この寛永寺こそ江戸城の東北方、
つまり鬼門封じのために建てられたのである。
京都の比叡山延暦寺と同様に上野山という龍脈の突端に建てられた寛永寺は、
おそらく江戸城の鬼門除けとしては最強であった。
天海はまた、東北と正反対である西南の方位、
つまり裏鬼門に当たる場所に芝の増上寺を建て、裏鬼門除けとした。

まさに聖居は、現代の魔物たる怪人・怪獣の類を寄せ付けぬ、
見えない霊的な力によって今も固く守護されていたのである。

◇  ◇  ◇

シスタージルを退けた後、未だよく事情を飲み込めぬままの
セーラームーンこと月野うさぎは、仲間たちと共に黒塗りの高級車に乗せられ、
お堀を渡ってあっという間に聖居の中へと案内された。

ありす「お待ちしておりました。月野うさぎさん」
うさぎ「えっと、貴女は…?」
ありす「これは申し遅れました。私は四葉ありすと申します」
うさぎ「あ、どーも…はじめまして、月野うさぎです」
ありす「その格好のままでは、ご拝謁も叶いません。
 まずはこちらの部屋でお召し替えを」
女官「お連れの方は、しばしこちらにてお待ちください」

亜美たちを控の間に残し、うさぎは訳もわからぬまま高価なドレスに着替えさせられ、
四葉ありすと名乗った自分と同じお団子頭の少女と、同じく同行するリリーナ・ドーリアンに案内され、
慣れないハイヒールに悪戦苦闘しつつも、絢爛豪華な洋風ゴシック建築の廊下をなんとか必死に歩く。
そして連れて来られたのは、正殿・松の間であった。

ありす「聖天子様、月野うさぎさんをお連れいたしました」
聖天子「ご苦労様です」

待っていたのは、真っ白なドレスに身を包んだ、
優雅な物腰の、自分と同じ年頃に見える美少女だった。

うさぎ「…えっと…誰?」
リリーナ「………」

この場にレイやまことがいれば、
またも確実に「ニュースくらい見ろ!」と突っ込まれていたことだろう。
しかし側にいる四葉ありすもリリーナ・ドーリアンも高貴な生まれゆえか、
うさぎの反応に少しも動じる様子もなく説明する。

ありす「この御方は聖天子様。日本国の国家元首であらせられ、
 剣桃太郎内閣総理大臣よりも偉いお方です」
うさぎ「ええええ~~っっ!!!!」

ありすの紹介に腰を抜かすうさぎ。
聖天子は居住まいを正すと、手を組んでにっこりと微笑む。

聖天子「はじめまして、お会いできて光栄です。月野うさぎさん」

1019

***聖居・控の間***

美奈子「うさぎちゃん、遅いわね」
まこと「だいぶお話に時間がかかってるみたいだね」
亜美「まさか聖天子様からうさぎちゃんにお呼びがかかるなんて…」

亜美たち4人は、時折侍従から差し出されるお茶を啜りつつ、
先刻からずっと控の間で待機していた。

レイ「それにしても星野君たちはいつ地球に?」
夜天「こっちの星のニュースでも報道していただろう。
 星間評議会の特使が地球を訪問中だって」
亜美「じゃあ、星間評議会の特使というのは、
 あなたたちだったの!?」
美奈子「あれからみんなどうしてたの?」

ギャラクシアとの戦いを終えて別れた後の事を聞かれ、
星野たちはその後のいきさつを語り始める。
復活したキンモク星へと無事帰還した彼(彼女)たちであったが、
その復興の道のりはやはり苦難を極めるものであった。

星野「そんな俺たちに手を差し伸べてくれたのが、
 ジュリアス・カミュエル高等弁務官さ」
美奈子「カミュエル高等弁務官…それって
 星間評議会の偉い人?」
大気「かなり近寄りがたい雰囲気のする方でしたが、
 キンモク星が異例の速さで復興が進んだのも、
 カミュエル高等弁務官の手腕のおかげです」
夜天「今回のブレイバーズ設立計画を具体的なところまで
 進めることができたのも、カミュエル高等弁務官による
 ところが大きいね」
亜美「それほどの方が遠い宇宙の向こうにいるのなら、
 一度お会いしてみたいわ」
まこと「…で、さっきまでの茶番は、あたしたちを
 そのブレイバーズにスカウトするための腕試しってわけかい?」
ハニー「厳密には少し違うわ」

ここで如月ハニーたちが説明に入る。

ハニー「貴方たちに所属してほしい組織の名はプリンセス・ユニオンよ」
レイ「プリンセス・ユニオン…?」
まろん「略してPU。ブレイバーズの戦士たちを側面から支える後方支援組織よ」
ももこ「広義で言えばPUもブレイバーズに含まれるんだけど…」
まこと「なんであたしたちがそのPUとやらに?」
ハニー「それは――」

1020

***聖居正殿・松の間***

うさぎ「あたしが地球の女王に即位ぃぃ~っ!?」
ありす「なにも驚かれることはないはずです。
 貴女が30世紀の未来において地球を治める
 ネオ・クィーン・セレニティとなられることは、
 貴女自身もよくご存知のはずですわ」
うさぎ「それはそうだけど…。
 でもその事をどうしてあなたたちが?」
ありす「蛇の道は蛇…ですわ」

うさぎの疑問に対して、ありすはにっこり笑ってはぐらかす。

リリーナ「すでにこの件は世界王様会議にて内々に可決され、
 日本の聖室は勿論の事、英国女王陛下やバチカンのローマ教皇猊下も
 全てご承知です」
聖天子「日本人から次代の地球国王が輩出されることを嬉しく思います」
うさぎ「…ちょ、ちょっと待ってください! まだ心の準備が…」

いきなりの想像もしていなかった展開に戸惑ううさぎ。
確かに自分が将来ネオ・クィーン・セレニティになることは、
未来からやって来たちびうさから聞いて知っている。
しかしこんなに早くその話が来るとは思ってもみていなかったのである。
思えば、自分がいつクィーンとして即位するのか、
ちびうさからは全く聞いていなかった。
自分の能天気さを改めて呪ううさぎであった。
そんなうさぎの手を、聖天子は優しくとって宥める。

聖天子「うさぎさん、戸惑うお気持ちはよくわかります。
 ここは一度、当代の地球国王陛下にお会いしていただけませんか?」
うさぎ「…えっ?」
聖天子「今から地球国王のおわすキングキャッスルへ参りましょう」
うさぎ「ええええ~~っっ!!!!!!!」

今度は亜美たちを聖居に残したまま、
聖天子に連れられたうさぎは強引に成田へ直行させられる。
目指すは地球国王の居城・キングキャッスルの所在地、中の都である。

1021

○本郷猛→アンチショッカー同盟に活動停止を説得するが、不調に終わる。
○一文字隼人→アンチショッカー同盟に活動停止を説得するが、不調に終わる。
△木暮精一郎→本郷と一文字の説得を拒否。新たに天童菊之丞に雇われる。
△石神千恵→本郷と一文字の説得を拒否。新たに天童菊之丞に雇われる。
○月野うさぎ→聖天子に拝謁。その後、成田から飛行機で中の都へ向かう。
○水野亜美→聖居で、新組織プリンセス・ユニオンについて説明を受ける。
○火野レイ→聖居で、新組織プリンセス・ユニオンについて説明を受ける。
○木野まこと→聖居で、新組織プリンセス・ユニオンについて説明を受ける。
○愛野美奈子→聖居で、新組織プリンセス・ユニオンについて説明を受ける。
○星野光→水野亜美たちに、ギャラクシアとの決戦後に別れた後のいきさつを語る。
○大気光→水野亜美たちに、ギャラクシアとの決戦後に別れた後のいきさつを語る。
○夜天光→水野亜美たちに、ギャラクシアとの決戦後に別れた後のいきさつを語る。
○如月ハニー→水野亜美たちに、新組織プリンセス・ユニオンについて説明する。
○日下部まろん→水野亜美たちに、新組織プリンセス・ユニオンについて説明する。
○花咲ももこ→水野亜美たちに、新組織プリンセス・ユニオンについて説明する。
○四葉ありす→月野うさぎを聖天子の許までエスコート。
○リリーナ・ドーリアン→月野うさぎを聖居まで案内。その後、彼女や聖天子と共に
 成田から飛行機で中の都へ向かう。
○聖天子→闘争の系統世界では日本は分裂していないため、東京エリアのみならず
 日本全体の国家元首であり、現実の天皇に相当する存在。月野うさぎと対面した後、
 彼女と共に成田から飛行機で中の都へ向かう。

【今回の新規登場】
○聖天子(ブラック・ブレット)
 ガストレア戦争により日本が五つに分断されたエリアの一つ、東京エリアの三代目統治者。
 「呪われた子供たち」と「奪われた世代」の共生を模索する名君。里見蓮太郎のことを
 信頼しており、個人的にも慕っている。


『地球の女王(クィーン)』-2

作者・ティアラロイド

1022

***中の都・キングキャッスル***

成田空港から飛行機に乗っておよそ9時間。
世界地図上のちょうど真ん中に位置する"中の都"。
地球連邦の精神的支柱である国王の居城の所在地である。
大統領府や連邦議会のあるダカールが政治的首都なら、
中の都は地球の文化的首都であると言える。

うさぎ「………」
アステリア「どうしたの? 落ち着かない様子ね」
うさぎ「いや、まだその心の整理が…(汗」
アステリア「いい加減腹を括りなさい。
 いずれ地球人口70億人が、貴女の双肩にかかることになるのよ」
うさぎ「亜美ちゃんたちに黙ってきちゃったけど、
 大丈夫かなあ…」
リリーナ「貴女以外のセーラー戦士の皆さんには、
 別に如月ハニーさんたちから重要な説明があります。
 ですからご心配には及びません」

リリーナと聖天子も同行する中、アステリアと呼ばれる
外見は10歳くらいながら随分と貫禄のある物腰の美少女に案内され、
月野うさぎは国王の間へと連れてこられた。

アステリア「ここよ」

開かれた大きなドアを潜ると、中で待っていたのは犬型地球人の初老の男性、
そしてマントを羽織った屈強な体つきの壮年の男であった。

リリーナ「国王陛下、月野うさぎさんをお連れいたしました」
聖天子「国王、ご無沙汰しております」
国王「これは聖天子様、ようこそおいでくだされました」
聖天子「ご紹介します。こちらが月野うさぎさんです」
うさぎ「ど、どーも…月野うさぎです。よろしくお願いします(汗」
国王「ハハハ…緊張するのも無理はないが、
 まずはリラックスしたまえ」

気さくな性格の国王は、うさぎたちにソファへの着席を勧める。

国王「さぞかし驚かれたことだろう。半ば強引にこの場に
 お連れしたことはこの通りお詫びする」
うさぎ「あ…いえ…そんな…お気になさらずに」
アステリア「今日貴女をここに呼んだのは、将来の地球の女王候補として、
 そろそろ帝王学の勉強を始めてもらうためよ」
うさぎ「そんな…いきなり帝王学だなんて言われても、
 あたしには政治の事なんてさっぱり…」
リリーナ「地球の国王には連邦政府の大統領と違って政治の実権はありません」
うさぎ「そういうことじゃなくって……」

1023

ダンテツ「地球の王たる資格を持つためには、地球のメロディを
 聞き入れることが必要だ」

先ほどから国王と一緒にいた、マントを羽織った屈強な男――桐生ダンテツが口を開く。

うさぎ「あの…こちらの方は?」
リリーナ「この方は桐生ダンテツ。この方も地球の王(キング)たる称号を持つ御方です」
うさぎ「地球の王…地球のメロディ…」
ダンテツ「お前はまだ地球のメロディを聞いたことはないのか?
 ならば地球の声を聞き入れるための修練が必要だ!」
アステリア「貴女にはそのために、新組織プリンセス・ユニオンの
 行動隊長となって戦ってもらうわ」
うさぎ「プリンセス・ユニオン…?」

プリンセス・ユニオン、略してPUとは、ブレイバーズを側面から支える
後方支援組織であり、その上層部は世界の王侯貴族、VIP令嬢等で構成されている。

リリーナ「これまで地球の平和を守ってきたヒーローたちは、
 政治権力の世界とはなるべく一線を画してきました。
 ヒーローたちの持つ力を強大です。それを人間同士の
 醜い権力や利権上の争いに利用されることを恐れてきたからです」
アステリア「でもこれからはもうそうも言っていられないわ。
 今後は国家機関も民間も一致協力して、巨大な悪の脅威に立ち向かう必要がある…」
聖天子「貴女にはその象徴的存在となっていただきたいのです」
うさぎ「あたしが…?」

未だ戸惑ううさぎに、聖天子が優しく語り掛ける。

聖天子「うさぎさん、いずれ今の聖居は貴女にお譲りし、私は聖室父祖伝来の地である京都に戻ろうと思っています」
国王「貴女以外に適任者はいない。是非引き受けてください」
うさぎ「………」

***日本・東京麻布 月野家***

その後、日本に帰国し自宅へと帰ったうさぎは、
すぐさまその日の夜に国際電話で海外へとかけた。
電話の相手は勿論、海外留学中の恋人にして未来の夫、地場衛である。

うさぎ「ねえ、どうしたらいいと思う、まもちゃん?」
衛@電話の声「うさこ自身はどうしたいんだ?」
うさぎ「…どうしたいって言われても、そりゃあ、
 叶うことならこれからも普通の女の子として
 何事もなくみんなと楽しく穏やかに暮らしたいけど」
衛@電話の声「だけどなうさこ、その普通の女の子としての暮らしも、
 もし地球が悪の手に落ちれば打ち砕かれる」
うさぎ「………」
衛@電話の声「お前の力を必要としている人たちがいるんだ。
 引き受けてみたらいいんじゃないかな。レイちゃんや亜美ちゃん
 たちもいる。勿論俺も出来る限りお前を支える。お前は一人じゃない」
うさぎ「…わかった。実はあまり気は進まないんだけど、考えてみる」

1024

一方、その頃…。
地球から遠く離れた、遥か銀河系の彼方。

***ザンギャック本星・皇帝の宮殿***

アクドス「………」

居城・謁見の間の玉座で、Gショッカーから送られてきた親書に
黙々と目を通す皇帝アクドス・ギル。

バッカス「叔父貴、Gショッカーは何を言ってきやがった?」
アクドス「フフフ…表裏六柱の至高邪神め、
 噂のブレイバーズとやらに相当手を焼いておるらしい。
 是非ともザンギャック帝国の力を借りたいと
 向こうから頭を下げて申し出てきおった」
バッカス「その申し出を受けるのか?」
アクドス「ワルズ・ギルを総司令官として、遠征軍を派遣する。
 すでにダマラスにその準備を進めさせてある」
バッカス「……(チッ、またワルズのボンボンか)」
アクドス「ワルズ・ギルがGショッカーの次期創世王に指名されれば、
 労せずして我がザンギャックは、失われてしまったかっての
 広大な植民星の数々を取り戻すことができよう!」


***同宮殿 バッカス・ギルの私室***

バッカス「チッ、面白くねえっ!」

バッカス・ギルは憂さを晴らすように
酒瓶の中身をぐいぐいと飲み干す。

この宇宙創世以来おそらく初となるであろう、三次元宇宙の制圧まで
あと一歩まで進んでいたといわれる宇宙帝国ザンギャック。
海賊戦隊ゴーカイジャーの活躍によって二度目の地球遠征にも失敗し、
皇帝アクドス・ギルと皇太子ワルズ・ギルが戦死した結果、
それによって生じた政治空白によって内部崩壊を起こしたのはご承知の通り。

そのザンギャック帝国を建て直し、勢いに乗って本星に乗り込んできた
ゴーカイジャーを返り討ちにした功労者が、他ならぬこのバッカス・ギルなのであるが、
先帝であるアクドスとワルズの父子が黄泉がえりにより復活し、
皇帝と皇太子の地位にそれぞれ復位した今、バッカスの立場は微妙なものになっていた…。

エンター「ご機嫌斜めのご様子ですね、バッカス・ギル殿下」
バッカス「エンターか。これが飲まずにいられるか!
 アクドスの叔父貴とワルズのボンボンが返り咲いて以来、
 俺は部屋住み同然の飼い殺しよ」

ヴァグラスの幹部エンター。ヴァグラス首領メサイアのアバター(分身体)だが、
以前より知略に長け、メサイアから独立した後は独自にザンギャック帝国や
デーボス軍ともコネクションを築くなど、なかなかの謀略家でもある。

エンター「私には不思議でなりません。どうみてもワルズ殿下より
 バッカス殿下、貴方の方が明らかに優秀で能力をお持ちなのにです。
 アクドス陛下は何をお考えなのでしょう?」
バッカス「エンター、てめえは"バカな子ほど可愛い親心"ってヤツを知ってるか?」
エンター「Quoi?」
バッカス「優秀な人材とやらがかえって邪魔になることだってある。
 叔父貴は可愛い可愛いバカ息子のために、いずれ"優秀な"俺様を排除に
 動くかもな。だがそうはさせねえぜ。ひっく…!!」

1025

○国王→月野うさぎと対面。うさぎにPU行動隊長就任を要請する。
○聖天子→キングキャッスルまで月野うさぎに同行。うさぎにPU行動隊長就任を要請する。
○リリーナ・ドーリアン→キングキャッスルまで月野うさぎに同行。

うさぎにPU行動隊長就任を要請する。
○桐生ダンテツ→月野うさぎにPU行動隊長就任を要請する。
○アステリア・リーザマリー・ド・ロシュフォール→月野うさぎにPU行動隊長就任を要請する。
○月野うさぎ→地球国王と対面。PU行動隊長就任を要請される。
○地場衛→国際電話で月野うさぎから相談を受ける。
●アクドス・ギル→表裏六柱の至高邪神の要請に応え、再び地球遠征軍派遣を決定する。
●バッカス・ギル→叔父アクドス・ギルに対して含むところがある様子。
●エンター→バッカス・ギルと通じている。

【今回の新規登場】
○地場衛=タキシード仮面(美少女戦士セーラームーンシリーズ)
 黒髪で長身の好青年。タキシード仮面としてセーラー戦士達を見守りサポートする。
 クールかつやや意地悪な性格で、月野うさぎとは出会うごとに軽口を叩くような関係だったが、
 前世の記憶を取り戻すうちに恋仲となる。

○桐生ダンテツ=二代目キュウリュウシルバー(獣電戦隊キョウリュウジャー)
 桐生ダイゴの父で、ダイゴの信念である「竜の道」を説いた人物。
 賢神トリンにとって「キング」と称される存在。実はダイゴが赤ん坊の時に
 地球から発せられた大地の光を浴び、地球のメロディを聞き入れることの
 できる能力を得た人物であり、トリンやドクターウルシェードと連絡を取りながら、
 能力を使って秘石やオカリナを探し当てていた。

●皇帝アクドス・ギル(海賊戦隊ゴーカイジャー)
 自らを「全宇宙を支配する偉大な皇帝」と称するザンギャック帝国の支配者。
 戦闘ではアクドソードという大剣を武器に使い、肩からは火球を発射する。

●新司令官バッカス・ギル(特命戦隊ゴーバスターズVS海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE)
 ザンギャック帝国の新司令官。皇帝アクドス・ギルの甥に当たる。
 酒好きで、性格は短気。態度も常に荒々しい。

●エンター=エンター・ユナイト(特命戦隊ゴーバスターズ)
 ヴァグラスの幹部。フランス語を交えて話すのが特徴。通常は人間の姿で社会に暗躍し、
 亜空間にいるメサイアを人間界に出現させる為に必要なエネトロンの奪取を狙う。
 専用のノートパソコン型端末を所持しており、ディスプレイ横のスロットに
 メタウイルスカードを読み込ませ、無機物にウイルスプログラムを
 インストールすることで、メタロイドの作成とデータの転送を行う。
 メサイアカードを取り込んだことで、強化形態=エンター・ユナイトへと変身する。


『聖天子と目黒の秋刀魚』-1

作者・ティアラロイド

1026

***赤坂・某高級料亭***

桜井「こ、これは…!?」

客間の畳の上に並べられた、自分と女性とのみだらな光景が収められた
写真の数々に呆然とする男…。

この男の名は桜井三郎。36歳。妻子あり。
財務省の将来を約束されたキャリア官僚であり、
現在は聖居に聖天子付きの近習として出向中の身である。

関口「これがマスコミの手に渡る前に我々の手で押さえたから
 よかったようなものの、もしこれが明日のスポーツ紙の
 一面にでも載ったりしたら…」
桜井「せ、関口さん、私はいったいどうしたら!?」

桜井とテーブルを挟んで向こう側に座っている、
「関口」と呼ばれた恰幅の良い中年男。
EP党の党首を務める傍ら日本政界に隠然たる勢力を持ち、
そして暗黒結社ゴルゴムの人間メンバーという裏の顔も持つ、
衆議院議員・坂田龍三郎に仕える筆頭秘書である。
坂田が政界でのし上がるための、裏のダーティーワークの
一切を取り仕切ってきたのもこの男なのだ。

関口「桜井さん、耳を貸したまえ」
桜井「…は、はい!」

慌てて側に近寄る桜井に、関口はそっと耳打ちをする。

桜井「そ、それは…!」
関口「聖天子様の側近、天童菊之丞は外遊中で日本を離れている。
 この計画を実行に移すのは今しかない」
桜井「しかし…」
関口「君の将来の事は坂田先生も大変ご心配なされて
 いるんだよ。やってくれるね?」
桜井「わかりました…」
関口「よしっ、これで話は決まった!」

関口は手を叩いて合図し、芸者たちを呼び寄せた。
にこやかにお酌を始める芸者たち。しかしお酌を受ける立場の
桜井は最後まで浮かない顔だった。

1027

***東京千代田・聖居***

進講とは天皇や貴人に対し、学者が学問の講義をすることである。
その日、聖天子は某有名大学から高名な女性経済学者を聖居に招き講義を受けていた。

女性学者「以下の通り、4月の消費増税後の個人消費の回復に明暗が出始めたざます。
 3月までの駆け込みが大きかった自動車や住宅関連の消費が低迷する一方、
 衣類などの身の回り品や外食分野は持ち直してきたざます」
聖天子「安定した雇用環境などを背景に、景気の回復が途切れる
 可能性は少ないと見てよさそうですね」
女性学者「さすがは聖天子様、その通りざます」

女性学者は聖天子に相槌を打ちつつ講義を続ける。

女性学者「増税前に駆け込みが大きかった分だけ、増税後に消費が落ち込むのは
 想定の範囲内ざます」
聖天子「ですが物価高による所得の目減りが、消費の逆風になるとの懸念
 も強まってきているのではありませんか?」
女性学者「さすがは聖天子様、その通りざます」
聖天子「………」

さっきから自分のご機嫌をとってばかりの女性学者に
嫌気が差した聖天子は、突然席を立つ。

聖天子「もうやめにしましょう」
女性学者「聖天子様、いったいどちらに!?」
聖天子「先程から何かと言えば"さすがは聖天子様、その通りざます"の繰り返し…。
 皆私に気兼ねして追従ばかりしています!」
女性学者「お、お待ちください聖天子様!
 決してそのようなことは!」

そのような事があった日の午後、内閣総理大臣・剣桃太郎は宮中へと参内し、
聖天子に対して内奏(国政の報告)を行なった。

聖天子「よきようにはからってください」
桃太郎「陛下、アジア・アフリカ各国とのバラニウム貿易協定に関わる
 重要な案件にございます。何卒お目通しを」
聖天子「あなた方内閣の決定したことです。粗忽はないでしょう」
桃太郎「…恐れ入ります」

聖天子は午前の進講での事もあり、その表情はどこか鬱屈としている。

聖天子「剣総理、何か面白いことはありませんか?」
桃太郎「…ハ?」
聖天子「進講の相手は追従ばかり。国政はあなた方内閣の
 思う通りです。退屈しないほうがおかしいでしょう…」
桃太郎「………」
聖天子「総理、あなたは時折夜な夜な民情視察に出ているそうですね?」
桃太郎「夜な夜なは恐れ入ります」
聖天子「たまには私も連れて行きなさい」
桃太郎「陛下、世の中は未だ世情不安にございます。
 どうか決してお忍びなどは…」
聖天子「前大戦終結後の混乱期、お母様と東京エリアの各地を
 回っていた頃が懐かしいです」
桃太郎「………」

桃太郎は深く一礼して退室した。
それと入れ替わりに近習の桜井三郎が入ってきた。

桜井「聖天子様に申し上げます。今宵私、宿直(とのい)にござりますれば、
 お忍び、お供させて頂きます」
聖天子「そうですか!」

聖天子は桜井の言葉に、まるで水を得た魚のように
顔満面に喜びの表情を露にした。

1028

その日の夕方…。

***東京麻布・月野家***

育子「さあ、ご飯が出来たわよ」
進吾「へえ、今日は秋刀魚かあ…」
うさぎ「美味しそう…」

その日の月野家の夕食の食卓に上がったのは、
秋刀魚の香ばしい塩ふり焼きだった。

進吾「おい、バカうさぎ。口から涎が垂れてるぞ」
うさぎ「涎なんか垂らしてないわよ! うっさいわね!」

姉のうさぎをからかう弟の進吾。
その時、電話が鳴り、育子が応対に出る。

育子「もしもし、月野でございます。
 まあ火野さん? ちょっと待っててね。
 うさぎ、火野さんからお電話よ!」
うさぎ「レイちゃんから? なんだろう…」

育子から受話器を受け取り、電話に出るうさぎ。

うさぎ「あー、もしもしレイちゃん?
 …え、宮内庁から連絡が? それって…」

その翌朝…。

***火川神社***

聖天子「それでは皆さん、今日一日、うさぎさんをお借りします」
亜美「うさぎちゃん、くれぐれも聖天子様に粗相のないようにね…」
うさぎ「もうっ、大丈夫だったら♪」
レイ「…本当かしら」

近習の桜井を連れ、密かに聖居の外へお忍びで出た聖天子は、
火川神社で月野うさぎたちと待ち合わせをしていた。

聖天子「それではうさぎさん、参りましょうか?」
うさぎ「はい、聖天子様」

亜美たち内部太陽系4戦士たちが、それは露骨に心配そうに見送る中、
聖天子とうさぎを乗せた黒塗りの高級車は火川神社から出発していく。

聖天子「それではうさぎさん、今日はまずどこに行きましょうか?」
うさぎ「…う~ん、どこって言われても。あ、そーだ!」

1029

***矢吹コンツェルン本社・会議室***

高見沢「ではどうあっても、推挙は受け付けないと言われる訳ですか」
矢吹「………」

高見沢グループ総帥・高見沢逸郎は、自分も出資者の一人である立場をよいことに、
他の出資陣に対してブレイバーズ指導部への人事介入のゴリ押しを認めさせようとしていた。
高見沢は自分の息のかかった人間を、ブレイバーズ中枢に送り込むつもりらしい。
しかし矢吹郷之助以下、出資陣たちは頑として高見沢の要求に首を立てに振ろうとはしない。

万丈「そもそも高見沢さん、貴方は誰をブレイバーズの参謀本部に据えようと
 しているんですか?」
高見沢「それは今は申し上げられない。私からの要求をお聞き届けくださると
 確約いただけるなら話は別ですが」
矢吹「高見沢君、どこの誰ともわからない人間を参謀本部に推挙などはできんよ」
高見沢「つまり、その名を明かしたところで私からの推挙を聞き届けるつもりなど
 最初からないということですな」
万丈「そのようにお考えになられても結構です」
高見沢「なにっ…!」

睨みあう破嵐万丈と高見沢逸郎。見えない火花が激しくぶつかる中、
仲裁で間に入ったのは、ブレイバーズ出資陣の中でも矢吹郷之介に次ぐ
年長者である鴻上光生である。

鴻上「まあまあ、高見沢さんも悪気があるわけでもなし。
 ここはブレイバーズの総司令官に内定しているタシロ提督に
 お引き合わせしてもよいのではありませんかな」
高見沢「さすがは鴻上さん、他の方々より話がよくわかるお人だ。
 で、タシロ提督は今どちらに?」
鴻上「地球から遠~く離れた、冥王星です」
高見沢「………」

つまりこれは、要求を聞いてもらいたければ、
タシロ提督のいる冥王星近くのイカロス基地まで
わざわざ距離をかけて往復して来い――すなわち、
お前の要求なんか聞き入れる用意はないと遠まわしで
暗に示唆しているのである。

高見沢「狸どもがっ…! 話にならん。帰らせてもらう」

高見沢は怒って席を立って退室した。

鴻上「やれやれ、高見沢さんにも困ったものですな」
万丈「あの男が裏でGショッカーと繋がっているのは間違いない。
 だが証拠がない以上、出資メンバーから追い出すわけにもいかない」
矢吹「しばらくは高見沢逸郎に要注意せねばならんな…」

1030

***麻布十番商店街 ゲームセンター・クラウン***

うさぎ「えいっ! やあっ!」
聖天子「いやっ! そこっ!」
蓮太郎「………」

その日、里見蓮太郎は呆然とその光景を見つめていた。
今朝いきなり社長の天童木更から呼び出され、緊急の護衛依頼だと聞いて来て見れば、
目の前で日本の天子と地球の次期女王候補が一緒になって、それはもう楽しそうに
モグラ叩きやクレーンゲームに興じているのである。

まだ月野うさぎ=セーラームーンが次期地球女王候補に推戴されたという事実は世間一般には報道されていない。

しかし蓮太郎は民警であるという職業柄、そうした国際政治の裏情報には接する機会は多々あるのだ。

蓮太郎「…おいっ、ちょっとアンタ」
うさぎ「…え、なに?」

蓮太郎は脇からコッソリうさぎの服の袖を引っ張る。

うさぎ「えっと…確か里見蓮太郎くんだっけ?
 あたしは月野うさぎ。ヨロシクね♪」
蓮太郎「ヨロシクね♪じゃねーよ! アンタ…セーラームーンなんだろ?
 こんなところに聖天子様を連れ込むだなんてどういうつもりだ!?」
聖天子「よいのです、里見さん。
 今日は庶民の皆さんの普段の暮らしをこの目で見たくて、
 私の方から無理を言ってうさぎさんにお願いしたのです。
 そもそも庶民の楽しみを知らずして、何が政(まつりごと)でしょう」
蓮太郎「ジジイが帰ってきたら大目玉だぞ」
聖天子「菊之丞さんがいない今だからこそ、滅多にない機会なのです」

聖天子付きの主席補佐官であり、江田島平八と並ぶ日本のフィクサーと恐れられる
天童菊之丞は現在、重要な公務で海外歴訪中のため日本から離れている。

延珠「二人だけでズルいのだ! 妾も一緒に混ぜるのだ!」
聖天子「では次はあちらのスロットゲームに参りましょう」
うさぎ「さんせーい!」

聖天子とうさぎに混じって、蓮太郎の相棒である
イニシエーター・藍原延珠までも遊び始める。
もうこうなっては蓮太郎にも手がつけられない。

…だが、その様子を少し離れたところから
シューティングゲームに熱中していた一人のゲーマー青年が
偶然目撃していたことには誰も気づいていなかった。

芝浦「アレは確か…」


***高見沢グループ本社・応接室***

東條「まさか。聖天子が街中のゲーセンなんかにいるわけがないじゃないか」
芝浦「でもアレは確かに聖天子だったぜ。ニュースや新聞で
 顔は何度も見ているんだから間違いない」
東條「夢でも見ていたんじゃないのかい?」

聖天子が街中にいた、いないで芝浦淳と東條悟が口論しているところへ、
二人の飼い主である高見沢逸郎が姿を現した。

芝浦「高見沢さん、戻っていたんですか?」
高見沢「話は聞かせてもらった。そいつぁ間違いなく聖天子本人だろう」
芝浦「…え!」
東條「…!?」
高見沢「聖天子は元々知見に優れ、頭脳もある女だ。
 それが剣桃太郎以下内閣閣僚が働けば働くほど浮き上がってしまう。
 ちっとは羽を伸ばしたいはずだ。この件、使えそうだな…」

1031

○聖天子→お忍びで東京視察に出る。
○剣桃太郎→聖天子に内奏する。
○月野うさぎ→聖天子のお忍びのお供をする。
○火野レイ→宮内庁から内々の連絡があり、月野うさぎに電話する。
○月野育子→火野レイからの電話を、娘のうさぎに取り次ぐ。
○月野進吾→姉のうさぎと一緒に夕食に秋刀魚の塩焼きを食べる。
○里見蓮太郎→聖天子のお忍びのお供をする。
○藍原延珠→聖天子のお忍びのお供をする。
○矢吹郷之助→高見沢逸郎からのブレイバーズ指導部人事要求を突っぱねる。
○鴻上光生→高見沢逸郎からのブレイバーズ指導部人事要求を突っぱねる。
○破嵐万丈→高見沢逸郎からのブレイバーズ指導部人事要求を突っぱねる。
●高見沢逸郎→芝浦淳から聖天子目撃情報を聞く。
●芝浦淳→偶然、お忍びの聖天子を街中で目撃。
●東條悟→芝浦淳から聖天子目撃情報を聞く。

●関口秘書→桜井三郎をハニートラップにひっかけ、手駒とする。
●桜井三郎→スキャンダルをネタに関口に脅され、聖天子をお忍びに誘い出す。

【今回の新規登場】
○里見蓮太郎(ブラック・ブレット)
 勾田高校に通う2年生。天童木更が社長を務める「天童民間警備会社」の
 プロモーターでもある。相棒であるイニシエーター・藍原延珠と共に、
 危険な任務を引き受け、数々の死地を潜り抜けていく。
 肉体をサイボーグ化されている。

○藍原延珠(ブラック・ブレット)
 ガストレアウィルスを体内に宿す「呪われし子供たち」の一人。
 超人的な能力を秘める、ちょっとオマセな10歳。相棒の里見蓮太郎に
 懐いていて、天童木更を恋敵として認識している。

○鴻上光生(仮面ライダーオーズ)
 巨大財団・鴻上ファウンデーションの会長。見た目によらず人当たりは良いが、
 常にハイテンションで、グリードのアンクを口先だけで手玉に取るほどのしたたかさも持っている。
 物事の誕生に価値を見出し、その原動力が欲望にあると考え、欲望を全肯定する。
 しかし本人の「欲望は世界を救う」という言も、決して悪意によるものではなく、
 彼独自の哲学から来る信念である。見た目と行動が胡散臭く見えるものの、
 実は良い人であり、火野映司=オーズを様々な局面からサポートしてくれた。趣味はケーキ作り。

○月野進吾(美少女戦士セーラームーンシリーズ)
 月野うさぎの弟で小学生。姉の事を普段は「バカうさぎ」などと呼び捨てにすることが多いが、
 その姉が正体とも知らずセーラームーンに関しては大ファンを公言している。


●関口(闘争の系統オリジナル)
 坂田龍三郎代議士に仕える公設第一秘書。坂田が政界でのし上がるための
 裏のダーティーワークの一切を取り仕切ってきた男。

●桜井三郎(闘争の系統オリジナル)
 聖居で聖天子に使える宮内庁の近習。私生活で借金と女性問題を抱えており、
 その隙を突かれてハニートラップに引っかかり、坂田龍三郎の飼い犬となった。
 今シナリオ限りのオリジナルキャラクター。


『聖天子と目黒の秋刀魚』-2

作者・ティアラロイド

1032

***代議士・坂田龍三郎邸***

高見沢逸郎は芝浦を連れ、聖天子お忍びの情報を、
EP党の党首として政界に隠然たる勢力を持つ
坂田龍三郎のところへ持ち込んだ。

坂田は言うまでもなく、暗黒結社ゴルゴムの人間メンバー。
その席には、坂田に仕える公設第一秘書の関口、
そして人間の婦人に姿を変え、同じく坂田邸を訪れていた
ゴルゴムの大神官ビシュムも同席している。

坂田「ハハハッ、聖天子様がゲームセンターにな。
 ふふふ…そろそろ功を奏してきたと見えるな」
関口「聖天子お傍のご近習、桜井三郎なる者、
 密かに坂田先生のご内意を受けましてな」

聖天子に外出を勧めた近習の桜井三郎は、
実は坂田を介してGショッカーと内通していたことを、
関口は高見沢に打ち明ける。

坂田「聖天子がお忍びで街を出歩けば、きっと何かが起こる」
高見沢「そこを捕らえて、聖天子ご乱行の故をもって、ご退位をお勧め申し上げる。
 坂田先生のお心うちはそのようかと。聖天子を襲撃する。さすれば聖天子は名乗りを上げる。
 それが公になれば、剣桃太郎以下内閣の総退陣は必定…」
ビシュム「そしてその後釜にはGショッカーの息のかかった人間を据える。
 血を流さずして日本を手に入れる。シャドームーン様もお喜びになられるでしょう」
高見沢「聖天子と一緒にいた連中というのは?」
ビシュム「聖天子のお供をしていた女子高生というのは、おそらくセーラームーン。
 あとの二人は民警に違いありません。その者たちは始末しておしまいなさい。
 聖天子もお忍びなどというご酔狂が過ぎてのご災難。ふふふっ…」
坂田「高見沢さん、後の差配は貴方にお任せしましょう」

ビシュムと坂田たちは高見沢と芝浦を残し、部屋から退室していく。

芝浦「高見沢さん、ゴルゴムの策に乗るんですか?」
高見沢「お前や東條は気に食わないだろうが、
 ここは奴らの策に乗れ。――紙忍一族!」

高見沢の一声とともにサッと姿を現した忍び装束の集団。
暗殺や汚い犯罪工作を生業とする紙忍一族である。

紙忍一族頭領「紙忍一族、これに控えおりまする」
高見沢「妖魔一族からの紹介で、高い報酬を払って雇っているんだ。
 その分、充分に役に立ってもらうぞ。聖天子を密かに見張り、
 お忍びを公にするんだ」
紙忍一族頭領「委細承知!」

1033

***目黒界隈***

数日後、聖天子は近習の桜井のほかに
また月野うさぎ、里見蓮太郎、藍原延珠の3人を連れ、
再びお忍びで聖居から外出した。
今日は目黒不動尊でお参りである。

大本堂の前で5人が手を合わせてお参りしていると、
いきなり「グーッ」と誰かのお腹のなる音が…。

延珠「わ、妾ではないぞ!」
うさぎ「……(///)」
蓮太郎「お前かよ…」
うさぎ「う、うっさいわね…」

蓮太郎はジト目でうさぎを見つめ、
うさぎはそれを恨めしそうに睨み返す。

聖天子「うふふ、そういえばそろそろお腹がすいてきましたね」
桜井「それではそろそろお帰りを」
聖天子「なりません。あそこにちょうど茶屋があります。
 あそこで皆でお食事にしましょう」

その竹の子茶屋では…。


***竹の子茶屋***

ペンギン帝王「今日は常日頃からの皆の労苦をねぎらい、
 私が昼食をおごろう。存分にやってくれ!」
マイケル「わーい、久しぶりの外食だ!」
リッツ「帝王様ありがとう!」

竹の子茶屋の一席では、異様なペンギンの姿の一団と人間の金髪の女の子一人が、
テーブルの上に並べられた人数分の秋刀魚(サンマ)定食を目の前にして涎をたらしていた。
宿敵・美容室プリンスとの数々の激闘を経て和解に至り、元いた平行世界へと
帰っていったはずのペンギン帝国ご一行である。
どうやらリッツの里帰りもかねて、再びこちら側の世界に戻ってきているらしい。

そこをたまたま通りかかった聖天子が、何かに青ざめて引き攣ったような表情で
ペンギン帝王をじっと見つめている。

聖天子「………」
ペンギン帝王「なんだ娘、我々に何か用か?」
聖天子「…そ、その声は、剣総理!」
ペンギン帝王「なにっ!?」
デニス「ツルギソウリ??」
ジェイク「あの日本の総理大臣の剣桃太郎だと!」
聖天子「ゆ、許してください剣総理! 私はただ…」
ペンギン帝王「失敬な! 私をあんな奴と一緒にしないでもらおうか!」
聖天子「……え?」
ペンギン帝王「私の顔をよーく見てみろ。私の方がずっと男前だろう」
蓮太郎「…え~っと、ちょっと失礼」

見かねた蓮太郎がすかさず間に入る。

蓮太郎「聖天子様、剣総理大臣がペンギンなわけないだろう」
聖天子「えっ、この方は剣総理ではないのですか?」
ペンギン帝王「当然だ!」
リッツ「ちょっとアンタ、誰だか知らないけど、
 ペンギンさんたちに下手な言いがかりはよしてくれる!?」
蓮太郎「お食事中邪魔して悪かったな。勘弁してくれ」

蓮太郎はペンギンたちにペコリと頭を下げて詫びを入れると、
速やかに聖天子を連れてその場から離れた。

ジム「なんだったんでしょうか今のは?」
ネルソン「世の中には不思議な人もいるもんですねえ…」

        ・
        ・
        ・
        ・
        ・

聖天子「でも里見さん、あのペンギンさんたちの股間のところから
 生えているアレはなんなのでしょう?」
蓮太郎「聖天子様、世の中には知らないほうがいいこともあるんだ。
 今見たのは全て忘れろ」

1034

聖天子「でも今のペンギンさんたちが食していた料理は
 とても香ばしくてよい匂いがしました。あれはなんと言う魚ですか?」
桜井「あれは秋刀魚という、貧しき庶民の食する卑しき下魚にございます。
 聖天子様がお召し上がるようなものではございません」

今の桜井の言葉にカチンとくる蓮太郎とうさぎ。

うさぎ「……(秋刀魚が卑しき魚ですって! あんなに美味しいのに!)」
蓮太郎「……(この野郎! いつももやし炒めしか食べてない俺と延珠に謝れ!)」

内心憤慨しつつも、じっとコラえて口には出さない二人であったが、
桜井の心無い言葉に聖天子が一喝!

聖天子「黙りなさい。あなたは戦場で他に食するものがないとき、
 あれは卑しき下魚だからと言って、何も食べずに飢え死にを選ぶのですか!?」
桜井「ハッ、も…申し訳ございません! 恐れ入りました!」
うさぎ「……(さすが聖天子様♪)」
蓮太郎「……(聖天子様よく言った!)」

聖天子の一言に桜井はたちまち恐縮し、
蓮太郎とうさぎは心の中で拍手喝采し溜飲を下げる。

延珠「お~いっ、ご主人、秋刀魚定食4人前頼むのだ♪
 おい近習、おぬしは秋刀魚はいらぬのだよな?」
桜井「うっ…!」

こうして桜井を除いた4人の前に、焼きたての秋刀魚定食が運ばれてきた。
宮中料理に出るような高級の鯛や平目と違って真っ黒に焼けた長き魚、
欠けた皿に大根おろし、じゅ~~と音をあげる醤油。

聖天子「秋刀魚は目黒で獲れるのですか?」
うさぎ「はいはい、秋刀魚はこの辺りの名物なんですよ」

それを聞いていた蓮太郎は、うさぎにそっと耳打ちする。

蓮太郎「おい、お前今知ったかぶりで答えただろう?」
うさぎ「…え、なんで!?」
蓮太郎「海に面してない目黒区で魚が獲れるわけないだろう…!」
うさぎ「あ、そっか…(汗」
蓮太郎「おいおい…」

聖天子は最初いぶかしそうに食べ始めたが、旬のものだから不味い訳はないし、
その上目黒一帯を散歩し身体を動かした後の空腹に青空の下。

聖天子「これは美味です!」

すぐにお代わりを注文する聖天子。すっかり身も心も満腹した様子である。

1035

食事を終え精算を済ませ、
店外へと出た聖天子たち一行は、たまたま目黒をジョギングしていた
山地闘破・学兄弟と出くわした。

闘破「アレっ!? うさぎちゃんじゃないか?」
うさぎ「あ、闘破さんに学くん!」

セーラームーンと磁雷矢は、実は数日前に
ブレイバーベースでのヒーローたちの自己紹介で顔を合わせている。

蓮太郎「…知り合いか?」
うさぎ「紹介するわ。こちらは戸隠流の山地闘破さんに弟の学くん」
闘破「どうも」
学「こんにちわ!」
蓮太郎「……(…戸隠流の忍者か。だとすると
 コイツらもブレイバーズの一員か。)」
闘破「で、うさぎちゃん、こちらの方たちは?」
うさぎ「えっと、こちらは…」
蓮太郎「――!!」
うさぎ「…痛っ!?」

危うく聖天子の身分を明かしそうになったうさぎを、
蓮太郎が背後から慌ててうさぎの肘をつねって遮る。

闘破「うさぎちゃん…?」
桜井「申し訳ありません。我々は急ぎますので、
 ご挨拶はまた後日改めまして」
聖天子「ごきげんよう」

聖天子一行はまるで逃げるかのように
そそくさと黒塗りの高級車の中に乗り込み立ち去っていった。

闘破「今の人は確か…」

1036

***坂田龍三郎邸***

坂田「ハハハ、聖天子様が秋刀魚をな。これは面白い」

今日一日聖天子の動向を密かに監視していた紙忍一族の下忍から
報告を受ける坂田龍三郎たち。

高見沢「しかし剣桃太郎によく似た声のペンギンというのが腑に落ちん…」
ビシュム「ただの偶然です。他人の空似でしょう」
高見沢「やはり別人か…」
坂田「剣総理はアジア・アフリカ諸国とのバラニウム貿易協定に関連して、
 このところ毎日、各国大使と会食が続いている。そんなことはない筈だ」


***武神館***

その日、戸隠流忍法道場・武神館には一人の客が訪れていた。
哲山の弟子の一人であり、表向きの顔は人材派遣会社「フォグブルー」の
代表取締役を務める織田八重である。

八重「ご無沙汰しております。哲山先生」
哲山「八重さん、よく来てくれた。こちらでも話は聞いている。
 いろいろと大変だったろうが、元気そうで何よりだ」
八重「フォグブルーもおかげさまで活動を再開する目処がつきましたので、
 本日はそのご報告に挙がりました」
ケイ「今日はゆっくりして行ってくださいね」

そこへちょうど、闘破の言いつけで先に一人だけ武神館へと戻った学が
見てきた事の一部始終を哲山に報告した。

学「それでどこかで見た顔だなと思って、
 兄ちゃんはもしかしたら聖天子様じゃないかって」
ケイ「まさか、あまりに突飛過ぎるわよ。
 聖天子様は毎日の多忙なご公務と国事行為で、
 とても聖居の外を出歩く時間なんかないはずよ」
哲山「…あるいはな」
ケイ「お父さん…??」
哲山「学、この事を他の誰かに話したか?」

哲山の問いに、学は首を横に振る。

学「兄ちゃんも俺も、まだ誰にも話してないよ」
哲山「よし。この事はくれぐれも他言は無用だ。わかったな」
八重「哲山先生、私からもそれなりに事情を探ってみましょう」
哲山「申し訳ないがよろしく頼む」

哲山はその後、どこかへと電話をかける。

哲山「もしもし、私だ。内閣安全保障室の土橋さんを頼む」

1037

翌日…。

***聖居***

目黒で秋刀魚を食して以来、聖天子は聖居に帰ってからも
秋刀魚が頭から離れ無くなってしまった。
すっかり秋刀魚に恋いこがれる毎日である。

侍従「聖天子様、剣内閣総理大臣がお目通りを
 願い出ておられますが?」
聖天子「今日は誰にも会いたくはありません…」

聖居・御所の控えの間で待っていた剣桃太郎に、
聖天子の言葉が侍従から伝えられる。

桃太郎「会いたくない…そう仰せられたのか?」
侍従「はい」
桃太郎「昨日の聖天子様の御身の回りは?」
侍従「ハッ。昨日は近習の桜井三郎にございます。
 朝から夕刻まで二人きりで書をお読みになっていたとか」
桃太郎「その前日は?」
侍従「私でございます」
桃太郎「宿直(とのい)は?」
侍従「同じく桜井三郎」
桃太郎「…わかった。下がってよい」


***首相公邸***

聖居から公邸へと戻った剣桃太郎は、山地哲山の訪問を受けた。

桃太郎「ではやはり、聖天子様は聖居の外に出ておられたか…」
哲山「先代の聖天子様の急なご逝去で、お若くして今の地位に就かれ、
 日々毎日、国と国民のためにご公務に心身を砕いておられる。
 たまには聖居の外の世界を覗いて見たいというお気持ちも、
 けっしてわからなくはありませんが…」
土橋「エラいことになりましたなぁ…。
 もしお忍びで外出中の聖天子様にもしものことがあったら、
 内閣総辞職に追い込まれるのは勿論の事、宮内庁長官や
 警察庁長官の首もまとめて吹っ飛びます! 政治空白は
 避けられませんぞ」

額の汗をハンカチで拭う土橋竜三。

桃太郎「あるいはそれが何者かの目的かもしれん…」
土橋「総理…!?」
桃太郎「哲山先生、ご苦労ですが、
 聖天子様付きの近習・桜井三郎という男を
 それとなく見張ってもらいたい」
哲山「その桜井という男に何かご不審な点でも?」
桃太郎「それはまだわからん。私の取り越し苦労ならいいが…」
哲山「心得ました。お任せを」

1038

○聖天子→目黒で食べた秋刀魚の味に感激する。
○里見蓮太郎→聖天子のお忍びで目黒までお供をする。
○藍原延朱→聖天子のお忍びで目黒までお供をする。
○月野うさぎ→聖天子のお忍びで目黒までお供をする。
○山地闘破→目黒で偶然、お忍びの聖天子一行と出くわす。
○山地学→目黒で偶然、お忍びの聖天子一行と出くわす。
○山地ケイ→武神館に来た織田八重を出迎える。
○山地哲山→聖天子お忍びの件を首相官邸サイドに連絡。
○織田八重→山地哲山の弟子の一人であり、武神館に挨拶に訪れる。
○剣桃太郎→山地哲山から聖天子お忍びの通報を受ける。
○土橋竜三→山地哲山から聖天子お忍びの通報を受ける。
○ペンギン帝王→目黒で偶然、お忍びの聖天子一行と出くわす。
○リカンツ・シーベリー→目黒で偶然、お忍びの聖天子一行と出くわす。
○マイケル→目黒で偶然、お忍びの聖天子一行と出くわす。
○デニス→目黒で偶然、お忍びの聖天子一行と出くわす。
○ジェイク→目黒で偶然、お忍びの聖天子一行と出くわす。
○ジム→目黒で偶然、お忍びの聖天子一行と出くわす。
○ネルソン→目黒で偶然、お忍びの聖天子一行と出くわす。
●高見沢逸郎→ゴルゴムと手を組み、紙忍一族に命じて聖天子を監視する。
●芝浦淳→坂田龍三郎邸まで高見沢逸郎に同行する。
●坂田龍三郎→高見沢逸郎と手を組み、聖天子失脚の陰謀を進める。
●大神官ビシュム→高見沢逸郎と手を組み、聖天子失脚の陰謀を進める。
●紙忍一族頭領→高見沢逸郎に雇われ、聖天子の動きを密かに見張る。

【今回の新規登場】
○織田八重(隠の王)
 戸隠の里首領であり、表の世では人材派遣会社「フォグブルー」代表取締役社長。
 禁術「飯綱心眼」を習得しており、心を読む事が出来る。

○ペンギン帝王(健全ロボ ダイミダラー)
 大いなる野望を掲げ、ペンギン帝国を治める帝王。95歳。
 とある平行世界で人間に敗北し、部下が偶然見つけたHi-ERo粒子が濃厚な
 こちら側の世界からエネルギーを調達すべく、試作品のペンギン装置を使ったところ
 操作を誤り単身こちら側の世界にやって来てしまった。
 好色でいまいち威厳に欠けるところもあるが、部下達からの信頼は厚い。

○リカンツ・シーベリー(健全ロボ ダイミダラー)
 ペンギンを溺愛し、人間でありながらペンギン帝国のために戦う少女。愛称は「リッツ」。
 出身地はアメリカで、一人称は「朕(ちん)」。ペンギン伯爵の称号を持つ。
 戦災孤児で、戦場でペンギン帝王に拾われ、人里までペンギン帝王と旅をしていたことがある。
 しかし、本人はおぼろげにしかそのことを覚えていなかった。
 普段は可憐な少女であるが、ペンギンコマンドらが傷つくと豹変して凶悪な一面を見せる。

○マイケル(健全ロボ ダイミダラー)
 ペンギン帝国に所属するペンギンコマンドの一人。陽気で明るいグッドペンギン。
 デニスとコンビを組むことが多い。

○デニス(健全ロボ ダイミダラー)
 ペンギン帝国に所属するペンギンコマンドの一人。冷静沈着なクールペンギン。
 マイケルとコンビを組むことが多い。

○ジェイク(健全ロボ ダイミダラー)
 ペンギン帝国に所属するペンギンコマンドの一人。武闘派で自信家のフューチャーペンギン。

○ジム(健全ロボ ダイミダラー)
 ペンギン帝国に所属するペンギンコマンドの一人。悟りの境地に達したラブリーペンギン。
 一人称は「拙者」で「~でござる」と侍風な口調が特徴。

○ネルソン(健全ロボ ダイミダラー)
 ペンギン帝国に所属するペンギンコマンドの一人。お調子者で人なつこいミラクルペンギン。

●紙忍一族頭領(世界忍者戦ジライヤ)
 抜け忍となった紙忍・折破を追い、妖魔一族と手を結んだ紙忍一族の頭領。
 強力な竜巻の術を使い、その実力は屈指の忍術使いである折破を凌駕するレベルである。


『聖天子と目黒の秋刀魚』-3

作者・ティアラロイド

1039

***勾田高校・生徒会室***

未織「いらっしゃい、里見ちゃん」

来訪した蓮太郎を迎える和服少女。
民警である蓮太郎&延珠ペアに装備品を提供するパトロンにして、
巨大軍需産業・司馬重工のご令嬢、
そして勾田高校の生徒会長でもある司馬未織である。
こう見えても武道・司馬流の使い手であり、
あの天童木更と互角の戦闘能力の持ち主でもある。

蓮太郎「で、どうだった? 未織」
未織「里見ちゃんの睨んだ通りだったで」

未織が扇子に仕込まれたリモコンのボタンを押すと、
正面の大型ディスプレイに次々と写真が映し出される。
それには全て、聖天子付きの近習・桜井三郎が
誰かと密会している様子が写っていた。

未織「この桜井って男、私生活で相当借金も抱えとるようやな。
 その上女癖も悪いし、ハニートラップに引っかかりやすい典型的な例やで」
蓮太郎「桜井の相手の男は?」
未織「名前は関口。EP党党首・坂田龍三郎の公設第一秘書や」

桜井三郎に不審を抱いていたのは首相官邸だけではなかった。
里見蓮太郎も、聖天子のお忍びに同行していた桜井の挙動に対して、
怪しいと直感を働かせ、内々に未織に調査を依頼していたのだった。

未織「裏の世界で坂田龍三郎はGショッカーと繋がっているという噂もある。
 証拠がないんで公安も手出しできてないようやけどな」
蓮太郎「………」


***坂田龍三郎邸***

関口「高見沢さん、ご紹介しましょう。ご近習の桜井三郎殿です」
桜井「はじめまして、桜井と申します。どうぞお見知りおきを」

高見沢逸郎は、坂田邸で関口秘書から桜井三郎を紹介される。

関口「高見沢さん、なにかよいお知恵はありませんか?」
桜井「坂田先生からはもう一度お忍びを企ててほしいとのことだが、
 聖天子様におかれては、先日剣総理の声によく似たペンギンに
 出くわされて以来、とくとご自重あそばされまして…」
高見沢「秋刀魚があるだろう」
桜井「秋刀魚…??」
高見沢「聞けば聖天子はお忍びから戻られた後も、
 一度口にした秋刀魚の味が忘れられないと聞くぞ」

高見沢は桜井の耳にそっと何かをささやく。

1040

***聖居・大膳課厨房***

聖天子の料理番である大膳課主厨長に、その日のメニューを伝える桜井。

主厨長「間違いなく秋刀魚でございますな?」
桜井「さよう。ハッキリとそのように仰られた」
主厨長「聖天子様が秋刀魚を…」
桜井「魚の秋刀魚と仰せられた以上、
 出さぬわけには参るまい」
主厨長「はぁ…」

早速、築地の魚河岸から鮮度のよい秋刀魚を仕入れさせる。
主厨長も秋刀魚は焼き魚にすれば旨いのは分かっていたが、
聖天子の身体にさわったら大変と、蒸し器に入れ脂抜きをした。
その上、小骨は骨抜きにし、バサバサの秋刀魚をこのまま出せず、
お吸い物にして出した。これではせっかくの秋刀魚も台無しである。

その日の夕刻の食事の時間…。
聖天子は真っ黒に焼けた秋刀魚がチュッポチュッポといって出てくるだろうと
楽しみに夕食の膳が食卓に届くのを待っていたら、出てきたのはお吸い物の入ったお椀。
蓋を取ってみると、かすかにあの秋刀魚の匂いがする。

聖天子「即答を許します。これは秋刀魚ですか?」
主厨長「秋刀魚でございます」

早速箸に取り口にするが、記憶にある味と全く違い、悲しそうな顔をする。

聖天子「主厨長、この秋刀魚はいず方より仕入れましたか?」
主厨長「築地の魚河岸より仕入れました」、
聖天子「それはいけません。秋刀魚は目黒に限ります!」


***首相官邸***

剣桃太郎は聖居の大膳課から、その日の聖天子の夕食の様子について報告を受けていた。

主厨長「秋刀魚をと申されたのは聖天子様にございます。決して、その…」
桃太郎「誤解しなくていい。責めているのではない」
主厨長「苦心して調理いたしましたが、聖天子様のお気に召されず…」
桃太郎「残されたのか?」
主厨長「はい。そうしましたら、"秋刀魚は目黒に限る"と仰せられました由」
桃太郎「わかった。さがってくれ」

1041

***坂田龍三郎邸***

桜井「高見沢さん、本日聖天子様お召し上がりの折――」
高見沢「――待て!」

桜井が何かを話そうとしたとき、
床下から侵入者の気配を感じた高見沢は
制止して桜井の言葉を遮る。
仮面ライダータイガに変身した東條悟がそっと近寄り、
床下めがけて両腕のデストクローを突き立てる!

床下から慌て出たのは、くノ一装束に身を包んだ織田八重だった。
八重は手裏剣を投げて追っ手のガイとタイガを牽制し、その場から逃げ去った。

タイガ「チッ…!」
ガイ「逃げられたか。すばしっこい奴だ」
高見沢「今の動きは戸隠流。宇宙統一忍者流の放ったネズミか…」
桜井「さすがは高見沢さん。それで、見込みどおり聖天子様は明日、
 秋刀魚を食べるために目黒に行ってみようと…」
高見沢「………」
桜井「高見沢さん、まさか聖天子様を!?」
高見沢「聖天子を殺せば、近習であるお前の立場も危うくなるだろう。
 心配するな。そこまではしない。あくまでもご退位を願う。
 悪くしても、天童菊之丞、剣桃太郎以下政府要人の総退陣だ」


***武神館***

哲山「やはり剣総理の睨まれた通り、
 桜井三郎、獅子身中の虫だったか…」
八重「不覚を取りまして、肝心の部分は聞き取れませんでした。
 申し訳ありません」
哲山「八重さん、明日闘破たちと共に竹の子茶屋を見張ってくれ」
八重「承知しました」

1042

○里見蓮太郎→司馬未織に調査を依頼。
○司馬未織→里見蓮太郎に調査結果を報告する。
○聖天子→夕食に出された秋刀魚の味にがっかりし、再び目黒行きを決断。
○剣桃太郎→聖居の大膳課主厨長から報告を受ける。
○織田八重→坂田龍三郎邸に潜入。
○山地哲山→織田八重から報告を受ける。
●高見沢逸郎→聖天子の目黒行きを画策。

【今回の新規登場】
○司馬未織(ブラック・ブレット)
 巨大兵器会社・司馬重工の社長令嬢。里見蓮太郎と同じ勾田高校に通っていて、
 なおかつ生徒会長まで務める。蓮太郎に武器や装備を提供するパトロン的存在。
 天童木更とは犬猿の仲。


『聖天子と目黒の秋刀魚』-4

作者・ティアラロイド

1043

***聖居・桜田門前***

翌日の早朝、聖天子を乗せた桜井の運転する黒塗りの公用車が
聖居の敷地を出て公道に出ようとしたところで、
里見蓮太郎と藍原延珠のペアが行く先を遮るように立ちはだかった。

蓮太郎「………」
延珠「………」

驚いて車を停め、運転席から降りる桜井。

桜井「里見さん、本日の聖天子様の護衛は結構だと
 申し上げたはずですが…?」
蓮太郎「俺たちについて来られると
 何かマズイことでもあるのか?」
桜井「い、いや…決してそのようなことは…!」
聖天子「構いません。里見さん、延珠さん、
 一緒に車に乗ってください」
桜井「聖天子様!?」

蓮太郎と延珠を乗せた聖天子の車は、
一路目黒へと向かう。

聖天子「里見さん、私のしていること、愚かな遊びだと思いますか?」
蓮太郎「聖天子様…」
聖天子「私は聖居の飾り物にはなりたくありません」


***目黒・竹の子茶屋***

この間皆で秋刀魚を美味しく食べた竹の子茶屋に到着した一行。
老主人が出迎える。

老主人「これはいらっしゃいませ…」
桜井「親父、秋刀魚定食を所望だ」
老主人「ここは目黒でございまして、
 秋刀魚は常に置いているわけでは…」
桜井「なんとかしてもらいたい。
 わざわざ千代田から見えられておられるのだ」
老主人「はぁ…」

店の入り口をくぐる聖天子一行。
その時、蓮太郎と老主人が密かに目線を合わせていたのに
桜井は全く気がついていなかった…。

1044

すでに竹の子茶屋周辺を完全に包囲して固めている紙忍一族。
そして仮面ライダーガイとタイガ。

ガイ「いいか、あくまで行きずりの暴漢を装うんだ」
タイガ「ゴルゴムの策に乗ってやるんだ。死ぬのはバカバカしい。
 用が済んだら必ず逃げろ」
紙忍一族頭領「聖天子を掻っ攫ったら、目的地は品川だ。散れ!」

配下の下忍たちに配置につくよう命じる紙忍一族頭領。
その時、店の中からペンギン帝国ご一行が出てきた。
どうやらまた竹の子茶屋に食事に来ていたらしい。

マイケル「旬の秋刀魚はいつ食べても美味しいですね」
ペンギン帝王「うむ、近いうちにまた来るとしようぞ!」

店から帰っていくペンギンたちに思わずギョッとする紙忍一族。

紙忍一族A「あの声は…剣桃太郎!?」
紙忍一族B「殺るかッ?」
ガイ「慌てるな! アレは剣桃太郎じゃない!」
タイガ「おい、アレを見ろ」

タイガの指差した方向から、
ちょうどペンギン帝国ご一行と入れ替わるように、
男塾制服の学ランに身を包み、背中に長刀を挿した本物の剣桃太郎が、
忍び装束姿の山地哲山と織田八重に案内され、竹の子茶屋へと姿を現した。

ガイ「まさか内閣総理大臣御自らお出ましとはな…」
タイガ「どうする?」
紙忍一族頭領「剣桃太郎は斬れっ! しかるのち、聖天子を!」

一方、店の中では、聖天子たちが
客席で秋刀魚定食が出来上がるのを待っていた。
しかしさっきから桜井一人だけがなぜか震えてそわそわしている。

蓮太郎「どうした?」
延珠「もしかしてトイレなのか?」
桜井「い、いや…別に…(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
聖天子「桜井さん、少し落ち着きなさい!」

聖天子が挙動不審の桜井を一喝して咎めたその時、
暴漢を装った紙忍一族がどっと一斉に竹の子茶屋の店内へとなだれ込んだ!

聖天子「何者です!」
蓮太郎「来たかッ。天童式戦闘術、二の型十四番――
 隠禅・玄明窩ッ!!」

あらかじめ敵の襲来を予測していた蓮太郎は鋭いハイキックで聖天子に迫る紙忍一族たちをなぎ飛ばす。
延珠も目を赤く光らせ、弾丸のような速度で紙忍一族に突進していく。

1045

いきなり竹の子茶屋の老主人も刀を抜いて、
聖天子を守る戦列に加わった。

紙忍一族頭領「その身のこなし、ただの茶屋の主人ではないな!」
老主人「紙忍一族頭領! この俺を見忘れたか!」

老主人が顔のマスクを剥ぎ取り、衣装を脱ぎ捨てると、
中から颯爽と現れたのは、ジライヤスーツに身を固めた磁雷矢だった!

紙忍一族頭領「むむっ、貴様は磁雷矢!」
磁雷矢「久しぶりだな、紙忍一族頭領!
 一度地獄に落ちながら、またも懲りずに
 非道な悪事を重ねているのか!」
紙忍一族頭領「ほざくな! ちょうどいい。
 ここで一度紙忍一族を貴様に滅ぼされた恨みを
 晴らしてくれるわ!」
磁雷矢「磁光真空剣!」

磁雷矢の叫びと共に光り輝くレーザー刀――磁光真空剣。
今までの戦いでは、スミス博士が造ったコピー刀を代用していた磁雷矢…。
パコや磁雷神と一緒に宇宙へ旅立った本物の磁光真空剣だが、
無事にその後役割を終え、星間評議会特使によって地球へと運ばれ、
今はこうして再び磁雷矢の手に戻っているのである。

学「兄ちゃん!」
磁雷矢「学、聖天子様を守れ!」
学「任せとけって!」

自家製の戦闘スーツを装着している学は、パチンコで応戦しながら、
紙忍一族たちから聖天子を守る!
そして背中を合わせ、自分たちを包囲する敵と対峙する
磁雷矢と里見蓮太郎。

磁雷矢「里見蓮太郎君、凄腕の民警と噂には聞いていたが
 なかなかやるな!」
蓮太郎「蓮太郎でいい。磁雷矢、アンタもな!」

意気投合したのを合図に地面を蹴り、
磁雷矢と里見蓮太郎はそれぞれの敵へと突進していく。

一方、竹林の陰で様子をじっと伺っている
二人の悪の仮面ライダー、ガイとタイガ。

ガイ「思ったより苦戦のようだな…」
タイガ「どうするんだい?」
ガイ「よしっ、俺たちも行くぜ!」

ガイとタイガも竹の子茶屋へと突入しようとしたその時、
その前に立ち塞がった5人の美少女戦士の姿があった!

セーラームーン「お待ちなさい!」
タイガ「お前たちは!?」
セーラームーン「秋の味覚、目黒の秋刀魚をこれから
 美味しく食べようとするのを邪魔するなんて許せない!
 このセーラームーンが月に代わっておしおきよ!」
ガイ「おいおいお嬢ちゃんたち、引っ込んでいないと
 可愛い顔に傷が出来るよ」
セーラージュピター「そっちこそ、女の子だと思って
 甘く見てると感電死どころじゃすまなくなるよ!」
セーラーマーキュリー「聖天子様に手出しはさせないわ!」

タイガは白召斧デストバイザーを振りかざして、
セーラー戦士に襲い掛かる。

タイガ「死ね、セーラー戦士!」
セーラーヴィーナス「ヴィーナス・ラブ・ミー・チェーン!!」

セーラーヴィーナスのエネルギー波動をハート形に変換した鎖が
タイガの得物を絡め執る。

ガイ「チッ!!」
セーラーマーズ「おっと、あなたの相手は私よ!
 バーニング・マンダラァァーッ!!!」

セーラーマーズが召喚した八つの円状の曼荼羅絵の
燃える灼熱の炎の波動が一直線でガイに向かって放たれ、
炎の爆裂をひき起こす!

1046

愛刀を抜き、颯爽と聖天子の側へと駆け寄る剣桃太郎。

聖天子「剣総理!」
桃太郎「陛下、ご無事で!」

紙忍一族はあらゆる方向から続々と迫るが、
桃太郎と哲山は刀を振るい、聖天子を守りつつ
並み居る敵を次々と斬り伏せていく。
さらに意外な新手の援軍まで現れた。
ペンギンコマンドたちが紙忍一族を
攻撃し始めたのだ!

ペンギン帝王「何やら騒がしいと思って戻って来てみれば…。
 事情はよくわからんが助太刀するぞ!」
哲山「かたじけない!」
学「……(この人、本当に総理大臣に声がそっくりだなあ)」

ペンギン帝国の加勢によって
形勢は完全に聖天子を守る側へと傾いた。

磁雷矢「お前たちの企みもこれまでだな、紙忍一族!」
紙忍一族頭領「おのれ磁雷矢!」

激しく刃を交える磁雷矢と紙忍一族頭領。

磁雷矢「磁光真空剣・真っ向両断!!」
紙忍一族頭領「ぐわあああ~っっ!!!!
 磁雷矢ぁ!! たとえこの身が何度滅ぼうとも、
 また必ずやこの世に舞い戻って見せるぞぉぉ!!!!!」

磁雷矢がの磁光真空剣の光り輝く刃が、
ついに紙忍一族頭領の肢体を縦に斬りつけ、さらに横に斬る。
紙忍一族頭領は断末魔の叫びと共に光の粒子となって消滅した。

ガイ「くそっ! ここいらが潮時か!」
タイガ「セーラー戦士、磁雷矢、それに民警、
 この礼はいずれ必ずするよ!」

作戦に失敗したと見たガイとタイガは、
すかさずその場から撤退した。

セーラームーン「待ちなさい! 逃げるの!」
磁雷矢「待てセーラームーン、深追いは禁物だ!」

周囲を見渡す磁雷矢。

磁雷矢「…あれっ、そういえばペンギン帝国の連中はどうした?」
延珠「そういえばさっきからいないのだ」
蓮太郎「すばやい連中だ…」
学「味方してくれたお礼をきちんと言いたかったのにな」

1047

騒動が収まった竹の子茶屋で、聖天子を中心に取り囲み、
剣桃太郎、里見蓮太郎と藍原延珠、セーラー戦士、戸隠流忍者たちが控える。

聖天子「剣総理、よく来てくれました」
桃太郎「陛下のなさる事、わかっているつもりでございます。
 全てはこの桜井三郎が教えてくれました。そうだな、桜井?」

桃太郎は、脇に控えている桜井三郎をギロッと鋭く睨みつける。

桜井「そ、総理、私はただ…聖天子様のお供をして!」
桃太郎「桜井、聖天子様お忍びのお供をした事を責めているのではない。
 何ゆえ聖天子様を執拗にお誘いした? この度の災難、偶然とは言わせん!
 暴漢を装ってはいるが、あれは忍び…紙忍一族!」
桜井「わ、私は本当に何も! 聖天子様!」
聖天子「………」
蓮太郎「諦めろ。もう何もかもバレてんだ」
桃太郎「聖天子様ご災禍を機に、我等内閣の不行き届きを責め、
 あわよくば聖天子様ご退位に追い込まんとの計略であろう!
 そしてその後ろ盾は――」
聖天子「剣総理、そこから先を言ってはなりません!
 私がこの度の宮中から外に出たのは、その毒蛇が大きな鎌首を
 持ち上げるのを見届けるためです」
桃太郎「陛下」
聖天子「桜井さん、やはり貴方は…!」
桜井「聖天子様…お許しを!」

観念した桜井は、懐から拳銃を取り出し、
それを自身の眉間に当て自殺を図る。
しかし磁雷矢が瞬時に投げた手裏剣が拳銃を叩き落し、
蓮太郎がすかさず桜井の身体を取り押さえた。

蓮太郎「バカヤロウ! 早まるんじゃねえ!」
桜井「聖天子様! 何卒…何卒…私めに
 せめて自害のお許しを!!」
聖天子「なりません! 生きてその罪を償うのです!」

聖天子の言葉に、桜井は号泣して崩れ落ち、
その後駆けつけたパトカーに乗せられ連行されて行った。

聖天子「剣総理、許してください…」
桃太郎「いえ陛下、お詫びいたさねばならんのは
 私めの方にございます。これからは些細なことでも
 陛下のご意向を伺う所存にございますれば」
聖天子「剣総理、わかってくれましたか!?」
桃太郎「ハッ」

聖天子の問いに強く頷く剣桃太郎。
日本国の天子と宰相の主従の心が通じ合った瞬間であった。

1048

桃太郎「里見蓮太郎に藍原延珠、この度の聖天子様を守っての働き、
 誠に見事であった。私からもこの通り礼を言う」
蓮太郎「別にアンタのためにやったことじゃないですよ」

普段は政府の権力者などには反抗的に食って掛かる事の多い蓮太郎だが、
その表情からは桃太郎から褒められて満更でもないことが伺える。

桃太郎「さて、セーラームーン、本来ならお忍びに出ようとした
 聖天子様をお諌めしなければならない立場の君が、お引き留めするどころか
 一緒に出かけてしまうとは、じっくりとお灸を据えなければいけないところだが…」
セーラームーン「あ…やっぱし…?(汗」
聖天子「セーラームーンを責めないでください、剣総理。
 うさぎさんを無理に連れて行ったのは私の方なのです」
桃太郎「…との聖天子様のお言葉だ。次からはくれぐれも自重してくれよ」
セーラームーン「ありがとうございます、聖天子様」

聖天子の口添えと、今回は笑って許した桃太郎の態度に
ホッと胸をなでおろすセーラームーン。

聖天子「そうです剣総理、せっかくですから皆で秋刀魚を
 食べていきませんか?」
桃太郎「それはよろしゅうございますな」
学「あのー、それが…」
磁雷矢「どうした学?」
学「秋刀魚は、す…炭になってしまって…ございまする」

学は慣れない敬語で懸命に聖天子に報告する。
この騒ぎで、調理中だった秋刀魚は皆、
すっかり真っ黒に焼け焦げてしまっていた。

桃太郎「ハハハ…それはそうだろうな!」

その場にいた一同は皆、和やかに爆笑するのであった。


***坂田龍三郎邸***

邸内で高見沢逸郎から吉報が届くのを今か今かと待ち、
待機していた坂田龍三郎とビシュム。
そこへようやく知らせが届く。

坂田「ビシュム様、残念ながら事は破れたと…」
ビシュム「仕方ありません。また次の機会もあることでしょう」


雨降って地固まるの例え通り、この日以後、
剣桃太郎政権は聖天子の意見を積極的に取り上げるようになったという。

1049

○聖天子→紙忍一族に襲われる。
○里見蓮太郎→聖天子を紙忍一族の襲撃から守り抜く。
○藍原延珠→聖天子を紙忍一族の襲撃から守り抜く。
○磁雷矢→聖天子を紙忍一族の襲撃から守り抜く。
○山地学→聖天子を紙忍一族の襲撃から守り抜く。
○山地哲山→聖天子を紙忍一族の襲撃から守り抜く。
○セーラームーン→仮面ライダーガイ、仮面ライダータイガと交戦。聖天子を守り抜く。
○セーラーマーキュリー→仮面ライダーガイ、仮面ライダータイガと交戦。聖天子を守り抜く。
○セーラーマーズ→仮面ライダーガイ、仮面ライダータイガと交戦。聖天子を守り抜く。
○セーラージュピター→仮面ライダーガイ、仮面ライダータイガと交戦。聖天子を守り抜く。
○セーラーヴィーナス→仮面ライダーガイ、仮面ライダータイガと交戦。聖天子を守り抜く。
○剣桃太郎→聖天子を紙忍一族の襲撃から守り抜く。
○ペンギン帝王→紙忍一族に襲われた聖天子側に加勢する。
●仮面ライダーガイ→聖天子を襲撃し、セーラー戦士と交戦した後、撤退。
●仮面ライダータイガ→聖天子を襲撃し、セーラー戦士と交戦した後、撤退。
●紙忍一族頭領→聖天子を襲撃し、磁雷矢に倒される。
●坂田龍三郎→聖天子拉致に失敗したとの報せが届く。
●大神官ビシュム→聖天子拉致に失敗したとの報せが届く。

●桜井三郎→聖天子襲撃作戦失敗後、罪を悔いた後、警察に連行される。


『襲来、昆虫デジモン』

作者・ユガミ博士

1050

***アメリカ・センターシティ***

アメリカの西海岸にある都市、センターシティ。そこに、地球防衛組の
月城飛鳥は交換留学生としてスクールに通っていた。

飛鳥「この前の強盗事件、ジョーイとヒーローマンのおかげで
    犯人が捕まったね」
サイ「大活躍だったな、ジョーイ!」
ジョーイ「そんな事...(///)」
リナ「ううん、照れる必要ないわよ。胸を張った方がいいわ」

交換留学生としてスクールへやって来た飛鳥は、そこで
ジョセフ・カーター・ジョーンズことジョーイやリナ、そして
サイという友人が出来る。話に出てくるヒーローマンというのは、
ジョーイが手に入れたオモチャ人形だが、落雷のショックで
巨大なヒーローとなり、センターシティを襲ったスクラッグという
昆虫型異星人と戦った。それ以降も事件があれば、解決の為に
活動している。

リナ「それより、ジョーイの家で『ソレスタルビーイング』を見ましょう」
飛鳥「それって確か、前大戦で活躍したソレスタルビーイングが
   出てくる映画だよね?」
サイ「ああ、DVDが出たからな。見てみる事にしたんだ」

映画『ソレスタルビーイング』とは、前大戦中に暗躍していたイノベイドと
武装組織ソレスタルビーイングのガンダムとの最終決戦を基に制作された
映画である。ソレスタルビーイングに関する記録は、全て歴史上から
抹消されていると云われるが、これはプロバガンダ的な意味の作品で
内容もかなりスーパーロボット向けの作品となっており、最近では
ソレスタルビーイングとは、映画にあるような正義の組織であると
認識される事が多い。
そして4人は、ジョーイの家に辿り着いた。

ジョーイ「ただいまぁ、おばあちゃんいる?」
ホリー「おう!帰ってきたか、ジョーイ」
ジョーイ「お姉ちゃん!?」
サイ「げっ、ニューヨークにいる筈だろ!?」

ジョーイ達が家に入ると、祖母のバージニア・ジョーンズは不在で
何故かニューヨークに居る筈の姉ホリー・バージニア・ジョーンズが
『世界超人タッグ選手権』のDVDを彼女ともう一人、知らない女性が
見ていた。

ホリー「いやー、友達にセンターシティを観光したいっていうからさぁ
     帰ってきたんだよ。あっ、ばあちゃんなら買い物な!」
ミミ「太刀川ミミです。ホリーさんから、ジョーイ君達の聞いています♪」
ジョーイ「だったら、ちゃんと連絡してよ...」

ホリーは帰ってきた理由を話し、連れてきた友人・太刀川ミミを紹介する。
連絡せずに帰ってきたので、ジョーイは肩を落とす。

???「この人達が、ホリーの仲間なの?」
サイ「うわぁ、花が喋った!?」
ミミ「紹介するね、私のパートナーのパルモンよ」
パルモン「よろしく~」

ミミの後ろから現れたのは、大きな花の姿をした生物―パルモンを
紹介する。

飛鳥「これが、デジモン...実物は初めて見た!」
リナ「かわいい!」

デジモンとは、電脳世界にあるとされるデジタルワールドに生息する
電子生物デジタルモンスターの事である。その存在は長らく政府に
よって極秘扱いとなっていたが、デジモンによる事件の多発と
デジモンをパートナーとする「選ばれし子供」またはテイマーの出現
により、その存在は明らかにされ、世間でも認知され始めていた。

サイ「2人はどういう関係なんだよ?」
ホリー「ミミの親父さんは、音楽のミキサーをやっているからな。
    その関係で最初に知り合ったんだ」
ミミ「その後、デジモンが現れて私とパルモンでホリーさんを助けたの」

ホリーはミミとの関係を話すのであった。

トォルルルル、トォルルルル

ジョーイ「教授から電話だ?...もしもし」
マシュー『あっ、繋がった!ジョーイ、街にスクラッグのような
      巨大な虫達が現れて、暴れ回っている。至急、来てくれ!』
ジョーイ「分かりました、大至急向かいます!」
サイ「俺達も行くぜ!」

恩師である化学教師のマシュー・デントンから連絡を受けた
ジョーイ達は現場へと向かうのであった。

1051

街の中心に着くと、そこにはゴキブリを擬人化したようなデジモン、
ゴキモンが大量発生し、街を襲っていた。

リナ「何なの、あれ!?」
ミミ「あれは、確かゴキモンっていう名前のデジモンよ!」
ホリー「本当に、スクラッグみたいな奴らだな!」

ミミがゴキモンの事を説明し、ホリーはスクラッグの事を思い出す。

マシュー「おーい、ここだ!」
ジョーイ「教授!」

ジョーイ達は連絡してきたマシューと合流をする。

ゴキモンA「ドリームダスト!」
リナ「あ~ん、街にゴミをまき散らしている!」
サイ「何という、迷惑な攻撃だ...」

ゴキモンの一体が、必殺技の「ドリームダスト」でゴミをまき散らして
いく姿にサイは「迷惑だ」と呆れる。

飛鳥「迷惑!...よかった、アークダーマは無いようだ」
ホリー「どうしたんだ、お前?」

飛鳥は迷惑という言葉に、アークダーマが邪悪獣を生み出すのでは
無いかと咄嗟に反応して、辺りを見渡すがその気配が無いので
ホッとした。

ジョーイ「とにかく、何とかしないと!...ヒーローマン・エンゲージ!」
ヒーローマン「うぉぉぉぉお!」

ジョーイは持っていたロボットの玩具に指示を与えると、
巨大な白い巨人「ヒーローマン」に変身した。
そして、ジョーイのコンローラーはガントレットに変わり、
左腕に装着される。

ジョーイ「ヒーローマン・アタック!」

ジョーイの指示により、ヒーローマンは大量発生したゴキモン達に
パンチやキックをして攻撃する。

ミミ「パルモン、ヒーローマンを助けて!」
パルモン「分かった!ポイズンアイビー!」

パルモンもミミの指示に従って、必殺技の「ポイズンアイビー」で
ゴキモン達を麻痺状態にしていき、ヒーローマンのサポートをしていく。

ホリー「よっしゃ!」
サイ「あらかた、片付いたか?」
マシュー「待て、まだ何かいるぞ!」

ゴキモン達は全滅して気絶したが、そこに巨大なクワガタムシの
姿をしたクワガーモンが現れた。

リナ「あれも、デジモン!?」
パルモン「クワガーモンよ!」
クワガーモン「シザースティング!」

一同は驚愕し、パルモンがあれがクワガーモンだという事を
教える。クワガーモンはヒーローマンへと突撃攻撃をする。

ジョーイ「ヒーローマン!」

ジョーイはヒーローマンを守る為に、その前に立ちバリアーを
張ってクワガーモンの攻撃を防いだ。

ジョーイ「ヒーローマン・アタック!」
ヒーローマン「うぉぉぉおお!」

ヒーローマンはジョーイの指示に、渾身の力を込めて
クワガーモンにパンチを放ちクワガーモンは気絶した。

ジョーイ「ふぅ~」
リナ「お疲れ様、ジョーイ!」
マシュー「見事だったよ、ジョーイ」
ホリー「ミミも、パルモンもお疲れ!」
ミミ「ありがとう!」

戦闘が終わり、リナやマシューはジョーイに労いの言葉を贈る。
同じくホリーはミミとパルモンに声をかけた。

サイ「でも、こいつ等どうするんだ?」
ミミ「それなら、私に任せて!」

サイが気絶しているクワガーモンやゴキモンの群れをどうするのか
疑問に思っていると、ミミが任せてと言うのであった。
サイは

1052

***マシュー・デントンの研究室***

それからしばらくして、一同はマシューの研究室に移動した。
そしてそこのパソコンから、眼鏡を架けた長身の少女と小さな鳥が
現れた。

京「お久しぶりです、ミミさん」
ミミ「ひっさしぶり~、京(みやこ)ちゃん!」
ジョーイ「誰ですか、ミミさん」
ミミ「紹介するわね、私の後輩にあたる井ノ上京ちゃんよ!」
京「井ノ上京です。よろしくお願いします」
ホークモン「私は京さんのパートナーをしています、ホークモンです」

ミミはパソコンから2人―井ノ上京とホークモンを紹介する。
京はミミの後輩であるお台場小学校の生徒で「選ばれし子供」の
一人である。彼女の持つデジヴァイス<D-3>はパソコンを
通じて、デジタルゲートを開く機能があり、デジタルワールドを
介してアメリカへやって来たのである。

彼女が来た理由は、その機能でクワガーモン達をデジタルワールド
へ還す為である。そして、クワガーモン達はデジタルワールドへ
還された。

ジョーイ「よかった...」
京「それじゃあ、私は帰りますんで...」
飛鳥「ん?仁からメールだ」

京が帰ろうとしたその時、飛鳥に日本にいる仁からメールが届く。
メールを開くと、それには地球防衛組はブレイバーズのキャンプに
参加するから、飛鳥も来いというメールだった。

飛鳥「う~ん、今から飛行機のチケット取れるかなぁ?」
京「それだったら、私と一緒にデジタルワールドを通って
   日本に帰る?」
飛鳥「えっ、いいんですか?」

飛鳥が飛行機のチケットの心配をするが、京からの提案で
デジタルワールドを経由して日本に行かないかと言う。

ホリー「...なるほど、そのデジタルワールドって所から行けば
    すぐ日本へ行けるわけなんだな?」
サイ「(げぇ、あの顔は何かを企んでいる顔だ!)」
ホリー「よ~し、私達も日本へ行くぞ!」
ジョーイ&サイ&リナ「「「ええ~~!!」」」

ホリーは京に確認をとって、突然、日本へ行くと言い出す。
その事にジョーイ達は驚いた。

ジョーイ「何を言っているの、お姉ちゃん!?」
ホリー「だって、これなら飛行機代払わずに日本へ行けるんだろ?
    私、ちょうど日本へ観光したいと思っていたんだ」
サイ「パスポートはどうするんだよ?」
ホリー「そんな細かい所なんて、気にするなよ。だから、頼むぜ!」

ジョーイ達はホリーの無茶な要求にげんなりするが、ホリーの
性格上、一度言い出したら引くわけが無いという事も分かっていた。

京「私はいいですよ、何なら日本も案内しますし...」
リナ「先生...」
マシュー「う~む、私も日本の会いたい人物がいるからなぁ。
      私もいいかね?」
サイ「この流れは、もう止められないな。ホリーが何かトラブルを
   起こさないといけないから、俺らも行くぞ、ジョーイ」
ジョーイ「...そうだね、サイ」

ホリーの日本行きにマシューも乗り気になり、サイもジョーイも
日本でトラブルが起きないように同行する事になり、そのまま
飛鳥を含めた一同は、デジタルワールドを通じて日本へ向かうのを
決めるのであった。

1053

○月城飛鳥→交換留学生でセンターシティのスクールに通う。
         ジョーイやリナ達と友人となり、仁のメールを見て
         デジタルワールドを通じて、日本へ帰る。
○ジョセフ・カーター・ジョーンズ→ヒーローマンと共に昆虫デジモンを撃退。
                     日本へ向かう。
○ヒーローマン→昆虫デジモンを撃退。
○サイモン・カイナ→ホリーを心配して、日本へ向かう。
○リナ・デイヴィス→ジョーイ達と共に日本へ向かう。
○ホリー・バージニア・ジョーンズ→ミミと友達となり、センターシティに帰る。
                      そして、日本を観光する事を決める。
○マシュー・デントン教授→昆虫デジモンが出現した事をジョーイに知らせる。
○太刀川ミミ→ホリーと友達となり、センターシティへやって来る。 
         昆虫デジモンが出現すると、パルモンに指示をだして撃退する。
○パルモン→ミミの指示で、昆虫デジモンと戦う。
○井ノ上京→ミミに呼ばれ、昆虫デジモンをデジタルゲートを開いて
        還す。そして、飛鳥達を日本へ連れて行く。
○ホークモン→京に同行する。
●クワガーモン→センターシティに出現し、暴れる。ヒーローマンに
           倒される。なお、ロシアの選ばれし子供・ユーリの
           パートナーデジモンとは別個体である。
●ゴキモン→センターシティに大群で出現し暴れるが、ヒーローマンと
        パルモンによって倒される。

【今回の新登場】
○月城飛鳥(絶対無敵ライジンオー)
地球防衛組の風王のパイロット。気障で女性に優しく、成績優秀・
スポーツ万能・容姿端麗の3拍子でファンクラブが存在している。
(しかし、中学になって呆気なくファンクラブは解散した)
将来の夢は社長。

○ジョセフ・カーター・ジョーンズ(HEROMAN)
センターシティに住む少年で、様々なアルバイトをしている。
コントローラーでヒーローマンで指示を出す一方、自身も
一緒になって戦う。愛称は「ジョーイ」

○ヒーローマン(HEROMAN)
ジョーイが修理したロボットの玩具「HEYBO(ヘイボ)」に落雷
が落ちた事で、自我を持ちヒーローへ変わった。電気を動力と
している。

○サイモン・カイナ(HEROMAN)
ジョーイの親友。過去アメフトの試合で片足を負傷して、
松葉杖をついている。愛称は「サイ」

○リナ・デイヴィス(HEROMAN)
ジョーイの幼馴染の少女で、チアリーディング部に所属している。
失踪しているウィルの妹。

○ホリー・バージニア・ジョーンズ(HEROMAN)
ジョーイの姉で、ニューヨークでバンド活動をしている。
パンクな恰好をしているが、歌う曲はバラード。
ヒーローマンを気に入っている。

○マシュー・デントン教授(HEROMAN)
ジョーイの学校の化学教師。宇宙人の交信を研究しており、
スクラッグを地球へ呼び寄せた張本人。その後、ジョーイと
ヒーローマンをサポートした。

○太刀川ミミ(デジモンアドベンチャー/02)
アメリカに留学している中学1年生。小学校4年生の時に
デジタルワールドを冒険した選ばれし子供の一人で、
純真の紋章を受け継いでいる。パートナーはパルモン。
後年、料理教室の先生をパルモンと行っている。

○パルモン=トゲモン=リリモン(デジモンアドベンチャー/02)
ミミのパートナーである植物型デジモン。必殺技は
相手を麻痺状態にする「ポイズンアイビー」
成熟期はトゲモン、完全体になるとリリモンへ進化する。

○井ノ上京(デジモンアドベンチャー02)
お台場小学校6年生でパソコン部の部長。愛情と純真の
デジメンタルを受け継いでいる。パートナーはホークモン。
特技はパソコンの修理や音楽ソフトによる作曲。
後年、一乗寺賢と結婚し、3児の母となる。

○ホークモン=アクイラモン=シルフィーモン(デジモンアドベンチャー02)
京のパートナーである鳥型デジモン。時代劇が趣味で、紳士的な性格を
している。成熟期でアクイラモン、テイルモンとジョグレス進化して
シルフィーモンになる他、愛情のデジメンタルでホルスモン、
純真のデジメンタルでシュリモンへとアーマー進化する。

●クワガーモン(デジモンシリーズ)
属性はウィルス。世代は成熟期。種族は昆虫型。
必殺技は「シザーアームズ」

●ゴキモン(デジモンシリーズ)
属性はウィルス。世代は成熟期。種族は昆虫型。
必殺技はゴミをまき散らす「ドリームダスト」


『ロビンソン・クルーソー作戦 怪獣島冒険記』

作者 ティアラロイド、ユガミ博士、凱聖クールギン

1054

***天童民間警備会社***

蓮太郎「訓練合宿…?」
木更「そうよ。ブレイバーズ関係者の少年少女限定で、
 南太平洋の島で12泊13日の合同キャンプをやるそうなの」

その日の授業が終わり、いつも通り放課後に勾田高校からまっすぐ
天童民間警備会社に出勤した里見蓮太郎は、社長の天童木更から
あるパンフレットを渡された。ブレイバーズに所属する少年少女たちを
主な参加者として、親睦を深める意味もかねて合同合宿を行うという。

延珠「ねえ蓮太郎、妾たちも行っていいであろう?」
ティナ「私も行きたいです」

延珠とティナはすがるような目つきで、
ソファにどっかりと腰を下ろしながらお茶を啜る蓮太郎を見つめる。

蓮太郎「でもうちはブレイバーズとは何の関係もないだろ」

以前、聖天子を守ってセーラー戦士や磁雷矢と共闘した事もある
蓮太郎&延珠ペアではあるが、それはたまたまであって、
別に蓮太郎たちはブレイバーズのメンバーというわけではない。
しかし、次の瞬間に木更から意外な一言が…!

木更「あら、うちも加入したわよ、ブレイバーズに」
蓮太郎「ぶぅぅぅぅ~!!!!!!!!」

木更の一言を聞いた瞬間、蓮太郎は飲んでいたお茶を盛大に噴出した。

蓮太郎「なに考えてんだ木更さん! 大体うちはガストレアだけで手一杯だ!
 Gショッカーとかの相手までしている余裕なんかないんだぞ!」
木更「でも情報の共有は必要だと思うし、あくまでも無理のない範囲で
 人手を貸してくれればいいそうだから。それに何よりもブレイバーズに
 加盟するだけで多額の補助金が国から下りるのよ♪ これでもう未織に
 大きな顔はさせないわ!」
蓮太郎「………(本当の狙いはそれかよ!)」

蓮太郎の抗議などどこ吹く風の態度の木更に
半ば諦め顔の蓮太郎である。

延珠「蓮太郎…行ってはだめなのか?」
ティナ「お兄さん…」

延珠とティナの二人はうるうるの涙目で蓮太郎に迫る!

蓮太郎「あ~もうわかったよ。行ってきてもいい! 行って来い!」
延珠「やった~♪」
ティナ「お兄さん、ありがとうございます」

蓮太郎のGOサインが下り、延珠とティナの二人は大喜び。

木更「それじゃあ里見くん、引率はお願いね」
蓮太郎「…は?」
木更「は?…じゃないわよ。まさか延珠ちゃんと
 ティナちゃんだけで行かせるわけにはいかないでしょ。
 二人の保護者として、最後までしっかりと面倒を見てくるのよ!」
蓮太郎「な、なにぃぃぃぃ~~~!!!」

1055

一方、その頃…。

***東京エリア・外周区***

東京郊外にある外周区と呼ばれる地区は、前大戦によって未だに
戦争の傷跡が残り、所々廃墟が目立つ。そしてここには
“呪われた子供たち”と呼ばれるガストレア因子を持って生まれた事により
親や社会に捨てられてた子供達の多くが暮らしていた。

以前、そうした子供たちを集め、里見蓮太郎たちがボランティアで
教師役を買って出ていた青空教室が、差別主義者の過激派による
爆弾テロの犠牲になるという悲しい出来事があったが、
“呪われた子供たち”に救いの手を差し伸べようとする
高い志を持つ者は他にもいた。

一人の教師が“呪われた子供たち”に青空の下で、教鞭をとっていた。
その教師の名は、地球戦隊ファイブマンである星川兄弟の長男で、
ニュータウン小学校の理科担当教師である星川学である。
学たち星川兄弟は『公民権法』が施行されたが、
未だ教育を受けられない子供達の為に、こうして勉強を教えていた。

学「・・・虫は卵から生まれた後、幼虫になる。そして、大人である
  成虫になる間に、変わった姿を何と言うか分かる子はいるかな?」

ハイ、ハイ、ハ~イ

教師が分かる人がいるか子供達に聞くと、元気よく手を挙げた。

学「では、結衣ちゃん答えてくれ。」
結衣「はい、さなぎです。」
学「正解。よく勉強したね。」
結衣「へへへ(///)」

学に当えてられた生徒である堀部結衣という少女はさなぎであると
答える。問題に答える事が出来た結衣を学は褒めた。
その後授業が終わり、片付けをしていると、体育教師をしている
次男・健がやってくる。

健「兄貴、ちょっといいかい?」
学「どうした、健?」

健によると、ブレイバーズの少年少女組の交流を目的としたキャンプの
保護者をしてほしいという連絡が届いたとのこと。歴戦の勇士であり、
経験豊富な教師でもあるファイブマンに子供達の面倒をお願いしたいらしい。

健「どうする、兄貴?」
学「...分かった。引き受けると伝えてくれないか?」

1056

***日本海溝・ブレイバーベース***

エルファ「ブリアン島、南太平洋に位置する無人島で、
 現在は地球連邦政府直轄の保護領です。近隣に目立った
 武力紛争や海賊行為もなく、また過去500年において
 大きな自然災害も確認されていません」

指令室のモニターに映し出されたブリアン島の画像を背景に、
ブレイバーベースの万能ナビゲーターであるエルファが解説する。

ギルモア「まさに子供たちの遊び場としては格好の場所じゃな」
佐原「ブレイバーズは単なる武力組織ではない。
 地球の未来を背負うことになる子供たちに
 友情を育む交流の場を提供し、健全な育成へと導く。
 これも地球の平和を守るための大事な任務であり、
 同時に私たち大人の責務でもある」
ギルモア「よく学び、よく遊ぶということじゃな」
エルファ「ギルモア博士、ブリアン島に到着した
 002と004から通信が届いています」
ギルモア「繋いでくれ」


***南太平洋・ブリアン島***

ギルモア博士の指示を受けたジェット・リンク/002と
アルベルト・ハインリヒ/004の二人の00ナンバーサイボーグは、
万一のことがないよう、事前に直接島に何か危険はないか
調査に赴いていた。

004「ギルモア博士、こちら004」
ギルモア@通信「おお~、004か。ご苦労じゃったな。
 で、どうじゃ、そっちの様子は?」
002「上空から一通り見回ったけど、
 ホントこの島には退屈するくらい何もないぜ」
ギルモア@通信「002がそう言うからには
 本当に大丈夫そうじゃなあ」
004「子供たちが合宿でキャンプを張るとすれば、
 東の平原が適当でしょうな」
ギルモア@通信「わかった。引き揚げて来てくれ」
004「了解」

通信を切る004。思ったより早く用事が済んだため、
早速島から離れようとする二人だったが…。

004「――!!」
002「…どうした、004?」
004「いや、今誰かに見られていたような気がしたんだが…」

警戒して周囲にじっと目を凝らす004。
しかし特に何も起こらなかった…。

002「気のせいだろ」
004「そうみたいだな…」

こうして二人の00ナンバーサイボーグは島から離れていった。
しかしOO4の感じた気配は決して気のせいなどではなかった。
今まで誰も見たこともないような異形の怪物の影が、
確かにジャングルの茂みから様子をうかがっていたのである!

ゴブリンイーバA「グゥゥ……」
ゴブリンイーバB「ガゥゥ……」

1057

○里見蓮太郎→延珠とティナの付き添いとして、ブリアン島での合宿に参加することに。
○藍原延珠→ブリアン島での合宿に参加することに。
○ティナ・スプラウト→ブリアン島での合宿に参加することに。
○天童木更→天童民間警備会社をブレイバーズに加盟させ、延珠とティナにブリアン島での合宿参加を許可。
 蓮太郎に二人の付き添いを命じる。
○星川学→東京エリア外周区の青空教室でボランティアで教師役を務めている。
○星川健→ブレイバーズ本部からのブリアン島合宿での引率者を務めてほしいとの依頼を、兄・学に伝える。
○佐原正光→ブレイバーズの少年少女たちが参加するブリアン島での合宿を企画。
○アイザック・ギルモア→ブレイバーズの少年少女たちが参加するブリアン島での合宿を企画。
○002→ブリアン島を事前調査する。
○004→ブリアン島を事前調査する。

○堀部結衣→星川学がボランティアで教師を務める青空教室に通っている。
○エルファ→ブリアン島の調査結果を、佐原博士とギルモア博士に報告する。
●ゴブリンイーバA→ブリアン島で密かに暗躍している。
●ゴブリンイーバB→ブリアン島で密かに暗躍している。


【今回の新規登場】
○天童木更(ブラック・ブレット)
 名門・天童家の娘だったが、ある事情で家を飛び出し、
 今は自活している元お嬢様。学生の身ながら
 天童民間警備会社を経営しているものの、
 貧乏な生活を強いられていて、よく腹を空かして
 里見蓮太郎に八つ当たりしている。蓮太郎の憧れの
 女性でもあるが、実はその心の奥底には「天童殺しの天童」という
 復讐鬼の本性が隠されている。

 

○ティナ・スプラウト(ブラック・ブレット)
 かって不良少年に絡まれていたところを里見蓮太郎に助けられた少女。
 実は聖天子暗殺のために送り込まれた暗殺者だったが、蓮太郎との対決に
 敗れた後、聖天子の寛大な処置で釈放された後、刺客家業からは足を洗い、
 天道木更の計らいで天童民間警備会社に雇われ、蓮太郎たちの仲間になった。
 蓮太郎を「お兄さん」と呼び、慕っており、藍原延珠とは会社の先輩後輩で
 あると同時に恋敵の関係となる。

○星川学=ファイブレッド(地球戦隊ファイブマン)
 ニュータウン小学校に勤務する理科の先生で、星川兄弟の長男で第一子。
 地球に帰った後、弟妹達の面倒を見ながら成長したため、言動が保護者的になっている。
 シドン星から持ち帰ったシドンの花を大切に育てており、生徒にも株分けしていたが、
 最終決戦でこれが最後の希望となる。特技は剣道で個人武装はVソード。

○星川健=ファイブブルー(地球戦隊ファイブマン)
 ニュータウン小学校に勤務する体育の先生で、星川兄弟の次男で第二子。
 特技は体操全般で個人武器はツインアレイ。武器に頼るよりは
 肉体を駆使して戦うべきという信念を持っている。

○堀部結衣(闘争の系統オリジナル)
 ガストレアウィルスを体内に宿す呪われし子供たちの一人。
 東京エリア外周区の青空教室に通っている。

●ゴブリンイーバA(闘争の系統オリジナル)
●ゴブリンイーバB(闘争の系統オリジナル)
 堕神の使徒として仕え、地上で暗躍する謎の怪物。
 醜悪な小鬼のような姿にメカの装甲をしたような外見であり、
 剣と盾で武装している。同種の怪人が他にも複数体いる模様。
 その目的は未だ不明である。

 

1058

***横浜港・国際客船ターミナル***

延珠「おっきいのだぁ…」
蓮太郎「普段貧乏暮らしの俺たちには縁もないと思ってたけど、
 ブレイバーズってのは大した福利厚生だ。こりゃあ
 木更さんが加入したがる理由もわかるぜ…」

眼前の大型豪華客船に思わず嘆息する
里見蓮太郎、藍原延珠、ティナ・スプラウトの3人。

"洋上のオアシス"と謳われるクルーズ客船『飛鷹Ⅲ』。
破嵐財閥のグループ会社である破嵐郵船所有の、
全長241m、全幅29.6mの大型客船である。

蓮太郎たち3人が泊まる部屋は、スタンダードのトリプルD。
海が見える窓が二つ用意され、明るい光が部屋を包み込んでいる。

延珠「ふかふかなのだあ~!」
ティナ「とても気持ちいいです」

延珠とティナは部屋の中に入るや否や、目の前のソファベットの中へと飛び込んだ。

延珠「なあ蓮太郎、船の中をいろいろと見てきてよいか?」
蓮太郎「いいけどくれぐれも迷子にはなるなよ」
延珠「…ムッ! 妾は子供ではないのだ! 行こうっ、ティナ」
ティナ「はい、行きましょう延珠さん♪」


その隣の客室では…。


紫穂「わーい」(←棒読み)
葵「うれしいなー」(←棒読み)
薫「あたしたち水入らずじゃないとこが最高ー」(←棒読み)

皆本「………(汗」

運用主任・皆本光一との水入らずでの旅行を期待していた
特務エスパー、ザ・チルドレンの3人である明石薫、野上葵、三宮紫穂。
直前になって実は集団慰安旅行だったと聞かされ、
見事に当てが外れた彼女たちはこうして不貞腐れているのである。

薫「どーせ例によって局長のセッティングでどっかのリゾートだとか、
 ばーちゃんの別荘とかじゃないかとか思ってたけど…」
紫穂「何か違うかなあって…。満たされないのよね」
皆本「そんなワガママ言わずにさあ。この船には他のブレイバーズメンバーも
 乗ってるんだ。くれぐれも無用な軋轢だけは起こさないでくれよ」
葵「別にブレイバーズに入ったメンバー同士、親睦を深めよういうこと自体に
 ケチつけるつもりはあらへん。でもなあ…」
薫「なんであたしたちと皆本が違う部屋なんだよ!!」

部屋割りでは、薫たち3人と皆本は別々の部屋が割り当てられていた。

皆本「それはしょうがないだろ! 年頃の女の子と大の大人の男が
 一緒の部屋に寝泊りしてるところを見られたら、いろいろと噂になるだろーが!」
紫穂「あら、隣の部屋には高校生くらいの男子が10歳くらいの幼女二人と
 さっき一緒に入って行ったわよ」
皆本「隣の事情までは知らん!」
薫「やだやだやだあ~! ブリアン島に着くまで皆本と一緒がいい!」
皆本「頼むから静かにしてくれええ~!!」

一方、隣の部屋では、
蓮太郎がソファに寝転んで静かに昆虫の本を読んでいたが…。

蓮太郎「なんか隣が騒がしいな…?(汗」

1059

乗船手続き中のターミナルロビーには、参加する他の
ブレイバーズの少年少女や、引率者の大人達も続々と
出発する為に集まっていた。

あきら「おいおい、あの人ってロックバンドの栄斗じゃね?」
ヨッパー「本当かよ!?」

地球防衛組の一員で、ロックファンの今村あきらは向こうにいる
眼鏡を掛けた人物に指差して、ヨッパーこと小川よしあきに言う。
栄斗とは、人気ロックバンドのボーカルだったが、メジャーデビュー寸前
に突如として、消えた人物である。しかし、彼の真の姿は地上の平和と
女神アテナを守る聖闘士の一人、狼座の栄斗なのである。

クラマ「栄斗じゃん、お前も参加するのか!?」
栄斗「クラマ、こっちこそ久しぶりだな!」

栄斗に声を掛けてきたのは、ガイストと呼ばれる金属生命体から
人々を守る組織「GCG」のガイストギア装着要員、真銅クラマである。
栄斗もクラマも忍者の家系であり、幼馴染だった。

栄斗「...所で、気づいたか?」
クラマ「ああ、半蔵学院の姉ちゃん達だろ?こりゃ、面白くなるっつーの!」

家の関係上、半蔵学院の生徒達とも2人は顔馴染みだった。
そこへ2人に数名の少年達が近づいてきた。

レッカ「クラマ、そいつ誰だ?」
栄斗「誰だ?」
クラマ「こいつはレッカ、後ろにいるのはハヤト、シレンで、俺の仲間だ。
 で、こっちは栄斗っていう俺の幼馴染だっつーの」
シレン「それじゃあ、君がクラマの言っていた伝説の聖闘士の一人か?」
ハヤト「なるほど、ゴールデンだな!」
栄斗「ゴールデン?俺は青銅(ブロンズ)だぞ」
クラマ「いやいや、これはこいつの口癖だっつーの!」

クラマは他の仲間のガイストクラッシャーを紹介する。仲間の一人である
ハヤトは何でもゴールデンと例える癖があるので、栄斗は自分がブロンズ
なのに、ゴールドと言われたと勘違いしたので否定したが、クラマは
口癖だと訂正した。

レッカ「なぁなぁ、あんたも忍者なんだろ?ニンニンとかござるとか言うのか?」
クラマ「だから、言わねぇっつーの!」

レッカは自分の思う忍者のイメージを栄斗がするのか聞いてみたが、
クラマが否定する。

1060

***同客船・レセプション広場***

『飛鷹Ⅲ』の玄関とも言うべき三層吹き抜けの華やかな空間。
日向仁たち地球防衛組と共にフロントで手続きを済ませる
本宮大輔、井ノ上京、火田伊織、高石タケル、八神ヒカリ、一乗寺賢ら
6人の選ばれし子供たち。勿論チビモン、ポロモン、ウパモン、
パタモン、テイルモン、ミノモンたち彼らのパートナーデジモンも一緒である。

飛鳥「はい、これ部屋の鍵」
ヒカリ「ありがとうございます」
京「本当にあたしたちまで招待してもらってよかったんですか?」
飛鳥「なんでも地球連邦軍極東基地の武田元長官から連絡があって、
 文科省の情報管理局とそれにDATっていうところから、是非とも
 君たちを招待したいんだってさ」
賢「情報管理局にDAT…?」
大輔「難しいことを考えたってしょうがない。
 せっかくの機会、楽しまなきゃ損だぜ!」
タケル「フフ…大輔くんらしいね」

そこへ広場を走り回っていた延珠が
大輔の横にいたチビモンとぶつかった。

延珠「うわあっっ!!」
チビモン「うわっ! な、なんだ!?」

床に転げる延珠とチビモン。

ティナ「大丈夫ですか、延珠さん」
大輔「どうした!? チビモン!」
チビモン「イテテテテ…」
延珠「うわっ!? ぬいぐるみが喋ったのだ!?」
チビモン「ぬいぐるみじゃないやい!」
伊織「彼らはデジモンです」
延珠「デジモン…??」

延珠とティナの二人は、チビモンたちを好奇心まじまじと見つめる。

ティナ「この生物たちがデジタルワールドに生息しているというデジモン…。
 噂には聞いていましたが、こうして実物を見るのは初めてです」
ウパモン「女の子にそんなに見つめられると照れるだぎゃあ…(///)」
延珠「――あ、そうだ! ぶつかって悪かったのだ。
 この通り、ごめんなさい」
大輔「謝ってくれればいいさ。俺は本宮大輔、そしてこいつはチビモン」
チビモン「よろしくなっ!」
延珠「妾は藍原延珠、そしてこっちはティナ・スプラウト。
 こちらこそよろしくなのだ♪」

固く握手を交わす大輔たちと延珠たち。

1061

***飛鷹Ⅲ・ブリーフィングルーム***

健「やれやれ、無事出港できたな」
学「いよいよ旅の始まりだ。頑張って行くぞ!」

船内のブリーフィングルームには、
教職者を中心とした引率の大人達が集まり初回のミーティングを開いていた。

学「まずは改めて自己紹介から行きましょうか。
 東京のニュータウン小学校と外周区の青空教室で
 小学校教師をしている、ファイブレッドの星川学です」
健「同じくファイブブルー、星川健です」
数美「ファイブピンクの星川数美です」
文矢「ファイブブラック、星川文矢です」
レミ「ファイブイエロー、星川レミです。
 私達五人は兄弟姉妹で揃って同じ学校で教師をやっています」
鵺野「佐賀の小学校で教師をしている、鵺野鳴介です。
 霊能力者で、妖怪退治の仕事をしています」
はるか「大江戸市の中学校教師、高木はるかです。
 忍者で、護衛として来てくれた半蔵学院の善忍さん達のOGです」
学「僕ら教職のメンバーが中心となって、子供達を引率していく事になります。
 皆さんよろしくお願いします!」

ファイブマンの星川兄弟姉妹を中心に、
自己紹介を済ませた教師達は日程の確認に移る。

学「予定通り行けば、ブリアン島までは片道5日間の船旅になります。
 上陸して島のキャンプ場で3日、それからまた帰りに船で横浜まで5日。
 全部で合計12泊13日のツアーです」
健「船とキャンプでのアウトドア研修を通じて、
 子供達が普段は体験できない多くの事を学ぶ。
 そんな場を提供するのが僕らの使命です」
文矢「とは言え、ブレイバーズの子供達が互いに交流を深め、
 仲間の輪を広げるきっかけとするのが一番の趣旨なので、
 あまりやかましい事は言いっこなしで、楽しくやりたいと思います」
レミ「ただし、途中で事故など起きないように、注意と配慮は大切です」
数美「特に子供達が持っている武器の扱いについては、
 万一の事があっては大変ですから、
 管理にはしっかり目配りしなければなりません」
鵺野「気象庁の予報によれば、航路上の天気・波の状態は良好。
 島に着いてからも晴天に恵まれそうで、良かったですね」
はるか「快適な船旅になるとは思いますけど、
 船酔いしやすい子もいますし、途中の健康管理には気を付けたいですね。
 ――あ、そういえば超音戦士ボーグマンの皆さんは来ていらっしゃらないんですか?」

はるかが何かを思い出したように発言する。

超音戦士ボーグマン――それは普段はサイソニック学園の小学校教師として働きながら、
妖魔の軍団からメガロシティの平和を守っていた、響リョウ、チャック・スェーガー、
アニス・ファームら3人のサイボーグ戦士の事である。

数美「一応、声は掛けたんですが…」
レミ「3人ともどうしても日程の都合がつかなかったみたいで…」
学「ボーグマンたちは教職から離れてブランクも長いから、
 仕方ないのかもしれません」
はるか「そうですか。それは残念ですね…」
学「多少のハプニングはこういう団体旅行には付きものですが、
 今回は参加できなかったボーグマンの皆さんの分も含めて、
 皆で力を合わせて乗り切り、良い旅にして行きましょう!」

1062

エリス「あら、飛鳥君達じゃない?」
銀河「おっす。久しぶりだな、仁!」
北斗「地球防衛組の皆も久しぶりだね」
仁「銀河達か!会いたかったぜ」

地球防衛組に声を架けたのは、GEARに所属する銀河、北斗、エリスの
3人である。3人は声がするので、ここへやって来たのだった。

エリス「あれは...デジモンね!」
北斗「デジモンというと、キョウさんが研究したいっていっていた生物だね」

エリス達は、リザクレションシステムの研究をしている十凍京から、
現実世界に実体化出来るデータウェポンを研究の応用に出来ないかと
という事で、ブレイバーズに合流してから交流を持っていた。
その際、データウェポン同様データから誕生したデジモンも研究に
使えないかという考えをキョウから聞いていた。

レオサークル「グワォ」
大輔「な、何だ!?」
ドラゴンフレア「クォオン」
京「え、ちょっと!?」
ブルホーン「ブルル」
伊織「うわぁ!」

すると、突然銀河と北斗の持っているギアコマンダーから
それぞれの所有するデータウェポンであるレオサークル、
ドラゴンフレア、ブルホーンが飛び出して、大輔達の持つ
D―3に近づいてきた。

銀河「お、おいどうしたんだよ!」
銀河「何に反応しているんだ?」
賢「...もしかして、デジメンタルかな?」
エリス「デジメンタル?」

突然データウェポン達が飛び出した事に困惑する銀河と北斗だが、
賢はデータウェポンが反応したのは、大輔達の持つデジメンタル
ではないかと推論を立てる。
デジメンタルとは、古代種のデジモン、または古代種の遺伝子データを
持つデジモンを「アーマー進化」させるアイテムである。デジメンタルには
それぞれ「勇気」「友情」「愛情」「純真」「知識」「誠実」「希望」「光」「優しさ」
等といったいくつかの種類があり、大輔達選ばれし子供がそれぞれ所持
していた。

エリス「なるほど、データウェポン達も勇気や信頼といったものを
 契約の条件にしているから、それで反応したのかもしれないわね」

デジメンタルの説明を受けたエリスはレオサークル達が飛び出した
理由に納得がついた。一方、レオサークル達も落ち着きを取り戻し、
おとなしくなる。

延珠「はは、こやつらもこうしてみるとかわいいのう!」
ティナ「そうですね」

延珠達もおとなしくなったデータウェポン達を見てかわいいと
口にする。

北斗「騒がせちゃって、ごめんね」
大輔「過ぎた事だし、もう気にしていないぜ」

そして大輔達は北斗や銀河達と自己紹介をして、仲良くなるのであった。

大海原に白波を立てながら、
加速する飛鷹Ⅲはブリアン島を目指し、太平洋を南東の方角へ航行してゆく。

1063

○里見蓮太郎→ブリアン島行きの船に乗船。
○藍原延珠→ブリアン島行きの船に乗船。本宮大輔、出雲銀河たちと知り合う。
○ティナ・スプラウト→ブリアン島行きの船に乗船。本宮大輔、出雲銀河たちと知り合う。
○明石薫→ブリアン島行きの船に乗船。皆本と一緒の部屋でないことに駄々をこねる。
○野上葵→ブリアン島行きの船に乗船。皆本と一緒の部屋でないことに駄々をこねる。
○三宮紫穂→ブリアン島行きの船に乗船。皆本と一緒の部屋でないことに駄々をこねる。
○皆本光一→ブリアン島行きの船に乗船。薫たちに一緒の部屋でないことに駄々をこねられる。
○今村あきら→ブリアン島行きの船に乗船。
○小川よしあき→ブリアン島行きの船に乗船。
○月城飛鳥→ブリアン島行きの船に乗船。
○日向仁→ブリアン島行きの船に乗船。
○狼座の栄斗→ブリアン島行きの船に乗船。
○真銅クラマ→ブリアン島行きの船に乗船。
○本宮大輔→ブリアン島行きの船に乗船。藍原延珠、出雲銀河たちと知り合う。
○井ノ上京→ブリアン島行きの船に乗船。藍原延珠、出雲銀河たちと知り合う。
○火田伊織→ブリアン島行きの船に乗船。藍原延珠、出雲銀河たちと知り合う。
○高石タケル→ブリアン島行きの船に乗船。藍原延珠、出雲銀河たちと知り合う。
○八神ヒカリ→ブリアン島行きの船に乗船。藍原延珠、出雲銀河たちと知り合う。
○チビモン→ブリアン島行きの船に乗船。藍原延珠、出雲銀河たちと知り合う。
○ポロモン→ブリアン島行きの船に乗船。藍原延珠、出雲銀河たちと知り合う。
○ウパモン→ブリアン島行きの船に乗船。藍原延珠、出雲銀河たちと知り合う。
○パタモン→ブリアン島行きの船に乗船。藍原延珠、出雲銀河たちと知り合う。
○テイルモン→ブリアン島行きの船に乗船。藍原延珠、出雲銀河たちと知り合う。
○ミノモン→ブリアン島行きの船に乗船。藍原延珠、出雲銀河たちと知り合う。
○星川学→ブリアン島行きの船に乗船。保護者・引率者同士のブリーフィングを行う。
○星川健→ブリアン島行きの船に乗船。保護者・引率者同士のブリーフィングを行う。
○星川文矢→ブリアン島行きの船に乗船。保護者・引率者同士のブリーフィングを行う。
○星川レミ→ブリアン島行きの船に乗船。保護者・引率者同士のブリーフィングを行う。
○星川数美→ブリアン島行きの船に乗船。保護者・引率者同士のブリーフィングを行う。
○鵺野鳴介→ブリアン島行きの船に乗船。保護者・引率者同士のブリーフィングを行う。
○高木はるか→ブリアン島行きの船に乗船。保護者・引率者同士のブリーフィングを行う。
○出雲銀河→ブリアン島行きの船に乗船。本宮大輔、藍原延珠たちと知り合う。
○草薙北斗→ブリアン島行きの船に乗船。本宮大輔、藍原延珠たちと知り合う。
○エリス・ウィラメット→ブリアン島行きの船に乗船。本宮大輔、藍原延珠たちと知り合う。

1064

【今回の新規登場】
○今村あきら(絶対無敵ライジンオー)
 陽昇学園に通う小学生で、5年3組・出席番号1番。地球防衛組としては
 コアロボ発進システム、バクリュウオー武器選択担当。見栄っ張りで負けず嫌い。
 いわゆるロック少年で髪にメッシュを入れている。もちろん将来の夢はロックスター。

○小川よしあき(絶対無敵ライジンオー)
 陽昇学園に通う小学生で、5年3組・出席番号2番。地球防衛組としては
 剣王回路系モニター、バクリュウオー変型担当。マイペースで協調性に欠け、
 クラス一の問題児だがどこか憎めない少年。よく、日向仁や今村あきらとつるんで悪さを働いている。
 テレビが大好きでよく父親とチャンネル争いをしている。あだ名は「ヨッパー」。

○狼座の栄斗(聖闘士星矢Ω)
 アテナに仕える青銅聖闘士で、13歳。長髪にスーツ姿、眼鏡をかけている知的な少年。
 同世代の聖闘士の中ではトップクラスの実力を有する。出身は富士山麓に隠れ住む
 富士流という忍術を操る忍者一族の末裔。後にラジオから流れるロックに感化されバンドを組み、
 バンド内ではヴォーカルを担当しメジャーデビューを控えていたが、仲間の危機に
 再び戦いの道へ舞い戻る。

○真銅クラマ(ガイストクラッシャー)
 ガイストクラッシャーの一人。ガイストギア「ガイア・オロチ」を纏い戦う。
 戦国時代から続く忍者「真銅一族」の末裔。

○本宮大輔(デジモンアドベンチャー02)
 八神太一のサッカークラブの後輩で、お台場小学校5年生。
 ブイモンをパートナーとする選ばれし子供たちの一人。
 太一を尊敬しており、勇気の紋章を受け継いだことから彼のゴーグルを渡された。
 性格は直球かつ熱血で、突撃隊長的な役割をよく務める。

○火田伊織(デジモンアドベンチャー02)
 お台場小学校3年生で、アルマジモンをパートナーとする選ばれし子供たちの一人。
 殉職した警察官の父を尊敬していて、それとともに自らの悩みと心残りの存在である。
 性格は誠実かつ冷静沈着で、自分にも他人にも厳しい。

○高石タケル(デジモンアドベンチャー/同02)
 石田ヤマトの弟でお台場小学校5年生。パタモンをパートナーとする選ばれし子供たちの一人。
 井ノ上京、火田伊織と同じマンションの8階に住んでいる。八神ヒカリとは
 前の冒険からの知り合いだったので仲がよく、本宮大輔からはよくライバル視される。

○八神ヒカリ(デジモンアドベンチャー/同02)
 八神太一の妹で、お台場小学校5年生。テイルモンをパートナーとする選ばれし子供たちの一人。
 いつも笑顔でクラスでも人気があり、本宮大輔にも好意を寄せられているが、あまり相手にしていない。

○一乗寺賢=デジモンカイザー(デジモンアドベンチャー02)
 天才少年と謳われた小学5年生。兄の死と及川悠紀夫からのメールで辿り着いた暗黒の海と、
 埋め込まれた暗黒の種の影響で、残虐性格の持ち主デジモンカイザーとなってしまい、
 デジタルワールドを支配しようと企んだ。一時はデジタルワールドの多くのエリアを制圧し、
 権勢を誇ったが、本宮大輔達との決戦に於けるキメラモンの暴走とワームモンの犠牲により
 本来の心を取り戻し改心。デジタマから孵ったリーフモンと再会し、
 以降はワームモンと共にデジタルワールドのために尽くすことを決める。

1065

○ブイモン=エクスブイモン(デジモンアドベンチャー02)
 勇気のデジメンタルの下から現れた、本宮大輔のパートナーデジモン。
 一人称は「オレ」。チョコが好物。おにぎりをもって目を輝かせていたことも。
 性格は大輔と同じく単純で猪突猛進、仲間思い。テイルモンに好意を抱いている様子で、
 パタモンをライバル視している。進化形態は幼年期のチコモン、チビモン、
 基本形態のブイモン、アーマー進化のフレイドラモン、ライドラモン、マグナモン、
 サジタリモン、通常進化のエクスブイモン、ジョグレス進化のパイルドラモン、
 それの究極体のインペリアルドラモン(ドラゴン、ファイター、パラディンモード)と
 延べ12形態を持つ。

○アルマジモン=アンキロモン(デジモンアドベンチャー02)
 知識のデジメンタルの下から現れた、火田伊織のパートナーデジモン。
 性格は伊織と違い、良く言えば陽気で大らかだが、悪く言えば暢気。名古屋弁で話す。
 ディグモンとサブマリモンにアーマー進化する。

○パタモン=エンジェモン=ホーリーエンジェモン(デジモンアドベンチャー/同02)
 高石タケルのパートナーであり、大きな耳が特徴の哺乳類型デジモン。ペガスモンにアーマー進化する。
 必殺技は吸い込んだ空気を一気に吐き出すエアショット。他のデジモンたちと比べても特に素直で、
 教えられたことはちゃんと守る健気な性格をしている。耳を使って飛ぶこともできるが、
 時速1キロでしか飛べないので本当は歩いた方がずっと速かったりする。

○テイルモン=エンジェウーモン(デジモンアドベンチャー/同02)
 八神ヒカリのパートナーデジモン。基本的には姉御肌で落ち着いた性格の持ち主。
 ネフェルティモンにアーマー進化する。

○ワームモン=スティングモン(デジモンアドベンチャー02)
 一乗寺賢のパートナーデジモン。成長期。賢を溺愛し「賢ちゃん」と呼んでいる。
 彼がデジモンカイザーになってもつかず離れず彼に尽くし、一度は賢を救うため命を落とした。
 はじまりの街で復活してからは、彼とともにデジタルワールドの危機を救う為に尽力する。

○星川文矢=ファイブブラック(地球戦隊ファイブマン)
 ニュータウン小学校に勤務する国語の先生。星川兄弟の三男で、レミとは二卵性双生児の末っ子。
 シドン星を脱出したときはまだ赤ん坊であり、両親の顔を知らないのがコンプレックスになっている。
 特技は空手で個人武器はパワーカッター。

○星川レミ=ファイブイエロー(地球戦隊ファイブマン)
 ニュータウン小学校に勤務する音楽の先生で、星川兄弟の次女。
 文矢とは二卵性双生児だが、どちらが先に生まれたのかは不明。
 特技は拳法系で、酔拳が得意。個人武器はメロディータクト。

○星川数美=ファイブピンク(地球戦隊ファイブマン)
 ニュータウン小学校に勤務する算数の先生で、星川兄弟の長女で第三子。
 主に家事全般を担当していたのは数美だったようで、母親代わりを勤める場面もあったようだ。
 特技はフェンシングで個人武器はキューティーサークル。

 

1066

~旅行日程・2日目~

ブリアン島に向かって『飛鷹?』出港した翌日。

***飛鷹?・ガンバ―チームの部屋***

♪~♪~♯←(ヴァイオリンの音)

ブルーガンバ―である鷹介だが、普段は母親によって
あらゆる塾や習い事をされている少年である。
長期間のキャンプ活動なので、母親から勉強と練習できる事は
キャンプ中でもしっかりやっておくように言われていた。
そこで彼は部屋の中で、ヴァイオリンの練習を行う。
だが、彼が練習する理由は単に母親の言いつけというだけでなく
同じ教室に通うガールフレンドの小牧百合香ともっと仲良くなりたい
というものだった。
因みに現在、虎太郎は仁達と混じって、広い客船を探検中。
力哉はこの船にある運動場でトレーニング中である。

鷹介「・・・ふぅ~。ちょっと、休憩」
シレン「いい、音色だ。だが、若干♭(フラット)な所があるな」
鷹介「あなたは、誰ですか?」
シレン「俺はシレン。ガイストクラッシャーをしている」

部屋に入ってきたのは、ガイストクラッシャーの一人、シレン・クォーツ。
彼は横笛を吹くのが、趣味でよく会話に音楽用語を口にする癖がある。
シレンはたまたまこの部屋の前を通った時に、ヴァイオリンの音がしたので
止まり、部屋に入ってきたのであった。

♪~♪~♭~#←(横笛の音)

鷹介「(上手いなぁ)」
 
シレンは挨拶代りに横笛を披露する。鷹介はシレンの横笛を
聞いて本当に上手だと感じた。

鷹介「音楽について、もっと教えてくれますか?」
シレン「・・・いいだろう」

鷹介は音楽に詳しいシレンに指導をしてもらう事にした。
この後、鷹介は音楽教師の星川レミにも指導してもらうのであった。

一方、別の船内では...。

栄人「すまない。君はもしかして、石田ヤマトの弟か?」
タケル「え、そうだけど...兄さんの知り合い?」
栄人「いや、直接会った事は無い。ただ、俺はしばらくロックバンドを
    やっていてな。その時、君の兄のロックを聞いた事があるんだ」

栄人は船内を歩くタケルを見つけ、「石田ヤマト」の弟なのかと尋ねる。
栄人はロックバンドの活動をしていた時に、ヤマトのロックを聞いたという。

タケル「兄さんの歌を聞いてくれて、ありがとう。僕はタケル」
パタモン「タケルのパートナーのパタモンだよ」
栄人「俺は、栄人だ。よろしく頼む」

ヤマトを通じて、タケルと栄人は仲良くなるのであった。

1067

***飛鷹Ⅲ・厨房***

ブリーフィングルームで大人達がミーティングを行っていた頃、
両津は船での食事を担当する事になり、ボルボやジョディに食材の
準備を手伝ってもらっていた。

ボルボ「それにしても、このマグロでかいな」
両津「二徹から、色々活きのいいマグロや海の幸を仕入れたからな」

両津の言う二徹というのは、両津の知り合いである飛鷹4姉妹の父親
である漁師の事で、かなり遠洋して魚介類を仕入れている。

ジョディー「あら、あそこにいる女の子は誰かしら?」
両津「ん?」

ジョディーが指差す方向を見ると、ロングヘアーの女子高生
千鳥かなめが辺りをキョロキョロをしながら、歩いていた。

かなめ「すいません、ここはどこですか?」
ボルボ「君は、このキャンプの参加者かな?」
ジョディー「ここは、厨房よ」
両津「迷ったのか?」
かなめ「はい、スタッフのお手伝いとして来たんですけど、
     迷ってしまって・・・」

船の中を迷ったかなめは、両津達に現在の場所を聞く。

両津「そうか・・・よし、わしが部屋まで送ろう」
かなめ「あ、ありがとうございます!」
???「待てぇ!」

両津はかなめを部屋まで送ろうとするが、そこに割り込む
人物が現れた。かなめの護衛を任務とする相良宗介である。

かなめ「ソースケ!?」
宗介「大丈夫か、千鳥!」ジャキ
両津「な、何だ!?」
ボルボ「両津!」ジャキ

暴漢に襲われていると思った宗介は、かなめを守るように前に立ち銃を突きつける。
宗介が銃を突きつけたので、ボルボも隠し持っていた銃を向ける。

スパコーン

宗介「痛いぞ、千鳥」
かなめ「な~にしているのよ、ソースケ!この人達は私が迷っていたから
     親切に部屋まで送ってもらおうとしただけよ!」
両津「・・・こいつも、ブレイバーズの一員なのか?」

かなめと宗介のコントみたいなやり取りに、両津は呆れて
その光景を見ていた。

ジョディー「ソースケ?その頬の傷・・・あなたが、マオの言っていた
      相良宗介ね!」
宗介「ん!?マオの事を知っているのか」
ジョディー「マオは私の友人よ。あなたの事も聞いているわ」

会話に出てくるマオというのは、宗介の所属する組織ミスリルの
兵士であるメリッサ・マオの事である。元々マオはアメリカ海軍だったので
ジョディ―とは、その頃からの友人だった。

宗介「そうか、マオの友人だとは知らずに先程の件はすまなかった」
ボルボ「分かってもらえたならいい。所で、君の銃はなかなかいい
     手入れがしてあるなぁ」
宗介「そちらの銃も、よく手入れされている。優秀な兵士である証拠だ」

謝罪する宗介にボルボは、宗介の銃を見ていい手入れをしていると褒める。
同じように宗介もボルボの銃を褒め、何やらお互い意気投合をしていた。

両津「…(ブレイバーズっていうのは、こんなのばっかなのか?)」

両津はそんな事を思いながら、眺めるのであった。

1068

○風祭鷹介→シレン・クォーツハートと邂逅。
○シレン・クォーツハート→風祭鷹介と邂逅。
○狼座の栄斗→高石タケル、パタモンと邂逅。
○高石タケル→狼座の栄斗と邂逅。
○パタモン→狼座の栄斗と邂逅。
○ボルボ西郷→食材の準備中、相良宗介、千鳥かなめと邂逅。
○両津勘吉→食材の準備中、相良宗介、千鳥かなめと邂逅。
○ジョディー・爆竜・カレン→食材の準備中、相良宗介、千鳥かなめと邂逅。
○千鳥かなめ→今回のキャンプに手伝いとして参加。
○相良宗介→今回のキャンプに手伝い兼千鳥かなめの護衛として参加。

 

【今回の新規登場】
○相良宗介軍曹(フルメタル・パニック!)
ミスリル作戦部西太平洋戦隊陸戦ユニットSRT(特別対応班)所属。
コールサインは"ウルズ7"。ゲリラや傭兵として世界各地の戦場を
廻ってきた凄腕の兵士である。傭兵やゲリラとしての生活が長いためか、
平和な社会での常識が皆無な行動や、戦場の常識に則った行動をしたりするので、
よく周囲から「戦争ボケ男」などと言われている。「ARX-7 アーバレスト」のパイロット。

 

○千鳥かなめ(フルメタル・パニック!)
都立陣代高校に通う高校2年生で生徒会副会長。
性格はかなり過激とも言えるほどに行動的。
抜群のルックスに反して、歯に衣着せぬ物言いとその過激な性格が災いし、
「恋人にしたくないアイドル・ベスト・ワン」の称号を持つ。
相良宗介に唯一?突っ込みを入れられる人物。
実は、あらゆるブラックテクノロジーに精通する「ウィスパード」であり、
ミスリルから保護対象とされている。

 

1069

~旅行日程・3日目~

***『飛鷹Ⅲ』・甲板***

ブリアン島を目指して、横浜港を発ってから3日目。
甲板の上を2mもある大男が、水平線の先を見つめていた。

鈴雄「あっ、アレクセイさん!探しましたよ」
イスカンダル「おお、鈴雄か。すまんすまん、ついこの『オケアノス』を
        見たくてなぁ」

水平線を見ていたのは、現在はコスモス荘にて保護されている
征服王イスカンダルだった。
銀河連邦警察代表で、小鈴と瑠璃がキャンプに参加する事になり
鈴雄が保護者になったのだが、イスカンダルが自分も参加したいと
強引についてきたのである。当初は、いざこざがあったものの
イスカンダルは遠征をしていたので、野営の知識もあり、
またかの有名なアリストテレスに家庭教師をしてもらっていたので、
頭も良く教師役(主に地理と歴史)をしてもらう事にしたのであった。
因みにアレクセイというのは、聖杯戦争時に正体を隠すべく使用していた
偽名である。

鈴雄「オケアノス?」
イスカンダル「うむ。オケアノスというのはだな、世界の果てにあるという
   大きな海のことでな。かつて余はオケアノスを夢見て、ひたすら東へと
   遠征したのだ」

オケアノスとは、「世界の果て」という意味の言葉である。
遠い昔、世界の果てを見たいという思いから各地を征服しながら
駆け抜けたあの頃に太平洋を見ながら思いを馳せていた。

イスカンダル「それにしても、この船は何ともデカイのぉ。海に出てから
        3日も経つが、まだまだ探検のしがいがあるわい!がっはっは」
鈴雄「だからって、あんまりうろちょろしないでくださいよ...」

イスカンダルは『飛鷹Ⅲ』を見ながら、大声で笑う一方、鈴雄は
イスカンダルが船の中をあちこち歩き回るので、少し振り回されていた。
船内に戻ると、子供の声が聞こえてきた。

仁「行け、ピカ○ュウ!」
拳一「とらせるかよ!ラ○チュウ」
鈴雄「・・・ゲームをしているのか」

覗いてみると、地球防衛組の仁とザウラーズの拳一が
捕まえたモンスターを戦わせる人気の携帯ゲームをテレビに
繋いでゲームをしていた。仁と拳一の周りには複数の子供達が応援していた。

イスカンダル「ほう...最近はそういうゲームが流行っているのか?」
仁「あ、この前助けてくれた牛のおっさん!」
マリア「失礼よ、仁!」

この前、邪悪獣が出現した時イスカンダルに助けられたが、名前が
分からなかったので仁は、空飛ぶ牛に乗っていたから牛のおっさんと
呼ぶが、マリアが失礼だと注意する。

イスカンダル「わっはっはっは、よいよい。余の名はイスカンダル。
  まぁ、言いにくいのであればアレクセイ...もしくはライダーとでも
  呼んでくれ」
浩美「(ライダー?)」

イスカンダルは細かい事を気にしないので、笑ってそれを許し
自己紹介をするが、ライダーという言葉に立花浩美は疑問に思った。

イスカンダル「どれ、余にも少しやらせてもらえぬか?」
吼児「じゃあ、僕のを貸します」

そのままイスカンダルは、吼児にソフトを貸してもらい
子供達に混じってゲームをするのであった。

1070

両津「う~む、見事に迷ってしまった。わしの部屋は何処だ?」

さて、一方スタッフとして参加した警察官の両津勘吉は
自分の部屋に行こうとするが、この広い客船に迷ってしまっていた。

ワーワー

両津「ん?こっちから声がするなぁ」

両津が声のする方を行くと、イスカンダルと子供達が
ゲームで盛り上がっていた。

両津「ほぅ~、○ケモンか。それにしても、あのデカイおっさん
    強いなぁ」
イスカンダル「わっはっは、余は誰の挑戦でも受けるぞ!」

コツを掴んだイスカンダルはすぐさま、連勝して大きく高笑いをする。

両津「よ~し、次はわしが相手だ!」
イスカンダル「よし、来い!」

両津は自分が持ってきたゲームを繋げて対戦を始める。

***10分後***

両津「よっしゃ~、わしの勝ちだ!」
あきら「すげ~、イスカンダルさんを倒したよ」
ヨッパー「やっぱ、両さんはゲーム上手だなぁ」

10分後、対戦の結果両津が勝利。観戦していたあきらとヨッパーは
両津のゲームの腕前に感心する。

イスカンダル「ぐぬぬ・・・不覚。次のゲームで勝負だ!」
両津「面白い。よ~し受けて立つ!」

それから、イスカンダルと両津はレーシングや格闘、パズルと
あらゆるゲームで対戦し続け、白熱の勝負をしていった。
その結果...

イスカンダル「いや~、貴様のゲームの腕前天晴だ!」
両津「イスカンダルこそ、ゲーム上手いなぁ。がっはっは!」

お互いゲームを通じて、意気投合して酒盛りをする仲となるのであった。

 

1071

イスカンダルと両津がゲームを通じて、仲良くなったその夜。
子供達は食事を終えて、それぞれの時間を過ごしていた。

レッカ「はぁ~、今日も美味かった!」
ハヤト「食べ過ぎじゃないのか、レッカ?」
クラマ「レッカの大食いは、いつものことだっつーの」

食事を終えたガイストクラッシャーチームは、子供達が
集まっている広間へとやってくる。

延珠「どうじゃ、妾達のコスチュームかわいいじゃろう?」
蓮太郎「お前ら、またその衣装持ってきたのかよ...」
刃「なあ、『天誅ガールズ』ってなんだ?」
さやか「今人気のアニメの事よ」

広間では、延珠とティナが自分達の好きなアニメ番組『天誅ガールズ』の
コスプレ姿を他の子供達に披露していた。『天誅ガールズ』を知らない刃
だが、さやかが教える。

飛鳥「可愛い!」
イサミ「延珠ちゃんも、ティナちゃんも、とっても似合っているよ」
ティナ「ありがとうございます...(照」

延珠とティナのコスプレ姿を飛鳥やイサミはかわいいと褒め
ティナは照れて顔を赤くする。

ケイ「あ、そういえば『天誅ガールズ』って確か、兄ちゃんも見ているアニメだ!」
イサミ&ソウシ「「え?」」
トシ「ば、馬鹿、ケイ!!そんな事ねえだろ!」

自分もしんせん組の一員だからと、キャンプについてきたトシの弟であるケイが
実はトシも『天誅ガールズ』を見ている事をばらしてしまう。

延珠「トシも、見ているのか!?」
トシ「え、いや...!?」
一同「じ~」
トシ「うぅ・・・あっ、仁、今度サッカーしねえか?」
ソウシ「あっ、逃げた」

眼をキラキラしながら延珠はトシに質問して、イサミ達もじっと
トシを見つめ、恥ずかしくなったトシは誤魔化して逃げた。

駆流「いっけー、川尻!」
れい子「負けないで、アントニオ稲木様!」

一方、テレビで放送されているプロレス試合を応援する
アルカディアの轟駆流と地球防衛組の池田れい子はお互い、
プロレスファンで、それぞれの応援する選手が戦っているので、
白熱しながら応援していた。

駆流「勝つのは、川尻だ!」
れい子「いいえ、アントニオ稲木様よ!」
荘太「まあまあ」

どっちが勝つかで、駆流とれい子が口論しそうになるが
荘太がなだめた。

マリア「皆、鵺野先生が集まるように言ってきたわ」
エリー「ブリーフィングルームに来てちょうだい」
仁「何だ?」
拳一「さあ」

そこへマリアとエリカが現れ、鵺野が皆を集めるように
指示して来た事を話す。

~『飛鷹Ⅲ』・ブリーフィングルーム~

鵺野「えー、諸君達は今後、妖怪や悪霊といった怪奇現象にも
    立ち向かう事態になるかもしれない。そこで、この航海も
    3日目という事で、いきなりで済まないが・・・怪談を行う!」
子供達一同「え~~~~」
雲雀「うう、怪談は怖いなあ」
柳生「大丈夫だ。俺が側にいる」
ヤンチャー「星史、ビビるなよ」
星史「お前こそ」

ブリーフィングルームに集められた子供達に、鵺野は怪談を行うと
言ってきた。それぞれ怖がったり、茶化したりする。そして...。

鵺野「・・・と古い廊下を歩いていたA君達だったが一人・・・
   また一人といなくなり、最後にはA君だけになってしまった」
延珠「ゴク」
虎太郎「ゴク」
鵺野「一人になってしまったA君が、誰もいない教室に入って
   振り向くと、そこには鬼の様な形相をした女の幽霊が!!」
紫穂&勇太「「きゃぁぁぁあああ」」バタ
薫「紫穂!」
葵「うわぁぁ、紫穂と勇太君が倒れた!」

鵺野が子供達を集めて、怪談を話したら幽霊が苦手な紫穂や
勇太が悲鳴を上げて倒れたりしてパニックとなるのであった。

1072

~旅行日程3日目・深夜~

鵺野「はぁ~、あんなにもパニックになるとは思わなんだ」
覇鬼「ウガウガ、なかなか楽しかったウガ」
鵺野「お前なぁ・・・ん?」

深夜、甲板を歩く鵺野は先程の怪談大会のパニックに疲れ
肩を落とす。一方、覇鬼は楽しかったと大笑いする。
その時、鵺野は甲板から声が聞こえてきたのでそちらへと歩を進める。

両津「わっはっは、その時わしの部長がな...」
イスカンダル「ほう、そのお前さんの部長というのはなかなか面白い人物だな」

そこにいたのは、あれからずっと酒盛りをしていた両津とイスカンダルだった。

鵺野「両津さん、えっと・・・アレクセイさん何をしているんですか!?」
両津「何って、わしらは酒盛りをしているだけだが?」
イスカンダル「うむ、酒こそ語り合いに必要不可欠な事だ」
鵺野「はあ・・・(汗」
覇鬼「酒なら、俺にも飲ませるウガ」

すっかり出来上がっている両津とイスカンダルに鵺野は少し困惑。
鬼である覇鬼は酒というフレーズに自分も飲ませろと現れる。

両津「おう、飲め飲め」
イスカンダル「酒の前に、人も鬼も関係は無し!」
覇鬼「ウガウガ、全くだウガ」
鵺野「はぁ~(そういえば、このアレクセイって人、妖力?・・・いや、
    どちらかといえば魔力か。あの冬木市で行われた魔術儀式
    聖杯戦争で召喚されたサーヴァントが受肉した英霊だと聞いたが
    なかなか豪快な人だな。・・・だからこその英霊か?)」

覇鬼も加わり、なし崩し的に鵺野も参加する事になる。
鵺野は貰った資料からイスカンダルの素性を知った。
また霊能力者なので、魔術とされる知識にも明るく
聖杯戦争についても知っていた。イスカンダルの豪快さに
これが英霊と呼ばれる存在なのかと感じる。

イスカンダル「さあさあ、お前さんもどんどん飲め」
両津「おう、まだ酒はあるぞ!」
覇鬼「ウガガガ」
鵺野「(いかん・・・酔い潰れそうだ)」

さすがの鵺野もトップクラスの酒豪に囲まれ、酒を飲まされ続け
酔い潰れてしまう。

~旅行日程4日目・朝~

鈴雄「一体・・・何をやったんですか!」
イスカンダル「いや~、両津とこの鵺野とで酒を飲んでいたら、
         ついノリでコヤツの鬼と勝負をしてなあ」
覇鬼「こいつの牛の戦車を潰してやったウガ」
鵺野「・・・酔ってしまい、眠っている間に覇鬼の好きにさせて
    しまいすまなかった。面目ない」
両津「ぐぉぉぉ」

酒盛りをしていたイスカンダルと両津、そして鵺野だったが
酒に潰れて鵺野が寝ている時に覇鬼がイスカンダル達と飲み続け
ノリで勝負する事になり、イスカンダルの宝具「神威の車輪
<ゴルディアス・ホイール>」を覇鬼にぶつけた結果、こなごなに
砕けてしまった。その惨状に鈴雄は呆れ、鵺野は反省。イスカンダルは
気にせず、両津はイビキを欠いていた...

数美「皆は、大人になっても絶対にお酒でこういう事が無いようにね」
子供達一同「は~い」

様子を見に来た子供達に星川数美は酒を飲みすぎない
ように注意するのであった...お酒は程々に。

1073

○桜咲鈴雄→イスカンダルに船の中で振り回される。
○イスカンダル→ゲームを通じて、両津と仲良くなる。

酒盛りで覇鬼に「神威の車輪」をこなごなにされる。
○両津勘吉→ゲームを通じてイスカンダルと仲良くなり、酒盛りをする。
○日向仁→ゲームで拳一と対戦する。
○星山吼児→イスカンダルにゲームソフトを渡す。
○池田れい子→テレビのプロレスの試合を応援する。
○白鳥マリア→エリーと一緒に、子供達をブリーフィングルームに集める。
○峯崎拳一→ゲームで、仁と対戦する。
○光主エリカ→マリアと一緒に、子供達をブリーフィングルームに集める。
○鵺野鳴介→子供達に怪談を話す。酒に酔って眠ってしまい覇鬼を止められなかった。
○覇鬼→イスカンダルとの酒盛りで、「神威の車輪」をこなごなにした。
○藍原延珠→ティナと『天誅ガールズ』のコスプレ姿を披露する。
○ティナ・スプラウト→延珠と『天誅ガールズ』のコスプレ姿を披露する。
○鉄刃→さやかに『天誅ガールズ』の事を聞く。
○峰さやか→刃に『天誅ガールズ』を教える。
○花丘イサミ→延珠達のコスプレ姿を褒める。
○月影トシ→『天誅ガールズ』を見ている事がバレて、誤魔化して逃げる。
○月影ケイ→兄のトシが『天誅ガールズ』を見ている事をばらす。
○飛鳥→延珠達のコスプレ姿を褒める。
○轟駆流→テレビのプロレスの試合を応援する。
○軍司壮太→駆とれい子が喧嘩になりそうになるので、なだめる。
○友永勇太→鵺野の怪談を聞いて、倒れる。
○三宮紫穂→鵺野の怪談を聞いて、倒れる。
○星川数美→子供達にお酒について、注意を話す。

【今回の新登場】
○峯崎拳一(熱血最強ゴウザウラー)
 マッハプテラやゴウザウラー及びキングゴウザウラーのメインパイロットであるザウラーズ
 の一員。スポーツ用品店の息子で、明るくお調子者だがその内に熱い心を秘めている。
 特技はスケボーで、プリンが好物。勉強が苦手。一時期、機械化されてしまうが、
 無事に元の体に戻る。

○立花浩美(熱血最強ゴウザウラー)
 ランドステゴのパイロット及びゴウザウラーのサブパイロットである拳一の親友。
 やや気弱な性格だったが、勇気を振り絞って戦場に赴くまでに成長した。
 外科医である母親と二人暮らしで家事や料理をこなしている。
 将来、漫画家を目指している。

○光主エリカ(熱血最強ゴウザウラー)
 6年2組の副委員長であり、ザウラーズの司令官を務める。
 あだ名は「エリー」。ランドステゴの情報分析担当でもある。
 目立ちたがりで、将来アイドルを夢見ている。

○池田れい子(絶対無敵ライジンオー)
 出席番号10番。主にライジンオーの通信担当で、プロレス好き。
 ジャイアントいのばばと、アントニオ稲木を崇拝している。背が低いのを
 気にしている。実家は「陽昇石油」というガソリンスタンド。

○月影ケイ(飛べ!イサミ)
 トシの幼い弟。好奇心旺盛な幼稚園児で、ご先祖の残したからくり
 三輪車で移動する。兄同様「ガンバマン」のファン。

 

1074

~旅行日程4日目~

朝のちょっとした騒ぎからしばらくして、『飛鷹Ⅲ』の中にある
運動場では、地球防衛組を中心としたチームとザウラーズを中心とした
チームによるサッカーの試合が行われた。

健「試合開始」ピッ
仁「行くぜ、あきら、ヨッパー!」
あきら「任せろ!」
ヨッパー「負けないぜ!」
拳一「止めるぞ。ボン、チョビ!」
ボン&チョビ「「応」」

始めに仁、あきら、ヨッパーが拳一、ボン、チョビがぶつかる。

仁「星史、パス!」
星史「OK!くらえ、タイガーシュート!」
ヤンチャー「させるか、止めるぜ」

地球防衛組のチームの一員である星史は、仁からボールを受け取り、
某サッカー漫画の必殺シュートを打ち込むが、ザウラーズのチームの
一員となったヤンチャー王子がそれを阻む。

大輔「賢、この試合は防衛組チームが勝つぜ!」
賢「悪いけど、ザウラーズチームが勝利するよ!」
ミノモン「がんばれ~、賢ちゃん」
チビモン「負けるな、大輔!」

試合展開が進み、サッカーが得意な大輔と賢も敵味方に分かれて
試合する中、ミノモンやチビモンはそれぞれのパートナーを応援する。

レッカ「うぉぉぉ、爆盛りシュートだ!」
ハヤト「ゴールデンに止める!」

レッカはシュートを決めるが、ハヤトはゴールキーパーとして、
全力でゴールを守っていた。

トシ「痛ぇー!」
ソウシ「大丈夫か、トシ!」

ボールを追いかけるトシだが、足を滑らせてこけてしまう。

エリ「大丈夫?今、治療するからね」
トシ「あ、ありがとうございます。エリ先生」

医療スタッフとしてキャンプに参加したスカイック族の護星天使
エリはトシの足に絆創膏を貼るのであった。

~小鈴・瑠璃の部屋~

さて、サッカーで盛り上がる中、小鈴と瑠璃が泊まっている部屋では、
瑠璃がゴーレムの出来栄えを向上させるべく、粘土人形の練習を
行っていた。

瑠璃「はぁ~、全然粘土人形が上手くならない!」
鈴雄「大丈夫、まだまだ上手くなれるよ」
イスカンダル「うむ、なかなか個性的ではないか」
両津「ん?粘土を造っているのか。・・・どれ貸してみろ」
鈴雄「・・・上手い!」
イスカンダル「ほう・・・これは甲冑の騎士か?」
両津「ほれ、やるよ」
瑠璃「・・・あ、ありがとう・・・ございます(照」

粘土の練習をしていた瑠璃だったが、上手くならず落ち込んでいると
両津が甲冑の姿をした騎士を粘土で造ってプレゼントをしたり...

1075

皆がサッカーをする一方、他のスポーツをする子供達もいた。

虎太郎「そぉれぇい!」
ワッ太「てえりゃああ!」カキーン
飛鳥「打たれた!」
勝平「回れ、回れ!」

ガンバ―チームを中心に簡単な野球を行い、虎太郎がピッチャーで
ボールを投げ、ワッ太がバットで打ち返した。飛鳥は驚き、
神ファミリーの勝平がホームを回る様に大声を上げる。

バシュ

天界「採った!」
鷹介「すごい!」
虎太郎「ナイスだぜ、天界!」
力哉「あのキャッチ力...守備としてうちのチームに入ってくれないかな」

だが天界はワッ太が打ったボールを、その身体能力で見事キャッチする。
力哉は天界のキャッチを見て、自身の所属する草野球チームに入ってくれないかと
思うのであった。

刃「よ~し、素振り50回!」
伊織「1、2、3...」
斑鳩「・・・では、こちらは切り返しを行います。しのぶさんも
    イサミさんも構えて下さい」
しのぶ「はい」
イサミ「はい」

一方では、刃と斑鳩が剣の稽古をつけていた。
伊織は竹刀の素振りを行い、朝岡しのぶや花丘イサミは
打ち返しを行う。

蓮太郎「・・・(あの斑鳩って人、木更さんとどっちが強いだろうなぁ)」
延珠「むぅ~、蓮太郎他の女に見惚れるでない!」
ティナ「お兄さん...」
蓮太郎「馬鹿、そんなじゃねえよ!」

蓮太郎は遠くから斑鳩を見て、自分の上司である木更と彼女が
とちらが強いのかと考えるが、そこを延珠とティナがヤキモチを焼く。

蒼摩「ぜりゃぁぁぁ!」
龍峰「たぁぁぁぁ!」
ハチロー「うわぁ~」
ナミダ「かっこい~!」

少し離れた場所では、このキャンプに参加する聖闘士の
栄人、蒼摩、龍峰、ユナがトレーニングをしていた。
因みに光牙、エデンは現在旅に出ているので連絡がつかず
不在である。
その光景を大空魔竜の隊員であるハチローやコスモクラッシャー隊
の特別隊員である明石ナミダ等の子供達がカッコいいと感じる。

ケンタ「頑張ったら、聖闘士になれるかな?」
ユナ「そうねぇ。聖闘士になるにはまずは小宇宙(コスモ)を感じないと...」
護「小宇宙?」

天野平和レスキュー隊の天野ケンタは、自分も聖闘士になれないかと
思うが、ユナは聖闘士に必要な小宇宙を説明する。そこをGGG特別隊員
である天海護が聞き返した。

1076

蒼摩「ふぅ~、いい汗かいたぜ」
龍峰「ここに光牙君達がいない分、聖闘士代表として
    僕らが頑張らないとね」

トレーニングをしていた蒼摩と龍峰は、一息ついて
汗をタオルで拭った。

きらら「蒼摩さんも、龍峰君もカッコいいわね」
クッキー「栄人君もクールでカッコいいわよ」
ポテト「うんうん」

同じくトレーニングを見ていた地球防衛組の女子メンバーも、
その姿にカッコいいと感じ、見惚れていた。

ひろし「クッキー...」
仁「あぶない、ひろし!」
ひろし「え...」バァーン

蒼摩達に見惚れるクッキーこと栗木容子を見ていた地球防衛組の
委員長である高森ひろしは、クッキーに思いをよせているので
よそ見をしていると仁の蹴ったサッカーボールが顔面にぶつかって
しまうのであった。

蒼摩「ありゃりゃ・・・お?お前もこっち来て一緒にトレーニングをしないか?」
イズナ「・・・ふん」
蒼摩「行っちまいやがった...」

ひろしが顔面にボールが当たってしまった所を見ていた蒼摩は
同じく見ていた髪が逆立っている少年―ガイストクラッシャーの
一人、黒曜イズナに声を掛けるが、一匹狼な所があるイズナは
そっぽ向いてトレーニング場を出て行ってしまった。 

 

1077 
 
○星川健→サッカーの審判を務める。
○日向仁→サッカーを行う。
○今村あきら→サッカーを行う。
○小川よしあき→サッカーを行う。
○月城飛鳥→ガンバーチームと野球を行う。
○高森ひろし→栗木容子に見惚れていて、顔面にボールをぶつける。
○春野きらら→蒼摩達のトレーニング姿を見て、うっとりする。
○栗木容子→蒼摩達のトレーニング姿を見て、うっとりする。
○石塚織絵→蒼摩達のトレーニング姿を見て、うっとりする。
○霧隠虎太郎→野球でピッチャーとなり、球を投げた。
○風祭鷹介→野球を行う。
○流崎力哉→野球を行う。
○峯崎拳一→サッカーを行う。
○武者小路叉音泰→サッカーを行う。
○関和孝→サッカーを行う。
○朝岡しのぶ→斑鳩から、剣の指導を受ける。
○高杉星史→サッカーを行う。
○ヤンチャー王子→サッカーを行う。
○竹尾ワッ太→野球でバッターとなり、球を当てる。
○神勝平→野球を行う。
○本宮大輔→サッカーを行う。
○一条寺賢→サッカーを行う。
○火田伊織→刃から、剣の指導を受ける。
○チビモン(ブイモン)→サッカーの応援をする。
○ミノモン(ワームモン)→サッカーの応援をする。
○白銀レッカ→サッカーで、シュートを決めようとする。
○金剛寺ハヤト→サッカーで、ゴールキーパーとなる。
○花丘イサミ→斑鳩から、剣の指導を受ける。
○月影トシ→怪我して、エリに治療をしてもらう。
○エリ→保険医として同行。怪我したトシを治療する。
○梅木瑠璃→粘土人形の練習をしていた所、両津に粘土人形をもらう。
○両津勘吉→粘土人形を作り、瑠璃に渡す。
○鉄刃→伊織に剣の指導を行う。
○斑鳩→しのぶとイサミに剣の指導を行う。
○里見蓮太郎→斑鳩に見惚れる。
○藍原延珠→ヤキモチを焼く。
○ティナ・スプライト→ヤキモチを焼く。
○仔獅子座の蒼摩→トレーニングを行う。
○龍座の龍峰→トレーニングを行う。
○鷲座のユナ→聖闘士の説明をケンタ達に教える。
○ハチロー→聖闘士のトレーニングを見る。
○明石ナミダ→聖闘士のトレーニングを見る。
○天野ケンタ→聖闘士のトレーニングを見て、憧れる。
○天海護→聖闘士のトレーニングを見る。
○黒曜イズナ→運動場の様子を見ていたが、出ていく。

1078

【今回の新登場】
○武者小路叉音泰(熱血最強ゴウザウラー)
 6年2組の生徒で、「ランドステゴ」のメカニック担当。本名がいいとこの
 ボンボンぽいので、あだ名は「ボン」だが、実家は至って普通の家庭。
 拳一やチョビとつるんで、悪戯をしたりする。

○関和孝(熱血最強ゴウザウラー)
 6年2組の生徒で、「サンダーブラキオ」の武器担当。あだ名は「チョビ」
 常にサッカーボールを手放さない程、サッカー好き。お調子者で悪戯好き、
 拳一やボンとよくつるんでいる。

○エリ=ゴセイピンク(天装戦隊ゴセイジャー)
 ゴセイピンクに変身するスカイック族の護星天使。アラタの幼馴染であり
 非常に能天気な性格をしている。口癖は「何とかなるなる」
 料理の腕は見た目はざっくりとしているが、味は美味しい。
 戦いを終えた現在は、小学校の保険医をしている。

○仔獅子座の蒼摩(聖闘士星矢Ω)
 アテナに仕える青銅聖闘士で、14歳。出身地はメキシコ。属性は炎。
 陽気で気さくな性格だが、怒ると限度を忘れるという感情の起伏が
 激しい面がある。父親を火星士のソニアに殺された事で、憎しみを
 ぶつけていたが、やがて許すようになる。地元は治安の良くない下町だが、
 不良少年らにアニキと慕われ、女性にもモテている。

○龍座の龍峰(聖闘士星矢Ω)
 アテナに仕える青銅聖闘士で、紫龍と春麗の息子。年齢は13歳。属性は水。
 普段は温厚で優しいが、戦いとなると容赦が無く強かな面もある。
 父紫龍が魔傷で五感を失っていた為、幼少期は母の手で育ち、父とは小宇宙で
 大雑把なやり取りが出来るのみだったが回復してからは、父子の会話をするようになる。

○鷲座のユナ(聖闘士星矢Ω)
 アテナに仕える青銅聖闘士の少女。年齢は13歳。属性は風。
 戦災孤児であり、戦争で家族を失ってから困窮して万引きをして逃亡
 していた所に遭遇し、自身を助けてくれた女性の白銀聖闘士・パブリーンの
 弟子となる。掟に従い、パライストラでは仮面を着けていたが、光牙との
 出会いを経て、自らの意志で仮面を外すようになった。

1079

○天野ケンタ(太陽の勇者ファイバード)
 天野博士の孫で、ハルカの従弟。火鳥勇太郎の弟分で、火鳥から貰った
 リスターを腕に撒いており、宇宙警備隊地球特別隊員として活動している。

○ハチロー(大空魔竜ガイキング)
 大空魔竜戦隊の基地が存在する御前崎灯台の灯台長の息子。
 一応、食糧班に所属しマスコット的存在としての立ち位置を担う。

○明石ナミダ(六神合体ゴッドマーズ)
 ギシン帝国の襲来で、両親を失った少年。タケルに憧れ、コスモクラッシャー隊
 の特別隊員として入隊したが、足を引っ張る事が多い。

○天海護(勇者王ガオガイガー)
 カモメ第一小学校に通う小学生。実は赤ん坊の時、「緑の星」から
 ギャレオンによって運ばれた宇宙人で、ゾンダー化した人間を元に戻す
 「淨解」を始めとする超能力を有している。本名は「ラティオ」で
 その後、GGGの特別隊員となった。口癖は「うわっはー!!」

○春野きらら(絶対無敵ライジンオー)
 出席番号17番。外部通信担当で、陽昇学園では放送部に所属しており
 校内放送のキャスターをしていた。思った事は口にするタイプで、そのため
 トラブルを招く事もしばしばある。飛鳥ファンクラブのリーダーをしていたが
 中学でファンクラブを解散した。夢はニュースキャスター。

○栗木容子(絶対無敵ライジンオー)
 出席番号13番。ライジンオーのレーダー担当。あだ名は「クッキー」
 幼児体型で無邪気な性格をしている。かわいい物が好きで、ぬいぐるみ集め
 が趣味。嫌いな物はゴキブリ。高森ひろしとは幼馴染だが、本人は月城飛鳥
 に夢中である。夢は保育士。

○石塚織絵(絶対無敵ライジンオー)
 出席番号11番。鳳王各種センサー系モニター、ライジンオーダメージカウンター
 担当。食べる事が趣味で、ポテトチップスが好物な事から「ポテト」と呼ばれている。
 大らかで体系も気にしていない。実家は肉屋の「石塚精肉店」夢はパティシエ。

○高森ひろし(絶対無敵ライジンオー)
 出席番号6番。地球防衛組の副司令官及びライジンオーの各種武器セーフティー管理担当
 バクリュウオーサブパイロット。男子委員長であり、実家は電気屋「高森ラジオ」
 クラス一の常識人で、普段あまり目立たないが信頼は厚い。栗木容子とは
 幼稚園から幼馴染で、思いを寄せている。夢は学校の教師。

○黒曜イズナ(ガイストクラッシャー)
 オリンポリス『オブサイド』出身。雷属性の『ライトニング・ドラグーン』
 を装着して戦う。幼少の頃、ガイストによって姉を亡くし、洗脳を受けて
 ボルカン所長やGCGに憎しみを抱いていたが、自分が騙されていた事を
 知ると、紆余曲折を経て和解する。

 

1080

~航海6日目・合宿1日目~

航海6日目にして、ようやくブリアン島へと到着した飛鷹Ⅲ。
仮設の桟橋に接岸し、子供たちが一斉に島へと降り立つ。

仁「イヤッホー!」
大輔「南国の島だぁー!」
学「コラみんな! 慌てず順番に降りるんだぞ!」

桟橋の先で子供たち一行を出迎えたのは、
アロハシャツを着たズングリムックリ体型の少年と、
全員がタマネギ風の髪型で、同じ形の眼鏡をかけ、菱形の口をしている
お付きの人と思しき複数の人間たちだった。

皆本「ご無沙汰しております、パタリロ殿下」
パタリロ「皆本か、久しぶりだな。不二子ちゃんは元気にしてるか?」
薫「皆本、この子だれ?」
皆本「マリネラ国王、パタリロ・ド・マリネール8世陛下だ。
 今回の合宿では名誉幹事をお引き受けいただいている」
紫穂「ふ~ん…」
タマネギA「皆本さん、この島には我々が先乗りしていましたが、
 今現在の時点まで何の問題もありませんでした」
皆本「ありがとうございます」
パタリロ「ではゆっくりしていってくれたまえ。
 僕らはこの辺で…」

パタリロがお付きの武官であるタマネギ部隊を引き連れて、
その場から悠々と離れようとした時、たまたま近くで荷物を運搬中だった
千鳥かなめがそれを見つけて見咎める。

かなめ「君、ちょっと待ちなさいよ!」
パタリロ「…………」(←無視している)
かなめ「そこの潰れ肉まん君!」
パタリロ「…………」(←無視している)
かなめ「そこの脂肪ロース君!」
パタリロ「…………」(←無視している)
かなめ「そこのジャ●ーズアイドルみたいな美少年!」
パタリロ「何か?」
かなめ「……(コイツはっ…!!)(怒」

パタリロの態度に内心ブチ切れるかなめだったが、
そこは必死に冷静さを保って大人らしくパタリロに注意する。

かなめ「何か?…じゃないわよ! 君もこの合宿の参加者なんでしょ。
 他の子供たちと同じように荷物を運んだり準備を手伝ったりしなきゃ
 ダメじゃない!」
パタリロ「ハァ? 何を言う。僕は国王だぞ!
 なんで貧しい一般庶民どもと同じ作業をせにゃならんのだ?」
皆本「ああ…千鳥さん、この御方は別にいいんです」
かなめ「いいえ! 国王だか何だか知りませんけど、
 合宿に参加する以上は他の子供たちとも平等に扱うべきです!」
葵「かなめはんの言う通りや! 名誉幹事だとしても
 ウチらと同じ子供なら特別扱いすべきやない!」

葵たちまでかなめの意見に同調し始める。

パタリロ「ふん…バカバカしい。僕らはこれにて失礼する!」

かなめたちの忠告を無視して立ち去ろうとするパタリロ。
その向かう先には、いつの間にか超豪華なペンションのような建物が
おっ建てられていた。どうやらこの潰れあんまんは、他の子供たちが
懸命に汗水垂らしてテントを設営しているのを尻目に、自分たちだけ
贅沢なリゾート生活を味わうつもりらしい。

ついに、かなめの堪忍袋の緒が切れた…。

かなめ「ソースケ、やっちゃって…」
宗介「了解した、千鳥!」

相良宗介はどこからか口径66mmの対戦車ロケット砲M72 LAWを取り出し、
数十メートル先に見える超豪華ペンションめがけて発射した。
あっという間にペンションは木っ端微塵に…。

パタリロ「な、なにぃぃっっ!!!!!」
皆本「うわああっ!! な…なんてことをぉぉ!!
 これで日本とマリネラの外交問題にでも発展したら!?」

茫然自失となるパタリロと皆本。

宗介「安心しろ皆本二尉。責任は全てミスリルで持つ。
 貴方個人や日本政府に迷惑はかけない」
タマネギB「大丈夫ですよ皆本さん。そもそも今回の合宿に
 殿下を参加させたのは、常日頃の殿下の自堕落な生活を
 心配されたエトランジュ様のご意向なんです」
皆本「エトランジュ様というと、確かパタリロ殿下のご生母で、
 マリネラ王国の現皇太后の…?」
タマネギC「殿下にはきっといい薬ですよ」

こうして合宿の波乱の一日目は幕を開けた。

1081

キャンプ場には小さなコテージが一軒あって、
主に大人達がそこへ荷物の搬入を行なっていた。
2階建ての南国風ログハウスで、
屋根には太陽光発電のソーラーパネル、床下には地下水を汲み上げるポンプがあり、
インフラのないこの無人島でも電気や水道が使えるようになっている。

かなめ「ほら、超豪華ペンションなんてなくても、
 こんな小洒落たコテージがちゃんとあるじゃない」
パタリロ「うう…。この僕が寝泊まりするには、
 少々質素すぎるホテルだが…」
タマネギD「何を仰せられます?
 このコテージは宿泊には使いませんよ。
 何しろ4人用のベッドルームが1室あるだけで、
 皆で寝泊まりするにはあまりに小さすぎますからね」
タマネギE「殿下には、こちらのテントにお泊まりいただきます。
 最高級のペルシャ布で編まれたスペシャルオーダーメイドの一品です。
 さあ、設営の準備を!」
パタリロ「な、何~い!?」

意味不明なところに金をかけた特別仕様のテントを担がされ、
パタリロはトボトボとコテージを去って行った。

学「ここは炊事の時にキッチンを使うくらいで、
 基本は皆テントという事になります。トイレや洗濯もここで。
 それと病人や怪我人が出た場合は、
 ベッドルームに寝かせて看護しましょう」
文矢「風呂はここでシャワーを浴びてもいいけど、
 ちょっと歩いた森の中に温泉があるから、
 できるだけそっちを使ってもらいます」

さて、相良宗介に自分が泊まる予定だった超豪華ペンションを
木っ端微塵に吹き飛ばされ、コテージからも追い出されてしまったパタリロだったが、
なんだかんだとぶつくさ文句を言いつつも、意外にも
他の子供たちとも仲良くしながらせっせとテント設置作業に励んでいた。

かなめ「へぇ~。すぐに音を上げると思ってたのに、
 なかなかやるじゃない」

作業を手伝いながらパタリロの様子を伺っていた
千鳥かなめが感心していると、タマネギ部隊の数人が
話しかけてきた。

タマネギA「ああ見えて殿下はなかなかタフですよ。
 僅か10歳でご父君を亡くされ、その小さい両肩に
 国家と国民の将来がのしかかっておいでなのですから」
かなめ「そっか…。あの子も小さいながらに苦労してるんだ」
タマネギB「並みの苦労ではありませんよ。
 内乱が勃発した某独裁国家から銃弾の飛び交う中、
 戦闘機を一機失敬して脱出を敢行されたこともありましたし」
タマネギC「数万光年彼方の銀河宇宙を放浪して、
 奴隷商人に捕獲されて売り飛ばされそうに
 なったこともあったよな」
かなめ「………す、すごい苦労してたのね(汗」

一方、皆が着々とテントを設置していく中、木っ端微塵となった
超豪華ペンションの跡地をこそこそと動く人物がいた。

ボルボ「何をしているんだ、両津?」
両津「何だ、ボルボか。木っ端微塵になったが、ここは超豪華な
  ペンションだったんだ。ならば、金目の物が残っているかもしれんだろ?」
ボルボ「お前な・・・(汗」

両津は金目の物が無いかと火事場泥棒の様なマネをしていて、
ボルボは呆れていた。

1082

五郎「拳一、ボン、チョビお喋りしていないで手を動かす。
    マーボー、洋二へばっていると終わらないぞ!」

ザウラーズの学級委員長である石田五郎は、作業が遅い拳一達に
指示を出すが、あまり聞いていなかった。

プッツン

五郎「お前ら、仕事をしろ~~~~!!」
拳一「やべえ、五郎が爆発した!」

真面目だが、怒りの沸点が低い五郎は仕事をサボっている拳一達に
ついに感情を爆発してしまい、拳一達は慌てて仕事を再開する。

雲雀「きゃ、痛ぁ~い」
飛鳥(地球防衛組)「大丈夫ですか?」
ソウシ「大変だ、足から血が出ている。僕が救護用のテントまで送ります」
飛鳥&ソウシ「「ん?」」

荷物を運んでいた雲雀を地球防衛組の月城飛鳥としんせん組の雪見ソウシ
が駆け寄る。その時、飛鳥とソウシはお互い、目を合わせる。

飛鳥「(何か・・・)」
ソウシ「(・・・キャラが被る)」

お互い気障で、女子にモテモテという共通点のある飛鳥とソウシは
両者共にキャラが被っていると思うのであった。

柳生「お前達・・・雲雀を泣かせたな?」ゴゴゴゴゴ
飛鳥「えっ?」
ソウシ「ちょっと、柳生さん?」
柳生「雲雀から、離れろ!」
飛鳥&ソウシ「「うわぁぁぁ」」

雲雀を大切に思う柳生は、足を怪我して涙を流す雲雀を見て
飛鳥とソウシが泣かせたと勘違いして、鬼の様な凄みで睨みつける。
飛鳥とソウシはその場から、逃げ出した。

柳生「さぁ、雲雀。傷の手当てをしに行こう」
雲雀「柳生ちゃん...」

鬼の形相から一変、雲雀に微笑みかける柳生に
雲雀は若干、引くのであった。

イスカンダル「うむ。こうしてみると遠征を繰り返していたあの頃を
        思い出すのう」

別の場所では、イスカンダルはテントが次々と設置していく様を見ていて、
生前、東方へと遠征していたあの頃を思い出し感慨にふけっていた。

鈴雄「イスカンダルさ~ん、見ていないでテント張り手伝って下さい」
小鈴「大丈夫、お兄ちゃん?」
瑠璃「コーチ、私も荷物お持ちします」

テントを張るべく、荷物を担いでた鈴雄に小鈴や瑠璃が手伝う。

ジョディー「Hey、皆ランチタイムよ!」
レッカ「おっ、待ってました!爆盛りで喰うぜ」

正午になると、ジョディ―を始めとした食事担当の子供達が
お昼の弁当を持ってくる。

マーボー「うわぁ、美味しい」
ワッ太「うん、郁恵ちゃんのおやつにも負けないな」
大輔「ああ~、光ちゃんが作った弁当を食べられるなんて幸せだ!」

テントの設置でお腹を空かせていた彼らは、弁当を美味しそうに
食べていく。大輔は思いを寄せる光が作った弁当を食べる事が出来て、
涙を流す程、喜んでいた。

結花「はい、金太君」
金太「お・・・ありがとう、ユカ(照」
マリア「仁、口にご飯粒がついているわよ」
仁「おおう・・・」
りんね「これ、私が作ったおかずなんだけど...」
駆「へぇ~、美味しいぜ!」
りんね「ポッ」
あきら「何だろう...」
ヨッパー「急に、周りが熱くなった気がする」

食事を担当していたマリア達が仁達に弁当を薦めていく。
イチャイチャした雰囲気に特定の女の子と親しくない男子達は
周りの温度が熱くなったような気がするのであった。

瑠璃「コーチ、林檎で兎を作ってみました!食べて下さい」
鈴雄「ありがとう、瑠璃ちゃん」
延珠「蓮太郎、妾が食べさせてやるぞ」
ティナ「お兄さん、私が食べさせます」
蓮太郎「・・・お前ら(汗」
薫「皆本、私の弁当を食べてくれ!」
葵「いや、皆本はんは京風弁当が食べたい筈や」
紫穂「おほほ、皆本さんは私の弁当が食べたいのよ」
皆本「勘弁してくれ...」

雰囲気に当てられてのか、瑠璃は不格好ながらも林檎の兎を
鈴雄に渡す。延珠やティナ、ザ・チルドレンの3人も思い人に
弁当を食べさせようとしたり、弁当を渡したりする。

きらら「・・・鈴雄さんや蓮太郎さん、皆本さんって...」
ハルカ「イケメンだけど」
エリー「ロリコン?」

その様子を見ていた他の女子達に鈴雄や蓮太郎、皆本は
ロリコン疑惑を掛けられるのであった。

1083

***コテージ内のキッチン***

エリ「ふ~ん、それでさっきからみんな
 機嫌が悪そうだったのね」
ユナ「それだけみんなのことを気にしてくれているのよ。
 きっと貴女たちのことを妹みたいに思ってるのね。
 皆本さんも蓮太郎さんも」
延珠「そこがまた気に入らんのじゃ!」
葵「そーやそーや!」

川のほうへと出かけた男子チームが魚を釣って帰ってくるのを待ちつつ、
野菜などの食材の下ごしらえの最中の女子チームである。

船旅の最中、夏の思い出を作ろうと色仕掛け全開で
皆本や蓮太郎に迫ったものの、尽く不発に終わり
ご機嫌斜めの薫や延珠たち。彼女らと一緒に作業している
ゴセイピンク=エリ(仮面ライダーバース・プロトタイプ/伊達明と共に
保険医として同行)や青銅聖闘士・鷲座(アクィラ)のユナは、
薫たちから延々と愚痴を聞かされ続けているのであった…。

ユナ「可愛いから尚更自制してるのよ」
薫「だけどー!」


一方、その頃…。

***川原***

コテージやテントが設置された場所から
少し離れた位置にある川原である。

タマネギ「じゃあ頑張って釣って来てください」
タケル「お世話になります」

魚釣り用の餌を運んできたタマネギ部隊から
餌のたっぷり入ったバケツを受け取る男子チーム。

宗介「山本特務技官殿、ここで我々が釣った魚が今夜の
 メインディッシュになるということか?」
大介「まー、そういうことになるな。しかしソースケ、
 その"特務技官殿"という呼び方は止めてくれ。
 俺の事はアマゾンでいい」

相良宗介から特務技官などという堅苦しい肩書きを勝手に付けられ、
指導役である仮面ライダーアマゾン/山本大介はかなり困惑していた。

宗介「…うむ、わかった。それではアマゾン、
 魚を釣るならばもっと効率的な作戦を提案したい」
大介「……??」
宗介「これで根こそぎにしてはどうでありますか?」

宗介は懐から徐(おもむろ)に手榴弾を取り出した。
瞬く間に大介は血の気が引き、大慌てでそれを引っ込めさせる。

大介「武器の使用は許可できない!
 頼むから現地のルールに従ってくれ!…(汗」

1084

さしもの栄光の昭和ライダーに名を連ねるアマゾン=山本大介も、
戦争ボケ男=相良宗介の前には形無しである。
その様子を同じく釣りをしながら伺っている少年がいた。

蒼摩「…まったく、何やってんだか」

仔獅子座(ライオネット)の蒼摩(そうま)。
栄斗やユナたちと同じく今回のキャンプに参加してきた
次世代の青銅聖闘士の一人である。

賢「餌はイクラとハニーワームがあるけど…」
ワームモン「賢ちゃん、ハニーワームって何?」
賢「蜂の巣に寄生する芋虫で、釣り餌の定番だよ」

賢は笑顔でそう言うと、ワームモンの目の前で
ハニーワームを釣り針にブスリ!と刺し込む。

ワームモン「ちょ…ちょっと複雑な気分だよ…(汗」
大輔「うわ! もう釣れたぞ!」
ブイモン「やったね大輔!」
蒼摩「ほら、お前らもどんどん釣れ!
 今夜は忙しくなるからな。メシはなるべく早く
 済ませねーと」
伊織「蒼摩さん、何でですか?」

伊織から問われた蒼摩の目つきが途端に怪しくなる…。

蒼摩「夏の思い出…欲しくねーか?」

大輔「――!!」
賢「――!!」
タケル「――!!」
伊織「――!!」

蒼摩「そこに魚(オンナ)が泳いでいるっていうのに、
 男が手をこまねいて見てていいわけないだろ?」
大輔「マ、マジッすか…!?」
蒼摩「俺が手伝ってやるよ。なあに、お前らなら
 落とすのは難しくねえ。あとはお前らのやる気次第だ。
 各自、今の内に攻略目標を決めておけ!」
タケル「こ、攻略って…(汗」

1085

~その日の夜~

***ブリアン島少し山奥の神社***

ここはキャンプ地から少し山奥を登ったところにある神社。
――と言っても、日本領でもない無人島に元々神社がある訳が無いので、
当然この日のイベントのために前もって設置された即席のセットである。

骸骨女(紫穂)「ヴがあああぁぁぁ!!!!!」

夜の肝試しイベント。ゴールである神社にやって来たカップルを
骸骨女の扮装をした紫穂が脅かすが…。

アルマジモン「だぎゃ?」
紫穂「キャアアァ――ッッ!!!」

元々幽霊などが苦手で恐がりの紫穂は、
夜の闇でよく見えないデジモンの人影を見て
逆に悲鳴を上げて腰を抜かしてしまう始末であった。

伊織「紫穂さん、どうしたんですか?」
アルマジモン「オレはお化けじゃないだぎゃ!(怒」
骸骨女(紫穂)「だって~!だって~!(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
幽霊(蓮太郎)「おいおい、脅かす側がビビッテどうするんだよ!」

伊織と共にゴールに着いたものの、
お化けと間違われ憤慨するアルマジモン。
未だに立ち上がれず震えたままの紫穂。
そして紫穂と同じく裏方として幽霊役に回り、
三角の白紙の額烏帽子(ぬかえぼし)をつけ
白衣を着た蓮太郎である。

骸骨女(紫穂)「なんで肝試しなのよ! こんなのつまんない!
 花火とかキャンプファイヤーでもいいじゃない!」
幽霊(蓮太郎)「文句があるならあの蒼摩って奴に言ってくれ。
 肝試しを提案したのはアイツだろ。お前があんまり
 恐がるから仕掛け側にしてやったんじゃないか」
骸骨女(紫穂)「納得いかないわ! この隙に薫ちゃんや葵ちゃんに
 抜け駆けでもされたら誰が責任とってくれるわけ!?」
幽霊(蓮太郎)「でもあの皆本って人は"引率のお兄さん"から、
 決してブレたりしないと思うぜ」
骸骨女(紫穂)「まーね、その点は皆本さんもあなたも
 つまんない人よね。延珠ちゃんとティナちゃんが可哀想…」
幽霊(蓮太郎)「…ん? 何か言ったか?」
骸骨女(紫穂)「いえ別に」

皆本の第一印象を述べた蓮太郎に対して、
「お前がそれを言うか!」という感情を顔に出す紫穂。

幽霊(蓮太郎)「わかったらちゃんとお化けらしく仕事しろ。
 みんなが迷わないための監視員も兼ねてるんだからな。
 ビクビクしてると本物の幽霊が寄ってくるぜ」
骸骨女(紫穂)「ちょ、やめてよ!マジで殺すわよ!」

1086

***神社へと続く山道***

京「キャーキャー賢くーん!!!!!!」
賢「苦しい…苦しいよ京さん!」

目の前を浮遊する火の玉に驚いた京が
咄嗟に賢に抱きつく。

京「だって…」
賢「よく見なよ京さん。毛糸球が燃えているだけさ。
 きっと裏方に回ったヒーローの誰かが念動力か何かで
 燃やしてるんだよ」

怖がる京を賢は必死に宥める。
賢の指摘どおり、この火の玉は蒼摩が火の属性の小宇宙(コスモ)を
利用して作り出したものだった。

蒼摩「賢、グッジョブだ! このまま一気にフラグを!」

一方、同じ山道ルートの少し離れた位置では…。

ティナ「へぇー、お爺様が税金の面でいろいろとご苦労を…」
ケンタ「そうなんだよ」

延珠「延珠ちゃんと呼んでくれて構わないのだ!」
北斗「ありがとう延珠ちゃん」

大輔「なぜだああ~!! なんでヒカリちゃんとペアじゃないんだああ~!!
 しかもよりにもよって男と!? 話が違うっすよ蒼摩さあん!!!」
龍峰「うう…なんかよくわからないんだけど……とにかくごめん(汗」

それぞれくじ引きで選ばれた、ティナ・スプラウト&天野ケンタ、
藍原延珠&草薙北斗、本宮大輔&龍座(ドラゴン)の龍峰のペアが
時間差を置いて順次出発してゴールの神社を目指していたのであった。

1087

勇太「うう~、怖いなあ。」
勉「大丈夫ですよ、勇太君。驚かすのは、他の皆なのですから
  怖がる必要はありません!」

勇太と勉のペアはゴールを目指すが、お化けの苦手な勇太は
怖がるが、勉が怖がる必要が無いと励ます。・・・というわりには
勉の恰好はお祓いをする時の衣装に着替えていた。どう見ても、
怖がっている証拠である。

ピタ

勇太「ひぃぃぃ~~、今誰かが触った様な・・・」
勉「き、きっと誰かが背中にコンニャクを付けたとか、そんな所ですよ。
  はは・・・はは...」

悪寒を感じた勇太に、勉は誰かが仕掛けたのだと言うが、
顔を引き付けながら、苦笑していた。

ピタ

勉「うわぁぁぁ、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・・ブツブツ」

勇太同様、背中に誰かが触った様な感覚がした勉は
念仏を唱えだす。

がさがさ

勉「だ、誰ですか!?」
化け猫A「にゃぁぁぁぁ」
化け猫B「にゃぁぁぁぁぁ」
勇太&勉「「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」」

茂みから両目を光らせた化け猫が2匹飛び出したので、
驚いた勇太と勉は向こうへと逃げ出すのであった。

化け猫B(虎太郎)「へへ、驚かせ成功♪アトム、サーチライト消していいぞ」
化け猫A(アトム)「分かったよ、虎太郎君」

茂みから現れたのは、化け猫に変装した虎太郎とアトムだった。
因みに虎太郎は虎猫の様に縞模様があり、アトムの方は両目の
サーチライトがついていた。

鷹介「それにしても、アトムって猫の恰好が似合うよね」
力哉「アトムキャットって所だな」

コンニャクをぶら下げた竿を持った鷹介と力哉も、茂みから
現れて猫そっくりなアトムに感心した。

一方、別のルートでは...。

フランケンシュタイン(大介)「うがぁぁぁ」
りえ「ああん?てめぇ、『稲妻崩しのりえ』と知って、ガンたれにきたのか!」
フランケンシュタイン(大介)「ひぃぃぃ」
ダンゴ「お、おい。大介が怖がっているから辞めなよ~」
りえ「あ~ん。団さまが言うなら、許すわ」ルンルン

フランケンシュタインの怪物に扮した大介だったが、スケ番で
団五郎と同じバトルスーツ・フラッカー1号の搭乗者で、一方的に
慕っている轟りえがガンを飛ばす。それにより、大介は逆に
怖がったので、団五郎がりえを止めて、途端にりえは態度を
変えるのであった。

~キャンプ場~

きゃぁぁぁぁ

伊達「おっ、悲鳴が聞こえてきた。青春だねえ~」
イスカンダル「全くだのう」

キャンプ場では、外科医の伊達明はイスカンダルと共に
持ち込んだおでんを食べながら、肝試しの様子を見ていた。

イスカンダル「・・・所で、お主は医者でありながら相当強いと聞く。
        どれ、余に仕えて共に世界を治め、ゆくゆくはあの満天の
        星の海を旅しようではないか?」

イスカンダルは伊達の医療技術とバースとなってグリードと戦った戦闘経験
から、自分の臣下に加えようと星空を指さしながらスカウトを持ちかける。

伊達「はっはっは、アンタ面白い事を言うね。
   でも、まだまだこの世界には傷ついている人達が大勢いるんだ。
   俺はその人等を治療しなければならないんでね。断るよ」
イスカンダル「・・・そうか、残念だのう」

伊達に断られ、肩を落とすイスカンダルだが、すぐに気持ちを
切り替えて、おでんを口にするのであった。

1088

~肝試しの後~

駆「へへ、風呂だ~!」
虎太郎「俺も入るぜ!」

ザッパ~ン

駆「気持ちいいぜ」
勉「駆君、虎太郎君。風呂に飛び込んではいけません」

肝試しが終わり、ブリアン島へ来て最初の入浴となった。
風呂に飛び込んだ駆と虎太郎に勉が注意をする。

ひでのり「そうですよ。まずは体を洗ってから、湯船に浸かるのです」
あきら「よ、我らが銭湯愛好家!」
ヨッパー「言う事が違うぜ」

地球防衛組の一人で、銭湯愛好家である近藤ひでのりは
お風呂でのルールを駆達に教える。あきらとヨッパーはそれを
囃し立てた。

葛城「おお、イサミ。胸成長したかぁ~♪」
トシ「ピク」
イサミ「や、やめて下さい。葛城さん!」
ソウシ「ピク」

壁の向こうにある女湯から、葛城がイサミの胸を触ろうとする
会話が聞こえてきて、トシとソウシが反応する。

まい「ゆい、肌スベスベになってないか?」
ゆい「そういう、まいも日に焼けて、健康的な小麦色じゃないかしら?」
ミニナイト「はっはっは、ゆい。ゆい」
剣「やめろ、ミニナイト」

続いて、神代ゆい、まいの会話を聞いて、ミニナイトが壁に
近づこうとするが、剣がそれを止めようとする。

エリカ「しのぶ、また胸大きくなってない?」
しのぶ「そ・・・そうかな?」
薫「ふふふ、ならこの私が確かめてあげよう。うりゃぁー」
しのぶ「け、結構よ!」

さらにしのぶの胸を揉もうと、薫がセクハラを始める。

大輔「この壁の向こうには、ヒカリちゃんがいるんだよな...」
ボン「向こうには...」
チョビ「女の子がいっぱい...」

風呂に入浴していた男子達は、女の子の会話を聞こうと
壁に集まってくる。

名護「おっほん」
男子一同「―ギクッ」」
名護「君達、君達が思春期の男子だという事は十分分かっている。
   女の子にも興味を持つだろう。しかし、君達の年齢だと悪戯で
   済むだろうが、覗きは本来、犯罪行為だ。そのような行為を
   この名護啓介は見過ごすわけにはいかない。もし、したならば、
   それ相応の罰が下る事を覚えておきなさい」
男子一同「―は、はい」

湯気の向こうから現れたのは、「素晴らしき青空の会」所属の
バウンティハンター・名護啓介。その凄みから、男子一同は
おとなしく湯船に浸かるのであった。

名護「そんな下らない事よりも、自分が世界のために何ができるかを考えなさい。
 そもそも私がこの合宿に敢えて参加したのは、
 ブレイバーズの、そして人類の未来を担う若い君達を教育し、
 ゆくゆくは私がブレイバーズの長となって、
 世界の在り方を管理していくためなのだ。
 私は正しい。君達は、私を信じてついて来なさい」
男子一同「はぁ…」

良い事を言っているようでどこか勘違いしているような、
よく分からない説教をしてから名護は立ち上がった。

名護「では、私はもう出る」

1089

○皆本光一→ブリアン島に上陸。
○明石薫→ブリアン島に上陸。食材の下ごしらえ中に愚痴をつぶやく。
○野上葵→ブリアン島に上陸。食材の下ごしらえ中に愚痴をつぶやく。
○三宮紫穂→ブリアン島に上陸。食材の下ごしらえ中に愚痴をつぶやく。肝試しではお化け役に。
○パタリロ・ド・マリネール8世→ブリアン島合宿の名誉幹事を引き受けていた。千鳥かなめと口論する。
○タマネギ部隊→パタリロに付き従って、ブリアン島に先駆けで上陸していた。
○千鳥かなめ→ブリアン島に上陸。パタリロと口論する。
○相良宗介→ブリアン島に上陸。かなめの指示で、パタリロのペンションを破壊。
        その後魚釣り担当チームに同行。魚捕獲に手榴弾を用いようとし、アマゾンを慌てさせる。
○エリ→食材の下ごしらえ中に、藍原延珠や明石薫から愚痴を聞かされる。
○鷲座のユナ→食材の下ごしらえ中に、藍原延珠や明石薫から愚痴を聞かされる。
○藍原延珠→食材の下ごしらえ中に愚痴をつぶやく。→夜の肝試しでは草薙北斗とペアに。
○ティナ・スプラウト→食材の下ごしらえ中に愚痴をつぶやく。夜の肝試しでは天野ケンタとペアに。
○山本大介→魚釣り担当チームに指導役として同行。
○仔獅子座の蒼摩→男子の面々に女子との思い出作りを唆し、肝試しを提案。
○本宮大輔→夜の肝試しに参加するが、当てが外れて龍峰とペアに。
○一乗寺賢→夜の肝試しに井ノ上京とペアとなり参加。
○井ノ上京→夜の肝試しに一乗寺賢とペアとなり参加。
○高石タケル→魚釣りに行く。
○火田伊織→肝試しにアルマジモンとペアになり参加。
○アルマジモン→夜の肝試しに火田伊織とペアになり参加。三宮紫穂にお化けと間違われ憤慨する。
○里見蓮太郎→肝試しに幽霊役として裏方に回る。
○天野ケンタ→夜の肝試しではティナ・スプラウトとペアに。
○草薙北斗→夜の肝試しでは藍原延珠とペアに。
○龍座の龍峰→夜の肝試しでは本宮大輔とペアに。
○名護啓介→女湯に興味を示した男子一同を注意する。

1090

○石田五郎→ザウラーズにテント設置の指示。話を聞いてくれないので怒りを爆発する。
○峯崎拳一→テント設置を行う。
○藤吉雅夫→テントを設置して、昼食を食べる。
○白金太郎→テントを設置。昼食の時に、結花に食べさせてもらう。
○水原結花→昼食の時に、金太に食べさせてあげる。
○日向仁→昼食の時に、マリアに口にご飯粒がついている事を指摘される。
○白鳥マリア→昼食の時に、仁に口にご飯粒がついている事を指摘する。
○小島勉→肝試しの時に、勇太とペアを組む。化け猫に扮したアトムと虎太郎を怖がる。
○佐藤大介→肝試しで、フランケンシュタインの怪物に扮して驚かすが、
         りえにビビる。
○近藤ひでのり→虎太郎と駆流に風呂のマナーを教える。
○月城飛鳥→足を怪我した雲雀を救護用のテントに連れていこうとする。
         しかし、柳生を怖がって逃げ出す。
○雪見ソウシ→足を怪我した雲雀を救護用のテントに連れて行こうとする。
          しかし、柳生を怖がって逃げ出す。
○雲雀→テント設置している時に、足を怪我する。
○柳生→雲雀を怪我させたと思い、飛鳥とソウシを睨みつける。
○イスカンダル→テントを設置。肝試しの時には伊達をスカウト
           しようとするが、断られる。
○桜咲鈴雄→テントを設置する。昼食の時に瑠璃から林檎のウサギをもらう。
○桜咲小鈴→テントを設置する。
○梅木瑠璃→テントを設置する。昼食の時に鈴雄に林檎のウサギを送る。
○両津勘吉→爆破されたペンションから、金目の物が無いか物色する。
○ジョディー・爆竜・カレン→昼食を用意する。
○轟駆流→りんねの作ったおかずを食べる。
○稲葉りんね→駆流に自分の作ったおかずを食べてもらう。
○友永勇太→肝試しで、勉とペアを組む。化け猫に扮したアトムと虎太郎を怖がる。
○霧隠虎太郎→肝試しで、アトムと一緒に化け猫となって驚かす。
○風祭鷹介→肝試しで、こんにゃくを使って驚かす。
○流崎力哉→肝試しで、こんにゃくを使って驚かす。
○アトム→肝試しで、虎太郎と一緒に化け猫となって驚かす。
○轟りえ→肝試しで、団五郎とペアを組む。フランケンシュタインの怪物である
       大介にビビらせるが、五郎に言われて態度を変える。
○団五郎→肝試しで、轟りえとペアを組む。
○大牙剣→風呂場で、女湯に行こうとするミニナイトを制する。
○ミニナイト→女湯に行こうとするので、剣に止められる。
○伊達明→救護スタッフとして、同行。イスカンダルからスカウトされるが断る。

1091

【今回の新登場】
○石田五郎(熱血最強ゴウザウラー)
 春風小学校6年2組の学級委員長で、ザウラージェットのメインパイロット
 及び分離した時、サンダーブラキオの砲手。普段は真面目で大人しいが、
 クラス内が騒がしい時に注意しても、無視されると激怒する。唯一、
 ゴウザウラー、マグナザウラー、グランザウラーを完璧に乗りこなした。

○藤吉雅夫(熱血最強ゴウザウラー)
 常に何かを食べているザウラーズの一員。あだ名は「マーボー」
 マッハプテラの武器を担当。普段はのんびりとしているが、食べ物が
 関わると行動的になる。クラスメイトの大山育代とは休日に食べ歩きをする仲。

○白金太郎(熱血最強ゴウザウラー)
 ザウラーズの一員である柔道少年。あだ名は「金太」当初は、ランドステゴ
 の武器管制、ゴウザウラーの戦略及び分析を担当していたがマグナティラノに
 乗り込み、マグナザウラーのパイロットとなる。ある事が切欠で結花とは恋仲となる。

○水原結花(熱血最強ゴウザウラー)
 ザウラーズの一員である、一番小柄な少女。マッハプテラのレーダー担当。
 気が弱くクーコ、はるえと共に「弱虫コンビ」に数えられる。金太とは恋仲

○小島勉(絶対無敵ライジンオー)
 地球防衛組・出席番号3番。参謀格であり、コンピューターオペレーター。
 普段は社交的だが、典型的ながり勉タイプ。探究心が強い。心霊道場を
 営む祖母の影響で、オカルト方面の知識も豊富。夢はIT技師かコンピューター
 プログラマー。ザウラーズの小島尊子とは親戚同士。

○佐藤大介(絶対無敵ライジンオー)
 地球防衛組・出席番号5番。獣王回路系モニター、バクリュウオー・ファイター時
 センサー系モニターチェック担当。クラス一背が高く、気は優しくて力持ち。
 年下の弟妹が大勢いるので、両親の不在には彼らの面倒を見ている。夢は
 エンジニアで、ライジンオーの整備も担当している。

○近藤ひでのり(絶対無敵ライジンオー)
 地球防衛組・出席番号4番。主にライジンオーのレーダー担当。地元有数の
 企業「絶対グループ」の御曹司で優しい性格をしている。2年生の頃、川に
 溺れた掛けた事があるので泳げなかったが、克服。以来、銭湯愛好家となる。
 実家が資産家ではあるものの、夢はピアニスト。

1092

○大牙剣(獣神ライガー)
 善神アーガマの血を引く少年で、ライガーの操者。右手に獅子の痣を持つ。
 明朗快活な熱血漢で、少しスケベ。また面倒見の良いガキ大将な気質がある。
 祖父と共に釧路に住んでいたが、ドラゴ帝国の魔竜戦士に襲われて、ライガーの
 操者として目覚めた。

○団五郎(獣神ライガー)
 剣の親友で、愛称は「ダンゴ」剣同様スケベで一緒に悪ノリする事が多い。
 実家は魚屋。仲間に加わるが、力になれない事に悩んでいたが、後に開発
 されたバトルスーツのパイロットに登録された事から、バトルスーツ隊の
 一員となって戦った。

○轟りえ(獣神ライガー)
 趣味でロボットの研究をしている轟博士の娘で、自称『稲妻崩しのりえ』
 を名乗る男嫌いなスケ番。逆恨みで剣を襲うが、ライガーに助けられて
 剣に惚れる。その後、バトルスーツフラッカーのパイロットとなり、終盤で
 団五郎に惚れた。

○神代ゆい(獣神ライガー)
 善神アーガマの血を引く、双子姉妹の姉。ロングヘアーで女の子らしい服を
 着ており、お淑やかな性格をしている。妹のまいと協力して重装馬ベガルーダ
 を召喚する。終盤、「邪神ドラゴを復活させるための鍵」だという事が発覚した。

○神代まい(獣神ライガー)
 善神アーガマの血を引く双子姉妹の妹。ショートヘアーで動きやすい服を
 着ており、活発な性格をしている。姉のゆいと協力して重装馬ベガルーダを
 召喚する。「善神アーガマを蘇らせる」役割を担い、剣、リュウ・ドルクと
 共にアーガマを復活させ、姉の救出と邪神ドラゴの撃破を行った。

○ミニナイト(獣神ライガー)
 封印の岩そっくりの小岩から生まれた小さな竜。寄生ドラゴナイトを好物としている。
 ドラゴ人だが、剣や神代姉妹との出会いによってドラゴ帝国を嫌っている。
 非常に大食いで、エッチな性格をしている。最終的に本来の人間の姿に戻った。

○伊達明=仮面ライダーバース・プロトタイプ(仮面ライダーOOO)
 鴻神会長に雇われ、バースの装着者となった医者。銃弾を頭部に受けたので、
 それを摘出する手術費用「1億円」を稼ぐべく、雇われる。フランクな性格で
 おでんが好物。手術の為、後藤にバースを譲った後、一時引退して、日本を離れる。
 そして手術は無事に成功して、バース・プロトタイプ(プロトバース)を装着して戦う。

 

1093

~上陸2日目・午前~

ブリアン島上陸2日目は、海水浴である。
それぞれ水着に着替えた子供たちは、
準備体操を終えた後、一斉に海へと飛び込んでいく子もいれば、
砂遊びやビーチバレーに興ずる子たちもいる。

健「お~い、くれぐれも岸から遠くまで行き過ぎるんじゃないぞ~!」

沖合いでは、海水浴中の子供たちが岸から離れすぎて
遭難したりしないように、大人や高校生たちが何人かの組に分かれ
ボートに乗って警戒している。

ヒカリ「どお…? 大輔くん タケルくん」
タケル「うん、とっても可愛いよ」
大輔「……(ヒカリちゃんの水着姿だぁ…!)」

女子の水着姿に見とれる健全?な男子もいれば…

延珠「どうじゃ蓮太郎、妾の水着姿は?」
蓮太郎「うん、いいんじゃないか」
ティナ「お兄さん、私の水着は…どうでしょうか?」
蓮太郎「うん、いいんじゃないか」
延珠「………」
ティナ「………」

実は蓮太郎は浜辺に寝転がりながら、ビーチハラソルの下で
ずっと昆虫の本を読んでおり、延珠とティナのいる方向には
全く目を向けていない。適当に空返事で返しているのは明白だった。

延珠「もういいのだ!(怒」
ティナ「行きましょう延珠さん!(怒」
蓮太郎「…ん? 二人とも何怒ってんだ…??」

そしてしんせん組は海辺で水の掛け合いっこをして戯れている。

トシ「わぁっ!?(バッシャーン」
イサミ「ふっあははははは!!!ちょwwwwトシwwww何やってんのwwwwwあははははは!!!」
トシ「やったなああっっ!!!お返しだ!!」
イサミ「キャァッ!!」

こうして午前中の日程は順調に過ぎていく…。

1094

2日目の午後はトレーニングの時間。
講師として招かれた大人達が、これから戦いに身を投じるブレイバーズの子供達に
強くなるためのレッスンをする。

名護「イクササ~イズ!!
 悪と戦うためには、強い体でなければならない。
 この動きは、強い体を作るための基礎だ」

まずは準備運動から。
「753」のTシャツを着た名護啓介がお手本役として皆の前に立ち、
強引に訓練メニューに入れさせた我流のエクササイズをやって見せる。

名護「腕振りなさ~い! 振りなさい!
 速くしなさい跳びなさい!」
イサミ「何か変なエクササイズ~!」
トシ「いや、でもこれ、結構きついぞ~」
ソウシ「侮り難し、名護さんのイクササイズ…」
名護「走りなさい! 走りなさい!
 敵を追って走りなさい!
 走りなさい! 走りなさい!
 未来へ向かって走りなさ~い!!」

イクササイズで体をほぐした後はより本格的な筋力トレーニングという事で、
高校生ながらミスリル所属の軍人でもある相良宗介が皆の前に立ったが…。

宗介「では、続いて筋力トレーニングに移る。
 このブートキャンプではお前達の肉体のみならず、根性をも徹底的に鍛え直す。
 いいか、お前達は○○○だ。
 お前達は△△△の×××で……あだっ!」

「マオ姐さんの新兵訓練罵り手帳」を片手にお下劣な隠語による罵倒を始めた宗介の頭を、
千鳥かなめはハリセンで思い切り引っ叩く。

宗介「痛いじゃないか」
かなめ「バカ! 良い子のみんなに向かって何つー下品な言葉を…!
 大体、小学生にそんなスラングが分かるわけないでしょう」
宗介「しかし、新兵は皆こういう言葉を浴びながら心身共に強くなっていくのだが」
かなめ「これはブートキャンプじゃなくてレクリエーションなんだから、
 そこまでしなくてもいいの! この戦争ボケ!」

講師は強制退場させられてしまったが、
ともかくも腹筋や背筋、スクワットなどの筋力運動を、
大人達が効果的なやり方を細かく指導しながら子供達にさせていく。

宗介「仕方がない。俺はその間に、キャンプ場の設営をさせてもらう」
かなめ「は? 設営ならこの通りもうちゃんと終わってるじゃない」
宗介「いや、肝心の防御機能がまだ構築されていない。
 このキャンプ場はこのままでは丸腰だ。
 だから全体を鉄条網で囲い、有刺鉄線を張り巡らせて敵の侵入を……いでっ」

どこからか巨大な柱と有刺鉄線を取り出した宗介に、
かなめのハリセンが再び炸裂した。

基礎体力をつける訓練の後は実戦の技術指導。
今回は忍術からそれを学ぶという事で、
隠流の鶴姫と瑠美乃流の高木はるかが指南役となりレクチャーする。

鶴姫「忍者八門とは、忍術の全ての流派に共通する、
 忍者になるための基本となる八種類の必修科目の事です。
 今日はその中の一つ、素手で相手と戦う骨法術について皆さんにお稽古します」
はるか「巨大ロボットを操縦して戦う皆さんにも、
 格闘のイメージトレーニングをしておく事はきっとためになるはずよー」

一通りのレッスンを終了した後は、いよいよ練習試合。
学んだ事を活かしながら、各自、任意の相手を選んで手合わせする。

トシ「かつ姐さん、リベンジマッチお願いします!」
葛城「いいわよ。いらっしゃい!」

月影トシは半蔵学院での修行で戦って負けた葛城に再戦を挑んだ。
今度は雑念に惑わされず「龍の目」をしっかりシュートしたトシ。
葛城はそれを跳ね返し、勝負はもつれる。

1095

夜は巨大な焚き火を囲んでキャンプファイヤー。
皆で手を繋いでマイムマイムを踊りながら楽しく過ごすが、
途中で空模様が怪しくなり、ぽつりぽつりと雨が降り始める。

吼児「…雨だ」
仁「ちぇっ、せっかく盛り上がってるのにな」
学「残念だが、キャンプファイヤーは中止だ」
はるか「みんな、急いでテントに入って~!」

慌ただしくキャンプファイヤーは撤収。
そうこうしている間に、雨はどんどん勢いを増して大降りになった。


***ブリアン島・西の岬***

その頃…。ジャングルを挟んだ島の反対側では、
ジャガーバンを主将とするGショッカーの怪人達が
密かに基地を建設し、気象コントロール装置の実験を行なっていた。

モグラング「おお、雨が降って来た!」
ムササビードル「気象コントロール実験は成功だな!」
アルマジーグ「Gショッカーの偉大な科学力をもってすれば、当然の事よ」
カニバブラー「我らショッカーとネオショッカーの力を合わせた合同プロジェクト、
 何があろうと失敗させるわけには行かんのだ!」
ジャガーバン「天候を自在に操る事ができれば、
 世界各地に大雨による洪水、日照りによる旱魃、
 そして大雪による氷河期を巻き起こす事ができる。
 人間どもの文明は荒れ狂う大自然の力によって壊滅するのだ!」

パラボラアンテナ型の装置から空へ向かって発せられるエネルギー波によって
雨足はどんどん強まり、土砂降りの豪雨となって島を洗う。

ジャガーバン「そろそろいいだろう。天候を元に戻せ!」
アリコマンド「ジャガーバン様、計器に異常発生です!」
ジャガーバン「何だと!?」
ショッカー戦闘員「気象コントロール装置が暴走しています。
 エネルギー波の放射を制御できません!」
ジャガーバン「何という事だ。
 すぐに装置をストップしろ! ええいどけ!」

ジャガーバンが自ら装置を動かそうとしたその時、
激しい地鳴りが起こった。

モグラング「地震か!?」
アルマジーグ「あ、あれを見ろ!」

窓の外を指差すアルマジーグ。
そこにはこちらを覗き込む、巨大な怪獣の目玉が爛々と光っていた。
四つ足の黒い怪獣は尻尾の一振りで基地を破壊し、戦闘員達を瓦礫の下敷きにする。

マグネドン「グゥォォォ――!!」

カニバブラー「怪獣だ!」
ゲバコンドル「基地が破壊される!」
ジャガーバン「こちらブリアン島。緊急事態発生!
 魔神提督、応答願います! 魔神提督――!」
アリコマンド「駄目です! 通信機も異常をきたしています!」

強い磁気を帯びた磁力怪獣マグネドンの接近により通信は機能せず、
気象コントロール装置も狂って暴走を始めた。
天候に働きかけるエネルギー波が際限なく放射され、
どんどん雨は強まって嵐になっていく。

マグネドン「グォォ――!!」

マグネドンは遂に気象コントロール装置を踏み潰し、完全に破壊した。
エネルギー波を浴びた空には黒雲が渦巻き、雷鳴が轟き、
制御不能となった凄まじい暴風雨が荒れ狂った。

1096

○星川健→ボートに乗って海水浴の監視をする。
○高石タケル→ヒカリの水着姿に見とれる。
○本宮大輔→ヒカリの水着姿に見とれる。
○花丘イサミ→海水浴をして戯れる。
○月影トシ→海水浴をして戯れる。キャンプの訓練で葛城にリベンジを挑む。
○藍原延珠→蓮太郎に水着姿を見せるが、素気ない反応をされる。
○ティナ・スプラウト→蓮太郎に水着姿を見せるが、素気ない反応をされる。
○里見蓮太郎→延珠とティナに水着姿を見せられるが、反応は素気ない。
○名護啓介→キャンプの訓練メニューとしてイクササイズを実施。
○相良宗介→キャンプの体力トレーニング講師を務めるが、途中退場。
○千鳥かなめ→「マオ姐さんの新兵訓練罵り手帳」を使い出した宗介にツッコミを入れる。
○鶴姫→キャンプの訓練で忍術指導の講師を務める。
○高木はるか→キャンプの訓練で忍術指導の講師を務める。
○葛城→キャンプの訓練で月影トシと再戦。
●ジャガーバン→ブリアン島で気象コントロール実験を行なっていたが、マグネドンに妨害される。
●アルマジーグ→ブリアン島で気象コントロール実験を行なっていたが、マグネドンに妨害される。
●モグラング→ブリアン島で気象コントロール実験を行なっていたが、マグネドンに妨害される。
●カニバブラー→ブリアン島で気象コントロール実験を行なっていたが、マグネドンに妨害される。
●ムササビードル→ブリアン島で気象コントロール実験を行なっていたが、マグネドンに妨害される。
●マグネドン→ブリアン島に出現。Gショッカー基地を破壊する。

【今回の新規登場】
●ジャガーバン(新・仮面ライダー劇場版 8人ライダー対銀河王)
 ネオショッカー怪人。
 剣と盾を武器とするジャガーの改造人間で、怪人軍団を率いて8人ライダーと戦った。

●アルマジーグ(新・仮面ライダー劇場版 8人ライダー対銀河王)
 ネオショッカー怪人。
 鋭い爪を武器とするアルマジロの改造人間で、体を丸めて球体となり体当たりする。
 
●モグラング(仮面ライダー)
 ショッカー怪人。
 地中を自由に動き回る事のできるモグラの改造人間で、
 人々を誘拐してモグラ人間に改造するのが使命。
 当初は目が見えなかったが、ゾル大佐からエレクトロアイを与えられて視力を得た。

●カニバブラー(仮面ライダー)
 ショッカー怪人。
 水中での活動能力に長けたカニの改造人間で、
 ライダーキックに耐えるほどの頑丈な甲羅で身を覆われ、
 口から吐き出す白い泡で人間を溶かしてしまう。

●ムササビードル(仮面ライダー)
 ショッカー怪人。
 飛行能力を持つムササビの改造人間で、
 必殺技は、高速飛行から真空状態を発生させるスリップストリーム。
 髭を抜かれると飛べなくなってしまう。

●磁力怪獣マグネドン(帰ってきたウルトラマン)
 北極の地底のマグマが固まり、生命を持つようになった怪獣。
 全身から強い磁力を発し、飛行機の墜落事故を続発させた。
 口からは火炎を吐き、背中の角からは怪光線を放つ。
 体をバラバラにされても磁力で引き合い再生する事が可能。