『魔界城の大食いクイーン』

作者・凱聖クールギン

901

***東京郊外・工業地帯***

DASHのトウマ・カイト、コイシカワ・ミズキ両隊員は、
人間に擬態して東京都内に潜伏している地球外生命体ワームの情報をキャッチし、
潜伏先の廃倉庫へ急行、戦闘に突入していた。

カイト「思ったより数が多い…!」
ミズキ「まだ来るわ! 気を付けて、カイト!」

廃倉庫の奥からわらわらと湧いて来るサナギワームの群れを、
カイトとミズキはダッシュライザーのビームで次々と殲滅する。
予想以上の大群とは言え、巨大怪獣との戦いを主任務とするDASHからすれば
孵化していないサナギワームは強敵と呼ぶには当たらない。
ものの十分ほどで、ワームは一匹残らず全滅した。

ミズキ「終わったわね」
カイト「うん…」
ミズキ「情報によれば、この宇宙生命体のグループは武器の密売屋と接触して
 銃器や爆薬を手に入れていた形跡があるわ。
 この倉庫の中に隠してないか、調べましょう」

そんな一部始終を、物陰から見ている男が一人。

天道「…俺が出るまでもなかったか。
 だが、ワームも明らかに以前より組織的な侵略を始めている。
 そして、その裏にはGショッカーが…」

そこへ、両手に買い物袋をぶら下げた加賀美新がやって来て天道に声をかけた。

加賀美「よう、天道。こんな所で何してるんだ?」
天道「相変わらず鈍い奴だな…。
 今、何が起きようとしているのか分かっていないのか。
 それよりお前こそ、そんなに山ほど食材を買い占めてどこへ行く」
加賀美「ああ、これ? 店さ。
 ビストロ・ラ・サルだよ。今、ひよりが大変なんだ」
天道「ひよりが…!? 何があった?」
加賀美「いや、別に危険とか、そういう意味じゃないから安心しろよ。
 ただ、店の食材が底を突いちまってさ。肉も野菜も魚も卵も全部空っぽ。
 俺は仕事の休憩時間にちょっと立ち寄ったんだけど、
 厨房はもうてんやわんやの大騒ぎで、弓子さんに大急ぎで買い出し頼まれたんだ」
天道「こんな時間に…? 団体客でも来たか」
加賀美「いや、それが違うんだ。
 客は一人だけ。若い女の子が一人で、信じられない量を食べてる」
天道「何…?」

902

***ビストロ・ラ・サル***

東京タワーにほど近い小さな洋食店、ビストロ・ラ・サルでは、
遅めのランチを楽しみにやって来た客らが目の前の光景に呆気に取られていた。
ギャル風の派手な服装をした金髪の若い女性が、
凄まじい勢いで次々と料理を注文しては片っ端から食べまくっているのだ。

サヤカ「次! 特製丸々ポトフをもう一杯!」
ひより「何なんだ、あの人…?」
弓子「あ~もう、レタスも人参も品切れ?
 ひよりちゃん、そこの扉の奥に白葱のストックあったはずだから出してちょうだい」

肥満という言葉からはほど遠いスタイルの良いこの大食い娘、
可愛い顔とは裏腹に客としての態度はいささか悪いようである。
ただ、店の厨房はそんな彼女について愚痴る暇もなく、
次から次へと注文される大量の料理を作るのに大わらわの状態であった。

サヤカ「早くしろ! 特製丸々ポトフだ!」
天道「ポトフはもう品切れだ。
 注文にない品だが、こいつで我慢してくれ」

手製のお好み焼きを持って現れた天道が、そう言って皿をサヤカの前に置いた。
牛肉、イカ、タコ、エビ、キャベツ……厨房に残った食材をかき集め、
小麦粉で混ぜ合わせて焼き、特製濃厚ソースとマヨネーズで和えたものだ。
サヤカは一瞬、氷のように冷たい眼で天道を睨んだが、
すぐに無言で箸を取って食べ始め、ものの数秒で完食した。

サヤカ「…美味い」
天道「光栄だ。大した食べっぷりだが、生憎この店にはもう出せる料理がない。
 済まんがこれで――」
サヤカ「いや、最後にもう一品、
 私の一番好きなものを食べてからだ」
天道「? 何だ」
サヤカ「それは……お前達人間の悲鳴だ!」

次の瞬間、サヤカの頭から大蛇が生え出して天道を襲った。
サヤカの全身も妖しげな光に包まれて変貌し、
恐るべき伝説の魔族――メデューサレジェンドルガの正体を現す。

天道「…やはり怪人か。変身!!」
――Henshin!!

持っていたトレイで大蛇の攻撃を素早くガードし、
後ろへ跳び退いた天道は飛んで来たカブトゼクターをキャッチするとベルトに装着、
仮面ライダーカブト・マスクドフォームに変身した。

天道「ここで戦うわけには行かない。…外に出ろ」

903

屋外へ移動したカブトはすぐに怪物の群れに取り囲まれた。
メデューサレジェンドルガとその同族のマンドレイクレジェンドルガ、
そしてオクトパスファンガイアとシームーンファンガイア。
本来、太古の昔から宿敵であるはずの二種の魔族が手を組み、
唸りを上げてカブトに襲いかかる。

加賀美「あっ、天道!!
 今行くぞ! ――変身!!」
――Henshin!!

買い物袋を提げて戻って来た加賀美もガタックゼクターを手に取って変身し、
仮面ライダーガタックとなってカブトの応援に加わった。

ガタック「大丈夫か、天道」
カブト「ああ。タコとクラゲは絶品の海の幸だ」

余裕の呟きを口にしながら二体のファンガイアを軽くいなすカブトだが、
マンドレイクレジェンドルガの伸ばした無数の蔦に胴体を縛られ、拘束されてしまう。

マンドレイクレジェンドルガ「キシャァァァ~!!」
カブト「それがどうした。――キャストオフ」
――Cast off!!
――Change beetle!!

カブトがベルトのカブトゼクターを操作すると全身の装甲が展開し、
巻きついていた蔦ごと爆発的に弾け飛んだ。
マスクドフォームからライダーフォームへチェンジしたカブトは、
怯んだマンドレイクレジェンドルガにカブトクナイガン・ガンモードの連射を叩き込む。

マンドレイクレジェンドルガ「シャァァァ~!!」
カブト「これで最後だ」

カブトクナイガンを素早くクナイモードに持ち替え、
再び伸ばされた蔦を逆袈裟に斬断したカブトはカブトゼクターのフルスロットルを押し、
ゼクターホーンを上げて必殺技のエネルギーを発動、右足に収束させる。

――1・2・3
カブト「ライダーキック」
――Rider kick!!

激昂し正面から体当たりして来たマンドレイクレジェンドルガに
強烈な回し蹴りの一撃を放つカブト。
ひとたまりもなくマンドレイクレジェンドルガは爆発消滅した。

ガタック「キャストオフ!」
――Cast off!!
――Change stag beetle!!

一方、ガタックもマスクドアーマーを吹き飛ばし、
ライダーフォームとなってメデューサレジェンドルガに戦いを挑んでいた。
両肩のガタックダブルカリバーを抜いて果敢に斬りかかるガタックだが、
メデューサレジェンドルガはなかなか手強く、
加えて二体のファンガイアが左右から援護するため、
ガタックはやや苦戦を強いられる展開となった。

904

名護「あれは、ファンガイア!?」
恵「どうしてレジェンドルガと手を組んで…?
 操られているわけでもなさそうなのに」

偶然、近くを通りかかっていた名護啓介・恵の夫妻が騒ぎを嗅ぎつけ、
戦闘の様子を目にして驚く。

名護「確かに、古来ファンガイア族とレジェンドルガ族とは決して相容れない仇敵のはず…。
 それが手を組んだということは…」
恵「とにかく、倒さないと。啓介!」
名護「うむ。任せなさい。――変身!!」
――Fist on!!

イクサナックルをベルトに装着し、
仮面ライダーイクサ・セーブモードに変身した名護は
イクサカリバー・ガンモードを撃ちながら歩み寄り戦いに乱入。
ガタックの背後を襲おうとしていたオクトパスファンガイアを蜂の巣にし、
接近するとカリバーモードに切り替えてシームーンファンガイアに斬りつける。

ガタック「あ、あなたは…!?」
イクサ「下がっていなさい。
 俺は無敵のバウンティハンター・名護啓介だ。
 ファンガイア、レジェンドルガ…その命、神に返しなさい!」

顔のシールドを十字に展開し、バーストモードへチェンジしたイクサは
まずシームーンファンガイアを獲物に定め突進する。
大胆不敵な名護の物言いにやや唖然としつつも、
ガタックもすぐに後に続いてオクトパスファンガイアを攻撃した。

オクトパスファンガイア「グガァァァ…!」

敵わぬと見たオクトパスファンガイアは下肢を車輪に形状変化させ、
時速450kmの速度で一目散に逃走した。

ガタック「逃がすか! クロックアップ!!」
――Clock up!!

時間流を操るクロックアップの前には、その程度の高速移動はまるで意味を為さない。
スローモーションに見えるオクトパスファンガイアの疾走にガタックはたちまち追い付き、
正面に回り込んで強烈なパンチを浴びせた。

――1・2・3
ガタック「ライダーキック!!」
――Rider kick!!

ゼクターホーンを操作してタキオン粒子をチャージしたガタックの
渾身の飛び蹴りがオクトパスファンガイアに炸裂し、爆散させた。

シームーンファンガイア「キシャァァァ!!」
イクサ「魑魅魍魎が跋扈する地獄絵…。
 名護啓介はここにいる!」

カリバーフエッスルをベルトにリードさせ、
イクサカリバーにエネルギーを集中させたイクサの必殺技、
イクサ・ジャッジメントがシームーンファンガイアを一刀両断し爆死させた。

905

メデューサレジェンドルガ「おのれ、ライダーども…!」

配下三体を倒され、カブト、ガタック、イクサの三人ににじり寄られて、
さすがに形勢不利を悟ったメデューサレジェンドルガは後ずさる。

イクサ「レジェンドルガ族のクィーン…。
 覚悟を決めなさい」

その時、突如として放たれた銃弾が三人のライダーを薙ぎ倒した。

メデューサレジェンドルガ「…アポロガイスト!?」
アポロガイスト「ランチタイムはもう終わりだ!
 作戦と関係ない無益な戦いを切り上げて、さっさと撤収しろ!」
メデューサレジェンドルガ「くっ…。覚えていろ!」

アポロガイストに高圧的に指示されて、
メデューサレジェンドルガは口惜しそうに撤退。
アポロガイストもライダー達が武器を向ける暇さえなく、マントを翻して姿を消した。
それを見届けて、三人のライダーもそれぞれ変身を解除する。

加賀美「アポロガイスト…。
 やはりあいつが対立する二つの魔族を纏めていたのか」
天道「ああ。ワームだけじゃない。
 あらゆる種族のモンスター達が一つの勢力に結集し、組織化されている」
加賀美「俺達も、これまで以上に力を合わせて戦っていかなきゃな。
 そのために今、ブレイバーズの結成が進められているんだ」
名護「その通り。
 奴らの魔の手に対抗するには、ブレイバーズの組織を今以上に大きくしなければならない。
 そうしてGショッカーから人類を守るだけでなく、
 行く行くは私がその長となり、世界のあり方を管理していくつもりだ。
 天道君、君も早くブレイバーズの一員になりなさい」
天道「下らん…。勝手にしろ。俺は天の道を往く」

尊大に肩に手をかけてくる名護を払いのけてそっぽを向き、
負けず劣らず不遜な所作で空を指差す天道。

恵「あのね…。ブレイバーズのメンバーは別にあなたの部下じゃないから」
加賀美「天道もほら、そういう自分勝手な事言わない」

どこかズレた二人の確執を相方の常識人が宥めつつ、
ともかくもブレイバーズへの加入を正式に果たした三人の仮面ライダーであった。

906

○トウマ・カイト、コイシカワ・ミズキ→東京郊外の廃倉庫でワームの大群を殲滅。
○天道総司→ビストロ・ラ・サルに来店したメデューサレジェンドルガと戦闘。
○加賀美新→天道を助けてファンガイア&レジェンドルガと戦闘。
○名護啓介→カブト&ガタックを助けてファンガイア&レジェンドルガと戦闘。
○名護恵→ファンガイアとレジェンドルガを発見、戦いを見守る。
●メデューサレジェンドルガ→ビストロ・ラ・サルでランチを大食い。
 仮面ライダーカブト、ガタック、イクサと戦い敗退する。
●マンドレイクレジェンドルガ→仮面ライダーカブトと戦い倒される。
●オクトパスファンガイア→仮面ライダーガタックと戦い倒される。
●シームーンファンガイア→仮面ライダーイクサと戦い倒される。
●アポロガイスト→仮面ライダーカブトらと戦っていたメデューサレジェンドルガを呼び戻す。

【今回の新規登場】
○名護啓介=仮面ライダーイクサ(仮面ライダーキバ)
 素晴らしき青空の会に所属するファンガイアハンター。
 仮面ライダーイクサの装着資格者。
 普段はバウンティハンターとして活動している。
 己が抱く正義を常に信じて貫こうとするゆえに常識外れの奇行に走る事も多々あるが、
 紅渡を仲間として認め助けるなど面倒見の良い男でもある。
 一連の戦いの終結後、同じファンガイアハンターの麻生恵と結婚した。

○名護恵(仮面ライダーキバ)
 旧姓・麻生。素晴らしき青空の会に所属する女ファンガイアハンター。
 普段はファッションモデルの仕事をしている。
 死んだ母・麻生ゆりの志を継いでファンガイアと戦う道を選んだ。
 名護啓介とは当初は反りが合わなかったが行動を共にする内に互いを認め合い、
 やがて結婚した。

○竹宮弓子(仮面ライダーカブト)
 洋食店ビストロ・ラ・サルの店長。
 心を閉ざしがちな日下部ひよりや無断欠勤の多い加賀美新を雇い続けて見守るなど、
 度量の広い女性である。

●サヤカ=メデューサレジェンドルガ(仮面ライダーキバ 魔界城の王)
 レジェンドルガ族の戦士で、蛇女の伝承を残す女怪人。
 無類の大食いで、食べ物を頬張る可愛らしい外見とは裏腹に性格は残忍。
 頭から生えた大蛇で敵を攻撃する。

●マンドレイクレジェンドルガ(仮面ライダーキバ 魔界城の王)
 レジェンドルガ族の戦士で、マンドレイクの伝承を残す怪人。
 無数の蔦を伸ばして相手を攻撃し、巻きつけて窒息死させる。

●オクトパスファンガイア(仮面ライダーキバ)
 ファンガイア族・アクアクラスに属する蛸型怪人。
 真名は「満月に引き裂かれた貴婦人の肖像」。
 怪力の持ち主で、下半身は車輪に変化し時速450kmで疾走できる。

●シームーンファンガイア(仮面ライダーキバ)
 ファンガイア族・アクアクラスに属する海月型怪人。
 真名は「ラジエーターと葡萄の陰鬱な同棲」。
 ビショップに強い忠誠心を持ち、命を賭けるような任務をも厭わず実行する。


『帰ってきた美少女戦士 対決!セーラームーンVSキューティーハニー』-4

作者・ティアラロイド

907 

***第三埠頭***

キューティーハニー「いつまで隠れているつもり!」
セーラームーン「貴女とは戦わない!」

コンテナの隙間の陰に身を潜めるセーラームーンと
それを探すキューティーハニー。

セーラームーン「貴女の目を見ていればわかるわ。
 貴女は悪い人なんかじゃない」
キューティーハニー「…そう、それなら仕方がないわね。
 貴女が相手をしてくれないのなら、貴女の仲間たちに
 代わってもらおうかしら」
セーラームーン「…どういうこと?」
キューティーハニー「今、私の仲間たちが、
 貴女の仲間のセーラー戦士たちを追い詰めている頃合よ。
 きっと今頃全員を血祭りに挙げてるんじゃないかしら!
 アハハハ!!」
セーラームーン「――!!」

キューティーハニーの今の言葉と高笑いに
セーラームーンは突然人が変わったようにカッと目を見開き、
額のティアラに手を伸ばす!

セーラームーン「――ムーン・ティアラ・アクショーン!!」

エナジーを纏ったティアラが円盤状になり、
キューティーハニーめがけて飛ぶ。
攻撃をかわすハニーだったが、
その頬には一筋の微かな切り傷と血が…。
それを確認してニヤリと微笑むハニー。

キューティーハニー「やっとその気になってくれたようね」
セーラームーン「亜美ちゃんたちに手は出させない!
 もしみんなに万一の事があったら、アタシは貴女を許さない!」
キューティーハニー「ではいきましょうか。
 ――愛のため、乙女は変わる!」

フラッシュブレスが神秘的な音を発ながら点滅を始め、ハニーは静かに目を閉じ左手を胸に当てる。
ハニーの胸の中にある空中元素固定装置が左手のブレスレットと共鳴し光り輝く。

キューティーハニー「ハニーフラッシュ!!」

すると空中元素固定装置から虹色の光が溢れ、現れたその姿は、
コスチュームに黄色のウエストラインが1本加えられ、
色も上半身が白、下半身が赤に変わる。
コスチュームの胸元の隙間が基本形態よりも大幅に広がり、
頸部のチョーカーも金色に輝くお洒落な金属製に変わり、
ハートの装飾もより大きな赤色に変化した。
キューティーハニーの最強形態・ハイパーハニーだ。

セーラームーン「――ムーン・クライシス・メイクアップ!!」

一方のセーラームーンも、意を決して虹色の蝶の姿をモチーフにした
スーパーセーラームーンへと二段変身した。


 908

ハイパーハニー「――ハニー・ヴァージナル・インビテイション!!」
Sセーラームーン「――レインボー・ムーン・ハート・エイク!!」

エネルギーをフルーレに収束させたハイパーハニーの虹色のVの形と、
スーパーセーラームーンのロッド先端の飾りから出た螺旋形のハートの光のリボンが
激しく火花を散らしてぶつかり合う。

ハイパーハニー「――はあああああっっ!!」
Sセーラームーン「――ぐうううううっっ!!」

だがそこへ、どこからともなく一匹の小さな儚く白い蝶が舞い降りた。

Sセーラームーン「……? あっ、危ないっ!!」

スーパーセーラームーンは蝶を庇ったため、その一瞬の隙を突かれて
ハイパーハニーの攻撃に弾き飛ばされてしまう。

Sセーラームーン「きゃああああ!!!!」

地面に倒れ伏すスーパーセーラームーン。
蝶が無事に飛び去ったのを見届け安堵の表情を浮かべるが、
すぐにその表情は緊張へと引き攣る。
ハイパーハニーが止めを刺そうと近づいてくるのだ。
「殺られるっ!」とセーラームーンが覚悟を決めたその時―!!

ハイパーハニー「私の負けよ」
Sセーラームーン「…え??」

ハイパーハニーはフルーレを収め、片膝をついて傅く。
意外な展開に呆気にとられるセーラームーン。

ハイパーハニー「ごめんなさい。実は貴女の実力を試させてもらったの」
Sセーラームーン「…アタシの…実力?」
ハイパーハニー「たとえ一匹の小さな虫といえども、
 この地球に生きとし生けるものを体を張ってでも
 守らんとする、その気高き慈愛の心…。
 まさしく貴女こそが、私たちの行動隊長に相応しい」
Sセーラームーン「どういうこと??」

まだいまいち状況が飲み込めていないセーラームーン。
だがいきなりすくっと立ち上がったハイパーハニーは、
後ろへと振り返って大きく叫ぶ。

ハイパーハニー「そろそろ出てきたらどうなのシスタージル!
 さっきからそこにいるのはわかっているわよ!」

909

シスタージル「さすがはキューティーハニー。
 アタシの気配にもう気づいていたとはねえ…」

ハイパーハニーが振り返ったその方向には、
積み上がったコンテナの上に立った、口が裂けた異様な顔つきの女怪人の姿が!
そして気がつくとハイパーハニーとスーパーセーラームーンの二人は
豹の爪の戦闘員に包囲されていた。

ハイパーハニー「その邪悪な気配。忘れようったって忘れられないわ!」
シスタージル「覚えていてくれて嬉しいわキューティーハニー。
 そしてはじめましてセーラームーン!」
Sセーラームーン「…あの人は?」
ハイパーハニー「国際指名手配されている犯罪組織・豹の爪
 =パンサークローの最高幹部、そして今はGショッカーの女怪人幹部で
 構成される闇女王同盟の総取締役、シスタージルよ!」
Sセーラームーン「シスタージル…」

コンテナからジャンプして飛び降り、ハニーとムーンの二人のいる方向へと
近寄るシスタージル。

シスタージル「やはり闇女王同盟の事をそこまで掴んでいたとは、睨んだとおりか。
 では再会して早々早速だけど、空中元素固定装置を頂こうかしら。
 勿論セーラームーン、貴女の持っている幻の銀水晶とやらも一緒にね!」
Sセーラームーン「くっ…!」
ハイパーハニー「イヤだと言ったら?」
シスタージル「こうするまでさ!!」

シスタージルが電磁ムチを大きく振るうのを合図に、
パンサー戦闘員たちが一斉にハニーとムーンに襲い掛かる。
…が、しかし!

???「――スター・シリアス・レイザー!!」
???「――スター・ジェントル・ユーテラス!!」
???「――スター・センシティブ・インフェルノ!!」

突如としてどこからともなく放たれた無数の光線が
パンサー戦闘員の群れを尽くなぎ払う。

Sセーラームーン「あの技は!?」

スーパーセーラームーンが光線が放たれた方角へと振り返ると、
そこには見覚えのある三人の懐かしき人影が。

Sメイカー「夜の暗闇貫いて!」
Sヒーラー「自由の大気かけぬける!」
Sファイター「三つの聖なる流れ星!」
セーラースターライツ(3人全員で)「「「 セーラースターライツ ステージ・オン!」」」

910

Sセーラームーン「ファイター! ヒーラー! メイカー!」
Sメイカー「お久しぶりです。セーラームーン」
Sヒーラー「元気してた?」
Sセーラームーン「いったいいつ地球に!?」
Sファイター「挨拶は後よ。まずはアイツを片付けるわ!」

再会の喜びもつかの間、シスタージルと対峙するセーラースターライツ。

シスタージル「お前たち、星間評議会の特使の随員だね?」
Sファイター「だったら何なの?」
シスタージル「お前たちの主人にも、いずれご挨拶に伺うと伝えておくれ。
 尤も…ここから生きて帰れたらの話だけどねえっ!!」

シスタージルは大きく電磁ムチをふるって攻撃を仕掛ける。
ジャンプしてそれを回避する、ハニー、ムーン、スターライツの5人。

Sファイター「くっ、これでは近づけないわ!」
シスタージル「アハハハ…どこまで逃げ切れるかしらねえ!」

???「待ちなさい! 私たちもいるわよ!!」

シスタージル「なにっ!?」
Sセーラームーン「みんな!」

セーラーマーズたち内部太陽系の四守護神戦士、
その他にも、怪盗ジャンヌに怪盗シンドバッド、
ウェディングピーチら愛天使たちも駆けつけて来たのだ。

Sセーラームーン「みんなどうしてここへ!?
 それにこの人たちは!?」
セーラーマーズ「詳しい話は後よ!」
セーラーマーキュリー「セーラームーン、エターナルセーラームーンに変身して!」
Sセーラームーン「…わかった!」

スーパーセーラームーンはエターナル・ムーン・アーティクルにそっと手を伸ばす。

Sセーラームーン「――ムーン・エターナル!メイクアップ!!」

背中に4枚の翼の装飾がある天使をモチーフにした純白色のセーラー戦闘服を身に纏った究極態。
セーラームーンの真の姿――エターナルセーラームーンである。


***ゴルゴム神殿・世紀王の間***

シャドームーン「……ん?」

ゴルゴム神殿最深部・世紀王謁見の間にある玉座にて佇むシャドームーン。
突然、ベルトのキングストーンが異様な信号音と閃光を発し始めた。

ダロム「シャドームーン様、いかがなされました!?」
バラオム「キングストーンのこの輝きはいったい…!」

周囲のダロムたちも謎の異変に驚く中、
シャドームーンはゆっくりと玉座より立ち上がった。

シャドームーン「月のキングストーンが何かに呼応しているのか…?
 この全身に漲ってくるパワーはいったいどこから…」


***再び、第三埠頭***

Eセーラームーン「………」

その神々しい気高き雄姿に、シスタージルですらも思わず一瞬気圧される。

シスタージル「あれが噂に聞くエターナルセーラームーン。
 さらなる進化の先にたどり着いたという、セーラームーンの真の姿。
 なんて眩しくて、我ら闇の者にとっては見苦しいほどに光り輝く姿だいっ!」

Eセーラームーン「お待たせしました!
 ご存知、愛と正義の、セーラー服美少女戦士、セーラームーン!
 月に代わってお仕置きよ!」

両手を交差させる決めポーズが決まる!

ハイパーハニー「今よ、セーラームーン!」

ハイパーハニーの掛け声を合図に、ムーン・パワー・ティアルを前面に
力強く掲げるエターナルセーラームーン。

Eセーラームーン「――シルバームーン!!」

ムーン・パワー・ティアル先端の水晶から金色の光線と羽根の嵐が舞い飛ぶ。

Eセーラームーン「クリスタルパワー・セラピー・キッス!!」

911 

セーラージュピター「やったか!?」
エンジェルサルビア「いや待て! あれは!?」

シスタージルを庇うように、突然天空より黒い稲妻が降り注ぎ、
エターナルセーラームーンの浄化技の光を弾き散らしてしまった。

Eセーラームーン「そんな…!」
ハイパーハニー「あれは…!」

セーラームーンたちの目の前には、シスタージルの間に立ちはだかるように
黒色のゴシックロリータに身を包み、背中の左側に黒い片翼を生やした
謎の女が立っていた。

ダークプリキュア「………」

ハイパーハニー「あれはダークプリキュア!」
Eセーラームーン「…ダークプリキュア?」
ハイパーハニー「死と破壊を呼ぶ悪のスーパーヒロイン。
 私たちの恐るべき敵よ!」
怪盗ジャンヌ「ダークプリキュア! ここで仕留める!
 ――チェックメイト!!」
ウェディングピーチ「ウェディング結納返し!
 ――セント・クリスタル・ラブフォーユー」

怪盗ジャンヌの悪魔封じのピンと、
ウェディングピーチの愛のウェーブが
ダークプリキュアめがけて急襲するが、
ダークプリキュアはそれを難なく衝撃波と共に一払いする。
逆に吹き飛ばされてしまう怪盗ジャンヌとウェディングピーチ。

怪盗ジャンヌ「キャアアア!!」
ウェディングピーチ「アアアアアッ!!」
怪盗シンドバッド「―ジャンヌ!?」
エンジェルリリィ「大丈夫!!」
セーラーマーキュリー「…なんてパワーなの!?」

シスタージル「遅かったわね! 今まで何をしていたの!」
ダークプリキュア「………」
シスタージル「フン、相変わらず無口な女だね。
 まあいい。そろそろ潮時だね。退くとするかしら」
ハイパーハニー「待ちなさいシスタージル! 逃げるつもり!?」
シスタージル「勝負はいずれまたの機会に。
 では皆さんごきげんよう!」

シスタージルは電池ムチをふるって目晦ましをすると、
ダークプリキュア共々テレポートで脱出した。

Eセーラームーン「ふう~…」

戦いが終わり、気が抜けたように座り込むセーラームーン。

セーラーヴィーナス「大丈夫、セーラームーン?」
セーラーマーズ「詳しい話はこの人たちに聞いたわ」
Eセーラームーン「みんな無事でよかった。
 でもいったい何がどうなってるの?
 もう頭の中がグチャグチャになりそうだよ…」
リリーナ「それは私からご説明します」
Eセーラームーン「貴女たちは…??」

セーラームーンたちの前に現れたのは、
スーツ姿の政府高官らしき若い女性と、
赤いセーラー服に金髪ロールヘアーの女子高生の
二人連れだった。

Eセーラームーン「………えっと、誰?(汗」

ここで盛大にズッコける周囲一同。

セーラーマーズ「…だ、誰って、地球連邦政府の
 リリーナ・ドーリアン外務次官でしょ!」
セーラーヴィーナス「ドーリアン外務次官といえば超有名人よ」
Eセーラームーン「ええええっっ!!!!」
セーラージュピター「ええええっっ…て、セーラームーン、
 新聞とか全然読んでないだろ?」
セーラーマーキュリー「セーラームーン、テレビのニュースは
 毎朝きちんと見ておいた方がいいと思うわ」
かりん「そして私は神月かりん。セーラームーン、
 貴女の見事な戦いぶり、しかと見届けさせてもらいましたわ」
Eセーラームーン「え、あ…と、どうも」

神月かりんと名乗った少女と握手するセーラームーン。
しかしその握力は凄い半端ないものだった!

Eセーラームーン「アタタタタッッ!!!」
かりん「あらあら、ごめんあそばせ。オホホホ…」
Eセーラームーン「……(す、凄い馬鹿力…(汗。)」
リリーナ「それではセーラームーン、いえ、月野うさぎさん。
 私共と一緒にこれから千代田の宮城までご一緒して頂けますか?」
Eセーラームーン「…千代田のキュウジョウ??
 千代田区にプロ野球場なんてあったっけ…」
セーラーマーズ「もう! 球場じゃなくて宮城でしよ!」
リリーナ「聖居…すなわち日本の皇室=聖室のお住まいです」

Eセーラームーン「ええええっっ!!!!」

912

***無幻城・闇女王同盟後宮***

無幻城へと戻ったシスタージルは、メディカルカプセルの中で
戦いで受けた傷を癒しつつ休養をとっていた。
ダークプリキュアがとっさに盾となって庇ったとはいえ、
シルバームーン・クリスタルパワー・セラピー・キッスによる浄化の光は、
シスタージルの肉体にそれなりに悪影響を与えていたのである。
そこへ、ダークプリキュアに案内された二人の人影が。

ダークプリキュア「シスタージル、客人だ」
シスタージル「…何っ?」
クイン・ベリル「だから言ったではないか。セーラームーンを侮ると
 痛い目を見るぞと」
シスタージル「クイン・ベリルか…」

かつてセーラー戦士たちと激闘を繰り広げた悪の組織ダークキングタムを統べる闇の女王クイン・ベリル。
そして後宮が男子禁制であるにもかかわらず、暗黒の月ブラックムーンを影から操った
黒幕の預言者ワイズマンことデス・ファントムの姿もある。

シスタージル「余計な口出しは無用。空中元素固定装置は勿論、
 幻の銀水晶もまとめてこのアタシの手で、必ずや至高邪神に献上して
 ご覧に入れるわ」
ワイズマン「ヘドリアン女王はこのまま大人しく隠居しているつもりなど
 更々ない。隙あらばいつでも汝を蹴落とし、再び表舞台に返り咲かんとするであろう」
シスタージル「何をわかりきったことを…。今更言われるまでもない。
 Gショッカーの次期支配者たるに相応しいのはこの私よ。
 年老いたご老女様には世代交代していただかないとねえ。フフフ…」

913

○セーラームーン→キューティーハニーとの力比べの後、シスタージルと対決。

セーラースターライツと再会。
○セーラーマーキュリー→セーラームーンとキューティーハニーのところへ駆けつける。
○セーラーマーズ→セーラームーンとキューティーハニーのところへ駆けつける。
○セーラージュピター→セーラームーンとキューティーハニーのところへ駆けつける。
○セーラーヴィーナス→セーラームーンとキューティーハニーのところへ駆けつける。
○セーラースターファイター→セーラームーンと再会。
○セーラースターヒーラー→セーラームーンと再会。
○セーラースターメイカー→セーラームーンと再会。
○キューティーハニー→セーラームーンに戦いを挑んだのは実力を試すためだった。
 セーラームーンの力量を認めた後、対シスタージル戦で共闘。
○怪盗ジャンヌ→セーラームーンとキューティーハニーのところへ駆けつける。
○怪盗シンドバッド→セーラームーンとキューティーハニーのところへ駆けつける。
○ウェディングピーチ→セーラームーンとキューティーハニーのところへ駆けつける。
○エンジェルリリィ→セーラームーンとキューティーハニーのところへ駆けつける。
○エンジェルデイジー→セーラームーンとキューティーハニーのところへ駆けつける。
○エンジェルサルビア→セーラームーンとキューティーハニーのところへ駆けつける。
○リリーナ・ドーリアン→セーラームーンの戦いぶりを見届け、彼女を聖居まで案内する。
○神月かりん→セーラームーンの戦いぶりを見届け、挨拶する。
●シャドームーン→月のキングストーンが、セーラームーンのシルバームーンクリスタル(幻の銀水晶)の目覚めた力に呼応する。
●シスタージル→セーラームーンとキューティーハニーに襲い掛かるが、撤退。
●ダークプリキュア→シスタージルを守って撤退。
●クイン・ベリル→シスタージルと結託し、彼女に裏から入れ知恵をしている。
●ワイズマン→シスタージルと結託し、彼女に裏から入れ知恵をしている。

【今回の新規登場】
●ダークプリキュア(ハートキャッチプリキュア!)
 砂漠の使徒の最高幹部である漆黒のプリキュア。右の瞳が金色、左の瞳が青色のオッドアイであり、
 普段閉じている右の目を開くと衝撃波を放ち、技の威力が増強される。武器はダークタクト。
 月影ゆり=キュアムーンライトの宿命のライバルであり、その正体は、月影ゆりの体の一部と
 サバーク博士の研究の技術によって作りだされた人造生命体。

●クイン・ベリル(美少女戦士セーラームーン)
 ダーク・キングダムを統べる闇の女王。本来の姿は地球の預言者であったが、
 地球の王子エンディミオンに密かな叶わぬ恋をしていた事をクイン・メタリアにつけこまれ憑依される。その後エンディミオンの配下だった四天王を洗脳してダーク・キングダムの司令官となり、
 地球の人々をも洗脳してシルバーミレニアムを襲撃、エンディミオンとプリンセス・セレニティの命を奪う事となった。月と地球の最終戦争後、現在の地球に転生し、学術調査員となって北極圏Dポイントへと調査のため派遣されたが、そこはメタリアが封印されていた地点であったため、自身の前世が目覚め、ダークキングダムを再結成した。

●ワイズマン=デス・ファントム(美少女戦士セーラームーンR)
 ブラックムーン一族の上級幹部たちに助言を与える預言者。
 その正体は惑星ネメシスに流刑された異能犯罪者デス・ファントムであり、
 圧倒的な「邪黒水晶」の力でセーラー戦士たちを追い詰めた。


『伝説の勇者の復活』-1

作者・ユガミ博士

914

**緑ヶ浜・自然食レストラン「つくし」***

ひかる「はい。星史君、ヤンチャー君、ご注文の豆腐ハンバーグよ。」
ヤンチャー「お、うまそ。」
星史「いっただきま~す。」パク

豆腐ハンバーグを食べるこの少年の名は、高杉星史。地球の意思「オーリン」
に選ばれ、勇者達の「隊長」となって星々を滅ぼしてきたオーボスから地球を
守った。だが、オーボスとの戦いを終えた勇者ダ・ガーン達が再び眠りに
ついた事で、元の日常へと戻る。そして、その隣にいるのは、オーボスによって
故郷を滅ぼされたヤンチャー星の王子ヤンチャーで、星を再興する為にも、
もっと星や自然の事を知るべく高杉家に同居し、星史の学校に通っていた。

ひかる「勉強の方はどう、ヤンチャー君。」
ヤンチャー「ああ、出来れば一刻でも早くヤンチャー星を再興したい所だが、
 地球にも負けないくらいの良い星にする為にも、今はこの星の事を勉強
 しなきゃな。頑張っている所だぜ。」
ひかる「そっか。星史君の方はどうなの?・・・星史君?」

星史の幼馴染で自然食レストランの看板娘である香坂ひかるが星史に
話を振るが、星史は話を聞かずテレビの方を見ていた。

坂本美鈴キャスター『-先日、地球連邦政府から発表された「ブレイバーズ」
 発足に伴い、日本では各スーパーロボットやヒーローの所属する研究所や
 組織、企業が参加を表明しており―』

星史の母であるSRBCのキャスター、坂本美鈴(本名:高杉美鈴)のニュースに
流れるかつて共に戦った仲間達―マジンガーZやマイトガイン達の活躍を
星史は歯がゆい気持ちで見ていた。

星史「(ダ・ガーン・・・)」

戦う力を失った星史は今も眠る友の事を思うのであった。 。

915

星史が歯がゆい思いをしている丁度、その頃。緑ヶ浜に近づく巨大な岩の手をした
戦艦が現れた。妖魔帝国の大幹部にして、今ではGショッカー地下帝国の
妖魔将軍であるプリンス・シャーキンが乗るガンテである。

シャーキン「ここが、プラネットエナジーの開放点である緑ヶ浜か。」
ベロスタン「左様、ここを征すれば地球の力―伝説の力を我が物にする事が
  出来るでしょう。」
シャキーン「では、化石獣と戦闘獣を出撃させるのだ。」

緑ヶ浜に眠るプラネットエナジーを手にするべく、シャーキンは自身の指揮する
化石獣と悪霊型戦闘獣の軍団を出撃する。

バストドン「ギャァァァオ」
サイコベアー「キシャァァァ」

化石獣バストドンと悪霊型戦闘獣サイコベラー、そしてドローメの大軍が
緑ヶ丘を次々と破壊していく。

ひかる「きゃっ!」
ヤンチャー「大丈夫か、ひかる!」
星史「あれが・・・Gショッカー!」

騒ぎを聞きつけ、店を出た3人。町の惨状を見ていると・・・。

鉄也@グレートマジンガー「サンダーブレイク!」
洸@ライディーン「ゴッドミサイル!」
チェンジドラゴン@チェンジロボ「チェンジロボミサイル!」

化石獣、戦闘獣の出現に剣鉄也の乗るグレートマジンガー、ひびき洸の乗る
ライディーン、チェンジマンの乗るチェンジロボが現場に急行した。
さらに炎ジュンのビューナスAとボス、ヌケ、ムチャのボスボロットに
コープランダー隊のブルーガーが駆けつける。

鉄也「修理を終えたグレートマジンガーの力、見せてやるぜ!」
ジュン「フォローを任せて。鉄也。」
ボス「このボス様にかかれば、お茶の子のさいさいよ。」

鉄也はサイコベアラーにマジンガーブレードやグレートタイフーン等を
繰り出していく。ビューナスAやボスボロットもまわりのドローメを
撃ち落していく。

洸「シャーキン・・・お前が、何故。」
シャーキン「・・・ひびき洸、バラオ様の為、そして表裏六柱の至高邪神様の為にも
 お前を倒す!」
真宮寺「九州から帰ったと思ったら、ここで妖魔帝国のシャーキンと出くわすとはな。」
マリ「洸君。私達が援護するから、気をつけて。」

一方、宿命のライバルであるシャーキンと再び対峙する事に戸惑う洸。
ブルーガーを操縦する真宮寺力とGFの桜野マリはライディーンの援護をしていく。

チェンジドラゴン「・・・」
チェンジグリフォン「どうしたんだ?何か、様子がおかしいぜ。」
チェンジドラゴン「いや、何でもない(・・・この町に来てから
 胸騒ぎがする。これは一体・・・)」

チェンジドラゴンの内心では、何か胸騒ぎがしてならなかった。

デ・ブッチョ「蛍はん、はよう逃げまっせ!」
蛍「・・・もうすぐ、彼らが目覚める。」

元オーボスの幹部であるデ・ブッチョが星史のクラスメイトである蛍に
早く逃げるように言うが、彼女は何かを感じていた。

916

○高杉星史→自分が戦えない事に歯がゆい思いをしながら、戦いに巻き込まれる。
○ヤンチャー王子→星の再興の為、高杉家に同居して勉強中。戦いに巻き込まれる。
○香坂ひかる→戦いに巻き込まれる。
○高杉美鈴→ブレイバーズのニュースを伝える。
○桜小路蛍→逃げ惑う中、何かを感じ取る。
○デ・ブッチョ→蛍に逃げるように言う。
○剣鉄也→グレートマジンガーで出撃し、戦闘獣サイコベアーと戦闘する。
○炎ジュン、ボス→鉄也のフォローをする。
○ひびき洸→ライディーンで出撃。シャーキンと対峙する。
○真宮寺力、桜野マリ→ブルーガーでライディーンの援護を行う。
○剣飛竜→チェンジロボで出撃。緑ヶ丘に来て、何か胸騒ぎをしている。
●プリンス・シャーキン→プラネットエナジーを狙って、緑ヶ丘を襲う。
●ベロスタン→シャーキンと共にガンテに乗る。
●化石獣バストドン、戦闘獣サイコベアー、ドローメ→緑ヶ丘を襲う。

【今回の新登場】
○高杉星史(伝説の勇者ダ・ガーン)
緑ヶ浜小学校6年生。地球の意思「オーリン」によって、勇者達の「隊長」となる。
両親が留守にする事が多いので、料理など生活力に溢れた明朗快活な少年。

○ヤンチャー王子(伝説の勇者ダ・ガーン)
オーボスに滅ぼされたヤンチャー星の王子。本名「ヤンチャラン・スターレット・
バンナー・グリシウス・ジャックギンガー・ワイルダー14世」星史同様、
オーリンによって選ばれ、セブンチェンジャーと共にオーボスを追って
地球へやって来る。口が悪く当初は星史と衝突する事があったが使命感は強い。

○香坂ひかる(伝説の勇者ダ・ガーン)
星史の幼馴染で、自然食レストラン「つくし」の娘。星史の両親から
お目付け役を任されていて、保護者気取りな所があるが内心とても
心配している。

○桜小路蛍(伝説の勇者ダ・ガーン)
星史の同級生。不思議な雰囲気を持っておりばあやと町外れの古びた屋敷に
住んでいる。物静かでシャーマンやエスパーめいた発言をするが、単に
勘がいいらしい。当初から星史と勇者の事を知っており、助言を送っている。

○高杉美鈴(伝説の勇者ダ・ガーン)
星史の母親でSRBCの人気キャスター。旧姓の坂本で仕事をしている。
仕事で家を空ける事が多いので、生活力豊かな息子に負い目を感じている。
料理が全くダメ。

○デ・ブッチョ(伝説の勇者ダ・ガーン)
元オーボスの幹部。アヤシサーカスの団長に化けて、隊長の正体を探っていた。
装甲獣を従えているが、女性の名前をつけている。その後、失敗が続き8体に
分裂。蛍を誘拐したが、その優しさに触れて改心。そして最後に一人だけ生き残った。

○ひびき洸(勇者ライディーン)
古代ムー帝国の王女だった母と考古学者のひびき博士を父に持つ
ライディーンのパイロット。高い念動力を有しており、臨海学園
サッカー部のキャプテンでもある。

○真宮寺力(勇者ライディーン)
コープランダー隊のリーダーで、「ミスター」の通称を持つ。

○桜野マリ(勇者ライディーン)
東山大三郎の養女で、洸のガールフレンド。臨海学園サッカー部の
マネージャーで、アイドル的存在。

●祭官長ベロスタン(勇者ライディーン)
妖魔帝国の祭官長であり、主に化石獣の復活の儀式を取り仕切る。
プリンス・シャーキンの死後、バラオ復活時に地割れに飲まれて死亡した。
数十年後、何者かによって復活するが・・・。

●化石獣バストドン(勇者ライディーン)
化石獣第1号。人型のシルエットに右腕が刀のようになっている。

●ドローメ(勇者ライディーン)
ガンテと共に飛来する、妖魔帝国の戦闘用生物。都市の破壊や
戦闘の前衛を務める。

●戦闘獣サイコベアー(グレートマジンガー)
3千年にわたり妖術を鍛えた悪霊型戦闘獣。念力で相手に呪いをかけるほか
身体を羽ばたかせて突風を巻き起こしたり、髪の毛を針のように飛ばしたりできる。 


『伝説の勇者の復活』-2

作者・ユガミ博士

917
???「緑ヶ浜・・・伝説の勇者たちを倒すのはこの私だ。」
コンピュータの音声「ピ、ピピ・・・ピ」
???「今回は様子見だけの任務の筈だと・・・。いや、私の中の恨み
 が復讐せよと告げるのだ。出撃する!」

半身が機械の男-オーボスの幹部だったレッドロンがコンピュータの
忠告を聞かず、レッドガイストとレッドバトラーの軍団を率いて出撃した。

チェンジペガサス「何だ、あのメカ達は!?」
鉄也「オーボスのレッドロンか!」

現れたレッドガイストを見て、動揺する鉄也達。レッドロンは、鉄也達だけ
ではなく、シャーキン達にも攻撃する。

シャーキン「くっ、我々にも攻撃か。」
ベロスタン「(オーボス・・・何を考えているのか)」

レッドロンを交えての3つ巴となったこの戦いを星史達は、避難しながら
見ていた。

ヤンチャー「レッドロンの野郎も、来るなんて。」
星史「(ダ・ガーン達がいれば、助けられるのに)」
???「やれやれ、強い怨みの感情があるから来てみれば・・・
  頭が痛い。」
星史「誰だ!?」

星史の前に現れたのは、全身が炎に包まれているかの様な姿をした
怪人-怨みの感情を司るデーボス軍の戦騎、エンドルフがレッドロンや
シャーキンの怨みに惹かれて現れた。

エンドルフ「俺は怨みの戦騎エンドルフ。あんた、確か勇者の隊長
 らしいなぁ。後々の面倒になりそうだから、死んでもらうぜ。」
星史「なっ!」

エンドルフは気だるそうに、ゾーリ魔やカンブリ魔を呼び出して始末
するように命令を下す。

星史「ひかるは下がってろ!」
ひかる「でも、星史君・・・。」
ヤンチャー「来たぞ!」

最早、これまでかと思ったその時・・・

ビューンビューン
???「炎のたてがみ!」
ゾーリ魔「ゾゾ!」

突然、何者かの攻撃でゾーリ魔の数体が倒される。星史の後ろから
現れたのは、銃を持った青年と独特の民族衣装の様な格好をした青年
だった。彼らはデーボス軍と戦った獣電戦隊キョウリュウジャーの
キョウリュウレッド-桐生ダイゴとバルバンから地球を守った星獣戦隊
ギンガマンのギンガレッド-リョウマである。

エンドルフ「お前は・・・キョウリュウレッド!」
桐生ダイゴ「久しぶりだな、エンドルフ!」
リョウマ「その子供達は、殺させやしない!」
エンドルフ「あ~、お前らの怨みで頭が痛い。やれ!」

エンドルフの命令でゾーリ魔とカンブリ魔の攻撃がダイゴやリョウマを
襲う。そこを2人は殴る、蹴る等で対処する。

リョウマ「ここは、俺達に任せてくれ。」
ダイゴ「星史って言ったな。厳光寺に行け!そこで、お前の相棒が待ってる!」
星史「!」

ダイゴの言葉を聞いて、待っている相棒が誰なのかを察する。

星史「行くぜ、ひかる、ヤンチャー!」
ヤンチャー「応!」
ひかる「あ、ありがとうございます。」

3人はダイゴの指示した厳光寺へと向かう。

918

厳光寺へと向かうが、その道中をゾーリ魔が次々と襲いかかる。

イアン「おっと、来ているのはキング達だけじゃないんだぜ。」
ヒュウガ「てりゃ。ここは俺達が引き受ける。」
ノブハル「僕達に任せて。」
ゴウキ「彼らを呼び出してくれ。」

他のキョウリュウジャー、ギンガマンのメンバーであるイアン・ヨークランド、
ヒュウガ、有働ノブハル、ゴウキのそれぞれの黒と青の戦士が助ける。
そして、さらに進んでいくと立風館ソウジ、ハヤテ、空蝉丸、ヒカル、アミィ結月
サヤの6人がそれぞれゾーリ魔を斬ったり、雷で攻撃したりと戦っていた。

ソウジ「ここのゾーリ魔達は、僕らが倒す。」ザシュ
空蝉丸「今の内に寺の中へ。」
星史「はい。」

キョウリュウジャーとギンガマンに助けられて、星史は無事厳光寺の
中へと入る。そして寺には、クラスメイトの蛍と元オーボスの幹部
デ・ブッチョがいた。

デ・ブッチョ「星史はん、それに皆はんも。」
ひかる「桜小路さん!」
星史「蛍、お前が何でここに?」
蛍「・・・祈って。そうすれば彼が・・・。」
エンドルフ「何をするかは知らないが、止めさせてもらうぜ。」

蛍がここにいる事に驚くが、蛍が「ここで祈る」ように言う。
だが、そこにエンドルフがやってくる。

ダイゴ「おっと、邪魔はさせないぜ!」

そこに戦っていたキョウリュウジャー、ギンガマンがゾーリ魔達を倒して
集まってくる。

ダイゴ「星史、地球が言っていた。ダ・ガーンを起こせるのは
 お前だけだってなぁ。」
リョウマ「アースを通して、大自然が君の祈りに答えてくれる。」
星史「よし。(ダ・ガーン)」

地球の声を聞く事の出来るダイゴ、そして大自然からアースを操れる
リョウマの言葉を聞いた星史は今では壊れてしまったダイレクターの
オーリンに今、思いを地球へと伝える。

エンドルフ「させるか!」

再びゾーリ魔、カンブリ魔の大軍が現れて星史を襲うとする。

空蝉丸「各々方、星史殿達を守るためにもいざ、キョウリュウチェンジでござる。」
ヒュウガ「こちらも、変身だ!」

集まった12人は並び立ち、変身の準備に入る。

キョウリュウジャー6人「「「「「「ブレイブイン!」」」」」」

キョウリュウジャー6人は獣電池のスピリットが起動し、ダイゴ達
5人はガブリボルバーに、空蝉丸はガブリチェンジャーに獣電池を
差し込み、口を閉じる。

ガブティ~ラ
パ~ラサガン
ステゴッチ
ザクト~ル
ドリケ~ラ
プテラゴ~ドン

キョウリュウジャー「「「「「「キョウリュウチェンジ」」」」」」

シリンダーを回して、流れるサンバのリズムに合わせて踊り、上に
銃を向けて叫ぶ。一方、空蝉丸のガブリチェンジャーはトリガーを引いて、
片方のウィングを広げさせると三味線のメロディが流れて叫ぶ。

キョウリュウジャー「「「「「「ファイアー!」」」」」」

そして6人の姿は恐竜を思わせる姿となる。

リョウマ「銀河転生!」
ヒュウガ「騎士転生!」

一方、リョウマ達5人はギンガブレスのダイアルを回して叫び、
ヒュウガはブルライアットでその姿を変える。変身を終えた12人は
大きく叫び、名乗り始める。

キョウリュウレッド「聞いて、驚け!牙の勇者キョウリュウレッド!」
キョウリュウブラック「弾丸の勇者キョウリュウブラック!」
キョウリュウブルー「鎧の勇者キョウリュウブルー!」
キョウリュウグリーン「斬撃の勇者キョウリュウグリーン!」
キョウリュウピンク「角の勇者キョウリュウピンク!」
キョウリュウゴールド「雷鳴の勇者キョウリュウゴールド!」
キョウリュウジャー「「「「「「史上最強のブレイブ!獣電戦隊
 キョウリュウジャー!」」」」」
ギンガレッド「ギンガレッド、リョウマ!」
ギンガグリーン「ギンガグリーン、ハヤテ!」
ギンガブルー「ギンガブルー、ゴウキ!」
ギンガピンク「ギンガピンク、サヤ!」
黒騎士「黒騎士ヒュウガ!」
ギンガレッド「命を貫く伝説の刃!」
ギンガマン「「「「「「星獣戦隊ギンガマン!」」」」」」

12人の戦士が大きく名乗り上げるのであった。

919

○高杉星史→ダイゴ達に言われて、厳光寺で祈る。
○桜小路蛍→星史に祈るように言う。
●レッドロン→復讐心で、グレートマジンガーやシャーキン達を攻撃する。
○桐生ダイゴ→星史を助けて、厳光寺に行くように言う。
○キョウリュウジャー→星史を助ける。
○リョウマ→ダイゴと共に、星史を助ける。
○ギンガマン→星史を助ける。
●エンドルフ→ゾーリ魔やカンブリ魔を率いて、星史を襲う。

【今回の新登場】
●レッドロン(伝説の勇者ダ・ガーン)
最初に地球を攻撃したオーボス軍の幹部。レッドバトラーと呼ばれるロボット
部隊を配下にしている。任務のついでに趣味のメカのコレクションをしている。
敗北後、半身機械となって復活した。

○桐生ダイゴ=キョウリュウレッド(獣電戦隊キョウリュウジャー)
南海の島で、獣電竜ガブティラに勝利した牙の勇者。周囲からキングと
呼ばれていく内に自らも名乗るようになる程、リーダー的存在。
後に地球の声が聞けるようになった。

○イアン・ヨークランド=キョウリュウブラック(獣電戦隊キョウリュウジャー)
ヨーロッパの古城で獣電竜ガブティラに勝利した弾丸の勇者。プレイボーイだが、
百発百中の射撃の名手。考古学者で、親友をアイガロンに殺された過去を持つ。

○有働ノブハル=キョウリュウブルー(獣電竜キョウリュウジャー)
北極で獣電竜ステゴッチに勝利した鎧の勇者。メンバーの中で年長者である為、
「ノッさん」と呼ばれている。以前は一流商社のサラリーマンだったが、今は
何でも屋「まるふく」で働いている。寒いダジャレが多い。

○立風館ソウジ=キョウリュウグリーン(獣電戦隊キョウリュウジャー)
竹やぶで獣電竜ザクトルに勝利した斬撃の勇者。古い流派の剣道場の息子で
高校でも剣道部に所属している。好きな飲み物はメロンソーダ。
後に賢神トリンからフェザーソードを受け継ぐ。

○アミィ結月=キョウリュウピンク(獣電戦隊キョウリュウジャー)
アメリカのグランドキャニオンで獣電竜ドリケラに勝利した角の勇者。
財閥のお嬢様でアメリカに留学していた。明るく陽気だが、がさつな所が
多い。特技は足の指でテレビのリモコンが操作できる事。

○空蝉丸=キョウリュウゴールド(獣電戦隊キョウリュウジャー)
戦国時代の武士である雷鳴の勇者。ドゴルドとカオスの策略で鎧の中で
封印されていたが、ダイゴ達によって救出される。当初はクールぶっていたが、
本来は子供好きなお人よしで家庭的。ドゴルドとは宿命の敵だが、最後は
協力して共にエンドルフを倒した。

●怨みの戦騎エンドルフ(獣電戦隊キョウリュウジャー)
カオスが怨みの感情で生み出した戦騎。いつも頭痛に悩ませている。
武器は剣にも銃にもなれる「ローソクラッシャー」キョウリュウジャーに
倒された後、ドゴルドによって封印されていたが内心精神の侵食を行い
反乱を起こすように仕向けていた。

○リョウマ=ギンガレッド(星獣戦隊ギンガマン)
炎のアースを持つ戦士。武器はブーメラン。本来兄ヒュウガが
受け継ぐ筈だったが、変わりに引き継ぐ。明るく大らかで曲がった事が許さない性格。

○ハヤテ=ギンガグリーン(星獣戦隊ギンガマン)
風のアースを持つ戦士。武器は吹き矢。冷静沈着なチームの参謀役だが、
蜂蜜とトマトが苦手(後にトマトは克服する。)

○ゴウキ=ギンガブルー(星獣戦隊ギンガマン)
水のアースを持つ戦士。武器は鞭。リョウマ、ハヤテとは幼馴染で、
友情に厚く涙脆い。特技は料理。鈴子先生に恋心を抱いている。

○ヒカル=ギンガイエロー(星獣戦隊ギンガマン)
雷のアースを持つ戦士。武器は空気砲。お調子者でドーナッツが好き。

○サヤ=ギンガピンク(星獣戦隊ギンガマン)
花のアースを持つ紅一点。武器はパチンコ。男勝りでヒュウガに
焦がれている。趣味はケーキ作りと花占い。

○ヒュウガ=黒騎士(星獣戦隊ギンガマン)
リョウマの兄で、同じく炎のアースを持つ。本来はレッドになる筈だったが、
バルバンの襲撃で行方不明に。その体はブルブラックに復讐の為に使われたが
最終的に分離。その魂を次いで黒騎士に変身出来るようになった。

実は寒いダジャレで笑える笑い上戸。


『伝説の勇者の復活』-3

作者・ユガミ博士

920

キョウリュウジャーとギンガマンに変身した12人は、星史達を守る為に
エンドルフ、ゾーリ魔やカンブリ魔と戦っていく。

キョウリュウブルー「とりゃ、ノブハルボンバー!」
ギンガブルー「うぉぉお!」

キョウリュウブルーとギンガブルーは自慢の怪力で敵を捻じ伏せていく。

キョウリュウゴールド「ヒカル殿、共に雷攻撃をしましょうぞ。」
ギンガイエロー「応、雷一掃!」
キョウリュウゴールド「奥義・雷電残光!」

雷を扱うギンガイエローは星獣剣で、必殺の「雷一掃」で斬り、
キョウリュウゴールドも長剣ザンダーザンダーに獣電池を装填して、
「雷電残光」を放して、ゾーリ魔達を倒していく。

キョウリュウピンク「スティメロ!」

ガブリンチョ!スティメ~ロ

ゾーリ魔A「ゾゾ~。」
ギンガピンク「キバアロー!」ビューン
ゾーリ魔B「ゾゾ!」
キョウリュウピンク「ワァオ!さっすが先輩ヒロインね。」
ギンガピンク「女戦士の力、見せてあげましょう!」

キョウリュウピンクは獣電池・スティメロでゾーリ魔達をメロメロの状態に
した後、ギンガピンクがキバアローで倒していく。

ギンガグリーン「疾風一陣!」
キョウリュウグリーン「斬撃無双剣!」

一方、ギンガグリーンとキョウリュウグリーンはそれぞれの必殺剣で
まさに風のようにゾーリ魔やカンブリ魔を斬り倒していく。

キョウリュウブラック「やるねぇ、ギンガマン。さすがは伝説の後継者だ。」バシュン
黒騎士「そっちも、最強のブレイブチームなだけはあるな。」ザシュ

両戦隊の黒の戦士であるキョウリュウブラックと黒騎士はお互いを
カバーしながら、お互いを激励する。

キョウリュウレッド「アムード・オン、ガブティラファング!」
ギンガレッド「獣撃棒!」
エンドルフ「くっ!」

そしてキョウリュウレッドとギンガレッドはエンドロフと戦っていた。
交互にエンドロフを攻撃していく。

921

さて一方、星史はダイレクターに祈る。ダ・ガーンが目覚めるのを。

星史「(ダ・ガーン・・・)」
ひかる「星史君・・・。」
ヤンチャー「星史・・・。」

その星史の姿をひかるやヤンチャーが見守る。

レッドロン「む?あそこにいるのは・・・!」

そしてその様子をグレートマジンガー達と戦っていたレッドロンが
気づいた。

レッドロン「ふははは、隊長にヤンチャーめ。我が恨みを晴らす好機!」
鉄也「あそこにいるのは、星史か!」
チェンジドラゴン「危ない!」

レッドロンは星史に向けて、レッドガイストで攻撃しようとする。同じく
星史達に気づいた鉄也達は攻撃を止めようとするが間に合わない。

星史「目覚めてくれ、ダ・ガーン!」

ピカ

攻撃が当たる直前、星史のダイレクターについてあるオーリンが光だし、
いくつもの光が飛び出した。

根元巡査「はいはい、皆さんシェルターに避難してください。」

厳光寺から離れた町の広場では、星史の近所にある交番に勤務する
根元巡査が住民の避難を呼びかけていると、彼のパトカーに光が入る。

ブォォォォン

根元巡査「な、何だ!?」

光が入ったパトカーは誰も運転していないのに、勝手に飛び出して
厳光寺のある方へと向かった。

根元巡査「僕のパトカー・・・もしかして!?」

そしてパトカーは厳光寺にいる星史の前へと飛び出し、その姿を変える。

???「チェンジ、ダ・ガーン!」

変形したパトカーはダ・ガーンとなり、その攻撃を止めて星史達を助ける。

星史「あ・・・あ・・・。」
ダ・ガーン「久しぶりだな、星史。」
星史「遅えよ、ダ・ガーン・・・グス」

ダ・ガーンとの再会に星史は震え、思わず涙が出る。

ヤンチャー「目覚めたのは、ダ・ガーンだけなのか?」
ダ・ガーン「大丈夫、他の仲間達ももうすぐ、ここへ来る。」

***極東支部・伊豆基地***

岡長官「すぐに補給を終え、先に出撃しているグレートマジンガー達の
 援護に向かうようにするのだ。」
連邦兵「大変です、長官!」
岡長官「今度は何だ!?」
連邦兵「はっ、回収して倉庫で保管されていたダ・ガーンの仲間である
 勇者ロボ達のボディが勝手に出撃しました。」
岡長官「何だって!?」

岡長官がグレートマジンガー達の援護に向かう指示を与えていた所、
オーボスとの最終決戦で眠りについてしまった勇者達のボディは伊豆基地で
保管されていたが、それが出撃したという報せを受ける

922

***緑ヶ浜***

チェンジフェニックス「こちらへ向かってくる、複数の機体をキャッチしました。」
チェンジドラゴン「何が来たんだ。」

場面は変わり、チェンジフェニックスがレーダーで、ここへとやって来る複数の
機体を知る。

ダ・ガーン「来た!」
ヤンチャー「!?」

ダ・ガーンがその複数の機体が来た事を感じたと同時に、ヒビが入っていた
ヤンチャーのオーリンも輝く。

そしてその機体達が姿を現した。

ジェットセイバー「キャプテン!」
ビッグランダー「大将!」
ガ・オーン「グゥゥゥ・・・酋長!」
星史「セイバーズ、ランダーズ、ガ・オーン・・・皆、久しぶり!」
セブンチェンジャー「久しぶりだ、王子。」
ヤンチャー「ああ、お前とまた会えるなんて夢にも思わなかったぜ。」
レッドロン「・・・ええい、私を無視するな!」

他の勇者達の再会を喜ぶ星史とヤンチャー。だが、レッドロンは無視
されている事に腹が立ち、レッドガイストで攻撃しようとする。

シャトルセイバー「キャプテン、指示を。」
ジャンボセイバー「我々はいつでも、戦えます。」
ホークセイバー「いつでも、いいぜ。」
ターボランダー「お前達も、いけるよな。」
マッハランダー&ドリルランダー「「「応」」」
セブンチェンジャー「王子、命令を。」
ビッグランダー「大将。」
ジェットセイバー「キャプテン。」
ダ・ガーン「星史!」

ダ・ガーン、セイバーズ、ランダーズ、セブンチェンジャー達の言葉
に星史とヤンチャーは頷き、戦う時の「隊長」の姿に変える。

星史「よ~し、皆合体してこの町を守ってくれ。」
ダ・ガーン「了解、合体グレートダ・ガーンGX!」

ダ・ガーンは戦闘機アースファイターと新幹線アースライナーを呼び出し、
星史を内部に乗せた後、上半身となったアースファイターと下半身となった
アースライナーと合体、さらにガ・オーンと合体して『グレートダ・ガーンGX』となる。

ジェットセイバー「了解、合体ペガサスセイバー!」

ジェットセイバー、シャトルセイバー、ジャンボセイバーそして、ホークセイバー
の4機はそれぞれジェットセイバーが頭胸部と両腕、ジャンボセイバーが胴体と大腿部、
シャトルセイバーが両脚となり『スカイセイバー』へとなった後、ホークセイバーが加わり
『ペガサスセイバー』となる。

ビッグランダー「了解、合体ランドバイソン!」

ビッグランダー、ターボランダー、マッハランダー、ドリルランダーの4機は
ターボランダーが頭胸部、ドリルランダーが両腕、マッハランダーが腹部、
そしてビッグランダーが両脚に変形し、『ランドバイソン』となった。

キョウリュウレッド「うぉぉぉ、ブレイブだぜ!」
ギンガレッド「あれが、地球を守る勇者・・・。」
チェンジドラゴン「そうか・・・この胸騒ぎはこれだったのか。」

地球の声を聞く事が出来るキング・・・キョウリュウレッド。大自然の
エネルギー「アース」を使うギンガレッド、地球の神秘の力
「アースフォース」を使う3人の戦隊ヒーロー達は地球の勇者の復活に
大きな物を感じる。

エンドルフ「ち、ここは引き下がるのが得策か。後は任せたぞ!」

エンドルフは撤退し、残されたゾーリ魔は集まり、数体の巨大ゾーリ魔へと
変わる。

キョウリュウレッド「待て!」
ギンガレッド「いやここは、この場を治めるのが先だ。巨大ゾーリ魔を頼む。」
キョウリュウレッド「・・・分かった。来い、ガブティラ!」
キョウリュウブルー「ステゴッチ!」
キョウリュウピンク「来て、ドリケラ!」

ギンガレッドに諭され、キョウリュウレッド、ブルー、ピンクの3人は
パートナーの獣電竜を呼び出す。

キョウリュウレッド「カミツキ合体。」

ガブリンチョ!ガブティ~ラ
ガブリンチョ!ステゴッチ
ガブリンチョ!ドリケ~ラ
キョ~ウリュウ~ジン

ガブティラにステゴッチとドリケラがそれぞれ腕となって合体して、
獣電巨人『キョウリュウジン』となった。

923

ダ・ガーン達を加えたチェンジマンやスーパーロボット達は、シャーキンや
レッドロンに立ち向かう。

チェンジドラゴン「電撃剣風車斬り!」ズバババ
ペガサスセイバー「援護する。セイバーアロー!」ビューンビューン
チェンジペガサス「助かるぜ。やっぱペガサスってのは、いいなぁ。」
チェンジグリフォン「何、言ってんだか。」
チェンジマーメイド「ペガサスっていうより、ケンタウロスだけどね。」

チェンジマンは「電撃剣風車斬り」で、レッドバトラー軍団を回転して
斬り倒していく。その援護にペガサスセイバーがペガサスアローを繰り出す。
チェンジペガサスは、ペガサスという名前に好感を持つが、他の仲間から
少々、呆れられた。

ランドバイソン「ランドカノン!」

ランドバイソンはバイソンシールドを反射板にして、広範囲に広がる
ドローメや巨大ゾーリ魔を倒していく。

黒騎士「すごい、パワーだ。ゴウタウラス以上かもしれない。」

下で戦う黒騎士は、戦うランドバイソンを見てゴウタウラスを
思い出す。

鉄也「これ以上、戦闘を長引かせるわけにはいかない。ブレストバーン!」
サイコベアー「キシャァァァ!」

鉄也はグレートマジンガー必殺の「ブレストーバーン」による熱線を
戦闘獣サイコベアーに放つ。そして、攻撃に耐えられなかった
サイコベアーは破壊された。
バストドン「きしゃぁぁぁ!」
ヤンチャー「セブンチェンジャー、久しぶりの戦いだ。いけるな?」
セブンチェンジャー「勿論です、王子。」

背中からチェンジャーシューベルトを引き抜き、バストドンと刃を交える。

セブンチェンジャー「てりゃぁぁ!」
バストドン「ギャァァァァス!」

そして、一閃の元切り捨てる。

キョウリュウピンク「ちゃっちゃと終わらせましょう。」
キョウリュウブルー「そーそー、ちゃっちゃと終わらせて、茶(ちゃ)を飲もう!」
キョウリュウレッド「いやいや、駄洒落になってない。」
キョウリュウブルー「え!?」

キョウリュウレッドに駄洒落の駄目だしを受け、ショックを受けるブルーを
スルーしながら、巨大ゾーリ魔を倒していく。

洸「念動光線・・・ゴッドアルファ!」

一方、洸はシャーキンのガンテと戦闘し、ゴッドアルファをぶつける。

シャーキン「・・・ひびき洸、この勝負を預けるぞ。」
洸「逃げるのか!シャーキン。」
シャーキン「ふ、我々に相応しい戦いがあるというだけだ。」

そう言って、シャーキンの乗るガンテは撤退した。

レッドロン「今こそ、私の怨みを晴らすぞ!」
星史「レッドロン、お前の好きにはさせないぞ。ダ・ガーン!」
グレートダ・ガーンGX「ああ、任せてくれ。GXバスター!」

グレートダ・ガーンGXはGバルカン、Gキャノン、Gバードを合体させた武器
GXバスターをエネルギーを収束させ、レッドガイストに発射するが、
レッドシールドで防ぐ。

レッドロン「ふん、さらに強化したレッドガイストの敵ではないわ。」
星史「くそっ!」
レッドロン「トドメだ!『待て、レッドロン』・・・その声は、シアンか!」

トドメを刺そうとするが、レッドロンに同じオーボスの幹部シアンから
通信が入る。

シアン『お前の任務は、調査だけの筈だ。戦闘ではない。』
レッドロン「だが、ここにダ・ガーンが現れたのだ。ここで倒さねば・・・。」
シアン『オーボス様の命令でもか。』
レッドロン「う・・・。」
シアン『早く、帰還しろ。いいな。』
レッドロン「仕方がない・・・。撤退する。」

オーボスの命令とあれば、従わなぬ訳にはいかないとレッドロンは
その場から撤退するのであった。

キョウリュウブラック「どうやら、向こうも終わったようだな。」

下のほうでも、残っていたゾーリ魔達はギンガマンとキョウリュウブラック、
キョウリュウグリーン、キョウリュウゴールドが倒し終えた。 


924

**高杉家***

その夜、星史とヤンチャーは帰宅した母・美鈴と今はオーストラリアの
司令本部に勤務している父・光一郎をテレビ通信で交えて昼間の件を
話す。

星史「・・・だから、父さん。俺たちはダ・ガーン達と一緒に、
 ブレイバーズに参加させてくれないかな?」
美鈴「星ちゃん・・・。」
光一郎「・・・また危険な目に合うが、いいのか?」
星史「心配するのは、分かるよ。・・・でも、他の仲間達が戦っているのに
 何もしないっていうのは、嫌なんだ。」
ヤンチャー「それに、レッドロンが来たって事は、オーボスもいる筈だ。
 オーボスを相手するのは俺達だ。」

心配する両親にブレイバーズに参加したい事を話す星史とヤンチャー。
光一郎は目を瞑り、しばらく両腕を組んだ後に口を開く。

光一郎「・・・2人の決意は固い様だな。」
美鈴「あなた・・・。」
光一郎「2人の意思を尊重しよう。大丈夫、彼らには心強い仲間達が
 いるのだからな。」
星史「ありがとう、父さん。」
ヤンチャー「大丈夫、オーボスは俺達が倒して見せるぜ。」

ブレイバーズの参加を決めた星史とヤンチャー、そして地球を守る勇者達。
伝説の勇者と隊長達の新たな伝説が始まる。

***宇宙戦艦レッドローン***

一方、レッドロンは自身の宇宙戦艦に帰還し、シアンと通信を行っていた。

シアン『・・・オーボス様は、ダ・ガーンとの・・・地球との戦いを
   望んでいる。今後勝手な行動はするな。』
レッドロン「オーボス様が・・・。」
シアン『あの星には、様々な力が集まりつつある。そしてその戦いの
 果てに・・・。』
レッドロン「果てに?」
シアン『いや、今はよそう。それと今後の方針は追って連絡する。ー以上だ。』
レッドロン「・・・この地球で何が起きようというのだ?」

レッドロンはシアンの意味深な言葉に疑問を覚えるのだった。

○高杉星史→ダ・ガーン達を復活させ、レッドロンと戦う。そして、
      ブレイバーズの参加を決める。
○ダ・ガーン→グレートダ・ガーンGXとなり、レッドロンと戦うが、
       逃げられる。
○ガ・オーン→ダ・ガーンと合体してグレートダ・ガーンGXとなる。
○セイバーズ→ペガサスセイバーに合体し、チェンジロボを援護する。
○ランダーズ→ランドバイソンに合体し、戦う。
○ヤンチャー王子→セブンチェンジャーに乗り込み、戦う。そして、ブレイバーズの参加を決める。
○セブンチェンジャー→ヤンチャー王子と共に戦い、化石獣バストドンを倒す。
○高杉光一郎→星史とヤンチャーのブレイバーズ参加を認める。
●レッドロン→レッドガイストでグレートダ・ガーンGXと戦い、
       シアンからの命令で撤退する。
●シアン→レッドロンに撤退するように命令する。
○キョウリュウジャー→エンドルフ、ゾーリ魔と戦う。レッド、ブルー、ピンクは
  キョウリュウジンで巨大ゾーリ魔と戦う。
●エンドルフ→キョウリュウジャー、ギンガマンと戦った後、撤退する。
○ギンガマン→エンドルフ、ゾーリ魔、カンブリ魔と戦う。
○ひびき洸→ライディーンでシャーキンと交戦する。
●プリンス・シャーキン→ライディーンと交戦し、撤退する。
●化石獣バストドン→セブンチェンジャーに倒される。
○剣鉄也→グレートマジンガーで、サイコベアーを倒す。
●戦闘獣サイコベアー→グレートマジンガーに倒される。

925

【今回の新規登場】
○根元正巡査(伝説の勇者ダ・ガーン)
星史とひかるの家に隣接する交番勤務の警察官。気さくで勇敢だが、粗忽な所があり、自分のパトカーがダ・ガーンになっていた事を終盤まで知らなかった。

○ダ・ガーン/ダ・ガーンX/グレートダ・ガーンGX(伝説の勇者ダ・ガーン)
最初に目覚めた勇者のリーダー格。厳光寺の阿弥陀如来像の額に埋められていた勇者の石から復活し、根元巡査のパトカーと融合する。アースファイター、アースライナーと合体して「ダ・ガーンX」ガ・オーンと合体して「グレートダ・ガーンGX」となる。

○ガ・オーン(伝説の勇者ダ・ガーン)
アフリカのキリマンジャロの氷河から目覚めた勇者。星史を「酋長」と呼ぶ。

ダ・ガーンXと合体して『グレートダ・ガーンGX』となる。

○ジェットセイバー/スカイセイバー/ペガサスセイバー(伝説の勇者ダ・ガーン)
レッドロンが捕獲した戦闘機に、南極の地下資源採掘現場で見つかった勇者の石が宿って目覚めたセイバーズのリーダー。普段は北半球の地球をパトロールしている。星史の事は「キャプテン」と呼ぶ。

○ジャンボセイバー(伝説の勇者ダ・ガーン)
スセムラ6世の棺にはめ込まれた勇者の石がジャンボジェット機に宿って、目覚めた勇者。

普段は南半球をパトロールしている。

○シャトルセイバー(伝説の勇者ダ・ガーン)
月面で発見された勇者の石が、スペースシャトルに宿って目覚めた。
宇宙空間からオーボス一味の活動を監視している。

○ホークセイバー(伝説の勇者ダ・ガーン)
チベットの光の洞窟から蘇った太古の勇者。

スカイセイバーと合体して『ペガサスセイバー』となる。

○ビッグランダー/ランドバイソン(伝説の勇者ダ・ガーン)
オセアニア縦断トンネル建設に投入された地底作業用タンクの輸送車に、恐竜墓場で眠っていた勇者の石が宿って復活したランダーズのリーダー。
星史を「大将」と呼ぶ。

○ターボランダー(伝説の勇者ダ・ガーン)
英国ヘンリー家令嬢ジュリアが乗り回すスーパーカーに、家宝である神の紋章に埋め込まれていた勇者の石が宿って、復活した。

○マッハランダー(伝説の勇者ダ・ガーン)
英国でレース中のF1マシンに、ヘンリー家の家宝である神の紋章に埋め込まれていた勇者の石が宿って、ターボランダーと同時に復活した。

○ドリルランダー(伝説の勇者ダ・ガーン)
地底作業用タンクに、恐竜墓場の化石が宿っていた勇者の石が宿り、ビッグランダーと同時に復活した。活躍する機会が少ないので、普段はビッグランダーのトレーラーに待機している。

○セブンチェンジャー(伝説の勇者ダ・ガーン)
オーボス直属の傭兵としてダ・ガーンと敵対していたが、実はヤンチャー星の勇者。

虹の神殿にあった巨神像から復活。故郷を救えなかった事を強く悔いている。

ロボット形態だけでなく、ジェット機、潜水艦、グリフォン、ジャガー、トレーラー、戦車に変形できる。

○高杉光一郎大佐(伝説の勇者ダ・ガーン)
星史の父親で、地球防衛機構軍(GDO)の大佐。

オーストラリア司令部に勤務する文官であり、報道官を務めているので、マスコミへの露出も多い。
確固たる信念を持ち、機知に長け、家族を愛する誠実な人物。

●シアン(伝説の勇者ダ・ガーン)
オーボスの親衛隊を率いる大幹部。円盤から竜の姿に自在に変形する。
そのパワーは圧倒的で、グレートダ・ガーンGXでも歯が立たない程。
ヤンチャー星を滅ぼした張本人。


『サラジアの狂える魔人』-1

作者・凱聖クールギン

926

***アメール民主共和国***

灼熱の砂漠に吹く風は、ひどく乾燥していて暑苦しく、
そしてどこかきな臭い…。

かつて独裁王制を敷いていた中東の国アメールは、
国王が自ら退位して王制が廃止され、平和的に民主制へと移行した。
武力や流血によらず、国と国民のより良い未来のため、
進んで主権を返上した当時のアメール王室の英断は国内外から高い評価を集め、
元女王のマイラは今ではアメールの特別平和大使を務めている。

アブダダ「マイラを乗せた車は間もなく、
 首都へ戻るためにこの道を通る。
 間違いなく討ち果たしてくれ」
SSS9「…任せろ」

サラジア・シークレットサービスの秘密工作員、
エージェントSSS9(スリー・エス・ナイン)が
ライフルを構えて砂丘の陰から道路を窺う。
サングラスをかけた怪しげな風貌のこの男は、
隣国のサラジア共和国からやって来た、知る人ぞ知る凄腕のスパイである。

SSS9「道路には地雷が仕掛けてある。
 万一、車から無事脱出できたとしても、
 私のこの銃で蜂の巣だ。マイラ元女王の命はない」
アブダダ「この俺を国王としてアメールに王制復古が成った暁には、
 サラジアへの利権提供は惜しむまい。
 アラブの盟友として共に手を取り合い、憎き米帝を倒すのだ」
SSS9「…楽しみにしていよう。
 (我々に国を売ることになるのが分からんとは…愚かな奴め)」

マイラの叔父アブダダは王族がそれまでの特権を失った民主化に反発し、
民主制打倒と王制復活のための反政府闘争を展開していた。
そして隣国のサラジアが彼を密かに支援し、
アメールに自国寄りの傀儡政権を打ち立てようと画策しているのだ。

SSS9「…来たぞ」

砂漠の都市間高速道路を走ってきた黒いベンツが地雷を踏んで爆破炎上。
車外へ這い出る獲物を撃とうとSSS9が狙いを定める。
だがしばらく待っても、燃え盛る車から人が出てくる気配はない。

SSS9「死んだか…」
アブダダ「マイラ……許せ」

アブダダは姪のマイラを自ら手にかけるのを躊躇い、
以前は妖魔一族に、そして今回はサラジアエージェントに直接の下手人を任せた。
己の野望のためとは言え、無惨な姪の最期に天を仰ぐアブダダだったが…。

X「許さん!」
アブダダ「ぬ!? 貴様は」
SSS9「…仮面ライダーX!」

炎上するベンツの陰から姿を現したのは、
ライドルスティックを構えた仮面ライダーXであった。

927

X「剛忍アブダダ! マイラ元女王はお前の暗殺計画を察知して
 専用ヘリで空から首都へ戻った。
 そしてお前を縄にかけるようこの俺に依頼したというわけさ」
SSS9「チッ…、計画が漏れていたか」
アブダダ「おのれXライダー!
 愚民どもの民主政府に協力する奴は誰だろうと生かしておかん!」
X「行くぞ、アブダダ!」

アブダダが投げた手裏剣をかわして大ジャンプし、
敵前に降り立ったXはライドルでアブダダの棍棒と渡り合う。

SSS9「死ね…!」

サラジアエージェントのライフルが銃弾を連射。
さしものXも胸のアーマーから火花を散らして転倒した。

アブダダ「くたばれXライダー!」

アブダダの投げた爆発性の光る粉がXを包む。
粉が舞い散る中、次々と起こる爆発がXを痛めつけた。

X「くっ…。ライドル風車!」

ライドルを風車のように高速回転させ、風を発生させるX。
風に乗った粉はアブダダの周囲に飛んでゆき爆発する。

アブダダ「ぐおぁっ!」
SSS9「無理な相手だ…。アブダダ、撤退するぞ」
アブダダ「ぬう…! おのれX、
 アメールを手に入れるまで、俺は何度でも帰って来るぞ!」

ダメージを負ったアブダダはエージェントSSS9と共に敗退した。

X「アメールの反政府テロをサラジアが影で後押ししている…。
となると、その更に背後にはネロス帝国が…?
奴らはサラジアだけでなく、中東全域に魔の手を伸ばし始めたか…!」



○仮面ライダーX→アメールで剛忍アブダダと戦い撃退する。
●剛忍アブダダ→マイラの暗殺をエージェントSSS9に依頼するが失敗。
           仮面ライダーXと戦い敗退する。
●エージェントSSS9→マイラの暗殺を剛忍アブダダに依頼されるが失敗。
              仮面ライダーXと戦い敗退する。

【今回の新規登場】
●剛忍アブダダ(世界忍者戦ジライヤ)
 アメール民主共和国の元女王マイラの叔父。
 独裁王制を復活させるためマイラの暗殺を企んだ。
 武器は短刀と棍棒、二連装ハンドショットなど。

●エージェントSSS9(ゴジラVSビオランテ)
 サラジア共和国の諜報組織サラジア・シークレットサービスの秘密工作員。
 コードネームは「スリー・エス・ナイン」と読む。


『サラジアの狂える魔人』-2

作者・凱聖クールギン

928

***サラジア共和国***

サラジアは国内に多量の石油資源を有し、
湯水の如く生み出されるオイルマネーと、
それを投資して発達したテクノロジーにより繁栄している中東屈指の大国である。
しかし、その裏では黒い噂も絶えない。
この国の暗部にどれだけ深い闇があるか、まだ誰も正確には知らない――。

夜…。
無数のコンテナが積まれた港の倉庫の奥にトラックが止まり、
下りて来た二体の怪人をサングラスの男が出迎えた。

SSS9「約束のモノは用意したか」
ロビンケン「無論」

ネロス帝国・ヨロイ軍団爆闘士ロビンケンは、
アタッシュケースをエージェントSSS9に手渡して答えた。

ロビンケン「アメリカの石油メジャーの内部情報を記したファイルだ。
 奴らは中東の石油資源を意のままにしようとしている。
 今後、遠からず大きな動きがあるだろう。警戒しろ」
SSS9「情報提供に感謝する。
 我々も近いうちに動き始める。奴らの思い通りにはさせん」
マクンバ「そしてこいつが、
 俺様が四国でハントした古代昆虫メガヌロンだ。
 1億年前に絶滅した、今じゃ手に入らない超レア物だぜ」

獣忍マクンバが、トラックの荷台を開けて中を見せた。
防腐処理を施されたメガヌロンの死骸がトラックには積まれていた。

SSS9「大きいな…。
 貴重な研究材料として科学センターに収めさせてもらおう」
ロビンケン「では、報酬を」
SSS9「このバッグの中に入っている」

エージェントSSS9が札束の入ったバッグを手渡そうとした時、
コンテナの上から声がした。

スーパー1「そこまでだ! 死の商人ども!」
ロビンケン「貴様らは、仮面ライダー!?」
X「サラジアエージェントの足取りを追って
 アメールからこの国に潜入していたのだ!」
スーパー1「俺はアブラーダからお前達の噂を聞いて駆けつけた!」
SSS9「おのれ…。つけられていたか」
マクンバ「グルゥゥ…! これでも喰らえ!」

マクンバが矢を放って攻撃し、
その間にロビンケンとSSS9は急ぎトラックに乗り込む。

マクンバ「今だ! 早く走らせろ!」
X「待てい!」

トラックの荷台の上に弓を構えたマクンバを乗せながら、
アクセルを踏み込んだトラックは倉庫から離脱しようとする。

スーパー1「逃がさん!」

二人のライダーがトラックに飛び乗ろうとした時、
突然、黒い影が疾風の如く二人を斬りつけ、コンテナの上に着地した。
見ると、杖を持った黒衣の怪人が両眼だけを黄色く光らせ、
高みからこちらを見下ろしている。

スーパー1「お前は…!?」
X「まさか、中東で暗躍しているという黒装束の怪人……バルゴグか!」
バルゴグ「………」

無言のままコンテナから飛び降りたバルゴグは杖を構え、
二人のライダーに対し戦闘態勢を取った。

929

バルゴグ「………」
X「噂には聞いた事がある…。
 死神のような黒いスカーフに身を包み、
 ゾンビやゴーレムを異界から呼び出して操るという砂漠の魔人バルゴグ…!」
バルゴグ「よく知っているな。
 では、その噂が本当だという事を見せてやろう。
 出でよ! 異界に死せる幽鬼どもよ!!」

バルゴグの杖の先端から二筋の光線が放たれた。
光線はそれぞれ小型の時空クレバスを発生させ、
時空の向こう側からおぞましい二体のモンスターを召喚する。

グール「グゥゥ…!」
リーデット「ウォーン!」

召喚されたのは異世界の死者が怪物化した、
ゾンビ型モンスターのグールとリーデットであった。
Xとスーパー1は突如現れた敵に敢然と挑む。

リーデット「ウォーン!」
スーパー1「ぐぁぁっ…!! チェンジ・パワーハンド!」

リーデットに組み付かれ、生気を吸収されていくスーパー1だが、
パワーハンドの怪力でこれを振りほどき、必殺のパンチを打ち込む。
リーデットの腹に大穴が空き、そのまま全身が砂のように崩れていった。

グール「グォォ…!」
X「何だ、この息は…!? 眠ってしまいそうになる…。
 ライドル電気ショック!!」

グールの甘い息で麻痺状態になりかけたXは気力を振り絞り、
ライドルホイップをグールの胸に突き立て電撃を流した。
グールも敢えなく肉体が崩壊し、消滅する。

バルゴグ「ほう、思ったよりはやるな…!」
X「残るはお前一人だ!」
スーパー1「行くぞ! 
 チェンジ・冷熱ハンド! 冷凍ガス、発射!!」
バルゴグ「それがどうした…。メラミ!」

スーパー1の腕から噴射される冷凍ガスを、
バルゴグは呪文で杖から発した炎弾によって相殺する。

スーパー1「くっ…!
 チェンジ・エレキハンド! エレキ光線、発射!!」
バルゴグ「ギラ!」

エレキハンドから発射された電撃をも、
バルゴグは魔法で杖から閃光を放ち迎撃してしまった。

スーパー1「魔法の使い手か…!」
バルゴグ「それも、この世界にはない魔術体系のな。
 今のはまだまだ小手調べに過ぎんぞ」
X「俺が相手だ! ライドルスティック!」

棒状に変形させたライドルで攻めかかるXだが、
バルゴグは杖を棒術のように振るって対抗し、Xの攻撃をいなす。

バルゴグ「ポイズン!」
X「ぐっ!? どうした事だ。
 体が痺れて苦しい…!」
バルゴグ「魔法による毒が回り始めたのだ。
 動けば動くほど苦しくなる。
 さあ、今度はこちらの番だぞ」

動く度にダメージが増して膝を突いたXに対し、
バルゴグは左手に収納していたハンドジャックナイフを展開し襲いかかる。

バルゴグ「死ね!」
スーパー1「させるか! とぁーっ!!」
バルゴグ「フン!」

すかさず横から突きを入れてXを救ったスーパー1。
凶刃と化したバルゴグの左手と赤心少林拳の飛龍拳が激しくぶつかり合う。

スーパー1「ハァッ!!」
バルゴグ「ぐっ…!?」

一瞬の間隙を突いたスーパー1の手刀がバルゴグの右腕に炸裂。
バルゴグの黒衣の袖が破れ、中から傷ついたメカの肉体が露出した。

スーパー1「サイボーグ…!?」
バルゴグ「おのれ…。マヌーサ!」

バルゴグが呪文を唱えると黒い霧が現れ、二人のライダーを包んだ。
敵が視界を奪われている間に、バルゴグはコンテナの上へ飛び退る。

X「待て!」
バルゴグ「また会おう、仮面ライダー!」

黒いスカーフを翻し、コンテナの向こうへと飛び去ったバルゴグ。
二人は追ったが、その姿はもう消えていた。

X「あれが噂の魔道師バルゴグ…。恐ろしい相手だった」
スーパー1「あの魔法使いが、実は俺達と同じ改造人間だったとは…。
 ネロス帝国の連中を助けに現れたところを見ると、
 奴もGショッカーの怪人なんでしょうか?」
X「それは分からんな。
 だが、今までバルゴグに命を奪われた罪のない人々の数は計り知れない。
 俺達が倒すべき悪なのは間違いない」
スーパー1「中東の情勢が気がかりです。
 俺はアブラーダに戻って、イスマエル王子と連絡を取ります」
X「俺もしばらくはアダブに滞在して奴らの動きを見張ろうと思う。
 お互い、連絡を緊密に取り合いながら行動しよう」
スーパー1「はい!」

930

○仮面ライダーX&スーパー1→エージェントSSS9とロビンケンの取引現場を襲撃。
                    突如現れたバルゴグと戦うが逃げられる。
●ロビンケン&マクンバ→エージェントSSS9と取引を行なうが、仮面ライダーXらに妨害され退散。
●エージェントSSS9→ロビンケン&マクンバと取引を行なうが、仮面ライダーXらに妨害され退散。
●魔道師バルゴグ→エージェントSSS9とロビンケンの取引現場に突如現れ、仮面ライダーX&スーパー1と戦う。
●グール→バルゴグに召喚され出現。仮面ライダーXに倒される。
●リーデット→バルゴグに召喚され出現。仮面ライダースーパー1に倒される。

【今回の新規登場】
●アフマド・アルハザード=魔道師バルゴグ(闘争の系統オリジナル)
 サラジア共和国副大統領。

大統領の有能な補佐官としてサラジアの発展に尽くしてきた敏腕政治家だが、裏ではテロやスパイ活動などの陰謀を一手に担う闇の総帥でもある。諜報組織サラジア・シークレットサービスを配下として動かし、美人秘書NとRを常に傍に侍らせている。
 8世紀のアラビアの妖術師アブドゥル・アルハザードの末裔とも、生まれ変わりとも言われるが真相は不明。かつて一度死にかけたが村木國夫の改造手術を受け、サイボーグ怪人バルゴグとして蘇生した。その前半生は謎に包まれているが、ある極秘資料によれば生まれたのは第二次世界大戦前で、名を仁科宗禎という日本人だったと言われる。帝王ゴッドネロスの正体を知る数少ない人物。

●爆闘士ロビンケン(超人機メタルダー)
ネロス帝国・ヨロイ軍団爆闘士。
迷彩色のアーマーを纏い、罠を駆使したゲリラ戦を得意とする。

●グール(ドラゴンクエストシリーズ)
ゾンビ系モンスター。腐りかけの死体に魂が宿って怪物化した。
眠りの効果がある甘い息や呪いによって相手を攻撃する。

●リーデット(ゼルダの伝説シリーズ)
ゾンビ系モンスター。
死体があった場所の土が邪悪な魔力により、人間の姿となって動き出したもの。
敵が近づくと奇声を発して眼力で金縛りにし、抱きついて血を吸い体力を奪い取る。


『サラジアの狂える魔人』-3

作者・凱聖クールギン

931

***昭南島(シンガポール)***

太平洋戦争末期の1945年7月。
当時、日本の軍政下にあり昭南島と呼ばれていたシンガポールにおいて、
悪魔の実験が行なわれていた。
後に極東軍事裁判で問題になる、捕虜を使った人体実験である。

仁科「村木少佐、捕虜の身体に機械を埋め込んでの運動試験の結果が出ました」
村木「うむ…。上々だ。
 運動能力が7倍にも上昇している」

仁科宗禎陸軍技術大尉は、上官である村木國夫陸軍技術少佐にデータを見せ、
汗ばんだ顔に笑みを浮かべた。

仁科「改造人間技術の完成まであと少しです。
 …しかし、お国のためとは言え、改めて恐ろしい実験だと痛感します」
村木「…古賀の元を離れて、
 私について来た事を後悔しているかね? 仁科大尉」
仁科「いえ、決してそのような事は」
村木「良心だ、自省だと、甘い綺麗事を並べているようでは戦争には勝てんのだ。
 キリスト教かぶれの古賀はそれが分かっていない…。
 敵国は圧倒的な戦力を持っており、しかも残虐非道だ。
 それを打ち破るには、こちらも人道を捨て、心を鬼にする必要がある」
仁科「心得ています」
村木「超人機は、必ず古賀ではなく私の手で完成させる」

『超人機』。
それは古賀竜一郎博士の下、日本軍が本土決戦に備えて極秘に開発を進めていた
人型決戦兵器の名称である。
超人機計画の主任である古賀博士は、自身も敬虔なクリスチャンであった事から、
超人機をただの冷酷な殺人マシーンにする事をよしとせず、
人間らしい心を持ったロボットにしようと苦心していた。
しかし、彼の助手である村木國夫はその方針に異議を唱えた。
古賀と衝突した村木は、自分に共鳴する一部のスタッフらを連れて古賀の元を離脱、
昭南島へ渡って独自に別のプロジェクトを立ち上げたのである。

村木「ところで、顔色が冴えないようだな。大丈夫かね」
仁科「そう…でしょうか。大丈夫です」
村木「疲れているなら休め…と言いたいところだが、
 本土決戦の日まで時間がない。
 超人機をそれまでに完成させられなければ、私達の努力は水の泡だ。
 しばらくは不眠不休の作業が続くぞ」
仁科「分かっています…。――あっ」
村木「仁科大尉!」

突然、気を失って倒れる仁科大尉。

村木「しっかりしろ! いかん。マラリアだ…!」

飢餓と酷暑、そして伝染病のため、
当時の日本軍の死者は戦死者よりも戦病死者の方が多かったと言われる。
南方で猛威を振るうマラリアは、昭南島の軍部科学班をも襲ったのだ。

村木「すぐに手当てを…!」

…それからどのくらい経っただろうか。
手術台の上で、仁科大尉はぼんやりと目を覚ました。

仁科「む…村木……少佐」
村木「目が覚めたか、仁科大尉」
仁科「少佐…。自分は、死ぬのでしょうか…」
村木「お前は死に、そして生まれ変わるのだ。
 私の作り出した改造人間として――!」


***サラジア共和国・副大統領官邸***

アルハザード「…夢か」

サラジア副大統領官邸の一室で、椅子に深くもたれかかりながら
アフマド・アルハザード副大統領は夢を見ていた。
かつてはひどく切迫した夢だったものが、
近頃はまるで遠い世界の出来事のように感じられる。
溜息をついて立ち上がろうとすると、怪我をした右腕に痛みが走った。

秘書N「副大統領、そろそろお時間です」
秘書R「桐原コンツェルンの桐原総帥が、
 あと1時間ほどでサラジア国際空港に到着されます」
アルハザード「分かった。出迎えに行こう。
 車を用意してくれ。10分後に出発する」
秘書N「かしこまりました」

用意を素早く済ませ専用のリムジンに乗り込むと、
アルハザードは空港へ向かった。

932

***サラジア国際空港***

帝王ゴッドネロスの密命を帯びた凱聖クールギンは、
桐原剛造の姿を借りてサラジアを訪れた。
無論、表向きは桐原コンツェルン総帥として商談と視察をする名目で、である。

アルハザード「ようこそ桐原総帥。お待ちしておりました」
桐原(影武者)「お迎え痛み入ります、ミスター・アルハザード」

空港のロビーに降り立った影武者の桐原剛造(=クールギン)を、
大勢のマスコミの前で出迎えるアルハザード。
カメラのフラッシュが焚かれる中で両者が握手を交わすと、
たちまち各国記者団による囲み取材が始まる。

記者@サラジア「副大統領は就任以来、
 桐原コンツェルンのサラジアへの誘致を推し進め、
 日本との民間貿易の拡大に力を注いで来られましたね?」
アルハザード「その通り。日本有数の大財閥である桐原コンツェルンは、
 我が国にとって重要なパートナーです」
記者@日本「桐原コンツェルンとしても、
 サラジアを足がかりにした石油産業への参入に
 近年は非常に力を入れていますね」
桐原(影武者)「ええ。中東情勢が未だ不安定な中、
 日本への石油の安定供給を確保する事は、
 我が社の利益のみならず、日本国民全体の生活を守る上でも必要だと認識しています」
記者@サラジア「桐原総帥はサラジアの経済、
 そして貧困の問題に個人的にも強い関心をお持ちと伺いましたが、
 今は特にどのような点に注目していますか?」
桐原(影武者)「サラジアの経済成長は目覚ましいとは言え、
 まだまだ貧困問題は完全に解決したわけではありません。
 今回の訪問ではサラジアの恵まれない子供達の現状を視察し、
 学校や児童施設などへの援助を行なう第一歩にしたいと思っています」
記者@アメリカ「アルハザード副大統領に質問します。
 隣国のアメールでは王党派による反政府テロが相次ぎ、
 先日はマイラ平和大使の暗殺未遂事件も取り沙汰されました。
 アメールの現在の政情をどのようにお考えですか?」
アルハザード「流血を伴ういかなるテロにも、
 我が国は断固として反対の姿勢を取るものであります。
 ただし、アメールの人民が打ち立てた現政府の正当性については
 いくらか疑問を差し挟まずにはいられません。
 もしアメールの王族が政権に復帰する事を望むのであれば、
 私としてはそれを歓迎し、応援したいと考えます」

知的で穏健な人柄で知られるアルハザード副大統領だが、
時折、野心的な姿勢を覗かせるコメントが口を突く事があり、
欧米のメディアや知識人の一部からは警戒されている。

アルハザード「それでは、そろそろ失礼します。
 桐原総帥とはこの後、サラジア国際ホテルでお食事を共にする予定ですので」
桐原(影武者)「昨年完成したばかりという七つ星ホテル、
 どんなに素敵なものか楽しみですね」

囲み取材を終え、アルハザードと桐原(影武者)はリムジンに乗り込み
サラジア国際ホテルへ向かった。

933

***サラジア国際ホテル・最上階***

首都ベイエリアに建設されたばかりの、サラジアが世界に誇る超豪華な七つ星ホテル。
その最上階の一室で地上200mの絶景を眺めながら、
影武者桐原とアルハザードは会食――いや、密談を行なっていた。
二人とも、先程の囲み取材の時の善良そうな笑顔から一転、
不敵で悪魔的な微笑を湛えながら口元を歪めている。

アルハザード「アメールの民主政府など、断固として認めるものか!
 いつか必ず引っ繰り返してくれるわ」
桐原(影武者)「マスコミ相手の善人面も疲れるものだな。
 世界の貧困がもし全解決してしまえば、困るのは我々だろうに」

アルハザードの秘書NとR以外は人払いをしている密室では、
二人は遠慮なく悪態を吐き、邪気に満ちた本音を語る。

アルハザード「ところで…
“本物の”桐原総帥はお元気かね? クールギン殿」
桐原(影武者)「フフ…。ますますご健勝だ。
 数年ぶりにまた貴殿に会い、旧交を温めたいと言っておられたよ」
アルハザード「それは光栄」

この桐原が影武者に過ぎない事を知っているアルハザードは、
桐原コンツェルンのみならず、その裏の顔であるネロス帝国とも繋がっている
いわく付きの人物なのである。

秘書N「コーヒーをどうぞ」
桐原(影武者)「ありがとう」

秘書Nが桐原(影武者)とアルハザードにコーヒーを淹れる。
右手でコーヒーカップを持とうとしたアルハザードは痛みを感じて手を引っ込め、
すぐに左手で持ち直した。

桐原(影武者)「どうされたかな?
 先程の握手の時も、少し痛そうにしておられたが」
アルハザード「昨夜、ちょっと痛めてしまってね…。
 大した怪我ではないのだが」
桐原(影武者)「そうか…。
 しかし、ダカールではアメリカとも歩調を合わせてティターンズ派を追い出し、
 今度の星間特使来訪に際しても地球連邦政府に協力姿勢を見せ…
 貴国がこんなに大人しいと、ホワイトハウスがかえって不気味がって
 落ち着かない様子だね」
アルハザード「今はまだ時ではない…。それだけの話だよ。
 ダカールでは反ティターンズの動きに協調する代価として、
 アメリカにいくつかの条件を呑ませる事に成功した。
 現時点ではそれで十分だろう。
 焦る事はない」
桐原(影武者)「他の中東諸国への布石は?」
アルハザード「アメールでは元王族のアブダダが王制復活を狙って
 反政府闘争を始めているが、
 我々はこれを裏で支援して軍資金を送っている。
 アダブやアブラーダに対しても、引き続き石油施設などを標的にしたテロで
 牽制していく事になるだろう」
桐原(影武者)「そのような工作が増えるのであれば、
 我々ネロス帝国としても兵器の支援は惜しまない」
アルハザード「ありがたい。
 ネロス帝国の人型ロボット兵器は今が要り用でね。
 機甲軍団員をまた大量に購入したいのだ」
桐原(影武者)「既に昨夜の船で秘密裏に港へ運び入れてある。
 明日、軍の演習場でデモンストレーションし、威力をご確認いただいた後、
 売却額などの具体的な交渉に移ろう」
アルハザード「承知した。
 新たに桐原コンツェルンへ売却予定の油田についても、
 後でご視察いただいてから取引を煮詰めよう。
 ここからヘリで1時間もしない距離だ」
桐原(影武者)「いいだろう。
 この国に保有している油田から生まれるカネは、
 ネロス帝国にとっても重要な軍資金となっているからな」

その時、高層ホテルの建物が大きく揺れた。
テーブルが引っ繰り返り、乗せていたコーヒーポットが床にぶちまけられる。

アルハザード「何事だ!」
桐原(影武者)「地震か?」

ポケットの中で鳴った携帯電話を取り、耳元に当てるアルハザード。

アルハザード「軍司令部か? 私だ。今の震動は何だ!
 …何? 怪獣!?」

立ち上がった桐原(影武者)が窓の下の光景に目を奪われている。
港で火災が発生していた。
海から現れた不気味な巨大生物が、石油コンビナートを襲っているのだ。

桐原(影武者)「あれは怪獣ではない…。
 怪獣より強い、超獣…。
 異次元人ヤプールめ、とうとう動き出したか!」

934

●アフマド・アルハザード→桐原剛造(影武者)と懇談する。
●クールギン→桐原剛造の姿を借りてサラジアを訪れ、アルハザードと懇談する。
●秘書N・R→桐原剛造(影武者)を接待する。

【今回の新規登場】
●秘書N(闘争の系統オリジナル)
 アフマド・アルハザード副大統領の女性秘書。
 実は改造人間で、本名はナウラという。
 元は東南アジア生まれの孤児だったが、アルハザードに拾われて育てられた。

●秘書R(闘争の系統オリジナル)
 アフマド・アルハザード副大統領の女性秘書。
 実は改造人間で、本名はラムラという。
 元はアフリカ生まれの孤児だったが、アルハザードに拾われて育てられた。


『ブレイバーベースの全て!』

作者・ティアラロイド

935

***日本海溝・ブレイバーベース***

東日本沖の太平洋底に、海岸線にほぼ並行して存在する日本海溝の
深さ8000mの地帯をゆっくりと静かに移動中の超巨大な構造物。
かつては新拠点『α』基地との仮称で呼ばれたこの秘密要塞は、
今は正式にブレイバーベースと名づけられている。
これこそが正義のヒーローたちの連合軍ブレイバーズの本拠地である。

伊豆基地強襲や緑が浜での戦いを乗り越えた戦士たちは今、
航空都市艦『武蔵』の面々はそのまま伊豆に待機させ、
超力戦隊の星野吾郎大尉の案内で、初めて自分たちの心強い砦へと
足を踏み入れていた。

北斗「すごい広いなあ~」
銀河「まったくだぜ…」
ベガ「私もここに来るのは初めてよ」

潜水艇の発進ハッチからエレベーターに乗り、
中心部のラウンジへと向かう勇士たち。

吾郎「このエレベーターは秒速10mだ」
鉄也「とすると、もう相当深い区域まで降りたようだな」
桃「仮に原水爆の直撃を受けてもビクともしないわ」

そしてラウンジへと到着した勇士たちを出迎えたのは、
エレベーターから降りた彼らの眼前で現れた光の線が
徐々に集束して人型の姿となり、ツインテールに結ばれた
エメラルドグリーンの髪をした少女だった。

エルファ「はじめまして、ブレイバーズの皆さん。
 ようこそお越しくださいました」
ワッ太「…か、可愛い(///)」
赤木「君は…?」

そこへ佐原博士とギルモア博士がやって来る。

ギルモア「かっかっか…驚いたじゃろう?」
佐原「紹介しよう。彼女の名はエルファ。
 自己の人格と質量を持ったサポートビジョン―いわば立体映像で、
 主に我々科学技術スタッフのアシスタントを担当してもらっている」
エルファ「よろしくお願いします」
剣人「こ、こちらこそよろしく…」

エルファと握手を交わすメンバーたち。
立体映像とはいえ質量が存在するので、
基本的に彼女の身体に触れることは可能なのだ。

ギルモア「エルファや、彼らにブレイバーベースの中を
 案内してやってくれんか?」
エルファ「わかりましたギルモア博士。
 それでは皆さん、迷子にならないように
 しっかり私について来てくださいね」

936

エルファ「第一区、ブレイバーベースの警備課・体育館です」

区画の中では、世界中から選抜された正義の心に燃える若い隊員たちが、
平和を目指して日々厳しい鍛錬に励んでいた。彼らこそが地球を守る
次世代のスーパーヒーローたちなのである。

エルファ「第二区、ブレイバーベースの通信課です」

ブレイバーベースでは、地球を回る通信衛星を通じて、
地球上のいかなる場所は勿論の事、遥か遠い外宇宙にまで
発信し、受信・傍受することが可能なのだ。

エルファ「そして第三区・隊員居住区、こっちは第四区・人事課、
 あちらは第五区・車両課、向こうは第六区・医務局です」

そして次に連れられてきたのは、広大なメカニック開発スペースであり、
大勢の技術スタッフが忙しそうに頻繁に出入りを繰り返していた。

イアン「ここは?」
エルファ「第七区・開発区です。今ここではディオドスシステムの
 建造が急ピッチで進められています」
ダイゴ「ディオドスシステム、なんだいそりゃ?」

そこへ桐生ダイゴたちの姿を見つけた
ポニーテールに眼鏡の少女と、白衣にサングラスの老人が親しげに近寄ってきた。

弥生「あっ! ダイゴさん!」
ダイゴ「弥生!?」
ソウジ「弥生ちゃん!?」
Drウルシェード「いやあ、みんな久しぶりじゃのう!
 元気しとったか?」
ノブハル「ドクターも!?」
アミィ「どうしてここに?」

ドクター・ウルシェードはかくかくしかじかと事情を説明する。

Drウルシェード「ディオドスシステムは星間評議会の特使から
 もたらされた最新技術の一つじゃ。こいつが完成すれば
 時空クレバスをこちらの自由自在に制御して操れるようになる」
空蝉丸「すごいでござるなぁ…」

937

最後に案内されたのは、厳重に閉じられた大きな扉の前だった。

星史「ここは…?」
ヤンチャー「随分と分厚い扉だなあ…」
エルファ「ここはブレイバーズの心臓部と動力炉を兼ねる
 メインコンピューター・ビッグエンゼルへと続く扉の前よ」
剣飛竜「ビッグエンゼル…その名は聞いたことがある。
 確か巨人頭脳ブレインとの最終決戦の際に活躍したといわれる
 スーパーコンピューターだ」
エルファ「この向こうにあるのは、その2号機です」
疾風「へえ、じゃあ早速俺たちをそこまで案内してくれよ」
エルファ「ダメです」
疾風「なんでだよ!」
エルファ「この先は賢者のパズルを用いた厳重なセキュリティシステムによって
 守られています。もしここから先に足を踏み入れたら、いかに貴方たちでも
 生命の保障はできませんよ」
さやか「賢者のパズル…??」
大空「キミ、可愛い顔して結構恐いこと言うね…(汗」
エルファ「……(*^ー゚)ニコッ」

ついにその全貌が明かされた巨大要塞ブレイバーベース。
その中枢であるという超コンピューター・ビッグエンゼル、
そして急ピッチで開発が進められるディオドスシステムとは!?
物語はまだまだ続く!

938

○星野吾郎、丸尾桃→主だったメンバーをブレイバーベースへ案内する。
○チェンジマン→ブレイバーベースを初訪問。
○キョウリュウジャー→ブレイバーベースを初訪問。
○弥生・ウルシェード→ディオドスシステムの研究開発に従事している。
○ドクター・ウルシェード→ディオドスシステムの研究開発に従事している。
○草薙北斗→ブレイバーベースを初訪問。
○出雲銀河→ブレイバーベースを初訪問。
○ベガ→ブレイバーベースを初訪問。
○剣鉄也→ブレイバーベースを初訪問。
○赤木駿介→ブレイバーベースを初訪問。
○竹尾ワッ太→ブレイバーベースを初訪問。
○楯剣人→ブレイバーベースを初訪問。
○高杉星史→ブレイバーベースを初訪問。
○ヤンチャー→ブレイバーベースを初訪問。
○佐原正光→ブレイバーベースを訪れたメンバーにエルファを紹介する。
○アイザック・ギルモア→ブレイバーベースを訪れたメンバーにエルファを紹介する。
○エルファ→主だったメンバーにブレイバーベースの中を案内する。

【今回の新規登場】
○弥生ウルシェード=2代目キョウリュウバイオレット(獣電戦隊キョウリュウジャー)
 獣電竜プレズオンをパートナーに持つ海の勇者。ドクター・ウルシェードの孫娘で、
 プレズオン・ラボでプレズオンの発進オペレーターも務める才女。桐生ダイゴを巡って
 アミィ結月とは三角関係だったが、最終決戦後に帰還したダイゴがアミィと抱き合う姿を見て、
 涙ながらも潔く失恋を認めて笑顔で二人を見守った。

○ドクター・ウルシェード=初代キョウリュウバイオレット(獣電戦隊キョウリュウジャー)
 調査のためにプレズオンとともに宇宙探索の旅に出ていた、獣電戦隊結成の礎を作った天才科学者。
 ダイゴたちが使う武器の開発や量産化を手掛けでもあり、ガブリボルバーなどの作動音の一部には
 彼の声が入力されている。戦士としての地位を孫娘の弥生に受け継がせ、戦いの場からは引退したが、
 デーボスとの最終決戦時には戦闘の最前線に一時復帰している。

○エルファ=ビッグエンゼル(闘争の系統オリジナル)
 ブレイバーズの本拠地である超巨大海底移動要塞ブレイバーベースの心臓部とも言うべきメインコンピューター。かつての巨人頭脳ブレインとの決戦において活躍した初代ビッグエンゼルから数えて二代目だが、こちらは自分の意思を持ち、必要に応じて人語も話す。
 エルファはビッグエンゼルの擬似人格である質量を持った立体映像であり、自分を創造したブレイバーベース科学陣の博士たちを父親のように慕っている。基本的にブレイバーベースの外に出ることはできないが、中継器を用いればある程度の距離の外出も可能。 


『サラジアの狂える魔人』-4

作者・凱聖クールギン

939

***サラジア共和国・首都ベイエリア***

ヤプール「行け! 超獣オイルドリンカーよ!
 人間どもの文明を支える石油を飲み尽くしてしまえ!」
オイルドリンカー「キェェェ――!!」

異次元人ヤプールの指令を受けて海から迫る超獣。
その名の通り、石油を常食とするオイルドリンカーは
港に停泊していたタンカーを襲い、積載された石油を吸い取ると、
それだけでは満腹にならず、陸のコンビナートを狙い始めた。

アルハザード「おのれ、我が国を支える大切な石油を…!
 戦車部隊を出動させろ! 空軍も爆撃機を急げ!」
桐原(影武者)「ヤプールめ…。
 この私がここにいると知っての狼藉か…?
 …副大統領! 明日のデモンストレーションは前倒しだ!
 今からあの超獣を相手に、我がネロス帝国の戦闘力をお見せする」
アルハザード「しかし…!」
桐原(影武者)「ダーバーボ! ブルチェック! ストローブ!
 直ちにあの超獣を撃滅しろ!」

桐原(影武者)からの通信で指令を受け、密輸されていた機甲軍団が出動。
コンビナートから石油を飲み尽くそうとするオイルドリンカーに射撃を開始した。

ダーバーボ「射撃開始!」
ブルチェック・ストローブ「了解!」

地上からダーバーボのミサイルとブルチェックの機銃が、
空からはストローブのビームが浴びせられ、
更にサラジア軍の戦車と爆撃機の攻撃も始まって、
オイルドリンカーはやや怯んだ様子を見せる。

オイルドリンカー「キェェェ――!!」
ストローブ「おおっと!」

オイルドリンカーは口から火炎を噴射。
ストローブは辛くもかわしたが、空軍の爆撃機は炎を浴びて爆発。
戦車部隊も焼き払われ、ダーバーボとブルチェックもやむなく後退する。

桐原(影武者)「ううむ…! 恐るべき超獣だ」
アルハザード「どうやら、ここは知恵が必要だな…」

桐原(影武者)と共にヘリコプターに乗り込んだアルハザードは
空から軍隊の指揮を執ろうとするが、
オイルドリンカーはそのヘリコプターに反応し、狙いをつける。

940

ヤプール「アルハザードとクールギンが共にいる…。
 サラジアとGショッカーに共に打撃を与えるのは今だ!
 オイルドリンカー! あのヘリを叩き落とせ!」
オイルドリンカー「キェェェ――!!」

高度を低めに取っていたヘリコプターを追いかけ、
唸りを上げて前進してくるオイルドリンカー。

ストローブ「危ない! 高度をお上げ下され!」
桐原(影武者)「このままでは撃墜される。
 早く高度を上げろ!」
アルハザード「いや、このままでいい。
 奴をこちらへ誘き寄せるのだ」
桐原(影武者)「…ほう。何をされるおつもりかな?」

アルハザードに何か考えがあると知って、
同乗していたクールギンも腹をくくり状況を静観する。
ゆっくりと旋回するヘリコプターにオイルドリンカーが腕を伸ばしたその時、
オイルドリンカーの足元が崩れ、足を取られてオイルドリンカーは倒れた。

桐原(影武者)「ふむ」
アルハザード「あの道路の下は地下鉄が走っているのだ。
 奴はそれを踏み抜いた」

転倒したオイルドリンカーは石油タンクの上に倒れ込んで押し潰し、
漏れ出した石油を全身に浴びてもがいている。

ブルチェック「おお、超獣が油まみれに!」
ダーバーボ「ようし、今だ!」

機甲軍団の爆撃が再開。
ダーバーボのミサイルの爆発が石油に引火し、
オイルドリンカーは火達磨になる。

オイルドリンカー「キェェェ――!!」

業火の中で身を焼き滅ぼされていくオイルドリンカー。
地上に降り立ったアルハザードは、
TVカメラの前で力強くガッツポーズを決めると、
事態を見守るサラジア国民にTV画面を通して呼びかけた。

アルハザード「国民の皆さん、怪物は退治しました。
 避難警報はたった今、私の名において解除します。
 これ以上の危険はありません。どうかご安心下さい!」

なかなかの演出家だ、と苦笑する桐原(影武者)。
マスコミの前から踵を返したアルハザードは、
レスキュー隊が消火と救助活動を行なうのを指揮し始めた。

941

***サラジア共和国・副大統領官邸***

怪獣災害から国民を救ったヒーローとして、
その勇気と機智が評価されまた一躍人気が上がったアルハザード副大統領。
事件から数日後、山のようなマスコミの囲み取材を切り抜けると、
彼は官邸での職務に取りかかった。

秘書N「首都港湾地帯の被害状況をまとめました」
秘書R「コンビナートやタンカーの炎上、また超獣による吸飲により、
 約300万バレルの重油が失われました。
 復旧にはしばらく時間が必要です」
アルハザード「ヤプールめ…。
 だが、我が国で採れる石油は無尽蔵だ。
 この程度の損害で崩れるサラジアではない」

復興計画を指示し終えたアルハザードは、
不敵な笑みを浮かべると、椅子の上でこう言った。

アルハザード「私を夜の闇に包め…!」

アルハザードが言うと、秘書NとRは部屋を暗転させた。
稲妻が迸る暗闇の中、アルハザードの顔はおぞましい老人へと変貌してゆき、
そこに金属の仮面が付着して、黒いローブが上から纏われる。
サラジア副大統領アルハザードの正体――それは、砂漠の死神と怖れられた
魔道師バルゴグなのである。

バルゴグ「私は魔人…。闇の魔道師バルゴグなり…!」

祭壇に火が焚かれ、生贄の山羊が捧げられて黒魔術の儀式が始まる。
バルゴグは水晶玉を包むように手をやって念を送り、
異世界の悪魔召喚の呪文を唱え始めた。

バルゴグ「…来たれ、ああ汝よ、時空を素早く越えて、
 我が前にその姿を現したまえ…!」

やがて水晶玉から不気味な光が放射され、
光は時空の壁を透過してその向こう側――恐るべき魔界の光景を映し出す。

ゾーマ「我こそは全てを滅ぼす者…。滅びこそ我が喜び…。
 バルゴグよ、全ての命を滅ぼし、その苦しみを我に捧げよ…!」
バルゴグ「大魔王ゾーマ…!」

浮かび上がった大魔王ゾーマの幻に平伏すバルゴグ。
アフマド・アルハザードの正体は、黒装束の改造人間にして、
異界の魔王を崇める悪魔崇拝者だったのである…! 

942

●アフマド・アルハザード→石油基地を襲ったオイルドリンカーを機転を利かせて倒す。
●クールギン→機甲軍団を指揮してオイルドリンカーを攻撃する。
●ダーバーボ→サラジアでオイルドリンカーを攻撃し倒す。
●ブルチェック→サラジアでオイルドリンカーを攻撃し倒す。
●ストローブ→サラジアでオイルドリンカーを攻撃し倒す。
●ヤプール→オイルドリンカーにサラジアの石油基地を襲撃させる。
●オイルドリンカー→サラジアの石油基地を襲撃するが、アルハザードの機転により、ネロス帝国の機甲軍団に倒される。
●大魔王ゾーマ→地球のバルゴグと心霊術により交信する。

【今回の新規登場】
●異次元人ヤプール(ウルトラマンA/ウルトラマンタロウ/ウルトラマンメビウス)
 超獣を操り、地球侵略を企む異次元人。
 優れた科学力を持ち、超獣製造機で怪獣より強い超獣を造り出す。
 陰湿かつ狡猾で、人間の心の闇を利用した卑劣な作戦を好む。
 複数の個体がいるが、合体して巨大ヤプールとなる事もできる。
 一度はウルトラマンAに滅ぼされたが、その後も残党の活動は続き、
 倒されたヤプールも怨念となって復活を遂げた。

●オイル超獣オイルドリンカー(ウルトラマンタロウ)
 ヤプール壊滅後、唯一生き残っていた超獣。
 石油が大好物で、ダイヤモンドよりも硬い牙で石油タンクに穴を開けて吸飲する。
 頭部の角がレーダーとなっており、遠くからでも石油の場所を感知できる。
 口からは高熱火炎を吐く。

●大魔王ゾーマ(ドラゴンクエストシリーズ)
 魔王バラモスを操っていた真の大魔王。
 「全てを滅ぼす者」を自称し、人々の死や苦しみを無上の喜びとする。
 アレフガルドを永遠の闇に閉ざし、精霊ルビスを石像に変えて封印した。
 闇の衣を身に纏い、冷気系の魔法を使いこなす。


『大統領暗殺計画』-1

作者・ティアラロイド

943

***米国首都・ワシントンD.C. ホワイトハウス***

グラント「――なっ!?」
アーチャー「以上が、あなたとブレッド前国務長官が、
 サンクフレシュ製薬と癒着していた動かぬ証拠です」

ある日、ホワイトハウスに呼び出されたグラント国防長官は、
CIA調査官アーチャーによって眼前に突きつけられた書類や写真の数々に驚愕する。

マイケル「今まで長らくお待たせしたがね、国防長官。
 今日限りを持って君はクビだ」
グラント「私を解任などできるものか!」
ジョディ「あら、したわよ。たった今…」
グラント「おわかりでしょうな大統領? 私を敵に回すということは、
 "最高法院"をも敵に回すということですぞ!」
マイケル「………」
グラント「今に後悔するぞ! マイケル・ウィルソン!」

グラント"前"国防長官は憤慨して出て行った。
そして大統領執務室前の廊下にて、口ひげがトレードマークのある人物とすれ違う。

トニー「………」
グラント「――!!」

トニー・スターク――またの名をアイアンマン。
スターク・インターナショナルの社長でもあり天才的な発明家。
そして自ら開発した強化アーマーに身を包み悪と戦う、
アメリカ合衆国を代表するスーパーヒーローの一人である。

トニーは無言で会釈し、そのまま通り過ぎようとしていたが、
グラントに呼び止められる。

グラント「やはり貴様だったか、トニー・スターク!」
トニー「これは国防長官閣下…いや、そのご様子では
 もう解任されたようですな。やはりとはどういう意味ですかな?」
グラント「大方、ブレイバーズとかいう茶番に我が国も加わるよう、
 大統領に入れ知恵したのは君だろう?」
トニー「ハハハ、ひどい誤解だ。ブレイバーズ計画は、
 もうかなり以前から大統領と日本の剣桃太郎首相との間で
 共同で進められていたことです。私は少しそのお手伝いをしたまで」
グラント「ヒーローと呼ばれる荒くれ共が政府の管理を離れて
 好き勝手に暴れる社会が到来するか。世も末だな…」

グラントは捨て台詞を吐いて去っていった。
大統領執務室に入ったトニー・スタークを、
マイケル・ウィルソンらが迎える。

トニー「今そこでミスター・グラントとすれ違いました。
 ひどく憤慨しておられましたが、どうしました?」
マイケル「たった今鼻っ柱を圧し折られたのさ」
トニー「なるほど…」
ジョディ「それではミスター・スターク、
 早急に本題に入りたいと思いますが」
トニー「わかりました。こちらが、ブレイバーズへの参加を表明した
 我が合衆国在住のヒーローたちの名簿です」

944

一ヵ月後…。

***UAE首都ドバイ・迎賓館***

中東屈指の世界都市並びに金融センターである、アラブ首長国連邦の首都ドバイ。
この日、ドバイ市街地中心部の迎賓館では、世界各国の石油産業の主要関係者を
招いての財界パーティーが催されていた。

矢吹「これはキバラ石油大臣」
キバラ「矢吹さん、久方ぶりですな。今もご壮健そうで何よりだ」

日本財界の雄と呼ばれ、地球連邦政府の第八世界銀行の理事もかねる
矢吹コンツェルンの総帥・矢吹郷之介と、
中東の産油国の一つ、アダブ王国の
親日家としても知られるキバラ石油相である。
側に控えていたボーイがバーボンの瓶を取り、
それぞれ二人の持つグラスに注ぐ。

キバラ「聞いております。ブレイバーズの噂。
 矢吹コンツェルンも相当額の出資をされたようですな」
矢吹「出資というほどのことではありません。
 世界の平和のために戦いに身を投じる若者たちにとって
 ほんの少しでもサポートになればと思ったまで」
キバラ「平和に寄与することは、世界経済の安定にも寄与することです。
 我が国もこの件に対して協力を惜しまぬつもりです。この事、
 ブレイバーズの上層部にもよろしくお伝えください」
矢吹「わかりました。私からもそれなりに話を通しておきましょう」
フィリナ「おじ様方、先ほどから何を難しそうなお話をされてますの?」
キバラ「おおー、フィリナか」

キバラからフィリナと呼ばれた、この明るいブロンドの長い美しい髪の少女。
何を隠そう中東の石油王として名高いアルジェリアの実業家一族、
アルシャード家の令嬢であり、こう見えても弱冠19歳の若さにして、
実家が保有する事業部門の3分の1の経営権を握る才媛である。
アルジェの旧宗主国であるフランス国籍であり、普段はフランスに在住している。

キバラ「紹介しましょう矢吹さん。こちらは私の姪、すなわち妻の姉の娘で、
 フィリナ・クラウディア・アルシャード」
フィリナ「叔父様、矢吹のおじ様のことなら以前からよく存じ上げてますわ。
 ご無沙汰しております、矢吹会長」
矢吹「ほほー、しばらく見ない間に、あのフィリナ嬢が随分とまあ
 大きくなったものだ」
フィリナ「まあ…おじ様ったら」
矢吹「そうだ、せっかくの機会だから、こちらもある人物を紹介しよう。
 当君、こっちに来たまえ」

矢吹に呼ばれてやって来たのは、一人の中年紳士だった。

矢吹「紹介しましょう。こちらは当八郎君。
 登山家で世界的な地図の権威でもあり、
 私の仕事をいろいろと手伝ってもらっている」
当「はじめまして、当八郎です」
キバラ「どうも、キバラです」
フィリナ「お初にお目にかかります。フィリナ・クラウディア・アルシャードと申します」

945

当「いやあ、貴女のような美しいお嬢さんにお目にかかれるとは光栄だなあ」
フィリナ「私も光栄です。噂に聞くマイティジャックの隊長さんに、
 こうしてお目にかかれるなんて」

フィリナの口から"マイティジャック"という言葉が出たとき、
一瞬だけ当の顔色が変わった。

当「ハハハ、そっちの方はすでに一線から退いていましてね。
 今は別の人間が隊長です。しかしよくそんなことまでご存知だ。
 正直驚いたな…」
フィリナ「常にビジネスは情報戦が命ですもの。
 それくらいは知ってて当然です。当さんはこの度の
 ブレイバーズにも参加されるのですか?」
当「それもビジネスのための情報戦の一環ですかな?」
フィリナ「いいえ、こっちは単なる私の好奇心」

アルハザード「その話なら是非とも私も聞いてみたい」

フィリナ「貴方は…!?」
当「――!!」

フィリナたちの歓談に横から割って入ってきた、
中東の民族衣装にサングラスの男。
サラジア共和国のアフマド・アルハザード副大統領である。
彼もまたこのパーティーに客として招かれていた。

キバラ「これはアルハザード副大統領」
当「貴方がサラジアのアルハザード副大統領ですか。
 先日のお国で起こった石油コンビナート襲撃の怪獣騒ぎでの
 閣下のご活躍は耳にいたしております」
アルハザード「ハハハ、それほどでも。
 それよりも東西文化の華麗なる交流のところ、横から大変失礼。
 ブレイバーズの話には私も大いに関心を持っていましてね。
 我がサラジアもブレイバーズには協力を惜しまぬ方針を
 示していますが、どうもアメリカや日本といった一部の
 西側諸国のみで計画が主導されているようで、サラジアには
 とんと詳しい情報は入って来ないのです」
矢吹「さあ、私も一介のしがない財界人。個人的に資金提供を
 申し出ているとはいっても、あまり詳しい事は私も知りませんなあ」
アルハザード「そうでしたか…」
矢吹「お役に立てず、申し訳ない」
アルハザード「いやいや、こちらこそどういたしまして」
フィリナ「少しのぼせちゃいました。叔父様、外の空気を吸ってきて
 よろしいかしら?」
キバラ「ああ、いいよ。行っておいで」
アルハザード「………」

946

バルコニーへ出て、外の空気に当たるフィリナ。
しかし隅の物陰のほうで、なにやら二人の男が話し込んでいるのに気がついた。

フィリナ「こんなところに人が…??
 いったい何を話しているのかしら…」

男たちに気づかれないように近づき、そっと聞き耳を立てるフィリナ。

フィリナ「……(あの男は、確か一月前にアメリカの国防長官を
 解任されたはずのグラント氏? そしてもう一人は…
 暗くて顔がよく見えないわ)」

???「すでに大統領は我々のコントロールを離れましたな」
グラント「全くだ。自分がホワイトハウスの借家人にすぎないという
 ことを忘れてしまったらしい…」

フィリナ「……(いったいなんの話をしているのかしら?)」

グラント「超常的な能力をもった化け物どもを管理することもなく、
 正義の名目で野に放つなど、聞いただけでも虫唾が走る!」
???「もはや猶予はなりますまい。
 いよいよ決断に移るときが来たようですな」
グラント「表の第47代大統領、マイケル・ウィルソンJrの抹殺を!」

フィリナ「――!!」

グラント「誰だ!?」

グラントたちが自分たちの密談を聞いている誰かの存在に気づいた時、
すでにその場にフィリナの姿はなかった。

947

***ヒマラヤの地球教本部***

ド・ヴィリエ「総大主教猊下、アメリカ合衆国・影の政府からの
 使者が参っております」
総大主教「わかった、通すがよい」

高い天井と列柱のある、大きな広間へと通されたのは、
松葉杖をついた一人の日本人の老人だった。

早乙女「総大主教猊下にあられましては、ご機嫌麗しく、
 恐悦至極に存じます」

その男・早乙女英治は恭しく一礼した。
総大主教は軽く頷き、聖座より相手を見下ろす。

ド・ヴィリエ「アメリカの影の政府とは白人至上主義者の集まりと
 聞いていたが、お前のような黄色人種(イエロー)がいるとは意外だな」
早乙女「ご不審ですが…?」
ド・ヴィリエ「………」
早乙女「…そもそもそれは誤解です。我らの影の大統領は、
 忠誠さえ誓えば、人種・出自を問わず、能力に応じて
 引き上げてくださいます」
総大主教「時に、汝らの影の大統領は息災にしておるか?」
早乙女「矍鑠たるものです」

整列していた主教の一人が、早乙女から
影の大統領なる人物からの親書を受け取り、
ド・ヴィリエを介して総大主教の許に運ばれる。
総大主教はざっと親書に目を通した。

総大主教「用件はわかった。汝らがそれを望むのであれば、
 余は構わぬぞ」
早乙女「ありがたき幸せ」
総大主教「使者殿には、しばし別室にて休まれるがよい」

早乙女は主教の一人に案内され、広間より退室した。

総大主教「ド・ヴィリエよ、汝もあの男を見たであろう。
 感想を聞きたい」
ド・ヴィリエ「はい、つかみどころのない男でございますな。
 それで、影の政府からはなんと…?」
総大主教「連中は今、アメリカ合衆国から追い出されそうに
 なっておるのだ」
ド・ヴィリエ「ほう…」
総大主教「それで余に泣き付いてきおった。現大統領の
 マイケル・ウィルソンJrを代わって始末してほしいのだそうだ」
ド・ヴィリエ「地球教の…我らロゴスの利益になることで
 ありましょうか?」
総大主教「マイケル・ウィルソンJrが死ねば、
 新たにアメリカに彼らの傀儡政権が出来る」
ド・ヴィリエ「で、どうなるのでございます?」
総大主教「今巷で評判のブレイバーズとやらにアメリカが
 参加する方針を取りやめ、我らと同盟すると言ってきおった。
 それが連中の取引条件だそうだ」
ド・ヴィリエ「いかがなされます?」
総大主教「いずれはアメリカも倒さねばならん。着々と手は打っておる。
 が、戦略的観点からも、今はアメリカを敵に回すのは得策ではない。
 そうであろうが?」
ド・ヴィリエ「はい。まさにご慧眼にございます」

948

○マイケル・ウィルソンJr→グラントを国防長官から解任する。
○ジョディ・クロフォード→グラント国防長官解任の場に立ち会う。
○アーチャー→グラント国防長官に、サンクフレシュとの癒着の動かぬ証拠を突きつける。
○トニー・スターク→ブレイバーズ計画のため、ホワイトハウスに呼び出される。
○キバラ特使→現在はアダブ王国の石油大臣に就任しており、ドバイでの財界パーティーに招かれる。
○矢吹郷之介→ドバイでの財界パーティーに招かれる。
○当八郎→矢吹郷之介に付き添う形で、ドバイでの財界パーティーに出席。
○フィリナ・クラウディア・アルシャード→偶然、アメリカ大統領暗殺計画を立ち聞きしてしまう。
●グラント→国防長官を解任される。
●アフマド・アルハザード→ドバイでの財界パーティーに招かれる。
●早乙女英治→アメリカ影の政府の使者として、ヒマラヤの地球教本部を訪問。
●ド・ヴィリエ→アメリカ影の政府の使者としてやって来た早乙女英治を出迎える。
●総大主教→アメリカ影の政府から、大統領暗殺を依頼される。

【今回の新規登場】
○アーチャー調査補佐官(BLOOD+)
 当初はサンクフレシュ製薬の幹部ヴァン・アルジャーノの腹心と思われていたが、
 実はアメリカのグラント国防長官とサンクフレシュ製薬との間の癒着を密かに内偵、
 潜入捜査していた人物。

○トニー・スターク(アイアンマン)
 巨大企業スターク・インダストリー社の社長兼CEO。自身の頭脳を使って数々の新技術を次々に開発し
 一躍時の人となりつつも、兵器産業により莫大な富を築き、「死の商人」と批判されていた。
 しかし新兵器の実用テストの為に訪れた戦地でゲリラに捕われた際に、実際に戦場の悲惨さを
 目の当たりにし改心。インセン教授の助けにより無事に脱出・生還した後、自社を軍需産業から
 一切手を引かせ、自らはパワードスーツを身に纏い、正義と平和のための戦いを開始した。
 「世界平和プロジェクト」を掲げ、その第一歩として日本に「アークステーション」を建設しており、過去に訪日経験もある。

○キバラ特使(仮面ライダーX)
 日本との石油輸出協定を結ぶ為に訪日した産油国アダブ王国の特使。
 日本経済混乱を目論むGODの怪人ヘラクレスに命を狙われるが、Xライダーに救われた。

○矢吹郷之介(マイティジャック)
 日本財界の雄と呼ばれる矢吹コンツェルンの総帥。悪の組織Qによる世界の危機を予見し、
 マイティジャック隊を創設した。

○当八郎(マイティジャック)
 マイティジャックの初代隊長。アマチュア登山家で、地図の世界的な権威でもある。
 矢吹郷之介に、その人格、能力などを認められ抜擢された。その冷徹なまでの平常心は、
 時として部下の反発を受けることもあったが、実は人情家でもあり、敵の策略で部下を失った際には、海岸で一人立ち尽くすナイーブな一面も見せた。

○フィリナ・クラウディア・アルシャード(闘争の系統オリジナル)
 アルジェの石油王一族アルシャード家の財産継承権利第7位の令嬢。
 父親が入り婿でフランス人であるため、普段はフランス国内に在住。
 弱冠19歳にして、アルシャード家が保有する事業部門の
 3分の1の経営権を握る才媛であり、日本語も堪能。

●早乙女英治(THE UNLIMITED 兵部京介)
 B.A.B.E.L.の前身である、陸軍特務超能部隊の隊長であった旧日本軍の軍人で、
 蕾見不二子や兵部京介の上官でもあった人物。太平洋戦争終戦直前に
 伊八号の脳を使い、兵部がエスパーを率いて世界を破滅させる未来を知ったことにより、
 自分たちの作り出した兵部を占領軍に知られる前に抹殺しようとして銃撃するが、
 額に弾丸を受けながらも奇跡的に助かった兵部によって返り討ちにされる。
 実はその後も一命をとりとめ終戦直後にGHQの手引きによって合衆国に渡り
 USEI(合衆国ESP捜査局)創設に関わった。対エスパー融和派のノーマン市長暗殺を
 計画するが未然に阻止され、兵部によって廃人にされた。


『大統領暗殺計画』-2

作者・ティアラロイド

949

***ドバイ市内の某ホテル グラントの客室***

フィリナ「…ない! ここにもないわ!」

その日の深夜、グラント前国防長官の泊まっているホテルの客室へと
忍び込んだフィリナは、部屋の中を家捜しし始めた。

フィリナ「彼らが大統領を暗殺するつもりなら、
 その詳細な計画書がどこかにあるはず。大変なことに
 なる前になんとしても探し出さないと――」
グラント「そこで何をしているんだね、お嬢さん?」
フィリナ「――!!」

驚いて振り返るフィリナ。
グラントがパーティーから戻ってきてしまったのだ。
グラントの手には銃が握られ、その銃口はフィリナに向けられている。

グラント「これはこれは、アルジェの名門アルシャード家の
 ご令嬢が泥棒の真似事とは…」
フィリナ「私の事をご存知なの? ミスター・グラント」
グラント「無論だ。合衆国政府の高官の中で君の顔を
 知らぬ者などおらんよ」
フィリナ「………」
グラント「いったいどうやってこの部屋に忍び込んだ?」
フィリナ「貴方の秘書だと言ったら、警備の人が簡単に通してくれたわ。
 貴方達は合衆国大統領を暗殺するつもりね?」
グラント「やはりあの時聞いていたのはお前か…。
 フィリナ嬢、君は今非常に悪い立場にいるのだよ」
フィリナ「近寄らないで! 大声を出すわよ」
グラント「おいっ、この娘を取り押さえろ」

グラントの命令を受けたボディーガードたちが
フィリナの身柄を取り押さえようとする。

フィリナ「いやッ、だれかあっ、だれか来てえッ!」

その時、銃声がしたかと思うと、部屋を照らしていた蛍光灯が割れ、
真っ暗になった。その隙にフィリナはボディーガードたちの間を掻い潜り
素早く逃れようとする。

フィリナ「…ん!? んむむむ~っ!!!」

その場から逃れようとしたフィリナだったが、
背後から突然口を手で塞がれ、羽交い絞めにされたまま
引きずり出される。

非常電源に切り替わり、再び客室の中が灯りで照らされた時、
すでに部屋の中にフィリナの姿はなかった。

ボディーガード「娘がいません!」
グラント「何をしている! 探せ! 探すんだ!」

950

フィリナ「…んん~っ!んん~っ!」
当「しーっ!静かに! 私だ」
フィリナ「…当さん!?」

ようやく解放されたフィリナが見たのは、
当八郎の顔だった。

フィリナ「貴方が私を助けてくださったの?」
当「パーティーを突然中座した貴女の反応がおかしかったので、
 尾行してきてみれば案の定だ」
フィリナ「ありがとう」
当「そういう話は後だ。まずは一刻も早く
 この場から離れることだ!」

当とフィリナは、グラント配下のボディーガードたちが追ってこないうちに
道端のタクシーを捕まえて乗り込んだ。

当「今迎賓館まで戻るのはかえって危険だ。
 運転手、郊外まで大至急! 全速力でだ!
 チップは弾むぞ」
運転手「旦那、合点ッ」

二人を乗せたタクシーは、フルスピードでドバイ市中心部から離れていく。
その車中で、フィリナは自分が見た一部始終を当八郎に話した。

当「アメリカのマイケル・ウィルソンJr大統領の暗殺か…」
フィリナ「普通、自分が国防長官を罷免された腹いせに、
 暗殺まで企むかしら?」
当「いや、おそらくグラント一人の企てじゃあないな。
 背後にもっと大きな黒幕がいる」
フィリナ「………」
当「それにしてもフィリナ嬢、好奇心旺盛も結構だが、
 それも度が過ぎると今回みたいな危険な目に遭う」
フィリナ「あら、そうかしら。もし私が現地の警察に駆け込んでいたとしても、
 アメリカ合衆国大統領の暗殺計画だなんて、きっと誰もマトモに相手に
 してくれなかったでしょうね。そのために確たる証拠を掴もうとしていたのよ」
当「やれやれ、とんだおてんばのお嬢さんだ」
フィリナ「当さん、これからどうするの?」
当「この近くに信頼できる部族の集落がある。
 まずはそこに身を寄せよう」

951

翌朝…。

その日のドバイ市内の朝刊の一面には、
次のような見出しが躍っていた。

―アルジェの石油王アルシャード家の令嬢、誘拐される!
 犯人は日本人の男か!?―

***ドバイ市内・某高級ホテル***

矢吹「君、何かの間違いだよ!
 当君がそのようなことをする筈がない」
キバラ「私もそう思う。当さんはそんな愚かな真似を
 するような人には見えなかった」
UAE警察の警部「しかし当八郎がフィリナ嬢を車に乗せて
 連れ去ったという確かな目撃証言があるのです」

当八郎とフィリナ・クラウディア・アルシャードの二人が姿を消した翌日、
矢吹郷之介は滞在先のホテルで、現地警察から事情聴取を受けていた。

キバラ「しかしまだ身代金の要求があったわけでもなし。
 誘拐と決め付けるのも早計ではないのかね?」
UAE警察の警部「ともかく、事件が解決するまで
 お二人にはドバイ市に滞在していただきます」

部屋から出て行く現地警察の幹部たち。

矢吹「キバラさん、申し訳ない。
 大事な姪御さんを、どうやら何かの事件に
 巻き込んでしまったようだ」
キバラ「当さんが一緒についているならば、
 心配はいらないでしょう」
矢吹「桂君、そこにいるかね?」
めぐみ「はい、矢吹さん。ここに控えております」

矢吹郷之介の傍らに控えていたこの女性の名は、桂めぐみ。
表の顔はクラブJのママだが、その実態はプロの諜報員でもある
矢吹郷之介の秘書である。

矢吹「当君から連絡は?」
めぐみ「残念ながらまだありません」
矢吹「至急、APPLE極東支部のゼネラル藤井に連絡を取ってくれ。
 是非ともお力をお借りしたいとな」
めぐみ「かしこまりました」

952

***同市内・別のVIP御用達高級ホテル***

アルハザード「フフッ…これは面白いことになってきたな」

同じ日の朝、ロイヤルスイートルームで椅子にゆったりと座り、
朝刊の一面に目を通していたアルハザードは、静かにほくそ笑んでいた。

秘書N「当八郎とフィリナ・クラウディア・アルシャードの二人は、
 昨夜、アメリカの前国防長官グラントと接触し、トラブルがあった
 ことが確認されております」
アルハザード「当八郎の素性は掴めたか?」
秘書R「サラジア本国の情報部と外交ルートに問い合わせましたところ、
 当八郎は、今はAPPLEの所属になっているマイティジャックの前任の
 隊長だったようです」
アルハザード「当八郎…やはりただのアマチュア登山家などではなかったか。
 そしてドバイに米国の国防長官を解任されたばかりのグラントがわざわざ来ていた。
 これの意味するところがわかるか?」
秘書N「さあ…」
秘書R「私どもには一向に…」
アルハザード「お前たちは聞いたことがあるか? 地球連邦政府にロゴスがあるのと同様に、
 アメリカ合衆国にも影の政府が存在するという話を…」
秘書N「そのようなスパイ小説の空想の産物のようなものが実在するのですか?」
アルハザード「ある。アメリカにも影の政府は確実に存在する!」

アメリカ影の政府は、ギャングのように機関銃をぶっ放すような派手な振る舞いはしない。
KKK(クー・クラックス・クラン)のように子供じみた衣装をつけて、人前に現れたりもしない。
彼らは、アメリカ政治と経済の舞台裏で複雑に絡み合った権力の同盟なのだ。

アルハザード「一週間後にアメリカのマイケル・ウィルソンJr大統領が、ここドバイを訪れる。
 中東の安全保障の枠組みを同盟国と話し合うためだ。もしかしたらそこで面白い見世物が
 見られるかもしれんな。滞在を一週間延ばす。そのように手続きしてくれたまえ」
秘書R「かしこまりました。至急そのように」


***ドバイ市郊外の砂漠・某部族の集落***

昨夜の一件の後、当の知り合いだという部族の集落のテントで
フィリナは一夜を過ごした。朝になり目を覚ましたフィリナは
テントの外へ出て、朝日の下で気持ちよく背伸びをする。

当「やあ、お目覚めかい」
フィリナ「当さん」
当「コーヒーはいかがかな?」
フィリナ「ありがとう」

フィリナは当から淹れたての温かい一杯のコーヒーをもらい、
それを飲み干す。

長老「当さん、大変じゃ!」
当「これは長老、血相変えてどうしました?」
長老「これを見てみいっ!」

部族の長老は今朝の新聞を当に手渡す。
それに目を通す当。

当「まいったなこれは…」
フィリナ「当さん…?」
当「どうやら私が君を誘拐して連れまわしていることに
 なってるらしい…」

953

○フィリナ・クラウディア・アルシャード→危ういところを当八郎に救われる。
○当八郎→危機に陥っていたフィリナを救うが、翌日にフィリナ誘拐の濡れ衣を着せられてしまう。
○矢吹郷之介→ドバイ市内のホテルに滞在。
○キバラ特使→ドバイ市内のホテルに滞在。
○桂めぐみ→矢吹郷之介の指示で、APPLE極東支部のゼネラル藤井に連絡を取る。
●グラント→計画を聞かれたフィリナを捕らえようとするが、逃げられる。
●アフマド・アルハザード→ドバイでの滞在予定を一週間延ばす。

【今回の新規登場】
○桂めぐみ(マイティジャック)
 普段はクラブJのママだが、実は諜報活動のプロとして国際舞台でも活躍する
 マイティジャックの隊員である。そのおだやかな物腰、男性に見せる優しさとは裏腹に、
 時には小型戦闘機ピブリダーで戦闘に参加する勇敢さも見せる。


『大統領暗殺計画』-3

作者・ティアラロイド

954

***ドバイ市・迎賓館***

3日目の朝、ドバイ市の市街地中心部から離れた位置に、
ICPOの鉄人運搬用長距離移動マシン・エアロトレッカーが降り立った。
表向きの目的は、5日後の米国大統領訪問に備えて警備のための応援。
裏の目的は、2日前に失踪したアラブの大富豪令嬢と日本人男性の
捜索のためである。

三郎「ここが迎賓館だ」
正人「アルシャード家の令嬢と日本人の男が、失踪直前まで
 出席していたパーティーが開かれていたのはここか。
 よーし、じゃあさっさと現場検証を済ませようぜ。
 おっと…双葉はエアロトレッカーでお留守番なっ」
双葉「え~っ!またお留守番!?」

双葉は不満そうに顔を膨らませる。
一方、同じ迎賓館建物の裏手の道端では、
サングラスをかけ変装した当八郎が、
通りすがりの婦人に聞き込みをしていた。

当「物々しい警備ですねえ…。何かあったんですか?」
婦人「なんでも5日後にアメリカの大統領が来るらしいわよ」
当「ほう、アメリカの大統領が」
婦人「急に決まったらしいわよ。今、ICPOの人たちも
 来ているんですって」
当「ICPOが…」

その後、当は警備の目を掻い潜り、
迎賓館の中へと潜入した。

当「どうしてついて来た!? 集落のテントの
 中でじっと隠れていろと言っておいたはずだぞ」
フィリナ「じっとしているのは性に合わないの。
 お願い、足手まといにはならないから、連れて行って!」
当「やれやれ……」

当とフィリナはロッカー室から、
それぞれボーイとメイドの制服をこっそり拝借すると
それを着込んで変装し、今度は書類保管庫へ向かった。

フィリナ「何を探しているの?」
当「当日のパーティーの出席者の名簿さ。
 君があの夜見た、グラントと話していたもう一人の男とやらの
 正体が掴めれば、敵の計画の全貌も見えてくる。
 ……あった!これだ!」

パーティーの出席者の名簿の中を調べる当。
しかし、これといって不審そうな人物の名は見当たらない。

955

正人「動くな!」

正人がグリッドランサーの銃口を、当の背中に向ける。

三郎「二人とも両手を挙げて、ゆっくりとこちらの方を向くんだ」
当「………」
フィリナ「………」

大人しく言うとおりに従う、当とフィリナ。

正人「当八郎だな?」
三郎「お前をアルシャード家令嬢誘拐の容疑で、身柄を拘束する」
フィリナ「待って、この人は誘拐犯なんかじゃないわ!」
正人「君は…もしかして??」
三郎「フィリナ・アルシャード嬢か…。驚いたな」

身分を明かして当をかばうフィリナの行動に、
呆気にとられる正人と三郎。

フィリナ「この人は私を助けてくれたのよ!
 お願い、銃を下げて」
三郎「まず詳しい話は警察の方で…」
当「――むっ!? いかん!伏せろ!」
正人「なにっ!?」

当の大声で、一斉に床に伏せる4人。
その上を銃弾の嵐が襲う。
発砲の張本人は、何人かのボーイたちを引き連れた、
当迎賓館の支配人その人だった!

支配人「やれやれ困りますな。勝手にこんなところまで
 調べられては…」
フィリナ「その声は…! あの時の晩、
 グラントと密談していたのはあの男よ!」
当「やはりそうか!」

当日のパーティーの招待客の中に怪しい人物がいなければ、
他に疑わしいのは迎賓館に務める従業員しかいない。

支配人「殺れ!」

支配人の命令で、銃で武装したボーイたちが
襲い掛かってくる!

正人「ど、どうなってるんだいったい!?」
三郎「まずはこいつらを片付けるのが先だ!」
当「銃は使えるか?」
フィリナ「扱い方の訓練なら一通り受けてるわ」
当「よしっ!」

当はフィリナに予備の銃を手渡す。
書庫棚を盾にしながらの、激しい銃撃戦が展開される。
制圧射撃による戦法で、徐々に戦いを有利に進めていく当たち。

支配人「ぐわあああっっ!!!」

当の射撃が、最後に残った支配人の肩を打ち抜いた。
すかさず支配人を捕らえて尋問する当。

当「さあ言え! 5日後に訪問するウィルソン大統領を
 どうやって暗殺する段取りだ?」
支配人「フッフッフ……うっ!ぐぶっ…」
当「……しまった」

支配人は不敵な笑いを浮かべると、
奥歯に仕込んでいた毒入りカプセルを噛み砕いて
自決してしまった。

警備員「どうしましたか~!!」

騒ぎを聞きつけた警備員たちが、ようやく駆けつけてくる。

三郎「怪我人を運んでくれ」
警備員「わかりました」

956

そこら辺に転がっていた、先ほどの銃撃戦での
支配人配下のボーイ一人の射殺体を調べる当。
すると着衣の中から奇妙な文字列が記された布切れが出てきた。

当「…これは!?」
正人「どうしたんだ?」

当が見つけた布切れには、「地球は我が故郷、地球を我が手に」
「地球は聖なるもの」「異教徒に死を」と書かれていたのである。

正人「これって、もしかして!」
当「間違いない。こいつらは全員、地球教徒だ」


***エアロトレッカー***

正太郎@通信「それで、当八郎とフィリナ嬢はどうした?」
三郎「とりあえず双葉とミラクル・ビーを監視につけてあります」

エアロトレッカーへと戻った正人と三郎は
事の詳細を金田正太郎長官へと報告した。

正太郎@通信「実は地球平和連合APPLEのゼネラル藤井極東本部長から
 秘密裏に要請があってな。これ以上、当八郎に対する追及は無用と言われた」
正人「それって思いっきり圧力じゃんか!」
正太郎@通信「まあ悪く受け取れば圧力と言えなくもないが…。
 ただゼネラル藤井は、理由もなしに捜査に妨害を加えるような人物ではない。
 それは私が保証する」
三郎「フィリナ嬢が聞いたという、合衆国大統領暗殺計画については?」
正太郎@通信「グラント前国防長官に地球教やブルーコスモスに
 入信したような思想的形跡はない。この件は他にもっと大きな力が
 動いているな。例えばアメリカの影の政府…」
正人「影の政府だって?」
三郎「その昔、アメリカ国内で影の政府が、UFOの情報を隠蔽していたり、
 邪魔になった歴代の何人かの大統領を暗殺したりしてしたとかの噂なら、
 俺も聞いたことがあります。ですが、そんなものはてっきり単なる都市伝説かと…」
正太郎@通信「いや、影の政府は確実に実在する。もしそれが
 ロゴスと結託してマイケル・ウィルソンJr大統領の抹殺を図っているとすれば、
 これは容易ならぬ事態だ。今進められているブレイバーズ計画にも悪影響は
 避けられない。正人、三郎、なんとしても奴らの陰謀を阻止し、
 ウィルソン大統領を守ってくれ!」
正人&三郎「「了解!!」」

957

○金田正人→ドバイに降り立ち、捜査を開始。
○夏樹三郎→ドバイに降り立ち、捜査を開始。
○光瀬双葉→ドバイに降り立ち、捜査を開始。
○金田正太郎→正人と三郎に大統領暗殺計画阻止を指示。
○当八郎→迎賓館に忍び込み、支配人と銃撃戦。
○フィリナ・クラウディア・アルシャード→迎賓館に忍び込み、支配人と銃撃戦。

【今回の新規登場】
○光瀬双葉(超電動ロボ 鉄人28号FX)
 金田探偵事務所出身のICPO捜査官で、丸眼鏡が特徴的な小柄な少女。
 性格も子供っぽい。両親はロボット事故に巻き込まれ他界しており、
 その直後にテレビのヒーローに励まされたことから、自身もヒーローに憧れている。
 鉄人30号ミラクル・ビーのパイロットとなる。


『大統領暗殺計画』-4

作者・ティアラロイド

959

***ドバイ沿岸部***

正人「あっ、やって来たぜ!」
当「………」

ドバイ沿岸へと大きな波音と共に着水した万能戦艦マイティ号――通称、MJ号は、
全長:235m、全幅:150m、全高:41m、重量:28000t、最高速度: マッハ2.8
動力は太陽光プラズマエンジンと原子力エンジンの多元システムを採用しており、
「防衛」「建設」「救助」の名の下に、近代科学の粋を凝らして建造された、
飛行・潜水も可能な巨大戦艦である。

双葉「すごいおっきい~!」
三郎「ああ、まさに静かなる巨鯨だな…」

やがてマイティ号の中から人が出てきた。

天田「お久しぶりです、当さん」
源田「再びお会いできて光栄です!」
当「元気そうだな、天田キャプテン。
 源田隊員も昔と変わっとらんなあ…」

かつて同じ艦に乗り込み、現代科学の悪「Q」と死闘を繰り広げた戦友同士、
久方ぶりの再会である。

天田「いやあ、当さんからキャプテンなどと呼ばれると、
 なんか…照れますなあ…」
当「おいおい、しっかりしてくれよ。
 今のMJ号の指揮官は君なんだからな。
 それよりも紹介しよう。こちらは…」
正人「ICPOの金田正人です」
三郎「同じく、夏樹三郎です」
双葉「光瀬双葉です」
天田「お話はゼネラル藤井を通じて
 ICPOの金田長官から君たちの伺っているよ。
APPLEの天田だ。よろしく」

天田と源田は正人たちと固い握手を交わす

当「そしてこちらは…」
天田「フィリナ・クラウディア・アルシャード嬢ですね?」
フィリナ「フィリナで結構です。天田キャプテン」
天田「しかし当さんも隅に置けませんな」
当「…ん? なんのことだ?」
源田「またまたぁ。こんな綺麗な外人のお嬢さんと、
 中東の地で二人きりで逃避行してたなんて、
 正直うらやましいですよ」
当「む…! バカ言え。彼女とはそんな関係じゃない!」
天田「積もる話もあるでしょうが、まずはMJ号の中へ」
当「うむ」


***マイティ号・艦橋***

マイティ号の中へと案内される当たち。
当は周囲一面を見渡し、感慨にふけっている様子。

フィリナ「懐かしいですか、当さん」
当「そりゃあ勿論。この艦に乗って7つの海を又に駆けて
 戦っていたんだからね…」
天田「みんな、紹介しよう!」
源田「俺たちの大先輩だ!」

他の乗組員に当八郎を紹介する天田たち。

今井「貴方が当前隊長ですね!」
奈美「お話はいつも天田隊長や源さんから聞いていました。
 お会いできて光栄です」
当「君たちが今のMJ号の隊員たちか。
 私も君たちに会えて嬉しいよ」

航空工学の専門家である今井進隊員、
そして火薬・爆発物の専門家である紅一点の江村奈美隊員である。
今井隊員は、その顔はどことなく結城丈二=ライダーマンとよく似ている。

当「それで、グラントの行方は?」
天田「APPLEの総力を挙げて捜索していますが、未だ所在不明です。
 UAE国内のどこかに潜伏しているのは確かですが」
当「アメリカのウィルソン大統領到着まであまり時間がない。
 必ず見つけ出してくれ」

960

***UAE国内・某所***

ここはUAE軍が地球連邦軍と共用で使用している軍事基地である。
ここに、本来の装備リストにないはずのMS群が密かに運び込まれていた。

グラント「これだけの数のモビルスーツを
 他に知られぬ間に中東の地に運び込むとは、
 さすがはロゴスだ…」
ティターンズ将校「今、我々ティターンズは連邦政府の愚か者どもから
 反逆者の烙印を押されているが、軍機構に残っている"特殊作戦支援司令部"は
 我々の息のかかっている部署だ。そこから命令系統を介して装備を持ち込むことくらい
 造作もない話だ」
グラント「本来なら迎賓館に仕掛けたゼッフル粒子で、
 マイケルを跡形もなく吹き飛ばしてやるつもりだったが、
 その前に肝心の内通者があらかた一掃されてしまった。
 だがこれならいける! くれぐれも頼んだぞ」
ティターンズ将校「任せておけ」
グラント「くっくっく…待っていろマイケル・ウィルソンJr。
 今に私に恥をかかせた事を後悔させてやるぞ」

そしてさらに数日経ち、ついに大統領の到着予定日を向かえた。


***ドバイ国際空港***

ドバイ国際空港へと着陸した、アメリカ合衆国大統領専用機エアフォース・ワン。
中東の地へと降り立つ、アメリカ大統領マイケル・ウィルソンJrと
その秘書官ジョディ・クロフォードである。

ジョディ「大統領、そもそも私はドバイ訪問には反対でした。
 ICPOやAPPLEから事前に警告があったはずです。
 それなのにわざわざ暗殺計画の渦中に自ら飛び込むだなんて…」
マイケル「ジョディ、私は逃げるわけにはいかない。
 わがアメリカがブレイバーズに参画する前に、
 なんとしても中東の安定だけは確保して
 おかなければならないからね」
ジョディ「あのサラジアのアフマド・アルハザードも
 急に滞在予定を延ばして、今もドバイにいるという話です」
マイケル「…アルハザードか。確かに油断はならないが、
 あの男は軽挙妄動に走ったりするような相手ではない。
 心配はいらんさ」

そして公用車に乗り込み、空港から滞在先となるホテルへと向かう。
果たしてアメリカ影の政府による大統領暗殺計画は阻止できるのか!?
次回へ続く!

961

○当八郎→MJ号と合流。
○フィリナ・クラウディア・アルシャード→MJ号と合流。
○金田正人→MJ号と合流。
○夏樹三郎→MJ号と合流。
○光瀬双葉→MJ号と合流。
○天田一平→当八郎たちと合流。
○源田明→当八郎たちと合流。
○今井進→当八郎たちと合流。
○江村奈美→当八郎たちと合流。
○マイケル・ウィルソンJr→中東安全保障会議のため、ドバイに到着。
○ジョディ・クロフォード→中東安全保障会議のため、ドバイに到着。
●グラント→UAE国内に潜伏中。ティターンズ部隊と合流。

【今回の新規登場】
○天田一平(マイティジャック/戦え!マイティジャック)
 新たにAPPLE極東支部として編成されたマイティジャックの第2代隊長。
 当八郎隊長の時代は副長を務めていた。何かとどなりつけることも多いが、
 隊員からの信頼は厚く「キャプテン」と呼ばれて慕われている。
 ただし考えるよりもまず行動に移すタイプで、何も告げずに一人で現場へ向かってしまい、
 隊員たちをあわてさせたこともある。射撃の名手であり、マグネチック宇宙人を一撃で倒した。
 家庭では幼稚園に通う一人娘・ミハルの送り迎えをするといった子煩悩な一面も見せる。

○源田明(マイティジャック/戦え!マイティジャック)
 当八郎隊長時代からのマイティジャック隊員で、天田が隊長に昇格したことにより
 副長となった。天田キャプテンからは「ゲン」、他の隊員たちからは「ゲンさん」と呼ばれる。
 天田と同じく行動派であり、じっとしているのが苦手。正義感の強い熱血漢

○今井進(戦え!マイティジャック)
 マイティジャックの隊員。非常にストレートな性格で、自信家。
 自分の意見は最後まで押し通そうとする強引なところがあるが、
 心やさしい面もあり、地球に不時着したモノロン星人を気の毒に思い、
 母星からの救援が来るまで、彼を一人で守り抜いた。

○江村奈美(戦え!マイティジャック)
 マイティジャックの隊員。若い女性でありながら爆発物の専門家。
 その場の状況に応じたあらゆる爆弾を苦もなく作り上げてしまうため、
 彼女の爆弾で数々の組織の基地が木っ端微塵になっている。
 明るい性格で茶目っ気もあり、チームのマスコット的存在。
 格闘術にも長けており、敵の男たち相手に格闘することもある。


『大統領暗殺計画』-5

作者・ティアラロイド

962

***UAE首都ドバイ・迎賓館***

フィリナ「何をしているの?」
当「ここの支配人がグラントと内通していた以上、
 この迎賓館のどこかに何か仕掛けていたはずだ」
フィリナ「でも迎賓館はICPOと現地警察が隅々まで
 調べたって…」
当「だがまだ何か見落としがあるかもしれん」

中東安全保障サミットの開催まで、あと残り数十分まで迫り、
当とフィリナの二人は再び、迎賓館の中をくまなく調べていた。

当「見ろ、灯台下暗しという奴だ」

広間の燭台の下に地下への隠し扉を発見した
当とフィリナは、中へと入り、
慎重に階段を下りながら奥へと突き進む。
そこで見たものは、幾つものタンクに充満した
ゼッフル粒子だった。

当「見ろ、ゼッフル粒子だ」
フィリナ「ゼッフル粒子って…一定以上の熱量を感知すると爆発する
 特性を持ったあの粒子のこと?」
当「これだけの量があれば、辺り一面の高層ビル街はまとめて吹っ飛ぶな」

黒服男「動くな!」

当「――!?」
フィリナ「――!?」

当とフィリナは、背後からやって来た複数の黒服男たちに
銃を突きつけられ取り囲まれた。
その男たちの中央には、手配中のグラント前国防長官の姿が!

当「これはこれはミスターグラント。妙なところでお会いしましたな」
グラント「ミスター・ハチロー・アタリ、あのマイティジャックの前隊長。
 君の噂は私も聞いているよ」
当「アメリカ国防長官を務めたほどの貴方が、罷免された腹いせに
 大統領を暗殺とは、随分と大人げありませんな」
グラント「これは私怨ではない。あくまで大義のためだよ。
 マイケル・ウィルソンJrはあまりに理想主義的に過ぎる。
 我が合衆国の指導者に相応しくない」
当「理想を忘れた人間に生きる価値があるとは思えませんな」
フィリナ「大義だの何だのときれいごとを並べたところで、
 あなた達は白人層で富と権力を独占したいだけでしょう!」
グラント「なんとでも言いたまえ、君のような若いお嬢さんには
 わからぬのも無理からぬことだ」
当「このゼッフル粒子で、大統領をドバイの街ごと
 吹き飛ばすつもりか?」
グラント「最初はそのつもりだったがね。君たちが支配人を
 事前に片付けてくれたおかげで、その計画も変更だ。
 まもなく到着する大統領の車列を、ドバイ沿岸に待機している
 ティターンズの機動部隊が灰にする手筈だ。それまで
 この場でご一緒願おうか」
当「………」

963

アメリカ合衆国大統領マイケル・ウィルソンJrを乗せ、
迎賓館へと向かう車列。そこへいきなり沿岸方向から
砲射撃の雨が降り注ぎ、瞬く間に車列は灰燼に帰した!
燃え上がる炎の中を逃げ惑う人々。

――だが、しかし!
車列の瓦礫の中から、一体の特殊機動重装甲の姿が
堂々と浮かび上がった!

メタルウルフ「ビリーヴ・ユア・ジャスティス!! 私は決して死なない。
 なぜなら私はアメリカ合衆国大統領だからだ!」

沿岸方向へと猛スピードで突っ走っていくメタルウルフ!

ジョディ@通信「大統領、敵はドバイのビーチを巡洋艦で占拠しています。
 のんきにバカンスを楽しんでいるティターンズと影の政府の手先どもを、
 雄大なアラビアの海に沈めてあげましょう!」

ドバイ市街地上空に待機するマイティ号からも、
メタルウルフの元に通信が入る。

天田@通信「ウィルソン大統領、こちらはMJです。
 これより貴方を援護します!」
メタルウルフ「了解!」

立て続けにM134ミニガンやM4カービン、M2カールグスタフなど
ありとあらゆる武装を連射しながら
敵機の群れに突っ込む孤高の狼メタルウルフ!
まず機体を貫かれた2機のマラサイが黒煙を上げながら海に落下。
敵のモビルスーツ隊は、メタルウルフの突撃によって隊列は瞬く間に大混乱に陥る。

浜辺に立った鉄人28号FXとブラックオックスも壁の如く立ちふさがり、
これ以上の暗殺部隊の上陸を防いでいる。

そしてマイティ号もCIW(迎撃システム)でミサイルを叩き落し、
メタルウルフを援護しつつ、周囲に群がる敵モビルスーツ部隊を牽制する。

964

地上での戦闘による振動が、迎賓館の地下室にも及ぶ。

グラント「何事だ!?」

その一瞬の隙を突いて、当八郎はグラントを黒服の男たちを殴り倒していく。
フィリナも床に転がっていた鉄パイプを拾って、果敢に男たちに応戦。

黒服男A「ぐわああっ!!」
黒服男B「うわわあっ!!」
グラント「くそっ!!」

グラントが発砲しようとしたその時、
入り口方向から射撃された別の銃弾が
グラントの右手から銃を叩き落した。

グラント「ぐわああっ!!」
めぐみ「動かないで!」

間一髪のところを救ったのは、矢吹郷之介の命を受けて
駆けつけた桂めぐみであった。

めぐみ「当さん、ご無事で」
当「よく来てくれた」
めぐみ「大統領もまだ健在です。今、地上では
 暗殺部隊と戦闘が繰り広げられています」

当たちは、グラントと黒服男たち全員をロープで縛り上げる。

当「さて、我々も行こう」
フィリナ「ゼッフル粒子はどうするの!?」
当「ゼッフル粒子は、レーザーやビーム砲くらいの高温でなければ引火しない。
 ちょっとやそっとのことでは発火しないから、とりあえずは放っておいても大丈夫だ」

965

ティターンズ将校「なるほど、マイティ号。
 確かに噂どおりのなかなかやる艦だな」

巡洋艦の艦長席に悠然と座したティターンズ指揮官が、
モニターを見ながら呟いた。

ティターンズ将校「ザムザザーを出せ。デモンストレーションにはちょうどいい」
副長「はい、準備でき次第発進させます!」

巡洋艦の後部ヘリポートのハッチが左右に開き、異様な機体がせり上がった。
YMAF-X6BD"ザムザザー"は、ほぼ半球形を描くボディの四方から、
太く短い足のような突起が突き出した、ヤシガニを思わせる
特異な形状のモビルアーマーだ。

奈美「不明機接近! これは…!?
 光学映像、出ます!」

江村隊員がモニターを切り替えると、
波を蹴立てて低空で飛んでくる、
ずんぐりとした機体が映し出された。

今井「なんだあれは!?」
奈美「モビルアーマー!?」
源田「あんなにデカイぃ?」

天田キャプテンは舌打ちした。

天田「あんなのに取り付かれたらお終いだ!
 ゲン、ミサイル起動! アレと共に前方左の敵部隊をなぎ払え!」
源田「SMJ!! 射線軸コントロール移行!」
奈美「照準、敵モビルアーマー!」
天田「発射!」

ミサイルはザムザザーを直撃するが、
敵機は尚もひるむことなく洋上を突き進んでくる!

正人「鉄人、パンチだ!」

鉄人28号FXは前方脚部の砲塔を展開させ始めたザムザザーに
パンチを繰り出すが、ザムザザーは鈍重そうな機体からは
想像もできないような回避運動を見せる。
そして脚部に隠されていた鉤爪で、
鉄人とブラックオックスを切り伏せてしまう。

正人「くそっ! なんなんだよ、こいつはっ!」
三郎「くうっ…!!」

鉄人とブラックオックスを難なくやり過ごし、
メタルウルフへと迫るザムザザーは両脚部の砲門を開く。
強烈なビームを正面からシールドで受け止めるメタルウルフ。
次の瞬間、シールドを手放して正面へと躍り出る。
レールガンの光刃がまっすぐに、ザムザザーの頭上に突き立てられた。
ほんの刹那の事だ。メタルウルフが飛び離れた直後、
ザムザザーの巨体は炎へと包まれた。

休むまもなくメタルウルフはティターンズの巡洋艦へと突進する。

ティターンズ将校「バ、バカなっ。ぐわあああっっ~!!!!!!」

ティターンズの巡洋艦は、たちまち黒煙を上げて海の底へと沈んでいった。
残存の敵部隊も蜘蛛の子を散らすように潰走を始める。
こうしてアメリカ合衆国大統領の暗殺計画は阻止されたのである!

メタルウルフ「ふぅ~いい汗をかいた。終わったよジョディ」
ジョディ@通信「お疲れ様でした、大統領」

966

○マイケル・ウィルソンJr→暗殺部隊を返り討ちにする。
○ジョディ・クロフォード→メタルウルフをサポートする。
○天田一平→マイティ号からメタルウルフを援護する。
○源田明→マイティ号からメタルウルフを援護する。
○今井進→マイティ号からメタルウルフを援護する。
○江村奈美→マイティ号からメタルウルフを援護する。
○金田正人→アメリカ大統領暗殺を狙うティターンズ部隊と戦闘。
○夏樹三郎→アメリカ大統領暗殺を狙うティターンズ部隊と戦闘。
○当八郎→ドバイ迎賓館地下のゼッフル粒子を発見。グラントの身柄を取り押さえる。
○桂めぐみ→グラントに拘束されていた当八郎たちを救出。
○フィリナ・クラウディア・アルシャード→ドバイ迎賓館地下のゼッフル粒子を発見。
●グラント→当八郎たちに捕まる。


『赤い星の逃亡者』

作者・ユガミ博士

967

***ナデシコC・ブリッジ***

ルリ「火星ですか?」
コウイチロウ@通信『うむ、先日星間評議会からの特使を襲った北辰衆だが、
 「火星の後継者」と共に、火星で目撃されているという情報が入った。
 ルリ君達にはその調査の為、火星へと向かってもらいたい。』

月基地のミスマル・コウイチロウ大将からの通信で、ルリ達ナデシコCに
北辰衆及び「火星の後継者」が火星で目撃されるという情報は入ったので、
その調査任務を出した。

コウイチロウ『それと、伊豆基地の岡長官とブルーフィクサーの月影長官から
 宇宙における時空クレバスの調査という事で、コスモクラッシャー隊、
 ゴッドシグマチーム、バルディオスチームが諸君らに同行する事になった。
 間も無く来る頃だろうから、よろしく頼む。』
ルリ「了解しました。・・・それと、アキトさんは?」
コウイチロウ『うむ・・・ユリカと共に独自に「火星の後継者」を追っているようだ。
 では、諸君らの健闘を祈る。』

ルリはコウイチロウからの司令を受け取り、そしてテンカワ・アキトがどうしているのか
尋ね、コウイチロウは答え、通信をきった。

リョーコ「へ、黄泉還ったならまた地獄へ送ってやるぜ!」
サブロウタ「フォローは任せてくれよ、リョーコちゃん。イズミちゃんも
 ヒカルちゃんも今はいないんだから。」
リョーコ「応、任せたぜ。」

エステバリス隊のスバル・リョーコは北辰衆を倒そうと張り切が、
チームだったマキ・イズミもアマノ・ヒカルも今は軍を辞めてここにはいない。
イズミの行方は分からないが、ヒカルは休載していたマンガを再開して
忙しいそうだ。その為、フォローは任せろと同じエステバリスのパイロット
タカスギ・サブロウタが言う。

ガイ「おおー、六神ロボのゴッドマーズにトリニティエネルギーで動く
 ゴッドシグマ、亜空間に突入できるバルディオスが来るのか。燃えるぜ!」

スーパーロボットの大ファンであるダイゴウジ・ガイ(本名、ヤマダ・ジロウ)
はスーパーロボットが来る事にはしゃぐ。

ハーリー「艦長、コスモクラッシャー隊、ゴッドシグマ、バルディオスが
   ナデシコに着艦出来る様通信が入りました。」
ルリ「着艦、許可します。」

そして、ナデシコCにコスモクラッシャー隊、ゴッドシグマ、バルディオスが
着艦した。

968

***ナデシコC・ブリッジ***

ケンジ「コスモクラッシャー隊及びゴッドシグマチーム、バルディオスチーム
 本日付でナデシコCに同行します。」
ルリ「はい、こちらこそよろしくお願いします。」

ルリ達は、着艦したスーパーロボットのパイロット達を歓迎した。

ガイ「うぉぉぉぉ、やっぱりどのスーパーロボットもかっこいいぜ!」
闘志也「へへ、ゴッドシグマを褒めてくれてありがとよ。」

ガイがさっそくスーパーロボットを見て興奮する中、ゴッドシグマの
メインパイロットである壇闘志也が鼻をすすりながら、褒めてくれた事に
感謝を述べる。

タケル「お久しぶりです、マリンさん。マリンさんもティターンズの
  監視を受けていたとか。」
マリン「ああ、俺はS-1星人だからな。だが、監視なんてのは
  おかげ様で慣れっこなんでね。」
タケル「なるほど、それなら俺も同じです。」
ナオト「俺達の事か!?」
オリバー「昔の事だ、茶化すなよ。」

バルディオスのメインパイロットであるマリン・レイガンもS-1星人
という理由で、ギシン星人である明神タケル同様、監視を受けていた。
しかしアルデバロン軍と戦っていた当初も、今では心強い仲間達から
監視を受けていたので慣れていると話し、それを仲間のジャック・オリバー
や伊集院ナオトが茶化さないでくれという。

キラケン「応、雷太も元気にしていたか!」
雷太「そっちは変わらないようだな。」

キラケンこと吉良謙作は、同じ顔立ちと似たような声をする北斗雷太の
再会に喜ぶ。

ブィーンブィーン

『SOS』『助けて』

リョーコ「何だ!?」
ハーリー「艦長、ナデシコCにSOS信号が送られています!」

突如、艦内に警報が鳴り響き、ナデシコのメインコンピューターである
オモイカネが「SOS」や「助けて」と表示されたウィンドウを開く。

***宇宙空間***

SOSが出されていた宙域に駆けつけると、そこには複数の戦闘機が
一機の戦闘機を襲っていた。

リョーコ「あれって、ガルバーFXⅡじゃないのか?」
タケル「襲っているのは、ギシン星の戦闘機だ!」

襲われているのは、火星にいる筈の夕月京四郎の乗る戦闘機
ガルバーFXⅡで、ギシン星の戦闘機に襲われているの事に驚愕する。

ルリ「皆さん、発進お願いします。」
ケンジ「了解、皆行くぞ!」

ルリの指示の元、エステバリス隊、コスモクラッシャー、ゴッドマーズ
バルディオス、ゴッドシグマが出撃する。

969

一方、ガルバーFXⅡのコックピットに乗る夕月京四郎と和泉ナナは
ギシン星の戦闘機の攻撃をどうにか、交わして攻撃する。

ドォーン

ナナ「きゃぁ!」
京四郎「しまった、被弾した。」
ルリ@通信『こちら、ナデシコCの艦長ホシノ・ルリです。
  今救援を送りました。』
京四郎「ルリ艦長!すまない。」

救援が来る事に喜ぶ京四郎。

ケンジ「指揮官機はいないようだな。各機散開してギシン星の戦闘機を
  撃ち落すぞ!」
ナオト「了解、アキラ操縦は任せたぜ!」
アキラ「了解!」

ケンジの指示によって、各機は散らばりギシン星の戦闘機に攻撃を
始める。

ロゼ「タケル、気をつけて!」
タケル「大丈夫さ、ロゼ。ゴッドファイアー!」

タケルの超能力が上がった事により長時間ゴッドマーズの状態で
いられるようになり、「G」の部分から必殺のビーム、ゴッドファイアーで
戦闘機を撃ち落していく。

キラケン「行ったれ、闘志也!」
ジュリィ「闘志也、ゴッドストリングスだ!」
闘志也「ゴッドストリング!」

ゴッドシグマの必殺技の一つ、ゴッドストリングスで戦闘機を3機撃破した。

ジャック「マリン、ここはショルダーキャノンだ。」
マリン「了解、ショルダーキャノン!」

マリンはバルディオスの両肩の砲門で、戦闘機を撃ち落していく。

ガイ「へへ、俺も負けてらんねぇ。ゲキガン・フレア・アタック!」
リョーコ「今の内に、ガルバーを回収するぞ!」
サブロウタ「りょーうかい、狙い撃つぜ!」

ガイはディストーションフィールドを自機のエステバリスの周囲に形成し、
好きなロボットアニメ「ゲキガンガー」のように突撃。その間、リョーコは
ガルバーFXⅡをナデシコCに回収し、サブロウタはレールガンで援護
射撃をする。

ギシン星人「このままでは全滅だ!撤退する。」
闘志也「逃げやがった!」
ジュリィ「待て、深追いは禁物だ。」

そして僅かに残った戦闘機は火星方面へと撤退、闘志也が後を追おうと
するが、ジュリィがそれを止める。

ミカ「周囲に他の敵はいないようです。」
ハーリー「こちらでも、確認しました。敵の機体はありません。」
ルリ「お疲れ様でした。皆さんはナデシコCに戻ってください。」

コスモクラッシャーの策敵担当である日向ミカとハーリーは周囲を
確認をしたが、他に敵がいなかったので、各機はナデシコCへと
戻る。

***ナデシコC・ブリッジ***

ガイ「じゃあ、京四郎達は火星から脱出して地球へ来たのか。」
京四郎「ああ、一矢やプリベンターのゼクス達にスーパーGUTSマーズの
  隊員達が頑張っているが、日に日にオルバン派のバーム星人の
  勢力が強くなってやがる。戦力から見てあれは背後にジュピトリス、
  引いては宇宙連合が力を貸していると見ていいだろう。」
ナナ「だから、私達救援を呼ぼうとガルバーで脱出したんだけど、途中で
  攻撃を受けちゃって・・・。」
タケル「そうだったのか・・・そこにギシン星が。」
ロゼ「タケル・・・。」

京四郎達の話を聞いて、オルバン派のバーム星人達に協力しているで
あろうギシン星人にタケルは皇帝ズールの影を感じるのであった。

ルリ「それでは、皆さん調査を含めて火星へと向かいましょう。」

ナデシコCは火星へと向かうのであった。

970

○ミスマル・コウイチロウ→ナデシコCに火星へと向かう指令を指示する。
○ホシノ・ルリ→京四郎達を保護し、火星へと向かう。
○マキビ・ハリ→火星へと向かう。
○スバル・リョーコ→京四郎達を保護する。
○タカスギ・サブロウタ→リョーコの援護をする。
○ダイゴウジ・ガイ→エステバリスで、ギシン星戦闘機を撃墜する。
○コスモクラッシャー隊→ギシン星戦闘機を撃墜する。
○明神タケル→ゴッドマーズでギシン星戦闘機を撃墜する。
○壇闘志也、ジュリィ野口、吉良謙作→ゴッドシグマで、ギシン星戦闘機を撃墜する。
○マリン・レイガン、ジャック・オリバー、北斗雷太→ギシン星戦闘機を撃墜する。
○夕月京四郎、和泉ナナ→救援を求めて、火星を脱出するがギシン星戦闘機の攻撃を受ける。

 

【今回の新規登場】
○スバル・リョーコ(劇場版機動戦艦ナデシコ‐The prince of darkness‐)
エステバリスの女性パイロット。マキ・イズミ、アマノ・ヒカルとスリーマンセルの
チームを組んでいて、リーダー的存在。短期で、直情型、男勝りな性格だが、
一方で純情で乙女な一面を持ち、かつてはテンカワ・アキトに惚れていた。
蜥蜴戦争後、「ライオンズシックル」の隊長を務めていた。
エステバリスのカラーリングは「赤」

○タカスギ・サブロウタ大尉(劇場版機動戦艦ナデシコ‐The prince of darkness‐)
元木連軍人であるナデシコBの副長。スーパーエステバリスに搭乗している。
木連時代は、硬派な青年だったがホシノ・ルリを護衛任務を請け負った際、
身分を隠すため、軟派でお気楽な人物になった。しかし、軍人として行動できるように
神経と思考を巡らせている。リョーコにアプローチをかけている。

○ダイゴウジ・ガイ(機動戦艦ナデシコ)
ナデシコのエステバリスパイロット。本名は、ヤマダ・ジロウだが、曰く
「魂の名前」として名乗っている。ロボットアニメ『熱血ロボ ゲキガンガー3』
の大ファンで、スーパーロボットのパイロットのように技を叫んで攻撃する熱血漢。
撃墜されて死亡したかと思われたが、木連の白鳥九十九に助けられて
顔も似ていることから「兄弟」と呼んで親しくなり、彼の暗殺を身を挺して
守った。蜥蜴戦争後、リョーコの部下として統合軍の軍人となった。
※「スーパーロボット大戦W」での設定。

○明神タケル(六神合体ゴッドマーズ)
皇帝ズールによってギシン星人だが、赤ん坊の頃、反陽子爆弾の
起動キーにされ、地球破壊の為に送られる。しかし、地球人に育てられ
地球を愛する心優しい青年となった。仲間から偏見の目で見られるも、
運命に苦悩しながらも、その正義を貫き通す姿勢に信頼を勝ち取っていく。
本名は「マーズ」でマーグの双子の弟。ガイヤー及びゴッドマーズのパイロット。
超A級超能力者でもある。

○飛鳥ケンジ(六神合体ゴッドマーズ)
コスモクラッシャー隊の隊長。常に冷静で、的確な状況判断を下せる
信頼の厚い人物。

○伊集院ナオト(六神合体ゴッドマーズ)
コスモクラッシャーの射撃及びアタッカー担当。当初はタケルを
偏見の目で見ていたが、やがて信頼するようになる。

○木曽アキラ(六神合体ゴッドマーズ)
コスモクラッシャーの操縦及びメカニック担当。女性に目が無く、
女たらしな所があるが、根はまじめ。

○日向ミカ(六神合体ゴッドマーズ)
コスモクラッシャーの女性隊員でレーダー等の策敵を担当。
タケルの出生の秘密を知り、何かとアドバイスをして互いに信頼を
するようになる。

○ロゼ(六神合体ゴッドマーズ)
洗脳されたマーグの監視の為、副官となった女性。超A級超能力者で、
思念体を応用した攻撃や変身能力に長けている。上官マーグに敬愛の
念を抱いていたが、やがてタケルを愛するようになる。

○壇闘志也(宇宙大帝ゴッドシグマ)
空雷王及びゴッドシグマのメインパイロット。木星イオの開拓民二世である
熱血漢。当初は怒りと憎しみで戦っていたが、テラルとの邂逅とエルダー星
の真実を知ってからは、平和を願うようになった。

○ジュリィ野口(宇宙大帝ゴッドシグマ)
ゴッドシグマの右脚となる海鳴王のパイロット。トリニティシティの主任研究員で、
風見博士と共にゴッドシグマを開発した。皮肉屋で毒舌家、両親が離婚し
母や妹と暮らすべく貯金をしており金銭に非常にこだわる。

○吉良謙作(宇宙大帝ゴッドシグマ)
ゴッドシグマの左脚となる陸震王のパイロット。愛称はキラケン。
イオの開拓民で闘志也の親友。機械音痴だが熱いファイトを持つ。

971

○マリン・レイガン(宇宙戦士バルディオス)
亜空間を越えて地球へと転移したS-1星人の青年。科学者だった父の
手伝いをしていたが、ガットラー総統に父を殺され皇帝トリノミアス三世
殺害の濡れ衣を着せられる。その後、父の開発したパルサバーンに搭乗し
アルデバロン軍を追うものの亜空間突入に巻き込まれ、地球へと転移。
ブルーフィクサーの一員となり、バルディオスのメインパイロットとして戦う。
敵からは「裏切り者」と呼ばれ、味方からはスパイ容疑をかけられたが、
次第に信頼を勝ち取った。

○ジャック・オリバー(宇宙戦士バルディオス)
バルディプライズのパイロットである特務戦隊伍長。出身地はアメリカで
スラム街で、聖書を愛読している。当初はマリンにスパイではないかと
疑われていたが、やがて信頼するようになる。

○北斗雷太(宇宙戦士バルディオス)
キャタレンジャーのパイロットであるブルーフィクサーの隊員。日系の
移民都市リトルジャパンの出身だが、都市を捨て宇宙に旅立ったが直後、
隕石が衝突し、赤ん坊だった彼だけが生き残った過去を持つ。ジャック
以上にマリンを敵視し、衝突が多かった。

○夕月京四郎(闘将ダイモス)
一矢の友人である戦闘機ガルバーFXⅡのパイロット。剣術の達人であり
アフロにサングラスなのが特徴。古い格言を引用するのが好き。

○和泉ナナ(闘将ダイモス)
和泉振一郎博士の孫娘で、京四郎と共にガルバーFXⅡに搭乗する。
一矢に思いを寄せていたが、やがて一矢とエリカの恋を応援するようになった。
怒った時に「う~、ワン!」というのが口癖。


『大統領暗殺計画』-6

作者・凱聖クールギン

972  

***UAE首都ドバイ・ビーチ***

ジョディ@通信「大統領! 上方から攻撃です!」
メタルウルフ「…くっ!?」

ザムザザーを屠り、浜辺に降りて一息ついたメタルウルフを目掛けて、
突然、上空から一発の炎弾が飛んで来た!
地上に着弾して巨大な火柱が立ち、メタルウルフを呑み込む。

メタルウルフ「奇襲攻撃とは恐れ入ったね」

炎の中から傷一つなく現れたメタルウルフは、
自分の背後に降り立った黒装束の怪人に向けて言った。

メタルウルフ「今頃遅れてやって来たのは誰だ?
 パーティーはもうお開きだよ」
バルゴグ「フフ…。釣れない事を言うな。
 我が名は魔道師バルゴグ。
 ティターンズの能無しどもが消えたところで、
 これから二人きりの二次会と洒落込もうじゃないか、メタルウルフよ」

黒いローブの怪人――魔道師バルゴグは魔法杖をかざし、
飄々とした態度でメタルウルフに戦いを挑む。

メタルウルフ「中東各地を騒がせている砂漠の魔人バルゴグ…。
 噂は前々から耳にしていたんだ」
バルゴグ「私も、リチャード・ホークのクーデターを粉砕した
 メタルウルフの評判は前から気になっていてね…。
 モビルスーツや巡洋艦をも沈めてみせるとは大したものだ。
 だが、まだ決して本気ではあるまい?
 ――メラストーム!!」

バルゴグが呪文を唱えると、魔法杖から炎弾が何発も放たれた。
降り注ぐ火球の雨をかわしながらマシンガンを連射し、
応戦するメタルウルフ。

メタルウルフ「どうだいジョディ、綺麗な花火だろう」
ジョディ@通信「ですが大統領、
 こちらも、もっとド派手にお返しするのが礼儀ではないでしょうか?
 敵は銃弾をほぼ無効化しています」
メタルウルフ「だろうね…。まるで手応えがない」
ジョディ@通信「原理は不明ですが、
 何らかの魔術で防御力を飛躍的に上昇させているようです」
メタルウルフ「だったら、これでどうだ?」

メタルウルフは武装をマルチミサイルMML8に切り替え、撃ち込んだ。

バルゴグ「うおおっ…!」

防御魔法・プロテスの結界を突き破り、バルゴグにダメージを与えるミサイル弾。
炎の中でローブを翻し、バルゴグは後退する。

973

ミサイルの爆撃を受けて後退したバルゴグは、
ドバイの街の小路を風のように駆け抜け、
追撃するメタルウルフを遮蔽物の多い廃車置き場へと誘き出した。

メタルウルフ「車の墓場、といったところかな。
 そして魔道師バルゴグの墓場でもある」
ジョディ@通信「敵はいい場所を選びましたね、大統領。
 ここの車達と一緒に、ペチャンコのスクラップにして差し上げましょう」

体当たりで廃車の山を軽々と蹴散らし、
メタルウルフは猛然とバルゴグに迫る。

バルゴグ「フフフ…。ライデイン!!」

バルゴグの魔法による雷撃が一台の廃車を直撃!
廃車は引っ繰り返ってメタルウルフに激突した。
高圧電流を帯びた鉄塊を殴り飛ばして粉砕し、
メタルウルフは武器をM79グレネードランチャーに持ち替える。

メタルウルフ「熱々のローストチキンにしてやるよ!」
バルゴグ「焼き滅ぼされるのは貴様の方だ。
 ――出でよ、ガオレンスフィア!!」

廃車を盾にしてグレネードの焼夷弾を防ぎながら、
時空クレバスから異世界の武器を取り出すバルゴグ。
巨大甲殻種シェンガオレンの素材から作られたヘビィボウガンが、
二発の滅龍弾を同時発射した。

メタルウルフ「おおっと…!」

シールドで咄嗟に滅龍弾を防いだメタルウルフだが、
対巨大モンスター用の強力兵器を受けてさすがに数m後ろへ押し戻される。

メタルウルフ「面白い武器を使うな。
 だが私にはどんな兵器も技も通用しない。
 なぜなら、私はアメリカ合衆国大統領だからだ!」
バルゴグ「フフ…。こいつに耐えるとはさすがだな。
 さすが、米帝のボスはタフガイだ」
メタルウルフ「お褒めのついでに、正体を語ってくれる気はないか?
 その口ぶりだと、我々アメリカの事がよほど嫌いなようだけれども」
バルゴグ「いずれ嫌でも知る事になるだろう。命あらばな」

ガオレンスフィアをリロードし、再び狙いを定めるバルゴグ。
メタルウルフもM2バズーカを取り出し、引き金を引いた。
激しい撃ち合いが辺り一面を爆炎に包み、廃車を火達磨にして次々吹き飛ばしてゆく。
互いの姿が爆発で視認できなくなるほどの爆撃戦はしばらく続いた。
そしてそれが収まった時には……魔道師バルゴグの姿は消えていたのである。

974

ジョディ@通信「敵影は姿を消しました、大統領」
メタルウルフ「魔道師バルゴグ…。いつかまた会うだろうね」
ジョディ@通信「謎の相手でしたね。
 今回のティターンズによる暗殺計画とは無関係のようですが…。
 アラブに根を張る反米勢力の一員でしょうか?」
メタルウルフ「分からない。だが、いずれ知る時が来るというなら、
 気長にそれを待とうじゃないか」

メタルウルフの装甲を解除するマイケル・ウィルソンJr。
それをビルの屋上から密かに見下ろしていたバルゴグも、
黒いローブを脱ぎ捨てアフマド・アルハザードの姿に戻る。

アルハザード「フフフ…。
 メタルウルフことマイケル・ウィルソンJrか。
 手並みは分かった。聞きしに勝る相手よ」
秘書N「勝負はお預けにしてよろしいのですか?」
秘書R「ティターンズの仕業に見せかけて、
 ウィルソン大統領を抹殺する好機だと思いますが…」
アルハザード「今、奴を仕留めてもアメリカ影の政府の手助けをするだけだ。
 それでは面白くない。いずれ奴とは、
 国際政治の舞台ではっきりと決着をつける」

マイケル・ウィルソンJrは以前、
サラジアの覇権主義政策とテロ支援を推し進めている人物として
アルハザードを名指しで批難した事がある。
アルハザードからすれば、自分を個人的にもマークしている
超大国アメリカの大統領は目の上のたんこぶであった。

アルハザード「――化忍パルチス!」
パルチス「ははっ!」

赤と黒の、放射状の縞の忍者装束を着た世界忍者が
アルハザードの前に跪いた。
動物以外なら誰にでも化けられる変装術の達人、化忍パルチスである。

アルハザード「引き続き、迎賓館の職員に扮してウィルソンを見張れ。
 どんな些細な点でも調べ上げて報告するのだ。
 約束通り報酬は弾むぞ」
パルチス「ありがたき幸せ!」

身を翻し、一瞬で迎賓館のボーイに化けたパルチスは飛び去った。
アルハザードも二人の秘書を引き連れ、迎賓館へと戻って行く。

975

【今回の新規登場】
●化忍パルチス(世界忍者戦ジライヤ)
 世界忍者でも屈指の変装の達人で、動物以外なら何にでも化ける事ができる。
 刑事に変装して山地闘破に濡れ衣を着せたり、山地ケイの友人の女性に成りすまして
 ブラックセイバーを爆破しようとするなど、変装を活かした撹乱戦法が得意。

○マイケル・ウィルソンJr→魔道師バルゴグの強襲を退ける。
○ジョディ・クロフォード→バルゴグの襲撃を受けたメタルウルフを引き続きサポートする。
●魔道師バルゴグ→メタルウルフを強襲。交戦の末引き上げる。
●化忍パルチス→迎賓館のボーイに変装し、マイケル・ウィルソンJrを見張る。


『大統領暗殺計画』-7

作者・ティアラロイド

976

中東の安全保障サミットも無事終わり、数日後…。

 

***UAE首都ドバイ・国際ホテルのロビー***

マイケル「グラントが死んだ!?」
天田「申し訳ありません。ICPOへの護送中に
 突然心臓不全を起こし死亡が確認されました」
今井「首筋にはコブラに噛まれた痕があったそうで…」
マイケル「………」

当八郎によって拘束され、ICPOに引き渡される途中だった
グラント前国防長官は、護送中の飛行機の中で謎の変死を遂げたのであった。

マイケル「それは残念だな。彼の口から
 影の政府の全貌が聞きだせると思ったのだが…」
正人「大統領、アメリカの影の政府っていうのは
 いったいどんな組織なんですか?」
マイケル「影の政府は"最高法院"または"海の目"とも呼ばれている。
 彼らの指令センターがどこにあるのかは不明だ。その歴史は
 アメリカが建国される遥か以前、古代エジプトにまで遡るという噂もある」

マイケル・ウィルソンJrの話によれば、アメリカ合衆国"表"の歴代大統領ですらも
影の政府の正体はほとんど掴んでおらず、ホワイトハウスの大統領執務室は、
彼らにとってお飾りの入れ物に過ぎないらしい。これまで多くの勇気あるジャーナリストたちが
影の政府の実態を暴こうとしては、その毒牙の犠牲となってきているのだ。

マイケル「ところで今回の事件解決の一番の立役者、
 ミスター当はどこへ?」
源田「そういえばさっきから姿が見当たらないな」
奈美「どこへ行かれたのかしら…?」


***ドバイ国際空港***

飛行機への搭乗手続きを済ませる当八郎。
搭乗客ロビーで、待ち構えていたフィリナと出くわす。

当「フィリナ嬢!?」
フィリナ「どこへ行かれるの?当さん。
 大統領暗殺計画を未然に阻止した功績で、
 ウィルソン大統領があなたに勲章を授与するという
 話もあるのだけれど」
当「あいにくとそういうのはガラじゃない。
 私は本来は登山家だ。そこに山がある限り、
 そこへ出かけて行くさ」

荷物を持って搭乗口へと向かう当八郎。

当「そういえばフィリナ嬢、今更なんだが、
 君は随分日本語が堪能だね。ビジネスで
 よく日本にも来るのかい?」
フィリナ「それもないことはないのだけれど、
 日本には私の従弟がいるのよ」
当「いとこ…?」

アルジェの名門アルシャード家の係累が日本にいるとは
初耳の当だったが、特にそれ以上深く詮索はしなかった。

フィリナ「今回は貴方とご一緒できて、本当に楽しかったわ。
 またどこかでお会いしましょう」
当「ああ、こちらこそ。またどこかで会おう」

977

***???***

大西洋上、青い海の大海原に浮かぶ孤島。
椰子の木の林の中にポツンと、白壁の二階建ての館が建っている。
実はこの館こそが、アメリカ合衆国影の政府の最高権力者である
影の大統領の官邸であることを知る者は少ない。

???「グラントの始末ご苦労だったな、カーメンカーメン」
カーメン「礼には及ばぬ。全ては我が神…大アトゥーム神の導きなり」

アフリカを拠点とする犯罪組織ヌビア・コネクションの首領カーメン・カーメン。
先代亡き後、ライバルを次々と暗殺して首領の地位に就き、
その後辣腕を振るい他のコネクションを次々と併合。
大宇宙の声を聞けると自ら語るシャーマンでもあり、
彼が首領に就任してからのヌビア・コネクションはカルト教団の様相すら呈している。

ICPOに護送中であったグラント前国防長官をコプラを嗾けて始末したのは、
影の政府から依頼を受けたカーメン・カーメンであった。

???「グラントなど所詮はその程度。奴は栄光ある最高法院の面汚しよ…」
カーメン「クズはクズらしい死に方をするもの…。
 噂のブレイバーズとやらも、いずれは我が計画の礎にしてくれようぞ、フハハハ…」」

館の地下、石積みの祭壇の中央にある丸いテーブルで
カーメン・カーメンを挟んで向こう側に座る頭巾の男。
この男こそが、アメリカ影の政府の最高独裁総監=影の大統領その人であるらしい…。
果たして、影の大統領の正体とは…!!

978

○マイケル・ウィルソンJr→グラント前国防長官死亡の報告を受ける。
○天田一平→グラント前国防長官死亡をマイケル・ウィルソンJrに報告する。
○金田正人→マイケル・ウィルソンJrにアメリカ影の政府について聞いてみる。
○当八郎→ドバイを離れる。
○フィリナ・クラウディア・アルシャード→ドバイを離れる当八郎を見送る。
●グラント→カーメン・カーメンにコブラほ嗾けられて死亡。
●カーメン・カーメン→アメリカ影の政府の依頼で、グラント前国防長官をコブラの餌食にする。
●影の大統領→カーメン・カーメンと密談。

【今回の新規登場】
●カーメン・カーメン(銀河旋風ブライガー)
 犯罪組織ヌビア・コネクションの首領。コネクションの組織力と多数の影武者を用いて
 常にコズモレンジャーJ9の先手を取り、大アトゥーム計画を成功に導くと共に、
 J9最後の猛攻をも切り抜けて爆発寸前の木星にその身を投じ、己の信仰に殉じた。
 暗殺手段に自身の飼っているコブラをよく用いる。

●影の大統領(???)
 アメリカ合衆国を裏から操る影の政府の支配者。
 その正体は某作品の版権キャラクターなのか、
 それとも闘争の系統オリジナルキャラクターなのかも全く不明…。


『妖怪談(あやかしかいだん)』

作者・ユガミ博士

979

***三途の川・六門船***

あの世とこの世の境目を流れる三途の川。そこに浮かぶのは、血祭ドウコク
率いる外道衆の拠点である六門船。そこで酒を飲むドウコクの下へと
やってきた者達がいた。

骨のシタリ「おやぁ?あんたは妖怪大魔王のせがれじゃないかい。
      ・・・そっちは誰だね?」
貴公子ジュニア「久しぶりね。ドウコクの旦那、骨のシタリ。」
天草四郎「ご挨拶に参った。私は風神によって復活した天草四郎と申す。」

やってきたのは、ロッカー風でオネエ口調で話す妖怪大魔王の息子
貴公子ジュニアと風神の配下である天草四郎時貞だった。かねてから
妖怪軍団と外道衆は懇意の中であり、それを外道衆の参謀役である
骨のシタリが出迎える。

ドウコク「・・・何しに来た?」
シタリ「そうだよ、あんたは確か隠流の忍者に封印されていなかったかね。」

酒を飲んでいたドウコクとシタリが貴公子ジュニアに尋ねる。

貴公子ジュニア「ふふ、この天草四郎のおかげで封印が解けたのよ。」
薄皮太夫「こいつが?」

三味線を弾いていたはぐれ外道の薄皮太夫が天草四郎を見て、
聞き返す。

天草四郎「左様、我が妖術でな・・・」

天草四郎は妖怪軍団の封印を解いた時の事を語りだす。

***過去・封印の扉***

天草四郎は、風神の命令で日本を手中に納める為には妖怪軍団と
手を結ぶ必要があるとして、妖術使いである天草四郎に封印を解く
べくやってきたのだ。

天草四郎「ここが、妖怪達が封印されているという『封印の扉』か。
   ふむ、ならば我が妖術で・・・。」
???「待てー!」

黒鬼共を引き連れてきた天草四郎が、妖術で封印を解こうとした時に
黒い影が襲う。

980
天草四郎「何者だ!?」
サスケ「隠流の忍者、サスケだ。封印の扉に近づけはさせないぞ!」
サイゾウ「サスケだけじゃないぞ、同じくサイゾウ!」
セイカイ「同じく、セイカイ!」
ジライヤ「ジライヤだ!」
鶴姫「そして、隠流24代目当主鶴姫!」

いつの間にか天草四郎達をサスケ達、五人の
隠流忍者-カクレンジャーが取り囲んでいた。

天草四郎「そうか、貴様達が風神様の言っていた隠流の忍者か。」
サスケ「三神将から、封印を解こうとしている者がいると言われていたが
    本当の事みたいだな。」
セイカイ「覚悟してもらうぞ!」
天草四郎「くっ・・・。」
???「困っているようだな。天草四郎。」
???「我々がこいつらの相手をしよう!」

カクレンジャー達の司令官とも言える三神将から、封印を解こうと
している者がいると言われ、封印の扉へ駆けつけた。だがそこへ、
忍者装束の男と、僧侶の様な大男が現れる。

天草四郎「風魔、青海入道!」
セイカイ「青海!?」
サイゾウ「風魔って、風魔小太郎!?」
風魔小太郎「我ら2人、風神様の命により助太刀に参った。」
青海入道「さっさと、封印を解け!」
天草四郎「任せたぞ、フン!」
サスケ「うわぁ、待て!」

天草四郎はこの場を風魔小太郎と青海入道に任せて、呪術で
サスケを退けさせた隙に封印の扉へと向かう。

風魔小太郎「貴様達の相手は我々だ!」キン
黒鬼「オニ~!」
鶴姫「させない、ここは任せて行ってサスケ!」
サスケ「分かった!」

風魔小太郎はクナイで、サスケに攻撃するが鶴姫がそれを阻み、
黒鬼達と青海入道も残りサイゾウ、セイカイ、ジライヤへ攻撃を始める。

青海入道「貴様、ワシに縁(ゆかり)のある者みたいだが容赦はせんぞ!」
セイカイ「うわぁ、何てパワーだ・・・!」

セイカイは先祖ともいえる青海入道と戦うが、そのパワーに押されそうになる。

ジライヤ「Hey、スリーキック!」
サイゾウ「乱れ蹴り!」
黒鬼A「オニ~」
黒鬼B「オニ~」

サイゾウとジライヤは周りの黒鬼を何体も、蹴り倒して行く。

風魔小太郎「ふん、戦国の世で何人もの武将を始末した私の敵では
     無いな!」
鶴姫「それならば、オン・ツル・ニン白鶴の舞!」

鶴姫と風魔小太郎は空中戦を繰り広げて行く。

981

一方、封印の扉の前に辿り着いた天草四郎はその妖術で封印を解こうと
呪文を唱えて行く。

サスケ「させるか、忍法疾風斬り!」

キン

サスケ「何!」

呪文を唱えている天草四郎に斬りかかるサスケだったが
何者かがそれを阻む。

サスケ「誰だ!?」
カメレオン・ボナパルト「ふふふ、殺させはしませんよ。」

現れたのは、元鬼丸四天王の一体であるカメレオンの怪人
カメレオン・ボナパルトが姿を現した。

天草四郎「ブツブツ・・・ふん、解!」

ドゴォーン

サスケ「しまった!」

そうしている内に封印の解除は成功し、扉はけたたましい爆発と共に
扉が開き、封印されていた多くの妖怪達が、天へと向かって飛び出して
行く。

天草四郎「目的は果たした・・・失礼する!」

天草四郎は妖術で、カメレオン・ボナパルトと共にその場から消える。
鶴姫と戦っていた小太郎達も封印が解かれたのを見届けるとその場から
撤退するのであった。

***風雲幻城***

妖怪軍団の復活に、カクレンジャー5人は鶴姫の父である義輝と
三神将に報告する。

義輝「妖怪達の復活か・・・。」
無敵将軍「カクレンジャー達よ、再びこのドロンチェンジャーを手に取り
    妖怪達を封印するのだ。」

カクレンジャー達は封印に使っていたドロンチェンジャーをそれぞれ
手に取り、再び妖怪退治の旅に出るのであった。

***現在・三途の川・六門船***

貴公子ジュニア「・・・そしてその後私達は、Gショッカーの傘下に加わった
         わけよ。」
シタリ「なるほどねぇ。」
天草四郎「風神様から、日本を手中に治める為にも外道衆の御力を
    お借りしたく、ここに参った。どうか、御力をお借りしたい。」
ドウコク「・・・まぁいい。俺達は三途の川を現世で溢れさせるのが目的だ。
   その代わり、俺らの頼みも聞けよ。」
天草四郎「勿論、御衣に。」

経緯の説明を終え、天草四郎はドウコクに深々と頼み込む。
ドウコクは杯を捨て、同盟の話を了承するのであった。

982

●血祭ドウコク→妖怪軍団、風神の一味と手を組む。
●骨のシタリ、薄皮太夫→天草四郎達の話を聞く。
●貴公子ジュニア→天草四郎と共に六門船を尋ねる。
●天草四郎→妖怪軍団の封印を解き、外道衆に同盟を頼み込む。
●風魔小太郎→鶴姫と空中戦を繰り広げる。
●三好青海入道→セイカイとパワー勝負を行う。
●カメレオン・ボナパルト→サスケと戦い、天草四郎を守る。
○サスケ→天草四郎を止めようとするが、封印を解かれてしまう。
○鶴姫→風魔小太郎と空中戦を行う。
○サイゾウ、ジライヤ→黒鬼を倒して行く。
○セイカイ→三好青海入道とパワー勝負をする。
○義輝→封印が解かれた報告を受け取る。
○無敵将軍→カクレンジャー達に妖怪封印の任務を与える。

 

【今回の新規登場】
○サスケ=ニンジャレッド(忍者戦隊カクレンジャー)
猿飛佐助の子孫。騙されてサイゾウと共に「封印の扉」を開けて妖怪を
復活させた張本人。スケベだが戦いにおいて冷静な切り込み隊長で、
敵の罠を見破る鋭い勘の持ち主。

○鶴姫=ニンジャホワイト(忍者戦隊カクレンジャー)
鶴姫家の24代目にしてカクレンジャーのリーダー。最年少で男勝りだが、
優しく仲間思いな性格をしている。

○サイゾウ=ニンジャーブルー(忍者戦隊カクレンジャー)
霧隠才蔵の子孫。金に釣られてサスケと共に「封印の扉」を開けてしまった
張本人。少しナルシスト気味で言葉遣いが妙にオカマ臭い時がある。

○セイカイ=ニンジャイエロー(忍者戦隊カクレンジャー)
三好青海入道の子孫。ゲーセン通いな現代っ子で食べる事と女性に目が無い。

○ジライヤ=ニンジャブラック(忍者戦隊カクレンジャー)
児雷也の子孫。アメリカ出身の為、日本語が流暢ではない。
一見寡黙だが、テレビ番組が好き。

○無敵将軍(忍者戦隊カクレンジャー)
2000年前に妖怪と戦った三賢人の一人が転生した三神将の一人。
「体」を司り、5体の獣将が合体して誕生する。当初はカクレンジャーに
操縦を任せていたが、後に自ら行動し、言葉を話すようになった。

●貴公子ジュニア=ガシャドクロ(忍者戦隊カクレンジャー)
妖怪大魔王の息子であるガイコツの妖怪。普段はオネエ口調で
話すロッカー風の男の姿をしている。

●血祭ドウコク(侍戦隊シンケンジャー)
外道衆の長であるアヤカシ。気性が荒く残忍で、酒と薄皮太夫の
三味線でないと気を静める事が出来ない。終盤、薄皮太夫を
取り込んだ事で、水切れという弱点を克服した。

●骨のシタリ(侍戦隊シンケンジャー)
ドウコクと最も古い付き合いのある外道衆の参謀役。持っている錫杖から
電撃を放ち、伸縮自在な触手でシンケンゴールドと互角に渡り合えるほど
戦闘能力が高い。自身の命に強い執着を持ち、外道衆の中で生き残ったが、
時空を超えてやってきたゴーカイジャーによって倒された。

●薄皮太夫(侍戦隊シンケンジャー)
はぐれ外道で元々は「薄雪」という花魁だったが、身請けを約束していた
武士・新左に裏切られた事で、大勢の人を火で焼き殺し外道に堕ちた。
酒以外で唯一ドウコクを抑える事が出来る存在。一人称は「わちき」

●カメレオン・ボナパルト(YAIBA)
鬼丸四天王の一人、鬼丸城の中にある神秘の森に住むカメレオン。
保護色で姿を隠し、変装を得意とする。


『集結侍戦隊』-1

作者・ユガミ博士

983

***大江戸市***

刃「おいおい、服買いすぎじゃないか?」
さやか「だって、欲しかったんだもーん!・・・それに、デートしたかったし。」ボソ
刃「何か、言ったか?」
さやか「なんでもないわよ!」

日本一の侍を目指す鉄刃。今日は峰さやかの服の買い物に付き合わされるが
所轄、デートという奴である。だがその2人のデートをこっそりと見ている者達がいた。

トシ「本当に、これが修行なのかよ。」
武蔵「何を言う。この先、より強力な敵と戦う事になるのじゃ。なればこそ、
  気配を消す修行が必要となり、こうして気配を消して後を追って身につけるのじゃ。」
ソウシ「いやいや、これは単なる出歯亀・・・」
イサミ「いいなぁー、デート。」

どうやら武蔵が修行とかこつけて、しんせん組の3人と共に、デートの
後をつけているようだった。トシとソウシはこの修行に疑い、イサミは
2人のデートを羨ましがる。

ぐぅ~

刃「う・・・そういや、腹が減っちまったなぁ。何処かで食おうぜ。」
さやか「もう・・・何処がいいかしら。」
???「そこのご両人。よかったら、ウチの寿司を食ってみてくだせぇ。」
さやか「誰!?」

お腹が空いた刃はさやかと共に、食事にしようと辺り見渡す。
そこに誰かが寿司を食べないかと誘われる。よく見ると、そこに
『ゴールド寿司』と描かれた屋台があった。

さやか「ゴールド寿司?」
刃「何でもいいや、ここにしようぜ。」

刃達はゴールド寿司の方へと向かう。

武蔵「む、刃にさやかめ。ワシらに黙って、寿司を食べるとは許さんぞ!」
トシ「俺達も、お昼にしようぜ。」
イサミ「あっ、あそこにクレープ屋さんがある!」

イサミが見つけたクレープ屋は、トラ猫の様なカラーリングの
大きな移動販売車だった。

***ゴールド寿司***

刃「お邪魔しまーす!」
???「へい、いらっしゃい!何に致しやしょう。」

一方、イサミ達がクレープ屋へと行っていた頃。刃とさやかは
ゴールド寿司の暖簾をくぐる。屋台には鉢巻をした人の良さそうな
寿司職人の青年が出迎えた。

刃「じゃー、俺はトロ。」
さやか「私はイカをお願いします。」
職人の青年「あいよ!」

刃とさやかが寿司ネタを注文をすると、威勢良く返事をして
あっという間にトロとイカを握っていく。

職人の青年「へい、お待ち!どうぞ、食ってくれ。」
刃&さやか「「いっただきま~す!」」パク

刃とさやかは握られた寿司を口にするが、その顔はだんだん
微妙な顔になっていた。

職人の青年「お客さん、味はどうですかい?」
刃「普通だな・・・」
さやか「不味くは無いけど、美味しいとも言えないわね。」
職人の青年「だぁぁあ、またダメか。」

その「普通」の味がすると感想を述べた刃とさやかに、
職人の青年は肩を落とす。

???「しっかりしてくだせぇ、親分!」
さやか「うわ、提灯が喋った!」
職人の青年「ありがとよ、ダイゴヨウ。そうだな、もっと修行を重ねて
    俺のを寿司を旨いと言わせねぇとな。」

いきなり、屋台にかかっていた提灯が喋りだして驚くさやか。
ダイゴヨウというその提灯の言葉に職人の青年は元気を取り戻す。

刃「それは、ロボットか?」
職人の青年「こいつは、俺が作ったダイゴヨウってんだ。おっと、俺の名は
   梅盛源太!いつか、このゴールド寿司を三ツ星にするのが夢さ。」

職人の青年-梅盛源太は刃とさやかに提灯のロボットダイゴヨウと
自分を紹介する。

町の市民A「うわぁ~!」
町の市民B「きゃあ~!」
刃「何だ!」

そこに大江戸に住む市民達の悲鳴が上がり、刃達は何事かと
ゴールド寿司を出た。

984

黒鬼「オニー」
ナナシ連中「ナナ、ナナ」

悲鳴の上がる場所へと行くと、風神の配下である黒鬼と隙間から
異形の化物が出現して、市民を襲っていた。

刃「こいつら、風神の仲間か!」
武蔵「むむ、こやつらはナナシ連中か!?」
刃「武蔵、それにイサミ達も何でいるんだよ!あと、クリームついてるぞ。」
武蔵「そんな事はどうでもいいわい。あれはナナシ連中といって、三途の川
  から隙間を通って、現れるアヤカシじゃ。」

武蔵は騒ぎの現場へと駆けつけて、口元のクリームを拭いた後
隙間から現れたナナシ連中について説明する。

刃「とにかく、こいつらを倒すぞ!」
しんせん組「「「はい!」」」
武蔵「さやかよ、後ろに下がっているのじゃ。」
さやか「はい。・・・あれ、源太さんは?」

刃は鞘からクサナギを引き抜き、しんせん組の3人もバトルコスチュームに
姿を変えて、黒鬼とナナシ連中に向かっていく。さやかは後方へと下がるが、
一緒にいた筈の源太がいない事に気づく。
刃とイサミはその魔剣クサナギと龍の剣で切り倒し、トシは龍の目で
黒鬼やナナシ連中にぶつけ、ソウシは龍の牙を射て戦う。

黒鬼「オニ~!」
ナナシ連中「ナナ~!」
トシ「へへ、だまぁみろ!」
???「・・・面白い連中がいるなぁ~」
刃「誰だ!」

そこへ隙間から現れたのは、下半身がでかい顔になっているアヤカシ
カゲカムロが現れる。

???「イェ~イ!」
刃&しんせん組「「「「うわぁ!」」」」

さらに刃達を攻撃したのは、巨大な殻を被ったカタツムリが現れる。

刃「てめぇは、カタツムリ男!」
カタツムリ男「デンちゃん、再登場イェ~イ!」

かつて鬼丸が召還した八鬼の一体、ナメクジ男改め
カタツムリ男である。

カゲカムロ「行くぞ!」
カタツムリ男「イェイ!」
イサミ「キャァァア!」
トシ「ウワァ!」
ソウシ「うう・・・」
刃「お前ら!」

カゲカムロ達の登場に、苦戦を強いられるイサミ達。絶体絶命のピンチ
だと感じた時、異変が起きる。

ドォーンドォーンドォーン

刃「太鼓?」
カゲカムロ「この音・・・まさか!」

いきなり太鼓の音が流れ、どこからともなく現れた舞台でお馴染みの
黒子が陣幕を張っていく。

武蔵「あの家紋は・・・もしや!」

太鼓が鳴り終わると、陣幕から5人の男女がそこに立っていた。

985

???「殿ぉ、やはり外道衆は復活していたようですなぁ!」
???「絶対ェ、倒してやるぜ!そうだろ、姐さん。」
???「その通りよ、千明。」
源太「ひっさしぶり~、丈ちゃん。皆!」
???「源さん!」
さやか「あっ、さっきのお寿司屋さん!」

さっきまでいなかった源太が現れ、5人に合流する。

殿と呼ばれた青年「お前達、無駄話はそこまでだ。行くぞ!」
一同「「「「「応」」」」」

殿と呼ばれた青年の号令の下、現れた5人は筆のような物を取り出し、
それぞれ「火」「水」「天」「木」「土」の文字を空中に書く。
一方、源太はシャリのような物とディスクを取り出し
寿司を握るように合わせ、「光」を書くように手を動かした。

???「一筆奏上!」
源太「一貫献上!」

文字を反転するとそれぞれの体を包み込み、赤、青、桃、緑、黄
金色の戦士に姿を変えた。

武蔵「やはり、志波家の侍か!」
さやか「知っているの、武蔵。」
武蔵「うむ、古来より三途の川から現れるアヤカシの集団-外道衆と
  戦ってきた侍の一族じゃ。」

変身した彼らを見て、武蔵はやはりそうだったかと納得し、
さやかが聞き返す。武蔵は志葉家について説明する。

シンケンレッド「シンケンレッド、志波丈瑠」
シンケンブルー「同じくブルー、池波流ノ介」
シンケンピンク「同じくピンク、白石茉子」
シンケングリーン「同じくグリーン、谷千明」
シンケンイエロー「同じくイエロー、花織ことは」
シンケンゴールド「同じくゴールド、梅盛源太」

武蔵の言う志波家の侍達は、それぞれ自分の名を
名乗り上げる。

シンケンレッド「天下御免の侍戦隊!」
シンケンジャー「「「「「「シンケンジャー、参る!」」」」」」

シンケンレッド以外が座り込んだ後、6人は鞘から刀を抜き
名乗り上げる。

シンケンレッド「行くぞ、外道衆!」

シンケンジャー達は戦場へと出陣するのであった。


986

○鉄刃→さやかとデート中、外道衆とカタツムリ男と戦う事になる。
○峰さやか→刃とデート中に、戦いに巻き込まれる。
○宮本武蔵→しんせん組と一緒に、刃とさやかのデートを隠れて見る。
○しんせん組→刃とさやかのデートを隠れて見ていたが、外道衆とカタツムリ男と戦う事になる。
○シンケンジャー→外道衆、カタツムリ男の前に現れて変身する。
○梅盛源太→刃とさやかに、寿司を握る。そして、シンケンジャーと共に変身する。
○ダイゴヨウ→源太を慰める。
●カゲカムロ→ナナシ連中を引き連れて、大江戸市の人々を襲う。
●カタツムリ男→刃としんせん組を襲う。

 

【今回の新規登場】
○志葉丈瑠=シンケンレッド(侍戦隊シンケンジャー)
「火」のモヂカラを受け継いだ志葉家19代目当主。自他共に厳しいながらも
他人を巻き込みたくないという心優しい性格を持つ。元々は外道衆から
18代目当主である薫の存在を隠す為に育てられた影武者だが、
終盤、薫によって(法律上無理だが)養子となり19代目当主となる。
幼少の頃は泣き虫で、今でもお化け屋敷が苦手。

○池波流ノ介=シンケンブルー(侍戦隊シンケンジャー)
「水」のモヂカラを受け継いだ侍。歌舞伎役者の家系だが、
外道衆との戦いに召集された時、舞台を捨て、丈瑠の下へと馳せ参じた。
真面目で忠義に厚いが、融通が利かず天然ボケで暑苦しい所がある。

○白石茉子=シンケンピンク(侍戦隊シンケンジャー)
「天」のモヂカラを受け継いだ女侍。幼稚園のアルバイトをしていたが、
外道衆の戦いに召集され、丈瑠の下へ馳せ参じた。冷静で鋭い観察眼に
優れており、面倒見が良いが落ち込んで弱っている人間を放っておけない
性格をしている。夢は結婚だが、料理が壊滅的にヒドイ。

○谷千明=シンケングリーン(侍戦隊シンケンジャー)
「木」のモヂカラを受け継いだ侍。シンケンジャーに召集される前は
卒業間近の高校生で、一番の現代っ子。侍として最低限の知識しか
教えられていないので、主従関係を受け入れず修行にも不真面目だった。
しかし丈瑠を超える事を目標に、戦士として成長していった。

○花織ことは=シンケンイエロー(侍戦隊シンケンジャー)
「土」のモヂカラを受け継いだ女侍。京都で家業の竹細工作りをしていたが
体の弱い姉に代わり、シンケンジャーとなる。純粋で心優しい性格だが、
度を越えた天然ボケで、良くも悪くも空気の読めない所がある。また、
幼少の頃、いじめられていた事と姉を思う気持ちから強い忍耐力を持つ。

○梅盛源太=シンケンゴールド(侍戦隊シンケンジャー)
丈瑠の幼馴染である「ゴールド寿司」を営む寿司職人。幼少の頃、家族が
夜逃げする時に丈瑠から烏賊折神のディスクを受け取り、丈瑠の力になろうと
独学で剣の修行とモヂカラを解析し、電子モヂカラを開発。反面、寿司の
修行が十分では無かったので、味は普通。「光」のモヂカラを用いて、
海老折神やダイゴヨウ等を開発した。

○秘伝提灯ダイゴヨウ(侍戦隊シンケンジャー)
源太が自分の代わりに戦えるように開発した提灯のサポートメカ。
源太以上に江戸っ子口調で話す。十手を手足として、侍巨人にもなれる。

●カゲカムロ(侍戦隊シンケンジャー)
鎧兜のような、人間を食った巨大な笑い顔のような姿を持つアヤカシ。
下半身が巨大な顔面を模し、大勢の人々に「仇をなすぞ」と常に大口を
叩く自信家。武器は刀身が顔を模した2本の刀「悲喜双顔刀」
妖怪「大かむろ」の伝承のルーツとされている。

●カタツムリ男(YAIBA)
鬼丸が召還した八鬼の一体であるナメクジ男が殻を被り、
パワーアップした姿。「イェイ」が口癖。塩が掛かると消えてしまう。


『集結侍戦隊』-2

作者・ユガミ博士

987

シンケンジャー達は持っている刀-「シンケンマル」でナナシ連中と
黒鬼を斬っていく。

シンケンゴールド「ダイゴヨウ、久しぶりの戦いだ。気合をいれてけよ!」
ダイゴヨウ「合点でさぁ、親分!」

シンケンゴールドは十手を持って、ダイゴヨウを盾に使いながら
ナナシ連中や黒鬼を倒していく。

刃「おっと、俺達も行くぞ!」
イサミ「は、はい!」

いきなりの登場に呆然としていた刃達も再び、
黒鬼やナナシ連中と戦う。

ナナシ連中「ナナー!」
イサミ「きゃ!」
シンケンレッド「下がってろ!」

しかしナナシ連中の攻撃で尻をつくイサミ。そこにシンケンレッドが
ナナシ連中を斬って助けた。

イサミ「ポー///」
シンケンレッド「ボーとするな。死にたくなければ、下がってろ!」
イサミ「あっ・・・ごめんなさい!」

自分を助けてくれたシンケンレッドに見惚れていたイサミだったが、
シンケンレッドは厳しい物言いで、イサミを下がらせようとする。

シンケンブルー「シンケンマル・水流の舞」
シンケングリーン「シンケンマル・木枯らしの舞」

シンケンブルーはシンケンマルに青い龍ディスクをセットし、
水の斬撃で攻撃し、シンケングリーンはシンケンマルに緑色の
熊ディスクをセットして、木枯らしを纏って、攻撃した。

シンケンピンク「シンケンマル・天空の舞」
シンケンイエロー「シンケンマル・土煙の舞」

シンケンピンクとシンケンイエローはそれぞれ、桃色の亀ディスクと
黄色の猿ディスクをセットして、ナナシ連中と黒鬼を風で舞い上げ、
土煙を起こして攻撃した。

カタツムリ男「鉄刃、覚悟!」
刃「お前の弱点なんて、とっくに知っているんだよ!
  塩、塩は無いのか?」
ソウシ「でも、塩はどこに?」
シンケンブルー「少年、塩が必要なのか?ならば、私が手を貸そう。」

カタツムリ男の弱点は塩だが、塩が無いかと刃達は探す。
そこにシンケンブルーはショドウフォンを取り出し、「海」と書くと
流ノ介のモヂカラによって、海水が出現した。

カタツムリ男「や、や、やばい・・・体が溶ける~!」

海水に含まれる塩分のせいで、みるみるカタツムリ男の体は溶けていき
あっけない最後を迎えてしまった。カタツムリ男がいなくると黒鬼達も
退散していく。

シンケンレッド「ふん!」
カゲカムロ「何の!」

一方、シンケンレッドはカゲカムロと刀で斬りあいをしていく。

カゲカムロ「(く、このままでは水切れが起こす。何とか隙を作らねば)」

三途の川に住むアヤカシは、体が乾いてしまうと現世では生きていられない。
だからこそ、三途の川を溢れさせて暴れるのが外道衆の目的なのだが
このままでは負けるとカゲカムロは隙を作ろうとしていた。

ビューン

シンケンレッド「うっ!」

その時シンケンレッドは何者かの攻撃を受ける。攻撃した方向を
見ると、帽子にピアスを付けた長い鼻をした妖怪テングが妖怪軍団
の戦闘員ドロドロを引き連れて現れた。

トシ「今度は天狗!?」
テング「外道衆との同盟により、助太刀しに来たぜ!」

新たにテングとドロドロが加わり、このままでは全滅すると一同が
思った矢先、そこに5枚の手裏剣が飛んでくる。手裏剣の投げられた
方向を見ると、5人の男女がそこにいた。

イサミ「さっきのクレープ屋さん!?」
テング「き、貴様らは・・・カクレンジャー!?」

その5人は先程、イサミ達が食べていたクレープ屋の店員達だった。
イサミは何故、この場にいるのかと驚く。だが、この5人こそ、隠流の
忍者であるサスケ達カクレンジャーだった。

カクレンジャー「「「「「スーパー変化、ドロンチェンジャー!」」」」」

印籠の形をした変身アイテム・ドロンチェンジャーにより、
5人の忍者はそれぞれ赤、白、青、黄、黒の忍者へと姿が変わる。

ニンジャレッド「ニンジャレッド、サスケ」
ニンジャホワイト「ニンジャホワイト、鶴姫」
ニンジャブルー「ニンジャブルー、サイゾウ」
ニンジャイエロー「ニンジャイエロー、セイカイ」
ニンジャーブラック「ニンジャブラック、ジライヤ」
ニンジャレッド「人に隠れて悪を斬る、忍者戦隊」
カクレンジャー「「「「「カクレンジャー見参!」」」」」

かつて妖怪軍団と戦った5人の忍者はカクレンジャーとなり、
刃やしんせん組、シンケンジャー達の前に現れた。

988
ニンジャホワイト「お久しぶりです、丈瑠さん。」
シンケンレッド「鶴姫殿・・・」

古来から志葉家と隠流は、この世を守るべく異形の存在と戦っていた者
同士、協力関係にあった。当主である丈瑠も、鶴姫とは昔から交流がある。

カゲカムロ「おかげで、助かったぜ。もうすぐ水切れになるから、任せるぞ!」
シンケンレッド「させるか!皆、行くぞ。」
サスケ「俺達も、行くぞ!」

カゲカムロがその場をテングに任せて、自分は三途の川に戻ろうと
するが、そうはさせまいとシンケンジャー、カクレンジャー達は
敵の方へと向かっていく。

トシ「あいつを隙間に入れなきゃいいんだろ。くらえ、龍の目シュート!」
ソウシ「そして、龍の牙!」
カゲカムロ「ぐぅぅう!」

トシは隙間に入れないように、龍の目でカゲカムロを空中にまで
蹴り上げる。そして、ソウシは龍の牙で矢を放った。

シンケングリーン「お前ら、やるなぁ。」
シンケンレッド「止めだ。烈火大斬刀・大筒モード!」

シンケングリーンはトシとソウシを褒め、シンケンレッドは止めを
指すべくシンケンマルを烈火大斬刀に変えて、大筒モードに変形した。
そこにシンケンジャーは、それぞれの秘伝ディスクをセットする。

シンケンレッド「兜五輪弾!」
カゲカムロ「ぐわぁぁあ!!」

必殺の五輪弾により、カゲカムロは倒される。
一方、カクレンジャーはテングとドロドロを相手に戦っていた。

ニンジャブラック「YEAR!」
ZUBAAAAAAN!!

ニンジャイエロー「どりゃ!」
BAGOOOOOOON!!

斬ったり、蹴ったりする度にそんな擬音が飛び出しそうだった。

ニンジャレッド「行くぜ、テング!雷鳴剣ヒカリマル。」

ニンジャレッドは三神将の一人、ツバサマルから授けられた
雷鳴剣ヒカリマルを取り出した。

ニンジャレッド「隠流雷鳴斬!」
刃「俺も続くぜ、かみなり斬り!」
イサミ「てりゃああ!」
テング「ぬぅう」

テングを相手に、刃、ニンジャレッド、イサミはそれぞれの
必殺技をぶつける。周りのドロドロも他のカクレンジャー達によって
倒された。

989
イサミ「やった、これで大丈夫ね。」
シンケンレッド「まだだ、“2の目”がある。」
ニンジャレッド「ああ、終わりじゃない。」

その言葉通り、妖怪エネルギーに満ちた落雷が落ちてテングが
巨大化して復活。カゲカムロもアヤカシの特性により、2つ目の命
通称「2の目」により巨大化して復活した。

イサミ「お、大きい・・・」
トシ「どうする?イサミの家に戻るにしても、時間がかかるぞ。」
ニンジャレッド「大丈夫だ、俺達に任せろ。」
シンケンレッド「ああ。」

イサミの家はご先祖によって、巨大なロボットに変形できるカラクリ
仕掛けとなっている。だが戻るにしても時間がかかるので思案していると
カクレンジャー、シンケンジャーは自分達に任せろと言う。

カクレンジャー「「「「「隠流・巨大獣将之術」」」」」
シンケンジャー「「「「「折神大変化」」」」」
シンケンゴールド「来い!イカちゃん、エビゾー。ダイゴヨウも
          巨大化だ!」
ダイゴヨウ「合点でさぁ。」

カクレンジャーの5人は、忍術によってレッドサルダー、ホワイトカーク
ブルーロウガン、イエロークマード、ブラックガンマの5体の獣将を呼び出す。
一方のシンケンジャーは所持している獅子折神、龍折神、亀折神、熊折神
猿折神を巨大化。シンケンゴールドもスシチェンジャーで「ゴールド寿司」の
水槽にいる烏賊折神と海老折神を呼び出してダイゴヨウも巨大化する。

ニンジャレッド「忍者合体」
無敵将軍「無敵将軍!」

5体の獣将はレッドサルダーを中心に、ホワイトカーク、ブルーロウガンが
両手となり、イエロークマードとブラックガンマは両足に変形、最後に
兜が装着されてまるで、城の様なロボットが誕生した。これこそ、
三神将の一人、無敵将軍である。

シンケンジャー「「「「「侍合体」」」」」
シンケンゴールド「侍合体、イカダイカイオー」キタキタキタキター
ダイゴヨウ「ダイゴヨウ、大変化」

一方、「合」のモヂカラで獅子折神を中心に亀折神と猿折神が両腕に
変形し、龍折神と熊折神は両脚となった。そこに兜が装着され、侍巨人
シンケンオーとなった。そしてシンケンゴールドの海老折神は侍変形により
ダイカイオーとなり、烏賊折神と侍武装して「イカダイカイオー」となる。
最後にダイゴヨウは十手が手足となり、侍巨人となった。

シンケンジャー「「「「「シンケンオー、天下統一」」」」」
シンケンゴールド「イカダイカイオー、天下一品」

合体を終えて無敵将軍とシンケンオー、イカダイカイオー、ダイゴヨウの
4体がカゲカムロとテングの前に現れるのであった。

990
カゲカムロ「大ナナシ連中!」
さやか「あんなでっかいのもいるの~!」

カゲカムロはビルの隙間から、巨大な大ナナシ連中を呼び出す。
巨大な大ナナシ連中にさやかは驚愕する。

シンケンゴールド「周りの雑魚は、俺とダイゴヨウが引き受けた。」
ダイゴヨウ「そっちは任せましたぜ。」

そういって、イカダイカイオーとダイゴヨウは周りの大ナナシ連中を
攻撃していく。無敵将軍やシンケンオーはカゲカムロとテングと交戦。

カゲカムロ「うぉぉりゃぁぁ!」
シンケンレッド「秘伝シールド!」

カゲカムロの攻撃を円盾の秘伝シールドで防ぎ、すかさず巨大な
日本刀・ダイシンケンで攻撃する。

ニンジャレッド「将軍花吹雪」
テング「ぐぉぉお!」

テングも目からビームを出すが、無敵将軍も負けじと胸から
花吹雪を起こす。

シンケンレッド「長引くのは面倒だ。一気に畳み掛けるぞ!」
シンケンジャー「「「「「ダイシンケン・侍斬り!」」」」」
シンケンゴールド「槍烏賊突貫」
ダイゴヨウ「秘伝ディスク乱れ撃ち」
カゲカムロ「ちっくしょ~!」

ダイシンケンに「斬」のモヂカラを込めて、カゲカムロを一刀両断。
イカダイカイオーも大ナナシ連中を相手に「突」の電子モヂカラが
込められた氷を纏った大槍で標的を貫く。そして、ダイゴヨウは
必殺の腹部から秘伝ディスクを乱射して大ナナシ連中を切り刻んでいく。

カクレンジャー「「「「「火炎将軍剣」」」」」
テング「く、今度こそ妖怪ナンバー1になりたかった~!」
無敵将軍「南無三!」

無敵将軍は鯱の形をした燃え盛る炎の剣・火炎将軍剣で
テングを一刀両断した。

シンケンゴールド「よ~し、勝利の一本締め!皆々様ご一緒によ~」

ポン

シンケンレッド「これにて一件落着。」

シンケンゴールドに吊られ、刃達やカクレンジャーは一緒に
勝利の一本締めを行い、戦いに幕を引いた。

 

991

○志葉丈瑠→烈火大斬刀・大筒モードとシンケンオーで
            カゲカムロを倒す。またイサミを助けた。
○池波流ノ介→「海」の文字で海水を作り、カタツムリ男を倒した。
○白石茉子→外道衆と戦う。
○谷千明→外道衆と戦う。
○花織ことは→外道衆と戦う。
○梅盛源太→外道衆と戦い、巨大戦の後、勝利の一本締めを行った。
○ダイゴヨウ→侍巨人となって大ナナシ連中を倒す。
●カゲカムロ→シンケンジャー、カクレンジャー、刃達に倒される。
○サスケ→テングを倒す。
○鶴姫→妖怪を倒す。
○サイゾウ→妖怪を倒す。
○セイカイ→妖怪を倒す。
○ジライヤ→妖怪を倒す。
●テング→カゲカムロを助けるが、カクレンジャーに倒される。
○鉄刃→サスケ、イサミと共にテングを倒した。
●カタツムリ男→海水を被り、消滅する。
○花丘イサミ→丈瑠に助けられた後、刃、サスケと共にテングを倒す。
○月影トシ→カゲカムロに龍の目をぶつける。
○雪見ソウシ→カゲカムロに龍の牙の矢を射る。

【今回の新登場】
●テング(忍者戦隊カクレンジャー)
黒い帽子と長い鼻に、ピアスが特徴の妖怪。『週刊妖怪』で
「強い妖怪ランキング3位」に入った程の強力な妖怪。
ユガミ博士による妖怪レプリカと共にカクレンジャーを追い詰めた。


『集結侍戦隊』-3

作者・ユガミ博士

992

***志葉家の屋敷***

戦いを終えた一同はシンケンジャーに導かれ、志葉家の屋敷へと
やって来た。屋敷には志葉家の家老である日下部彦馬と黒子達が
出迎えた。そしてお互いの自己紹介をする。

千明「嘘!爺さん、あの宮本武蔵なのかよ」
流ノ介「よもや、はぐれ外道では無いのか?」
サイゾウ「いやいや、妖怪変化かも・・・」
宮本武蔵「失礼な、ワシはちょっと人よりも長生きなただの人間じゃ。」
千明「いやいや、ちょっと所じゃねぇよ。」

イサミ達の時同様、武蔵の素性に一同は驚き外道に堕ちたか
妖怪変化では無いかと疑われる。

刃「あと、小次郎や十兵衛もいるぜ。」
流ノ介「何と!有名な剣豪があと2人もこの世にいるのか?
  ・・・そういえば歌舞伎仲間が本物の佐々木小次郎と会ったと
  言っていたが・・・」
さやか「小次郎は今、役者をやっているの。」
ことは「それで、イサミちゃん達はご先祖様が新撰組やったんやね?」
イサミ「そのとおりです。」
彦馬「全く世の中というのは、まさに不思議ですなぁ。殿。」

宮本武蔵だけでなく佐々木小次郎、柳生十兵衛という大剣豪が
この世に復活している事に流ノ介達は驚く。

さやか「そういえば、武蔵はシンケンジャーの皆さんの事を知っていた
  みたいだけど、どうしてなの?」
武蔵「うむ、志葉家の初代当主である志葉烈堂殿とは若かりし頃に
 剣を交えた事があってな。その時、友となり少しの間アヤカシ退治
 にも手を貸したのじゃ。」
彦馬「そういえば、志葉家の古い文献に烈堂様は武蔵殿を始めとする
 武人達と剣を交えたと記録されております。」
トシ「武蔵さんって、何気に人脈が広いなぁ。」

武蔵と志葉家の関係にトシは武蔵の人脈の広さに感心する。

サスケ「君達の事はハリケンジャー達から聞いていた。君達が
 戦っている風神の一味は俺達が封印した妖怪達を解いた
 俺達にとっても敵だ。協力させてくれ。」
刃「へへ、よろしく!」

サスケの申し出に、刃は握手をする。

丈瑠「・・・だが、さっきの戦闘は正直、いつか命を落とすぞ。」
彦馬「殿・・・」
イサミ「うっ・・・」

丈瑠はイサミを見ながら、さっきの戦闘に厳しい一言を言う。

刃「おいおい、イサミ達だって黒天狗党って奴らと戦ってきたんだぜ。
  こいつらの力を疑うのかよ。」
丈瑠「外道衆は生半可な覚悟で、戦えるような相手じゃない。
  下手をしたら犬死にするだけだ。」
刃「なによ~!」
源太「あ~も~、落ち着けよ。丈ちゃんは言葉がとがりすぎ何だって。」
ことは「イサミちゃん達もごめんなぁ。殿様、他の人が死ぬのを見るの
  すっごい悲しむから。」
イサミ「い、いえ・・・」
    
丈瑠の厳しいその言葉に、刃は丈瑠と火花を散らす。源太やことは
はイサミ達をフォローする。

鶴姫「それなら、これから戦っていくためにも修行は必要ね。」
セイカイ「そうそう、強くなれば死ぬ事は無い!」
ジライヤ「頑張っテ、強くなるネ。」
イサミ「カクレンジャーの皆さん・・・」

これから修行を頑張っていこうと、鶴姫達がイサミを励ます。

茉子「さっ、難しい事はこれくらいにして皆、疲れただろうから
  食事にしましょう。」

いつの間にか部屋にいなかった茉子がやってきて、
黒子達が食事を持ってくる。

トシ「うまそー。」
一同「いっただきまーす」

持ってきた食事に皆、箸をつけるなか丈瑠は一人
箸をつけようとしなかった。

千明「どうしたんだよ、丈瑠?」
丈瑠「いや、茉子はさっきまでどこにいたんだ?」
千明「えっ・・・まさか!」
流ノ介「ぐわぁ!」
源太「おえ!」
刃「ぶほぉ!」
イサミ「きゅ~ん」
セイカイ「ぎゃぁぁ」

箸に手を付けた刃達は、料理を口にした途端に
阿鼻叫喚の絵図となった。

ことは「おいしいね、茉子ちゃん♪」
茉子「今日は上手く、出来たわ♪」
丈瑠&千明「「・・・やっぱり」」

料理が壊滅的に下手な茉子は、いつのまにか厨房で料理を造っていた
らしく口にした者は黒子の介抱を受けるのであった。

 

993

○志葉丈瑠→イサミに厳しい事を言う。
○白石茉子→殺人料理を振舞う。
○花丘イサミ→丈瑠から厳しい事を言われる。
○鉄刃→丈瑠と火花を散らす。
○宮本武蔵→一同に驚かれる。
○サスケ→刃達と共に戦おうと握手をする。
○鶴姫→俯くイサミを励ます。

【今回の新規登場】
○日下部彦馬(侍戦隊シンケンジャー)
丈瑠の後見人である志葉家の家老。宿命に悩む丈瑠を立派に育て、
他のシンケンジャーを厳しくも暖かく見守っている存在。腰が痛むので
馬には乗れず、バイクを運転する。


『修業!しんせん組対半蔵学院』-1

作者・ユガミ博士

994 *

**志葉家の屋敷***

イサミ「タァァァ!」
流ノ介「何のマダマダ!」
トシ「うぉりゃぁぁぁ!」
千明「よっしゃ、来い!」
ソウシ「お願いします、イヤァァ!」
茉子「来なさい、ハァ!」

屋敷の庭では、しんせん組の3人がシンケンジャーの流ノ介、千明、
茉子から剣の稽古をつけてもらっていた。縁側では、彦馬と武蔵が
黒子が淹れたお茶をすすりながら見守っている。

刃「うぉぉぉぉ!」
丈瑠「...ふん!」

一方、刃は丈瑠と剣の手合わせをしていた。日本一の剣士を目指す
刃は丈瑠の強さに手合わせをしたいと感じたのだ。その実力は拮抗し、
なかなか勝敗がつかない。そんな時、黒子が彦馬に客人が来たと伝える。

鷹介「失礼します。」
武蔵「お前さんは、疾風流の忍の鷹介じゃったか。」
彦馬「疾風流というと、ハリケンジャーの者か。何しに参った。」

志葉家を訪ねたのはハリケンレッドこと、椎名鷹介だった。
武蔵も疾風流と出会ってからは、鷹介とも顔を合わせていた。
鷹介によると、今度現代の忍者を養成している国立半蔵学院の
生徒との修行に、しんせん組も加わらないかという誘いだった。

武蔵「うむ、忍は変幻自在の術を使う者達じゃ。
  イサミ達も良き修行相手になる事じゃろう。」

武蔵の決定により、しんせん組や刃達は浅草にある
国立半蔵学院へと向かった。

995 ***国立半蔵学院***

善忍、それは現代に生きる国家に所属し、国益の為に働く忍の事。
国立半蔵学院は表向きは1000人の学生数を誇るマンモス進学校だが、
裏の顔は善忍を養成する教育機関である。学院内に秘密裏に存在する
教室には5人の生徒が集まっていた。

飛鳥「おはよう、皆!」
葛城「おっ、来たな飛鳥!また胸がデカくなったか?」
斑鳩「くだらない事を言っていないで、席に着きなさい。霧夜先生から、
  大事な話があるそうよ。」
雲雀「大事な話って、何だろう?危険な任務だったら、やだなぁ。」
柳生「安心しろ、雲雀。俺がお前を守る。」

教室へやって来た2年の生徒、飛鳥(あすか)を3年の葛城(かつらぎ)が
セクハラをしようとするが、同じく3年の斑鳩(いかるが)が止める。
1年の雲雀(ひばり)は大事な話が危険な任務ではないかと不安な顔に
なるが、同じく1年の柳生(やぎゅう)が不安を和らげる。

ボン!

そこへ煙玉が放たれ、そこにこのクラスを担当する教師・霧夜が
現れる。

霧夜「お前達、本日は体育館にてある人物達と戦ってもらう。」
葛城「戦う?」
霧夜「うむ。お前達の中から4人を選出し、対戦形式で修行を行う。」
雲雀「誰が戦うんだろう?」
霧夜「詳しい説明は、体育館にて行う。分かれば、移動だ。」

霧夜からの説明を終え、一同は体育館へ移動する。
体育館は結界が張られており、一般の生徒は近づくことはない。
そして専用通路から体育館に向かうと、数人の人間が体育館にいた。

 
996

霧夜「あの者達が、お前達が戦う相手だ。」

体育館に来ていたのは、数人の大人と中学生くらいの男女のグループ。
先程、志葉家から移動してきたしんせん組に刃達、そして疾風流から
椎名鷹介と同じくハリケンジャーである尾籐吼太が、1人の少年を
連れてやって来た。

斑鳩「あの方達は、疾風流の椎名鷹介さんに尾籐吼太さん!」
葛城「おいおい、伝説のハリケンジャーかよ!」

鷹介達、ハリケンジャーは忍の世界では生ける伝説として
有名だったので、斑鳩達は驚く。そこにまた一人、体育館に現れる。

はるか「お久しぶりです、霧夜先生。」
霧夜「君の方も、変わりはないようだね。はるか君。」
イサミ「はるか先生!?」
ソウシ「先生、何で此処に?」
はるか「実は私、この学院の生徒だったの。イサミちゃん達が
   ここの生徒さんと修行するって聞いたから挨拶に来たのよ。」

イサミ達の担任教師であり、瑠美乃一族のくの一でもある
高木はるかが半蔵学院へとやって来た。実はここの生徒だった
はるかは恩師でもある霧夜への挨拶も兼ねてやって来たのだった。

霧夜「修行は対戦形式で行う。対戦表はこれだ。」

<対戦表>

第1試合:天界VS雲雀
第2試合:雪見ソウシVS柳生
第3試合:月影トシVS葛城
第4試合:花丘イサミVS飛鳥

霧夜によって、対戦表が発表された。

斑鳩「私は不在ですか。」
霧夜「今回は、我慢してくれ。」
刃「あの娘、刀を使うのか...戦ってみてえなぁ。」
武蔵「今回はイサミ達の修行がメインなのじゃ。我慢せぇ。」

刃は刀を使う斑鳩と戦ってみたいと思うが、武蔵はそれを制する。

イサミ「天界っていうのは?」
天界「僕です。」

吼太が連れてきた少年、天界は名乗りを上げ前へと出る。

柳生「頑張れ、雲雀。応援しているぞ。」
雲雀「うん、柳生ちゃん!」

天界の対戦相手となった雲雀も、前へと出る。

霧夜「試合中、お互い変身を任意のタイミングで行って良しとする。
   試合始め!」

最初の試合が始まった。

997

○花丘イサミ→流ノ介に稽古をしてもらう。その後、半蔵学院の生徒と対戦する事になる。
○月影トシ→千明に稽古をしてもらう。その後、半蔵学院の生徒と対戦する事になる。
○雪見ソウシ→茉子に稽古をしてもらう。その後、半蔵学院の生徒と対戦する事になる。
○高木はるな→霧夜に挨拶しにくる。
○鉄刃→丈瑠と手合わせをする。
○志葉丈瑠→刃と手合わせをする。
○池波流ノ介→イサミの稽古の相手をする。
○谷千明→トシの稽古の相手をする。
○白石茉子→ソウシの稽古の相手をする。
○椎名鷹介→志葉家を訪ねて、イサミ達を半蔵学院での修行に誘う。
○尾籐吼太→天界を連れて、半蔵学院へやってくる。
○天界→雲雀と対戦をする事になる。
○飛鳥→イサミの対戦相手となる。
○葛城→トシの対戦相手となる。
○斑鳩→対戦に出られず、見学。
○柳生→ソウシの対戦相手となる。
○雲雀→天界と対戦を始める。
○霧夜→飛鳥達に、修行内容を教える。

【今回の新登場】
○尾籐吼太=ハリケンイエロー(忍風戦隊ハリケンジャー)
疾風流の陸忍で陸の戦いを得意としている。普段は介護士の
仕事をしている。ジャカンジャとの戦いの後、結婚し2児の父親となった。

○天界=二代目天空忍者シュリケンジャー(忍風戦隊ハリケンジャー10YEARSAFTER)
世界中を旅していた鷹介が保護した記憶喪失の少年。実は、邪悪なる意思が
消滅する寸前に残した聖なる意思。善悪関係ない純粋な力のみの存在で、
世界を滅ぼす事も可能。しかし鷹介に助けられた後は後継者として、正義の
忍者になる事を決意。二代目シュリケンジャーを襲名する。

○高木はるな(飛べ!イサミ)
イサミ達の小・中学校の担任教師。実は瑠美乃一族の末裔である忍者で、
影ながらイサミ達をサポートした。趣味はアニメや特撮。

○飛鳥(閃乱カグラ)
国立半蔵学院2年生。秘伝忍法はガマ。属性は土。
元気いっぱいで一所懸命な少女。伝説の忍、半蔵の孫で祖父の作る
太巻きが好物。趣味は修行。

○葛城(閃乱カグラ)
国立半蔵学院3年生。秘伝忍法は龍。属性は風。通称「かつ姉」
涙脆く親分肌で、考える前に行動するタイプだが、よくセクハラをする。
好物はラーメン。

○斑鳩(閃乱カグラ)
国立半蔵学院3年生で、冷静沈着なクラス委員長。秘伝忍法は火の鳥。
属性は火。家宝の宝刀「飛燕」を一刀流で操る抜刀術を使う。
趣味は読書。好物は懐石料理と日本茶。

○柳生(閃乱カグラ)
国立半蔵学院1年生。秘伝忍法はイカ。属性は雨。クールでムダな事が
嫌いな優れた実力者。一人称は「俺」で、亡くなった妹に似ている雲雀を
気にかけている。刀や銃が仕込まれている番傘を武器にしている。
好物はスルメ。趣味は寝ること。

○雲雀(閃乱カグラ)
国立半蔵学院1年生。秘伝忍法はウサギ。属性は雷。
本人は頑張っているものの、よく問題を起こすトラブルメーカー。
戦闘はやや苦手な一方、諜報活動が得意。好物は甘い物全般。
趣味はテレビゲーム。

○霧夜(閃乱カグラ)
飛鳥達の担任教師。元々圧倒的な実力の持ち主の最上忍だったが、
忍者としての生き方に疑問を持ち、現在は犠牲になる忍者を減らすべく
後進の指導に打ち込んでいる。登場する時、よく煙玉を使う。


『修業!しんせん組対半蔵学院』-2

作者・ユガミ博士

998

第1試合が始まり、雲雀と天界は互いを警戒して距離を取っていたが、
最初に動いたのは雲雀だった。

雲雀「うぉ~!」

ポカポカポカと小さい子供の喧嘩のように腕を振り回して、
突っ込んでくる雲雀。対して、天界は子供ながらそれをかわしていった。
これが、雲雀の「ポカポカ変則格闘術」である。

ソウシ「あのお姉さん、まるで子供みたいだな。」
柳生「ム、雲雀は確かに未熟だが、悪口は言わせないぞ。」
鷹介「まぁまぁ。天界は俺との修行でだいぶ力をつけている。
  タダじゃ終わらないさ。」

2人の戦いを見て、それぞれ感想を口にする。そして、雲雀は
動きを止めて、再び天界と距離をとった。

雲雀「忍転身!」

雲雀は「忍転身」によって、学生服だった姿がピンクのジャージと
ブルマの衣装に変わる。

天界「あれが、戦う為に姿を変える忍転身!ならば、こっちも...
   天空シノビチェンジ!」

天界は雲雀が忍転身したのを見て、こちらも負けじと懐から
緑のボール-シュリケンボールを取り出し、シノビチェンジをする。
緑の忍者、天空忍者シュリケンジャーとなった。

シュリケンジャー「緑の光弾、シュリケンジャー参上!」
イサミ「こっちも、変身した!?」
斑鳩「あれが、二代目の翼忍、シュリケンジャー...」

変身したシュリケンジャーは装備している忍者刀シュリケンズバットを
鞘から引き抜き、雲雀へと向かう。

雲雀「秘伝忍法・忍兎でブーン!」
さやか「あっ、かわいいかも。」

雲雀は自分の秘伝忍法で、雲に乗った兎の様な動物を召還する。
召還された忍兎にさやかはかわいいと評した。召還された忍兎は
シュリケンジャーに向かって、猛スピードで突っ込んできた。

シュリケンジャー「うわぁっと!」

ドゴーン

何とか、シュリケンジャーは避けたが忍兎はそのまま、壁へと
突っ込み大きな穴を開ける。

トシ「嘘、穴を開けちまった...」
柳生「雲雀の忍兎は、10トントラック並の衝撃を与えるからな。
   さすがは、俺の雲雀だ。」

しんせん組の面々は穴を開けた忍兎に唖然として、柳生は誇らしげに
忍兎の説明をする。

シュリケンジャー「だが、隙アリだ。ファイアーモード!」

シュリケンジャーは手裏剣の様なマスクを回転すると、炎のように
メラメラとしたマスクに変わり、ファイアーモードとなる。

シュリケンジャー「超忍法、秘打・千本ノック!」

シュリケンジャーはシュリケンズバットを鞘に戻し、バットとなった
シュリケンズバットで千本の球を雲雀にぶつけた。

雲雀「きゃぁぁぁあ!」
飛鳥「雲雀ちゃん!」
柳生「雲雀!!くっ...よくも雲雀を!」
トシ「うわぁ、あんなに喰らったら死ぬぞ。」
ソウシ「昔やったゲームで、白黒のクマが野球選手を千本ノックで
   死なせたシーンを思い出したよ。」

普通、千本ものデッドボールを喰らえば、全身打撲で死んでしまうだろう。
しかし、未熟とはいえ日々の修行で体を鍛え、忍転身で強化されている
事もあり、傷はついたものの雲雀の命に別状は無い。ただ、
服はボロボロになり、所々素肌や下着が見えていた。

武蔵「むひょ!」
さやか、イサミ「「見ちゃダメ~~~」」
刃、トシ、ソウシ「「「ぎゃぁぁぁぁあ」」」

下着姿を見せまいと、さやかとイサミは刃、トシ、ソウシの頭を
叩き付けた

雲雀「きゅ~ん」
霧夜「それまで。第1試合は天界の勝利とする!」

雲雀が気絶した事により、霧夜は勝負アリと天界を勝者として
第1試合を終わらせた。

柳生「雲雀ー!」
雲雀「う、う~ん...負けちゃった!」
天界「...ごめんなさい、勝負とはいえあんな大技を使ってしまって。」
雲雀「私は大丈夫だよ。君、強いね。」ニコ
天界「...ありがとうございました。」
鷹介「...(あのまま謝らなかったら、叱ろうと思ったが...その心配は無いようだな)」

雲雀は正気を取り戻し、変身を解いた天界は雲雀に大怪我を
させた事を謝った。雲雀は気にしていないと笑顔で答え、天界の
強さを褒めた。それに、天界は涙を流して感謝の言葉を言う。
鷹介は天界がちゃんと相手に謝罪した姿を見てちゃんと
相手の事を思い、反省している事に保護者として、ホッとした。

そして、雲雀は忍風館から来た黒子達からの治療を受けて
第1試合は幕を閉じた。


 
999

○天界→シュリケンジャーに変身して、千本ノックで雲雀に勝利する。
     その後、雲雀に大怪我をさせた事に謝る。
○雲雀→忍転身して、秘伝忍法を使うが天界に敗北する。